説明

半導体モジュールの製造方法、半導体モジュール、携帯機器

【課題】銅板の突起構造と半導体素子の電極とを対向させた状態で接続する際の位置合わせ精度を向上させるとともに、半導体モジュールの製造コストの低減を図る。
【解決手段】表面Sに半導体素子2の電極2aとパターン部7bとを設けた半導体基板1を用意する。第1の主面S1とその反対側の第2の主面S2を有し、第1の主面S1に設けた突起部4aと第2の主面S2に設けた溝部4bとを備える銅板4xを形成する。パターン部7aとこれに対応する溝部4bが所定の位置関係になるように銅板4xの位置を調整することで突起部4aと電極2aとの位置合わせを行い、銅板4xの第1の主面S1側と半導体基板1とを絶縁層8を介して圧着し、突起部4aが絶縁層8を貫通した状態で突起部4aと電極2aとを電気的に接続する。第2の主面S2側に所定パターンの再配線パターン4を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュールの製造方法、半導体モジュール、携帯機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化・高機能化に伴い、電子機器に使用される半導体素子(半導体モジュール)のさらなる小型化が求められている。半導体素子の小型化に伴い、配線基板に実装するための電極間の狭ピッチ化が不可欠となっている。半導体素子の表面実装方法として、半導体素子の電極にはんだバンプを形成し、はんだバンプと配線基板のパッド電極とをはんだ付けするフリップチップ実装方法が知られている。フリップチップ実装方法では、はんだバンプ自体の大きさや、はんだ付け時のブリッジ発生などが制約となり、電極の狭ピッチ化に限界があった。このような限界を克服するための方法として、金属板をハーフエッチすることによって形成した突起構造を電極またはビアとし、金属板にエポキシ樹脂などの絶縁層を介して半導体素子を装着し、突起構造に半導体素子の電極を接続する方法が知られている(特許文献1および特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平9−289264号公報
【特許文献2】特開2000−68641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、突起構造を絶縁層に埋め込むようにして金属板、絶縁層、及び半導体素子を積層して一体化する際には、突起構造と半導体素子の電極との位置合わせ(アライメント)を行う必要がある。従来の製造技術においては、金属板側にドリルによってアライメント用貫通孔を設け、金属板の貫通孔とこれを通して認識される半導体素子上のアライメントマークとにより金属板の突起構造と半導体素子の電極との位置合わせを行っている。さらに、リソグラフィ技術とエッチング技術により金属板を所定の配線パターンに加工する際にも、こうしたアライメント用貫通孔を用いて位置合わせを行っている。しかしながら、ドリル加工の微細化限界およびその加工精度の低さためにアライメント精度の向上が難しく、製造マージン(位置合わせマージン)の低減による半導体素子(半導体モジュール)の微細化に対応してその低コスト化を図ることが困難であった。また、ドリル加工自体も処理工程の増加となり半導体素子(半導体モジュール)の製造コスト増の一因となっていた。
【0004】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、金属板の突起構造と半導体素子の電極とを対向させた状態で接続する際の位置合わせ精度を向上させるとともに、半導体モジュールの製造コストの低減を図る技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は半導体モジュールの製造方法である。この半導体モジュールの製造方法は、表面に半導体素子と、この半導体素子と電気的に接続された電極と、所定の第1のパターン部とが設けられた基板を用意する第1の工程と、第1の主面およびその反対側の第2の主面を有し、第1の主面から突出して設けられた突起部と第2の主面に設けられた所定パターンの溝部とを備える金属板を用意する第2の工程と、第1のパターン部とこれに対応する溝部が所定の位置関係になるように金属板の位置を調整することで突起部と電極との位置合わせを行い、金属板の第1の主面側と基板とを絶縁層を介して圧着し、突起部が絶縁層を貫通した状態で突起部と電極とを電気的に接続する第3の工程と、金属板の第2の主面側に所定パターンの配線層を形成する第4の工程と、を備えることを特徴とする。
【0006】
上記構成において、第4の工程は、金属板の第2の主面側をエッチバックして溝部の底部を第1の主面まで貫通させることにより金属板を所定パターンの配線層に加工していてもよい。
【0007】
上記構成において、第4の工程は、配線層の側面と、配線層の絶縁層と反対側の主面との間の領域が面取り形状となるように、金属板を加工していてもよい。
【0008】
上記構成において、第2の工程は、平板状の金属板の一方の面に突起部を形成する第1のステップと、突起部の所定の第2のパターン部を基準として平板状の金属板の他方の面に溝部を形成する第2のステップと、を備えていてもよい。
【0009】
上記構成において、半導体素子は基板に複数形成され、溝部は複数の半導体素子間を区画するように設けられたスクライブ領域にさらに形成されていてもよい。
【0010】
上記構成において、第3の工程は、金属板の第1の主面側と基板とを加熱しながら圧着し、第1のステップは、金属板の線膨張係数と基板の線膨張係数との差と、第3の工程における加熱温度と、第3の工程における加熱にともなう膨張によって移動しない金属板の基準点からの距離とに応じて、電極に対向する位置から金属板の膨張方向とは反対側にずらした位置に、突起部を形成していてもよい。
