半導体装置、ボンディングシステム及び半導体装置の製造方法
【課題】 品質の低下を低減できる半導体装置、ボンディングシステム及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 半導体装置100は、半導体基板10と、COFテープ120とを備える。COFテープ120には、半導体基板10がボンディングされている。半導体基板10は、第1面10aを有する。第1面10aは、COFテープ120に向いている。COFテープ120は、PIフィルム121と、第1接着剤層128とを有する。PIフィルム121は、第1接着剤層128を介して半導体基板10に接着される。半導体基板10の第1面10aとCOFテープ120との間の距離は、第1面10aの面積中心AC1に近い領域10aと第1面10aの端部10bに近い領域とで異なる。
【解決手段】 半導体装置100は、半導体基板10と、COFテープ120とを備える。COFテープ120には、半導体基板10がボンディングされている。半導体基板10は、第1面10aを有する。第1面10aは、COFテープ120に向いている。COFテープ120は、PIフィルム121と、第1接着剤層128とを有する。PIフィルム121は、第1接着剤層128を介して半導体基板10に接着される。半導体基板10の第1面10aとCOFテープ120との間の距離は、第1面10aの面積中心AC1に近い領域10aと第1面10aの端部10bに近い領域とで異なる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、ボンディングシステム及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、COF(Chip On Film)テープに半導体基板が実装された半導体装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−127974(第1−16頁、第1−23図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の技術では、COFテープにおいて、半導体基板が搭載されるためのレジスト開口部の表面に、金属配線材からなるダミー配線が、レジスト開口部の辺方向に対して斜めに延びるように形成されている。しかし、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを抑制するためには複雑な条件設定が必要な傾向にあり、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制できないことがある。これにより、品質が低下することがある。
【0004】
本発明の課題は、品質の低下を低減できる半導体装置、ボンディングシステム及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明に係る半導体装置は、半導体基板と、COFテープとを備える。COFテープは、半導体基板がボンディングされている。半導体基板は、第1面を有する。第1面は、COFテープに向いている。COFテープは、第1接着剤層と、絶縁層とを有する。絶縁層は、第1接着剤層を介して半導体基板に接着される。半導体基板の第1面とCOFテープとの間の距離は、第1面の面積中心に近い領域と第1面の端部に近い領域とで異なる。
【0006】
この半導体装置では、半導体基板の第1面とCOFテープとの間の距離は、第1面の面積中心に近い領域と第1面の端部に近い領域とで異なる。これにより、第1面の面積中心に近い部分の第1面に対する距離が、第1面の端部に近い部分の第1面に対する距離よりも小さくなるように、第1接着剤層が第1面に接するようにすることができる。このため、第1面の面積中心の近傍においてCOFテープを第1面に接着することができ、半導体基板とCOFテープとの間において空気だまりが残留しやすい領域である第1面の面積中心の近くの領域に樹脂が流れ込まないようにすることができる。
【0007】
このように、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0008】
第4発明に係るボンディングシステムは、第1発明の半導体装置と、熱圧着装置とを備える。熱圧着装置は、半導体基板とCOFテープとを熱圧着する。熱圧着装置は、第1治具と、第2治具とを有する。第1治具は、半導体基板を保持するとともに加熱する。第2治具は、COFテープの絶縁層を保持するとともに加熱する。第2治具は、絶縁層に対して第1面の面積中心に近い部分の接触面積が第1面の端部に近い部分の接触面積よりも多くなるように、絶縁層を加熱する。
【0009】
このボンディングシステムでは、第2治具は、絶縁層に対して第1面の面積中心に近い部分の接触面積が第1面の端部から遠い部分の接触面積よりも多くなるように、絶縁層を加熱する。これにより、絶縁層は、第1面の面積中心に近い部分の温度が第1面の端部に近い部分の温度よりも高くなる。このため、第1面の面積中心に近い部分の第1面に対する距離が、第1面の端部に近い部分の第1面に対する距離よりも小さくなるように、絶縁層を湾曲させることができ、それに伴って、第1面の面積中心に近い部分の第1面に対する距離が、第1面の端部に近い部分の第1面に対する距離よりも小さくなるように、第1接着剤層を第1面に接するようにさせることができる。
【0010】
また、半導体基板の第1面とCOFテープとの間の距離は、第1面の面積中心に近い部分と第1面の端部に近い部分とで異なる。これにより、第1面の面積中心に近い部分の第1面に対する距離が、第1面の端部に近い部分の第1面に対する距離よりも小さくなるように、第1接着剤層が第1面に接するようにすることができる。このため、第1面の面積中心の近傍においてCOFテープを第1面に接着することができ、半導体基板とCOFテープとの間において空気だまりが残留しやすい領域である第1面の面積中心の近くの領域に樹脂が流れ込まないようにすることができる。
【0011】
このように、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0012】
第5発明に係る半導体装置は、半導体基板と、COFテープと、ボンディング部とを備える。COFテープは、半導体基板がボンディングされている。ボンディング部は、半導体基板とCOFテープとをボンディングする。半導体基板は、第1面を有する。第1面は、COFテープに向いている。COFテープは、絶縁層と、配線層と、補強層とを有する。配線層は、ボンディング部を介して半導体基板と電気的に接続されるように、絶縁層の上に形成される。補強層は、第1面の端部の付近において半導体基板と配線層とを機械的につないでいる。
【0013】
この半導体装置では、補強層は、第1面の端部の付近において半導体基板と配線層とを機械的につないでいる。これにより、半導体基板とCOFテープとの間において第1面の面積中心の近くの領域を樹脂封止しなくても、ボンディング部を補強することができる。すなわち、半導体基板とCOFテープとの間において空気だまりが残留しやすい領域である第1面の面積中心の近くの領域に樹脂が流れ込まないようにすることができる。
【0014】
このように、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0015】
第7発明に係るボンディングシステムは、第5発明の半導体装置と、熱圧着装置とを備える。熱圧着装置は、半導体基板とCOFテープとを熱圧着する。熱圧着装置は、第1治具と、第2治具とを有する。第1治具は、半導体基板を保持するとともに加熱する。第2治具は、COFテープの絶縁層を保持するとともに加熱する。第2治具は、絶縁層に対して第1面の端部に近い部分の接触面積が第1面の面積中心に近い部分の接触面積よりも多くなるように、絶縁層を加熱する。
【0016】
このボンディングシステムでは、第2治具は、絶縁層に対して第1面の端部に近い部分の接触面積が第1面の面積中心に近い部分の接触面積よりも多くなるように、絶縁層を加熱する。これにより、絶縁層は、第1面の端部に近い部分の温度が第1面の面積中心に近い部分の温度よりも高くなる。このため、絶縁層を介して補強層を効果的に加熱することができるので、ボンディング部の付近で半導体基板と配線層とが機械的につながれるように補強層を形成ことができる。
【0017】
また、補強層は、ボンディング部の付近で半導体基板と配線層とを機械的につないでいる。これにより、第1面と絶縁層との間を全面的に樹脂封止しなくても、ボンディング部を補強することができる。すなわち、半導体基板とCOFテープとの間において空気だまりが残留しやすい領域である第1面の面積中心の近くの領域に樹脂が流れ込まないようにすることができる。
【0018】
このように、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0019】
第8発明に係る半導体装置は、半導体基板と、COFテープとを備える。COFテープは、半導体基板がボンディングされている。半導体基板は、第1面を有する。第1面は、COFテープに向いている。COFテープは、絶縁層と、第2接着剤層とを有する。第2接着剤層は、第1面の面積中心の付近において、第1面に接するとともに、絶縁層と半導体基板との隙間を埋めるように形成されている。
【0020】
この半導体装置では、第2接着剤層は、第1面の面積中心の付近において、第1面に接するとともに、絶縁層と半導体基板との隙間を埋めるように形成されている。これにより、第1面の面積中心の近傍において半導体基板とCOFテープとの隙間を埋めることができ、半導体基板とCOFテープとの間において空気だまりが残留しやすい領域である第1面の面積中心の近くの領域に樹脂が流れ込まないようにすることができる。
【0021】
このように、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0022】
第10発明に係るボンディングシステムは、第8発明の半導体装置と、熱圧着装置とを備える。熱圧着装置は、半導体基板とCOFテープとを熱圧着する。熱圧着装置は、第1治具と、第2治具とを有する。第1治具は、半導体基板を保持するとともに加熱する。第2治具は、COFテープの絶縁層を保持するとともに加熱する。第2治具は、絶縁層に対して第1面の面積中心に近い部分の接触面積が第1面の端部に近い部分の接触面積よりも多くなるように、絶縁層を加熱する。
【0023】
このボンディングシステムでは、第2治具は、絶縁層に対して第1面の面積中心に近い部分の接触面積が第1面の端部に近い部分の接触面積よりも多くなるように、絶縁層を加熱する。これにより、絶縁層は、第1面の面積中心に近い部分の温度が第1面の端部に近い部分の温度よりも高くなる。このため、絶縁層を介して第2接着剤層を効果的に加熱することができるので、絶縁層と半導体基板との隙間が埋められるように第2接着剤層を形成することができる。
【0024】
また、第2接着剤層は、第1面の面積中心の付近において、第1面に接するとともに、絶縁層と半導体基板との隙間を埋めるように形成されている。これにより、第1面の面積中心の近傍において半導体基板とCOFテープとの隙間を埋めることができ、半導体基板とCOFテープとの間において空気だまりが残留しやすい領域である第1面の面積中心の近くの領域に樹脂が流れ込まないようにすることができる。
【0025】
このように、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0026】
第11発明に係る半導体装置の製造方法は、準備工程と、パターン形成工程と、ボンディング工程とを備える。準備工程では、半導体基板及びCOFテープが準備される。パターン形成工程では、半導体基板の第1面に素子のパターンが形成され、COFテープに配線パターンが形成される。ボンディング工程では、半導体基板とCOFテープとが熱圧着されて、半導体基板がCOFテープにボンディングされる。ボンディング工程では、COFテープにおいて第1面の面積中心に近い部分が、COFテープにおいて第1面の端部に近い部分よりも第1面に近づくように湾曲されて、第1面に接着される。
【0027】
