説明

医薬活性剤の経口デリバリーデバイスの調製のための射出成形法

【課題】デバイスの外側とコアを連絡する1つまたはそれ以上の開口部を含む被膜により被覆された、医薬活性剤を含むコアを含むデリバリーデバイスの製造方法であって、該コアの周囲に該コーティングを射出成形することにより被膜を施すことを特徴とする方法を提供する。
【解決手段】医薬活性剤を含むデバイス7のコア1を調製すること;金型キャビティー内に該コアを置き、コア1を取り囲むこと(ここに、該金型キャビティーは被膜の要求寸法を規定し、また、好ましくは、1つまたはそれ以上の開口部8の要求位置、形状および寸法を規定する);該金型キャビティーに成型可能な流動材料を注入すること;材料を硬化させて、それにより被膜6を形成すること;形成したデバイス7を金型キャビティーから分離すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬活性剤の経口デリバリーデバイスの新規製造方法に関する。特に、本発明は、活性剤を含有するコアを含み、かかるコアに通じる1つまたはそれ以上の開口部を有する被膜を有する経口デリバリーデバイスの製造方法に関する。また、本発明は、本発明の方法により得ることができる新規な経口デリバリーデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば経口投与用の医薬錠剤を製造するために、活性剤を含む錠剤コアをコーティングすることは、十分に確立された方法である。それを行うことの共通の理由は:生成物の機械的完全性を改善するため;周囲の環境(特に、空気、湿気および光)に対する安定性を改善するため;活性剤の放出速度の調節手段のため;および独特の、または改善された美観的特徴を得るためである。コーティング方法は当該分野で十分に確立されている。
【0003】
上記した要因の中で、活性剤の放出速度を制御するための被膜の使用は、かなり注目されており、実際に、かかる目的のために多くの異なるデバイスが開発されてきた。利用されるいくつかのデバイスは、米国特許第5,004,614号に記載されている。この特許には、デバイスを経口投与し、それが水性媒体、例えば胃腸液に浸された場合に薬剤を放出するための開口部を有する不浸透性被膜を有する制御放出デバイスが記載されている。かかるデバイスは、圧力コーティング法または浸漬コーティング法のいずれかにより調製され、形成したコーティングの一部をレーザーまたは機械的穴あけ法により除去することにより開口部を形成する。
【0004】
本発明の一の目的は、上記した型のデバイスの製造方法の代替法を提供することである。本発明の特定の目的は、米国特許第5,004,614号(これは出典明示により本明細書に組み入れる)に開示されている型のデバイスの製造方法の改善された方法を提供することである。また、本発明の目的は、この一般的な型のデバイスの新規構造を提供することである。本発明の別の目的および利点は、以下の詳細な記載から明らかになるだろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5004614号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、第1の態様において、デバイスの外側とコアを連絡する1つまたはそれ以上の開口部を含む被膜により被覆された、医薬活性剤を含むコアを含むデリバリーデバイスの製造方法であって、該コアの周囲に該コーティングを射出成形することにより被膜を施すことを特徴とする方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるデバイスの製造方法は、例えば以下の工程を含む:
要すれば、医薬活性剤を含むデバイスのコアを調製すること;
金型キャビティー内に該コアを置き、コアを取り囲むこと(ここに、該金型キャビティーは被膜の要求寸法を規定し、また、好ましくは、1つまたはそれ以上の開口部の要求位置、形状および寸法を規定する);
該金型キャビティーに成型可能な流動材料を注入すること;
材料を硬化させて、それにより被膜を形成すること;
形成したデバイスを金型キャビティーから分離すること。
【0008】
