説明

半導体工業に使用するための三成分系材料を無電解メッキする組成物

本発明は、半導体工業における型NiM−R(但し、MはMo、W、Re、Crであり、RはB、Pであるものとする)の無電解メッキされた三成分系ニッケル含有金属合金の使用に関する。殊に、本発明は、半導体構造素子中での銅の拡散およびエレクトロマイグレーションを阻止するための、バリヤー材料としてかまたは選択的なケーシング材料としての前記のメッキされた三成分系のニッケル含有金属合金の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリヤー材料または選択的なケーシング材料としての半導体工業における型NiM−R(但し、MはMo、W、Re、Crであり、RはB、Pであるものとする)の無電解メッキされた三成分系ニッケル含有金属合金の使用に関する。殊に、本発明は、半導体構造素子上に無電解メッキすることによって三成分系のニッケル含有金属合金層を形成させる方法に関し、この場合この金属合金層は、バリヤー材料または選択的なケーシング材料としてCuの拡散およびエレクトロマイグレーションを阻止するために使用される。
【0002】
公知技術水準
超小型電子構造素子の上昇する配線密度および速度要件は、銅上での従来のアルミニウム(合金)の導電路配線材料の材料交換を生じさせた。銅を使用することによって、よりいっそう低い電気抵抗およびよりいっそう高い安定性がエレクトロマイグレーションの際に達成され、それによって配線密度が増加することにより生じる、導体路の上昇する全抵抗率が計算される。
【0003】
しかし、配線材料としてのCuの使用は、支持体(珪素)中または絶縁材料(例えば、SiO)中での高い拡散活性によって所謂拡散バリヤーの使用を必要とする。この拡散バリヤーは、Cu配線の下方で絶縁材料を保護するためおよび絶縁層と配線層との間の付着力を補助するために使用される。
【0004】
この構造素子を動作させる際の高いクロックレートは、導電性材料の材料の分離を配線中でまねきうる、電流密度の上昇を引き起こす。このエレクトロマイグレーションと呼ばれる現象は、構造素子の高い故障密度をまねき、このことは、この構造素子の効率を著しく損なう。
【0005】
アルミニウムと比較して高い融点の銅は、導体路の電流特性の改善を可能にし、それによってエレクトロマイグレーションによる故障に対する高められた安定性が達成される。
【0006】
寿命およびエレクトロマイグレーションに対する安定性は、主に銅と絶縁材料との間の境界での予想される材料移動効果および材料交換効果に依存し、銅それ自体の粒界の結晶平面の配置および性状には依存しない。従って、材料の交換に関連する境界面の品質は、重要である。
【0007】
更に、高い融点の金属、例えば高融点金属の混入(合金)が、前記安定性をさらに強化することは、公知である。改善されたエレクトロマイグレーション挙動は、金属薄膜を銅と組み合わせて使用することによって達成されうる。
【0008】
同時に、この導電性合金層は、Cu種および電荷キャリヤーの拡散を阻止する拡散バリヤーとして機能する。このバリヤー作用は、一面で非金属成分、例えば燐の混入による三成分系合金の形態学的状態によって引き起こされ、他面、異質分子の組み込みによる合金内での粒界に沿った好ましい拡散路を遮断することによって引き起こされる。
【0009】
銅配線を備えた構造素子を形成させるための標準的方法は、所謂ダマシン法である。この場合には、最初に構造体、例えば導体路の溝およびコンタクト孔は、絶縁層中にリソグラフィー法および引続く乾式エッチング法によって形成される。引続き、拡散バリヤーならびに電気的コンタクト層は、スパッタリング(PVD)または化学的蒸着(CVD)によって導体路構造体中に施こされ、電気メッキによる銅で充填される。拡散バリヤーを形成させるためにしばしば使用される材料は、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、タングステンならびに窒化タングステン等である。電気的コンタクト層としては、薄手の層の銅が使用される。化学的機械研磨は、過剰の配線材料を平坦化するために使用される。
【0010】
アスペクト比(導体路構造体の高さと幅の比)が増加すると、常に薄手の拡散バリヤーが導体路の溝およびコンタクト孔中にメッキされなければならない。従って、PVDおよびCVDのような方法によりバリヤーの単一にメッキされる薄膜層を達成することは、ますます困難になる。
【0011】
更に、エレクトロマイグレーション作用が、主にCu配線の表面上で起こることは、公知である。これは、CMP中の攻撃および酸化過程によって惹起される、銅の化学的に変性された表面構造によって引き起こされる。
【0012】
銅の配線は、一般に多数の平面上で形成されている。Cuの表面上には、銅の拡散を予防するためのバリヤー層が存在していないので、通常、非導電性(誘電性)材料、例えば炭化ケイ素(SiC)または窒化ケイ素(SiN)からバリヤー層を形成し、その後にこのバリヤー層上に配線層をメッキさせることが必要とされる。
【0013】
この誘電性材料、例えばSiCまたはSiNは、SiOよりも高い誘電定数を有し、現在の方法により、導体路構造体上に全面で塗布される。この結果、最終的には、半導体の構造素子の全抵抗率の上昇を導き、したがって配線材料の銅の表面をCMPにより選択的に被覆することは、好ましい。
【0014】
方法の比較
米国特許第4019910号明細書には、ニッケル含有の三成分系合金をメッキさせるための混合物および製出方法が記載されている。米国特許第5695810号明細書には、半導体工業で使用するためのCoW−P金属バリヤー層を無電解メッキさせるための方法の特許保護が請求されている。更に、米国特許第2002/0098681号明細書A1には、三成分系拡散バリヤーの無電解メッキおよび新規の銅配線を備えた集積回路のエレクトロマイグレーションに対する安定性を改善するためのCoW−B、CoMo−B、CoW−P、CoSn−Pからなるケーシング層が記載されている。
【0015】
無電解メッキさせる装置ならびにニッケル、コバルト、タングステンおよびモリブデンからなる類似の三成分系合金の自動接触電気メッキ法は、米国特許第2002/0036143号明細書A1に記載されている。
【0016】
