説明

半導体装置の製造方法

【課題】本発明は、電気的接続について信頼性を向上させることを目的とする。
【解決手段】集積回路12及び集積回路12に電気的に接続された電極14を有する半導体基板10に、熱硬化性樹脂前駆体24を設ける。電極14上から、熱硬化性樹脂前駆体24の表面に至るように、配線20を形成する。熱硬化性樹脂前駆体24を、熱によって硬化収縮させて表面積を小さくし、配線20に凸部22となるしわを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体チップの能動面に樹脂突起を設け、能動面の電極から樹脂突起上に配線を設けて、突起電極を形成することが開示されている。これによれば、樹脂突起によって応力を緩和できるとともに、突起電極を電極とは異なるピッチ及び配列で並べることが可能である。しかしながら、特許文献1には、突起電極と実装基板のリードとの電気的な接続性をどのようにして高めるかが開示されていない。なお、特許文献2には、突起を有するバンプが開示されているが、その形成プロセスは複雑である。
【特許文献1】特開2005−136402号公報
【特許文献2】特開2007−67316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、電気的接続について信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)本発明に係る半導体装置の製造方法は、
(a)集積回路及び前記集積回路に電気的に接続された電極を有する半導体基板に、熱硬化性樹脂前駆体を設ける工程と、
(b)前記電極上から、前記熱硬化性樹脂前駆体の表面に至るように、配線を形成する工程と、
(c)前記熱硬化性樹脂前駆体を、熱によって硬化収縮させて表面積を小さくし、前記配線に凸部となるしわを形成する工程と、
を含む。本発明によれば、簡単に配線に凸部を形成することができる。配線を外部端子として利用すると、凸部において接触圧力が高くなるので、電気的接続について信頼性を向上させることができる。
(2)この半導体装置の製造方法において、
前記(a)工程後(b)工程前に、前記熱硬化性樹脂前駆体を熱によって半硬化させる工程を含み、
前記(c)工程で、半硬化状態の前記熱硬化性樹脂前駆体を本硬化させてもよい。
(3)この半導体装置の製造方法において、
前記凸部を、前記熱硬化性樹脂前駆体の上面中央に形成してもよい。
(4)この半導体装置の製造方法において、
前記凸部を、前記熱硬化性樹脂前駆体の上面端部に形成してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
(半導体装置)
図1は、本発明の実施の形態で得られる半導体装置を示す平面図である。図2は、図1に示す半導体装置のII-II線断面図である。
【0006】
半導体装置1は、半導体基板10を有する。半導体基板10は、図1では半導体チップであるが、変形例として半導体ウエハであってもよい。半導体チップである半導体基板10は、矩形の面を有している。半導体基板10には、集積回路12(トランジスタ等)が形成されている。半導体基板10には、集積回路12に電気的に接続されるように、複数の電極14が形成されている。複数の電極14は、1列又は複数列(平行な複数列)に並んでいる。電極14は、半導体基板10の矩形の面の辺(例えば長方形の長辺)に沿って(平行に)並んでいる。半導体基板10が半導体ウエハであれば、複数の集積回路12が形成され、それぞれの集積回路について複数の電極14が形成される。電極14は、内部配線(図示せず)を介して集積回路12に電気的に接続されている。半導体基板10には、電極14の少なくとも一部が露出する様に、電極14上に位置する開口を有する絶縁膜16(例えばパッシベーション膜)が形成されている。絶縁膜16は、例えば、SiOやSiN等の無機材料のみで形成されていてもよい。絶縁膜16は、集積回路12の上方に形成されている。
【0007】
半導体基板10(絶縁膜16上)には、樹脂突起18が設けられている。半導体基板10の矩形の面の辺(例えば長方形の長辺)に沿って(平行に)延びる樹脂突起18が示されており、複数の樹脂突起18が平行に配列されている。樹脂突起18は弾性体からなる。樹脂突起18の材料としては、例えばポリイミド樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン(BCB;benzocyclobutene)、ポリベンゾオキサゾール(PBO;polybenzoxazole)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂等を用いてもよい。
【0008】
