説明

医薬

【課題】ロキソプロフェン又はその塩と、キサンチン誘導体との間の相互作用が抑制された医薬組成物の提供。
【解決手段】ロキソプロフェン又はその塩、キサンチン誘導体、及びイソバレリル尿素誘導体を含有する医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロキソプロフェン又はその塩及びキサンチン誘導体を含有する、保存安定性が優れた医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ロキソプロフェンは、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)の一種であり、関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛、急性上気道炎、手術後・外傷後・抜歯後等の消炎・鎮痛・解熱に有効なものとして知られており(非特許文献1)、その優れた解熱鎮痛作用から、総合感冒薬や解熱鎮痛剤等への配合も期待される。
【0003】
一方、カフェイン等のキサンチン誘導体は、中枢神経興奮作用を有し、総合感冒薬、解熱鎮痛剤等の様々の医薬品に用いられている。カフェインは中枢興奮作用、強心・利尿作用、胃酸分泌亢進作用、平滑筋弛緩作用等を示し、総合感冒薬のほか、解熱鎮痛剤、鎮咳去痰薬等に用いられる薬物である(非特許文献2)。また、カフェインと類似の構造を有するテオフィリン、パラキサンチン、テオブロミン、アミノフィリン、ジプロフィリン、プロキシフィリン等の他のキサンチン誘導体も、カフェインと類似の薬理作用を有する。テオフィリンは中枢興奮作用、強心・利尿作用、平滑筋弛緩作用等を示し、鎮咳去痰薬や鎮暈薬等に用いられる薬物である。アミノフィリンはテオフィリンとエチレンジアミンの複塩であり、テオフィリンと同様の作用を示し、ジプロフィリンも、テオフィリンと同様の作用を示す(非特許文献3)。プロキシフィリンもテオフィリンと同様の作用を示し(非特許文献4)、パラキサンチンやテオブロミンも同様の作用を示す。
【0004】
ロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体との組み合わせは、既に知られている。例えば、特許文献1の実施例1〜4には、ロキソプロフェンナトリウム・2水和物とカフェイン又はテオフィリンを含有する錠剤等が開示されている。また、特許文献2の実施例1〜4には、ロキソプロフェンナトリウムと無水カフェインを含有する錠剤等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−52210号公報
【特許文献2】特開2007−314517号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】第15改正日本薬局方解説書 株式会社廣川書店 第C−4790−4795頁
【非特許文献2】OTCハンドブック 2008−09 株式会社学術情報流通センター 第198−199頁
【非特許文献3】OTCハンドブック 2008−09 株式会社学術情報流通センター 第292−294頁
【非特許文献4】OTCハンドブック 2008−09 株式会社学術情報流通センター 第688頁
【非特許文献5】OTCハンドブック 2008−09 株式会社学術情報流通センター 第199−200頁
【非特許文献6】第十五改正日本薬局方解説書 株式会社廣川書店 第C−2743−2749頁
【非特許文献7】OTCハンドブック 2008−09 株式会社学術情報流通センター 第693−694頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体との間に、保存安定性に影響を与えるような相互作用が生じるか否かについては、一切知られていない。
そこで、本発明者は、両成分の保存安定性について検討したところ、ロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体とを混合して多湿条件下で長期間保存すると、意外にも、これらの成分の間に相互作用が生じ、この相互作用により、混合物の経時的な固化等の状態変化が生じ、保存安定性に問題が生じることを見出した。
医薬品の流通・保存過程においては長期間に渡り多湿環境に曝される可能性があるため、医薬組成物には、多湿・長期間保存時における保存安定性の向上が要求される。
【0008】
従って、本発明の課題は、ロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体との間の相互作用が抑制された医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者は、この問題を解決すべくさらに検討したところ、ロキソプロフェン又はその塩及びキサンチン誘導体に、イソバレリル尿素誘導体を共存せしめることにより、相互作用を抑制することができることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、ロキソプロフェン又はその塩、キサンチン誘導体及びイソバレリル尿素誘導体を含有する医薬組成物に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体との相互作用を抑制できる。従って、保存安定性が優れた、ロキソプロフェン又はその塩、及びキサンチン誘導体を含有する医薬組成物を提供することができる。
また、複雑な工程を経ることなく、簡便かつ安価に、ロキソプロフェン又はその塩、及びキサンチン誘導体を含有する、相互作用が抑制された医薬組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において、「ロキソプロフェン又はその塩」には、ロキソプロフェンそのもののほか、ロキソプロフェンの薬学上許容される塩、さらにはロキソプロフェンやその薬学上許容される塩と水やアルコール等との溶媒和物も含まれる。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。本発明において、ロキソプロフェン又はその塩としては、ロキソプロフェンナトリウム水和物(化学名:Monosodium 2-[4-[(2-oxocyclopentyl)methyl]phenyl]propanoate dihydrate)が好ましい。
【0013】
本発明の医薬組成物におけるロキソプロフェン又はその塩の含有量は特に限定されず、服用者の性別、年齢、症状等に応じて、適宜検討して決定すればよい。例えば、1日あたり、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で10〜300mg、より好適には30〜240mg、特に好適には60〜180mg服用できる量を含有せしめることができる。
本発明においては、ロキソプロフェン又はその塩を医薬組成物全質量に対して、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で0.4〜50質量%含有するのが好ましく、1〜40質量%含有するのがより好ましい。特に、総合感冒薬等として用いる場合の観点から、1.2〜30質量%含有するのが好ましく、1.2〜25質量%含有するのがより好ましく、1.2〜20質量%含有するのがさらに好ましく、2.4〜15質量%含有するのがさらに好ましく、2.4〜12質量%含有するのが特に好ましい。
【0014】
本発明において、「キサンチン誘導体」としては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
【0015】
【化1】

【0016】
[式(1)中、R1及びR2は各々独立して水素原子又はメチル基を示し、R3は水素原子、メチル基、モノヒドロキシプロピル基又はジヒドロキシプロピル基を示す。]
【0017】
式(1)中、R3において、モノヒドロキシプロピル基としては、2−ヒドロキシプロピル基が好ましい。また、ジヒドロキシプロピル基としては、2,3−ジヒドロキシプロピル基が好ましい。
【0018】
なお、上記一般式(1)において、
(1)R1がメチル基であり、R2がメチル基であり、R3がメチル基であるものは、カフェインを意味するものである。
(2)R1がメチル基であり、R2がメチル基であり、R3が水素原子であるものは、テオフィリンを意味するものである。
(3)R1が水素原子であり、R2がメチル基であり、R3がメチル基であるものは、テオブロミンを意味するものである。
(4)R1がメチル基であり、R2が水素原子であり、R3がメチル基であるものは、パラキサンチンを意味するものである。
(5)R1がメチル基であり、R2がメチル基であり、R3が2−ヒドロキシプロピル基であるものは、プロキシフィリンを意味するものである。
(6)R1がメチル基であり、R2がメチル基であり、R3が2,3−ジヒドロキシプロピル基であるものは、ジプロフィリンを意味するものである。
【0019】
一般式(1)で表される化合物、とりわけ上述の化合物は公知であり、本発明においては、公知の方法により製造したもののほか、市販のものを用いることができる。
なお、キサンチン誘導体としては、上記の一般式(1)で表される化合物そのもののほか、その薬学上許容される塩(例えば、複塩を形成したもの(安息香酸ナトリウムカフェイン(安息香酸ナトリウムとカフェインの複塩)、アミノフィリン(テオフィリンとエチレンジアミンとの複塩))等)、一般式(1)で表される化合物又はその塩と水やアルコール等との溶媒和物を用いることもでき、これらも「キサンチン誘導体」に包含され、上述の化合物(カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、パラキサンチン、プロキシフィリン及びジプロフィリン)には、当該化合物、その塩やそれらの溶媒和物も包含される。なお、本発明においては、これらキサンチン誘導体のうち、1種又は2種以上を用いることができる。
