説明

半導体ウエハーの接合方法および半導体装置の製造方法

【課題】積層された半導体ウエハーが備える接続部間の電気的な接続を安定的に行い得るとともに、効率よく複数の半導体素子を製造し得る半導体ウエハーの接合方法および信頼性の高い半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の半導体ウエハーの接合方法では、半導体ウエハー210と半導体ウエハー220との間に、フラックス活性を有する硬化剤と、熱硬化性樹脂とを含む接合層60を介在させて、半導体ウエハー210、220が積層された半導体ウエハー積層体230を得た後に、半導体ウエハー積層体230を、加熱しつつ、その厚さ方向に加圧することにより、半田バンプ224を溶融・固化するとともに、前記熱硬化性樹脂を硬化して、半導体ウエハー210と半導体ウエハー220とが固着することにより、接続部(半田バンプの固化物)225で、接続部212と接続部222とが電気的に接続された半導体ウエハー接合体240を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハーの接合方法および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高機能化及び小型化の要求に伴い、半導体集積回路の高密度実装技術の開発が進められている。そのような実装技術の一つとして、半導体チップ上に他の半導体チップを積層して搭載するチップオンチップ(COC)型のシステムインパッケージ(SiP)の半導体装置が提案されている。この構造は、パッケージの薄型化を図ることができる点で優れていることから着目されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような半導体チップ上への他の半導体チップの積層には、例えば、ウエハーから切り出された個別の半導体チップ同士を積層した状態で接合する方法が用いられている。しかしながら、このような方法、すなわち個別の半導体チップ同士を接合することにより半導体チップの積層体を得る方法では、多くの積層体を製造する場合、工程数の増加を招き、時間と手間を要することから、生産性の向上を図ることができないという問題がある。
【0004】
かかる問題を解決する方法として、半導体チップを個片化する前のウエハー同士を接合する、以下のようなSiPの半導体装置の製造方法が提案されている。
【0005】
まず、図7(a)に示すような、接続部511を有する第1の半導体ウエハー510と、接続部521を有する第2の半導体ウエハー520を用意し、接続部511に接続部521が対応するように半導体ウエハー510、520同士を位置決めして、接合することにより、これらが接合した半導体ウエハー接合体530を得る(図7(b)参照)。
【0006】
次に、図7(b)に示すように、この接合体530を個片化(Dicing)する。これにより、接続部511と接続部521とにおいて電気的に接続された、第1の半導体ウエハー510から切り出された半導体チップ540と、第2の半導体ウエハー520から切り出された半導体チップ550との接合体、すなわち、図7(c)に示すような半導体チップ接合体560が形成される。
【0007】
そして、図7(d)に示すように、この半導体チップ接合体560を、配線パターン640とバンプ620とを備えるインターポーザー630上に、配線パターン640を介して搭載することにより、SiPの半導体装置100を製造する方法が提案されている。
【0008】
ここで、図7(a)における、第1の半導体ウエハー510と第2の半導体ウエハー520との接合は、例えば、これら同士の間に、異方性導電フィルム(ACF)を介在した状態で、半導体ウエハー510、520同士を圧着することにより行うことが考えられる。このようなACFを用いた半導体ウエハー510、520同士の接合では、ACF中に含まれる金属粒子同士が互いに接触すること、すなわち金属粒子間の点接触により、接続部511、521間の電気的な接続が確保されている。
【0009】
このような状態で、半導体装置100を駆動すると、半導体チップ接合体560から発生する熱や外気温変動により、ACFに含まれる樹脂成分が膨張/収縮することとなる。その結果、金属粒子同士間の距離が変動し、場合によっては金属粒子同士が非接触な状態となり、接続部511、521間の抵抗値が変動、もしくは導通しなくなる。このようなことから、ACFを用いた半導体ウエハー510、520同士の接合では、接続部511、521間で安定的な導通が得られないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−3969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、積層された半導体ウエハーがそれぞれ備える接続部同士間の電気的な接続を安定的に行って、これら半導体ウエハー同士が接合された半導体ウエハー接合体を得ることが可能であるとともに、この得られた半導体ウエハー接合体を個片化することにより、効率よく複数の半導体素子を製造することができる半導体ウエハーの接合方法および信頼性の高い半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的は、下記(1)〜(11)に記載の本発明により達成される。
(1) 第1の半導体ウエハーと第2の半導体ウエハーとを積層して電気的に接続する半導体ウエハーの接合方法であって、
前記第1の半導体ウエハーの厚さ方向に貫通して設けられた複数の接続部を有する前記第1の半導体ウエハーと、
前記第2の半導体ウエハーの厚さ方向に貫通して設けられた複数の接続部と、前記第2の半導体ウエハーの裏面側において前記接続部の端部に接続された半田バンプとを有する前記第2の半導体ウエハーとを用意する第1の工程と、
前記第1の半導体ウエハーと、前記第2の半導体ウエハーとの間に、フラックス活性を有する硬化剤と、熱硬化性樹脂とを構成材料として含む接合層を介在させるとともに、前記第1の半導体ウエハーの機能面側における接続部の端部と、前記第2の半導体ウエハーの裏面側における半田バンプとが対応するように位置決めして、前記第1の半導体ウエハーと前記第2の半導体ウエハーとが積層された半導体ウエハー積層体を得る第2の工程と、
前記半導体ウエハー積層体を、加熱しつつ、その厚さ方向に加圧することにより、前記半田バンプを溶融・固化するとともに、前記熱硬化性樹脂を硬化して、前記第1の半導体ウエハーと前記第2の半導体ウエハーとが固着することにより、前記半田バンプの固化物で、前記第1の半導体ウエハーの接続部と前記第2の半導体ウエハーの接続部とが電気的に接続された半導体ウエハー接合体を得る第3の工程とを有することを特徴とする半導体ウエハーの接合方法。
【0013】
(2) 前記第2の工程において、前記接合層は、前記構成材料を含有するフィルム状の接合シートを、前記第1の半導体ウエハーと前記第2の半導体ウエハーとの間に介在させることにより形成される上記(1)に記載の半導体ウエハーの接合方法。
【0014】
(3) 前記第2の工程において、前記接合層は、前記構成材料を含有する液状材料を、前記第1の半導体ウエハーの機能面および/または前記第2の半導体ウエハーの裏面に塗布することにより形成される上記(1)に記載の半導体ウエハーの接合方法。
【0015】
(4) 前記第1の工程において、さらに、前記接続部の機能面側の端部に接続された半田バンプを有する前記第1の半導体ウエハーを用意する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の半導体ウエハーの接合方法。
【0016】
(5) 前記第3の工程において、前記半導体ウエハー積層体が加熱圧着される際に、前記半田バンプの溶融に遅れて、前記熱硬化性樹脂の硬化が完了する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の半導体ウエハーの接合方法。
【0017】
(6) 前記半導体ウエハー接合体における、前記接合層の厚さは、1〜200μmである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の半導体ウエハーの接合方法。
【0018】
(7) 前記フラックス活性を有する硬化剤は、カルボキシル基および/またはフェノール水酸基を備える上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の半導体ウエハーの接合方法。
【0019】
(8) 前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の半導体ウエハーの接合方法。
【0020】
(9) さらに、前記構成材料は、フィルム形成性樹脂を含み、該フィルム形成性樹脂は、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂およびポリイミド樹脂のうちの少なくとも1種である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の半導体ウエハーの接合方法。
【0021】
(10) 前記接合層は、酸化処理した銅板の表面に該接合層を形成して、大気中、230℃で1分間還元処理したとき、下記式(I)で表される該銅板の酸化銅還元率が70%以上のものである上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の半導体ウエハーの接合方法。
酸化銅還元率(%)={1−(還元処理後のO原子濃度)/(酸化処理後のO原子濃度)}×100 ・・・式(I)
【0022】
(11) 上記(1)ないし(10)のうちのいずれかに記載の半導体ウエハーの接合方法により接合された前記半導体ウエハー接合体を前記個別回路毎に切断して、複数の半導体素子に個片化する工程と、
前記個片化した半導体素子を基板に搭載する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、積層された半導体ウエハーがそれぞれ備える接続部同士間の電気的な接続を安定的に行って、これら半導体ウエハー同士が接合された半導体ウエハー接合体を得ることができる。
