半導体装置の製造方法、及び半導体装置
【課題】本発明は、MPS構造の半導体装置において、逆方向特性の漏れ電流を低減できる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】第1の導電型の半導体と金属層がオーミック接合するオーミック接合部と、第2の導電型の半導体と金属層がショットキ接合するショットキ接合部とを備える半導体装置の製造方法は、オーミック接合部がオーミック接合可能な膜厚範囲で薄くした膜厚によって、金属層を形成する金属層形成工程(ステップS101、S102)と、金属層の一部を覆って保護する絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程(ステップS103、S104)と、絶縁膜形成工程(ステップS103、S104)の後に、絶縁膜をベークすると共に、オーミック接合部の金属層をシリサイド化させる熱処理工程(ステップS105)とを有する。
【解決手段】第1の導電型の半導体と金属層がオーミック接合するオーミック接合部と、第2の導電型の半導体と金属層がショットキ接合するショットキ接合部とを備える半導体装置の製造方法は、オーミック接合部がオーミック接合可能な膜厚範囲で薄くした膜厚によって、金属層を形成する金属層形成工程(ステップS101、S102)と、金属層の一部を覆って保護する絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程(ステップS103、S104)と、絶縁膜形成工程(ステップS103、S104)の後に、絶縁膜をベークすると共に、オーミック接合部の金属層をシリサイド化させる熱処理工程(ステップS105)とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法、及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PN接合ダイオードとショットキダイオードの特性を併せ持つMPS(Merged Pin Shottky)構造のダイオードにおいて、アノード面に電極を形成する場合、図5が示すような工程によって形成していた。図5に示される半導体装置の製造方法では、まず、Al(アルミニウム)のメタル層を例えば、3μm(マイクロメートル)から6μmの膜厚で形成する(メタル形成工程)。次に、約500℃の温度で熱処理を行い、PN接合のP型半導体とAlの間でオーミック接合させるためのシリサイドを形成する(メタル熱処理工程)。次に、有機絶縁膜であるポリイミド層を形成し(ポリイミド形成工程)、その後、約350℃の温度で再び熱処理を行う(ポリイミド熱処理工程)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−062513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図5に示される半導体装置の製造方法では、ショットキ接合面に図6に示されるスパイク状の欠陥が発生する場合がある。このスパイク状の欠陥が発生すると、MPS構造のダイオードにおいて、逆方向特性の漏れ電流が大きくなるという問題がある。
また、ショットキ接合面にMo(モリブデン)などのバリアメタルを使用する方法が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。バリアメタルを使用すると、スパイク状の欠陥の発生が低減される効果がある。そこで、図6に示されるスパイク状の欠陥の発生を低減するために、ショットキ接合面にMoなどのバリアメタルを使用する方法が考えられる。しかしながら、バリアメタルを使用する方法では、p型半導体との接触抵抗が大きくなり、順方向電圧が大きくなる。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、MPS構造の半導体装置において、逆方向特性の漏れ電流を低減できる半導体装置の製造方法、及び半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明は、第1の導電型の半導体と金属層がオーミック接合するオーミック接合部と、第2の導電型の半導体と前記金属層がショットキ接合するショットキ接合部とを備える半導体装置の製造方法であって、前記オーミック接合部がオーミック接合可能な膜厚範囲で薄くした膜厚によって、前記金属層を形成する金属層形成工程と、前記金属層の一部を覆って保護する絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、前記絶縁膜形成工程の後に、前記絶縁膜をベークすると共に、前記オーミック接合部の前記金属層をシリサイド化させる熱処理工程とを有する半導体装置の製造方法である。
【0007】
また、本発明は、上記発明において、前記オーミック接合可能な範囲で薄くした膜厚は、ワイヤーボンディングによる応力を考慮した厚さであることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記金属層は、アルミニウムであることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記金属層は、白金又はニッケルであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記金属層の前記膜厚は、0.5μmから3μmの範囲内の値であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明における半導体装置の製造方法によって製造された半導体装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、半導体装置の製造方法は、オーミック接合部がオーミック接合可能な膜厚範囲で薄くした膜厚によって、金属層を形成する金属層形成工程と、絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、絶縁膜形成工程の後に、絶縁膜をベークすると共に、オーミック接合部の金属層をシリサイド化させる熱処理工程とを有する。ショットキ接合面におけるスパイク状の欠陥の発生は、金属層の膜厚が薄い程、低減される。このため、本発明の半導体装置の製造方法では、金属層形成工程において、形成する金属層の膜厚を薄くすることで、このスパイク状の欠陥の発生を低減することができる。また、このスパイク状の欠陥の発生は、熱処理工程の温度が低い程、低減される。このため、本発明の半導体装置の製造方法では、低温で熱処理される絶縁膜のベーク処理と共に、オーミック接合部の金属層をシリサイド化させる。これにより、本発明の半導体装置の製造方法では、このスパイク状の欠陥の発生を低減することができる。このスパイク状の欠陥の発生が低減されるため、逆方向特性の漏れ電流を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態による半導体装置の一形態を示す断面構成図である。
【図2】同実施形態における半導体装置の製造工程を示す工程フロー図である。
【図3】同実施形態における半導体装置の製造工程を示す断面構成図である。
【図4】同実施形態における半導体装置の別の形態を示す断面構成図である。
【図5】従来の半導体装置の製造工程を示す工程フロー図である。
