説明

半導体素子、クロック同期化回路、及び、クロック同期化回路の駆動方法

【課題】クロック同期化回路は、インジェクションロッキング方式を使用してジッタピーキング現象と制御電圧にパターンジッタが大きくなる現象なく、所望の位相・周波数ロッキング動作を行う。
【解決手段】クロック同期化回路は、基準クロック信号とフィードバックされるフィードバッククロック信号の位相・周波数差を検出信号として出力する位相・周波数検出手段332と、検出信号に応答してチャージポンプ動作を行うチャージポンプ手段334と、チャージポンプ動作に応答して発振制御電圧を生成する制御電圧生成手段336と、発振制御電圧に対応してフィードバッククロック信号を生成する電圧制御発振手段338と、発振制御電圧に応答して自由発振周波数が設定され、基準クロック信号に同期化した内部クロック信号を生成するインジェクションロッキング発振手段310とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子および半導体設計技術に関し、特にインジェクションロッキング(injection locking)方式を使用したクロック同期化回路およびクロック同期化回路の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にDDR SDRAM(Double Data Rate Synchronous DRAM)をはじめとする半導体素子の場合、外部クロック信号の入力を受けて内部クロック信号を生成し、これを半導体素子内で種々の動作タイミングを合わせるための基準(reference)として使用している。それで、半導体素子内には外部クロック信号と内部クロック信号との動作タイミングを同期化させるためのクロック同期化回路が備えられていなければならない。このようなクロック同期化回路には代表的に位相固定ループ(Phase Locked Loop:PLL)がある。
【0003】
位相固定ループ(PLL)の場合、内部クロック信号を生成するにおいて、電圧制御発振器(Voltage Controlled Oscillator:VCO)を使用し、これを制御する方式によってアナログ方式とデジタル方式とに分けることができる。
【0004】
図1は、従来のアナログ方式の位相固定ループを説明するブロック図である。
【0005】
図1を参照すれば、アナログ方式の位相固定ループは位相・周波数検出部110、チャージポンプ部130、制御電圧生成部150、および電圧制御発振部170を備える。
【0006】
位相・周波数検出部110は、基準クロック信号CLK_REFと、フィードバック(feedback)されるフィードバッククロック信号CLK_FEDとの位相・周波数差に対応するアップ検出信号DET_UPおよびダウン検出信号DET_DNを生成する。ここで、基準クロック信号CLK_REFは外部クロック信号に対応する信号であり、アップ検出信号DET_UPとダウン検出信号DET_DNは、基準クロック信号CLK_REFとフィードバッククロック信号CLK_FEDの位相・周波数関係に応じて活性化するパルス信号であって、後述する動作説明で改めて説明する。
【0007】
チャージポンプ部130は、アップ検出信号DET_UPに応答してポジティブ(positive)チャージポンプ動作を行い、ダウン検出信号DET_DNに応答してネイティブ(negative)チャージポンプ動作を行う。すなわち、アップ検出信号DET_UPに応答して電荷を制御電圧生成部150に供給し、ダウン検出信号DET_DNに応答して制御電圧生成部150に充電された電荷を取り除く。
【0008】
制御電圧生成部150は、チャージポンプ部130のポジティブチャージポンプ動作によって供給された電荷の分だけ充電し、それに対応する発振制御電圧V_CTRを生成し、ネイティブチャージポンプ動作によって取り除かれた電荷の分だけ放電し、それに対応する発振制御電圧V_CTRを生成する。言い換えれば、発振制御電圧V_CTRは、チャージポンプ部130の充電動作によって電圧レベルが高まり、放電動作によって電圧レベルが低くなる。
【0009】
電圧制御発振部170は、発振制御電圧V_CTRの電圧レベルに対応する周波数のPLLクロック信号CLK_PLLを生成する。参考として、電圧制御発振部170は、多数の遅延セル(図示せず)を備え、内部的に差動で入力される信号を発振制御電圧V_CTRに対応する遅延時間の分だけ遅延させ、これをまたフィードバックさせるオシレータ(oscillator)として設計される。
【0010】
このように生成されたPLLクロック信号CLK_PLLは、位相・周波数検出部110にフィードバックされるフィードバッククロック信号CLK_FEDとなり、位相・周波数検出部110は改めて基準クロック信号CLK_REFとフィードバッククロック信号CLK_FEDとの位相・周波数差に対応するアップ検出信号DET_UPおよびダウン検出信号DET_DNを生成する。
【0011】
ここで、位相固定ループを構成する位相・周波数検出部110、チャージポンプ部130、制御電圧生成部150、および電圧制御発振部170に対する具体的な回路構成はすでに広く公知となったものであるため、以下、具体的に説明しないものとする。
【0012】
続いて、簡単な位相固定ループの動作を説明する。
【0013】
位相・周波数検出部110は、基準クロック信号CLK_REFとフィードバッククロック信号CLK_FEDとの位相・周波数差を検出して、アップ検出信号DET_UPとダウン検出信号DET_DNを生成する。アップ検出信号DET_UPは、フィードバッククロック信号CLK_FEDの位相が基準クロック信号CLK_REFの位相より遅れる場合、その位相差の分に該当するパルス幅を有する信号であり、ダウン検出信号DET_DNはフィードバッククロック信号CLK_FEDの位相が基準クロック信号CLK_REFの位相より先んじる場合、その位相差の分に該当するパルス幅を有する信号である。
【0014】
チャージポンプ部130は、アップ検出信号DET_UPおよびダウン検出信号DET_DNに対応するチャージポンプ動作によって、制御電圧生成部150を充電または放電させ、これに応じて制御電圧生成部150から出力される発振制御電圧V_CTRの電圧レベルが変化する。言い換えれば、アップ検出信号DET_UPに応答して発振制御電圧V_CTRの電圧レベルは高まり、ダウン検出信号DET_DNに応答して発振制御電圧V_CTRの電圧レベルは低くなる。
【0015】
電圧制御発振部170は、高い電圧レベルの発振制御電圧V_CTRに対応して低い周波数のPLLクロック信号CLK_PLLを生成し、低い電圧レベルの発振制御電圧V_CTRに対応して高い周波数のPLLクロック信号CLK_PLLを生成する。発振制御電圧V_CTRの電圧レベルとPLLクロック信号CLK_PLLの周波数との関係は設計に応じて変わり得る。すなわち、低い電圧レベルの発振制御電圧V_CTRに対応して低い周波数のPLLクロック信号CLK_PLLを生成し、高い電圧レベルの発振制御電圧V_CTRに対応して高い周波数のPLLクロック信号CLK_PLLを生成することも可能である。
【0016】
フィードバッククロック信号CLK_FEDは、位相・周波数検出部110にフィードバックされるPLLクロック信号CLK_PLLであって、位相・周波数検出部110は、基準クロック信号CLK_REFと周波数が変化したフィードバッククロック信号CLK_FEDとの位相・周波数差をまた検出する。
【0017】
位相固定ループは前記のような動作を反復的に行いつつ、基準クロック信号CLK_REFと同期化したPLLクロック信号CLK_PLLを出力する。このように基準クロック信号CLK_REFとPLLクロック信号CLK_PLLが同期化することを「位相・周波数ロッキング」という。
【0018】
一方、最近は、半導体素子の動作速度を速めるために、外部クロック信号の周波数をギガヘルツ(GHz)帯域まで高めており、これに伴い外部クロック信号に混ざって入ってくるジッタ(jitter)成分を無視できなくなった。そのため、位相固定ループは、位相・周波数ロッキング動作だけでなくジッタに対する動作性能すなわち、フィルタリング(filtering)動作性能を向上させ、ロージッタ(low jitter)のPLLクロック信号CLK_PLLを出力するように設計されている。
【0019】
図2は、図1の位相固定ループのジッタ伝達関数(jitter transfer function)特性曲線を説明するグラフである。
【0020】
同図を参照すれば、「A」の場合は、理想的な低帯域通過フィルタのジッタ伝達関数特性曲線を図示したものであり、「B」の場合は、一般的な位相固定ループのジッタ伝達関数特性曲線を図示したものである。
【0021】
位相固定ループのこのような低帯域フィルタリング動作特性によって、高周波数のジッタ成分がフィルタリングされるため、電圧制御発振部170の出力信号であるPLLクロック信号CLK_PLLには高周波数のジッタ成分が表れない。しかし、グラフで見られるように、帯域幅(bandwidth)付近での入力ジッタはむしろ増幅する現象が発生する。このようなジッタピーキング(peaking)現象は入力される信号のジッタを増幅するだけでなく、パワーノイズ(power noise)によるジッタもやはり大きく増幅し、PLLクロック信号CLK_PLLのジッタを大きく悪化させる。