コアは、コアに適した成分を圧搾して、デバイスのコアを含む圧縮塊(また、本明細書において「錠剤コア」とも称する)を形成することにより調製することができる。これは、慣用的な錠剤賦形剤および処方圧搾法を用いて調製することができる。かくして、コアは、典型的には、活性剤、または有意なプロセシング特性および圧搾特性を供与する賦形剤、例えば希釈剤、混合剤および滑沢剤と共に薬剤を含むだろう。デバイスのコアの一部を形成することができる付加的な賦形剤は、崩壊剤、フレーバー、着色剤および放出修飾剤を含む。典型的には、活性剤および賦形剤は、固体コアに圧搾される前に十分に混合される。デバイスのコアは、慣用的な錠剤形成法、例えば湿式造粒法、乾式造粒法または直接圧縮法により形成することができる。コアは、前もって選択したいずれかの所望の形状、例えば、双凸状、半球状、略半球状、円状、長円状(oval)、略楕円状、長円状(oblong)、略円筒状または多面状、例えば三角柱形状に準じて生産することができる。
【0009】
コアの好ましい形状は、一般的には、2つの向かい合った略凸円状の端面を有する円筒形状であるものである。かかる凸端面は、略部分球状のドーム型凸形状または略円錐状もしくは円錐台状であってもよい。コアの別の好ましい形状は、略球状または楕円状である2つの向かい合ったドーム状の表面を含む凸状または双凸形状である。
【0010】
「略半球状」なる用語は、米国特許第5,004,614号に記載されている方法において説明されていることを意図する。「円筒状」なる用語は、真に円筒状および歪んだ円筒状の両方を含むことを意図する。好ましくは、コアは、例えば2つの向かい合ったドーム状の表面を有する双凸形状に形成される。コアが角、例えば円筒側面と凸状端面の間の角を有する場合、注入の間に流体コーティング材料の流れを補助するように、半径約1mmの丸みのある角であることが好ましい。
コアは、多層(例えば、二または三層)形態に調製することができる。
【0011】
本発明のデリバリーデバイスは、有利には、製薬技術に精通している者によく知られている、医薬錠剤の形状および大きさで製造することができるので、経口デリバリーデバイスとして最も適している。コアは、広範囲の治療、特に経口投与に用いるのに適している活性剤を含み、米国特許第5,004,614号に記載されているものを含むことができる。コア内に存在する活性剤の量は、典型的な医薬事項、例えばそれに含まれる活性材料の公知の投与量に基づいて決定されるべきものであり、本発明の方法またはそれにより形成されたデリバリーデバイスの構造により限定されるものではない。
【0012】
本発明の方法を実行するためには、正確に規定した被膜の厚さおよび/または1つまたはそれ以上の開口部の位置が得られるように、錠剤コアを金型キャビティー内に正確に置かれなければならない。
デバイスのコアは、射出成形法により適当な材料で被覆される。射出成形法は、一般的には、融解熱可塑性流体様材料、しばしば流体ポリマーを、加圧下および通常は高温で、前もって作成した金型ブロック内の金型キャビティーに注入することを含む。典型的には外界温度に冷却して、流体材料を固体化させて、キャビティーの内部形状を再現した固体生成物を形成する。別法として、射出成形法は、熱硬化性流体様材料を用いることができ、例えば、加熱した金型に流体状態で材料を注入し、その熱を熱硬化性材料に作用させ、それを固体化させる。シリコーン材料が、熱硬化性材料として知られている。かかる成形法は、小さなプラスチック材料成分の製造の分野においてよく知られている。典型的な射出成形装置は、ポリマー貯蔵所、例えばポリマーペレットまたは顆粒のホッパー、ヒーターおよび流体重合体を金型に向かう注入口に押し出すスクリューポンプを含むポリマー供給系を含む。
【0013】
本発明の射出成形法は、標準的な射出成形器、例えばホットまたはコールドランナー型で行うことができる。ホットランナー系が好ましく、ゲートピップを除去するためにバルブゲートを用いることができるが、実際には、従来のホットランナー装置により残された非常に小さな残存ゲートピップは、重要でないだろう。かかる装置は、広範囲の圧力と温度で操作することができる。しかしながら、本発明の有用性に影響する重要な因子は、錠剤コアの射出成形条件の厳しさに耐える能力であることは明らかだろう。例えば、多くの医薬活性剤は、複合体有機化合物であり、これは高温で熱分解を受けやすく、このことは高圧の同時使用により増幅しうる。したがって、問題の活性剤の熱分解を最小限にするか、または理想的にはそれを回避すると考えられる射出成形法の温度を用いることが好ましい。かかる多くの薬剤に関して、このことを達成するのに適当なプロセシング条件は文献で特定されている。これらの問題に関して、典型的な操作条件は25〜300℃、さらに典型的には50〜250℃、特に50〜150℃であるだろうと考えられる。好ましくは、射出成形圧は、金型キャビティー内の錠剤コアに損傷を与えることを回避するために6000psi(約400〜450kg/cm)未満であるべきであり、典型的には200〜1000psi(約14〜70kg/cm)、より典型的には400〜600psi(約30〜45kg/cm)が適していることが見出されている。逆に、錠剤コアは、破壊または崩壊することなしに金型内のかかる圧力に耐えうる材料および適当な条件を用いて作成されるべきである。
