半導体発光装置およびそれを用いた画像表示装置、液晶表示装置
【課題】半導体発光素子と蛍光体とを用い、従来より深い赤色を表示するディスプレイを実現可能な半導体発光装置およびこれを用いた画像表示装置、液晶表示装置を提供する。
【解決手段】励起光を発する半導体発光素子と、緑色蛍光体と赤色蛍光体とを備え、赤色蛍光体としてMn4+賦活蛍光体とを備える、半導体発光装置およびこれを用いた画像表示装置、液晶表示装置に関する。
【解決手段】励起光を発する半導体発光素子と、緑色蛍光体と赤色蛍光体とを備え、赤色蛍光体としてMn4+賦活蛍光体とを備える、半導体発光装置およびこれを用いた画像表示装置、液晶表示装置に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子と蛍光体とを備える半導体発光装置およびそれを用いた画像表示装置、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)用バックライトの開発競争が激化している。この分野においては、様々な方式のバックライト光源が提案されているが、明るさと色再現性(NTSC比)とを同時に満足する方式は見つかっていないのが現状である。ここで、NTSC比とは、CIE1976色度図における色度座標(u’,v’)において、赤、緑、青各色の色度座標を結んで得られる三角形の面積の、NTSC(National Television System Comittee)が定めた赤、緑、青各色のCIE1976色度図上の色度座標(u’,v’)(赤(0.498,0.519)、緑(0.076,0.576)、青(0.152,0.196))を結んで得られる三角形の面積に対する比率である。
【0003】
現在、LCD用バックライト光源としては、青色発光の発光素子(ピーク波長:450nm前後)と、その青色光により励起されて黄色発光を示す3価のセリウムで賦活された(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12蛍光体または2価のユーロピウムで賦活された(Sr,Ba,Ca)2SiO4蛍光体を用いた波長変換部とを組み合わせた、白色発光を呈する発光装置が主として用いられている。しかし、これらの発光装置は、LCDのバックライトとして用いた場合、LCDの色再現性(NTSC比)が70%程度に留まる。
【0004】
たとえば特許文献1には、発光ダイオード(LED)を用いたバックライトとして、赤色発光LEDチップと緑色発光LEDチップと青色発光LEDチップとが1つのパッケージとなったRGB−LED、および紫外光を発するLEDとRGB蛍光体と組み合わせた構成が記載されている。前者の場合、NTSC比は100%を超える値を実現することが可能となるが、各色LEDの駆動特性が異なるため、所望の色を出すことが困難であり、また駆動回路が複雑となるため、モバイル用途に向かないといった問題点を有する。また、後者の場合、高輝度で、かつバックライトに好適な青色蛍光体がないという問題を有する。
【0005】
また、特許文献2には、赤色発光を示す窒化物系蛍光体であるEu賦活CaAlSiN3と、緑色発光を示す蛍光体とを青色発光を示す発光素子により励起し、白色光を示す発光素子が開示されている。この方式によれば、青色光に青色LEDを使用することができるので、高輝度で、かつバックライトに好適な青色蛍光体がないという問題は生じない。ここで、緑色発光を示す蛍光体としては、たとえば特許文献3のEu賦活βサイアロン蛍光体が従来好適に使用されてきた。特許文献2、3に記載された蛍光体は、いずれも化学的、機械的衝撃に対して安定な窒化ケイ素系セラミックスを母体としているため、発光デバイスに用いた際、耐環境性能に優れ、良好な色安定性を示す発光デバイスを実現させることが可能である。また、蛍光体として緑色と赤色の2色の蛍光体を用いているため、青色LEDと組み合わせて白色光を示す発光素子とした際に、上記黄色発光を示す3価のセリウムで賦活された(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12蛍光体または2価のユーロピウムで賦活された(Sr,Ba,Ca)2SiO4蛍光体を用いた場合と比較して、より広い色再現性(NTSC比)を実現し得る。
【0006】
青色LEDと赤色蛍光体、緑色蛍光体とを用いた白色発光デバイスを液晶表示装置のバックライト光源として用いるなどして、画像表示装置として用いた際、蛍光体としての発光スペクトル線幅がより狭いものを用いると、ディスプレイの色再現域が広くなる傾向がある。青色LEDと特許文献2、3に示される蛍光体とを用いた場合、赤色蛍光体の発光スペクトルのスペクトル幅が80nm以上であるため、赤色の色再現域が充分でない。よって、より広い赤色を表示可能なディスプレイを実現可能な白色発光する半導体発光装置、および当該白色発光する半導体発光装置を用いた画像表示装置が求められている。
【特許文献1】特開2004−287323号公報
【特許文献2】特開2006−16413号公報
【特許文献3】特開2005−255895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、半導体発光素子と蛍光体とを用い、従来より深い赤色を表示するディスプレイを実現可能な半導体発光装置およびこれを用いた画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の半導体発光装置は、励起光を発する半導体発光素子と、緑色蛍光体と赤色蛍光体とを備え、赤色蛍光体としてMn4+賦活蛍光体とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明におけるMn4+賦活蛍光体は、発光のピーク波長が625nm以上であり、発光スペクトルの半値幅が30nm以下であるものを好適に用いることができる。
【0010】
上記Mn4+賦活蛍光体は、Mn4+賦活Mgフルオロジャーマネート、もしくはMn4+賦活K2MF6(M=Si、Ge、Ti)であることが好ましい。
【0011】
本発明における緑色蛍光体は、発光のピーク波長が510nm以上550nm以下であり、発光スペクトルの半値幅が55nm以下であるものを好適に用いることができる。
【0012】
本発明における緑色蛍光体としてEu賦活βサイアロン蛍光体もしくはMn賦活γ‐AlON蛍光体を好適に用いることができる。
【0013】
また本発明における半導体発光素子の発光ピーク波長が430〜460nmであることが好ましく、440〜450nmであることがより好ましい。
【0014】
本発明はまた、バックライト光源として、白色光を発する、上述した本発明の半導体発
光装置を備えた画像表示装置および液晶表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、液晶ディスプレイなどの画像表示装置に用いた場合、従来より深い赤色を表示可能なディスプレイが実現可能となる半導体発光装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<半導体発光装置>
図1は、本発明の好ましい一例の半導体発光装置1を模式的に示す断面図である。本発明の半導体発光装置1は、励起光を発する半導体発光素子2と、前記励起光を吸収して赤色光を発するMn4+賦活赤色蛍光体(図示せず)とを備えることを特徴とする。図1に示す例の半導体発光装置1は、基体としてのプリント配線基板3上に、半導体発光素子2が載置され、同じくプリント配線基板3上に載置された樹脂枠4の内側に、蛍光体を分散させた透光性樹脂からなるモールド樹脂5が充填されて、半導体発光素子2が封止されている。図1に示す例では、半導体発光素子2は、活性層としてInGaN層6を有し、InGaN層6を挟んで、n側電極7およびp側電極8を有しており、このn側電極7が、プリント配線基板3の上面から背面にかけて設けられたn電極部9に、導電性を有する接着剤10を介して電気的に接続されている。また図1に示す例では、半導体発光素子2のp側電極8は、上述したn電極部9とは別途プリント配線基板3の上面から背面にかけて設けられたp電極部11に金属ワイヤ12を介して電気的に接続されている。なお、本発明の半導体発光装置は、この図1に示したような構造に限定されるものではなく、従来公知の一般的な構造を採用することができる。
【0017】
<赤色蛍光体>
本発明の半導体発光装置において、赤色蛍光体として用いられるMn4+賦活蛍光体は、その発光のピーク波長が625nm以上であり、発光スペクトルの半値幅は30nm以下であることが好ましい。発光のピーク波長が625nm以上であり、発光スペクトルの半値幅が30nm以下である赤色蛍光体を用いることにより、赤色蛍光体の発する赤色光が深い領域の赤色を示すためである。赤色蛍光体の発する赤色光が深い領域ということは、本発明の半導体発光装置を液晶ディスプレイなどの画像表示装置に用いた場合に、深い赤色を示す表示装置が実現可能であるということである。このようなMn4+賦活蛍光体として、William M.Yen and Marvin J.Weber著 CRC出版 「INORGANIC PHOSPHORS」 p.212(SECTION4:PHOSPHOR DATAの4.10 Miscellaneous Oxides)に例示されている、Mn4+賦活Mgフルオロジャーマネート蛍光体およびJournal of the Electrochemical Society:SOLID−STATE SCIENCE AND TECHNOLOGY、July 1973、p942に例示されている、Mn4+賦活K2MF6(M=Si、Ge、Ti)蛍光体が好適な具体例として挙げられる。ここで、Mn4+賦活蛍光体とは、発光のピーク波長が625nm以上であり、発光スペクトルの半値幅が30nm以下であるものが好適に用いられる。
【0018】
Mn4+賦活Mgフルオロジャーマネート蛍光体は、400〜460nmの青色の光により効率よく励起され、発光スペクトルの半値幅が15nmとシャープであり、かつ発光ピークが659nmである。発光スペクトルの色度点はCIE1976色度座標上で(u’,v’)=(0.569,0.513)と深い赤色を示す。また、Mn4+賦活K2MF6(M=Si、Ge、Ti)蛍光体は、400〜460nmの青色の光により効率よく励起され、発光スペクトルの半値幅が8nmとシャープであり、かつ発光ピークが631nmである。発光スペクトルの色度点はCIE1976色度座標上で(u’,v’)=(0.535,0.520)と深い赤色を示す。ここで、図4は、後述する本発明の画像表示装置において好適に使用される青色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、赤色カラーフィルタの透過スペクトルであり、図4中、縦軸は透過率(%)、横軸は波長(nm)である。本発明に用いられるMn4+賦活Mgフルオロジャーマネート蛍光体およびMn4+賦活K2MF6(M=Si、Ge、Ti)蛍光体は、図4の透過率を示すような、液晶表示装置において一般的に用いられている赤色カラーフィルタと波長整合性がよい。このため、本発明の半導体発光装置を画像表示装置のバックライトとして用いた場合には、高効率に赤色光を出射することができる。また、上述した発光特性は、従来の半導体発光装置に用いられているEu賦活CaAlSiN3蛍光体の発光スペクトルが示す値(半値幅約96nm、発光ピーク約650nm、色度座標(u’,v’)≒(nearly equal)(0.443,0.534))と比較して、より深い赤色を示している。ここで、深い色とは、画像表示装置を構成した際により色再現域が広くなる色、という意味で使用されている。
【0019】
<緑色蛍光体>
本発明の半導体発光装置1は、上述したMn4+賦活蛍光体を第1の蛍光体とする場合、励起光の照射により緑色光を発する第2の蛍光体をさらに備えることが好ましい。すなわち、本発明の半導体発光装置1は、半導体発光素子2が青色を呈し、上述したMn4+賦活蛍光体が赤色を呈するが、これら青色および赤色との混色により白色を呈する半導体発光装置1を得る観点から、第2の蛍光体として緑色蛍光体が用いられることが好ましい。図1に示した例の半導体発光装置1の場合、第2の蛍光体(図示せず)は、上述したMn4+賦活蛍光体とともに、モールド樹脂5中に分散される。
【0020】
ここで、本発明の半導体発光装置1に用いられる第2の蛍光体としては、励起光の照射により波長510〜550nmの範囲にピーク波長を有する緑色光を発する緑色蛍光体であることが好ましい。ここで、第2の蛍光体のピーク波長が上記範囲を外れると、図4に示すカラーフィルタとの波長整合性が悪くなり、半導体発光装置を画像表示装置に用いた際に、画像表示装置の明るさが低下するだけでなく、励起光または赤色蛍光体の発する光とスペクトルの重なりが生じ、緑色の色再現域が狭くなってしまう虞がある。
【0021】
