説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】簡素な半導体素子の吊り下げ支持構造を実現することで、小型化や製造効率向上等に容易に対応できる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体素子1と、前記半導体素子1の外周に対応した形状の内周枠部4aおよび外周枠部4bを有してなる二重構造の枠体4と、前記枠体4によって一端近傍が保持されるリードフレーム2と、前記内周枠部4aと前記外周枠部4bとの間に配されて前記半導体素子1と前記リードフレーム2を電気的に接続する電気接続部5とを備えて、半導体装置を構成する。そして、前記半導体素子1の前記枠体4への当接によって当該半導体素子1の前記リードフレーム2に対する位置が定まり、前記枠体4および前記電気接続部5を介在させた接合により前記半導体素子1が前記リードフレーム2に吊り下げ支持されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置は、電子基板上に搭載されて用いられる。ただし、半導体装置の底面の全領域が電子基板に接合されていると、外力等が加わって電子基板に歪みが生じた場合に、その悪影響が半導体装置にも及び易くなってしまう。このような悪影響は、例えば半導体素子がイメージセンサ等の受光素子である場合には、撮像性能の劣化を招く要因となり得るため、未然に回避すべきである。このことから、例えば受光素子である半導体素子を具備した半導体装置については、セラミック材からなる支持部材を用いて、当該半導体素子が吊り下げ支持されるように構成することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−200621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術による半導体素子の吊り下げ支持構造では、セラミック材からなる支持部材を必要とする。そのため、半導体装置の厚さやサイズ等が大きくなってしまい、当該半導体装置の小型化等に対応することが必ずしも容易ではない。また、その製造効率の向上を図ることについても、必ずしも容易ではない。
【0005】
そこで、本発明は、簡素な半導体素子の吊り下げ支持構造を実現することで、小型化や製造効率向上等に容易に対応することのできる半導体装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために案出された半導体装置で、半導体素子と、前記半導体素子の外周に対応した形状の内周枠部および外周枠部を有してなる二重構造の枠体と、前記枠体によって一端近傍が保持されるリードフレームと、前記内周枠部と前記外周枠部との間に配されて前記半導体素子と前記リードフレームを電気的に接続する電気接続部とを備え、前記半導体素子の前記枠体への当接によって当該半導体素子の前記リードフレームに対する位置が定まり、前記枠体および前記電気接続部を介在させた接合により前記半導体素子が前記リードフレームに吊り下げ支持されるように構成されている半導体装置である。
【0007】
上記構成の半導体装置では、半導体素子からの信号取り出し等を行うために当該半導体素子と導通するリードフレームを利用して、当該半導体素子の吊り下げ支持構造が実現される。そのため、当該吊り下げ支持構造の実現のために、例えばセラミック材からなる支持部材を必要とすることがない。しかも、当該吊り下げ支持構造の実現にあたり、枠体の内周枠部および外周枠部に半導体素子を当接させれば、当該半導体素子のリードフレームに対する位置が定まる。さらには、電気接続部が内周枠部と外周枠部との間に配されているので、例えば当該電気接続部が流動性のある部材を用いて形成される場合であっても、当該部材が枠体の外部へ流出してしまうことがない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えばセラミック材からなる支持部材を必要とすることなく、簡素な半導体素子の吊り下げ支持構造を実現することができる。したがって、当該支持部材を必要とする場合に比べて、半導体装置の厚さやサイズ等が大きくなってしまうことがなく、当該半導体装置の小型化等に容易に対応することできる。しかも、当該支持部材等の形成が不要になることに加え、半導体素子の位置決めや電気接続部の構成部材の流出防止等も容易に行えるので、半導体装置の製造効率向上も容易に図れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る半導体装置の概略構成例を示す説明図である。
