説明

半導体レーザ、光源装置、照明装置、プロジェクタおよびモニタ装置

【課題】光源装置を構成する回路の実装上存在する浮遊インダクタンスによって発生する動作効率の低下を抑制する。
【解決手段】半導体レーザは、同一の半導体基板上にレーザ発光素子とフリーホイールダイオードとが形成されており、レーザ発光素子の電流入力端子にフリーホイールダイオードのカソードが接続され、レーザ発光素子の電流出力端子にフリーホイールダイオードのアノードが接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザや、半導体レーザを用いた光源装置、光源装置を用いた照明装置、プロジェクタ、モニタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像を拡大投写するプロジェクタには、一般的に、その光源として、超高圧水銀ランプ(UHP)が用いられていた。しかし、UHPは、最高輝度に到達するまでに数分程度の時間を要するため瞬時点灯が困難であることや、寿命が比較的短いこと、色再現性範囲が十分でない等の種々の課題が存在していた。そこで、近年では、光源として半導体レーザを用いる手法が開発されつつある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
半導体レーザは、レーザ発振開始電流以上の電流値を有する駆動電流が流れるように、半導体レーザを構成するレーザダイオード(レーザ発光素子)に駆動電圧を印加することによって、レーザダイオードがレーザ発振を開始してレーザ光を発するものである。ただし、レーザダイオードに直流の駆動電圧を印加することは、長寿命化のためには望ましくない。そこで、通常は、レーザダイオードに対してパルス状の駆動電圧を印加してパルス状の駆動電流を流して、レーザ光が発するように動作させている。以下、この動作を「パルス駆動」と呼ぶ。
【0004】
しかしながら、レーザダイオードをパルス駆動した場合、光源装置を構成する回路の実装上存在する浮遊インダクタンスによって、レーザダイオードに駆動電圧とは逆向きのフライバック電圧が印加されることになり、レーザダイオードを駆動する回路の動作効率の低下を招く、という問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開2006−106130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上記した問題点を解決するためになされたものであり、半導体レーザを用いた光源装置において、光源装置を構成する回路の実装上存在する浮遊インダクタンスによって発生する動作効率の低下の抑制を可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記した目的の少なくとも一部を達成するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
光源装置であって、
半導体レーザと、
前記半導体レーザにパルス状の駆動電流を供給する駆動回路と、を備え、
前記半導体レーザは、
同一の半導体基板上にレーザ発光素子とフリーホイールダイオードとが形成されており、
前記レーザ発光素子の電流入力端子に前記フリーホイールダイオードのカソードが接続され、前記レーザ発光素子の電流出力端子に前記フリーホイールダイオードのアノードが接続されている、
光源装置。
【0009】
適用例1の光源装置では、半導体レーザのレーザ発光素子と同じ半導体基板上にフリーホイールダイオードを有しているので、光源装置を構成する回路の実装上存在する浮遊インダクタンスによって発生するレーザ発光素子の損失を抑制し、レーザ発光素子を駆動する回路の動作効率の低下を抑制することが可能である。
【0010】
[適用例2]
適用例1記載の光源装置であって、さらに、
前記半導体レーザから発せられたレーザ光の波長を所定の波長に変換する波長変換素子を備える、
光源装置。
【0011】
適用例2によれば、レーザ光の波長とは異なった波長のレーザ光を容易に射出することが可能である。
【0012】
[適用例3]
適用例2記載の光源装置であって、
前記半導体レーザの前記レーザ発光素子は、赤外レーザ光を発するものである、
光源装置。
【0013】
適用例3によれば、赤外レーザ光を発するレーザ発光素子は比較的容易に形成することができるので、半導体レーザのレーザ発光素子として、赤外レーザ光を発するものとすることにより、容易に可視の波長を有するレーザ光を射出することが可能である。