【0024】
また、上記で得られた半導体ウエハー接合体を個片化することにより、効率よく複数の半導体素子を製造することができる。
【0025】
さらに、上記で得られた、接続部同士間の電気的な接続信頼性に優れた半導体素子を備える半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の半導体装置の製造方法により製造される半導体装置の一例を示す縦断面図である。
【図2】半導体装置の製造方法を説明するための縦断面図である。
【図3】半導体ウエハー同士を接合する第1の接合方法を説明するための縦断面図である。
【図4】半導体ウエハー同士を接合する第2の接合方法を説明するための縦断面図である。
【図5】試験用ウエハーが備える回路の構成を説明するための図である。
【図6(a)】回路を接合した回路接合体の構成を説明するための図である。
【図6(b)】回路を接合した回路接合体の構成を説明するための図である。
【図6(c)】回路を接合した回路接合体の構成を説明するための図である。
【図7】従来の半導体ウエハーを接合する方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の半導体ウエハーの接合方法および半導体装置の製造方法を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0028】
まず、本発明の半導体ウエハーの接合方法を説明するのに先立って、本発明の半導体装置の製造方法により製造された半導体装置について説明する。
【0029】
図1は、本発明の半導体装置の製造方法により製造される半導体装置の一例を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0030】
図1に示す半導体装置10は、チップオンチップ(COC)型のシステムインパッケージ(SiP)であり、半導体チップ20と、半導体チップ20を支持するインターポーザー(基板)30と、所定パターンに形成された配線パターン40と、複数の導電性を有するバンプ(端子)70とを有している。
【0031】
インターポーザー30は、絶縁基板であり、例えばポリイミド・エポキシ・シアネート・ビスマレイミドトリアジン(BTレジン)等の各種樹脂材料で構成されている。このインターポーザー30の平面視形状は、通常、正方形、長方形等の四角形とされる。
【0032】
インターポーザー30の上面(一方の面)には、例えば、銅等の導電性金属材料で構成される配線パターン40が、所定形状で設けられている。
【0033】
また、インターポーザー30には、その厚さ方向に貫通して、図示しない複数のビア(スルーホール:貫通孔)が形成されている。
【0034】
各バンプ70は、それぞれ、各ビアを介して、一端(上端)が配線パターン40の一部に電気的に接続され、他端(下端)は、インターポーザー30の下面(他方の面)から突出している。
【0035】
バンプ70のインターポーザー30から突出する部分は、ほぼ球形状(Ball状)をなしている。
【0036】
このバンプ70は、例えば、半田、銀ろう、銅ろう、燐銅ろうのようなろう材を主材料として構成されている。
【0037】
インターポーザー30上には、配線パターン40が形成されている。この配線パターン40に、接続部82を介して、半導体チップ20が電気的に接続されている。
【0038】
また、半導体チップ20と、インターポーザー30または配線パターン40との間の間隙には、例えばエポキシ系樹脂等の各種樹脂材料で構成される封止剤が充填され、この封止剤の硬化物により、封止層80が形成されている。この封止層80は、半導体チップ20と、インターポーザー30または配線パターン40との接合強度を向上させる機能や、前記間隙への異物や水分等の浸入を防止する機能を有している。
【0039】
このような半導体装置10は、例えば、以下のようにして製造することができる。
図2は、半導体装置の製造方法を説明するための縦断面図、図3は、半導体ウエハー同士を接合する第1の接合方法を説明するための縦断面図、図4は、半導体ウエハー同士を接合する第2の接合方法を説明するための縦断面図である。なお、以下の説明では、図2〜図4中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0040】
[1] まず、図2(a)に示すような、第1の半導体ウエハー210と第2の半導体ウエハー220とが接合層60’を介して接合された半導体ウエハー接合体240を用意する。
【0041】
この半導体ウエハー接合体240の形成に、本発明の半導体ウエハーの接合方法が適用される。
【0042】
以下、本発明の半導体ウエハーの接合方法を用いて、第1の半導体ウエハー210と第2の半導体ウエハー220とを接合して半導体ウエハー接合体240を得る方法について説明する。
【0043】
<第1の接合方法>
まず、半導体ウエハーの第1の接合方法を用いて半導体ウエハー接合体240を得る方法について説明する。
【0044】
[1A−1] まず、それぞれに、図示しない複数の個別回路が形成された第1の半導体ウエハー210と、第2の半導体ウエハー220とを用意する(第1の工程)。
【0045】
本実施形態では、図3(a)に示すように、第1の半導体ウエハー210は、その機能面211に設けられ前記個別回路に接続する複数の電極(図示せず)と、第1の半導体ウエハー210の厚さ方向に貫通して設けられ前記電極と電気的に接続する接続部(導体ポスト)212とを有している。
【0046】
また、図3(a)に示すように、第2の半導体ウエハー220は、その機能面221に設けられ前記個別回路に接続する複数の電極(図示せず)と、第2の半導体ウエハー220の厚さ方向に貫通して設けられ前記電極と電気的に接続する接続部222と、裏面223側において接続部(導体ポスト)222の端部に接続された半田バンプ224とを有している。
【0047】
なお、接続部222の裏面223側の端部への半田バンプ224の形成は、各種方法を用いて行うことができるが、例えば、ボール状の半田を搭載する方法、半田ペーストを印刷する方法またはメッキによって成長させる方法等が挙げられる。また、このようにして形成される半田バンプ224は、形成後にリフロー処理が施されていてもよい。
【0048】
図3(a)では、半田バンプ224は、第2の半導体ウエハー220の裏面223側のみに形成されているが、半田バンプ224は、第1の半導体ウエハー210の機能面211側においても、接続部212の端部に接続して形成されているのが好ましい。これにより、後述する接続部225を介して、接続部212、222同士を確実に電気的に接続することができる。
【0049】
また、半田バンプ224は、さらに、第1の半導体ウエハー210の裏面213側および第2の半導体ウエハー220の機能面221側にも形成されていてもよい。
【0050】
半田バンプ224を構成する半田成分は、錫(Sn)、銀(Ag)、ビスマス(Bi)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)および銅(Cu)からなる群から選択される少なくとも2種以上を含む合金であることが好ましい。中でも、半田バンプ224の溶融温度及び機械的な物性を考慮すると、Sn−Pbの合金、Sn−Biの合金、Sn−Agの合金、Sn−Ag−Cuの合金、Sn−Inの合金等のSnを含む合金であることが好ましい。
【0051】
このような半田バンプ224の融点は、通常、100〜250℃程度であるのが好ましく、130〜230℃程度であるのがより好ましい。これにより、硬化前の接合層60中の熱硬化性樹脂等の流動性を充分に確保することができるとともに、半導体ウエハー210、220上に設けられた個別回路の熱劣化を確実に防止することができる。
【0052】
なお、半田バンプ224の融点は、例えば、DSC(示差走査熱量測定)法を用い、昇温速度10℃/分で半田バンプ224を構成する半田粉単体を測定した際の吸熱ピーク温度とする。
【0053】
また、半田バンプ224の大きさは、直径1〜500μm程度であるのが好ましく、5〜300μm程度であるのがより好ましく、10〜200μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、後述する接続部225の電気的な接続信頼性を充分に確保することができる。
【0054】
[1A−2] 次に、第2の半導体ウエハー220の裏面223に、構成材料として、フラックス活性を有する硬化剤と、熱硬化性樹脂とを含む液状材料61を塗布することにより接合層60を形成する。
【0055】
液状材料61を裏面223上に塗布する方法としては、各種塗布法が用いられ、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等の各種塗布法を用いることができる。かかる塗布法によれば、液状材料61を比較的容易に裏面223上に供給することができる。
【0056】
なお、接合層60は、液状材料61を裏面223に塗布した後、例えば、液状材料61に含まれる溶媒を脱溶媒すること、すなわち液状材料61を乾燥することにより形成される。
【0057】
この液状材料61の乾燥は、自然乾燥であってもよいし、例えば、ヒータ等を用いて第2の半導体ウエハー220を加熱するような強制乾燥であってもよい。
【0058】
接合層60の厚さ(平均)は、特に限定されないが、5〜300μm程度であるのが好ましく、10〜200μm程度であるのがより好ましい。
【0059】
また、接合層60は、必要に応じて仮硬化するようにしてもよい。これにより、形成された接合層60の形状を確実に保持することができる。
【0060】