【図2】本発明に係る半導体装置の特徴的な構成例を示す説明図である。
【図3】本発明に係る半導体装置の製造方法の一具体例を示す流れ図である。
【図4】本発明に係る半導体装置における枠体の一具体例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づき本発明に係る半導体装置およびその製造方法について説明する。
【0011】
[半導体装置の概略構成例]
先ず、半導体装置の概略構成を説明する。
図1は、本発明に係る半導体装置の概略構成例を示す説明図であり、(a)は半導体装置を上面側からみた斜視図、(b)は半導体装置を下面側からみた斜視図、(c)は半導体装置の側断面図を示している。
図例の半導体装置は、半導体素子1と、リードフレーム2と、透光性部材3と、枠体4と、を備えている。
半導体素子1は、半導体装置のコアチップとなるものであり、具体的にはフォトダイオード、ラインセンサ、イメージセンサ等の受光素子が挙げられる。ただし、必ずしも受光素子に限定されることはなく、例えばマイクロマシンと呼ばれるMEMS(Micro Electro-Mechanical Systems)素子といった他の半導体素子であっても構わない。
リードフレーム2は、半導体素子1と導通して、当該半導体素子1からの電気信号の取り出しを行うためのものである。この電気信号の取り出しのために、リードフレーム6は、例えば金属薄板によって形成されている。そして、図1(a),(b)に示すように、半導体素子1の四方側のそれぞれに向けて延出するように配されている。さらには、図1(c)に示すように、四方側のそれぞれへの延出先にて下方側に向けて折り曲げられているとともに、その折り曲げ先にて内側に向けて折り曲げられている。つまり、リードフレーム2は、半導体素子1の四方側のそれぞれにて、側断面がチャンネル形状に形成されている。ただし、必ずしもチャンネル形状である必要はなく、後述する電子基板上のバンプ等との導通を確保しつつ半導体素子1の吊り下げ支持構造を実現し得る形状であれば、他の形状であっても構わない。
透光性部材3は、例えば半導体素子1が受光素子である場合に、その半導体素子1が有する受光領域部1aを覆うように配されたものである。具体的には、受光領域部1aを保護するためにガラス、石英、サファイヤ、透明樹脂からなる平板状蓋体が挙げられる。また、受光領域部1aへの集光を行うレンズ体を用いることも考えられる。ただし、透光性部材3は、必須な構成ではなく、半導体素子1が受光素子以外である場合には備えていなくても構わない。
枠体4は、絶縁性を有した形成材料によって形成され、半導体素子1の外周側に当該外周を囲うように配されたもので、半導体素子1、リードフレーム2および透光性部材3についての支持具として機能するものである。なお、この枠体4については、詳細を後述する。
【0012】
このような構成の半導体装置は、図1(c)に示すように、電子基板11上に搭載されて用いられる。さらに具体的には、電子基板11上に形成されたバンプ12と、リードフレーム2の折り曲げ端とが、互いに接合した状態で用いられる。
このとき、半導体装置における半導体素子1は、後述するように吊り下げ支持されている。したがって、半導体素子1は、その下面側と電子基板11の上面とに間隙を有した状態で、当該電子基板11上に配されることになる。
【0013】
[半導体装置の要部構成例]
続いて、半導体装置の要部構成を説明する。ここで説明する要部構成が、本発明に係る半導体装置の特徴点に相当する。
図2は、本発明に係る半導体装置の特徴的な構成例を示す説明図であり、(a)は半導体装置の全体についての側面図、(b)は(a)中におけるA部を拡大した側断面図を示している。
【0014】
図2(b)に示すように、半導体装置を構成する枠体4は、半導体素子1の外周に対応した形状の内周枠部4aおよび外周枠部4bを有してなる二重構造となっている。ここで、半導体素子1の外周に対応した形状とは、当該外周の形状と同一視できる形状をいい、具体的には当該外周の形状との相似形状が挙げられる。したがって、例えば半導体素子1の外周が矩形状に形成されている場合であれば、枠体4は、当該外周に対応して、平面形状が矩形状の内周枠部4aと、その内周枠部4aの外周側を囲うように配された平面形状が矩形状の外周枠部4bと、を有して構成される。これにより、枠体4は、内周枠部4aと外周枠部4bとのそれぞれが、平面からみると二重の四角形を描くように配されることになる。