型CoW−B、CoMo−B、CoRe−BおよびこれらのP含有類似物の無定形の三成分系合金は、孔封止のために特殊な多孔質の絶縁材料を銅配線と組み合わせて使用するために米国特許第6528409号明細書B1に特許保護が請求されている。
【0017】
特開平14−93747号公報には、0.2原子%〜2原子%の質量百分率の量でモリブデンを含有する、CoW−P、CoMo−P、NiW−PまたはNiMo−Pからなる導電性構造体ならびにその製出、構造素子およびその製造が記載されている。
【0018】
課題の設定
従って、本発明の課題は、導電性構造体を無電解メッキするための組成物ならびに清浄化工程および活性化工程を含めて前記構造体を製造するための方法を提供することであり、それによって、簡単で安価な方法で接触活性化を行なった後に誘電体(例えば、SiO、SiOC、SiN、SiC)上にメッキすることができるかまたは直接に銅配線上にメッキすることができ、実際に配線材料として施こされた銅の拡散を阻止するためにバリヤー層として使用される構造体をメッキすることができる。
【0019】
また、本発明の課題は、バリヤーの単一の層成長に適した添加剤を提供することであり、それによって同時に無電解のメッキ浴の浴可使時間の延長を可能にし、水溶液中での還元剤の存在によって自然発生的な化学分解を回避させる。
【0020】
この課題の解決は、請求項1記載の方法ならびに請求項2から10までのいずれか1項に記載の特殊な実施態様での方法によって行なわれる。また、この課題は、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法によって形成された半導体構造素子上でのCuの拡散およびエレクトロマイグレーションを回避させるためのバリヤー層としてかまたは選択的なケーシング材料としての型NiM−R(但し、MはMo、W、Re、Crであり、RはB、Pであるものとする)の無電解メッキされた三成分系ニッケル含有金属合金によって解決される。
【0021】
従って、本発明の対象は、NiSO×6HO、NaWO、NaWO、NaMoO、KReO、NaHPO、CoSO×7HOを水溶液中で適当な濃度で含有し、ならびに場合によっては他の添加剤を含有する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法で使用可能である、型NiM−R(但し、MはMo、W、Re、Crであり、RはB、Pであるものとする)の三成分系ニッケル含有金属合金を無電解メッキするための組成物でもある。本発明による組成物は、殊に4.5〜9.0の範囲内のpH値を有する。場合によっては、この組成物は、Na×2HO、C、Na×6HO、2,2−ビピリジン、チオ二酢酸、ジチオ二酢酸、Triton X-114、Brij 58、ジメチルアミノボラン(DMAB)、Na、C(90%)、NHSOおよびRE610(RE610:ナトリウム ポリ(オキシエチレン)−フェニルエーテルホスフェート)の群から選択された添加剤を含有する。
【0022】
導体路を配線するための選択的な材料の導入ならびに新規種類の処理工程は、チップ内での信号伝達の際に縮小された構造素子構造体中でも高い速度を達成しうるための重要な条件である。銅の多重平面での配線の完成処理における拡散バリヤーの強制的に必要とされる使用および多孔質の絶縁材料の組み込みは、数多くの基本的に設定された問題を解決するという結果を生じる。これは、バリヤー材料それ自体の選択に関連し、しかも無電解(自動接触)のメッキ方法にも関連する。
【0023】
この課題を解決するための試みによって、同時に清浄化および活性化のための新規方法は、例えばPd触媒種晶によって開発されたものである。この場合、電気メッキによる銅メッキ(電気分解)の確立された方法による銅導体路およびコンタクト孔の通常のデュアル−ダマシン−構造化は、フレーム条件であり、それによって選択、ひいては材料の封入および製造方法は、技術的な完成工程に制限されている。
【0024】
10nm未満のバリヤー層厚、例えば最新のCMOS技術のためのITRSロードマップ(roadmap)中に90nm以下と挙げられているようなバリヤー層厚は、高いアスペクト比を有する構造体中で均一な層厚を有するかかる薄手の層をメッキことに関連してバリヤー材料および形成技術に対する大きな挑戦である。
【0025】
銅配線の動作の確実性に関連して、隣接する絶縁中間層中および活性のトランジスタ範囲内への銅種の拡散を阻止する拡散バリヤーの安定性は、重要である。
【0026】
また、合金中での高融点金属の高い質量含分が達成される、組成物の意図的な最適化によって、三成分系拡散バリヤーの薄手の層または被覆層の形態の最適化は、必要とされる厚さの範囲内で達成される。
【0027】
Cuは、導体路構造体を製出するための電気的導体として使用され、この場合には、別の材料上にメッキされる。この材料をCuに対して境界を定めるために、三成分系の導電性NiM−R金属合金は、所謂拡散バリヤーとして使用される。その下方に存在する材料が絶縁されている場合には、触媒活性化が行なわれ、それによってNiM−Rが無電解メッキされうる。その下方に存在する材料、例えばスパッタリングされたCo金属が触媒化成であり、導電性である場合には、NiM−Rは、先行する活性化なしにメッキすることができる。引続き、Cuは、Cu配線のために、こうしてメッキされ陰極として機能するNiM−Rバリヤー層により電気メッキによりメッキされる。これは、直接にバリヤー材料上に電気的コンタクト層または核形成(種晶形成層)の付加的な活性化または塗布なしにバリヤー材料上に行なわれる。
【0028】
更に、この種のニッケル含有合金材料の使用は、Cu導体路構造体上にNiM−Rバリヤー層を選択的に無電解メッキさせることにあり、CMPの平坦化工程または乾式エッチング工程の終結後に露出されたCu表面を被覆(ケーシング化)し、酸化を阻止し、誘発された薄膜応力を阻止し、エレクトロマイグレーションに対する安定性を改善する。NiM−R層の成長は、置換法によって開始され、この場合には、銅表面上にPd触媒種晶(活性化)がメッキされる。このように開始されることは、無電解メッキの際に還元剤としての次亜燐酸塩を用いることが必要とされる。それというのも、銅の触媒作用は、例えばAu、Ni、Pd、CoまたはPtの触媒作用よりも低いからである。常用の活性化法(Pdゾルを用いてのSnイオンの酸化によるPdイオンの還元)の場合、触媒層を銅配線上に選択的に形成させることは、困難である。この場合、Pd種晶は、全面的に付着し、選択的な無電解メッキは、不可能である。また、NiM−R層の成長の開始は、Cu表面の先行する清浄化または脱酸化の後に他の還元剤、例えばDMABの添加による無電解メッキ溶液を変性させることによっても直接に行なわれる。
