説明

半導体発光装置及び半導体発光装置の製造方法

【課題】高い発光効率及び高い信頼性を有する半導体発光装置を提供すること。
【解決手段】第1のクラッド層と、第2のクラッド層と、第1のクラッド層と第2のクラッド層との間に形成された活性層と、第2のクラッド層の上に中間層及び第1の透明導電層を順次積層して形成された拡散制御層と、拡散制御層よりも低い不純物濃度を有する第2の透明導電層と、第2の透明導電層よりも高い不純物濃度を有する第3の透明導電層と、からなり、中間層と第1の透明導電層との界面が格子不整合界面であること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光装置に関し、半導体基板上に複数の半導体層を積層する技術を用いた製造方法によって製造される半導体発光装置及びこれの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、成長用基板として用いられるGaAs基板上に有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)によって複数の半導体層を積層し、半導体発光装置を形成する方法が知られている。例えば、GaAs基板上には、n型クラッド層、活性層、p型クラッド層及びp型電流拡散層が順次積層される。更に、GaAs基板のn型クラッド層が形成された面とは逆側(すなわち、GaAs基板の裏面側)及びp型電流拡散層上には、それぞれ裏面電極及び表面電極が形成される。
【0003】
上述した半導体発光装置は、主に自動車のテールランプ、各種表示機器及び携帯電話等のモバイル機器のバックライトに従来から用いられている。また、近年において、自動車のヘッドライト、液晶ディスプレイのバックライト及び一般照明等への需要が拡大し始めている。このような半導体発光装置の市場拡大に伴い、半導体発光装置の発光効率及び信頼性の向上が要求されている。
【0004】
従来から、発光効率の向上及び動作電圧の低下を図るために、キャリア濃度の異なる複数の電流拡散層を積層する技術が知られている。例えば、特許文献1には、キャリア濃度の異なる3つの電流拡散層を積層する技術が開示されている。更に、特許文献1には、クラッド層の上に最も高いキャリア濃度を有する第1電流拡散層を形成し、その上に最も低いキャリア濃度を有する第2電流拡散層を形成し、最上部に第1電流拡散層のキャリア濃度より低く且つ第2電流拡散層のキャリア濃度より高いキャリア濃度を有する第3電流拡散層を形成する内容が開示されている。
【0005】
また、動作電圧及び消費電力の低下を図るために、クラッド層と電流拡散層との間に格子不整合を緩和する中間層を挿入する技術が知られている。例えば、特許文献2には、AlGaInPクラッド層とGaP層との間に中間層としてAlInAs層を挿入する技術が開示されている。
【0006】
更に、発光効率の向上を図るためには、活性層のキャリア濃度が重要であることが知られている。例えば、特許文献3には、高い発光効率を有するAlGaInP系の半導体発光装置において、活性層中のSi及びZn濃度の制御が重要であることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−304090号公報
【特許文献2】特開平9−260724号公報
【特許文献3】特開平11−68154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年においては、高輝度であり、且つ、高い信頼性を備える半導体発光装置の要求がより強まってきている。より具体的には、高い発光効率を得るために、活性層中のキャリア濃度を高精度に制御することや、高い信頼性を得るために、順方向電圧を低減することが要求されている。
【0009】
しかしながら、活性層中におけるキャリア濃度は、クラッド層上の電流拡散層から拡散する不純物の影響を受け易い。このため、電流拡散層の成長温度、成長時間及び膜厚のばらつきによって電流拡散層から拡散する不純物の量が半導体発光装置ごとに異なり、活性層中のキャリア濃度を高精度に制御することが困難であった。
【0010】
また、順方向電圧は、成長用基板上に形成される半導体層の膜厚や、不純物の量の影響を受け易い。このため、半導体層の膜厚及び不純物の量のばらつきにより、順方向電圧の低減が十分に図ることが困難であった。
【0011】
本発明の目的は、以上の如き事情に鑑みてなされたものであり、高い発光効率及び高い信頼性を有する半導体発光装置及びこれの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明の半導体発光装置は、第1導電型の第1のクラッド層と、第2導電型の第2のクラッド層と、第1のクラッド層と第2のクラッド層との間に形成された第2導電型の活性層と、第2のクラッド層の上に第1のクラッド層と格子整合する第2導電型の中間層及び第2導電型の第1の透明導電層を順次積層して形成された拡散制御層と、拡散制御層の上に形成され、拡散制御層よりも低い不純物濃度を有する第2導電型の第2の透明導電層と、第2の透明導電層の上に形成され、第2の透明導電層よりも高い不純物濃度を有する第2導電型の第3の透明導電層と、からなり、中間層と第1の透明導電層との界面が格子不整合界面であることを特徴とする。
【0013】
また、上述した課題を解決するために、本発明の半導体発光装置の製造方法は、n型AlGaInPクラッド層、アンドープAlGaInP活性層及びZnがドープされたp型AlGaInPクラッド層を成長する工程と、p型AlGaInPクラッド層の上に、Znがドープされ且つ20nm以上の膜厚を備えるp型AlGaInP中間層及びZnがドープされたGaInPからなる第1の透明導電層を順次積層して、100nm以下の合計膜厚を備える拡散制御層を成長する工程と、拡散制御層の上に、拡散制御層より低い濃度でZnがドープされたGaInPからなる第2の透明導電層を成長する工程と、第2の透明導電層の上に、第2の透明導電層より高い濃度でZnがドープされたGaInPからなる第3の透明導電層を成長する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の半導体発光装置は、第1のクラッド層とともに活性層を挟む第2のクラッド層の上に、中間層、第1の透明導電層、第2の透明導電層及び第2の透明導電層よりも高い不純物濃度を有する第3の透明導電層を順次積層した構造を有している。中間層と第1の透明導電層とは、第2の透明導電層及び第3の透明導電層から拡散する不純物量を制御する拡散制御層を構成し、拡散制御層は第2の透明導電層の不純物濃度よりも高い不純物濃度及び格子不整合界面を有している。
【0015】
このような拡散制御層並びに拡散制御層の上に不純物の拡散源となる第2及び第3の透明導電層を有することにより、順方向電圧の低減を図るとともに第2及び第3の透明導電層からの不純物の拡散を制御することができるため、高輝度、且つ、高い信頼性を備える半導体発光装置を提供することができる。
【0016】
また、本発明の半導体発光装置の製造方法は、n型AlGaInPクラッド層、アンドープAlGaInP活性層及びZnがドープされたp型AlGaInPクラッド層を成長する工程と、p型AlGaInPクラッド層の上に、Znがドープされ且つ20nm以上の膜厚を備えるp型AlGaInP中間層及びZnがドープされたGaInPからなる第1の透明導電層を順次積層して、100nm以下の合計膜厚を備える拡散制御層を成長する工程と、拡散制御層の上に、拡散制御層より低い濃度でZnがドープされたGaInPからなる第2の透明導電層を成長する工程と、第2の透明導電層の上に、第2の透明導電層より高い濃度でZnがドープされたGaInPからなる第3の透明導電層を成長する工程と、を有している。
【0017】
このような、拡散制御層の膜厚制御及び各透明導電層におけるZnのドープ制御により、高輝度、且つ、高い信頼性を備える半導体発光装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1の半導体発光装置の断面図である。
【図2】本発明の実施例1の半導体発光装置の各製造工程における断面図である。
【図3】本発明の実施例1の半導体発光装置におけるZn濃度の分布を示す図である。
【図4】活性層の平均Zn濃度と規格化光出力(発光効率)との関係を示す図である。
【図5】本発明の実施例1の半導体発光装置における第1のp型透明導電層の平均Zn濃度と活性層の平均Zn濃度との関係を示す図である。