樹脂突起18は長尺状に形成されている。樹脂突起18は、その延長方向に沿った軸AX(図1参照)に直交する断面が、図2に示すように弓形(円の弧とその両端を結ぶ弦によってできる図形)をなしている。樹脂突起18は、その断面において、弓形の弦が絶縁膜16上に配置されている。樹脂突起18の表面(半導体基板10とは反対側を向く面)は、凸曲面になっている。樹脂突起18の表面は、樹脂突起18の長手軸を回転軸として、回転軸の周囲に平行に位置する直線を回転させて描かれる回転面である。樹脂突起18の表面は、円柱を中心軸に平行な平面で切断して得られた形状の曲面(円柱の回転面の一部)の形状をなしている。樹脂突起18は、上面よりも下面が広くなるように、末広がりの形状になっている。
【0009】
半導体基板10には、複数の配線20が形成されている。複数の配線20は、電極14上から樹脂突起18上に至るように形成されている。複数の配線20は、隣同士の間隔をあけて樹脂突起18の上面に形成されている。1つの樹脂突起18上に複数の配線20が形成されている。配線20は、樹脂突起18の延長方向に沿った軸AX(図1参照)に交差するように延びる。配線20は、電極14上から、絶縁膜16上を通って、樹脂突起18上に至る。樹脂突起18上では、配線20の表面は、樹脂突起18の表面に従った曲面になっている。配線20と電極14は直接接触していてもよいし、両者間に導電膜(図示せず)が介在していてもよい。配線20は、樹脂突起18の、電極14とは反対側の端部を越えて、絶縁膜16上に至るように形成されている。
【0010】
配線20は、凸部22を有する。凸部22は、配線20の樹脂突起18(その上面中央(詳しくは樹脂突起18の上面であって幅(軸AXに交差する方向の幅)方向の中央))上にある。凸部22は、配線20のしわであるということもできる。帯状になった配線20がその厚み方向に屈曲することで凸部22が形成されている。凸部22と樹脂突起18との間には空間があるが、その空間に樹脂(樹脂突起18の一部)が入っていてもよい。後者の場合、凸部22と樹脂突起18とは完全に密着していてもよい。
【0011】
(半導体装置の製造方法)
図3及び図4は、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。図3に示すように、半導体基板10に、熱硬化性樹脂前駆体24を設ける。熱硬化性樹脂前駆体24は、感光性を有しており、フォトリソグラフィによってパターニングする。熱硬化性樹脂前駆体24は、熱によって半硬化させておいてもよいし、形状を維持できるのであれば全く熱を加えなくてもよい。この段階では、熱硬化性樹脂前駆体24を本硬化させない。
【0012】
図4に示すように、電極14上から、熱硬化性樹脂前駆体24の表面に至るように、配線20を形成する。なお、配線20は、スパッタリングによって金属膜(例えばチタンタングステン合金膜及びその上の金の膜)を形成し、この金属膜をエッチングして得られる。その後、熱硬化性樹脂前駆体24を、熱によって硬化収縮させて表面積を小さくし、配線20に凸部22となるしわを形成する(図2参照)。このプロセスは本硬化であってもよい。なお、凸部22は、配線20の熱硬化性樹脂前駆体24の上面中央(詳しくは上面であって幅(軸AXに交差する方向の幅)方向の中央)上に形成される。熱硬化性樹脂前駆体24は、本硬化によって樹脂突起18となる。
【0013】
本実施の形態によれば、簡単に配線20に凸部22を形成することができる。配線20を外部端子として利用すると、凸部22において接触圧力が高くなるので、電気的接続について信頼性を向上させることができる。
【0014】
(半導体モジュールの製造方法)
図5〜図6は、本発明の実施の形態に係る半導体装置を使用する半導体モジュールの製造方法を説明する図である。
【0015】
図5に示すように、上述した半導体装置1を、接着剤26を介して、ベース基板28に搭載する。ベース基板28は、弾性変形する性質を有し、樹脂などからなるフレキシブル基板であってもよい。ベース基板28には、リード30が形成されている。リード30を、樹脂突起18の延長方向に沿った軸AX(図1参照)に交差して延びるように配置する。
【0016】
図6に示すように、半導体装置1及びベース基板28の間に押圧力を加える。押圧力によって、樹脂突起18上の複数の配線20をリード30に接触させる。詳しくは、配線20の凸部22がリード30に接触し、樹脂突起18が弾性変形し、配線20の凸部22の周囲の部分もリード30に接触する。ここで、凸部22が最初に接触するので、配線20とリード30との接触圧力は、凸部22において最も高い。また、凸部22が、配線20の、樹脂突起18の上面中央にあるので、凸部22の周囲の部分がリード30から剥離しても、凸部22とリード30の接触状態は維持される。したがって、電気的接続について信頼性を向上させることができる。
【0017】