【0014】
被膜の材料は、環境液、例えば胃腸液へのコアの暴露を遮断(恒久的にまたは適当な期間)し、活性剤の制御放出、遅延放出または徐放の所定の継続期間が開始される前に、分解されるか、または崩壊することにより排除されない、いずれの材料であってもよい。別法として、コーティング材料は、美観的配慮のために選択することもできる。熱可塑性を示すいずれの医薬上許容される流体成形可能材料は、錠剤コアの被膜として用いることができ、適当な材料は、熱可塑性有機ポリマーを含む。射出成形における当業者は、1g/10分(非常に低流量)〜50g/10分(非常に高流量)の範囲のメルト・フロー・インデックスによりポリマー材料の流動性を特徴付ける。15〜30g/10分の範囲のメルト・フロー・インデックスを示す材料が、特に本発明に用いるのに適当であることが見出されている。本発明におけるコーティング材料として用いるのに適している代表的な材料およびそれらの混合物は、米国特許第5,004,614号に記載されているものを含む。好ましいコーティング材料は、一般的に、ポリメタクリル酸共重合体、天然ワックスおよび脂質ならびに生体分解性ポリマーを含む。他の適当なポリマー材料は、例えば40および20グレードのポリ酢酸ビニル、酢酸セルロース、酪酸セルロースおよびフタル酸セルロース、EVA(エチレン酢酸ビニル)またはHPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、シリコーン、メタクリル酸、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸メチルの共重合体、例えばRohm polymersから入手できる4135Fとして知られているものまたは4135Fに基づく混合物を含む。4135Fは、pH7.2より大きい分解点を有する、典型的な比25:65:10のメタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル共重合体を含む。
【0015】
さらなる態様により、本発明は、本明細書に記載の方法により作成された場合に、医薬活性剤の経口デリバリーに適したデバイスを提供する。典型的には、かかるデバイスは、デバイスの外側とコアを連絡する1つまたはそれ以上の開口部を含む被膜により覆われている、医薬活性剤を含むコアを含み、該被膜が、該コアの周囲に該射出成形コーティングにより適用される、1g/10分(非常に低流量)〜50g/10分(非常に高流量)の範囲のメルト・フロー・インデックス、特に15〜30g/10分の範囲のメルト・フロー・インデックスを示すポリマー材料であることを特徴とする。
【0016】
被膜の厚さは、容易に変化させることができる。例えば米国特許第5,004,614号に記載されているようなデバイスに関して、材料が環境液に対してある程度の浸透性を示すこと、制御放出の所望の期間が経過する前に、かかる厚さで被膜を塗布し、コアへの暴露を防止することは重要である。即時放出デバイスに関しては、かなり薄い被膜を利用することができるか、胃腸液中で溶解するように設計された被膜を適用することができた。本発明のこの方法により得ることができる適当な被膜の厚さは、0.1mm〜2mmの範囲、好ましくは0.2〜0.8mmの範囲、より好ましくは0.1〜0.6mmの範囲であると考えられる。典型的には、錠剤コアは、円筒直径で±0.025mmの、および円筒高で±0.1mmの許容誤差で作られる。典型的には、射出成形キャビティーには0.03mm未満のばらつきがあってもよく、これらの数値は、本発明の方法により得られる被膜の厚さの典型的な許容誤差範囲を示す。考慮すべき重要な因子は、熱可塑性ポリマーのメルト・フロー・インデックスである。かくして、最も薄いコーティング部を得るためには、高メルトフロー特性を有するポリマーを使用する必要があるだろう。厚さの小さな変化でさえもメルトフローに有意な影響を与え、デリバリーデバイスの薬学的要求としては別の厚さを必要としうるが、通常0.6〜0.4mmの被膜の厚さが、成形法の観点から最適であると考えられる。