また本発明における第2の蛍光体の発光スペクトルの全半値幅は、半導体発光装置を画像表示装置に用いた際に、画像表示装置がより深い緑色を示す観点から、55nm以下であることが好ましく、45nm以下であることがより好ましい。
【0022】
このような第2の蛍光体(緑色蛍光体)としては、Eu賦活βサイアロン蛍光体や、国際公開第2007/099862号パンフレットおよび第68回応用物理学会学術講演会講演予稿集p.1473「酸窒化アルミニウム緑色蛍光体の発光特性」に示されるMn賦活γ‐AlON蛍光体を好適に用いることができる。また、Eu賦活βサイアロン蛍光体に関しては、国際公開第2007/066733号パンフレットに示されるようなより発光スペクトルの半値幅が狭く、ピーク波長が短波長のものをより好適に用いることができる。
【0023】
上記Eu賦活βサイアロン蛍光体は、赤色蛍光体として特開2006−16413号公報に示されるEu賦活CaAlSiN3蛍光体を用いる組み合わせで発光装置を構成した場合、緑色蛍光体と赤色蛍光体の発光スペクトルの重なりが大きく、画像表示装置に用いた際に、色再現域が狭くなってしまう。しかし、本発明においては、赤色蛍光体としてMn4+賦活Mgフルオロジャーマネート蛍光体およびMn4+賦活K2MF6(M=Si、Ge、Ti)蛍光体のようなMn4+賦活蛍光体を用いているため、このような赤色蛍光体と緑色蛍光体のスペクトルの重なりの問題は緩和される。これは、本発明において用いている赤色蛍光体が、Eu賦活CaAlSiN3蛍光体と比較して発光スペクトルの半値幅が狭いことに起因する。
【0024】
一方、上記Mn賦活γ‐AlON蛍光体および本発明において赤色蛍光体として用いられるMn4+賦活蛍光体の蛍光寿命を測定した。その結果、Mn賦活γ‐AlON蛍光体の蛍光寿命は4msec、Mn4+賦活蛍光体、特にMn4+賦活Mgフルオロジャーマネート蛍光体の蛍光寿命は3msecとなり、Mn賦活γ‐AlON蛍光体とMn4+賦活蛍光体の残光時間は同じオーダーであった。このことから、Mn賦活γ‐AlON蛍光体およびMn4+賦活蛍光体を用いて画像表示装置を作製する際、残光時間が画像に及ぼす影響を制御しやすくなる。
【0025】
<モールド樹脂>
本発明の半導体発光装置1において、半導体発光素子2の封止に用いるモールド樹脂5は、たとえばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの透光性樹脂に蛍光体を分散させたものであり、この蛍光体の中に、上述した赤色蛍光体であるMn4+賦活蛍光体(および場合によっては第2の蛍光体(緑色蛍光体))が含まれる。この際、分散される蛍光体は、上記赤色蛍光体に加えて緑色蛍光体を含む蛍光体混合物を好適に用いることができ、必要に応じて青色蛍光体をさらに加えても良い。分散させる蛍光体の混合比率は、特に制限されず、画像表示装置に用いた際に、たとえばカラーフィルタをフルオープンにした際画面上で所望の白色点を示すスペクトルが得られるように、適宜決定されるものである。
【0026】
<半導体発光素子>
本発明の半導体発光装置1に用いられる、半導体発光素子2としては、従来公知のものを使用することができるが、発光ピーク波長が430〜460nmである一次光を発する半導体発光素子であることが好ましい。発光ピーク波長が上記範囲を外れると、たとえばMn4+賦活蛍光体としてMn4+賦活Mgフルオロジャーマネート蛍光体およびMn4+賦活K2MF6(M=Si、Ge、Ti)蛍光体を用いた場合、赤色蛍光体の発光効率が低くなってしまう。このような発光ピーク波長を示す半導体発光素子としては、活性層としてInGaN層を有する半導体発光素子を好ましく挙げることができる。本発明に用いられる半導体発光素子2の発光ピーク波長は、後述する青色カラーフィルタとの波長整合性が良いことから、さらに好ましくは440〜450nmである。
【0027】
<プリント配線基板>
本発明の半導体発光装置1に用いられるプリント配線基板は、耐熱性を有するガラスエポキシや絶縁性フィルムを用いることができる。
【0028】
<p側電極>
p側電極8の構成としては活性層6側からPd/Au、ITO(インジウム−スズ酸化物)やNiなどの材料を用いることができる。
【0029】
<n側電極>
n側電極7の構成としては活性層6側からHf/Al、Ti/Al、Ti/Mo、Hf/Auなどを用いることができる。
【0030】
<n電極部>
n電極部9はAlなどを用いることができる。
【0031】
<画像表示装置>
本発明はまた、上述した本発明の半導体発光装置のうち白色発光を呈するものをバックライト光源として用いた画像表示装置についても提供する。ここで、図2は、本発明の好ましい一例の画像表示装置21を模式的に示す分解斜視図であり、図3は、図2に示された液晶表示装置24を拡大して示す分解斜視図である。図2に示す例の画像表示装置21は、透明または半透明の導光板22の側面に、複数個(具体的には6個)の図1に示した例の半導体発光装置1が配置されてなる。なお、図2に示す例では、本発明の蛍光体と緑色蛍光を呈する蛍光体とを組み合わせて用いた場合の半導体発光装置1を用いた場合を示している。図2に示す例の画像表示装置21はまた、導光板22に隣接して、複数の液晶表示装置24で構成された液晶表示部23が隣接して設けられ、半導体発光装置1からの出射光25は、導光板22内で散乱して散乱光26として液晶表示部23の全面に照射されるように構成されている。
【0032】
<液晶表示装置>
液晶表示部23を構成する液晶表示装置24は、図3の分解斜視図に示されているように、偏光板27、透明導電膜28(薄膜トランジスタ28aを有する)、配向膜29a、液晶層30、配向膜29b、上部薄膜電極31、色画素を表示するためのカラーフィルタ32、上部偏光板33が順次積層されてなる。カラーフィルタ32は、透明導電膜28の各画素に対応する大きさの部分に分割されており、赤色光を透過する赤色カラーフィルタ32r、緑色光を透過する緑色カラーフィルタ32gおよび青色光を透過する青色カラーフィルタ32bから構成されている。
【0033】
本発明の液晶表示装置24は、図3に示すように、それぞれ赤色光、緑色光、青色光を透過するフィルタを備えることが好ましい。この場合、各色カラーフィルタは、図4に示した透過スペクトルを示す一般的なものを好適に用いることができる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
[1]蛍光体の作製
<製造例1:Mn4+賦活Mgフルオロジャーマネート蛍光体の調製>
酸化マグネシウム粉末50.884質量%、フッ化マグネシウム粉末11.187質量%、炭酸マグネシウム粉末1.660質量%、酸化ゲルマニウム粉末36.269質量%となるように所定量秤量し、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢と乳棒とを用い、10分以上混合し粉体凝集体を得た。この粉体凝集体を直径20mm、高さ20mmの大きさの窒化ホウ素製のるつぼに自然落下させて入れ、窒化ホウ素製のふたをかぶせた。次に、該るつぼを、黒鉛抵抗加熱方式の加圧電気炉にセットし、1200℃まで昇温し、さらに1200℃で2時間保持して蛍光体試料を得た。得られた蛍光体試料をメノウの乳鉢を用いて粉末に粉砕し、蛍光体粉末を得た。次に、これらの粉末に再度加熱処理を施した。蛍光体粉末を直径20mm高さ20mmの大きさの窒化ホウ素製るつぼに自然落下させて入れた。次に、該るつぼを黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットし、1200℃まで昇温し、その温度で16時間保持して、蛍光体試料を得た。得られた蛍光体試料をメノウの乳鉢を用いて粉末に粉砕し、蛍光体粉末を得た。当該蛍光体粉末について、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定(XRD)を行なったところ、当該蛍光体粉末から得られたチャートは全てMn4+賦活Mgフルオロジャーマネート構造であることを示した。また、当該蛍光体粉末に、波長365nmの光を発するランプで照射した結果、赤色に発光することを確認した。
【0036】
図5および6は、得られた蛍光体粉末の吸収(励起)スペクトル(図5)および発光スペクトル(図6)を示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図5および6に示す蛍光体粉末の吸収(励起)スペクトルおよび発光スペクトルは、F−4500(日立製作所製)を用いて測定した結果である。なお、吸収(励起)スペクトルは、発光ピークである657nmの強度をスキャンして測定した。また、発光スペクトルは、450nmの光で励起した際のものである。図5より、本実施例により作製された蛍光体は400〜430nmの光によって効率的に励起され、特に412〜422nmにおいて励起効率が高いことが分かる。また、図6から、本実施例により作製された蛍光体の発光スペクトルは図4に透過率を示した赤色カラーフィルタと波長整合性が良いことが分かる。図6に示す発光スペクトルの色度座標は(u’,v’)=(0.569,0.513)、ピーク波長は657nm、半値幅は16nmであった。なお、本製造例では、青色カラーフィルタとの波長整合性が良いことから、450nmの光で励起を行った。
【0037】
<製造例2:Mn4+賦活K2SiF6蛍光体の調製>
n型Si基板をKMnO4:H2O:HF=3g:50cc:50cc溶液中に10分間浸漬させ、n型Si基板表面に結晶を得た。得られた結晶をSi基板から分離、洗浄、ろ過することにより、蛍光体粉末を得た。当該蛍光体粉末について、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定(XRD)を行なったところ、当該蛍光体粉末から得られたチャートは全てMn4+賦活K2SiF6構造であることを示した。また、当該蛍光体粉末に、波長365nmの光を発するランプで照射した結果、赤色に発光することを確認した。
【0038】
図7および8は、得られた蛍光体粉末の吸収(励起)スペクトル(図7)および発光スペクトル(図8)を示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図7および8に示す蛍光体粉末の吸収(励起)スペクトルおよび発光スペクトルは、F−4500(日立製作所製)を用いて測定した結果である。なお、吸収(励起)スペクトルは、発光ピークである631nmの強度をスキャンして測定した。また、発光スペクトルは、450nmの光で励起した際のものである。図7より、本実施例により作製された蛍光体は430〜460nmの光によって効率的に励起され、特に445〜455nmにおいて励起効率が高いことが分かる。また、図8から、本実施例により作製された蛍光体の発光スペクトルは図4に透過率を示した赤色カラーフィルタと波長整合性が良いことが分かる。図8に示す発光スペクトルの色度座標は(u’,v’)=(0.535,0.520)、ピーク波長は631nm、半値幅は8nmであった。なお、本製造例では、青色カラーフィルタとの波長整合性が良いことから、450nmの光で励起を行った。
【0039】
<製造例3:Eu賦活βサイアロン蛍光体の調製1>
α型窒化ケイ素粉末95.82質量%、窒化アルミニウム粉末3.37質量%および酸化ユーロピウム粉末0.81質量%の組成となるように所定量秤量し、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢と乳棒とを用い、10分以上混合し粉体凝集体を得た。この粉体凝集体を直径20mm、高さ20mmの大きさの窒化ホウ素製のるつぼに自然落下させて入れた。
【0040】
次に、該るつぼを、黒鉛抵抗加熱方式の加圧電気炉にセットし、純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を1MPaとした後、毎時500℃で1900℃まで昇温し、さらにその温度で8時間保持して、蛍光体試料を得た。得られた蛍光体試料をメノウの乳鉢を用いて粉砕し、蛍光体粉末を得た。当該蛍光体粉末について、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定(XRD)を行なったところ、当該蛍光体粉末から得られたチャートは全てβ型サイアロン構造であることを示した。また、当該蛍光体粉末に、波長365nmの光を発するランプで照射した結果、緑色に発光することを確認した。
【0041】
図10は、得られた蛍光体粉末の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図10に示す蛍光体粉末の発光スペクトルも、F−4500(日立製作所製)を用いて測定した結果である。なお、図10に示す発光スペクトルは、450nmの光で励起した際のものである。図10に示す発光スペクトルの色度座標は(u’,v’)=(0.118,0.573)、ピーク波長は540nm、半値幅は55nmであった。
