説明

半導体装置の製造方法および半導体製造装置

【目的】半導体素子等へのダメージをより少なくしながら半導体素子が形成された基板と支持基板とを分離する。
【構成】実施形態の半導体装置の製造方法は、表面側に半導体素子が形成された半導体基板10の表面と、半導体基板10を支持する支持基板12の2つの面のうちの一方の面とを貼り付ける工程と、半導体基板10および支持基板12とワイヤ20とを相対移動させながら前記第1の基板と前記第2の基板とを切り離す工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法および半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置を製造するにあたって、半導体ウェハに形成されたデバイス面を支持基板に接着させた状態で他の必要なプロセスを行うことが行われる。そして、かかる必要なプロセスが終了した後に、半導体ウェハを支持基板から分離する。熱可塑性の接着剤を用いて、半導体ウェハと支持基板とを接着しておいて、剥がす際には、半導体ウェハと支持基板とにヒータ等で加熱しながら、一方を接着面と平行な方向に移動(スライド)させることで両者を分離できる。
【0003】
しかしながら、かかる手法では、加熱に長時間かかるために半導体ウェハに形成されたデバイスやバンプ構造物に損傷を与えてしまう。また、スライドにより半導体ウェハ表面側の素子やバンプ等に接着剤を介してせん断応力が働いてしまい半導体装置の特性劣化の要因になる。これら損傷や劣化は、半導体装置の歩留りに影響するため、短時間でかつデバイスやバンプ構造に損傷を与えない分離方法の確立が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−294717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、半導体素子等へのダメージをより少なくしながら半導体素子が形成された基板と支持基板とを分離することが可能な半導体装置の製造方法、およびその製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体装置の製造方法は、表面側に半導体素子が形成された第1の基板の表面と、前記第1の基板を支持する第2の基板の2つの面のうちの一方の面とを貼り付ける工程と、前記第1の基板および前記第2の基板とワイヤとを相対移動させながら前記第1の基板と前記第2の基板とを切り離す工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、実施形態の半導体製造装置は、ステージと基板保持部とワイヤ保持部と駆動部とを備える。ステージは、表面側に半導体素子が形成された第1の基板が表面側を向けて貼り付けられた、前記第1の基板を支持する第2の基板を載置する。基板保持部は、前記第1の基板の裏面を保持する。ワイヤ保持部は、前記第1の基板と前記第2の基板とを切り離すワイヤを保持する。駆動部は、前記ワイヤと、貼り付けられた第1と第2の基板と、を相対移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の要部工程を示すフローチャート図である。
【図2】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程断面図である。
【図3】第1の実施形態における半導体装置の製造装置の構成を示す正面概念図である。
【図4】第1の実施形態における半導体装置の製造装置の動作を説明するための上面概念図である。
【図5】第1の実施形態における分離方法を説明するための断面図である。
【図6】第1の実施形態におけるワイヤの一例を示す断面図である。
【図7】第2の実施形態における半導体装置の製造装置の構成を示す上面概念図である。
【図8】第3の実施形態における半導体装置の製造装置の構成を示す上面概念図である。
【図9】第4の実施形態における半導体装置の製造装置の構成を示す上面概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について、以下、図面を用いて説明する。図1は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の要部工程を示すフローチャート図である。図1において、第1の実施形態における半導体装置の製造方法は、支持基板接着工程(S102)と、半導体基板薄化工程(S104)と、貫通電極(TSV)形成工程(S106)と、分離工程(S108)という一連の工程を実施する。ここで、TSV(Through−Silicon Via)は、狭義にはシリコン製半導体基板を厚さ方向に貫通する電極を指す用語である。しかしながら本明細書においては、説明の都合上シリコン以外の半導体材料(例えばGaAs等の化合物半導体材料)製を含む半導体基板を貫通する、広義の貫通電極一般を指す用語として用いる。
【0010】