【0014】
[適用例4]
適用例3記載の光源装置であって、
前記波長変換素子は、前記赤外レーザ光の波長を、赤色、緑色、および、青色のいずれかに相当する波長に変換する素子である、
光源装置。
【0015】
[適用例5]
半導体レーザであって、
同一の半導体基板上にレーザ発光素子とフリーホイールダイオードとが形成されており、
前記レーザ発光素子の電流入力端子に前記フリーホイールダイオードのカソードが接続され、前記レーザ発光素子の電流出力端子に前記フリーホイールダイオードのアノードが接続されている、
半導体レーザ。
【0016】
適用例5の半導体レーザを用いて光源装置を構成すれば、適用例1の光源装置と同様の作用・効果を得ることができる。
【0017】
[適用例6]
照明装置であって、
適用例1記載の光源装置と、
前記光源装置から射出された光を拡散する拡散素子と、
を備える、照明装置。
【0018】
適用例6の照明装置によれば、高出力な照明を行うことが可能になる。
【0019】
[適用例7]
入力した画像信号に応じて画像を投写するプロジェクタであって、
適用例1記載の光源装置と、
前記画像信号に応じて変調された光を投写する投写部と
を備える、プロジェクタ。
【0020】
適用例7のプロジェクタによれば、高輝度の画像を投写することができる。
【0021】
[適用例8]
撮影した被写体を出力するモニタ装置であって、
適用例1記載の光源装置と、
前記光源装置から射出された光を拡散する拡散素子と、
前記拡散素子によって照明された被写体を撮像する撮像部と
を備える、モニタ装置。
【0022】
適用例8のモニタ装置によれば、高出力のレーザ光源によって、被写体を明るく照射することができるので、明瞭な画像を撮像することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づき次の順序で説明する。
A.第1実施例(照明装置):
B.第2実施例(モニタ装置):
C.第3実施例(プロジェクタ):
D.変形例:
【0024】
A.第1実施例(照明装置):
A1.照明装置の構成:
図1は、本発明の第1実施例としての照明装置10の概略構成図である。照明装置10は、レーザ光源装置12と、レーザ光源装置12から発せられたレーザ光を拡散する拡散素子14と、を備える。
【0025】
レーザ光源装置12は、パッケージ60内に、マウント20C上に実装された半導体レーザ20と、波長変換素子30と、反射ミラー40と、が配置されることにより構成されている。
【0026】
拡散素子14としては、例えば、拡散レンズや、入射した光が拡散するように干渉縞が予め形成されたホログラム素子を用いることができる。
【0027】
半導体レーザ20は、駆動回路50によってパルス状の駆動電流が供給されることによって駆動され、赤外レーザ光を射出する。なお、半導体レーザ20については、さらに後述する。
【0028】
波長変換素子30は、第2高調波発生(Second Harmonic Generation:SHG)の現象、すなわち、2個の光子が2倍の振動数をもつ1個の光子に変換される2次の非線形光学現象を引き起こす素子であり、強誘電体材料に分極反転構造が形成されたものである。波長変換素子30は、半導体レーザ20から発せられたレーザ光LB1を内部に導入し、これを、青色や緑色、赤色などの可視レーザ光LB2に波長変換する。
【0029】
波長変換素子30内の分極反転構造は、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムを用いた素子において電界印加法により形成されている。なお、分極反転構造の形成方法は、この方法に限る必要もなく、イオン交換による分極反転法、電子ビームによるマイクロドメイン反転法等の他の方法によるものであってもよい。材料についても、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムに限る必要はなく、それぞれの方法における適正な材料を用いる構成とすればよい。
【0030】
反射ミラー40は、波長変換素子30側の面40aに特殊コーティングが施されたものである。この特殊コーティングは、半導体レーザ20から発せられた励起光に対しては高反射、波長変換素子30から発した第2高調波に対しては高透過となるものである。これにより、波長変換素子30から射出された第2高調波は、反射ミラー40を透過し、可視光に波長変換されたレーザ光LB2として拡散素子14に照射される。
【0031】