【0029】
これら2つの使用において、金属拡散バリヤー層を使用することによって、銅配線被膜とバリヤー材料との間で改善された付着力が達成される。
【0030】
本発明によれば、無電解メッキのために開発された混合物を安定化するための添加剤、即ち熱力学的に準安定な状態に安定化するための添加剤を含有する組成物が提供される。それによって、メッキ浴の可使時間の延長が引き起こされる。同時に、この方法において、前記添加剤の添加により、不変の単一の層成長が促進され、同時にアスペクト比が増加するにつれて、組み込まれた構造素子中での導体路およびコンタクト孔の寸法が減少される。
【0031】
従って、本発明の対象は、Cu配線の下方で所謂組み合わされた拡散バリヤー層と種晶形成層として使用するため、ならびにさらに銅配線表面上にケーシング化バリヤー層として使用するために、触媒活性化された絶縁層上、例えばスパッタリングされたコバルトで活性されたSiO上で無電解メッキによってバリヤー層としての導電性構造体を形成させるための新規方法である。
【0032】
この新規方法は、殊にNiRe−P合金、NiMo−P合金、NiW−P合金、NiRe−B合金、NiMo−B合金、NiW−B合金、NiRe−P/B合金、NiMo−P/B合金またはNiW−P/B合金をバリヤー層として使用することによって特徴付けられている。
【0033】
前記合金において、バリヤー層の熱的安定性を強化する高融点金属の含量は、高い原子%で含有されており、例えばモリブデンは、24原子%までで含有されており、Reは、23原子%までで含有されており、タングステンは、15原子%までで含有されている。
【0034】
本発明の対象は、殊に薄手の金属合金被膜を銅からなる金属支持体の表面上に無電解メッキするための方法であり、この場合、この方法は、次の工程:
銅配線表面を清浄化(脱酸化)し、場合によっては引続き配線表面を活性化する工程、ならびに
予め完成された自動接触電気メッキ溶液を準備する工程および
次に既に予め完成された化学的電気メッキ溶液で支持体を噴霧または浸漬する工程を含む。
【0035】
特に、薄手の金属層を無電解メッキさせるための方法が重要であり、この場合には、薄手の金属合金被膜の金属は、Ni、Co、Pd、Ag、Rh、Ru、Re、Pt、Sn、Pb、Mo、WおよびCrの群、特にCu、Ag、Co、Ni、PdおよびPtの群から選択された1つの金属を含む。
【0036】
本方法を実施するために、本質的に界面活性剤を含有しない、自動接触電気メッキ溶液が有利に使用される。
【0037】
しかし、基本溶液として少なくとも1つの界面活性剤を含有する自動接触電気メッキ溶液が使用されてもよい。この溶液には、場合によっては添加剤、例えば電気メッキ平坦化溶液の浴可使時間を延長させるための安定剤が添加されてよい。
【0038】
また、前記方法で使用される電気メッキ溶液には、拡散バリヤーの層の性質および性状を改善するための添加剤が添加されてもよい。
【0039】
例えば、Pd触媒種晶によってCu配線表面を清浄化および活性化するために、本方法においては、有利にアンモニアおよびフッ化水素酸を含まない混合物が使用されてよい。
【0040】
公知技術水準に対する制限
新規に配合された水性組成物は、組み合わされた拡散バリヤー層と核形成層とを無電解メッキするために使用されてよい。最後に、本発明による組成物を使用する場合には、唯一の処理工程で行なうことができる。しかし、この組成物は、ケーシング化材料をCu配線上にメッキするために使用されてもよい。
【0041】
無電解メッキ方法は、所謂多孔質の絶縁材料を使用する場合に拡散バリヤーを選択的にメッキするのに特に好適である。従来のPVD法による前駆体およびCVD法による前駆体が前記材料の機械的に殆んど安定性でない孔を貫通し、この場合この孔は、バリヤー層のメッキ中に部分的に封止されてもよいし、閉鎖されてもよい。
【0042】
三成分系の合金材料は、本発明による方法により新規の組成物を使用しながら無電解での平坦化法により200オングストローム未満の膜厚を有する極めて薄手の効果的なバリヤー被膜としてメッキされることができる。従って、この三成分系の合金材料は、配線の表面状態、単一の段被覆および側面被覆に関連して、実際に常用の技術よりも高度に、最高の集積回路(ULSI)における導体路寸法のための要件に相応する。
【0043】
ケーシング化層としての導電性合金材料の特殊な使用の特別な利点は、バリヤー層を配線材料としてのCu上に選択的にメッキさせることにある。
【0044】
高融点金属、例えばモリブデンの24原子%までの高い含量によって、有利にCu拡散に対して改善された拡散バリヤー特性が達成される。
【0045】
NiMo−P合金は、Cu上に無電解メッキさせるための好ましい材料である。それというのも、僅かな含量のMoは、合金の熱安定性を上昇させ、それによって銅に対して拡散抵抗を改善するからである。
【0046】
更に、本発明により使用される三成分系バリヤー材料は、高い導電率および250μΩcm未満の僅かな比抵抗を有する。それによって、信号伝達の遅延(”RC遅延”)の減少が構造素子構造体の小型化の際に達成される。
【0047】
導体路の全抵抗率は、構造素子の動作におけるエレクトロマイグレーション作用によって惹起される、故障の確率と同様に誘電性材料、例えばSiCまたはSiNと比較して最小化されるかまたは場合によっては、むしろ処理パラメーターの適当な選択によって抑制され、しかも連続的な処理の監視によって抑制される。
【0048】
本発明による導電性の三成分系バリヤーの使用によって、銅/金属拡散バリヤー/絶縁マトリックスの改善された境界面の品質または境界面が達成される。銅種の拡散およびエレクトロマイグレーションの現象は、金属/金属境界面での活性化エネルギーの高められた移行バリヤーによって後方に排除される。
【0049】
同時に、金属の互いの堅固な結合は、元来の誘電性材料、例えばSiCまたはSiNとは異なり、バリヤー層の付着力(Adhaesion)を回路材料の銅上で高め、微細な配線の好ましい製出に貢献する。
【0050】
