説明

半導体物理量センサ

【課題】傾斜ベースの傾斜面における物理量センサチップの実装面への接着剤の浸入をより抑制することのできる半導体物理量センサを得る。
【解決手段】パッケージ5の内底部5bに傾斜ベース4を実装するとともに、半導体を用いた物理量センサチップ2を、当該物理量センサチップ2の検出軸が内底部5bに対して傾斜するように傾斜ベース4の傾斜面4aに実装する半導体物理量センサ1において、傾斜ベース4の肉薄側に、接着剤9の這い上がりを規制する規制部10を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体物理量センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パッケージの内底部に傾斜ベースを実装するとともに、当該傾斜ベースの傾斜面に半導体を用いた物理量センサチップを実装することで、センサチップの検出軸を内底部に対して傾けて配置するようにした半導体物理量センサが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、傾斜ベースの肉厚側に突部を設けており、これにより平面視からでも容易に傾斜面の傾斜方向を特定できるようにするとともに、突部のL字部分によって接着剤の這い上がりを規制し、接着剤が傾斜面に浸入するのを抑制できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−075488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の半導体物理量センサでは、規制部としての突部が傾斜ベースの肉厚側に設けられているため、接着剤の浸入を抑制しきれない恐れがあった。すなわち、傾斜ベースを接着剤によってパッケージの内底部に実装する際に、接着剤は傾斜ベースの外周のうちの何れの側面からも這い上がるので、肉薄側の側面から傾斜面に浸入してしまう恐れが高い。よって、傾斜ベースの肉厚側に規制部を設けたとしても、傾斜ベースの肉薄側から接着剤が傾斜面に這い上がり、物理量センサチップの実装面へと浸入してしまう恐れがある。
【0006】
そこで、本発明は、傾斜ベースの傾斜面における物理量センサチップの実装面への接着剤の浸入をより抑制することのできる半導体物理量センサを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の特徴は、パッケージの内底部に傾斜ベースを実装するとともに、半導体を用いた物理量センサチップを、当該物理量センサチップの検出軸が前記内底部に対して傾斜するように前記傾斜ベースの傾斜面に実装する半導体物理量センサにおいて、前記傾斜ベースの肉薄側に、接着剤の這い上がりを規制する規制部を設けたことを要旨とする。
【0008】
第2の特徴は、前記規制部が、前記傾斜ベースの肉薄側の底面に形成された凹部であることを要旨とする。
【0009】
第3の特徴は、前記凹部が、前記傾斜ベースの肉薄側の側面に開口していることを要旨とする。
【0010】
第4の特徴は、前記規制部が、前記傾斜ベースの肉薄側の側面に形成された凹溝であることを要旨とする。
【0011】
第5の特徴は、前記規制部が、前記傾斜ベースの肉薄側の辺の全幅に亘って設けられていることを要旨とする。
【0012】
第6の特徴は、パッケージの内底部に傾斜ベースを実装するとともに、半導体を用いた物理量センサチップを、当該物理量センサチップの検出軸が前記内底部に対して傾斜するように前記傾斜ベースの傾斜面に実装する半導体物理量センサにおいて、前記傾斜ベースの傾斜面に、前記物理量センサチップを実装する凹部または凸部を設けたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の特徴によれば、傾斜ベースの肉薄側に接着剤の這い上がりを規制する規制部を設けたので、接着剤が傾斜ベースの傾斜面に浸入してしまうのを抑制でき、ひいては物理量センサチップの実装面に浸入してしまうのを抑制することができる。その結果、傾斜面に這い上がった接着剤が物理量センサチップの実装面上で固まってしまい、物理量センサチップを実装する際に傾斜角度がずれて検知精度を悪化させてしまうといったことを抑制できる。
【0014】
