半導体装置の作製方法及びレーザー照射装置
【課題】大型の基板に対応するためにランニングコストの低いレーザー照射装置を用いたレーザーアニール法において、同心円模様が形成されない、もしくは同心円模様の形成を低減するためのレーザ照射装置を提供することを目的とする。
【解決手段】複数のレーザー光を集光する手段を備える。特に、レーザー発振装置はサイズが大きいので、ファイバーアレイによりレーザー光を近接させると、光学系を簡素化できるので装置の小型化が可能になる。
【解決手段】複数のレーザー光を集光する手段を備える。特に、レーザー発振装置はサイズが大きいので、ファイバーアレイによりレーザー光を近接させると、光学系を簡素化できるので装置の小型化が可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザー光を用いたレーザーアニール装置又はレーザーの照射方法に関する。また、レーザーアニール法を含む工程を経て作製された薄膜トランジスタの作製方法又は該薄膜トランジスタを備えた半導体装置の作製方法に関する。
なお、ここでいう半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、液晶表示装置や発光装置等の電気光学装置及び該電気光学装置を部品として含む電子装置も含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
近年、ガラス等の絶縁基板上に形成された半導体膜に対し、レーザーアニール法を施して、結晶性を向上させる技術が広く研究されている。上記半導体膜には珪素がよく用いられる。本明細書中では、半導体膜をレーザー光で結晶化し、結晶質半導体膜を得る手段をレーザー結晶化という。
【0003】
従来頻繁に使用されてきた合成石英ガラス基板と比較し、ガラス基板は、安価で加工性に富んでおり、大面積基板を容易に作製できる利点を持っている。これが上記研究の行われる理由である。また、結晶化に好んでレーザーが使用されるのは、ガラス基板の融点が低いことがその理由である。レーザーは基板の温度を余り上昇させずに、半導体膜のみに高いエネルギーを与えることができる。また、レーザーは電熱炉を用いた加熱手段に比べて格段にスループットが高いという利点を有している。
【0004】
結晶質半導体は多くの結晶粒から構成されているため、多結晶半導体膜とも呼ばれる。レーザーアニール法を施して形成された結晶質半導体膜は、高い移動度を有する。そのため例えば、1枚のガラス基板上にこの結晶質半導体膜を用いて画素駆動用と駆動回路用の薄膜トランジスタ(TFT)を作り込む、モノリシック型の液晶電気光学装置等に利用されている。
【0005】
また、出力の大きい、エキシマレーザー等のパルスレーザー光を、照射面において、数cm角の四角いスポットや、長さ10cm以上の線状となるように光学系にて加工し、レーザー光を走査させて(あるいはレーザー光の照射位置を被照射面に対し相対的に移動させて)、レーザーアニール法を行う方法は量産性が高く工業的に優れているため、好んで使用されている。ところで、レーザー光を線状に加工するとは、照射面における形状が線状になるようにレーザー光を加工しておくことを意味する。即ち、レーザー光の断面形状を線状に加工することを意味する。また、ここでいう「線状」は、厳密な意味で「線」を意味しているのではなく、アスペクト比の大きい長方形もしくは楕円形状を意味する。例えば、アスペクト比が10以上(好ましくは100〜10000)のものを指す。
【0006】
特に、線状ビームを用いると、スポット状のレーザー光を用いた場合とは異なり、線状ビームの長手方向に直角な方向だけの走査で被照射面全体にレーザー照射を行うことが出来るため、量産性が高い。長手(長尺)方向に直角な方向に走査するのは、それが最も効率の良い走査方向であるからである。この高い量産性により、TFTを用いる液晶表示装置の製造技術に、レーザー光を適当な光学系で加工した線状ビームを使用するレーザーアニール法が使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
レーザー光にも様々な種類があるが、一般的にはパルス発振型のエキシマレーザーを光源とするレーザー光(以下、エキシマレーザー光という)を用いたレーザー結晶化が用いられている。エキシマレーザーは出力が大きく、高周波数での繰り返し照射が可能であるという利点を有し、さらにエキシマレーザー光は珪素膜に対しての吸収係数が高いという利点を有する。
【0008】
エキシマレーザー光を形成するには励起ガスとして、KrF(波長248nm)やXeCl(波長308nm)が用いられる。ところが、Kr(クリプトン)
やXe(キセノン)といったガスは非常に高価であり、ガス交換の頻度が高くなると製造コストの増加を招くという問題がある。
【0009】
また、レーザー発振を行うレーザチューブや発振過程で生成した不要な化合物を除去するためのガス精製器などの付属機器の交換が2〜3年に一度必要となる。これらの付属機器は高価なものが多く、やはり製造コストの増加を招くという問題がある。
【0010】
以上のように、エキシマレーザー光を用いたレーザー照射装置は確かに高い性能を持っているが、メンテナンスに非常に手間がかかり、量産用レーザー照射装置としてはランニングコスト(ここでは稼働に伴い発生する費用を意味する)が高いという欠点も併せ持っている。
【0011】
そこで、エキシマレーザーに比較してランニングコストの低いレーザー照射装置およびそれを用いたレーザーアニール法を実現するために、固体レーザー(結晶ロッドを共振キャビティとしたレーザー光を出力するレーザー)を用いる方法がある。
【0012】
そこで、代表的な固体レーザーの1つであるYAGレーザーを用いて、半導体膜に照射した。前記YAGレーザーは非線形光学素子によって第2高調波に変調したレーザー光(波長532nm)を光学系により照射面における形状が線状である線状ビームに加工した。また、前記半導体膜は、コーニング社製1737基板上に、プラズマCVD法により膜厚55nmの非晶質珪素膜を形成したものである。しかしながら、前記非晶質珪素膜にレーザーアニール法を含む工程を行って得られた結晶質珪素膜には、同心円状の模様が形成された。この模様は、面内における結晶質珪素膜の物性が不均一なものであることを示している。そのため、同心円状の模様が形成された結晶質半導体を用いてTFTを作製した場合、その電気的特性に悪影響を及ぼすことになる。なお、本明細書中では、同心円状の模様を同心円模様と表記する。
【0013】
またレーザーアニール法において、電気光学装置の大画面化に伴い、マザーガラスは大面積化し、基板に設けられた半導体層にレーザーを高速に照射する要求が高まっている。
【0014】
さらにレーザーアニール法において、半導体層を結晶化させる際、一旦、半導体層を融解させるためのレーザーのパワー不足を補う要求が高まっている。
【0015】
そこで本発明は、大型の基板に対応するためにランニングコストの低いレーザー照射装置を用いたレーザーアニール法において、同心円模様が形成されない、もしくは同心円模様の形成を低減するためのレーザーアニール法および、前記レーザーアニール法を工程に含む半導体装置の作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
ここではまず、同心円模様が形成された原因について考察する。非晶質珪素膜に照射したレーザー光は、照射面での形状が線状である線状ビームあった。そのため、レーザー光を照射した後に得られる結晶質珪素膜に何らかの模様が形成されたとしても、半導体膜、基板および基板ステージが完全に平坦であれば、前記線状ビームに平行もしくは垂直な模様となるはずである。しかしながら、観察される模様は同心円状であった。したがって、同心円模様の発生原因は、線状ビームに起因しないと考えられる。すなわち、この同心円模様の発生原因は、半導体膜の膜厚やレーザー光に対する吸収係数、基板および基板ステージのいずれか、またはこれらのうちの複数にあると推測できる。
【0017】
上記同心円模様の発生原因のうち半導体膜のレーザー光に対する吸収係数を考察するため、波長に対する非晶質珪素膜(膜厚55nm)の反射率および透過率を求め、この結果を図10(A)および図10(B)に示す。なお、前記非晶質珪素膜は1737基板上にプラズマCVD法により形成されたものである。図10より、YAGレーザーの第2高調波(波長532nm)に対する反射率は26%であり、透過率は38%であることがわかる。そして、非晶質珪素膜の表面からの反射光と、非晶質珪素膜を透過したレーザー光がある面で干渉すると考えられる。これが同心円模様の発生原因であると推測できる。
【0018】
よって、同心円模様を形成させない、もしくは同心円模様の形成を低減するためは、このような干渉を防ぐことが必要であると考えられる。そこで、この干渉を防ぐために、複数のレーザー光を集光し、集光されたレーザー光を基板の表面上の半導体膜に照射し、半導体膜の結晶化を行う。
【0019】
したがって、本発明のレーザーアニール装置は、レーザー光を出力するレーザー光源と、 前記レーザー光が斜め方向から照射される基板の移動を行う移動機構とを有するレーザーアニール装置であって、前記レーザー光の照射領域において、前記移動機構は前記基板の一辺の長さ以上の距離を往復移動し、かつ前記往復移動する方向と垂直な方向に、前記レーザー光のY軸方向の長さ又は前記レーザー光のY軸方向の長さ以下の長さで移動する機能を備えることを特徴とするレーザーアニール装置である。本発明のレーザーアニール装置を用いれば、レーザーアニールで問題とされていた同心円模様が形成されない、もしくは同心円模様の形成を低減することができ、作製した半導体装置の信頼性を向上することができる。なお、大型の基板上の半導体膜においても均一なレーザー光を照射することができる。
【0020】