【0042】
<製造例4:Eu賦活βサイアロン蛍光体の調製2>
45μmの篩を通したケイ素粉末95.20質量%、窒化アルミニウム粉末4.55質量%および酸化ユーロピウム粉末0.26質量%の組成となるように所定量秤量し、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢と乳棒で10分以上混合した後に250μmの篩を通すことにより流動性に優れる粉体凝集体を得た。この粉体凝集体を直径20mm高さ20mmの大きさの窒化ホウ素製るつぼに自然落下させて入れた。次に、該るつぼを黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットし、純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を0.5MPaとした後、毎時500℃で1300℃まで昇温し、その後毎分1℃で1600℃まで昇温し、その温度で8時間保持して、蛍光体試料を得た。得られた蛍光体試料をメノウの乳鉢を用いて粉末に粉砕し、蛍光体粉末を得た。当該蛍光体粉末について、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定(XRD)を行った。その結果、当該粉末から得られたチャートは全てβ型サイアロン構造であることを示した。次に、これらの粉末に再度加熱処理を施した。1600℃で焼成した粉末を窒化ケイ素製の乳鉢と乳棒を用いて粉砕した後に、直径20mm高さ20mmの大きさの窒化ホウ素製るつぼに自然落下させて入れた。次に、該るつぼを黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットし、純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を1MPaとした後、毎時500℃で1900℃まで昇温し、その温度で8時間保持して、蛍光体試料を得た。得られた蛍光体試料をメノウの乳鉢を用いて粉末に粉砕し、蛍光体粉末を得た。当該蛍光体粉末について、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定(XRD)を行なったところ、当該蛍光体粉末は、β型サイアロンの構造を有することがわかった。また、当該蛍光体粉末に、波長365nmの光を発するランプで照射した結果、緑色に発光することを確認した。
【0043】
図11は、得られた蛍光体粉末の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図11に示す蛍光体粉末の発光スペクトルも、F−4500(日立製作所製)を用いて測定した結果である。なお、図11に示す発光スペクトルは、450nmの光で励起した際のものである。図11に示す発光スペクトルの色度座標は(u’,v’)=(0.093,0.576)、ピーク波長は524nm、半値幅は44nmであり、製造例3のβ型サイアロン蛍光体と比較して、本製造例のβ型サイアロン蛍光体はより深い緑色を示していることがわかる。
【0044】
<製造例5:Mn賦活γ−AlON蛍光体の調製>
理論組成のAlONであるAl7O9NにMnが1mol%含有されたものを合成すべく、窒化アルミニウム粉末13.2質量%、酸化アルミニウム粉末85.3質量%および炭酸マンガン粉末1.5質量%の組成となるように所定量秤量し、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢と乳棒とを用い、10分以上混合し粉体凝集体を得た。この粉体凝集体を直径20mm、高さ20mmの大きさの窒化ホウ素製のるつぼに自然落下させて入れた。
【0045】
次に、該るつぼを、黒鉛抵抗加熱方式の加圧電気炉にセットし、純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を0.5MPaとした後、毎時500℃で1800℃まで昇温し、さらにその温度で2時間保持して、蛍光体試料を得た。得られた蛍光体試料をメノウの乳鉢を用いて粉砕し、蛍光体粉末を得た。当該蛍光体粉末について、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定(XRD)を行なったところ、当該蛍光体粉末から得られたチャートは全てγ―AlON構造であることを示した。また、当該蛍光体粉末に、波長365nmの光を発するランプで照射した結果、緑色に発光することを確認した。
【0046】
図12は、得られた蛍光体粉末の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図12に示す蛍光体粉末の発光スペクトルも、F−4500(日立製作所製)を用いて測定した結果である。なお、図12に示す発光スペクトルは、450nmの光で励起した際のものである。図12に示す発光スペクトルの色度座標はの色度座標は(u’,v’)=(0.042,0.570)、ピーク波長は515nm、半値幅は33nmであった。
【0047】
<比較製造例1:Eu賦活CaAlSiN3(CASN)蛍光体の調製>
窒化アルミニウム粉末29.741質量%、α型窒化ケイ素粉末33.925質量%、窒化カルシウム粉末35.642質量%および窒化ユーロピウム粉末0.692質量%となるように所定量秤量し、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢と乳棒とを用い、10分以上混合し粉体凝集体を得た。窒化ユーロピウムは、金属ユーロピウムをアンモニア中で窒化して合成したものを用いた。この粉体凝集体を直径20mm、高さ20mmの大きさの窒化ホウ素製のるつぼに自然落下させて入れた。なお、粉末の秤量、混合、成形の各工程は全て、水分1ppm以下、酸素1ppm以下の窒素雰囲気を保持することができるグローブボックス中で行なった。
【0048】
次に、該るつぼを、黒鉛抵抗加熱方式の加圧電気炉にセットし、純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を1MPaとし、毎時500℃で1800℃まで昇温し、さらに1800℃で2時間保持して蛍光体試料を得た。得られた蛍光体試料をメノウの乳鉢を用いて粉砕し、蛍光体粉末を得た。当該蛍光体粉末について、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定(XRD)を行なったところ、当該蛍光体粉末は、CaAlSiN3結晶の構造を有することがわかった。また、当該蛍光体粉末に、波長365nmの光を発するランプで照射した結果、赤色に発光することを確認した。
【0049】
図9は、得られた蛍光体粉末の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図9に示す蛍光体粉末の発光スペクトルも、F−4500(日立製作所製)を用いて測定した結果である。なお、図9に示す発光スペクトルは、450nmの光で励起した際のものである。図9に示す発光スペクトルの色度座標は(u’,v’)=(0.443,0.534)、ピーク波長は650nm、半値幅は96nmであった。
【0050】
〔2〕半導体発光装置および画像表示装置の作製
<実施例1>
図1に示した構造を有する半導体発光装置1を作製した。まず、モールド樹脂5に分散させる蛍光体として、上記製造例1のMn4+賦活Mgフルオロジャーマネート蛍光体及び上記製造例3のEu賦活β型サイアロン蛍光体を1:0.996の重量比率で混合し、蛍光体混合物を得た。この蛍光体混合物を、シリコーン樹脂と1:20の重量比率で混合しシリコーン樹脂中に分散させ、モールド樹脂成分とした。また、半導体発光素子2には、450nmに発光ピーク波長を有するLEDを用いた。ここで、図13は、本実施例1で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図13に示す発光スペクトルは、MCPD−2000(大塚電子製)を用いて測定された値を示し、後述する実施例2に示される構成の画像表示装置を構成した際に、白色点が色温度10,000Kの白色付近を表示するように調整されたものである。
【0051】
<実施例2>
図2に示した構造を有する画像表示装置を作製した。バックライト光源として実施例1の半導体発光装置を用い、カラーフィルタには図4に示した透過率を示すものを用いた。
【0052】
<実施例3>
図1に示した構造を有する半導体発光装置1を作製した。まず、モールド樹脂5に分散させる蛍光体として、上記製造例1のMn4+賦活Mgフルオロジャーマネート蛍光体および上記製造例4のEu賦活β型サイアロン蛍光体合を1:1.175の重量比率で混合した、白色光を発する蛍光体混合物を用いた。この蛍光体混合物を、シリコーン樹脂と1:14.389の比率となるようにシリコーン樹脂中に分散させモールド樹脂成分とした。また、半導体発光素子2には、450nmに発光ピーク波長を有するLEDを用いた。ここで、図14は、本実施例3で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図14に示す発光スペクトルは、MCPD−2000(大塚電子製)を用いて測定された値を示し、後述する実施例4に示される構成の画像表示装置を構成した際に、白色点が色温度10,000Kの白色付近を表示するように調整されたものである。
【0053】
<実施例4>
図2に示した構造を有する画像表示装置を作製した。バックライト光源として実施例3の半導体発光装置を用い、カラーフィルタには図4に示した透過率を示すものを用いた。
【0054】
<実施例5>
図1に示した構造を有する半導体発光装置を作製した。まず、モールド樹脂5に分散させる蛍光体として、上記製造例1のMn4+賦活Mgフルオロジャーマネート蛍光体および上記製造例5のMn賦活γ‐AlON蛍光体を1:0.495の重量比率で混合した、白色光を発する蛍光体混合物を用いた。この蛍光体混合物を、シリコーン樹脂と1:14.184の比率となるようにシリコーン樹脂中に分散させモールド樹脂成分とした。また、半導体発光素子2には、450nmに発光ピーク波長を有するLEDを用いた。ここで、図15は、本実施例5で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、図15において、いずれも縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図15に示す発光スペクトルは、MCPD−2000(大塚電子製)を用いて測定された値を示し、後述する実施例6に示される構成の画像表示装置を構成した際に、白色点が色温度10,000Kの白色付近を表示するように調整されたものである。
【0055】
<実施例6>
図2に示した構造を有する画像表示装置を作製した。バックライト光源として実施例5の半導体発光装置を用い、カラーフィルタには図4に示した透過率を示すものを用いた。
【0056】
<実施例7>
図1に示した構造を有する半導体発光装置1を作製した。まず、モールド樹脂5に分散させる蛍光体として、上記製造例2のMn4+賦活K2SiF6蛍光体及び上記製造例3のEu賦活β型サイアロン蛍光体を1:2.603の重量比率で混合し、蛍光体混合物を得た。この蛍光体混合物を、シリコーン樹脂と1:29.369の重量比率で混合しシリコーン樹脂中に分散させ、モールド樹脂成分とした。また、半導体発光素子2には、450nmに発光ピーク波長を有するLEDを用いた。ここで、図16は、本実施例7で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図16に示す発光スペクトルは、MCPD−2000(大塚電子製)を用いて測定された値を示し、後述する実施例8に示される構成の画像表示装置を構成した際に、白色点が色温度10,000Kの白色付近を表示するように調整されたものである。
【0057】
<実施例8>
図2に示した構造を有する画像表示装置を作製した。バックライト光源として実施例7の半導体発光装置を用い、カラーフィルタには図4に示した透過率を示すものを用いた。
【0058】
<実施例9>
図1に示した構造を有する半導体発光装置1を作製した。まず、モールド樹脂5に分散させる蛍光体として、上記製造例2のMn4+賦活K2SiF6蛍光体及び上記製造例4のEu賦活β型サイアロン蛍光体を1:3.054の重量比率で混合し、蛍光体混合物を得た。この蛍光体混合物を、シリコーン樹脂と1:20.576の重量比率で混合しシリコーン樹脂中に分散させ、モールド樹脂成分とした。また、半導体発光素子2には、450nmに発光ピーク波長を有するLEDを用いた。ここで、図17は、本実施例9で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図17に示す発光スペクトルは、MCPD−2000(大塚電子製)を用いて測定された値を示し、後述する実施例10に示される構成の画像表示装置を構成した際に、白色点が色温度10,000Kの白色付近を表示するように調整されたものである。