図2は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程断面図である。図2では、支持基板接着工程(S102)からTSV形成工程(S106)までを示している。
【0011】
図2(a)において、支持基板接着工程(S102)として、表面側に半導体素子が形成された半導体基板10(第1の基板)の表面と、半導体基板10を支持する支持基板12(第2の基板)の面とを貼り付ける。半導体基板10の表面には、半導体素子や他の半導体基板を積層して多層チップを形成する際の他の半導体基板との導通のための接点となるバンプ等が形成されている。
【0012】
半導体基板10として、例えば、300mmのシリコンウェハが用いられる。そして、かかる半導体素子が形成された面側に配置された支持基板12と接着する。支持基板12は、2つの面のうち、一方の面を半導体基板10に向けて接着される。支持基板12で半導体基板10を支持することで、後に半導体基板10の厚さを薄くする際や、TSV形成の際に、半導体基板10の割れ等を防止できる。
【0013】
支持基板12の材料として、シリコン、シリコンカーバイド(SiC)、サファイア等が好適である。その他にも、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウムInP(InP)、或いは、窒化ガリウム(GaN)などの化合物半導体ウェハや、ガラス等を用いても好適である。
【0014】
半導体基板10と支持基板12は、接着材で接着される。接着材としては、例えば、エポキシ樹脂や、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、PEEK樹脂、ブタジエン樹脂、その他ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリビニルエチレンなどのポリジエン類、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸エステルなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン誘導体、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリルなどのポリアクリロニトリル誘導体、ポリオキシメチレンなどのポリアセタール類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどや芳香族ポリエステル類を含むポリエステル類、ポリアリレート類、パラ系やメタ系のアラミド樹脂などの芳香族ポリアミドやナイロンなどのポリアミド類、ポリイミドアミド、ポリイミド類、ポリp−フェニレンエーテルなどの芳香族ポリエーテル類、ポリエーテルスルホン類、ポリスルホン類、ポリスルフィド類、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系ポリマー、ポリベンゾオキサゾール類、ポリベンゾチアゾール類、ポリベンゾイミダゾール類、ポリパラフェニレンなどのポリフェニレン類、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリシロキサン誘導体、ノボラック樹脂類、メラミン樹脂類、ウレタン樹脂類、ポリカルボジイミド樹脂類、その他、シリコーン系材料などが挙げられる。
【0015】
図2(b)において、半導体基板薄化工程(S104)として、半導体基板10と支持基板12とが貼り付けられた状態で、半導体基板10の裏面(半導体素子が形成されていない方の面)を研削して半導体基板10の厚みを薄くする。例えば、化学機械研磨(CMP)等で研磨することで薄くすればよい。
【0016】
図2(c)において、TSV形成工程(S106)として、半導体基板10を貫通するように、コンタクト(電極)16を形成する。例えば、まず、電極を形成する位置にビアホールを形成し、ビアホール内の側壁や底面にバリアメタル膜を形成する。そして、ビアホールを導電性材料で埋め込んだ後、ビアホール外の余分な導電性材料やバリアメタル膜を研磨除去すればよい。バリアメタル膜の材料としては、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)等のタンタル系のタンタル含有物質、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)等のチタン系のチタン含有物質、窒化タングステン(WN)等のタングステン系のタングステン含有物質、もしくはTaとTaN等これらを組合せて用いた積層膜であっても構わない。導電性材料の材料として、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)等が好適である。
【0017】
なお、半導体基板薄化工程(S104)とTSV形成工程(S106)との順序は逆であっても構わない。言い換えれば、ビアファースト(Via first)/ビアラスト(Via last)どちらの手法でも構わない。
【0018】