【図6】従来の半導体装置における断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態による半導体装置について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による半導体装置(ダイオード100)を示す断面構成図である。
図1において、ダイオード100は、N領域1、P領域2、アノード電極3、ポリイミド絶縁膜4、及びカソード電極5を備える。
【0015】
N領域1は、第2の導電型の半導体としてのn型半導体のN−領域であり、ダイオード100のバルク層となる半導体基板を構成する。ここで、図1における半導体基板の上側の面を第1の表面F1とし、半導体基板の下側の面を第2の表面F2とする。
P領域2は、第1の導電型の半導体としてのp型半導体のP+領域である。P領域2は、N領域1と接して形成され、第1の表面F1に露呈させて形成される。ここで、P領域2は、例えば、2つのP+領域とする。また、P領域2の不純物濃度は、例えば、2×1016cm−3である。
【0016】
アノード電極3は、第1の表面F1にそって、N領域1とP領域2とに接して形成される。アノード電極3は、例えば、Al(アルミニウム)を材質とする金属層である。また、アノード電極3は、P領域2とオーミック接合(接触)する。アノード電極3は、N領域1とショットキ接合(接触)する。
【0017】
ポリイミド絶縁膜4は、アノード電極3の一部分を覆って形成される。ポリイミド絶縁膜4は、例えば、有機絶縁膜であるポリイミドを材質とする絶縁膜である。ポリイミド絶縁膜4は、ダイオード100を外的な損傷から保護するためのパッシベーション絶縁膜として機能する。
【0018】
カソード電極5は、第2の表面F2にそって、N領域1に接して形成される。また、カソード電極5は、例えば、Ti(チタン)/Ni(ニッケル)の積層構造やTi/Ni/Ag(銀)の積層構造である。また、カソード電極5は、N領域1とオーミック接合する。
【0019】
また、図1において、オーミック接合部20では、p型半導体のP領域2とアノード電極3(金属層)がオーミック接合する。また、ショットキ接合部30では、n型半導体のN領域1とアノード電極3(金属層)がショットキ接合する。
また、スパイク状の欠陥10は、ショットキ接合部30に発生するスパイク状の形状をした欠陥を示す。
【0020】
なお、ダイオード100は、PN接合ダイオードとショットキダイオードの特性を併せ持つMPS(Merged Pin Shottky)構造のダイオードである。
【0021】
次に、本実施形態による半導体装置(ダイオード100)の製造方法について図面を参照して説明する。
図2は、同実施形態におけるダイオード100の製造工程の一部を示す工程フロー図である。
また、図3は、図2に示した工程フロー図に対応するダイオード100の製造工程を示す断面構成図である。
なお、図2及び図3に示される工程は、ダイオード100のアノード電極3を形成する製造工程以降の工程である。アノード電極3を形成する前の図示されない製造工程では、例えば、イオン注入法などにより、半導体基板であるN領域1にP領域2を第1の表面F1に露呈させて形成する。
【0022】
以下、ダイオード100のアノード電極3を形成する製造工程以降の工程を説明する。
まず、オーミック接合部20がオーミック接合可能な膜厚範囲で薄くした膜厚によって、メタル(Al金属層)を形成する(ステップS101)。また、Al金属層は、第1の表面F1全面に形成される。ここで、オーミック接合可能な膜厚範囲で薄くした膜厚は、例えば、0.5μm(マイクロメートル)から3μmである。この膜厚は、図5及び図6に示される従来のダイオードにおけるAl金属層の膜厚(例えば、3μmから6μm)よりも薄い。
【0023】
また、オーミック接合可能な範囲で薄くした膜厚は、アノード電極3にAl線やAu(金)線などの金属線をワイヤーボンディングする際に、アノード電極3にかかる応力(ワイヤーボンディングによる応力)を考慮して欠陥が生じないようにした厚さである。すなわち、アノード電極3の膜厚は、ワイヤーボンディングによる応力によって、オーミック接合部20及びショットキ接合部30に欠陥が生じるなどの物理的影響や電気的影響が生じない厚さである。
また、Al金属層の膜厚は、ショットキ接合部30における欠陥の発生が許容できる膜厚範囲で薄くした膜厚である。
また、ステップS101において、Al金属層とN領域1とがショットキ接合される。
【0024】
次に、パターンニングによって、Al金属層の必要な部分を残して、Al金属層を除去してアノード電極3を形成する(ステップS102)。ステップS102において、例えば、次に示すようにパターンニングを行う。まず、Al金属層の上にレジスト層を形成する。次に、レジスト層をマスクして露光し、Al金属層を除去する領域のレジスト層を除去する。これにより、レジスト層が開口したパターンを形成する。次に、レジスト層が開口した部分のAl金属層を除去する。最後にレジスト層を除去してパターンニングが完了する。これにより、アノード電極3が形成される。
図3(a)は、ステップS102における製造工程が完了した後の断面構成図を示す。なお、半導体ウェハ上に、複数のダイオード100が製造される。この図において、Al金属層が除去された領域は、例えば、ダイオード100と隣接する位置のダイオード100との図示されない境界部分である。
また、ステップS101とステップS102における工程を金属層形成工程という。
【0025】
次に、アノード電極3の上全面に、例えば、ポリイミドをスピン塗布法などにより塗布して、ポリイミド絶縁膜4を成膜(堆積)する(ステップS103)。
図3(b)は、ステップS103における製造工程が完了した後の断面構成図を示す。この図は、アノード電極3の上全面にポリイミド絶縁膜4が成膜(堆積)されていることを示す。
【0026】
次に、パターンニングによって、ポリイミド絶縁膜4の必要な部分を残して、ポリイミド絶縁膜4を除去する(ステップS104)。ステップS104において、例えば、次に示すようにパターンニングを行う。まず、ポリイミド絶縁膜4の上にレジスト層を形成する。次に、レジスト層をマスクして露光し、ポリイミド絶縁膜4を除去する領域のレジスト層を除去する。これにより、レジスト層が開口したパターンを形成する。次に、レジスト層が開口した部分のポリイミド絶縁膜4を除去する。最後にレジスト層を除去してパターンニングが完了する。これにより、アノード電極3(金属層)の一部を覆って保護するポリイミド絶縁膜4を形成する。
図3(c)は、ステップS104における製造工程が完了した後の断面構成図を示す。この図は、アノード電極3(金属層)の一部を覆って保護するポリイミド絶縁膜4が形成されていることを示す。
また、ステップS103とステップS104における工程を絶縁膜形成工程という。
【0027】
次に、ポリイミド熱処理(熱処理工程)を行う(ステップS105)。ステップS105における熱処理工程は、ポリイミド絶縁膜4をベークすると共に、オーミック接合部20の金属層をシリサイド化させる。ここで、熱処理工程における処理温度は、例えば、約350℃である。この温度は、図5及び図6に示される従来のダイオードにおけるメタル熱処理の温度(例えば、約500℃)よりも低い。