【0020】
本発明においてキサンチン誘導体としては、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、パラキサンチン、プロキシフィリン及びジプロフィリンからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、特に、本発明の医薬組成物を解熱鎮痛剤や総合感冒薬等として利用した場合の観点からカフェインが好ましい。当該カフェインとしては、カフェイン水和物、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン、クエン酸カフェインが好適な具体例として挙げられ、このうち、カフェイン水和物、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェインが特に好ましい。
【0021】
本発明の医薬組成物におけるキサンチン誘導体の含有量は特に限定されず、服用者の性別、年齢、症状等に応じて、適宜検討して決定すればよい。例えば、1日あたり、キサンチン誘導体を10〜1000mg、より好適には20〜800mg、特に好適には30〜600mg服用できる量を含有せしめることができる。
本発明においては、キサンチン誘導体を医薬組成物全質量に対して0.4〜65質量%含有するのが好ましく、0.8〜50質量%含有するのがより好ましく、1.6〜40質量%含有するのが特に好ましい。
【0022】
また、本発明の医薬組成物に含まれるロキソプロフェン又はその塩、及びキサンチン誘導体の含有比は、上述した各成分の1日あたりの服用量に応じて、適宜検討して決定すればよいが、ロキソプロフェン又はその塩を、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、キサンチン誘導体を、0.03〜100質量部含有するのが好ましく、0.08〜27質量部含有するのがより好ましく、0.2〜10質量部含有するのがさらに好ましい。
【0023】
本発明において、「イソバレリル尿素誘導体」とは、ブロムワレリル尿素及びアリルイソプロピルアセチル尿素並びにそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上を意味する。 上記のうち、ブロムワレリル尿素は、下記式
【0024】
【化2】

【0025】
で表される化合物である。
また、アリルイソプロピルアセチル尿素は、下記式
【0026】
【化3】

【0027】
で表される化合物である。これらのイソバレリル尿素誘導体はいずれも鎮静作用を有し、解熱鎮痛剤等に配合される薬物である(非特許文献5)。イソバレリル尿素誘導体には不斉炭素が存するため、種々の光学異性体が存するが、本発明においては、いずれの光学異性体をも含み、単一の光学異性体でもよく、各種光学異性体の混合物でもよい。
本発明において、イソバレリル尿素誘導体としては、相互作用抑制の観点から、アリルイソプロピルアセチル尿素又はその塩が好ましく、アリルイソプロピルアセチル尿素が特に好ましい。
【0028】
本発明の医薬組成物におけるイソバレリル尿素誘導体の含有量は特に限定されず、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定すればよい。例えば、イソバレリル尿素誘導体がブロムワレリル尿素又はその塩である場合、1日あたり、ブロムワレリル尿素をフリー体換算で10〜1000mg、より好適には30〜800mg、特に好適には60〜600mg服用できる量を含有せしめることができる。また、イソバレリル尿素誘導体がアリルイソプロピルアセチル尿素又はその塩である場合、1日あたり、アリルイソプロピルアセチル尿素をフリー体換算で1〜500mg、より好適には10〜300mg、特に好適には20〜180mg服用できる量を含有せしめることができる。
【0029】
本発明においては、イソバレリル尿素誘導体を医薬組成物全質量に対して0.1〜95質量%含有するのが好ましい。特に、イソバレリル尿素誘導体がブロムワレリル尿素又はその塩である場合、医薬組成物全質量に対してブロムワレリル尿素をフリー体換算で1〜95質量%含有するのが好ましく、4〜90質量%含有するのがより好ましく、8〜80質量%含有するのが特に好ましい。また、イソバレリル尿素誘導体がアリルイソプロピルアセチル尿素又はその塩である場合、医薬組成物全質量に対してアリルイソプロピルアセチル尿素をフリー体換算で0.1〜70質量%含有するのが好ましく、1〜40質量%含有するのがより好ましく、2〜30質量%含有するのが特に好ましい。
【0030】
本発明の医薬組成物に含まれるロキソプロフェン又はその塩、及びイソバレリル尿素誘導体の含有比は特に限定されず、ロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体の相互作用の抑制効果に応じて適宜検討して決定すればよいが、相互作用抑制の観点から、イソバレリル尿素誘導体がブロムワレリル尿素又はその塩である場合、ロキソプロフェン又はその塩をロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、ブロムワレリル尿素又はその塩をフリー体換算で0.03〜100質量部含有するのが好ましく、0.1〜30質量部含有するのがより好ましく、0.3〜10質量部含有するのが特に好ましい。また、イソバレリル尿素誘導体がアリルイソプロピルアセチル尿素又はその塩である場合、ロキソプロフェン又はその塩をロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、アリルイソプロピルアセチル尿素又はその塩をフリー体換算で0.003〜50質量部含有するのが好ましく、0.04〜10質量部含有するのがより好ましく、0.1〜3質量部含有するのが特に好ましい。
【0031】
本発明の医薬組成物に含まれるキサンチン誘導体、及びイソバレリル尿素誘導体の含有比は特に限定されず、ロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体の相互作用の抑制効果に応じて適宜検討して決定すればよいが、相互作用抑制の観点から、イソバレリル尿素誘導体がブロムワレリル尿素又はその塩である場合、キサンチン誘導体を1質量部に対し、ブロムワレリル尿素又はその塩をフリー体換算で0.01〜100質量部含有するのが好ましく、0.03〜40質量部含有するのがより好ましく、0.1〜20質量部含有するのが特に好ましい。また、イソバレリル尿素誘導体がアリルイソプロピルアセチル尿素又はその塩である場合、キサンチン誘導体を1質量部に対し、アリルイソプロピルアセチル尿素又はその塩をフリー体換算で0.001〜50質量部含有するものが好ましく、0.01〜15質量部含有するものがより好ましく、0.03〜6質量部含有するものが特に好ましい。
【0032】
本発明の医薬組成物は、ロキソプロフェン又はその塩、キサンチン誘導体及びイソバレリル尿素誘導体に加えて、さらにトラネキサム酸又はその塩を含有していてもよい。
下記試験例2に具体的に開示されているとおり、トラネキサム酸又はその塩が、ロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体との間の相互作用を抑制する作用を有することが見出された。また、ロキソプロフェンはNSAIDの一種であり、他のNSAIDと同じく副作用として消化管障害(胃粘膜刺激、潰瘍形成等)が問題となるが、下記試験例3に具体的に開示されているとおり、キサンチン誘導体とトラネキサム酸又はその塩との組合わせが当該ロキソプロフェン又はその塩に起因する消化管障害に対し抑制作用を有することが見出された。
【0033】
従って、ロキソプロフェン又はその塩、キサンチン誘導体及びイソバレリル尿素誘導体に加えて、さらにトラネキサム酸又はその塩を含有する態様の本発明の医薬組成物は、ロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体との間の相互作用がより抑制され保存安定性に優れ、かつ、ロキソプロフェンに起因する消化管障害が抑制され安全性に優れるものと期待できる。
また、当該態様の本発明の医薬組成物においては、ロキソプロフェンに起因する消化管障害が抑制されるため、ロキソプロフェンを含有する医薬において投与禁忌とされている消化性潰瘍の罹患者や、慎重投与とされている消化性潰瘍の既往歴のある患者であっても安全に服用することができ、消化性潰瘍の罹患者及び/又は消化性潰瘍の既往歴のある者に投与するための医薬組成物としての利用が期待できる。
【0034】
本発明において、「トラネキサム酸又はその塩」には、トラネキサム酸そのもののほか、トラネキサム酸の薬学上許容される塩、さらにはトラネキサム酸やその薬学上許容される塩と水やアルコール等との溶媒和物も含まれる。トラネキサム酸又はその塩は、抗プラスミン作用、抗アレルギー・抗炎症作用を有し、全身性線溶亢進が関与すると考えられる出血傾向、扁桃炎、咽喉頭炎等の疾患における咽喉痛・発赤・充血・腫脹等の症状や口内炎における口内痛に用いられ、また、肝班、老人性色素班、炎症後色素沈着等にも用いられる公知の化合物(非特許文献6、7)であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。本発明において、トラネキサム酸又はその塩としては、トラネキサム酸(化学名:trans-4-(Aminomethyl)cyclohexanecarboxylic acid)が好ましい。
【0035】
本発明の医薬組成物におけるトラネキサム酸又はその塩の含有量は特に限定されず、服用者の性別、年齢、症状等に応じて、適宜検討して決定すればよい。例えば、1日あたり、トラネキサム酸又はその塩をトラネキサム酸のフリー体換算で50〜2000mg、より好適には70〜750mg、特に好適には400〜750mg服用できる量を含有せしめることができる。
