説明

半導体装置の製造方法

【課題】半導体装置の組み立てにおけるワイヤボンディングの接続信頼性を高める。
【解決手段】1つのデバイス領域5dに対応した単位製品パターン5eが複数個隣接して連続的に形成されて成る製品パターン群の外側の領域に、単位製品パターン5eの一部と同じ繰り返しパターン5gが形成されたリードフレーム5を準備し、このリードフレーム5を用いてQFN(半導体装置)を組み立てることにより、ワイヤボンディング時のリードフレーム5の共振を抑えることができ、ワイヤボンディングの接続信頼性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、MAP方式のリードフレームを用いて組み立てる半導体装置の製造方法に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
リードフレームのマップデータから取り出した座標データに基づいてプリフォームまたはボンディングなどの動作を行うことにより、不良ダイパッドの座標位置においてはプリフォームまたはボンディングの動作をスキップする技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−347319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
リードフレームを用いて組み立てられるQFN(Quad Flat Non-leaded Package) 等の小型の半導体装置の組み立てでは、その樹脂封止工程で、樹脂モールディング方法の一例として、MAP(Mold Array Package)方式が採用されている。
【0004】
MAP方式は、複数のデバイス領域(半導体装置領域)を一括して1つのキャビティで覆って樹脂モールディングを行うものである。デバイス領域毎にキャビティを設ける個別モールド方式に比べ、半導体装置の取得数を向上できるものである。
【0005】
しかし、MAP方式による組み立て時、リードフレーム内の隣接し、かつ連続して形成されたデバイス領域群においては、全パターンのワイヤボンディングが完了するまで(約30分間、数千ワイヤ)、リードフレーム全体が加熱され、超音波が印加された状態が続くことになり、最初に接続されたワイヤほど長時間、加熱及び超音波印加状態に晒されることになる。
【0006】
その際、前記デバイス領域群の外側に形成された余白領域のパターンが製品パターンと大きく異なる形状をしていると、キャピラリから発せられた超音波により、振動がデバイス領域群に集中する。特に、デバイス領域に設けられた複数の製品パターンのうち、先にワイヤボンディングが完了した製品パターンほど、長時間も共振されることになるため、既に圧着済みのワイヤのネック部分に破断が発生することを、本願発明者は見出した。
【0007】
この原因について、本願発明者が検討した。
【0008】
その結果、このワイヤボンディングの接続不良(破断)は、MAP方式のリードフレームを採用したことにあることが分かった。
【0009】
詳細に説明すると、1つのリードフレームからの半導体装置の取得数を向上させるため、隣合う製品パターンの間隔を狭くしている。一般に、ワイヤボンディング工程では、キャピラリの超音波により共振されたリードフレームがばたつかないように、治具で押さえた状態で行う。しかし、MAP方式のリードフレームの場合、製品パターン同士の間隔が狭すぎて、1つの製品パターンをワイヤボンディングする際、周囲を治具で押さえられない。すなわち、MAP方式のリードフレームの場合、リードフレームの外枠しか治具で押さえられないため、デバイス領域群の内側に位置する製品パターンほど、共振によりばたつき易くなる。
【0010】
また、MAP方式のリードフレームは、使用するワイヤボンディング装置や搬送工程に合わせて、所定の外形寸法で設計される。そのため、製品用途によって、半導体装置の機能が変われば端子の数も変わるため、製品パターンの大きさは一定ではない。これにより、リードフレームの枠内には、デバイス領域以外の空領域(余白パターン)が生まれてしまう。
【0011】
本発明者の検討によれば、この空領域の形状(パターン)が製品パターンと異なると、超音波により発生する振動が、製品パターンに集中することがわかった。
