説明

半導体発光装置及びその製造方法

【課題】製造コストを削減でき、より均一に発光できる半導体発光装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、発光部17と、透光部60と、波長変換部(蛍光体層70)と、第1導電部31と、第2導電部32と、封止部50と、を備えた半導体発光装置が提供される。発光部は、第1主面M1と第1主面とは反対側の第2主面M2とを有する半導体積層体10と、第2主面上に設けられた第1電極14及び第2電極15と、を有する。透光部は、第1主面上に設けられる。波長変換部は、透光部の第2主面とは反対側の第3主面M3と、透光部の側面M4と、を覆う。第1、第2導電部は、第2主面上に設けられ第1、第2電極にそれぞれ電気的に接続される。封止部は、第1、第2導電部の側面を覆う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
白色光を発光する半導体発光装置(以下「白色LED」ともいう。)は、長寿命、小形、省電力という特徴をもち、さらに、蛍光ランプのように水銀などの有害物質を含まないことから、次世代の照明システムとして期待されている。
【0003】
白色LEDの製造方法としては、例えば樹脂などの実装部品に青色に発光するLED(Light Emitting Diode)素子をマウントし、ワイヤボンディングにてLED素子と、実装部品の電極と、を接続し、LED素子の上に、蛍光体粒子が分散された樹脂を塗布する方法が知られている。
【0004】
上述の方法では、実装部品及びボンディングワイヤなどの部品が必要であり、また、LED素子と電極とのワイヤボンディング工程が必要である。そのため、コストを低減し難く、改良の余地がある。さらに、発光特性の出射角依存性をより少なくし、より均一な発光を得ることも期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第02/059982号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、製造コストを削減でき、より均一に発光できる半導体発光装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によれば、発光部と、透光部と、波長変換部と、第1導電部と、第2導電部と、封止部と、を備えた半導体発光装置が提供される。前記発光部は、第1主面と前記第1主面とは反対側の第2主面とを有する半導体積層体と、前記半導体積層体の前記第2主面上に設けられた第1電極及び第2電極と、を有する。前記透光部は、前記第1主面上に設けられる。前記波長変換部は、前記透光部の前記第2主面とは反対側の第3主面と、前記透光部の側面と、を覆い、前記発光部から放出される発光光を吸収し前記発光光の波長とは異なる波長の光を放出する。前記第1導電部は、前記第2主面上に設けられ前記第1電極に電気的に接続される。前記第2導電部は、前記第2主面上に設けられ前記第2電極に電気的に接続される。前記封止部は、前記第1導電部の側面と前記第2導電部の側面とを覆う。
【0008】
本発明の別の実施形態によれば、発光部と、透光部と、波長変換部と、第1導電部と、第2導電部と、封止部と、を備えた半導体発光装置の製造方法が提供される。前記発光部は、第1主面と前記第1主面とは反対側の第2主面とを有する半導体積層体と、前記半導体積層体の前記第2主面上に設けられた第1電極及び第2電極と、を有する。前記透光部は、前記第1主面上に設けられる。前記波長変換部は、前記透光部の前記第2主面とは反対側の第3主面と、前記透光部の側面と、を覆い、前記発光部から放出される発光光を吸収し前記発光光の波長とは異なる波長の光を放出する。前記第1導電部は、前記第2主面上に設けられ前記第1電極に電気的に接続される。前記第2導電部は、前記第2主面上に設けられ前記第2電極に電気的に接続される。前記封止部は、前記第1導電部の側面と前記第2導電部の側面とを覆う。前記製造方法においては、前記第2主面に対して平行な平面内に配置された複数の前記半導体積層体のそれぞれの前記第1導電部の側面と前記第2導電部の側面とを覆うように前記封止部を一括して形成し、前記複数の半導体積層体のそれぞれの前記第3主面上に複数の前記透光部を一括して形成し、前記複数の透光部のそれぞれの前記第3主面上と前記複数の透光部のそれぞれの前記側面上とに複数の前記波長変換部となる樹脂層を一括して塗布して複数の前記波長変換部を一括して形成し、前記複数の半導体積層体どうしの間の前記封止部と、前記波長変換部と、を切断し、前記複数の半導体積層体を分離する。
【0009】
本発明の別の実施形態によれば、発光部と、透光部と、波長変換部と、第1導電部と、第2導電部と、封止部と、を有する半導体発光装置の製造方法が提供される。前記発光部は、第1主面と前記第1主面とは反対側の第2主面とを有する半導体積層体と、前記半導体積層体の前記第2主面上に設けられた第1電極及び第2電極と、を有する。前記透光部は、前記第1主面上に設けられる。前記波長変換部は、前記透光部の前記第2主面とは反対側の第3主面と、前記透光部の側面と、を覆い、前記発光部から放出される発光光を吸収し前記発光光の波長とは異なる波長の光を放出する。前記第1導電部は、前記第2主面上に設けられ前記第1電極に電気的に接続される。前記第2導電部は、前記第2主面上に設けられ前記第2電極に電気的に接続される。前記封止部は、前記第1導電部の側面と前記第2導電部の側面とを覆う。前記製造方法においては、前記第2主面に対して平行な平面内に配置された複数の前記半導体積層体のそれぞれの前記第1導電部の側面と前記第2導電部の側面とを覆うように前記封止部を一括して形成し、前記複数の半導体積層体の前記平面内の位置に対応して配置された複数の内側壁であって、複数の前記透光部の前記第3主面と複数の前記透光部の前記側面とに噛合する形状を有する前記内側壁を有する複数の波長変換部を一括して形成し、前記複数の内側壁のそれぞれで囲まれた複数の空間に前記透光部となる材料を充填して複数の前記透光部を一括して形成し、前記複数の透光部のそれぞれの前記波長変換部とは反対側の面と前記複数の半導体積層体のそれぞれの前記第1主面とを一括して接合し、前記複数の半導体積層体どうしの間の前記封止部と、前記波長変換部と、を切断し、前記複数の半導体積層体を分離する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1(a)及び図1(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光装置の構成を例示する模式図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る別の半導体発光装置の構成を例示する模式的平面図である。
【図3】図3(a)〜図3(d)は、第1の実施形態に係る半導体発光装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図4】図4(a)〜図4(c)は、第1の実施形態に係る半導体発光装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図5】図5(a)〜図5(c)は、第1の実施形態に係る半導体発光装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図6】図6(a)及び図6(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図7】図7(a)及び図7(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図8】図8(a)及び図8(bは、第1の実施形態に係る半導体発光装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図9】図9(a)及び図9(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図10】図10(a)及び図10(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光装置の製造方法を例示する工程順模式図である。
【図11】図11(a)及び図11(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光装置の別の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図12】図12(a)及び図12(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光装置の別の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図13】図13(a)、図13(b)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の構成を例示する模式図である。
【図14】図14(a)及び図14(b)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の別の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図15】図15(a)及び図15(b)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の別の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図16】図16(a)及び図16(b)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の製造方法を例示する模式図である。