本発明においては、トラネキサム酸又はその塩を医薬組成物全質量に対して、トラネキサム酸のフリー体換算で1〜90質量%含有するのが好ましく、1〜80質量%含有するのがより好ましく、1〜75質量%含有するのがさらに好ましい。このうち、5〜70質量%含有するのが好ましく、5〜60質量%含有するのがより好ましく、7〜50質量%含有するのが特に好ましい。
【0036】
本発明の医薬組成物に含まれるロキソプロフェン又はその塩とトラネキサム酸又はその塩の含有比は特に限定されず、ロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体との相互作用の抑制効果に応じて適宜検討して決定すればよいが、相互作用抑制の観点から、ロキソプロフェン又はその塩を、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、トラネキサム酸又はその塩をトラネキサム酸のフリー体換算で0.1〜25質量部含有するのが好ましく、0.2〜15質量部含有するのがより好ましく、0.5〜10質量部含有するのが特に好ましい。
【0037】
また、本発明の医薬組成物に含まれるキサンチン誘導体とトラネキサム酸又はその塩の含有比は特に限定されず、ロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体との相互作用の抑制効果に応じて適宜検討して決定すればよいが、相互作用抑制の観点から、キサンチン誘導体を1質量部に対し、トラネキサム酸又はその塩をトラネキサム酸のフリー体換算で0.05〜200質量部含有するのが好ましく、0.08〜40質量部含有するのがより好ましく、0.5〜25質量部含有するのが特に好ましい。
【0038】
また、本発明の医薬組成物は、ロキソプロフェン又はその塩、キサンチン誘導体及びイソバレリル尿素誘導体に加えて、さらに酸中和能を有する塩基性化合物を含有していてもよい。下記試験例4に具体的に開示されているとおり、酸中和能を有する塩基性化合物が、ロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体との間の相互作用を抑制する作用を有することが見出された。
【0039】
従って、ロキソプロフェン又はその塩、キサンチン誘導体及びイソバレリル尿素誘導体に加えて、さらに酸中和能を有する塩基性化合物を含有する態様の本発明の医薬組成物は、ロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体との間の相互作用がより抑制され、保存安定性に優れるものと期待できる。
【0040】
本発明において、「酸中和能を有する塩基性化合物」とは、酸中和能を有する塩基性の化合物を意味する。ここで、「酸中和能」は、第十五改正日本薬局方 一般試験法に記載の制酸力試験法に従い試験を行なうことにより判定することができる。
【0041】
本発明において、酸中和能を有する塩基性化合物としては例えば、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム等のアルカリ土類金属及び/又は土類金属系塩基性無機化合物、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属系塩基性無機化合物、アミン系塩基性無機化合物等の塩基性無機化合物;マグネシウム、アルミニウム、カルシウム等のアルカリ土類金属及び/又は土類金属系塩基性有機化合物、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属系塩基性有機化合物、アミン系塩基性有機化合物等の塩基性有機化合物が挙げられる。
【0042】
上記塩基性無機化合物において、アルカリ土類金属及び/又は土類金属系塩基性無機化合物としては、例えば、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム・ヒドロキシプロピルスターチ・結晶セルロース、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム・炭酸カルシウム共沈生成物、ベントナイト、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム等のマグネシウム、アルミニウム及びカルシウムから選ばれる金属の無機塩等が挙げられる。
また、アルカリ金属系塩基性無機化合物としては、例えば、乾燥炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム水和物、ピロリン酸四ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素ナトリウム水和物、無水ピロリン酸ナトリウム、無水リン酸一水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム等のナトリウム及びカリウムから選ばれる金属の無機塩等が挙げられる。
【0043】
本発明において、酸中和能を有する塩基性無機化合物としては、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム・ヒドロキシプロピルスターチ・結晶セルロース、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム・炭酸カルシウム共沈生成物、ベントナイト、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、炭酸水素ナトリウムが好ましい。
【0044】
また、上記塩基性有機化合物において、アルカリ土類金属及び/又は土類金属系塩基性有機化合物としては、例えば、アルジオキサ、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、スクラルファート水和物、パントテン酸カルシウム等が挙げられる。
また、アルカリ金属系塩基性有機化合物としては、例えば、クエン酸ナトリウム水和物、コハク酸二ナトリウム六水和物、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、銅クロロフィリンナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、5´−リボヌクレオチド二ナトリウム、銅クロロフィリンカリウム等が挙げられる。
また、アミン系塩基性有機化合物としては、例えば、アミノ酢酸、L−アルギニン、メグルミン等が挙げられる。
【0045】
本発明において、酸中和能を有する塩基性有機化合物としては、アルジオキサ、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、スクラルファート水和物が好ましい。
【0046】
なお、本発明においては、前記塩基性化合物として、烏賊骨、石決明、ボレイ(牡蠣)等の塩基性化合物を含有する生薬を用いてもよい。
【0047】
本発明において、前記酸中和能を有する塩基性化合物の好適な具体例としては、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選ばれる1種以上が挙げられ、特に好ましくは、相互作用抑制の点で、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
なお、前記塩基性化合物は単独でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
【0048】
また、前記酸中和能を有する塩基性化合物としては、制酸剤として用いられ得るものが好ましい具体例として挙げられる。制酸剤として用いられ得る酸中和能を有する塩基性化合物としては、具体的には例えば、アミノ酢酸、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、乾燥水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、水酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、沈降炭酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、烏賊骨、石決明、ボレイ等が挙げられる。制酸剤は、その性質から吸収性制酸剤と局所性制酸剤とに大別されるが、本発明においては、アルカローシス予防の観点で、局所性制酸剤が好ましい。
【0049】
本発明の医薬組成物における酸中和能を有する塩基性化合物の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよい。例えば、1日あたり、1〜20000mg服用する量が好ましく、10〜10000mg服用する量がより好ましく、20〜5000mg服用する量が特に好ましい。本発明においては、酸中和能を有する塩基性化合物を医薬組成物全質量に対して0.04〜99.9質量%含有するのが好ましく、0.4〜99.9質量%含有するのがより好ましく、0.8〜99.9質量%含有するのが特に好ましい。
【0050】
なお、酸中和能を有する塩基性化合物として、アルジオキサを用いる場合、1日あたり10〜800mg服用する量が好ましく、30〜400mg服用する量がより好ましい。
烏賊骨を用いる場合、1日あたり10〜6000mg服用する量が好ましく、30〜3000mg服用する量がより好ましい。
乾燥水酸化アルミニウムゲルを用いる場合、1日あたり10〜6000mg服用する量が好ましく、30〜3000mg服用する量がより好ましい。
ケイ酸アルミン酸マグネシウムを用いる場合、1日あたり10〜8000mg服用する量が好ましく、30〜4000mg服用する量がより好ましい。
