説明

半導体装置の製造方法、ブロック積層体及び逐次積層体

【課題】生産性および信頼性を向上することができる半導体装置の製造方法、ブロック積層体及び逐次積層体を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、逐次積層工程と、個片積層体を得る工程と、基材接合工程とを含む。逐次積層工程では、ブロック積層体2Bを得る。このブロック積層体は、複数の半導体部品が配列された半導体ブロック10B、12B、14B、16B同士が半田接合されていない状態で積層されたブロック積層体である。個片積層体を得る工程では、ブロック積層体から、積層された半導体部品の端子121間が半田接合され、かつ積層された半導体部品の単位に切断された個片積層体を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法、ブロック積層体及び逐次積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の半導体素子を積層して構成された半導体装置が使用されている。たとえば、特許文献1、2には、TSV(Through Silicon Via)を有する半導体素子(あるいは半導体基板)を複数積層した半導体装置が開示されている。図11には、特許文献1に開示された半導体装置900を示す。この半導体装置900は、インターポーザ901上に樹脂層902を介して半導体チップ903が積層された構造となっている。
【0003】
このような半導体装置900は、以下のようにして製造されていると考えられる。まず、図12(A)に示すように、あらかじめインターポーザ901上に接続用バンプ900Aを形成する。その後、図12(B)に示すように、フィルム状接着剤(樹脂層)902を設ける。その後、図12(C)に示すように、半導体チップ903を積層し、半田接合を行う。
このような作業を繰り返すことで、図11に示す半導体装置900が得られる。
【0004】
また、特許文献2では、4つの半導体基板を積層した後、対向する半導体基板同士を半田接合し、その後、樹脂で封止して半導体基板間に樹脂を注入する製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−29392号公報
【特許文献2】特開2010−278334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の半導体装置の製造方法では、半導体チップを積層するたびに、半田接合を繰り返し行っているため、半田接合時の生産性に問題がある。さらに、半導体チップを積層するたびに、半田接合を繰り返し行っているため、下層の半導体チップへの半田接合の際の熱による影響が心配される。
【0007】
一方で、特許文献2の半導体装置の製造方法では、半導体基板同士を接合した後、半導体基板間の隙間に樹脂を充填しているため、樹脂の充填が難しく、生産性が問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様によれば、複数の第一半導体部品が配列され第二半導体部品接続用端子を有する第一半導体ブロックと、第一樹脂層と、複数の第二半導体部品が配列され一方の面側に第一半導体部品接続用端子を有し他方の面側に第三半導体部品接続用端子を有する第二半導体ブロックと、第二樹脂層と、複数の第三半導体部品が配列され第二半導体部品接続用端子を有する第三半導体ブロックと、を用意する工程と、
前記第一半導体ブロック、前記第一樹脂層、前記第二半導体ブロック、前記第二樹脂層、前記第三半導体ブロックの順で積層し、その層間を接着することによりブロック積層体を得る逐次積層工程と、
前記ブロック積層体から、前記第一半導体部品の第二半導体部品接続用端子および前記第二半導体部品の第一半導体部品接続用端子間と、前記第二半導体部品の第三半導体部品接続用端子および前記第三半導体部品の第二半導体部品接続用端子間とが半田接合され、かつ積層された半導体部品単位に切断された個片積層体を得る工程とを、含む半導体装置の製造方法が提供される。
【0009】
前記半導体装置の製造方法では、
前記逐次積層工程は、前記第一半導体ブロック上に、前記第一樹脂層、前記第二半導体ブロックの順で積層した後、加熱して、半硬化状態の前記第一樹脂層を介して前記第一半導体ブロックおよび前記第二半導体ブロックを接着し、
前記第二半導体ブロック上に、前記第二樹脂層、前記第三半導体ブロックの順で積層した後、加熱して、半硬化状態の前記第二樹脂層を介して前記第二半導体ブロックおよび前記第三半導体ブロックを接着することにより前記ブロック積層体を得るものであってもよい。
【0010】
前記半導体装置の製造方法では、
半田接合された前記個片積層体を、基材上に設置する工程と、
前記個片積層体と前記基材とを接合する基材接合工程とを
さらに含むものであってもよい。
【0011】
前記半導体装置の製造方法では、
前記逐次積層工程の前段で、
前記第二半導体ブロックの第一半導体部品接続用端子が形成された面および前記第一半導体ブロックの第二半導体部品接続用端子が設けられた面のうち、少なくともいずれか一方の面上に、前記第一樹脂層を構成する樹脂層を設け、
前記第三半導体ブロックの第二半導体部品接続用端子が形成された面および前記第二半導体ブロックの第三半導体部品接続用端子が設けられた面のうち、少なくともいずれか一方の面上に、前記第二樹脂層を構成する樹脂層を設けるものであってよい。
【0012】
前記半導体装置の製造方法では、
前記ブロック積層体が、前記第一半導体部品の第二半導体部品接続用端子と、前記第二半導体部品の第一半導体部品接続用端子との少なくともいずれか一方が半田層を有するとともに、前記第二半導体部品の第三半導体部品接続用端子と、前記第三半導体部品の第二半導体部品接続用端子との少なくともいずれか一方が半田層を有するものであり、
前記個片積層体を得る工程が、前記ブロック積層体を前記半田層の融点以上に加熱して、前記第一半導体部品の第二半導体部品接続用端子および前記第二半導体部品の第一半導体部品接続用端子間と、前記第二半導体部品の第三半導体部品接続用端子および前記第三半導体部品の第二半導体部品接続用端子間とを半田接合する第一の接合工程(ブロック積層体接合工程)と、
前記第一の接合工程(ブロック積層体接合工程)の後、前記ブロック積層体を、積層された半導体部品単位に切断することにより個片積層体を得る切断工程と、を含むものであってもよい。
【0013】
前記半導体装置の製造方法では、
前記第一樹脂層、前記第二樹脂層は、それぞれ熱硬化性樹脂を含み、
前記ブロック積層体接合工程では、前記第一半導体ブロックおよび前記第二半導体ブロックが前記第一樹脂層を介して接着され、かつ、前記第二半導体ブロックおよび前記第三半導体ブロックが前記第二樹脂層を介して接着された前記ブロック積層体を加熱して半田接合を行なうとともに、前記第一樹脂層および前記第二樹脂層の硬化を進めるものであってもよい。
【0014】
前記半導体装置の製造方法では、
前記ブロック積層体接合工程では、一対の挟圧部材のうち、一方の挟圧部材の上方に、前記ブロック積層体を設置するとともに、他方の挟圧部材と前記一方の挟圧部材とで前記ブロック積層体を挟圧し、加熱して、半田接合を行うとともに、前記第一樹脂層および前記第二樹脂層の硬化を進めるものであってもよい。
【0015】
前記半導体装置の製造方法では、
前記ブロック積層体接合工程では、流体により前記ブロック積層体を加圧しながら加熱を行い、半田接合を行うものであってもよい。
【0016】
前記半導体装置の製造方法では、
対向配置された一対の挟圧部材と、
前記一対の挟圧部材間に配置され、前記ブロック積層体が設置される設置部とを備える装置を用意し、
前記ブロック積層体接合工程では、
前記一対の挟圧部材を加熱しておき、前記一対の挟圧部材に対し離間した状態の前記設置部上に前記ブロック積層体を配置する工程と、
前記一対の挟圧部材で、前記ブロック積層体および前記設置部を挟圧し、加熱して半田接合を行う工程と、を実施するものであってもよい。
【0017】
前記半導体装置の製造方法では、
前記一方の挟圧部材の温度は、前記他方の挟圧部材の温度よりも低いものであってもよい。
【0018】
前記半導体装置の製造方法では、
前記第一樹脂層および前記第二樹脂層は、それぞれ熱硬化性樹脂を含み、
前記ブロック積層体接合工程と、前記基材接合工程との間において、
前記ブロック積層体を流体により加圧しながら、加熱して、前記第一樹脂層、前記第二樹脂層の硬化を進めるものであってもよい。
【0019】
前記半導体装置の製造方法では、
前記ブロック積層体が、前記第一半導体部品の第二半導体部品接続用端子と、前記第二半導体部品の第一半導体部品接続用端子との少なくともいずれか一方が半田層を有するとともに、前記第二半導体部品の第三半導体部品接続用端子と、前記第三半導体部品の第二半導体部品接続用端子との少なくともいずれか一方が半田層を有するものであり、
前記個片積層体を得る工程が、前記ブロック積層体を、積層された半導体部品単位に切断することにより逐次積層体を得る切断工程と、
前記逐次積層体を前記半田層の融点以上に加熱して、前記第一半導体部品の第二半導体部品接続用端子および前記第二半導体部品の第一半導体部品接続用端子間、前記第二半導体部品の第三半導体部品接続用端子および前記第三半導体部品の第二半導体部品接続用端子間を半田接合することにより個片積層体を得る第一の接合工程(逐次積層体接合工程)と、を含むものであってよい。
【0020】
ここで、第一の接合工程(ブロック積層体接合工程または逐次積層体接合工程)において、接続用端子間が半田接合されるとは、以下のことをいう。積層体が半田層の融点以上に加熱され、半導体部品間の接合に使用される各半田層が溶融するとともに、半導体部品の接続用端子同士が物理的に接触して、接触部分の少なくとも一部に合金を形成している状態をいう。
【0021】
前記半導体装置の製造方法では、
前記第一樹脂層、前記第二樹脂層は、それぞれ熱硬化性樹脂を含み、
前記逐次積層体接合工程では、前記第一半導体部品および前記第二半導体部品が前記第一樹脂層を介して接着され、かつ、前記第二半導体部品および前記第三半導体部品が前記第二樹脂層を介して接着された前記逐次積層体を加熱して半田接合を行なうとともに、前記第一樹脂層および前記第二樹脂層の硬化を進めるものであってよい。
【0022】
前記半導体装置の製造方法では、
前記逐次接合工程では、一対の挟圧部材のうち、一方の挟圧部材の上方に、前記逐次積層体を配置するとともに、他方の挟圧部材と前記一方の挟圧部材とで前記逐次積層体を挟圧し、加熱して、半田接合を行うとともに、前記第一樹脂層および前記第二樹脂層の硬化を進めるものであってよい。
【0023】
前記半導体装置の製造方法では、
前記逐次積層体接合工程では、流体により前記逐次積層体を加圧しながら加熱を行い、半田接合を行うものであってよい。
【0024】
前記半導体装置の製造方法では、
対向配置された一対の挟圧部材と、
一対の挟圧部材間に配置され、前記逐次積層体が設置される設置部とを備える装置を用意し、
前記逐次積層体接合工程では、
前記一対の挟圧部材を加熱しておき、前記一対の挟圧部材に対し離間した状態の前記設置部上に前記逐次積層体を配置する工程と、
前記一対の挟圧部材で、前記逐次積層体および前記設置部を挟圧し、加熱して半田接合を行う工程と、を実施するものであってよい。
【0025】
前記半導体装置の製造方法では、
前記一方の挟圧部材の温度は、前記他方の挟圧部材の温度よりも低いものであってよい。
【0026】
前記半導体装置の製造方法では、
前記第一樹脂層および前記第二樹脂層は熱硬化性樹脂を含み、
前記逐次積層体接合工程と、前記基材接合工程との間において、
前記逐次積層体を流体により加圧しながら、加熱して、前記第一樹脂層、前記第二樹脂層の硬化を進めるものであってよい。
【0027】
前記半導体装置の製造方法では、
前記個片積層体は、少なくとも前記第一半導体部品、前記第一樹脂層、前記第二半導体部品、前記第二樹脂層、前記第三半導体部品を含み、樹脂層と半導体部品とが交互に積層された構造であるとともに、最外層が半導体部品で構成され、
前記最外層の半導体部品は、前記基材に接続される基材接続用端子を有し、前記基材は、前記最外層の半導体部品に接続される積層体接続用端子を有し、前記基材接続用端子および前記積層体接続用端子のうち、少なくともいずれか一方は半田層を有し、
前記基材接合工程では、前記基材接続用端子および前記積層体接続用端子が前記半田接合されるものであってよい。
【0028】
前記半導体装置の製造方法では、
前記基材接合工程において、前記基材に対して複数の前記個片積層体を半田接合し、
前記基材接合工程の後段で、前記個片積層体ごとに、基材を切断するものであってよい。
【0029】
前記半導体装置の製造方法では、
前記第二半導体部品は、基板と、前記基板を貫通するとともに、前記第一半導体部品接続用端子および前記第三半導体部品接続用端子に接続される貫通ビアとを備えるTSV構造の半導体チップであり、
前記第三半導体部品は、TSV構造の半導体チップであり、基板と、前記基板を貫通する貫通ビアを備え、この貫通ビアは、前記第二半導体部品接続用端子と、前記基板表面のうち前記第二半導体部品接続用端子が設けられた側の表面と反対側の表面に設けられた端子とに接続されるものであってよい。
【0030】
また、本発明の第二の態様によれば、
複数の第一半導体部品が配列され第二半導体部品接続用端子を有する第一半導体ブロックと、第一樹脂層と、複数の第二半導体部品が配列され一方の面側に第一半導体部品接続用端子を有し他方の面側に第三半導体部品接続用端子を有する第二半導体ブロックと、第二樹脂層と、複数の第三半導体部品が配列され第二半導体部品接続用端子を有する第三半導体ブロックと、が積層されたブロック積層体であって、
前記第一半導体部品の第二半導体部品接続用端子、前記第二半導体部品の第一半導体部品接続用端子の少なくともいずれか一方が半田層を有するとともに、前記第二半導体部品の第三半導体部品接続用端子、前記第三半導体部品の第二半導体部品接続用端子の少なくともいずれか一方が半田層を有し、
前記第一半導体部品の第二半導体部品接続用端子および前記第二半導体部品の第一半導体部品接続用端子間と、前記第二半導体部品の第三半導体部品接続用端子および前記第三半導体部品の第二半導体部品接続用端子間とが半田接合されているブロック積層体が提供される。
【0031】
また、本発明の第三の態様によれば、
第二半導体部品接続用端子を有する第一半導体部品と、第一樹脂層と、一方の面側に第一半導体部品接続用端子を有し他方の面側に第三半導体部品接続用端子を有する第二半導体部品と、第二樹脂層と、第二半導体部品接続用端子を有する第三半導体部品と、が積層された逐次積層体であって、
前記第一半導体部品の第二半導体部品接続用端子、前記第二半導体部品の第一半導体部品接続用端子の少なくともいずれか一方が半田層を有するとともに、前記第二半導体部品の第三半導体部品接続用端子、前記第三半導体部品の第二半導体部品接続用端子の少なくともいずれか一方が半田層を有し、
前記第一半導体部品の第二半導体部品接続用端子および前記第二半導体部品の第一半導体部品接続用端子間と、前記第二半導体部品の第三半導体部品接続用端子および前記第三半導体部品の第二半導体部品接続用端子間とが未だ半田接合されていない逐次積層体が提供される。
【0032】
本発明の第一の態様の製造方法によれば、第一半導体ブロック、第一樹脂層、第二半導体ブロック、第二樹脂層、第三半導体ブロックを積層したブロック積層体を構成した後、そのブロック積層体を用いて、各接続用端子間が半田接合され、かつ半導体部品単位に切断された個片積層体を得ている。このブロック積層体を加熱して、各接続用端子間の半田接合を行うことができる。そのため、単一の半導体ブロックから個片化された半導体チップ単位で積層する場合と比較して生産性をさらに向上させることができる。また、対向する半導体部品同士ごとに半田接合を逐次行う場合に比べ、半田接合時の生産性を向上させることができる。