【図17】図17(a)及び図17(b)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の別の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図18】図18(a)及び図18(b)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の別の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図19】図19(a)〜図19(d)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の別の製造方法に用いられる成形型の構成を例示する模式図である。
【図20】図20(a)〜図20(d)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の別の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図21】図21(a)〜図21(c)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の別の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
【図22】図22(a)及び図22(b)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の別の製造方法を例示する工程順模式図である。
【図23】図23(a)及び図23(b)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の構成を例示する模式図である。
【図24】図24(a)及び図24(b)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の構成を例示する模式図である。
【図25】図25(a)〜図25(d)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の構成を例示する模式図である。
【図26】図26は、第1及び第2実施例に係る半導体発光装置の透光部の形状を例示する表である。
【図27】図27(a)及び図27(b)は、参考例の半導体発光装置の構成を示す模式図である。
【図28】図28(a)〜図28(c)は、第1及び第2実施例の半導体発光装置の特性を例示する模式図である。
【図29】図29(a)〜図29(c)は、参考例の半導体発光装置の特性を例示する模式図である。
【図30】図30は、第1及び第2実施例に係る半導体発光装置、並びに、参考例の半導体発光装置の明るさを示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1(a)及び図1(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光装置の構成を例示する模式図である。
図1(a)は模式的平面図であり、図1(b)は、図1(a)のA1−A2線断面図である。
【0013】
図1(a)及び図1(b)に表したように、本実施形態に係る半導体発光装置110は、発光部17と、透光部60と、蛍光体層70(波長変換部)と、第1導電部31と、第2導電部32と、封止部50と、を備える。
【0014】
発光部17は、半導体積層体10と、第1電極14と、第2電極15と、を有する。半導体積層体10は、第1主面M1と、第1主面M1とは反対側の第2主面M2と、を有する。第1電極14及び第2電極15は、半導体積層体10の第2主面M2上に設けられる。
【0015】
透光部60は、半導体積層体10の第1主面M1上に設けられる。
【0016】
蛍光体層70は、透光部60の第2主面M2とは反対側の第3主面M3と、透光部60の側面M4と、を覆う。蛍光体層70は、発光部17から放出される発光光を吸収し、発光光の波長とは異なる波長の光を放出する。
【0017】
蛍光体層70は、透光部60の第3主面M3上に設けられた表面蛍光体層71と、透光部60の側面M4に設けられた側面蛍光体層72と、を含む。
【0018】
第1導電部31は、半導体積層体10の第2主面M2上に設けられ第1電極14に電気的に接続される。第2導電部32は、半導体積層体10の第2主面M2上に設けられ第2電極15に電気的に接続される。
【0019】
封止部50は、第1導電部31の側面と第2導電部32の側面とを覆う。
【0020】
このような構成を有する半導体発光装置110においては、例えば、実装部品などやボンディングワイヤなどを用いず、また、ワイヤボンディング工程が不要にできる。このように、半導体発光装置110においては、構成が簡略化される。半導体発光装置110によれば製造コストが削減できる。
【0021】
発光部17で発光した光は、透光部60及び蛍光体層70を通過して半導体発光装置110の外部に出射する。半導体発光装置110においては、透光部60の第3主面M3及び側面M4が蛍光体層70で覆われることから、発光部17から第1主面M1に対して垂直に出射する光も、斜め方向に出射する光も、透光部60及び蛍光体層70の両方を通過する。これにより、色調などの発光特性の出射角依存性が低減でき、より均一な発光を得ることができる。
【0022】
このように、半導体発光装置110によれば、製造コストを削減でき、より均一な光を発光できる半導体発光装置が提供できる。
【0023】
さらに、半導体発光装置110においては、透光部60が発光部17と略同じサイズであることから半導体発光装置を小型化することができる。
【0024】
本具体例においては、半導体発光装置110は、第1導電部31の端部(第1電極14とは反対の側の端)に設けられた第1接続部材41と、第2導電部32の端部(第2電極51とは反対の側の端)に設けられた第2接続部材42と、をさらに備えている。第1接続部材41及び第2接続部材41は、例えば半田バンプである。第1接続部材41及び第2接続部材42は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0025】
図2は、第1の実施形態に係る別の半導体発光装置の構成を例示する模式的平面図である。
図2に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光装置110aにおいては、第2電極15に接続される第2導電部32が複数設けられ、これに伴い、複数の第2導電部32のそれぞれの端部に、複数の第2接続部材42(第2接続部材42A、42B及び42C)が設けられている。例えば、第1接続部材41に対応する位置に第1電極14が設けられる。例えば、第2接続部材42A、42B及び42Cに対応する位置に複数の第2電極15が設けられる。ただし、実施形態はこれに限らず、接続部材の数及び配置と、電極の数及び配置と、が互いに異なっていても良い。
【0026】
発光部17は、例えばLEDである。発光部17に含まれる半導体積層体10は、n形の第1半導体層11と、p形の第2半導体層12と、第1半導体層11と第2半導体層12との間に設けられた活性層13と、を含む。第1主面M1から第2主面M2に向かう方向に沿って、第1半導体層11、活性層13及び第2半導体層12の順で、第1半導体層11、活性層13及び第2半導体層12が積層されている。ここで、第1主面M1から第2主面M2に向かう方向を積層方向ということにする。
【0027】
例えば、第1半導体層11は、n側クラッド層であり、第2半導体層12は、p側クラッド層である。半導体積層体10においては、第2半導体層12及び活性層13が選択的に除去されて第2半導体層12の側の第2主面M2において第1半導体層11の一部が露出している。
【0028】
半導体積層体10には、例えば窒化物半導体が用いられる。活性層13は、井戸層と、井戸層と積層された障壁層と、を含む。井戸層には、青色光や紫光や紫外光を発光するInGaNなど等が用いられる。発光部17(具体的には半導体積層体10の活性層13)から放出される発光光のピーク波長は、例えば440ナノメートル(nm)以上530nm以下である。発光部17から放出される発光光の波長は、例えば380nm以上600nm以下である。
【0029】
なお、半導体積層体10と透光部60との間に接着層(図示せず)を設けて、半導体積層体10と透光部60とが接着されることができる。接着層には、例えばシリコーン樹脂が用いられる。接着層に用いられるシリコーン樹脂の屈折率は、1.5程度が好ましい。半導体積層体10の第2主面M2の側の表面に、例えばブラスト処理などの表面処理が施されても良い。これにより、例えば、透光部60と半導体積層体10との接着性が向上できる。
【0030】
透光部60は、発光部17から放出された光を高い透過率で透過することが好ましい。透光部60の屈折率は、例えば1.2以上1.9以下であることが好ましい。透光部60の、発光部17から放出される発光光に対する透過率は90パーセント(%)以上であることが好ましい。透光部60は、透過波長域が420nm以上720nm以下の透明材料であることが好ましい。
【0031】
透光部60には、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、環状ポリオレフィン(COP)、脂環式アクリル(OZ)、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、SiO及びTiOからなる群から選択された少なくともいずれかを含む光透過材料を用いることができる。透光部60には、光の透過率が高い樹脂である、例えばアクリル樹脂などを用いることが好ましい。