【0022】
ジッタピーキング現象が発生する理由は、位相固定ループが周波数領域(s−domain)上の原点に2つの極点(pole)を有する閉鎖型ループシステム(closed−loop system)であって、位相・周波数ロッキング過程で所望の位相マージン(phase margin)を確保できないためである。
【0023】
ここで、極点はあるシステムの伝達関数の分母を「0」にする値である。続いて、極点と反対概念の零点(zero)は伝達関数の分子を「0」にする値である。極点と零点は、そのシステムの位相マージンを決定する要素となり、これはまさに、そのシステムの安定の(stable)程度または不安定の(unstable)程度を測定する尺度となる。
【0024】
次に、位相マージンに対し説明する。
【0025】
あるシステムの位相マージンが60゜の場合、時間領域(time−domain)で発振する信号が正常状態(steady state)に戻るのにかかる時間が最小化され得る。そのシステムの位相マージンが60゜より小さい場合、応答速度(response time)は速くはあるが不安定の程度が高まり、発振する信号が正常状態になるのに長時間がかかり得る。これとは反対に、そのシステムの位相マージンが60゜より大きい場合、安定度は高いが応答速度が遅く、同様に発振する信号が正常状態になるのに長時間がかかり得る。
【0026】
一方、位相固定ループは制御電圧生成部150の抵抗(R)とキャパシタ(C)値を調節して、零点を生成することによって、所望の位相マージン値を有するようにするのが可能になり得る。しかし、所望の位相マージンを有する位相固定ループの設計は次のような理由で難しい。
【0027】
まず、一般的な位相固定ループは、前記で説明したように、2つの極点を有する閉鎖型ループシステムで、位相マージンが少なく、これにともなうジッタピーキング現象が発生するため、入力される信号のジッタを増幅するだけでなく、パワーノイズによるジッタもやはり大きく増幅してPLLクロック信号CLK_PLLのジッタを大きく悪化させることになる。
【0028】
これを防止するために、抵抗(R)の抵抗値を大きく(零点を生成するように)設計すれば位相固定ループの位相マージンを大きくすることができるが、発振制御電圧V_CTRにリップル(ripple)が発生することになり、周期的に発生するパターンジッタ(pattern jitter)が大きくなるという、また別の問題点が発生することになる。
【0029】
改めて説明すれば、位相固定ループはジッタピーキング現象をなくすために抵抗(R)の抵抗値を大きくすれば、発振制御電圧V_CTRのパターンジッタが大きくなる現象が発生することになる。そして、パターンジッタをなくすために抵抗(R)の抵抗値を小さくすれば、ジッタピーキング現象が発生することになる。すなわち、ジッタピーキング現象と発振制御電圧V_CTRのパターンジッタが大きくなる現象とは、トレードオフ(trade off)の関係を有する。
【0030】
前述したように、位相固定ループはジッタ成分をフィルタリングして、ロージッタのPLLクロック信号CLK_PLLを出力するように設計されているが、位相固定ループのジッタ伝達関数にジッタピーキング現象が発生し、所望のフィルタリング動作を行うことができない。また、ジッタピーキング現象をなくすために抵抗(R)の抵抗値を調節する場合、発振制御電圧V_CTRにパターンジッタが大きくなる現象が発生し、正確な位相・周波数ロッキング動作を行うことができないという問題点を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
本発明は、従来技術の問題点を解決するために提案されたもので、インジェクションロッキング(injection locking)方式を使用してジッタピーキング現象と制御電圧にパターンジッタが大きくなる現象とがなく、所望の位相・周波数ロッキング動作を行うことができるクロック同期化回路およびクロック同期化回路の駆動方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
前記目的を達成するための本発明の一形態による半導体素子は、基準クロック信号とフィードバッククロック信号との位相・周波数差を検出してこれに対応する発振制御電圧を生成し、前記発振制御電圧に対応するフィードバッククロック信号を生成する位相固定ループと、前記発振制御電圧に応答して自由発振周波数(free running frequency)(自走周波数)が設定され、前記基準クロック信号に同期化した内部クロック信号を生成するインジェクションロッキング発振手段を備えることができる。
【0033】
前記目的を達成するための本発明の他の一形態によるクロック同期化回路は、基準クロック信号と、フィードバックされるフィードバッククロック信号の位相・周波数差を検出信号として出力する位相・周波数検出手段、前記検出信号に応答してチャージポンプ動作を行うチャージポンプ手段、前記チャージポンプ動作に応答して発振制御電圧を生成する制御電圧生成手段、前記発振制御電圧に対応して前記フィードバッククロック信号を生成する電圧制御発振手段、および前記発振制御電圧に応答して自由発振周波数が設定され、前記基準クロック信号に同期化した内部クロック信号を生成するインジェクションロッキング発振手段を備えることができる。
【0034】
前記目的を達成するための本発明の他の一形態によるクロック同期化回路の駆動方法は、基準クロック信号とフィードバッククロック信号との位相・周波数ロッキング動作を行うステップと、前記位相・周波数ロッキング動作時に生成される発振制御電圧に応答して自由発振周波数を設定し、前記基準クロック信号に同期化した内部クロック信号を生成するためのインジェクションロッキング動作を行うステップを備えることができる。
【0035】
前記目的を達成するための本発明の他の一形態によるクロック同期化回路は、基準クロック信号と、フィードバックされるフィードバッククロック信号の位相・周波数差を検出信号として出力する位相・周波数検出手段、前記検出信号に応答してチャージポンプ動作を行うチャージポンプ手段、前記チャージポンプ動作に応答して発振制御電圧を生成する制御電圧生成手段、前記発振制御電圧に対応する周波数のソース内部クロック信号を生成する電圧制御発振手段、前記ソース内部クロック信号を分周して、前記フィードバッククロック信号を生成する分周手段、および前記発振制御電圧に応答して自由発振周波数が設定され、前記ソース内部クロック信号の入力を受けて内部クロック信号を生成するためのインジェクションロッキング発振手段を備えることができる。
【0036】
最近、外部クロック信号の周波数が高まりつつ、外部クロック信号に混ざって入ってくるジッタ成分を無視できなくなった。それで、位相固定ループも位相・周波数ロッキング動作だけでなく、ジッタ成分をフィルタリングしてロージッタのPLLクロック信号を出力するように設計されているが、位相固定ループのジッタピーキング現象に対する問題点および制御電圧のパターンジッタに対する問題点をすべて解決することは難しい。本発明では一般的な位相固定ループと、インジェクションロッキング(injection locking)方式を適用したインジェクションロッキング発振部とを備えることによって、前記のような問題点をすべて解決することができる。ここで、位相固定ループは、内部クロック信号を生成するためのものではなく、インジェクションロッキング発振部の自由発振周波数を設定する発振制御電圧を生成するためのものである。インジェクションロッキング発振部は、この発振制御電圧によって設定された自由発振周波数を基盤としてインジェクションロッキング動作を行い、基準クロック信号と同期化した所望の内部クロック信号を生成することができる。すなわち、インジェクションロッキング動作を介した位相・周波数ロッキング動作を行うことができる。
【0037】
本発明のクロック同期化回路は、開放型ループシステム(open−loop system)で構成されるため、ジッタピーキング現象が発生しなくなる。また、フィルタリングされた制御電圧を使用するため、内部クロック信号を生成するにあたって発振制御電圧のパターンジッタが反映されなくなる。一方、本発明によるクロック同期化回路は、安定した位相・周波数ロッキング動作だけでなく、インジェクションロッキング方式の固有な特性である、消費電力を減らすことができ、ジッタに対する動作特性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明は、インジェクションロッキング(injection locking)方式を使用した開放型ループシステム(open−loop system)でクロック同期化回路を構成することによって、ジッタピーキング現象を除去できる効果を有している。
【0039】