【0012】
その結果、ワイヤボンディングの接続信頼性が低下することが問題である。
【0013】
なお、前記特許文献1(特開2003−347319号公報)には、MAP方式のリードフレームを用いた半導体装置の組み立てについての記載があるが、ワイヤボンディング時のリードフレームの共振によるワイヤ破断については一切述べていない。
【0014】
本発明の目的は、ワイヤボンディングの接続信頼性を高めることができる技術を提供することにある。
【0015】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0017】
すなわち、本発明は、チップ搭載部と複数のリードとを有する1つの半導体装置領域に対応した単位製品パターンが複数個隣接して連続的に形成されて成る製品パターン群の外側の領域に、単位製品パターンの一部と同じ繰り返しパターンが形成されたリードフレームを準備する工程と、チップ搭載部上に半導体チップを搭載する工程と、半導体チップの電極とリードとを超音波を印加して導電性のワイヤで接続する工程とを有するものである。さらに、リードフレームにおける複数の半導体装置領域を一括して樹脂封止して一括封止体を形成する工程と、一括封止体を分割して個々の半導体装置に個片化するとともに、単位製品パターンと繰り返しパターンを分離する工程とを有するものである。
【発明の効果】
【0018】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0019】
1つの半導体装置領域に対応した単位製品パターンが複数個隣接して連続的に形成されて成る製品パターン群の外側の領域に、単位製品パターンの一部と同じ繰り返しパターンが形成されたリードフレームを用いて半導体装置を組み立てることにより、ワイヤボンディング時のリードフレームの共振を抑えることができる。これにより、既に圧着済みのワイヤのネック部分に破断が発生することを防止でき、ワイヤボンディングの接続信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下の実施の形態では特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0021】
さらに、以下の実施の形態では便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。
【0022】
また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良いものとする。
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0024】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の半導体装置の構造の一例を示す断面図、図2は図1に示す半導体装置の組み立て手順の一例を示すフロー図、図3は図1に示す半導体装置の組み立てで用いられるリードフレームの構造の一例を示す平面図、図4は図3に示すリードフレームの構造を示す拡大部分平面図である。また、図5は図1に示す半導体装置の組み立てにおけるダイボンディング後の構造の一例を示す断面図、図6は図1に示す半導体装置の組み立てにおけるワイヤボンディング時の構造の一例を示す断面図、図7は図1に示す半導体装置の組み立てにおけるワイヤボンディング後の構造の一例を示す断面図、図8は図1に示す半導体装置の組み立てにおけるワイヤボンディング時のクランプ箇所の一例を示す拡大部分平面図である。さらに、図9は図1に示す半導体装置の組み立てにおけるレジンモールド時の構造の一例を示す部分断面図、図10は図1に示す半導体装置の組み立てにおけるテープ剥離時の構造の一例を示す部分断面図、図11は図1に示す半導体装置の組み立てにおける端子部めっき後の構造の一例を示す部分断面図、図12は図1に示す半導体装置の組み立てにおけるパッケージダイシング時の構造の一例を示す断面図である。
【0025】
本実施の形態1の半導体装置は、MAP方式のリードフレームを用いて組み立てられるものであり、本実施の形態1では、前記半導体装置の一例として、図1に示すような表面実装型で、かつノンリード型の小型の半導体パッケージであるQFN1を取り上げて説明する。