【0033】
また、第一半導体ブロック、第一樹脂層、第二半導体ブロック、第二樹脂層、第三半導体ブロックを積層したブロック積層体を構成した後、このブロック積層体全体を加熱して半田接合を行うことができるため、従来に比べて、各半導体部品にかかる熱ダメージも低減させることができる。これにより、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0034】
さらに、本発明の製造方法では、第一半導体ブロック、第一樹脂層、第二半導体ブロック、第二樹脂層、第三半導体ブロックを積層したブロック積層体を構成した後、このブロック積層体を加熱して、各端子間の半田接合を行なうことができる。半田接合前に、樹脂層を半導体部品により挟んでいるので、半田接合後に、半導体部品間に樹脂を充填する場合に比べ、手間を要しない。
【0035】
さらに、本発明の製造方法では、ブロック積層体において樹脂層が半導体部品に挟まれているため、そりが発生しにくく、ブロック積層体中の各半導体部品同士を半田接合する際にずれが生じにくい。したがって、本発明の製造方法では、半導体部品間の位置ずれが防止でき、正確に位置合わせされた個片積層体を、基材に搭載できる。
【0036】
また、本発明の製造方法によれば、第一半導体部品、第一樹脂層、第二半導体部品、第二樹脂層、第三半導体部品を積層したブロック積層体を構成した後、このブロック積層体を切断して得た逐次積層体全体を加熱して、各接続用端子間の半田接合を行なうことができる。そのため、対向する半導体部品同士ごとに半田接合を逐次行う場合に比べ、半田接合時の生産性を向上させることができる。
また、第一半導体部品、第一樹脂層、第二半導体部品、第二樹脂層、第三半導体部品を積層した逐次積層体全体を加熱して半田接合を行うため、従来に比べて、各半導体部品にかかる熱ダメージも低減させることができる。これにより、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
さらに、本発明の製造方法では、第一半導体部品、第一樹脂層、第二半導体部品、第二樹脂層、第三半導体部品を積層した逐次積層体を加熱して、各端子間の半田接合を行なっている。半田接合前に、樹脂層を半導体部品により挟んでいるので、半田接合後に、半導体部品間に樹脂を充填する場合に比べ、手間を要しない。
【0037】
さらに、本発明の製造方法では、ブロック積層体において樹脂層が半導体部品に挟まれているため、そりが発生しにくく、逐次積層体中の各半導体部品同士を半田接合する際にもずれが生じにくい。したがって、本発明では、半導体部品間の位置ずれが防止でき、正確に位置合わせされた個片積層体を、基材に搭載できる。
【0038】
本発明の第二の態様では、第一半導体ブロック、第一樹脂層、第二半導体ブロック、第二樹脂層、第三半導体ブロックが積層され、積層された半導体ブロック間において半導体部品接続用端子が半田接合されているブロック積層体が提供される。このブロック積層体を用いて個片積層体を製造することにより、半田接合時の生産性および半導体装置の信頼性を向上することができる。
【0039】
本発明の第三の態様では、第一半導体部品、第一樹脂層、第二半導体部品、第二樹脂層、第三半導体部品が積層され、積層された半導体部品間において半導体部品接続用端子が未だ半田接合されていない逐次積層体が提供される。この逐次積層体を用いて個片積層体を製造することにより、半田接合時の生産性および半導体装置の信頼性を向上することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、生産性および信頼性を向上することができる半導体装置の製造方法、ブロック積層体及び逐次積層体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第一実施形態にかかる半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図2】第一実施形態にかかる半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図3】半導体装置の製造装置の断面図である。
【図4】半導体装置の製造装置の断面図である。
【図5】半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図6】第二実施形態にかかる半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図7】第三実施形態にかかる半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図8】第三実施形態にかかる半導体装置の製造装置の断面図である。
【図9】第三実施形態にかかる半導体装置の製造装置の断面図である。
【図10】本発明の変形例にかかる半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図11】背景技術にかかる半導体装置の構造を示す断面図である。
【図12】背景技術にかかる半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0043】
(第一実施形態)
図1〜図5には、本実施形態の半導体装置の製造方法が示されている。
【0044】
はじめに、本実施形態の半導体装置1の製造方法の概要について説明する。
本実施形態の半導体装置1の製造方法は、逐次積層工程と、第一の接合工程(ブロック積層体接合工程)と、切断工程と、第二の接合工程(基材接合工程)と、を含む。
【0045】
逐次積層工程では、半導体チップ(第一半導体部品)10が配列された第一半導体ブロック10B、樹脂層(第一樹脂層)11、半導体チップ(第二半導体部品)12が配列された第二半導体ブロック12B、樹脂層(第二樹脂層)13、半導体チップ(第三半導体部品)14が配列された第三半導体ブロック14B、樹脂層(第三樹脂層)15、半導体チップ(第四半導体部品)16が配列された第四半導体ブロック16Bを接着することによりブロック積層体2Bを得る。
【0046】
第一の接合工程(ブロック積層体接合工程)では、第一半導体ブロック10B、第一樹脂層11、第二半導体ブロック12B、第二樹脂層13、第三半導体ブロック14B、第三樹脂層15、第四半導体ブロック16Bを積層することにより得られ、半導体ブロック10B、12B同士、半導体ブロック12B、14B同士、半導体ブロック14B、16B同士が半田接合されていない状態の積層されたブロック積層体2Bを加熱して、半導体ブロック10B、12B間、半導体ブロック12B、14B間、半導体ブロック14B、16B間の半田接合を行う。
切断工程では、ブロック積層体2Bを切断して、積層された半導体部品単位である個片積層体2にする。
【0047】
ここで、複数の半導体部品が配列された半導体ブロックは、ウエハーサイズの形状、複数の半導体部品が配列され矩形状に加工されたブロックの形状、複数の半導体部品が配列され周辺部には半導体部品が配置されていない形状などのいずれであってもよい。また、半導体ブロックが積層される構成は、ウエハーサイズで積層する場合、ウエハーサイズにブロックサイズが積層される場合のいずれであってもよい。
【0048】
また、半導体ブロックに配列される半導体部品は、半導体チップに限られず、シリコンインターポーザー、ガラスインターポーザーであってもよい。
【0049】
その後、半田接合した個片積層体2を基材18上に設置する。個片積層体2の基材18への接続用端子162と、基材18の個片積層体2への接続用端子181とが当接するように、個片積層体2を基材18上に設置する。
次に、第二の接合工程(基材接合工程)において、接続用端子181の半田層181Aの融点以上に個片積層体2および基材18を加熱して、個片積層体2を基材18に半田接合する。
【0050】
次に、本実施形態の半導体装置1の製造方法について、詳細に説明する。
【0051】
はじめに、図1(A)に示すように、半導体ブロック10Bを用意する。この半導体ブロック10Bは、基板表面に半導体チップ(第一半導体部品)10が配列され、半導体チップ10の端子(半導体チップ12への接続用の端子)101が設けられたものであり、本実施形態では、基板を貫通するビアは設けられていない。接続用端子101は、たとえば、基板側から銅層、ニッケル層、金層の順に積層された構造となっている。ただし、接続用端子101の構造は、これに限られない。
ここで、半導体ブロック10Bの厚みは、10μm以上、150μm以下である。より好ましくは、20μm以上、100μm以下である。
また、半導体ブロック10Bの他方の基板表面である裏面側には、端子は設けられていない。
【0052】
また、図1(A)に示すように、半導体ブロック12Bを用意する。この半導体ブロック12Bは、基板(シリコン基板)120と、基板120を貫通するビア123とを有するTSV構造の半導体素子である。基板120の一方の表面には、端子121が設けられ、他方の表面には、端子122が設けられている。端子121および端子122は、ビア123で接続されている。端子121は、半導体ブロック10Bに接続される接続用端子であり、端子122は、半導体ブロック14Bに接続される接続用端子である。
【0053】
ビア123は、たとえば、銅やタングステン等の金属や、不純物がドープされた導電性のポリシリコンで構成される。
端子122は、たとえば、端子101と同様の層構成で構成される。
端子121は、表面に半田層121Aを有するものである。接続用端子121は、たとえば、銅層上にニッケル層を積層し、さらにこのニッケル層を被覆するように半田層121Aを設けた構造である。
半田層121Aの材料は、特に制限されず、錫、銀、鉛、亜鉛、ビスマス、インジウム及び銅からなる群から選択される少なくとも1種以上を含む合金等が挙げられる。これらのうち、錫、銀、鉛、亜鉛及び銅からなる群から選択される少なくとも1種以上を含む合金が好ましい。半田層121Aの融点は、110〜250℃、好ましくは170〜230℃である。
【0054】
半導体ブロック12Bの基板120の端子121が設けられた側の表面には、樹脂層11が設けられている。
樹脂層11は、端子121を被覆している。樹脂層11は、詳しくは後述するが熱硬化性樹脂と、フラックス活性化合物とを含む層である。
【0055】
さらに、半導体ブロック14B、半導体ブロック16Bも用意する(図1(A)、(B)参照)。
ここで、半導体ブロック14B、16Bは、半導体ブロック12Bと同様のものである。すなわち、半導体ブロック14B、半導体ブロック16Bは、半導体ブロック12Bと同様にTSV構造の半導体素子である。半導体ブロック14Bは、基板(シリコン基板)140と、この基板140を貫通するビア143と、ビア143に接続された一対の端子142、141とを備える。端子142は、半導体ブロック16Bに接続される接続用端子であり、端子141は、半導体ブロック12Bに接続される接続用端子である。半導体ブロック16Bは、基板(シリコン基板)160と、この基板160を貫通するビア163と、ビア163に接続された一対の端子162、161とを備える。端子162は、基材18に接続される接続用端子であり、端子161は、半導体ブロック14Bに接続される接続用端子である。
【0056】
ビア143、163は、ビア123と同様の材料で構成される。端子142、162は、端子122と同様の構成および材料であり、端子141、161は、端子121と同様の構成および材料である。なお、符号141A、161Aは、半田層121Aと同様の半田層である。
半導体ブロック14Bには、端子141を被覆する樹脂層13が設けられている。また、半導体ブロック16Bには、端子161を被覆する樹脂層15が設けられている。
【0057】
ここで、各半導体ブロック12B、14B、16Bに、樹脂層11、13、15をそれぞれ設ける方法としては、たとえば、以下の方法があげられる。
各半導体ブロック12B、14B、16Bに対し、それぞれ、樹脂層11、13、15の樹脂シートを貼り付ける。
また、各半導体ブロック12B、14B、16Bに、スピンコートで樹脂層11、13、15のそれぞれが一体化した樹脂層を形成し、樹脂層11付きの半導体ブロック12B、樹脂層13付きの半導体ブロック14B、樹脂層15付きの半導体ブロック16Bを用意してもよい。
【0058】
なお、本実施形態では、半導体ブロック10B、12B、14B、16Bは、平面視(基板面側から見た場合の平面視)における大きさが同一である。また、半導体ブロック10B、12B、14B、16Bの基板100、120、140、160の厚みは10μm以上150μm以下、より好ましくは、20μm以上、100μm以下、さらには、50μm以下で、非常に薄いものとなっている。
【0059】
(逐次積層工程:ブロック積層体を用意する工程)
次に、図1(B)に示すように、半導体ブロック10B、樹脂層11、半導体ブロック12B、樹脂層13、半導体ブロック14B、樹脂層15、半導体ブロック16Bで構成されるブロック積層体2Bを用意する。
【0060】
本実施形態では、まず、半導体ブロック10Bの端子101が形成された面と、半導体ブロック12Bに設けられた樹脂層11とを対向させ、半導体ブロック10B上に、樹脂層11を介して半導体ブロック12Bを積層する。
このとき、半導体ブロック10Bに形成されたアライメントマークと半導体ブロック12Bに形成されたアライメントマークとを確認し位置あわせを行なう。
【0061】
その後、半導体ブロック10B、樹脂層11、半導体ブロック12Bを加熱して、半硬化の状態(Bステージ)の樹脂層11を介して、半導体ブロック10Bおよび半導体ブロック12Bを接着する。このとき、ヒータが内蔵された一対の挟圧部材により半導体ブロック10B、樹脂層11、半導体ブロック12Bを挟むことで、半導体ブロック10B、樹脂層11、半導体ブロック12Bを加熱するとともに、前記一対の挟圧部材にて挟圧し、荷重をかけることで、半導体ブロック10Bおよび半導体ブロック12Bを接着することができる。たとえば、ウエハーボンダー、フリップチップボンダー等を使用して、大気圧下の大気中あるいは真空圧下の大気中で、樹脂層11を介して半導体ブロック10Bおよび半導体ブロック12Bを接着する。このときの加熱温度は、樹脂層11の熱硬化性樹脂が完全硬化しなければ、特に限定されないが、熱硬化性樹脂の硬化温度未満であることが好ましい。
【0062】
なお、半田ブロック同士を接着するという場合の接着とは、2つの半導体ブロックが樹脂層により位置ずれしない程度に固定されていればよく、次に述べる半硬化の状態(Bステージ)を含む概念である。
【0063】
また、樹脂層が半硬化の状態(Bステージ)であるとは、樹脂層の上下の半導体ブロック同士を固定できる程度の硬さを有する状態であって、さらに硬化反応を進める余地がある状態をいう。このような半硬化の状態は、特に限定されないが、例えば樹脂層の反応率を測定することによって確認することができ、好ましくはDSC測定での反応率が0%以上60%以下の状態であり、より好ましくは0.5%以上55%以下、さらに好ましくは1%以上50%以下の状態である。
また、反応率は、昇温速度10℃/minの条件で測定された未硬化樹脂フィルムの反応熱量をA、半硬化フィルムの反応熱量をBとした時、以下の式で表わすことができる。
反応率(%)=(1−B/A)×100
【0064】
樹脂層を半硬化の状態とすると、半導体ブロックが樹脂層により位置ずれしない程度に固定できる樹脂の硬さを得られるという点、半田接合工程において、樹脂層の流動性を確保でき、確実に半田接合ができるという点、および硬化性を有するフラックス成分がフラックス活性を発揮できる状態で残存することで十分なフラックス活性を示すため、反応をある程度抑制できるという点で好ましい。
【0065】
