説明

匿名ID管理システム

【課題】非接触情報媒体を利用して、実名とは異なるニックネームを非接触情報媒体の識別情報と組にして管理し、ユーザーが当該非接触情報媒体を使用して、生活活動、経済活動に予約したり、参加したりすることができる、匿名ID管理システムを提供する。
【解決手段】非接触情報媒体の固有の識別情報に関連付けてニックネームを記録するニックネーム管理装置10と、複数のイベント施設にそれぞれ設置され、非接触情報媒体から識別情報を読み出すリーダー装置21〜26と、複数のイベント施設にそれぞれ設置された端末装置31〜36と、非接触情報媒体の所有者に関し、ニックネームとは異なる氏名などの個人情報を管理する個人情報管理装置80と、を備え、ニックネーム管理装置10と複数のリーダー装置21〜26と複数の端末装置31〜36と個人情報管理装置80とがネットワーク40を介して繋がっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在広く普及している交通機関チケット用、ポイントカード用、小額買い物の決済用の非接触ICカードや非接触式ICチップ、例えばUSimカードを搭載した携帯電話機などの非接触情報媒体を利用し、実名とは異なる匿名を非接触情報媒体の識別情報と組にして管理し、ユーザーが当該非接触情報媒体を使用して、生活活動、経済活動に参加したり参加の予約をしたりすることができる、匿名ID管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前払い式の決済手段として、非接触ICカードを利用した所謂プリペイドカードが利用されており、さらに近年では非接触ICチップを組み込んだ携帯電話機等も普及してきている。
【0003】
例えば鉄道運賃の決済を行なう非接触ICカード乗車券としては、日本国内では、東日本旅客鉄道株式会社の「Suica」、首都圏私鉄用の株式会社パスモの「PASMO」が、また電子マネーとしては、ビットワレットの電子マネーサービス「Edy」、ソニーファイナンスインターナショナルの「eLIO」等が知られている。
【0004】
このような非接触ICカードや携帯電話機等に組み込まれた非接触ICチップ等の記録媒体はそれぞれ固有の識別情報、つまりID番号が設定されている。例えばIDMが該当する。IDMは、FeliCaカード製造時にICチップに記録され固有のID番号であり、書き換えができない。
【0005】
そして、この識別情報をパーソナルコンピュータの起動時のログオン用キーとして、或いはネットワーク接続時のセキュリティキーとして利用することも実用化されつつある。このような操作者を認証するために、非接触情報媒体を利用することが、特許文献1に開示されている。
【0006】
また、各所の施設等における匿名性の高い利用動向情報を得るために、非接触情報媒体を利用することが、特許文献2に開示されている。
【0007】
例えば、特許文献2には、非接触情報媒体の固有の識別情報と必要最小限のユーザー情報とをネットワークを介して管理センターで顧客情報として登録し、ユーザーがこの非接触情報媒体を各所の施設に配置されたリーダー部にかざしてリーダー部から当該施設の利用情報をネットワークを介して管理センターで受信しユーザー情報に当該利用情報を追加登録する顧客管理支援システムが開示されている。
【0008】
さらに、特許文献2の顧客管理支援システムでは、管理センターの処理部が、顧客情報を識別情報に基づいてデータベース化して記憶部に登録し、利用情報に関して既登録の顧客情報から識別情報と関連するユーザー情報にリーダー識別情報及びそのときの時刻を関連付けて登録し、さらに各施設の端末装置に対して当該施設の利用動向情報を送信することが開示されている。また、このシステムでは、ユーザーに関する情報として、プロフィールが管理センターから施設の端末へ送信されることが開示されている(特許文献2の段落〔0081〕)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−080193号公報
【特許文献2】特開2009−87314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2の顧客管理支援システムでは、ユーザー情報として、ユーザーの氏名などを管理する(特許文献2の段落〔0091〕)。このようにユーザー情報として氏名を管理する場合、ユーザー登録時、氏名の入力が必要になるが、ユーザーにとっては自身の氏名を入力することは、プライバシーに大きく関連するため、なるべく控えたい、つまり個人情報の提供は必要最低限にとどめたいと考えるのが通常である。
【0011】
その理由は、近年、個人の情報が気軽に収集され、記録として保存されていることである。また、記憶メディアと情報通信の技術の進歩が著しくその費用は低下する傾向にあるため、この種の個人情報は容易に複製され、外部に転送ないし漏洩する蓋然性が高い。これは、個人情報が多くの場で容易に閲覧に供されることを意味する。また、休日のプライベートな生活でカードを使用する場合に、自己の氏名が明らかになるようにカードが管理されるのでは、ユーザーはプライバシー面を侵害されていると考えるおそれがある。さらに、多くの生活活動、経済活動において、氏名、住所、生年月日などの個人情報は不要であることが大半である。
【0012】
したがって、ユーザー情報として実名を使用する顧客管理支援システムに対しては、ユーザーが積極的に登録する可能性が低く、結局、システムの円滑な活用に繋がらないおそれがある。このため、ユーザー情報として、実名を使用せずに、生活活動、経済活動などに参加できる匿名のままのシステムの構築が望まれる。
【0013】
また、管理会社側では、氏名、生年月日、住所、本籍などの個人を具体的に特定できるユーザー情報は、昨今の個人情報の保護に重きを置く観点から、漏洩しないように細心の注意を払う必要がある。このため、セキュリティなどの安全を確保しなければならい負担がある。
【0014】
本発明は、以上の点に鑑み、非接触情報媒体を利用して、実名とは異なる匿名IDとしてのニックネームを非接触情報媒体の識別情報と組にして管理し、ユーザーが非接触情報媒体を使用して、生活活動、経済活動に予約したり、参加したりすることができる、匿名ID管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の匿名ID管理システムは、非接触情報媒体の固有の識別情報に関連付けてニックネームを記録するニックネーム管理装置と、複数のイベント施設にそれぞれ設置され、非接触情報媒体から識別情報を読み出すリーダー装置と、複数のイベント施設にそれぞれ設置された端末装置と、非接触情報媒体の所有者に関し、ニックネームとは異なる氏名などの個人を具体的に特定できる個人情報を管理する個人情報管理装置と、を備え、ニックネーム管理装置と複数のリーダー装置と複数の端末装置と個人情報管理装置とがネットワークを介して繋がっており、イベント施設のリーダー装置が非接触情報媒体から読み出した識別情報をネットワークを介してニックネーム管理装置へ送信し、ニックネーム管理装置は、リーダー装置から受信した識別情報に基づいて、当該識別情報に関連づけられたニックネームを検索し、個人情報管理装置は、必要に応じて、ニックネーム管理装置で検索されたニックネームに基づいて当該ニックネームに関連付けられた個人情報を引き出して当該イベント施設の端末装置へ送信し、端末装置は、個人情報管理装置から受信したユーザー情報をディスプレイに表示することを特徴としている。