【0032】
蛍光体層70は、例えば、樹脂と、樹脂に分散された蛍光体粒子と、を含む。蛍光体層70は、発光部17から放出される発光光(例えば青色光)を吸収し、発光光の波長よりも長い波長を有する光(例えば黄色光)を放出する。発光部17から放出される青色光と、蛍光体層70から放出される黄色光と、が混合され、半導体発光装置110から出射する光は例えば白色となる。
【0033】
蛍光体層70は、例えば、ピーク波長が440nm以上470nm以下(青色)の蛍光体粒子、ピーク波長が500nm以上555nm以下(緑色)の蛍光体粒子、ピーク波長が560nm以上580nm以下(黄色)の蛍光体粒子、及び、ピーク波長が600nm以上670nm以下(赤色)の蛍光体粒子の少なくともいずれかを含む。蛍光体層70は、波長帯が440nm以上720nm以下の蛍光体粒子を含むことが好ましい。蛍光体層70には、例えば、黄色光を発光する蛍光体、緑色を発光する蛍光体、及び、赤色を発光する蛍光体などを用いることができる。蛍光体層70には、緑色を発光する蛍光体と、赤色を発光する蛍光体と、の混合物を用いることができる。これによっても黄色光が発光される。
【0034】
蛍光体層70は、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、燐(P)、ホウ素(B)、イットリウム(Y)、アルカリ土類元素、硫化物元素、希土類元素及び窒化物元素からなる群から選択された少なくともいずれかを含む蛍光体を含む。
【0035】
例えば、蛍光体層70に含まれる蛍光体粒子の濃度が低いと、半導体発光装置110の発光色の色調は青色に近づき(例えば色温度10000K付近)、蛍光体粒子の濃度が高いと色調が黄色に近づく(例えば色温度6500K〜3000K)。このように、半導体発光装置110の発光色の色調は、例えば蛍光体層70の材料の特性や蛍光体層70の厚さなどによって任意に設計できる。
【0036】
蛍光体粒子には、発光部17が放出する光(例えば、青色光)を吸収し、発光部17が放出する光の波長よりも長い波長を有する光(例えば黄色の光)を出射する蛍光体が用いられる。
【0037】
蛍光体層70に含まれる樹脂には、例えば屈折率が1.5程度のメチルフェニルシリコーンが用いられる。ただし、実施形態はこれに限らない。蛍光体層70に含まれる樹脂には、例えば、メチルフェニルシリコーンの他に、ジメチルシリコーン等、他の組成のシリコーン樹脂が用いられてもよい。また、例えば、発光部17から放出される発光光の強度が低く、発光光によって樹脂の劣化し難い場合には、この樹脂には、エポキシ樹脂や、エポキシ樹脂とシリコーン樹脂のハイブリット樹脂、または、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等、用途に応じて適時、適切な樹脂が用いられる。
【0038】
蛍光体粒子の蛍光体には、例えばアルミン酸イットリウムに賦活剤としてセリウムを導入したYAG:Ceを用いることができる。蛍光体には、例えば、珪酸ストロンチウム・バリウムに賦活剤としてユーロピウムを導入した(Sr,Ba)SiO、Cap(Si,Al)12等を用いることができる。また、蛍光体粒子としては、1種類または複数種(複数の組成)の蛍光体を用いることができる。蛍光体層70には、例えば、青色光を緑色光に波長変換する蛍光体と、青色光を赤色光に波長変換する蛍光体と、の2種類の蛍光体が混合されたものを用いても良い。
【0039】
図1(b)に表したように、本具体例では、半導体積層体10の第2主面M2の側の一部の領域に反射層16が設けられている。この反射層16は導電性であり、反射層16は、第2電極15の一部と見なされても良い。反射層16には、AgやAl等の金属が用いられる。反射層16の厚さは例えば約0.3μm(マイクロメートル)である。反射層16は、例えば、第2主面M2の第2領域、すなわち第2半導体層12の第2主面M2の側の面の実質的な全領域に設けられる。
【0040】
第1電極14及び第2電極15には、Ni膜/Au膜等の金属の積層膜が用いられる。第1電極14及び第2電極15の平面形状(積層方向に沿ってみたときの形状)は例えば円形である。ただし、実施形態はこれに限らず、平面形状は任意である。
【0041】
第1導電部31及び第2導電部32には、Cu等の金属が用いられる。第1導電部31及び第2導電部32は、例えば柱状の形状を有する。すなわち、第1導電部31及び第2導電部32は、積層方向に沿って延在する柱形状を有する。なお、本具体例では、第1導電部31及び第2導電部32は、円柱状の形状を有しており、第1導電部31及び第2導電部32の断面形状(積層方向に対して垂直な平面で切断したときの断面形状)は、略円形(円形及び扁平円を含む)である。ただし、実施形態はこれに限らず、第1導電部31及び第2導電部32の断面形状は、任意である。
【0042】
図1(b)に表したように、本具体例においては、発光部17は、絶縁層18をさらに含む。絶縁層18は、半導体積層体10の第2主面M2の第1電極14及び第2電極15を除く領域上、及び、半導体積層体10の側面上に設けられている。絶縁層18には、例えばSiO膜が用いられる。絶縁層18は、パッシベーション膜として機能する。これにより、第1電極14と第2電極15との間の絶縁性が向上する。
【0043】
封止部50には、例えば熱硬化性樹脂が用いられる。封止部50は、第1導電部31の端部及び第2導電部32の端部を露出させて第1導電部31の側面及び第2導電部32の側面を覆う。すなわち、封止部50は、半導体積層体10の第2主面M2の側の第1電極14、第2電極15、第1導電部31の上記の端部を除く部分、第2導電部32の上記の端部を除く部分、を封止する。封止部50は、絶縁層18の側面を除いて、半導体積層体10の第2主面M2bの側の全面に設けられている。
【0044】
なお、封止部50が絶縁層18にかわって半導体積層体10の端部を覆っても良い。この場合も、第1電極14と第2電極15との絶縁性が向上できる。
【0045】
半導体発光装置110においては、第1導電部31と第2導電部32との間に電圧が印加されると、第1導電部31及び第2導電部32を介して発光部17に電流が供給され、発光部17(具体的には半導体積層体10の活性層13)から光(発光光)が放出される。発光光の一部は、透光部60を透過して、蛍光体層70に入射する。蛍光体層70に含まれる蛍光体粒子が発光光によって励起されて蛍光体粒子から光が放出される。発光部17から放出された発光光(例えば青色光)と、蛍光体粒子から放出された光(例えば黄色光)と、が混合され、白色光が得られる。
【0046】
以下、本実施形態に係る半導体発光装置110の製造方法の例について説明する。
本製造方法は、複数の半導体発光装置110をウェーハレベルで一括して製造する方法である。
【0047】
図3(a)〜図3(d)、図4(a)〜図4(c)、図5(a)〜図5(c)、図6(a)及び図6(b)、図7(a)及び図7(b)、図8(a)及び図8(b)、並びに、図9(a)及び図9(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
これらの図は、図1(a)のA1−A2線断面に相当する断面図である。
【0048】
図10(a)及び図10(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光装置の製造方法を例示する工程順模式図である。図10(a)は平面図であり、図10(b)は図10(a)のA1−A2線断面図である。
以下においては、2個の半導体発光装置110に関して説明するが、一括して製造される半導体発光装置110の個数は任意である。
【0049】
図3(a)に表したように、本実施形態に係る半導体発光装置110の製造においては、例えば、板状の基板5が用いられる。基板5には、例えばC面サファイアなどの基板が用いられる。ただし、実施形態はこれに限らず、用いられる基板は任意である。
【0050】
図3(b)に表したように、基板5上に、図示しないバッファ層を形成し、第1半導体層11となる結晶、活性層13となる結晶、及び、第2半導体層12となる結晶を順次成長させ、これらの結晶を所定の形状に加工する。これにより、複数の半導体積層体10となる層(半導体積層体10af及び半導体積層体10bf)が形成される。半導体積層体10afは、第1半導体層11af、活性層13af及び第2半導体層12afを含み、半導体積層体10bfは、第1半導体層11bf、活性層13bf及び第2半導体層12bfを含む。
【0051】
図3(c)に表したように、第2半導体層12af及び活性層13afの一部を除去し、第2半導体層12bf及び活性層13bfの一部を除去して、第2主面M2の側において、第1半導体層11af及び第1半導体層11bfの一部を露出させる。これにより、半導体積層体10(半導体積層体10a及び10b)が形成される。半導体積層体10aは、第1半導体層11a、活性層13a及び第2半導体層12aを含み、半導体積層体10bは、第1半導体層11b、活性層13b及び第2半導体層12bを含む。
半導体積層体10の第2主面M2の第2領域(第2半導体層15a及び15bに対応する領域)に反射層16a及び反射層16bを形成する。
【0052】
図3(d)に表したように、半導体積層体10a及び10b並びに反射層16a及び16bを覆うように絶縁層18となる絶縁膜18fを形成する。
【0053】
図4(a)に表したように、レジスト層210を形成する。レジスト層210は、第1電極14及び第2電極15に対応する領域にそれぞれ設けられた開口部214a、214b、215a及び215bを有する。
【0054】