ケイ酸カルシウムを用いる場合、1日あたり1〜600mg服用する量が好ましく、30〜300mg服用する量がより好ましい。
ケイ酸マグネシウムを用いる場合、1日あたり10〜12000mg服用する量が好ましく、30〜6000mg服用する量がより好ましい。
ケイ酸マグネシウムアルミニウムを用いる場合、1日あたり1〜500mg服用する量が好ましく、20〜225mg服用する量がより好ましい。
合成ケイ酸アルミニウムを用いる場合、1日あたり10〜20000mg服用する量が好ましく、30〜10000mg服用する量がより好ましい。
合成ケイ酸アルミニウム・ヒドロキシプロピルスターチ・結晶セルロースを用いる場合、1日あたり10〜3500mg服用する量が好ましく、30〜1800mg服用する量がより好ましい。
【0051】
合成ヒドロタルサイトを用いる場合、1日あたり10〜8000mg服用する量が好ましく、30〜4000mg服用する量がより好ましい。
酸化マグネシウムを用いる場合、1日あたり10〜2000mg服用する量が好ましく、30〜1000mg服用する量がより好ましい。
ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートを用いる場合、1日あたり10〜6000mg服用する量が好ましく、30〜3000mg服用する量がより好ましい。
水酸化アルミナマグネシウムを用いる場合、1日あたり10〜8000mg服用する量が好ましく、30〜4000mg服用する量がより好ましい。
水酸化アルミニウムゲルを用いる場合、乾燥水酸化アルミニウムゲル換算で1日あたり10〜6000mg服用する量が好ましく、30〜3000mg服用する量がより好ましい。
水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈生成物を用いる場合、1日あたり10〜4000mg服用する量が好ましく、30〜2000mg服用する量がより好ましい。
水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲルを用いる場合、1日あたり10〜6000mg服用する量が好ましく、30〜3000mg服用する量がより好ましい。
水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム・炭酸カルシウム共沈生成物を用いる場合、1日あたり10〜8000mg服用する量が好ましく、30〜4000mg服用する量がより好ましい。
水酸化マグネシウムを用いる場合、1日あたり10〜5000mg服用する量が好ましく、30〜2400mg服用する量がより好ましい。
水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物を用いる場合、1日あたり10〜4000mg服用する量が好ましく、30〜2000mg服用する量がより好ましい。
【0052】
スクラルファート水和物を用いる場合、1日あたり10〜6500mg服用する量が好ましく、30〜3250mg服用する量がより好ましい。
石決明を用いる場合、1日あたり10〜6000mg服用する量が好ましく、30〜3000mg服用する量がより好ましい。
炭酸水素ナトリウムを用いる場合、1日あたり10〜10000mg服用する量が好ましく、30〜5000mg服用する量がより好ましい。
炭酸カルシウムを用いる場合、1日あたり10〜1500mg服用する量が好ましく、30〜700mg服用する量がより好ましい。
炭酸マグネシウムを用いる場合、1日あたり10〜4000mg服用する量が好ましく、30〜2000mg服用する量がより好ましい。
沈降炭酸カルシウムを用いる場合、1日あたり10〜6000mg服用する量が好ましく、30〜3000mg服用する量がより好ましい。
ベントナイトを用いる場合、1日あたり1〜200mg服用する量が好ましく、10〜100mg服用する量がより好ましい。
ボレイ(牡蠣)を用いる場合、1日あたり10〜6000mg服用する量が好ましく、30〜3000mg服用する量がより好ましい。
【0053】
無水リン酸水素カルシウムを用いる場合、1日あたり10〜5000mg服用する量が好ましく、30〜2400mg服用する量がより好ましい。
メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを用いる場合、1日あたり10〜8000mg服用する量が好ましく、30〜4000mg服用する量がより好ましい。
リン酸水素カルシウムを用いる場合、1日あたり10〜9000mg服用する量が好ましく、30〜4500mg服用する量がより好ましい。
【0054】
本発明の医薬組成物に含まれるロキソプロフェン又はその塩、及び酸中和能を有する塩基性化合物の含有比は特に限定されず、ロキソプロフェンとキサンチン誘導体の相互作用の抑制効果に応じて適宜検討して決定すればよいが、相互作用抑制の観点から、ロキソプロフェン又はその塩を、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、酸中和能を有する塩基性化合物を0.003〜2000質量部含有するのが好ましく、0.01〜100質量部含有するのがより好ましく、0.02〜30質量部含有するのが特に好ましい。
【0055】
また、本発明の医薬組成物に含まれるキサンチン誘導体、及び酸中和能を有する塩基性化合物の含有比は特に限定されず、ロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体との相互作用の抑制効果に応じて適宜検討して決定すればよいが、相互作用抑制の観点から、キサンチン誘導体を1質量部に対し、酸中和能を有する塩基性化合物を0.001〜2000質量部含有するのが好ましく、0.01〜500質量部含有するのがより好ましく、0.03〜200質量部含有するのが特に好ましい。
【0056】
また、本発明の医薬組成物は、ロキソプロフェン又はその塩、キサンチン誘導体及びイソバレリル尿素誘導体に加えて、さらにトラネキサム酸又はその塩、及び酸中和能を有する塩基性化合物を含有していてもよい。当該医薬組成物は、ロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体との間の相互作用がより抑制され保存安定性に優れること、並びにロキソプロフェンに起因する消化管障害が抑制され安全性に優れ、消化性潰瘍の罹患者及び/又は消化性潰瘍の既往歴のある者に投与するための医薬組成物としての利用が期待できる。
【0057】
本発明の医薬組成物は、例えば、第十五改正日本薬局方 製剤総則等に記載の公知の方法により製造することができる。また、剤形は、特に限定されるものではなく、固形状、半固形状、液状のいずれの形状であってもよく、その利用目的等に応じて医薬品において通常利用される形状とすることができる。具体的には例えば、錠剤(チュアブル錠、発泡錠、口腔内崩壊錠などを含む)、トローチ剤、ドロップ剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、丸剤、ドライシロップ剤、坐剤、パップ剤、プラスター剤などの固形製剤;舐剤、チューインガム剤、ゼリー剤、ゼリー状ドロップ剤、ホイップ剤、軟膏剤、クリーム剤、フォーム剤、インへラー剤、ナザールジェル剤などの半固形製剤;シロップ剤、ドリンク剤、懸濁剤、酒精剤、液剤、点眼剤、エアゾール剤、噴霧剤、スプレー剤などの液状製剤などの、第十五改正日本薬局方 製剤総則等に記載の剤形とすることができる。
本発明においては、服用の簡便性や薬物服用量の管理等の点で、固形製剤であるのが好ましく、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、散剤及び細粒剤からなる群より選ばれる固形製剤であるのがより好ましく、錠剤又はカプセル剤であるのが特に好ましい。
【0058】
本発明の医薬組成物が固形製剤である場合においては、相互作用抑制の点で、固形製剤中のロキソプロフェン又はその塩及びキサンチン誘導体を実質的に互いに接触しないように含有せしめ、製造、製剤化したものがより好ましい。当該実質的に互いに接触しないように含有せしめて製した製剤とは、一般の製剤技術研究者であれば、容易に理解されうるものであり、公知の方法に基づき、適宜製剤添加物を用いて製造、製剤化できる。具体的には、固形製剤の形態としては、以下の(イ)−(ヘ)を例示することができ、これらは公知の方法により製造、製剤化できる。
【0059】
(イ)ロキソプロフェン又はその塩、及びキサンチン誘導体のいずれか一方を適当な方法で造粒して粒状物とし、これに他方を造粒せずに含有せしめて製した散剤や顆粒剤等、並びに当該粒状物を更に適当な方法で被覆した製剤。なお、本発明で用いられるイソバレリル尿素誘導体は粒状物中に含有させてもよいし、粒状物とは別に含有させてもよい。
(ロ)ロキソプロフェン又はその塩、及びキサンチン誘導体をそれぞれ適当な方法で別個に造粒して粒状物とし、これらを含有せしめて製した散剤や顆粒剤等、並びに当該粒状物を更に適当な方法で被覆した製剤。なお、本発明で用いられるイソバレリル尿素誘導体はいずれか一方の粒状物中に含有させてもよいし、両方の粒状物中に含有させてもよいし、また、これら粒状物とは別に含有させてもよい。
(ハ)上記(イ)又は(ロ)で製した散剤や顆粒剤等をカプセルに充填したカプセル剤。(ニ)上記(イ)又は(ロ)で製した粒状物等を製錠して得た錠剤。
(ホ)ロキソプロフェン又はその塩、及びキサンチン誘導体が互いに接触しないように製した多層錠、並びに当該多層錠を更に適当な方法で被覆した製剤。当該多層錠としては、ロキソプロフェン又はその塩、及びキサンチン誘導体を、互いに異なる層に位置させたものが好ましく、三層以上の多層錠として、ロキソプロフェン又はその塩を含む層とキサンチン誘導体を含む層が互いに接しないように位置させたものがより好ましい。なお、ロキソプロフェン又はその塩、及びキサンチン誘導体として、上記(イ)や(ロ)で製した粒状物を用いることができる。多層錠において、イソバレリル尿素誘導体はロキソプロフェン又はその塩を含む層か、キサンチン誘導体を含む層のいずれかに位置させてもよいし、分けて、両方の層に位置させてもよい。さらに、いずれかの層の中間層に位置させてもよい。