【0016】
本発明の匿名ID管理システムにおいて、イベント施設のリーダー装置及び端末装置は展示会会場、博覧会会場などのゲート或いは施設内の各出展ブースに設けられたリーダー装置及び端末装置で、個人情報管理装置は、展示会会場、博覧会を運営する会社に設置され、個人情報は、展示会、博覧会への参加を予約した個人の個人情報であり、ユーザーがゲート或いはブースのリーダー装置に非接触情報媒体をかざすと、例えばこのイベントへの入場が許可される。具体的には、ゲート或いはブース内へのドア等が開くように構成されている。また、ブースの端末装置で得た情報は、匿名を保ったまま来場者の分析・統計のデータとして活用することができる。
【0017】
本発明の匿名ID管理システムにおいて、イベント施設のリーダー装置及び端末装置はショッピングモール、デパート、百貨店、複合施設などの施設内の各テナントに設けられたリーダー装置及び端末装置で、ニックネーム管理装置は、ネットワークを介して上記の施設外に設置されたサーバ装置で、個人情報管理装置は、ショッピングモール、デパート、百貨店、複合施設などの施設を運営する会社に設置され、個人情報は、ショッピングモール、デパート、百貨店、複合施設などの施設に対する各ユーザーの利用情報であって、ユーザーがテナントのリーダー装置に非接触情報媒体をかざすと、テナントの端末にユーザーの施設に対する利用情報が端末に表示される。
【0018】
本発明の匿名ID管理システムにおいて、イベント施設のリーダー装置及び端末装置はショッピングモール、デパート、百貨店、複合施設、展示会会場、博覧会会場、遊園地、娯楽施などの施設のゲートに設けられたリーダー装置及び端末装置で、個人情報管理装置は、ショッピングモール、デパート、百貨店、複合施設、展示会会場、博覧会会場、遊園地、娯楽施などの施設を運営する会社に設置され、個人情報は、ショッピングモール、デパート、百貨店、複合施設、展示会会場、博覧会会場、遊園地、娯楽施などの施設内への入場を予約した各ユーザーの個人情報であって、ユーザーがテナントのリーダー装置に非接触情報媒体をかざすと、テナントの端末装置に当該ユーザーの施設に対する利用情報が端末装置に表示される。
例えば、ユーザーが商品を購入する際、レジで店員がユーザーの非接触情報媒体をリーダー装置に接触させて、或いはPOSとの連動で非接触情報媒体の固有の識別情報を店舗のニックネーム管理装置へ送信して、サーバ装置から商品を購入した客のプロフィールも得ることが出来る。
【0019】
本発明の匿名ID管理システムにおいて、イベント施設のリーダー装置及び端末装置は遊園地、娯楽施などの施設内の各アトラクション装置や遊具装置に設けられたリーダー装置及び端末装置で、個人情報管理装置は、遊園地、娯楽施などの施設を運営する会社に設置され、個人情報は、当該遊園地、娯楽施などの施設への利用を予約した個人の個人情報であって、ユーザーがアトラクション装置のリーダー装置に非接触情報媒体をかざすと、アトラクション装置や遊具装置の端末装置にユーザーの個人情報が表示される。
【0020】
本発明の匿名ID管理システムにおいて、複数のリーダー装置に固有の識別情報が付与されており、ニックネーム管理装置は、ユーザー毎に、ユーザーがどの施設のリーダー装置に非接触情報媒体を接触させたかの情報を管理する。
【0021】
本発明の匿名ID管理システムにおいて、複数のリーダー装置は、それぞれ、GPS情報を取得する手段を有し、ユーザーがリーダー装置に非接触情報媒体をかざすと、リーダー装置からニックネーム管理装置へ識別情報と共にGPS情報が送信され、ニックネーム管理装置は、ユーザー毎に非接触情報媒体を使用した時間とGPS情報とをセットで記録する。
【0022】
また、上記目的を達成するために、本発明の匿名ID管理システムは、非接触情報媒体の固有の識別情報に関連付けたニックネームを記録したニックネーム管理装置と、複数のイベント施設にそれぞれ設置された、非接触情報媒体から識別情報を読み出すリーダー装置と、複数のイベント施設にそれぞれ設置された端末と、を備え、ニックネーム管理装置と複数のリーダー装置と複数の端末とがネットワークを介して繋がっており、イベント施設のリーダー装置が非接触情報媒体から読み出した識別情報をネットワークを介してニックネーム管理装置へ送信し、ニックネーム管理装置は、リーダー装置から受信した識別情報に基づいて識別情報に関連づけられたニックネームを検索して、検索したニックネーム及びその関連情報の何れか一方をネットワークを介してイベント施設の端末装置に送信することを特徴としている。ここで、関連情報とは、ユーザーの社会活動や経済活動における活動状況などに関する情報であり、例えば、イベント施設が店舗、デパート、モールなどの場合、関連情報には、来店回数、商品購入回数、購入金額や登録時に入力した年齢層や性別等の情報などを含む。
【0023】
本発明の匿名ID管理システムにおいて、複数のリーダー装置に固有の識別情報が付与されており、ニックネーム管理装置は、ユーザー毎に、当該ユーザーがどの施設のリーダー装置に非接触情報媒体を接触させたかの情報を管理する。
【0024】
本発明の匿名ID管理システムにおいて、複数のリーダー装置が、それぞれ、GPS情報を取得する手段を有し、ユーザーがリーダー装置に非接触情報媒体をかざすと、リーダー装置からニックネーム管理装置へ識別情報と共にGPS情報が送信され、ニックネーム管理装置は、ユーザー毎に非接触情報媒体を使用した時間とGPS情報とをセットで記録する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、実名を登録する必要がないので、イベントや匿名ID管理システムへの参加の促進になる。これは、個人のプライバシー面に、本システムが関与しないことが大きく寄与する。
【0026】
また、本発明によれば、個人が非接触情報媒体を利用して社会活動や経済活動への参加に当たり、個人情報を秘匿にし、言い換えれば匿名性を保って参加することができる。つまり、個人が実名に代えて、非接触情報媒体を使って匿名つまりニックネームを登録するだけで、このニックネームを個人情報の分身として社会活動への参画の通行証として利用できる。
【0027】
これにより、仮に情報が漏洩しても、漏洩した情報は個人情報の分身であって、しかも個人を具体的に特定する情報とは異なる単なる匿名IDとしてのニックネームであるため、個人の情報は保護される。