更に、変化された組成によって、本発明による無電解メッキ浴の浴可使時間(安定化)の延長が保証される。同時に、メッキされた合金の形態および層成長は、バリヤー作用に関連してプラスに影響が及ぼされる。
【0051】
メッキ浴の可使時間の延長は、僅かな化学薬品の消費量を引き起こす。付加的に製造工程の場合に作業費用は、減少し、それによって製造費も低くなる。更に、添加剤の添加によって、不変の単一の層成長が促進され、アスペクト比が増加するにつれて、組み込まれた構造素子中での導体路およびコンタクト孔の寸法が減少される。
【0052】
更に、本発明の利点は、1つの処理工程で所謂組み合わされた拡散バリヤー層と核形成層とを水溶液から製出するために、三成分系合金を無電解メッキさせる方法において見出すことができる。
【0053】
このことから生じる利点は、直接に水溶液からの次の電気メッキによる銅メッキが可能になることにより、集積回路を半導体技術で製出するために、個々の処理工程の節約と関連した処理順序が簡易化されることにある(図1)。従って、複雑な湿式化学での処理の実施は、半導体工業において通常使用されている湿式化学のクラスターメッキ速度で可能になる(図1)。
【0054】
銅は、三成分系の金属バリヤー層上での配線のために陰極コンタクトとして電気メッキによりメッキされる。コンタクト孔および配線溝の上に存在する過剰の電気分解によりメッキされた銅が例えば化学的機械研磨(CMP)によって除去された後で、銅表面は、清浄化される。引続き、イオンプレーティング(”セメント化”、電荷の交換による電気化学的メッキ)によるPd含有の混合物を用いた場合には、触媒種晶を銅表面上にメッキすることができる。この種の電気化学的な電荷交換は、絶縁層上では不可能である。それによって、触媒の種晶は、以下のように、次の実施例の記載と同様にCu配線上での例えばNiMo−Pの選択的な無電解メッキを可能にする(図2)。
【0055】
好ましい範囲および値を含む処理パラメーターの変法での範囲
好ましい濃度範囲は、次の表中に記載されている。
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
臨界的範囲
NiMo−Pに関連して、実施例の溶液は、9のpH値を有し、この場合には、このpH値の±1以下で偏倚している。それというのも、さもないと、変化されたバリヤー特性を有する変化された合金組成が生じるからである。
【0059】
緩衝液の作用は、炭酸およびその塩を錯形成剤として適当に使用することによって達成される。
【0060】
メッキ温度は、最大90℃の値を超えてはならない。それというのも、さもないと、自動接触電気メッキ溶液の自然発生的な分解が結果として生じるからである。一般に、高められたメッキ温度は、メッキ溶液の浴安定性、ひいては浴可使時間を減少させる。
【0061】
方法または実施法の変法
本発明によれば、先行する清浄化工程および活性化工程により導電性構造体を製造する方法が提供される。清浄化の順序は、場合によっては清浄化作用を改善するためにアルコール洗浄、例えばエタノール、イソプロピルアルコールによって拡大させることができる。清浄化は、機械的なブラッシング処理(”スクラバー”)を使用することによって補助されてもよい。
【0062】
Pd活性化溶液は、塩、例えば塩化パラジウムまたはパラジウムアセタールから製造されてよい。
【0063】
Pd活性化溶液は、添加剤の添加、例えば錯形成剤、例えばEDTAまたはQuadrol(Quadrol:エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラ−2−プロパノール)を添加することによって変性させることができる。
【0064】
Pd活性化溶液は、界面活性剤、例えばRE610またはTriton X-114、ポリエチレングリコールのような添加剤を添加することによって補充されうる。(Triton X-114:ポリ(オキシエチレン)オクチルフェニルエーテルまたはモノ((1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)エーテル)。
【0065】
Pd活性化溶液は、噴霧法または浸漬法に使用されてよい。
【0066】
本発明によれば、噴霧法または浸漬法での使用のために、主要合金成分としての少なくとも1つの第1の金属成分、錯化剤、還元剤ならびにpH値を4〜12の範囲内に調節するpH調節剤を含有する無電解メッキ溶液が配合される。
【0067】
本発明の特殊な実施態様において、拡散バリヤーのバリヤー特性を改善する第2の金属成分を含有する無電解メッキ溶液が提供される。第1の錯化剤以外に、カルボン酸およびアミノ酸の群からの少なくとも1つの他の錯形成剤が選択される。
【0068】
溶液のpH値は、ヒドロキシド塩基、例えば水酸化アンモニウム、苛性ソーダ、苛性カリまたはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(NHOH、NaOH、KOH、TMAH)を添加することによって7〜9の範囲内のpH値に調節される。
【0069】
半導体構造素子に使用するためには、殊にアルカリ金属不含の塩基が好ましい。
【0070】
また、pH値は、鉱酸を添加することによって4〜7の範囲内のpH値に調節されてもよい。
【0071】
場合によっては、界面活性剤は、添加剤として遙かに拡大された範囲内で使用されてもよい。この界面活性剤は、アニオン界面活性剤(官能基、例えばカルボキシレート基、スルフェート基またはスルホネート基を有する)ならびに非イオン界面活性剤(例えば、ポリエーテル鎖を有する)であることができる。
【0072】
添加剤としては、場合によっては2,2−ビピリジン、チオ二酢酸、チオジグリコール酸、ジチオジグリコール酸、アンモニウムチオラクテート、アンモニウムチオグリコラート、チオボレート、硼酸、チオスルフェート、亜二チオン酸ナトリウム、ボラックス、グリセリンならびにベンゼンのヒドロキシ誘導体およびアンモニウム誘導体(例えば、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノン、メトール、p−フェニレンジアミン、ロジナールおよびフェニドン)が単独成分ならびに互いに組合せで使用されてよい。
【0073】
場合によっては、無機塩、例えばマグネシウム化合物は、添加剤として使用されてもよい。
【0074】
使用分野、使用目的