【0011】
また、本発明の別の態様は半導体モジュールである。この半導体モジュールは、突起部が設けられた配線層と、表面に半導体素子と、この半導体素子と電気的に接続されるとともに突起部に対応するように配置された電極とが設けられた基板と、配線層と基板との間に設けられた絶縁層と、を備え、突起部が絶縁層を貫通した状態で突起部と電極とが電気的に接続され、配線層の側面と、配線層の絶縁層と反対側の主面との間の領域が面取り形状であることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の別の態様は携帯機器である。この携帯機器は、上述の態様の半導体モジュールを搭載したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、金属板の突起構造と半導体素子の電極とを対向させた状態で接続する際の位置合わせ精度を向上させるとともに、半導体モジュールの製造コストの低減を図る技術が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を具現化した実施形態について図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0015】
(実施形態1)
図1は本実施形態に係る半導体モジュールの概略断面図である。図1に基づいて本実施形態の半導体モジュールについて説明する。
【0016】
本実施形態の半導体モジュールにおける半導体基板1は、P型シリコン基板などが採用され、その表面S(下面側)に周知の技術により所定の電気回路などの半導体素子2が形成され、実装面となる表面S(特に半導体素子2の外周縁部)に半導体素子2と電気的に接続された電極2aが形成されている。この電極2aの所定の領域(中央部分)が露出するように半導体基板1の表面上の領域には保護膜3が形成されている。半導体基板1の表面Sでは、電極2aのピッチをより広くするために電極2aおよび保護膜3の上に絶縁層8が形成され、この絶縁層8を貫通して電極2aの露出面に接続する突起部4aとこの突起部4aが一体的に設けられた再配線パターン4が形成されている。突起部4aは再配線パターン4の第1の主面S1に設けられ、この第1の主面S1と反対側(下面側)の所定の領域には半導体モジュール外部との信号授受を行うための外部接続電極(はんだボール)9が設けられている。
【0017】
具体的には、絶縁層8は、半導体基板1の表面Sに形成され、その厚さは、たとえば、約35μmである。絶縁層8としては、加圧したときに塑性流動を引き起こす材料が好ましい。加圧したときに塑性流動を引き起こす材料としては、エポキシ系熱硬化型樹脂が挙げられる。絶縁層8に採用されるエポキシ系熱硬化型樹脂は、たとえば、温度160℃、圧力8MPaの条件下で、粘度が1kPa・sの特性を有する材料であればよい。また、温度160℃の条件下で、この材料は15MPaで加圧した場合に、加圧しない場合と比較して、樹脂の粘度が約1/8に低下する。
【0018】
再配線パターン4は絶縁層8の上に形成されている。再配線パターン4には第1の主面S1から突出してこの絶縁層8を貫通する突起部4aが一体的に設けられている。再配線パターン4および突起部4aには、たとえば、圧延された銅からなる圧延金属が採用される。銅からなる圧延金属は、めっき処理等によって形成された銅からなる金属膜と比較すると、機械的強度の点において強く、再配線のための材料として優れている。再配線パターン4の厚さは、たとえば、約20μmであり、突起部4aの高さ(厚さ)は、たとえば、約35μmである。突起部4aは、円錐の頂点部がその底面部と平行に取り除かれた形状(以下、「円錐台」と称する)に設けられ、半導体基板1の電極2aとの接触面と平行な先端部4a1と、先端部4a1に近づくにつれて径(寸法)が細くなるように形成された側面部4a2とを備えている。突起部4aの先端(先端部4a1)の径および基面の径は、それぞれ約35μmφおよび約50μmφである。また、突起部4aは電極2aに対応する位置に設けられている。突起部4aの先端(先端部4a1)は半導体基板1の電極2aと直に接するように形成され、電極2aと再配線パターン4とを電気的に接続している。
【0019】
なお、半導体基板1は本発明の「基板」、半導体素子2は本発明の「半導体素子」、電極2aは本発明の「電極」、突起部4aは本発明の「突起部」、溝部4bは本発明の「溝部」、絶縁層8は本発明の「絶縁層」、及び再配線パターン4は本発明の「配線層」の一例である。
【0020】
(製造方法)
図2および図3は突起部と溝部とを有する銅板の形成方法を説明するための概略断面図である。図4は複数のスクライブラインにより区画された半導体基板がマトリクス状に配置された半導体ウエハを示す平面図(上面図)である。図5および図6は図1に示した本実施形態に係る半導体モジュールの製造プロセスを説明するための概略断面図である。次に、図1〜図6を参照して本実施形態に係る半導体モジュールの製造プロセスについて説明する。
【0021】
まず、図2(A)に示すように、少なくとも突起部4aの高さと再配線パターン4の厚さとの和よりも大きい厚さを有する平板状の銅板4zを用意する。銅板4zとしては圧延された銅からなる圧延金属が採用され、銅板4zの厚さは約100μmである。なお、平板状の銅板4zは本発明の「平板状の金属板」の一例である。
【0022】