図3(d)は、ステップS105における製造工程が完了した後の断面構成図を示す。この図において、オーミック接合部20の金属層に図示されないシリサイドが形成される。これにより、アノード電極3とP領域2とがオーミック接合される。また、スパイク状の欠陥10が、ショットキ接合部30に発生した場合を示す。ただし、この図におけるスパイク状の欠陥10では、図6に示される従来のダイオードにおけるスパイク状の欠陥よりも欠陥の数及び深さを低減することができる。本実施形態における製造方法では、アノード電極3の膜厚をオーミック接合可能な膜厚範囲で薄く形成し、図5及び図6に示される従来のダイオードにおけるメタル熱処理の温度より低い約350℃でオーミック接合部20の金属層をシリサイド化させる。これにより、スパイク状の欠陥10の発生を低減することができる。
【0028】
次に、裏面メタル蒸着工程では、第2の表面F2(裏面)に、カソード電極5としてメタル(例えば、Ti/NiやTi/Ni/Agなどの金属層)を蒸着する(ステップS106)。これにより、PN接合ダイオードとショットキダイオードの特性を併せ持つMPS構造のダイオード100が製造される。
図3(e)は、ステップS106における製造工程が完了した後の断面構成図を示す。
【0029】
なお、ステップS101において、Al金属層であるアノード電極3の膜厚は、図5に示される従来の金属層形成工程によって形成された膜厚よりも薄い、例えば、0.5μmから3μmの範囲で形成される。また、ステップS105において、アノード電極3は、図5に示される従来の熱処理工程の温度より低い温度(例えば、約350℃)で熱処理される。これらの条件で処理した場合において、アノード電極3とP領域2との接触抵抗は、図5に示される従来の半導体装置の製造方法の場合と同等の抵抗値が得られる。
【0030】
以上のように、本実施形態における半導体装置(ダイオード100)の製造方法は、金属層形成工程(ステップS101及びS102)と絶縁膜形成工程(ステップS103及びS104)と、熱処理工程(ステップS105)とを有する。金属層形成工程(ステップS101及びS102)は、オーミック接合部20がオーミック接合可能な膜厚範囲で薄くした膜厚によって、アノード電極3(金属層)を形成する。絶縁膜形成工程(ステップS103及びS104)は、ポリイミド絶縁膜4(絶縁膜)を形成する。熱処理工程(ステップS105)は、絶縁膜形成工程(ステップS103及びS104)の後に、ポリイミド絶縁膜4(絶縁膜)をベークすると共に、オーミック接合部20の金属層をシリサイド化させる。
【0031】
ショットキ接合部30におけるスパイク状の欠陥10の発生は、アノード電極3(金属層)の膜厚が薄い程、低減される。このため、本実施形態における半導体装置の製造方法では、金属層形成工程(ステップS101及びS102)において、形成するアノード電極3(金属層)の膜厚を薄くすることで、このスパイク状の欠陥10の発生を低減することができる。
また、このスパイク状の欠陥10の発生は、オーミック接合を確保できる条件下で熱処理の温度が低い程、低減される。このため、本実施形態における半導体装置の製造方法では、低温(例えば、約350℃)で熱処理されるポリイミド絶縁膜4(絶縁膜)のベーク処理と共に、オーミック接合部20の金属層をシリサイド化させる。これにより、本実施形態における半導体装置の製造方法、及びダイオード100では、このスパイク状の欠陥10の発生を低減することができる。
このスパイク状の欠陥10の発生が低減されるため、ダイオード100は、逆方向特性の漏れ電流を低減できる。
【0032】
また、本実施形態における半導体装置の製造方法では、ポリイミド絶縁膜4(絶縁膜)のベーク処理とオーミック接合部20の金属層のシリサイド化を同じ熱処理工程(ステップS105)で行う。そのため、図5に示される従来の半導体装置の製造方法に比べて、熱処理工程を1回削減できる。また、本実施形態における半導体装置の製造方法では、アノード電極3の膜厚を図5に示される従来の半導体装置の製造方法より薄く形成する。そのため、ステップS101のメタル(金属層)形成工程における処理時間を短縮できる。結果として、本実施形態における半導体装置の製造方法では、製造工程を簡素化できる。
【0033】
<第2の実施形態>
以下、同実施形態における半導体装置の別の一形態について図面を参照して説明する。
図4は、同実施形態における半導体装置の別の形態を示す断面構成図である。
図4において、ダイオード100aは、N領域1、P領域2、アノード電極3、ポリイミド絶縁膜4、カソード電極5、ガードリング6、SiO2(二酸化珪素)絶縁膜7、PSG(Phospho Silicate Glass)絶縁膜8、及びチャネルストッパ9を備える。この図において、図1と同じ構成には同一の符号を付す。
【0034】
図4に示されるダイオード100aでは、N領域1は、n型半導体のN−領域1aと、N−領域1aより不純物濃度の高いn型半導体のN+領域1bとによって構成される。
P領域2は、N領域1のN−領域1aと接して形成され、第1の表面F1に露呈させて形成される。ここで、P領域2は、例えば、3つのP+領域とする。
ガードリング6は、第1の表面F1に接して図4におけるダイオード100aの側面近傍のN−領域1aに形成される。ガードリング6は、例えば、P領域2よりも不純物濃度が高いp型半導体のP+領域により形成される。
チャネルストッパ9は、第1の表面F1と図4におけるダイオード100aの側面とに接して、N−領域1aに形成される。チャネルストッパ9は、例えば、N−領域1aよりも不純物濃度が高いn型半導体のN+領域により形成される。チャネルストッパ9は、ダイオード100aの機能として望ましくない漏れ電流(チャネル電流)を抑制する。
【0035】
SiO2絶縁膜7は、第1の表面F1に接して設けられ、第1の表面F1に面している。SiO2絶縁膜7は、ガードリング6とN領域1のN−領域1aの一部分とを覆うように形成される。また、SiO2絶縁膜7は、第1の表面F1を保護して、湿度などの進入を防ぎ、ダイオード100aの第1の表面F1を保護する。
PSG絶縁膜8は、SiO2絶縁膜7に接して、SiO2絶縁膜7を覆うように形成される。PSG絶縁膜8は、Na(ナトリウム)イオンなどの進入を防ぎ、ダイオード100aにおける化学的損傷などを主に防止する。
【0036】
図4において、アノード電極3は、第1の表面F1にそって、SiO2絶縁膜7及びPSG絶縁膜8に覆われていないN領域1のN−領域1aの部分に接して形成される。アノード電極3は、例えば、Al(アルミニウム)を材質とする金属層である。また、アノード電極3は、P領域2とオーミック接合する。アノード電極3は、N領域1のN−領域1aとショットキ接合する。
カソード電極5は、第2の表面F2にそって、N領域1のN+領域1bに接して形成される。また、カソード電極5は、例えば、Ti/Niの積層構造やTi/Ni/Agの積層構造である。また、カソード電極5は、N領域1とオーミック接合する。
【0037】
なお、ダイオード100aは、PN接合ダイオードとショットキダイオードの特性を併せ持つMPS構造のダイオードである。
【0038】
次に、本実施形態による半導体装置(ダイオード100a)の製造方法について説明する。
ダイオード100aの製造方法では、ダイオード100の製造方法に、チャネルストッパ6を形成する工程と、SiO2絶縁膜7を形成する工程と、PSG絶縁膜8を形成する工程が追加される。また、ダイオード100aの製造方法では、N領域1としてN−領域1aとN+領域1bとを備えた半導体基板を用いる。