本発明によれば、延長された可使時間を有する無電解メッキ浴のための組成物が提供される。本発明によれば、改善された性質は、前記したような適当な添加剤を添加することによって達成される。この可使時間の延長は、僅かな化学薬品の消費量を引き起こし、付加的に製造工程の場合に作業費用は、減少し、それによって得られた製品の費用も減少する。また、この添加剤の添加によって、不変の単一の層成長が促進され、アスペクト比が増加するにつれて、組み込まれた構造素子中での導体路およびコンタクト孔の寸法が減少される。
【0075】
バリヤー材料の試験(組成、微細構造)のために、三成分系のニッケルをベースとする合金の無電解メッキは、40オングストロームでスパッタリングされるコバルトに対してSiO/Siウェーハ上で実施された。例えば、NiRe−P合金をメッキするために使用された酸性の金属メッキ溶液は、NiSO×HO0.03〜0.1M、過レニウム酸塩0.001〜0.01M、錯形成剤としてのクエン酸、還元剤としての次亜燐酸塩および添加剤を含有していた。金属メッキ浴は、50〜80℃の範囲内で運転された。遮断層の厚さは、10〜30nmの間で変動した。厚手の合金被膜は、4探針層抵抗測定、オージェ電子分光法(AES)、原子顕微鏡およびX線回折(XRD)によって分析された。薄膜の結晶構造の研究は、縞状での入射を有するXRDによって実施された。系Cu/バリヤー/SiO/Siの珪素上でのバリヤー作用は、最初に走査電子顕微鏡(SEM)によって選択的なセッコ(Secco)−エッチング法を使用しながら特性決定された。銅表面の活性化に対する試験のために、Siウェーハ上にCu(150nm)/TiN(10nm)/SiO(500〜1000nm)の連続層を有する支持体が使用された。Cu表面は、最初にInoclean 200TM-post-CMP清浄化溶液での清浄化によって前調製され、次にPdイオン溶液で活性化された。選択的にこの活性化が使用され、自己配向されたNiMo−Pバリヤーを成長させることができる(Inoclean 200TM:希釈されたカルボン酸エステルと燐酸とからなる混合物)。選択的に、この清浄化は、希釈されたHF溶液、蓚酸および別の鉱酸、例えば硫酸を用いて行なうこともできる。直接の無電解での金属メッキは、ジメチルアミノボラン(DMAB)を無電解での金属メッキ浴に直接に添加することによって達成された。
【0076】
選択性は、エネルギー分散液のX線測定(EDX)によって評価された。
【0077】
メッキ水溶液は、大量の高融点金属成分を含有する三成分系合金を供給するように設計されている。メッキされたNiをベースとする薄膜の元素状組成物は、AESディーププロファイリング(Tiefenprofilierung)法によって検査された。
【0078】
組み合わされた拡散バリヤー層とコンタクト層としての使用:
前記層の深部形状(Tiefenprofile)は、ニッケルが一様に深部の機能層としてメッキされ、一方で、燐は、上部の表面層に向かって含量が増加し、および高融点金属は、切断個所バリヤー/SiOに向かって含量が増加する傾向にある。種々の合金のニッケル、燐および高融点金属成分の標準化された原子画分が示される。ニッケル画分は、約60〜70原子%で比較的一定のままであり、一方で、残留成分、特に燐については、大きな変動が測定される。この場合に設定された全ての三成分系合金は、例えばNiMo−P薄膜については23原子%までの高融点金属の高い含量を含有する(第3表)。
【0079】
次亜燐酸塩またはアミノボランを含有する金属メッキ溶液からポリ金属合金を無電解メッキさせる場合には、燐(または硼素)は、還元剤[6]の同時の酸化反応の結果として薄膜中で一緒にメッキされる。
【0080】
三成分系合金の組成物に対する試験条件の影響を試験した(図3)。薄膜組成物に影響を及ぼすと思われるファクターは、使用される高融点金属および使用される還元剤の種類ならびに高融点金属および錯形成剤の濃度であった。結果から判断することができるように、モリブデンの共メッキは、燐の負担で発生する。従って、種々の三成分系の合金被膜中への大量の高融点金属の取り込みは、外部の無電解メッキ浴の溶液の高融点金属のイオンのそれぞれの濃度を制御することによって達成された。
【0081】
高融点金属の添加により、メッキの熱安定性ならびに粒界に沿っての拡散路の閉塞によるバリヤー特性を改善することが提案された[8]。合金は、メッキの際に無定形である。実際に、数多くの合金被膜は、メッキの際に無定形で準安定性であり、この合金被膜の構造は、後熱処理後に変化する。
【0082】
NiMo−Pの場合には、XRDを使用しながら温度処理後に無定形マトリックス中に埋設された微結晶を有する多結晶性の微細構造体が記載されている。4探針技術を使用しながら測定された、10〜30nmの薄手のNiMo−P被膜に対する抵抗率は、60〜70μΩの範囲内にあることが測定された。このように低い抵抗値は、相互接続による全電流抵抗に対する遮断層の貢献を最小にすることが望ましい。高融点金属の含量およびそれに応じて共メッキされた還元剤成分の影響が試験され、ならびにそれと関連した薄膜微細構造体は、拡散バリヤーの性質に対して試験された。バリヤー作用は、セッコ(Secco)−エッチング法を使用しながら評価された。無電解で沈殿されたNiMo−Pの30nmの薄手の層は、450℃までで1時間安定性であることが確認された。
【0083】
銅導体路構造体をケーシング化するための使用
Cuが嵌め込まれた構造体上での金属バリヤーとしての開発された三成分系の合金の使用に関連して、数多くの問題が評価されなければならなかった。重要な視点は、Cu構造体上での完全に選択的なメッキである。試験されたニッケルをベースとした合金は、切断個所Cu/自己配向されたバリヤーの相分離を回避させるために好ましい材料である。それというのも、Niは、CUとの強力な共有結合を形成させる傾向を有し、このことは、境界層の付着力に対して有利に作用する。付加的に、Cu表面を準備することおよび無電解での金属メッキ浴の安定性は、重大な問題を生じる。それというのも、この金属メッキ浴は、準安定性の熱力学的平衡で存在しかつ自然発生的に分解する傾向にあるからである。従って、Cu表面の準備は、前記の接触的処理工程の場合に重要な役を演じる。無電解での合金のメッキ前に、酸化銅の除去を含む湿式工程がCMPおよびPd触媒の活性化の後に展開された。最初に、酸による清浄化は、有機酸を含有する後CMP清浄化溶液を使用しながら実施され、選択的に酸化銅が除去された。直ぐ次の工程で、Cu表面は、非連続的なPd種晶形成層をメッキすることによって活性化され、このことは、次亜燐酸塩を含有する金属メッキ溶液の使用によって三成分系合金の無電解メッキを可能にした(図2)。