図2(B)に示すように、リソグラフィ技術を用いて各半導体モジュール形成領域6内における突起部形成領域にレジストマスクPR1aを形成する。ここで、突起部形成領域の配列は複数のスクライブライン5によって複数の半導体モジュール形成領域6に区画された半導体ウエハにおける半導体基板1の各電極2aの位置に対応している。また、この際、レジストマスクPR1aには、半導体モジュール形成領域6の外側(たとえば、スクライブライン5)の所定の領域(所定の位置)に位置合わせ(アライメント)用パターン部(図7参照)を合わせて形成しておく。このパターン部には、たとえば、十字形、四角形、あるいは円などの位置合せマークが採用され、そのサイズ(全長)は、たとえば、約5μm〜約500μmの範囲である。そして、レジストマスクPR1aを設けた面の反対側(第2の主面S2)にレジスト保護膜PR1bを形成して銅板4zを保護しておく。なお、スクライブライン5は本発明の「スクライブ領域」の一例である。
【0023】
図2(C)に示すように、レジストマスクPR1aをマスクとして塩化第二鉄溶液などの薬液を用いたウェットエッチング処理を行い、銅板4zの表面に分離溝を形成することにより、銅板4yの第1の主面S1から突出する所定の円錐台パターンの突起部4aを形成する。この際、突起部4aはその先端部4a1に近づくにつれて径(寸法)が細くなるテーパ状の側面部4a2を有するように形成される。また、突起部4aの高さは約35μmとし、突起部4aの先端(先端部4a1)の径および基面の径はそれぞれ約35μmφおよび約50μmφとしている。なお、上記処理においては、銅板4yの第2の主面S2側はレジスト保護膜PR1bにより保護されている。
【0024】
図2(D)に示すように、レジストマスクPR1aおよびレジスト保護膜PR1bを除去する。これにより、銅板4yの第1の主面S1に対して突起部(先端部4a1およびこの先端部4a1に近づくにつれて径が細くなるように形成された側面部4a2を有する突起部)4aが一体的に形成される。また、半導体モジュール形成領域6の外側(たとえば、スクライブライン5)の所定の領域(所定の位置)には位置合わせ用パターン部(図7参照)が形成される。なお、レジストマスクPR1aに代えて銀(Ag)などの金属マスクを採用してもよい。この場合には、銅板4zとのエッチング選択比が十分確保されるため、突起部4aや位置合わせ用パターン部のパターニングのさらなる微細化を図ることが可能となる。
【0025】
次に、図3(A)に示すように、銅板4yの第1の主面S1側に設けた位置合わせ用パターン部を目印にして位置合わせを行い、リソグラフィ技術を用いて銅板4yの第2の主面S2側の溝部形成領域にレジストマスクPR2aを形成する。この際、レジストマスクPR2aには、半導体モジュール形成領域6の外側(たとえば、スクライブライン5)の所定の領域(所定の位置)に位置合わせ用パターン部7aを合わせて形成しておく。この位置合わせ用パターン部7aには、たとえば、十字形、四角形、あるいは円などの位置合せマークが採用され、そのサイズ(全長)は、たとえば、約5μm〜約500μmの範囲である。そして、レジストマスクPR2aを設けた面の反対側(第1の主面S1)にレジスト保護膜PR2bを形成して銅板4yを保護しておく。なお、レジストマスクPR2aの形成時の位置合わせ方法については後述する。
【0026】
図3(B)に示すように、レジストマスクPR2aをマスクとして塩化第二鉄溶液などの薬液を用いたウェットエッチング処理を行い、銅板4xに第2の主面S2から掘り下げて設けられた溝部4bを形成する。ここでは、溝部4bの深さは約20μmとしている。これにより、溝部4bは位置合わせ用パターン部7aと所定のライン/スペースパターンとを有する再配線パターン4に対応したスペースパターンに形成される。
【0027】
図3(C)に示すように、レジストマスクPR2aおよびレジスト保護膜PR2bを除去する。これにより、銅板4xの第1の主面S1から突出して設けられた突起部4aと第2の主面S2から掘り下げて設けられた溝部4bと備える銅板4xが形成される。
【0028】
このように製造した銅板4xを別途用意しておき、以下に説明する本実施形態での半導体モジュールの製造プロセスに採用する。
【0029】
まず、図5(A)に示すように、表面Sに半導体素子2、電極2a、及び保護膜3を有する半導体基板1がマトリクス状に形成された半導体ウエハを用意する。なお、半導体ウエハは、図4に示すように、複数のスクライブライン5によって複数の半導体モジュール形成領域6(半導体基板1)に格子状に区画されている。この半導体モジュール形成領域6は先に述べた半導体モジュールが形成される領域である。
【0030】
具体的には、図5(A)に示したように、P型シリコン基板などの半導体ウエハ内のそれぞれの半導体基板1に対して、その表面S(下面側)に周知の技術により所定の電気回路などの半導体素子2およびその周辺部に半導体素子2と電気的に接続された電極2aを形成する。そして、半導体基板1の表面Sに銅板4xの位置合わせ用パターン部7aに対応する領域(たとえば、スクライブライン5)の所定の位置に位置合わせ用パターン部7bを形成する。この位置合わせ用パターン部7bには、たとえば、十字形、四角形、あるいは円などの位置合せマークの中で、銅板4xの位置合わせ用パターン部7aと一対となるものが採用される。また、電極2aや位置合わせ用パターン部7bの材料にはアルミニウムなどの金属が採用される。そして、この電極2aの所定の領域(中央部分)を除いた半導体基板1の表面S上の領域に、半導体基板1を保護するための絶縁性の保護膜3を形成する。保護膜3としてはシリコン酸化膜(SiO)やシリコン窒化膜(SiN)などが採用される。なお、位置合わせ用パターン部7bは本発明の「第1のパターン部」の一例である。
【0031】
そして、銅板4xの第2の主面S2側に設けた位置合わせ用パターン部7aと半導体基板1の表面Sに設けた位置合わせ用パターン部7bが所定の位置関係(たとえば、両者が重なった状態)になるように銅板4xの位置を調整することにより、突起部4aと半導体