【0028】
したがって、昨今、高容量の記録媒体が容易に購入でき、例えば500万人の名簿をその記録媒体に容易に記録でき、これを一瞬にして世界中の誰にでも送信できるネット時代の現実を考慮すると、本発明で個人が実名に代えて匿名を利用して社会活動などへ参加できることは、個人情報保護への貢献に大きく寄与できることが期待できる。
【0029】
また、本発明によれば、個々の個人情報に立ち入らず主催者が顧客集団の統計データを得ることもでき、さらにリアルタイムでユーザーの情報、例えば、デパートなど施設管理者側にとっては来店客の情報、入場者の数、滞留時間、動線等の各種情報を得ることも可能である。
【0030】
例えば、ユーザーが有料で予約を必要とするイベント、具体的には有料の音楽演奏会、演劇、ライブ公演などの有料イベントへ参加する場合、匿名IDとしてのニックネーム、言い換えれば固有の識別情報を入場チケットの代わりに利用できる。この場合、主催者にとっては、各ユーザーのニックネームを管理することで、観客分析の統計データを得ることができる。なお、ユーザーがイベントへの参加を予約する際、例えばホームページの予約サイトにアクセスして予約する際に、ニックネームの入力と非接触情報媒体の固有の識別情報との結びつけが実行されて、ニックネームの登録が完了する。
【0031】
また、例えば予約を必要としない店舗、デパート、スーパー、モール、遊園地などにおける経済活動乃至社会活動への参加において、ユーザーが非接触情報媒体を利用するシステムに、本発明を利用することができる。例えば、ユーザーが店舗、デパート、スーパー、モール、遊園地へ来店或いは来場する度に、ニックネームとしての匿名IDに対して、例えば金銭に交換可能なポイントを付与するようにシステムに本発明を利用できる。この場合、専用のポイントカードを利用するのではなく、非接触情報媒体がポイントカードの役割を果たす。一般顧客にとっては、実名を使わずに汎用のポイントカードを得ることができる。また、デパートなど施設管理者側にとっては、ニックネームとユーザーに関する顧客情報、例えば利用情報と相互に結び付けて管理することで、来店客の情報、入場者の数、滞留時間、動線、そして来客に関する来店頻度、購入実績などの情報をテナントや売り場へリアルタイムで提供することが可能である。なお、予約を必要としない店舗、デパート、スーパー、モール、遊園地などにおける経済活動乃至社会活動へ参加する場合において、ニックネームと非接触情報媒体の固有の識別情報との関連付けの、ニックネーム管理装置への登録は、例えばインターネットでオンライン登録させる方法に限らず、ニックネームと非接触情報媒体の固有の識別情報との関連付けを記載した書面を運営者側へ送達し、運営者側のオペレーターがニックネーム管理装置にアクセスして登録させるようにしてもよい。
【0032】
さらに本発明によれば、個人情報を管理する側にとっては、管理する情報自体の秘匿性が薄いため、漏洩に対する管理を低くすることができる。また、本発明で管理される情報は、例えば、日本における『個人情報の保護に関する法律(平成15年5月30日法律第57号)』で保護されるものに該当しないため、当該法律の規制に拘わりなく、管理者は匿名IDとしてのニックネーム自体の情報を第三者へ供与することができる。
【0033】
さらに、本発明で管理されるニックネームを、Open IDとして活用することも可能である。例えば、ユーザーが各種のネットワークにログインするときに、利用者などを識別するための符号であるID(identification)として、前述のニックネーム管理装置で管理されるニックネームが活用されることになると、ユーザーにとっては、ユーザーの個人情報の保護が図られることに加えて、ネットワークへ参加するときに要求される操作、例えばキーボードを使用したIDとパスワードとの入力が非接触情報媒体をリーダー装置へかざすだけで達成されるため、非常に操作が単純であり、便利である。これによれば、高齢者や身体の不自由な人にとっても便利である。また、安全性が高い。これは、証明書を伴ったネット交信が可能になるからである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態に係る匿名ID管理システムを示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るニックネーム管理装置のブロック図である。
【図3】ニックネームの登録方法の第1例を示す模式図である。
【図4】ニックネームの登録方法の第2例を示す模式図である。
【図5】ニックネームの登録方法の第3例を示す模式図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るリーダー装置のブロック図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る端末装置のブロック図である。
【図8】第1実施形態に係る匿名ID管理システムの動作を説明するための図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る匿名ID管理システムを示す図である。
【図10】第2実施形態に係る個人情報管理装置を示すブロック図である。
【図11】第2実施形態に係る匿名ID管理システムの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面に示した実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態に係る匿名ID管理システム1を示すブロック図である。図に示すように、匿名ID管理システム1は、ニックネーム管理装置10と、複数のリーダー装置21〜26と、複数の端末装置31〜36と、を備えている。本発明において、リーダー装置と端末装置との数は図示例に限定されるものではない。
【0036】
ニックネーム管理装置10と複数のリーダー装置21〜26と複数の端末装置31〜36とはネットワーク40を介して繋がっている。ネットワーク40は、ニックネーム管理装置10と、複数のリーダー装置21〜26と、複数の端末装置31〜36との間を相互に接続するインターネット、アナログ及びデジタルの携帯電話を含む一般公衆回線網あるいは専用回線網,無線LAN等のネットワーク、具体的には例えばTCP/IP等の所定のプロトコル環境下のインターネット接続サービスを提供するネットワークであって、インターネット接続サービスを提供するものである。
【0037】
〔ニックネーム管理装置〕
ニックネーム管理装置10は、非接触ICカードの固有の識別情報、例えばIDMに関連付けて、匿名IDとしてのニックネームを管理する装置である。
ニックネーム管理装置10は、ワークステーション,サーバ等の情報処理装置から構成されており、図2に示すように、送受信部110と、記憶部120と、処理部130と、を有している。