【図6】本発明の実施例1の半導体発光装置における第1のp型透明導電層の平均Zn濃度と活性層の平均Zn濃度との関係を示す図である。
【図7】本発明の実施例1の半導体発光装置における第3のp型透明導電層の平均Zn濃度と活性層の平均Zn濃度との関係を示す図である。
【図8】従来の半導体発光装置におけるp型透明導電層の平均Zn濃度と活性層の平均Zn濃度との関係を示す図である。
【図9】本発明の実施例1の半導体発光装置における第2のp型透明導電層の膜厚と活性層の平均Zn濃度との関係を示す図である。
【図10】本発明の実施例1の半導体発光装置における第3のp型透明導電層の膜厚と活性層の平均Zn濃度との関係を示す図である。
【図11】従来の半導体発光装置におけるp型透明導電層の膜厚と活性層の平均Zn濃度との関係を示す図である。
【図12】本発明の実施例1の半導体発光装置におけるp型中間層の膜厚と順方向電圧との関係を示す図である。
【図13】本発明の実施例1の半導体発光装置における第1のp型透明導電層の平均Zn濃度と順方向電圧との関係を示す図である。
【図14】本発明の実施例1の半導体発光装置における第2のp型透明導電層の平均Zn濃度と順方向電圧との関係を示す図である。
【図15】本発明の実施例1の半導体発光装置における成長温度と活性層の平均Zn濃度との関係を示す図である。
【図16】本発明の実施例2の半導体発光装置の各製造工程における断面図である。
【図17】本発明の実施例2の半導体発光装置の各製造工程における断面図である。
【図18】図17の破線領域300の拡大図である。
【図19】本発明の実施例2の半導体発光装置の各製造工程における断面図である。
【図20】本発明の実施例2の半導体発光装置の各製造工程における断面図である。
【図21】本発明の実施例2の半導体発光装置の各製造工程における断面図である。
【図22】本発明の実施例2の半導体発光装置の断面図である。
【図23】図22の破線領域400の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
先ず、図1及び図3を参照しつつ、本発明の実施例1に係る半導体発光装置の構造及びその製造方法について説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施例1に係る半導体発光装置10の断面図である。図1に示されているように、半導体発光装置10は、成長用基板であるn型GaAs基板11の表面(主面)上に、n型GaAsバッファ層12、n型クラッド層13、活性層14、p型クラッド層15、p型中間層16、電流拡散層として機能する第1のp型透明導電層17、電流拡散層として機能する第2のp型透明導電層18、電流拡散層として機能する第3のp型透明導電層19及びp型コンタクト層20が順次積層されている。ここで、p型中間層16は、p型クラッド層15と第1のp型透明導電層17との間の格子不整合を緩和するために設けられた半導体層である。更に、半導体発光装置10は、n型GaAs基板11のn型クラッド層12が形成された表面とは逆側の面(すなわち、裏面)の全面にn型電極21、p型コンタクト層20上の中央部分にp型電極22を有している。以下に、かかる構成を有する半導体発光装置10の製造方法を、図2を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
先ず、成長用基板であるn型GaAs基板11が準備される(図2(a))。本実施例では、n型GaAs基板11は、シリコン(Si)がドープされ、その主面は面方位(100)から4度(4°)傾いている。すなわち、n型GaAs基板11は4°オフの成長用基板である。
【0023】
次に、有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)により、n型GaAs基板11の上にn型GaAsバッファ層12が積層される。成長条件は、例えば、成長温度が約摂氏750度(750℃)、成長圧力が約10キロパスカル(kPa)である。有機金属(MO)材料(III族原料)としては、例えば、トリメチルガリウム(TMGa)が用いられる。V族ガスとしては、例えば、アルシン(AsH3)が用いられる。なお、n型GaAsバッファ層12は、約0.5マイクロメートル(μm)の膜厚を有している。
【0024】
更に、MOCVD法により、n型GaAsバッファ層12の上に、n型クラッド層13、アンドープ活性層31、p型クラッド層15及びp型中間層16が順次積層される。n型クラッド層13からp型中間層16までの各層が積層された状態を図2(b)に示す。成長条件は、例えば、成長温度が約750℃、成長圧力が約10kPaである。MO材料としては、例えば、TMGa、トリメチルアルミニウム(TMAl)、トリメチルインジウム(TMI)が用いられる。V族ガスとしては、例えば、AsH3及びフォスフィン(PH3)が用いられる。なお、V/III比は30〜200である。不純物添加用の原料としては、例えば、n型不純物としてシラン(SiH4)が用いられ、p型不純物としてジメチルジンク(DMZn)が用いられる。また、キャリアガスとしては水素が用いられる。具体的な製造工程は、以下の通りである。
【0025】
先ず、組成が(AlxGa1-xyIn1-yP(0≦x≦1、0<y≦1)で、Siの濃度が約5×1017atoms/cm3のn型クラッド層12が、n型GaAsバッファ層12の上に約1μm形成される。本実施例では、n型クラッド層12は、(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pである。
【0026】
次に、組成が(AlxGa1-xyIn1-yP(0≦x≦1、0<y≦1)で、不純物がドープされていないアンドープ活性層31が、n型クラッド層12の上に約830ナノメートル(nm)形成される。ここで、x及びyの値は、アンドープ活性層31のバンドギャップがn型クラッド層12及びp型クラッド層15のバンドギャップよりも小さくなるように設定される。本実施例では、アンドープ活性層31は、井戸層が(Al0.15Ga0.850.5In0.5Pであり、障壁層が(Al0.5Ga0.50.5In0.5Pである量子井戸構造(30周期)を有している。また、各井戸層の膜厚は約18nmであり、各障壁層の膜厚は約10nmである。
【0027】
続いて、組成が(AlxGa1-xyIn1-yP(0≦x≦1、0<y≦1)で、Znがドープされたp型クラッド層15が、アンドープ活性層31の上に約1μm形成される。このとき、p型クラッド層15の平均Zn濃度が約3×1017atoms/cm3となるようにDMZnの供給量が制御される。本実施例では、p型クラッド層15は、(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pである。
【0028】
更に、組成が(AlxGa1-xyIn1-yP(0≦x≦1、0<y≦1)で、Znがドープされたp型中間層16が、p型クラッド層15の上に約20nm形成される。このとき、p型中間層16の平均Zn濃度が約1×1018atoms/cm3となるようにDMZnの供給量が制御される。本実施例では、p型中間層16は、(Al0.5Ga0.50.5In0.5Pである。ここで、p型中間層16は、順方向電圧(Vf)の上昇を抑制する目的で形成されるため、Al組成を0.3以上にする必要がある。これにより、p型中間層16はp型クラッド層15と第1の透明導電層17の中間のバンドギャップを形成し、半導体発光装置10の順方向電圧の低減が可能になる。
【0029】
次に、MOCVD法により、p型中間層16の上に第1のp型透明導電層17、第2のp型透明導電層18、第3のp型透明導電層19及びp型コンタクト層20が順次積層される。第1のp型透明導電層17からp型コンタクト層20までが積層された状態を図2(c)に示す。成長条件は、例えば、成長温度が約850℃、成長圧力が約10kPaである。MO材料としては、例えば、TMGa及びTMIが用いられる。V族ガスとしては、例えば、PH3が用いられる。V/III比は30〜200である。不純物添加用の原料としてはDMZnが用いられる。また、キャリアガスとしては水素が用いられる。具体的な製造工程は、以下の通りである。
【0030】
