説明

半導体パッケージの検査装置および検査方法

【課題】 樹脂封止工程後の半導体パッケージの検査を切断前のリードフレーム状で複数同時に行うことで、検査に必要な時間を短縮することが可能となる、半導体パッケージの検査装置を提供することにある。
【解決手段】 半導体パッケージから所定の仰角をもって設置した撮像手段を備え、前記撮像手段による撮影結果に基づいて、前記半導体パッケージ側面に生じるボイドの有無を検査する半導体パッケージの検査装置において本発明は、同一方向を向き間隔を有して整列した状態で前記半導体パッケージが連設されたリードフレームの底面側に、照明手段が設置されており、前記撮像手段を検査対象である前記半導体パッケージの搬送方向に沿って複数並べることで、切断前のリードフレームにおいて複数の半導体パッケージを同時に検査することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードフレームに実装した半導体チップを樹脂封止することにより形成される、半導体パッケージの外観を樹脂封止工程の後に検査する、半導体パッケージの検査装置および検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電子機器の発展による需要の増大に伴い、それら機器の電子回路に用いられる電子部品の絶対量も増加の一途を辿っている。就中、小型面実装部品の類は機器1点当たりの使用個数も多く、膨大な量の市場要求に電子部品製造者は応える必要がある。
【0003】
一般に半導体装置は、シリコンウェーハを個片化した半導体チップをリードフレームに実装した後に、さらに接続子等を取りつけ、樹脂封止することで半導体パッケージを形成させ、リードフレームからの切断及びリード端子のフォーミングを行う、等の工程が製造に際して行われる。前述した需要の増大に伴い、これらの製造工程は自動化が進んでいるが、さらに電気的特性や外観等の検査工程についても自動化が進んでおり、作業時間の短縮に寄与してきた。
【0004】
ところで、この検査工程のうち、前記半導体パッケージに生じるボイドの有無をチェックするという工程がある。半導体パッケージ側面のボイド検査を実施しようとする場合、従来は検査面に対して垂直、即ち半導体パッケージの真横にカメラを配置し、検査を行っていた(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−160286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それぞれの半導体装置をリードフレームから切断した後に個々の半導体装置を検査する場合には、このような装置を使うことが可能だが、前述のように市場におけるこれら半導体装置への需要は非常に大きいことから、検査作業時間を一層短縮するために、ボイド検査をリードフレームから切断する前に実施したいという要求が存在している。しかし半導体パッケージ側面を検査する際に当該側面に対向する位置にカメラを設置しようとしても、リードフレーム外枠や隣接する半導体パッケージに遮られ撮影が行えないことから、切断前のフープ形状或いはシート形状のリードフレーム上でモールドケース側面のボイド検査を行うことが出来ないという問題がこれまで有った。
【0007】
また、従来のように撮像手段と撮像用の照明手段とを略同一方向に設置した場合、設置スペースの制限により、撮像手段を複数並べることが困難となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、半導体パッケージから所定の仰角をもって設置した撮像手段を備え、前記撮像手段による撮影結果に基づいて、前記半導体パッケージ側面に生じるボイドの有無を検査する半導体パッケージの検査装置において本発明は、同一方向を向き間隔を有して整列した状態で前記半導体パッケージが連設されたリードフレームの底面側に、照明手段が設置されており、前記撮像手段を検査対象である前記半導体パッケージの搬送方向に沿って複数並べることで、切断前のリードフレームにおいて複数の半導体パッケージを同時に検査することを特徴とする。
【0009】
さらに、検査対象である前記半導体パッケージの側面の底辺が隣接する半導体パッケージにより遮られることなく撮像可能となるように、前記撮像手段を設置する前記仰角が設定されていることを特徴とする。
【0010】
前記半導体パッケージの相反する方向を向いた二つの外側面を同時に撮影できるように、互いに向かい合うようにした前記撮像手段の組み合わせが複数設置されていることを特徴とする
【0011】