ニックネーム管理装置10での処理は、プログラムに制御されたサーバ,ワークステーション等のコンピュータ或いはコンピュータネットワークにより実行され、記録媒体としては、例えば光ディスク,半導体メモリ,その他の任意のコンピュータで読み取り可能なものが使用される。また、記録媒体に記録されたプログラムは、記録媒体を直接コンピュータに装着して当該コンピュータに読み込ませてもよく、また各種ネットワークを介してコンピュータに読み込ませるようにしてもよい。
【0038】
ニックネーム管理装置10の送受信部110は、各イベント施設A〜Fに設置されたリーダー装置21〜26及び端末装置31〜36と通信を行う。
記憶部120は、非接触ICカードの固有の識別情報、例えばIDMとニックネームとを関連付けて記録する。本実施形態では、ニックネームは、ペットネーム、愛称、仮称等を含む概念として用いる。
処理部130は、送受信部110で受信した識別情報を元に、当該識別情報に関連付けられたニックネームを記録部120から検索する処理を行う。
【0039】
[非接触ICカード]
非接触ICカードは、ユーザーが既に所持している鉄道運賃決済用の「Suica」,「PASMO」や電子マネーの「Edy」等を含む非接触ICカード、あるいはこのような非接触ICカードと同様に利用可能である非接触ICチップを組み込んだ携帯電話等を使用することができる。以下、本実施形態では、非接触情報媒体として非接触ICカードを利用する場合を前提に説明する。
【0040】
[ニックネームの登録方法]
A: 携帯電話を利用した登録方法
図3はニックネームの登録方法の1例を示す模式図である。図中の50は非接触ICカードであり、60は携帯電話機である。携帯電話機60は、非接触ICカードの識別情報、例えばIDMを読み取り可能な読み取り部61を備えている。また、携帯電話機60は、IDMに関連付けられるニックネーム、年齢層、性別を、前述のニックネーム管理装置10に登録するためのプログラム(以下、登録プログラムと呼ぶ)を備えている。なお、この登録プログラムはユーザーに対して上記のニックネーム、年齢層、性別を携帯電話機のボタンを利用して、入力を求めるように構成されている。
【0041】
本登録方法では、例えば、携帯電話機60の登録プログラムを起動させた状態で、非接触ICカード50を携帯電話機60にかざすと、非接触ICカード50の識別情報、例えばIDMが読み取られる。次いで、携帯電話機60のディスプレイ(図示省略)に、ニックネーム、年齢層、性別の入力を求める表示が現れる。ニックネームなどの情報の入力が完了すると、ニックネームはIDMと関連付けられて、ニックネーム管理装置10に送られて登録される。
【0042】
B: 汎用リーダーとコンピュータとを利用した登録方法
図4はニックネームの登録方法の第2例を示す模式図である。図中の50は非接触ICカードであり、70はコンピュータである。コンピュータ70は、非接触ICカード50の識別情報、例えばIDMを読み取り可能な汎用リーダー71を備えている。また、コンピュータ70は、前述の携帯電話機60と同様に、登録プログラムを備えている。
本登録方法では、例えば、コンピュータ70の登録プログラムを起動させた状態で、非接触ICカード50を汎用リーダー71にかざすと、非接触ICカード50の識別情報、例えばIDMが読み取られる。次いで、コンピュータ70のディスプレイ(図示省略)に、ニックネーム、年齢層、性別の入力を求める表示が現れる。ニックネームなどの情報の入力が完了すると、ニックネームはIDMと関連付けられて、ニックネーム管理装置10に送られて登録される。
なお、コンピュータ70に代えて、非接触ICカード専用の読み取り装置を利用してもよい。例えば、ソリトンシステムズ製の“Ami Touch”を利用してもよい。
【0043】
C: コンピュータを利用して登録サイトへアクセスして登録する方法
図5はニックネームの登録方法の第3例を示す模式図である。図中の50は非接触ICカードであり、75はコンピュータである。このコンピュータ75は、第2の登録方法のコンピュータ70と異なり、汎用リーダー71を備えていない。本登録方法では、非接触ICカード50の識別情報、例えばIDMが、例えば街角の施設に設置されたリーダーで読み出されて印刷されていて、ユーザー自身がコンピュータ75によって登録サイトにアクセスして、当該IDM及びニックネームなどを記入して登録する。なお、登録サイトへのアクセスはデータを閲覧するプログラムを起動して行う。この場合、コンピュータのディスプレイに、ニックネーム、年齢層、性別の入力を求める表示画面が現れる。
【0044】
〔リーダー装置〕
リーダー装置21〜26は、図6に示すように、上述した非接触ICカード50の例えば製造番号等の固有のカード識別情報、つまりIDMを読み取ることができるカード識別情報読取部210と、ニックネーム管理装置10と情報のやりとりを行うための送受信部220と、を備えている。
ユーザーが所持する非接触ICカード50をリーダー装置21〜26にかざすと、このカード識別情報読取部210が当該非接触ICカード50のカード識別情報を読み込み、リーダー装置21〜26の送受信部220が、ニックネーム管理装置10へ当該カード識別情報、つまりIDMを送信する。
なお、リーダー装置21〜26は、固有のリーダー識別情報を備えており、このリーダー識別情報は前述のカード識別情報と共にニックネーム管理装置10へ送信される。
【0045】
〔端末装置〕
端末装置31〜36は、図7に示すように、ネットワーク40を介して前述のニックネーム管理装置10と情報のやりとりを行う送受信部310と、ニックネーム管理装置10から受信した情報、つまりニックネームなどを表示するディスプレイ320と、を備えている。例えば、端末装置31〜36として、無線LANなどの通信デバイスを内蔵したパーソナルコンピュータや、携帯電話,PHSを含む各種情報端末機器を使用することができる。
【0046】
本第1実施形態に係る匿名ID管理システム1では、図1に示すように、一つのリーダー装置と一つの端末装置とのセットが、イベント施設A〜Fのそれぞれに設置されている。したがって、前述のニックネーム管理装置10の記憶部120では、リーダー装置21〜26とそれと組をなす端末装置31〜36との情報が管理されている。
なお、イベント施設は、例えば映画館,飲食店等を含む各種施設である。各イベント施設の場所は、同じ建物内であっても、それぞれ別の建物内であってもよい。
【0047】
次に、本発明の第1実施形態に係る匿名ID管理システム1の動作について、図8を用いて説明する。
ユーザーがあるイベント施設のリーダー装置21〜26に自分が所持する非接触ICカード50をかざしたとき、この非接触ICカード50のカード識別情報が読み取られる(ステップS1)。リーダー装置21〜26は、カード識別情報及びリーダー識別情報をネットワーク40を介してニックネーム管理装置10へ送信する(ステップS2)。
【0048】