先ず、組成がGaxIn1-xP(0<x≦1)で、Znがドープされた第1のp型透明導電層17が、p型中間層16の上に約20nm形成される。このとき、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度が約1×1018atoms/cm3となるようにDMZnの供給量が制御される。本実施例では、第1のp型透明導電層17は、Ga0.95In0.05Pである。
【0031】
次に、組成がGaxIn1-xP(0<x≦1)で、Znがドープされた第2のp型透明導電層18が、第1のp型透明導電層17の上に約200nm形成される。このとき、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度が約8×1017atoms/cm3となるようにDMZnの供給量が制御される。本実施例では、第2のp型透明導電層18は、Ga0.95In0.05Pである。
【0032】
続いて、組成がGaxIn1-xP(0<x≦1)で、Znがドープされた第3のp型透明導電層19が、第2のp型透明導電層18の上に約10μm形成される。このとき、第3のp型透明導電層19の平均Zn濃度が約3×1018atoms/cm3となるようにDMZnの供給量が制御される。本実施例では、第3のp型透明導電層19は、Ga0.95In0.05Pである。
【0033】
更に、組成がGaxIn1-xP(0<x≦1)で、Znがドープされたp型コンタクト層20が、第3のp型透明導電層19の上に約200nm形成される。このとき、p型コンタクト層20の平均Zn濃度が約1×1019atoms/cm3となるようにDMZnの供給量が制御される。本実施例では、第2のp型透明導電層18は、Ga0.95In0.05Pである。
【0034】
ここで、第1のp型透明導電層17、第2のp型透明導電層18及び第3のp型透明導電層19の表面において良好な鏡面を形成し、Znの拡散を制御し易くするために、第1のp型透明導電層17、第2のp型透明導電層18及び第3のp型透明導電層19のIn組成を1%以上にすることが好ましい。これは、In組成が1%未満の場合や、Inを全く含まない場合には、結晶欠陥が増加してしまい、Znの拡散を制御することが困難になるからである。しかしながら、第1のp型透明導電層17、第2のp型透明導電層18及び第3のp型透明導電層19のIn組成を15%以上にすると表面粗さが劣化してしまう。このため、In組成を3〜10%の範囲に設定することが更に好ましい。
【0035】
また、第1のp型透明導電層17から第3のp型透明導電層19までの形成時において、第1のp型透明導電層17、第2のp型透明導電層18及び第3のp型透明導電層19からアンドープ活性層31に向かってZnが拡散する。このようなZnの拡散により、アンドープ活性層31にZnがドープされ、アンドープ活性層31がZnをp型キャリアとして有する活性層14に変化する。
【0036】
次に、p型コンタクト層20の上にレジストが塗布される。塗布されたレジストが所望の電極パターンになるように、パターンニングが施される。パターンニングされたレジストの開口部分に、真空蒸着法によって金・亜鉛の合金(AuZn)が蒸着される。その後に、レジストを除去すること(リフトオフ法)で、所望の形状のp型電極22が形成される。続いて、真空蒸着法により、n型GaAs基板11の裏面全体に金・ゲルマニウム・ニッケルの合金(AuGeNi)が真空蒸着され、n型電極21が形成される。本工程の終了により、半導体発光装置10が完成する(図2(d))。なお、n型電極21及びp型電極22を構成する金属が蒸着させた後において、加熱による合金化処理が施される。
【0037】
なお、上述した半導体装置10及びその製造方法は一例にすぎず、上記内容に限られることは無い。例えば、n型及びp型を入れ替えて半導体発光装置10を製造しても良い。また、アンドープ活性層31において、井戸層をGa0.5In0.5Pとし、障壁層を(Al0.5Ga0.50.5In0.5P又はAl0.5In0.5Pとしても良い。更には、アンドープ活性層31の構造が、(Al0.15Ga0.850.5In0.5Pのみからなる一層構造であっても良い。同様の観点から、n型クラッド層13及びp型クラッド層15の組成が、Al0.5In0.5Pであっても良い。更には、n型クラッド層13及びp型クラッド層15が2層以上の積層構造を有しても良い。また、p型コンタクト層20は、Al組成が60%以上のAlGaAsから構成されても良い。
【0038】
次に、半導体発光装置10におけるZnの拡散状態を説明する。図3は、本実施例により製造した半導体発光装置10の二次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)の結果であって、半導体発光装置10におけるZnの濃度分布を示すグラフである。なお、本実施例において、ドープされるZnはすべてp型キャリアとして機能するので、各半導体層におけるZn濃度はp型キャリア濃度と等しい。
【0039】
図3に示されているように、活性層14におけるZn濃度は、n型GaAs基板11から離れるにつれて徐々に増加していることが判った。また、活性層14の平均Zn濃度は、約3×1016atoms/cm3であった。p型クラッド層15におけるZn濃度はほぼ一定であり、p型クラッド層15の平均Zn濃度は、約3×1017atoms/cm3であった。かかる分析結果により、p型クラッド層15の成長時におけるZnプロファイルの設定値と、成長後のp型クラッド層15の平均Zn濃度と、がほぼ一致していることが判った。
【0040】
p型中間層16におけるZn濃度は、n型GaAs基板11から離れるにつれて急峻に増加している。また、第1のp型透明導電層17中におけるZn濃度は、n型GaAs基板11から離れるにつれて、急峻に減少している。p型中間層16と第1のp型透明導電層17との界面付近において、p型中間層16及び第1のp型透明導電層17の領域におけるZn濃度のピークが存在することが判った。p型中間層16及び第1のp型透明導電層17の領域における平均Zn濃度は、約1×1018atoms/cm3であった。かかる分析結果により、p型中間層16及び第1のp型透明導電層17の成長時におけるZnプロファイルの設定値と、成長後のp型中間層16及び第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度と、がほぼ一致していることが判った。ここで、AlGaInP系のp型中間層16とGaInP系の第1のp型透明導電層17とは結晶格子の間隔(格子定数)が異なるため、p型中間層16と第1のp型透明導電層17との界面は格子不整合界面である。
【0041】
第2のp型透明導電層18におけるZn濃度はほぼ一定であって、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度は、約8×1017atoms/cm3であった。また、第3のp型透明導電層19におけるZn濃度はほぼ一定であって、第3のp型透明導電層19の平均Zn濃度は、約3×1018atoms/cm3であった。かかる分析結果により、第2のp型透明導電層18及び第3のp型透明導電層19の成長時におけるZnプロファイルの設定値と、成長後の第2のp型透明導電層18及び第3のp型透明導電層19の平均Zn濃度と、がほぼ一致していることが判った。
【0042】
また、図3に示されているように、p型クラッド層15と第2のp型透明導電層18との間には、p型中間層16及び第1のp型透明導電層17のZn濃度分布により、Zn濃度のピーク(スパイク状の濃度プロファイル)が形成されている。
【0043】
第1のp型透明導電層17と第3のp型透明導電層19との間に第1のp型透明導電層17及び第3のp型透明導電層19よりも平均Zn濃度が低い第2のp型透明導電層18を含む構造により、半導体層(pクラッド層15乃至p型コンタクト層20)の形成時におけるZnの拡散速度を緩和することができる。この理由としては、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度が第3のp型透明導電層19の平均Zn濃度より低いことで、第3のp型透明導電層19からアンドープ活性層31に向かって拡散するZnが、第2のp型透明導電層18に一旦滞留していると考えられる。
【0044】