【0026】
QFN1は、半導体チップ2の周囲に配置された複数のリード5aが4つの方向に分散して設けられ、かつ封止体3の裏面3aの周縁部に外部接続用端子として露出するものである。
【0027】
図1に示すQFN1の詳細構成について説明すると、QFN1に組み込まれる半導体チップ2は、金属製の薄板状のチップ搭載部であるタブ5bの上面に搭載された状態で封止体3の平面方向の略中央部に配置されており、例えば、銀ペースト4等のダイボンド材を介してタブ5bの上面にその裏面2bが固着されている。また本実施の形態1のタブ5bは、半導体装置の放熱性を向上するために、その上面の大きさ(外形寸法)が半導体チップ2よりも大きな、いわゆる大タブ構造を採用している。ここで、本発明者の検討によれば、大タブを使用すると、リードフレーム5の総面積が相対的に増える分、リードフレーム5が超音波により共振されやすくなることが分かった。そこで、半導体チップ2の発熱が相対的に低い半導体装置については、その上面の大きさ(外形寸法)を半導体チップ2よりも小さくした、いわゆる小タブ構造を採用してもよい。これにより、複数種類の大きさの半導体チップ2を搭載することが可能となる。タブ5bは、これと一体に形成され、かつ封止体3のコーナー部方向に延在する4本の吊りリード5c(図4参照)によって支持されている。
【0028】
また、半導体チップ2が搭載されたタブ5bの周囲には、複数本のリード5aがほぼ等間隔で配置されている。これらのリード5aは、それぞれの一端部側(半導体チップ2に近い側)が、導電性のワイヤ6(例えば、金線)を介して半導体チップ2の主面2aの電極であるパッド2cと電気的に接続されており、それとは反対側の他端部側が、封止体3の側面で終端している。
【0029】
なお、複数のリード5aは、タブ5b及び吊りリード5c等と同一の合金からなる。例えば、銅合金であり、その厚さは、例えば、0.15mm〜0.2mm程度である。
【0030】
また、各リード5aは、外部接続用端子として、封止体3の裏面3aの周縁部に露出して略等間隔で並んでいる。言い換えると、タブ5bの周囲に設けられている。このリード5aの封止体3の裏面3aに露出した箇所には、外装めっきとして、錫−ビスマス等のめっき7が形成されている。このめっき7は、タブ5bの表面側にも形成されている。
【0031】
また、半導体チップ2や複数のワイヤ6は、エポキシ系の熱硬化性樹脂等の封止用樹脂によって形成された封止体3によって封止されている。さらに、封止体3の側面には、各リード5aの他端部と吊りリード5cの先端部とが露出している。
【0032】
なお、後述するように、本実施の形態1のQFN1は、MAP方式のリードフレーム5(図3参照)を用いて、半導体チップ2、タブ5b、リード5a及び吊りリード5cを樹脂モールディングして一括封止体13(図10参照)を成形した後、一括封止体13と、リード5aと、吊りリード5cをブレード14(図12参照)で切断することによって製造するものである。
【0033】
次に、本実施の形態1のQFN1の組み立てを、図2に示すプロセスフロー図に沿って説明する。
【0034】
まず、図2のステップS1に示すリードフレーム準備を行う。ここでは、図3及び図4に示すように、タブ5bと複数のリード5aとを有する1つのデバイス領域(半導体装置領域)5dに対応した図4に示す単位製品パターン5eが複数個隣接して連続的に形成されて成る製品パターン群5fの外側の領域に、単位製品パターン5eの一部と同じ繰り返しパターン5gが形成された外形が長方形のリードフレーム5を準備する。
【0035】
なお、リードフレーム5には、複数のデバイス領域5dがマトリクス配列で形成されており、また、1つのデバイス領域5dに対応して形成された単位製品パターン5eが複数個隣接して、かつ連続的に形成された製品パターン群5fを有している。
【0036】
すなわち、図3に示すように1つの製品パターン群5fには、複数列かつ複数行に亘ってマトリクス配列で図4に示す単位製品パターン5eが形成されている。このようなリードフレーム5において、製品パターン群5fの外側の領域に、単位製品パターン5eの一部と同じパターンから成る繰り返しパターン5gが形成されている。
【0037】