ニックネーム管理装置10は、カード識別情報及びリーダー識別情報を受信し(ステップS3)、カード識別情報に基づいて記憶部120から、当該カード識別情報に関連付けられたニックネームを検索する(ステップS4)。
【0049】
ニックネーム管理装置10は、記憶部120内に格納されている複数のニックネームから、リーダー装置から受信したIDMに関連付けられたものを抽出できた場合、端末装置へ、ニックネームに関する情報(以下、ニックネーム関連情報と呼ぶ)を送信する(ステップS5)。具体的には、ニックネーム関連情報非接触ICカードのカード識別情報を読み取ったリーダー装置21〜26に関連付けられた一台の端末装置31〜36へ送信される。ここで、ニックネーム関連情報とは、例えば以下の何れかの情報である。
・ニックネームだけの情報
・ニックネームに加えて来店回数や登録時に入力した年齢層や性別等の情報
・ニックネームそのものを除外し来店回数、年齢層及び性別等の情報
【0050】
端末装置31〜36は、ニックネーム管理装置10からニックネームなどの情報を受信する(ステップS6)と、端末装置31〜36のディスプレイ320にニックネーム、年齢層や性別の情報などのニックネーム関連情報を表示する(ステップS7)。
【0051】
このように、イベント施設の管理者は、ユーザーがリーダー装置21〜26にかざすことで、当該ユーザーの情報を知ることができる。この場合、施設側がユーザーに関して知り得る情報は、ユーザー本人の正確な氏名ではなく、ニックネーム、年齢層、性別などのニックネーム関連情報であるため、ユーザーの個人情報の秘匿性を確保することができる。このように、ユーザーのプライバシーが保護されるため、多くのユーザーのシステムへの登録も期待できる。
【0052】
[第1実施形態の第1変形例]
ニックネーム管理装置10は、ユーザー毎に、当該ユーザーがどの施設のリーダー装置21〜26に非接触情報媒体を接触させたかの情報を記録するように、構成されてもよい。
【0053】
[第1実施形態の第2変形例]
複数のリーダー装置21〜26は、それぞれ、GPS情報を取得する手段を有するように構成されてもよい。この場合、ユーザーがリーダー装置21〜26に非接触情報媒体をかざすと、当該リーダー装置21〜26からニックネーム管理装置10へ識別情報と共に、例えばリーダー装置が設置されている場所の位置情報を示すGPS情報が送信される。
ニックネーム管理装置10は、ユーザー毎に、非接触情報媒体を使用した時間とGPS情報とをセットで記録するように構成されてもよい。この場合、ニックネームデータベースの検索と応答との高速化に利用することができる。
【0054】
[第2実施形態]
図9は本発明の第2実施形態に係る匿名ID管理システム1Aを示すブロック図である。図に示すように、第2実施形態に係る匿名ID管理システム1Aは、第1実施形態と同様に、ニックネーム管理装置10と、複数のリーダー装置21〜26と、複数の端末装置31〜36と、を備える点で一致するが、それらの構成に加えて、個人情報管理装置80を備えていることを特徴としている。
以下、第1実施形態と同じ構成には同じ符号を付して、それらの詳細な説明を省略する。
【0055】
[個人情報管理装置]
個人情報管理装置80は、ユーザーの氏名などの個人情報、つまり前述のニックネームとは異なる個人を具体的に特定することができる属性情報を管理する装置である。個人情報管理装置80は、ワークステーション,サーバ等の情報処理装置から構成されており、図10に示すように、送受信部810と、記憶部820と、処理部830と、を有している。
個人情報管理装置80での処理は、プログラムに制御されたサーバ,ワークステーション等のコンピュータ或いはコンピュータネットワークにより実行され、記録媒体としては、例えば光ディスク,半導体メモリ,その他の任意のコンピュータで読み取り可能なものが使用される。また、記録媒体に記録されたプログラムは、記録媒体を直接コンピュータに装着して当該コンピュータに読み込ませてもよく、また各種ネットワークを介してコンピュータに読み込ませるようにしてもよい。
【0056】
個人情報管理装置80の送受信部810は、ニックネーム管理装置10と、各イベント施設A〜Fに設置された端末装置31〜36と通信を行う。
記憶部820は、ニックネームと関連付けてユーザーの氏名などの個人情報を記録する。ここで、個人情報とは、ニックネームとは異なる情報である。より具体的には、個人情報は、個人を具体的に特定することができる属性情報である。例えば、氏名、生年月日、住所、本籍地、国籍などの情報である。
処理部830は、送受信部810で受信したニックネームを基に、当該ニックネームに関連付けられた個人情報を記録部820から検索する処理を行う。
図9に示すように、個人情報管理装置80は、ネットワーク40を介してニックネーム管理装置10と複数のリーダー装置21〜26と複数の端末装置31〜36と繋がっている。
【0057】
次に、本発明の第2実施形態に係る匿名ID管理システムの動作について、図11を用いて説明する。
ユーザーがあるイベント施設のリーダー装置21〜26に所持する非接触ICカード50をかざしたとき、この非接触ICカード50のカード識別情報が読み取られる(ステップS11)。リーダー装置21〜26は、カード識別情報及びリーダー識別情報をネットワーク40を介してニックネーム管理装置10へ送信する(ステップS12)。
【0058】
ニックネーム管理装置10は、カード識別情報及びリーダー識別情報を受信し(ステップS13)、カード識別情報に基づいて記憶部120から、当該カード識別情報に関連付けられたニックネームを検索する(ステップS14)。
【0059】
ニックネーム管理装置10は、記憶部120内に格納されている複数のニックネームから、IDMに関連付けられたものを抽出できた場合、端末装置へ、ニックネームを送信する(ステップS15)。具体的には、ニックネームは、非接触ICカードのカード識別情報を読み取ったリーダー装置21〜26に関連付けられた一台の端末装置31〜36に送信される。このとき、ニックネームの他、登録時に入力した、年齢層や性別の情報が併せて、ニックネーム管理装置から端末装置へ送信される。
【0060】
端末装置31〜36は、ニックネーム管理装置10からニックネームなどの情報を受信する(ステップS16)と、個人情報管理装置80へニックネームを送信する(ステップS17)。
【0061】
個人情報管理装置80は、ニックネームを受信し(ステップS18)、ニックネームに基づいて記憶部820から、当該ニックネームに関連付けられた個人情報を検索する(ステップS19)。
【0062】
個人情報管理装置80は、記憶部820内に格納されている複数の個人情報から、ニックネームに関連付けられたものを抽出できた場合、端末装置へ、個人情報及びニックネームを送信する(ステップS20)。具体的には、個人情報及びニックネームは、非接触ICカード50のカード識別情報を読み取ったリーダー装置21〜26に関連付けられた一台の端末装置31〜36へ送信される。このとき、ニックネームの他、登録時に入力した、年齢層や性別の情報が併せて、ニックネーム管理装置から端末装置へ送信される。