【0039】
図示は省略するが、ガードリング6を形成する工程では、例えば、イオン注入法などにより、半導体基板であるN領域1に、ガードリング6としてP+領域を第1の表面F1に露呈させて形成する。
また、図示は省略するが、チャネルストッパ9を形成する工程では、例えば、イオン注入法などにより、半導体基板であるN領域1に、チャネルストッパ9としてN+領域を第1の表面F1に露呈させて形成する。
また、図示は省略するが、SiO2絶縁膜7を形成する工程及びPSG絶縁膜8を形成する工程では、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いて、SiO2絶縁膜7及びPSG絶縁膜8を形成する。
アノード電極3を形成する製造工程以降の工程は、図2に示される工程フローと同様である。
【0040】
以上のように、本実施形態における半導体装置(ダイオード100a)の製造方法は、金属層形成工程(ステップS101及びS102)と絶縁膜形成工程(ステップS103及びS104)と、熱処理工程(ステップS105)とを有する。
これにより、ダイオード100aの製造方法及びダイオード100aは、第1の実施形態におけるダイオード100の製造方法及びダイオード100と同様の効果が得られる。
【0041】
なお、本発明の実施形態によれば、第1の導電型の半導体(p型半導体)と金属層(アノード電極3)がオーミック接合するオーミック接合部20と、第2の導電型の半導体(n型半導体)と金属層(アノード電極3)がショットキ接合するショットキ接合部30とを備える半導体装置(ダイオード100(又は100a))の製造方法は、オーミック接合部20がオーミック接合可能な膜厚範囲で薄くした膜厚によって、金属層(アノード電極3)を形成する金属層形成工程(ステップS101、S102)と、金属層(アノード電極3)の一部を覆って保護する絶縁膜(ポリイミド絶縁膜4)を形成する絶縁膜形成工程(ステップS103、S104)と、絶縁膜形成工程(ステップS103、S104)の後に、絶縁膜(ポリイミド絶縁膜4)をベークすると共に、オーミック接合部20の金属層をシリサイド化させる熱処理工程(ステップS105)とを有する。
【0042】
これにより、スパイク状の欠陥10の発生が低減されるため、ダイオード100(又は100a)は、逆方向特性の漏れ電流を低減できる。
また、半導体装置(ダイオード100(又は100a))の製造方法では、絶縁膜(ポリイミド絶縁膜4)のベーク処理とオーミック接合部20の金属層のシリサイド化を同じ熱処理工程(ステップS105)で行う。このため、図5に示される従来の半導体装置の製造方法に比べて、熱処理工程を1回削減できる。結果として、半導体装置(ダイオード100(又は100a))の製造方法では、製造工程を簡素化できる。
【0043】
また、オーミック接合可能な範囲で薄くした膜厚は、ワイヤーボンディングによる応力を考慮した厚さである。
これにより、ワイヤーボンディングによる応力によってオーミック接合部20及びショットキ接合部30に生じる欠陥などによる物理的影響や電気的影響を低減できる。
【0044】
また、金属層(アノード電極3)は、アルミニウムである。
これにより、金属層(アノード電極3)の形成が容易である。また、アルミニウムは白金などに比べ安価な材料であるため、低コストによって製造できる。
【0045】
また、金属層(アノード電極3)の膜厚は、0.5μmから3μmの範囲内の値である。
これにより、オーミック接合部20がオーミック接合可能で、且つ、ショットキ接合部30におけるスパイク状の欠陥10の発生が逆方向特性の漏れ電流を許容できる範囲に低減できる。
【0046】
また、ダイオード100(又は100a)は、上記の製造方法によって製造された半導体装置である。
これにより、スパイク状の欠陥10の発生が低減されるため、ダイオード100(又は100a)は、逆方向特性の漏れ電流を低減できる。
【0047】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。上記の各実施形態において、第1の導電型の半導体をp型半導体とし、第2の導電型の半導体をn型半導体とする形態を説明したが、第1の導電型の半導体をn型半導体とし、第2の導電型の半導体をp型半導体とする形態でも良い。
また、上記の各実施形態において、MPS構造のダイオード(100、100a)に用いる形態を説明したが、本発明は、これに限定されない。1つの金属層においてオーミック接合部とショットキ接合部を備える他の半導体装置に用いても良い。また、P領域2の数や形状も上記の各実施形態に限定されるものではない。
【0048】
また、上記の各実施形態において、金属層(アノード電極3)としてAlを用いる形態を説明したが、例えば、Pt(白金)、Ni(ニッケル)など、ショットキ接合と熱処理によるオーミック接合との両方が可能な金属であれば、他の金属を用いる形態でも良い。また、金属層(アノード電極3)の膜厚は、0.5μmから3μmの範囲で形成される形態を説明したが、使用する金属の種類によって他の範囲の膜厚でも良い。
また、上記の各実施形態において、絶縁膜にポリイミドを用いる形態を説明したが、絶縁膜の堆積後に熱処理を必要とする絶縁膜であれば、他の絶縁膜を用いる形態でも良い。ただし、熱処理に使用する温度は、オーミック接合部の金属層をシリサイド化させることが可能な温度である必要がある。
【0049】
また、上記の各実施形態において、ステップS101とステップS102における工程を金属層形成工程とする形態を説明したが、ステップS101における工程を金属層形成工程とする形態でも良い。また、ステップS103とステップS104における工程を絶縁膜形成工程とする形態を説明したが、ステップS103における工程を絶縁膜形成工程とする形態でも良い。
【符号の説明】
【0050】
1 N領域
2 P領域
3 アノード電極
4 ポリイミド絶縁膜
5 カソード電極
6 ガードリング
7 SiO2絶縁膜
8 PSG絶縁膜
9 チャネルストッパ
10 スパイク状の欠陥
20 オーミック接合部
30 ショットキ接合部
100、100a ダイオード
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法、及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PN接合ダイオードとショットキダイオードの特性を併せ持つMPS(Merged Pin Shottky)構造のダイオードにおいて、アノード面に電極を形成する場合、図5が示すような工程によって形成していた。図5に示される半導体装置の製造方法では、まず、Al(アルミニウム)のメタル層を例えば、3μm(マイクロメートル)から6μmの膜厚で形成する(メタル形成工程)。次に、約500℃の温度で熱処理を行い、PN接合のP型半導体とAlの間でオーミック接合させるためのシリサイドを形成する(メタル熱処理工程)。次に、有機絶縁膜であるポリイミド層を形成し(ポリイミド形成工程)、その後、約350℃の温度で再び熱処理を行う(ポリイミド熱処理工程)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−062513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図5に示される半導体装置の製造方法では、ショットキ接合面に図6に示されるスパイク状の欠陥が発生する場合がある。このスパイク状の欠陥が発生すると、MPS構造のダイオードにおいて、逆方向特性の漏れ電流が大きくなるという問題がある。