図4(b)に表したように、絶縁膜18fのうちのレジスト層210から露出する部分をエッチングして除去する。これにより、絶縁層18が形成される。
【0055】
図4(c)に表したように、開口部214a、214b、215a及び215bを介して、第1電極14a及び14b、並びに、第2電極15a及び15bを形成する。これらの電極の形成には蒸着法やスパッタリング法などの手法が用いられる。また、めっき法などを用いても良い。
【0056】
図5(a)に表したように、第1電極14a及び14bのそれぞれの上に第1導電部31a及び31bを形成し、第2電極15a及び15bのそれぞれの上に第2導電部32a及び32bを形成する。導電部の形成には例えばめっき法などが用いられる。
図5(b)に表したように、レジスト層210を除去する。
図5(c)に表したように、封止部50となる封止剤50fで全体を覆う。
【0057】
図6(a)に表したように、第1導電部31a、第2導電部32a、第1導電部31b及び第2導電部32bが露出するまで、封止剤50fを削る。これにより、封止部50が形成される。
【0058】
図6(b)に表したように、第1導電部31a及び第2導電部32aの表面上に、それぞれ第1接続部材41a及び第2接続部材42aを形成する。そして、第1導電部31b及び第2導電部32bの表面上に、それぞれ第1接続部材41b及び第2接続部材42bを形成する。
【0059】
図7(a)に表したように、基板5の裏面(半導体積層体10とは反対側の面)から半導体積層体10にレーザを照射し、基板5と半導体積層体10とを分離する。これにより、複数の半導体積層体10が封止部50で保持された積層体集合体101が形成される。
【0060】
図7(b)に表したように、積層体集合体101の第1主面M1上に、例えば、透光部60となる樹脂材料60fを塗布する。
【0061】
図8(a)に表したように、積層体集合体101上の樹脂材料60fの上方に、フォトマスク65を配置する。フォトマスク65は、高透過率領域66a及び66bと、低透過率領域66rと、を有する。
【0062】
図8(b)に表したように、フォトマスク65を介して樹脂材料60fに選択的に紫外線を照射する。そして、現像する。必要に応じて樹脂材料60fを熱処理する。
【0063】
これにより、図9(a)に表したように、高透過率領域66a及び66bに対応する領域に、複数の透光部60(透光部60a及び60b)が形成される。そして、低透過率領域66rに対応する領域に、隙間61sが形成される。すなわち、複数の透光部60どうしの間に隙間61sが形成される。
【0064】
なお、本具体例では、樹脂材料60fはネガ型の感光性を有しているが、実施形態はこれに限らずポジ型の感光性を有する材料を用いても良い。この場合には、フォトマスク65のパターンの透過性が反転される。
【0065】
図9(b)に表したように、複数の透光部60の上、及び、それらの間の隙間61sに、蛍光体層70となる蛍光体材料70fを塗布して蛍光体層70を形成する。すなわち、例えば、蛍光体粒子をシリコーン樹脂などに分散した蛍光体材料70fを透光部60の上にスキージ217を用いて塗布しつつ蛍光体材料70fの表面を平坦化する。これにより、透光部60の上に表面蛍光体層71が形成される。そして、隙間61sに蛍光体材料70fが充填され、これにより側面蛍光体層72が形成される。このように、表面蛍光体層71及び側面蛍光体層72が一括して形成される。
【0066】
これにより、図10(a)及び図10(b)に表したように、複数の半導体発光装置110における蛍光体層70が一括して形成される。これにより、複数の半導体発光装置110を含む半導体発光装置集合体201が形成される。
【0067】
側面蛍光体層72の略中心部分を、例えばダイサを用いてダイシングして、半導体発光装置110のそれぞれを分離する。これにより、複数の半導体発光装置110が一括して製造できる。
【0068】
このように、本製造方法は、第2主面M2に対して平行な平面内に配置された複数の半導体積層体10のそれぞれの第1導電部31(第1導電部31a及び31bなど)の側面と第2導電部(第2導電部32a及び32bなど)の側面とを覆うように封止部50を一括して形成する(ステップS110)。
【0069】
そして、複数の半導体積層体10のそれぞれの第3主面M3上に複数の透光部60(透光部60a及び60bなど)を一括して形成する(ステップS120)。
【0070】
そして、複数の透光部60のそれぞれの第3主面M3上と複数の透光部60のそれぞれの側面M4上とに複数の蛍光体層70となる樹脂層(蛍光体材料70f)を一括して塗布して複数の蛍光体層70を一括して形成する(ステップS130)。
【0071】
そして、複数の半導体積層体10どうしの間の封止部50と、蛍光体層70(具体的には側面蛍光体層72)と、を切断し、複数の半導体積層体10を分離する(ステップS140)。
【0072】
これにより、製造コストを削減でき、より均一な光を発光できる半導体発光装置を効率的に製造できる。
【0073】
以下、本実施形態に係る半導体発光装置110の製造方法の別の例について説明する。 図11(a)及び図11(b)、並びに、図12(a)及び図12(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光装置の別の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
これらの図は、図1(a)のA1−A2線断面に相当する断面図である。
【0074】
図3(a)〜図7(a)に関して説明した工程と同様の工程を実施して積層体集合体101を形成する。
図11(a)に表したように、積層体集合体101の第1主面M1上に透光部60となる樹脂材料60fを塗布する。そして、樹脂材料60fに成形型220を押し当てる。成形型220は、複数の透光部60の形状に対応する内側形状を有している。すなわち、成形型220は、複数の透光部60どうしの間の隙間61sに対応する位置に設けられた凸部220pを有している。成形型220には、例えば、樹脂、石英、及びガラスなどの材料を用いることができる。ただし、実施形態はこれに限らず、成形型220には任意の材料を用いることができる。
【0075】
図11(b)に表したように、成形型220の凸部220pが積層体集合体101に接触または近接するように、成形型220と積層体集合体101との距離を縮める。
【0076】
図12(a)に表したように、樹脂材料60fを硬化させる。この硬化処理には、例えば、紫外線照射及び加熱の少なくともいずれかの処理が用いられる。これにより、複数の透光部60が一括して形成される。透光部60どうしの間には隙間61sが形成される。 図12(b)に表したように成形型220を取り除く。
【0077】
既に説明した方法により、表面蛍光体層71及び側面蛍光体層72を形成し、蛍光体層70が形成される。
【0078】
側面蛍光体層72の略中心部分を、例えばダイサを用いてダイシングして、複数の半導体発光装置110のそれぞれを分離する。これにより、複数の半導体発光装置110が一括して製造できる。
【0079】
この製造方法によれば、成形型220を用いることで、さらに簡便に、短い製造時間で半導体発光装置110を製造できる。そのため、この製造方法によれば、より低コストで半導体発光装置110を製造できる。
【0080】
(第2の実施の形態)
図13(a)、図13(b)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の構成を例示する模式図である。
図13(a)は模式的平面図であり、図13(b)は、図13(a)のB1−B2線断面図である。なお、図中の点線部分は、図13(a)のA1−A2線断面で得られる凹部62の断面の外形図である。
【0081】
図13(a)、図13(b)に表したように、本実施形態に係る半導体発光装置111は、発光部17と、透光部60と、蛍光体層70(波長変換部)と、第1導電部31と、第2導電部32と、封止部50と、を備える。
【0082】
半導体発光装置111においては、透光部60は、第3主面M3に設けられた凹部62を有している。そして、蛍光体層70(波長変換部)の一部は、凹部62内に埋設されている。
【0083】
すなわち、蛍光体層70は、透光部60の第3主面M3を覆う表面蛍光体層71と、透光部の側面M4を覆う側面蛍光体層72と、透光部60の凹部62に埋設された凹部蛍光体層73と、を含む。
【0084】
半導体発光装置111においては、凹部62が設けられることで、光の出射方向に依らず出射光の色度がさらに均一になる。
すなわち、透光部60に進入した光の進行方向は、透光部60の凹部62と蛍光体層70との界面において変化する。この光の進行方向の変化は例えば屈折効果などに基づく。進行方向が変化した光が、凹部蛍光体層73に入射する。これにより、光の特性はより均一化される。
【0085】
すなわち、凹部62が設けられることにより、透光部60は、発光光の進路を制御する光路制御部として機能する。光路制御部は、例えばレンズやプリズムのような機能を発揮する。
【0086】
本具体例では、第3主面M3に形成された凹部62の開口部の平面形状(積層方向に沿ってみたときの平面形状)は円形である。
凹部62の開口部の断面形状(積層方向に対して平行な平面で切断したときの断面の形状)は曲線状である。
【0087】
例えば、図13(c)に表したように、凹部62によって形成される光路制御部の幅W1は、積層方向に対して垂直な平面内におけ凹部62の最大の長さである。すなわち、幅W1は、凹部62の開口部の幅に相当する。光路制御部の高さH2は、凹部62の第3主面M3の側の端と、第1主面M1と、の距離であり、透光部60の最大の厚さに相当する。光路制御部の厚さH1は、凹部蛍光体層73の厚さに相当し、積層方向に対して平行な方向に沿った凹部62の最大の長さであり、凹部62の深さに相当する。