また、本発明のレーザーアニール装置は、レーザー光を出力するレーザー光源と、前記レーザー光を変調する非線形光学素子と、前記変調されたレーザー光を集光する導波路と、前記集光されたレーザー光が斜め方向から照射される基板の移動を行う移動機構とを有するレーザーアニール装置であって、前記レーザー光の照射領域において、前記移動機構は前記基板の一辺の長さ以上の距離を往復移動し、かつ前記往復移動する方向と垂直な方向に、前記レーザー光のY軸方向の長さ又は前記レーザー光のY軸方向の長さ以下の長さで移動する機能を備えることを特徴とするレーザーアニール装置である。本発明のレーザーアニール装置を用いれば、複数のレーザー光を一束に集光することにより、一束のレーザー光で問題とされていた同心円模様が形成されない、もしくは同心円模様の形成を低減することができ、作製した半導体装置の信頼性を向上することができる。なお、大型の基板上の半導体膜においても均一なレーザー光を照射することができる。
【0021】
本発明の薄膜トランジスタの作製方法は、基板上に半導体膜を形成し、基板を一定の速度で移動させながら複数のレーザー光を前記半導体膜に対して斜め方向から照射し、前記移動させる方向と垂直な方向に、前記レーザー光の長さあるいは該長さ以下の距離を移動することを連続的に繰り返すことを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法である。その結果、レーザー光で問題とされていた同心円模様が形成されない、もしくは同心円模様の形成を低減することができ、作製した薄膜トランジスタ及び該薄膜トランジスタを備えた半導体装置の信頼性を向上することができる。なお、大型の基板上の半導体膜においても均一なレーザー光を照射することができる。
【0022】
また、本発明の薄膜トランジスタの作製方法は、基板上に半導体膜を形成し、前記複数のレーザー光を複数の非線形光学素子で変調し、導波路を通して前記変調された光を集光し、基板を一定の速度で移動させながら前記集光されたレーザー光を前記半導体膜に対して斜め方向から照射し、前記移動させる方向と垂直な方向に、前記レーザー光の長さ又は該長さ以下の距離を移動することを連続的に繰り返すことを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法である。その結果、レーザー光で問題とされていた同心円模様が形成されない、もしくは低減することができ、作製した薄膜トランジスタ及び該薄膜トランジスタを備えた半導体装置の信頼性を向上することができる。なお、大型の基板上の半導体膜においても均一なレーザー光を照射することができる。
【0023】
また、本発明の薄膜トランジスタの作製方法は、前記一定の速度が、20〜200cm/sの範囲内に含まれる。その結果、大型の基板に設けられた半導体層に高速にレーザーを照射することができる。
【0024】
また、本発明において用いるレーザー光は光学系により楕円形状又は線状に加工してもよい。
【0025】
また、本発明は、前記基板の表面の法線方向又は裏面の法線方向に対し5〜10°傾いた角度で、前記レーザー光が前記半導体膜に入射する半導体装置の作製方法である。基板を傾けてレーザーアニール法を含む工程を行ったときに、同心円模様が現れなくなったことから考案し、基板に対してレーザー光に角度を設けて照射することを特徴としている。本発明を適用することで、レーザー光の干渉による結晶質半導体膜の物性のばらつきを除去または低減することができる。このような結晶質半導体膜を用いて、薄膜トランジスタを作製すれば、その電気的特性が良好なものが得られる。
【0026】
また、本発明は、前記レーザー光が照射されながら、前記半導体膜において、前記基板の平行方向に、前記基板の端面に近づくように結晶化が進む薄膜トランジスタの作製方法である。本発明の薄膜トランジスタの作製方法によって、半導体層の表面がフラットで、電気移動度の高い薄膜トランジスタ及び該薄膜トランジスタを備えた半導体装置を作製することができる。
【0027】
また、本発明は、前記基板の裏面側(半導体膜が形成される面と反対側)から、レーザー光が半導体膜に照射されてもよい。
【0028】
前記レーザー光については一般的に知られているものを用いることができ、YAGレーザー(通常はNd:YAGレーザーを指す)、Nd:YLFレーザー、Nd:YVO4レーザ、Nd:YAlO3レーザ、ルビーレーザ、Ti:サファイアレーザ、ガラスレーザなどを用いることができる。特に、コヒーレント性やパルスエネルギーで優位なYAGレーザーが好ましい。
【0029】
例えば、YAGレーザーを用いるのであれば、YAGレーザーの基本波(第1高調波)は1064nmと波長が長いので、第2高調波(波長532nm)を用いるのが好ましい。第1高調波は非線形素子を含む波長変調器によって、第2高調波、第3高調波または第4高調波に変調することができる。各高調波の形成は公知の技術に従えば良い。また、本明細書中において、「固体レーザーを光源とするレーザー光」には第1高調波だけでなく、途中で波長を変調した高調波を含むものとする。
【0030】
また、YAGレーザーで良く用いられるQスイッチ法(Q変調スイッチ方式)
を用いても良い。これはレーザー共振器のQ値を十分低くしておいた状態から、急激にQ値を高めてやることにより非常にエネルギー値が高く急峻なパルスレーザーを出力する方法である。
【0031】
本発明で用いる固体レーザーは、基本的には共振ミラー又は固体結晶を励起するための光源があればレーザー光を出力できるため、エキシマレーザーのようにメンテナンスの手間がかからない。即ち、ランニングコストがエキシマレーザーに比べて非常に低いため、薄膜トランジスタ及び半導体装置の製造コストを大幅に低減することが可能となる。また、メンテナンスの回数が減れば量産ラインの稼働率も高まるため製造工程のスループット全体が向上し、このことも薄膜トランジスタ及び半導体装置の製造コストの低減に大きく寄与する。さらに、固体レーザー装置の専有面積はエキシマレーザー装置に比べて小さいので、製造ラインの設計に有利である。
【0032】
なお、レーザー光の出力は10W以上であれば、単数のビームでも均一なレーザーアニールを可能とすることができる。ビーム1束でさえ均一なレーザー光を照射することができる。すなわち10W以上のレーザー光の出力であれば、半導体層を結晶化させる際、半導体層を融解させるのに十分である。
【発明の効果】
【0033】
本発明のレーザーアニール装置を用いれば、複数のレーザー光を一束に集光することで問題とされていた同心円模様が形成されない、もしくは同心円模様の形成を低減することができ、作製した半導体装置の信頼性を向上することができる。なお、本発明のレーザーアニール装置を用いれば、大型の基板上の半導体膜においても十分に、かつ、均一なレーザー光を照射することができる。
【0034】
また、本発明によれば、レーザーアニール法を含む工程の際にレーザー光を楕円形状又は線状に加工してスループットを向上させるのに加えて、さらにメンテナンスの容易な固体レーザーを用いることで従来のエキシマレーザーを用いたレーザーアニールよりもスループットの向上が達成できる。延いてはTFTやTFTで形成された表示装置等の半導体装置の製造コストを低減することができる。
【0035】
さらに、半導体膜に対してレーザー光を斜めに照射することで、半導体膜に形成される同心円模様を除去、または低減することができ、レーザーアニール後の半導体膜の物性を均一なものにすることができる。このような半導体膜を用いて半導体装置を作製すれば、半導体装置の性能を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】レーザー光の照射の例を示す図。
【図2】レーザーアニール装置の構成の例を示す図。
【図3】レーザーアニール装置の構成の例を示す図。
【図4】被処理基板のxおよびy方向について説明する図。
【図5】基板の移動時間と速度との関係を示す図。
【図6】本発明のレーザーアニール装置の一例を示す図。
【図7】半導体装置の作製工程を示す図。
【図8】本発明の半導体装置を示す図。
【図9】(A) 画素部におけるTFTの概略図 (B) 駆動回路におけるTFTの概略図
【図10】(A)非晶質珪素膜(膜厚55nm)における波長に対する反射率を示す図。 (B)非晶質珪素膜(膜厚55nm)における波長に対する透過率を示す図。
【図11】レーザーアニール装置の構成の例を示す図。
【図12】レーザーアニール装置の構成の例を示す図。
【図13】レーザーアニール装置の構成の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施の形態では、レーザー光の照射方法について図1を用いて説明する。
【0038】
レーザー光の照射による結晶化工程により非晶質珪素層から結晶質珪素層を製造するが、この結晶化は、レーザー光を透過する透光領域(透明な窓)601が少なくとも一側面に設置された処理室(レーザーアニール室)602内で行う。
【0039】
まず、基板として、コーニング社の#7059ガラスや#1737ガラスなどに代表されるバリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスからなる透光性を有するものを用いる。なお、基板としては、石英基板や珪素基板を用いても良い。本実施の形態では、680mm×880mm、厚さ1.1mmのガラス基板を用いる。本明細書では、該基板上に下地膜、該下地膜上に半導体膜が形成された基板を被処理基板という。
【0040】
レーザーアニール室602の内側には、台603と、台603上に設けられたステージ604と、台603を移動させる、移動を行うための移動機構605とが設置され、レーザーアニール室602の外側には、処理室の雰囲気を制御する手段である真空排気ポンプ630と、気体供給管607と、ゲートバルブ608とが設置されている。
【0041】
台603は、移動を行うための移動機構605によって、被処理基板606の法線方向に対して直角方向(X軸方向及びY軸方向)に移動され、被処理基板606の上面に対しレーザー光を照射するために設けられている。ただし、レーザー光の照射方向は、被処理基板606の法線方向に対して、5〜10°傾いている。但し、X軸はレーザの長軸方向に垂直であるとする。
【0042】