(ヘ)ロキソプロフェン又はその塩、及びキサンチン誘導体のいずれか一方を核錠に配置した有核錠、並びに当該有核錠を更に適当な方法で被覆した製剤。なお、ロキソプロフェン又はその塩、及びキサンチン誘導体として、上記(イ)や(ロ)で製した粒状物を用いることができる。有核錠において、イソバレリル尿素誘導体は核錠に位置させてもよいし、外殻に位置させてもよいし、分けて、核錠と外殻のいずれにも位置させてもよい。
上述の固形製剤は、公知の方法により、糖衣やフィルムコーティング等により、被覆されていてもよい。
【0060】
本発明の医薬組成物の服用経路としては、経口及び経直腸や経膣等の非経口が挙げられ、本発明においては、経口投与製剤が好ましい。また、本発明の医薬組成物は、1日につき1〜4回程度に分けて、食前、食間、食後、就寝前等に服用することができる。
【0061】
本発明の医薬組成物には、医薬成分として、ロキソプロフェン又はその塩、キサンチン誘導体、イソバレリル尿素誘導体、トラネキサム酸又はその塩、及び酸中和能を有する塩基性化合物以外の薬物、例えば、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、ノスカピン類、気管支拡張剤、去痰剤、ビタミン類、抗炎症剤、胃粘膜保護剤、抗コリン剤、生薬類、漢方処方等からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含んでいても良い。これら成分は、上記固形製剤中に配合するのが好ましい。
【0062】
解熱鎮痛剤としては、例えば、アスピリン、アスピリンアルミニウム、アセトアミノフェン、イソプロピルアンチピリン、イブプロフェン、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、チアラミド塩酸塩、ラクチルフェネチジン等が挙げられる。
【0063】
抗ヒスタミン剤としては、例えば、アゼラスチン塩酸塩、アリメマジン酒石酸塩、イソチペンジル塩酸塩、イプロヘプチン塩酸塩、エバスチン、エピナスチン塩酸塩、エメダスチンフマル酸塩、オキサトミド、オロパタジン塩酸塩、カルビノキサミンジフェニルジスルホン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、d−クロルフェニラミンマレイン酸塩、dl−クロルフェニラミンマレイン酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、ジフェテロール塩酸塩、ジフェテロールリン酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、ジフェンヒドラミンタンニン酸塩、シプロへプタジン塩酸塩水和物、セチリジン塩酸塩、トリプロリジン塩酸塩、トリペレナミン塩酸塩、トンジルアミン塩酸塩、フェキソフェナジン、フェネタジン塩酸塩、プロメタジン塩酸塩、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、ベポタスチンベシル酸塩、ホモクロルシクリジン塩酸塩、メキタジン、メトジラジン塩酸塩、メブヒドロリンナパジシル酸塩、ロラタジン等が挙げられる。
【0064】
鎮咳剤としては、例えば、アロクラミド塩酸塩、エプラジノン塩酸塩、カルベタペンタンクエン酸塩、クロペラスチン塩酸塩、クロペラスチンフェンジゾ酸塩、コデイン、コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデイン、ジヒドロコデインリン酸塩、ジブナートナトリウム、ジメモルファンリン酸塩、チペピジンクエン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、デキストロメトルファン、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、デキストロメトルファンフェノールフタリン塩等が挙げられる。
【0065】
ノスカピン類としては、例えば、ノスカピン塩酸塩、ノスカピン等が挙げられる。
気管支拡張剤としては、例えば、トリメトキノール塩酸塩、フェニルプロパノールアミン塩酸塩、フェニレフリン塩酸塩、プソイドエフェドリン塩酸塩、プソイドエフェドリン硫酸塩、l−メチルエフェドリン塩酸塩、dl−メチルエフェドリン塩酸塩、l−メチルエフェドリンサッカリン塩、dl−メチルエフェドリンサッカリン塩、メトキシフェナミン塩酸塩等が挙げられる。
【0066】
去痰剤としては、例えば、アンブロキソール塩酸塩、アンモニア・ウイキョウ精、エチルシステイン塩酸塩、塩化アンモニウム、カルボシステイン、グアイフェネシン、グアヤコールスルホン酸カリウム、クレゾールスルホン酸カリウム、ブロムヘキシン塩酸塩、メチルシステイン塩酸塩、l−メントール、リゾチーム塩酸塩等が挙げられる。
【0067】
ビタミン類としては、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ヘスペリジン及びその誘導体並びにそれらの塩類等(例えば、チアミン、チアミン塩化物塩酸塩、チアミン硝化物、ジセチアミン塩酸塩、セトチアミン塩酸塩、フルスルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩、オクトチアミン、シコチアミン、チアミンジスルフィド、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、リボフラビン、リボフラビンリン酸エステル、リボフラビン酪酸エステル、リン酸リボフラビンナトリウム、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキサールリン酸エステル、シアノコバラミン、メコバラミン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、ヘスペリジン等)が挙げられる。
【0068】
抗炎症剤としては、グリチルリチン酸及びその誘導体並びにそれらの塩類(例えば、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等)、セアプローゼ、セミアルカリプロティナーゼ、セラペプターゼ、プロクターゼ、プロナーゼ、ブロメライン等が挙げられる。
【0069】
胃粘膜保護剤としては、ゲファルナート、セトラキサート塩酸塩、ソファルコン、テプレノン、メチルメチオニンスルホニウムクロリド等が挙げられる。
【0070】
抗コリン薬としては、オキシフェンサイクリミン塩酸塩、ジサイクロミン塩酸塩、メチキセン塩酸塩、スコポラミン臭化水素酸塩、ダツラエキス、チペピジウム臭化物、メチルアトロピン臭化物、メチルアニソトロピン臭化物、メチルスコポラミン臭化物、メチル−l−ヒヨスチアミン臭化物、メチルベナクチジウム臭化物、ピレンゼピン塩酸塩、ブチルスコポラミン臭化物、ベラドンナアルカロイド、ベラドンナエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド、ヨウ化ジフェニルピペリジノメチルジオキソラン、ロートエキス、ロート根、ロート根総アルカロイドクエン酸塩等が挙げられる。
【0071】
生薬類としては、アカメガシワ(赤芽柏)、アセンヤク(阿仙薬)、インヨウカク(淫羊霍)、ウイキョウ(茴香)、エンゴサク(延胡索)、オウゴン(黄岑)、オウセイ(黄精)、オウバク(黄柏)、オウヒ(桜皮)、オウレン(黄連)、オンジ(遠志)、ガジュツ(我朮)、カノコソウ(鹿子草)、カミツレ、カロニン(か楼仁)、キキョウ(桔梗)、キョウニン(杏仁)、クコシ(枸杞子)、クコヨウ(枸杞葉)、ケイガイ(荊芥)、ケイヒ(桂皮)、ケツメイシ(決明子)、ゲンチアナ、ゲンノショウコ(現証拠)、コウブシ(香附子)、ゴオウ(牛黄)、ゴミシ(五味子)、サイシン(細辛)、サンショウ(山椒)、シオン(紫苑)、ジコッピ(地骨皮)、シャクヤク(芍薬)、ジャコウ(麝香)、シャジン(沙参)、シャゼンシ(車前子)、シャゼンソウ(車前草)、獣胆(ユウタン(熊胆)を含む)、ショウキョウ(生姜)、ジリュウ(地竜)、シンイ(辛夷)、セキサン(石蒜)、セネガ、センキュウ(川きゅう)、ゼンコ(前胡)、センブリ(千振)、ソウジュツ(蒼朮)、ソウハクヒ(桑白皮)、ソヨウ(蘇葉)、タイサン(大蒜)、チクセツニンジン(竹節人参)、チョウジ(
丁子)、チンピ(陳皮)、トウキ(当帰)、トコン(吐根)、ナンテンジツ(南天実)、ニ
ンジン(人参)、バイモ(貝母)、バクモンドウ(麦門冬)、ハンゲ(半夏)、バンコウカ(番紅花)、ハンピ(反鼻)、ビャクシ(白し)、ビャクジュツ(白朮)、ブクリョウ(茯苓)、ボタンピ(牡丹皮)、マオウ(麻黄)、ロクジョウ(鹿茸)等の生薬及びこれらの抽出物(エキス、チンキ、乾燥エキス等)等が挙げられる。
【0072】
漢方処方としては、カッコントウ(葛根湯)、ケイシトウ(桂枝湯)、コウソサン(香蘇散)、サイコケイシトウ(柴胡桂枝湯)、ショウサイコトウ(小柴胡湯)、ショウセイリュウトウ(小青竜湯)、バクモンドウトウ(麦門冬湯)、ハンゲコウボクトウ(半夏厚朴湯)、マオウトウ(麻黄湯)等が挙げられる。
【0073】
なお、本発明の医薬組成物としては、以下の(a)〜(d)以外のものが好ましい。
(a)1カプセルあたり、以下の処方を標準二分式ハードゼラチンカプセルに充填されてなるハードカプセル剤。
ロキソプロフェンナトリウム2水和物 60mg(無水物として換算)、無水カフェイン 80mg、アリルイソプロピルアセチル尿素 60mg、ステアリン酸マグネシウム 7mg、微結晶セルロース 60mg、デンプン 70mg、乳糖 13mg。
(b)1錠当たり、以下の成分を含有する錠剤。