なお、本実施形態では、接合層60は、第2の半導体ウエハー220の裏面223側に単独で設けているが、第1の半導体ウエハー210の機能面211側に単独で設けるようにしてもよいし、第2の半導体ウエハー220の裏面223側と第1の半導体ウエハー210の機能面211側との双方に設けるようにしてもよい。なお、半導体ウエハーの接合方法における工程の簡略化を図るという観点からは、裏面223および機能面211のうちのいずれか一方に接合層60を設けるが好ましく、形成される半導体ウエハー接合体240の密着性の向上を図るという観点からは裏面223および機能面211の双方に接合層60を設けるのが好ましい。
【0061】
フラックス活性を有する硬化剤は、後工程[1A−4]において、半導体ウエハー積層体230が加熱圧着される際に、半田バンプ224の表面を還元する機能を有するものである。これにより、半田バンプ224を構成する半田成分の濡れ性を高めることができ、後述する接続部212、222間への溶融した半田バンプ224の凝集力を向上させることができる。その結果、接続部212、222間を、溶融した半田バンプ224の固化物で構成される接続部225で接続することができ、この接続部225を介した導通を確実に得ることができる。
【0062】
また、このようなフラックス活性を有する硬化剤は、熱硬化性樹脂と結合する官能基を有するのが好ましい。これにより、フラックス活性を有する硬化剤は、熱硬化性樹脂の加熱により硬化する際に、硬化剤としても機能し、熱硬化性樹脂に付加することとなる。その結果、形成される半導体ウエハー接合体240が備える接合層60’中で、フラックス成分残渣に起因するイオンマイグレーションが発生するのを好適に抑制することができる。また、フラックス活性を有する硬化剤が熱硬化性樹脂に付加することにより、熱硬化性樹脂の硬化物の弾性率および/またはTgを高めることができるという効果も得られる。
【0063】
以上のことを考慮して、フラックス活性を有する硬化剤としては、カルボキシル基および/またはフェノール水酸基を備えるものを用いるのが好ましい。
【0064】
なお、カルボキシル基および/またはフェノール性水酸基を備えるフラックス活性を有する硬化剤(以下、「フラックス活性硬化剤」と略すこともある。)とは、分子中にカルボキシル基および/またはフェノール性水酸基が少なくとも1つ以上存在するものをいい、液状であっても固体であってもよい。
【0065】
これらのうち、カルボキシル基を備えるフラックス活性硬化剤としては、脂肪族酸無水物、脂環式酸無水物、芳香族酸無水物、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等が挙げられる。
【0066】
また、脂肪族酸無水物としては、無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物ポリセバシン酸無水物等が挙げられる。
【0067】
脂環式酸無水物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0068】
芳香族酸無水物としては、無水フタル酸無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート等が挙げられる。
【0069】
脂肪族カルボン酸としては、下記一般式(1)で示される化合物や、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸等が挙げられる。
【0070】
HOOC−(CH2−COOH ・・・ (1)
[ただし、式中、nは、0以上20以下の整数を表す。]
【0071】
芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレートニ酸、ピロメリット酸、メリット酸、トリイル酸、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、トルイル酸、ケイ皮酸、サリチル酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、浸食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフトエ酸誘導体;フェノールフタリン;ジフェノール酸等が挙げられる。
【0072】
これらの中でも、フラックス活性硬化剤が有する活性度、熱硬化性樹脂の硬化時におけるアウトガスの発生量、および半導体ウエハー接合体240が備える接合層60’の弾性率やガラス転移温度等のバランスを考慮して、上記一般式(1)で示される化合物を用いるのが好ましく、式中のnが3〜10程度であるものがより好ましい。これにより、半導体ウエハー接合体240において、熱硬化性樹脂の硬化物における弾性率が増加するのを抑制することができるとともに、この硬化物と半導体ウエハー210、220との接着性を向上させることができる。
【0073】
上記一般式(1)で示される化合物において、nが3〜10のものとしては、例えば、n=3のグルタル酸(HOOC−(CH2−COOH)、n=4のアジピン酸(HOOC−(CH24−COOH)、n=5のピメリン酸(HOOC−(CH2−COOH)、n=8のセバシン酸(HOOC−(CH28−COOH)およびn=10のHOOC−(CH210−COOH−等が挙げられる。
【0074】
さらに、フェノール性水酸基を有するフラックス活性硬化剤としては、フェノール類が挙げられ、具体的には、例えば、フェノール、o−クレゾール、2,6−キシレノール、p−クレゾール、m−クレゾール、o−エチルフェノール、2,4−キシレノール、2,5キシレノール、m−エチルフェノール、2,3−キシレノール、メジトール、3,5−キシレノール、p−ターシャリブチルフェノール、カテコール、p−ターシャリアミルフェノール、レゾルシノール、p−オクチルフェノール、p−フェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAF、ビフェノール、ジアリルビスフェノールF、ジアリルビスフェノールA、トリスフェノール、テトラキスフェノール等のフェノール性水酸基を含有するモノマー類、フェノールノボラック樹脂、o−クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールFノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等が挙げられる。
【0075】
上述したようなカルボキシル基および/またはフェノール性水酸基を備えるフラックス活性硬化剤は、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂との反応で三次元的に取り込まれる。
【0076】
そのため、硬化後のエポキシ樹脂の三次元的なネットワークの形成を向上させるという観点からは、1分子中にエポキシ樹脂に付加することができる少なくとも2個のフェノール性水酸基と、半田バンプ224にフラックス作用(還元作用)を示す芳香族に直接結合したカルボキシル基を一分子中に少なくとも1個有するものであるのが好ましい。
【0077】
このようなフラックス活性硬化剤としては、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)等の安息香酸誘導体;1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフトエ酸誘導体;フェノールフタリン;およびジフェノール酸等が挙げられ、これらものを単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0078】
また、接合層60中におけるフラックス活性硬化剤の配合量は、接合層60中に含まれる構成材料のうち、1〜30重量%程度であるのが好ましく、5〜25重量%程度であるのがより好ましい。これにより、接合層60中における、フラックス活性を向上させることができるとともに、半導体ウエハー接合体240が備える接合層60’中において、熱硬化性樹脂と未反応のフラックス活性硬化剤が残存するのが防止され、この残存物が存在することによるマイグレーションの発生を好適に防止することができる。
【0079】
熱硬化性樹脂は、後工程[1A−4]で得られる半導体ウエハー接合体240において、この熱硬化性樹脂の硬化物で構成される絶縁部226により、隣接する接続部225同士を絶縁する機能を有するとともに、第1の半導体ウエハー210と第2の半導体ウエハー220とを固着(固定)する機能を有するものである。
【0080】
このような熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、マレイミド樹脂等が挙げられ、これらの中でも、エポキシ樹脂を用いるのが好ましい。エポキシ樹脂は、硬化性と保存性、硬化物の耐熱性、耐湿性、耐薬品性等に優れることから、熱硬化性樹脂として好適に用いられる。
【0081】
エポキシ樹脂としては、室温で固形のエポキシ樹脂と、室温で液状のエポキシ樹脂のうち、いずれを用いてもよいし、これらの双方を含んでいてもよい。このようなエポキシ樹脂を用いる構成とすることにより、熱硬化性樹脂の溶融挙動の設計の自由度をさらに高めることができる。
【0082】
室温で固形のエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、3官能エポキシ樹脂、4官能エポキシ樹脂等が挙げられる。さらに具体的には、固形3官能エポキシ樹脂とクレゾールノボラック型エポキシ樹脂との双方を含むものが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0083】
また、室温で液状のエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールF型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0084】
室温で液状のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは150〜300であり、より好ましくは160〜250であり、更に好ましくは170〜220である。これにより、熱硬化性樹脂の硬化物における収縮率が大きくなるのを防止して、絶縁部226により半導体ウエハー接合体240に反りが生じるのを確実に防止することができるとともに、ポリイミド樹脂との反応性が低下するのが確実に防止される。