また、ショットキ接合面にMo(モリブデン)などのバリアメタルを使用する方法が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。バリアメタルを使用すると、スパイク状の欠陥の発生が低減される効果がある。そこで、図6に示されるスパイク状の欠陥の発生を低減するために、ショットキ接合面にMoなどのバリアメタルを使用する方法が考えられる。しかしながら、バリアメタルを使用する方法では、p型半導体との接触抵抗が大きくなり、順方向電圧が大きくなる。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、MPS構造の半導体装置において、逆方向特性の漏れ電流を低減できる半導体装置の製造方法、及び半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明は、第1の導電型の半導体と金属層がオーミック接合するオーミック接合部と、第2の導電型の半導体と前記金属層がショットキ接合するショットキ接合部とを備える半導体装置の製造方法であって、前記オーミック接合部がオーミック接合可能な膜厚範囲で薄くした膜厚によって、前記金属層を形成する金属層形成工程と、前記金属層の一部を覆って保護する絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、前記絶縁膜形成工程の後に、前記絶縁膜をベークすると共に、前記オーミック接合部の前記金属層をシリサイド化させる熱処理工程とを有する半導体装置の製造方法である。
【0007】
また、本発明は、上記発明において、前記オーミック接合可能な範囲で薄くした膜厚は、ワイヤーボンディングによる応力を考慮した厚さであることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記金属層は、アルミニウムであることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記金属層は、白金又はニッケルであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記金属層の前記膜厚は、0.5μmから3μmの範囲内の値であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明における半導体装置の製造方法によって製造された半導体装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、半導体装置の製造方法は、オーミック接合部がオーミック接合可能な膜厚範囲で薄くした膜厚によって、金属層を形成する金属層形成工程と、絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、絶縁膜形成工程の後に、絶縁膜をベークすると共に、オーミック接合部の金属層をシリサイド化させる熱処理工程とを有する。ショットキ接合面におけるスパイク状の欠陥の発生は、金属層の膜厚が薄い程、低減される。このため、本発明の半導体装置の製造方法では、金属層形成工程において、形成する金属層の膜厚を薄くすることで、このスパイク状の欠陥の発生を低減することができる。また、このスパイク状の欠陥の発生は、熱処理工程の温度が低い程、低減される。このため、本発明の半導体装置の製造方法では、低温で熱処理される絶縁膜のベーク処理と共に、オーミック接合部の金属層をシリサイド化させる。これにより、本発明の半導体装置の製造方法では、このスパイク状の欠陥の発生を低減することができる。このスパイク状の欠陥の発生が低減されるため、逆方向特性の漏れ電流を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態による半導体装置の一形態を示す断面構成図である。
【図2】同実施形態における半導体装置の製造工程を示す工程フロー図である。
【図3】同実施形態における半導体装置の製造工程を示す断面構成図である。
【図4】同実施形態における半導体装置の別の形態を示す断面構成図である。
【図5】従来の半導体装置の製造工程を示す工程フロー図である。
【図6】従来の半導体装置における断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態による半導体装置について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による半導体装置(ダイオード100)を示す断面構成図である。
図1において、ダイオード100は、N領域1、P領域2、アノード電極3、ポリイミド絶縁膜4、及びカソード電極5を備える。
【0015】
N領域1は、第2の導電型の半導体としてのn型半導体のN−領域であり、ダイオード100のバルク層となる半導体基板を構成する。ここで、図1における半導体基板の上側の面を第1の表面F1とし、半導体基板の下側の面を第2の表面F2とする。
P領域2は、第1の導電型の半導体としてのp型半導体のP+領域である。P領域2は、N領域1と接して形成され、第1の表面F1に露呈させて形成される。ここで、P領域2は、例えば、2つのP+領域とする。また、P領域2の不純物濃度は、例えば、2×1016cm−3である。
【0016】
アノード電極3は、第1の表面F1にそって、N領域1とP領域2とに接して形成される。アノード電極3は、例えば、Al(アルミニウム)を材質とする金属層である。また、アノード電極3は、P領域2とオーミック接合(接触)する。アノード電極3は、N領域1とショットキ接合(接触)する。
【0017】
ポリイミド絶縁膜4は、アノード電極3の一部分を覆って形成される。ポリイミド絶縁膜4は、例えば、有機絶縁膜であるポリイミドを材質とする絶縁膜である。ポリイミド絶縁膜4は、ダイオード100を外的な損傷から保護するためのパッシベーション絶縁膜として機能する。
【0018】
カソード電極5は、第2の表面F2にそって、N領域1に接して形成される。また、カソード電極5は、例えば、Ti(チタン)/Ni(ニッケル)の積層構造やTi/Ni/Ag(銀)の積層構造である。また、カソード電極5は、N領域1とオーミック接合する。
【0019】
また、図1において、オーミック接合部20では、p型半導体のP領域2とアノード電極3(金属層)がオーミック接合する。また、ショットキ接合部30では、n型半導体のN領域1とアノード電極3(金属層)がショットキ接合する。
また、スパイク状の欠陥10は、ショットキ接合部30に発生するスパイク状の形状をした欠陥を示す。
【0020】
なお、ダイオード100は、PN接合ダイオードとショットキダイオードの特性を併せ持つMPS(Merged Pin Shottky)構造のダイオードである。
【0021】
次に、本実施形態による半導体装置(ダイオード100)の製造方法について図面を参照して説明する。
図2は、同実施形態におけるダイオード100の製造工程の一部を示す工程フロー図である。