【0015】
リードフレーム2は、内周枠部4aと外周枠部4bとの二重構造を有する枠体4によって、電子基板11上のバンプ12との接合端とは反対側の端縁近傍が保持される。すなわち、当該端縁近傍が枠体4によって上下から挟まれ、内周枠部4aおよび外周枠部4bのそれぞれをリードフレーム2が貫通する。これにより、リードフレーム2は、バンプ12との接合端とは反対側の端縁近傍が、枠体4によって保持されることになる。
【0016】
半導体素子1は、内周枠部4aと外周枠部4bとの二重構造を有する枠体4に当接するように配されている。そして、枠体4への当接によって、半導体素子1のリードフレーム2に対する位置が定まるようになっている。
さらに詳しくは、図2(b)からも明らかなように、半導体素子1の上面が内周枠部4aにおける下端に当接することによって、当該半導体素子1とリードフレーム2との間隔(図中における上下方向位置)が定まるようになっている。また、半導体素子1の外周側端縁が外周枠部4bの内周側端縁に当接することによって、当該半導体素子1のリードフレーム2に対する平面位置(図中における左右方向位置)が定まるようになっている。
【0017】
また、半導体素子1の受光領域部1aを覆う透光性部材3についても、枠体4に当接するように配されている。そして、枠体4への当接によって、透光性部材3の半導体素子1およびリードフレーム2に対する位置が定まるようになっている。具体的には、透光性部材3の下面が内周枠部4aにおける上端に当接することによって、当該透光性部材3と半導体素子1との間隔(図中における上下方向位置)が定まるようになっている。つまり、枠体4は、透光性部材3の支持具としての機能も兼ね備えているのである。
【0018】
このような枠体4を構成する内周枠部4aと外周枠部4bとの間には、半導体素子1における端子1bと、これに対応するリードフレーム2とを、それぞれ電気的に接続する電気接続部5が配されている。電気接続部5は、例えばはんだバンプによって形成することが考えられる。ただし、電気的な接続を確保し得るものであれば、はんだバンプ以外によって実現しても構わない。
【0019】
また、内周枠部4aと外周枠部4bとの間には、電気接続部5を封止する封止樹脂6が充填されている。封止樹脂6としては、一般に電子部品封止用として用いられるエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等を主成分とする熱硬化性材料、または、ポリフェニレンスルファイド(PPS)等の結晶性高分子を主成分とする熱可塑性材料等を使用することが考えられる。
【0020】
このような要部構成を備えた半導体装置では、半導体素子1とリードフレーム2とが、枠体4、電気接続部5および封止樹脂6を介在させた状態で互いに接合される。つまり、枠体4、電気接続部5および封止樹脂6を介在させた接合により、半導体素子1は、リードフレーム2に吊り下げ支持されるのである。
【0021】
[半導体装置の製造方法]
次に、以上のような構成の半導体装置の製造方法について説明する。
図3は、本発明に係る半導体装置の製造方法の一具体例を示す流れ図である。
【0022】
上述した構成の半導体装置の製造にあたっては、Cu等の金属薄板からなるリードフレームの集合基板を用意し、その集合基板に20μm厚程度のSn−Agメッキを行う。そして、その集合基板を金型にセットしてモールド樹脂封止を行って、図3(a)に示すように、リードフレーム2となる箇所のそれぞれに対応するように、内周枠部4aおよび外周枠部4bを有してなる二重構造の枠体4を形成する。さらに、枠体4の形成後は、リードフレーム2のタイバーとなる部分について、その側断面がチャンネル形状となるように曲げ加工を行う。この曲げ加工を行う際には、形成した枠体4を上下から挟んで固定しておくことが考えられる。
【0023】
その後は、図3(b)に示すように、枠体4を構成する内周枠部4aと外周枠部4bとの間に、ディスペンサによる液状樹脂の注入を行う。ここで注入する液状樹脂は、硬化後に封止樹脂6となるものである。
このように、内周枠部4aと外周枠部4bとの間に液状樹脂を注入すれば、当該液状樹脂は、内周枠部4aと外周枠部4bとが側壁となりリードフレーム2が底板となって構成される空間内に滞留することになる。つまり、硬化前の液状樹脂を注入する場合であっても、内周枠部4aと外周枠部4bとが当該液状樹脂の流れ止めとして機能し、その結果として液だれをしない構造を実現することができる。