基板1の電極2aとの位置合わせ(重ね合わせ)を行い、半導体基板1(表面S側)と、突起部4aが形成された銅板4x(第1の主面S1側)との間に絶縁層8を挟持する。絶縁層8の厚さは、突起部4aの高さと同程度の約35μmである。なお、銅板4xと半導体基板1との位置合わせ方法については後述する。
【0032】
図5(B)に示すように、上記のように挟持した上で、プレス装置を用いて加圧成形することにより、半導体基板1、絶縁層8、及び銅板4xを一体化して積層する。プレス加工時の圧力および温度は、それぞれ約5MPaおよび200℃である。プレス加工により、絶縁層8の粘度が低下し、絶縁層8は塑性流動を起こす。これにより、突起部4aが絶縁層8を貫通し、突起部4aと電極2aとが電気的に接続される。また、突起部4aが先端部4a1に近づくにつれて径が細くなるように形成された側面部4a2を有することにより、突起部4aが絶縁層8にスムースに貫通する。この結果、突起部4aと電極2aとの界面から絶縁層8が効果的に押し出されて絶縁層8の一部が界面に残存しにくくなる。
【0033】
そして、エッチング技術を用いて銅板4xの第2の主面S2側を全面エッチバックすることにより、図5(C)に示すように、銅板4xを一様に薄膜化するとともに、溝部4bの底部を第1の主面S1まで貫通させる。これにより、溝部4bのスペースパターンが反映され、自己整合的に位置合わせ用パターン部7aと所定のライン/スペースパターンを有する再配線パターン4が形成される。再配線パターン4の厚さは、溝部4bの深さが反映され、約20μmである。また、再配線パターン4は、銅板4xの第2の主表面S2側を全面エッチバックすることにより形成されるため、その角部、すなわち再配線パターン4の側面と、絶縁層8と反対側の主面との間の領域がR形状などの面取り形状となっている。そのため、後述する外部接続電極(はんだボール)9を再配線パターン4に形成する前に、再配線パターン4を保護するための保護層としてたとえばフォトソルダーレジスト(図示せず)を積層する場合に、再配線パターン4間にフォトソルダーレジストが入り込みやすくなる。その結果、半導体素子2の小型化にともなって配線ピッチが微細化しても、再配線パターン4とフォトソルダーレジストとの間にボイド(空洞)が生じ難くなり、フォトソルダーレジストの剥離などを抑えることができる。
【0034】
次に、図6(A)に示すように、はんだ印刷法を用いて突起部4aを介して電極2aと接続されている部分の再配線パターン4に対して半導体モジュール外部との信号授受を行うための外部接続端子として機能する外部接続電極(はんだボール)9を形成する。具体的には、樹脂とはんだ材をペースト状にした「はんだペースト」を、スクリーンマスクにより所望の箇所に印刷し、はんだ溶融温度に加熱することで外部接続電極(はんだボール)9を形成する。あるいは、別の方法として再配線パターン4側にあらかじめフラックスを塗布しておき、はんだボールを再配線パターン4にマウントしてもよい。
【0035】
図6(B)に示すように、複数の半導体モジュール形成領域6を区画するスクライブライン5に沿って、半導体ウエハをダイシングすることにより半導体基板1を個別化する。この後、薬液による洗浄処理を行うことで、ダイシング時に発生する残渣などを除去する。
【0036】
これらの工程により、先の図1に示した本実施形態の半導体モジュールが製造される。
【0037】
以下に、本実施形態における突起部を有する金属板(銅板)に関する位置合わせ方法について説明する。
【0038】
まず、図7は第1の主面に突起部を有する銅板の第2の主面に対して溝部を形成する際の位置合わせ方法を説明するための概略断面図である。
【0039】
図7(A)に示すように、アライメント機能を有する露光装置においてマスクホルダ40に固定された溝部形成用マスク(所定のライン/スペースパターン41aと位置合わせ用パターン部7cが設けられたマスク)41を用いて銅板4yの第2の主面S2に溝部を形成する際、まず、溝部形成用マスク41(位置合わせ用パターン部7c)の位置合わせ用パターン部7cの像を投影し、溝部形成用マスク41(位置合わせ用パターン部7c)の下面側に設けたCCDカメラ等の撮像手段42によって撮影する。そしてこの撮影データをコンピュータに取り込んで位置合わせ用パターン部7cの画像を記憶する。
【0040】
図7(B)に示すように、基板ホルダ43に固定された銅板4yを所定の位置に介挿する。この銅板4yには先の図2(A)〜(D)で示した工程を経て第1の主面S1に突起部4aおよび位置合わせ用パターン部7dが形成され、さらに第2の主面S2にレジスト膜PR2が成膜されている。また、銅板4yはその第2の主面S2上のレジスト膜PR2を溝部形成用マスク41に対向させるように基板ホルダ43に固定されている。なお、位置合わせ用パターン部7dは本発明の「第2のパターン部」の一例である。
【0041】
そして、先と同一のCCDカメラ等の撮像手段42を用いて銅板4yの位置合わせ用パターン部7dを撮影する。
【0042】
引き続き、先の記憶した溝部形成用マスク41の位置合わせ用パターン部7cの画像を基準にして銅板4yの位置合わせ用パターン部7dの画像を重ね合わせ、両者が所定の位置関係になるように基板ホルダ43の位置を移動・調整する。このようにして銅板4yと溝部形成用マスク41と位置合わせが行われる。
【0043】
図7(C)に示すように、溝部形成用マスク41と銅板4yとを位置合わせした状態で、基板ホルダ43を溝部形成用マスク41側に移動させ、レジスト膜PR2を溝部形成用マスク41に近接または接触させて露光を行う。こうした露光の後、所定の熱処理および現像工程を経て図3(A)に示したレジストマスクPR2aが形成される。
【0044】
以上のように、露光装置のアライメント機能を採用して位置合わせを行うことができるので、容易に高精度の位置合わせが実現できる。