A2.半導体レーザの構成:
図2は、半導体レーザ20の内部構成について示す説明図であり、図2(A)は等価回路図を示し、図2(B)は概略断面構造図を示している。
【0032】
半導体レーザ20は、図2(A)の等価回路図に示すように、レーザ発光素子としてのレーザダイオードLDとフリーホイールダイオードFWDとで構成されており、これらレーザダイオードLDとフリーホイールダイオードFWDとは、図2(B)の概略断面構造図に示すように、GaAsで構成される同一のサブストレート(半導体基板)21上に形成されている。
【0033】
レーザダイオードLDは、サブストレート21上に、p型領域22LDおよびn型領域23LDが順に形成されることにより構成されており、サブストレート21に対して垂直な方向にレーザ光を射出するVCSEL(Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser)と呼ばれるものである。レーザダイオードLDのp型領域22LDは、サブストレート21を介してp側電極24LDに接続されており、p側電極24LDは、第1の半導体レーザ接続端子Lt1に接続されている。また、レーザダイオードLDのn型領域23LDは、n側電極25LDに接続されており、n側電極25LDは、第2の半導体レーザ接続端子Lt2に接続されている。p側電極24LDがレーザ発光素子の電流入力端子に相当し、n側電極25LDがレーザ発光素子の電流出力端子に相当する。なお、p側電極24LDには、レーザ光を射出するための射出窓24LDwが設けられている。また、n型電極25LDの上には、金属のマウント20Cに半導体レーザ20を取り付けるために、マウント20Cの熱膨張を緩和するための緩和部材としてのサブマウント26が形成されている。このサブマウント26としては、例えば、酸化ベリリウム等が利用される。
【0034】
フリーホイールダイオードFWDは、サブストレート21上に、n型領域(カソード)23FWDおよびp型領域(アノード)22FWDが形成されることにより構成される、一般的なダイオードである。
【0035】
フリーホイールダイオードFWDのn型領域23FWDは、サブストレート21およびレーザダイオードLDのp側電極24LDを介して、レーザダイオードLDのp型領域22LDに接続されており、フリーホイールダイオードFWDのp型領域22FWDは、レーザダイオードLDのn側電極25LDに接続されている。すなわち、フリーホイールダイオードFWDは、レーザダイオードLDのpn接合の向きとは逆向きのpn接合となるように、レーザダイオードLDに並列に接続されている。
【0036】
以上説明した半導体レーザ20は、第1の半導体レーザ接続端子Lt1と第2の半導体レーザ接続端子Lt2との間にパルス状の駆動電圧を印加して、第1の半導体レーザ接続端子Lt1から第2の半導体レーザ接続端子Lt2へ向けてパルス状の駆動電流を流すことによってレーザダイオードLDを駆動し、レーザダイオードLDからレーザ光を射出するものである。
【0037】
A3.実施例の効果:
半導体レーザ20は、上記したように、レーザダイオードLDのpn接合の向きとは逆向きのpn接合となるように、レーザダイオードLDに並列に接続されたフリーホイールダイオードFWDを、同一のサブストレート上に有している点に特徴を有しており、これにより、以下で説明する効果を得ることが可能である。
【0038】
図3は、本実施例の効果を示す説明図であり、具体的には、半導体レーザ20の駆動回路50を実装した駆動回路基板50Pが、半導体レーザ20に接続された状態を示す説明図である。
【0039】
図3に示すように、半導体レーザ20の第1の半導体レーザ接続端子Lt1および第2の半導体レーザ接続端子Lt2は、駆動回路基板50P上の2つの駆動回路接続端子Dt1,Dt2に接続されることにより、駆動回路基板50P上に実装された駆動回路50に接続されている。
【0040】
半導体レーザ20を構成するレーザダイオードLDは、駆動回路50から、レーザ発振開始電流以上の電流値を有する駆動電流が流れるように、半導体レーザ20の第1の半導体レーザ接続端子Lt1と第2の半導体レーザ接続端子Lt2との間に、DC/DCコンバータ52によって生成された駆動電圧Vdが印加されることによって、レーザ発振を開始してレーザ光を発する。しかしながら、レーザダイオードLDに直流の駆動電圧Vdを印加することは、レーザダイオードLDの長寿命化のためには望ましくない。そこで、駆動回路50は、ゲート駆動回路54がゲートトランジスタGTrに対してパルス状のゲート電圧を印加することにより、ゲートトランジスタGTrのオンとオフを繰り返し、半導体レーザ20の第1の半導体レーザ接続端子Lt1と第2の半導体レーザ接続端子Lt2との間に、パルス状の駆動電圧Vdpを印加し、半導体レーザ20のレーザダイオードLDに対してパルス状の駆動電流Idpを流して、半導体レーザ20を駆動することとしている。