接着後の半導体ブロック10Bに対する半導体ブロック12Bの位置が正確であるかどうかは、たとえば、X線顕微鏡や、赤外線顕微鏡を使用して確認することができる。
【0066】
次に、半導体ブロック12Bの端子122が設けられた面と、樹脂層13とを対向させて、半導体ブロック12B上に樹脂層13を介して半導体ブロック14Bを積層する。
このとき、半導体ブロック12Bに形成されたアライメントマークと半導体ブロック14Bに形成されたアライメントマークとを確認し位置あわせを行なう。
【0067】
その後、半導体ブロック10B、樹脂層11、半導体ブロック12B、樹脂層13、半導体ブロック14Bを加熱して、半硬化の状態(Bステージ)の樹脂層13を介して、半導体ブロック12Bおよび半導体ブロック14Bを接着する。このとき、ヒータが内蔵された一対の挟圧部材により半導体ブロック10B、樹脂層11、半導体ブロック12B、樹脂層13、半導体ブロック14Bを挟んで加熱し、前記一対の挟圧部材にて挟圧し、荷重をかけることで、半導体ブロック12Bおよび半導体ブロック14Bを接着することができる。たとえば、ウエハーボンダー、フリップチップボンダー等を使用して、大気圧下の大気中あるいは真空圧下の大気中で半導体ブロック12Bおよび半導体ブロック14Bを接着する。このときの加熱温度は、樹脂層13の熱硬化性樹脂が完全硬化しなければ、特に限定されないが、熱硬化性樹脂の硬化温度未満であることが好ましい。
【0068】
接着後の半導体ブロック12Bに対する半導体ブロック14Bの位置が正確であるかどうかは、たとえば、X線顕微鏡や、赤外線顕微鏡を使用して確認することができる。
【0069】
次に、図1(B)に示すように、半導体ブロック14Bの端子142が設けられた面と、樹脂層15とを対向させて、半導体チップ14上に樹脂層15を介して半導体ブロック16Bを積層する。
このとき、半導体ブロック14Bに形成されたアライメントマークと半導体ブロック16Bに形成されたアライメントマークとを確認し位置あわせを行なう。
【0070】
その後、半導体ブロック10B、樹脂層11、半導体ブロック12B、樹脂層13、半導体ブロック14B、樹脂層15、半導体ブロック16Bを加熱して、半硬化の状態(Bステージ)の樹脂層15を介して、半導体ブロック14Bおよび半導体ブロック16Bを接着する。このとき、ヒータが内蔵された一対の挟圧部材により半導体ブロック10B、樹脂層11、半導体ブロック12B、樹脂層13、半導体ブロック14B、樹脂層15、半導体ブロック16Bを挟んで加熱し、前記一対の挟圧部材にて挟圧し、荷重をかけることで、半導体ブロック14Bおよび半導体ブロック16Bを接着することができる。たとえば、ウエハーボンダー、フリップチップボンダー等を使用して、大気圧下の大気中あるいは真空圧下の大気中で半導体ブロック14Bおよび半導体ブロック16Bを接着する。このときの加熱温度は、樹脂層15の熱硬化性樹脂が完全硬化しなければ、特に限定されないが、熱硬化性樹脂の硬化温度未満であることが好ましい。
【0071】
接着後の半導体ブロック14Bに対する半導体ブロック16Bの位置が正確であるかどうかは、たとえば、X線顕微鏡や、赤外線顕微鏡を使用して確認することができる。
【0072】
以上によりブロック積層体2Bが得られる。このようにして得られたブロック積層体2Bにおいて、樹脂層11、13、15は、半硬化状態であり、完全に硬化していない。
【0073】
なお、本工程では、半田層121A、141A、161Aは溶融しておらず、端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士は、半田接合していない。また、端子101、121同士は物理的に接触していてもよく、または、端子101、121間に樹脂層11の樹脂が介在していてもよい。端子122、141同士、端子142、161同士においても、同様である。また、ブロック積層体2Bにおいて、半導体ブロック10B、樹脂層11、半導体ブロック12B、樹脂層13、半導体ブロック14B、樹脂層15、半導体ブロック16Bの各側面は上面から見て面一(段差のない面)となっていてもよく、または、樹脂層11、13、15のそれぞれが半導体ブロック10B、12B、14B、16Bの側面からはみ出していてもよい。
【0074】
また、樹脂層11、13、15の厚みは、たとえば、5μm以上、100μm以下、より好ましくは10μm以上、50μm以下である。5μm以上とすることで、樹脂層が半田層を確実に被覆でき、端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士を樹脂層のフラックス活性により容易に接続させることができる。また、100μm以下とすることで、端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士を容易に接続させることができる。さらには、100μm以下とすることで樹脂層の硬化収縮による半導体ブロック12B、14B、16Bの反りを抑制することができ、これにより半導体チップ12、14、16の反りを抑制することができる。
【0075】
ここで、樹脂層11、13、15について説明する。樹脂層11、13、15は、それぞれ半導体ブロック10B、12B間、半導体ブロック12B、14B間、半導体ブロック14B、16B間の隙間を埋めるためのものである。
【0076】
樹脂層11、13、15は、それぞれ熱硬化性樹脂と、フラックス活性化合物とを含む。
【0077】
熱硬化性樹脂は、たとえば、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、マレイミド樹脂等を用いることができる。これらは、単独または2種以上を混合して用いることができる。
中でも、硬化性と保存性、硬化物の耐熱性、耐湿性、耐薬品性に優れるエポキシ樹脂が好適に用いられる。樹脂層11、13、15における熱硬化性樹脂の含有量は、30重量%以上、70重量%以下が好ましい。
【0078】
樹脂層11、13、15は、半田接合の際に、半田層や端子の表面の酸化被膜を除去する作用を有する樹脂層である。樹脂層11、13、15が、フラックス作用を有することにより、半田や端子の表面を覆っている酸化被膜が除去されるので、半田接合を行うことができる。樹脂層11、13、15がフラックス作用を有するためには、樹脂層11、13、15が、フラックス活性化合物を含有する必要がある。樹脂層11、13、15に含有されるフラックス活性化合物としては、半田接合に用いられるものであれば、特に制限されないが、カルボキシル基又はフェノール水酸基のいずれか、あるいは、カルボキシル基及びフェノール水酸基の両方を備える化合物が好ましい。
【0079】
樹脂層11、13、15中のフラックス活性化合物の配合量は、1〜30重量%が好ましく、3〜20重量%が特に好ましい。
【0080】
カルボキシル基を備えるフラックス活性化合物としては、脂肪族酸無水物、脂環式酸無水物、芳香族酸無水物、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等が挙げられる。
【0081】
カルボキシル基を備えるフラックス活性化合物に係る脂肪族酸無水物としては、無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物等が挙げられる。
【0082】
カルボキシル基を備えるフラックス活性化合物に係る脂環式酸無水物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0083】
カルボキシル基を備えるフラックス活性化合物に係る芳香族酸無水物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート等が挙げられる。
【0084】
カルボキシル基を備えるフラックス活性化合物に係る脂肪族カルボン酸としては、下記一般式(I)で示される化合物や、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸等が挙げられる。
HOOC−(CH2n−COOH (I)
(式(I)中、nは、0以上20以下の整数を表す。)
【0085】
カルボキシル基を備えるフラックス活性化合物に係る芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレーニト酸、ピロメリット酸、メリット酸、トルイル酸、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、トルイル酸、ケイ皮酸、サリチル酸、2、3−ジヒドロキシ安息香酸、2、4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2、5−ジヒドロキシ安息香酸)、2、6−ジヒドロキシ安息香酸、3、5−ジヒドロキシ安息香酸、浸食子酸(3、4、5−トリヒドロキシ安息香酸)、1、4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3、5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフトエ酸誘導体、フェノールフタリン、ジフェノール酸等が挙げられる。
【0086】
これらのカルボキシル基を備えるフラックス活性化合物のうち、フラックス活性化合物が有する活性度、樹脂層の硬化時におけるアウトガスの発生量、及び硬化後の樹脂層の弾性率やガラス転移温度等のバランスが良い点で、前記一般式(I)で示される化合物が好ましい。そして、前記一般式(I)で示される化合物のうち、式(I)中のnが3〜10である化合物が、硬化後の樹脂層における弾性率が増加するのを抑制することができるとともに、接着性を向上させることができる点で、特に好ましい。
【0087】
前記一般式(I)で示される化合物のうち、式(I)中のnが3〜10である化合物としては、例えば、n=3のグルタル酸(HOOC−(CH23−COOH)、n=4のアジピン酸(HOOC−(CH24−COOH)、n=5のピメリン酸(HOOC−(CH25−COOH)、n=8のセバシン酸(HOOC−(CH28−COOH)及びn=10のHOOC−(CH210−COOH等が挙げられる。
【0088】
フェノール性水酸基を備えるフラックス活性化合物としては、フェノール類が挙げられ、具体的には、例えば、フェノール、o−クレゾール、2、6−キシレノール、p−クレゾール、m−クレゾール、o−エチルフェノール、2、4−キシレノール、2、5キシレノール、m−エチルフェノール、2、3−キシレノール、メジトール、3、5−キシレノール、p−ターシャリブチルフェノール、カテコール、p−ターシャリアミルフェノール、レゾルシノール、p−オクチルフェノール、p−フェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAF、ビフェノール、ジアリルビスフェノールF、ジアリルビスフェノールA、トリスフェノール、テトラキスフェノール等のフェノール性水酸基を含有するモノマー類、フェノールノボラック樹脂、o−クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールFノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等が挙げられる。
【0089】
上述したようなカルボキシル基又はフェノール水酸基のいずれか、あるいは、カルボキシル基及びフェノール水酸基の両方を備える化合物は、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂との反応で三次元的に取り込まれる。
【0090】
そのため、硬化後のエポキシ樹脂の三次元的なネットワークの形成を向上させるという観点からは、フラックス活性化合物としては、フラックス作用を有し且つエポキシ樹脂の硬化剤として作用するフラックス活性硬化剤が好ましい。フラックス活性硬化剤としては、例えば、1分子中に、エポキシ樹脂に付加することができる2つ以上のフェノール性水酸基と、フラックス作用(還元作用)を示す芳香族に直接結合した1つ以上のカルボキシル基とを備える化合物が挙げられる。このようなフラックス活性硬化剤としては、2、3−ジヒドロキシ安息香酸、2、4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2、5−ジヒドロキシ安息香酸)、2、6−ジヒドロキシ安息香酸、3、4−ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸(3、4、5−トリヒドロキシ安息香酸)等の安息香酸誘導体;1、4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3、5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3、7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフトエ酸誘導体;フェノールフタリン;及びジフェノール酸等が挙げられ、これらは1種単独又は2種以上を組み合わせでもよい。
なかでも、端子間の接合を良好なものとするためには、フェノールフタリンを使用することが特に好ましい。
【0091】
また、樹脂層中、フラックス活性硬化剤の配合量は、1〜30重量%が好ましく、3〜20重量%が特に好ましい。樹脂層中のフラックス活性硬化剤の配合量が、上記範囲であることにより、樹脂層のフラックス活性を向上させることができるとともに、樹脂層中に、熱硬化性樹脂と未反応のフラックス活性硬化剤が残存するのが防止される。
また、樹脂層は、無機充填材を含んでいてもよい。樹脂層中に無機充填材を含有させることで、樹脂層の最低溶融粘度を高め、端子間に隙間が形成されてしまうことを抑制できる。ここで、無機充填材としては、シリカや、アルミナ等があげられる。
【0092】
また、樹脂層の60〜150℃における溶融粘度は0.1〜100,000Pa・sが好ましい。これにより、樹脂層と半導体部品とを貼り合わせる際等に、半導体部品のバンプ、パッドおよび配線回路等の凹凸を樹脂層で良好に埋め込むことができる。前記溶融粘度を0.1Pa・s以上とすることで、溶融した樹脂層が半導体部品等に這い上がり汚染することを抑制できる。また、前記溶融粘度を100,000Pa・s以下とすることで、対向した半導体部品の端子間に樹脂層が噛み込まれ導通不良が発生するのを抑制できる。
前記溶融粘度は0.2Pa・s以上70,000Pa・s以下がより好ましく、0.5Pa・s以上30,000Pa・s以下とすることがさらに好ましい。
ここで、樹脂層の溶融粘度は、特に限定されないが、例えば、厚み100μmの樹脂層を、粘弾性測定装置(HAAKE社製「ReoStress RS150」を用いて、パラレルプレート20mmφ、ギャップ0.05mm、周波数0.1Hz、昇温速度10℃/minの条件にて測定することができる。
【0093】
(第一の接合工程:ブロック積層体を接合する工程)
次に、図2(A)に示すように、以上の工程で得られたブロック積層体2Bを加熱して、端子101、121間、端子122、141間、端子142、161間の半田接合を行う。
ここで、第一の接合工程において、端子間が半田接合されるとは、以下のことをいう。積層体2が半田層121A、141A、161Aの融点以上に加熱され、半導体チップ10、12間、半導体チップ12、14間、半導体チップ14、16間の接合に使用される各半田層121A、141A、161Aが溶融するとともに、端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士が物理的に接触し、少なくとも一部が合金を形成している状態をいう。
【0094】
ここでは、たとえば、図3に示した装置5を使用する。この装置5は、流体が導入される容器51と、この容器51内に配置された一対の熱板(挟圧部材)52、53とを備える。