また、本発明は、フィルタリングされた制御電圧を使用することによって、内部クロック信号を生成するにあたって制御電圧のパターンジッタが反映されず、安定した位相・周波数ロッキング動作を遂行できる効果を有している。
【0040】
また、本発明は、インジェクションロッキング方式を使用することによって、電力消費を減らし、ジッタに対する動作性能を向上させることができる効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明の技術的思想を容易に実施できる程度に詳細に説明するために、本発明の最も好ましい実施形態を、添付図面を参照して説明する。
【0042】
図3は、本発明によるクロック同期化回路を説明するためのブロック図である。
【0043】
同図を参照すれば、クロック同期化回路は、インジェクションロッキング発振部310と位相固定ループ330を備えることができる。
【0044】
インジェクションロッキング発振部310は、位相固定ループ330で生成される発振制御電圧V_CTRに応答して自由発振周波数が設定され、基準クロック信号CLK_REF、/CLK_REFに同期化したPLLクロック信号CLK_PLL、/CLK_PLLを生成する。これに対する詳細な回路図および動作説明は後述する。参考として、基準クロック信号CLK_REF、/CLK_REFは、外部クロック信号に対応する信号であって、外部クロック信号の立ち上がりエッジ(rising edge)に同期された正基準クロック信号CLK_REFと、外部クロック信号の立ち下がりエッジ(falling edge)に同期した負基準クロック信号/CLK_REFとを含むことができる。
【0045】
位相固定ループ330は、一般的な構成として位相・周波数検出部332、チャージポンプ部334、制御電圧生成部336、および電圧制御発振部338を備えることができる。位相固定ループ330のこのような構成はすでに広く公知となったもので、具体的な回路構成は説明しないものとし、以下、各構成要素の簡単な役割および動作に対し説明する。
【0046】
まず、位相・周波数検出部332は、正基準クロック信号CLK_REFと、フィードバック(feedback)されるフィードバッククロック信号CLK_FEDとの位相・周波数差に対応するアップ検出信号DET_UPおよびダウン検出信号DET_DNを生成する。アップ検出信号DET_UPおよびダウン検出信号DET_DNは、正基準クロック信号CLK_REFとフィードバッククロック信号CLK_FEDとの位相・周波数の関係により活性化するパルス信号である。
【0047】
チャージポンプ部334は、アップ検出信号DET_UPに応答してポジティブチャージポンプ動作を行い、ダウン検出信号DET_DNに応答してネイティブチャージポンプ動作を行う。すなわち、アップ検出信号DET_UPに応答して電荷を制御電圧生成部336に供給し、ダウン検出信号DET_DNに応答して制御電圧生成部336に充電された電荷を取り除く。
【0048】
制御電圧生成部336は、チャージポンプ部334のポジティブチャージポンプ動作によって供給された電荷の分だけ充電して、それに対応する発振制御電圧V_CTRを生成し、ネイティブチャージポンプ動作によって取り除かれた電荷の分だけ放電して、それに対応する発振制御電圧V_CTRを生成する。言い換えれば、発振制御電圧V_CTRは、チャージポンプ部334の充電動作によって電圧レベルが高まり、放電動作によって電圧レベルが低くなることになる。
【0049】
電圧制御発振部338は、発振制御電圧V_CTRの電圧レベルに対応する周波数のフィードバッククロック信号CLK_FEDを生成する。位相・周波数検出部332は再びフィードバッククロック信号CLK_FEDと正基準クロック信号CLK_REFの位相・周波数差に対応するアップ検出信号DET_UPおよびダウン検出信号DET_DNを生成する。
【0050】
参考として、位相固定ループ330はフィードバッククロック信号CLK_FEDの伝達経路に分周器をさらに備えることができ、このような場合クロック分周器の分周率に応じてフィードバッククロック信号CLK_FEDは正基準クロック信号CLK_REFに比べ2(ここで、Nは整数)分周した周波数を有するようになる。
【0051】
本発明による位相固定ループ330は前述したように一般的な構成であるが、使用しようとする目的が異なる。言い換えれば、従来の位相固定ループは、内部クロック信号を生成するためのものであるが、本発明による位相固定ループ330は、フィードバッククロック信号CLK_FEDに対応する発振制御電圧V_CTRを生成するためのものである。
【0052】
以下、簡単な位相固定ループ330の動作を説明する。
【0053】
位相・周波数検出部332は、基準クロック信号CLK_REFおよびフィードバッククロック信号CLK_FEDの位相・周波数差を検出して、アップ検出信号DET_UPとダウン検出信号DET_DNを生成する。アップ検出信号DET_UPは、フィードバッククロック信号CLK_FEDの位相が基準クロック信号CLK_REFの位相より遅れる場合、その位相差の分に該当するパルス幅を有する信号であり、ダウン検出信号DET_DNはフィードバッククロック信号CLK_FEDの位相が基準クロック信号CLK_REFの位相より先んじる場合、その位相差の分に該当するパルス幅を有する信号である。
【0054】
チャージポンプ部334は、アップ検出信号DET_UPおよびダウン検出信号DET_DNに対応してチャージポンプ動作によって制御電圧生成部336を充電および放電させ、これに伴い制御電圧生成部336から出力される発振制御電圧V_CTRの電圧レベルが変わることになる。言い換えれば、アップ検出信号DET_UPに応答して発振制御電圧V_CTRの電圧レベルは高まり、ダウン検出信号DET_DNに応答して発振制御電圧V_CTRの電圧レベルは低くなる。
【0055】
電圧制御発振部338は、高い電圧レベルの発振制御電圧V_CTRに対応して低い周波数のフィードバッククロック信号CLK_FEDを生成し、低い電圧レベルの発振制御電圧V_CTRに対応して高い周波数のフィードバッククロック信号CLK_FEDを生成する。発振制御電圧V_CTRの電圧レベルとフィードバッククロック信号CLK_FEDの周波数との関係は設計に応じて変わり得る。すなわち、低い電圧レベルの発振制御電圧V_CTRに対応して低い周波数のフィードバッククロック信号CLK_FEDを生成し、高い電圧レベルの発振制御電圧V_CTRに対応して高い周波数のフィードバッククロック信号CLK_FEDを生成することも可能である。
【0056】
次に、位相・周波数検出部332は、周波数が変わったフィードバッククロック信号CLK_FEDと基準クロック信号CLK_REFの位相・周波数差とを改めて検出し、該当するアップ/ダウン検出信号(DET_UP、DET_DN)を出力する。
【0057】
位相固定ループ330は、このような動作を反復的に行いつつ、正基準クロック信号CLK_REFと同期化したフィードバッククロック信号CLK_FEDを出力する。すなわち、正基準クロック信号CLK_REFとフィードバッククロック信号CLK_FEDはこのような動作によって、位相・周波数ロッキングされる。
【0058】
本発明での位相固定ループ330は、正基準クロック信号CLK_REFおよびフィードバッククロック信号CLK_FEDの位相・周波数ロッキング動作に密接な関連がある発振制御電圧V_CTRをインジェクションロッキング発振部310に提供する。
【0059】
一方、本発明による位相固定ループ330もやはり一般的な位相固定ループと同様にジッタピーキング現象およびパターンジッタが大きくなる現象が発生し得る。しかし、後述するインジェクションロッキング発振部310が発振制御電圧V_CTRのパターンジッタを防ぐことから位相固定ループ330は、ジッタピーキング現象だけを考慮して設計することが可能である。言い換えれば、制御電圧生成部336は、パターンジッタが大きくなる現象を考慮せずに、抵抗(R)とキャパシタ(C)値とを調節して零点を生成することによって所望の位相マージンを確保するための設計が可能になる。
【0060】
また、図3で分かるように、本発明によるクロック同期化回路はインジェクションロッキング発振部310と位相固定ループ330とが合わさった開放型ループシステム(open−loop system)を有することが分かる。一般的に開放型ループシステムは、位相マージンの確保が容易である。
【0061】
図4は、図3のインジェクションロッキング発振部310を説明するためのブロック図である。
【0062】
同図を参照すれば、インジェクションロッキング発振部310は、レベルシフト部410、インジェクションロッキング電圧制御発振部430、およびフィルタリング部450を備えることができる。
【0063】