そして、半導体基板薄化工程(S104)や、その他の例えば、TSV形成工程(S106)等の必要なプロセスが終了した後に、支持基板12から半導体基板10を分離する。ここで、半導体基板10と支持基板12とにヒータ等で加熱しながら一方を接着面と平行な方向に移動(スライド)させることで両者を分離する分離方法では、上述したように、デバイスやバンプ構造物に損傷を与えてしまう場合があった。また、スライドにより半導体ウェハ表面側の素子やバンプ等に接着剤を介してせん断応力が働いてしまい半導体装置の特性が劣化する場合があった。そこで、第1の実施形態では、以下のようにして、分離する。
【0019】
分離工程(S108)として、半導体基板10と支持基板12とをワイヤを用いて切り離す。
【0020】
図3は、第1の実施形態における半導体製造装置の構成を示す正面概念図である。図3には、半導体製造装置の一例として、基板分離装置100が示されている。基板分離装置100では、ステージ102上に、半導体基板10が表面側を向けて貼り付けられた半導体基板10を支持する支持基板12が載置される。支持基板12は、裏面が、例えば、真空チャック機構により、ステージ102上に吸引され保持されている。そして、ホルダ104によって、半導体基板10の裏面が保持される。ホルダ104は、基板保持部の一例である。半導体基板10は、裏面が、例えば、真空チャック機構により、ホルダ104の下面に吸引され保持されている。以上のように、ステージ102とホルダ104によって、貼り付けられた半導体基板10と支持基板12とが挟持される。分離する際に基板がより分離し易いように、ホルダ104によってステージ102とホルダ104との間に多少張力をかけてもよい。ステージ102とホルダ104について、それぞれ基板を保持するために、ここでは、一例として、真空チャックを用いているが、これに限るものではない。それぞれ対応基板をハンドリングできればその他のチャック方法でもよい。例えば、テープ等で張り付けてもよい。
【0021】
基板分離装置100では、ワイヤ保持部106によって、ワイヤ20を保持する。ワイヤ保持部106は、ワイヤ20にテンションを掛けるように保持することでワイヤ20が弛まないように伸ばしている。そして、ワイヤ20は、半導体基板10と支持基板12の間の接着材14の高さ位置で半導体基板10及び支持基板12の面と平行に保持され、ワイヤ20によって半導体基板10及び支持基板12とを切り離す。
【0022】
図4は、第1の実施形態における半導体装置の製造装置の動作を説明するための上面概念図である。図4において、弛まないように伸ばされたワイヤ20と、貼り付けられた半導体基板10と支持基板12と、を相対移動させることで、半導体基板10及び支持基板12とを切り離す。図4では、半導体基板10及び支持基板12の両側面に平行に配置されたレール110上を駆動部108が、ワイヤ保持部106を保持した状態で直線移動することによって、ワイヤ20が接着材14を切断しながら進む。
【0023】
また、さらに、超音波振動装置112にワイヤ20の例えば端部を接続して、ワイヤ20を超音波振動させながら半導体基板10と支持基板12とを切り離すようにしても好適である。例えば、ワイヤ20の長手方向に振動させるとよい。超音波振動させることで、例えば摩擦熱が発生し、摩擦熱による局所的な加熱により接着材を軟化させることができる。その結果、デバイスやバンプ構造への大きな熱ストレスを与えることなく、切り離しを容易にできる。例えば、20kHz以上の周波数振動をワイヤに与えると好適である。
【0024】
図5は、第1の実施形態における分離方法を説明するための断面図である。図5(a)に示すように、まず、ワイヤ20は、半導体基板10と支持基板12の間の接着材14の高さ位置に配置される。特に、ワイヤ20の下端が支持基板12面と実質的に同位置になるように配置されると好適である。かかる配置位置にすることで、ワイヤ20の太さを接着材14の厚さの例えば1/2まで太くすることができる。半導体基板10の表面には、半導体素子による凹凸が形成されている。そのため、接着剤14の厚さのうち、半導体基板10側の例えば1/2の厚さまでには半導体素子が形成されている場合がある。そのため、ワイヤ20の太さを接着材14の厚さの例えば1/2以下にすることで、かかる半導体素子を損傷しないようにできる。例えば、10〜100μmの太さにすると好適である。
【0025】
そして、図5(b)に示すように、ワイヤ20を支持基板12面に沿って移動しながら接着材14中を切り込むことで、図5(c)に示すように、半導体基板10と支持基板12とを切り離すことができる。
【0026】
図6は、第1の実施形態におけるワイヤの一例を示す断面図である。ワイヤ20は、炭素鋼などで作られた金属線、PTTA繊維、PBO繊維、芳香族ポリアミド共重合体、或いは、PETなどの高分子材料等で形成されると好適である。そして、ワイヤ20の断面は、図6(a)に示すような円形、図6(b)に示すような菱形、或いは図6(c)に示すような三角形で形成してもよい。その他、図6(d)に示すような複数の線を寄り合せてもよい。或いは、図6(e)に示すような中空構造にしてもよい。図6(e)の例では、ワイヤ20が伸びる方向に向かって複数個所に外部から中空につながる穴が開けられていると良い。