また、図3は、図2に示した工程フロー図に対応するダイオード100の製造工程を示す断面構成図である。
なお、図2及び図3に示される工程は、ダイオード100のアノード電極3を形成する製造工程以降の工程である。アノード電極3を形成する前の図示されない製造工程では、例えば、イオン注入法などにより、半導体基板であるN領域1にP領域2を第1の表面F1に露呈させて形成する。
【0022】
以下、ダイオード100のアノード電極3を形成する製造工程以降の工程を説明する。
まず、オーミック接合部20がオーミック接合可能な膜厚範囲で薄くした膜厚によって、メタル(Al金属層)を形成する(ステップS101)。また、Al金属層は、第1の表面F1全面に形成される。ここで、オーミック接合可能な膜厚範囲で薄くした膜厚は、例えば、0.5μm(マイクロメートル)から3μmである。この膜厚は、図5及び図6に示される従来のダイオードにおけるAl金属層の膜厚(例えば、3μmから6μm)よりも薄い。
【0023】
また、オーミック接合可能な範囲で薄くした膜厚は、アノード電極3にAl線やAu(金)線などの金属線をワイヤーボンディングする際に、アノード電極3にかかる応力(ワイヤーボンディングによる応力)を考慮して欠陥が生じないようにした厚さである。すなわち、アノード電極3の膜厚は、ワイヤーボンディングによる応力によって、オーミック接合部20及びショットキ接合部30に欠陥が生じるなどの物理的影響や電気的影響が生じない厚さである。
また、Al金属層の膜厚は、ショットキ接合部30における欠陥の発生が許容できる膜厚範囲で薄くした膜厚である。
また、ステップS101において、Al金属層とN領域1とがショットキ接合される。
【0024】
次に、パターンニングによって、Al金属層の必要な部分を残して、Al金属層を除去してアノード電極3を形成する(ステップS102)。ステップS102において、例えば、次に示すようにパターンニングを行う。まず、Al金属層の上にレジスト層を形成する。次に、レジスト層をマスクして露光し、Al金属層を除去する領域のレジスト層を除去する。これにより、レジスト層が開口したパターンを形成する。次に、レジスト層が開口した部分のAl金属層を除去する。最後にレジスト層を除去してパターンニングが完了する。これにより、アノード電極3が形成される。
図3(a)は、ステップS102における製造工程が完了した後の断面構成図を示す。なお、半導体ウェハ上に、複数のダイオード100が製造される。この図において、Al金属層が除去された領域は、例えば、ダイオード100と隣接する位置のダイオード100との図示されない境界部分である。
また、ステップS101とステップS102における工程を金属層形成工程という。
【0025】
次に、アノード電極3の上全面に、例えば、ポリイミドをスピン塗布法などにより塗布して、ポリイミド絶縁膜4を成膜(堆積)する(ステップS103)。
図3(b)は、ステップS103における製造工程が完了した後の断面構成図を示す。この図は、アノード電極3の上全面にポリイミド絶縁膜4が成膜(堆積)されていることを示す。
【0026】
次に、パターンニングによって、ポリイミド絶縁膜4の必要な部分を残して、ポリイミド絶縁膜4を除去する(ステップS104)。ステップS104において、例えば、次に示すようにパターンニングを行う。まず、ポリイミド絶縁膜4の上にレジスト層を形成する。次に、レジスト層をマスクして露光し、ポリイミド絶縁膜4を除去する領域のレジスト層を除去する。これにより、レジスト層が開口したパターンを形成する。次に、レジスト層が開口した部分のポリイミド絶縁膜4を除去する。最後にレジスト層を除去してパターンニングが完了する。これにより、アノード電極3(金属層)の一部を覆って保護するポリイミド絶縁膜4を形成する。
図3(c)は、ステップS104における製造工程が完了した後の断面構成図を示す。この図は、アノード電極3(金属層)の一部を覆って保護するポリイミド絶縁膜4が形成されていることを示す。
また、ステップS103とステップS104における工程を絶縁膜形成工程という。
【0027】
次に、ポリイミド熱処理(熱処理工程)を行う(ステップS105)。ステップS105における熱処理工程は、ポリイミド絶縁膜4をベークすると共に、オーミック接合部20の金属層をシリサイド化させる。ここで、熱処理工程における処理温度は、例えば、約350℃である。この温度は、図5及び図6に示される従来のダイオードにおけるメタル熱処理の温度(例えば、約500℃)よりも低い。
図3(d)は、ステップS105における製造工程が完了した後の断面構成図を示す。この図において、オーミック接合部20の金属層に図示されないシリサイドが形成される。これにより、アノード電極3とP領域2とがオーミック接合される。また、スパイク状の欠陥10が、ショットキ接合部30に発生した場合を示す。ただし、この図におけるスパイク状の欠陥10では、図6に示される従来のダイオードにおけるスパイク状の欠陥よりも欠陥の数及び深さを低減することができる。本実施形態における製造方法では、アノード電極3の膜厚をオーミック接合可能な膜厚範囲で薄く形成し、図5及び図6に示される従来のダイオードにおけるメタル熱処理の温度より低い約350℃でオーミック接合部20の金属層をシリサイド化させる。これにより、スパイク状の欠陥10の発生を低減することができる。
【0028】
次に、裏面メタル蒸着工程では、第2の表面F2(裏面)に、カソード電極5としてメタル(例えば、Ti/NiやTi/Ni/Agなどの金属層)を蒸着する(ステップS106)。これにより、PN接合ダイオードとショットキダイオードの特性を併せ持つMPS構造のダイオード100が製造される。
図3(e)は、ステップS106における製造工程が完了した後の断面構成図を示す。
【0029】
なお、ステップS101において、Al金属層であるアノード電極3の膜厚は、図5に示される従来の金属層形成工程によって形成された膜厚よりも薄い、例えば、0.5μmから3μmの範囲で形成される。また、ステップS105において、アノード電極3は、図5に示される従来の熱処理工程の温度より低い温度(例えば、約350℃)で熱処理される。これらの条件で処理した場合において、アノード電極3とP領域2との接触抵抗は、図5に示される従来の半導体装置の製造方法の場合と同等の抵抗値が得られる。
【0030】
以上のように、本実施形態における半導体装置(ダイオード100)の製造方法は、金属層形成工程(ステップS101及びS102)と絶縁膜形成工程(ステップS103及びS104)と、熱処理工程(ステップS105)とを有する。金属層形成工程(ステップS101及びS102)は、オーミック接合部20がオーミック接合可能な膜厚範囲で薄くした膜厚によって、アノード電極3(金属層)を形成する。絶縁膜形成工程(ステップS103及びS104)は、ポリイミド絶縁膜4(絶縁膜)を形成する。熱処理工程(ステップS105)は、絶縁膜形成工程(ステップS103及びS104)の後に、ポリイミド絶縁膜4(絶縁膜)をベークすると共に、オーミック接合部20の金属層をシリサイド化させる。
【0031】
ショットキ接合部30におけるスパイク状の欠陥10の発生は、アノード電極3(金属層)の膜厚が薄い程、低減される。このため、本実施形態における半導体装置の製造方法では、金属層形成工程(ステップS101及びS102)において、形成するアノード電極3(金属層)の膜厚を薄くすることで、このスパイク状の欠陥10の発生を低減することができる。