【0095】
容器51は、圧力容器であり、容器51の材料としては、金属等があげられ、たとえば、ステンレス、チタン、銅である。
【0096】
熱板52、53は、内部にヒータを有するプレス板であり、熱板53の上方に設置されたブロック積層体2Bを熱板52、53で挟圧する。熱板53には、ピン54が形成されており、このピン54が板材(ブロック積層体2Bを設置する設置部)55を貫通している。この板材55は、ブロック積層体2Bを挟圧する際に、ピン54上を摺動して、熱板53に接触する。
【0097】
熱板52の温度は、熱板53の温度よりも高く設定されている。たとえば、熱板52の温度は、熱板53よりも20℃以上高く、熱板52が半田層121A、141A、161Aの融点以上の温度であり、熱板53は、半田層121A、141A、161Aの融点未満となっている。
【0098】
はじめに、あらかじめ、熱板52、53を所定の温度まで加熱しておく。板材55を熱板53から離間させておき、板材55上にブロック積層体2Bを設置する。次に、配管511を介して容器51内に流体を導入する。流体としては、気体が好ましく、たとえば、空気、不活性ガス(窒素ガス、希ガス)等があげられる。
【0099】
その後、ブロック積層体2Bを流体で加圧した状態を維持しながら、熱板52をブロック積層体2Bに接触させる。さらに、板材55をピン54上で摺動させて、熱板52、53でブロック積層体2Bを積層方向に沿って挟圧する。ブロック積層体2Bは、半田層121A、141A、161Aの融点以上に加熱され、端子101、121間、端子122、141間、端子142、161間で半田接合が行われる。熱板52、53でブロック積層体2Bを挟圧することで、端子101、121間(端子122、141間、端子142、161間)に樹脂が挟まっていた場合でも、樹脂を排除して、端子101、121同士(端子122、141同士、端子142、161同士)を確実に接触させることができ、安定的に半田接合することができる。
【0100】
流体により、ブロック積層体2Bを加圧する際の加圧力は、0.1MPa以上、10MPa以下が好ましく、より好ましくは0.5MPa以上、5MPa以下である。流体によりブロック積層体2Bを加圧することで、樹脂層11、13、15内のボイド発生を抑制することができる。とくに、0.1MPa以上とすることで、この効果が顕著となる。また、10MPa以下とすることで、装置の大型化、複雑化を抑制できる。なお、流体で加圧するとは、ブロック積層体2Bの雰囲気の圧力を、大気圧より加圧力分だけ高くすることを指す。すなわち、加圧力10MPaとは、大気圧よりも、ブロック積層体2Bにかかる圧力が10MPa大きいことを示す。
【0101】
ここでは、ブロック積層体2Bを半田層121A、141A、161Aの融点以上、たとえば、240℃〜260℃で1秒から10分程度加熱する。
これにより、半田層121A、141A、161Aを溶融させて半田接合を行うことができる。なお、半田層121A、141A、161Aの融点が異なる場合には、最も融点の高い半田層の融点以上にブロック積層体2Bを加熱すればよい。
【0102】
その後、熱板52、53を離間させて、さらに、流体を容器51から排出する。流体によるブロック積層体2Bへの加圧を停止し、その後、ブロック積層体2Bを容器51から取り出す。
【0103】
ここで、第一の接合工程において、樹脂層11、13、15が完全に硬化していない場合には、図4に示す装置6を使用して、樹脂層11、13、15の硬化を進めてもよい。この装置6は、装置5と同様の容器51を有し、ブロック積層体2Bを流体で加圧しながら、加熱して、樹脂層11、13、15の硬化を行なうものである。流体は、装置6で使用したものと同様のものが使用できる。
【0104】
ブロック積層体2Bを加熱する方法としては、配管511から、加熱した流体を容器51内に入れ、ブロック積層体2Bを加熱加圧する方法があげられる。または、配管511から流体を容器51内へ流入させ、加圧雰囲気下にしつつ、容器51を加熱することにより、ブロック積層体2Bを加熱することもできる。
【0105】
容器51内にブロック積層体2Bを配置し、流体を導入し、ブロック積層体2Bを樹脂層11、13、15の硬化を行う。このとき、樹脂層11、13、15を硬化するために、加熱することが好ましい。加熱温度は、特に限定されないが、樹脂層11、13、15の熱硬化性樹脂の硬化温度以上が好ましく、たとえば、180℃1時間の加熱を行なうことが好ましい。ここで、硬化温度とは、樹脂層の硬化温度であり、樹脂層に含まれる熱硬化性樹脂が、たとえばDSC(Differential Scanning Calorimeter:示差走査熱量計)を用い、昇温速度10℃/分で樹脂層を測定した際の発熱ピーク温度とする。硬化温度の範囲は、好ましくは100℃〜300℃であり、より好ましくは110℃〜280℃であり、さらに好ましくは120℃〜260℃である。
【0106】
なお、装置6の容器51内に複数のブロック積層体2Bを入れて、樹脂層11、13、15の硬化を行なってもよい。このようにすることで生産性を向上させることができる。
【0107】
以上のようにして、半導体ブロック10B、12B同士、半導体ブロック12B、14B同士、半導体ブロック14B、16B同士が半田接合されたブロック積層体2Bを得る(図1(B))。
【0108】
(切断工程)
次に、図2(B、C)に示すように、以上の工程で得られたブロック積層体2Bを切断することで個片積層体2を得る。切断方法としては、ダイシングブレード、レーザ等を用いることができる。
【0109】
(第二の接合工程:基材を接合する工程)
次に、図5(B)に示すように、半導体チップ10、12同士、半導体チップ12、14同士、半導体チップ14、16同士が半田接合された個片積層体2を、基材18上に載せ、個片積層体2と基材18とを半田接合する。
はじめに、基材18を用意する。ここでは、基材18は、樹脂基板であってもよく、また、シリコン基板やセラミック基板等であってもよい。
【0110】
基材18の表面には、端子(積層体接続用端子)181が形成されている。端子181は、端子101と同様の構造、材料で構成され、表面に半田層181Aを有する。端子181は、半導体チップ16に接続されるものである。
【0111】
次に、この基材18の表面に樹脂層17を設ける。この樹脂層17は、端子181を被覆するように設けられる。樹脂層17としては、樹脂層11、13、15と同様のものであってもよく、たとえば、ペースト状のノーフロー型アンダーフィル材(NUF)を使用してもよい。基材18の表面の一部に、樹脂層17を設けるため、ペースト状のアンダーフィル材をディスペンスやインクジェット等で塗布することが好ましい。
【0112】
このようなノーフロー型アンダーフィル材としては、たとえば、特開2008−13710号公報に開示されたものがあげられ、常温で液状の第一エポキシ樹脂と、第一エポキシ樹脂よりも硬化温度が高い第二エポキシ樹脂と、シリコーン変性エポキシ樹脂と、無機充填材と、フラックス活性を有する硬化剤とを含む樹脂組成物で構成される。この樹脂組成物は、溶剤を含まない。
【0113】
第一エポキシ樹脂としては、たとえば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
第二エポキシ樹脂としては、アリル基を有するエポキシ樹脂(たとえば、ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂)が好ましい。
【0114】
第一エポキシ樹脂は樹脂組成物中で5〜50重量%であることが好ましく、第二エポキシ樹脂は、0.1〜40重量%であることが好ましい。
【0115】
シリコーン変性エポキシ樹脂としては、ジシロキサン構造を有するシリコーン変性(液状)エポキシ樹脂が挙げられ、具体的に下記一般式(1)で示されるシリコーン変性エポキシ樹脂が挙げられる。
【0116】
【化1】

(mは0以上の整数である。)
【0117】
前記シリコーン変性エポキシ樹脂のシリコーン変性率は、特に限定されないが、前記シリコーン変性樹脂のmが5以下であることが好ましく、特にmが1以下であることが好ましい。
【0118】
さらに具体的には、前記シリコーン変性エポキシ樹脂は、前記一般式(1)で示されるシリコーン変性液状エポキシ樹脂のmが0であるシリコーン変性液状エポキシ樹脂と、下記一般式(2)で示されるフェノール類とを加熱反応により合成したものであることが好ましい。これにより、基材や半導体チップへの濡れ性を向上することができる。
【0119】
【化2】

(R1〜R5は、それぞれ同じであっても異なるものであってもよく、それぞれ、水素原子、アルキル基、アリル基の中から選択される基であり、nは0以上の整数である。)
【0120】
前記一般式(1)で示されるシリコーン変性液状エポキシ樹脂のmが0であるシリコーン変性液状エポキシ樹脂と、前記一般式(2)で表されるフェノール類とのモル比(シリコーン変性エポキシ樹脂のエポキシ基モル比/フェノール類の水酸基モル比)は、特に限定されないが、1〜10であることが好ましく、特に1〜5であることが好ましい。モル比が前記範囲内であると、特に反応物の収率や低揮発性などに優れる。
【0121】
シリコーン変性エポキシ樹脂の含有量は、樹脂組成物全体の0.1〜20重量%であることが好ましい。
【0122】
さらに、フラックス活性を有する硬化剤は、融点が異なる2種以上使用することが好ましい。
たとえば、第一のフラックス活性硬化剤としては、2、3−ジヒドロキシ安息香酸、2、4−ジヒドロキシ安息香酸、2、5−ジヒドロキシ安息香酸、2、6−ジヒドロキシ安息香酸、3、4−ジヒドロキシ安息香酸が好ましい。
また、第二のフラックス活性硬化剤としては、o−フタル酸、トリメリット酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、4−ヒドロキシ(o−フタル酸)、3−ヒドロキシ(o−フタル酸)、テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、アルキレン基を含むものとしてはコハク酸、マロン酸、グルタル酸、リンゴ酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、ピメリン酸、1、9−ノナンジカルボン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。これらを単独あるいは複数併用してもかまわない。これらの中でも、セバシン酸が好ましい。
【0123】
基材18上に樹脂層17を設けた後、樹脂層17上に個片積層体2を搭載する。個片積層体2の端子162が、樹脂層17側に位置するように、個片積層体2を樹脂層17上に設置する。
【0124】
このとき、個片積層体2に形成されたアライメントマークと基材18に形成されたアライメントマークとを確認し位置あわせを行なう。
【0125】
その後、一対の挟圧部材41、42で個片積層体2、樹脂層17、基材18を積層方向に沿って挟圧しながら、個片積層体2、樹脂層17、基材18を半田層181Aの融点以上に加熱する。このとき、個片積層体2、樹脂層17、基材18を、一対の挟圧部材41、42で挟圧するとともに、一対の挟圧部材41、42を加熱することで、個片積層体2、樹脂層17、基材18が半田層181Aの融点以上に加熱されることとなる。これにより、端子181と端子162とが半田接合される。この接合工程では、たとえば、フリップチップボンダーを使用し、基材18に対し、ひとつずつ、個片積層体2を半田接合する。
【0126】
このようにして、基材18上には、複数の個片積層体2が設置され、基材18と複数の個片積層体2が半田接合され、構造体3が得られる(図5(C)参照)。
【0127】
その後、必要に応じて、構造体3の樹脂層17を硬化させる。ここでは、前述した図4の装置6を使用して、樹脂層17の硬化を行なう。硬化の方法は、前述した方法と同様であり、構造体3を流体で加圧しながら、樹脂層17の熱硬化性樹脂の硬化温度以上に構造体3を加熱して、樹脂層17の硬化を行なう。
このようにすることで、樹脂層17でのボイドの発生を防止できるとともに、発生したボイドを消滅させることができる。
【0128】
(封止工程)
次に、構造体3の封止を行なう。封止の方法は、ポッティング、トランスファー成形、圧縮成形のいずれであってもよい。
その後、個片積層体2ごとに、切断して、図5(D)に示す半導体装置1を複数得ることができる。なお、図5(D)において、符号19は、封止材を示し、符号18Aはダイシング(切断)された基材18を示す。また、半導体装置1が複数の個片積層体2を有する場合には、半導体装置1の単位ごとに切断すればよい。なお、切断には、ダイシングブレード、レーザ、ルーター等を使用することができる。
【0129】
以上のような本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
本実施形態では、半導体ブロック10B、樹脂層11、半導体ブロック12B、樹脂層13、半導体ブロック14B、樹脂層15、半導体ブロック16Bをこの順で積層してブロック積層体2Bを得た後、ブロック積層体2B全体を加熱して半田接合を行うため、従来に比べて、各半導体チップ10、12、14、16にかかる熱ダメージを低減させることができる。したがって、半導体装置1の信頼性を向上させることができる。
【0130】
また、半導体ブロック10B、樹脂層11、半導体ブロック12B、樹脂層13、半導体ブロック14B、樹脂層15、半導体ブロック16Bをこの順で積層してブロック積層体2Bを得た後、ブロック積層体2B全体を加熱して、端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士間の半田接合を同時に行っている。そのため、半導体部品同士ごとに半田接合を逐次行いながら、複数の半導体部品を積層する場合に比べ、半田接合時の生産性を向上させることができる。
【0131】
なお、本実施形態では、ブロック積層体2Bを得る際に、半導体ブロック10B上に、樹脂層付き半導体ブロックを積層するごとに、加熱しているが、この際の加熱は、樹脂層により半導体ブロック同士を接着するための加熱である。したがって、加熱時間は比較的短く、加熱温度も低くてすむため、ブロック積層体2Bを得る工程を実施しても、従来の製造方法に比べ、生産性を向上させることができる。
【0132】
さらに、本実施形態では、ブロック積層体2Bを挟圧して、半田接合している。
従来は、半導体チップを積層するごとに、挟圧し、半田接合していたため、下層の半導体チップは、複数回、挟圧されることとなり、ダメージをうけやすい。
これに対し、本実施形態では、半導体ブロック10B、樹脂層11、半導体ブロック12B、樹脂層13、半導体ブロック14B、樹脂層15、半導体ブロック16Bをこの順で積層してブロック積層体2Bを得た後、ブロック積層体2Bを挟圧して、半田接合を行なっている。半田接合時に、複数回挟圧されてしまうことが防止され、半導体ブロック10B、12B、14B、16Bへのダメージが低減される。
【0133】
本実施形態では、ブロック積層体2Bの端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士を半田接合し、ブロック積層体2Bを切断して個片積層体2を得た後、基材18と個片積層体2との半田接合を行なっている。
【0134】
また、本実施形態では、あらかじめ、ブロック積層体2Bの端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士を半田接合している。ブロック積層体2Bは、比較的線膨張係数が高い樹脂層を、比較的線膨張係数が低い半導体ブロックで挟んだ構造となっているので、半田接合の際、熱が加わってもそりが発生しにくい。これにより、ブロック積層体2Bにおいて、端子101、121間、端子122、141間、端子142、161間においてずれが発生してしまうことが防止でき、半導体装置1の信頼性を向上させることができる。