【0027】
以上のように第1の実施形態では、ワイヤ20で接着材14を切断する。これにより、容易に、かつ、半導体素子等に力をかけずに半導体基板10と支持基板12とを切り離すことができる。言い換えれば、半導体素子等へのダメージをより少なくしながら半導体素子が形成された半導体基板10と支持基板12とを分離することができる。また、超音波振動を用いることでさらに切断し易くできる。その結果、切断時間を短縮できる。
【0028】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、ワイヤ20側を移動させることで半導体基板10と支持基板12とを切り離したが、これに限るものではない。第2の実施形態では、基板側を移動させる構成について説明する。また、以下、特に説明する点以外の内容は第1の実施形態と同様である。
【0029】
図7は、第2の実施形態における半導体装置の製造装置の構成を示す上面概念図である。図7において、基板分離装置100では、ステージ102に駆動部190が接続されている。一方、ワイヤ20にテンションを掛けるように保持したワイヤ保持部106は固定されている。そして、ワイヤ20は移動させずに、駆動部190によってステージ102をワイヤ20側に向かって直線移動させることで、半導体基板10と支持基板12とを切り離すようにしても好適である。このように、貼り付けられた半導体基板10及び支持基板12が、ワイヤ20によって接着材14が切断されながら進むように構成してもよい。言い換えれば、弛まないように伸ばされたワイヤ20と、貼り付けられた半導体基板10と支持基板12と、を相対移動させればよい。ワイヤ保持部106を移動させる場合よりも簡易に装置を構成できる。
【0030】
(第3の実施形態)
上述した実施形態では、ワイヤ20がワイヤ20の長手方向と直交する方向に直線移動する例を示したが、切断時の移動の仕方はこれに限るものではない。また、以下、特に説明する点以外の内容は第1の実施形態と同様である。
【0031】
図8は、第3の実施形態における半導体装置の製造装置の構成を示す上面概念図である。図8において、基板分離装置100では、ワイヤ20の一端が固定され、他端がワイヤ保持部106によって弛まないように保持される。そして、かかるワイヤの一端を軸に、ワイヤ保持部106を保持した駆動部128が、円弧上のレール120を進む。これにより、ワイヤ20の一端を軸に、他端を円弧状に移動させながらワイヤ20が半導体基板10と支持基板12との間を進む。これにより、半導体基板10と支持基板12とを切り離す。
【0032】
また、さらに、溶剤漕114を配置して、ワイヤ20に接着材14の溶剤を付着させるようにしても好適である。例えば、ワイヤ20を溶剤漕114に浸漬させる。これにより、半導体基板10と支持基板12とを切り離す際に、溶剤がワイヤ20をつたって接着材14に到達し、接着材14を溶かす或いは軟化させることができる。図8の例では、溶剤漕114は、ワイヤ20の移動範囲が狭い軸側に配置すると小さい漕で足りるため好適である。また、ワイヤ20の構造として、図6(d)に示すような複数の線を寄り合せた構造や、図6(e)に示すような中空構造にすることで、毛細管現象等の作用により、溶剤がワイヤ20を伝って進みやすくできる。そして、溶剤が図6(d)の複数の線を寄り合せた構造から染み出し接着材14に到達する。或いは、図6(e)の中空構造に設けた穴(孔)から染み出し接着材14に到達する。このように、ワイヤ20の構造を工夫することによって、溶剤を接着材14側により効率的に運ぶことができる。
【0033】
溶剤をワイヤ20に付着させる方法は、浸漬させる場合に限るものではない。滴下してもよい。或いは、溶剤を気化させて蒸気を発生させ、溶剤の蒸気にワイヤ20を曝しても好適である。
【0034】
(第4の実施形態)
上述した実施形態では、接着材14を軟化させるために超音波振動や溶剤を用いた例を示したが、これに限るものではない。また、以下、特に説明する点以外の内容は、上述した各実施形態のいずれかと同様である。
【0035】
図9は、第4の実施形態における半導体装置の製造装置の構成を示す上面概念図である。図9において、超音波振動装置114の代わりに、ヒータ116をワイヤ20の他端に配置した点以外は、図3,4と同様である。ヒータ116でワイヤ20を加熱しながら半導体基板10と支持基板12との間を通過するようにワイヤ20を直線移動させることで、半導体基板10と支持基板12とを切り離すようにしても好適である。ワイヤ20を加熱することで、加熱されたワイヤ20に触れた接着剤14を軟化させることができる。その結果、切り離しを容易にできる。基板を直接加熱しないので、半導体素子やバンプ等への損傷を防ぐことができる。
【0036】