なお、個人情報管理装置80は、端末装置31〜36を介さずに、ニックネーム管理装置10から直接、ニックネームや前述のニックネーム関連情報を受信して、記憶部820内を検索し、さらに、関連する個人情報及びニックネーム関連情報などを、非接触ICカード50のカード識別情報を読み取ったリーダー装置21〜26に関連付けられた端末装置31〜36へ送信するように構成されてもよい。この場合、図11のステップS16及びS17が省略される。
【0063】
端末装置31〜36は、個人情報及びニックネーム等のニックネーム関連情報を受信し(ステップS21)、端末装置31〜36のディスプレイ320にニックネーム、年齢層や性別に加えて、氏名などの個人情報を表示する(ステップS22)。
【0064】
このように、イベント施設の管理者は、ユーザーがリーダー装置21〜26に非接触情報媒体をかざすことで、当該ユーザーの情報を知ることができる。この場合、ニックネームを管理する者と、個人情報を管理する者とを、それぞれ別人にすることで、つまり、ニックネーム管理装置10と個人情報管理装置80との運営者を別々にした場合、ニックネーム管理装置10から個人情報管理装置80へ送られる情報はニックネームなどのニックネーム関連情報であるため、個人に関する情報の秘匿性を確保できる。仮に、漏洩したとしても、氏名などの個人情報ではないため、安全である。また、個人に関する情報が、ニックネーム管理装置10と個人情報管理装置80とに分散して管理されるため、情報の漏洩の可能性も低減することができる。
【0065】
[第2実施形態の第1変形例]
前述の第2実施形態では、ニックネーム管理装置10から個人情報管理装置80へニックネームが送信された場合、個人情報管理装置80では、当該ニックネームに関連付けられた個人情報を検索し、検索できた場合に当該個人情報を端末装置31〜36へ送信するように構成されている。
本第1変形例では、ユーザーがニックネームに関連付けられて個人情報が引き出されることを選択することができるように、構成されている。この選択は、例えば、ICカードの識別情報、例えばIDMとニックネームとを関連付けて、ニックネーム管理装置10へ登録する段階、或いは登録後に設定することができるように構成されている。
このような、ユーザーがニックネームに関連付けられた個人情報の引き出しを許容しているかを示す情報、つまり許可情報が、個人情報管理装置80で管理されている。
したがって、本第1変形例では、個人情報管理装置80は、ニックネーム管理装置10からニックネームを受信した場合、記憶部820内の許可情報を参照して、個人情報の引き出しが可能であるか確認する。
個人情報管理装置80は、許可情報を参照して、引き出しが可能な場合には、ニックネームに関連付けられた個人情報を、端末装置31〜36へ送信する。
【0066】
[第2実施形態の第2変形例]
ニックネーム管理装置10は、ユーザー毎に、当該ユーザーがどの施設のリーダー装置21〜26に非接触情報媒体を接触させたかの情報を記録するように、構成されてもよい。
【0067】
[第2実施形態の第3変形例]
複数のリーダー装置21〜26は、それぞれ、GPS情報を取得する手段を有するように構成されてもよい。この場合、ユーザーがリーダー装置21〜26に非接触情報媒体をかざすと、当該リーダー装置21〜26からニックネーム管理装置10へ識別情報と共にGPS情報が送信される。
ニックネーム管理装置10は、ユーザー毎に、非接触情報媒体を使用した時間とGPS情報とをセットで記録するように構成されてもよい。
【0068】
[第3実施形態]
前述の第1実施形態及び第2実施形態では、ユーザーが非接触ICカードを用いて、当該カードの固有の識別情報とニックネームとを関連付けて、ニックネーム管理装置10に登録することができるが、利用するICカードのIDMなどは、誰でも読むことが可能であるため、ネットワークを使ってのログオン、貴重な予約やメール発信などにおいてIDMの偽装などに備える必要ある。
このため、本発明の第3実施形態に係る匿名ID管理システムでは、図示省略するが、非接触ICカードなどの非接触情報媒体の固有識別情報を読み取る際、セキュリティを確保するために、前述のリーダー装置21〜26に代えて、セキュリティ機能搭載型のリーダー装置を利用することを特徴としている。このリーダー装置は、図6の構成に加えて、セキュリティ機能部を備える。
例えば、セキュリティ機能部を搭載したリーダー装置として以下の構成例1,2を利用することができる。
【0069】
構成例1:セキュリティ機能搭載型のICカードリーダー
このリーダーはコンピュータのUSBに接続されて使用される。内部にセキュリティチップを有し電子証明書を内蔵する。まず、接続などに際し、このリーダーが正当なものかどうか、ニックネーム管理装置10との間で電子証明書を使って確認され、確認が成功するとコンピュータ経由のリーダーとニックネーム管理装置10との間で暗号化されたデータ経路が確立される。この正当なリーダーによって読み出された非接触ICカードの固有の識別情報、IDMだけが正当なものとして受け付けられる。
【0070】
構成例2:コンピュータ無しで、スタンドアローンで使うICカードリーダー
このICカードリーダーはネットワークのルータ機能を持つ専用BOX型ICカードリーダーで、電子証明書を内蔵する。特別な起動用非接触カードの読み取りなどで、このリーダーが正当なものか、どうか確認される。構成1に順ずるプロセスを経てIDMの偽装を防ぐ。
【0071】
[実施例1]デパートのテナントに設置する形態
前述のイベント施設のリーダー装置21〜26及び端末装置31〜36をショッピングモール、デパート、百貨店、複合施設などの施設、つまり予約を必要としない施設内の各テナントに設ける。この場合、ニックネーム管理装置10は、ネットワーク40を介して施設外に設置されたサーバ装置とし、当該施設の管理主体とは別者によって管理される。
個人情報管理装置80は、ショッピングモール、デパート、百貨店、複合施設などの施設を運営する会社に設置される。
個人情報は、当該ショッピングモール、デパート、百貨店、複合施設などの施設に対する各ユーザーの利用情報である。例えば、購入商品や購入金額、その総額などが利用情報として管理されている。
この場合、ユーザーがテナントのリーダー装置21〜26に非接触ICカード50をかざすと、テナントの端末装置31〜36に当該ユーザーの施設に対する利用情報が端末に表示される。
このようなシステムでは、ニックネームを管理する者と、個人情報を管理する者とをそれぞれ別人にすることで、つまり、ニックネーム管理装置10と個人情報管理装置80との運営者を別々にした場合、ニックネーム管理装置10から個人情報管理装置80へ送られる情報はニックネームであるため、秘匿性を確保できる。特にニックネーム情報を管理する側にとっては、管理する情報自体の秘匿性が薄いため、漏洩に対する管理を低くすることができる。また、ニックネームなどの情報は、例えば、日本における『個人情報の保護に関する法律(平成15年5月30日法律第57号)』で保護されるものに該当しないため、当該法律の規制に拘わりなく、管理者はニックネーム自体の情報を第三者へ供与することができる。