本明細書では、ステージ604と移動を行うための移動機構605とを有する半導体製造装置をレーザーアニール装置という。また、ステージ604と移動を行うための移動機構605との間に台603が設けられていてもよい。さらに、レーザー発振装置609と光学系610とミラー611とを含めてレーザーアニール装置ということもできる。このレーザーアニール装置と透明な窓601が設置されているレーザーアニール室602と真空排気ポンプ606と気体供給管607とゲートバルブ608とを組み合わせて、非晶質珪素層の結晶化工程を行う。なお、図2は、図1のレーザーアニール装置のY軸方向を示している。図3は、ミラー側(被処理基板606の上方)からみたレーザーアニール装置を示している。なお、移動機構605は、X軸方向に、被処理基板606の一辺の長さ以上の距離を移動することができ、X軸方向と垂直なY軸方向には、レーザー光の長さあるいは該長さ以下の距離で移動することができる。なおレーザー光の長さとは、移動機構により移動する方向と垂直な方向のレーザー光の長さである。
【0043】
図1に示すように、レーザー発振装置609からレーザー光600を照射し、光学系610により断面形状が楕円形状に加工されたレーザー光600を、ミラー611で反射させ、透明な窓601を通過させて被処理基板606に照射する。なお、照射される光の形状は長方形でもよい。
【0044】
図4は被処理基板606を法線方向からみた図である。レーザー光が照射される位置から100mm離れたところに被処理基板606の端部がくるように設定する。次いで、被処理基板606が矢印1の方向へ動くように、図1の移動を行うための移動機構605を加速させながら動かす。0.05秒後、一定の速度(ここでは、20cm/s)で被処理基板606にレーザー光600を照射する。
レーザー光が照射される位置が被処理基板606の外側にでれば、減速させる(図5)。次いで、矢印1とは逆の方向である矢印2の方向へ矢印1で施した工程と同様な工程を行い、結晶化を行う。矢印3で施す工程、矢印4で施す工程は、それぞれ、矢印1で施す工程、矢印2で施す工程を繰り返せばよい。必要に応じてこれらの工程を繰り返し、被処理基板606の全面にレーザー光を照射する。
被処理基板606の半導体膜において、前記被処理基板の平行方向に、かつ、前記被処理基板の端面に近づくように結晶化が進む。
【0045】
被処理基板606を動かす速度は20〜200cm/sの範囲内であって、かつ、一定あればよい。
【0046】
この際、被処理基板606をステージ604上に配置しておき、台603内に設置された加熱する手段であるヒーターによって、被処理基板を所定の温度に保っておいてもよい。これは450℃で非晶質珪素層を結晶化させると、結晶の粒経が大きくなるためである。
【0047】
レーザー発振装置609は、ここでは、レーザー光600としてCWレーザを発振するものを用いる。
【0048】
レーザーアニール室602は、減圧、排気手段として設けられた真空排気ポンプ630を備えていてもよい。また、気体供給手段として、バルブを介して水素ボンベに接続された、気体供給管607aと、バルブを介して窒素やその他の気体のボンベに接続された、気体供給管607bが設けられている。なお、本実施の形態では、レーザー光の照射は、常温・常圧下で行われる。
【0049】
本実施の形態では20〜200cm/sの間の一定の速度で基板を移動させながら、前記基板の表面上の半導体膜にレーザー光が照射させるので、大型の基板上の半導体膜においても均一なレーザー光を照射することができる。
【0050】
本実施の形態では出力を10Wに設定したが、出力を10W以上にすれば、単数のビームでも均一なレーザーアニールを可能とすることができる。ビーム1束でさえ均一なレーザー光を照射することができる。10W以上のレーザー光の出力であれば、半導体層を結晶化させる際、半導体層を融解させるのに十分である。
【0051】
本実施の形態では、1台のレーザー発振装置からビームが照射されているが、複数のレーザー発振装置を用いてビームを重ね合わせてビームの強度を上げてもよい。このようにレーザー光を集光することにより、同心円模様の形成を低減することができ、作製した半導体装置の信頼性を向上することができる。この場合、必要に応じて、複数の光学系、複数のミラー、ファイバー等を併用してもよい。
【0052】
また、本発明によれば、レーザーアニール法を含む工程の際にレーザー光を楕円形状に加工してスループットを向上させるのに加えて、さらにメンテナンスの容易な固体レーザーを用いる場合、従来のエキシマレーザーを用いたレーザーアニールよりもスループットの向上が達成できる。延いてはTFTやTFTで形成された表示装置等の半導体装置の製造コストを低減することができる。
【0053】
さらに、半導体膜に対してレーザー光を斜めに照射することで、半導体膜に形成される同心円模様を除去、または低減することができ、レーザーアニール法を含む工程後の半導体膜の物性を均一なものにすることができる。このようは半導体膜を用いて半導体装置を作製すれば、半導体装置の性能を大幅に向上させることができる。
【実施例1】
【0054】
本発明の実施例では、光学系について図6を用いて説明する。
【0055】
レーザー発振器201として、大出力の固体レーザー(YAGレーザー、YVO4レーザ等)を用いるのが望ましい。もちろん、大出力であれば気体レーザーやガラスレーザ等を用いても良い。そして、レーザー発振器201から発振されたレーザー光を、光学系を用いて、照射面の形状が楕円形状であるレーザー光に加工する。前記光学系には、例えば、レーザー光を長く拡大するための長焦点距離のシリンドリカルレンズ205と、レーザー光を細く集光するための長焦点距離のシリンドリカルレンズ206とを用いる。長焦点距離のシリンドリカルレンズを用いると、収差を抑え、照射面においてエネルギー分布の均一なレーザー光を得ることが出来る。また、長焦点距離のシリンドリカルレンズは、半導体膜への入射光のビーム幅と、基板の裏面からの反射光のビーム幅とを著しく変化させないためにも有効である。発明者の実験によると、焦点距離が500mm以上のシリンドリカルレンズを使うと、収差の影響を劇的に低減することが出来た。
【0056】
シリンドリカルレンズ206の手前には、反射ミラー207を設け、レーザー光の進行方向を変更できるようにした。反射ミラー207により、照射面に入射するレーザー光の角度を調整し、目的とする角度θにすることが出来る。反射ミラー207の角度により、シリンドリカルレンズ206の角度も変更すると、照射面においてより対称性のあるレーザー光を形成することができる。
【0057】
また、レーザー光を半導体膜に照射する際、走査時のレーザー光(本実施例ではX軸方向のレーザー光)の重ね合わせ率を0〜80%として照射する。なおパルスレーザーの場合、順次照射されるレーザー光間の重ね合わせ率(オーバーラップ率)を50〜98%として照射しても良いし、重ね合わせずに照射しても良い。半導体膜の状態やレーザー光の遅延時間等によって最適条件は異なるため、実施者が適宜決定するのが好ましい。
【0058】
本実施例では、レーザー発振器としてパルスレーザー(出力20W,30Hz,YAG)を用い、非線形光学素子202により第2高調波に変調し、光学系を用いて長さ130mm、幅0.4mmのレーザー光に加工して半導体膜に照射する。このとき、被処理基板204の法線方向から5〜10°傾けてレーザー光を照射する。
【0059】
ステージ203の下に台208が設けられ、さらに、台208の下に移動機構209が設けられている。移動機構209により、X軸方向及びY軸方向に被処理基板113を移動させることが可能となる。なお、移動機構209の下部には、例えばボール、こま、モーター等を設置すればよい。
【0060】
被処理基板204の半導体膜において、前記被処理基板の平行方向に、かつ、前記被処理基板の端面に近づくように結晶化が進む。
【0061】
被処理基板204の半導体膜に対してレーザー光を斜めに照射することで、半導体膜に形成される同心円模様を除去、または低減することができ、レーザーアニール法を含む工程後の半導体膜の物性を均一なものにすることができる。このようは半導体膜を用いて半導体装置を作製すれば、半導体装置の性能を大幅に向上させることができる。
【実施例2】
【0062】
本実施例では、本発明のレーザーアニール装置の結晶化法を示す。以下、図7を用いて、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0063】
まず、基板1000としてガラス基板(コーニング1737;歪点667℃)
を用意した。次いで、基板1000上に保護膜1001を形成し、保護膜上にスパッタ法を用いて窒化タンタル膜1002a(膜厚50nm)とタンタル膜1002b(膜厚250nm)を積層(図7(A))した。その後、公知のパターニング技術であるフォトリソグラフィー法を用いて積層構造を有するゲート電極1002を形成した。(図7(B))
【0064】
次いで、ゲート絶縁膜、非晶質半導体膜1004を順次大気開放しないで積層形成した。(図7(C))本実施例では作製工程中において基板やゲート配線からの不純物が半導体膜及びゲート絶縁膜へ拡散するのを防ぐため窒化珪素膜1003a(膜厚50nm)と酸化珪素膜1003b(膜厚125nm)をプラズマCVD法により積層形成し、積層構造のゲート絶縁膜とした。本実施例では二層の絶縁膜をゲート絶縁膜として採用しているが、単層または三層以上の積層構造としてもよい。また、本実施例ではゲート絶縁膜上に非晶質半導体膜1004として、膜厚54nmの非晶質珪素膜(アモルファス珪素膜)をプラズマCVD法により形成した。なお、いずれの層の界面にも大気からの汚染物質が付着しないようにするため順次大気開放せずに積層形成した。
【0065】
その後、半導体膜の結晶化を妨げる非晶質珪素膜中の水素濃度を低減するための加熱処理(500℃、1時間)を行った。
【0066】
こうして図7(C)の状態が得られたら、非晶質半導体膜1004に対して赤外光または紫外光の照射による結晶化(レーザー結晶化)を行い、結晶質半導体膜(結晶を含む半導体膜)1005を形成した(図7(D))。なお結晶化の方向は、非晶質半導体膜1004において、1000基板の平行方向に、かつ、基板1000の端面に近づくように進む。