【0045】
次に、図8は銅板の突起部と半導体基板の電極との位置合わせ方法を説明するための概略断面図である。
【0046】
図8(A)に示すように、アライメント機能を有する圧着装置(貼り合わせ装置)において固定ホルダ50に固定された半導体ウエハ(電極2aと位置合わせ用パターン部7bを有する半導体基板1)の位置合わせ用パターン部7bの像を投影し、半導体ウエハ(半導体基板1)の下面側に設けたCCDカメラ等の撮像手段52によって撮影する。そしてこの撮影データをコンピュータに取り込んで位置合わせ用パターン部7bの画像を記憶する。
【0047】
図8(B)に示すように、基板ホルダ53に固定された銅板4xを所定の位置に介挿するとともに、半導体ウエハ(半導体基板1)と銅板4xとの間に絶縁層8を介在させて配置する。この銅板4xには第1の主面S1に突起部4aおよび位置合わせ用パターン部(図7参照)が形成され、さらに第2の主面S2に所定パターンの溝部4bおよび位置合わせ用パターン部7aが形成されている。そして、銅板4xはその第1の主面S1の突起部4aを半導体ウエハ(半導体基板1)に対向させた状態で基板ホルダ53に固定されている。
【0048】
そして、先と同一のCCDカメラ等の撮像手段52を用いて銅板4xの位置合わせ用パターン部7aを撮影する。
【0049】
引き続き、先の記憶した半導体ウエハ(半導体基板1)の位置合わせ用パターン部7bの画像を基準にして銅板4xの位置合わせ用パターン部7aの画像を重ね合わせ、両者が所定の位置関係になるように基板ホルダ53の位置を移動・調整する。このようにして銅板4xと半導体ウエハ(半導体基板1)と位置合わせが行われる。
【0050】
図8(C)に示すように、銅板4xと半導体ウエハ(半導体基板1)とを位置合わせした状態で、基板ホルダ53を半導体ウエハ(半導体基板1)側に移動させ、銅板4xを半
導体ウエハ(半導体基板1)に絶縁層8を介して圧着する。この際、突起部4aが絶縁層8を貫通することにより突起部4aと半導体基板1の電極2aとが電気的に接続される。なお、位置合わせを行った後、別の装置にて圧着処理を行ってもよい。
【0051】
このようにして先の図5(A)および図5(B)で示した工程が処理され、圧着装置(貼り合わせ装置)のアライメント機能を採用して位置合わせを行うことができるので、容易に高精度の位置合わせが実現できる。
【0052】
本実施形態の半導体モジュールの製造方法によれば、以下の効果を得ることができる。
【0053】
(1)第1の主面S1に突起部4aを有する銅板4xにおいてその反対側の第2の主面S2に溝部4bを設け、こうした銅板4xを半導体基板1に圧着する際、溝部4bを位置合わせのための目印として利用することで、従来のドリル加工による位置合わせ用パターン部(アライメント用貫通孔)の形成工程が不要となり、半導体モジュールを低コストで製造することができる。また、位置合わせのための目印を再配線パターン4のスペースパターンに対応する溝部4bとしたことで、再配線パターン4に対応する加工精度を利用して位置合わせを行うことができるため、従来のドリル加工による位置合わせ用パターン部(アライメント用貫通孔)を用いた位置合わせに比べて位置合わせを高精度に行うことができる。この結果、銅板4xの突起部4aと半導体基板1の電極2aとの圧着の際に、突起部4aと電極2aとが高精度に位置合わせされた半導体モジュールを低コストで製造することができる。
【0054】
(2)第1の主面S1に突起部4aを有する銅板4xにおいてその反対側の第2の主面S2に再配線パターン4のスペースパターンに対応する溝部4bを設け、こうした銅板4xを半導体基板1に圧着した後、この溝部4bの底部を貫通させて銅板4xを再配線パターン4に加工するようにしたことで、圧着後における再配線パターン4の形成にリソグラフィ工程が不要となり、半導体モジュールを低コストで製造することができる。
【0055】
(3)第1の主面S1に突起部4aを有する銅板4xにおいてその反対側の第2の主面S2に溝部4bを設けたことで、少なくとも溝部4b部分で銅板4xが薄膜化されて銅板4xの反りを低減することができるので、銅板4xと半導体基板1との圧着時の位置合わせ精度をさらに向上させることができる。
【0056】
(4)平板状の銅板4zの一方の面に突起部4aを形成した後、従来のドリル加工による位置合わせ用パターン部(アライメント用貫通孔)を採用せず、突起部4aの位置合わせ用パターン部7dを基準にして平板状の銅板4zの他方の面に溝部4bを形成したことで、溝部4bとその反対の面にある突起部4aとの位置関係が高精度に制御される。このため、溝部4bを位置合わせのための目印として利用した際、突起部4aと半導体基板1の電極2aとの位置合わせをより高精度に行うことができる。
【0057】
(5)スクライブライン5は一般に半導体ウエハ(半導体基板1)の表面に縦横に形成された複数の半導体素子2を個々の半導体素子2に区画するように囲む格子状の領域であり、半導体ウエハ(半導体基板1)をダイシングして個別化する際に除去される領域である。このため、スクライブライン5には、溝部4b(位置合わせ用パターン部7a)を半導体素子2の電極2aなどの、再配線パターン4のレイアウトを考慮せずに設けることができ、さらに別の半導体素子を新たに製造する場合にも共通化して利用することが可能となる。したがって、銅板4xの溝部4b(位置合わせ用パターン部7a)を複数の半導体素子2間を区画するスクライブライン5にさらに形成したことで、銅板4xと半導体基板1との圧着の際に突起部4aと電極2aとの位置合わせ精度が向上した半導体モジュールをさらに低コストで製造することができる。
【0058】