本実施の形態1では、図3に示す外形が長方形のリードフレーム5の長手方向5mに沿って配置された複数の製品パターン群5fに対して、長手方向5mに隣接する余白領域に繰り返しパターン5gが形成されている。
【0038】
なお、単位製品パターン5eは、1つのデバイス領域5dに対応しているため、1つのタブ5bと、このタブ5bを支持する4本の吊りリード5cと、タブ5bの周囲に配置された複数のリード5aとから成るが、繰り返しパターン5gは、単位製品パターン5eの一部と同じパターンから成るものであるため、タブ5b、吊りリード5c、複数のリード5aそれぞれの一部のパターンから成る。
【0039】
また、製品パターン群5fは、マトリクス配列された複数の単位製品パターン5eの集合であり、QFN1の組み立て工程のワイヤボンディング時には、この製品パターン群5fにおける1番目の単位製品パターン5eから最後の単位製品パターン5eまでが連続的にワイヤボンディングが行われる。すなわち、製品パターン群5fは、ワイヤボンディングが連続的に行われる複数の単位製品パターン5eの集まりである。
【0040】
なお、製品パターン群5fと繰り返しパターン5gの外側周囲には、ダイシングラインの目印となるアライメントパターン5hが各ダイシングラインに対応してT字型で形成されている。さらに、隣り合ったアライメントパターン5hの間にはスリット5iが形成されている。また、リードフレーム5の長手方向5mに直交する幅方向5nに沿った方向の両端の枠部5jには、ガイド用孔5kが形成されている。
【0041】
また、リードフレーム5は、例えば、銅合金から成る。
【0042】
リードフレーム準備後、図2のステップS2に示すテープ貼りを行う。すなわち、図5に示すように、リードフレーム5の裏面側にテープ8を貼る。このテープ8は、耐熱性のものである。続いて、ステップS3に示すダイボンディングを行う。すなわち、図5に示すように、タブ5b上に銀ペースト4を介して半導体チップ2を搭載する。
【0043】
その後、ステップS4に示すワイヤボンディングを行う。ここでは、図6に示すように、キャピラリ9によって超音波を印加しながら、半導体チップ2のパッド2cとリード5aとを導電性のワイヤ6で電気的に接続する(図7参照)。このとき、図示しないが、ワイヤボンディングは、リードフレーム5をヒートステージ上に配置した状態で行っている。さらに、製品パターン群5fを囲むように、リードフレーム5の枠部5jと製品パターン群5f間に形成された枠部5jを治具で押さえた状態で行っている。すなわち、治具の内側に製品パターン群5fと繰り返しパターン(ダミーパターン、余白パターン)5gが位置する。本実施の形態1では、ワイヤボンディング時に、図8に示すクランプ箇所10(ハッチング部)を治具等でクランプした状態でワイヤボンディングを行う。
【0044】
また、ワイヤボンディング工程では、図3に示す1つの製品パターン群5fにおける1番目の単位製品パターン5eから最後の単位製品パターン5eまでを連続的にワイヤボンディングする。その際、1つの製品パターン群5f内において連続的にワイヤボンディングを行う時間は、例えば、30分程度もしくは30分以上であるが、連続的にワイヤボンディングを行う時間は、これらに限定されるわけではない。
【0045】
その後、ステップS5に示すレジンモールドを行う。ここでは、図9に示すように、下金型12上にワイヤボンディング済みのリードフレーム5を配置し、その後、図3に示す複数のデバイス領域5dを一括して上金型11のキャビティ11aで覆い、この状態で樹脂封止を行って図10に示す一括封止体13を形成する。なお、図3に示すリードフレーム5において、モールドライン5pで囲まれた領域が上金型11の1つのキャビティ11aによって一括して覆われる領域であり、本実施の形態1では、製品パターン群5fの領域とモールドライン5pの領域とがほぼ1対1の関係となっている。
【0046】
また、リードフレーム5の裏面側にはテープ8が貼り付けられており、樹脂注入時には、テープ8と下金型12とが密着するため、リードフレーム5の裏面側に樹脂バリが形成されることを防止できる。
【0047】
その後、ステップS6に示すテープ剥離を行う。すなわち、図10に示すように、モールド後のリードフレーム5の裏面側からテープ8を剥がす(剥離する)。
【0048】