【0067】
結晶化技術として紫外光を用いる場合はレーザー光または紫外光ランプから発生する強光を用いればよく、赤外光を用いる場合は赤外線レーザー光または赤外線ランプから発生する強光を用いればよい。本実施例ではCWレーザのYVO4のレーザー光を楕円形状に形成して法線方向から5〜10°傾け、走査時のレーザー光(本実施例ではX軸方向のレーザー光)の重ね合わせ率を0〜80%としてレーザー光を照射した。
【0068】
なお、レーザー結晶化の条件(レーザー光の波長、照射強度、繰り返し周波数、照射時間等)は、非晶質半導体膜1004の膜厚、基板温度等を考慮して実施者が適宜決定すればよい。
【0069】
レーザー結晶化の条件によっては、初期半導体膜が溶融状態を経過して結晶化する場合や、初期半導体膜が溶融せずに固相状態、もしくは固相と液相の中間状態で結晶化する場合がある。この工程により非晶質半導体膜1004は結晶化され、結晶質半導体膜1005に変化する。本実施例において結晶質半導体膜とは多結晶珪素膜(ポリ珪素膜)である。
【実施例3】
【0070】
実施例1及び実施例2に記載した半導体装置の作製方法を経て作製したアクティブマトリクス型表示装置の構成を図8〜図9の上面図を用いて説明する。
【0071】
図8で示すアクティブマトリクス型表示装置の上面図は、画素部811、駆動回路(ゲート線駆動回路805とソース線駆動回路807の総称)、FPC(フレキシブルプリント配線板:Flexible Printed Circuit)を貼り付ける外部入力端子803、外部入力端子と各回路の入力部までを接続する配線804などが形成されたアクティブマトリクス基板801と、カラーフィルタなどが形成された対向基板802とがシール剤809を介して貼り合わされている。
【0072】
ゲート線駆動回路805は、選択しているゲート配線806に信号を入力する機能を有している。ゲート配線806はゲート電極と電気的に接続する配線である。そして、選択しているゲート配線が一本ずつ、選択されていく。もちろん、ゲート配線上には絶縁膜が設けられている。一方、ソース線駆動回路807は、まず画像データ信号を受け取り、選択されたゲート配線に接続されている画素電極に信号を加える機能を有している。ソース線駆動回路807は、ゲート線駆動回路805とタイミングをあわせて動作している。このように、各ゲート配線のスイッチング素子(図示しない)を順次選択し、ソース配線808を介して所望の電圧を印加することによりアクティブマトリクス型表示装置の画像が得られる。
【0073】
ただし、画素部811上の対向基板側に形成された赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色のカラーフィルタが各画素に対応して設けられている。実際の表示に際しては、赤色(R)のカラーフィルタ、緑色(G)のカラーフィルタ、青色(B)のカラーフィルタの3色でカラー表示を形成するが、これら各色のカラーフィルタの配列は任意なものとする。
【0074】
なお、図8のレーザー光の照射による結晶成長の方向が矢印の方向だとすると、この方向と図9(A)(画素部におけるTFTの概略図)に示す半導体層810におけるキャリアの流れる方向(チャネル方向)を一致させると、電気移動度の低下を損なうことがない。806はゲート配線、811はコンタクトホールである。同様に、図8のレーザー光の照射による結晶成長の方向と図9(B)(駆動回路におけるTFTの概略図)に示す半導体層910におけるキャリアの流れる方向(チャネル方向)を一致させると、電気移動度の低下を損なうことがない。906はゲート配線、911はコンタクトホールである。
【実施例4】
【0075】
実施例1とは異なるレーザーアニール装置の例を記載する。複数のレーザー発振装置、複数の光学系及び複数のミラーを搭載し、それぞれレーザー発振装置から発振し光学系で加工した光を集め、基板に照射することを特徴としている。
【0076】
図11に示すように、レーザー発振装置1109a〜cからレーザー光1100a〜cを照射し、光学系1110a〜cで加工させ、ミラー1111a〜cで反射させ、反射したそれぞれのレーザー光を集光し、ステージ1104上の被処理基板1113に照射する。ステージ1104の下に設けられた移動機構1105により、X軸方向及びY軸方向に被処理基板1113を移動させることが可能となる。なお、移動機構1105下部には、例えばボール、こま、モーター等を設置すればよい。
【0077】
本実施例において、レーザー光で問題とされていた同心円模様が形成されない、もしくは同心円模様の形成を低減することができ、作製した半導体装置の信頼性を向上することができる。
【実施例5】
【0078】
実施例1、4とは異なるレーザーアニール装置の例を記載する。本実施例では、複数のレーザー発振装置、複数の非線形光学素子及び導波路を搭載し、それぞれレーザー発振装置からレーザー光を照射し非線形光学素子で変調した光を導波路で集め、集光した光を基板に照射することを特徴としている。
【0079】
図12に示すように、レーザー発振装置100a〜cからレーザー光を照射し、非線形光学素子101a〜cで変調させたレーザー光112a〜cを、ファイバーアレイ103に入射させ、導波路104で集光し、ファイバーアレイ105で出射させたレーザー光をステージ110上の被処理基板113に照射する。なお、ファイバーアレイ103はレーザー光112a〜cを近接させるための手段である。
【0080】
ステージ110の下に台106が設けられ、さらに、台106の下に移動機構107が設けられている。移動機構107により、X軸方向及びY軸方向(図示しない)に被処理基板113を移動させることが可能となる。なお、移動機構107の下部には、例えばボール、こま、モーター等を設置すればよい。
【0081】
本実施例において、レーザー光で問題とされていた同心円模様が形成されない、もしくは同心円模様の形成を低減することができ、作製した半導体装置の信頼性を向上することができる。
【実施例6】
【0082】
実施例1、4、5とは異なるレーザーアニール装置、特にステージを移動させる移動機構の例を図13に基づいて説明する。
【0083】
レーザー光を照射する被処理物を載置するステージは、X軸方向またはY軸方向に設けられたガイドレールに沿って移動させるのが一般的である。そしてガイドレールと、ステージを固定する部分(スライダ)との間には、ボール(ベアリング)と呼ばれる曲面を有した物体が挟まれており、摩擦による負荷を低減してステージの移動をスムーズに行えるような機構が設けられている。
【0084】
このボールは度重なるステージの移動により磨耗するため、定期的なメンテナンスによる交換が必要であり、またよりスムーズにステージを移動させるためには、ステージの移動の際に生じる摩擦をより小さくする必要があった。
【0085】
図13(A)に本実施例の、ステージを移動させるための移動機構を示す。1300はガイドレールであり、ステージを一定の方向に移動させるために、一方向に沿って凹凸が形成されている。また、1301はスライダと呼ばれるステージを固定する部分であって、ガイドレール1300に沿って移動させることができる。このスライダは、一定間隔を保持するよう固定した状態で複数設けても構わない。またロッド1302は、スライダ1301に設けられた孔を貫いている軸であり、ガイドレールに沿う方向に設けられている。ロッド1302は、エンドプレート1304によってガイドレール1300に固定されている。
【0086】
スライダ1301にはケーブル1303を介して、電源電圧と空気が送られている。図13(B)にスライダ1301の拡大図を示す。スライダ1301は、スライダ1301とガイドレール1300とが引き合うような磁場を、電源電圧により生じさせる。また、スライダ1301は、スライダ1301に設けられた孔においてロッド1302と接触しないよう離れる方向の磁場を電源電圧により生じさせ、リニアモーターカの原理を利用してスライダ1301は矢印の方向に移動する。一方で、スライダ1301とガイドレール1300には、この磁場により引き合う方向に力が働く。そしてスライダ1301に送られてきた空気を、空気孔1305からスライダ1301とガイドレール1300の間に放出する。
この磁場の引き合う力と空気の放出により離れる方向に力が働くため、一定の間隔が保たれる。
【0087】
なお、ケーブルを介して与えられた電源電圧により磁場を生じさせるのではなく、ガイドレール1300とスライダ1301のいずれか一方を磁性体、もう一方を磁性体により引きつけられる材料で形成するようにして、磁場を生じさせても良い。またガイドレール1300とスライダ1301の両方を磁性体としても良い。
【0088】
また、ケーブルを介して与えられた電源電圧により磁場を生じさせるのではなく、ロッド1302とスライダ1301のいずれか一方を磁性体、もう一方を磁性体から離れる方向に力が働く性質を有する材料で形成するようにして、磁場を生じさせても良い。またロッド1302とスライダ1301の両方を磁性体としても良い。
【0089】
本実施例で示したようなステージの移動機構を用いることで、非接触にて、ガイドレールに沿ったステージの移動が可能になり、ボールの磨耗による定期的なボールの交換を不要にして、メンテナンスを容易にすることができる。また、非接触であるため摩擦が殆ど生じず、ボールを用いた場合に比べてステージの移動をよりスムーズに行うことができる。
【0090】
図13(C)に、スライダ1301上に固定されたステージ1310の上に、レーザー光を照射する被処理物1311を載置している様子を示す。本実施例のステージの移動手段により、ステージの移動がよりスムーズになるので、レーザー光の照射をより均一に行うことが可能になる。
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザー光を用いたレーザーアニール装置又はレーザーの照射方法に関する。また、レーザーアニール法を含む工程を経て作製された薄膜トランジスタの作製方法又は該薄膜トランジスタを備えた半導体装置の作製方法に関する。