【0135】
さらに、本実施形態では、ブロック積層体2Bの端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士を半田接合する際に、ブロック積層体2Bを流体により加圧し、加熱している。ブロック積層体2Bが流体で加圧されることで、ブロック積層体2Bの樹脂層11、13、15でボイドが発生してしまうことを防止できる。また、ブロック積層体2Bが流体で加圧されることで、ブロック積層体2Bの樹脂層11、13、15中にあるボイドが加圧されて小さくなる。以上のことから、ボイドにより端子同士が位置ずれしてしまうことを防止できる。また、樹脂層11、13、15がボイドにより押し出されてしまい、装置5が汚れてしまうことを防止できる。
【0136】
また、ブロック積層体2Bを用意する工程において、樹脂層付きの半導体ブロックを積層する際に、真空圧下で実施すると、たとえば、樹脂層11と半導体ブロック10Bとの界面に気体が入りにくくなり、半田接合する際に、ボイドをより小さくすることができる。
【0137】
なお、前述したように、従来技術においては、半導体チップ上に半導体チップを積層するたびに、半導体チップ同士を半田接合していた。半田接合の際に、流体による加圧を行なおうとすると、半導体チップ上に他の半導体チップ積層し、その後、半導体チップの積層体を装置5の容器51内に入れ、半田接合を行う。さらに、装置5から、半導体チップの積層体を取り出し、その後、さらに他の半導体チップを積層するという作業が必要となり、半導体チップの積層体の装置5への出し入れを繰り返すこととなる。したがって、非常に手間がかかることとなるので、流体により半導体チップを加圧しながら、半田接合することは難しかった。
これに対し、本実施形態では、あらかじめ半導体ブロック10B、12B、14B、16Bを積層したブロック積層体2Bを形成し、このブロック積層体2B全体を加熱することで、端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士を一度に半田接合しているので、流体雰囲気下で加圧しながら半田接合ができる。
【0138】
本実施形態では、装置5を使用してブロック積層体2Bの端子101、121間、端子122、141間、端子142、161間の半田接合をしている。ここで、ブロック積層体2Bが設置される板材55は、一対の熱板52、53から離間して配置されている。これにより、ブロック積層体2Bには、熱板52、53からの熱が加わりにくくなる。そのため、ブロック積層体2Bを装置5内に設置した後、ブロック積層体2Bを流体により所定の加圧力で加圧するまでの間に、ブロック積層体2Bの樹脂層11、13、15が軟化し、樹脂層11、13、15中のボイドが大きくなってしまうことが防止される。
また、熱板53の温度を、熱板52よりも低くしておくことで、ブロック積層体2Bを装置5内に設置した後、ブロック積層体2Bを流体により所定の加圧力で加圧するまでの間に、ブロック積層体2Bの樹脂層11、13、15が軟化し、樹脂層11、13、15中のボイドが大きくなってしまうことが防止される。一方で、熱板52の温度を、熱板53よりも高くしておくことで、ブロック積層体2Bを挟圧した後、ブロック積層体2Bを所定の温度まで比較的短時間で昇温させることができる。
なお、板材55が熱板52に近接して配置されている場合には、熱板52の温度を、熱板53の温度よりも低く設定してもよい。
【0139】
また、本実施形態では、ブロック積層体2Bを用意する工程で、半導体ブロック10B、12Bを半硬化の状態の樹脂層11を介して接着している。同様に、半導体ブロック12B、14Bを半硬化の状態の樹脂層13を介して接着し、半導体ブロック14B、16Bを半硬化の状態の樹脂層15を介して接着している。このように、半導体ブロック同士が接着されているため、ブロック積層体2Bにおいて、半導体ブロック間における半導体チップ同士が位置ずれしてしまうことを防止できる。
なお、半導体ブロック12B、14Bを半硬化の状態の樹脂層13を介して接着する際、および半導体ブロック14B、16Bを半硬化の状態の樹脂層15を介して接着する際には、半導体ブロック10B、12B、14Bに複数回、熱がかかるが、半硬化状態の樹脂層により半導体チップ同士を接着するための加熱であるため、加熱温度も比較的低く設定でき、また、たとえ加熱温度を高くしても加熱時間が比較的短くてすむ。したがって、半導体ブロック10B、12B、14Bへの熱の影響は非常に少ないと考えられる。
【0140】
さらに、本実施形態では、ブロック積層体2Bを構成する前段で、半導体ブロック12Bに樹脂層11を設けている。同様に、半導体ブロック14Bに樹脂層13を設け、半導体ブロック16Bに樹脂層15を設けている。半導体ブロック12B、14B、16BはいずれもTSV構造であり、非常に厚みが薄いため、樹脂層11、13、15をそれぞれ設けることで、半導体ブロック12B、14B、16Bの反り発生を防止し、取り扱い性に優れたものとすることができる。
【0141】
また、本実施形態では、基材18に複数の個片積層体2を半田接合させた後、封止を行い、その後、切断している。これにより、半導体装置1の生産性を向上させることができる。
【0142】
(第二実施形態)
図6を参照して、本発明の第二実施形態について説明する。
本実施形態では、前記実施形態と同様、図6(A)に示すように、半導体ブロック10B上に、樹脂層11を介して、半導体ブロック12Bを積層し、加熱する。これにより、半硬化状態の樹脂層11を介して、半導体ブロック10Bと半導体ブロック12Bとを接着する。
同様にして、半導体ブロック12B上に半硬化状態の樹脂層13を介して、半導体ブロック14Bを積層し、半導体ブロック12B、14Bを接着する。半田層121A、141Aは溶融しておらず、端子101、121同士、端子122、141同士は半田接合されていない。
【0143】
その後、図6(A)に示すように、挟圧部材43に樹脂層15付き半導体ブロック16Bを取り付ける。一方で、挟圧部材44上に、半導体ブロック10B、樹脂層11、半導体ブロック12B、樹脂層13、半導体ブロック14Bから構成される積層体を設置する。
次に、挟圧部材44、43を接近させ、樹脂層15付き半導体ブロック16Bの樹脂層15を半導体ブロック14Bに当接させる。これによりブロック積層体2Bが構成されるが、ここでは、半導体ブロック16Bは、樹脂層15を介して半導体ブロック14Bに接着していない状態である。
その後、挟圧部材44、43内のヒータが昇温を開始する。挟圧部材44、43を介してブロック積層体2Bを半田層121A、141A、161Aの融点以上に加熱するとともに、挟圧部材44、43で挟圧して、端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士を半田接合する。
ここでは、たとえば、ウエハーボンダー、フリップチップボンダー等を使用して、半田接合することができる。
なお、本実施形態においても半田接合の際に、第一実施形態と同様に流体でブロック積層体2Bを加圧しながら、半田接合を実施してもよい。
【0144】
次に、端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士が半田接合されたブロック積層体2Bの樹脂層11、13、15を硬化させる。樹脂層11、13、15の硬化は前記実施形態と同様、装置6を使用して実施することができる。
その後の工程は、前記実施形態と同様である。
【0145】
このような本実施形態によれば、前記実施形態と同様の効果を奏することができるうえ、以下の効果を奏することができる。
本実施形態では、樹脂層15を介して、半導体ブロック16Bと半導体ブロック14Bとを接着する工程を実施していないので、生産性を向上させることができる。
【0146】
(第三実施形態)
図7〜9には、本実施形態の半導体装置の製造方法が示されている。
【0147】
はじめに、本実施形態の半導体装置1の製造方法の概要について説明する。
本実施形態の半導体装置1の製造方法は、逐次積層工程と、切断工程と、第一の接合工程(逐次積層体接合工程)と、第二の接合工程(基材接合工程)と、を含む。
【0148】
逐次積層工程では、半導体チップ(第一半導体部品)10が配列された第一半導体ブロック10B、樹脂層(第一樹脂層)11、半導体チップ(第二半導体部品)12が配列された第二半導体ブロック12B、樹脂層(第二樹脂層)13、半導体チップ(第三半導体部品)14が配列された第三半導体ブロック14B、樹脂層(第三樹脂層)15、半導体チップ(第四半導体部品)16が配列された第四半導体ブロック16Bを接着することによりブロック積層体2Bを得る。
【0149】
ここで、複数の半導体部品が配列された半導体ブロックは、ウエハーサイズの形状、複数の半導体部品が配列され矩形状に加工されたブロックの形状、複数の半導体部品が配列され周辺部には半導体部品が配置されていない形状などのいずれであってもよい。また、半導体ブロックが積層される構成は、ウエハーサイズで積層する場合、ウエハーサイズにブロックサイズが積層される場合のいずれであってもよい。
【0150】
切断工程では、ブロック積層体2Bを、積層された半導体チップ(半導体部品)単位である逐次積層体2Cの大きさに切断する。
【0151】
なお、逐次積層体とは、積層された半導体チップ(半導体部品)の接続端子間が未だ半田接合されていない状態の個片積層体をいう。
【0152】
第一の接合工程(逐次積層体接合工程)では、半導体チップ10、樹脂層11、半導体チップ12、樹脂層13、半導体チップ14、樹脂層15、半導体チップ16を積層することにより得られ、半導体チップ10、12同士、半導体チップ12、14同士、半導体チップ14、16同士が半田接合されていない逐次積層体2Cを加熱して、半導体チップ10、12間、半導体チップ12、14間、半導体チップ14、16間の半田接合を行い個片積層体2とする。
【0153】
その後、半田接合した個片積層体2を基材18上に設置する。個片積層体2の基材18への接続用端子162と、基材18の個片積層体2への接続用端子181とが当接するように、個片積層体2を基材18上に設置する。
次に、第二の接合工程(基材接合工程)において、接続用端子181の半田層181Aの融点以上に個片積層体2および基材18を加熱して、個片積層体2を基材18に半田接合する。
【0154】
次に、本実施形態の半導体装置1の製造方法について、詳細に説明する。
【0155】
はじめに、図1(A)及び図1(B)参照に示すように半導体ブロック10B、樹脂層11、半導体ブロック12B、樹脂層13、半導体ブロック14B、樹脂層15、半導体ブロック16Bを用意する。この工程は、第一実施形態と同様に実施することができるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0156】
(逐次積層工程:ブロック積層体を用意する工程)
次に、図1(B)に示すように、半導体ブロック10B、樹脂層11、半導体ブロック12B、樹脂層13、半導体ブロック14B、樹脂層15、半導体ブロック16Bで構成されるブロック積層体2Bを用意する。この工程は、第一実施形態と同様に実施することができるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0157】
(切断工程)
次に、図7(A)に示すように、以上の工程で得られたブロック積層体2Bを切断することで、積層された半導体部品である逐次積層体2Cを得る。切断方法としては、ダイシングブレード、レーザ等を用いることができる。
【0158】
(第一の接合工程:逐次積層体を接合する工程)
次に、図7(B)に示すように、以上の工程で得られた逐次積層体2Cを加熱して、端子101、121間、端子122、141間、端子142、161間の半田接合を行う。
ここで、第一の接合工程において、端子間が半田接合されるとは、以下のことをいう。逐次積層体2Cが半田層121A、141A、161Aの融点以上に加熱され、半導体チップ10、12間、半導体チップ12、14間、半導体チップ14、16間の接合に使用される各半田層121A、141A、161Aが溶融するとともに、端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士が物理的に接触し、少なくとも一部が合金を形成している状態をいう。
【0159】
この工程は、第一実施形態のブロック構造体2Bに代えて逐次積層体2Cを用いることによって、第一実施形態におけるブロック構造体の接合と同様に実施することができる。また、この工程では、第一実施形態における装置5及び6と同様の装置を用いて、接合を行うことができる(図8及び図9参照)。よって、ここでは詳細な説明を省略する。
【0160】
以上のようにして、半導体チップ10、12同士、半導体チップ12、14同士、半導体チップ14、16同士が半田接合された個片積層体2を得る(図5(A))。
【0161】
以降の第二の接合工程(基材接合工程)及び封止工程は、第一実施形態と同様に実施することができるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0162】
以上のような本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
逐次積層体2C全体を加熱して半田接合を行うため、従来に比べて、各半導体チップ10、12、14、16にかかる熱ダメージを低減させることができる。したがって、半導体装置1の信頼性を向上させることができる。
【0163】
また、半導体ブロック10B、樹脂層11、半導体ブロック12B、樹脂層13、半導体ブロック14B、樹脂層15、半導体ブロック16Bをこの順で積層してブロック積層体2Bを得た後、このブロック積層体2Bを切断して得た逐次積層体2C全体を加熱して、端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士間の半田接合を同時に行っている。そのため、半導体部品同士ごとに半田接合を逐次行いながら、複数の半導体部品を積層する場合に比べ、半田接合時の生産性を向上させることができる。
【0164】
なお、本実施形態では、ブロック積層体2Bを得る際に、半導体ブロック10B上に、樹脂層付き半導体ブロックを積層するごとに、加熱しているが、この際の加熱は、樹脂層により半導体ブロック同士を接着するための加熱である。したがって、加熱時間は比較的短く、加熱温度も低くてすむため、ブロック積層体2Bおよびその後の逐次積層体2Cを得る工程を実施しても、従来の製造方法に比べ、生産性を向上させることができる。
【0165】
さらに、本実施形態では、逐次積層体2Cを挟圧して、半田接合している。
従来は、半導体チップを積層するごとに、挟圧し、半田接合していたため、下層の半導体チップは、複数回、挟圧されることとなり、ダメージをうけやすい。
これに対し、本実施形態では、半導体ブロック10B、樹脂層11、半導体ブロック12B、樹脂層13、半導体ブロック14B、樹脂層15、半導体ブロック16をこの順で積層してブロック積層体2Bを得た後、このブロック積層体2Bを切断して得た逐次積層体2Cを挟圧して、半田接合を行なっている。半田接合時に、複数回挟圧されてしまうことが防止され、半導体チップ10、12、14、16へのダメージが低減される。
【0166】
本実施形態では、逐次積層体2Cの端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士を半田接合した後、基材18と個片積層体2との半田接合を行なっている。