【0059】
<実施例10>
図2に示した構造を有する画像表示装置を作製した。バックライト光源として実施例9の半導体発光装置を用い、カラーフィルタには図4に示した透過率を示すものを用いた。
【0060】
<実施例11>
図1に示した構造を有する半導体発光装置1を作製した。まず、モールド樹脂5に分散させる蛍光体として、上記製造例2のMn4+賦活K2SiF6蛍光体及び上記製造例5のMn賦活γ−AlON蛍光体を1:1.290の重量比率で混合し、蛍光体混合物を得た。この蛍光体混合物を、シリコーン樹脂と1:24.863の重量比率で混合しシリコーン樹脂中に分散させ、モールド樹脂成分とした。また、半導体発光素子2には、450nmに発光ピーク波長を有するLEDを用いた。ここで、図18は、本実施例11で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図18に示す発光スペクトルは、MCPD−2000(大塚電子製)を用いて測定された値を示し、後述する実施例12に示される構成の画像表示装置を構成した際に、白色点が色温度10,000Kの白色付近を表示するように調整されたものである。
【0061】
<実施例12>
図2に示した構造を有する画像表示装置を作製した。バックライト光源として実施例11の半導体発光装置を用い、カラーフィルタには図4に示した透過率を示すものを用いた。
【0062】
<比較例1>
図1に示した構造を有する半導体発光装置を作製した。まず、モールド樹脂に分散させる蛍光体として、上記比較製造例1のEu賦活CaAlSiN3蛍光体および上記製造例3のEu賦活β型サイアロン蛍光体合を1:1.479の重量比率で混合した、白色光を発する蛍光体混合物を用いた。この蛍光体混合物を、シリコーン樹脂と1:16.393の比率となるようにシリコーン樹脂中に分散させモールド樹脂成分とした。また、半導体発光素子には、450nmに発光ピーク波長を有するLEDを用いた。ここで、図19は、本比較例1で作製した半導体発光装置の発光スペクトルを示すグラフであり、図19において、いずれも縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図19示す発光スペクトルは、MCPD−2000(大塚電子製)を用いて測定された値を示し、後述する比較例2に示される構成の液晶表示装置を構成した際に、白色点が色温度10,000Kの白色付近を表示するように調整されたものである。
【0063】
<比較例2>
図2示した構造を有する画像表示装置を作製した。バックライト光源として比較例1の半導体発光装置を用い、カラーフィルタには図4示した透過率を示すものを用いた。
【0064】
<比較例3>
図1に示した構造を有する半導体発光装置を作製した。まず、モールド樹脂に分散させる蛍光体として、上記比較製造例1のEu賦活CaAlSiN3蛍光体および上記製造例4のEu賦活β型サイアロン蛍光体合を1:1.742の重量比率で混合した、白色光を発する蛍光体混合物を用いた。この蛍光体混合物を、シリコーン樹脂と1:12.048の比率となるようにシリコーン樹脂中に分散させモールド樹脂成分とした。また、半導体発光素子には、450nmに発光ピーク波長を有するLEDを用いた。ここで、図20は、本比較例3で作製した半導体発光装置の発光スペクトルを示すグラフであり、図20において、いずれも縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図20に示す発光スペクトルは、MCPD−2000(大塚電子製)を用いて測定された値を示し、白色点が色温度10,000Kの白色付近を表示するように調整されたものである。
【0065】
<比較例4>
図2に示した構造を有する画像表示装置を作製した。バックライト光源として比較例3の半導体発光装置を用い、カラーフィルタには図4に示した透過率を示すものを用いた。
【0066】
<比較例5>
図1に示した構造を有する半導体発光装置を作製した。まず、モールド樹脂に分散させる蛍光体として、上記比較製造例1のEu賦活CaAlSiN3蛍光体および上記製造例5のMn賦活γ―AlON蛍光体合を1:0.735の重量比率で混合した、白色光を発する蛍光体混合物を用いた。この蛍光体混合物を、シリコーン樹脂と1:13.986の比率となるようにシリコーン樹脂中に分散させモールド樹脂成分とした。また、半導体発光素子には、450nmに発光ピーク波長を有するLEDを用いた。ここで、図21は、本比較例5で作製した半導体発光装置の発光スペクトルを示すグラフであり、図21において、いずれも縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図21に示す発光スペクトルは、MCPD−2000(大塚電子製)を用いて測定された値を示し、白色点が色温度10,000Kの白色付近を表示するように調整されたものである。
【0067】
<比較例6>
図2に示した構造を有する画像表示装置を作製した。バックライト光源として比較例5の半導体発光装置を用い、カラーフィルタには図4に示した透過率を示すものを用いた。
【0068】
[評価結果]
表1に、実施例2、4、6、8、10、12、比較例2、4、6に示される画像表示装置において、画面上表示光のCIE1976色度座標でのNTSC比、白色点、赤色点、緑色点、青色点の色度座標を示す。ここで、赤色点、緑色点、青色点とはディスレイ上にそれぞれ、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、青色カラーフィルタを透過する光のみを表示させた際のディスプレイ上の色度点であり、白色点とは全てのカラーフィルタをフルオープンにした際のディスプレイ上の色度点である。なお、表1に示される色度点、NTSC比は大塚電子製MCPD−2000を用いて測定した。
【0069】
【表1】
【0070】
表1より、実施例に示される画像表示装置は、比較例に示される画像表示装置と比較すると、緑色点、赤色点がより深い色味を示していることがわかる。これは、製造例1のMn4+賦活Mgフルオロジャーマネート蛍光体および製造例2のMn4+賦活K2SiF6蛍光体が比較製造例1のEu賦活CaAlSiN3(CASN)蛍光体と比較して深い赤色で発光し、かつ発光スペクトルの半値幅がシャープであることに起因する。また、特に実施例2と4および8と10を比較すると、実施例4および10に示す画像表示装置の方がより深い緑色を示していることがわかる。これは、製造例4に示すβ型サイアロン蛍光体が、製造例3に示すβ型サイアロン蛍光体と比べてより深い緑色を示すことに起因する。
【0071】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の好ましい一例の半導体発光装置1を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の好ましい一例の画像表示装置21を模式的に示す分解斜視図である。
【図3】図2に示された液晶表示装置24を拡大して示す分解斜視図である。
【図4】本発明の液晶表示装置において好適に使用される青色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、赤色カラーフィルタの透過スペクトルであり、図4中、縦軸は透過率(%)、横軸は波長(nm)、を示している。
【図5】製造例1で得られた蛍光体粉末の吸収(励起)スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図6】製造例1で得られた蛍光体粉末の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図7】製造例2で得られた蛍光体粉末の吸収(励起)スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図8】製造例2で得られた蛍光体粉末の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図9】比較製造例1で得られた蛍光体粉末の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図10】製造例3で得られた蛍光体粉末の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図11】製造例4で得られた蛍光体粉末の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図12】製造例5で得られた蛍光体粉末の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図13】実施例1で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図14】実施例3で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図15】実施例5で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図16】実施例7で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図17】実施例9で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図18】実施例11で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図19】比較例1で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図20】比較例3で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図21】比較例5で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【符号の説明】
【0073】
1 半導体発光装置、2 半導体発光素子、3 プリント配線基板、4 樹脂枠、5 モールド樹脂、6 InGaN層、7 n側電極、8 p側電極、9 n電極部、10 接着剤、11 p電極部、12 金属ワイヤ、21 液晶表示装置、22 導光板、23 液晶表示部、24 液晶表示装置、25 出射光、26 散乱光、27 偏光板、28 透明導電膜、28a 薄膜トランジスタ、29a 配向膜、29b 配向膜、30 液晶層、31 上部薄膜電極、32 カラーフィルタ、33 上部偏光板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子と蛍光体とを備える半導体発光装置およびそれを用いた画像表示装置、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)用バックライトの開発競争が激化している。この分野においては、様々な方式のバックライト光源が提案されているが、明るさと色再現性(NTSC比)とを同時に満足する方式は見つかっていないのが現状である。ここで、NTSC比とは、CIE1976色度図における色度座標(u’,v’)において、赤、緑、青各色の色度座標を結んで得られる三角形の面積の、NTSC(National Television System Comittee)が定めた赤、緑、青各色のCIE1976色度図上の色度座標(u’,v’)(赤(0.498,0.519)、緑(0.076,0.576)、青(0.152,0.196))を結んで得られる三角形の面積に対する比率である。
【0003】
現在、LCD用バックライト光源としては、青色発光の発光素子(ピーク波長:450nm前後)と、その青色光により励起されて黄色発光を示す3価のセリウムで賦活された(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12蛍光体または2価のユーロピウムで賦活された(Sr,Ba,Ca)2SiO4蛍光体を用いた波長変換部とを組み合わせた、白色発光を呈する発光装置が主として用いられている。しかし、これらの発光装置は、LCDのバックライトとして用いた場合、LCDの色再現性(NTSC比)が70%程度に留まる。
【0004】
たとえば特許文献1には、発光ダイオード(LED)を用いたバックライトとして、赤色発光LEDチップと緑色発光LEDチップと青色発光LEDチップとが1つのパッケージとなったRGB−LED、および紫外光を発するLEDとRGB蛍光体と組み合わせた構成が記載されている。前者の場合、NTSC比は100%を超える値を実現することが可能となるが、各色LEDの駆動特性が異なるため、所望の色を出すことが困難であり、また駆動回路が複雑となるため、モバイル用途に向かないといった問題点を有する。また、後者の場合、高輝度で、かつバックライトに好適な青色蛍光体がないという問題を有する。