この半導体装置の製造方法では、ボンディング工程において、COFテープにおいて第1面の面積中心に近い部分が、COFテープにおいて第1面の端部に近い部分よりも第1面に近づくように湾曲されて、第1面に接着される。これにより、第1面の面積中心の近傍においてCOFテープを第1面に接着することができ、半導体基板とCOFテープとの間において空気だまりが残留しやすい領域である第1面の面積中心の近くの領域に樹脂が流れ込まないようにすることができる。
【0028】
このように、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0029】
第12発明に係る半導体装置の製造方法は、準備工程と、パターン形成工程と、ボンディング工程とを備える。準備工程では、半導体基板及びCOFテープが準備される。パターン形成工程では、半導体基板の第1面に素子のパターンが形成され、COFテープに配線パターンが形成される。ボンディング工程では、半導体基板とCOFテープとが熱圧着されて、半導体基板がCOFテープにボンディングされる。ボンディング工程では、第1面の端部の付近において半導体基板とCOFテープとの間が機械的につながれる。
【0030】
この半導体装置の製造方法では、ボンディング工程において、第1面の端部の付近で半導体基板とCOFテープとの間が機械的につながれる。これにより、半導体基板とCOFテープとの間において第1面の面積中心の近くの領域を樹脂封止しなくても、半導体基板とCOFテープとのボンディングを補強することができる。すなわち、半導体基板とCOFテープとの間において空気だまりが残留しやすい領域である第1面の面積中心の近くの領域に樹脂が流れ込まないようにすることができる。
【0031】
このように、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0032】
第13発明に係る半導体装置の製造方法は、準備工程と、パターン形成工程と、ボンディング工程とを備える。準備工程では、半導体基板及びCOFテープが準備される。パターン形成工程では、半導体基板の第1面に素子のパターンが形成され、COFテープに配線パターンが形成される。ボンディング工程では、半導体基板とCOFテープとが熱圧着されて、半導体基板がCOFテープにボンディングされる。ボンディング工程では、第1面の面積中心の付近において、半導体基板とCOFテープとの隙間を埋めるように半導体基板とCOFテープとが接着される。
【0033】
この半導体装置の製造方法では、ボンディング工程において、第1面の面積中心の付近において、半導体基板とCOFテープとの隙間を埋めるように半導体基板とCOFテープとが接着される。これにより、第1面の面積中心の近傍において半導体基板とCOFテープとの隙間を埋めることができ、半導体基板とCOFテープとの間において空気だまりが残留しやすい領域である第1面の面積中心の近くの領域に樹脂が流れ込まないようにすることができる。
【0034】
このように、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【発明の効果】
【0035】
第1発明に係る半導体装置では、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0036】
第4発明に係るボンディングシステムでは、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0037】
第5発明に係る半導体装置では、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0038】
第7発明に係るボンディングシステムでは、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0039】
第8発明に係る半導体装置では、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0040】
第10発明に係るボンディングシステムでは、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0041】
第11発明に係る半導体装置の製造方法では、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0042】
第12発明に係る半導体装置の製造方法では、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0043】
第13発明に係る半導体装置の製造方法では、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
<本発明の前提となる半導体装置>
本発明の前提となる半導体装置の断面図を図1に示す。なお、図1には縦方向の断面が示されているが、横方向の断面も同様であるものとする。
【0045】
(半導体装置の構成)
半導体装置1は、主として、半導体基板10,COFテープ20,ボンディング部30及び封止樹脂50を備える。
【0046】
半導体基板10は、矩形の板形状であり、第1面10aを有する。第1面10aは、COFテープ20に向く面である。第1面10aには、素子が形成されている。
【0047】
COFテープ20は、半導体基板10がボンディングされている。COFテープ20は、主として、ポリイミド(以下、「PI」とする)フィルム21と配線層27とを有する。PIフィルム21は、第1面10aの面積中心AC1に近い部分21aが、第1面10aの端部10bに近い部分21bよりも第1面10aに近づくように湾曲している。PIフィルム21は、主として、絶縁性の材質で形成されている。
【0048】
一方、配線層27は、PIフィルム21より半導体基板10に近い層であり、主として、導電性の材質で形成されている。この配線層27は、第1領域VA1を囲むようにパターンが形成されている。第1領域VA1は、半導体基板10の第1面10aと配線層27とPIフィルム21とに囲まれた略直方体形状の領域である。そして、配線層27は、主として、スパッタシード層22,スパッタCu層23,Cuメッキ層24,接続端子部25及び接続端子部保護被膜部26を有する。スパッタシード層22,スパッタCu層23及びCuメッキ層24は、接続端子部25に囲まれている。接続端子部25に対して、スパッタシード層22,スパッタCu層23及びCuメッキ層24はPIフィルム21に近い側に形成されており、接続端子部保護被膜部26はPIフィルム21に遠い側に形成されている。
【0049】
ボンディング部30は、半導体基板10とCOFテープ20とをボンディングしている。具体的には、ボンディング部30は、導電性の材質で形成されており、半導体基板10の第1面10aにおいて端部10b付近に形成されたボンディングパッド(図示せず)と、COFテープ20の接続端子部25とを接続している。これにより、接続端子部25及びボンディング部30を介して、半導体基板10の第1面10aに形成された素子に電気信号を供給することができるようになっている。
【0050】
封止樹脂50は、半導体基板10とCOFテープ20との隙間に封止されている。これにより、半導体基板10の第1面10aに形成された素子が保護されるとともに、ボンディング部30が補強されている。ここで、封止樹脂50は、第2領域VA2において、空気だまりV1ができる傾向にある。第2領域VA2は、半導体基板10とCOFテープ20との間(第1領域VA1)において空気だまりが残留しやすい領域であって、第1面10aの面積中心AC1の近くの領域である。
【0051】
(半導体装置の製造方法)
半導体装置の製造方法を図2及び図3に示す工程断面図を用いて説明する。
【0052】
準備工程S1では、半導体基板とCOFテープとが準備される。すなわち、半導体基板10(図1参照)が準備される。また、図2(a)に示すように、COFテープ20aが準備される。COFテープ20aは、PIフィルム21aの上に、スパッタシード層22a,スパッタCu層23a及びCuメッキ層24aが全面に形成されており、接続端子部25及び接続端子部保護被膜部26を備えていない。
【0053】
パターン形成工程S2では、半導体基板の第1面に素子のパターンが形成され、COFテープに配線パターンが形成される。すなわち、半導体基板10の第1面10a(図1参照)に素子のパターンが形成される。一方、COFテープ20aの第1領域VA1がエッチングされて、図2(b)に示すように、フォト工程などにより接続端子部25を含む配線パターンがCOFテープ20bに形成される。さらに、図2(c)に示すように、接続端子部25の上に、接続端子部保護被膜部26が形成される。
【0054】
ボンディング工程S3では、半導体基板とCOFテープとが熱圧着されて、半導体基板がCOFテープにボンディングされる。すなわち、熱圧着装置70のボンディングステージ71に半導体基板10が設置され、ボンディングツール72にCOFテープ20bが設置される。そして、図3(a)に示すように、半導体基板10の第1面10aにおいて端部10bの付近にボンディング部30が置かれて、ボンディング部30と接続端子部25とが向かい合うように、半導体基板10とCOFテープ20bとが熱圧着される(図3(a)の白抜き矢印参照)。すなわち、ボンディングステージ71の熱が半導体基板10に伝達され、ボンディングツール72の熱がPIフィルム21bを介して配線層27に伝達され、半導体基板10のボンディングパッドと、ボンディング部30と、接続端子部25とが共晶結合するようになる。
【0055】
ここで、ボンディングステージ71は150℃に加熱されおり、ボンディングツール72は400〜500℃に加熱されている。ボンディングツール72は、PIフィルム21bの裏面21cに対して第1面10aの面積中心AC1に近い部分72aの接触面積が第1面10aの端部10bに近い部分72bの接触面積と同等になるように、PIフィルム21bを加熱している。これにより、図2(b)に示すように、PIフィルム21は、熱膨張して、第1面10aの面積中心AC1に近い部分21aの第1面10aに対する距離d21aが第1面10aの端部10bに近い部分21bの第1面10aに対する距離d21bよりわずかに小さくなるように、わずかに湾曲する。
【0056】
樹脂封止工程S4では、半導体基板とCOFテープとの隙間に樹脂が封止される。すなわち、半導体基板10の第1面10aと接続端子部25との間には、第1面10aの端部10bの付近に、ボンディング部30の厚さに相当する隙間40ができている。この隙間40に、封止樹脂50が溶融状態で流し込まれて封止される。このとき、PIフィルム21が第1面10aに接しておらず、第1面10aの面積中心AC1に近い部分21aの第1面10aに対する距離d21aが第1面10aの端部10bに近い部分21bの第1面10aに対する距離d21bよりわずかに小さくなっているので、第2領域VA2に封止樹脂50が部分的に入っていく傾向にあり、封止樹脂50が固まった状態で空気だまりV1が残留する傾向にある。
【0057】
このように、空気だまりV1が第2領域VA2に残留する傾向にあるので、空気だまりV1が第1面10aに形成された素子の動作に悪影響を与えることがある。これにより、品質が低下する傾向にある。
【0058】
<第1実施形態に係る半導体装置>
第1実施形態に係る半導体装置の断面図を図4に示す。なお、本発明の前提となる半導体装置と異なる部分を中心に説明し、同様の部分は同じ記号を用いて表し説明を省略する。
【0059】
(半導体装置の構成)
半導体装置100は、COFテープ20の代わりにCOFテープ120を備え、封止樹脂50の代わりに封止樹脂150を備える。
【0060】
COFテープ120は、PIフィルム21の代わりにPIフィルム121を有し、第1接着剤層128をさらに有する。第1接着剤層128は、熱軟化性の樹脂で形成されており、PIフィルム121と配線層27との間に形成されている。第1接着剤層128は、第2領域VA2の近傍で第1面10aに近づくように湾曲して、第1面10aに接着されている。すなわち、第1接着剤層128は、第1面10aの面積中心AC1に近い部分128aの第1面10aに対する距離d128aが、第1面10aの端部10bに近い部分128bの第1面10aに対する距離d128bよりも小さくなっている。さらに、第1接着剤層128は、第1面10aの面積中心AC1に近い部分128aが、第1面10aに接している。
【0061】