レベルシフト部410は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)レベルでスイング(swing)し、入力される正・負基準クロック信号CLK_REF、/CLK_REFをCML(Current Mode Logic)レベルでシフティング(shifting)して、正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_INとして出力するためのもので回路動作をさらに速くして、消費電力をさらに減らすために備え得る。ここで、正入力クロック信号CLK_INは正基準クロック信号CLK_REFに対応するクロック信号であり、負入力クロック信号CLK_INは負基準クロック信号/CLK_REFに対応するクロック信号である。レベルシフト部410はすでに広く公知されたもので具体的な回路構成の説明は省略する。
【0064】
インジェクションロッキング電圧制御発振部430は、レベルシフト部410から出力される正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_INの入力を受けて内部クロック信号の正・負PLLクロック信号CLK_PLL、/CLK_PLLを生成する。この時、インジェクションロッキング電圧制御発振部430は、フィルタリング部450から出力されるフィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRによって自由発振周波数が設定され、以下で説明するインジェクションロッキング方式を使用して正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_INに同期化した正・負PLLクロック信号CLK_PLL、/CLK_PLLを生成する。ここで、正PLLクロック信号CLK_PLLは、正入力クロック信号CLK_INに対応するクロック信号であり、負PLLクロック信号/CLK_PLLは、負入力クロック信号/CLK_PLLに対応するクロック信号である。
【0065】
本発明によるインジェクションロッキング電圧制御発振部430はインジェクションロッキング(injection locking)方式を使用した。インジェクションロッキング方式は、例えばマスタ発振器から出力される発振信号をスレーブ発振器に注入(injection)する方法で、スレーブ発振器から出力される発振信号がマスタ発振器から出力される発振信号に同期化される。このようにインジェクションロッキング方式を採択して設計された回路は一般的に電力消費を減らすことができ、ジッタに対する動作性能が向上する。参考として、正・負PLLクロック信号CLK_PLL、/CLK_PLLを生成するインジェクションロッキング電圧制御発振部430がスレーブ発振器ならば、インジェクションロッキング電圧制御発振部430に注入される正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_INを生成するレベルシフト部410がマスタ発振器であるということができる。
【0066】
そして、インジェクションロッキング方式を採択したインジェクションロッキング電圧制御発振部430は、入力される正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_INに同期化した正・負PLLクロック信号CLK_PLL、/CLK_PLLを生成する。この時、正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_INと正・負PLLクロック信号CLK_PLL、/CLK_PLLが同期化される現象を「インジェクションロッキング」という。このような、インジェクションロッキング現象は、インジェクションロッキング方式を採択した回路の一般的な現象であるので以下具体的な説明は省略する。
【0067】
一般的に、インジェクションロッキング方式を使用したインジェクションロッキング電圧制御発振部430は、電力消費を減らすことができ、ジッタに対する動作性能が向上するという側面で非常に効率的な回路である。しかし、インジェクションロッキングが起きるためには注入される発振信号すなわち、正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_INの周波数とスレーブ発振器すなわち、インジェクションロッキング電圧制御発振部430の自由発振周波数が条件を満たさなければならない。
【0068】
以下、この2つの周波数の関係を説明する。
【0069】
まず、インジェクションロッキングが起きるためには、すなわち、正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_INと正・負PLLクロック信号CLK_PLL、/CLK_PLLが同期化するためには、インジェクションロッキング電圧制御発振部430の自由発振周波数が正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_IN周波数の近傍に位置しなければならない。そうでなければインジェクションロッキング電圧制御発振部430にはインジェクションロッキングが起こらず、正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_INと正・負PLLクロック信号CLK_PLL、/CLK_PLLの同期化が成されなくなる。このようになる理由もインジェクションロッキング方式の一般的な現象であるから以下具体的な説明は省略する。
【0070】
ここで、インジェクションロッキングが起こり得る正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_INの周波数範囲を「インジェクションロッキング範囲(injection locking range)」といい、一般的にインジェクションロッキング範囲は正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_INの周波数を基準として非常に小さい範囲を有する。説明の便宜のために、インジェクションロッキング範囲は、正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_IN周波数の1/10程度と仮定することにする。
【0071】
例えば正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_INの周波数が4GHzであれば、インジェクションロッキング電圧制御発振部430の自由発振周波数も4GHzの近傍に位置しなければならない。すなわち、インジェクションロッキング範囲が4GHzの1/10程度を有するため、インジェクションロッキングが起こり得る条件は、インジェクションロッキング電圧制御発振部430の自由発振周波数が3.8GHz〜4.2GHz内に位置するのである。言い換えれば、インジェクションロッキングが起きるためには正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_INの周波数とインジェクションロッキング電圧制御発振部430の自由発振周波数が常に互いに似たような周波数に位置しなければならない。
【0072】
そのため、最近クロック同期化回路が動作しなければならない動作周波数範囲(operation frequency range)がだんだん広くなる状況において、回路設計者は、広い動作周波数範囲を有する正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_INの周波数に応じて、インジェクションロッキング電圧制御発振部430の自由発振周波数も可変できるように設計しなければならない。
【0073】
本発明では正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_INの周波数とインジェクションロッキング電圧制御発振部430の自由発振周波数とを常に似たような周波数に位置させるために、図3の位相固定ループ330で生成される発振制御電圧V_CTRを利用した。すなわち、発振制御電圧V_CTRがインジェクションロッキング電圧制御発振部430の自由発振周波数を正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_INの周波数に対応するように設定する。そのため、本発明によるクロック同期化回路は、インジェクションロッキングが起きるための条件を満たし、インジェクションロッキングによる結果として正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_INに同期された正・負PLLクロック信号CLK_PLL、/CLK_PLLを生成することが可能である。
【0074】
一方、フィルタリング部450は、発振制御電圧V_CTRの入力を受けてこれをフィルタリング(filtering)し、フィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRを生成する役割をする。改めて説明すれば、位相固定ループ330は、所望の位相マージンを確保するために設計されているため、発振制御電圧V_CTRではパターンジッタが大きくなる。フィルタリング部450は、このように大きくなったパターンジッタをフィルタリングして、フィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRをインジェクションロッキング制御電圧発振部430に提供することによって、インジェクションロッキング制御電圧発振部430が正・負PLLクロック信号CLK_PLL、/CLK_PLLを生成するにあたって、発振制御電圧V_CTRのパターンジッタに対する影響が反映されなくなる。ここで、フィルタリング部450は、発振制御電圧V_CTRを直列で入力される抵抗と並列に接続されたキャパシタとで構成される低域通過フィルタ(low pass filter:LPF)で構成することができ、具体的な回路構成は説明しないものとする。