半導体パッケージのパッケージ側面を斜め上から撮像することによって半導体パッケージ側面に生じるボイドの有無を検査する、半導体パッケージの検査方法において、リードフレームから切断される前の前記半導体パッケージを搬送機構により検査位置に搬送し、前記半導体パッケージの底面側に設置した照明手段から光を照射し、前記半導体パッケージ側面からの反射光を用いてボイドの有無を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、半導体パッケージが連設されたリードフレームの底面側に照明手段が設置され、斜め上方向に互いに向かい合うように組み合わされた撮像手段で、下方から照らされた前記半導体パッケージを撮影することにより、リードフレームから切断される前に半導体パッケージ側面のボイド検査を行うことが出来ることから、
ボイドの有無を検出する精度を高めつつ、尚かつ作業時間を短縮し、効率よく半導体パッケージを検査できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の半導体パッケージの検査装置の実施形態を示す側面図。
【図2】本発明の半導体パッケージの検査装置の検査対象である、切断前の半導体パッケージの状態を示す平面図、正面図、並びに側面図。
【図3】本発明の半導体パッケージの検査装置の実施形態を示す平面図。
【図4(a)】半導体パッケージ良品の撮像データ例。
【図4(b)】半導体パッケージ不良品の撮像データ例。
【図4(c)】検査対象となる半導体パッケージの、底面側に設置された照明手段からの光軸を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明の半導体パッケージの検査装置は、図1に示すように、検査対象である半導体パッケージ31が切断される前のリードフレーム30を搬送するための搬送手段40が、検査位置前方においてリードフレーム30の下方に位置し、撮影手段10は検査位置にあってリードフレーム30の上方に、同じく検査位置においてリードフレーム30の下方に照明手段20が設置されており、これらの手段を制御する制御手段50、そして撮影されたデータを解析して良品/不良品の判定を行う判定手段60とを備える。
【0016】
ここで、各構成の説明に先立ち、検査対象である半導体パッケージ31について説明する。図2に示すように、半導体パッケージが搬送方向に向かって2個が横に連なる形でリードフレーム30は構成されており、これらの2個が並んで進むようにしてリードフレーム30は搬送方向に送られていく。このリードフレーム30には、プレス金型によって打ち抜かれた箇所である空白部32が設けられているが、半導体パッケージ31の搬送方向およびその逆方向に向いた二つの側面は、この空白部32に面している。また、リードフレーム30の搬送方向に沿う向きで隣接する半導体パッケージ31同士は、この空白部32を隔てて並んでいる。この空白部32が有ることで、リードフレーム30の底面側に設けた照明手段20でリードフレーム30を照らした際には、光がリードフレーム30の上面側に漏出することとなる。そして中央部には、後述する搬送手段40と噛み合わせるための送り穴33が設けられている。
【0017】
次に、搬送手段40について説明する。搬送手段40は制御手段50からの制御信号に基づき動作する歯車状の装置で、検査位置前方においてリードフレーム30の下方に設置されている。制御手段50から送られた制御信号によって搬送手段40が動作し、この搬送手段40の歯が送り穴33と噛み合うことでリードフレーム30は搬送方向に牽引される。
【0018】
続いて、撮像手段10について説明する。本実施例では、半導体パッケージの検査装置1において、半導体パッケージ31を切断する前のリードフレーム30の検査位置上方に撮像手段10が設置されている。この撮像手段10は12台のカメラから構成されており、前記12台は何れも斜め下を向けて設置されているが、半導体パッケージ31の検査位置の手前側に搬送方向に向けられたカメラ11aが6台並び、同検査位置の奥手側にその逆方向に向けてカメラ11bが6台並べられている。カメラ11aとカメラ11bとは、それぞれの搬送方向に向かって1台目同士、2台目同士という形で6組の組み合わせが形成されているが、これらそれぞれの組み合わせが撮影軸12が示すような形で同一の半導体パッケージ31を、制御手段50からの制御信号に基づき同時に撮影する。前記カメラ11aとカメラ11bとの間の組み合わせは6組形成されているが、それぞれの組は前記リードフレーム30の搬送方向に対して横に並んだ2個を同時にカバーする。前記制御手段50からの制御信号により、6組12台のカメラが同時に撮影を行うため、同時に撮影される半導体パッケージ31の個数は12個となる。