また、p型クラッド層15と第2のp型透明導電層18との間に、p型クラッド層15及び第2のp型透明導電層18よりも平均Zn濃度が高いp型中間層16及び第1のp型透明導電層17が挿入されている。更に、p型中間層16と第1のp型透明導電層17との合計膜厚が、その他の半導体層の膜厚よりも薄くなっている(すなわち、濃度スパイクが存在している)。これらにより、半導体層(pクラッド層15乃至p型コンタクト層20)の形成時におけるZnの拡散速度を緩和することができる。この理由としては、p型中間層16及び第1のp型透明導電層17からなる部分が、第2のp型透明導電層18及び第3のp型透明導電層19からアンドープ活性層31に向かって拡散するZnに対して、障壁として機能していることが考えられる。すなわち、拡散するZnがp型中間層16及び第1のp型透明導電層17からなる部分に高濃度に存在するZnの影響を受けるため、第1のp型透明導電層17と第2のp型透明導電層18との界面付近においてZnの拡散が生じにくくなっていると考えられる。このことから、p型中間層16及び第1のp型透明導電層17からなる半導体層(すなわち、濃度スパイクを有する層)を拡散制御層40(図1及び図2参照)と称する。また、拡散制御層40の膜厚が100nmを超えると、拡散制御層40がZnの拡散源となる。すなわち、拡散制御層40の膜厚が100nmを超える場合には、拡散制御層40からの拡散により、アンドープ活性層31へのZnの拡散速度を緩和することが困難になる。このことから、拡散制御層40の膜厚を100nm以下となるように、p型中間層16及び第1のp型透明導電層17の膜厚を決定する必要がある。なお、p型中間層16の膜厚の範囲については、後述する。
【0045】
更に、p型中間層16と第1のp型透明導電層17との界面は格子不整合界面であるため、半導体層(pクラッド層15乃至p型コンタクト層20)の形成時におけるZnの拡散速度を緩和することができる。この理由を以下に説明する。
【0046】
先ず、第3のp型透明導電層19は、第2のp型透明導電層18よりも膜厚が厚く、且つ、平均Zn濃度が高い。このため、第3のp型透明導電層19のZnの拡散速度は、第2のp型透明導電層18のZnの拡散速度よりも速い。すなわち、第3のp型透明導電層19から第2のp型透明導電層18に向かってZnの拡散が、生じやすくなっている。更に、第3のp型透明導電層19の平均Zn濃度は第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度よりも高いため、第3のp型透明導電層19から拡散するZnは第2のp型透明導電層18に蓄積する(すなわち、拡散するZnが第2のp型透明導電層18でトラップされる)。これにより、第2のp型透明導電層18におけるZnの拡散速度は、第3のp型透明導電層19における拡散速度より遅くなる。また、第2のp型透明導電層18は、第1のp型透明導電層17よりも平均Zn濃度が低い。このため、第2のp型透明導電層18から第1のp型透明導電層17に向かってZnの拡散が生じにくくなり、第1のp型透明導電層17のZnの拡散速度は、第2のp型透明導電層18のZnの拡散速度よりも更に遅くなる。以上のことから、第1のp型透明導電層17、第2のp型透明導電層18及び第3のp型透明導電層19におけるZnの拡散は、活性層14に向うにつれて抑制されていると考えられる。
【0047】
次に、第1のp型透明導電層17、第2のp型透明導電層18及び第3のp型透明導電層19は転位線を多数有し(すなわち、結晶欠陥が多数存在し)、Znは当該結晶欠陥を介して移動することができる。一方、p型クラッド層15及びp型中間層16においては結晶欠陥がほとんど存在しないため、第1のp型透明導電層17、第2のp型透明導電層18及び第3のp型透明導電層19におけるZnの移動と比較して、p型クラッド層15及びp型中間層16においてZnは容易に移動することができない。すなわち、第1のp型透明導電層17、第2のp型透明導電層18及び第3のp型透明導電層19におけるZnの拡散速度は、p型クラッド層15及びp型中間層16におけるZnの拡散速度よりも速い。以上のことから、第1の透明導電層17からp型中間層16に向かってZnの拡散が生じにくくなり、p型中間層16のZnの拡散速度は、第1のp型透明導電層17のZnの拡散速度よりも更に遅くなる。なお、p型クラッド層15及びp型中間層16においては結晶欠陥がほとんどないため、Znの濃度の相違に起因する拡散速度の変化が生じることは無く、両層におけるZnの拡散速度は一定である。
【0048】
以上のことから、スパイク状の濃度プロファイルを有する拡散制御層40の内部に格子不整合界面が存在することにより、格子不整合界面よりも上層(すなわち、第1のp型透明導電層17、第2のp型透明導電層18及び第3のp型透明導電層19)においてZnの拡散を効率よく抑制することができるとともに、格子不整合界面を介して更にZnの拡散を抑制することができる。
【0049】
例えば、第1のp型透明導電層17を除去し、格子不整合界面が拡散制御層40の外部に位置するような場合には、格子不整合界面よりも上層におけるZnの拡散は、第3のp型透明導電層19及び第2のp型透明導電層18のみで抑制されている。このため、格子不整合界面におけるZnの拡散速度は、上述した本実施例におけるZnの拡散速度よりも速く、格子不整合界面よりも上層におけるZnの拡散の抑制は十分に施されない。
【0050】
次に、各実験結果を参照しつつ、本実施例の半導体発光装置10が高輝度及び高信頼性を備えること及び半導体発光装置10の各構成部分の許容範囲を詳細に説明する。
【0051】
図4は、活性層14の平均Zn濃度を変化させた場合における、各半導体発光装置10の規格化出力(発光効率)を示している。図4の横軸は活性層14の平均Zn濃度であり、縦軸は規格化出力(発光効率)である。縦軸の発光効率は任意単位であって、平均Zn濃度が3.1×1016atoms/cm3のサンプルを基準(すなわち、1.0)としている。なお、横軸は対数表示である。
【0052】
図4から判るように、活性層14の平均Zn濃度が2.0×1016atoms/cm3未満の領域においては、平均Zn濃度が低下すると、発光効率も急峻に減少している。また、平均Zn濃度が4.0×1016atoms/cm3より高い領域おいて、平均Zn濃度が上昇すると、発光効率も急峻に減少している。更に、平均Zn濃度が2.0×1016〜4.0×1016atoms/cm3の領域で安定した発光効率が得られ、かかる領域内に発光効率のピークがある。このことから、半導体発光装置10ごとの発光効率のばらつきを低減し、且つ、高い発光効率を得るには、活性層14の平均Zn濃度を2×1016〜4×1016atoms/cm3にする必要があることが判った。
【0053】
次に、上述した製造方法を用いて、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度が6×1017、1×1018、1×1019atoms/cm3(3種類)、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度が5×1017、8×1017、1×1018atoms/cm3(3種類)、第3のp型透明導電層19の平均Zn濃度が1×1018atoms/cm3(固定)の合計9種類のサンプルを製造し、SIMS分析により活性層14のZn濃度を測定した。かかる測定の分析結果を図5に示す。なお、その他のパラメータ(他の半導体層の膜厚、不純物濃度)は上述した製造方法における設定値と同じである。また、図5の横軸は第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度(atoms/cm3)であり、縦軸は活性層14の平均Zn濃度(atoms/cm3)である。また、横軸及び縦軸は対数表示である。
【0054】
図5に示されているように、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度が1×1018〜1×1019atoms/cm3の領域において、活性層14の平均Zn濃度の変動がほとんど無いことが判った。また、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度の増加に伴い、活性層14の平均Zn濃度も増加することが判った。更に、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度が1×1018〜1×1019atoms/cm3の領域においては、活性層14の平均Zn濃度が2×1016〜4×1016atoms/cm3の最適範囲内にあることが判った。
【0055】