ロキソプロフェンナトリウム2水和物 60mg(無水物として換算)、無水カフェイン 80mg、アリルイソプロピルアセチル尿素 60mg、ステアリン酸マグネシウム 7mg、微結晶セルロース 60mg、デンプン 70mg、乳糖 13mg。
(c)1錠当たり、以下の成分を含有する錠剤。
ロキソプロフェンナトリウム2水和物 45mg(無水物として換算)、アリルイソプロピルアセチル尿素 60mg、アセトアミノフェン 125mg、無水カフェイン 80mg、ステアリン酸マグネシウム 8mg、微結晶セルロース 32mg、デンプン 80mg。
(d)1錠当たり、以下の成分を含有する錠剤。
ロキソプロフェンナトリウム2水和物 45mg(無水物として換算)、エテンザミド 125mg、アリルイソプロピルアセチル尿素 60mg、無水カフェイン 80mg、ステアリン酸マグネシウム 8mg、微結晶セルロース 32mg、デンプン 80mg。
【0074】
本発明の医薬組成物は、相互作用抑制の点から、さらに乾燥剤存在下で保存してもよい。以下、本発明の医薬組成物及び乾燥剤を容器中に含むものを、本発明の「医薬製剤」ということもある。
【0075】
本発明の医薬製剤において、乾燥剤は特に限定されるものではない。当然にその形状も限定されず、例えば、板状や袋状のシート型、円柱状(錠剤型)に成形されたもの等が挙げられ、円柱状のものにペーパーラッピングやフィルムコーティングを施したものでもよい。
【0076】
乾燥剤としては、具体的には例えば、シリカゲル、シリカアルミナゲル(アロフェン)、天然ゼオライト、合成ゼオライト(モレキュラーシーブ)、塩化カルシウム、生石灰(酸化カルシウム)、ベントナイトクレイ(モンモリロナイト)、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム等が挙げられ、これらと活性炭を混合したものであってもよい。これらのうち、シリカゲル、シリカアルミナゲル(アロフェン)、合成ゼオライト(モレキュラーシーブ)、及び塩化カルシウムからなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。
【0077】
乾燥剤としては市販品を用いることができ、市販品としては例えば、株式会社東海化学工業所製のシブレット、MS−タブレット、MS−セラムW、トーカイゲル、デシカイト25、アルプシート、山仁薬品株式会社製のドライヤーン(登録商標)分包品、ドライヤーン(登録商標)タブレット、ドライヤーン(登録商標)シート、品川化成株式会社製のセカード、アロシート、ゼオシート、株式会社OZO化学技研製のOZO、株式会社アイディ製のアイディシート、アイディパッキング乾燥剤等が挙げられる。
【0078】
本発明の医薬製剤において、乾燥剤の含有量は適宜検討して決定すればよいが、ロキソプロフェン又はその塩1質量部に対して、0.05〜35質量部が好ましく、0.15〜17質量部がより好ましい。
また、本発明の医薬組成物1質量部に対しては、0.001〜1質量部が好ましく、0.004〜0.4質量部がより好ましい。
【0079】
本発明の医薬製剤に用いられる容器は、食品、サプリメント、医薬品や健康食品等の容器として使用可能なものであれば特に限定されないが、定形容器、不定形容器のいずれも用いることができ、密閉可能なものが好ましい。当該定形容器としては、例えば、瓶、缶、箱等が挙げられる。不定形容器としては、例えば、袋(ピロー包装、スティック包装、PTP包装、SP包装等)等が挙げられる。これら容器のうち、具体的には瓶、袋が好ましい。
【0080】
容器の形成部材は、特に限定されるものではなく、例えば、紙、ガラス、樹脂若しくは樹脂フィルム、又は金属若しくは金属フィルム等の部材を挙げることができ、これら部材を適宜組み合わせた複合構造や多層構造としたものでもよい。また、紙などの透湿性を有する部材については透湿防止処理が施されていることが好ましい。
当該容器は透明、半透明、不透明のいずれでもよい。
【0081】
本発明の医薬組成物と乾燥剤を容器中へ収納する方法は、特に限定されるものではなく、いずれをも容器内へ投入等の適当な手段により配置することで達成できる。
【0082】
容器内への収納は、例えば、容器が瓶の場合、乾燥剤(好ましくは、円柱状(錠剤型))を瓶内に配置、又は瓶蓋の裏側(内キャップ)に格納するとともに、本発明の医薬組成物を瓶内に格納する等により達成できる。瓶内に格納するに際して、本発明の医薬組成物の剤形としては、固形製剤であるのが好ましい。
【0083】
また、容器が袋の場合は、乾燥剤(好ましくは、板状や袋状のシート型)と本発明の医薬組成物を袋内に格納する等により達成できる。袋内に格納するに際して、本発明の医薬組成物の剤形としては、固形製剤であるのが好ましい。
【0084】
さらに、本発明の医薬組成物をSP包装、PTP包装や袋により一旦包装し、次いで包装された医薬組成物と乾燥剤を袋に同封した形態とすることもできる。より具体的には、SP包装又はPTP包装した医薬組成物と、板状や袋状のシート型乾燥剤とを併せてピロー包装する形態等が挙げられる。さらに当該ピロー包装形態のものは箱等に格納されてもよい。医薬組成物をSP包装、PTP包装や袋により一旦包装するに際して、本発明の医薬組成物の剤形としては、固形製剤であるのが好ましい。
【0085】
本発明の医薬組成物は、NSAIDの一種であるロキソプロフェン又はその塩を含有することから、頭痛・歯痛・抜歯後の疼痛・咽頭痛・耳痛・関節痛・神経痛・腰痛・筋肉痛・肩こり痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・月経痛(生理痛)・外傷痛の鎮痛、悪寒・発熱時の解熱、かぜの諸症状(のどの痛み、悪寒、発熱、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み)等に効能又は効果を有し、総合感冒薬(かぜ薬)や解熱鎮痛薬等として有用である。
【実施例】
【0086】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
[試験例1]ロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体の相互作用の検討
以下に示すサンプル1−A〜1−Cをそれぞれ調製後40℃75%RHで19日間保存し、保存開始直後、1日後、2日後、6日後及び19日後におけるサンプル中の混合物の状態を評価し、相互作用の有無を確認した。結果を表1に示す。
【0087】
[サンプル1−A]
ロキソプロフェンナトリウム水和物(大和薬品工業製:商品名 日本薬局方 ロキソプロフェンナトリウム水和物)204.3mg及び無水カフェイン(静岡カフェイン工業所製:商品名 無水カフェイン)250mgを混合して混合物を得、これをガラス瓶(3K規格瓶)に入れて、サンプル1−Aを得た。
[サンプル1−B]
ロキソプロフェンナトリウム水和物(大和薬品工業製:商品名 日本薬局方 ロキソプロフェンナトリウム水和物)204.3mg、無水カフェイン(静岡カフェイン工業所製:商品名 無水カフェイン)250mg及びアリルイソプロピルアセチル尿素(金剛化学製:商品名 アリプロナール「コンゴー」)180mgを混合して混合物を得、これをガラス瓶(3K規格瓶)に入れて、サンプル1−Bを得た。
[サンプル1−C]
ロキソプロフェンナトリウム水和物(大和薬品工業製:商品名 日本薬局方 ロキソプロフェンナトリウム水和物)204.3mg、無水カフェイン(静岡カフェイン工業所製:商品名 無水カフェイン)250mg及びアリルイソプロピルアセチル尿素(金剛化学製:商品名 アリプロナール「コンゴー」)180mgを混合して混合物を得、これを乾燥剤である合成ゼオライト(新越化成工業製:商品名 MS−W1506)1gとともにガラス瓶(3K規格瓶)に入れて、サンプル1−Cを得た。
【0088】
【表1】

【0089】
表1に示す試験結果から、ロキソプロフェンナトリウム水和物と無水カフェインのみを混合した混合物においては、相互作用が生じ、時間の経過に伴い混合物が固化することが判明した(1−A)。
一方、ロキソプロフェンナトリウム水和物、無水カフェインに、さらにアリルイソプロピルアセチル尿素を加えて混合した混合物においては、19日間保存後も保存開始直後と同様に白色粉体の状態が保たれることが判明した(1−B、1−C)。
以上の試験結果から、イソバレリル尿素誘導体が、ロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体との相互作用を抑制する作用を有することが明らかとなった。
【0090】
[試験例2]ロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体の相互作用の検討 その2
以下に示すサンプル2−A〜2−Cをそれぞれ調製後40℃75%RHで1週間保存し、保存開始直後、1日後、3日後及び1週間後におけるサンプル中の混合物の状態を評価し、相互作用の有無を確認した。結果を表2に示す。
【0091】
[サンプル2−A]
ロキソプロフェンナトリウム水和物(大和薬品工業製:商品名 日本薬局方 ロキソプロフェンナトリウム水和物)204.3mg及び無水カフェイン(静岡カフェイン工業所製:商品名 無水カフェイン)250mgを混合して混合物を得、これをガラス瓶(3K規格瓶)に入れて、サンプル2−Aを得た。
[サンプル2−B]
ロキソプロフェンナトリウム水和物(大和薬品工業製:商品名 日本薬局方 ロキソプロフェンナトリウム水和物)204.3mg、無水カフェイン(静岡カフェイン工業所製:商品名 無水カフェイン)250mg及びトラネキサム酸(第一三共プロファーマ製:商品名 日本薬局方 トラネキサム酸)750mgを混合して混合物を得、これをガラス瓶(3K規格瓶)に入れて、サンプル2−Bを得た。
[サンプル2−C]