【0085】
また、接合層60中における熱硬化性樹脂の配合量は、接合層60中に含まれる構成材料のうち、25〜75重量%程度であるのが好ましく、45〜70重量%程度であるのがより好ましい。これにより、熱硬化性樹脂を硬化させる際に、良好な硬化性が得られると共に、接合層60の良好な溶融挙動の設計が可能となる。
【0086】
また、熱硬化性樹脂には、フラックス活性を有する硬化剤以外の硬化剤(以下、単に「硬化剤」という。)が含まれているのが好ましい。これにより、熱硬化性樹脂の硬化性をより向上させることができる。
【0087】
硬化剤としては、特に限定されず、例えば、フェノール類、アミン類、チオール類が挙げられる。これらの中でも、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂が用いる場合では、フェノール類を用いるのが好ましい。これにより、接合層60において、エポキシ樹脂との良好な反応性を得ることができ、さらには、この接合層60中に含まれるエポキシ樹脂の硬化時の低寸法変化および硬化後の適切な物性(例えば、耐熱性、耐湿性等)を得ることができる。
【0088】
また、フェノール類としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂と反応し得る官能基を2以上有するものが好ましい。これにより、接合層60’におけるエポキシ樹脂の硬化物の特性(例えば、耐熱性、耐湿性等)の向上を図ることができる。
【0089】
このようなフェノール類としては、具体的には、例えば、ビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールA、ビフェノール、ビスフェノールF、ジアリルビスフェノールF、トリスフェノール、テトラキスフェノール、フェノールノボラック類、クレゾールノボラック類等が挙げられ。中でも、フェノールノボラック類およびクレゾールノボラック類を用いるのが好ましい。これにより、接合層60の溶融粘度を好適なものとすることができ、エポキシ樹脂との反応性を向上させることができる。さらに、接合層60’におけるエポキシ樹脂の硬化物の特性(例えば、耐熱性、耐湿性等)をより優れたものとすることができる。
【0090】
また、硬化剤としてフェノールノボラック類を用いる場合、接合層60中における硬化剤の配合量は、接合層60中に含まれる構成材料のうち、5〜30重量%程度であるのが好ましく、10〜25重量%程度であるのがより好ましい。これにより、接合層60において、熱硬化性樹脂を確実に硬化させることができる共に、接合層60’中において、熱硬化性樹脂と未反応の硬化剤が残存するのが防止され、この残存物が存在することによるマイグレーションの発生を好適に防止することができる。
【0091】
なお、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、フェノールノボラック樹脂の配合量は、エポキシ樹脂に対する当量比で規定してもよい。
【0092】
具体的には、エポキシ樹脂に対するフェノールノボラック類の当量比は、0.5〜1.2程度であるのが好ましく、0.6〜1.1程度であるのがより好ましく、0.7〜0.98程度であるのがさらに好ましい。かかる範囲内に設定することによっても、前述したのと同様効果を得ることができる。
【0093】
さらに、上述した硬化剤の他、例えば、融点が150℃以上のイミダゾール化合物を使用することができる。これにより、半田バンプ224の溶融物を接続部212、222同士の間に確実に凝集させることができ、この溶融物が固化した固化物で構成される接続部225により、接続部212、222同士を確実に電気的に接続することができる。
【0094】
この融点が150℃以上のイミダゾール化合物としては、2−フェニルヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4−メチルヒドロキシイミダゾール等が挙げられる。なお、イミダゾール化合物の融点の上限に特に制限はなく、例えば、接合層60の接着温度に応じて適宜設定すればよい。
【0095】
硬化剤として、このようなイミダゾール化合物を用いる場合、接合層60における硬化剤の配合量は、接合層60中に含まれる構成材料のうち、0.005〜10重量%程度であるのが好ましく、0.01〜5重量%程度であるのがより好ましい。これにより、熱硬化性樹脂の硬化触媒としての機能をさらに効果的に発揮させて、接合層60’において、熱硬化性樹脂の硬化性を向上させることができる共に、接合層60中において、半田バンプ224が溶融する温度において熱硬化性樹脂の溶融粘度が高くなり過ぎず、良好な接続部225を得ることができる。
【0096】
なお、上述したような硬化剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0097】
また、接合層60には、構成材料として、上述したフラックス活性を有する硬化剤および熱硬化性樹脂の他に、カップリング剤や、フラックス活性を有する硬化剤の活性を高めるためのフラックス活性剤、および、樹脂の相溶性、安定性、作業性等の各種特性を向上させるための各種添加剤を適宜添加するようにしてもよい。
【0098】
このようなカップリン剤を含む構成とすることにより、接合層60の半導体ウエハー210、220への密着性をさらに高めることができる。
【0099】
また、カップリング剤としては、エポキシシランカップリング剤、芳香族含有アミノシランカップリング剤のようなシランカップリング剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0100】
シランカップリング剤の接合層60における配合量は、接合層60中に含まれる構成材料のうち、例えば、0.01〜5重量%程度であるのが好ましい。
【0101】
また、上述したような液状材料61に含まれる溶媒としては、特に限定されないが、上述したような接合層60(液状材料61)の構成材料に対して、不活性なものが好適に用いられる。
【0102】
このような溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、DIBK (ジイソブチルケトン)、シクロヘキサノン、DAA(ジアセトンアルコール)等のケトン類、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、BCSA(ブチロセルソルブアセテート)等のセロソルブ系、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、THF(テトラヒドロフラン)、DMF(ジメチルホルムアミド)、DBE(ニ塩基酸エステル)、EEP(3−エトキシプロピオン酸エチル)、DMC(ジメチルカーボネート)等が挙げられる。
【0103】
また、液状材料61中における、溶媒の含有量は、溶媒に混合した固形成分(上述した接合層60の構成材料)の含有量が10〜60重量%程度となる範囲に設定されているのが好ましい。
【0104】
ここで、上述したような、フラックス活性を有する硬化剤や、熱硬化性樹脂等を含有する液状材料61を用いて、裏面223に形成された接合層60は、以下のような特性を有するものであるのが好ましい。
【0105】
すなわち本実施形態では、裏面223に形成された接合層60は、酸化処理した銅板の表面に接着テープを貼り付けて、大気中、230℃で1分間還元処理したとき、下記式(I)により酸化銅還元率(%)を求めることができる。
【0106】
酸化銅還元率(%)={1−(還元処理後のO原子濃度)/(酸化処理後のO原子濃度)}×100 ・・・ 式(I)
【0107】
ここで、フラックス活性を有する硬化物は、半田バンプ224の表面を被覆する酸化膜を還元し、酸化膜を取り除く還元力を有し、この酸化銅還元率(%)は、酸化膜を取り除く還元力を示す指標として用いられる。そこで、酸化膜を取り除くのに十分な、酸化銅還元率は、好ましくは70%以上であり、より好ましくは75%であり、さらに好ましくは80%以上である。これにより、半田バンプ224の表面に形成された酸化膜の除去率を高くできるとともに、接合後の種々の環境下における接続部212、222同士の接続部225を介した接合信頼性を向上させることができる。
【0108】
上述した酸化銅還元率(%)の測定条件は、例えば、大気中、230℃で1分間の還元処理とする。
【0109】
酸化銅(CuO)還元率は、具体的には、例えば、下記の測定方法により求められる。
(1A)70μm厚の銅板(三井金属(株)社製、3EC−3、2〜3μm厚)を市販のエッチング液でソフトエッチングする。
【0110】
(2A)ソフトエッチングした銅板をオーブンで、大気中、220℃で、30分間酸化処理する。
【0111】
(3A)酸化処理した銅板の表面に25μm厚の接着テープを貼り付け、大気中、230℃で、1分間還元処理をする。
【0112】
(4A)前記工程(3A)の還元処理後、1分以内に、還元処理した銅板の表面にある接着テープ成分をアセトンで除去する。
【0113】
(5A)樹脂成分を除去した銅板を速やかに真空デシケータに移し、真空乾燥を実施し銅板方面を乾燥させる。また、銅板はESCA測定まで真空を維持した状態で保存する。
【0114】
(6A)酸化処理のみの銅板および還元処理した銅板の表面40Åをプラズマ処理により除去する。次いで、ESCA(ULVAC PHI社製)によりCuおよびO原子濃度を測定する。プラズマ処理とESCA測定は真空中雰囲気で実施する。銅板の表面40Åをプラズマ処理により除去する目的は、測定時のハンドリングの際に、表面が酸化された分の影響を取り除くためである。
【0115】
なお、用いるESCA測定条件は以下である:
(i) 光電子脱出角 45deg
(ii) X線源 Alkα線(モノクロ)
(iii)分析範囲 0.8mmΦ。
【0116】