【0075】
図5は、図3の発振制御電圧V_CTRと、フィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRを説明するための波形図である。
【0076】
同図で分かるように、位相固定ループ330から出力される発振制御電圧V_CTRではパターンジッタが発生することが分かる。しかし、図4のフィルタリング部450を経たフィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRではパターンジッタが消えたことが分かる。そのため、インジェクションロッキング電圧制御発振部430で生成される正・負PLLクロック信号CLK_PLL、/CLK_PLLでは、発振制御電圧V_CTRのパターンジッタは反映されない。
【0077】
図6は、図4のインジェクションロッキング電圧制御発振部430を説明するための図面である。
【0078】
同図を参照すれば、インジェクションロッキング電圧制御発振部430はフィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRの入力を受けて正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_INに同期化した正・負PLLクロック信号CLK_PLL、/CLK_PLLを生成するためのもので、インジェクションロッキング遅延セル610と、第1ノーマル遅延セル630と、第2ノーマル遅延セル650、および第3ノーマル遅延セル670を備えることができる。インジェクションロッキング電圧制御発振部430は、フィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRに応答して自由発振周波数が設定され、これに基づいてインジェクションロッキング動作を行うことができる。例えば、フィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRの電圧レベルが高まれば、低い自由発振周波数が設定され、フィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRの電圧レベルが低まれば、高い自由発振周波数が設定され得る。フィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRと自由発振周波数との関係は、設計に応じて変わり得る。
【0079】
一方、インジェクションロッキング遅延セル610はインジェクションロッキング動作によって正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_INと同一の周波数の正・負出力クロック信号CLK_OUT、/CLK_OUTを生成するためのものである。前記インジェクションロッキング遅延セル610はフィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRの入力を受けて正入力クロック信号CLK_INを自体の第1正入力端IN1に、負入力クロック信号CLK_INを自体の第1負入力端/IN1に入力を受けてフィードバックされる正PLLクロック信号CLK_PLLを自体の第2正入力端IN2に、負PLLクロック信号CLK_PLLを自体の第2負入力端/IN2に入力を受ける。
【0080】
第1ノーマル遅延セル630は、インジェクションロッキング遅延セル610の出力クロック信号をフィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRに対応する予定された遅延時間の分だけ遅延させるためのもので、フィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRの入力を受けてインジェクションロッキング遅延セル610の出力信号を各々自体の正・負入力端(+、−)に入力を受ける。
【0081】
第2ノーマル遅延セル650は、第1ノーマル遅延セル630の出力クロック信号をフィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRに対応する予定された遅延時間の分だけ遅延させるためのもので、フィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRの入力を受けて第1ノーマル遅延セル630の出力信号を各々自体の正・負入力端(+、−)に入力を受ける。
【0082】
第3ノーマル遅延セル670は、第2ノーマル遅延セル650の出力クロック信号をフィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRに対応する予定された遅延時間の分だけ遅延させ、正・負PLLクロック信号CLK_PLL、/CLK_PLLを生成するためのもので、フィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRの入力を受けて第2ノーマル遅延セル650の出力信号を各々自体の正・負入力端(+、−)に入力を受け、正・負PLLクロック信号CLK_PLL、/CLK_PLLを生成する。
【0083】
ここで、インジェクションロッキング遅延セル610および第1ないし第3ノーマル遅延セル630、650、670を制御するバイアス電圧V_BNは、一定の電圧レベルを有する基準電圧であって、バンドギャップ回路(bandgap circuit)またはワイドラー発生器(widlar generator)を利用して生成することができる。
【0084】
次に、第1ないし第3ノーマル遅延セル630、650、670は、マルチ位相クロック信号(multi phase clock)を生成するためのもので、本発明では1つのインジェクションロッキング遅延セル610と発振(oscilation)動作によって正・負PLLクロック信号CLK_PLL、/CLK_PLLを生成するための1つのノーマル遅延セルを備えることもできる。参考として、マルチ位相クロック信号は、各々予定された位相の分だけ差を有する多数のクロック信号をいい、例えば、インジェクションロッキング電圧制御発振部430から出力される多数のクロック信号(各遅延セルから出力される信号)は各々45°程度の位相差を有し得る。マルチ位相クロック信号は、種々の動作タイミングを提供するだけでなく消費する電力を減らす効果がある。
【0085】
図7は、図6のインジェクションロッキング遅延セル610を説明するための回路図である。
【0086】
図6と図7を参照すれば、インジェクションロッキング遅延セル610は、入・出力部710、ロード部730、およびバイアス部750を備えることができる。
【0087】
入・出力部710は、正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_INおよび正・負PLLクロック信号CLK_PLL、/CLK_PLLの入力を受けて正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_INに同期化した正・負出力クロック信号CLK_OUT、/CLK_OUTを出力するためのもので、負出力クロック信号/CLK_OUTの出力端と共通ノードNとの間にソース−ドレーン経路が形成され第1正入力端(IN1,図6参照)を介して入力される正入力クロック信号CLK_INがゲートによって入力される第1NMOSトランジスタNM1と、正出力クロック信号/CLK_OUTの出力端と共通ノードNとの間にソース−ドレーン経路が形成されて第1負入力端/IN1を介して入力される負入力クロック信号CLK_INがゲートによって入力される第2NMOSトランジスタNM2と、負出力クロック信号/CLK_OUTの出力端と共通ノードNとの間にソース−ドレーン経路が形成されて第2正入力端IN2を介して入力される情PLLクロック信号CLK_PLLがゲートによって入力される第3NMOSトランジスタNM3、および正出力クロック信号/CLK_OUTの出力端と共通ノードNとの間にソース−ドレーン経路が形成されて第2負入力端IN2を介して入力される負PLLクロック信号/CLK_PLLがゲートによって入力される第4NMOSトランジスタ(NM4)を備えることができる。
【0088】