(6)半導体モジュールが個別化される前の半導体ウエハの状態で一括して突起部4aおよび溝部4bを有する銅板4xを圧着して再配線パターン4を形成したので、半導体モジュールごとに個別に銅板4xを圧着して再配線パターン4などを形成する場合に比べて、半導体モジュールの製造コストを低減することができる。
【0059】
(7)本製造方法によれば、銅板4xの突起部4aと半導体基板1の電極2aとの位置合わせを高精度に行うことができるので、それらの位置合わせマージンを低減することができ、たとえば、半導体基板1の電極2aのサイズ(寸法)を微細化することが可能となる。このため、半導体モジュールを小型化することができる。
【0060】
(8)再配線パターン4は、その側面と、絶縁層8と反対側の主面との間の領域が面取り形状となっているため、再配線パターン4を保護するための保護層を積層する場合に、再配線パターン4間に保護層が入り込みやすくなる。そのため、半導体素子2の小型化にともなって配線ピッチが微細化しても、再配線パターン4と保護層との間にボイド(空洞)が生じ難くなり、保護層の剥離などを抑えることができ、その結果、半導体モジュールの実装信頼性が向上する。
【0061】
(実施形態2)
上述の実施形態1では、銅板4zにおける半導体基板1の各電極2aに対応した位置に突起部4aを形成したが、本実施形態では銅板4xと半導体基板1のそれぞれの線膨張係数の差異と、銅板4xと半導体基板1の圧着時の加熱温度と、加熱にともなう膨張によって移動しない銅板4xの基準点からの距離とを考慮した位置に突起部4aを形成した点が実施形態1と異なる。以下、本実施形態について説明する。なお、実施形態1と同様の構成、方法については、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0062】
図9および図10は本実施形態に係る突起部と溝部とを有する銅板の形成方法を説明するための概略断面図である。図11は本実施形態に係る半導体モジュールの製造プロセスを説明するための概略断面図である。
【0063】
図9(A)に示すように、リソグラフィ技術を用いて、用意した銅板4zの所定の突起部形成領域にレジストマスクPR1aを形成する。所定の突起部形成領域は、後述する突起部4aと溝部4bと備える銅板4xの線膨張係数と半導体基板1の線膨張係数との差と、銅板4xと半導体基板1との圧着時の加熱温度と、加熱にともなう膨張によって移動しない銅板4xの基準点からの距離とに応じて、電極2aに対向する位置から銅板4xの膨張方向とは反対側にずらした位置となっている。ここで、銅板4xおよびシリコンからなる半導体基板1の線膨張係数は、それぞれ約17ppm/℃および約3ppm/℃である。また、加熱にともなう膨張によって移動しない基準点は、通常、銅板4xの中心点である。
【0064】
本実施形態では、図4に示すように、複数のスクライブライン5により区画された半導体基板1がマトリクス状に配置された半導体ウエハに銅板4xを圧着している。そこで、スクライブライン5の幅を、銅板4xの線膨張係数と半導体基板1の線膨張係数との差と、圧着時の加熱温度とに応じた距離だけ狭くしている。すなわち、本実施形態では、半導体基板1に対応する銅板4xの区画単位で銅板4xの突起部4aを半導体ウェハの中心方向内側にずらしている。また、半導体ウェハの中心点に対応する銅板4xの点を、加熱にともなう膨張によって移動しない基準点とし、また各スクライブライン5の幅を狭くしている。そのため、基準点から離れた銅板4xの区画ほど中心方向への移動距離が大きくなり、すなわち突起部4aは区画単位で基準点からの距離に応じた距離だけずれることとなる。具体的には、たとえば半導体基板1の大きさが一辺10mmであった場合、各スクライブライン5の幅を10μm狭くしている。なお、図9では、中央の半導体モジュール形成領域6にある銅板4zの区画を半導体ウェハの中央の半導体基板1に対応する区画としている。
【0065】
図9(B)に示すように、レジストマスクPR1aをマスクとしてウェットエッチング処理を行い、突起部4aを形成する。
【0066】
図9(C)に示すように、レジストマスクPR1aおよびレジスト保護膜PR1bを除去する。これにより、銅板4yの第1の主面S1に対して突起部4aが一体的に形成される。
【0067】
次に、図10(A)に示すように、リソグラフィ技術を用いて銅板4yの第2の主面S2側の溝部形成領域にレジストマスクPR2aを形成する。
【0068】
図10(B)に示すように、レジストマスクPR2aをマスクとしてウェットエッチング処理を行い、溝部4bを形成する。ここで、溝部4bは、突起部4aの形成領域に対応するように、銅板4xの線膨張係数と半導体基板1の線膨張係数との差と、加熱温度と、加熱により移動しない基準点からの距離に応じた距離だけ銅板4xの膨張方向とは反対側にずらした位置に形成する。本実施形態では、一辺10mmの半導体基板1に対して各スクライブライン5の幅を10μm狭くして、各半導体基板1に対応する銅板4yの区画単位で溝部4bを半導体ウェハの中心方向内側にずらしている。
【0069】
図10(C)に示すように、レジストマスクPR2aおよびレジスト保護膜PR2bを除去する。これにより、突起部4aと溝部4bと備える銅板4xが形成される。
【0070】
このように製造した銅板4xを別途用意しておき、以下に説明する本実施形態での半導体モジュールの製造プロセスに採用する。
【0071】
まず、図11(A)に示すように、表面Sに半導体素子2、電極2a、及び保護膜3を有する半導体基板1がマトリクス状に形成された半導体ウエハを用意する。そして、半導体基板1(表面S側)と、突起部4aが形成された銅板4x(第1の主面S1側)との間に絶縁層8を挟持する。その際、実施形態1と同様に、銅板4xの第2の主面S2側に設けた位置合わせ用パターン部7aと半導体基板1の表面Sに設けた位置合わせ用パターン部7bが所定の位置関係になるように銅板4xの位置を調整することにより、銅板4xと半導体基板1との位置合わせを行うようにしてもよい。