また、第6の特徴によれば、傾斜ベースの傾斜面に物理量センサチップを実装する凹部または凸部を設けたので、物理量センサチップの実装面を傾斜面に対して一段下げたり、一段上げたりすることができる。これにより、接着剤と実装面との距離を稼ぐことができるようになるので、接着剤が物理量センサチップの実装面に浸入してしまうのをより抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる半導体物理量センサの分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる半導体物理量センサを示した図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図3】図1に示す半導体物理量センサの物理量センサチップを拡大して示した図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図4】図1に示す半導体物理量センサの傾斜ベースを示した図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図5】本発明の第2実施形態にかかる半導体物理量センサの傾斜ベースを示した図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図6】本発明の第3実施形態にかかる半導体物理量センサの分解斜視図である。
【図7】図6に示す半導体物理量センサの傾斜ベースを示した図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図8】図6に示す傾斜ベースの第1変形例を示した図である。
【図9】図6に示す傾斜ベースの第2変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
[第1実施形態]
図1〜図4は、本発明にかかる半導体物理量センサの第1実施形態を示した図であり、本実施形態では、本発明を半導体物理量センサとしての静電容量式の加速度センサ1に適用した場合を例示する。
【0018】
加速度センサ1は、図1に示すように、加速度(物理量)を検知するセンサチップ(物理量センサチップ)2と、ICチップ(信号処理チップ)3と、傾斜ベース4と、パッケージ5と、リッド6とを備えて構成されている。
【0019】
センサチップ2は、図3(a)に示すように、本実施形態では半導体素子ディバイスを形成したシリコン基板2Aの上下両面を、保護層となるガラス基板2B、2Cで挟み込む構成となっている。そして、これらシリコン基板2Aとガラス基板2B、2Cとを、例えば陽極接合等により一体に結合している。
【0020】
シリコン基板2Aには、図3(b)に示すように、公知の半導体プロセスにより間隙30が形成されるようになっている。これにより、シリコン基板2Aには周縁部に形成される略矩形状の枠部20、固定電極体21、可動電極体となる錘部22、ばね部23および当該ばね部23を介して錘部22を支持する支持部24が形成されている。そして、シリコン基板2Aとガラス基板2Bおよびガラス基板2Cとの接合面には比較的浅いギャップ29がそれぞれ形成されており、シリコン基板2A各部の絶縁性や錘部22の動作性の確保が図られている。
【0021】
本実施形態では、ばね部23を錘部22と支持部24に連結することで、ばね部23に支持部24に対して錘部22を弾性的に可動支持するバネ要素としての機能を与えている。さらに、錘部22に対し、バネ要素としてのばね部23に接続された支持部24により支持される質量要素(マス)としての機能を与え、これらバネ要素と質量要素とによってバネ−マス系を構成している。そして、質量要素としての錘部22の位置変位による錘部22、固定電極体21間の静電容量値の変化を検出し、検出された静電容量値の変化に基づいてセンサチップ2に加えられた加速度を検知するようになっている。
【0022】
具体的には、この静電容量値の変化は、錘部22、固定電極体21にそれぞれ形成された複数の櫛歯状可動電極25、櫛歯状固定電極26からなる検出部27、28によって検出される。
【0023】
例えば、図3(b)に示す錘部22のセンターライン方向に加速度が与えられると、櫛歯状可動電極25が錘部22のセンターライン方向に変位する。このとき、検出部27の櫛歯状可動電極25、櫛歯状固定電極26で検出される静電容量値と、検出部28の櫛歯状可動電極25、櫛歯状固定電極26で検出される静電容量値に差が生じる。そして、このようにして生じた静電容量値の差から錘部22のセンターライン方向の加速度を検出している。
【0024】
ICチップ3は、センサチップ2の出力信号を信号処理するものである。このICチップ3には、センサチップ2の出力信号を増幅する増幅回路、センサの感度やオフセット電圧およびそれらの温度特性を補正する温度補償回路、ノイズを除去するノイズ除去回路などが集積化されている。そして、これらの回路を動作させることでセンサチップ2の出力信号がICチップ3によって信号処理される。このICチップ3としては、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを用ることができる。