(7A)下記式(I)により、酸化銅還元率を算出する。
酸化銅還元率(%)={1−(還元処理後のO原子濃度)/(酸化処理後のO原子濃度)}×100 ・・・ 式(I)
【0117】
また、本実施形態では、裏面223に形成された接合層60は、接合層60上に直径500μmのスズ含有半田ボールを配置し、該半田ボールの融点より30℃高い温度で20秒間加熱したとき、下記式(II)により半田濡れ拡がり率を求めることができる。
【0118】
半田濡れ拡がり率(%)=[{(半田ボールの直径)−(濡れ拡がり後の半田の厚み)}/(半田ボールの直径)]×100 ・・・ (II)
【0119】
ここで、溶融した半田バンプ224の固化物を用いて接続部212、222同士を金属接合する場合、半田の濡れ拡がり率が大きい程、金属間結合が助長され、接合強度が増加する傾向を示す。そのため、接合不良の発生が防止されるのに十分な半田濡れ拡がり率は、好ましくは40%以上であり、より好ましくは45%以上であり、さらに好ましくは50%以上である。これにより、接合確率を高め、接合後の種々の環境下における接合信頼性をより向上させることができる。
【0120】
なお、半田濡れ拡がり率が60%以上であるときは、前述したフラックス活性を有する硬化剤は、脂肪族ジカルボン酸を含有するものを用いるのが好ましい。これは、半田濡れ拡がり率が60%以上と高く、強い還元力が必要な場合は、フラックス活性がより高い脂肪族ジカルボン酸を用いることにより、半田成分の濡れ性を高め、電気的接続信頼性を確保することが望ましいからである。
【0121】
一方、半田濡れ拡がり率が40%〜60%であるときは、フラックス活性を有する硬化剤は、カルボキシル基とフェノール性水酸基とを有する化合物を含有するものを用いるのが好ましい。半田濡れ拡がり率が上記の範囲であり、それほど強い還元力が必要でない場合は、硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)との反応性が高い化合物を用い、フラックス残渣に起因するイオンマイグレーションの発生をより効果的に抑制できることが望ましいからである。
【0122】
上述した半田濡れ拡がり率の測定条件は、例えば、半田ボールが濡れ拡がる程度のばらつきを低減するために、半田ボールの融点よりも30℃高い温度で加熱し、また、加熱時間は、フラックス活性を有する硬化剤が溶融し、半田ボールの表面に移動して半田が濡れ拡がるまでの時間、及び半田が濡れ拡がる程度のばらつきを考慮して20秒とする。
【0123】
半田濡れ拡がり率は、具体的には、例えば、下記の測定方法により求められる。
(1B)ベアCu板(平井精密工業(株)製)に厚み15μmの接着テープを貼り付ける。
【0124】
(2B)接着テープ上に下記の直径が500μmの半田ボールを静置させる。
(i)「M31」(Sn/Ag/Cu、融点217℃、千住金属工業(株)製)
(ii)「L20」(Sn/Bi、融点138℃、千住金属工業(株)製)
【0125】
(3B)ASTM B 545に準じて、各半田の融点よりも30℃高い温度にホットプレートを加熱し、上記サンプルをホットプレート上で20秒間加熱する。
(4B)ベアCu板上に濡れ拡がった半田ボールの高さを計測する。
【0126】
(5B)下記式(II)により、半田濡れ広がり率を算出する。
半田濡れ拡がり率(%)=[{(半田ボールの直径)−(濡れ拡がり後の半田の厚み)}/(半田ボールの直径)]×100 ・・・ 式(II)
【0127】
さらに、本実施形態では、裏面223に形成された接合層60の厚さを100μmとした場合、223℃における接合層60の溶融粘度は10〜10000Pa・s程度であるのが好ましく、50〜5000Pa・s程度であるのがより好ましく、300〜1500Pa・s程度であるのがさらに好ましい。かかる範囲内に設定することにより、加熱時に接合層60が被着物である半導体ウエハー210、220からブリードすることによる接続信頼性の低下、および周辺部材への汚染を抑制することができる。また、気泡の発生、半導体ウエハー210、220同士の間隙に熱硬化性樹脂の硬化物が十分に充填されない等の不良も防止することができる。さらに、半田バンプ224の溶融物(半田)が濡れ拡がりすぎてしまい、隣接する接続部212、222間でショートするといった問題も防止することが可能となる。また、半田バンプ224の固化物で構成される接続部225を介して接続部212、222同士を金属接合する際に、半田バンプ224と接続部212、222間に存在する熱硬化性樹脂が排除されるため、接合不良を抑制することが可能になる。
【0128】
なお、接合層60の溶融粘度は、以下の測定方法により求められる。すなわち、厚み100μmの接合層60を、粘弾性測定装置(ジャスコインターナショナル(株)製)で昇温速度30℃/min、周波数1.0Hzで歪み一定−応力検知で測定し、Sn/Ag=96.5/3.5の融点である雰囲気温度223℃における粘度を測定して得ることができる。
【0129】
[1A−3] 次に、図3(c)に示すように、第1の半導体ウエハー210と、裏面223側に接合層60が設けられている第2の半導体ウエハー220とを、機能面211と裏面223とが対向するようにして、半導体ウエハー210、220同士を対面させる。すなわち、機能面211と裏面223との間に接合層60を介在させた状態で、半導体ウエハー210、220同士を対面させる。
【0130】
そして、機能面211側における接続部212の端部と、裏面223側における半田バンプ224とが対応するように位置決めして、図3(d)に示すようにして、接合層60を介して半導体ウエハー210、220同士を接触させることにより、第1の半導体ウエハー210と第2の半導体ウエハー220とが積層された半導体ウエハー積層体230を形成する(第2の工程)。
【0131】
[1A−4] 次に、図3(d)に示すように、半導体ウエハー積層体230を、加熱しつつ、その厚さ方向に加圧する(第3の工程)。
【0132】
この際、半田バンプ224の溶融に遅れて、熱硬化性樹脂の硬化が完了するように加熱するのが好ましい。
【0133】
具体的には、加熱する温度は、半導体バンプ224の構成材料および接合層60の構成材料等によっても若干異なるが、100〜250℃程度であるのが好ましく、130〜230℃程度であるのがより好ましい。
【0134】
これにより、半田バンプ224の表面を、フラックス活性を有する硬化剤により還元することができるとともに、半田バンプ224を構成する半田成分を溶融させることができる。その結果、溶融した半田バンプ224が接続部212、222同士の間に凝集し、その後、固化することにより半田バンプ224の固化物で構成される接続部225により、接続部212、222同士を電気的に接続することができる。
【0135】
また、熱硬化性樹脂の硬化が、半田バンプ224の溶融に遅れて完了することにより、第1の半導体ウエハー210と第2の半導体ウエハー220との間の半田バンプ224の溶融物が凝集する領域以外の領域に、熱硬化性樹脂の硬化物で構成される絶縁部226を形成することができ、隣接する接続部225同士を確実に電気的に絶縁することができるとともに、第1の半導体ウエハー210と第2の半導体ウエハー220とを確実に接合(固着)することができる。
【0136】
以上のようにして、半田バンプ224を溶融・固化するとともに、熱硬化性樹脂を硬化する。その結果、接合層60’を介して第1の半導体ウエハー210と第2の半導体ウエハー220とが固着することとなり、半田バンプ224の固化物で構成される接続部225により、接続部212と接続部222とが電気的に接続された半導体ウエハー接合体240を形成することができる。
【0137】
ここで、本発明では、接続部212、222同士は、接続部225のような固化物を介して電気的に接続される。そのため、後述する半導体装置10の駆動時に、半導体チップ20の発熱により、たとえ熱硬化性樹脂で構成される絶縁部226が膨張したとしても、この電気的接続が切断されるのを好適に防止することができ、接続部212、222間で安定的な導通を得ることができる。すなわち、接続部212、222間で接続信頼性に優れた電気的接続を得ることができる。
【0138】
接続部225の厚さ、すなわち、半導体ウエハー接合体240における、接合層60’の厚さ(平均)は、特に限定されないが、3〜200μm程度であるのが好ましく、5〜150μm程度であるのがより好ましい。このように半導体ウエハー210、220同士の離隔距離を小さくすることにより、半導体ウエハー接合体240を個片化することにより得られる半導体チップ20の厚さを薄くすることができる。その結果、この半導体チップ20を備える半導体装置10の全体としての厚さをも薄くすることができ、さらに半導体装置10の軽量化を図ることができる。
【0139】
換言すれば、一つの半導体装置(パッケージ)10内に搭載することができる半導体チップ20の集積密度を高めることができ、また、半導体装置10全体を小型化することができる。また、それぞれの機能面211、221に設けられた電極同士の離隔距離を小さくすることができるので、一つの半導体装置10内に収容できる情報量を増大させることができる。
【0140】
<第2の接合方法>
次に、半導体ウエハーの第2の接合方法を用いて半導体ウエハー接合体240を得る方法について説明する。
【0141】
[1B−1] まず、前記工程[1A−1]と同様にして、図4(a)に示すように、第1の半導体ウエハー210と、第2の半導体ウエハー220とを用意する(第1の工程)。
【0142】
[1B−2] 次に、構成材料として、フラックス活性を有する硬化剤と、熱硬化性樹脂とを含有する接合シート65を用意し、図4(b)に示すように、機能面211と裏面223とが対向するように配置された、第1の半導体ウエハー210と第2の半導体ウエハー220との間に、接合シート65を介在させる。
【0143】
この接合シート65に含まれる、フラックス活性を有する硬化剤や、熱硬化性樹脂等の構成材料としては、前記工程[1A−2]で説明したのと同様のものを用いることができる。