次に、上述した製造方法を用いて、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度が6×1017、1×1018、1×1019atoms/cm3(3種類)、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度が5×1017、8×1017、1×1018atoms/cm3(3種類)、第3のp型透明導電層19の平均Zn濃度が3×1018atoms/cm3(固定)の合計9種類のサンプルを製造し、SIMS分析により活性層14のZn濃度を測定した。かかる測定の分析結果を図6に示す。なお、その他のパラメータ(他の半導体層の膜厚、不純物濃度)は上述した製造方法における設定値と同じである。また、図6の横軸は第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度(atoms/cm3)であり、縦軸は活性層14の平均Zn濃度(atoms/cm3)である。また、横軸及び縦軸は対数表示である。
【0056】
図6に示されているように、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度が5×1017及び8×1017atoms/cm3であって、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度が1×1018〜1×1019atoms/cm3の領域においては、活性層14の平均Zn濃度の変動がほとんど無いことが判った。また、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度が1×1018であって、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度が1×1018〜1×1019atoms/cm3の領域においては、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度が増加すると伴に、活性層14の平均Zn濃度も増加することが判った。図5の分析結果と同様に、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度の増加に伴い、活性層14の平均Zn濃度も増加することが判った。更に、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度が5×1017及び8×1017atoms/cm3であって、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度が1×1018〜1×1019atoms/cm3の領域においては、活性層14の平均Zn濃度が2×1016〜4×1016atoms/cm3の最適範囲内にあることが判った。しかしながら、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度が1×1018atoms/cm3より高く、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度が1×1018atoms/cm3であり、第3のp型透明導電層19の平均Zn濃度が3×1018atoms/cm3である場合には、活性層14の平均Zn濃度が2×1016〜4×1016atoms/cm3の最適範囲内に無いことが判った。このため、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度を1×1019atoms/cm3にするとともに、第3のp型透明導電層19の平均Zn濃度を3×1018atoms/cm3にする場合には、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度を8×1017以下にする必要があることが判った。
【0057】
次に、上述した製造方法を用いて、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度が1×1018atoms/cm3(固定)、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度が5×1017、8×1017、1×1018atoms/cm3(3種類)、第3のp型透明導電層19の平均Zn濃度が5×1017、1×1018、3×1018atoms/cm3(3種類)の合計9種類のサンプルを製造し、SIMS分析により活性層14のZn濃度を測定した。かかる測定の分析結果を図7に示す。なお、その他のパラメータ(他の半導体層の膜厚、不純物濃度)は上述した製造方法における設定値と同じである。また、図7の横軸は第3のp型透明導電層19の平均Zn濃度(atoms/cm3)であり、縦軸は活性層14の平均Zn濃度(atoms/cm3)である。また、横軸及び縦軸は対数表示である。
【0058】
図7に示されているように、第3のp型透明導電層19の平均Zn濃度が増加した場合において、活性層14の平均Zn濃度が急峻に増加していないことが判った。また、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度の増加に伴い、活性層14の平均Zn濃度も増加することが判った。更に、第3のp型透明導電層19の平均Zn濃度が1×1018〜3×1018atoms/cm3の領域においては、活性層14の平均Zn濃度が2×1016〜4×1016atoms/cm3の最適範囲内にあることが判った。
【0059】
以上の分析結果から、活性層14の平均Zn濃度が2×1016〜4×1016atoms/cm3となるように、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度を1×1018〜1×1019atoms/cm3に、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度を5×1017〜1×1018atoms/cm3に、第3のp型透明導電層19の平均Zn濃度を1×1018〜3×1018atoms/cm3にする必要があることが判った。但し、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度が1×1019atoms/cm3であり、第3のp型透明導電層19の平均Zn濃度が3×1018atoms/cm3の場合には、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度を8×1017atoms/cm3以下に、にする必要があることが判った。これらの条件を満たすことができれば、活性層14の平均Zn濃度を最適範囲内(2×1016〜4×1016atoms/cm3)で制御できることが判った。
【0060】
図8は、上述した分析結果と比較するために、従来の構造を有する半導体発光装置についてSIMS分析を行い、活性層中のZn濃度を測定した分析結果である。ここで、従来の構造とは、本実施例のような3層構造のp型透明導電層ではなく、1層構造のp型透明導電層を有し、他の構造は本実施例と同一の構造であることをいう。なお、図8の横軸はp型透明導電層の平均Zn濃度(atoms/cm3)であり、縦軸は活性層の平均Zn濃度(atoms/cm3)である。また、横軸及び縦軸は対数表示である。
【0061】
図8に示されているように、p型透明導電層の平均Zn濃度の増加に伴い、活性層の平均Zn濃度も増加することが判った。また、活性層の平均Zn濃度を2×1016〜4×1016atoms/cm3にするには、p型透明導電層の平均Zn濃度を1×1018〜2×1018atoms/cm3という非常に狭い範囲で制御する必要があることが判った。図8と図5乃至図7とを比較すれば、本実施例のような3層構造のp型透明導電層を用いることで、各p型透明導電層の平均Zn濃度を変化させた場合においても、活性層14の平均Zn濃度の変動がほとんどなくなることが判った。すなわち、本実施例のような構造を用いることにより、活性層14の平均Zn濃度を容易に制御できることが判った。すなわち、半導体発光装置10の発光効率のばらつきを低減し、且つ、再現性の向上に繋がることが判った。
【0062】