【0005】
また、特許文献2には、赤色発光を示す窒化物系蛍光体であるEu賦活CaAlSiN3と、緑色発光を示す蛍光体とを青色発光を示す発光素子により励起し、白色光を示す発光素子が開示されている。この方式によれば、青色光に青色LEDを使用することができるので、高輝度で、かつバックライトに好適な青色蛍光体がないという問題は生じない。ここで、緑色発光を示す蛍光体としては、たとえば特許文献3のEu賦活βサイアロン蛍光体が従来好適に使用されてきた。特許文献2、3に記載された蛍光体は、いずれも化学的、機械的衝撃に対して安定な窒化ケイ素系セラミックスを母体としているため、発光デバイスに用いた際、耐環境性能に優れ、良好な色安定性を示す発光デバイスを実現させることが可能である。また、蛍光体として緑色と赤色の2色の蛍光体を用いているため、青色LEDと組み合わせて白色光を示す発光素子とした際に、上記黄色発光を示す3価のセリウムで賦活された(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12蛍光体または2価のユーロピウムで賦活された(Sr,Ba,Ca)2SiO4蛍光体を用いた場合と比較して、より広い色再現性(NTSC比)を実現し得る。
【0006】
青色LEDと赤色蛍光体、緑色蛍光体とを用いた白色発光デバイスを液晶表示装置のバックライト光源として用いるなどして、画像表示装置として用いた際、蛍光体としての発光スペクトル線幅がより狭いものを用いると、ディスプレイの色再現域が広くなる傾向がある。青色LEDと特許文献2、3に示される蛍光体とを用いた場合、赤色蛍光体の発光スペクトルのスペクトル幅が80nm以上であるため、赤色の色再現域が充分でない。よって、より広い赤色を表示可能なディスプレイを実現可能な白色発光する半導体発光装置、および当該白色発光する半導体発光装置を用いた画像表示装置が求められている。
【特許文献1】特開2004−287323号公報
【特許文献2】特開2006−16413号公報
【特許文献3】特開2005−255895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、半導体発光素子と蛍光体とを用い、従来より深い赤色を表示するディスプレイを実現可能な半導体発光装置およびこれを用いた画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の半導体発光装置は、励起光を発する半導体発光素子と、緑色蛍光体と赤色蛍光体とを備え、赤色蛍光体としてMn4+賦活蛍光体とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明におけるMn4+賦活蛍光体は、発光のピーク波長が625nm以上であり、発光スペクトルの半値幅が30nm以下であるものを好適に用いることができる。
【0010】
上記Mn4+賦活蛍光体は、Mn4+賦活Mgフルオロジャーマネート、もしくはMn4+賦活K2MF6(M=Si、Ge、Ti)であることが好ましい。
【0011】
本発明における緑色蛍光体は、発光のピーク波長が510nm以上550nm以下であり、発光スペクトルの半値幅が55nm以下であるものを好適に用いることができる。
【0012】
本発明における緑色蛍光体としてEu賦活βサイアロン蛍光体もしくはMn賦活γ‐AlON蛍光体を好適に用いることができる。
【0013】
また本発明における半導体発光素子の発光ピーク波長が430〜460nmであることが好ましく、440〜450nmであることがより好ましい。
【0014】
本発明はまた、バックライト光源として、白色光を発する、上述した本発明の半導体発
光装置を備えた画像表示装置および液晶表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、液晶ディスプレイなどの画像表示装置に用いた場合、従来より深い赤色を表示可能なディスプレイが実現可能となる半導体発光装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<半導体発光装置>
図1は、本発明の好ましい一例の半導体発光装置1を模式的に示す断面図である。本発明の半導体発光装置1は、励起光を発する半導体発光素子2と、前記励起光を吸収して赤色光を発するMn4+賦活赤色蛍光体(図示せず)とを備えることを特徴とする。図1に示す例の半導体発光装置1は、基体としてのプリント配線基板3上に、半導体発光素子2が載置され、同じくプリント配線基板3上に載置された樹脂枠4の内側に、蛍光体を分散させた透光性樹脂からなるモールド樹脂5が充填されて、半導体発光素子2が封止されている。図1に示す例では、半導体発光素子2は、活性層としてInGaN層6を有し、InGaN層6を挟んで、n側電極7およびp側電極8を有しており、このn側電極7が、プリント配線基板3の上面から背面にかけて設けられたn電極部9に、導電性を有する接着剤10を介して電気的に接続されている。また図1に示す例では、半導体発光素子2のp側電極8は、上述したn電極部9とは別途プリント配線基板3の上面から背面にかけて設けられたp電極部11に金属ワイヤ12を介して電気的に接続されている。なお、本発明の半導体発光装置は、この図1に示したような構造に限定されるものではなく、従来公知の一般的な構造を採用することができる。
【0017】
<赤色蛍光体>
本発明の半導体発光装置において、赤色蛍光体として用いられるMn4+賦活蛍光体は、その発光のピーク波長が625nm以上であり、発光スペクトルの半値幅は30nm以下であることが好ましい。発光のピーク波長が625nm以上であり、発光スペクトルの半値幅が30nm以下である赤色蛍光体を用いることにより、赤色蛍光体の発する赤色光が深い領域の赤色を示すためである。赤色蛍光体の発する赤色光が深い領域ということは、本発明の半導体発光装置を液晶ディスプレイなどの画像表示装置に用いた場合に、深い赤色を示す表示装置が実現可能であるということである。このようなMn4+賦活蛍光体として、William M.Yen and Marvin J.Weber著 CRC出版 「INORGANIC PHOSPHORS」 p.212(SECTION4:PHOSPHOR DATAの4.10 Miscellaneous Oxides)に例示されている、Mn4+賦活Mgフルオロジャーマネート蛍光体およびJournal of the Electrochemical Society:SOLID−STATE SCIENCE AND TECHNOLOGY、July 1973、p942に例示されている、Mn4+賦活K2MF6(M=Si、Ge、Ti)蛍光体が好適な具体例として挙げられる。ここで、Mn4+賦活蛍光体とは、発光のピーク波長が625nm以上であり、発光スペクトルの半値幅が30nm以下であるものが好適に用いられる。
【0018】
Mn4+賦活Mgフルオロジャーマネート蛍光体は、400〜460nmの青色の光により効率よく励起され、発光スペクトルの半値幅が15nmとシャープであり、かつ発光ピークが659nmである。発光スペクトルの色度点はCIE1976色度座標上で(u’,v’)=(0.569,0.513)と深い赤色を示す。また、Mn4+賦活K2MF6(M=Si、Ge、Ti)蛍光体は、400〜460nmの青色の光により効率よく励起され、発光スペクトルの半値幅が8nmとシャープであり、かつ発光ピークが631nmである。発光スペクトルの色度点はCIE1976色度座標上で(u’,v’)=(0.535,0.520)と深い赤色を示す。ここで、図4は、後述する本発明の画像表示装置において好適に使用される青色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、赤色カラーフィルタの透過スペクトルであり、図4中、縦軸は透過率(%)、横軸は波長(nm)である。本発明に用いられるMn4+賦活Mgフルオロジャーマネート蛍光体およびMn4+賦活K2MF6(M=Si、Ge、Ti)蛍光体は、図4の透過率を示すような、液晶表示装置において一般的に用いられている赤色カラーフィルタと波長整合性がよい。このため、本発明の半導体発光装置を画像表示装置のバックライトとして用いた場合には、高効率に赤色光を出射することができる。また、上述した発光特性は、従来の半導体発光装置に用いられているEu賦活CaAlSiN3蛍光体の発光スペクトルが示す値(半値幅約96nm、発光ピーク約650nm、色度座標(u’,v’)≒(nearly equal)(0.443,0.534))と比較して、より深い赤色を示している。ここで、深い色とは、画像表示装置を構成した際により色再現域が広くなる色、という意味で使用されている。
【0019】
<緑色蛍光体>
本発明の半導体発光装置1は、上述したMn4+賦活蛍光体を第1の蛍光体とする場合、励起光の照射により緑色光を発する第2の蛍光体をさらに備えることが好ましい。すなわち、本発明の半導体発光装置1は、半導体発光素子2が青色を呈し、上述したMn4+賦活蛍光体が赤色を呈するが、これら青色および赤色との混色により白色を呈する半導体発光装置1を得る観点から、第2の蛍光体として緑色蛍光体が用いられることが好ましい。図1に示した例の半導体発光装置1の場合、第2の蛍光体(図示せず)は、上述したMn4+賦活蛍光体とともに、モールド樹脂5中に分散される。
【0020】
ここで、本発明の半導体発光装置1に用いられる第2の蛍光体としては、励起光の照射により波長510〜550nmの範囲にピーク波長を有する緑色光を発する緑色蛍光体であることが好ましい。ここで、第2の蛍光体のピーク波長が上記範囲を外れると、図4に示すカラーフィルタとの波長整合性が悪くなり、半導体発光装置を画像表示装置に用いた際に、画像表示装置の明るさが低下するだけでなく、励起光または赤色蛍光体の発する光とスペクトルの重なりが生じ、緑色の色再現域が狭くなってしまう虞がある。
【0021】
また本発明における第2の蛍光体の発光スペクトルの全半値幅は、半導体発光装置を画像表示装置に用いた際に、画像表示装置がより深い緑色を示す観点から、55nm以下であることが好ましく、45nm以下であることがより好ましい。
【0022】
このような第2の蛍光体(緑色蛍光体)としては、Eu賦活βサイアロン蛍光体や、国際公開第2007/099862号パンフレットおよび第68回応用物理学会学術講演会講演予稿集p.1473「酸窒化アルミニウム緑色蛍光体の発光特性」に示されるMn賦活γ‐AlON蛍光体を好適に用いることができる。また、Eu賦活βサイアロン蛍光体に関しては、国際公開第2007/066733号パンフレットに示されるようなより発光スペクトルの半値幅が狭く、ピーク波長が短波長のものをより好適に用いることができる。
【0023】
上記Eu賦活βサイアロン蛍光体は、赤色蛍光体として特開2006−16413号公報に示されるEu賦活CaAlSiN3蛍光体を用いる組み合わせで発光装置を構成した場合、緑色蛍光体と赤色蛍光体の発光スペクトルの重なりが大きく、画像表示装置に用いた際に、色再現域が狭くなってしまう。しかし、本発明においては、赤色蛍光体としてMn4+賦活Mgフルオロジャーマネート蛍光体およびMn4+賦活K2MF6(M=Si、Ge、Ti)蛍光体のようなMn4+賦活蛍光体を用いているため、このような赤色蛍光体と緑色蛍光体のスペクトルの重なりの問題は緩和される。これは、本発明において用いている赤色蛍光体が、Eu賦活CaAlSiN3蛍光体と比較して発光スペクトルの半値幅が狭いことに起因する。
【0024】
一方、上記Mn賦活γ‐AlON蛍光体および本発明において赤色蛍光体として用いられるMn4+賦活蛍光体の蛍光寿命を測定した。その結果、Mn賦活γ‐AlON蛍光体の蛍光寿命は4msec、Mn4+賦活蛍光体、特にMn4+賦活Mgフルオロジャーマネート蛍光体の蛍光寿命は3msecとなり、Mn賦活γ‐AlON蛍光体とMn4+賦活蛍光体の残光時間は同じオーダーであった。このことから、Mn賦活γ‐AlON蛍光体およびMn4+賦活蛍光体を用いて画像表示装置を作製する際、残光時間が画像に及ぼす影響を制御しやすくなる。
【0025】
<モールド樹脂>
本発明の半導体発光装置1において、半導体発光素子2の封止に用いるモールド樹脂5は、たとえばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの透光性樹脂に蛍光体を分散させたものであり、この蛍光体の中に、上述した赤色蛍光体であるMn4+賦活蛍光体(および場合によっては第2の蛍光体(緑色蛍光体))が含まれる。この際、分散される蛍光体は、上記赤色蛍光体に加えて緑色蛍光体を含む蛍光体混合物を好適に用いることができ、必要に応じて青色蛍光体をさらに加えても良い。分散させる蛍光体の混合比率は、特に制限されず、画像表示装置に用いた際に、たとえばカラーフィルタをフルオープンにした際画面上で所望の白色点を示すスペクトルが得られるように、適宜決定されるものである。