ロキソプロフェンナトリウム水和物(大和薬品工業製:商品名 日本薬局方 ロキソプロフェンナトリウム水和物)204.3mg、無水カフェイン(静岡カフェイン工業所製:商品名 無水カフェイン)250mg及びトラネキサム酸(第一三共プロファーマ製:商品名 日本薬局方 トラネキサム酸)750mgを混合して混合物を得、これを乾燥剤である合成ゼオライト(新越化成工業製:商品名 MS−W1506)1gとともにガラス瓶(3K規格瓶)に入れて、サンプル2−Cを得た。
【0092】
【表2】

【0093】
表2に示す試験結果から、ロキソプロフェンナトリウム水和物と無水カフェインのみを混合した混合物においては、相互作用が生じ、時間の経過に伴い混合物が固化することが判明した(2−A)。
一方、ロキソプロフェンナトリウム水和物、無水カフェインに、さらにトラネキサム酸を加えて混合した混合物においては、1週間保存後も保存開始直後と同様に白色粉体の状態が保たれることが判明した(2−B、2−C)。
以上の試験結果から、トラネキサム酸又はその塩が、ロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体との相互作用を抑制する作用を有することが明らかとなった。
【0094】
[試験例3]キサンチン誘導体及びトラネキサム酸の組合わせによる、ロキソプロフェン誘発消化管障害の抑制作用の検討
試験例3−1 トラネキサム酸による、ロキソプロフェン誘発消化管障害の抑制作用の検討
Wistar系ラット(Std:Wistar/ST、雄、8週齢)を用い、被験薬物投与群、及び対照群それぞれ1群当り6匹として試験を実施した。ラットは、試験開始の16時間以上前より絶食とした。水の摂取は試験開始1時間前までは自由摂取とし、以後絶水とした。
被験薬物として、トラネキサム酸(TXA)を0.5%メチルセルロース(MC)溶液に懸濁し、所定量(100、400mg/5mL/kg体重)経口投与した。また、対照群には溶媒(0.5%MC溶液)のみをそれぞれ同容量(5mL/kg体重)経口投与した。
被験薬物又は溶媒の投与1時間後に、ロキソプロフェンナトリウム水和物100mg/2mL生理食塩水/kg体重を経口投与し、胃粘膜障害を誘発した。ロキソプロフェンナトリウム水和物の投与5時間後、ラットを頚椎脱臼により安楽死させ、噴門部を結紮し胃を摘出した。幽門部から胃内に1%ホルマリン溶液10mLを注入し、幽門部を結紮後、胃全体を同ホルマリン溶液中に約20分間浸漬して軽度に固定した。
【0095】
胃粘膜障害の評価は、胃を大弯に沿って切開した後、実体顕微鏡下にて腺胃部に発生した個々の損傷(びらん)の長さ(mm)を測定することにより行い、ラット1匹当たりの損傷の長さの総和を潰瘍指数(U.I.:Ulcer Index)とし、被験薬物投与群、及び対照群それぞれ各群につき、潰瘍指数(平均値±標準誤差)を算出した。また、以下の式に従い、対照群の潰瘍指数の平均値を100%とした場合における被験薬物による潰瘍抑制率(%)を算出した。結果を表3に示す。
【0096】
潰瘍抑制率(%)=(対照群における潰瘍指数の平均値−被験薬物投与群における潰瘍指数の平均値)/対照群における潰瘍指数の平均値×100
【0097】
【表3】

【0098】
試験例3−2 無水カフェインとトラネキサム酸との組合わせによる、ロキソプロフェン誘発消化管障害の抑制作用の検討
被験薬物として、トラネキサム酸(TXA)及び無水カフェイン(Caf)を0.5%メチルセルロース(MC)溶液に懸濁したものを用い、所定量((TXA400mg+Caf100mg)/5mL/kg体重)を経口投与することにより、試験例3−1と同様に試験を実施した。結果を表4に示す。
【0099】
【表4】

【0100】
表3〜4の試験結果から、ロキソプロフェン誘発消化管障害に対して、トラネキサム酸の単独投与(400mg/kg)では45.9%の潰瘍抑制作用が認められた。
一方、トラネキサム酸と無水カフェインの組合わせ(400mg/kg+100mg/kg)では72.9%もの潰瘍抑制作用が認められた。
【0101】
以上の試験結果から、キサンチン誘導体とトラネキサム酸の組合わせは、ロキソプロフェンに起因する消化管障害に対し優れた抑制作用を有することが明らかとなった。
【0102】
[試験例4]ロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体の相互作用の検討 その3 以下に示す混合物4−A〜4−Fをそれぞれ調製後、ガラス瓶(3K規格瓶)に入れ60℃で1週間保存し、保存開始直後、1日後、3日後及び1週間後の混合物の状態を評価し、相互作用の有無を確認した。結果を表5に示す。
【0103】
[混合物4−A]
ロキソプロフェンナトリウム水和物(大和薬品工業製:商品名 日本薬局方 ロキソプロフェンナトリウム水和物)202.6mg及び安息香酸ナトリウムカフェイン(静岡カフェイン製:商品名 安息香酸ナトリウムカフェイン)297.4mgを混合し、混合物4−Aを得た。
[混合物4−B]
ロキソプロフェンナトリウム水和物(大和薬品工業製:商品名 日本薬局方 ロキソプロフェンナトリウム水和物)202.6mg、安息香酸ナトリウムカフェイン(静岡カフェイン製:商品名 安息香酸ナトリウムカフェイン)297.4mg及び水酸化マグネシウム(協和化学工業製:商品名 キョーワスイマグ)500mgを混合し、混合物4−Bを得た。
[混合物4−C]
水酸化マグネシウムの代わりにケイ酸アルミン酸マグネシウム(富田製薬製:商品名 ケイ酸アルミン酸マグネシウム)500mgを用いたほかは混合物4−Bと同様の方法により、混合物4−Cを得た。
【0104】
[混合物4−D]
水酸化マグネシウムの代わりに酸化マグネシウム(富田製薬製:商品名 重質酸化マグネシウム)500mgを用いたほかは混合物4−Bと同様の方法により、混合物4−Dを得た。
[混合物4−E]
水酸化マグネシウムの代わりにメタケイ酸アルミン酸マグネシウム(富士化学工業製:商品名 ノイシリンUFL2)500mgを用いたほかは混合物4−Bと同様の方法により、混合物4−Eを得た。
[混合物4−F]
水酸化マグネシウムの代わりに沈降炭酸カルシウム(三共精粉製:商品名 沈降炭酸CA)500mgを用いたほかは混合物4−Bと同様の方法により、混合物4−Fを得た。
【0105】
【表5】

【0106】
表5に示す試験結果から、ロキソプロフェンナトリウム水和物と安息香酸ナトリウムカフェインのみを混合した混合物4−Aにおいては、相互作用が生じ、混合物が固化することが判明した。
一方、ロキソプロフェンナトリウム、安息香酸ナトリウムカフェインに、さらに酸中和能を有する塩基性化合物を加えて混合した混合物4−B、4−C、4−D、4−E及び4−Fにおいては、1週間保存後も保存開始直後と同様に白色粉体の状態が保たれることが判明した。
以上の試験結果から、4−B〜4−Fで用いた酸中和能を有する塩基性化合物が、ロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体との相互作用を抑制する作用を有することが明らかとなった。
【0107】
[実施例1]
9錠(1日量)中に以下の成分を含有する錠剤を、第十五改正日本薬局方 製剤総則の「錠剤」の項に準じて、常法により製造した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 204.3mg
無水カフェイン 75mg
ブロムワレリル尿素 600mg
ヒドロキシプロピルセルロース 72.9mg
カルメロースカルシウム 243mg
結晶セルロース 1210.5mg
ステアリン酸マグネシウム 24.3mg
【0108】
[実施例2]
9錠(1日量)中に以下の成分を含有する錠剤を、第十五改正日本薬局方 製剤総則の「錠剤」の項に準じて、常法により製造した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 204.3mg
無水カフェイン 150mg
アリルイソプロピルアセチル尿素 180mg
ヒドロキシプロピルセルロース 72.9mg
カルメロースカルシウム 243mg
結晶セルロース 1555.5mg
ステアリン酸マグネシウム 24.3mg
【0109】
[実施例3]
9錠(1日量)中に以下の成分を含有する錠剤を、第十五改正日本薬局方 製剤総則の「錠剤」の項に準じて、常法により製造した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 204.3mg
無水カフェイン 150mg
ブロムワレリル尿素 300mg
トラネキサム酸 750mg
ヒドロキシプロピルセルロース 72.9mg
カルメロースカルシウム 243mg
結晶セルロース 685.5mg
ステアリン酸マグネシウム 24.3mg
【0110】
[実施例4]
9錠(1日量)中に以下の成分を含有する錠剤を、第十五改正日本薬局方 製剤総則の「錠剤」の項に準じて、常法により製造した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 204.3mg
無水カフェイン 75mg
アリルイソプロピルアセチル尿素 180mg
トラネキサム酸 750mg
ヒドロキシプロピルセルロース 72.9mg
カルメロースカルシウム 243mg
結晶セルロース 880.5mg
ステアリン酸マグネシウム 24.3mg
【0111】
[実施例5]
ロキソプロフェンナトリウム水和物 204.3mg
無水カフェイン 75mg
アリルイソプロピルアセチル尿素 180mg
酸化マグネシウム 200mg
ヒドロキシプロピルセルロース 72.9mg
カルメロースカルシウム 243mg
結晶セルロース 1430.5mg
ステアリン酸マグネシウム 24.3mg
【0112】
[実施例6]
9錠(1日量)中に以下の成分を含有する錠剤を、第十五改正日本薬局方 製剤総則の「錠剤」の項に準じて、常法により製造した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 204.3mg