【0088】
なお、光路制御部の半径R1(図示しない)は、光路制御部の幅W1の1/2である。光路制御部の縦方向(例えば積層方向に対して垂直な1つの方向)の曲率半径が、縦方向曲率半径Rv(図示しない)とされる。光路制御部の横方向(例えば積層方向と、上記の縦方向と、に対して垂直な方向)の曲率半径が、横方向曲率半径Rh(図示しない)とされる。
【0089】
光路制御部の幅W1、光路制御部の厚さH1、光路制御部の高さH2、光路制御部の半径R1、縦方向曲率半径Rv及び横方向曲率半径Rhは、半導体発光装置111において所望の特性が得られるように、適切に設定される。
【0090】
透光部60の凹部62の開口部の幅(積層方向に対して垂直な方向に沿った長さであり、光路制御部のW1)は、半導体積層体10の幅(積層方向に対して垂直な方向に沿った長さ)以上であることが望ましい。凹部蛍光体層73の幅(積層方向に対して垂直な方向に沿った長さであり、例えば直径)は、半導体積層体10の幅以上であることが望ましい。
【0091】
例えば、凹部62の壁面を積層方向に対して平行な平面で切断した断面形状は曲線状である。ただし、実施形態はこれに限らず、後述するように、凹部62の壁面を積層方向に対して平行な平面で切断した断面形状は直線状でも良い。
【0092】
凹部62の壁面を積層方向に対して垂直な平面で切断した断面形状は円形または扁平円形である。ただし、実施形態はこれに限らず、凹部62の壁面を積層方向に対して垂直な平面で切断した断面形状は任意である。
【0093】
凹部62は、後述するように、例えば、第3主面M3の側の開口部を底面とする円錐形状または角錐形状を有することもできる。
【0094】
表面蛍光体層71と、側面蛍光体層72と、凹部蛍光体層73と、は一体的に形成されることが望ましい。蛍光体層70に含まれる表面蛍光体層71、側面蛍光体層72及び凹部蛍光体層73が一体的に形成されることで、製造工程が簡略化でき、製造コストを削減することができる。
【0095】
以下、第2の実施形態に係る半導体発光装置111の製造方法の例について説明する。 図14(a)及び図14(b)、並びに、図15(a)及び図15(b)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の別の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
これらの図は、図13(a)のB1−B2線断面に相当する断面図である。
図16(a)及び図16(b)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の製造方法を例示する模式図である。図16(a)は平面図であり、図16(b)は、図16(a)のA1−A2線断面図である。
図3(a)〜図7(b)に関して説明した工程と同様の工程を実施して、積層体集合体101の第1主面M1上に透光部60となる樹脂材料60fの層を形成する。
【0096】
図14(a)に表したように、積層体集合体101の第1主面M1上に設けられた樹脂材料60fの層の上に、フォトマスク67を配置する。フォトマスク67は、透過率変調領域68a及び68bを有する。透過率変調領域68a及び68bにおいては、フォトマスク67の主面に平行な平面内で透過率が変化する。例えば、透過率変調領域68a及び68bのそれぞれの中心からそれぞれの外側へ向かう方向に沿って透過率が変化する。この透過率の変化は、例えば段階的または連続的である。なお、フォトマスク67において、透過率変調領域68a及び68bどうしの間に、例えば透過率が一定の透過率一定領域68rが設けられている。
【0097】
図14(b)に表したように、フォトマスク67を介して樹脂材料60fに紫外線を照射し現像を行う。そして、必要に応じて熱処理を行う。
【0098】
これにより、図15(a)に表したように、透光部60が形成される。透光部60の第3主面M3の側の面の一部に凹部62a及び62bが形成されている。凹部62a及び62bの断面は、透過率変調領域68a及び68bにおける透過率の変化に基づいて、例えば曲線状となる。透過率一定領域68rに対応して、透光部60どうしの間に隙間61sが形成される。
【0099】
図15(b)に表したように、例えばシリコーン樹脂などに分散した蛍光体材料70fを、スキージ217を用いて凹部62a及び62bに充填して凹部蛍光体層73を形成しつつ、隙間61sに蛍光体材料70fを充填して側面蛍光体層72を形成する。そして、スキージ217と透光部60との距離を適切に制御することで、表面蛍光体層71が同時に形成される。これにより、凹部蛍光体層73、側面蛍光体層72及び表面蛍光体層71を含む蛍光体層70が一括して形成される。
【0100】
これにより、図16(a)及び図16(b)に表したように、複数の半導体発光装置111を含む半導体発光装置集合体201が製造される。
【0101】
側面蛍光体層72の例えば中心部分を、例えばダイサを用いてダイシングして、複数の半導体発光装置111のそれぞれを分離する。これにより、複数の半導体発光装置111が一括して製造できる。
【0102】
このように、複数の透光部60の形成は、複数の透光部60となる透光母体(例えば樹脂材料60f)の第3主面M4の側の面の複数の透光部60に対応した領域のそれぞれに、凹部62を形成することを含む。本具体例においては、凹部62の形成は、上記の透光母体に、第1主面M1に対して平行な平面内で透過率が変化する透過率変調領域68a及び68bを有するフォトマスク76を介して光を照射することを含む。
【0103】
以下、第2の実施形態に係る半導体発光装置111の製造方法の別の例について説明する。
図17(a)及び図17(b)、並びに、図18(a)及び図18(b)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の別の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
これらの図は、図13(a)のB1−B2線断面に相当する断面図である。
図3(a)〜図7(b)に関して説明した工程と同様の工程を実施して、積層体集合体101の第1主面M1上に透光部60となる樹脂材料60fの層を形成する。
【0104】
図17(a)に表したように、積層体集合体101の第1主面M1上に設けられた樹脂材料60fに、成形型221をに押し当てる。成形型221は、透光部60の凹部62a及び62bの形状に対応する形状を有する内側壁222a及び222bを有する。成形型221は、隙間61sに対応する位置に設けられた凸部221pをさらに有する。なお、成形型221には、例えば、樹脂、石英及びガラスなどの材料を用いることができる。ただし、実施形態はこれに限らず、成形型221に用いられる材料は任意である。
【0105】
図17(b)に表したように、成形型221の凸部221pが積層体集合体101に接触または近接するように、成形型221と積層体集合体101との距離を縮める。
【0106】
図18(a)に表したように、樹脂材料60fを硬化させて複数の透光部60(透光部60a及び透光部60b)を形成する。この硬化には、樹脂材料60fへの紫外線照射及び樹脂材料60fの加熱の少なくともいずれかの処理を用いることができる。
【0107】
図18(b)に表したように、成形型221を取り除き、これにより、複数の半導体発光装置111を含む半導体発光装置集合体201が形成される。
【0108】
図15(b)に関して説明した工程と同様の作業を行い、凹部蛍光体層73、側面蛍光体層72及び表面蛍光体層71を含む蛍光体層70を一括して形成する。
側面蛍光体層72の例えば中心部分を、例えばダイサを用いてダイシングして、半導体発光装置111どうしを分離する。これにより、複数の半導体発光装置111が一括して製造できる。
【0109】
この製造方法によれば、成形型221を用いることで、さらに簡便に、短い製造時間で半導体発光装置111を製造できる。この製造方法によれば、より低コストで半導体発光装置111を製造できる。
【0110】
このように、凹部62の形成は、透光母体の第3主面M3の側の面に複数の凸状の内側壁222a及び222bを有する成形型(例えば上記の221)を接触させることを含む。
【0111】
以下、第2の実施形態に係る半導体発光装置の製造方法のさらに別の例について説明する。
図19(a)、図19(b)、図19(c)及び図19(d)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の別の製造方法に用いられる成形型の構成を例示する模式図である。
すなわち、図19(b)は第1成形型231の模式的平面図である。図19(a)は、図19(b)のA1−A2線断面図である。図19(d)は第2成形型241の模式的平面図である。図19(c)は、図19(d)のB1−B2線断面図である。
【0112】
図20(a)〜図20(d)、並びに、図21(a)〜図21(c)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の別の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
これらの図は、図13(a)のB1−B2線断面に対応する断面図である。
図22(a)及び図22(b)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の別の製造方法を例示する工程順模式図である。図22(a)は平面図であり、図22(b)は図22(a)のA1−A2線断面図である。