【0017】
本発明の方法で用いるのに適した金型は、錠剤コアを該コアの周囲に被膜の要求形状および寸法を規定するための空間を持たせて置くことができ、金型キャビティーの内面から伸びて該コアに接し、1つまたはそれ以上の開口部の形状および位置を規定する1つまたはそれ以上の内部材を有するキャビティーを有する。典型的には、射出成形分野における標準的な方法のように、金型は、該方法の生産速度を最大限にするために複数のキャビティー含むだろう。典型的には、金型は16個のキャビティーを含みうる。内部材は、デバイスの開口部を規定する。かかる内部材は、好ましくは、被膜にいずれの損傷も与えずに、製造されたデバイスから容易に分離することができるように、それと金型キャビティーの内部表面の間に突出部がないように設計される。また、これらの内部材は、流体コーティング材料を金型キャビティーに注入する場合に、所定の場所にコアを固定する役割も果たしうる。
【0018】
好ましい金型の構造において、1つまたはそれ以上の内部材は、金型キャビティーに対して内側および外側に相互に弾性的に動くことができるように、例えばばねマウントのように弾性的に取り付けられる。この構造により、かかる弾性的内部材は、コアが金型キャビティーに取り入れられた場合に、金型キャビティー内に置かれた該コアを保持するのを補助するために、該コアに弾性圧を加えることができる。また、金型が閉じた状態で内部材が錠剤コアに接した場合に、かかる部材がわずかに動くことができる能力は、コアを破壊する可能性のあるコアに加わるいずれの圧力を和らげること、および内部材が各錠剤コア間の大きさのばらつきに対応することに役立つ。好ましくは、かかる内部材の弾性的取り付けは、錠剤に対して200psi(約14kg/cm)までの弾性圧を加えることができるか、または反対に、それに適用されたかかる圧力下で弾性的に動くことができるようにすべきである。
【0019】
また、内部材に金型の外側まで通じる減圧管を与えることが好ましく、それにより減圧を部材に接触している錠剤コアにまで及ぼし、金型の所定の位置にコアを保持するのを補助することができる。適当には、減圧管は、上記したように弾性的に固定された内部材を通り抜けることができる。かかる減圧管は、減圧によりコアがキャビティーの外に落ちることを防止している水平軸に沿って閉ざされている金型、および減圧により所定の位置にコアを固定する重力を補っている垂直軸に沿って閉ざされている金型の両方において有用でありうる。
【0020】
通常は、射出金型は、1つの固定部および固定部に接触するまで動いて金型を閉じる第2の移動部を有する。適当には、弾性部材およびいずれの減圧管は、この固定部に存在する。
【0021】
内部材を有する上記した金型での使用に関して、コアに接触する部材部にほぼ一致する形状の少なくとも1つの小さな収容くぼみを与えることが好ましく、該くぼみは、金型が錠剤コアを取り込んだ場合に部材が該くぼみに収容されるようにコア上に位置する。これは、確実にコアを金型キャビティー内に置くことおよび金型キャビティー中の所定の位置にコアを固定することを補助する。上記した双凸状コアにおいて、かかるくぼみは、1つまたは両方の凸表面、例えば略円筒状コアの凸端面に位置することができる。かかるくぼみは、最大でも1.5mmの深さであることを必要とし、好ましくは、例えば単に約0.005cmの深さであることを必要とする。適当には、かかるくぼみは、その底部で最も狭くなるように先細にし、例えば円錐台特性を有する。また、コアには、1つまたはそれ以上の、好ましくは少なくとも3つの小さな収容突起、例えばリブを与えることができ、キャビティー内の内部表面、例えばその対応する凹面とかみ合い、金型キャビティー内にコアを置くことを補助する。かかる突起は、被膜を通り抜けるいずれの対応する開口部が形成されることを避けるために、金型キャビティーと点でのみ接するような形状であってもよい。
【0022】