【0041】
ここで、駆動回路50が実装される駆動回路基板50P上では、DC/DCコンバータ52から駆動回路接続端子Dt1までの間の実装配線には、図示するように、いわゆる浮遊インダクタンスLs1が形成される。また、駆動回路接続端子Dt1と半導体レーザ20の第1の半導体レーザ接続端子Lt1との間を接続する接続配線にも、図示するように、浮遊インダクタンスLs2が形成される。
【0042】
これらの浮遊インダクタンスLs1,Ls2は、ゲートトランジスタGTrがオンからオフに変化した時に、オンの時に印加されている駆動電圧Vdpの電圧とは正負の向きが逆のフライバック電圧を発生させるため、このフライバック電圧が半導体レーザ20の第1の半導体レーザ接続端子Lt1と第2の半導体レーザ接続端子Lt2との間に印加されることになる。
【0043】
仮に、半導体レーザ20中に設けられているフリーホイールダイオードFWDが無かった場合には、浮遊インダクタンスLs1,Ls2によって発生したフライバック電圧がレーザダイオードLDに印加されることになるため、フライバック電圧によるレーザダイオードLDの損失が大きくなり、レーザダイオードLDの動作効率の低下を招く、という問題がある。
【0044】
一方、半導体レーザ20は、レーザダイオードLDのpn接合の向きとは逆向きのpn接合となるように、レーザダイオードLDに並列に接続されたフリーホイールダイオードFWDを、同一のサブストレート上に有しているので、上記のような接続配線の浮遊インダクタンスによるフライバック電圧が発生しても、フリーホイールダイオードFWDの順方向電圧以上の電圧がレーザダイオードLDに印加されないように制限することができる。
【0045】
ここで、例えば、フリーホイールダイオードを、駆動回路基板50P上に実装することも考えられる(図3の駆動回路基板50P中に波線で示す。)。しかしながら、この場合には、駆動回路基板50P上の接続配線によって形成される浮遊インダクタンスLs1により発生するフライバック電圧を制限することは可能であるが、駆動回路基板50Pと半導体レーザ20との接続配線によって形成される浮遊インダクタンスLs2により発生するフライバック電圧を制限することができない。一方、半導体レーザ20は、レーザダイオードLDと同じサブストレート上にフリーホイールダイオードを有しているので、レーザダイオードLDとフリーホイールダイオードFWDとを接続する微小な配線は発生するものの、これによる浮遊インダクタンスは、外部の接続配線に比べれば非常に小さくなるので、効果的なフライバック電圧の制限が可能である。
【0046】
以上のように、半導体レーザ20は、浮遊インダクタンスにより発生するフライバック電圧を効果的に制限することができるので、フライバック電圧によるレーザダイオードLDの損失を抑制し、レーザダイオードLDの動作効率の低下を抑制することが可能である。従って、この半導体レーザ20を用いたレーザ光源装置12およびレーザ光源装置12を用いた照明装置10は、高出力なレーザ光を射出することが可能である。
【0047】
B.第2実施例(モニタ装置):
図4は、本発明の第2実施例としてのモニタ装置400の概略構成図である。モニタ装置400は、装置本体410と、光伝送部420とを備える。装置本体410は、前述した第1実施例のレーザ光源装置12を備える。
【0048】
光伝送部420は、光を送る側と受ける側の2本のライトガイド421,422を備える。各ライトガイド421,422は、多数本の光ファイバを束ねたもので、レーザ光を遠方に送ることができる。光を送る側のライトガイド421の入射側にはレーザ光源装置12が配設され、その出射側には拡散板423が配設されている。レーザ光源装置12から射出したレーザ光は、ライトガイド421を伝って光伝送部420の先端に設けられた拡散板423に送られ、拡散板423により拡散されて被写体を照射する。
【0049】
光伝送部420の先端には、結像レンズ424も設けられており、被写体からの反射光を結像レンズ424で受けることができる。その受けた反射光は、受け側のライトガイド422を伝って、装置本体410内に設けられた撮像手段としてのカメラ411に送られる。この結果、レーザ光源装置12により出射したレーザ光により被写体を照射したことで得られる反射光に基づく画像をカメラ411で撮像することができる。