【0144】
また、接合シート65には、構成材料として、フラックス活性を有する硬化剤と熱硬化性樹脂との他に、さらに、フィルム形成性樹脂を含有するのが好ましい。フィルム形成性樹脂を含む構成とすることにより、接合シート65を確実にフィルム状のものとすることができる。
【0145】
このようなフィルム形成性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、シロキサン変性ポリイミド樹脂、ポリブタジエン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ナイロン等が挙げられ、これらのうちの1種、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0146】
なお、本明細書において、(メタ)アクリル系樹脂とは、(メタ)アクリル酸及びその誘導体の重合体、あるいは(メタ)アクリル酸及びその誘導体と他の単量体との共重合体を意味する。ここで、(メタ)アクリル酸などと表記するときは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
【0147】
(メタ)アクリル系樹脂としては、具体的には、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸−2−エチルヘキシル等のポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル等のポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリアクリルアミド、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル−α−メチルスチレン共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−アクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エチル−アクリロニトリル−N,Nジメチルアクリルアミド共重合体等が挙げられる。中でも、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エチル−アクリロニトリル−N,Nジメチルアクリルアミドが好ましい。
【0148】
なお、ニトリル基、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基等の官能基を有する単量体を共重合させてなる(メタ)アクリル系樹脂を用いることにより、接合シート65(接合層60)の半導体ウエハー210、220への密着性、および熱硬化性樹脂等との相溶性を向上させることができる。このような(メタ)アクリル系樹脂において、前記官能基を有する単量体の使用量は特に限定されないが、(メタ)アクリル系樹脂の全重量に対し、0.1〜50mol%程度であることが好ましく、0.5〜45mol%程度であるのがより好ましく、1〜40mol%程度であるのがさらに好ましい。かかる範囲内に設定することにより、半導体ウエハー210、220に対する接合シート65(接合層60)の密着性を優れたものとしつつ、接合シート65の粘着力が強くなりすぎるのを好適に防止して、作業性の向上を図ることができる。
【0149】
前記(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、10万以上であるのが好ましく、15万〜100万程度であるのがより好ましく、25万〜90万程度であるのがさらに好ましい。重量平均分子量を前記範囲に設定することにより、接合シート65の成膜性を向上させることができる。
【0150】
また、フィルム形成性樹脂として、フェノキシ樹脂を用いる場合、その数平均分子量が5000〜15000程度であるものを用いるのが好ましい。かかる数平均分子量のフェノキシ樹脂を用いることにより、接合層60の流動性を抑制し、接合層60の厚みを均一なものとすることができる。
【0151】
フェノキシ樹脂の骨格は、特に限定されるものではないが、例えば、ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールFタイプ、ビフェニル骨格タイプ等が挙げられる。これらの中でも、飽和吸水率が1%以下であるフェノキシ樹脂であるのが好ましい。これにより、半導体ウエハー接合体240の形成時や、得られる半導体チップ20の実装時のように、高温条件下に晒される場合においても、接合層60に起因する発泡や剥離などの発生を抑制することができる。
【0152】
なお、飽和吸水率は、フェノキシ樹脂を25μm厚のフィルムに加工し、100℃雰囲気中で1時間乾燥(絶乾状態)し、さらに、そのフィルムを40℃90%RH雰囲気の恒温高湿層に放置し、重量変化を24時間おきに測定し、重量変化が飽和した時点の重量を用いて、下記式(III)により算出することができる。
【0153】
飽和吸水率(%)={(飽和した時点の重量)−(絶乾時点の重量)}/(絶乾時点の重量)×100 ・・・ (III)
【0154】
また、フィルム形成性樹脂としてポリイミド樹脂を用いる場合、ポリイミド樹脂としては、繰り返し単位中にイミド結合を持つものが挙げられる。
【0155】
このようなポリイミド樹脂としては、例えば、ジアミンと酸二無水物を反応させ、得られたポリアミド酸を加熱、脱水閉環することにより得られるものが挙げられる。ジアミンとしては、芳香族ジアミンである、3,3’−ジメチル−4,4’ジアミノジフェニル、4,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、シロキサンジアミンである、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0156】
また、酸二無水物としては、3,3,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、ピロメリット酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物等が挙げられる。
【0157】
なお、このようなポリイミド樹脂は、後述する溶媒に可溶なものでも、不溶なものでも使用できるが、溶媒に可溶なものであるのが好ましい。これにより、液状材料61中に含まれる構成材料との相溶解性が向上することから、取り扱いに優れる。特に、シロキサン変性ポリイミド樹脂は、様々な溶媒に溶かすことができるため好適に用いられる。
【0158】
また、フィルム形成性樹脂は、市販品を用いるようにしてもよい。さらに、本発明の効果を損ねない範囲で、各種可塑剤、安定剤、無機フィラー、帯電防止剤や顔料等の添加剤を配合したものを用いることができる。
【0159】
フィルム形成性樹脂の配合量は、接合シート65中に含まれる構成材料のうち、例えば、5〜45重量%程度であるのが好ましい。かかる範囲内に設定することにより、接合シート65の成膜性の低下を抑制しつつ、絶縁部226における弾性率の増加を抑制することができる。その結果、接合層60’と半導体ウエハー210、220との密着性をさらに向上させることができる。さらに、接着シート65の溶融粘度の増加を抑制することができる。
【0160】
このような接合シート65は、例えば、フラックス活性を有する硬化剤および熱硬化性樹脂と、必要に応じて、フィルム形成性樹脂や、その他の成分とを溶媒中に溶解させて接合シート形成用材料(液状材料)を調製し、その後、この接合シート形成用材料を、ポリエステルシート等の剥離処理が施された基材上に塗布し、所定の温度で、溶媒を除去し、乾燥させることにより得ることができる。
【0161】
なお、ここで用いられる溶媒としては、前記工程[1A−2]で説明したのと同様のものを用いることができる。
【0162】
また、接合シート65の厚さ(平均)は、特に限定されないが、5〜300μm程度であるのが好ましく、10〜200μm程度であるのがより好ましい。
【0163】
[1B−3] 次に、機能面211側における接続部212の端部と、裏面223側における半田バンプ224とが対応するように位置決めして、図4(c)に示すようにして、接合層60(接合シート65)を介して半導体ウエハー210、220同士を接触させることにより、第1の半導体ウエハー210と第2の半導体ウエハー220とが積層された半導体ウエハー積層体230を形成する(第2の工程)。
【0164】
[1B−4] 次に、前記工程[1A−4]と同様にして、半導体ウエハー積層体230を、加熱しつつ、その厚さ方向に加圧することにより、図4(d)に示すような、半導体ウエハー接合体240を形成する。
以上のような工程を経て、半導体ウエハー接合体240を得ることができる。
【0165】
[2] 次に、各半導体ウエハー210、220に形成された個別回路に対応するように、半導体ウエハー接合体240を個片化することにより、複数の半導体チップ20を得る。
【0166】
このように、本発明の半導体ウエハーの接合方法により形成された半導体ウエハー接合体240を個片化して、一括して複数の半導体チップ(半導体チップ積層体)20を得る構成とすることにより、上述した従来技術で説明したように、複数の半導体チップを個別に積層・接合して半導体チップ積層体を大量生産する場合と比較して、製造工程数を削減することができ、生産性の効率化を図ることができる。
【0167】
[3] 次に、上面に配線パターン40が、下面にバンプ70がそれぞれ設けられたインターポーザー30(基板)を用意し、このインターポーザー30上に配線パターン40を介して半導体チップ(半導体素子)20搭載する。
以上のような工程を経ることにより、半導体装置10を製造することができる。
【0168】
このようにして製造された半導体装置10は、一つのパッケージ内に搭載することができる半導体チップ20の集積密度を高めることができるので、電子機器の高機能化および小型化に対応することができる。
【0169】