また、デパートなど施設管理者側にとっては、ニックネームとユーザーに関する顧客情報、例えば利用情報と相互に結び付けて管理することで、来店客の情報、入場者の数、滞留時間、動線、そして来客に関する来店頻度、購入実績などの情報をテナントや売り場へリアルタイムで提供することが可能である。一般顧客にとっては、実名を使わずに汎用のポイントカードを得ることができる。
【0072】
[実施例2]施設のゲートに設置する形態
前述のイベント施設のリーダー装置21〜26及び端末装置31〜36を展示会会場、博覧会会場、遊園地、娯楽施などの施設のゲートに設ける。つまり、有料で予約を必要とするイベントへユーザーが参加する場合に、匿名IDとしてのニックネーム、言い換えれば固有の識別情報であるIDMを入場チケットの代わりに利用できる。
個人情報管理装置80は、上記展示会会場、博覧会会場、遊園地、娯楽施などの施設を運営する会社、或いはイベントを主催などする会社に設置される。
個人情報は、当該展示会会場、博覧会会場、遊園地、娯楽施などにおけるイベントへの入場や参加を予約した各ユーザーの個人情報である。
この場合、ユーザーが上記テナントの前記リーダー装置21〜26に非接触ICカード50をかざすと、当該テナントの端末装置31〜36に当該ユーザーの個人情報、例えば、氏名、年齢、生年月日、性別などの属性情報が当該ゲートに設置された端末装置31〜36に表示される。そして、イベントへの入場が許可されて、例えばゲートのドア等が開く。このようなゲートの通過許可制御を、例えば、個人情報管理装置80が行う。
【0073】
[実施例3]展示会の各ブースに設置する形態
前述の施設のリーダー装置21〜26及び端末装置31〜36を展示会会場、博覧会会場などの施設内の各出展ブースに設ける。
個人情報管理装置80は、展示会会場、博覧会を運営する会社に設置される。個人情報は、当該展示会、博覧会への参加を予約した個人の個人情報とする。
この場合、ユーザーがブースのリーダー装置21〜26に非接触ICカード50をかざすと、当該ブースの端末装置31〜36に当該ユーザーの個人情報が端末装置に表示される。
【0074】
[実施例4]娯楽施設の各アトラクション装置に設けられる形態
前述のイベント施設のリーダー装置21〜26及び端末装置31〜36を遊園地、娯楽施などの施設内の各アトラクション装置や遊具装置に設ける。
個人情報管理装置80は、遊園地、娯楽施などの施設を運営する会社に設置される。個人情報は、当該遊園地、娯楽施などの施設への利用を予約した個人の個人情報とする。
この場合、ユーザーがアトラクション装置や遊具のリーダー装置21〜26に非接触ICカード50をかざすと、当該アトラクション装置や遊具装置の端末装置31〜36に当該ユーザーの個人情報が表示される。
【0075】
[その他]
以上詳述したが、本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施をすることができる。
たとえば、一度設定したニックネームを訂正できるように、システムは構築されてもよいことは勿論である。
また、複数種の非接触情報媒体毎にニックネームをそれぞれ設定して、一個人が複数のニックネームを利用することができるように、本発明は構成されてもよい。この場合、ニックネーム数が所定数以上の場合には、有料としてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1,1A 匿名ID管理システム
10 ニックネーム管理装置
110 ニックネーム管理装置の送受信部
120 ニックネーム管理装置の記憶部
130 ニックネーム管理装置の処理部
21〜26 リーダー装置
210 リーダー装置のカード識別情報読取部
220 リーダー装置の送受信部
31〜36 端末装置
310 端末装置の送受信部
320 端末装置のディスプレイ
40 ネットワーク
50 非接触ICカード
60 携帯電話機
61 携帯電話機の読み取り部
70 コンピュータ
71,75 コンピュータの汎用リーダー
80 個人情報管理装置
810 個人情報管理装置の送受信部
820 個人情報管理装置の記憶部
830 個人情報管理装置の処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触情報媒体の固有の識別情報に関連付けてニックネームを記録するニックネーム管理装置と、
複数のイベント施設にそれぞれ設置され、上記非接触情報媒体から上記識別情報を読み出すリーダー装置と、
複数のイベント施設にそれぞれ設置された端末装置と、
上記非接触情報媒体の所有者に関し、上記ニックネームとは異なる氏名などの個人情報を管理する個人情報管理装置と、を備え、
上記ニックネーム管理装置と複数のリーダー装置と複数の端末装置と上記個人情報管理装置とがネットワークを介して繋がっており、
上記イベント施設のリーダー装置が上記非接触情報媒体から読み出した上記識別情報を上記ネットワークを介して上記ニックネーム管理装置へ送信し、
上記ニックネーム管理装置は、上記リーダー装置から受信した識別情報に基づいて、当該識別情報に関連づけられたニックネームを検索し、
上記個人情報管理装置は、上記ニックネーム管理装置で検索されたニックネームに基づいて当該ニックネームに関連付けられた個人情報を引き出して当該イベント施設の端末装置へ送信し、
上記端末装置は、上記個人情報管理装置から受信した個人情報をディスプレイに表示することを特徴とする、匿名ID管理システム。
【請求項2】
前記個人情報管理装置は、ユーザーがニックネームに関連付けられた個人情報の引き出しを許容しているかを示す許可情報を備えており、前記ニックネーム管理装置からニックネームを受信すると上記許可情報を参照して個人情報の引き出しが可能であるかを確認し、引き出しが可能な場合にニックネームに関連付けられた個人情報を前記端末装置へ送信することを特徴とする、請求項1に記載の匿名ID管理システム。
【請求項3】
前記リーダー装置は、電子認証用情報を内臓したセキュリティ機能部を備えていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の匿名ID管理システム。
【請求項4】
有料で予約を必要とするイベントの参加に、前記固有の識別情報が入場チケットの代わりに利用され、
イベント施設のゲートに前記リーダー装置が設置されていることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の匿名ID管理システム。
【請求項5】