【0050】
以上のように構成されたモニタ装置400によれば、高出力のレーザ光源装置12により被写体を照射することができることから、カメラ411によって画像を明瞭に撮影することができる。
【0051】
C.第3実施例(プロジェクタ):
図5は、本発明の第3実施例としてのプロジェクタ500の概略構成図である。図中においては、簡略化のためプロジェクタ500を構成する筐体は省略している。プロジェクタ500は、赤色光を射出する赤色レーザ光源装置501Rと、緑色光を射出する緑色レーザ光源装置501Gと、青色光を射出する青色レーザ光源装置501Bとを備える。
【0052】
各色のレーザ光源装置501R,501G,501Bは、それぞれ、対応する色のレーザ光LBr、LBg、LBbを射出する点を除いて、前述した第1実施例のレーザ光源装置12と同一の構成を有している。
【0053】
また、プロジェクタ500は、各色のレーザ光源装置501R,501G,501Bから射出された各色のレーザ光LBr,LBg,LBbをパソコン等から送られてきた画像信号に応じてそれぞれ変調する光変調素子としての液晶パネル(液晶ライトバルブ)504R,504G,504Bと、液晶ライトバルブ504R,504G,504Bから射出された光を合成して投写レンズ507に導くクロスダイクロイックプリズム506と、液晶ライトバルブ504R,504G,504Bによって形成された像を拡大してスクリーン510に投写する投写レンズ507と、を備えている。
【0054】
さらに、プロジェクタ500は、各レーザ光源装置501R,501G,501Bから射出されたレーザ光の照度分布を均一化させるため、各レーザ光源装置501R,501G,501Bよりも光路下流側に、インテグレータ光学系502R,502G,502Bを設けており、これらによって照度分布が均一化された光によって、液晶ライトバルブ504R,504G,504Bを照明している。例えば、インテグレータ光学系502R,502G,502Bは、ロッドレンズやレンズアレイ、ホログラム素子等の光学素子等を用いて構成される。
【0055】
各液晶ライトバルブ504R,504G,504Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム506に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は投写光学系である投写レンズ507によりスクリーン510上に投写され、拡大された画像が表示される。
【0056】
以上のように構成されたプロジェクタ500によれば、高出力のレーザ光源装置501R,501G,501Bを用いることができることから、高輝度の画像を表示することができる。
【0057】
D.変形例:
なお、上記実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0058】
(1)上記実施例では、レーザ発光素子としてVCSEL型のレーザダイオードを有する場合を例に説明したが、これに換えて、光の共振する方向が基板面に対して平行になる端面発光型のレーザダイオードを用いる構成としてもよい。
【0059】
また、上記実施例では、レーザ発光素子としてレーザダイオードを1つ有する場合を例に説明したが、複数のレーザダイオードをアレイ状に有するものであってもよい。この場合において、フリーホイールダイオードは、各レーザダイオードに対してそれぞれ1つ有するようにすればよい。また、複数のレーザダイオード全体に対して1つのフリーホイールダイオードを有するようにしてもよく、複数のレーザダイオードを複数の組に分け、各組に対してそれぞれ1つのフリーホイールダイオードを有するようにしてもよい。
【0060】
(2)上記実施例の光源装置では、半導体レーザの共振構造として外部共振型の場合を例に説明したが、内部共振型の場合にも適用可能である。
【0061】