以上、具体例を参照しつつ実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。上述した例では、ワイヤ20を超音波振動させる構成、ワイヤ20に溶剤を付着させる構成、ヒータによりワイヤ20を加熱させる構成について、それぞれいずれか1つを用いた場合について説明したが、2つ以上を組み合わせても好適である。また、上述した例では、1本のワイヤ20で半導体基板10と支持基板12とを切り離す場合を説明したが、これに限るものではなく、2本以上のワイヤで半導体基板10と支持基板12とを切り離してもよい。例えば、基板の両側から2本のワイヤで基板の中央部に向かって切り込むようにしてもよい。これにより分離時間を短縮できる。また、上述した例では、ワイヤ20をヒータ116で加熱する場合を説明したが、これに限るものではなく、ワイヤ20を加熱するための手段を設ければ良い。例えば、ワイヤ20に高抵抗材料を用い、ワイヤ20に電流を流し、ワイヤ20自体を発熱させてもよい。これにより、ヒータ116を省略できる。
【0037】
また、各基板や膜の厚みや、サイズ、形状、数などについても、半導体集積回路や各種の半導体素子において必要とされるものを適宜選択して用いることができる。
【0038】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての半導体装置の製造方法は、本発明の範囲に包含される。
【0039】
また、説明の簡便化のために、その他の半導体装置を製造する際のプロセスについてはは省略しているが、半導体装置を製造する上で、それらの手法が行われることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0040】
10 半導体基板、12 支持基板、14 接着材、20 ワイヤ、100 基板分離装置、102 ステージ、104 ホルダ、106 ワイヤ保持部、108 駆動部、112 超音波振動装置、114 溶剤漕、116 ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面側に半導体素子が形成された第1の基板の表面と、前記第1の基板を支持する第2の基板の2つの面のうちの一方の面とを接着剤を用いて貼り付ける工程と、
前記第1の基板と第2の基板とが貼り付けられた状態で、前記第1の基板の裏面を研削して第1の基板の厚みを薄くする工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板とワイヤとを相対移動させながら前記第1の基板と前記第2の基板とを切り離す工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法であって、
前記接着剤の溶剤を用いて、前記ワイヤを超音波振動させながら前記第1の基板と前記第2の基板とを切り離すことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
表面側に半導体素子が形成された第1の基板の表面と、前記第1の基板を支持する第2の基板の2つの面のうちの一方の面とを貼り付ける工程と、
前記第1の基板および前記第2の基板とワイヤとを相対移動させながら前記第1の基板と前記第2の基板とを切り離す工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1の基板と第2の基板とが貼り付けられた状態で、前記第1の基板の裏面を研削して第1の基板の厚みを薄くする工程をさらに備えたことを特徴とする請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記ワイヤを超音波振動させながら前記第1の基板と前記第2の基板とを切り離すことを特徴とする請求項2又は3記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記ワイヤを加熱させながら前記第1の基板と前記第2の基板とを切り離すことを特徴とする請求項2又は3いずれか記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
表面側に半導体素子が形成された第1の基板が表面側を向けて貼り付けられた、前記第1の基板を支持する第2の基板を載置するステージと、
前記第1の基板の裏面を保持する基板保持部と、
前記第1の基板と前記第2の基板とを切り離すワイヤを保持するワイヤ保持部と、
前記ワイヤと、貼り付けられた第1と第2の基板と、を相対移動させる駆動部と、
を備えたことを特徴とする半導体製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−93490(P2013−93490A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235693(P2011−235693)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】