【0113】
図19(a)及び図19(b)に表したように、第1成形型231は、第1成形型231の主面に格子状に立設された仕切壁231pを有する。第1成形型231においては、仕切壁231pによって、格子領域232a及び232bが仕切られる。
【0114】
第2成形型241は、第1成形型231と組み合わされて使用される。
図19(c)及び図19(d)に表したように、第2成形型241は、隙間241sを有している。隙間241sは、第2成形型241が第1成形型231と組み合わされた際に、第1成形型231の仕切壁231pに対応する箇所に設けられ、隙間241sに仕切壁231pが挿入可能である。隙間241sの断面は、長方形状である。第2成形型241は、凹部242a及び242bをさらに有する。凹部242a及び242bは、第2成形型241が第1成形型231と組み合わされた際に、第1成形型231の格子領域232a及び232bにそれぞれ対応する箇所に配置される。凹部242a及び242bの断面は曲線状である。
【0115】
図20(a)に表したように、第1成形型231の仕切壁231pどうしで囲まれた空間に蛍光体材料70fを導入する。
【0116】
図20(b)に表したように、第2成形型241を第1成形型231上に配置し、第2成形型241を蛍光体材料70fに押し当てる。これにより、第1成形型231の内壁表面と第2成形型241の内壁表面との間の空間に、蛍光体層70となる層(表側蛍光体膜71af及び71bf、側面蛍光体膜72af及び72bf、並びに、凹部蛍光体膜73af及び73bf)が形成される。
【0117】
図20(c)に表したように、例えば熱処理などにより蛍光体層70となる層を硬化させ、凹部蛍光体層73a及び73b、側面蛍光体層72a及び72b、並びに、表面蛍光体層71a及び71bが形成される。
図20(d)に表したように、第2成形型241を取り除く。
【0118】
図21(a)に表したように、第1成形型231の仕切壁231pどうしで囲まれた空間に樹脂材料60fを導入する。そして、樹脂材料60fへの紫外線照射、及び、樹脂材料60fの加熱、の少なくともいずれかを実施して樹脂材料60fを硬化させる。
これにより、図21(b)に表したように複数の透光部60(透光部60a及び透光部60b)が一括して形成される。
【0119】
図21(c)に表したように、透光部60の第1成形型231とは反対側の面を積層体集合体101に対向させて、透光部60を積層体集合体101上に配置する。透光部60と積層体集合体101とを例えば接合する。第1成形型231を取り除く。
【0120】
これにより、図22(a)及び図22(b)に表したように、複数の半導体発光装置111を有する半導体発光装置集合体202が形成される。半導体発光装置集合体202は、複数の半導体発光装置111と、複数の半導体発光装置111どうしの間に設けられた隙間61sと、を有する。この隙間61sは、半導体発光装置111の側面蛍光体層72どうしの間に設けられている。
【0121】
隙間61sの部分において、例えばダイサを用いて半導体発光装置集合体201をダイシングして、複数の半導体発光装置111どうしを分離する。これにより、複数の半導体発光装置111が一括して製造できる。
【0122】
この製造方法によれば、側面蛍光体層72のダイシング工程が省略できるため、工程時間が短縮される。また、側面蛍光体層72の特性の損傷が抑制される。その結果、半導体発光装置111の発光特性がより均一化できる。
【0123】
例えば、第1及び第2の実施形態においては、発光部17が青色、紫色及び紫外線などの発光光を放出し、蛍光体層70がこの発光光の一部を吸収して例えば黄色の光を放出して、白色光を得る例を示した。しかし、実施形態はこれに限定されず、発光部17から放出される発光光、並びに、蛍光体層70から放出される光の色は、任意である。
【0124】
蛍光体層70には、複数の蛍光体粒子が混合されてものを用いても良い。また、蛍光体層70には、異なる波長の光を放出する蛍光体粒子を含む層を積層したものを用いても良い。
【0125】
半導体発光装置の出射光は、白色には限定されない。例えば、半導体発光装置は、紫系、青色系、緑色系、黄色系、または、赤色系の光を出射しても良い。
【0126】
発光部17は、発光波長が350nm以上420nm以下にピークを持つ短波長の光を放出しても良い。発光部17は、LEDには限定されず、光を放出する任意の素子が適用できる。実施形態は、第1波長を有する光を放出する半導体積層体と、第1波長の光を第2波長の光に変換する波長変換部と、を含む任意の半導体発光装置に適用可能である。なお、例えば、第2波長は第1波長よりも長い。
【0127】
赤色の蛍光体として例えば以下が挙げられる。ただし、実施形態に用いられる赤色の蛍光体は、これに限定されない。
S:Eu、
S:Eu+顔料、
:Eu、
Zn(PO:Mn、
(Zn,Cd)S:Ag+In
(Y,Gd,Eu)BO
(Y,Gd,Eu)
YVO:Eu、
LaS:Eu,Sm、
LaSi:Eu2+
α−sialon:Eu2+
CaAlSiN:Eu2+
CaSiN:Eu2+
CaSiN:Ce2+
Si:Eu2+
CaAlSiN:Eu2+
(SrCa)AlSiN:EuX+
Sr(SiAl(ON):EuX+
【0128】
緑色の蛍光体として例えば以下が挙げられる。ただし、実施形態に用いられる緑色の蛍光体は、これに限定されない。
ZnS:Cu,Al、
ZnS:Cu,Al+顔料、
(Zn,Cd)S:Cu,Al、
ZnS:Cu,Au,Al,+顔料、
Al12:Tb、
(Al,Ga)12:Tb、
SiO:Tb、
ZnSiO:Mn、
(Zn,Cd)S:Cu、
ZnS:Cu、
ZnSiO:Mn、
ZnS:Cu+ZnSiO:Mn、
GdS:Tb、
(Zn,Cd)S:Ag、
ZnS:Cu,Al、
S:Tb、
ZnS:Cu,Al+In
(Zn,Cd)S:Ag+In
(Zn,Mn)SiO
BaAl1219:Mn、
(Ba,Sr,Mg)O・aAl:Mn、
LaPO:Ce,Tb、
ZnSiO:Mn、
ZnS:Cu、
3(Ba,Mg,Eu,Mn)O・8Al
La・0.2SiO・0.9P:Ce,Tb、
CeMgAl1119:Tb、
CaSc:Ce、
(BrSr)SiO:Eu、
α−sialon:Yb2+
β−sialon:Eu2+
(SrBa)YSi:Eu2+
(CaSr)Si:Eu2+
Sr(SiAl)(ON):Ce 。
【0129】
青色の蛍光体として例えば以下が挙げられる。ただし、実施形態に用いられる青色の蛍光体はこれに限定されない。
ZnS:Ag、
ZnS:Ag+顔料、
ZnS:Ag,Al、
ZnS:Ag,Cu,Ga,Cl、
ZnS:Ag+In
ZnS:Zn+In
(Ba,Eu)MgAl1017
(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO)6Cl:Eu、
Sr10(PO)6Cl:Eu、
(Ba,Sr,Eu)(Mg,Mn)Al1017
10(Sr,Ca,Ba,Eu)・6PO・Cl
BaMgAl1625:Eu 。
【0130】
黄色の蛍光体として例えば以下が挙げられる。ただし、実施形態に用いられる黄色の蛍光体はこれに限定されない。
Li(Eu,Sm)W
(Y,Gd),(Al,Ga)12:Ce3+
LiSrSiO:Eu2+
(Sr(Ca,Ba))SiO:Eu2+
SrSiON2.7:Eu2+
【0131】
透光部60は、発光部17から放出される発光光の進行方向を変化させる光路制御機能(例えば集光機能や発散機能など)を有することができる。透光部60は、発光部17から放出される発光光の進行方向を、例えば屈折作用などに基づく集光作用または発散作用や、拡散作用などによって変化させる機能を有することができる。
【0132】
図23(a)及び図23(b)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の構成を例示する模式図である。図23(a)は模式的平面図であり、図23(b)は図23(a)のA1−A2線断面図である。
図23(a)及び図23(b)に表したように、第2の実施形態に係る別の半導体発光装置112においては、透光部60の第3主面M3にフレネルレンズとなる複数の溝60Lが設けられている。すなわち、半導体発光装置112においては、略同心円状に配置された複数の凹部62(溝60L)が設けられている。このように、1つの半導体発光装置において、複数の凹部62が設けられても良い。フレネルレンズを用いることで、透光部60の厚さが薄くても大きな光路制御効果を発揮することができる。
【0133】
また、透光部60には、非球面レンズ等を用いることができる。また、透光部60には、プリズムを用いることができる。このように、透光部60は種々の変形が可能である。
【0134】
図24(a)及び図24(b)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の構成を例示する模式図である。図24(a)は模式的平面図であり、図24(b)は図24(a)のA1−A2線断面図である。
図24(a)及び図24(b)に表したように、実施形態に係る別の半導体発光装置113においては、透光部60の凹部62の開口部の平面形状は、扁平円形状(例えば楕円状)である。
【0135】
このように、透光部60の凹部62の開口部の平面形状は、四角状、長方形状、ひし形形状等の多角形でも良い。このように、透光部60の形状は種々の変形が可能である。
【0136】