なお、ここでいう半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、液晶表示装置や発光装置等の電気光学装置及び該電気光学装置を部品として含む電子装置も含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
近年、ガラス等の絶縁基板上に形成された半導体膜に対し、レーザーアニール法を施して、結晶性を向上させる技術が広く研究されている。上記半導体膜には珪素がよく用いられる。本明細書中では、半導体膜をレーザー光で結晶化し、結晶質半導体膜を得る手段をレーザー結晶化という。
【0003】
従来頻繁に使用されてきた合成石英ガラス基板と比較し、ガラス基板は、安価で加工性に富んでおり、大面積基板を容易に作製できる利点を持っている。これが上記研究の行われる理由である。また、結晶化に好んでレーザーが使用されるのは、ガラス基板の融点が低いことがその理由である。レーザーは基板の温度を余り上昇させずに、半導体膜のみに高いエネルギーを与えることができる。また、レーザーは電熱炉を用いた加熱手段に比べて格段にスループットが高いという利点を有している。
【0004】
結晶質半導体は多くの結晶粒から構成されているため、多結晶半導体膜とも呼ばれる。レーザーアニール法を施して形成された結晶質半導体膜は、高い移動度を有する。そのため例えば、1枚のガラス基板上にこの結晶質半導体膜を用いて画素駆動用と駆動回路用の薄膜トランジスタ(TFT)を作り込む、モノリシック型の液晶電気光学装置等に利用されている。
【0005】
また、出力の大きい、エキシマレーザー等のパルスレーザー光を、照射面において、数cm角の四角いスポットや、長さ10cm以上の線状となるように光学系にて加工し、レーザー光を走査させて(あるいはレーザー光の照射位置を被照射面に対し相対的に移動させて)、レーザーアニール法を行う方法は量産性が高く工業的に優れているため、好んで使用されている。ところで、レーザー光を線状に加工するとは、照射面における形状が線状になるようにレーザー光を加工しておくことを意味する。即ち、レーザー光の断面形状を線状に加工することを意味する。また、ここでいう「線状」は、厳密な意味で「線」を意味しているのではなく、アスペクト比の大きい長方形もしくは楕円形状を意味する。例えば、アスペクト比が10以上(好ましくは100〜10000)のものを指す。
【0006】
特に、線状ビームを用いると、スポット状のレーザー光を用いた場合とは異なり、線状ビームの長手方向に直角な方向だけの走査で被照射面全体にレーザー照射を行うことが出来るため、量産性が高い。長手(長尺)方向に直角な方向に走査するのは、それが最も効率の良い走査方向であるからである。この高い量産性により、TFTを用いる液晶表示装置の製造技術に、レーザー光を適当な光学系で加工した線状ビームを使用するレーザーアニール法が使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
レーザー光にも様々な種類があるが、一般的にはパルス発振型のエキシマレーザーを光源とするレーザー光(以下、エキシマレーザー光という)を用いたレーザー結晶化が用いられている。エキシマレーザーは出力が大きく、高周波数での繰り返し照射が可能であるという利点を有し、さらにエキシマレーザー光は珪素膜に対しての吸収係数が高いという利点を有する。
【0008】
エキシマレーザー光を形成するには励起ガスとして、KrF(波長248nm)やXeCl(波長308nm)が用いられる。ところが、Kr(クリプトン)
やXe(キセノン)といったガスは非常に高価であり、ガス交換の頻度が高くなると製造コストの増加を招くという問題がある。
【0009】
また、レーザー発振を行うレーザチューブや発振過程で生成した不要な化合物を除去するためのガス精製器などの付属機器の交換が2〜3年に一度必要となる。これらの付属機器は高価なものが多く、やはり製造コストの増加を招くという問題がある。
【0010】
以上のように、エキシマレーザー光を用いたレーザー照射装置は確かに高い性能を持っているが、メンテナンスに非常に手間がかかり、量産用レーザー照射装置としてはランニングコスト(ここでは稼働に伴い発生する費用を意味する)が高いという欠点も併せ持っている。
【0011】
そこで、エキシマレーザーに比較してランニングコストの低いレーザー照射装置およびそれを用いたレーザーアニール法を実現するために、固体レーザー(結晶ロッドを共振キャビティとしたレーザー光を出力するレーザー)を用いる方法がある。
【0012】
そこで、代表的な固体レーザーの1つであるYAGレーザーを用いて、半導体膜に照射した。前記YAGレーザーは非線形光学素子によって第2高調波に変調したレーザー光(波長532nm)を光学系により照射面における形状が線状である線状ビームに加工した。また、前記半導体膜は、コーニング社製1737基板上に、プラズマCVD法により膜厚55nmの非晶質珪素膜を形成したものである。しかしながら、前記非晶質珪素膜にレーザーアニール法を含む工程を行って得られた結晶質珪素膜には、同心円状の模様が形成された。この模様は、面内における結晶質珪素膜の物性が不均一なものであることを示している。そのため、同心円状の模様が形成された結晶質半導体を用いてTFTを作製した場合、その電気的特性に悪影響を及ぼすことになる。なお、本明細書中では、同心円状の模様を同心円模様と表記する。
【0013】
またレーザーアニール法において、電気光学装置の大画面化に伴い、マザーガラスは大面積化し、基板に設けられた半導体層にレーザーを高速に照射する要求が高まっている。
【0014】
さらにレーザーアニール法において、半導体層を結晶化させる際、一旦、半導体層を融解させるためのレーザーのパワー不足を補う要求が高まっている。
【0015】
そこで本発明は、大型の基板に対応するためにランニングコストの低いレーザー照射装置を用いたレーザーアニール法において、同心円模様が形成されない、もしくは同心円模様の形成を低減するためのレーザーアニール法および、前記レーザーアニール法を工程に含む半導体装置の作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
ここではまず、同心円模様が形成された原因について考察する。非晶質珪素膜に照射したレーザー光は、照射面での形状が線状である線状ビームあった。そのため、レーザー光を照射した後に得られる結晶質珪素膜に何らかの模様が形成されたとしても、半導体膜、基板および基板ステージが完全に平坦であれば、前記線状ビームに平行もしくは垂直な模様となるはずである。しかしながら、観察される模様は同心円状であった。したがって、同心円模様の発生原因は、線状ビームに起因しないと考えられる。すなわち、この同心円模様の発生原因は、半導体膜の膜厚やレーザー光に対する吸収係数、基板および基板ステージのいずれか、またはこれらのうちの複数にあると推測できる。
【0017】
上記同心円模様の発生原因のうち半導体膜のレーザー光に対する吸収係数を考察するため、波長に対する非晶質珪素膜(膜厚55nm)の反射率および透過率を求め、この結果を図10(A)および図10(B)に示す。なお、前記非晶質珪素膜は1737基板上にプラズマCVD法により形成されたものである。図10より、YAGレーザーの第2高調波(波長532nm)に対する反射率は26%であり、透過率は38%であることがわかる。そして、非晶質珪素膜の表面からの反射光と、非晶質珪素膜を透過したレーザー光がある面で干渉すると考えられる。これが同心円模様の発生原因であると推測できる。
【0018】
よって、同心円模様を形成させない、もしくは同心円模様の形成を低減するためは、このような干渉を防ぐことが必要であると考えられる。そこで、この干渉を防ぐために、複数のレーザー光を集光し、集光されたレーザー光を基板の表面上の半導体膜に照射し、半導体膜の結晶化を行う。
【0019】
したがって、本発明のレーザーアニール装置は、レーザー光を出力するレーザー光源と、 前記レーザー光が斜め方向から照射される基板の移動を行う移動機構とを有するレーザーアニール装置であって、前記レーザー光の照射領域において、前記移動機構は前記基板の一辺の長さ以上の距離を往復移動し、かつ前記往復移動する方向と垂直な方向に、前記レーザー光のY軸方向の長さ又は前記レーザー光のY軸方向の長さ以下の長さで移動する機能を備えることを特徴とするレーザーアニール装置である。本発明のレーザーアニール装置を用いれば、レーザーアニールで問題とされていた同心円模様が形成されない、もしくは同心円模様の形成を低減することができ、作製した半導体装置の信頼性を向上することができる。なお、大型の基板上の半導体膜においても均一なレーザー光を照射することができる。
【0020】
また、本発明のレーザーアニール装置は、レーザー光を出力するレーザー光源と、前記レーザー光を変調する非線形光学素子と、前記変調されたレーザー光を集光する導波路と、前記集光されたレーザー光が斜め方向から照射される基板の移動を行う移動機構とを有するレーザーアニール装置であって、前記レーザー光の照射領域において、前記移動機構は前記基板の一辺の長さ以上の距離を往復移動し、かつ前記往復移動する方向と垂直な方向に、前記レーザー光のY軸方向の長さ又は前記レーザー光のY軸方向の長さ以下の長さで移動する機能を備えることを特徴とするレーザーアニール装置である。本発明のレーザーアニール装置を用いれば、複数のレーザー光を一束に集光することにより、一束のレーザー光で問題とされていた同心円模様が形成されない、もしくは同心円模様の形成を低減することができ、作製した半導体装置の信頼性を向上することができる。なお、大型の基板上の半導体膜においても均一なレーザー光を照射することができる。
【0021】