なお、ベース基板28も弾性変形させてもよい。また、樹脂突起18の隣同士の配線20の間の部分と、ベース基板28とを、相互に弾性力を以て密着させてもよい。押圧力によって、半導体装置1及びベース基板28の間で接着剤26を流動させる(例えば排出する)。熱によって、接着剤26を硬化収縮させ、接着剤26が硬化するまで押圧力を維持する。接着剤26が硬化したら押圧力を解除する。こうして、半導体モジュールを製造する。なお、半導体モジュールを有する電子機器として、ノート型パーソナルコンピュータ又は携帯電話などが挙げられる。
【0018】
(変形例)
図7〜図8は、本発明の実施の形態に係る半導体モジュールの製造方法の変形例を説明する図である。図7に示すように、凸部122は、樹脂突起18の上面端部(詳しくは上面であって幅(軸AX(図1参照)に交差する方向の幅)方向の両端部)に形成されている。なお、樹脂突起18は、熱硬化性樹脂前駆体から形成され、その詳細は上述した通りである。
【0019】
この変形例でも、図8に示すように、ベース基板28に半導体装置2を搭載し、配線120の凸部122とリード30を圧接させる。詳しくは、一対の凸部122がリード30に接触し、凸部122が押圧されて変形し、さらに樹脂突起18も変形し、配線120の一対の凸部122間の部分がリード30に接触する。この例でも、凸部122とリード30との接触圧力が他の部分よりも高い。その他の構造及び製造法については、上述した実施の形態で説明した内容が該当する。本変形例でも、電気的接続について信頼性を向上させることができる。
【0020】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施の形態で得られる半導体装置を示す平面図である。
【図2】図2は、図1に示す半導体装置のII-II線断面図である。
【図3】図3は、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図4】図4は、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態で製造された半導体装置を使用する半導体モジュールの製造方法を説明する図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態で製造された半導体装置を使用する半導体モジュールの製造方法を説明する図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態に係る半導体モジュールの製造方法の変形例を説明する図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態に係る半導体モジュールの製造方法の変形例を説明する図である。
【符号の説明】
【0022】
1…半導体装置、 2…半導体装置、 10…半導体基板、 12…集積回路、 14…電極、 16…絶縁膜、 18…樹脂突起、 20…配線、 22…凸部、 24…熱硬化性樹脂前駆体、 26…接着剤、 28…ベース基板、 30…リード、 120…配線、 122…凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)集積回路及び前記集積回路に電気的に接続された電極を有する半導体基板に、熱硬化性樹脂前駆体を設ける工程と、
(b)前記電極上から、前記熱硬化性樹脂前駆体の表面に至るように、配線を形成する工程と、
(c)前記熱硬化性樹脂前駆体を、熱によって硬化収縮させて表面積を小さくし、前記配線に凸部となるしわを形成する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載された半導体装置の製造方法において、
前記(a)工程後(b)工程前に、前記熱硬化性樹脂前駆体を熱によって半硬化させる工程を含み、
前記(c)工程で、半硬化状態の前記熱硬化性樹脂前駆体を本硬化させる半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された半導体装置の製造方法において、
前記凸部を、前記熱硬化性樹脂前駆体の上面中央に形成する半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された半導体装置の製造方法において、
前記凸部を、前記熱硬化性樹脂前駆体の上面端部に形成する半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−212207(P2009−212207A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−51970(P2008−51970)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】