次に、上述した製造方法を用いて、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度が1×1018atoms/cm3(固定)、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度が8×1017atoms/cm3(固定)、第3のp型透明導電層19の平均Zn濃度が1×1018及び3×1018atoms/cm3(2種類)、第2のp型透明導電層18の膜厚が0、200、1000nm(3種類)の合計6種類のサンプルを製造し、SIMS分析により活性層14中のZn濃度を測定した。かかる測定の分析結果を図9に示す。なお、その他のパラメータ(他の半導体層の膜厚、不純物濃度)は上述した製造方法における設定値と同じである。また、図9の横軸は第2のp型透明導電層18の膜厚(nm)であり、縦軸は活性層14の平均Zn濃度(atoms/cm3)である。また、縦軸は対数表示である。
【0063】
図9に示されているように、第2のp型透明導電層18の膜厚が200nm以上の領域においては、活性層14の平均Zn濃度の変動がほとんど無いことが判った。また、第3のp型透明導電層19の平均Zn濃度の増加に伴い、活性層14の平均Zn濃度も増加することが判った。更に、第2のp型透明導電層18の膜厚約80nm以上の領域においては、活性層14の平均Zn濃度が2×1016〜4×1016atoms/cm3の最適範囲内にあることが判った。かかる分析結果から、第2のp型透明導電層18の膜厚を200nm以上にすることで、活性層14の平均Zn濃度を最適範囲内で容易に制御できることが判った。なお、半導体発光装置10の生産性の観点から、第2のp型透明導電層18の膜厚は1000nm以下であることが好ましい。
【0064】
次に、上述した製造方法を用いて、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度が1×1018atoms/cm3(固定)、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度が8×1017atoms/cm3(固定)、第3のp型透明導電層19の平均Zn濃度が1×1018及び3×1018atoms/cm3(2種類)、第3のp型透明導電層19の膜厚が0、500、1500、3000、4000、6000、10000nm(7種類)の合計14種類のサンプルを製造し、SIMS分析により活性層14中のZn濃度を測定した。かかる測定の分析結果を図10に示す。なお、その他のパラメータ(他の半導体層の膜厚、不純物濃度)は上述した製造方法における設定値と同じである。また、図10の横軸は第3のp型透明導電層19の膜厚(nm)であり、縦軸は活性層14の平均Zn濃度(atoms/cm3)である。また、縦軸は対数表示である。
【0065】
図10に示されているように、第3のp型透明導電層19の膜厚が1500nm以上の領域においては、活性層14の平均Zn濃度の変動がほとんど無いことが判った。また、第3のp型透明導電層19の平均Zn濃度の増加に伴い、活性層14の平均Zn濃度も増加することが判った。更に、第3のp型透明導電層19の膜厚約3000nm以上の領域においては、活性層14の平均Zn濃度が2×1016〜4×1016atoms/cm3の最適範囲内にあることが判った。かかる分析結果から、第3のp型透明導電層19の膜厚を3000nm以上にすることで、活性層14の平均Zn濃度を最適範囲内で容易に制御できることが判った。なお、第3のp型透明導電層19の成長時間及び結晶性の観点から、第3のp型透明導電層19の膜厚は10000nm以下であることが好ましい。
【0066】
図11は、上述した分析結果と比較するために、上述した従来の構造において、p型透明導電層の平均Zn濃度が1×1018及び3×1018atoms/cm3(2種類)、p型透明導電層の膜厚が0、1500、6000、10000nm(4種類)の合計8種類のサンプルを製造し、SIMS分析により活性層中のZn濃度を測定した分析結果である。なお、図11の横軸はp型透明導電層の膜厚(nm)であり、縦軸は活性層の平均Zn濃度(atoms/cm3)である。また、横軸及び縦軸は対数表示である。
【0067】
図11に示されているように、p型透明導電層の膜厚の増加に伴い、活性層の平均Zn濃度も増加することが判った。すなわち、活性層の平均Zn濃度は、p型透明導電層の膜厚に依存していることが判った。また、p型透明導電層の膜厚は、成長温度及び成長時間によって制御できるため、活性層の平均Zn濃度は、p型透明導電層の成長温度及び成長時間に依存すると考えられる。更に、活性層の平均Zn濃度が2×1016〜4×1016atoms/cm3となるには、p型透明導電層の膜厚を7000nm以上(p型透明導電層の平均Zn濃度が1×1018atoms/cm3の場合)又は3000〜8000nm(p型透明導電層の平均Zn濃度が3×1018atoms/cm3の場合)にする必要があることが判った。
【0068】
図9乃至図11を比較すれば、本実施例のような3層構造のp型透明導電層を用いることで、第2の透明導電層18及び第3の透明導電層19の膜厚を変化させた場合においても、活性層14の平均Zn濃度の変動がほとんどなくなることが判った。すなわち、本実施例のような構造によって、第2の透明導電層18及び第3の透明導電層19の成長時間及び成長温度に関係なく、活性層14の平均Zn濃度を容易に制御できることが判った。すなわち、半導体発光装置10の発光効率のばらつきを低減し、且つ、再現性の向上に繋がることが判った。
【0069】
次に、上述した製造方法を用いて、p型中間層16の膜厚が0、20、80、100、200nmである5種類のサンプルについて順方向電圧(Vf)を測定した。かかる測定結果を図12に示す。なお、その他のパラメータ(他の半導体層の膜厚、不純物濃度)は上述した製造方法における設定値と同じである。また、図12の横軸はp型中間層16の膜厚(nm)であり、縦軸はサンプルの順方向電圧(V)である。
【0070】
図12に示されているように、p型中間層16の膜厚が20nm以上の領域においては、順方向電圧はほぼ一定であることが判った。また、p型中間層16の膜厚が20nm未満の領域においては、順方向電圧が急峻に増加することが判った。すなわち、p型中間層16の膜厚を20nm以上にすれば、半導体発光装置10の順方向電圧の低減効果があることが判った。また、拡散制御層40がZnの拡散源にならないようにする(すなわち、膜厚を100nm以下にする)ために、p型中間層16の膜厚は100nm未満にする必要があることが判った。例えば、p型中間層16の膜厚を99nmとし、第1のp型透明導電層17の膜厚を1nmとすることができる。また、p型中間層16の膜厚を20nm以上にすること、及び、拡散制御層40を100nm以下にすることから、第1のp型透明導電層17の膜厚は80nm以下にする必要があることが判った。
【0071】
次に、上述した製造方法を用いて、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度が5×1017、1×1018及び1×1019atoms/cm3である3種類のサンプルについて順方向電圧(Vf)を測定した。かかる測定結果を図13に示す。なお、その他のパラメータ(他の半導体層の膜厚、不純物濃度)は上述した製造方法における設定値と同じである。また、図13の横軸は第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度(atoms/cm3)であり、縦軸はサンプルの順方向電圧(V)である。
【0072】
図13に示されているように、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度が1×1018〜1×1019atoms/cm3の領域においては、順方向電圧の変動がほとんど無いことが判った。また、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度が1×1018atoms/cm3未満の領域においては、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度の増加ととともに、順方向電圧が急峻に減少していることが判った。これにより、半導体発光装置の順方向電圧の観点において、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度を1×1018atoms/cm3以上にする必要があることが判った。
【0073】