本発明の薄膜トランジスタの作製方法は、基板上に半導体膜を形成し、基板を一定の速度で移動させながら複数のレーザー光を前記半導体膜に対して斜め方向から照射し、前記移動させる方向と垂直な方向に、前記レーザー光の長さあるいは該長さ以下の距離を移動することを連続的に繰り返すことを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法である。その結果、レーザー光で問題とされていた同心円模様が形成されない、もしくは同心円模様の形成を低減することができ、作製した薄膜トランジスタ及び該薄膜トランジスタを備えた半導体装置の信頼性を向上することができる。なお、大型の基板上の半導体膜においても均一なレーザー光を照射することができる。
【0022】
また、本発明の薄膜トランジスタの作製方法は、基板上に半導体膜を形成し、前記複数のレーザー光を複数の非線形光学素子で変調し、導波路を通して前記変調された光を集光し、基板を一定の速度で移動させながら前記集光されたレーザー光を前記半導体膜に対して斜め方向から照射し、前記移動させる方向と垂直な方向に、前記レーザー光の長さ又は該長さ以下の距離を移動することを連続的に繰り返すことを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法である。その結果、レーザー光で問題とされていた同心円模様が形成されない、もしくは低減することができ、作製した薄膜トランジスタ及び該薄膜トランジスタを備えた半導体装置の信頼性を向上することができる。なお、大型の基板上の半導体膜においても均一なレーザー光を照射することができる。
【0023】
また、本発明の薄膜トランジスタの作製方法は、前記一定の速度が、20〜200cm/sの範囲内に含まれる。その結果、大型の基板に設けられた半導体層に高速にレーザーを照射することができる。
【0024】
また、本発明において用いるレーザー光は光学系により楕円形状又は線状に加工してもよい。
【0025】
また、本発明は、前記基板の表面の法線方向又は裏面の法線方向に対し5〜10°傾いた角度で、前記レーザー光が前記半導体膜に入射する半導体装置の作製方法である。基板を傾けてレーザーアニール法を含む工程を行ったときに、同心円模様が現れなくなったことから考案し、基板に対してレーザー光に角度を設けて照射することを特徴としている。本発明を適用することで、レーザー光の干渉による結晶質半導体膜の物性のばらつきを除去または低減することができる。このような結晶質半導体膜を用いて、薄膜トランジスタを作製すれば、その電気的特性が良好なものが得られる。
【0026】
また、本発明は、前記レーザー光が照射されながら、前記半導体膜において、前記基板の平行方向に、前記基板の端面に近づくように結晶化が進む薄膜トランジスタの作製方法である。本発明の薄膜トランジスタの作製方法によって、半導体層の表面がフラットで、電気移動度の高い薄膜トランジスタ及び該薄膜トランジスタを備えた半導体装置を作製することができる。
【0027】
また、本発明は、前記基板の裏面側(半導体膜が形成される面と反対側)から、レーザー光が半導体膜に照射されてもよい。
【0028】
前記レーザー光については一般的に知られているものを用いることができ、YAGレーザー(通常はNd:YAGレーザーを指す)、Nd:YLFレーザー、Nd:YVO4レーザ、Nd:YAlO3レーザ、ルビーレーザ、Ti:サファイアレーザ、ガラスレーザなどを用いることができる。特に、コヒーレント性やパルスエネルギーで優位なYAGレーザーが好ましい。
【0029】
例えば、YAGレーザーを用いるのであれば、YAGレーザーの基本波(第1高調波)は1064nmと波長が長いので、第2高調波(波長532nm)を用いるのが好ましい。第1高調波は非線形素子を含む波長変調器によって、第2高調波、第3高調波または第4高調波に変調することができる。各高調波の形成は公知の技術に従えば良い。また、本明細書中において、「固体レーザーを光源とするレーザー光」には第1高調波だけでなく、途中で波長を変調した高調波を含むものとする。
【0030】
また、YAGレーザーで良く用いられるQスイッチ法(Q変調スイッチ方式)
を用いても良い。これはレーザー共振器のQ値を十分低くしておいた状態から、急激にQ値を高めてやることにより非常にエネルギー値が高く急峻なパルスレーザーを出力する方法である。
【0031】
本発明で用いる固体レーザーは、基本的には共振ミラー又は固体結晶を励起するための光源があればレーザー光を出力できるため、エキシマレーザーのようにメンテナンスの手間がかからない。即ち、ランニングコストがエキシマレーザーに比べて非常に低いため、薄膜トランジスタ及び半導体装置の製造コストを大幅に低減することが可能となる。また、メンテナンスの回数が減れば量産ラインの稼働率も高まるため製造工程のスループット全体が向上し、このことも薄膜トランジスタ及び半導体装置の製造コストの低減に大きく寄与する。さらに、固体レーザー装置の専有面積はエキシマレーザー装置に比べて小さいので、製造ラインの設計に有利である。
【0032】
なお、レーザー光の出力は10W以上であれば、単数のビームでも均一なレーザーアニールを可能とすることができる。ビーム1束でさえ均一なレーザー光を照射することができる。すなわち10W以上のレーザー光の出力であれば、半導体層を結晶化させる際、半導体層を融解させるのに十分である。
【発明の効果】
【0033】
本発明のレーザーアニール装置を用いれば、複数のレーザー光を一束に集光することで問題とされていた同心円模様が形成されない、もしくは同心円模様の形成を低減することができ、作製した半導体装置の信頼性を向上することができる。なお、本発明のレーザーアニール装置を用いれば、大型の基板上の半導体膜においても十分に、かつ、均一なレーザー光を照射することができる。
【0034】
また、本発明によれば、レーザーアニール法を含む工程の際にレーザー光を楕円形状又は線状に加工してスループットを向上させるのに加えて、さらにメンテナンスの容易な固体レーザーを用いることで従来のエキシマレーザーを用いたレーザーアニールよりもスループットの向上が達成できる。延いてはTFTやTFTで形成された表示装置等の半導体装置の製造コストを低減することができる。
【0035】
さらに、半導体膜に対してレーザー光を斜めに照射することで、半導体膜に形成される同心円模様を除去、または低減することができ、レーザーアニール後の半導体膜の物性を均一なものにすることができる。このような半導体膜を用いて半導体装置を作製すれば、半導体装置の性能を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】レーザー光の照射の例を示す図。
【図2】レーザーアニール装置の構成の例を示す図。
【図3】レーザーアニール装置の構成の例を示す図。
【図4】被処理基板のxおよびy方向について説明する図。
【図5】基板の移動時間と速度との関係を示す図。
【図6】本発明のレーザーアニール装置の一例を示す図。
【図7】半導体装置の作製工程を示す図。
【図8】本発明の半導体装置を示す図。
【図9】(A) 画素部におけるTFTの概略図 (B) 駆動回路におけるTFTの概略図
【図10】(A)非晶質珪素膜(膜厚55nm)における波長に対する反射率を示す図。 (B)非晶質珪素膜(膜厚55nm)における波長に対する透過率を示す図。
【図11】レーザーアニール装置の構成の例を示す図。
【図12】レーザーアニール装置の構成の例を示す図。
【図13】レーザーアニール装置の構成の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施の形態では、レーザー光の照射方法について図1を用いて説明する。
【0038】
レーザー光の照射による結晶化工程により非晶質珪素層から結晶質珪素層を製造するが、この結晶化は、レーザー光を透過する透光領域(透明な窓)601が少なくとも一側面に設置された処理室(レーザーアニール室)602内で行う。
【0039】
まず、基板として、コーニング社の#7059ガラスや#1737ガラスなどに代表されるバリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスからなる透光性を有するものを用いる。なお、基板としては、石英基板や珪素基板を用いても良い。本実施の形態では、680mm×880mm、厚さ1.1mmのガラス基板を用いる。本明細書では、該基板上に下地膜、該下地膜上に半導体膜が形成された基板を被処理基板という。
【0040】
レーザーアニール室602の内側には、台603と、台603上に設けられたステージ604と、台603を移動させる、移動を行うための移動機構605とが設置され、レーザーアニール室602の外側には、処理室の雰囲気を制御する手段である真空排気ポンプ630と、気体供給管607と、ゲートバルブ608とが設置されている。
【0041】
台603は、移動を行うための移動機構605によって、被処理基板606の法線方向に対して直角方向(X軸方向及びY軸方向)に移動され、被処理基板606の上面に対しレーザー光を照射するために設けられている。ただし、レーザー光の照射方向は、被処理基板606の法線方向に対して、5〜10°傾いている。但し、X軸はレーザの長軸方向に垂直であるとする。
【0042】
本明細書では、ステージ604と移動を行うための移動機構605とを有する半導体製造装置をレーザーアニール装置という。また、ステージ604と移動を行うための移動機構605との間に台603が設けられていてもよい。さらに、レーザー発振装置609と光学系610とミラー611とを含めてレーザーアニール装置ということもできる。このレーザーアニール装置と透明な窓601が設置されているレーザーアニール室602と真空排気ポンプ606と気体供給管607とゲートバルブ608とを組み合わせて、非晶質珪素層の結晶化工程を行う。なお、図2は、図1のレーザーアニール装置のY軸方向を示している。図3は、ミラー側(被処理基板606の上方)からみたレーザーアニール装置を示している。なお、移動機構605は、X軸方向に、被処理基板606の一辺の長さ以上の距離を移動することができ、X軸方向と垂直なY軸方向には、レーザー光の長さあるいは該長さ以下の距離で移動することができる。なおレーザー光の長さとは、移動機構により移動する方向と垂直な方向のレーザー光の長さである。