なお、本発明の半導体装置の製造方法により製造された半導体装置10は、例えば、携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラ、カーナビゲーション、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、液晶テレビ、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プリンタ等に広く用いることができる。
【0170】
以上、本発明の半導体ウエハーの接合方法および半導体装置の製造方法について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0171】
例えば、本発明の半導体ウエハーの接合方法では、1つの第1の半導体ウエハー210と、1つの第2の半導体ウエハー220を接合する場合ついて説明したが、このような場合に限定されず、例えば、1つの第1の半導体ウエハー210上に、2つ以上の第2の半導体ウエハー220を積層した後、一括してこれらの半導体ウエハー210、220を接合するようにしてもよい。さらには、本実施形態のように、1つの第1の半導体ウエハー210と、1つの第2の半導体ウエハー220を接合した後、得られた半導体ウエハー接合体240上に、さらに第2の半導体ウエハー220を接合するようにしてもよい。
【0172】
例えば、本発明の半導体ウエハーの接合方法および半導体装置の製造方法には、任意の目的の工程が1または2以上追加されてもよい。
【実施例】
【0173】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1. 接合シートの作製および接合層形成用材料の調製
なお、以下に示すサンプルNo.の番号は、各サンプルNo.の接合シートまたは接合層形成用材料を用いて形成された各実施例(半導体装置)の番号に対応する。
【0174】
1−1. 接合シートの作製
[サンプルNo.1〜34]
下記表1に示した配合で各成分(構成材料)を、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケントンのようなケトン系有機溶剤に溶解し、得られたワニス(接合シート形成用材料)を、ポリエステルシート上に塗布し、上記溶剤が揮発する温度に適宜設定し、ワニスを乾燥させることにより、各サンプルNo.の接合シートを作製した。
また、下記表1中の各成分の配合量は、各成分の合計量に対する重量%である。
【0175】
1−2. 接合層形成用材料の調製
[サンプルNo.35〜45]
下記表2に示した配合の各成分(構成材料)を三本ロールにより混練した後、真空脱泡することにより、各サンプルNo.の接合層形成用材料(液状材料)を調製した。
【0176】
2. 半導体装置の作製
以下の各実施例および各比較例において、半導体装置を20個ずつ製造した。
【0177】
[実施例1]
−1A− まず、図5に示すような貫通金属電極311(銅)を有する20mm×20mmの回路310が50個設けられたSiウエハー(8インチ試験用ウエハー、厚さ:60μm)を用意した。
【0178】
なお、図5(a)は、Siウエハーが備える1つの回路310を示した平面図であり、図5(b)は、図5(a)に示すA−A線部分断面図である。
【0179】
なお、図5(a)に示すように、この回路310には、領域A〜領域Dにおいて、それぞれ、Siウエハーを貫通するように28×28個の貫通金属電極311を設けた。そして、接続導通性および絶縁性を評価する目的で、領域Aには、配線を介してこの領域に存在する貫通金属電極311のうちの何れかに接続する第1の端子〜第3の端子および第22の端子〜第24の端子を、領域Bには、配線を介してこの領域に存在する貫通金属電極311のうちの何れかに接続する第4の端子4〜第9の端子を、領域Cには、配線を介してこの領域に存在する貫通金属電極311のうちの何れかに接続する第10の端子〜第15の端子を、領域Dには、配線を介してこの領域に存在する貫通金属電極311のうちの何れかに接続する第16の端子16〜第21の端子を、それぞれ設けた。
なお、隣接する貫通金属電極311同士の間隔(ピッチ)は、150μmとした。
【0180】
また、図5(b)に示すように、Siウエハーの裏面314には、隣接する貫通金属電極311のうちの何れかに連結する導電体312を設けた。
【0181】
−2A− 次に、Siウエハーの機能面315の貫通金属電極311に接する位置に、フリップチップボンダーを用いて、鉛フリー半田(組成:Sn−3.5Ag、融点:221℃、熱膨張率:22ppm/℃)を位置決めして、Siウエハーと仮接合した後、リフロー処理(リフロー条件:最高温度260℃、最低温度183℃の処理時間60秒のIRリフロー炉を通過)を施すことにより、貫通金属電極311に半田バンプを接合させた。
なお、この半田バンプの直径は、40μmであった。
【0182】
−3A− 次に、この半田バンプ付Siウエハーの機能面315側に、真空フィルムラミネータを(「MVLP−500/600−2A」、名機製作所製)を用いて、サンプルNo.1の接合シートを貼り付けた。
【0183】
なお、真空フィルムラミネータにより接合シートを貼り付ける際の処理条件は、100℃、0.8MPa、30秒とした。
【0184】
また、Siウエハーに貼り付けられたサンプルNo.1の接合シートの厚さは、40μmであった。
【0185】
−4A− 次に、前記工程−3A−で得られた、接合シートを備えるSiウエハーを2枚用い、これらを位置決めした後、プレス装置(VH1−1758)で、仮積層することにより、Siウエハー積層体を得た。
なお、仮積層する際の処理条件は、150℃、1.0MPaとした。
【0186】
−5A− 次に、前記工程−4A−で得られたSiウエハー積層体を、前記工程−4A−の状態を保持しつつ、圧力を徐々に開放しながら(0.1MPa以下)、250℃まで加熱することにより、図6(a)に示すように、各回路310が備える貫通金属電極311と、溶融した半田バンプの固化物313とにより金属接合を形成した。その後、さらに180℃×60分の条件で追加熱することにより、2つの回路310が固化物313を介して電気的に接続された回路接合体320を備えるSiウエハー接合体を得た。
【0187】
ここで、図6(a)に示すように、回路接合体320おいて、貫通金属電極311は、隣接する貫通金属電極311のうちのいずれかと導電体312により接続されていることから、互いに対向する貫通金属電極311同士を、固化物313を介して接続することにより、貫通金属電極311と、導電体312と、固化物313とにより構成される1つの配線316が形成されることとなる。
【0188】
そこで、本実施例では、図6(b)に示すように、領域Aにおいては、28×28個の貫通金属電極311を含む配線316により、第1の端子と第24の端子とが電気的に接続するように回路を形成した。また、領域Bにおいては、28×28個の貫通金属電極311を含む配線316により、第4の端子と第5の端子とが電気的に接続するように回路を形成した。領域Cにおいては、28×28個の貫通金属電極311を含む配線316により、第12の端子と第13の端子とが電気的に接続するように回路を形成した。さらに、領域Dにおいては、28×14個の貫通金属電極311を含む配線316により第17の端子と第19の端子とを、また、28×14個の貫通金属電極311を含む配線316により第18の端子と第20の端子とが、それぞれ、電気的に接続するように回路を形成した。
【0189】
−6A− 次に、得られた回路接合体320を備えるSiウエハー接合体を、図6(c)に示すように、回路接合体320が各領域A〜Dで分かれるように10mm角で切断して、個片化した導通テスト用の評価用チップ330を得た。
【0190】
−7A− 次に、評価用チップ330がそれぞれ備える端子の位置に、フリップチップボンダーを用いて、鉛フリー半田(組成:Sn−3.5Ag、融点:221℃、熱膨張率:22ppm/℃)を位置決めして、評価用チップ330と仮接合した。その後、プリント配線基板上に評価用チップ330を載置した状態で、リフロー処理(リフロー条件:最高温度260℃、最低温度183℃の処理時間60秒のIRリフロー炉を通過)を施すことにより、半田バンプを介して、評価用チップ330が備える端子とプリント配線基板とを接合させて、実施例1の評価用パッケージ(半導体装置)を製造した。
【0191】
なお、評価用チップ330が備える端子とプリント配線基板とを接合する際には、評価用チップ330が備える、互いに対向する端子同士をも電気的に接続するようにした。
【0192】
また、本実施例では、本工程−7A−において、各領域A〜D由来の評価用チップ330を5個ずつ用いて、それぞれの評価用チップ330を備える半導体装置した。すなわち、半導体装置を20個製造した。
【0193】
[実施例2〜34]
前記工程−3A−において、サンプルNo.1の接合シートに代えて、それぞれ、サンプルNo.2〜34の接合シートを用いた以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2〜34の半導体装置を製造した。
【0194】
[実施例35]
前記工程−3A−に代えて、下記工程−3B−とした以外は、前記実施例1と同様にして、実施例35の半導体装置を製造した。
【0195】
−3B− 次に、この半田バンプ付Siウエハーの機能面315側に、サンプルNo.35の接合層形成用材料を、スピンコート法を用いて塗布することにより、機能面315上に接合層を形成した。なお、接合層の平均厚さは、40μmであった。
【0196】
[実施例36〜40]
前記工程−3B−において、サンプルNo.35の接合層形成用材料に代えて、それぞれ、サンプルNo.36〜40の接合層形成用材料を用いた以外は、前記実施例35と同様にして、実施例36〜40の半導体装置を製造した。
【0197】
[実施例41〜45]