PIフィルム121は、第1接着剤層128を介して半導体基板10の第1面10aに接着されている。PIフィルム121は、第1接着剤層128と同様に、第1面10aの面積中心AC1に近い部分121aの第1面10aに対する距離d121aが、第1面10aの端部10bに近い部分121bの第1面10aに対する距離d121bよりも小さくなっている。ここで、PIフィルム121はPIフィルム21(図1参照)よりも大きく湾曲しており、
d121b−d121a>d21b−d21a (1)
となっている。
【0062】
封止樹脂150は、半導体基板10とCOFテープ120との隙間に封止されている。すなわち、封止樹脂150は、半導体基板10と第1接着剤層128との隙間に封止されている。ここで、第1接着剤層128は、第1面10aの面積中心AC1に近い部分128aの第1面10aに対する距離d128aが第1面10aの端部10bに近い部分128bの第1面10aに対する距離d128bよりも小さくなるように、第1面10aに接している。これにより、第1面10aの面積中心AC1の近傍においてCOFテープ120が第1面10aに接着され、第2領域VA2に封止樹脂150が流れ込まないようになっている。また、封止樹脂150の使用量は封止樹脂50の使用量より少なくすることができるようになっている。
【0063】
他の点は、本発明の前提となる半導体装置と同様である。
【0064】
(半導体装置の製造方法)
半導体装置の製造方法を図5に示す工程断面図を用いて説明する。
【0065】
ボンディング工程S103では、熱圧着装置70の代わりに熱圧着装置170を用いてボンディングが行われる。熱圧着装置170は、ボンディングツール72の代わりにボンディングツール172を有する。ボンディングツール172は、PIフィルム121bの裏面121cに対して第1面10aの面積中心AC1に近い部分172aの接触面積が第1面10aの端部10bに近い部分172bの接触面積よりも多くなるように、PIフィルム121bを加熱している。これにより、PIフィルム121bは、第1面10aの面積中心AC1に近い部分の温度が第1面10aの端部10bに近い部分の温度よりも高くなる。このため、図5(b)に示すように、PIフィルム121は、熱膨張して、第1面10aの面積中心AC1に近い部分121aの第1面10aに対する距離d121aが、第1面10aの端部10bに近い部分121bの第1面10aに対する距離d121bよりも小さくなるように湾曲する。それに伴って、第1接着剤層128も、第1面10aの面積中心AC1に近い部分128aの第1面10aに対する距離d128aが、第1面10aの端部10bに近い部分128bの第1面10aに対する距離d128bよりも小さくなるように湾曲する。ここで、第1面10aの面積中心AC1に近い部分121aは、第1面10aの面積中心AC1に近い部分21a(図1参照)よりも第1面10aに近づくように(上記の式(1)参照)湾曲している。このため、第1接着剤層128は、第2領域VA2の近傍で、第1面10aに接するようになるまで湾曲される。このとき、第1接着剤層128は、熱軟化性の樹脂で形成されているので、容易に第1面10aに接着される。
【0066】
樹脂封止工程S104では、隙間40に、封止樹脂150が溶融状態で流し込まれて封止される。このとき、第1接着剤層128において第1面10aの面積中心AC1に近い部分128aが第1面10aに接着されているので、第2領域VA2に封止樹脂150が流れ込まないようになっている。
【0067】
他の点は、本発明の前提となる半導体装置と同様である。
【0068】
(半導体装置に関する特徴)
(1)
ここでは、半導体基板10の第1面10aとCOFテープ120との間の距離は、第1面10aの面積中心AC1に近い領域(図4に示す距離d128a参照)と第1面10aの端部10bに近い領域(図4に示す距離d128b参照)とで異なる。すなわち、第1接着剤層128は、第1面10aの面積中心AC1に近い部分128aの第1面10aに対する距離d128aが、第1面10aの端部10bに近い部分128bの第1面10aに対する距離d128bよりも小さくなるように、第1面10aに接している。これにより、空気だまりV1(図1参照)が残留しやすい領域である第2領域VA2に封止樹脂150が流れ込まないようになっている。
【0069】
このように、半導体基板10とCOFテープ120との間に空気だまりV1が残留することが十分に抑制されているので、品質の低下は低減されている。
【0070】
(2)
ここでは、ボンディング部30は、熱圧着されて、半導体基板10とCOFテープ120とをボンディングする。また、第1接着剤層128は、熱軟化性の性質を有する。これらにより、ボンディング部30が半導体基板10とCOFテープ120とをボンディングするようにする工程と、第1接着剤層128が第1面10aに接着される工程とは同時に行われている。
【0071】
(3)
ここでは、ボンディングツール172は、PIフィルム121の裏面121cに対して第1面10aの面積中心AC1に近い部分172aの接触面積が第1面10aの端部10bに近い部分172bの接触面積よりも多くなるように、PIフィルム121を加熱している。これにより、PIフィルム121は、第1面10aの面積中心AC1に近い部分121aの温度が第1面10bの端部10bに近い部分121bの温度よりも高くなる。このため、第1面10aの面積中心AC1に近い部分121aの第1面10aに対する距離d121aが、第1面10aの端部10bに近い部分121bの第1面10aに対する距離d121bよりも小さくなるように、PIフィルム121は湾曲する。それに伴って、第1接着剤層128は、第1面10aの面積中心AC1に近い部分128aの第1面10aに対する距離d128aが、第1面10aの端部10bに近い部分128bの第1面10aに対する距離d128bよりも小さくなるように、第1面10aに接するようになる。
【0072】
(第1実施形態の変形例)
(A)第1接着剤層128は、熱軟化性の樹脂で形成されている代わりに、熱可塑性の樹脂で形成されていても良い。この場合でも、ボンディング部30が半導体基板10とCOFテープ120とをボンディングするようにする工程と、第1接着剤層128が第1面10aに接着されるようにする工程とは同時に行われる。
【0073】
(B)半導体装置100iは、図6に示すように、配線層27(図4参照)の代わりに配線層127iを有していても良い。配線層127iは、スパッタシード層22,スパッタCu層23及びCuメッキ層24の代わりに、Cu箔層124iを有する。
【0074】
<第2実施形態に係る半導体装置>
第2実施形態に係る半導体装置の断面図を図7に示す。なお、本発明の前提となる半導体装置と異なる部分を中心に説明し、同様の部分は同じ記号を用いて表し説明を省略する。
【0075】
(半導体装置の構成)
半導体装置200は、COFテープ20の代わりにCOFテープ220を備え、封止樹脂50を備えない。
【0076】
COFテープ220は、PIフィルム21の代わりにPIフィルム221を有し、補強層229をさらに有する。補強層229は、熱軟化性の樹脂で形成されており、第1面10aの端部10bの付近において半導体基板10と配線層27とを機械的につないでいる。これにより、補強層229は、ボンディング部30を補強することができるようになっている。
【0077】
一方、第2領域VA2を含む第1領域VA1は、中空状態になっており、樹脂が封止されていない。
【0078】
他の点は、本発明の前提となる半導体装置と同様である。
【0079】
(半導体装置の製造方法)
半導体装置の製造方法を図8に示す工程断面図を用いて説明する。
【0080】
パターン形成工程S202では、COFテープ220において、接続端子部25及び接続端子部保護被膜部26の上に補強層229のパターンが、印刷技術を用いて形成される。具体的には、図8(a)に示すように、接続端子部25においてボンディング部30がボンディングされる箇所を中心にして、半球状に補強層229のパターンが形成される。
【0081】
ボンディング工程S203では、熱圧着装置70の代わりに熱圧着装置270が用いてボンディングが行われる。熱圧着装置270は、ボンディングツール72の代わりにボンディングツール272を有する。ボンディングツール272は、PIフィルム221の裏面221cに対して第1面10aの端部10bに近い部分272bの接触面積が第1面10aの面積中心AC1に近い部分272aの接触面積よりも多くなるように、PIフィルム221を加熱している。これにより、図8(b)に示すように、ボンディングツール72の熱がPIフィルム21bを介して配線層27及び補強層229bに効率的に伝達されるので、補強層229bは、第1面10aの端部10bの付近において半導体基板10と配線層27とを機械的につなぐように形成される。
【0082】
樹脂封止工程S4は、削減されている。
【0083】
他の点は、本発明の前提となる半導体装置と同様である。
【0084】
(半導体装置に関する特徴)
(1)
ここでは、補強層229は、ボンディング部30の付近で半導体基板10と配線層27とをつないでいる。これにより、第1面10aとPIフィルム221との間を全面的に樹脂封止しなくても、ボンディング部30を補強することができるようになっている。すなわち、空気だまりV1が残留しやすい領域である第2領域VA2を樹脂封止しなくても、ボンディング部30を補強することができるようになっている。すなわち、第2領域VA2に封止樹脂50(図1参照)が流れ込まないようになっている。
【0085】
このように、半導体基板10とCOFテープ220との間に空気だまりV1が残留することが十分に抑制されているので、品質の低下は低減されている。
【0086】
(2)
ここでは、ボンディング部30は、熱圧着されて、半導体基板10とCOFテープ220とをボンディングする。また、補強層229は、熱軟化性の性質を有する。これらにより、ボンディング部30が半導体基板10とCOFテープ220とをボンディングするようにする工程と、補強層229が形成される工程とは同時に行われている。
【0087】
(3)
ここでは、ボンディングツール272は、PIフィルム221bの裏面221cに対して第1面10aの端部10bに近い部分272bの接触面積が第1面10aの面積中心AC1に近い部分272aの接触面積よりも多くなるように、PIフィルム221bを加熱している。これにより、PIフィルム221は、第1面10aの端部10bに近い部分221bの温度が第1面10aの面積中心AC1に近い部分221aの温度よりも高くなる。このため、PIフィルム221を介して補強層229が効果的に加熱されるので、ボンディング部30の付近で半導体基板10と配線層27とが機械的につながれるように補強層229は形成される。
【0088】
(4)
ここでは、樹脂封止工程S4が削減されている。これにより、製造コストは低減している。
【0089】
(第2実施形態の変形例)
(A)補強層229は、熱軟化性の樹脂で形成されている代わりに、熱可塑性の樹脂で形成されていても良い。この場合でも、ボンディング部30が半導体基板10とCOFテープ220とをボンディングするようにする工程と、補強層229が形成される工程とは同時に行われる。
【0090】
(B)半導体装置200iは、図9に示すように、配線層27(図4参照)の代わりに配線層227iを有していても良い。配線層227iは、スパッタシード層22,スパッタCu層23及びCuメッキ層24の代わりに、Cu箔層224iを有する。
【0091】
<第3実施形態に係る半導体装置>
第3実施形態に係る半導体装置の断面図を図10に示す。なお、本発明の前提となる半導体装置と異なる部分を中心に説明し、同様の部分は同じ記号を用いて表し説明を省略する。
【0092】
(半導体装置の構成)
半導体装置300は、COFテープ20の代わりにCOFテープ320を備え、封止樹脂50の代わりに封止樹脂350を備える。
【0093】
COFテープ320は、PIフィルム21の代わりにPIフィルム321を有し、第2接着剤層328をさらに有する。第2接着剤層328は、熱軟化性の樹脂で形成されている。また、第2接着剤層328は、第1面10aの面積中心AC1の付近において、第1面10aに接するとともに、半導体基板10とCOFテープ320との隙間である第1領域VA1を埋めるように形成されている。
【0094】