【0084】
【表3】

【0085】
活性化工程(表面の清浄化、活性化およびメッキ)のそれぞれの工程の評価は、析出物の表面形状、表面組成および表面選択性に関連して評価された。清浄化前に、CMP残留物が観察された(図4a参照)。2分間の後CMP清浄化後に、前記の残留物は、除去され、Cu表面の品質の低減化は、生じなかった(図4b)。次の活性化工程は、表面の清浄化に対して極めて敏感であり、緊密なPd種晶形成が達成された(図4c)。
【0086】
清浄化および活性化の後の表面粗さに対する評価は、AFMによって試験された。一般的な傾向は、長時間の清浄化工程によりCu表面の粗さが減少されることにある。この挙動は、活性化後にも維持される。Pd種晶形成は、表面粗さを随伴し、このことは、平滑なCu表面上への絶縁された金属島のメッキに原因があるものとみなされる。2分間継続される清浄化処理は、この研究で試験された条件下で満足な結果を生じることが確認された。メッキされたバリヤー被膜の粒子成長は、試験された無電解での金属メッキ工程の初期段階で10〜60秒間発生された。メッキは、微粒子状の構造から例えばカリフラワー状に構造化された形態に変化する[9]。この観察は、AFM測定によって支持され、この場合このAFM測定は、表面粗さを早期のメッキ段階で規則的な展開なしに30〜60秒示す(図5)。バリヤーの厚さは、線形のメッキ時間に依存して見出され、望ましい厚さを達成させるためには、短時間のメッキ(20秒)で十分である。短いメッキ時間は、外部からの無電解工程を完成のために極めて魅力的なものにし、この場合には、高い出力が望ましい(図5b)。
【0087】
Cu表面上での無電解でのNiMo−Pメッキ工程の選択性は、種々の非導体材料およびバリヤー材料、例えばSiO、SiC、SiOC、SiN、TiNおよびTaNに対してEDXによって試験された。SEM測定およびEDX測定から判断して、被覆支持体上で効果的に選択性が達成される(例3)。元素のCu、Ni、MoおよびPがEDXによって検出されるような銅支持体の場合以外に、別の材料上でのメッキは、観察されなかった。パターン化された支持体上での展開された無電解での金属メッキ工程の場合には、選択的なメッキが検出された。一般に、最適な選択性は、短い清浄化時間および活性化時間で達成される。図7aは、NiMo−P合金によって選択的に被覆されているダマシンCu構造体の画像を示す。
【0088】
一般に、活性化は、無電解での金属メッキ反応を非触媒表面上に導入するために、Pd触媒で接種することが必要とされる。しかし、付加的に、触媒は、無電解での金属メッキ浴に対する潜在的な汚染源である可能性があり、これは、加工中に活性剤溶液の移行のために不安定にする。還元剤成分としての次亜燐酸塩化合物を使用しながらのCu表面上での従来の無電解での金属メッキの場合には、先行するPd活性化なしに無電解での金属メッキを達成することは、不可能である。Cuの触媒特性にも拘わらず、次亜燐酸塩Ni2+イオンまたはCo2+イオンは、Cu表面上で還元されない。この次亜燐酸塩Ni2+イオンまたはCo2+イオンは、清浄化されたCu支持体上で無電解でのNiMo−Pメッキ工程でDMAB0.02〜0.06モル/lを金属メッキ浴に添加することによってPdの活性化なしに試験され、Cu導体路構造体の選択的な被覆が観察される(図7b参照)。
【0089】
試験された三成分系合金被膜、例えばNiMo−Pは、著しく低い抵抗値を有し、Cu上に良好に付着する。無電解メッキ工程で、超薄手の析出物が達成される。拡散バリヤーの作用は、450℃までで示されている。無電解の工程の高い選択性は、前記層を後CMPケーシング化のために特に魅力的なものにする。選択的な金属被覆層としての前記被膜の使用は、非導体被覆層、例えばSiNまたはSiCと比較して銅からなる集積回路のエレクトロマイグレーションの許容性を改善することができる。
【0090】
本発明をよりいっそう理解されるようにし、かつ明示するために、次に、本発明の特許保護の範囲内にある実施例が記載される。しかしながら、この実施例は、記載された本発明の原理の一般的な有用性のために、本発明の保護範囲をこの実施例に制限するには、不適当である。更に、引用された特許明細書の記載内容は、本明細書の発明の開示の一部分とみなすことができる。
【0091】
例1
工程1(清浄化):
付着する酸化銅および有機銅化合物の銅表面を清浄化するためには、後銅CMP清浄化混合物が使用され、例えばMerck社のCuPureTMInoclean200が使用される。マロン酸ジメチルエステル2〜4%、1−メトキシ−2−プロパノール2〜4%、酢酸メチルエステル0.5%未満および燐酸0.5%未満からなる。この場合、清浄化溶液は、80%の溶液として、ならびに希釈時に10%までの溶液として浸漬法ならびに噴霧法で使用されることができる。場合によっては、清浄化のために、エタノールまたはイソプロパノールを用いて他の浸漬(Dip)工程を行なうことができる。アルコールは、処理工程の節約のために直接に清浄化混合物に添加されてよい。
【0092】
試験条件:
清浄化溶液Inoclean200(希釈率10%)中での2分間の浸漬時間、DI水での30秒間の洗浄、および乾燥吹込なし。
【0093】
清浄化溶液Inoclean200(希釈率10%および50%)中での2分間の噴霧、DI水での30秒間の洗浄、および乾燥吹込なし。
【0094】
アルコールの使用下で:清浄化溶液Inoclean200(希釈率10%)中での2分間の浸漬時間、DI水での30秒間の洗浄、イソプロピルアルコールでの60秒間の洗浄、Di水での10秒間の洗浄、および乾燥吹込なし。
【0095】
工程2(活性化):
こうして清浄化されたCu表面をPd2+含有溶液での処理によって電気化学的な電荷交換により選択的に活性化される。
【0096】
活性化溶液の組成:
a.)酢酸5.0モル/l
PdCl、1×10−3モル/l
HCl(37%)、1×10−4モル/l
b.)酢酸5.0モル/l
Pd(OAc)、1×10−3モル/l
HCl(37%)、1×10−3モル/l。
【0097】