【0024】
その一方で、リードフレーム2に接合すべき半導体素子1については、図3(c)に示すように、当該半導体素子1における端子1b上に、はんだバンプ等の電気接続部5を形成しておく。
【0025】
なお、上述した、図3(a)(b)の各工程と、図3(c)の工程とは、どちらを先に行ってもよく、また並行して行ってもよい。
【0026】
その後は、図3(d)に示すように、半導体素子1とリードフレーム2との接合を行う。すなわち、枠体4が形成され内周枠部4aと外周枠部4bとの間に液状樹脂が注入されたリードフレーム2の上方側から、例えばダイマウンタを用いて、電気接続部5が当該リードフレーム2の側に向く状態で、当該電気接続部5が形成された半導体素子1を搭載する。
このとき、載置後の半導体素子1は、枠体4との当接によって、その位置が定まることになる。具体的には、半導体素子1が内周枠部4aに当接することによって、当該半導体素子1の上下方向位置が定まる。さらには、半導体素子1が外周枠部4bの内周側端縁に当接することによって、当該半導体素子1の平面位置(左右前後方向位置)が定まる。つまり、枠体4に当接するように半導体素子1を載置するだけで、当該半導体素子1がリードフレーム2に対して位置決めされることになり、これらの間のアライメント調整作業を行う必要がない。
【0027】
そして、半導体素子1を搭載したら、例えばリフローで240℃、5秒(ピーク温度)の条件により、液状樹脂および電気接続部5の両方について、併せて接続固定を行う。このとき、液状樹脂はフラックスとして作用しアンダーフィルの機能を兼ね備えているので、リフロー後の洗浄工程を必要としない。
これにより、半導体素子1とリードフレーム2とは、図3(e)に示すように、枠体4、電気接続部5および封止樹脂6を介在させた状態で、互いに接合されることになる。つまり、半導体素子1がリードフレーム2に吊り下げ支持されるのである。
【0028】
その後は、図3(f)に示すように、半導体素子1の受光領域部1aを覆う透光性部材3を装着する。透光性部材3の装着は、当該透光性部材3を枠体4へ当接させることによって行う。具体的には、枠体4を構成する内周枠部4aの上面に接着剤を塗布しておき、その上に透光性部材3を載置した後、例えば180℃、1分の条件でプレス加工を行って、透光性部材3を装着する。このような条件であれば、電気接続部5および封止樹脂6による接合箇所に与える影響はない。
【0029】
透光性部材3の装着後は、例えばレーザーカットまたはダイシングカットを行って、集合基板からの切り離しを行う。
以上のような各工程を経ることで、上述した構成の半導体装置が製造される。
【0030】
なお、上述した各工程において、モールド樹脂封止、タイバーの曲げ加工、ダイマウンタによるチップ搭載、リフロー、レーザーカット、ダイシングカット等の具体的手法については、公知技術を利用して行えばよいため、その説明を省略している。すなわち、特段の説明がない点については、公知技術を利用して行えばよく、その内容が特に限定されるものではない。
【0031】
[半導体装置の特性]
次に、以上のような構成の半導体装置の特性について説明する。
【0032】
上述した構成の半導体装置は、半導体素子1がリードフレーム2に吊り下げ支持されるように構成されている。つまり、半導体素子1からの信号取り出し等を行うために当該半導体素子1と導通するリードフレーム2を利用して、当該半導体素子1の吊り下げ支持構造が実現される。
そのため、当該吊り下げ支持構造の実現のために、例えばセラミック材からなる支持部材を必要とすることがない。しかも、当該吊り下げ支持構造の実現にあたり、枠体4の内周枠部4aおよび外周枠部4bに半導体素子1を当接させれば、当該半導体素子1のリードフレーム2に対する位置が定まる。さらには、電気接続部5が内周枠部4aと外周枠部4bとの間に配されているので、例えば当該電気接続部5が流動性のある液状樹脂等の部材を用いて形成される場合であっても、当該部材が枠体4の外部へ流出してしまうことがない。
したがって、支持部材を必要とする場合に比べて、半導体装置の厚さやサイズ等が大きくなってしまうことがなく、当該半導体装置の小型化等に容易に対応することできる。つまり、比較的、小型で軽量の半導体装置を実現できるようになる。
しかも、支持部材を必要としないので、既存の製造設備が利用して製造することが可能となり、半導体装置の製造効率の低下を招いてしまうこともない。このことは、製造コストを抑制した半導体装置を製造し得ることを意味する。