封止樹脂350は、半導体基板10とCOFテープ320との隙間に封止されている。すなわち、封止樹脂350は、第2接着剤層328が埋められた領域を除く半導体基板10とPIフィルム321との隙間に封止されている。ここで、第2接着剤層328は、第1面10aの面積中心AC1の付近において、第1面10aに接するとともに、半導体基板10とCOFテープ320との隙間である第1領域VA1を埋めるように形成されている。これにより、第2領域VA2に第2接着剤層328が埋められており、第2領域VA2に封止樹脂150が流れ込まないようになっている。また、封止樹脂350の使用量は封止樹脂50の使用量より少なくすることができるようになっている。
【0095】
他の点は、本発明の前提となる半導体装置と同様である。
【0096】
(半導体装置の製造方法)
半導体装置の製造方法を図11に示す工程断面図を用いて説明する。
【0097】
パターン形成工程S302では、COFテープ220において、PIフィルム321の上に補強層229のパターンが、印刷技術を用いて形成される。具体的には、図11(a)に示すように、第1領域VA1と縦横の寸法が同様であり高さが若干高くなった部分に、略直方体状に第2接着剤層328のパターンが形成される。
【0098】
ボンディング工程S303では、熱圧着装置70の代わりに熱圧着装置370が用いてボンディングが行われる。熱圧着装置370は、ボンディングツール72の代わりにボンディングツール372を有する。ボンディングツール372は、図11(b)に示すように、PIフィルム321の裏面321cに対して第1面10aの面積中心AC1に近い部分372aの接触面積が第1面10aの端部10bに近い部分372bの接触面積よりも多くなるように、PIフィルム321を加熱している。これにより、図11(c)に示すように、第2接着剤層328は、第1面10aの面積中心AC1の付近において、第1面10aに接するとともに、半導体基板10とCOFテープ320との隙間である第1領域VA1を埋めるように変形する。このとき、第2接着剤層328は、熱軟化性の樹脂で形成されているので、第1領域VA1を埋めるように容易に変形するとともに、容易に第1面10aに接着される。これにより、半導体基板10とPIフィルム321との隙間は、半導体基板10とPIフィルム21との隙間(図3(b)参照)よりも大幅に小さくなっている。
【0099】
樹脂封止工程S304では、隙間40に、封止樹脂350が溶融状態で流し込まれて封止される。このとき、第2領域VA2を含む第1領域VA1を埋めるように第2接着剤層328が形成されているので、第2領域VA2に封止樹脂350が流れ込まないようになっている。
【0100】
他の点は、本発明の前提となる半導体装置と同様である。
【0101】
(半導体装置に関する特徴)
(1)
ここでは、第2接着剤層328は、第1面10aの面積中心AC1の付近において、第1面10aに接するとともに、半導体基板10とCOFテープ320との隙間である第1領域VA1を埋めるように形成されている。これにより、空気だまりV1(図1参照)が残留しやすい領域である第2領域VA2に封止樹脂350が流れ込まないようになっている。
【0102】
このように、半導体基板10とCOFテープ320との間に空気だまりV1が残留することが十分に抑制されているので、品質の低下は低減されている。
【0103】
(2)
ここでは、ボンディング部30は、熱圧着されて、半導体基板10とCOFテープ320とをボンディングする。また、第2接着剤層328は、熱軟化性の性質を有する。これらにより、ボンディング部30が半導体基板10とCOFテープ320とをボンディングするようにする工程と、第2接着剤層328が第1領域VA1を埋めるようにされる工程とは同時に行われている。
【0104】
(3)
ここでは、ボンディングツール372は、PIフィルム321の裏面321cに対して第1面10aの面積中心AC1に近い部分372aの接触面積が第1面10aの端部10bに近い部分372bの接触面積よりも多くなるように、PIフィルム321を加熱している。これにより、PIフィルム321は、第1面10aの面積中心AC1に近い部分321aの温度が第1面10aの端部10bに近い部分321bの温度よりも高くなる。このため、PIフィルム321を介して第2接着剤層328が効果的に加熱されるので、PIフィルム321と半導体基板10との隙間が埋められるように第2接着剤層328は形成される。
(第3実施形態の変形例)
(A)第2接着剤層328は、熱軟化性の樹脂で形成されている代わりに、熱可塑性の樹脂で形成されていても良い。この場合でも、ボンディング部30が半導体基板10とCOFテープ320とをボンディングするようにする工程と、第2接着剤層328が第1領域VA1を埋めるようにされる工程とは同時に行われる。
【0105】
(B)半導体装置300iは、図12に示すように、配線層27(図4参照)の代わりに配線層327iを有していても良い。配線層327iは、スパッタシード層22,スパッタCu層23及びCuメッキ層24の代わりに、Cu箔層324iを有する。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明に係る半導体装置、ボンディングシステム及び半導体装置の製造方法は、品質の低下を低減できるという効果を有し、半導体装置、ボンディングシステム及び半導体装置の製造方法等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の前提となる半導体装置の断面図。
【図2】半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図3】半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図4】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の断面図。
【図5】半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図6】本発明の第1実施形態の変形例に係る半導体装置の断面図。
【図7】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の断面図。
【図8】半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図9】本発明の第2実施形態の変形例に係る半導体装置の断面図。
【図10】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の断面図。
【図11】半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図12】本発明の第3実施形態の変形例に係る半導体装置の断面図。
【符号の説明】
【0108】
1、100,200,300 半導体装置
10 半導体基板
20,120,220,320 COFテープ
30 ボンディング部
50,150,350 封止樹脂
70,170,270,370 熱圧着装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、ボンディングシステム及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、COF(Chip On Film)テープに半導体基板が実装された半導体装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−127974(第1−16頁、第1−23図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の技術では、COFテープにおいて、半導体基板が搭載されるためのレジスト開口部の表面に、金属配線材からなるダミー配線が、レジスト開口部の辺方向に対して斜めに延びるように形成されている。しかし、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを抑制するためには複雑な条件設定が必要な傾向にあり、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制できないことがある。これにより、品質が低下することがある。
【0004】
本発明の課題は、品質の低下を低減できる半導体装置、ボンディングシステム及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明に係る半導体装置は、半導体基板と、COFテープとを備える。COFテープは、半導体基板がボンディングされている。半導体基板は、第1面を有する。第1面は、COFテープに向いている。COFテープは、第1接着剤層と、絶縁層とを有する。絶縁層は、第1接着剤層を介して半導体基板に接着される。半導体基板の第1面とCOFテープとの間の距離は、第1面の面積中心に近い領域と第1面の端部に近い領域とで異なる。
【0006】
この半導体装置では、半導体基板の第1面とCOFテープとの間の距離は、第1面の面積中心に近い領域と第1面の端部に近い領域とで異なる。これにより、第1面の面積中心に近い部分の第1面に対する距離が、第1面の端部に近い部分の第1面に対する距離よりも小さくなるように、第1接着剤層が第1面に接するようにすることができる。このため、第1面の面積中心の近傍においてCOFテープを第1面に接着することができ、半導体基板とCOFテープとの間において空気だまりが残留しやすい領域である第1面の面積中心の近くの領域に樹脂が流れ込まないようにすることができる。
【0007】
このように、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0008】
第4発明に係るボンディングシステムは、第1発明の半導体装置と、熱圧着装置とを備える。熱圧着装置は、半導体基板とCOFテープとを熱圧着する。熱圧着装置は、第1治具と、第2治具とを有する。第1治具は、半導体基板を保持するとともに加熱する。第2治具は、COFテープの絶縁層を保持するとともに加熱する。第2治具は、絶縁層に対して第1面の面積中心に近い部分の接触面積が第1面の端部に近い部分の接触面積よりも多くなるように、絶縁層を加熱する。
【0009】
このボンディングシステムでは、第2治具は、絶縁層に対して第1面の面積中心に近い部分の接触面積が第1面の端部から遠い部分の接触面積よりも多くなるように、絶縁層を加熱する。これにより、絶縁層は、第1面の面積中心に近い部分の温度が第1面の端部に近い部分の温度よりも高くなる。このため、第1面の面積中心に近い部分の第1面に対する距離が、第1面の端部に近い部分の第1面に対する距離よりも小さくなるように、絶縁層を湾曲させることができ、それに伴って、第1面の面積中心に近い部分の第1面に対する距離が、第1面の端部に近い部分の第1面に対する距離よりも小さくなるように、第1接着剤層を第1面に接するようにさせることができる。
【0010】
また、半導体基板の第1面とCOFテープとの間の距離は、第1面の面積中心に近い部分と第1面の端部に近い部分とで異なる。これにより、第1面の面積中心に近い部分の第1面に対する距離が、第1面の端部に近い部分の第1面に対する距離よりも小さくなるように、第1接着剤層が第1面に接するようにすることができる。このため、第1面の面積中心の近傍においてCOFテープを第1面に接着することができ、半導体基板とCOFテープとの間において空気だまりが残留しやすい領域である第1面の面積中心の近くの領域に樹脂が流れ込まないようにすることができる。
【0011】
このように、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0012】
第5発明に係る半導体装置は、半導体基板と、COFテープと、ボンディング部とを備える。COFテープは、半導体基板がボンディングされている。ボンディング部は、半導体基板とCOFテープとをボンディングする。半導体基板は、第1面を有する。第1面は、COFテープに向いている。COFテープは、絶縁層と、配線層と、補強層とを有する。配線層は、ボンディング部を介して半導体基板と電気的に接続されるように、絶縁層の上に形成される。補強層は、第1面の端部の付近において半導体基板と配線層とを機械的につないでいる。
【0013】
この半導体装置では、補強層は、第1面の端部の付近において半導体基板と配線層とを機械的につないでいる。これにより、半導体基板とCOFテープとの間において第1面の面積中心の近くの領域を樹脂封止しなくても、ボンディング部を補強することができる。すなわち、半導体基板とCOFテープとの間において空気だまりが残留しやすい領域である第1面の面積中心の近くの領域に樹脂が流れ込まないようにすることができる。