【0072】
図11(B)に示すように、プレス装置を用いて加圧成形することにより、半導体基板1、絶縁層8、及び銅板4xを一体化して積層する。これにより、突起部4aが絶縁層8を貫通し、突起部4aと電極2aとが電気的に接続される。ここで、プレス装置での加圧成形時の温度上昇によって、銅板4xおよび半導体基板1が熱膨張する。前述の通り、突起部4aは銅板4xおよび半導体基板1の線膨張係数の差と、加熱温度と、加熱により移動しない基準点からの距離に応じた距離だけずらした位置に形成されているため、プレス装置での加圧成形時の熱膨張により、突起部4aは電極2aに対向する位置に移動する。そのため、突起部4aと電極2aとをより高精度に位置合わせすることができ、その結果、突起部4aと電極2aとの間の接続信頼性がさらに向上する。また、溝部4bについても、突起部4aと同様の距離だけずらした位置に形成されているため、熱膨張により溝部4bは再配線パターン4に対応する位置に移動する。
【0073】
続く再配線パターン4の形成、外部接続電極(はんだボール)9の形成、半導体基板1の個別化は、実施形態1と同様であり、その説明は省略する。
【0074】
本実施形態の半導体モジュールの製造方法によれば、実施形態1の上記(1)〜(8)の効果に加え、以下のような効果を得ることができるようになる。
【0075】
(9)銅板4xの線膨張係数と半導体基板1の線膨張係数との差と、圧着時の加熱温度と、加熱により移動しない基準点からの距離に応じた距離だけ、電極2aに対向する位置から銅板4xの膨張方向とは反対側にずらした位置に突起部4aを形成している。そのため、銅板4xの突起部4aと半導体基板1の電極2aとの圧着の際に、突起部4aと電極2aとがより高精度に位置合わせされた半導体モジュールを製造することができ、半導体モジュールの接続信頼性をさらに向上させることができる。
【0076】
(実施形態3)
次に、本発明の各実施形態に係る半導体モジュールを備えた携帯機器について説明する。なお、携帯機器として携帯電話に搭載する例を示すが、たとえば、個人用携帯情報端末(PDA)、デジタルビデオカメラ(DVC)、及びデジタルスチルカメラ(DSC)といった電子機器であってもよい。
【0077】
図12は本発明の実施形態に係る半導体モジュールを備えた携帯電話の構成を示す図である。携帯電話111は、第1の筐体112と第2の筐体114が可動部120によって連結される構造になっている。第1の筐体112と第2の筐体114は可動部120を軸として回動可能である。第1の筐体112には文字や画像等の情報を表示する表示部118やスピーカ部124が設けられている。第2の筐体114には操作用ボタンなどの操作部122やマイク部126が設けられている。なお、本発明の各実施形態に係る半導体モジュールはこうした携帯電話111の内部に搭載されている。
【0078】
図13は図12に示した携帯電話の部分断面図(第1の筐体112の断面図)である。本発明の各実施形態に係る半導体モジュールは、外部接続電極(はんだボール)9を介してプリント基板128に搭載され、こうしたプリント基板128を介して表示部118などと電気的に接続されている。また、半導体モジュールの裏面側(外部接続電極(はんだボール)9とは反対側の面)には金属基板などの放熱基板116が設けられ、たとえば、半導体モジュールから発生する熱を第1の筐体112内部に篭もらせることなく、効率的に第1の筐体112の外部に放熱することができるようになっている。
【0079】
本発明の実施形態に係る半導体モジュールを備えた携帯機器によれば、以下の効果を得ることができる。
【0080】
(10)突起部4aと電極2aとの間の位置合わせ精度が向上し、半導体モジュールの接続信頼性が向上するので、こうした半導体モジュールを搭載した携帯機器の信頼性が向上する。
【0081】
(11)半導体モジュールの製造コストが低減されるので、こうした半導体モジュールを搭載した携帯機器の製造コストを抑制することができる。
【0082】
本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
【0083】
上記実施形態では、スクライブライン5内に位置合わせ用パターン部7bおよびこれに対応する位置合わせ用パターン部7aを設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、半導体モジュール形成領域6内に設けるようにしてもよい。この場合には上記(5)以外の効果を享受することができる。
【0084】
上記実施形態では、銅板4xの突起部4aを円錐台で、その先端部4a1に近づくにつれて径が細くなるように形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、所定の径(寸法)を有する円柱状の突起部であってもよい。また、突起部4aとして丸型のものを採用したが、四角形などの多角形であってもよい。この場合にも同様の効果を享受することができる。
【0085】
上記実施形態では、半導体基板1(半導体素子2)の電極2aのピッチをより広くするために、突起部4aを絶縁層8に埋め込むようにして銅板4x、絶縁層8、及び半導体素子2を積層させて再配線パターン4を形成し、その裏面側に外部接続電極(はんだボール)9を設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、突起部と溝部とを有する銅板を用いて配線層を繰り返し形成して多層化するようにしてもよい。これによれば、配線層と突起部(ビアコンタクトに相当)との位置合わせ精度が向上した多層配線とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】実施形態1に係る半導体モジュールの概略断面図である。