【0025】
傾斜ベース4は、図1に示すように、樹脂や金属などにより形成された略四角柱状のものであり、パッケージ5の内底部7に実装されるとともに、センサチップ2をその天面となる傾斜面4aに実装するようになっている。すなわち、センサチップ2の検出軸が内底部7に対して傾斜するように傾斜面4aに実装している。
【0026】
パッケージ5は、本実施形態ではセラミック基板を積層することにより形成されており、上方に開口部5aを有する箱状を成している。また、本実施形態では、パッケージ5の内底部7は、傾斜ベース4を介してセンサチップ2を実装する下段面5bと、ICチップ3を実装する上段面5cとを備えている。
【0027】
リッド6は、パッケージ5を封止するものであり、その輪郭がパッケージ5の開口部5a周縁の輪郭と同じとなるように形成されている。
【0028】
このような構成の本実施形態の加速度センサ1は、まずは、図1に示す傾斜ベース4をパッケージ5の下段面5bに実装するとともに、ICチップ3をパッケージ5の上段面5cに実装する。この際、図2(b)に示すように、傾斜ベース4の下面4cとパッケージ5の下段面5bとを接着剤9(図4参照)によって接着させる。
【0029】
次に、傾斜ベース4の傾斜面4aに接着剤15(図4参照)によってセンサチップ2を実装する。
【0030】
そして、パッケージ5に搭載されたこれらの搭載部品にワイヤーボンディングを行う。すなわち、実装されたセンサチップ2とICチップ3とをリード線L1を介して電気的に接続するとともに、ICチップ3とパッケージ5の内壁に設けられた端子台部5dとをリード線L2を介して電気的に接続する。
【0031】
最後に、リッド6を溶接してパッケージ5の開口部5aを封止することによって、加速度センサ1が形成される。このようにして形成された加速度センサ1は、パッケージ5に形成された図示せぬ端子を介してプリント基板(図示せず)に実装される。
【0032】
ここで、本実施形態では、傾斜ベース4の肉薄側(傾斜面4aの低い側)に、接着剤9の這い上がりを規制する規制部10を設けている。
【0033】
具体的には、図4(a)、(b)に示すように、本実施形態では、規制部10が傾斜ベース4の肉薄側の底面4cに形成された凹部8により構成されている。凹部8は、本実施形態では傾斜ベース4の肉薄側の側面4bに開口するとともに、傾斜ベース4の肉薄側の辺の全幅に亘って設けられたL字状の切欠部として構成されている。
【0034】
このように、本実実施形態では、凹部8を設けることで傾斜ベース4の底面4cの一部を浮かせるようにしたので、傾斜ベース4をパッケージ5の下段面5bに実装する際に、余分な接着剤9をこの凹部8に逃がすことができるようになる。これにより、図4(b)に示すように、接着剤9をこの凹部8に退避させて接着剤9の傾斜面4aへの浸入を抑制することができるようになるのである。
【0035】
なお、本実施形態では、規制部10としての凹部8によって余分な接着剤を逃がすような構成としたが、規制部10は、例えば接着剤9の這い上がりを規制するフランジ状の突起のようなものを含むものとする。すなわち、傾斜ベース4の肉薄側の側面4bや、凹部10の延在した方向となる傾斜ベース4の幅方向の両側面にフランジ状の突起を張り出すことで、接着剤の這い上がりを規制するようにしてもよい。
【0036】
以上により、本実施形態の加速度センサ1によれば、傾斜ベース4の肉薄側に、接着剤9の這い上がりを規制する規制部10を設けたので、接着剤9が傾斜ベース4の傾斜面4a、ひいてはセンサチップ2の実装面14に浸入してしまうのを抑制できる。その結果、傾斜面4aに這い上がった接着剤9がセンサチップ2の実装面14上で固まってしまい、センサチップ2を実装する際に傾斜角度がずれて検知精度を悪化させてしまうといったことを抑制できる。
【0037】
また、本実施形態では、規制部10が傾斜ベース4の肉薄側の底面4cに形成された凹部8により構成され、傾斜ベース4の底面4cの一部を浮かせるようにしている。そのため、傾斜ベース4をパッケージ5の内底部7(下段面5b)に実装する際に、余分な接着剤をこの凹部8に逃がすことができるので、接着剤9の傾斜面4aへの這い上がりを抑制することができる。
【0038】
さらに、本実施形態では、規制部10としての凹部8が傾斜ベース4の肉薄側の側面4bに開口している。そのため、凹部8内に接着剤9が満たされてしまうことや空気溜まりが形成されるのを抑制できる。これにより、接着剤9による押圧や、熱変化等により膨張した空気溜まり内の空気による押圧で、傾斜ベース4が浮き上がってしまうことを抑制できるという利点がある。