次に、上述した製造方法を用いて、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度が5×1017、8×1017及び1×1018atoms/cm3である3種類のサンプルについて順方向電圧(Vf)を測定した。かかる測定結果を図14に示す。なお、その他のパラメータ(他の半導体層の膜厚、不純物濃度)は上述した製造方法における設定値と同じである。また、図14の横軸は第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度(atoms/cm3)であり、縦軸はサンプルの順方向電圧(V)である。
【0074】
図14に示されているように、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度が7×1017atoms/cm3以上の領域においては、順方向電圧の変動がほとんど無いことが判った。また、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度が7×1017atoms/cm3未満の領域においては、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度の増加ととともに、順方向電圧が急峻に減少していることが判った。これにより、半導体発光装置の順方向電圧の観点においては、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度を7×1017atoms/cm3以上にする必要があることが判った。
【0075】
次に、上述した製造方法において、第1のp型透明導電層17、第2のp型透明導電層18、第3のp型透明導電層19の成長温度を820℃、830℃、840℃に設定した状態で製造されたサンプルについて、SIMS分析を行い、活性層14のZn濃度を測定した。かかる測定の分析結果を図15に示す。なお、その他のパラメータ(他の半導体層の膜厚、不純物濃度)は上述した製造方法における設定値と同じである。また、図15の横軸は成長温度であり、縦軸は活性層14の平均Zn濃度(atoms/cm3)である。また、縦軸は対数表示である。図15に示されているように、本実施例のような半導体発光装置10においては、成長温度を変更しても、活性層14の平均Zn濃度は変化しないことが確認できた。
【0076】
以上の実験結果により、p型中間層16の膜厚を20nm以上100nm未満、第1のp型透明導電層17の膜厚を80nm以下、第2のp型透明導電層18の膜厚を200nm〜1000nm、第3のp型透明導電層19の膜厚を3μm〜10μmにする必要があることが判った。また、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度を1×1018〜1×1019、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度を7×1017〜1×1018、第3のp型透明導電層19の平均Zn濃度を1×1018〜3×1018にする必要があることが判った。但し、第1のp型透明導電層17の平均Zn濃度が1×1019であり、且つ、第3のp型透明導電層19の平均Zn濃度が3×1018である場合には、第2のp型透明導電層18の平均Zn濃度を8×1017以下にする必要があることが判った。更に、p型中間層16の平均Zn濃度は、活性層14のZn濃度にほとんど寄与しないので、p型中間層16の平均Zn濃度を1×1017〜1×1019にすることができる。これらのことから、拡散制御層40の平均Zn濃度は、1×1018以上にすることが望ましい。
【0077】
以上のように、本発明の半導体発光装置は、第1のクラッド層とともに活性層を挟む第2のクラッド層の上に、中間層、第1の透明導電層、第2の透明導電層及び第2の透明導電層よりも高い不純物濃度を有する第3の透明導電層を順次積層した構造を有している。中間層と第1の透明導電層とは、第2の透明導電層及び第3の透明導電層から拡散する不純物量を制御する拡散制御層を構成し、拡散制御層は第2の透明導電層の不純物濃度よりも高い不純物濃度及び格子不整合界面を有している。
【0078】
このような拡散制御層並びに拡散制御層の上に不純物の拡散源となる第2及び第3の透明導電層を有することにより、順方向電圧の低減を図るとともに第2及び第3の透明導電層からの不純物の拡散を制御することができるため、高輝度、且つ、高い信頼性を備える半導体発光装置を提供することができる。
【0079】
また、本発明の半導体発光装置の製造方法は、n型AlGaInPクラッド層、アンドープAlGaInP活性層及びZnがドープされたp型AlGaInPクラッド層を成長する工程と、p型AlGaInPクラッド層の上に、Znがドープされ且つ20nm以上の膜厚を備えるp型AlGaInP中間層及びZnがドープされたGaInPからなる第1の透明導電層を順次積層して、100nm以下の合計膜厚を備える拡散制御層を成長する工程と、拡散制御層の上に、拡散制御層より低い濃度でZnがドープされたGaInPからなる第2の透明導電層を成長する工程と、第2の透明導電層の上に、第2の透明導電層より高い濃度でZnがドープされたGaInPからなる第3の透明導電層を成長する工程と、を有している。
【0080】
このような、拡散制御層の膜厚制御及び各透明導電層におけるZnのドープ制御により、高輝度、且つ、高い信頼性を備える半導体発光装置を製造することができる。
【実施例2】
【0081】
実施例1においては、成長用基板として用いたn型GaAs基板11を半導体発光装置の構成部材として残していたが、n型GaAs基板11を除去し、異なる支持基板に複数の半導体層からなる積層構造体を貼り合わせても良い。このような場合の半導体発光装置及びその製造方法を実施例2とし、図16乃至23を参照しつつ、以下に説明する。
【0082】
先ず、ホウ素(B)が添加されたシリコン(Si)からなる支持基板201が準備される(図16(a))。次に、電子線加熱蒸着法によって支持基板201の両面に、金属層として第1の白金(Pt)層202及び第2のPt層203が形成される(図16(b))。なお、支持基板201は、シリコンだけでなく、GaP、石英ガラス、サファイアであっても良い。
【0083】
次に、電子線加熱蒸着法によって第2のPt層203の上に、チタン(Ti)層204が形成される。更に、電子線加熱蒸着法によってTi層204の上に、第1のニッケル(Ni)層205が形成される(図16(c))。
【0084】
次に、電子線加熱蒸着法によって第1のNi層205の上にAuSn半田層206が形成される(図16(d))。AuSn半田層206のAuとSnとの組成比は、重量比で約8:2、原子数比で約7:3である。本実施例においては、第1のNi層205とAuSn半田層206とから第1の接合金属層209が形成されている。本工程の終了により、支持体部210の形成が完了する。
【0085】
次に、成長用基板としてn型GaAs基板11が準備される(図17(a))。続いて、n型GaAs基板11の上にMOCVDにより、n型GaAsバッファ層12、n型クラッド層13、活性層14、p型クラッド層15、p型中間層16、第1のp型透明導電層17、第2のp型透明導電層18、第3のp型透明導電層19及びp型コンタクト層20が順次積層され、n型GaAs基板11の上に半導体成長層214が形成される(図17(b)、図18)。
【0086】
図18は、図17(b)の破線領域300の拡大図である。ここで、半導体成長層214は、実施例1の構造(図1参照)と同一であり、実施例1と同様の方法でn型GaAs基板11の上に形成されるので、その説明は省略する。
【0087】
次に、スパッタリングにより、半導体成長層214の上に反射電極層として金−亜鉛(AuZn)層215が堆積される(図17(c))。AuZn層215は、半導体成長層214において発生した光を光取り出し面側に反射する。これにより、半導体発光装置の光取り出し効率を向上させることができる。
【0088】
次に、反応性スパッタリングにより、AuZn層215の上に第1の窒化タンタル(TaN)層216が形成される。続いて、反応性スパッタリングにより、第1のTaN層216の上にチタン−タングステン(TiW)層217が形成される。更に、反応性スパッタリングにより、TiW層217の上に第2のTaN層218が形成される(図17(d))。第1のTaN層216、TiW層217及び、第2のTaN層218は、接合部材(共晶材料)が拡散によってAuZn層215に侵入すること防止する