一般的には、金型キャビティーは、多数部、好ましくは各々の部が金型キャビティーの個別の部分を規定する、非常に精密に一緒になって閉じる2部分金型構造で作られる。組み合わせた場合、2つの金型部分は内部キャビティーを規定し、すなわち、閉じた場合に被膜の要求寸法に対応する錠剤コアの周囲のキャビティーを規定する。さらに、かかる構造は、形成したデバイスを金型から分離するために金型を開くことを可能にする。射出成形法で用いるためのこの一般的な型の金型は当該分野でよく知られている。1つまたはそれ以上の内部材は、金型キャビティーの内壁面のいずれの適当な位置に設置することができ、好ましくは金型と一体に作られる。複数部構造を利用する場合、内部材は、1つまたはそれ以上の金型部分に設置することができる。かかる複数部分金型の部は水平に、すなわち、水平軸に沿って、または垂直に、すなわち水平軸に沿って閉じることができる。水平に閉じる金型が好ましい。
【0023】
また、金型は、錠剤コアが金型の一の部分に位置する場合に一緒に動いて錠剤コアを把持し、金型が完全に閉じるまでコアを所定の位置に保持することを補助することができる、1組またはそれ以上の格納式のサイドコアを組み入れることができる。かかるサイドコアは、特に水平に閉じる金型において有用でありうる。
【0024】
本発明の典型的な方法は、工程(1)吸引把持部を備えたロボットにより取り出すために必要な配置に集めることができる、1つまたはそれ以上のコンベヤー上に送り出すための供給器、例えば振動ボール供給器に錠剤コアを充填すること、(2)錠剤コアを金型キャビティーに入れるのに必要な空間的配置に正確に置くために、ロボットが錠剤コアをレジスターステーションに置くこと(3)ロボットが錠剤コアを取り、それらを金型キャビティーに入れること(4)コーティング材料の注入を行うこと(5)垂直に閉じる金型を用いる場合、ロボットを用いて金型キャビティーから完成したデバイスを取り出すこと、を含む。例えば、レジスター上の次のアライメントが必要としないような十分な精度でコンベヤーの末端にコレクションデバイスを設計することにより、工程(2)を排除することができる。金型が開いている間にグリッパーヘッドが完成したデバイスを取り出し、横から割出し、新しい錠剤コアをキャビティー内に置くことができるように、1つが錠剤コアを保持し、1つが完成したデバイスを保持する2組のグリッパーを有するロボットを設計することにより、工程(3)および(4)は組み合わせることができる。
【0025】
また、本発明は、さらなる態様において、鋳造法に用いるのに適したダイまたは金型であって、錠剤コアを置くことができ、被膜の要求形状および寸法を規定するように該コアの周囲に空間を残すような寸法であり、金型キャビティーの内部表面から伸びて該コアに接する1つまたはそれ以上の内部材を有するキャビティーを有するダイまたは金型を提供する。
【0026】
開口部の要求形状、大きさ、数、およびデバイスに必要な開口部の幾何学的な配置は、金型または金型の一部上の内部材(複数でも可)の形状、大きさ、数および相対的位置を適当にアレンジすることにより容易になされることは明らかだろう。いずれの単一の開口部は、0.1μm程度に小さくても、および錠剤コアの表面と同じくらいまで大きくてもよく、例えば10mmまでの大きさであってもよい。典型的な開口部は、0.5mm〜4mmの範囲内であるだろう。好ましくは、デバイスの開口部(複数でも可)は、デバイスの総表面積の約10〜60%を占めるだろう。開口部は、いずれの慣用的な形状を有しうるが、好ましくは円状、例えば実質的に円形または楕円形である。
【0027】
例えば、一の具体例において、デバイスは、2つの向かい合った実質的に円形端面を有する略円筒状、または平面図において円形または楕円形である2つの向かい合ったドーム形の表面を含む双凸状であるコアを含んでいてもよく、該コアはコアの外形にほぼ一致する被膜に覆われており、該被膜は実質的に円形またはドーム形の表面の中心に実質的に連絡している2つの向かい合った開口部を有する。
【0028】
本発明の射出成形法は、例えば前もって決定した胃腸管の部位で活性剤を放出させるための、即時、遅延または徐放性放出のために用いることができるデバイスを製造するために用いることができる。当業者は活性剤を含有するデバイスの放出特性を考慮する場合、薬剤の溶解度、開口部の表面積および数、被膜の厚みおよび錠剤コア処方特性のような因子を考慮するだろう。本発明の方法によりかかるデバイスの変化に容易に適応できることは明らかだろう。
【0029】
本発明は、とりわけ、単一の操作で被膜を塗布してデバイスを創成する点、すなわち、コアを曝すために被膜に機械的に穴を開けるようなさらなるコーティングプロセシングを必要としない点で公知の方法とは異なる。これにより、様々な数、大きさおよび形状の開口部を有するデバイスを生産する、改善された方法が可能になる。さらに、開口部の大きさがより正確に再現される。この方法は、公知の方法より操作が確実かつ単純であり、かかるデバイスの大量生産に特に適していると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明によるデバイスの製造方法の使用の逐次段階を図式的に示す。