【0026】
<半導体発光素子>
本発明の半導体発光装置1に用いられる、半導体発光素子2としては、従来公知のものを使用することができるが、発光ピーク波長が430〜460nmである一次光を発する半導体発光素子であることが好ましい。発光ピーク波長が上記範囲を外れると、たとえばMn4+賦活蛍光体としてMn4+賦活Mgフルオロジャーマネート蛍光体およびMn4+賦活K2MF6(M=Si、Ge、Ti)蛍光体を用いた場合、赤色蛍光体の発光効率が低くなってしまう。このような発光ピーク波長を示す半導体発光素子としては、活性層としてInGaN層を有する半導体発光素子を好ましく挙げることができる。本発明に用いられる半導体発光素子2の発光ピーク波長は、後述する青色カラーフィルタとの波長整合性が良いことから、さらに好ましくは440〜450nmである。
【0027】
<プリント配線基板>
本発明の半導体発光装置1に用いられるプリント配線基板は、耐熱性を有するガラスエポキシや絶縁性フィルムを用いることができる。
【0028】
<p側電極>
p側電極8の構成としては活性層6側からPd/Au、ITO(インジウム−スズ酸化物)やNiなどの材料を用いることができる。
【0029】
<n側電極>
n側電極7の構成としては活性層6側からHf/Al、Ti/Al、Ti/Mo、Hf/Auなどを用いることができる。
【0030】
<n電極部>
n電極部9はAlなどを用いることができる。
【0031】
<画像表示装置>
本発明はまた、上述した本発明の半導体発光装置のうち白色発光を呈するものをバックライト光源として用いた画像表示装置についても提供する。ここで、図2は、本発明の好ましい一例の画像表示装置21を模式的に示す分解斜視図であり、図3は、図2に示された液晶表示装置24を拡大して示す分解斜視図である。図2に示す例の画像表示装置21は、透明または半透明の導光板22の側面に、複数個(具体的には6個)の図1に示した例の半導体発光装置1が配置されてなる。なお、図2に示す例では、本発明の蛍光体と緑色蛍光を呈する蛍光体とを組み合わせて用いた場合の半導体発光装置1を用いた場合を示している。図2に示す例の画像表示装置21はまた、導光板22に隣接して、複数の液晶表示装置24で構成された液晶表示部23が隣接して設けられ、半導体発光装置1からの出射光25は、導光板22内で散乱して散乱光26として液晶表示部23の全面に照射されるように構成されている。
【0032】
<液晶表示装置>
液晶表示部23を構成する液晶表示装置24は、図3の分解斜視図に示されているように、偏光板27、透明導電膜28(薄膜トランジスタ28aを有する)、配向膜29a、液晶層30、配向膜29b、上部薄膜電極31、色画素を表示するためのカラーフィルタ32、上部偏光板33が順次積層されてなる。カラーフィルタ32は、透明導電膜28の各画素に対応する大きさの部分に分割されており、赤色光を透過する赤色カラーフィルタ32r、緑色光を透過する緑色カラーフィルタ32gおよび青色光を透過する青色カラーフィルタ32bから構成されている。
【0033】
本発明の液晶表示装置24は、図3に示すように、それぞれ赤色光、緑色光、青色光を透過するフィルタを備えることが好ましい。この場合、各色カラーフィルタは、図4に示した透過スペクトルを示す一般的なものを好適に用いることができる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
[1]蛍光体の作製
<製造例1:Mn4+賦活Mgフルオロジャーマネート蛍光体の調製>
酸化マグネシウム粉末50.884質量%、フッ化マグネシウム粉末11.187質量%、炭酸マグネシウム粉末1.660質量%、酸化ゲルマニウム粉末36.269質量%となるように所定量秤量し、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢と乳棒とを用い、10分以上混合し粉体凝集体を得た。この粉体凝集体を直径20mm、高さ20mmの大きさの窒化ホウ素製のるつぼに自然落下させて入れ、窒化ホウ素製のふたをかぶせた。次に、該るつぼを、黒鉛抵抗加熱方式の加圧電気炉にセットし、1200℃まで昇温し、さらに1200℃で2時間保持して蛍光体試料を得た。得られた蛍光体試料をメノウの乳鉢を用いて粉末に粉砕し、蛍光体粉末を得た。次に、これらの粉末に再度加熱処理を施した。蛍光体粉末を直径20mm高さ20mmの大きさの窒化ホウ素製るつぼに自然落下させて入れた。次に、該るつぼを黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットし、1200℃まで昇温し、その温度で16時間保持して、蛍光体試料を得た。得られた蛍光体試料をメノウの乳鉢を用いて粉末に粉砕し、蛍光体粉末を得た。当該蛍光体粉末について、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定(XRD)を行なったところ、当該蛍光体粉末から得られたチャートは全てMn4+賦活Mgフルオロジャーマネート構造であることを示した。また、当該蛍光体粉末に、波長365nmの光を発するランプで照射した結果、赤色に発光することを確認した。
【0036】
図5および6は、得られた蛍光体粉末の吸収(励起)スペクトル(図5)および発光スペクトル(図6)を示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図5および6に示す蛍光体粉末の吸収(励起)スペクトルおよび発光スペクトルは、F−4500(日立製作所製)を用いて測定した結果である。なお、吸収(励起)スペクトルは、発光ピークである657nmの強度をスキャンして測定した。また、発光スペクトルは、450nmの光で励起した際のものである。図5より、本実施例により作製された蛍光体は400〜430nmの光によって効率的に励起され、特に412〜422nmにおいて励起効率が高いことが分かる。また、図6から、本実施例により作製された蛍光体の発光スペクトルは図4に透過率を示した赤色カラーフィルタと波長整合性が良いことが分かる。図6に示す発光スペクトルの色度座標は(u’,v’)=(0.569,0.513)、ピーク波長は657nm、半値幅は16nmであった。なお、本製造例では、青色カラーフィルタとの波長整合性が良いことから、450nmの光で励起を行った。
【0037】
<製造例2:Mn4+賦活K2SiF6蛍光体の調製>
n型Si基板をKMnO4:H2O:HF=3g:50cc:50cc溶液中に10分間浸漬させ、n型Si基板表面に結晶を得た。得られた結晶をSi基板から分離、洗浄、ろ過することにより、蛍光体粉末を得た。当該蛍光体粉末について、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定(XRD)を行なったところ、当該蛍光体粉末から得られたチャートは全てMn4+賦活K2SiF6構造であることを示した。また、当該蛍光体粉末に、波長365nmの光を発するランプで照射した結果、赤色に発光することを確認した。
【0038】
図7および8は、得られた蛍光体粉末の吸収(励起)スペクトル(図7)および発光スペクトル(図8)を示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図7および8に示す蛍光体粉末の吸収(励起)スペクトルおよび発光スペクトルは、F−4500(日立製作所製)を用いて測定した結果である。なお、吸収(励起)スペクトルは、発光ピークである631nmの強度をスキャンして測定した。また、発光スペクトルは、450nmの光で励起した際のものである。図7より、本実施例により作製された蛍光体は430〜460nmの光によって効率的に励起され、特に445〜455nmにおいて励起効率が高いことが分かる。また、図8から、本実施例により作製された蛍光体の発光スペクトルは図4に透過率を示した赤色カラーフィルタと波長整合性が良いことが分かる。図8に示す発光スペクトルの色度座標は(u’,v’)=(0.535,0.520)、ピーク波長は631nm、半値幅は8nmであった。なお、本製造例では、青色カラーフィルタとの波長整合性が良いことから、450nmの光で励起を行った。
【0039】
<製造例3:Eu賦活βサイアロン蛍光体の調製1>
α型窒化ケイ素粉末95.82質量%、窒化アルミニウム粉末3.37質量%および酸化ユーロピウム粉末0.81質量%の組成となるように所定量秤量し、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢と乳棒とを用い、10分以上混合し粉体凝集体を得た。この粉体凝集体を直径20mm、高さ20mmの大きさの窒化ホウ素製のるつぼに自然落下させて入れた。
【0040】
次に、該るつぼを、黒鉛抵抗加熱方式の加圧電気炉にセットし、純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を1MPaとした後、毎時500℃で1900℃まで昇温し、さらにその温度で8時間保持して、蛍光体試料を得た。得られた蛍光体試料をメノウの乳鉢を用いて粉砕し、蛍光体粉末を得た。当該蛍光体粉末について、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定(XRD)を行なったところ、当該蛍光体粉末から得られたチャートは全てβ型サイアロン構造であることを示した。また、当該蛍光体粉末に、波長365nmの光を発するランプで照射した結果、緑色に発光することを確認した。
【0041】
図10は、得られた蛍光体粉末の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図10に示す蛍光体粉末の発光スペクトルも、F−4500(日立製作所製)を用いて測定した結果である。なお、図10に示す発光スペクトルは、450nmの光で励起した際のものである。図10に示す発光スペクトルの色度座標は(u’,v’)=(0.118,0.573)、ピーク波長は540nm、半値幅は55nmであった。
【0042】
<製造例4:Eu賦活βサイアロン蛍光体の調製2>
45μmの篩を通したケイ素粉末95.20質量%、窒化アルミニウム粉末4.55質量%および酸化ユーロピウム粉末0.26質量%の組成となるように所定量秤量し、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢と乳棒で10分以上混合した後に250μmの篩を通すことにより流動性に優れる粉体凝集体を得た。この粉体凝集体を直径20mm高さ20mmの大きさの窒化ホウ素製るつぼに自然落下させて入れた。次に、該るつぼを黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットし、純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を0.5MPaとした後、毎時500℃で1300℃まで昇温し、その後毎分1℃で1600℃まで昇温し、その温度で8時間保持して、蛍光体試料を得た。得られた蛍光体試料をメノウの乳鉢を用いて粉末に粉砕し、蛍光体粉末を得た。当該蛍光体粉末について、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定(XRD)を行った。その結果、当該粉末から得られたチャートは全てβ型サイアロン構造であることを示した。次に、これらの粉末に再度加熱処理を施した。1600℃で焼成した粉末を窒化ケイ素製の乳鉢と乳棒を用いて粉砕した後に、直径20mm高さ20mmの大きさの窒化ホウ素製るつぼに自然落下させて入れた。次に、該るつぼを黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットし、純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を1MPaとした後、毎時500℃で1900℃まで昇温し、その温度で8時間保持して、蛍光体試料を得た。得られた蛍光体試料をメノウの乳鉢を用いて粉末に粉砕し、蛍光体粉末を得た。当該蛍光体粉末について、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定(XRD)を行なったところ、当該蛍光体粉末は、β型サイアロンの構造を有することがわかった。また、当該蛍光体粉末に、波長365nmの光を発するランプで照射した結果、緑色に発光することを確認した。
【0043】
図11は、得られた蛍光体粉末の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図11に示す蛍光体粉末の発光スペクトルも、F−4500(日立製作所製)を用いて測定した結果である。なお、図11に示す発光スペクトルは、450nmの光で励起した際のものである。図11に示す発光スペクトルの色度座標は(u’,v’)=(0.093,0.576)、ピーク波長は524nm、半値幅は44nmであり、製造例3のβ型サイアロン蛍光体と比較して、本製造例のβ型サイアロン蛍光体はより深い緑色を示していることがわかる。