次に、電子線加熱蒸着法によって第2のTaN層218の上に、第2のNi層219が形成される。更に、電子線加熱蒸着法によって第2のNi層219の上に、Au層220が形成される(図17(e))。本実施例においては、第2のNi層219とAu層220とから第2の接合金属層221が形成されている。本工程の終了により、発光体部230の形成が完了する。
【0089】
次に、支持体部210のAuSn半田層206と、発光体部230のAu層220と、が対向した状態で、支持体部210及び発光体部230が密着される。その後、密着した支持体部210及び発光体部230が窒素雰囲気下で熱圧着される(図19)。熱圧着の条件は、例えば、圧力が約1メガパスカル(MPa)、温度が約340℃、圧着時間が約10分間である。この熱圧着によって、AuSn半田層206が溶融し、第2のNi層219及びAu層220が、溶融しているAuSn半田層206に溶解する。更に、AuSn半田層206のAu及びSn並びにAu層220のAuが、第1のNi層205及び第2のNi層219に拡散して吸収される。更に、溶融したAuSn半田層206が固化することにより、AuSnNiからなる接合層231が形成される。これにより支持体部210と発光体部230とが接合され、接合体240が形成される(図20)。
【0090】
次に、アンモニア水と過酸化水素水との混合液を用いたウエットエッチングにより、接合体240からn型GaAs基板11が除去される。n型GaAs基板11が除去されることにより、半導体成長層214の表面が露出する(図21)。なお、n型GaAs基板11の除去は、ドライエッチング、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)、機械的研削など、又はこれらを組み合わせた方法によって行われても良い。
【0091】
次に、半導体成長層214の上にレジストが塗布される。塗布されたレジストが所望の電極パターンになるように、パターンニングが施される。パターンニングされたレジストの開口部分に、電子線加熱蒸着法によって金・ゲルマニウム・ ニッケル(AuGeNi)が蒸着される。その後に、レジストを除去すること(リフトオフ法)で、所望の形状のAuGeNiが形成される。更に、AuGeNi及び接合体240に対して、窒素雰囲気下で約400℃の加熱処理が施される。これによってAuGeNiと半導体成長層214との合金化が図られ、半導体成長層214とオーミック接合した外部接続電極232が形成される。本工程の終了により、半導体発光装置200が完成する(図22)。
【0092】
図22の破線領域400の拡大図を図23に示す。図23に示されているように、AuZn層215の上にp型コンタクト層20、第3のp型透明導電層19、第2のp型透明導電層18、第1のp型透明導電層17、p型中間層16、p型クラッド層15、活性層14及びn型クラッド層13がこの順序で積層されている。
【0093】
本実施例における製造方法によって製造される半導体発光装置200について、実施例1と同一の実験(活性層14のZn濃度の調査及び順方向電圧の調査)を実施したが、本実施例における半導体発光装置200においても実施例1と同一の効果が得られた。これは、貼り合わせ工程前におけるn型GaAs基板11の上に半導体成長層214を形成する方法が、実施例1と同一だからである。すなわち、半導体成長層214の形成後に、n型GaAs基板11を除去する工程及び新たな支持基板(半導体基板)に貼り合わせる工程を経由しても、高輝度、且つ、高い信頼性を有する半導体発光装置を製造することができる。
【符号の説明】
【0094】
10 半導体発光装置
11 n型GaAs基板
12 n型バッファ層
13 n型クラッド層
14 活性層
15 p型クラッド層
16 p型中間層
17 第1のp型透明導電層
18 第2のp型透明導電層
19 第3のp型透明導電層
20 p型コンタクト層
21 n型電極
22 p型電極
31 アンドープ活性層
40 拡散制御層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の第1のクラッド層と、
第2導電型の第2のクラッド層と、
前記第1のクラッド層と前記第2のクラッド層との間に形成された第2導電型の活性層と、
前記第2のクラッド層の上に前記第1のクラッド層と格子整合する前記第2導電型の中間層及び前記第2導電型の第1の透明導電層を順次積層して形成された拡散制御層と、
前記拡散制御層の上に形成され、前記拡散制御層よりも低い不純物濃度を有する前記第2導電型の第2の透明導電層と、
前記第2の透明導電層の上に形成され、前記第2の透明導電層よりも高い不純物濃度を有する前記第2導電型の第3の透明導電層と、からなり、
前記中間層と前記第1の透明導電層との界面が格子不整合界面であることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項2】
前記第2導電型として用いられる不純物はZnであり、前記第1のクラッド層、前記第2のクラッド層及び前記活性層はAlGaInPからなり、前記中間層の組成は、(AlxGa1-xyIn1-yP(0.3≦x≦1、0<y≦1)であり、前記第1の透明導電層、前記第2の透明導電層及び前記第3の透明導電層の組成はGaxIn1-xP(0<x≦1)であり、前記拡散制御層の膜厚は100nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記拡散制御層の平均Zn濃度は、1×1018atoms/cm3以上であることを特徴とする請求項2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記第1の透明導電層、前記第2の透明導電層及び前記第3の透明導電層のIn組成が3%〜10%であることを特徴とする請求項2又は3に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記活性層の平均Zn濃度は、2×1016〜4×1016atoms/cm3であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1に記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記第1の透明導電層のZn濃度は1×1018〜1×1019atoms/cm3であり、前記第2の透明導電層のZn濃度は7×1017〜1×1018atoms/cm3であり、前記第3の透明導電層のZn濃度は1×1018〜3×1018atoms/cm3であることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1に記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記第2の透明導電層のZn濃度は8×1017atoms/cm3以下であることを特徴とする請求項6に記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記第1の透明導電層の膜厚は80nm以下であり、前記第2の透明導電層の膜厚は200nm〜1000nmであり、前記第3の透明導電層の膜厚は3μm〜10μmであることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1に記載の半導体発光装置。
【請求項9】
n型AlGaInPクラッド層、アンドープAlGaInP活性層及びZnがドープされたp型AlGaInPクラッド層を成長する工程と、
前記p型AlGaInPクラッド層の上に、Znがドープされ且つ20nm以上の膜厚を備えるp型AlGaInP中間層及びZnがドープされたGaInPからなる第1の透明導電層を順次積層して、100nm以下の合計膜厚を備える拡散制御層を成長する工程と、
前記拡散制御層の上に、前記拡散制御層より低い濃度でZnがドープされたGaInPからなる第2の透明導電層を成長する工程と、
前記第2の透明導電層の上に、前記第2の透明導電層より高い濃度でZnがドープされたGaInPからなる第3の透明導電層を成長する工程と、を有することを特徴とする半導体発光装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−267776(P2010−267776A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117500(P2009−117500)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】