試験条件:
NiM−Rの清浄化工程、活性化工程およびメッキ工程は、連続的に極めて僅かな時間間隔で行なわれる。
【0098】
最初に、希釈された清浄化溶液(10%または50%)中で浸漬され、DI水で短時間洗浄され、乾燥吹込なしに、10秒間または20秒間Pd2+溶液中に浸漬される。室温で短時間DI水で洗浄される。乾燥吹込は、行なわない。
【0099】
工程3(Pd活性化と組み合わせた自動接触メッキ):
更に、Pd種晶で活性化されたCu配線表面上に三成分系の金属合金、例えばNiMo−Pがメッキされる。
【0100】
このために、基本電解液1のための原液を調合する。最終メッキ溶液として、250mlの容量を使用する。この原液を相応する割合で混合する。
【0101】
基本電解質1の組成:
NiSO×6HO 26.29g/l (0.1モル/l)、
Naクエン酸塩×2HO 26.47g/l (0.09モル/l)、
NaMoO×2HO 0.24g/l (0.001モル/l)、
コハク酸 23.62g/l (0.2モル/l)、
NaHPO×HO 21.20g/l 0.2モル/l。
【0102】
個々の成分から原液を調合し、この場合この原液の濃度は、溶液を同じ容量比で互いに混合することができかつそれぞれの基本電解質を生じる程度に選択されている。このために、これらの物質を、VE水を有する1 lの測定フラスコ中で溶解する。
原液K1=NiSO×6HO 131.5g/l、
原液K2=Naクエン酸塩×2HO 132.4g/l、
原液K3=NaMoO×2HO 1,2g/l(基本電解質1参照)、
原液K4=コハク酸 118.1g/l、
原液K5=NaHPO×HO 106.0g/l。
【0103】
最終メッキ溶液の製出のために、最初に原液K1 50mlと原液K2 50mlとを一緒にする。これと同時に、原液K3 50mlと原液K4 50mlとを一緒にする。引続き、双方の混合物を合わせる。攪拌しながら、pH値を50%のNaOH溶液で9.0の値に調節する。原液K5を最後に添加する。
【0104】
基本電解質2の組成:
NiSO×6HO 26.29g/l 0.1モル/l、
Naクエン酸塩×2HO 26.47g/l 0.09モル/l、
NaMoO×2HO 0.24g/l 0.001モル/l、
コハク酸 1.18g/l 0.01モル/l、
NaHPO×HO 21.20g/l 0.2モル/l。
【0105】
基本電解質3の組成:
NiSO×6HO 26.29g/l (0.1モル/l)、
Naクエン酸塩×2HO 26.47g/l (0.09モル/l)、
NaMoO×2HO 0.24g/l (0.001モル/l)、
コハク酸 1.18g/l (0.01モル/l)、
NaHPO×HO 31.8g/l 0.2モル/l。
【0106】
基本電解質4の組成:
NiSO×6HO 26.29g/l (0.1モル/l)、
Naクエン酸塩×2HO 26.47g/l (0.09モル/l)、
NaMoO×2HO 0.24g/l (0.001モル/l)、
コハク酸 23.62g/l (0.2モル/l)、
NaHPO×HO 21.20g/l 0.2モル/l。
【0107】
添加剤の添加:
全ての基本電解質1〜4には、添加剤が添加されてもよい。このために、
ジチオジグリコール酸3.75ppm、
Brij 58 75ppm
を選択的に個々にかまたは組み合わせて9.0へのpH値の調節前に添加する。
【0108】
試験条件:
支持体を清浄化およびPdの活性化を行なった後に、電気メッキによるメッキ溶液中に浸漬する(溶液を攪拌する)。混合物を55℃に温度調節する。2分間、自動接触メッキを行なう。NiMo−P合金がPd種晶上にメッキされると直ちに、この合金は、金属光沢を有する層によって目視可能になる。合金メッキ後に、DI水で洗浄し、注記深く窒素ガスで乾式吹き付けを行なう。
【0109】
例2
工程1 例1と同様の清浄化。
【0110】
工程2(Pd活性化なしの直接の自動接触メッキ):
金属合金(NiMo−P)を銅表面上に直接に無電解メッキさせるために、この場合には、Pd触媒種晶による活性化を行なわない。その代わりに、NiMo−P溶液を開始剤としてのDMABの添加によって変性し、無電解メッキのために使用する。試験を実施するために、0.004〜0.15モル/lの範囲内の種々のボラン濃度を使用する。
【0111】
工程3と同様の基本電解質1の組成は、次に添加剤:
ジメチルアミノボラン=0.004モル/lおよび0.012モル/l
と一緒に記載される。
【0112】
前記の個々の物質から原液を調合し、この原液の濃度を、この原液が同じ容量比で混合され、それぞれの基本電解質が生じるように選択する。そのために、前記物質を1 lの測定フラスコ中でVE水で溶解する。
原液K1=NiSO×6HO 131.5g/l、
原液K2=Naクエン酸塩×2HO 132.4g/l、
原液K3=NaMoO×2HO 1,2g/l(基本電解質1参照)、
原液K4=コハク酸 118.1g/l、
原液”K5−1”=NaHPO×HO 106.0g/l+ジメチルアミノボラン 5.88g/l。
原液”K5−2”=NaHPO×HO 106.0g/l+ジメチルアミノボラン 17.69g/l。
【0113】
それぞれK1、K2、K3およびK4 100mlからなりかつ試験設計に相応して調合されている、K1〜K4からなる混合物を製造した後に、この混合物のためにK5−1 160mlおよび40mlをフラスコ中に入れる。溶液K5−2を用いる試験のために、K1〜K4からなる混合物を新たに調合する。再び、K1〜K4 120mlを取出し、K5−2 30mlを添加する。
【0114】
試験条件:
前記支持体を30秒間清浄化を行なった後にDI水で洗浄する。引続き、付加的な清浄化工程をエタノール中で行なう。DI水中で10秒間洗浄し、引続き電気メッキによるメッキ溶液中に浸漬する(溶液を攪拌する)。メッキを30秒間K5−1の混合物を用いて60℃で行ない、K5−2を用いて50℃で行なう。NiMo−P合金がPd種晶上にメッキされると直ちに、自動接触メッキが行なわれ、金属光沢層によって目視可能になる。合金のメッキ後に、DI水で洗浄し、注記深く窒素ガスで乾式吹き付けを行なう。
【0115】
例3
種々の絶縁材料と比較したPd活性化溶液を用いての選択的なメッキの測定
【0116】
【表4】

【0117】