(3)上記第3実施例のプロジェクタ500は、光変調素子として液晶パネルを用いた、いわゆる3板式の液晶プロジェクタであったが、これに換えて、色毎に時分割でレーザ光源装置を点灯することにより1つの液晶パネルのみでカラー表示を可能とした構成等の単板式の液晶プロジェクタとしてもよい。また、画像信号に応じて変調されたレーザ光を走査することにより画像を表示する走査型のプロジェクタとしてもよい。なお、光変調素子として、液晶ライトバルブではなく、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD:テキサスインスツルメント社の商標)を用いたプロジェクタとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1実施例としての照明装置10の概略構成図である。
【図2】半導体レーザ20の内部構成について示す説明図である。
【図3】第1実施例の効果を示す説明図である。
【図4】本発明の第2実施例としてのモニタ装置400の概略構成図である。
【図5】本発明の第3実施例としてのプロジェクタ500の概略構成図である。
【符号の説明】
【0063】
10…照明装置
12…レーザ光源装置
14…拡散素子
20…半導体レーザ
20C…マウント
21…サブストレート
22LD…p型領域
22FWD…p型領域
23LD…n型領域
23FWD…n型領域
24LD…p側電極
24LDw…射出窓
25LD…n側電極
26…サブマウント
LD…レーザダイオード
FWD…フリーホイールダイオード
LT1…駆動電流流入端子
LT2…駆動電流流出端子
30…波長変換素子
40…反射ミラー
40a…面
50…駆動回路
50P…駆動回路基板
52…DC/DCコンバータ
54…ゲート駆動回路
60…パッケージ
Dt1,Dt2…駆動回路接続端子
GTr…ゲートトランジスタ
400…モニタ装置
410…装置本体
411…カメラ
420…光伝送部
421…ライトガイド
422…ライトガイド
423…拡散板
424…結像レンズ
500…プロジェクタ
501R…赤色レーザ光源装置
501G…緑色レーザ光源装置
501B…青色レーザ光源装置
502R,502G,502B…インテグレータ光学系
504R,504G,504B…液晶ライトバルブ
506…クロスダイクロイックプリズム
507…投写レンズ
510…スクリーン
Ls1,Ls2…浮遊インダクタンス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源装置であって、
半導体レーザと、
前記半導体レーザにパルス状の駆動電流を供給する駆動回路と、を備え、
前記半導体レーザは、
同一の半導体基板上にレーザ発光素子とフリーホイールダイオードとが形成されており、
前記レーザ発光素子の電流入力端子に前記フリーホイールダイオードのカソードが接続され、前記レーザ発光素子の電流出力端子に前記フリーホイールダイオードのアノードが接続されている、
光源装置。
【請求項2】
請求項1記載の光源装置であって、さらに、
前記半導体レーザから発せられたレーザ光の波長を所定の波長に変換する波長変換素子を備える、
光源装置。
【請求項3】
請求項2記載の光源装置であって、
前記半導体レーザの前記レーザ発光素子は、赤外レーザ光を発するものである、
光源装置。
【請求項4】
請求項3記載の光源装置であって、
前記波長変換素子は、前記赤外レーザ光の波長を、赤色、緑色、および、青色のいずれかに相当する波長に変換する素子である、
光源装置。
【請求項5】
半導体レーザであって、
同一の半導体基板上にレーザ発光素子とフリーホイールダイオードとが形成されており、
前記レーザ発光素子の電流入力端子に前記フリーホイールダイオードのカソードが接続され、前記レーザ発光素子の電流出力端子に前記フリーホイールダイオードのアノードが接続されている、
半導体レーザ。
【請求項6】
照明装置であって、
請求項1記載の光源装置と、
前記光源装置から射出された光を拡散する拡散素子と、
を備える、照明装置。
【請求項7】
入力した画像信号に応じて画像を投写するプロジェクタであって、
請求項1記載の光源装置と、
前記画像信号に応じて変調された光を投写する投写部と
を備える、プロジェクタ。
【請求項8】
撮影した被写体を出力するモニタ装置であって、
請求項1記載の光源装置と、
前記光源装置から射出された光を拡散する拡散素子と、
前記拡散素子によって照明された被写体を撮像する撮像部と
を備える、モニタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−44033(P2009−44033A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−208997(P2007−208997)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】