端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士が半田接合されていない状態の逐次積層体2Cを基材18に設置した後、逐次積層体2Cおよび基材18を加熱して、端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士、基材18の端子181および端子162同士を半田接合する方法も考えられる。
しかしながら、このような方法では、基材18と、逐次積層体2Cとの線膨張係数差が大きい場合には、線膨張係数差で発生する応力が逐次積層体2Cに加わり、逐次積層体2C中でずれが発生する可能性がある。
これに対し、本実施形態のように、あらかじめ、端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士を半田接合した後、個片積層体2と基材18との半田接合を行なうことで、逐次積層体2C又は個片積層体2中でずれが発生してしまうことを防止できる。
【0167】
また、本実施形態では、あらかじめ、逐次積層体2Cの端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士を半田接合している。逐次積層体2Cは、比較的線膨張係数が高い樹脂層を、比較的線膨張係数が低い半導体チップで挟んだ構造となっているので、半田接合の際、熱が加わってもそりが発生しにくい。これにより、逐次積層体2C又は個片積層体2において、端子101、121間、端子122、141間、端子142、161間においてずれが発生してしまうことが防止でき、半導体装置1の信頼性を向上させることができる。
【0168】
さらに、本実施形態では、逐次積層体2Cの端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士を半田接合する際に、逐次積層体2Cを流体により加圧し、加熱している。逐次積層体2Cが流体で加圧されることで、逐次積層体2Cの樹脂層11、13、15でボイドが発生してしまうことを防止できる。また、逐次積層体2Cが流体で加圧されることで、逐次積層体2Cの樹脂層11、13、15中にあるボイドが加圧されて小さくなる。以上のことから、ボイドにより端子同士が位置ずれしてしまうことを防止できる。また、樹脂層11、13、15がボイドにより押し出されてしまい、装置5が汚れてしまうことを防止できる。
【0169】
また、ブロック積層体2Bを用意する工程において、樹脂層付きの半導体チップを積層する際に、真空圧下で実施すると、たとえば、樹脂層11と半導体ブロック10Bとの界面に気体が入りにくくなり、後の逐次積層体2Cの半田接合をする際に、ボイドをより小さくすることができる
【0170】
なお、前述したように、従来技術においては、半導体チップ上に半導体チップを積層するたびに、半導体チップ同士を半田接合していた。半田接合の際に、流体による加圧を行なおうとすると、半導体チップ上に他の半導体チップ積層し、その後、半導体チップの積層体を装置5の容器51内に入れ、半田接合を行う。さらに、装置5から、半導体チップの積層体を取り出し、その後、さらに他の半導体チップを積層するという作業が必要となり、半導体チップの積層体の装置5への出し入れを繰り返すこととなる。したがって、非常に手間がかかることとなるので、流体により半導体チップを加圧しながら、半田接合することは難しかった。
これに対し、本実施形態では、あらかじめ半導体チップ10、12、14、16が積層された逐次積層体2Cを形成し、この逐次積層体2C全体を加熱することで、端子101、121同士、端子122、141同士、端子142、161同士を一度に半田接合しているので、流体雰囲気下で加圧しながら半田接合ができる。また、ブロック積層体2Bを構成した後、このブロック積層体2Bを切断して得た逐次積層体2Cを加熱して半田接合するので、半田接合される半導体部品の面積が小さくなり、各層の半導体部品にかかる歪が小さくなり、チップクラックをより防止できる。
【0171】
本実施形態では、装置5を使用して逐次積層体2Cの端子101、121間、端子122、141間、端子142、161間の半田接合をしている。ここで、逐次積層体2Cが設置される板材55は、一対の熱板52、53から離間して配置されている。これにより、逐次積層体2Cには、熱板52、53からの熱が加わりにくくなる。そのため、逐次積層体2Cを装置5内に設置した後、逐次積層体2Cを流体により所定の加圧力で加圧するまでの間に、逐次積層体2Cの樹脂層11、13、15が軟化し、樹脂層11、13、15中のボイドが大きくなってしまうことが防止される。
また、熱板53の温度を、熱板52よりも低くしておくことで、逐次積層体2Cを装置5内に設置した後、逐次積層体2Cを流体により所定の加圧力で加圧するまでの間に、積層体2の樹脂層11、13、15が軟化し、樹脂層11、13、15中のボイドが大きくなってしまうことが防止される。一方で、熱板52の温度を、熱板53よりも高くしておくことで、逐次積層体2Cを挟圧した後、逐次積層体2Cを所定の温度まで比較的短時間で昇温させることができる。
なお、板材55が熱板52に近接して配置されている場合には、熱板52の温度を、熱板53の温度よりも低く設定してもよい。
【0172】
また、本実施形態では、半導体ブロック積層体2Bを用意する工程で、半導体ブロック10B、12Bを半硬化の状態の樹脂層11を介して接着している。同様に、半導体ブロック12B、14Bを半硬化の状態の樹脂層13を介して接着し、半導体ブロック14B、16Bを半硬化の状態の樹脂層15を介して接着している。このように、半導体ブロック同士が接着されているため、半導体ブロック間における半導体チップ同士が位置ずれしてしまうことを防止できる。
なお、半導体ブロック12B、14Bを半硬化の状態の樹脂層13を介して接着する際、および半導体ブロック14B、16Bを半硬化の状態の樹脂層15を介して接着する際には、半導体ブロック10B、12B、14Bに複数回、熱がかかるが、半硬化状態の樹脂層により半導体ブロック同士を接着するための加熱であるため、加熱温度も比較的低く設定でき、また、たとえ加熱温度を高くしても加熱時間が比較的短くてすむ。したがって、半導体ブロック10B、12B、14Bへの熱の影響は非常に少ないと考えられる。
【0173】
さらに、本実施形態では、逐次積層体2Cを構成する前段で、半導体ブロック12Bに樹脂層11を設けている。同様に、半導体ブロック14Bに樹脂層13を設け、半導体ブロック16Bに樹脂層15を設けている。半導体ブロック12B、14B、16BはいずれもTSV構造であり、非常に厚みが薄いため、樹脂層11、13、15をそれぞれ設けることで、半導体ブロック12B、14B、16Bの反り発生を防止し、取り扱い性に優れたものとすることができる。
【0174】
また、本実施形態では、基材18に複数の個片積層体2を半田接合させた後、封止を行い、その後、切断している。これにより、半導体装置1の生産性を向上させることができる。
【0175】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0176】
また、前記各実施形態では、樹脂層17を基材18上に形成した後、個片積層体2を基材18上に設置していたが、これに限られない。たとえば、樹脂層17を設けず、基材18と個片積層体2とを半田接合し、その後、封止すると同時に、基材18および個片積層体2間にアンダーフィルを充填してもよい。この場合には、いわゆるモールドアンダーフィル材を使用し、たとえば、特開2003−12773号公報、特開2003−277585号公報に開示された材料を使用すればよい。
【0177】
さらに、前記各実施形態では、個片積層体2において樹脂層11、13、15を硬化させた後に、基材18と個片積層体2との半田接合を実施していたが、樹脂層11、13、15が完全に硬化していない状態で、基材18と個片積層体2との半田接合を実施してもよい。たとえば、封止を行なう際に、樹脂層11、13、15を完全に硬化させてもよい。
【0178】
また、前記各実施形態では、基材18に対し、ひとつずつ、個片積層体2を半田接合して、基材18上に複数の個片積層体2を設けていたが、これに限られない。たとえば、基材18上に複数の個片積層体2をのせ、その後、図3に示した装置5を使用して、複数の個片積層体2を同時に基材18に対し半田接合してもよい。より具体的には、基材18上に樹脂層11、13、15と同様の樹脂層17を形成する。このとき、樹脂層17は、基材18の端子181を被覆するように設けられる。その後、樹脂層17上に個片積層体2を載せ、半硬化状態の樹脂層17を介して、基材18と個片積層体2とを接着する。たとえば、フリップチップボンダー等を使用して、加熱し、基材18と個片積層体2とを接着する。この操作を繰り返し、複数の個片積層体2を基材18に接着する。その後、図3に示した装置5を使用して、複数の個片積層体2を同時に基材18に対し半田接合する。このようにすることで、製造効率を高めることができる。
【0179】
さらに、前記各実施形態では、樹脂層11を半導体ブロック12B側に設け、樹脂層11付きの半導体ブロック12Bを半導体ブロック10B上に積層していたが、これに限られない。たとえば、図10に示すように、半導体ブロック12Bおよび半導体ブロック10Bそれぞれに樹脂層11A、11Bを設け、樹脂層11A、11Bにより、樹脂層11を構成してもよい。
また、樹脂層11を半導体ブロック10B側に設け、樹脂層13を半導体ブロック12B側に設け、樹脂層15を半導体ブロック14B側に設けてもよい。
さらに、前記各実施形態では、半導体ブロック10Bは、TSV構造を有しないものとしたが、これに限らず、TSV構造の半導体ブロックとしてもよい。
【0180】
また、前記各実施形態では、半導体チップを4つ有する半導体装置1を製造したが、これに限られない。半導体チップは、すくなくとも3つ以上あればよい。 すなわち、前記個片積層体は、少なくとも第一半導体部品、第一樹脂層、第二半導体部品、第二樹脂層、第三半導体部品を積層することで得られるものであり、複数の樹脂層と複数の半導体部品とが交互に積層された構造であればよい。そして、樹脂層を介して対向する各一対の半導体部品が、前記樹脂層を介して対向するとともに前記半導体部品同士を電気的に接続するための接続用端子をそれぞれ備え、対向する前記接続用端子のうち、少なくとも一方の接続用端子が半田層を有する個片積層体であればよい。
さらに、前記各実施形態では、端子121、141、161、181が半田層121A、141A、161A、181Aを有していたが、これに限られず、端子122、142、162が表面に半田層を有するものであってもよい。また、端子101、121、141、161、181、端子122、142、162のすべてが表面に半田層を有していてもよい。これらの半田層を溶融させて、半導体ブロック10B、12B、14B、16B間、さらには、個片積層体2と基材18との間の半田接合を行えばよい。
【0181】
さらに、第二実施形態では、挟圧部材43に樹脂層15付き半導体ブロック16Bを取り付けたが、これに限らず、挟圧部材43に樹脂層15付き半導体ブロック16Bを取り付けなくてもよい。たとえば、半硬化状態の樹脂層11を介して、半導体ブロック10Bと半導体ブロック12Bとを接着し、さらに、半硬化状態の樹脂層13を介して半導体ブロック12Bと半導体ブロック14Bとを接着しておく。次に、挟圧部材44上に、半導体ブロック10B、樹脂層11、半導体ブロック12B、樹脂層13、半導体ブロック14Bから構成される積層体を載せ、その後、この積層体上に樹脂層15付き半導体ブロック16Bを載置して、ブロック積層体2Bを構成する。ブロック積層体2Bにおいて、半導体ブロック16Bは、樹脂層15を介して半導体ブロック14Bに接着していない状態となっている。その後、ブロック積層体2Bを挟圧部材44、43で挟圧し、さらに、加熱して、半田接合を行なう。このような半田接合は、ウエハーボンダー、フリップチップボンダー等を使用して実施することができる。
【0182】
さらに、樹脂層15付き半導体ブロック16Bと、樹脂層13付き半導体ブロック14Bとを接着させた第一のブロック積層体を構成し、さらに、樹脂層11付き半導体ブロック12Bと半導体ブロック10Bとを接着させた第二のブロック積層体を構成し、第一のブロック積層体を挟圧部材43にとりつけ、第二のブロック積層体を挟圧部材44に設置してもよい。
【0183】
(実施例1)
1.樹脂フィルム(樹脂層)の作製
フェノールノボラック樹脂9g(住友ベークライト製、型番:PR−55617)と、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂26.8g(大日本インキ化学工業製、型番:EPICLON−840S)と、フェノールフタリン9g(東京化成工業社製)と、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂14.8g(東都化成社製、型番:YP−50)と、2−フェニル−4−メチルイミダゾール0.1g(四国化成工業社製、型番:2P4MZ)と、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン0.5g(信越化学工業社製、型番:KBM−403)と、球状シリカフィラー40g(アドマテックス社製、型番:SC1050、平均粒径0.25μm)を、メチルエチルケトンに溶解・撹拌し、固形分濃度50重量%の樹脂ワニスを得た。
この樹脂ワニスを、ポリエステルフィルム(東レ株式会社製、型番:ルミラー)に塗布し、100℃/5minの条件で乾燥し、樹脂厚み26μmの樹脂フィルムを得た。
この樹脂フィルムの80℃における溶融粘度は1,200Pa・s、150℃における溶融粘度は230Pa・sであった。
【0184】
2.樹脂フィルム付きシリコンチップの作製
ダイシングフィルムが形成された8インチシリコンウエハーAを準備した。このシリコンウエハーの厚みは100μmtで、ダイシングフィルムが形成された面側にφ40μm、高さ10μmのパッドが形成されており、パッド表面にNi/Auめっきが形成されている。
ダイシングフィルムが形成された面と反対側の面には、φ40μm、高さ8μmの銅バンプが形成されており、その上に厚み6μmのSn−3.5Ag半田層が形成されている。また、シリコンウエハーの表裏を導通するTSV(Through Silicon Via)が形成されている。
【0185】
真空ラミネーター(名機製作所製、型番:MVLP−500/600−2A)を用い、95℃/30sec/0.8MPaの条件で、銅バンプが形成された面側の8インチシリコンウエハーAに樹脂フィルムをラミネートした。
次に、ダイシング装置((株)ディスコ製、型番:DFD−6340)を用い、以下の条件で(ダイシングフィルム/シリコンウエハーA/樹脂フィルム)積層体をダイシングし、サイズが18mm角、半田バンプ数9,801、樹脂フィルム付きシリコンチップブロックAを得た。なお、樹脂フィルム付きシリコンチップブロックAは、チップサイズ6mm角、半田バンプ数1,089(バンプピッチ180μm、エリアアレイ配置)の樹脂フィルム付きシリコンチップa9個の集合体である。
【0186】
<ダイシング条件>
ダイシング速度 :20mm/sec
スピンドル回転数 :40,000rpm
刃品番 :ZH05−SD 3500−N1−50 BB((株)ディスコ製)
【0187】
3.ブロック積層体の作製
片側にφ40μm、高さ10μmのパッドが9,801個形成されたシリコンチップブロックBを準備した。シリコンチップブロックBのパッド表面にNi/Auめっきが形成されており、そのサイズは18mm角、厚みは100μmである。シリコンチップブロックBにおけるパッドを有する面と反対側の面には、パッドやバンプは形成されていない。また、シリコンチップブロックBは、サイズが6mm角、パッド数1,089(パッドピッチ180μm、エリアアレイ配置)のシリコンチップb9個の集合体である。
【0188】