ロード部730は、フィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRに対応するロード値を有するためのもので、電源電圧端VDDと負出力クロック信号/CLK_OUTの出力端との間にソース−ドレーン経路が形成され、フィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRがゲートによって入力される第1PMOSトランジスタ(PM1)と、電源電圧端VDDと正出力クロック信号/CLK_OUTの出力端の間にソース−ドレーン経路が形成されフィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRがゲートによって入力される第2PMOSトランジスタ(PM2)と、第1および第2PMOSトランジスタPM1、PM2と各々並列に接続され正・負出力クロック信号CLK_OUT、/CLK_OUTの出力端がそれぞれのゲートに接続された第3および第4PMOSトランジスタPM3、PM4を備えることができる。
【0089】
ここで、フィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRの電圧レベルが高まれば、ロード部730のロード値は大きくなり、フィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRの電圧レベルが低くなれば、ロード部730のロード値は小さくなる。フィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRとロード値との関係は設計に応じて変わり得る。
【0090】
一方、バイアス部750はバイアス電圧V_BNに応答してインジェクションロッキング遅延セル610に予定された動作電流を流すようにするためのもので、共通ノードNを備える電流経路に予定された動作電流を流すようにすることができる。バイアス部750は、共通ノードNと接地電圧端VSSとの間にソース−ドレーン経路が形成されバイアス電圧V_BNがゲートによって入力される第5NMOSトランジスタNM5を備えることができる。
【0091】
このようなインジェクションロッキング遅延セル610は、インジェクションロッキング時に注入される正・負入力クロック信号CLK_IN、/CLK_INと同一の周波数の正・負出力クロック信号CLK_OUT、/CLK_OUTを出力する。このようなインジェクションロッキング現象は一般的なインジェクションロッキング方式を採択した回路の一般的な動作特性であるため、これに関する詳しい回路動作は省略する。
【0092】
参考として、第1NMOSトランジスタNM1および第3NMOSトランジスタNM3と、第2NMOSトランジスタNM2および第4NMOSトランジスタNM4のサイズ(size)比率を調節すればインジェクションロッキング範囲を調節することも可能である。
【0093】
図8Aと、図8Bは、第1ないし第3ノーマル遅延セル630、650、670のうちいずれか1つを説明するための回路図である。
【0094】
図8Aの場合、一般的な遅延セルでフィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRに制御をされ以前の端の遅延セルから出力されるクロック信号が各入力端IN、/INに入力されて予定された遅延時間の分だけ遅延させ、該当する各出力端OUT、/OUTに出力させることができる。つまり、図8Aにおけるノーマル遅延セルは、フィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRによって制御される。そして、このノーマル遅延セルは、入力端IN、/INを介して前の段階(遅延セル)から入力されるクロック信号を受け、入力されたクロック信号を予め設定された時間遅延させて、出力信号(OUT、/OUT)を生成する。ここで、入力端IN、/INを介して入力される周波数と、出力端OUT、/OUTを介して出力される周波数とは同一である。
【0095】
図8Bの場合も、やはりフィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRに制御され以前の端の遅延セルから出力されるクロック信号が各入力端IN、/INに入力されて予定された遅延時間の分だけ遅延させ、該当する各出力端OUT、/OUTに出力させることができる。つまり、図8Bにおけるノーマル遅延セルも、フィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRによって制御される。そして、このノーマル遅延セルも、入力端IN、/INを介して前の段階(遅延セル)から入力されるクロック信号を受け、入力されたクロック信号を予め設定された時間遅延させて、出力信号(OUT、/OUT)を生成する。
【0096】
図8Aと図8Bの遅延セルは、入力端IN、/INを構成するNMOSトランジスタの個数が異なり、かつその動作は同一である。しかしインジェクションロッキング遅延セル610とノーマル遅延セル630、650、670とが対称的(symmetrical)に動作するためには、物理的な(physical)レイアウト(layout)が同一の図8Bの構成が好ましいといえる。
【0097】
図9は、本発明の他の実施形態によるクロック同期化回路を説明するためのブロック図である。図3の回路と比較すると、位相固定ループ910とインジェクションロッキング発振部930の全体的な構造だけが異なり、細部構造および動作は類似しているため、詳しい説明は省略した。
【0098】
位相固定ループ910は、前記で説明した一般的な構成で、単に発振制御電圧V_CTRと正・負ソース内部クロック信号S_CLK_INN、/S_CLK_INNをインジェクションロッキング発振部930に提供する。一方、インジェクションロッキング発振部930は位相固定ループ910で生成される発振制御電圧V_CTRに応答して自由発振周波数が設定され、正・負ソース内部クロック信号S_CLK_INN、/S_CLK_INNの入力を受けてこれに同期化したPLLクロック信号CLK_PLL、/CLK_PLLを生成する。ここで、正ソース内部クロック信号S_CLK_INNはフィードバッククロック信号に該当し、負ソース内部クロック信号/S_CLK_INNは、正ソース内部クロック信号S_CLK_INNと位相が反対であるクロック信号である。
【0099】
一方、図9のインジェクションロッキング発振部930は、図4のように構成され、正・負基準クロック信号CLK_REF、/CLK_REFによって正・負ソース内部クロック信号(S_CLK_INN、/S_CLK_INN)の入力を受けることができる。しかし正・負信号だけでなく複数の信号をソース内部クロック信号として入力され得る。それによって、インジェクションロッキング電圧制御発振部930のインジェクションロッキング電圧制御発振部もやはり他の実施形態を有し、これを説明するためにまず図10によって、電圧制御発振部914の具体的な回路構成を説明する。
【0100】
図10を参照すれば、電圧制御発振部914は、4個のノーマル遅延セル1110、1130、1150、1170を備えることができる。一般的に電圧制御発振部914は、図8Aのようなノーマル遅延セルを備えることができるが、ここでは図11の他の実施形態のインジェクションロッキング電圧制御発振部と対称的に構成するために図8Bのような遅延セルで構成した。図11で説明するが、電圧制御発振部914がこのような構成を有する場合、対称的な動作のためにインジェクションロッキング電圧制御発振部の各遅延セルは、図7のインジェクションロッキング遅延セルで構成されるのが好ましい。
【0101】
電圧制御発振部914は、インジェクションロッキング動作を介して、第1ないし第4正・負位相クロック信号M_CLK<1>、/M_CLK<1>、M_CLK<2>、/M_CLK<2>、M_CLK<3>、/M_CLK<3>、M_CLK<4>、/M_CLK<4>を生成する。ここで、第1ないし第4部位相クロック信号/M_CLK<1>、/M_CLK<2>、/M_CLK<3>、/M_CLK<4>は、各々第1ないし第4正位相クロック信号M_CLK<1>、M_CLK<2>、M_CLK<3>、M_CLK<4>の反転したクロック信号であり、第1ないし第4正位相クロック信号M_CLK<1>、M_CLK<2>、M_CLK<3>、M_CLK<4>は各々予定された位相の分だけ差(例えば、45°)を有するマルチ位相クロック信号である。
【0102】
図11は、電圧制御発振部914のインジェクションロッキング電圧制御発振部の他の実施態を説明するための図面である。
【0103】
同図のインジェクションロッキング電圧制御発振部は、図10の第1ないし第4正・負位相クロック信号M_CLK<1>、/M_CLK<1>、M_CLK<2>、/M_CLK<2>、M_CLK<3>、/M_CLK<3>、M_CLK<4>、/M_CLK<4>に対応して4個のインジェクションロッキング遅延セル1210、1230、1250、1270を備えることができる。ここで、4個のインジェクションロッキング遅延セル1210、1230、1250、1270は、図7のインジェクションロッキング遅延セルで構成することができ、各々のインジェクションロッキング遅延セルは対応する各出力信号M_CLK<1>、/M_CLK<1>、M_CLK<2>、/M_CLK<2>、M_CLK<3>、/M_CLK<3>、M_CLK<4>、/M_CLK<4>の注入を受けてインジェクションロッキング動作を行うことができる。ここで、各インジェクションロッキング遅延セルのインジェクションロッキング動作は、すでに説明したため省略する。