【図2】本発明によるデバイスの製造方法の使用の逐次段階を図式的に示す。
【図3】本発明によるデバイスの製造方法の使用の逐次段階を図式的に示す。
【図4】本発明の方法を用いて作られたデバイスを示す。
【図5】本発明の方法を用いて作られたデバイスを示す。
【図6】本発明の方法に好ましい射出金型を示す。
【図7】錠剤コアの好ましい形状を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1〜3に関して、錠剤コア1を、2つの合わせ部分2Aおよび2Bから成る金型全体2の内部に示す。コア1は、2つの向かい合った実質的に円形の端面および円筒側壁を有する略円筒形であり、図1は、この円筒形コアを縦断面図で示している。金型は、錠剤コアに適用される被膜の形状を規定するキャビティー3を規定し、2つの半部分2Aおよび2Bを組み合わせた場合にキャビティー3全体が規定されるように、2つの半部分2Aおよび2Bの各々はキャビティーの一部を規定する。このキャビティー3は、コア1の形状および寸法とほぼ一致するが、コア1の周囲にそこで形成される被膜の厚さを規定するギャップを残す。
【0032】
金型キャビティー3の内壁からの伸長部は、金型部2Aおよび2Bと一体化して形成される突起4である内部材である。コア1が金型キャビティー3内にある場合、これらの突起4はコア1に接しており、キャビティー内の所定の位置にコアを保持して、コーティング剤をキャビティー内に注入した場合にコアが押しのけられることを防止する働きをし、被膜に形成される開口部の大きさ、形状および位置を規定する。これら突起4は、被膜に損傷を与えることなく形成された被膜から突起を除去することができるように、それらと金型キャビティーの内部表面の間に突出部がない形状である。適当には、突起4は、金型キャビティーの内壁から離れた末端で最も細くなる先細でありうる。
【0033】
図1において、金型2は、最下部の固定された金型部分2Aおよび突起上に置かれている錠剤コア1と、開いた構造で示されている。図2において、金型2は閉じており、上部の金型部分2Bの突起4は、錠剤コア1に接触した状態になっている。
図3において、融解状態のコーティング材料6が、金型2の固定部2A上の有利な位置に位置する注入口5を介してキャビティー3に注入されている。冷却した後、2つの金型部分2Aおよび2Bを開き、形成したデバイス7を取り出す。
デバイス7は、図4および5において、それぞれ断面図および平面図で示されており、2つの突起4のそれぞれの位置に対応した2つの開口部8を有する被膜6により取り囲まれたコア1を含む。
【0034】
図6において、金型20の好ましい構造を断面図で示している。これは金型2の2A、2Bに対応する2つの部分20A、20Bを有する。これらの部分2A、2Bは、金型2の4に対応する内部突起24A、24Bを有する。各々の突起24A、24Bは、金型キャビティー23の内部表面と接するその底部で最大幅となる円錐台形状である。固定部20Aの突起24Aは、金型部分20Aの外側の末端24Cにあるバネ(示していない)のバイアス作用下で、矢印の方向に弾性的に相互に動くことができ、突起24Aは、金型部分20Aを通り抜けるガイドチャンネル25にスライド可能に装着される(部分24Aと金型部分20Aの間のチャンネル25の隙間は明確にするために誇張されている)。突起24Aの弾性装着は、その上に置かれる錠剤コア(示していない)からの約200psiの下向きの圧力下で動かすことができるようにするためのものである。突起24Aを通る通路は減圧管26であり、該管を介して突起24Aに置かれているかかる錠剤コアに下方から分圧を適当することができる。下側の固定金型部分24A中に流体のコーティング剤を注入するための注入口27がある。
【0035】
図7を参照して、好ましい錠剤コア形状71を、平面図(図7A)および平面図(図7B)で示す。形状は、球状のドーム型凸状末端面73、74を有する円筒形部分72を有する略円筒形である。各々の面73、74には、金型20の突起24A、24Bの凸状円錐台特性に一致する特性のくぼみ75、76がある。これらのくぼみの円錐側面の傾きは、コア71の円筒の縦軸に対して35°である。各々のくぼみ75、76の外側の縁の直径は、円筒形の直径全体の約70〜75%であり、縦方向の深さは約0.4mmである。