【0014】
このように、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0015】
第7発明に係るボンディングシステムは、第5発明の半導体装置と、熱圧着装置とを備える。熱圧着装置は、半導体基板とCOFテープとを熱圧着する。熱圧着装置は、第1治具と、第2治具とを有する。第1治具は、半導体基板を保持するとともに加熱する。第2治具は、COFテープの絶縁層を保持するとともに加熱する。第2治具は、絶縁層に対して第1面の端部に近い部分の接触面積が第1面の面積中心に近い部分の接触面積よりも多くなるように、絶縁層を加熱する。
【0016】
このボンディングシステムでは、第2治具は、絶縁層に対して第1面の端部に近い部分の接触面積が第1面の面積中心に近い部分の接触面積よりも多くなるように、絶縁層を加熱する。これにより、絶縁層は、第1面の端部に近い部分の温度が第1面の面積中心に近い部分の温度よりも高くなる。このため、絶縁層を介して補強層を効果的に加熱することができるので、ボンディング部の付近で半導体基板と配線層とが機械的につながれるように補強層を形成ことができる。
【0017】
また、補強層は、ボンディング部の付近で半導体基板と配線層とを機械的につないでいる。これにより、第1面と絶縁層との間を全面的に樹脂封止しなくても、ボンディング部を補強することができる。すなわち、半導体基板とCOFテープとの間において空気だまりが残留しやすい領域である第1面の面積中心の近くの領域に樹脂が流れ込まないようにすることができる。
【0018】
このように、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0019】
第8発明に係る半導体装置は、半導体基板と、COFテープとを備える。COFテープは、半導体基板がボンディングされている。半導体基板は、第1面を有する。第1面は、COFテープに向いている。COFテープは、絶縁層と、第2接着剤層とを有する。第2接着剤層は、第1面の面積中心の付近において、第1面に接するとともに、絶縁層と半導体基板との隙間を埋めるように形成されている。
【0020】
この半導体装置では、第2接着剤層は、第1面の面積中心の付近において、第1面に接するとともに、絶縁層と半導体基板との隙間を埋めるように形成されている。これにより、第1面の面積中心の近傍において半導体基板とCOFテープとの隙間を埋めることができ、半導体基板とCOFテープとの間において空気だまりが残留しやすい領域である第1面の面積中心の近くの領域に樹脂が流れ込まないようにすることができる。
【0021】
このように、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0022】
第10発明に係るボンディングシステムは、第8発明の半導体装置と、熱圧着装置とを備える。熱圧着装置は、半導体基板とCOFテープとを熱圧着する。熱圧着装置は、第1治具と、第2治具とを有する。第1治具は、半導体基板を保持するとともに加熱する。第2治具は、COFテープの絶縁層を保持するとともに加熱する。第2治具は、絶縁層に対して第1面の面積中心に近い部分の接触面積が第1面の端部に近い部分の接触面積よりも多くなるように、絶縁層を加熱する。
【0023】
このボンディングシステムでは、第2治具は、絶縁層に対して第1面の面積中心に近い部分の接触面積が第1面の端部に近い部分の接触面積よりも多くなるように、絶縁層を加熱する。これにより、絶縁層は、第1面の面積中心に近い部分の温度が第1面の端部に近い部分の温度よりも高くなる。このため、絶縁層を介して第2接着剤層を効果的に加熱することができるので、絶縁層と半導体基板との隙間が埋められるように第2接着剤層を形成することができる。
【0024】
また、第2接着剤層は、第1面の面積中心の付近において、第1面に接するとともに、絶縁層と半導体基板との隙間を埋めるように形成されている。これにより、第1面の面積中心の近傍において半導体基板とCOFテープとの隙間を埋めることができ、半導体基板とCOFテープとの間において空気だまりが残留しやすい領域である第1面の面積中心の近くの領域に樹脂が流れ込まないようにすることができる。
【0025】
このように、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0026】
第11発明に係る半導体装置の製造方法は、準備工程と、パターン形成工程と、ボンディング工程とを備える。準備工程では、半導体基板及びCOFテープが準備される。パターン形成工程では、半導体基板の第1面に素子のパターンが形成され、COFテープに配線パターンが形成される。ボンディング工程では、半導体基板とCOFテープとが熱圧着されて、半導体基板がCOFテープにボンディングされる。ボンディング工程では、COFテープにおいて第1面の面積中心に近い部分が、COFテープにおいて第1面の端部に近い部分よりも第1面に近づくように湾曲されて、第1面に接着される。
【0027】
この半導体装置の製造方法では、ボンディング工程において、COFテープにおいて第1面の面積中心に近い部分が、COFテープにおいて第1面の端部に近い部分よりも第1面に近づくように湾曲されて、第1面に接着される。これにより、第1面の面積中心の近傍においてCOFテープを第1面に接着することができ、半導体基板とCOFテープとの間において空気だまりが残留しやすい領域である第1面の面積中心の近くの領域に樹脂が流れ込まないようにすることができる。
【0028】
このように、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0029】
第12発明に係る半導体装置の製造方法は、準備工程と、パターン形成工程と、ボンディング工程とを備える。準備工程では、半導体基板及びCOFテープが準備される。パターン形成工程では、半導体基板の第1面に素子のパターンが形成され、COFテープに配線パターンが形成される。ボンディング工程では、半導体基板とCOFテープとが熱圧着されて、半導体基板がCOFテープにボンディングされる。ボンディング工程では、第1面の端部の付近において半導体基板とCOFテープとの間が機械的につながれる。
【0030】
この半導体装置の製造方法では、ボンディング工程において、第1面の端部の付近で半導体基板とCOFテープとの間が機械的につながれる。これにより、半導体基板とCOFテープとの間において第1面の面積中心の近くの領域を樹脂封止しなくても、半導体基板とCOFテープとのボンディングを補強することができる。すなわち、半導体基板とCOFテープとの間において空気だまりが残留しやすい領域である第1面の面積中心の近くの領域に樹脂が流れ込まないようにすることができる。
【0031】
このように、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0032】
第13発明に係る半導体装置の製造方法は、準備工程と、パターン形成工程と、ボンディング工程とを備える。準備工程では、半導体基板及びCOFテープが準備される。パターン形成工程では、半導体基板の第1面に素子のパターンが形成され、COFテープに配線パターンが形成される。ボンディング工程では、半導体基板とCOFテープとが熱圧着されて、半導体基板がCOFテープにボンディングされる。ボンディング工程では、第1面の面積中心の付近において、半導体基板とCOFテープとの隙間を埋めるように半導体基板とCOFテープとが接着される。
【0033】
この半導体装置の製造方法では、ボンディング工程において、第1面の面積中心の付近において、半導体基板とCOFテープとの隙間を埋めるように半導体基板とCOFテープとが接着される。これにより、第1面の面積中心の近傍において半導体基板とCOFテープとの隙間を埋めることができ、半導体基板とCOFテープとの間において空気だまりが残留しやすい領域である第1面の面積中心の近くの領域に樹脂が流れ込まないようにすることができる。
【0034】
このように、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【発明の効果】
【0035】
第1発明に係る半導体装置では、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0036】
第4発明に係るボンディングシステムでは、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0037】
第5発明に係る半導体装置では、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0038】
第7発明に係るボンディングシステムでは、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0039】
第8発明に係る半導体装置では、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0040】
第10発明に係るボンディングシステムでは、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0041】
第11発明に係る半導体装置の製造方法では、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0042】
第12発明に係る半導体装置の製造方法では、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【0043】
第13発明に係る半導体装置の製造方法では、半導体基板とCOFテープとの間に空気だまりが残留することを十分に抑制することができるので、品質の低下を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
<本発明の前提となる半導体装置>
本発明の前提となる半導体装置の断面図を図1に示す。なお、図1には縦方向の断面が示されているが、横方向の断面も同様であるものとする。
【0045】
(半導体装置の構成)
半導体装置1は、主として、半導体基板10,COFテープ20,ボンディング部30及び封止樹脂50を備える。
【0046】
半導体基板10は、矩形の板形状であり、第1面10aを有する。第1面10aは、COFテープ20に向く面である。第1面10aには、素子が形成されている。
【0047】
COFテープ20は、半導体基板10がボンディングされている。COFテープ20は、主として、ポリイミド(以下、「PI」とする)フィルム21と配線層27とを有する。PIフィルム21は、第1面10aの面積中心AC1に近い部分21aが、第1面10aの端部10bに近い部分21bよりも第1面10aに近づくように湾曲している。PIフィルム21は、主として、絶縁性の材質で形成されている。
【0048】
一方、配線層27は、PIフィルム21より半導体基板10に近い層であり、主として、導電性の材質で形成されている。この配線層27は、第1領域VA1を囲むようにパターンが形成されている。第1領域VA1は、半導体基板10の第1面10aと配線層27とPIフィルム21とに囲まれた略直方体形状の領域である。そして、配線層27は、主として、スパッタシード層22,スパッタCu層23,Cuメッキ層24,接続端子部25及び接続端子部保護被膜部26を有する。スパッタシード層22,スパッタCu層23及びCuメッキ層24は、接続端子部25に囲まれている。接続端子部25に対して、スパッタシード層22,スパッタCu層23及びCuメッキ層24はPIフィルム21に近い側に形成されており、接続端子部保護被膜部26はPIフィルム21に遠い側に形成されている。
【0049】
ボンディング部30は、半導体基板10とCOFテープ20とをボンディングしている。具体的には、ボンディング部30は、導電性の材質で形成されており、半導体基板10の第1面10aにおいて端部10b付近に形成されたボンディングパッド(図示せず)と、COFテープ20の接続端子部25とを接続している。これにより、接続端子部25及びボンディング部30を介して、半導体基板10の第1面10aに形成された素子に電気信号を供給することができるようになっている。
【0050】