また、リードフレーム2を利用して半導体素子1の吊り下げ支持構造を実現することから、温度変化や電子基板11の歪み等による影響で半導体装置に応力が作用し得る場合であっても、その応力を当該リードフレーム2の曲げ点で吸収することができる。つまり、応力緩和特性が非常に優れたものとなる。そのため、例えば半導体素子1がイメージセンサ等の受光素子である場合であっても、撮像性能の劣化等を招く要因を排除し得る。
特に、リードフレーム2の側断面がチャンネル形状に形成されている場合であれば、応力緩和特性を優れたものとする上でより一層好適なものとなる。チャンネル形状の場合、リードフレーム2の先端が内側(半導体素子1の側)に向けて折り曲げられる。そのため外側に折り曲げられる場合に比べて、電子基板11との接合箇所と半導体素子1との間の距離が小さくなり、これにより当該半導体素子1に及ぶモーメントの影響が小さくなるからである。
さらには、半導体素子1の吊り下げ支持構造を採用すれば、当該半導体素子1と電子基板11との間に、他の電子回路部品を配設することが可能となる。したがって、電子基板11上のスペースを有効活用し得るようになり、このことを通じて当該電子基板11の小型化等に容易に対応できるようになる。
【0033】
また、上述した構成の半導体装置では、リードフレーム2による半導体素子1の吊り下げ支持構造の実現にあたり、内周枠部4aと外周枠部4bとの二重構造を有する枠体4を利用する。そして、枠体4は、半導体素子1の内周枠部4aへの当接によって当該半導体素子1とリードフレーム2との間隔が定まり、半導体素子1の外周枠部4bへの当接によっての当該半導体素子1のリードフレーム2に対する平面位置が定まるように構成されている。
したがって、半導体装置の製造工程において、枠体4に当接するように半導体素子1を載置するだけで、当該半導体素子1がリードフレーム2に対して位置決めされることになり、これらの間のアライメント調整作業を行う必要がない。つまり、セラミック材からなる支持部材等の形成が不要になることに加え、半導体素子1の位置決めも容易に行えるので、半導体装置の製造効率向上も容易に図れるようになる。
【0034】
さらに、上述した構成の半導体装置では、内周枠部4aと外周枠部4bとの二重構造を有する枠体4を利用しつつ、当該内周枠部4aと当該外周枠部4bとの間に、電気接続部5を封止する封止樹脂6が充填される。
したがって、半導体素子1とリードフレーム2との電気的な接続を確保する電気接続部5は、内周枠部4a、外周枠部4bおよび封止樹脂6のそれぞれによって保護されることになる。つまり、電気接続部5を保護することで、電気的な接続が遮断される等の異常が発生するのを抑制し得るようになり、その結果として半導体装置の信頼性向上が図れるようになる。
さらには、電気接続部5が流動性のある液状樹脂等の部材を用いて形成される場合であっても、内周枠部4aと外周枠部4bとが当該液状樹脂の流れ止めとして機能するので、液だれをしない構造を実現することができる。つまり、電気接続部5の構成部材の流出防止等も容易に行えるので、半導体装置の製造効率向上も容易に図れるようになる。
【0035】
このような半導体素子1の位置決め機能および電気接続部5の構成部材の流出防止機能を実現する内周枠部4aおよび外周枠部4bについては、以下に述べるように形成することが考えられる。
図4は、枠体の一具体例を示す側断面図である。
図例のように、内周枠部4aと外周枠部4bとは、それぞれの下端側が曲面状に形成されており、それぞれの上端側が平面状に形成されている。そして、各下端側は、例えば100μm程度の段差を有している。また、各上端側についても同様に、例えば100μm程度の段差を有している。このような段差を有することで、上述したように、半導体素子1や透光性部材3等の配置位置が定まることになる。
内周枠部4aと外周枠部4bとの間隔(図中B参照)については、電気接続部5および封止樹脂6を配し得る大きさに形成されていればよく、特に限定されるものではない。ただし、半導体装置の小型化に対応するためには、極力小さく形成することが望ましい。
【0036】
また、上述した構成の半導体装置では、内周枠部4aの上面に透光性部材3が装着されている。そのため、例えば透光性部材3が平板状蓋体であれば、当該透光性部材3によって半導体素子1の受光領域部1aが保護されることになる。また、例えば透光性部材3がレンズ体であれば、当該透光性部材3によって半導体素子1の受光領域部1aへの集光が行われることになる。つまり、透光性部材3の装着は、例えば半導体素子1がイメージセンサ等の受光素子である場合に適用して非常に好適である。