【0104】
一方、図11の実施形態では4個のインジェクションロッキング遅延セル1210、1230、1250、1270に対応する各クロック信号が注入する場合を一例としてあげて説明したが、本発明によればこのうち、少なくともいずれか1つにだけ信号が注入されることがあり、かつこの時注入されるクロック信号は、基準クロック信号CLK_REFに対応する位相を有するクロック信号でさえすればよい。
【0105】
図12は、本発明の図9のクロック同期化回路の伝達関数特性曲線を説明するためのグラフである。
【0106】
(a)は、位相固定ループ910の伝達関数特性曲線を表したもので、本発明でも従来と同様に帯域幅付近にジッタピーキング現象が発生し得る。
【0107】
(b)は、インジェクションロッキング発振部330の伝達関数特性曲線を表したもので、安定した回路動作のためにインジェクションロッキング発振部の帯域幅は、位相固定ループの帯域幅より小さくするのが好ましい。
【0108】
(c)は、本発明のクロック同期化回路の伝達関数特性曲線を表したもので、本発明によるクロック同期化回路の帯域幅は、位相固定ループ910の伝達関数特性曲線(a)とインジェクションロッキング発振部930の伝達関数特性曲線(b)との積で表される。図面で見られるように、(a)で発生するジッタピーキング現象が顕著に減少したことを見ることができる。この時、位相固定ループは、位相マージンだけを考慮して設計することができ、ここで発生するパターンジッタ現象は、インジェクションロッキング発振部のフィルタリング部で除去することができる。また、一般的な位相固定ループを介して、位相固定ループ本来の動作特性を確保し、インジェクションロッキング発振部を介して、ジッタピーキング現象およびパターンジッタ現象を除くことができる。
【0109】
図13Aは、従来の位相固定ループのジッタ伝達関数特性曲線を説明するためのシミュレーションであり、図13Bは、本発明の位相固定ループのジッタ伝達関数特性曲線を説明するためのシミュレーションである。
【0110】
図13Aでは、図2と同様にジッタピーキング現象が表れることが分かり、図13Bでは、ジッタピーキングが全くない理想的な低帯域通過フィルタの特性が表れることが分かる。
【0111】
図13Bに図示された曲線1、2、3は、図7の第1ないし第4NMOSトランジスタNM1、NM2、NM3、NM4のサイズ調節によるジッタ伝達関数特性曲線であり、1〜3すべてジッタピーキングが全くないジッタ伝達関数特性が表れることが分かる。
【0112】
前述したように、本発明によるクロック同期化回路は、一般的な位相固定ループ330と、インジェクションロッキング発振部310とを構成することによって、ジッタピーキング現象を除くことができる。また、インジェクションロッキング発振部310は、フィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRを使用することによって、PLLクロック信号CLK_PLL、/CLK_PLLには発振制御電圧V_CTRパターンジッタが反映されない。
【0113】
また、本発明によるクロック同期化回路は、安定した位相・周波数ロッキング動作だけでなく、消費する電力を減ずることができ、ジッタに対する動作特性を向上させることができる。
【0114】
本発明の技術思想は、前記望ましい実施形態により具体的に記述されたが、以上で説明した実施形態はその説明のためのものであり、その制限のためのものではないことを注意しなければならない。また、本発明の技術分野の通常の専門家ならば、本発明の技術思想の範囲内で種々の置換、変形および変更により多様な実施形態が可能であることが理解できるであろう。
【0115】
また、前述した実施形態において例示した論理ゲートおよびトランジスタは、入力される信号の極性によってその位置および種類が異なるように具現されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】従来のアナログ方式の位相固定ループを説明するためのブロック図である。
【図2】図1の位相固定ループのジッタ伝達関数特性曲線を説明するためのグラフである。
【図3】本発明によるクロック同期化回路を説明するためのブロック図である。
【図4】図3のインジェクションロッキング発振部を説明するためのブロック図である。
【図5】図3の発振制御電圧V_CTRとフィルタリングされた制御電圧FL_V_CTRを説明するための波形図である。
【図6】図4のインジェクションロッキング電圧制御発振部を説明するための図面である。
【図7】図6のインジェクションロッキング遅延セルを説明するための回路図である。
【図8A】第1ないし第3ノーマル遅延セル630、650、670のうちいずれか1つを説明するための回路図である。
【図8B】第1ないし第3ノーマル遅延セル630、650、670のうちいずれか1つを説明するための回路図である。
【図9】本発明の他の実施形態によるクロック同期化回路を説明するためのブロック図である。
【図10】図9の電圧制御発振部を説明するための回路図である。
【図11】図9のインジェクションロッキング発振部に備わるインジェクションロッキング電圧制御発振部の他の実施形態を説明するための回路図である。
【図12】図9のクロック同期化回路のジッタ伝達関数特性曲線を説明するためのグラフである。
【図13A】位相固定ループのジッタ伝達関数特性曲線を説明するためのシミュレーションである
【図13B】位相固定ループのジッタ伝達関数特性曲線を説明するためのシミュレーションである。
【符号の説明】
【0117】
310 インジェクションロッキング発振部
330 位相固定ループ
332 位相・周波数検出部
334 チャージポンプ部
336 制御電圧生成部
338 電圧制御発振部
410 レベルシフト部
430 インジェクションロッキング電圧制御発振部
450 フィルタリング部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準クロック信号とフィードバッククロック信号との位相・周波数差を検出して、これに対応する発振制御電圧を生成し、前記発振制御電圧に対応してフィードバッククロック信号を生成する位相固定ループと、
前記発振制御電圧に応答して自由発振周波数が設定され、前記基準クロック信号に同期化した内部クロック信号を生成するインジェクションロッキング発振手段と、
を備えることを特徴とする半導体素子。
【請求項2】
前記インジェクションロッキング発振手段が、
前記発振制御電圧をフィルタリングして、フィルタリングされた制御電圧を出力するフィルタリング部と、
前記フィルタリングされた制御電圧の入力を受けて前記基準クロック信号に対応する周波数の前記内部クロック信号を生成するインジェクションロッキング電圧制御発振部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
【請求項3】
前記フィルタリング部が、低域通過フィルタを備えることを特徴とする請求項2に記載の半導体素子。
【請求項4】
前記インジェクションロッキング電圧制御発振部が、
前記フィルタリングされた制御電圧と前記基準クロック信号と前記内部クロック信号との入力を受けて前記基準クロック信号に対応する出力クロック信号を生成するインジェクションロッキング遅延セルと、
前記出力クロック信号を前記フィルタリングされた制御電圧に対応する予定された遅延時間の分だけ遅延させ、前記内部クロック信号を生成するノーマル遅延セルと、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の半導体素子。
【請求項5】
前記基準クロック信号と前記出力クロック信号とが、同一の周波数を有することを特徴とする請求項4に記載の半導体素子。
【請求項6】
前記インジェクションロッキング遅延セルが、
前記基準クロック信号および前記内部クロック信号の入力を受けて前記基準クロック信号に同期された出力クロック信号を出力する入・出力部と、
前記フィルタリングされた制御電圧に対応するロード値を有するロード部と、
バイアス電圧に応答して前記インジェクションロッキング遅延セルに予定された動作電流を流すようにするバイアス部と、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の半導体素子。
【請求項7】
前記入・出力部が、
差動出力端と前記バイアス部との間に挿入されて、差動に入力される前記基準クロック信号の入力を受ける第1入力部と、
前記差動出力端と前記バイアス部との間に挿入されて、差動に入力される前記内部クロック信号の入力を受ける第2入力部と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の半導体素子。
【請求項8】
前記基準クロック信号の電圧レベルを予定された電圧レベルにシフトするシフト手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
【請求項9】