予約を必要としない店舗、デパート、スーパー、モール、遊園地などの施設に前記リーダー装置が設置されていることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の匿名ID管理システム。
【請求項6】
前記イベント施設のリーダー装置及び端末装置がショッピングモール、デパート、百貨店、複合施設などの施設内の各テナントに設けられたリーダー装置及び端末装置であり、
前記ニックネーム管理装置は、前記ネットワークを介して上記施設外に設置されたサーバ装置であり、
前記個人情報管理装置は、上記ショッピングモール、デパート、百貨店、複合施設などの施設を運営する会社に設置されており、
上記個人情報は、当該ショッピングモール、デパート、百貨店、複合施設などの施設に対する各ユーザーの利用情報であり、
当該ユーザーが上記テナントの前記リーダー装置に前記非接触情報媒体をかざすと、当該テナントの端末に当該ユーザーの施設に対する利用情報が端末に表示されることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の匿名ID管理システム。
【請求項7】
前記イベント施設のリーダー装置及び端末装置がショッピングモール、デパート、百貨店、複合施設、展示会会場、博覧会会場、遊園地、娯楽施などの施設のゲートに設けられたリーダー装置及び端末装置であり、
前記個人情報管理装置は、上記ショッピングモール、デパート、百貨店、複合施設、展示会会場、博覧会会場、遊園地、娯楽施などの施設を運営する会社に設置されており、
上記個人情報は、当該ショッピングモール、デパート、百貨店、複合施設、展示会会場、博覧会会場、遊園地、娯楽施などの施設内への入場を予約した各ユーザーの当該施設に関する利用情報であり、
当該ユーザーが上記テナントの前記リーダー装置に前記非接触情報媒体をかざすと、当該テナントの端末装置に当該ユーザーの利用情報が端末装置に表示されることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の匿名ID管理システム。
【請求項8】
前記イベント施設のリーダー装置及び端末装置が展示会会場、博覧会会場などの施設内の各出展ブースに設けられたリーダー装置及び端末装置であり、
前記個人情報管理装置は、展示会会場、博覧会を運営する会社に設置されており、
上記個人情報は、当該展示会、博覧会への参加を予約した個人の個人情報であり、
当該ユーザーが上記ブースの前記リーダー装置に前記非接触情報媒体をかざすと、当該ブースの端末装置に当該ユーザーの個人情報が端末装置に表示されることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の匿名ID管理システム。
【請求項9】
前記イベント施設のリーダー装置及び端末装置が遊園地、娯楽施などの施設内の各アトラクション装置に設けられたリーダー装置及び端末装置であり、
前記個人情報管理装置は、遊園地、娯楽施などの施設を運営する会社に設置されており、
上記個人情報は、当該遊園地、娯楽施などの施設への利用を予約した個人の個人情報であり、
当該ユーザーが上記アトラクションの前記リーダー装置に前記非接触情報媒体をかざすと、当該アトラクションの端末に当該ユーザーの個人情報が端末に表示されることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の匿名ID管理システム。
【請求項10】
前記複数のリーダー装置に固有の識別情報が付与されており、
前記ニックネーム管理装置は、ユーザー毎に、当該ユーザーがどの施設のリーダー装置に前記非接触情報媒体を接触させたかの情報を管理することを特徴とする、請求項1〜9の何れかに記載の匿名ID管理システム。
【請求項11】
前記複数のリーダー装置が、それぞれ、GPS情報を取得する手段を有し、
ユーザーが前記リーダー装置に前記非接触情報媒体をかざすと、当該リーダー装置から前記ニックネーム管理装置へ前記識別情報と共にGPS情報が送信され、
前記ニックネーム管理装置は、ユーザー毎に、前記非接触情報媒体を使用した時間とGPS情報とをセットで記録することを特徴とする、請求項10に記載の匿名ID管理システム。
【請求項12】
非接触情報媒体の固有の識別情報に関連付けたニックネームを記録したニックネーム管理装置と、
複数のイベント施設にそれぞれ設置された、上記非接触情報媒体から上記識別情報を読み出すリーダー装置と、
複数のイベント施設にそれぞれ設置された端末と、を備え、
上記ニックネーム管理装置と複数のリーダー装置と複数の端末とがネットワークを介して繋がっており、
上記イベント施設のリーダー装置が上記非接触情報媒体から読み出した上記識別情報を上記ネットワークを介して上記ニックネーム管理装置へ送信し、
上記ニックネーム管理装置は、上記リーダー装置から受信した識別情報に基づいて、当該識別情報に関連づけられたニックネームを検索して、検索したニックネーム及びその関連情報の何れか一方を上記ネットワークを介して当該イベント施設の端末に送信することを特徴とする、匿名ID管理システム。
【請求項13】
前記複数のリーダー装置に固有の識別情報が付与されており、
前記ニックネーム管理装置は、ユーザー毎に、当該ユーザーがどの施設のリーダー装置に前記非接触情報媒体を接触させたかの情報を管理することを特徴とする、請求項12に記載の匿名ID管理システム。
【請求項14】
前記複数のリーダー装置が、それぞれ、GPS情報を取得する手段を有し、
ユーザーが前記リーダー装置に前記非接触情報媒体をかざすと、当該リーダー装置から前記ニックネーム管理装置へ前記識別情報と共にGPS情報が送信され、
前記ニックネーム管理装置は、ユーザー毎に、前記非接触情報媒体を使用した時間とGPS情報とをセットで記録することを特徴とする、請求項13に記載の匿名ID管理システム。
【請求項15】
前記リーダー装置は、電子認証用情報を内臓したセキュリティ機能部を備えていることを特徴とする、請求項12〜14の何れかに記載の匿名ID管理システム。
【請求項16】
有料で予約を必要とするイベントの参加に、前記固有の識別情報が入場チケットの代わりに利用され、
イベント施設のゲートに前記リーダー装置が設置されていることを特徴とする、請求項12〜15の何れかに記載の匿名ID管理システム。
【請求項17】
予約を必要としない店舗、デパート、スーパー、モール、遊園地などの施設に前記リーダー装置が設置されていることを特徴とする、請求項12〜15の何れかに記載の匿名ID管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−221584(P2011−221584A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86475(P2010−86475)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(591071230)株式会社ソリトンシステムズ (12)
【Fターム(参考)】