透光性部材3を装着する場合には、上述したように内周枠部4aと外周枠部4bとの上端側が段差を有しつつ、当該透光性部材3の外周側端縁が外周枠部4bの上方まで及ばない大きさに形成されていることが望ましい。このような構成であれば、内周枠部4aと外周枠部4bとの間においてリードフレーム2の露出箇所が確保されることになるので、透光性部材3の装着後であっても、当該露出箇所へのテスタのピン立て等による不良解析を行うことが可能となる。さらには、段差部分を利用して、一度装着した透光性部材3を容易に取り外し得るになるので、半導体装置の製造工程における歩留まり向上に貢献することが期待される。
【0037】
なお、上述した実施の形態では、本発明の好適な実施具体例を説明したが、本発明はその内容に限定されることはない。
例えば、上述した実施の形態では、主として、半導体素子がイメージセンサ等の受光素子である場合を例に挙げて説明したが、MEMS素子等の他の半導体素子であっても全く同様に適用することが可能である。他の半導体素子である場合には、透光性部材3は必須な構成とはならないが、当該透光性部材3に代わって透光性を有していない部材を装着することも考えられる。その場合には、当該部材の装着によって、当該部材と半導体素子との間に中空構造を配置することができる。
また、例えば、上述した実施の形態で例示した具体的な形成材料や数値等は、本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
このように、本発明は、本実施形態で説明した内容に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1…半導体素子、2…リードフレーム、3…透光性部材、4…枠体、4a…内周枠部、4b…外周枠部、5…電気接続部、6…封止樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子と、
前記半導体素子の外周に対応した形状の内周枠部および外周枠部を有してなる二重構造の枠体と、
前記枠体によって一端近傍が保持されるリードフレームと、
前記内周枠部と前記外周枠部との間に配されて前記半導体素子と前記リードフレームを電気的に接続する電気接続部とを備え、
前記半導体素子の前記枠体への当接によって当該半導体素子の前記リードフレームに対する位置が定まり、前記枠体および前記電気接続部を介在させた接合により前記半導体素子が前記リードフレームに吊り下げ支持されるように構成されている
半導体装置。
【請求項2】
前記半導体素子の前記内周枠部への当接によって当該半導体素子と前記リードフレームとの間隔が定まり、前記半導体素子の前記外周枠部への当接によっての当該半導体素子の前記リードフレームに対する平面位置が定まるように構成されている
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記内周枠部と前記外周枠部との間に充填されて前記電気接続部を封止する封止樹脂
を備える請求項1または2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体素子が有する受光領域部を覆う透光性部材を備えるとともに、
前記枠体は、前記透光性部材の支持具としての機能を兼ね備えている
請求項1、2または3記載の半導体装置。
【請求項5】
リードフレームの一端近傍を保持する枠体として、半導体素子の外周に対応した形状の内周枠部および外周枠部を有してなる二重構造の枠体を形成する工程と、
前記内周枠部と前記外周枠部との間に前記半導体素子と前記リードフレームを電気的に接続するための電気接続部を配する工程と、
前記内周枠部および前記外周枠部への当接によって定まる位置に前記半導体素子を配し、前記枠体および前記電気接続部を介在させた接合により当該半導体素子が前記リードフレームに吊り下げ支持されるようにする工程と
を含む半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−165816(P2010−165816A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6284(P2009−6284)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】