封止樹脂50は、半導体基板10とCOFテープ20との隙間に封止されている。これにより、半導体基板10の第1面10aに形成された素子が保護されるとともに、ボンディング部30が補強されている。ここで、封止樹脂50は、第2領域VA2において、空気だまりV1ができる傾向にある。第2領域VA2は、半導体基板10とCOFテープ20との間(第1領域VA1)において空気だまりが残留しやすい領域であって、第1面10aの面積中心AC1の近くの領域である。
【0051】
(半導体装置の製造方法)
半導体装置の製造方法を図2及び図3に示す工程断面図を用いて説明する。
【0052】
準備工程S1では、半導体基板とCOFテープとが準備される。すなわち、半導体基板10(図1参照)が準備される。また、図2(a)に示すように、COFテープ20aが準備される。COFテープ20aは、PIフィルム21aの上に、スパッタシード層22a,スパッタCu層23a及びCuメッキ層24aが全面に形成されており、接続端子部25及び接続端子部保護被膜部26を備えていない。
【0053】
パターン形成工程S2では、半導体基板の第1面に素子のパターンが形成され、COFテープに配線パターンが形成される。すなわち、半導体基板10の第1面10a(図1参照)に素子のパターンが形成される。一方、COFテープ20aの第1領域VA1がエッチングされて、図2(b)に示すように、フォト工程などにより接続端子部25を含む配線パターンがCOFテープ20bに形成される。さらに、図2(c)に示すように、接続端子部25の上に、接続端子部保護被膜部26が形成される。
【0054】
ボンディング工程S3では、半導体基板とCOFテープとが熱圧着されて、半導体基板がCOFテープにボンディングされる。すなわち、熱圧着装置70のボンディングステージ71に半導体基板10が設置され、ボンディングツール72にCOFテープ20bが設置される。そして、図3(a)に示すように、半導体基板10の第1面10aにおいて端部10bの付近にボンディング部30が置かれて、ボンディング部30と接続端子部25とが向かい合うように、半導体基板10とCOFテープ20bとが熱圧着される(図3(a)の白抜き矢印参照)。すなわち、ボンディングステージ71の熱が半導体基板10に伝達され、ボンディングツール72の熱がPIフィルム21bを介して配線層27に伝達され、半導体基板10のボンディングパッドと、ボンディング部30と、接続端子部25とが共晶結合するようになる。
【0055】
ここで、ボンディングステージ71は150℃に加熱されおり、ボンディングツール72は400〜500℃に加熱されている。ボンディングツール72は、PIフィルム21bの裏面21cに対して第1面10aの面積中心AC1に近い部分72aの接触面積が第1面10aの端部10bに近い部分72bの接触面積と同等になるように、PIフィルム21bを加熱している。これにより、図2(b)に示すように、PIフィルム21は、熱膨張して、第1面10aの面積中心AC1に近い部分21aの第1面10aに対する距離d21aが第1面10aの端部10bに近い部分21bの第1面10aに対する距離d21bよりわずかに小さくなるように、わずかに湾曲する。
【0056】
樹脂封止工程S4では、半導体基板とCOFテープとの隙間に樹脂が封止される。すなわち、半導体基板10の第1面10aと接続端子部25との間には、第1面10aの端部10bの付近に、ボンディング部30の厚さに相当する隙間40ができている。この隙間40に、封止樹脂50が溶融状態で流し込まれて封止される。このとき、PIフィルム21が第1面10aに接しておらず、第1面10aの面積中心AC1に近い部分21aの第1面10aに対する距離d21aが第1面10aの端部10bに近い部分21bの第1面10aに対する距離d21bよりわずかに小さくなっているので、第2領域VA2に封止樹脂50が部分的に入っていく傾向にあり、封止樹脂50が固まった状態で空気だまりV1が残留する傾向にある。
【0057】
このように、空気だまりV1が第2領域VA2に残留する傾向にあるので、空気だまりV1が第1面10aに形成された素子の動作に悪影響を与えることがある。これにより、品質が低下する傾向にある。
【0058】
<第1実施形態に係る半導体装置>
第1実施形態に係る半導体装置の断面図を図4に示す。なお、本発明の前提となる半導体装置と異なる部分を中心に説明し、同様の部分は同じ記号を用いて表し説明を省略する。
【0059】
(半導体装置の構成)
半導体装置100は、COFテープ20の代わりにCOFテープ120を備え、封止樹脂50の代わりに封止樹脂150を備える。
【0060】
COFテープ120は、PIフィルム21の代わりにPIフィルム121を有し、第1接着剤層128をさらに有する。第1接着剤層128は、熱軟化性の樹脂で形成されており、PIフィルム121と配線層27との間に形成されている。第1接着剤層128は、第2領域VA2の近傍で第1面10aに近づくように湾曲して、第1面10aに接着されている。すなわち、第1接着剤層128は、第1面10aの面積中心AC1に近い部分128aの第1面10aに対する距離d128aが、第1面10aの端部10bに近い部分128bの第1面10aに対する距離d128bよりも小さくなっている。さらに、第1接着剤層128は、第1面10aの面積中心AC1に近い部分128aが、第1面10aに接している。
【0061】
PIフィルム121は、第1接着剤層128を介して半導体基板10の第1面10aに接着されている。PIフィルム121は、第1接着剤層128と同様に、第1面10aの面積中心AC1に近い部分121aの第1面10aに対する距離d121aが、第1面10aの端部10bに近い部分121bの第1面10aに対する距離d121bよりも小さくなっている。ここで、PIフィルム121はPIフィルム21(図1参照)よりも大きく湾曲しており、
d121b−d121a>d21b−d21a (1)
となっている。
【0062】
封止樹脂150は、半導体基板10とCOFテープ120との隙間に封止されている。すなわち、封止樹脂150は、半導体基板10と第1接着剤層128との隙間に封止されている。ここで、第1接着剤層128は、第1面10aの面積中心AC1に近い部分128aの第1面10aに対する距離d128aが第1面10aの端部10bに近い部分128bの第1面10aに対する距離d128bよりも小さくなるように、第1面10aに接している。これにより、第1面10aの面積中心AC1の近傍においてCOFテープ120が第1面10aに接着され、第2領域VA2に封止樹脂150が流れ込まないようになっている。また、封止樹脂150の使用量は封止樹脂50の使用量より少なくすることができるようになっている。
【0063】
他の点は、本発明の前提となる半導体装置と同様である。
【0064】
(半導体装置の製造方法)
半導体装置の製造方法を図5に示す工程断面図を用いて説明する。
【0065】
ボンディング工程S103では、熱圧着装置70の代わりに熱圧着装置170を用いてボンディングが行われる。熱圧着装置170は、ボンディングツール72の代わりにボンディングツール172を有する。ボンディングツール172は、PIフィルム121bの裏面121cに対して第1面10aの面積中心AC1に近い部分172aの接触面積が第1面10aの端部10bに近い部分172bの接触面積よりも多くなるように、PIフィルム121bを加熱している。これにより、PIフィルム121bは、第1面10aの面積中心AC1に近い部分の温度が第1面10aの端部10bに近い部分の温度よりも高くなる。このため、図5(b)に示すように、PIフィルム121は、熱膨張して、第1面10aの面積中心AC1に近い部分121aの第1面10aに対する距離d121aが、第1面10aの端部10bに近い部分121bの第1面10aに対する距離d121bよりも小さくなるように湾曲する。それに伴って、第1接着剤層128も、第1面10aの面積中心AC1に近い部分128aの第1面10aに対する距離d128aが、第1面10aの端部10bに近い部分128bの第1面10aに対する距離d128bよりも小さくなるように湾曲する。ここで、第1面10aの面積中心AC1に近い部分121aは、第1面10aの面積中心AC1に近い部分21a(図1参照)よりも第1面10aに近づくように(上記の式(1)参照)湾曲している。このため、第1接着剤層128は、第2領域VA2の近傍で、第1面10aに接するようになるまで湾曲される。このとき、第1接着剤層128は、熱軟化性の樹脂で形成されているので、容易に第1面10aに接着される。
【0066】
樹脂封止工程S104では、隙間40に、封止樹脂150が溶融状態で流し込まれて封止される。このとき、第1接着剤層128において第1面10aの面積中心AC1に近い部分128aが第1面10aに接着されているので、第2領域VA2に封止樹脂150が流れ込まないようになっている。
【0067】
他の点は、本発明の前提となる半導体装置と同様である。
【0068】
(半導体装置に関する特徴)
(1)
ここでは、半導体基板10の第1面10aとCOFテープ120との間の距離は、第1面10aの面積中心AC1に近い領域(図4に示す距離d128a参照)と第1面10aの端部10bに近い領域(図4に示す距離d128b参照)とで異なる。すなわち、第1接着剤層128は、第1面10aの面積中心AC1に近い部分128aの第1面10aに対する距離d128aが、第1面10aの端部10bに近い部分128bの第1面10aに対する距離d128bよりも小さくなるように、第1面10aに接している。これにより、空気だまりV1(図1参照)が残留しやすい領域である第2領域VA2に封止樹脂150が流れ込まないようになっている。
【0069】
このように、半導体基板10とCOFテープ120との間に空気だまりV1が残留することが十分に抑制されているので、品質の低下は低減されている。
【0070】
(2)
ここでは、ボンディング部30は、熱圧着されて、半導体基板10とCOFテープ120とをボンディングする。また、第1接着剤層128は、熱軟化性の性質を有する。これらにより、ボンディング部30が半導体基板10とCOFテープ120とをボンディングするようにする工程と、第1接着剤層128が第1面10aに接着される工程とは同時に行われている。
【0071】
(3)
ここでは、ボンディングツール172は、PIフィルム121の裏面121cに対して第1面10aの面積中心AC1に近い部分172aの接触面積が第1面10aの端部10bに近い部分172bの接触面積よりも多くなるように、PIフィルム121を加熱している。これにより、PIフィルム121は、第1面10aの面積中心AC1に近い部分121aの温度が第1面10bの端部10bに近い部分121bの温度よりも高くなる。このため、第1面10aの面積中心AC1に近い部分121aの第1面10aに対する距離d121aが、第1面10aの端部10bに近い部分121bの第1面10aに対する距離d121bよりも小さくなるように、PIフィルム121は湾曲する。それに伴って、第1接着剤層128は、第1面10aの面積中心AC1に近い部分128aの第1面10aに対する距離d128aが、第1面10aの端部10bに近い部分128bの第1面10aに対する距離d128bよりも小さくなるように、第1面10aに接するようになる。
【0072】
(第1実施形態の変形例)
(A)第1接着剤層128は、熱軟化性の樹脂で形成されている代わりに、熱可塑性の樹脂で形成されていても良い。この場合でも、ボンディング部30が半導体基板10とCOFテープ120とをボンディングするようにする工程と、第1接着剤層128が第1面10aに接着されるようにする工程とは同時に行われる。
【0073】
(B)半導体装置100iは、図6に示すように、配線層27(図4参照)の代わりに配線層127iを有していても良い。配線層127iは、スパッタシード層22,スパッタCu層23及びCuメッキ層24の代わりに、Cu箔層124iを有する。
【0074】
<第2実施形態に係る半導体装置>
第2実施形態に係る半導体装置の断面図を図7に示す。なお、本発明の前提となる半導体装置と異なる部分を中心に説明し、同様の部分は同じ記号を用いて表し説明を省略する。
【0075】
(半導体装置の構成)
半導体装置200は、COFテープ20の代わりにCOFテープ220を備え、封止樹脂50を備えない。
【0076】