【0044】
<製造例5:Mn賦活γ−AlON蛍光体の調製>
理論組成のAlONであるAl7O9NにMnが1mol%含有されたものを合成すべく、窒化アルミニウム粉末13.2質量%、酸化アルミニウム粉末85.3質量%および炭酸マンガン粉末1.5質量%の組成となるように所定量秤量し、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢と乳棒とを用い、10分以上混合し粉体凝集体を得た。この粉体凝集体を直径20mm、高さ20mmの大きさの窒化ホウ素製のるつぼに自然落下させて入れた。
【0045】
次に、該るつぼを、黒鉛抵抗加熱方式の加圧電気炉にセットし、純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を0.5MPaとした後、毎時500℃で1800℃まで昇温し、さらにその温度で2時間保持して、蛍光体試料を得た。得られた蛍光体試料をメノウの乳鉢を用いて粉砕し、蛍光体粉末を得た。当該蛍光体粉末について、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定(XRD)を行なったところ、当該蛍光体粉末から得られたチャートは全てγ―AlON構造であることを示した。また、当該蛍光体粉末に、波長365nmの光を発するランプで照射した結果、緑色に発光することを確認した。
【0046】
図12は、得られた蛍光体粉末の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図12に示す蛍光体粉末の発光スペクトルも、F−4500(日立製作所製)を用いて測定した結果である。なお、図12に示す発光スペクトルは、450nmの光で励起した際のものである。図12に示す発光スペクトルの色度座標はの色度座標は(u’,v’)=(0.042,0.570)、ピーク波長は515nm、半値幅は33nmであった。
【0047】
<比較製造例1:Eu賦活CaAlSiN3(CASN)蛍光体の調製>
窒化アルミニウム粉末29.741質量%、α型窒化ケイ素粉末33.925質量%、窒化カルシウム粉末35.642質量%および窒化ユーロピウム粉末0.692質量%となるように所定量秤量し、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢と乳棒とを用い、10分以上混合し粉体凝集体を得た。窒化ユーロピウムは、金属ユーロピウムをアンモニア中で窒化して合成したものを用いた。この粉体凝集体を直径20mm、高さ20mmの大きさの窒化ホウ素製のるつぼに自然落下させて入れた。なお、粉末の秤量、混合、成形の各工程は全て、水分1ppm以下、酸素1ppm以下の窒素雰囲気を保持することができるグローブボックス中で行なった。
【0048】
次に、該るつぼを、黒鉛抵抗加熱方式の加圧電気炉にセットし、純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を1MPaとし、毎時500℃で1800℃まで昇温し、さらに1800℃で2時間保持して蛍光体試料を得た。得られた蛍光体試料をメノウの乳鉢を用いて粉砕し、蛍光体粉末を得た。当該蛍光体粉末について、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定(XRD)を行なったところ、当該蛍光体粉末は、CaAlSiN3結晶の構造を有することがわかった。また、当該蛍光体粉末に、波長365nmの光を発するランプで照射した結果、赤色に発光することを確認した。
【0049】
図9は、得られた蛍光体粉末の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図9に示す蛍光体粉末の発光スペクトルも、F−4500(日立製作所製)を用いて測定した結果である。なお、図9に示す発光スペクトルは、450nmの光で励起した際のものである。図9に示す発光スペクトルの色度座標は(u’,v’)=(0.443,0.534)、ピーク波長は650nm、半値幅は96nmであった。
【0050】
〔2〕半導体発光装置および画像表示装置の作製
<実施例1>
図1に示した構造を有する半導体発光装置1を作製した。まず、モールド樹脂5に分散させる蛍光体として、上記製造例1のMn4+賦活Mgフルオロジャーマネート蛍光体及び上記製造例3のEu賦活β型サイアロン蛍光体を1:0.996の重量比率で混合し、蛍光体混合物を得た。この蛍光体混合物を、シリコーン樹脂と1:20の重量比率で混合しシリコーン樹脂中に分散させ、モールド樹脂成分とした。また、半導体発光素子2には、450nmに発光ピーク波長を有するLEDを用いた。ここで、図13は、本実施例1で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図13に示す発光スペクトルは、MCPD−2000(大塚電子製)を用いて測定された値を示し、後述する実施例2に示される構成の画像表示装置を構成した際に、白色点が色温度10,000Kの白色付近を表示するように調整されたものである。
【0051】
<実施例2>
図2に示した構造を有する画像表示装置を作製した。バックライト光源として実施例1の半導体発光装置を用い、カラーフィルタには図4に示した透過率を示すものを用いた。
【0052】
<実施例3>
図1に示した構造を有する半導体発光装置1を作製した。まず、モールド樹脂5に分散させる蛍光体として、上記製造例1のMn4+賦活Mgフルオロジャーマネート蛍光体および上記製造例4のEu賦活β型サイアロン蛍光体合を1:1.175の重量比率で混合した、白色光を発する蛍光体混合物を用いた。この蛍光体混合物を、シリコーン樹脂と1:14.389の比率となるようにシリコーン樹脂中に分散させモールド樹脂成分とした。また、半導体発光素子2には、450nmに発光ピーク波長を有するLEDを用いた。ここで、図14は、本実施例3で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図14に示す発光スペクトルは、MCPD−2000(大塚電子製)を用いて測定された値を示し、後述する実施例4に示される構成の画像表示装置を構成した際に、白色点が色温度10,000Kの白色付近を表示するように調整されたものである。
【0053】
<実施例4>
図2に示した構造を有する画像表示装置を作製した。バックライト光源として実施例3の半導体発光装置を用い、カラーフィルタには図4に示した透過率を示すものを用いた。
【0054】
<実施例5>
図1に示した構造を有する半導体発光装置を作製した。まず、モールド樹脂5に分散させる蛍光体として、上記製造例1のMn4+賦活Mgフルオロジャーマネート蛍光体および上記製造例5のMn賦活γ‐AlON蛍光体を1:0.495の重量比率で混合した、白色光を発する蛍光体混合物を用いた。この蛍光体混合物を、シリコーン樹脂と1:14.184の比率となるようにシリコーン樹脂中に分散させモールド樹脂成分とした。また、半導体発光素子2には、450nmに発光ピーク波長を有するLEDを用いた。ここで、図15は、本実施例5で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、図15において、いずれも縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図15に示す発光スペクトルは、MCPD−2000(大塚電子製)を用いて測定された値を示し、後述する実施例6に示される構成の画像表示装置を構成した際に、白色点が色温度10,000Kの白色付近を表示するように調整されたものである。
【0055】
<実施例6>
図2に示した構造を有する画像表示装置を作製した。バックライト光源として実施例5の半導体発光装置を用い、カラーフィルタには図4に示した透過率を示すものを用いた。
【0056】
<実施例7>
図1に示した構造を有する半導体発光装置1を作製した。まず、モールド樹脂5に分散させる蛍光体として、上記製造例2のMn4+賦活K2SiF6蛍光体及び上記製造例3のEu賦活β型サイアロン蛍光体を1:2.603の重量比率で混合し、蛍光体混合物を得た。この蛍光体混合物を、シリコーン樹脂と1:29.369の重量比率で混合しシリコーン樹脂中に分散させ、モールド樹脂成分とした。また、半導体発光素子2には、450nmに発光ピーク波長を有するLEDを用いた。ここで、図16は、本実施例7で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図16に示す発光スペクトルは、MCPD−2000(大塚電子製)を用いて測定された値を示し、後述する実施例8に示される構成の画像表示装置を構成した際に、白色点が色温度10,000Kの白色付近を表示するように調整されたものである。
【0057】
<実施例8>
図2に示した構造を有する画像表示装置を作製した。バックライト光源として実施例7の半導体発光装置を用い、カラーフィルタには図4に示した透過率を示すものを用いた。
【0058】
<実施例9>
図1に示した構造を有する半導体発光装置1を作製した。まず、モールド樹脂5に分散させる蛍光体として、上記製造例2のMn4+賦活K2SiF6蛍光体及び上記製造例4のEu賦活β型サイアロン蛍光体を1:3.054の重量比率で混合し、蛍光体混合物を得た。この蛍光体混合物を、シリコーン樹脂と1:20.576の重量比率で混合しシリコーン樹脂中に分散させ、モールド樹脂成分とした。また、半導体発光素子2には、450nmに発光ピーク波長を有するLEDを用いた。ここで、図17は、本実施例9で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図17に示す発光スペクトルは、MCPD−2000(大塚電子製)を用いて測定された値を示し、後述する実施例10に示される構成の画像表示装置を構成した際に、白色点が色温度10,000Kの白色付近を表示するように調整されたものである。
【0059】
<実施例10>
図2に示した構造を有する画像表示装置を作製した。バックライト光源として実施例9の半導体発光装置を用い、カラーフィルタには図4に示した透過率を示すものを用いた。
【0060】
<実施例11>
図1に示した構造を有する半導体発光装置1を作製した。まず、モールド樹脂5に分散させる蛍光体として、上記製造例2のMn4+賦活K2SiF6蛍光体及び上記製造例5のMn賦活γ−AlON蛍光体を1:1.290の重量比率で混合し、蛍光体混合物を得た。この蛍光体混合物を、シリコーン樹脂と1:24.863の重量比率で混合しシリコーン樹脂中に分散させ、モールド樹脂成分とした。また、半導体発光素子2には、450nmに発光ピーク波長を有するLEDを用いた。ここで、図18は、本実施例11で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図18に示す発光スペクトルは、MCPD−2000(大塚電子製)を用いて測定された値を示し、後述する実施例12に示される構成の画像表示装置を構成した際に、白色点が色温度10,000Kの白色付近を表示するように調整されたものである。
【0061】
<実施例12>
図2に示した構造を有する画像表示装置を作製した。バックライト光源として実施例11の半導体発光装置を用い、カラーフィルタには図4に示した透過率を示すものを用いた。
【0062】
<比較例1>
図1に示した構造を有する半導体発光装置を作製した。まず、モールド樹脂に分散させる蛍光体として、上記比較製造例1のEu賦活CaAlSiN3蛍光体および上記製造例3のEu賦活β型サイアロン蛍光体合を1:1.479の重量比率で混合した、白色光を発する蛍光体混合物を用いた。この蛍光体混合物を、シリコーン樹脂と1:16.393の比率となるようにシリコーン樹脂中に分散させモールド樹脂成分とした。また、半導体発光素子には、450nmに発光ピーク波長を有するLEDを用いた。ここで、図19は、本比較例1で作製した半導体発光装置の発光スペクトルを示すグラフであり、図19において、いずれも縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図19示す発光スペクトルは、MCPD−2000(大塚電子製)を用いて測定された値を示し、後述する比較例2に示される構成の液晶表示装置を構成した際に、白色点が色温度10,000Kの白色付近を表示するように調整されたものである。
【0063】
<比較例2>
図2示した構造を有する画像表示装置を作製した。バックライト光源として比較例1の半導体発光装置を用い、カラーフィルタには図4示した透過率を示すものを用いた。
【0064】
<比較例3>