前記工程−3B−において、サンプルNo.35の接合層形成用材料に代えて、それぞれ、サンプルNo.41〜45の接合層形成用材料を用い、さらに前記工程−3B−の後に、90℃×90分の加熱処理を施すことにより、接合層をB−stage硬化(仮硬化)させることにより接合層の形状を保持した以外は、前記実施例35と同様にして、実施例36〜40の半導体装置を製造した。
【0198】
[比較例1、2]
前記工程−3A−において、サンプルNo.1の接合シートに代えて、比較例1としては異方性導電フィルム(「AC−200」、日立化成工業株式会社製)、比較例2として、異方性導電フィルム(「FP2511K」、ソニーケミカル社製)を用い、前記工程−5A−を省略した以外は、前記実施例1と同様にして、比較例1および2の半導体装置を製造した。
【0199】
2. 評価
得られた各実施例および各比較例の半導体装置をそれぞれ20個ずつ、−55℃の条件下に30分、125℃の条件下に30分ずつ交互に晒す事を1サイクルとする、温度サイクル試験を100サイクル行った。
【0200】
そして、この温度サイクル試験を経た各実施例および各比較例の半導体装置について、半導体装置が備える評価用チップ330の導通を、導通テスターを用いて、評価用チップ330が有する端子間に5Vの電圧を印加することにより確認した。
【0201】
なお、回路接合体320の領域Aに由来する評価用チップ330を備える半導体装置については、第1の端子と第24の端子との間の導通を確認した。また、回路接合体320の領域Bに由来する評価用チップ330を備える半導体装置については、第4の端子と第5の端子との間の導通を確認した。回路接合体320の領域Cに由来する評価用チップ330を備える半導体装置については、第12の端子と第13の端子との間の導通を確認した。さらに、回路接合体320の領域Dに由来する評価用チップ330を備える半導体装置については、第17の端子と第19の端子との間の導通と、第16の端子と第20の端子との間の導通とを確認した。
【0202】
そして、各実施例および各比較例において、20個の半導体装置全て導通が得られた場合には合格品(○)と判定し、1つでも導通が認められなかった場合には不合格品(×)と判定した。
【0203】
なお、本実施例において、導通が認められるとは、各端子間の抵抗値が80[Ω]未満のときを言い、導通が認められないとは、各端子間の抵抗値が80[Ω]以上の時を言う。
【0204】
さらに、温度サイクル試験を経た各実施例および各比較例の半導体装置のうち、回路接合体320の領域Dに由来する評価用チップ330を備える半導体装置については、隣接する配線同士の絶縁性を、導電テスターを用いて確認した。すなわち、第17の端子および第19の端子に接続する配線316と、第16の端子および第20の端子に接続する配線316との間の絶縁性を確認した。
【0205】
より具体的には、第16の端子と第17の端子との間に5Vの電圧を印加することにより、これらの端子間の絶縁性を確認した。さらに、第19の端子と第20の端子との間についても同様にして、これらの端子間の絶縁性とを確認した。
【0206】
そして、各実施例および各比較例において、5個の半導体装置全て絶縁性が認められた場合には合格品(○)と判定し、1つでも絶縁性が認められなかった場合には不合格品(×)と判定した。
【0207】
なお、本実施例において、絶縁性が認められるとは、各端子間の抵抗値が1.0×10[Ω]以上のときを言い、絶縁性が認められないとは、各端子間の抵抗値が1.0×10[Ω]未満の時を言う。
これらの評価結果を、それぞれ、以下の表1および表2に示す。
【0208】
【表1−A】

【0209】
【表1−B】

【0210】
【表1−C】

【0211】
【表2】

【0212】
表1および表2に示すように、各実施例の半導体装置では、いずれも良好な導通が認められた。これに対して、各比較例では、60%の評価パッケージサンプル(半導体装置)において導通が認められなかった。
【0213】
さらに、各実施例の半導体装置では、いずれも、隣接する配線同士間において良好に絶縁性が確保されていた。これに対して、各比較例では、いずれも、100%の評価パッケージサンプル(半導体装置)において、隣接する配線同士間の絶縁性が確保されていなかった。
【0214】
これにより、半導体装置が備える半導体装置において、貫通金属電極(接続部)同士間の電気的な接続を安定的に行い得ることが明らかとなった。
【符号の説明】
【0215】
10 半導体装置
20 半導体チップ
210 第1の半導体ウエハー
220 第2の半導体ウエハー
211、221 機能面
212、222 接続部
213、223 裏面
224 半田バンプ
225 接続部
226 絶縁部
230 半導体ウエハー積層体
240 半導体ウエハー接合体
30 インターポーザー
40 配線パターン
60、60’ 接合層
61 液状材料
65 接合シート
70 バンプ
80 封止層
82 接続部
310 回路
311 貫通金属電極
312 導電体
313 固化物
314 裏面
315 機能面
316 配線
320 回路接合体
330 評価用チップ
100 半導体装置
510、520 半導体ウエハー
511、521 接続部
530 接合体
540、550 半導体チップ
560 半導体チップ接合体
620 バンプ
630 インターポーザー
640 配線パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の半導体ウエハーと第2の半導体ウエハーとを積層して電気的に接続する半導体ウエハーの接合方法であって、
前記第1の半導体ウエハーの厚さ方向に貫通して設けられた複数の接続部を有する前記第1の半導体ウエハーと、
前記第2の半導体ウエハーの厚さ方向に貫通して設けられた複数の接続部と、前記第2の半導体ウエハーの裏面側において前記接続部の端部に接続された半田バンプとを有する前記第2の半導体ウエハーとを用意する第1の工程と、
前記第1の半導体ウエハーと、前記第2の半導体ウエハーとの間に、フラックス活性を有する硬化剤と、熱硬化性樹脂とを構成材料として含む接合層を介在させるとともに、前記第1の半導体ウエハーの機能面側における接続部の端部と、前記第2の半導体ウエハーの裏面側における半田バンプとが対応するように位置決めして、前記第1の半導体ウエハーと前記第2の半導体ウエハーとが積層された半導体ウエハー積層体を得る第2の工程と、
前記半導体ウエハー積層体を、加熱しつつ、その厚さ方向に加圧することにより、前記半田バンプを溶融・固化するとともに、前記熱硬化性樹脂を硬化して、前記第1の半導体ウエハーと前記第2の半導体ウエハーとが固着することにより、前記半田バンプの固化物で、前記第1の半導体ウエハーの接続部と前記第2の半導体ウエハーの接続部とが電気的に接続された半導体ウエハー接合体を得る第3の工程とを有することを特徴とする半導体ウエハーの接合方法。
【請求項2】
前記第2の工程において、前記接合層は、前記構成材料を含有するフィルム状の接合シートを、前記第1の半導体ウエハーと前記第2の半導体ウエハーとの間に介在させることにより形成される請求項1に記載の半導体ウエハーの接合方法。
【請求項3】
前記第2の工程において、前記接合層は、前記構成材料を含有する液状材料を、前記第1の半導体ウエハーの機能面および/または前記第2の半導体ウエハーの裏面に塗布することにより形成される請求項1に記載の半導体ウエハーの接合方法。
【請求項4】
前記第1の工程において、さらに、前記接続部の機能面側の端部に接続された半田バンプを有する前記第1の半導体ウエハーを用意する請求項1ないし3のいずれかに記載の半導体ウエハーの接合方法。
【請求項5】
前記第3の工程において、前記半導体ウエハー積層体が加熱圧着される際に、前記半田バンプの溶融に遅れて、前記熱硬化性樹脂の硬化が完了する請求項1ないし4のいずれかに記載の半導体ウエハーの接合方法。
【請求項6】
前記半導体ウエハー接合体における、前記接合層の厚さは、1〜200μmである請求項1ないし5のいずれかに記載の半導体ウエハーの接合方法。
【請求項7】
前記フラックス活性を有する硬化剤は、カルボキシル基および/またはフェノール水酸基を備える請求項1ないし6のいずれかに記載の半導体ウエハーの接合方法。
【請求項8】
前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂である請求項1ないし7のいずれかに記載の半導体ウエハーの接合方法。
【請求項9】
さらに、前記構成材料は、フィルム形成性樹脂を含み、該フィルム形成性樹脂は、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂およびポリイミド樹脂のうちの少なくとも1種である請求項1ないし8のいずれかに記載の半導体ウエハーの接合方法。
【請求項10】
前記接合層は、酸化処理した銅板の表面に該接合層を形成して、大気中、230℃で1分間還元処理したとき、下記式(I)で表される該銅板の酸化銅還元率が70%以上のものである請求項1ないし9のいずれかに記載の半導体ウエハーの接合方法。
酸化銅還元率(%)={1−(還元処理後のO原子濃度)/(酸化処理後のO原子濃度)}×100 ・・・式(I)
【請求項11】
請求項1ないし10のうちのいずれかに記載の半導体ウエハーの接合方法により接合された前記半導体ウエハー接合体を前記個別回路毎に切断して、複数の半導体素子に個片化する工程と、
前記個片化した半導体素子を基板に搭載する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図6(c)】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−93607(P2013−93607A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−3686(P2013−3686)
【出願日】平成25年1月11日(2013.1.11)
【分割の表示】特願2007−154250(P2007−154250)の分割
【原出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】