COFテープ220は、PIフィルム21の代わりにPIフィルム221を有し、補強層229をさらに有する。補強層229は、熱軟化性の樹脂で形成されており、第1面10aの端部10bの付近において半導体基板10と配線層27とを機械的につないでいる。これにより、補強層229は、ボンディング部30を補強することができるようになっている。
【0077】
一方、第2領域VA2を含む第1領域VA1は、中空状態になっており、樹脂が封止されていない。
【0078】
他の点は、本発明の前提となる半導体装置と同様である。
【0079】
(半導体装置の製造方法)
半導体装置の製造方法を図8に示す工程断面図を用いて説明する。
【0080】
パターン形成工程S202では、COFテープ220において、接続端子部25及び接続端子部保護被膜部26の上に補強層229のパターンが、印刷技術を用いて形成される。具体的には、図8(a)に示すように、接続端子部25においてボンディング部30がボンディングされる箇所を中心にして、半球状に補強層229のパターンが形成される。
【0081】
ボンディング工程S203では、熱圧着装置70の代わりに熱圧着装置270が用いてボンディングが行われる。熱圧着装置270は、ボンディングツール72の代わりにボンディングツール272を有する。ボンディングツール272は、PIフィルム221の裏面221cに対して第1面10aの端部10bに近い部分272bの接触面積が第1面10aの面積中心AC1に近い部分272aの接触面積よりも多くなるように、PIフィルム221を加熱している。これにより、図8(b)に示すように、ボンディングツール72の熱がPIフィルム21bを介して配線層27及び補強層229bに効率的に伝達されるので、補強層229bは、第1面10aの端部10bの付近において半導体基板10と配線層27とを機械的につなぐように形成される。
【0082】
樹脂封止工程S4は、削減されている。
【0083】
他の点は、本発明の前提となる半導体装置と同様である。
【0084】
(半導体装置に関する特徴)
(1)
ここでは、補強層229は、ボンディング部30の付近で半導体基板10と配線層27とをつないでいる。これにより、第1面10aとPIフィルム221との間を全面的に樹脂封止しなくても、ボンディング部30を補強することができるようになっている。すなわち、空気だまりV1が残留しやすい領域である第2領域VA2を樹脂封止しなくても、ボンディング部30を補強することができるようになっている。すなわち、第2領域VA2に封止樹脂50(図1参照)が流れ込まないようになっている。
【0085】
このように、半導体基板10とCOFテープ220との間に空気だまりV1が残留することが十分に抑制されているので、品質の低下は低減されている。
【0086】
(2)
ここでは、ボンディング部30は、熱圧着されて、半導体基板10とCOFテープ220とをボンディングする。また、補強層229は、熱軟化性の性質を有する。これらにより、ボンディング部30が半導体基板10とCOFテープ220とをボンディングするようにする工程と、補強層229が形成される工程とは同時に行われている。
【0087】
(3)
ここでは、ボンディングツール272は、PIフィルム221bの裏面221cに対して第1面10aの端部10bに近い部分272bの接触面積が第1面10aの面積中心AC1に近い部分272aの接触面積よりも多くなるように、PIフィルム221bを加熱している。これにより、PIフィルム221は、第1面10aの端部10bに近い部分221bの温度が第1面10aの面積中心AC1に近い部分221aの温度よりも高くなる。このため、PIフィルム221を介して補強層229が効果的に加熱されるので、ボンディング部30の付近で半導体基板10と配線層27とが機械的につながれるように補強層229は形成される。
【0088】
(4)
ここでは、樹脂封止工程S4が削減されている。これにより、製造コストは低減している。
【0089】
(第2実施形態の変形例)
(A)補強層229は、熱軟化性の樹脂で形成されている代わりに、熱可塑性の樹脂で形成されていても良い。この場合でも、ボンディング部30が半導体基板10とCOFテープ220とをボンディングするようにする工程と、補強層229が形成される工程とは同時に行われる。
【0090】
(B)半導体装置200iは、図9に示すように、配線層27(図4参照)の代わりに配線層227iを有していても良い。配線層227iは、スパッタシード層22,スパッタCu層23及びCuメッキ層24の代わりに、Cu箔層224iを有する。
【0091】
<第3実施形態に係る半導体装置>
第3実施形態に係る半導体装置の断面図を図10に示す。なお、本発明の前提となる半導体装置と異なる部分を中心に説明し、同様の部分は同じ記号を用いて表し説明を省略する。
【0092】
(半導体装置の構成)
半導体装置300は、COFテープ20の代わりにCOFテープ320を備え、封止樹脂50の代わりに封止樹脂350を備える。
【0093】
COFテープ320は、PIフィルム21の代わりにPIフィルム321を有し、第2接着剤層328をさらに有する。第2接着剤層328は、熱軟化性の樹脂で形成されている。また、第2接着剤層328は、第1面10aの面積中心AC1の付近において、第1面10aに接するとともに、半導体基板10とCOFテープ320との隙間である第1領域VA1を埋めるように形成されている。
【0094】
封止樹脂350は、半導体基板10とCOFテープ320との隙間に封止されている。すなわち、封止樹脂350は、第2接着剤層328が埋められた領域を除く半導体基板10とPIフィルム321との隙間に封止されている。ここで、第2接着剤層328は、第1面10aの面積中心AC1の付近において、第1面10aに接するとともに、半導体基板10とCOFテープ320との隙間である第1領域VA1を埋めるように形成されている。これにより、第2領域VA2に第2接着剤層328が埋められており、第2領域VA2に封止樹脂150が流れ込まないようになっている。また、封止樹脂350の使用量は封止樹脂50の使用量より少なくすることができるようになっている。
【0095】
他の点は、本発明の前提となる半導体装置と同様である。
【0096】
(半導体装置の製造方法)
半導体装置の製造方法を図11に示す工程断面図を用いて説明する。
【0097】
パターン形成工程S302では、COFテープ220において、PIフィルム321の上に補強層229のパターンが、印刷技術を用いて形成される。具体的には、図11(a)に示すように、第1領域VA1と縦横の寸法が同様であり高さが若干高くなった部分に、略直方体状に第2接着剤層328のパターンが形成される。
【0098】
ボンディング工程S303では、熱圧着装置70の代わりに熱圧着装置370が用いてボンディングが行われる。熱圧着装置370は、ボンディングツール72の代わりにボンディングツール372を有する。ボンディングツール372は、図11(b)に示すように、PIフィルム321の裏面321cに対して第1面10aの面積中心AC1に近い部分372aの接触面積が第1面10aの端部10bに近い部分372bの接触面積よりも多くなるように、PIフィルム321を加熱している。これにより、図11(c)に示すように、第2接着剤層328は、第1面10aの面積中心AC1の付近において、第1面10aに接するとともに、半導体基板10とCOFテープ320との隙間である第1領域VA1を埋めるように変形する。このとき、第2接着剤層328は、熱軟化性の樹脂で形成されているので、第1領域VA1を埋めるように容易に変形するとともに、容易に第1面10aに接着される。これにより、半導体基板10とPIフィルム321との隙間は、半導体基板10とPIフィルム21との隙間(図3(b)参照)よりも大幅に小さくなっている。
【0099】
樹脂封止工程S304では、隙間40に、封止樹脂350が溶融状態で流し込まれて封止される。このとき、第2領域VA2を含む第1領域VA1を埋めるように第2接着剤層328が形成されているので、第2領域VA2に封止樹脂350が流れ込まないようになっている。
【0100】
他の点は、本発明の前提となる半導体装置と同様である。
【0101】
(半導体装置に関する特徴)
(1)
ここでは、第2接着剤層328は、第1面10aの面積中心AC1の付近において、第1面10aに接するとともに、半導体基板10とCOFテープ320との隙間である第1領域VA1を埋めるように形成されている。これにより、空気だまりV1(図1参照)が残留しやすい領域である第2領域VA2に封止樹脂350が流れ込まないようになっている。
【0102】
このように、半導体基板10とCOFテープ320との間に空気だまりV1が残留することが十分に抑制されているので、品質の低下は低減されている。
【0103】
(2)
ここでは、ボンディング部30は、熱圧着されて、半導体基板10とCOFテープ320とをボンディングする。また、第2接着剤層328は、熱軟化性の性質を有する。これらにより、ボンディング部30が半導体基板10とCOFテープ320とをボンディングするようにする工程と、第2接着剤層328が第1領域VA1を埋めるようにされる工程とは同時に行われている。
【0104】
(3)
ここでは、ボンディングツール372は、PIフィルム321の裏面321cに対して第1面10aの面積中心AC1に近い部分372aの接触面積が第1面10aの端部10bに近い部分372bの接触面積よりも多くなるように、PIフィルム321を加熱している。これにより、PIフィルム321は、第1面10aの面積中心AC1に近い部分321aの温度が第1面10aの端部10bに近い部分321bの温度よりも高くなる。このため、PIフィルム321を介して第2接着剤層328が効果的に加熱されるので、PIフィルム321と半導体基板10との隙間が埋められるように第2接着剤層328は形成される。
(第3実施形態の変形例)
(A)第2接着剤層328は、熱軟化性の樹脂で形成されている代わりに、熱可塑性の樹脂で形成されていても良い。この場合でも、ボンディング部30が半導体基板10とCOFテープ320とをボンディングするようにする工程と、第2接着剤層328が第1領域VA1を埋めるようにされる工程とは同時に行われる。
【0105】
(B)半導体装置300iは、図12に示すように、配線層27(図4参照)の代わりに配線層327iを有していても良い。配線層327iは、スパッタシード層22,スパッタCu層23及びCuメッキ層24の代わりに、Cu箔層324iを有する。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明に係る半導体装置、ボンディングシステム及び半導体装置の製造方法は、品質の低下を低減できるという効果を有し、半導体装置、ボンディングシステム及び半導体装置の製造方法等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の前提となる半導体装置の断面図。
【図2】半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図3】半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図4】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の断面図。
【図5】半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図6】本発明の第1実施形態の変形例に係る半導体装置の断面図。
【図7】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の断面図。
【図8】半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図9】本発明の第2実施形態の変形例に係る半導体装置の断面図。
【図10】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の断面図。
【図11】半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図12】本発明の第3実施形態の変形例に係る半導体装置の断面図。
【符号の説明】
【0108】
1、100,200,300 半導体装置
10 半導体基板
20,120,220,320 COFテープ
30 ボンディング部
50,150,350 封止樹脂