フリップチップボンダー(パナソニックファクトリーソリューションズ(株)製、型番:FCB3)を用いて、シリコンチップブロック(半導体ブロック)の積層を行った。フリップチップボンダーの下側ステージを100℃に設定し、その上にシリコンチップブロックBを搭載した。次に、150℃に設定したボンディングツールに樹脂フィルム付きシリコンチップブロックAを吸着し、フリップチップボンダーの上下カメラでシリコンチップブロックBとシリコンチップブロックAを位置合せし、荷重45N/2secの条件で積層し、(シリコンチップブロックB/樹脂フィルム/シリコンチップブロックA)積層体を得た。
次に、上記で得られた(シリコンチップブロックB/樹脂フィルム/シリコンチップブロックA)積層体を100℃に設定した下側ステージに搭載し、150℃に設定したボンディングツールに樹脂フィルム付きシリコンチップブロックAを吸着し、フリップチップボンダーの上下カメラで上記積層体におけるシリコンチップブロックAと樹脂フィルム付きシリコンチップブロックAとを位置合せし、荷重45N/2secの条件で積層し、(シリコンチップブロックB/樹脂フィルム/シリコンチップブロックA/樹脂フィルム/シリコンチップブロックA)積層体(積層体(I))を得た。
【0189】
4.ブロック積層体の接合及び切断
フリップチップボンダーを用いて、積層体(I)の各層の(半田バンプ/パッド)間の接合を行った。フリップチップボンダーの下側ステージを100℃に設定し、積層体(I)を搭載した。150℃に設定したボンディングツールで、荷重450N/12secの条件で積層体(I)を加圧し、次いでボンディングツールを急昇温し、ボンディングツールの温度を280℃に設定し、450N/12secで加圧して、各層の(半田バンプ/パッド)間を半田接合し、(シリコンチップブロックB/樹脂フィルム/シリコンチップブロックA/樹脂フィルム/シリコンチップブロックA)積層体を得た。
【0190】
次に、加圧・加熱装置((株)協真エンジニアリング製、型番:HPV−5050MAH−D)を用いて、(シリコンチップブロックB/樹脂フィルム/シリコンチップブロックA/樹脂フィルム/シリコンチップブロックA)積層体を加圧硬化した。加圧流体として空気を用い、180℃/2hr/0.8MPaの条件で加圧硬化し、積層体(積層体(II))を得た。
【0191】
次に、ダイシング装置を用い、以下の条件で積層体(II)をダイシングし、チップサイズ6mm角の(シリコンチップb/樹脂フィルム/シリコンチップa/樹脂フィルム/シリコンチップa)積層体(積層体(III))を得た。
【0192】
<ダイシング条件>
ダイシング速度 :2mm/sec
スピンドル回転数 :30,000rpm
刃品番 :ZH05−SD 3500−N1−50 DD
【0193】
5.基板の作製
絶縁材(住友ベークライト(株)製、型番:LαZ4785TH−G、厚み:240μm)と、ソルダーレジスト(太陽インキ製造(株)製、型番:PFR−800 AUS SR−1、厚み:25μm)を用い、以下の仕様の基板を得た。
基板の搭載面側に、積層体(III)のパッドに対応する、φ40μm、高さ8μmの銅
バンプを形成し、さらにそのバンプ上に、厚み18μmのSn−3.5Agの半田層を形成した。基板のサイズは10mm×10mm×0.3mmtであった。
【0194】
6.液状封止樹脂組成物Aの作製
次に、ビスフェノールF型エポキシ樹脂100g(DIC(株)製、型番:EXA−830LVP)と、ゲンチジン酸30g(東京化成工業(株)製)と、球状シリカフィラー65g(アドマテックス社製、型番:SO−25H、平均粒径0.6μm)と、ブタジエン−アクリロニトリルゴム2g(宇部興産(株)製、型番:CTBN1008SP)と、2−フェニル−4−メチルイミダゾール0.2g(四国化成工業社製、型番:2P4MZ)をプラネタリーミキサーと3本ロールで混錬し、積層体(III)と基板を接合・樹脂封止するための液状封止樹脂組成物Aを得た。
【0195】
7.積層体(III)と基板の接合
基板の積層体(III)搭載面に液状封止樹脂組成物Aをディスペンサーで1.55g
滴下した。
フリップチップボンダーの下側ステージを60℃に設定し、液状封止樹脂組成物Aを塗布した基板を搭載した。200℃に設定したボンディングツールに積層体(III)
を吸着し、フリップチップボンダーの上下カメラで積層体(III)と基板とを位置合せ
し、荷重15N/0.5secの条件で積層体(III)を加圧し、次いでボンディング
ツールを急昇温し、ボンディングツールの温度を320℃に設定し、15N/4secで加圧して、(基板の半田バンプ/積層体(III)のパッド)間を半田接合し、積層
体(III)を搭載した基板を得た。
【0196】
次に、加圧・加熱装置を用いて、液状封止樹脂組成物Aを加圧硬化した。加圧流体として空気を用い、150℃/2hr/0.8MPaの条件で加圧硬化し、積層体(IV)を得た。
【0197】
8.封止
積層体(IV)を、トランスファー成形機を用い、金型温度175℃、注入圧力7.
8MPa、硬化時間2分、エポキシ樹脂封止材(住友ベークライト製、型番スミコンEME−G770)で封止成形し、175℃、2時間で後硬化して、半導体装置を得た。
【0198】
9.半導体装置の評価
得られた半導体装置をエポキシ樹脂で包埋し、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。その結果(シリコンチップb/シリコンチップa)間、(シリコンチップa/シリコンチップa)間の半田接合は良好であり、また、シリコンチップのクラックが観察されなかった。さらに、(シリコンチップb/シリコンチップa)間、(シリコンチップa/シリコンチップa)間の樹脂層に空隙は観察されなかった。
【0199】
(実施例2)
1.ブロック積層体のダイシング
ダイシング装置を用い、以下の条件で、実施例1で得られた積層体(I)をダイシ
ングし、チップサイズ6mm角の(シリコンチップb/樹脂フィルム/シリコンチップa/樹脂フィルム/シリコンチップa)逐次積層体(積層体(X))を得た。
【0200】
<ダイシング条件>
ダイシング速度 :2mm/sec
スピンドル回転数 :30,000rpm
刃品番 :ZH05−SD 3500−N1−50 DD
【0201】
2.逐次積層体の接合
フリップチップボンダーを用いて、積層体(X)の各層の(半田バンプ/パッド)間の接合を行った。フリップチップボンダーの下側ステージを100℃に設定し、積層体(X)を搭載した。150℃に設定したボンディングツールで、荷重50N/12secの条件で積層体(X)を加圧し、次いでボンディングツールを急昇温し、ボンディングツールの温度を280℃に設定し、50N/12secで加圧して、各層の(半田バンプ/パッド)間を半田接合し、個片化された(シリコンチップb/樹脂フィルム/シリコンチップa/樹脂フィルム/シリコンチップa)積層体を得た。
【0202】
次に、加圧・加熱装置を用いて、(シリコンチップb/樹脂フィルム/シリコンチップa/樹脂フィルム/シリコンチップa)積層体を加圧硬化した。加圧流体として空気を用い、180℃/2hr/0.8MPaの条件で加圧硬化し、積層体(積層体(Y))を得た。
【0203】
3.積層体(Y)と基板の接合
実施例1で得られた基板の積層体(Y)搭載面に実施例1で得られた液状封止樹脂組成物Aをディスペンサーで1.55g滴下した。
フリップチップボンダーの下側ステージを60℃に設定し、液状封止樹脂組成物を塗布した基板を搭載した。200℃に設定したボンディングツールに積層体(Y)を吸着し、フリップチップボンダーの上下カメラで積層体(Y)と基板とを位置合せし、荷重15N/0.5secの条件で積層体(Y)を加圧し、次いでボンディングツールを急昇温し、ボンディングツールの温度を320℃に設定し、15N/4secで加圧して、(基板の半田バンプ/積層体(Y)のパッド)間を半田接合し、積層体(Y)を搭載した基板を得た。
【0204】
次に、加圧・加熱装置を用いて、液状封止樹脂組成物Aを加圧硬化した。加圧流体として空気を用い、150℃/2hr/0.8MPaの条件で加圧硬化し、積層体(Z)を得た。
【0205】
4.封止
積層体(Z)を、トランスファー成形機を用い、金型温度175℃、注入圧力7.8MPa、硬化時間2分、エポキシ樹脂封止材(住友ベークライト製、型番スミコンEME−G770)で封止成形し、175℃、2時間で後硬化して、半導体装置を得た。
【0206】
5.半導体装置の評価
得られた半導体装置をエポキシ樹脂で包埋し、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。その結果(シリコンチップb/シリコンチップa)間、(シリコンチップa/シリコンチップa)間の半田接合は良好であり、また、シリコンチップのクラックが観察されなかった。さらに、(シリコンチップb/シリコンチップa)間、(シリコンチップa/シリコンチップa)間の樹脂層に空隙は観察されなかった。
【0207】
(比較例1)
1.樹脂フィルム付きシリコンチップの作製
以下の条件で、実施例1で得られた(ダイシングフィルム/シリコンウエハー/樹脂フィルム)積層体をダイシングし、サイズが6mm角、半田バンプ数1,089(バンプピッチ180μm、エリアアレイ配置)、樹脂フィルム付きシリコンチップaを得た。
【0208】
<ダイシング条件>
ダイシング速度 :20mm/sec
スピンドル回転数 :40,000rpm
刃品番 :ZH05−SD 3500−N1−50 BB
【0209】
2.積層体の接合
シリコンチップの片側にφ40μm、高さ10μmのパッドが1,089個(パッドピッチ180μm、エリアアレイ配置)形成されたシリコンチップbを準備した。シリコンチップbのパッド表面にNi/Auめっきが形成されており、チップサイズは6mm角、チップ厚みは100μmである。なお、シリコンチップbにおけるパッドを有する面の反対側の面にはパッドやバンプは形成されていない。
【0210】
フリップチップボンダーの下側ステージを100℃に設定し、その上にシリコンチップbを搭載した。次に、150℃に設定したボンディングツールに樹脂フィルム付きシリコンチップaを吸着し、フリップチップボンダーの上下カメラでシリコンチップbと樹脂フィルム付きシリコンチップaを位置合せし、荷重50N/12secの条件で積層体を加圧し、次いでボンディングツールを急昇温し、ボンディングツールの温度を280℃に設定し、280℃/50N/12secの条件で加圧して、(半田バンプ/パッド)間を半田接合し、(シリコンチップb/樹脂フィルム/シリコンチップa)積層体を得た。
【0211】
次に、上記で得られた(シリコンチップb/樹脂フィルム/シリコンチップa)積層体を100℃に設定した下側ステージに搭載し、150℃に設定したボンディングツールに樹脂フィルム付きシリコンチップaを吸着し、フリップチップボンダーの上下カメラで(シリコンチップb/樹脂フィルム/シリコンチップa)積層体におけるシリコンチップaと樹脂フィルム付きシリコンチップaを位置合せし、荷重50N/12secの条件で積層体を加圧し、次いでボンディングツールを急昇温し、ボンディングツールの温度を280℃に設定し、280℃/50N/12secの条件で加圧して、(半田バンプ/パッド)間を半田接合し、(シリコンチップb/樹脂フィルム/シリコンチップa/樹脂フィルム/シリコンチップa)積層体を得た。
【0212】
次に、加圧・加熱装置を用いて、(シリコンチップb/樹脂フィルム/シリコンチップa/樹脂フィルム/シリコンチップa)積層体を加圧硬化した。加圧流体として空気を用い、180℃/2hr/0.8MPaの条件で加圧硬化し、加圧硬化した(シリコンチップb/樹脂フィルム/シリコンチップa/樹脂フィルム/シリコンチップa)積層体を得た。
【0213】
比較例1では、2回目の半田接合工程の前段で、ボンディングツールを280℃から150℃に冷却する必要があるが、その冷却時間は30sであった。しかし、実施例においては、冷却する必要が無く、その分生産性が上昇していることが確認できた。さらに、実施例1においては、シリコンチップブロック毎に積層し、接合することにより、より生産性が上昇していることが確認できた。また、比較例1においては、2回目の半田接合工程の際に、(シリコンチップb/シリコンチップa)間の半田が再溶融したことに起因するとみられる、(半田バンプ/パッド)間の位置ずれが観察されたが、実施例においては位置ずれは見られなかった。
【0214】
(比較例2)
1.液状封止樹脂組成物Bの作製
液状エポキシ樹脂(A)として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を15.955重量%およびグリシジルアミン型エポキシ樹脂を15.955重量%、硬化剤(B)として、芳香族1級アミン型硬化剤を16.383重量%、無機充填剤(C)として平均粒径0.5μm、最大粒径24μmの球状シリカを50.000重量%、アミノ基を有する液状シリコーン化合物(D)を0.016重量%、シランカップリング剤としてエポキシシランカップリング剤を1.596重量%、着色剤を0.095重量%、配合し、プラネタリーミキサーと3本ロールを用いて混合し、真空脱泡処理することにより液状封止樹脂組成物Bを得た。
【0215】
2. シリコンチップの作製
ダイシングフィルムが形成された8インチシリコンウエハーAをダイシングして、チップサイズ6mm角のシリコンチップaを得た。また、ダイシングフィルムが形成された8インチシリコンウエハーBをダイシングして、チップサイズ6mm角のシリコンチップbを得た。
【0216】
3.積層体の接合
シリコンチップbのパッド形成面にフラックスを塗布し、フリップチップボンダーの下側ステージに搭載した。ボンディングツールにシリコンチップaを吸着し、フリップチップボンダーの上下カメラでシリコンチップbとシリコンチップaを位置合せして、シリコンチップaのバンプ形成面とシリコンチップbのパッド形成面とが向かい合わせに積層された仮積層体を得た。仮積層体をリフロー炉で半田の融点以上に加熱し、半田接合させた。さらに、フラックス除去洗浄を行い、(シリコンチップb/シリコンチップa)積層体を得た。
【0217】
得られた(シリコンチップb/シリコンチップa)積層体のシリコンチップaのパッド形成面にフラックスを塗布し、フリップチップボンダーの下側ステージに搭載した。ボンディングツールに別のシリコンチップaを吸着し、フリップチップボンダーの上下カメラで(シリコンチップb/シリコンチップa)積層体におけるシリコンチップaと、別のシリコンチップaとを位置合せして、別のシリコンチップaのバンプ形成面と(シリコンチップb/シリコンチップa)積層体のシリコンチップaのパッド形成面とが向かい合わせに積層された仮積層体を得た。この仮積層体をリフロー炉で半田の融点以上に加熱し半田接合させ、さらに、フラックス除去洗浄を行い、(シリコンチップb/シリコンチップa/シリコンチップa)積層体を得た。
【0218】
4.シリコンチップ間の封止
上記の積層体を110℃の熱板上で加熱し、(シリコンチップb/シリコンチップa/シリコンチップa)積層体の1辺に液状封止樹脂組成物Bをディスペンスし、(シリコンチップb/シリコンチップa)間、(シリコンチップa/シリコンチップa)間を充填させ、液状封止樹脂組成物Bを150℃のオーブンで120分間加熱硬化させた。
【0219】
5.積層体の評価
得られたシリコンチップ間を封止した積層体をエポキシ樹脂で包埋し、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。その結果(シリコンチップb/シリコンチップa)間、(シリコンチップa/シリコンチップa)間に多数の空隙が観察された。
【0220】