図25(a)、図25(b)、図25(c)及び図25(d)は、第2の実施形態に係る半導体発光装置の構成を例示する模式図である。図25(a)は、実施形態に係る別の半導体発光装置114、115及び116の模式的平面図であり、図25(b)、図25(c)及び図25(d)は、半導体発光装置114、115及び116の模式的断面図であり、それぞれ図25(a)のA1−A2線断面に相当する断面図である。
【0137】
図25(a)に表したように、半導体発光装置114、115及び116においては、透光部60の凹部62の開口部の平面形状は、円形である。
【0138】
図25(b)に表したように、半導体発光装置114においては、透光部60の凹部62の開口部の断面形状は、第3主面M3の側の面を底面とする台形である。
【0139】
図25(c)に表したように、半導体発光装置115においては、透光部60の凹部62の開口部の形状は、第3主面M3の側の面を底面とする台錐である。凹部62の形状は、第3主面M3の側の面を底面とする円錐でもよい。この場合には、凹部62の断面形状は、第3主面M3の側の面を底面とする三角形となる。
【0140】
図25(d)に表したように、半導体発光装置116においては、透光部60の凹部62の断面形状は、扁平円の一部である。
このように、透光部60の形状は、所望とする特性に応じて適切に設計され、これにより、所望の光学特性を実現できる。実施形態に係る半導体発光装置によれば、より均一な発光特性が得られる。
【0141】
(第1及び第2実施例)
第1及び第2実施例に係る半導体発光装置111E1及び111E2は、半導体発光装置111に関して説明した構成を有する。すなわち、半導体発光装置111E1及び111E2においては、透光部60に凹部62が設けられている。以下、凹部62の形状に関して説明する。
【0142】
図26は、第1及び第2実施例に係る半導体発光装置の透光部の形状を例示する表である。
図26に表したように、第1実施例に係る半導体発光装置111E1においては、光路制御部の幅W1は360μmであり、光路制御部の高さH2は100μmであり、光路制御部の厚さH1は100μmであり、光路制御部の半径R1は180μmであり、縦方向曲率半径Rvは260μmであり、横方向曲率半径Rhは260μmである。
【0143】
第2実施例に係る半導体発光装置111E2においては、光路制御部の幅W1は380μmであり、光路制御部の高さH2は75μmであり、光路制御部の厚さH1は120μmであり、光路制御部の半径R1は190μmであり、縦方向曲率半径Rvは280μmであり、横方向曲率半径Rhは280μmである。
【0144】
第1及び第2実施例に係る半導体発光装置111E1及び111E2は、図3(a)〜図16(a)及び図16(b)に関して説明した製造方法によって製造された。
【0145】
(参考例)
図27(a)及び図27(b)は、参考例の半導体発光装置の構成を示す模式図である。
図27(a)は模式的平面図であり、図27(b)は、図27(a)のA1−A2線断面図である。
図27(a)及び図27(b)に表したように、参考例の半導体発光装置301は、発光部17に配置された板状の蛍光体材料304の層と、蛍光体材料304の層の上に設けられた凸型レンズ305と、を備える。凸型レンズ305の幅(積層方向に対して垂直な方向に沿った長さ)は、発光部17の幅(積層方向に対して垂直な方向に沿った長さ)と略同一である。半導体発光装置301は、図3(a)〜図7(a)に関して説明したのと同様の方法で積層体集合体101を作製した後、第1主面M1上に蛍光体材料304の層を積層し、さらに蛍光体材料304の層の上に凸型レンズ305を配置することにより製造された。
【0146】
図28(a)、図28(b)及び図28(c)は、第1及び第2実施例の半導体発光装置の特性を例示する模式図である。
図28(a)は、半導体発光装置111E1及び111E2の配光特性を示す模式図であり、同図は、積層方向から見たときの明るさを模式的に表している。同図中の濃淡が発光強度に対応している。図28(a)に示した通り、半導体発光装置111E1及び111E2では、均一な配光特性が得られる。
【0147】
図28(b)は、半導体発光装置111E1及び111E2の配向特性を示すグラフ図である。図28(b)の横軸は半導体発光装置から出射される光の出射方向角θ(半導体発光装置の光出射面の法線からの角度)で、縦軸はCIE色度座標におけるCx値を示している。図28(b)に示した通り、半導体発光装置111E1及び111E2においては、0度から80度付近まで、Cx値が実質的に変化しない。このように、光の出射方向によらず、出射光の色度は均一である。
【0148】
図28(c)は、半導体発光装置111E1の発光面内の輝度の変化を示した投影像である。投影像は、CIE規格(TC―127)が示す平均化光度の条件(Condition)Bの測定方法に準じた測定で得られたものである。投影図の横軸と縦軸はそれぞれ半導体発光装置111E1の発光面のそれぞれの辺を示している。なお、X方向及びY方向は積層方向に対して垂直な方向であり、X方向は半導体発光装置111E1の1つの辺に沿った方向であり、Y方向は半導体発光装置111E1の別の辺に沿った方向であり、X方向とY方向とは互いに直交する。図28(c)に示した通り、半導体発光装置111E1においては、発光面の中心部分(XY方向0,0付近)と、周辺部分(XY方向±10000付近)と、で輝度差が小さい、実質的に均一な発光が得られた。なお、半導体発光装置111E2においても同様の良好な特性が得られた。
【0149】
図29(a)、図29(b)及び図29(c)は、参考例の半導体発光装置の特性を例示する模式図である。
図29(a)に示した通り、参考例の半導体発光装置301においては、図中の濃淡が大きく、発光面の面内における明るさのむらが大きかった。
図29(b)に示したとおり、半導体発光装置301においては、出射方向角θに対してCx値が大きく変化した。すなわち、出射方向角θが小さい垂直方向においては、ほぼ白色であるのに対し、出射方向角θが大きくなると黄色であった。
【0150】
図29(c)に示した通り、半導体発光装置301においては、発光面の中心部分(XY方向0,0付近)では、高い輝度を示したが、周辺部分(XY方向±10000付近)では、輝度が低くなる現象を示した。
【0151】
図30は、第1及び第2実施例に係る半導体発光装置、並びに、参考例の半導体発光装置の明るさを示すグラフ図である。
同図の縦軸は、参考例の光束を1としたときの光束比である。
図30に示したように、第1実施例の半導体発光装置111E1、及び、第2実施例の半導体発光装置111E2は、参考例の半導体発光装置301と比較してほぼ同程度の輝度で発光する。
【0152】
以上、実施形態によれば、製造コストを削減でき、より均一に発光できる半導体発光装置及びその製造方法を提供することができる。
【0153】
なお、本明細書において「窒化物半導体」とは、BInAlGa1−x−y−zN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)なる化学式において組成比x、y及びzをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むものや、導電形などを制御するために添加される各種のドーパントのいずれかをさらに含むものも、「窒化物半導体」に含まれるものとする。
【0154】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれは良い。
【0155】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施の形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体発光装置に含まれる発光部、半導体層、活性層、電極、透光部、蛍光体層、導電部及び接続部材などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0156】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体発光装置及びその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体発光装置及びその製造方法も、本発明の実施の形態の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0157】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0158】
10、10a、10af、10b、10bf…半導体積層体、 11、11a、11af、11b、11bf…第1半導体層、 12、12a、12af、12b、12bf…第2半導体層、 13、13a、13af、13b、13bf…活性層、 14、14a、14b…第1電極、 15、15a、15b…第2電極、 16、16a、16b…反射層、 17…発光部、 18…絶縁層、 18f…絶縁膜、 31、31a、31b…第1導電部、 32、32a、32b…第2導電部、 41、41a、41b…第1接続部材、 42、42a、42b、42A、42B、42C…第2接続部材、 50…封止部、 50f…封止剤、 60、60a、60b…透光部、 60L…溝、 60f…樹脂材料、 61s…隙間、 62、62a、62b…凹部、 65…フォトマスク、 66a、66b…高透過率領域、 66r…低透過率領域、 67…フォトマスク、 68a、68b…透過率変調領域、 68r…透過率一定領域、 70…蛍光体層(波長変換部)、 70f…蛍光体材料、 71、71a、71b…表面蛍光体層、 71af、71bf…表面蛍光体膜、 72、72a、72b…側面蛍光体層、 72af、72bf…側面蛍光体層、 73、73a、73b…凹部蛍光体膜、 73af、73bf…凹部蛍光体膜、 θ…出射方向角、 101…積層体集合体、 110、110a、111、111E1、111E2、112、113、114、115、116…半導体発光装置、 201、202…半導体発光装置集合体、 210…レジスト層、 214a、214b…開口部、 217…スキージ、 220…成形型、 220p…凸部、 221…成形型、 221p…凸部、 222a、222b…内側壁、 231…第1成形型、 231p…仕切壁、 232a、232b…格子領域、 241…第2成形型、 241s…隙間、 242a、242b…凹部、 301…半導体発光装置、 304…蛍光体材料、 305…凸型レンズ、 H1…光路制御部の厚さ、 H2…光路制御部の高さ、 M1…第1主面、 M2…第2主面、 M3…第3主面、 M4…側面、 R1…半径、 Rh…横方向曲率半径、 Rv…縦方向曲率半径、 W1…光路制御部の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と前記第1主面とは反対側の第2主面とを有する半導体積層体と、前記半導体積層体の前記第2主面上に設けられた第1電極及び第2電極と、を有する発光部と、