【0019】
図3は本実施例の半導体パッケージの検査装置を上から見たものである。リードフレーム30の上方に撮像手段10が位置している点については前述したが、この図3は撮像手段10がリードフレーム30の上方において中央に設置されていることを示している。また、リードフレーム30の搬送方向に向かっての両側面には押さえ部34が設けられている。搬送手段40の歯を送り穴33と噛み合わせてリードフレーム30を搬送方向に搬送するが、この押さえ部34がリードフレーム30の高さを安定させ、それによって検査対象である半導体パッケージ31と撮像手段10との間の距離を一定に保つことが出来る。さらに、前記撮像手段10を構成するカメラ11aおよびカメラ11bの計12台は連なって設置されており、リードフレーム30から見て照明手段20を撮像手段10と同一方向に設置することが出来ない。
【0020】
ところで、カメラ11aとカメラ11bの、それぞれの搬送方向に向かって1台目同士の組み合わせが撮影する半導体パッケージ31と、同じく2台目同士の組み合わせが撮影している半導体パッケージ31は、一列の半導体パッケージ31が間を隔てている、即ち2列の半導体パッケージ31に対して1組のカメラという形で図1では描かれているが、これは簡略化されたものであり、実際には13列の半導体パッケージ31に対して1組という比率となっている。
【0021】
その一方で、本実施例の半導体パッケージの検査装置においては、セットされたリードフレーム30は、半導体パッケージ31を6列分移動させるステップで、搬送が行われる。ステップを重ねることで徐々にカメラとの位置関係にズレが生じていき、リードフレーム30上の全ての半導体パッケージ31が漏れなく検査される。このように、搬送のステップとカメラ11a及びカメラ11bの半導体パッケージ31に対しての設置比率とを調整することにより、搬送の速度を一定に保ったままで、効率よく検査を行うことが出来る。本実施例では6組のカメラを用い、検査対象である半導体パッケージを6列ずつ移動させる方法を示しているが、カメラの台数、搬送のステップについては、全ての半導体パッケージの撮影を漏れなく行うことが可能である限りにおいて、これに限定されない。
【0022】
また、撮像手段10からリードフレーム30を隔てて反対側には、照明手段20が設置されている。この照明手段20はLED照明21と拡散板22から構成されているが、LED照明21は直径約4mmのLED5列×51の合計255個を約5mmのピッチで実装した270mm×43mmの基板である。さらに、LED照明13とリードフレーム30の間に、アクリル板によって構成された拡散板12が設置されている。拡散板12は、LED照明13を構成するLED一つ一つが直接半導体パッケージ31を照らすことを回避するために設置されたもので、LEDの光度を勘案してリードフレーム30とLED照明13との間の距離は約3cmとしているが、リードフレーム30と拡散板12の間の距離は1cm未満とし、出来るだけ近づけるようにしている。これは、よりムラの無い柔らかな光で半導体パッケージ31を照射するために、リードフレーム30に出来るだけ近い位置に設置するのが好ましいためである。
【0023】
制御手段50からの制御信号に基づきカメラ11aおよびカメラ11bが撮影した画像は、判定手段60によって半導体パッケージ31側面のボイド31aの有無が判定される。判定手段60が画像データを解析する方法について、以下に説明する。
【0024】
図4(a)はカメラ11aが撮影した画像の一例である。半導体パッケージ31が数多く写されているが、実際に画像判定に用いるのはこのうち1列のみとなる。これは複数の列を判定しようとした場合、カメラ11aからの距離が一定とならないためである。図4(a)で示されているのは半導体パッケージ31の側面にボイドが生じていない良品であるが、図4(b)に見られるように、パッケージ側面にボイド31aが生じた場合、撮影された画像には黒い点となって現れる。
【0025】