図1に示した構造を有する半導体発光装置を作製した。まず、モールド樹脂に分散させる蛍光体として、上記比較製造例1のEu賦活CaAlSiN3蛍光体および上記製造例4のEu賦活β型サイアロン蛍光体合を1:1.742の重量比率で混合した、白色光を発する蛍光体混合物を用いた。この蛍光体混合物を、シリコーン樹脂と1:12.048の比率となるようにシリコーン樹脂中に分散させモールド樹脂成分とした。また、半導体発光素子には、450nmに発光ピーク波長を有するLEDを用いた。ここで、図20は、本比較例3で作製した半導体発光装置の発光スペクトルを示すグラフであり、図20において、いずれも縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図20に示す発光スペクトルは、MCPD−2000(大塚電子製)を用いて測定された値を示し、白色点が色温度10,000Kの白色付近を表示するように調整されたものである。
【0065】
<比較例4>
図2に示した構造を有する画像表示装置を作製した。バックライト光源として比較例3の半導体発光装置を用い、カラーフィルタには図4に示した透過率を示すものを用いた。
【0066】
<比較例5>
図1に示した構造を有する半導体発光装置を作製した。まず、モールド樹脂に分散させる蛍光体として、上記比較製造例1のEu賦活CaAlSiN3蛍光体および上記製造例5のMn賦活γ―AlON蛍光体合を1:0.735の重量比率で混合した、白色光を発する蛍光体混合物を用いた。この蛍光体混合物を、シリコーン樹脂と1:13.986の比率となるようにシリコーン樹脂中に分散させモールド樹脂成分とした。また、半導体発光素子には、450nmに発光ピーク波長を有するLEDを用いた。ここで、図21は、本比較例5で作製した半導体発光装置の発光スペクトルを示すグラフであり、図21において、いずれも縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。なお、図21に示す発光スペクトルは、MCPD−2000(大塚電子製)を用いて測定された値を示し、白色点が色温度10,000Kの白色付近を表示するように調整されたものである。
【0067】
<比較例6>
図2に示した構造を有する画像表示装置を作製した。バックライト光源として比較例5の半導体発光装置を用い、カラーフィルタには図4に示した透過率を示すものを用いた。
【0068】
[評価結果]
表1に、実施例2、4、6、8、10、12、比較例2、4、6に示される画像表示装置において、画面上表示光のCIE1976色度座標でのNTSC比、白色点、赤色点、緑色点、青色点の色度座標を示す。ここで、赤色点、緑色点、青色点とはディスレイ上にそれぞれ、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、青色カラーフィルタを透過する光のみを表示させた際のディスプレイ上の色度点であり、白色点とは全てのカラーフィルタをフルオープンにした際のディスプレイ上の色度点である。なお、表1に示される色度点、NTSC比は大塚電子製MCPD−2000を用いて測定した。
【0069】
【表1】
【0070】
表1より、実施例に示される画像表示装置は、比較例に示される画像表示装置と比較すると、緑色点、赤色点がより深い色味を示していることがわかる。これは、製造例1のMn4+賦活Mgフルオロジャーマネート蛍光体および製造例2のMn4+賦活K2SiF6蛍光体が比較製造例1のEu賦活CaAlSiN3(CASN)蛍光体と比較して深い赤色で発光し、かつ発光スペクトルの半値幅がシャープであることに起因する。また、特に実施例2と4および8と10を比較すると、実施例4および10に示す画像表示装置の方がより深い緑色を示していることがわかる。これは、製造例4に示すβ型サイアロン蛍光体が、製造例3に示すβ型サイアロン蛍光体と比べてより深い緑色を示すことに起因する。
【0071】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の好ましい一例の半導体発光装置1を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の好ましい一例の画像表示装置21を模式的に示す分解斜視図である。
【図3】図2に示された液晶表示装置24を拡大して示す分解斜視図である。
【図4】本発明の液晶表示装置において好適に使用される青色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、赤色カラーフィルタの透過スペクトルであり、図4中、縦軸は透過率(%)、横軸は波長(nm)、を示している。
【図5】製造例1で得られた蛍光体粉末の吸収(励起)スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図6】製造例1で得られた蛍光体粉末の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図7】製造例2で得られた蛍光体粉末の吸収(励起)スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図8】製造例2で得られた蛍光体粉末の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図9】比較製造例1で得られた蛍光体粉末の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図10】製造例3で得られた蛍光体粉末の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図11】製造例4で得られた蛍光体粉末の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図12】製造例5で得られた蛍光体粉末の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図13】実施例1で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図14】実施例3で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図15】実施例5で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図16】実施例7で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図17】実施例9で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図18】実施例11で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図19】比較例1で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図20】比較例3で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【図21】比較例5で作製した半導体発光装置1の発光スペクトルを示すグラフであり、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
【符号の説明】
【0073】
1 半導体発光装置、2 半導体発光素子、3 プリント配線基板、4 樹脂枠、5 モールド樹脂、6 InGaN層、7 n側電極、8 p側電極、9 n電極部、10 接着剤、11 p電極部、12 金属ワイヤ、21 液晶表示装置、22 導光板、23 液晶表示部、24 液晶表示装置、25 出射光、26 散乱光、27 偏光板、28 透明導電膜、28a 薄膜トランジスタ、29a 配向膜、29b 配向膜、30 液晶層、31 上部薄膜電極、32 カラーフィルタ、33 上部偏光板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を発する半導体発光素子と、緑色蛍光体と赤色蛍光体とを備え、赤色蛍光体としてMn4+賦活蛍光体とを備える、半導体発光装置。
【請求項2】
Mn4+賦活蛍光体の発光スペクトルのピーク波長が625nm以上であり、発光スペクトルの半値幅が30nm以下である、請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
Mn4+賦活蛍光体がMn4+賦活Mgフルオロジャーマネートである、請求項1または2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
Mn4+賦活蛍光体がMn4+賦活K2MF6(M=Si、Ge、Ti)である、請求項1または2に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
緑色蛍光体の発光スペクトルのピーク波長が510nm以上550nm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の半導体発光装置。
【請求項6】
緑色蛍光体の発光スペクトルの半値幅が55nm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の半導体発光装置。
【請求項7】
緑色蛍光体がEu賦活βサイアロンを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の半導体発光装置。
【請求項8】
緑色蛍光体がMn賦活γ‐AlONを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の半導体発光装置。
【請求項9】
半導体発光素子の発光ピーク波長が430〜460nmである、請求項1〜8のいずれかに記載の半導体発光装置。
【請求項10】
半導体発光素子の発光ピーク波長が440〜450nmである、請求項9に記載の半導体発光装置。
【請求項11】
バックライト光源として、白色光を発する請求項1〜10のいずれかに記載の半導体発光装置を備えた画像表示装置。
【請求項12】
バックライト光源として、白色光を発する請求項1〜10のいずれかに記載の半導体発光装置を備えた液晶表示装置。
【請求項1】
励起光を発する半導体発光素子と、緑色蛍光体と赤色蛍光体とを備え、赤色蛍光体としてMn4+賦活蛍光体とを備える、半導体発光装置。
【請求項2】
Mn4+賦活蛍光体の発光スペクトルのピーク波長が625nm以上であり、発光スペクトルの半値幅が30nm以下である、請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
Mn4+賦活蛍光体がMn4+賦活Mgフルオロジャーマネートである、請求項1または2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
Mn4+賦活蛍光体がMn4+賦活K2MF6(M=Si、Ge、Ti)である、請求項1または2に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
緑色蛍光体の発光スペクトルのピーク波長が510nm以上550nm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の半導体発光装置。
【請求項6】
緑色蛍光体の発光スペクトルの半値幅が55nm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の半導体発光装置。
【請求項7】
緑色蛍光体がEu賦活βサイアロンを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の半導体発光装置。
【請求項8】
緑色蛍光体がMn賦活γ‐AlONを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の半導体発光装置。
【請求項9】
半導体発光素子の発光ピーク波長が430〜460nmである、請求項1〜8のいずれかに記載の半導体発光装置。
【請求項10】
半導体発光素子の発光ピーク波長が440〜450nmである、請求項9に記載の半導体発光装置。
【請求項11】
バックライト光源として、白色光を発する請求項1〜10のいずれかに記載の半導体発光装置を備えた画像表示装置。
【請求項12】
バックライト光源として、白色光を発する請求項1〜10のいずれかに記載の半導体発光装置を備えた液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−93132(P2010−93132A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263136(P2008−263136)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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