銅支持体K1〜K5 01および02の場合には、メッキが観察され、これに対して、別の支持体K1〜K5 03〜14の場合には、NiMo−Pでのメッキは行なわれない。
【0118】
例4
種々の絶縁材料と比較した直接的な自動接触電気メッキによる選択的なメッキの測定
【0119】
【表5】

【0120】
K1〜K4+K5−1 15〜26の全ての場合に、メッキは観察されなかった。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】常用のCu金属化法(a)および組み合わされた拡散バリヤー層と核形成層(b)を示す略図。
【図2】Pd種晶活性化によるCu表面上での選択的なケーシング化処理または表面前処理を含めてPd種晶活性化中間処理なしの直接的方法での選択的なケーシング化処理を示す略図。
【図3】NiMo−P三成分系薄膜の元素状組成物に対するモリブデン酸ナトリウムの濃度の作用を示す略図。
【図4】後CMP清浄化なしのCu支持体(a)、2分間の清浄化後のCu支持体(b)および2分間の清浄化および10秒間のPd活性化の後のCu支持体(c)を示す略図。
【図5】メッキ時間の関数としての粗さ(a)および厚さ(b)を示す線図。
【図6】Pd活性化を有する選択的に被覆されたCuダマシン構造体(a)およびPd活性化なしの選択的に被覆されたCuダマシン構造体(b)のSEM画像を示す略図。
【図7】DTDGS3.75ppmおよびBrij58 75ppmを有する基本電解質1からなるメッキされたNiMo−P層の組成を示す略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性構造体をバリヤー層として形成させる方法において、組み合わされた拡散バリヤー層と種晶形成層とを、銅配線の下方で無電解メッキによって触媒活性化された絶縁層上に塗布し、ならびにケーシング化バリヤー層として銅配線表面上に塗布することを特徴とする、導電性構造体をバリヤー層として形成させる方法。
【請求項2】
NiRe−P合金、NiMo−P合金、NiW−P合金、NiRe−B合金、NiMo−B合金、NiW−B合金、NiRe−P/B合金、NiMo−P/B合金またはNiW−P/B合金をバリヤー層として使用する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
合金をバリヤー層として形成し、その際、バリヤーの熱安定性を強化する高融点金属としてMo、ReまたはWが2〜25原子%の量で含有されている、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
高融点金属としてバリヤー層中にモリブデンが3〜24原子%の量で含有されているかまたはReが2〜23原子%の量で含有されているかまたはタングステンが5〜15原子%の量で含有されている、請求項3記載の方法。
【請求項5】
薄手の金属合金被膜を銅からなる金属支持体の表面上に無電解メッキするための請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法において、半導体支持体を自動接触電気メッキ溶液で噴霧するかまたはこの溶液中に浸漬し、それによって無電解で、Ni、Co、Pd、Ag、Rh、Ru、Re、Pt、Sn、Pb、Mo、WおよびCrの群から選択された少なくとも1つの金属を含む薄手の金属合金被膜をメッキする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
金属支持体がCu、Ag、Co、Ni、PdおよびPtの群から選択された1つの金属からなる、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
自動接触電気メッキ溶液として本質的に界面活性剤を含有しない溶液を使用する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
自動接触電気メッキ溶液として少なくとも1つの界面活性剤および場合によっては拡散バリヤーの層の性質および性状を改善するための少なくとも1つの添加剤を含有する溶液を使用する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
自動接触電気メッキ溶液として電気メッキ溶液の浴可使時間を延長するための安定剤を含有する溶液を使用する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
銅配線表面を清浄化および活性化するために、アンモニアおよびフッ化水素酸を含有しない溶液を使用する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法により形成された、半導体構造素子上の銅の拡散およびエレクトロマイグレーションを阻止するためのバリヤー層または選択的なケーシング材料としての型NiM−R(但し、MはMo、W、Re、Crであり、RはB、Pであるものとする)の無電解メッキされた三成分系ニッケル含有金属合金。
【請求項12】
NiSO×6HO、NaWO、NaMoO、KReO、NaHPO、CoSO×7HOを水溶液中で適当な濃度で含有し、ならびに場合によっては他の添加剤を含有する、型NiM−R(但し、MはMo、W、Re、Crであり、RはB、Pであるものとする)の三成分系ニッケル含有金属合金を無電解メッキするための組成物。
【請求項13】
4.5〜9.0の範囲内のpH値を有する、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
Na×2HO、C、Na×6HO、2,2−ビピリジン、チオ二酢酸、Triton X-114、DMAB、Na、C(90%)、NHSOおよびRE610の群から選択された添加剤を含有する、請求項12または13記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−526070(P2006−526070A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505229(P2006−505229)
【出願日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004268
【国際公開番号】WO2004/099467
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】