基準クロック信号と、フィードバックされるフィードバッククロック信号の位相・周波数差を検出信号として出力する位相・周波数検出手段と、
前記検出信号に応答してチャージポンプ動作を行うチャージポンプ手段と、
前記チャージポンプ動作に応答して発振制御電圧を生成する制御電圧生成手段と、
前記発振制御電圧に対応して前記フィードバッククロック信号を生成する電圧制御発振手段と、
前記発振制御電圧に応答して自由発振周波数が設定され、前記基準クロック信号に同期化した内部クロック信号を生成するインジェクションロッキング発振手段と、
を備えることを特徴とするクロック同期化回路。
【請求項10】
前記フィードバッククロック信号を分周して前記位相・周波数検出手段に提供する第1分周手段と、
前記基準クロック信号を分周して前記位相・周波数検出手段に提供する第2分周手段と、
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のクロック同期化回路。
【請求項11】
前記内部クロック信号と前記基準クロック信号とが、同一の周波数を有することを特徴とする請求項9に記載のクロック同期化回路。
【請求項12】
前記インジェクションロッキング発振手段が、
前記発振制御電圧をフィルタリングしてフィルタリングされた制御電圧を出力するフィルタリング部と、
前記フィルタリングされた制御電圧の入力を受けて前記基準クロック信号に対応する周波数の前記内部クロック信号を生成するインジェクションロッキング電圧制御発振部と、
を備えることを特徴とする請求項9に記載のクロック同期化回路。
【請求項13】
前記フィルタリング部が、低域通過フィルタを備えることを特徴とする請求項12に記載のクロック同期化回路。
【請求項14】
前記インジェクションロッキング電圧制御発振部が、
前記フィルタリングされた制御電圧と、前記基準クロック信号と前記内部クロック信号との入力を受けて前記基準クロック信号に対応する出力クロック信号を生成するインジェクションロッキング遅延セルと、
前記出力クロック信号を前記フィルタリングされた制御電圧に対応する予定された遅延時間の分だけ遅延させ、前記内部クロック信号として出力するノーマル遅延セルと、
を備えることを特徴とする請求項12に記載のクロック同期化回路。
【請求項15】
前記基準クロック信号と前記出力クロック信号とが、同一の周波数を有することを特徴とする請求項14に記載のクロック同期化回路。
【請求項16】
前記インジェクションロッキング遅延セルが、
前記基準クロック信号と前記内部クロック信号との入力を受けて前記基準クロック信号に同期した出力クロック信号を出力する入・出力部と、
前記フィルタリングされた制御電圧に対応するロード値を有するロード部と、
バイアス電圧に応答して前記インジェクションロッキング遅延セルに予定された動作電流を流すようにするバイアス部と、
を備えることを特徴とする請求項14に記載のクロック同期化回路。
【請求項17】
前記入・出力部が、
差動出力端と前記バイアス部の間に挿入され差動に入力される前記基準クロック信号の入力を受ける第1入力部と、
前記差動出力端と前記バイアス部の間に挿入され差動に入力される前記内部クロック信号の入力を受ける第2入力部と、
を備えることを特徴とする請求項16に記載のクロック同期化回路。
【請求項18】
前記基準クロック信号の電圧レベルを予定された電圧レベルでシフトするシフト手段をさらに具備することを特徴とする請求項9に記載のクロック同期化回路。
【請求項19】
基準クロック信号とフィードバッククロック信号との位相・周波数ロッキング動作を行うステップと、
前記位相・周波数ロッキング動作時に生成される発振制御電圧に応答して自由発振周波数を設定し、前記基準クロック信号に同期化した内部クロック信号を生成するためのインジェクションロッキング動作を行うステップと、
を含むクロック同期化回路の駆動方法。
【請求項20】
前記位相・周波数ロッキング動作を行うステップが、
前記基準クロック信号と、フィードバックされる前記フィードバッククロック信号との位相・周波数差を検出信号として出力するステップと、
前記検出信号に応答してチャージポンプ動作を行うステップと、
前記チャージポンプ動作に応答して前記発振制御電圧を生成するステップと、
前記発振制御電圧に対応する周波数の前記フィードバッククロック信号を生成するステップと、
を含むことを特徴とする請求項19に記載のクロック同期化回路の駆動方法。
【請求項21】
前記基準クロック信号を予定された分周率で分周するステップと、
前記フィードバッククロック信号を前記予定された分周率で分周するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項19に記載のクロック同期化回路の駆動方法。
【請求項22】
前記インジェクションロッキング動作を行うステップが、
前記発振制御電圧を低域通過フィルタリングするステップと、
フィルタリングされた発振制御電圧の入力を受け、前記基準クロック信号を注入してこれに対応する周波数の前記内部クロック信号を生成するステップと、
を含むことを特徴とする請求項19に記載のクロック同期化回路の駆動方法。
【請求項23】
前記内部クロック信号を生成するステップが、
前記基準クロック信号と、フィードバックされる前記内部クロック信号との入力を受けて前記基準クロック信号に対応する出力クロック信号を生成するステップと、
前記出力クロック信号を前記フィルタリングされた発振制御電圧に対応する予定された遅延時間の分だけ遅延させ前記内部クロック信号を生成するステップと、
を含むことを特徴とする請求項22に記載のクロック同期化回路の駆動方法。
【請求項24】
前記出力クロック信号が、前記基準クロック信号と同一の周波数を有することを特徴とする請求項23に記載のクロック同期化回路の駆動方法。
【請求項25】
前記内部クロック信号が、前記基準クロック信号と同一の周波数を有することを特徴とする請求項19に記載のクロック同期化回路の駆動方法。
【請求項26】
基準クロック信号と、フィードバックされるフィードバッククロック信号との位相・周波数差を検出信号として出力する位相・周波数検出手段と、
前記検出信号に応答してチャージポンプ動作を行うチャージポンプ手段と、
前記チャージポンプ動作に応答して発振制御電圧を生成する制御電圧生成手段と、
前記発振制御電圧に対応する周波数のソース内部クロック信号を生成する電圧制御発振手段と、
前記ソース内部クロック信号を分周して前記フィードバッククロック信号を生成する分周手段と、
前記発振制御電圧に応答して自由発振周波数が設定され前記ソース内部クロック信号の入力を受けて内部クロック信号を生成するためのインジェクションロッキング発振手段と、
を備えることを特徴とするクロック同期化回路。
【請求項27】
前記電圧制御発振手段が、
互いに予定された位相差を有する多数のソース内部クロック信号を生成する多数の遅延セルを備えることを特徴とする請求項26に記載のクロック同期化回路。
【請求項28】
前記インジェクションロッキング発振手段が、
前記発振制御電圧をフィルタリングしてフィルタリングされた制御電圧を出力するためのフィルタリング部と、
前記フィルタリングされた制御電圧の入力を受けて前記多数のソース内部クロック信号に対応する前記内部クロック信号を生成するためのインジェクションロッキング電圧制御発振部と、
を備えることを特徴とする請求項27に記載のクロック同期化回路。
【請求項29】
前記インジェクションロッキング電圧制御発振部が、
前記多数のソース内部クロック信号に対応して内部クロック信号を生成する多数のインジェクションロッキング遅延セルを備えることを特徴とする請求項28に記載のクロック同期化回路。
【請求項30】
前記インジェクションロッキング電圧制御発振部が、
前記フィルタリングされた制御電圧と第1ソース内部クロック信号と前記内部クロック信号の入力を受けて前記第1ソース内部クロック信号に対応する第1内部クロック信号を生成する第1インジェクションロッキング遅延セルと、
前記フィルタリングされた制御電圧と第2ソース内部クロック信号と前記第1内部クロック信号との入力を受けて前記第2ソース内部クロック信号に対応する前記内部クロック信号を生成する第2インジェクションロッキング遅延セルと、
を備えることを特徴とする請求項28に記載のクロック同期化回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【公開番号】特開2009−165109(P2009−165109A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301997(P2008−301997)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(591024111)株式会社ハイニックスセミコンダクター (1,189)
【氏名又は名称原語表記】HYNIX SEMICONDUCTOR INC.
【住所又は居所原語表記】San 136−1,Ami−Ri,Bubal−Eup,Ichon−Shi,Kyoungki−Do,Korea
【Fターム(参考)】