また、このスパイク状の欠陥10の発生は、オーミック接合を確保できる条件下で熱処理の温度が低い程、低減される。このため、本実施形態における半導体装置の製造方法では、低温(例えば、約350℃)で熱処理されるポリイミド絶縁膜4(絶縁膜)のベーク処理と共に、オーミック接合部20の金属層をシリサイド化させる。これにより、本実施形態における半導体装置の製造方法、及びダイオード100では、このスパイク状の欠陥10の発生を低減することができる。
このスパイク状の欠陥10の発生が低減されるため、ダイオード100は、逆方向特性の漏れ電流を低減できる。
【0032】
また、本実施形態における半導体装置の製造方法では、ポリイミド絶縁膜4(絶縁膜)のベーク処理とオーミック接合部20の金属層のシリサイド化を同じ熱処理工程(ステップS105)で行う。そのため、図5に示される従来の半導体装置の製造方法に比べて、熱処理工程を1回削減できる。また、本実施形態における半導体装置の製造方法では、アノード電極3の膜厚を図5に示される従来の半導体装置の製造方法より薄く形成する。そのため、ステップS101のメタル(金属層)形成工程における処理時間を短縮できる。結果として、本実施形態における半導体装置の製造方法では、製造工程を簡素化できる。
【0033】
<第2の実施形態>
以下、同実施形態における半導体装置の別の一形態について図面を参照して説明する。
図4は、同実施形態における半導体装置の別の形態を示す断面構成図である。
図4において、ダイオード100aは、N領域1、P領域2、アノード電極3、ポリイミド絶縁膜4、カソード電極5、ガードリング6、SiO2(二酸化珪素)絶縁膜7、PSG(Phospho Silicate Glass)絶縁膜8、及びチャネルストッパ9を備える。この図において、図1と同じ構成には同一の符号を付す。
【0034】
図4に示されるダイオード100aでは、N領域1は、n型半導体のN−領域1aと、N−領域1aより不純物濃度の高いn型半導体のN+領域1bとによって構成される。
P領域2は、N領域1のN−領域1aと接して形成され、第1の表面F1に露呈させて形成される。ここで、P領域2は、例えば、3つのP+領域とする。
ガードリング6は、第1の表面F1に接して図4におけるダイオード100aの側面近傍のN−領域1aに形成される。ガードリング6は、例えば、P領域2よりも不純物濃度が高いp型半導体のP+領域により形成される。
チャネルストッパ9は、第1の表面F1と図4におけるダイオード100aの側面とに接して、N−領域1aに形成される。チャネルストッパ9は、例えば、N−領域1aよりも不純物濃度が高いn型半導体のN+領域により形成される。チャネルストッパ9は、ダイオード100aの機能として望ましくない漏れ電流(チャネル電流)を抑制する。
【0035】
SiO2絶縁膜7は、第1の表面F1に接して設けられ、第1の表面F1に面している。SiO2絶縁膜7は、ガードリング6とN領域1のN−領域1aの一部分とを覆うように形成される。また、SiO2絶縁膜7は、第1の表面F1を保護して、湿度などの進入を防ぎ、ダイオード100aの第1の表面F1を保護する。
PSG絶縁膜8は、SiO2絶縁膜7に接して、SiO2絶縁膜7を覆うように形成される。PSG絶縁膜8は、Na(ナトリウム)イオンなどの進入を防ぎ、ダイオード100aにおける化学的損傷などを主に防止する。
【0036】
図4において、アノード電極3は、第1の表面F1にそって、SiO2絶縁膜7及びPSG絶縁膜8に覆われていないN領域1のN−領域1aの部分に接して形成される。アノード電極3は、例えば、Al(アルミニウム)を材質とする金属層である。また、アノード電極3は、P領域2とオーミック接合する。アノード電極3は、N領域1のN−領域1aとショットキ接合する。
カソード電極5は、第2の表面F2にそって、N領域1のN+領域1bに接して形成される。また、カソード電極5は、例えば、Ti/Niの積層構造やTi/Ni/Agの積層構造である。また、カソード電極5は、N領域1とオーミック接合する。
【0037】
なお、ダイオード100aは、PN接合ダイオードとショットキダイオードの特性を併せ持つMPS構造のダイオードである。
【0038】
次に、本実施形態による半導体装置(ダイオード100a)の製造方法について説明する。
ダイオード100aの製造方法では、ダイオード100の製造方法に、チャネルストッパ6を形成する工程と、SiO2絶縁膜7を形成する工程と、PSG絶縁膜8を形成する工程が追加される。また、ダイオード100aの製造方法では、N領域1としてN−領域1aとN+領域1bとを備えた半導体基板を用いる。
【0039】
図示は省略するが、ガードリング6を形成する工程では、例えば、イオン注入法などにより、半導体基板であるN領域1に、ガードリング6としてP+領域を第1の表面F1に露呈させて形成する。
また、図示は省略するが、チャネルストッパ9を形成する工程では、例えば、イオン注入法などにより、半導体基板であるN領域1に、チャネルストッパ9としてN+領域を第1の表面F1に露呈させて形成する。
また、図示は省略するが、SiO2絶縁膜7を形成する工程及びPSG絶縁膜8を形成する工程では、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いて、SiO2絶縁膜7及びPSG絶縁膜8を形成する。
アノード電極3を形成する製造工程以降の工程は、図2に示される工程フローと同様である。
【0040】
以上のように、本実施形態における半導体装置(ダイオード100a)の製造方法は、金属層形成工程(ステップS101及びS102)と絶縁膜形成工程(ステップS103及びS104)と、熱処理工程(ステップS105)とを有する。
これにより、ダイオード100aの製造方法及びダイオード100aは、第1の実施形態におけるダイオード100の製造方法及びダイオード100と同様の効果が得られる。
【0041】
なお、本発明の実施形態によれば、第1の導電型の半導体(p型半導体)と金属層(アノード電極3)がオーミック接合するオーミック接合部20と、第2の導電型の半導体(n型半導体)と金属層(アノード電極3)がショットキ接合するショットキ接合部30とを備える半導体装置(ダイオード100(又は100a))の製造方法は、オーミック接合部20がオーミック接合可能な膜厚範囲で薄くした膜厚によって、金属層(アノード電極3)を形成する金属層形成工程(ステップS101、S102)と、金属層(アノード電極3)の一部を覆って保護する絶縁膜(ポリイミド絶縁膜4)を形成する絶縁膜形成工程(ステップS103、S104)と、絶縁膜形成工程(ステップS103、S104)の後に、絶縁膜(ポリイミド絶縁膜4)をベークすると共に、オーミック接合部20の金属層をシリサイド化させる熱処理工程(ステップS105)とを有する。
【0042】
これにより、スパイク状の欠陥10の発生が低減されるため、ダイオード100(又は100a)は、逆方向特性の漏れ電流を低減できる。
また、半導体装置(ダイオード100(又は100a))の製造方法では、絶縁膜(ポリイミド絶縁膜4)のベーク処理とオーミック接合部20の金属層のシリサイド化を同じ熱処理工程(ステップS105)で行う。このため、図5に示される従来の半導体装置の製造方法に比べて、熱処理工程を1回削減できる。結果として、半導体装置(ダイオード100(又は100a))の製造方法では、製造工程を簡素化できる。