図4(c)は、ボイド31aが黒点となる仕組みを示したものである。図4(c)においては示されていないが、拡散板12の下側にLED照明13が設置されており、下方から光が当てられる。下方から照らされる光は、拡散板22を通過することで様々な方向に拡散されるが、拡散板22を通過した後は光の性質上、光軸は直線を成す。半導体パッケージ31の側面にボイド31aが生じていた場合でも、様々な角度から半導体パッケージ31に光軸が当たるため、光の入射角をゼロにした状態、即ち入射光線が半導体パッケージ31の真横に近い角度からもたらされるならば、ボイド31aの奥まで光が届くことになる。しかしながら、リードフレーム20において半導体パッケージ31は連設されており、半導体パッケージ31の側面への入射角が小さい光は隣接する半導体パッケージ31で遮られることから、半導体パッケージ31に生じたボイド31aの底面側には光が入射されず、斜め上方に設置した撮像手段によって撮影を行った場合には、影という形で現れることとなる。この検査対象となる半導体パッケージ31の斜め上方に設置したカメラ11aが撮影したデータを、判定手段60によって解析し前述の影の存在が確認されたときに、ボイド31aが発生していると判定がされる。このような方法で検査を行うことで、効率よくボイド31aの有無を検査することが出来る。
【0026】
これまで説明してきたように、制御手段50からの制御信号によって、搬送手段40がリードフレーム30を検査位置へ搬送し、照明手段20によって照らされた半導体パッケージ31の側面を撮像手段10が撮影する。この撮影データが判定手段60に送られ、判定は行われる。
【0027】
ボイド31aの有無を判定手段60により判定した後に、ボイド31aが有り不良品と判定された半導体パッケージ31には、レーザーにより印(バッドマーク)が付けられる。本発明の半導体パッケージの検査装置を使った外観検査の次工程は、半導体パッケージ31のリードフレーム30からの切断工程で、さらに半導体パッケージ31の捺印面における捺印の検査工程となっている。本工程において、前述の印(バッドマーク)が付けられているものが不良品として弁別される(本段落で説明されている部分は、本発明には含まれていない)。
【0028】
尚、本発明は上述の実施形態に限定されず、撮像手段として設けたカメラの台数他の具体的構成、光源を他の異なったものに変更するなど照明手段の具体的構成、リードフレームを搬送方向に送る搬送手段の具体的構成および搬送ステップの設定、等々は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0029】
1半導体パッケージの検査装置
10撮像手段
20照明手段
21LED照明
22拡散板
30リードフレーム
31半導体パッケージ
31aボイド
32空白部
33送り穴
34押さえ部
40搬送手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体パッケージから所定の仰角をもって設置した撮像手段を備え、前記撮像手段による撮影結果に基づいて、前記半導体パッケージ側面に生じるボイドの有無を検査する半導体パッケージの検査装置において、
同一方向を向き間隔を有して整列した状態で前記半導体パッケージが連設されたリードフレームの底面側に、照明手段が設置されており、
前記撮像手段を検査対象である前記半導体パッケージの搬送方向に沿って複数並べることで、切断前のリードフレームにおいて複数の半導体パッケージを同時に検査することを特徴とする、半導体パッケージの検査装置。
【請求項2】
検査対象である前記半導体パッケージの側面の底辺が隣接する半導体パッケージにより遮られることなく撮像可能となるように、前記撮像手段を設置する前記仰角が設定されていることを特徴とする、請求項1記載の半導体パッケージの検査装置。
【請求項3】
前記半導体パッケージの相反する方向を向いた二つの外側面を同時に撮影できるように、互いに向かい合うようにした前記撮像手段の組み合わせが複数設置されていることを特徴とする、請求項2記載の半導体パッケージの検査装置。
【請求項4】
半導体パッケージのパッケージ側面を斜め上から撮像することによって半導体パッケージ側面に生じるボイドの有無を検査する、半導体パッケージの検査方法において、
リードフレームから切断される前の前記半導体パッケージを搬送機構により検査位置に搬送し、前記半導体パッケージの底面側に設置した照明手段から光を照射し、前記半導体パッケージ側面からの反射光を用いてボイドの有無を検出することを特徴とする、半導体パッケージの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図4(c)】
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【公開番号】特開2010−175358(P2010−175358A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17515(P2009−17515)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【出願人】(591132955)株式会社秋田新電元 (29)
【Fターム(参考)】