【0039】
また、本実施形態では、規制部10としての凹部8が傾斜ベース4の肉薄側の辺の全幅に亘って設けられている。そのため、余分な接着剤9の逃がしスペースを広く確保することができるので、接着剤9の傾斜面4aへの浸入をより確実に抑制することができる。
【0040】
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態を示した図であり、上記第1実施形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。
【0041】
本実施形態が上記第1実施形態の加速度センサ1と主に異なる点は、規制部10が傾斜ベース4Aの肉薄側の側面4bに形成された凹溝11により構成されたことにある。
【0042】
具体的には、図5(a)、(b)に示すように、本実施形態では、凹溝11が傾斜ベース4Aの肉薄側の辺の全幅に亘って設けられている。これにより、傾斜ベース4の幅方向の両側面側も開口した矩形状のスリット部として構成されている。
【0043】
このように、本実実施形態では、傾斜ベース4Aの側面4bに凹溝11を設けたので、肉薄側の側面4bに沿って這い上がる接着剤9を凹溝11に捕捉させることができる。これにより、図5(b)に示すように、余分な接着剤9をこの凹溝11内に収容させて接着剤9の傾斜面4aへの浸入を抑制することができるようになるのである。
【0044】
以上により、本実施形態にあっても、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
また、本実施形態では、規制部10が傾斜ベース4Aの肉薄側の側面4bに形成された凹溝11により構成されている。そのため、肉薄側の側面4bに沿って這い上がる接着剤9を凹溝11に捕捉させて接着剤9の傾斜面4aへの浸入を抑制することができる。
【0046】
さらにまた、本実施形態にあっても、規制部10としての凹溝11が傾斜ベース4Aの肉薄側の辺の全幅に亘って設けられているので、余分な接着剤9の逃がしスペースを広く確保でき、接着剤9の傾斜面4aへの浸入をより確実に抑制することができる。
【0047】
[第3実施形態]
図6および図7は、本発明の第3実施形態を示した図であり、上記第1および第2実施形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。
【0048】
本実施形態の加速度センサ1Aが上記第1および第2実施形態と主に異なる点は、傾斜ベース4Bの傾斜面4aに、センサチップ2を実装する凹部12を設けたことにある。
【0049】
すなわち、図6に示すように、本実施形態では傾斜ベース4Bの肉薄側に、接着剤9の這い上がりを規制する構造は設けられていない。その代わりに、傾斜ベース4Bの傾斜面4aに凹部12が設けられており、この凹部12にセンサチップ2を実装するようになっている。
【0050】
このような構成では、図7(a)、(b)に示すように、センサチップ2の実装面14を、傾斜ベース4Bの傾斜面4aに対して一段下げることができるようになる。これにより、接着剤9と実装面14との距離を稼ぐことができるようになるので、接着剤9がセンサチップ2の実装面14に浸入してしまうのをより抑制できるのである。
【0051】
なお、本実施形態の場合には、接着剤9の這い上がりを規制する構造が設けられていないので、接着剤9は傾斜ベース4Bの肉薄側から傾斜面4aに這い上がってしまう恐れがある。そのため、センサチップ2を実装する凹部12は傾斜ベース4Bの肉厚側の傾斜面4a寄りに設けることが好ましい。こうすれば、接着剤9と実装面14との距離をより長く稼ぐことができる。
【0052】
以上により、本実施形態の加速度センサ1Aによれば、傾斜ベース4Bの傾斜面4aに、センサチップ2を実装する凹部12を設けたので、接着剤9がセンサチップ2の実装面14に浸入してしまうのを抑制できる。その結果、傾斜面4aに這い上がった接着剤9がセンサチップ2の実装面14上で固まってしまい、センサチップ2を実装する際に傾斜角度がずれて検知精度を悪化させてしまうといったことを抑制できる。
【0053】
また、本実施形態では、センサチップ2を実装する凹部12の寸法(長手方向の寸法)がセンサチップ2と同じ大きさとなっているので、センサチップ2の位置決めを容易に行い実装作業を簡単に行うことができる。
【0054】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能である。