【0043】
また、オーミック接合可能な範囲で薄くした膜厚は、ワイヤーボンディングによる応力を考慮した厚さである。
これにより、ワイヤーボンディングによる応力によってオーミック接合部20及びショットキ接合部30に生じる欠陥などによる物理的影響や電気的影響を低減できる。
【0044】
また、金属層(アノード電極3)は、アルミニウムである。
これにより、金属層(アノード電極3)の形成が容易である。また、アルミニウムは白金などに比べ安価な材料であるため、低コストによって製造できる。
【0045】
また、金属層(アノード電極3)の膜厚は、0.5μmから3μmの範囲内の値である。
これにより、オーミック接合部20がオーミック接合可能で、且つ、ショットキ接合部30におけるスパイク状の欠陥10の発生が逆方向特性の漏れ電流を許容できる範囲に低減できる。
【0046】
また、ダイオード100(又は100a)は、上記の製造方法によって製造された半導体装置である。
これにより、スパイク状の欠陥10の発生が低減されるため、ダイオード100(又は100a)は、逆方向特性の漏れ電流を低減できる。
【0047】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。上記の各実施形態において、第1の導電型の半導体をp型半導体とし、第2の導電型の半導体をn型半導体とする形態を説明したが、第1の導電型の半導体をn型半導体とし、第2の導電型の半導体をp型半導体とする形態でも良い。
また、上記の各実施形態において、MPS構造のダイオード(100、100a)に用いる形態を説明したが、本発明は、これに限定されない。1つの金属層においてオーミック接合部とショットキ接合部を備える他の半導体装置に用いても良い。また、P領域2の数や形状も上記の各実施形態に限定されるものではない。
【0048】
また、上記の各実施形態において、金属層(アノード電極3)としてAlを用いる形態を説明したが、例えば、Pt(白金)、Ni(ニッケル)など、ショットキ接合と熱処理によるオーミック接合との両方が可能な金属であれば、他の金属を用いる形態でも良い。また、金属層(アノード電極3)の膜厚は、0.5μmから3μmの範囲で形成される形態を説明したが、使用する金属の種類によって他の範囲の膜厚でも良い。
また、上記の各実施形態において、絶縁膜にポリイミドを用いる形態を説明したが、絶縁膜の堆積後に熱処理を必要とする絶縁膜であれば、他の絶縁膜を用いる形態でも良い。ただし、熱処理に使用する温度は、オーミック接合部の金属層をシリサイド化させることが可能な温度である必要がある。
【0049】
また、上記の各実施形態において、ステップS101とステップS102における工程を金属層形成工程とする形態を説明したが、ステップS101における工程を金属層形成工程とする形態でも良い。また、ステップS103とステップS104における工程を絶縁膜形成工程とする形態を説明したが、ステップS103における工程を絶縁膜形成工程とする形態でも良い。
【符号の説明】
【0050】
1 N領域
2 P領域
3 アノード電極
4 ポリイミド絶縁膜
5 カソード電極
6 ガードリング
7 SiO2絶縁膜
8 PSG絶縁膜
9 チャネルストッパ
10 スパイク状の欠陥
20 オーミック接合部
30 ショットキ接合部
100、100a ダイオード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電型の半導体と金属層がオーミック接合するオーミック接合部と、第2の導電型の半導体と前記金属層がショットキ接合するショットキ接合部とを備える半導体装置の製造方法であって、
前記オーミック接合部がオーミック接合可能な膜厚範囲で薄くした膜厚によって、前記金属層を形成する金属層形成工程と、
前記金属層の一部を覆って保護する絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、
前記絶縁膜形成工程の後に、前記絶縁膜をベークすると共に、前記オーミック接合部の前記金属層をシリサイド化させる熱処理工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記オーミック接合可能な範囲で薄くした膜厚は、ワイヤーボンディングによる応力を考慮した厚さである
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記金属層は、アルミニウムである
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記金属層は、白金又はニッケルである
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記金属層の前記膜厚は、0.5μmから3μmの範囲内の値である
ことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法によって製造された
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項1】
第1の導電型の半導体と金属層がオーミック接合するオーミック接合部と、第2の導電型の半導体と前記金属層がショットキ接合するショットキ接合部とを備える半導体装置の製造方法であって、
前記オーミック接合部がオーミック接合可能な膜厚範囲で薄くした膜厚によって、前記金属層を形成する金属層形成工程と、
前記金属層の一部を覆って保護する絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、
前記絶縁膜形成工程の後に、前記絶縁膜をベークすると共に、前記オーミック接合部の前記金属層をシリサイド化させる熱処理工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記オーミック接合可能な範囲で薄くした膜厚は、ワイヤーボンディングによる応力を考慮した厚さである
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記金属層は、アルミニウムである
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記金属層は、白金又はニッケルである
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記金属層の前記膜厚は、0.5μmから3μmの範囲内の値である
ことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法によって製造された
ことを特徴とする半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2011−258662(P2011−258662A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130412(P2010−130412)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
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