【0043】
図1に示すように、レーザー発振装置609からレーザー光600を照射し、光学系610により断面形状が楕円形状に加工されたレーザー光600を、ミラー611で反射させ、透明な窓601を通過させて被処理基板606に照射する。なお、照射される光の形状は長方形でもよい。
【0044】
図4は被処理基板606を法線方向からみた図である。レーザー光が照射される位置から100mm離れたところに被処理基板606の端部がくるように設定する。次いで、被処理基板606が矢印1の方向へ動くように、図1の移動を行うための移動機構605を加速させながら動かす。0.05秒後、一定の速度(ここでは、20cm/s)で被処理基板606にレーザー光600を照射する。
レーザー光が照射される位置が被処理基板606の外側にでれば、減速させる(図5)。次いで、矢印1とは逆の方向である矢印2の方向へ矢印1で施した工程と同様な工程を行い、結晶化を行う。矢印3で施す工程、矢印4で施す工程は、それぞれ、矢印1で施す工程、矢印2で施す工程を繰り返せばよい。必要に応じてこれらの工程を繰り返し、被処理基板606の全面にレーザー光を照射する。
被処理基板606の半導体膜において、前記被処理基板の平行方向に、かつ、前記被処理基板の端面に近づくように結晶化が進む。
【0045】
被処理基板606を動かす速度は20〜200cm/sの範囲内であって、かつ、一定あればよい。
【0046】
この際、被処理基板606をステージ604上に配置しておき、台603内に設置された加熱する手段であるヒーターによって、被処理基板を所定の温度に保っておいてもよい。これは450℃で非晶質珪素層を結晶化させると、結晶の粒経が大きくなるためである。
【0047】
レーザー発振装置609は、ここでは、レーザー光600としてCWレーザを発振するものを用いる。
【0048】
レーザーアニール室602は、減圧、排気手段として設けられた真空排気ポンプ630を備えていてもよい。また、気体供給手段として、バルブを介して水素ボンベに接続された、気体供給管607aと、バルブを介して窒素やその他の気体のボンベに接続された、気体供給管607bが設けられている。なお、本実施の形態では、レーザー光の照射は、常温・常圧下で行われる。
【0049】
本実施の形態では20〜200cm/sの間の一定の速度で基板を移動させながら、前記基板の表面上の半導体膜にレーザー光が照射させるので、大型の基板上の半導体膜においても均一なレーザー光を照射することができる。
【0050】
本実施の形態では出力を10Wに設定したが、出力を10W以上にすれば、単数のビームでも均一なレーザーアニールを可能とすることができる。ビーム1束でさえ均一なレーザー光を照射することができる。10W以上のレーザー光の出力であれば、半導体層を結晶化させる際、半導体層を融解させるのに十分である。
【0051】
本実施の形態では、1台のレーザー発振装置からビームが照射されているが、複数のレーザー発振装置を用いてビームを重ね合わせてビームの強度を上げてもよい。このようにレーザー光を集光することにより、同心円模様の形成を低減することができ、作製した半導体装置の信頼性を向上することができる。この場合、必要に応じて、複数の光学系、複数のミラー、ファイバー等を併用してもよい。
【0052】
また、本発明によれば、レーザーアニール法を含む工程の際にレーザー光を楕円形状に加工してスループットを向上させるのに加えて、さらにメンテナンスの容易な固体レーザーを用いる場合、従来のエキシマレーザーを用いたレーザーアニールよりもスループットの向上が達成できる。延いてはTFTやTFTで形成された表示装置等の半導体装置の製造コストを低減することができる。
【0053】
さらに、半導体膜に対してレーザー光を斜めに照射することで、半導体膜に形成される同心円模様を除去、または低減することができ、レーザーアニール法を含む工程後の半導体膜の物性を均一なものにすることができる。このようは半導体膜を用いて半導体装置を作製すれば、半導体装置の性能を大幅に向上させることができる。
【実施例1】
【0054】
本発明の実施例では、光学系について図6を用いて説明する。
【0055】
レーザー発振器201として、大出力の固体レーザー(YAGレーザー、YVO4レーザ等)を用いるのが望ましい。もちろん、大出力であれば気体レーザーやガラスレーザ等を用いても良い。そして、レーザー発振器201から発振されたレーザー光を、光学系を用いて、照射面の形状が楕円形状であるレーザー光に加工する。前記光学系には、例えば、レーザー光を長く拡大するための長焦点距離のシリンドリカルレンズ205と、レーザー光を細く集光するための長焦点距離のシリンドリカルレンズ206とを用いる。長焦点距離のシリンドリカルレンズを用いると、収差を抑え、照射面においてエネルギー分布の均一なレーザー光を得ることが出来る。また、長焦点距離のシリンドリカルレンズは、半導体膜への入射光のビーム幅と、基板の裏面からの反射光のビーム幅とを著しく変化させないためにも有効である。発明者の実験によると、焦点距離が500mm以上のシリンドリカルレンズを使うと、収差の影響を劇的に低減することが出来た。
【0056】
シリンドリカルレンズ206の手前には、反射ミラー207を設け、レーザー光の進行方向を変更できるようにした。反射ミラー207により、照射面に入射するレーザー光の角度を調整し、目的とする角度θにすることが出来る。反射ミラー207の角度により、シリンドリカルレンズ206の角度も変更すると、照射面においてより対称性のあるレーザー光を形成することができる。
【0057】
また、レーザー光を半導体膜に照射する際、走査時のレーザー光(本実施例ではX軸方向のレーザー光)の重ね合わせ率を0〜80%として照射する。なおパルスレーザーの場合、順次照射されるレーザー光間の重ね合わせ率(オーバーラップ率)を50〜98%として照射しても良いし、重ね合わせずに照射しても良い。半導体膜の状態やレーザー光の遅延時間等によって最適条件は異なるため、実施者が適宜決定するのが好ましい。
【0058】
本実施例では、レーザー発振器としてパルスレーザー(出力20W,30Hz,YAG)を用い、非線形光学素子202により第2高調波に変調し、光学系を用いて長さ130mm、幅0.4mmのレーザー光に加工して半導体膜に照射する。このとき、被処理基板204の法線方向から5〜10°傾けてレーザー光を照射する。
【0059】
ステージ203の下に台208が設けられ、さらに、台208の下に移動機構209が設けられている。移動機構209により、X軸方向及びY軸方向に被処理基板113を移動させることが可能となる。なお、移動機構209の下部には、例えばボール、こま、モーター等を設置すればよい。
【0060】
被処理基板204の半導体膜において、前記被処理基板の平行方向に、かつ、前記被処理基板の端面に近づくように結晶化が進む。
【0061】
被処理基板204の半導体膜に対してレーザー光を斜めに照射することで、半導体膜に形成される同心円模様を除去、または低減することができ、レーザーアニール法を含む工程後の半導体膜の物性を均一なものにすることができる。このようは半導体膜を用いて半導体装置を作製すれば、半導体装置の性能を大幅に向上させることができる。
【実施例2】
【0062】
本実施例では、本発明のレーザーアニール装置の結晶化法を示す。以下、図7を用いて、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0063】
まず、基板1000としてガラス基板(コーニング1737;歪点667℃)
を用意した。次いで、基板1000上に保護膜1001を形成し、保護膜上にスパッタ法を用いて窒化タンタル膜1002a(膜厚50nm)とタンタル膜1002b(膜厚250nm)を積層(図7(A))した。その後、公知のパターニング技術であるフォトリソグラフィー法を用いて積層構造を有するゲート電極1002を形成した。(図7(B))
【0064】
次いで、ゲート絶縁膜、非晶質半導体膜1004を順次大気開放しないで積層形成した。(図7(C))本実施例では作製工程中において基板やゲート配線からの不純物が半導体膜及びゲート絶縁膜へ拡散するのを防ぐため窒化珪素膜1003a(膜厚50nm)と酸化珪素膜1003b(膜厚125nm)をプラズマCVD法により積層形成し、積層構造のゲート絶縁膜とした。本実施例では二層の絶縁膜をゲート絶縁膜として採用しているが、単層または三層以上の積層構造としてもよい。また、本実施例ではゲート絶縁膜上に非晶質半導体膜1004として、膜厚54nmの非晶質珪素膜(アモルファス珪素膜)をプラズマCVD法により形成した。なお、いずれの層の界面にも大気からの汚染物質が付着しないようにするため順次大気開放せずに積層形成した。
【0065】
その後、半導体膜の結晶化を妨げる非晶質珪素膜中の水素濃度を低減するための加熱処理(500℃、1時間)を行った。
【0066】
こうして図7(C)の状態が得られたら、非晶質半導体膜1004に対して赤外光または紫外光の照射による結晶化(レーザー結晶化)を行い、結晶質半導体膜(結晶を含む半導体膜)1005を形成した(図7(D))。なお結晶化の方向は、非晶質半導体膜1004において、1000基板の平行方向に、かつ、基板1000の端面に近づくように進む。
【0067】
結晶化技術として紫外光を用いる場合はレーザー光または紫外光ランプから発生する強光を用いればよく、赤外光を用いる場合は赤外線レーザー光または赤外線ランプから発生する強光を用いればよい。本実施例ではCWレーザのYVO4のレーザー光を楕円形状に形成して法線方向から5〜10°傾け、走査時のレーザー光(本実施例ではX軸方向のレーザー光)の重ね合わせ率を0〜80%としてレーザー光を照射した。
【0068】
なお、レーザー結晶化の条件(レーザー光の波長、照射強度、繰り返し周波数、照射時間等)は、非晶質半導体膜1004の膜厚、基板温度等を考慮して実施者が適宜決定すればよい。
【0069】