【0055】
例えば、上記第3実施形態では、傾斜ベース4Bの傾斜面4aにセンサチップ2を実装する凹部12を設けるようにしたが、図8に示す変形例のように、傾斜面4aにセンサチップ2を実装する凸部13を設けるようにしてもよい。こうすれば、センサチップ2の実装面14を傾斜ベース4Cの傾斜面4aに対して一段上げることができるので、接着剤9と実装面14との距離を稼ぐことができ、接着剤9がセンサチップ2の実装面14に浸入してしまうのをより抑制できる。
【0056】
また、上記第3実施形態および変形例に示した傾斜ベース4B、4Cの特徴部分である凹部12または凸部13を、上記第1実施形態の傾斜ベース4または上記第2実施形態の傾斜ベース4Aに組み合わせるようにしてもよい。すなわち、図9に示す傾斜ベース4Dは、センサチップ2を実装する凹部12と、接着剤9の這い上がりを規制する規制部10(凹溝11)との両方を兼ね備えたものである。こうすれば、凹部12によって接着剤9と実装面14との距離を稼ぐことができるとともに、凹溝11によって接着剤9の這い上がりを規制することができるので、より確実に接着剤9の実装面14への浸入を抑制することができる。
【0057】
また、上記各実施形態では、水平方向の加速度を検知する1軸加速度センサを例示したが、これに限らず、垂直方向(センサチップの厚さ方向)の加速度を検知する加速度センサや、2軸加速度センサや3軸加速度センサを用いることも可能である。
【0058】
また、物理量センサチップとして3層構造のものを例示したが、単層のものや2層、4層以上の多層構造のものを用いることも可能である。
【0059】
さらに、物理量センサチップに形成される枠部、固定電極体、可動電極体、ばね部および支持部の形状や配置も適宜に設計することが可能である。
【0060】
また、上記各実施形態では、物理量センサチップとして加速度を検出するものを例示したが、物理量センサチップは、これに限らず、加速度以外の物理量を検出するものであってもよい。
【0061】
また、上記各実施形態では、半導体物理量センサとして、静電容量式の加速度センサを例示したが、ピエゾ抵抗型やガス温度分布型の半導体物理量センサを用いても本発明を実施することができる。
【0062】
また、傾斜ベースやパッケージ、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 加速度センサ(半導体物理量センサ)
2 センサチップ(物理量センサチップ)
4、4A〜4C 傾斜ベース
4a 傾斜面
5 パッケージ
5b 下段面(内底部)
8 凹部(規制部)
10 規制部
11 凹溝(規制部)
12 凹部
13 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージの内底部に傾斜ベースを実装するとともに、半導体を用いた物理量センサチップを、当該物理量センサチップの検出軸が前記内底部に対して傾斜するように前記傾斜ベースの傾斜面に実装する半導体物理量センサにおいて、
前記傾斜ベースの肉薄側に、接着剤の這い上がりを規制する規制部を設けたことを特徴とする半導体物理量センサ。
【請求項2】
前記規制部が、前記傾斜ベースの肉薄側の底面に形成された凹部であることを特徴とする請求項1に記載の半導体物理量センサ。
【請求項3】
前記凹部が、前記傾斜ベースの肉薄側の側面に開口していることを特徴とする請求項2に記載の半導体物理量センサ。
【請求項4】
前記規制部が、前記傾斜ベースの肉薄側の側面に形成された凹溝であることを特徴とする請求項1に記載の半導体物理量センサ。
【請求項5】
前記規制部が、前記傾斜ベースの肉薄側の辺の全幅に亘って設けられていることを特徴とする請求項1〜4のうち何れか1項に記載の半導体物理量センサ。
【請求項6】
パッケージの内底部に傾斜ベースを実装するとともに、半導体を用いた物理量センサチップを、当該物理量センサチップの検出軸が前記内底部に対して傾斜するように前記傾斜ベースの傾斜面に実装する半導体物理量センサにおいて、
前記傾斜ベースの傾斜面に、前記物理量センサチップを実装する凹部または凸部を設けたことを特徴とする半導体物理量センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−92487(P2013−92487A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235620(P2011−235620)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】