【0036】
実施例1
以下の錠剤コアを、活性成分を賦形剤と一緒に混合し、錠剤コアに圧搾することによる慣用的な方法により形成した。これらの実施例は、説明するものであって限定するものではない。
錠剤コアa)は、10%の活性成分、60%の微結晶セルロース、24%のラクトース、5%のスターチグリコラート(崩壊剤)および1%のステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)から成る即時放出処方において用いるのに適当であるコアを意味する。
錠剤b)は、10%の活性成分、40%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、24%のラクトース、20%の微結晶セルロース、5%のスターチグリコラートおよび1%のステアリン酸マグネシウムから成る制御放出処方において用いるのに適当であるコアを意味する。
用いられるコーティング材料は、Exxon Chemialにより生産された低密度ポリエチレンであった。等級はLD600BA naturalであった。この材料は広範囲の加工温度(160〜240℃)を示し、20.5g/10分のメルト・フロー・インデックスを有する。利用する操作条件は150℃および400psiの圧力であった。
用いた射出成形器は35T Arburgであった。
【0037】
図1〜5および7に示される錠剤コアは、典型的には8mmの直径を有する。コーティングは、コアとキャビティーの内壁の間のキャビティー中の隙間により規定される、約0.5mmの厚みを有していた。コーティングの開口部7は、典型的には、1mmの直径を有する円形状であるか、図7に示されるコア形状を用いて約6mmであった。
これらの射出成形操作条件は、錠剤コアに悪影響を与えず、すなわち、機械的完全性が維持されることが見出された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスの外部とコアを連絡している少なくとも1個の開口部を含む被膜により覆われた、医薬活性剤を含むコアから成るデバイスの製造方法であり、該コアの周りに被膜を射出成形することにより該被膜が塗布される方法であって、
該コアを金型キャビティー内に置き、コアを取り囲み(ここに、該金型キャビティーは被膜の要求寸法を規定し、また各開口部の要求位置、形状および寸法を規定する);
成型可能な熱可塑性流動材料を該金型キャビティーに注入し;
該成型可能な熱可塑性流動材料を硬化させて被膜を形成し;そして
コア、被膜および少なくとも1個の開口部を含むデバイスを該金型キャビティーから分離することを含み、
ここで、該金型キャビティーは内面を有し、該金型キャビティーの内面と該コアの間に空間が設けられ、該空間は被膜の要求形状および寸法を規定し、内部材が金型キャビティーの内面から伸び、成型可能な熱可塑性流動材料の注入および硬化の間に各開口部を介してコアに接し、そこを通って内部材が伸びる開口部の形状および位置を規定し、少なくとも1個の内部材の一部が金型の外側に位置し、少なくとも1個の内部材が金型の外部から金型キャビティー中に伸び、その内部材が金型キャビティーに対して内側および外側に動くように取り付けられ、成型可能な熱可塑性流動材料の注入および硬化の間にコアに対して弾性的にバイアスを付す、ところの方法。
【請求項2】
少なくとも1個の内部材がそこに付加される最大14kg/cmまでの圧力下で弾性的に動くことのできる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1個の内部材を通して金型の内部から外部に伸びる真空導管を介して減圧とし、該減圧を該コアに適用し、該コアは少なくとも1個の内部材と接触しながら、該コアを金型の適所に保持する手助けとなる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
成型可能な流動材料が400−450kg/cm未満の圧力で注入される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