レーザー結晶化の条件によっては、初期半導体膜が溶融状態を経過して結晶化する場合や、初期半導体膜が溶融せずに固相状態、もしくは固相と液相の中間状態で結晶化する場合がある。この工程により非晶質半導体膜1004は結晶化され、結晶質半導体膜1005に変化する。本実施例において結晶質半導体膜とは多結晶珪素膜(ポリ珪素膜)である。
【実施例3】
【0070】
実施例1及び実施例2に記載した半導体装置の作製方法を経て作製したアクティブマトリクス型表示装置の構成を図8〜図9の上面図を用いて説明する。
【0071】
図8で示すアクティブマトリクス型表示装置の上面図は、画素部811、駆動回路(ゲート線駆動回路805とソース線駆動回路807の総称)、FPC(フレキシブルプリント配線板:Flexible Printed Circuit)を貼り付ける外部入力端子803、外部入力端子と各回路の入力部までを接続する配線804などが形成されたアクティブマトリクス基板801と、カラーフィルタなどが形成された対向基板802とがシール剤809を介して貼り合わされている。
【0072】
ゲート線駆動回路805は、選択しているゲート配線806に信号を入力する機能を有している。ゲート配線806はゲート電極と電気的に接続する配線である。そして、選択しているゲート配線が一本ずつ、選択されていく。もちろん、ゲート配線上には絶縁膜が設けられている。一方、ソース線駆動回路807は、まず画像データ信号を受け取り、選択されたゲート配線に接続されている画素電極に信号を加える機能を有している。ソース線駆動回路807は、ゲート線駆動回路805とタイミングをあわせて動作している。このように、各ゲート配線のスイッチング素子(図示しない)を順次選択し、ソース配線808を介して所望の電圧を印加することによりアクティブマトリクス型表示装置の画像が得られる。
【0073】
ただし、画素部811上の対向基板側に形成された赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色のカラーフィルタが各画素に対応して設けられている。実際の表示に際しては、赤色(R)のカラーフィルタ、緑色(G)のカラーフィルタ、青色(B)のカラーフィルタの3色でカラー表示を形成するが、これら各色のカラーフィルタの配列は任意なものとする。
【0074】
なお、図8のレーザー光の照射による結晶成長の方向が矢印の方向だとすると、この方向と図9(A)(画素部におけるTFTの概略図)に示す半導体層810におけるキャリアの流れる方向(チャネル方向)を一致させると、電気移動度の低下を損なうことがない。806はゲート配線、811はコンタクトホールである。同様に、図8のレーザー光の照射による結晶成長の方向と図9(B)(駆動回路におけるTFTの概略図)に示す半導体層910におけるキャリアの流れる方向(チャネル方向)を一致させると、電気移動度の低下を損なうことがない。906はゲート配線、911はコンタクトホールである。
【実施例4】
【0075】
実施例1とは異なるレーザーアニール装置の例を記載する。複数のレーザー発振装置、複数の光学系及び複数のミラーを搭載し、それぞれレーザー発振装置から発振し光学系で加工した光を集め、基板に照射することを特徴としている。
【0076】
図11に示すように、レーザー発振装置1109a〜cからレーザー光1100a〜cを照射し、光学系1110a〜cで加工させ、ミラー1111a〜cで反射させ、反射したそれぞれのレーザー光を集光し、ステージ1104上の被処理基板1113に照射する。ステージ1104の下に設けられた移動機構1105により、X軸方向及びY軸方向に被処理基板1113を移動させることが可能となる。なお、移動機構1105下部には、例えばボール、こま、モーター等を設置すればよい。
【0077】
本実施例において、レーザー光で問題とされていた同心円模様が形成されない、もしくは同心円模様の形成を低減することができ、作製した半導体装置の信頼性を向上することができる。
【実施例5】
【0078】
実施例1、4とは異なるレーザーアニール装置の例を記載する。本実施例では、複数のレーザー発振装置、複数の非線形光学素子及び導波路を搭載し、それぞれレーザー発振装置からレーザー光を照射し非線形光学素子で変調した光を導波路で集め、集光した光を基板に照射することを特徴としている。
【0079】
図12に示すように、レーザー発振装置100a〜cからレーザー光を照射し、非線形光学素子101a〜cで変調させたレーザー光112a〜cを、ファイバーアレイ103に入射させ、導波路104で集光し、ファイバーアレイ105で出射させたレーザー光をステージ110上の被処理基板113に照射する。なお、ファイバーアレイ103はレーザー光112a〜cを近接させるための手段である。
【0080】
ステージ110の下に台106が設けられ、さらに、台106の下に移動機構107が設けられている。移動機構107により、X軸方向及びY軸方向(図示しない)に被処理基板113を移動させることが可能となる。なお、移動機構107の下部には、例えばボール、こま、モーター等を設置すればよい。
【0081】
本実施例において、レーザー光で問題とされていた同心円模様が形成されない、もしくは同心円模様の形成を低減することができ、作製した半導体装置の信頼性を向上することができる。
【実施例6】
【0082】
実施例1、4、5とは異なるレーザーアニール装置、特にステージを移動させる移動機構の例を図13に基づいて説明する。
【0083】
レーザー光を照射する被処理物を載置するステージは、X軸方向またはY軸方向に設けられたガイドレールに沿って移動させるのが一般的である。そしてガイドレールと、ステージを固定する部分(スライダ)との間には、ボール(ベアリング)と呼ばれる曲面を有した物体が挟まれており、摩擦による負荷を低減してステージの移動をスムーズに行えるような機構が設けられている。
【0084】
このボールは度重なるステージの移動により磨耗するため、定期的なメンテナンスによる交換が必要であり、またよりスムーズにステージを移動させるためには、ステージの移動の際に生じる摩擦をより小さくする必要があった。
【0085】
図13(A)に本実施例の、ステージを移動させるための移動機構を示す。1300はガイドレールであり、ステージを一定の方向に移動させるために、一方向に沿って凹凸が形成されている。また、1301はスライダと呼ばれるステージを固定する部分であって、ガイドレール1300に沿って移動させることができる。このスライダは、一定間隔を保持するよう固定した状態で複数設けても構わない。またロッド1302は、スライダ1301に設けられた孔を貫いている軸であり、ガイドレールに沿う方向に設けられている。ロッド1302は、エンドプレート1304によってガイドレール1300に固定されている。
【0086】
スライダ1301にはケーブル1303を介して、電源電圧と空気が送られている。図13(B)にスライダ1301の拡大図を示す。スライダ1301は、スライダ1301とガイドレール1300とが引き合うような磁場を、電源電圧により生じさせる。また、スライダ1301は、スライダ1301に設けられた孔においてロッド1302と接触しないよう離れる方向の磁場を電源電圧により生じさせ、リニアモーターカの原理を利用してスライダ1301は矢印の方向に移動する。一方で、スライダ1301とガイドレール1300には、この磁場により引き合う方向に力が働く。そしてスライダ1301に送られてきた空気を、空気孔1305からスライダ1301とガイドレール1300の間に放出する。
この磁場の引き合う力と空気の放出により離れる方向に力が働くため、一定の間隔が保たれる。
【0087】
なお、ケーブルを介して与えられた電源電圧により磁場を生じさせるのではなく、ガイドレール1300とスライダ1301のいずれか一方を磁性体、もう一方を磁性体により引きつけられる材料で形成するようにして、磁場を生じさせても良い。またガイドレール1300とスライダ1301の両方を磁性体としても良い。
【0088】
また、ケーブルを介して与えられた電源電圧により磁場を生じさせるのではなく、ロッド1302とスライダ1301のいずれか一方を磁性体、もう一方を磁性体から離れる方向に力が働く性質を有する材料で形成するようにして、磁場を生じさせても良い。またロッド1302とスライダ1301の両方を磁性体としても良い。
【0089】
本実施例で示したようなステージの移動機構を用いることで、非接触にて、ガイドレールに沿ったステージの移動が可能になり、ボールの磨耗による定期的なボールの交換を不要にして、メンテナンスを容易にすることができる。また、非接触であるため摩擦が殆ど生じず、ボールを用いた場合に比べてステージの移動をよりスムーズに行うことができる。
【0090】
図13(C)に、スライダ1301上に固定されたステージ1310の上に、レーザー光を照射する被処理物1311を載置している様子を示す。本実施例のステージの移動手段により、ステージの移動がよりスムーズになるので、レーザー光の照射をより均一に行うことが可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレーザー光を集光する手段を備えたことを特徴とするレーザー照射装置。
【請求項1】
複数のレーザー光を集光する手段を備えたことを特徴とするレーザー照射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−164637(P2009−164637A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99709(P2009−99709)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【分割の表示】特願2002−232253(P2002−232253)の分割
【原出願日】平成14年8月9日(2002.8.9)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【分割の表示】特願2002−232253(P2002−232253)の分割
【原出願日】平成14年8月9日(2002.8.9)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]