70,170,270,370 熱圧着装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板がボンディングされたCOFテープと、
を備え、
前記半導体基板は、前記COFテープに向く第1面を有し、
前記COFテープは、
第1接着剤層と、
前記第1接着剤層を介して前記半導体基板に接着される絶縁層と、
を有し、
前記半導体基板の前記第1面と前記COFテープとの間の距離は、前記第1面の面積中心に近い領域と前記第1面の端部に近い領域とで異なる、
半導体装置。
【請求項2】
前記COFテープは、前記第1面の面積中心に近い部分の前記第1面に対する距離が、前記第1面の端部に近い部分の前記第1面に対する距離よりも小さくなるように、前記第1面に接している、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
熱圧着されて、前記半導体基板と前記COFテープとをボンディングするボンディング部をさらに備え、
前記第1接着剤層は、熱可塑性及び熱軟化性のいずれかの性質を有する、
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置と、
前記半導体基板と前記COFテープとを熱圧着する熱圧着装置と、
を備え、
前記熱圧着装置は、
前記半導体基板を保持するとともに加熱する第1治具と、
前記COFテープの前記絶縁層を保持するとともに加熱する第2治具と、
を有し、
前記第2治具は、前記絶縁層に対して前記第1面の面積中心に近い部分の接触面積が前記第1面の端部に近い部分の接触面積よりも多くなるように、前記絶縁層を加熱する、
ボンディングシステム。
【請求項5】
半導体基板と、
前記半導体基板がボンディングされたCOFテープと、
前記半導体基板と前記COFテープとをボンディングするボンディング部と、
を備え、
前記半導体基板は、前記COFテープに向く第1面を有し、
前記COFテープは、
絶縁層と、
前記ボンディング部を介して前記半導体基板と電気的に接続されるように、前記絶縁層の上に形成される配線層と、
前記第1面の端部の付近において前記半導体基板と前記配線層とを機械的につなぐ補強層と、
を有する、
半導体装置。
【請求項6】
前記ボンディング部は、熱圧着されて、前記半導体基板と前記COFテープとをボンディングし、
前記補強層は、熱可塑性及び熱軟化性のいずれかの性質を有する、
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の半導体装置と、
前記半導体基板と前記COFテープとを熱圧着する熱圧着装置と、
を備え、
前記熱圧着装置は、
前記半導体基板を保持するとともに加熱する第1治具と、
前記COFテープの前記絶縁層を保持するとともに加熱する第2治具と、
を有し、
前記第2治具は、前記絶縁層に対して前記第1面の端部に近い部分の接触面積が前記第1面の面積中心に近い部分の接触面積よりも多くなるように、前記絶縁層を加熱する、
ボンディングシステム。
【請求項8】
半導体基板と、
前記半導体基板がボンディングされたCOFテープと、
を備え、
前記半導体基板は、前記COFテープに向く第1面を有し、
前記COFテープは、
絶縁層と、
前記第1面の面積中心の付近において、前記第1面に接するとともに、前記絶縁層と前記半導体基板との隙間を埋めるように形成された第2接着剤層と、
を有する、
半導体装置。
【請求項9】
熱圧着されて、前記半導体基板と前記COFテープとをボンディングするボンディング部をさらに備え、
前記第2接着剤層は、熱可塑性及び熱軟化性のいずれかの性質を有する、
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の半導体装置と、
前記半導体基板と前記COFテープとを熱圧着する熱圧着装置と、
を備え、
前記熱圧着装置は、
前記半導体基板を保持するとともに加熱する第1治具と、
前記COFテープの前記絶縁層を保持するとともに加熱する第2治具と、
を有し、
前記第2治具は、前記絶縁層に対して前記第1面の面積中心に近い部分の接触面積が前記第1面の端部に近い部分の接触面積よりも多くなるように、前記絶縁層を加熱する、
ボンディングシステム。
【請求項11】
半導体基板及びCOFテープが準備される準備工程と、
前記半導体基板の第1面に素子のパターンが形成され、前記COFテープに配線パターンが形成されるパターン形成工程と、
前記半導体基板と前記COFテープとが熱圧着されて、前記半導体基板が前記COFテープにボンディングされるボンディング工程と、
を備え、
前記ボンディング工程では、前記COFテープにおいて前記第1面の面積中心に近い部分が、前記COFテープにおいて前記第1面の端部に近い部分よりも前記第1面に近づくように湾曲されて、前記第1面に接着される、
半導体装置の製造方法。
【請求項12】
半導体基板及びCOFテープが準備される準備工程と、
前記半導体基板の第1面に素子のパターンが形成され、前記COFテープに配線パターンが形成されるパターン形成工程と、
前記半導体基板と前記COFテープとが熱圧着されて、前記半導体基板が前記COFテープにボンディングされるボンディング工程と、
を備え、
前記ボンディング工程では、前記第1面の端部の付近において前記半導体基板と前記COFテープとの間が機械的につながれる、
半導体装置の製造方法。
【請求項13】
半導体基板及びCOFテープが準備される準備工程と、
前記半導体基板の第1面に素子のパターンが形成され、前記COFテープに配線パターンが形成されるパターン形成工程と、
前記半導体基板と前記COFテープとが熱圧着されて、前記半導体基板が前記COFテープにボンディングされるボンディング工程と、
を備え、
前記ボンディング工程では、前記第1面の面積中心の付近において、前記半導体基板と前記COFテープとの隙間を埋めるように前記半導体基板と前記COFテープとが接着される、
半導体装置の製造方法。
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板がボンディングされたCOFテープと、
を備え、
前記半導体基板は、前記COFテープに向く第1面を有し、
前記COFテープは、
第1接着剤層と、
前記第1接着剤層を介して前記半導体基板に接着される絶縁層と、
を有し、
前記半導体基板の前記第1面と前記COFテープとの間の距離は、前記第1面の面積中心に近い領域と前記第1面の端部に近い領域とで異なる、
半導体装置。
【請求項2】
前記COFテープは、前記第1面の面積中心に近い部分の前記第1面に対する距離が、前記第1面の端部に近い部分の前記第1面に対する距離よりも小さくなるように、前記第1面に接している、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
熱圧着されて、前記半導体基板と前記COFテープとをボンディングするボンディング部をさらに備え、
前記第1接着剤層は、熱可塑性及び熱軟化性のいずれかの性質を有する、
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置と、
前記半導体基板と前記COFテープとを熱圧着する熱圧着装置と、
を備え、
前記熱圧着装置は、
前記半導体基板を保持するとともに加熱する第1治具と、
前記COFテープの前記絶縁層を保持するとともに加熱する第2治具と、
を有し、
前記第2治具は、前記絶縁層に対して前記第1面の面積中心に近い部分の接触面積が前記第1面の端部に近い部分の接触面積よりも多くなるように、前記絶縁層を加熱する、
ボンディングシステム。
【請求項5】
半導体基板と、
前記半導体基板がボンディングされたCOFテープと、
前記半導体基板と前記COFテープとをボンディングするボンディング部と、
を備え、
前記半導体基板は、前記COFテープに向く第1面を有し、
前記COFテープは、
絶縁層と、
前記ボンディング部を介して前記半導体基板と電気的に接続されるように、前記絶縁層の上に形成される配線層と、
前記第1面の端部の付近において前記半導体基板と前記配線層とを機械的につなぐ補強層と、
を有する、
半導体装置。
【請求項6】
前記ボンディング部は、熱圧着されて、前記半導体基板と前記COFテープとをボンディングし、
前記補強層は、熱可塑性及び熱軟化性のいずれかの性質を有する、
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の半導体装置と、
前記半導体基板と前記COFテープとを熱圧着する熱圧着装置と、
を備え、
前記熱圧着装置は、
前記半導体基板を保持するとともに加熱する第1治具と、
前記COFテープの前記絶縁層を保持するとともに加熱する第2治具と、
を有し、
前記第2治具は、前記絶縁層に対して前記第1面の端部に近い部分の接触面積が前記第1面の面積中心に近い部分の接触面積よりも多くなるように、前記絶縁層を加熱する、
ボンディングシステム。
【請求項8】
半導体基板と、
前記半導体基板がボンディングされたCOFテープと、
を備え、
前記半導体基板は、前記COFテープに向く第1面を有し、
前記COFテープは、
絶縁層と、
前記第1面の面積中心の付近において、前記第1面に接するとともに、前記絶縁層と前記半導体基板との隙間を埋めるように形成された第2接着剤層と、
を有する、
半導体装置。
【請求項9】
熱圧着されて、前記半導体基板と前記COFテープとをボンディングするボンディング部をさらに備え、
前記第2接着剤層は、熱可塑性及び熱軟化性のいずれかの性質を有する、
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の半導体装置と、
前記半導体基板と前記COFテープとを熱圧着する熱圧着装置と、
を備え、
前記熱圧着装置は、
前記半導体基板を保持するとともに加熱する第1治具と、
前記COFテープの前記絶縁層を保持するとともに加熱する第2治具と、
を有し、
前記第2治具は、前記絶縁層に対して前記第1面の面積中心に近い部分の接触面積が前記第1面の端部に近い部分の接触面積よりも多くなるように、前記絶縁層を加熱する、
ボンディングシステム。
【請求項11】
半導体基板及びCOFテープが準備される準備工程と、
前記半導体基板の第1面に素子のパターンが形成され、前記COFテープに配線パターンが形成されるパターン形成工程と、
前記半導体基板と前記COFテープとが熱圧着されて、前記半導体基板が前記COFテープにボンディングされるボンディング工程と、
を備え、
前記ボンディング工程では、前記COFテープにおいて前記第1面の面積中心に近い部分が、前記COFテープにおいて前記第1面の端部に近い部分よりも前記第1面に近づくように湾曲されて、前記第1面に接着される、
半導体装置の製造方法。
【請求項12】
半導体基板及びCOFテープが準備される準備工程と、
前記半導体基板の第1面に素子のパターンが形成され、前記COFテープに配線パターンが形成されるパターン形成工程と、
前記半導体基板と前記COFテープとが熱圧着されて、前記半導体基板が前記COFテープにボンディングされるボンディング工程と、
を備え、
前記ボンディング工程では、前記第1面の端部の付近において前記半導体基板と前記COFテープとの間が機械的につながれる、
半導体装置の製造方法。
【請求項13】
半導体基板及びCOFテープが準備される準備工程と、
前記半導体基板の第1面に素子のパターンが形成され、前記COFテープに配線パターンが形成されるパターン形成工程と、
前記半導体基板と前記COFテープとが熱圧着されて、前記半導体基板が前記COFテープにボンディングされるボンディング工程と、
を備え、
前記ボンディング工程では、前記第1面の面積中心の付近において、前記半導体基板と前記COFテープとの隙間を埋めるように前記半導体基板と前記COFテープとが接着される、
半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−220840(P2007−220840A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−38774(P2006−38774)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
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