無水カフェイン 150mg
ブロムワレリル尿素 600mg
乾燥水酸化アルミニウムゲル 200mg
ヒドロキシプロピルセルロース 72.9mg
カルメロースカルシウム 243mg
結晶セルロース 935.5mg
ステアリン酸マグネシウム 24.3mg
【0113】
[実施例7]
9錠(1日量)中に以下の成分を含有する錠剤を、第十五改正日本薬局方 製剤総則の「錠剤」の項に準じて、常法により製造した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 204.3mg
無水カフェイン 150mg
アリルイソプロピルアセチル尿素 180mg
乾燥水酸化アルミニウムゲル 200mg
ヒドロキシプロピルセルロース 72.9mg
カルメロースカルシウム 243mg
結晶セルロース 1355.5mg
ステアリン酸マグネシウム 24.3mg
【0114】
[実施例8]
9錠(1日量)中に以下の成分を含有する錠剤を、第十五改正日本薬局方 製剤総則の「錠剤」の項に準じて、常法により製造した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 204.3mg
無水カフェイン 75mg
アリルイソプロピルアセチル尿素 180mg
合成ヒドロタルサイト 200mg
ヒドロキシプロピルセルロース 72.9mg
カルメロースカルシウム 243mg
結晶セルロース 1430.5mg
ステアリン酸マグネシウム 24.3mg
【0115】
[実施例9]
9錠(1日量)中に以下の成分を含有する錠剤を、第十五改正日本薬局方 製剤総則の「錠剤」の項に準じて、常法により製造した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 204.3mg
無水カフェイン 75mg
ブロムワレリル尿素 300mg
トラネキサム酸 750mg
乾燥水酸化アルミニウムゲル 200mg
ヒドロキシプロピルセルロース 72.9mg
カルメロースカルシウム 243mg
結晶セルロース 560.5mg
ステアリン酸マグネシウム 24.3mg
【0116】
[実施例10]
9錠(1日量)中に以下の成分を含有する錠剤を、第十五改正日本薬局方 製剤総則の「錠剤」の項に準じて、常法により製造した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 204.3mg
無水カフェイン 75mg
アリルイソプロピルアセチル尿素 180mg
トラネキサム酸 750mg
合成ヒドロタルサイト 200mg
ヒドロキシプロピルセルロース 72.9mg
カルメロースカルシウム 243mg
結晶セルロース 680.5mg
ステアリン酸マグネシウム 24.3mg
【0117】
[実施例11]
6錠(1日量)中に以下の成分を含有する錠剤を、第十五改正日本薬局方 製剤総則の「錠剤」の項に準じて、常法により製造した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 204.3mg
アセトアミノフェン 390mg
無水カフェイン 240mg
アリルイソプロピルアセチル尿素 180mg
ヒドロキシプロピルセルロース 48.6mg
カルメロースカルシウム 162mg
結晶セルロース 378.9mg
ステアリン酸マグネシウム 16.2mg
【0118】
[実施例12]
4錠(1日量)中に以下の成分を含有する錠剤を、第十五改正日本薬局方 製剤総則の「錠剤」の項に準じて、常法により製造した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 136.2mg
無水カフェイン 240mg
アリルイソプロピルアセチル尿素 60mg
乾燥水酸化アルミニウムゲル 140mg
ヒドロキシプロピルセルロース 32.4mg
カルメロースカルシウム 108mg
結晶セルロース 352.6mg
ステアリン酸マグネシウム 10.8mg
【0119】
[実施例13]
実施例1で得た錠剤30錠及び合成ゼオライト1g(新越化成工業製:商品名 MS−W1506)をガラス瓶(3K規格瓶)に入れ、医薬製剤を製した。
【0120】
[実施例14]
実施例2で得た錠剤30錠及び合成ゼオライト1g(新越化成工業製:商品名 MS−W1506)をガラス瓶(3K規格瓶)に入れ、医薬製剤を製した。
【0121】
[実施例15]
実施例3で得た錠剤30錠及び合成ゼオライト1g(新越化成工業製:商品名 MS−W1506)をガラス瓶(3K規格瓶)に入れ、医薬製剤を製した。
【0122】
[実施例16]
実施例4で得た錠剤30錠及び合成ゼオライト1g(新越化成工業製:商品名 MS−W1506)をガラス瓶(3K規格瓶)に入れ、医薬製剤を製した。
【0123】
[実施例17]
実施例5で得た錠剤30錠及び合成ゼオライト1g(新越化成工業製:商品名 MS−W1506)をガラス瓶(3K規格瓶)に入れ、医薬製剤を製した。
【0124】
[実施例18]
実施例6で得た錠剤30錠及び合成ゼオライト1g(新越化成工業製:商品名 MS−W1506)をガラス瓶(3K規格瓶)に入れ、医薬製剤を製した。
【0125】
[実施例19]
実施例7で得た錠剤30錠及び合成ゼオライト1g(新越化成工業製:商品名 MS−W1506)をガラス瓶(3K規格瓶)に入れ、医薬製剤を製した。
【0126】
[実施例20]
実施例8で得た錠剤30錠及び合成ゼオライト1g(新越化成工業製:商品名 MS−W1506)をガラス瓶(3K規格瓶)に入れ、医薬製剤を製した。
【0127】
[実施例21]
実施例9で得た錠剤30錠及び合成ゼオライト1g(新越化成工業製:商品名 MS−W1506)をガラス瓶(3K規格瓶)に入れ、医薬製剤を製した。
【0128】
[実施例22]
実施例10で得た錠剤30錠及び合成ゼオライト1g(新越化成工業製:商品名 MS−W1506)をガラス瓶(3K規格瓶)に入れ、医薬製剤を製した。
【0129】
[実施例23]
実施例11で得た錠剤30錠及び合成ゼオライト1g(新越化成工業製:商品名 MS−W1506)をガラス瓶(3K規格瓶)に入れ、医薬製剤を製した。
【0130】
[実施例24]
実施例12で得た錠剤30錠及び合成ゼオライト1g(新越化成工業製:商品名 MS−W1506)をガラス瓶(3K規格瓶)に入れ、医薬製剤を製した。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明によれば、ロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体との相互作用を抑制できる。従って、保存安定性が優れた、ロキソプロフェン又はその塩、及びキサンチン誘導体を含む医薬組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロキソプロフェン又はその塩、キサンチン誘導体、及びイソバレリル尿素誘導体を含有する医薬組成物。
【請求項2】
ロキソプロフェン又はその塩が、ロキソプロフェンナトリウム水和物である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
ロキソプロフェンナトリウム水和物を、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で、10〜300mgを1日量として含有する請求項2記載の医薬組成物。
【請求項4】
キサンチン誘導体が、カフェインである請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項5】
カフェインが、カフェイン水和物、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン及びクエン酸カフェインからなる群より選ばれる1種以上である請求項4記載の医薬組成物。
【請求項6】
キサンチン誘導体を、10〜1000mgを1日量として含有する請求項1〜5のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項7】
イソバレリル尿素誘導体が、アリルイソプロピルアセチル尿素又はその塩である請求項1〜6のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項8】
アリルイソプロピルアセチル尿素又はその塩を、アリルイソプロピルアセチル尿素のフリー体換算で1〜500mgを1日量として含有する請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
さらに、トラネキサム酸又はその塩を含有するものである請求項1〜8のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項10】
さらに、酸中和能を有する塩基性化合物を含有するものである請求項1〜9のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項11】
固形製剤である、請求項1〜10のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項12】
剤形が、錠剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤又はカプセル剤である請求項1〜11のいずれか1項記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2012−67095(P2012−67095A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185875(P2011−185875)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)
【Fターム(参考)】