デバイスの外部とコアを連絡する少なくとも1個の開口部を有する射出成形被膜により覆われた医薬活性剤を包含するコアを含むデバイスを形成するための金型であって、該被膜がコアの周りに該膜を射出成形することで塗布され、該金型がキャビティーを有し、コアがその中でコアの周囲に一定の空間があるように置かれ、被膜の要求形状および寸法を規定し、該金型キャビティーが内面を有し、少なくとも1個の内部材が金型キャビティーの内面から伸びてコアに接し、少なくとも1個の開口部の形状および位置を規定するところの、金型。
【請求項6】
相互に分離可能な2個の部材を有し、相対的な水平方向への動きにより一体となる、請求項5記載の金型。
【請求項7】
医薬活性剤を包含するコアを含み、その一部がデバイスの外部とコアを連絡する少なくとも1個の開口部を有する射出成形被膜により覆われている、医薬活性剤の経口デリバリーに適したデバイス。
【請求項8】
被膜が15―30g/分の範囲のメルト・フロー・インデックスを示すポリマー材料であり、被膜が該コアの周囲に該被膜を射出成形することにより塗布されるところの、請求項7記載のデバイス。
【請求項9】
被膜が、ポリメタクリル酸共重合体、天然ワックスおよび脂質、生体分解性ポリマー、ポリ酢酸ビニル、酢酸セルロース、ブチラートおよびフタラート、エチレン酢酸ビニル、ヒドロキシプロピルセルロース、メタクリル酸の共重合体、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチルおよびシリコーンから選択されるポリマー材料である、請求項7記載のデバイス。
【請求項10】
被膜が0.1〜2.0mmの範囲の厚みを有するところの、請求項9記載のデバイス。
【請求項11】
被膜の材料がコアの覆われた部分と接触しており、コアの覆われた部分が環境液に曝されることをブロックするところの、請求項10記載のデバイス。
【請求項12】
コアが円筒形の側壁と、2つの向かい合った凸状の円形端面とを有するところの、請求項7記載のデバイス。
【請求項13】
コアが平面図において円形または楕円形である2つの向かい合った半球状の面を有するところの、請求項7記載のデバイス。
【請求項14】
被膜がコアの外形に一致し、該被膜がそこでデバイスの外部とコアとを連絡する2つの対向する開口部を有するところの、請求項7記載のデバイス。
【請求項15】
デバイスの外部とコアを連絡している少なくとも1個の開口部を含む被膜により覆われた、医薬活性剤を含むコアから成るデバイスの製造方法であり、該コアの周りに被膜を射出成形することにより該被膜が塗布される方法であって、
該コアを金型キャビティー内に置き、コアを取り囲み(ここに、該金型キャビティーは被膜の要求寸法を規定し、また各開口部の要求位置、形状および寸法を規定する);
成型可能な熱可塑性流動材料を該金型キャビティーに注入し;
該材料を硬化させて被膜を形成し;そして
コア、被膜および少なくとも1個の開口部を含むデバイスを該金型キャビティーから分離することを含み、
ここで、該金型キャビティーは内面を有し、該金型キャビティーの内面と該コアの間に空間が設けられ、該空間は被膜の要求形状および寸法を規定し、内部材が成型可能な熱可塑性流動材料の注入および硬化の間に各開口部を介して金型キャビティーの内面から伸び、実質的に略円錐形の表面と、該略円錐形の表面に対して横方向に一の端面とを有する凸状端面を有し、内部材がそこを通って伸びる開口部の形状および位置を規定し、
少なくとも1個の内部材を介して端面にある開口部まで伸びる真空導管により真空とされ、そして
コアが凸状端面の略円錐形に入って嵌合する凹状の略円錐形の面を含むシートインデントを有し、一の横方向の面がその横方向の端面と隣接しており、その結果、金型がコアを取り囲むと、内部材がインデントに落ち着くことを含む、デバイスの製造方法。
【請求項16】
少なくとも1個の内部材が、金型の外側に設置されたスプリングのバイアス作用によりコアに対して弾性的にバイアルされているところの、請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−184359(P2009−184359A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74472(P2009−74472)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【分割の表示】特願2003−524555(P2003−524555)の分割
【原出願日】平成14年8月20日(2002.8.20)
【出願人】(595047190)スミスクライン ビーチャム ピー エル シー (34)
【Fターム(参考)】