前記第1主面上に設けられた透光部と、
前記透光部の前記第2主面とは反対側の第3主面と、前記透光部の側面と、を覆い、前記発光部から放出される発光光を吸収し前記発光光の波長とは異なる波長の光を放出する波長変換部と、
前記第2主面上に設けられ前記第1電極に電気的に接続された第1導電部と、
前記第2主面上に設けられ前記第2電極に電気的に接続された第2導電部と、
前記第1導電部の側面と前記第2導電部の側面とを覆う封止部と、
を備えたことを特徴とする半導体発光装置。
【請求項2】
前記透光部は、前記第3主面に設けられた凹部を有し、
前記波長変換部の一部は前記凹部内に埋設されていることを特徴とする請求項1記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記凹部の壁面を前記第1主面から前記第2主面に向かう方向に対して平行な平面で切断した断面形状は曲線状であることを特徴とする請求項2記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記凹部の壁面を前記第1主面から前記第2主面に向かう方向に対して垂直な平面で切断した断面形状は円形または扁平円形であることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記凹部は、前記第3主面の側の開口部を底面とする円錐形状または角錐形状を有することを特徴とする請求項2記載の半導体発光装置。
半導体発光装置
【請求項6】
前記透光部の屈折率は1.2以上1.9以下であり、前記透光部の前記発光光に対する透過率は90パーセント以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記透光部は、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、環状ポリオレフィン(COP)、脂環式アクリル(OZ)、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、SiO2、及びTiO2からなる群から選択された少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記波長変換部から放出される前記光は、440nm以上720nm以下の波長帯を含み、
前記波長変換部は、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、燐(P)、ホウ素(B)、イットリウム(Y)、アルカリ土類元素、硫化物元素、希土類元素、窒化物元素からなる群から選択された少なくともいずれかを含む蛍光体を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項9】
前記透光部は、前記第3主面の側に溝が設けられたフルネルレンズであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項10】
前記発光部は発光ダイオードであり、前記発光光のピーク発光波長は350ナノメートル以上530ナノメートル以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項11】
第1主面と前記第1主面とは反対側の第2主面とを有する半導体積層体と、前記半導体積層体の前記第2主面上に設けられた第1電極及び第2電極と、を有する発光部と、前記第1主面上に設けられた透光部と、前記透光部の前記第2主面とは反対側の第3主面と、前記透光部の側面と、を覆い、前記発光部から放出される発光光を吸収し前記発光光の波長とは異なる波長の光を放出する波長変換部と、前記第2主面上に設けられ前記第1電極に電気的に接続された第1導電部と、前記第2主面上に設けられ前記第2電極に電気的に接続された第2導電部と、前記第1導電部の側面と前記第2導電部の側面とを覆う封止部と、を有する半導体発光装置の製造方法であって、
前記第2主面に対して平行な平面内に配置された複数の前記半導体積層体のそれぞれの前記第1導電部の側面と前記第2導電部の側面とを覆うように前記封止部を一括して形成し、
前記複数の半導体積層体のそれぞれの前記第3主面上に複数の前記透光部を一括して形成し、
前記複数の透光部のそれぞれの前記第3主面上と前記複数の透光部のそれぞれの前記側面上とに複数の前記波長変換部となる樹脂層を一括して塗布して複数の前記波長変換部を一括して形成し、
前記複数の半導体積層体どうしの間の前記封止部と、前記波長変換部と、を切断し、前記複数の半導体積層体を分離することを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記複数の透光部の形成は、前記複数の透光部となる透光母体の前記第3主面の側の面の前記複数の透光部に対応した領域のそれぞれに、凹部を形成することを含むことを特徴とする請求項11記載の半導体発光装置の製造方法。
【請求項13】
前記凹部の形成は、前記透光母体に、前記第1主面に対して平行な平面内で透過率が変化する透過率変調領域を有するフォトマスクを介して光を照射することを含むことを特徴とする請求項12記載の半導体発光装置の製造方法。
【請求項14】
前記凹部の形成は、前記透光母体の前記第3主面の側の面に複数の凸状の内側壁を有する成形型を接触させることを含むことを特徴とする請求項12記載の半導体発光装置の製造方法。
【請求項15】
第1主面と前記第1主面とは反対側の第2主面とを有する半導体積層体と、前記半導体積層体の前記第2主面上に設けられた第1電極及び第2電極と、を有する発光部と、前記第1主面上に設けられた透光部と、前記透光部の前記第2主面とは反対側の第3主面と、前記透光部の側面と、を覆い、前記発光部から放出される発光光を吸収し前記発光光の波長とは異なる波長の光を放出する波長変換部と、前記第2主面上に設けられ前記第1電極に電気的に接続された第1導電部と、前記第2主面上に設けられ前記第2電極に電気的に接続された第2導電部と、前記第1導電部の側面と前記第2導電部の側面とを覆う封止部と、を有する半導体発光装置の製造方法であって、
前記第2主面に対して平行な平面内に配置された複数の前記半導体積層体のそれぞれの前記第1導電部の側面と前記第2導電部の側面とを覆うように前記封止部を一括して形成し、
前記複数の半導体積層体の前記平面内の位置に対応して配置された複数の内側壁であって、複数の前記透光部の前記第3主面と複数の前記透光部の前記側面とに噛合する形状を有する前記内側壁を有する複数の波長変換部を一括して形成し、
前記複数の内側壁のそれぞれで囲まれた複数の空間に前記透光部となる材料を充填して複数の前記透光部を一括して形成し、
前記複数の透光部のそれぞれの前記波長変換部とは反対側の面と前記複数の半導体積層体のそれぞれの前記第1主面とを一括して接合し、
前記複数の半導体積層体どうしの間の前記封止部と、前記波長変換部と、を切断し、前記複数の半導体積層体を分離することを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
【請求項16】
前記波長変換部の形成は、
主面表面に格子状に立設された仕切壁と、前記仕切壁により仕切られた格子領域と、を有する第1成形型の前記格子領域に波長変換部となる波長変換材を導入する工程と、
前記第1成形型と組み合わせた際に、前記仕切壁に対応する箇所に前記仕切壁を挿入可能とする隙間と、前記格子領域に対応する箇所に配置される凹部と、を有する第2成形型を、前記波長変換材に押し当て、前記第1成形型の内壁と前記第2成形型の内壁との間の空間に前記波長変換部となる母材を成形する工程と、
前記母材を硬化させて前記波長変換部を形成する工程と、
を含み、
前記透光部の形成は、第1成形型及び前記波長変換部から前記第2成形型を取り外した後に、前記第1成形型内の残余の空間に前記透光部となる樹脂材を導入し、前記樹脂材を硬化させる工程を含むことを特徴とする請求項15記載の半導体発光装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図30】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2011−258676(P2011−258676A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130567(P2010−130567)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】