【図2】図2(A)〜(D)は突起部と溝部とを有する銅板の形成方法を説明するための概略断面図である。
【図3】図3(A)〜(C)は突起部と溝部とを有する銅板の形成方法を説明するための概略断面図である。
【図4】複数のスクライブラインにより区画された半導体基板がマトリクス状に配置された半導体ウエハを示す平面図である。
【図5】図5(A)〜(C)は半導体モジュールの製造プロセスを説明するための概略断面図である。
【図6】図6(A),(B)は半導体モジュールの製造プロセスを説明するための概略断面図である。
【図7】図7(A)〜(C)は位置合わせ方法を説明するための概略断面図である。
【図8】図8(A)〜(C)は位置合わせ方法を説明するための概略断面図である。
【図9】図9(A)〜(C)は実施形態2に係る突起部と溝部とを有する銅板の形成方法を説明するための概略断面図である。
【図10】図10(A)〜(C)は突起部と溝部とを有する銅板の形成方法を説明するための概略断面図である。
【図11】図11(A),(B)は半導体モジュールの製造プロセスを説明するための概略断面図である。
【図12】実施形態3に係る携帯電話の構成を示す図である。
【図13】携帯電話の部分断面図である。
【符号の説明】
【0087】
1 半導体基板、 2 半導体素子、 2a 電極、 3 保護膜、 4 再配線パターン、 4a 突起部、 4a1 突起部の先端部、 4a2 突起部の側面部、 4b 溝部、 5 スクライブライン、 6 半導体モジュール形成領域、 7a,7b 位置合わせ用パターン部、 8 絶縁層、 9 外部接続電極(はんだボール)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に半導体素子と、この半導体素子と電気的に接続された電極と、所定の第1のパターン部とが設けられた基板を用意する第1の工程と、
第1の主面およびその反対側の第2の主面を有し、前記第1の主面から突出して設けられた突起部と前記第2の主面に設けられた所定パターンの溝部とを備える金属板を用意する第2の工程と、
前記第1のパターン部とこれに対応する溝部が所定の位置関係になるように金属板の位置を調整することで前記突起部と前記電極との位置合わせを行い、前記金属板の前記第1の主面側と前記基板とを絶縁層を介して圧着し、前記突起部が前記絶縁層を貫通した状態で前記突起部と前記電極とを電気的に接続する第3の工程と、
前記金属板の前記第2の主面側に所定パターンの配線層を形成する第4の工程と、
を備えることを特徴とする半導体モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記第4の工程は、前記金属板の前記第2の主面側をエッチバックして前記溝部の底部を前記第1の主面まで貫通させることにより前記金属板を所定パターンの配線層に加工していることを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記第4の工程は、前記配線層の側面と、前記配線層の前記絶縁層と反対側の主面との間の領域が面取り形状となるように、前記金属板を加工していることを特徴とする請求項2に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記第2の工程は、平板状の金属板の一方の面に前記突起部を形成する第1のステップと、前記突起部の所定の第2のパターン部を基準として前記平板状の金属板の他方の面に前記溝部を形成する第2のステップと、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記半導体素子は前記基板に複数形成され、
前記溝部は複数の前記半導体素子間を区画するように設けられたスクライブ領域にさらに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記第3の工程は、前記金属板の前記第1の主面側と前記基板とを加熱しながら圧着し、
前記第1のステップは、前記金属板の線膨張係数と前記基板の線膨張係数との差と、前記第3の工程における加熱温度と、前記第3の工程における加熱にともなう膨張によって移動しない前記金属板の基準点からの距離とに応じて、前記電極に対向する位置から前記金属板の膨張方向とは反対側にずらした位置に、前記突起部を形成していることを特徴とする請求項4に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項7】
突起部が設けられた配線層と、
表面に半導体素子と、この半導体素子と電気的に接続されるとともに前記突起部に対応するように配置された電極とが設けられた基板と、
前記配線層と前記基板との間に設けられた絶縁層と、
を備え、
前記突起部が前記絶縁層を貫通した状態で前記突起部と前記電極とが電気的に接続され、
前記配線層の側面と、前記配線層の前記絶縁層と反対側の主面との間の領域が面取り形状であることを特徴とする半導体モジュール。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体モジュールを搭載したことを特徴とする携帯機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−211189(P2008−211189A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12240(P2008−12240)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】