以上の結果から明らかなように、本発明の半導体装置の製造方法で得られた半導体装置は、半田の融点以上の熱処理を1回実施することで、各半導体部品間の半田接合が一括して行えるため、生産性に優れていた。また、得られた個片積層体における半導体部品にクラックは観察されず、信頼性に優れていた。一方、比較例1では、3個の半導体部品を半田接合するために、半田の融点以上の熱処理を2回実施する必要があり、生産性が劣っていた。また、比較例2では、半導体部品間を接合した後に、樹脂封止するため、半導体部品間に多数の空隙が観察された。
【産業上の利用可能性】
【0221】
本発明によれば、生産性および信頼性を向上することができる半導体装置の製造方法、ブロック積層体及び逐次積層体が提供される。よって、本発明は、信頼性の高い半導体の製造に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0222】
1 半導体装置
2 個片積層体
2B ブロック積層体
2C 逐次積層体
3 構造体
5 装置
6 装置
10 半導体チップ
10B 半導体ブロック
11 樹脂層
11A、11B 樹脂層
12 半導体チップ
12B 半導体ブロック
13 樹脂層
14 半導体チップ
14B 半導体ブロック
15 樹脂層
16 半導体チップ
16B 半導体ブロック
17 樹脂層
18 基材
18A 基材
19 封止材
41、42 挟圧部材
43 挟圧部材
44 挟圧部材
51 容器
52 熱板
53 熱板
54 ピン
55 板材
101 端子
120 基板
121 端子
121A 半田層
122 端子
123 ビア
140 基板
141 端子
141A 半田層
142 端子
143 ビア
160 基板
161 端子
161A 半田層
162 端子
163 ビア
181 端子
181A 半田層
511 配管
900A 接続用バンプ
900 半導体装置
901 インターポーザ
902 フィルム状接着剤
903 半導体チップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第一半導体部品が配列され第二半導体部品接続用端子を有する第一半導体ブロックと、第一樹脂層と、複数の第二半導体部品が配列され一方の面側に第一半導体部品接続用端子を有し他方の面側に第三半導体部品接続用端子を有する第二半導体ブロックと、第二樹脂層と、複数の第三半導体部品が配列され第二半導体部品接続用端子を有する第三半導体ブロックと、を用意する工程と、
前記第一半導体ブロック、前記第一樹脂層、前記第二半導体ブロック、前記第二樹脂層、前記第三半導体ブロックの順で積層し、その層間を接着することによりブロック積層体を得る逐次積層工程と、
前記ブロック積層体から、前記第一半導体部品の第二半導体部品接続用端子および前記第二半導体部品の第一半導体部品接続用端子間と、前記第二半導体部品の第三半導体部品接続用端子および前記第三半導体部品の第二半導体部品接続用端子間とが半田接合され、かつ積層された半導体部品単位に切断された個片積層体を得る工程とを、
含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記逐次積層工程が、前記第一半導体ブロック上に、前記第一樹脂層、前記第二半導体ブロックの順で積層した後、加熱して、半硬化状態の前記第一樹脂層を介して前記第一半導体ブロックおよび前記第二半導体ブロックを接着し、
前記第二半導体ブロック上に、前記第二樹脂層、前記第三半導体ブロックの順で積層した後、加熱して、半硬化状態の前記第二樹脂層を介して前記第二半導体ブロックおよび前記第三半導体ブロックを接着することにより前記ブロック積層体を得るものである、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法において、
半田接合された前記個片積層体を、基材上に設置する工程と、
前記個片積層体と前記基材とを接合する基材接合工程とを
さらに含む半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記逐次積層工程の前段で、
前記第二半導体ブロックの第一半導体部品接続用端子が形成された面および前記第一半導体ブロックの第二半導体部品接続用端子が設けられた面のうち、少なくともいずれか一方の面上に、前記第一樹脂層を構成する樹脂層を設け、
前記第三半導体ブロックの第二半導体部品接続用端子が形成された面および前記第二半導体ブロックの第三半導体部品接続用端子が設けられた面のうち、少なくともいずれか一方の面上に、前記第二樹脂層を構成する樹脂層を設ける半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記ブロック積層体が、前記第一半導体部品の第二半導体部品接続用端子と、前記第二半導体部品の第一半導体部品接続用端子との少なくともいずれか一方が半田層を有するとともに、前記第二半導体部品の第三半導体部品接続用端子と、前記第三半導体部品の第二半導体部品接続用端子との少なくともいずれか一方が半田層を有するものであり、
前記個片積層体を得る工程が、前記ブロック積層体を前記半田層の融点以上に加熱して、前記第一半導体部品の第二半導体部品接続用端子および前記第二半導体部品の第一半導体部品接続用端子間と、前記第二半導体部品の第三半導体部品接続用端子および前記第三半導体部品の第二半導体部品接続用端子間とを半田接合するブロック積層体接合工程と、
前記ブロック積層体接合工程の後、前記ブロック積層体を、積層された半導体部品単位に切断することにより個片積層体を得る切断工程と、を含む
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第一樹脂層、前記第二樹脂層は、それぞれ熱硬化性樹脂を含み、
前記ブロック積層体接合工程では、前記第一半導体ブロックおよび前記第二半導体ブロックが前記第一樹脂層を介して接着され、かつ、前記第二半導体ブロックおよび前記第三半導体ブロックが前記第二樹脂層を介して接着された前記ブロック積層体を加熱して半田接合を行なうとともに、前記第一樹脂層および前記第二樹脂層の硬化を進める半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ブロック積層体接合工程では、一対の挟圧部材のうち、一方の挟圧部材の上方に、前記ブロック積層体を設置するとともに、他方の挟圧部材と前記一方の挟圧部材とで前記ブロック積層体を挟圧し、加熱して、半田接合を行うとともに、前記第一樹脂層および前記第二樹脂層の硬化を進める半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記ブロック積層体接合工程では、流体により前記ブロック積層体を加圧しながら加熱を行い、半田接合を行う半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の半導体装置の製造方法において、
対向配置された一対の挟圧部材と、
前記一対の挟圧部材間に配置され、前記ブロック積層体が設置される設置部とを備える装置を用意し、
前記ブロック積層体接合工程では、
前記一対の挟圧部材を加熱しておき、前記一対の挟圧部材に対し離間した状態の前記設置部上に前記ブロック積層体を配置する工程と、
前記一対の挟圧部材で、前記ブロック積層体および前記設置部を挟圧し、加熱して半田接合を行う工程と、を実施する半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記一方の挟圧部材の温度は、前記他方の挟圧部材の温度よりも低い半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項5〜10のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第一樹脂層および前記第二樹脂層は、それぞれ熱硬化性樹脂を含み、
前記ブロック積層体接合工程と、前記基材接合工程との間において、
前記ブロック積層体を流体により加圧しながら、加熱して、前記第一樹脂層、前記第二樹脂層の硬化を進める半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記ブロック積層体が、前記第一半導体部品の第二半導体部品接続用端子と、前記第二半導体部品の第一半導体部品接続用端子との少なくともいずれか一方が半田層を有するとともに、前記第二半導体部品の第三半導体部品接続用端子と、前記第三半導体部品の第二半導体部品接続用端子との少なくともいずれか一方が半田層を有するものであり、
前記個片積層体を得る工程が、前記ブロック積層体を、積層された半導体部品単位に切断することにより逐次積層体を得る切断工程と、
前記逐次積層体を前記半田層の融点以上に加熱して、前記第一半導体部品の第二半導体部品接続用端子および前記第二半導体部品の第一半導体部品接続用端子間、前記第二半導体部品の第三半導体部品接続用端子および前記第三半導体部品の第二半導体部品接続用端子間を半田接合することにより個片積層体を得る逐次積層体接合工程と、を含む
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第一樹脂層、前記第二樹脂層は、それぞれ熱硬化性樹脂を含み、
前記逐次積層体接合工程では、前記第一半導体部品および前記第二半導体部品が前記第一樹脂層を介して接着され、かつ、前記第二半導体部品および前記第三半導体部品が前記第二樹脂層を介して接着された前記逐次積層体を加熱して半田接合を行なうとともに、前記第一樹脂層および前記第二樹脂層の硬化を進める半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項12または13に記載の半導体装置の製造方法において、
前記逐次接合工程では、一対の挟圧部材のうち、一方の挟圧部材の上方に、前記逐次積層体を配置するとともに、他方の挟圧部材と前記一方の挟圧部材とで前記逐次積層体を挟圧し、加熱して、半田接合を行うとともに、前記第一樹脂層および前記第二樹脂層の硬化を進める半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記逐次積層体接合工程では、流体により前記逐次積層体を加圧しながら加熱を行い、半田接合を行う半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項14または15に記載の半導体装置の製造方法において、
対向配置された一対の挟圧部材と、
一対の挟圧部材間に配置され、前記逐次積層体が設置される設置部とを備える装置を用意し、
前記逐次積層体接合工程では、
前記一対の挟圧部材を加熱しておき、前記一対の挟圧部材に対し離間した状態の前記設置部上に前記逐次積層体を配置する工程と、
前記一対の挟圧部材で、前記逐次積層体および前記設置部を挟圧し、加熱して半田接合を行う工程と、を実施する半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項14〜16のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記一方の挟圧部材の温度は、前記他方の挟圧部材の温度よりも低い半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項12〜17のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第一樹脂層および前記第二樹脂層は熱硬化性樹脂を含み、
前記逐次積層体接合工程と、前記基材接合工程との間において、
前記逐次積層体を流体により加圧しながら、加熱して、前記第一樹脂層、前記第二樹脂層の硬化を進める半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項3〜18のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記個片積層体は、少なくとも前記第一半導体部品、前記第一樹脂層、前記第二半導体部品、前記第二樹脂層、前記第三半導体部品を含み、樹脂層と半導体部品とが交互に積層された構造であるとともに、最外層が半導体部品で構成され、
前記最外層の半導体部品は、前記基材に接続される基材接続用端子を有し、前記基材は、前記最外層の半導体部品に接続される積層体接続用端子を有し、前記基材接続用端子および前記積層体接続用端子のうち、少なくともいずれか一方は半田層を有し、
前記基材接合工程では、前記基材接続用端子および前記積層体接続用端子が前記半田接合される半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項3〜19のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記基材接合工程において、前記基材に対して複数の前記個片積層体を半田接合し、
前記基材接合工程の後段で、前記個片積層体ごとに、基材を切断する半導体装置の製造方法。
【請求項21】
請求項1〜20に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第二半導体部品は、基板と、前記基板を貫通するとともに、前記第一半導体部品接続用端子および前記第三半導体部品接続用端子に接続される貫通ビアとを備えるTSV構造の半導体チップであり、
前記第三半導体部品は、TSV構造の半導体チップであり、基板と、前記基板を貫通する貫通ビアを備え、この貫通ビアは、前記第二半導体部品接続用端子と、前記基板表面のうち前記第二半導体部品接続用端子が設けられた側の表面と反対側の表面に設けられた端子とに接続される半導体装置の製造方法。
【請求項22】
複数の第一半導体部品が配列され第二半導体部品接続用端子を有する第一半導体ブロックと、第一樹脂層と、複数の第二半導体部品が配列され一方の面側に第一半導体部品接続用端子を有し他方の面側に第三半導体部品接続用端子を有する第二半導体ブロックと、第二樹脂層と、複数の第三半導体部品が配列され第二半導体部品接続用端子を有する第三半導体ブロックと、が積層されたブロック積層体であって、
前記第一半導体部品の第二半導体部品接続用端子、前記第二半導体部品の第一半導体部品接続用端子の少なくともいずれか一方が半田層を有するとともに、前記第二半導体部品の第三半導体部品接続用端子、前記第三半導体部品の第二半導体部品接続用端子の少なくともいずれか一方が半田層を有し、
前記第一半導体部品の第二半導体部品接続用端子および前記第二半導体部品の第一半導体部品接続用端子間と、前記第二半導体部品の第三半導体部品接続用端子および前記第三半導体部品の第二半導体部品接続用端子間とが半田接合されている、ことを特徴とするブロック積層体。
【請求項23】
第二半導体部品接続用端子を有する第一半導体部品と、第一樹脂層と、一方の面側に前記第一半導体部品接続用端子を有し他方の面側に第三半導体部品接続用端子を有する第二半導体部品と、第二樹脂層と、第二半導体部品接続用端子を有する第三半導体部品と、が積層された逐次積層体であって、
前記第一半導体部品の第二半導体部品接続用端子、前記第二半導体部品の第一半導体部品接続用端子の少なくともいずれか一方が半田層を有するとともに、前記第二半導体部品の第三半導体部品接続用端子、前記第三半導体部品の第二半導体部品接続用端子の少なくともいずれか一方が半田層を有し、
前記第一半導体部品の第二半導体部品接続用端子および前記第二半導体部品の第一半導体部品接続用端子間と、前記第二半導体部品の第三半導体部品接続用端子および前記第三半導体部品の第二半導体部品接続用端子間とが未だ半田接合されていない、ことを特徴とする逐次積層体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−65835(P2013−65835A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−184456(P2012−184456)
【出願日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】