その後、ステップS7に示す端子部めっきを行う。すなわち、テープ8を剥がしたことで露出したリード5aやタブ5bの露出部に、図11に示すように外装用のめっき7を形成する。前記めっき7は、例えば、錫−ビスマスめっき等の鉛フリーめっきを採用することが好ましい。
【0049】
その後、ステップS8に示すパッケージダイシングを行う。すなわち、図12に示すように、ブレード14を用いて図11に示す一括封止体13を切断・分割して個々のQFN1に個片化する。その際、図3に示すリードフレーム5においては、単位製品パターン5eと繰り返しパターン5gが分離される。すなわち、単位製品パターン5eはQFN1(製品)内に残るが、繰り返しパターン5gはQFN1内には残存しない。
【0050】
これにより、QFN1の組み立て完了となる。
【0051】
本実施の形態1の半導体装置(QFN1)の製造方法によれば、1つのデバイス領域5dに対応した単位製品パターン5eが複数個隣接して連続的に形成されて成る製品パターン群5fの外側の領域に、単位製品パターン5eの一部と同じ繰り返しパターン5gが形成されたリードフレーム5を用いてQFN1を組み立てることで、ワイヤボンディング時のリードフレーム5の共振を抑えることができる。
【0052】
本実施の形態1では、長方形のリードフレーム5の長手方向5mに沿って配置された複数の製品パターン群5fに対して長手方向5mに隣接する余白領域に繰り返しパターン5gが形成されており、これによって、ワイヤボンディング時のリードフレーム5の共振を抑えることができる。
【0053】
すなわち、製品パターンが形成されたデバイス領域5dとこれに隣接する余白領域とにおいて、極端に形状が異なるパターン同士を隣接させないことで、ワイヤボンディング時のリードフレーム5の共振を抑えることができる。
【0054】
これにより、既に圧着済みのワイヤ6のネック部分に破断が発生することを防止でき、その結果、ワイヤボンディングの接続信頼性を高めることができる。
【0055】
(実施の形態2)
図13は本発明の実施の形態2の半導体装置の構造の一例を封止体を透過して内部構造を示す平面図、図14は図13に示す半導体装置の裏面の構造の一例を示す裏面図、図15は図13に示す半導体装置の組み立てで用いられるリードフレームの構造の一例を示す平面図、図16は図15に示すリードフレームの構造を示す拡大部分平面図である。
【0056】
本実施の形態2の半導体装置は、実施の形態1と同様に、MAP方式のリードフレームを用いて組み立てられるものであり、本実施の形態2においても、前記半導体装置の一例として、図13及び図14に示すような表面実装型で、かつノンリード型の小型半導体パッケージ15を取り上げて説明する。
【0057】
小型半導体パッケージ15は、半導体チップ2の周囲に配置された複数のリード5aが封止体3の裏面3aの縁部に外部接続用端子として露出するものである。
【0058】
図13及び図14に示す小型半導体パッケージ15の詳細構成について説明すると、半導体チップ2が搭載されたタブ5bと、タブ5bの周囲に配置された複数のリード5aと、半導体チップ2のパッド2cとこれに対応するリード5aとを電気的に接続する複数のワイヤ6と、半導体チップ2や複数のワイヤ6及びタブ5bと各リード5aのそれぞれの一部を樹脂封止する封止体3とから成る。さらに、図14に示すように、封止体3の裏面3aにはタブ5bの一部と各リード5aそれぞれの一部が露出しており、これら各リード5aそれぞれの露出した部分が外部接続用端子となる。
【0059】
図15及び図16は、小型半導体パッケージ15を組み立てる際に用いられるリードフレーム5の構造を示している。
【0060】
本実施の形態2のリードフレーム5においても、図16に示すように1つのデバイス領域5dに対応する単位製品パターン5eが複数個隣接して連続的に形成されて成る図15に示す製品パターン群5fの外側に、単位製品パターン5eの一部と同じ繰り返しパターン5gが形成されている。さらに、本実施の形態2では、前記繰り返しパターン5gが、図15に示す長方形のリードフレーム5の長手方向5mに沿って配置された複数の製品パターン群5fに対して、図16に示すように長手方向5m及び幅方向5nそれぞれに隣接する余白領域に形成されている。
【0061】
すなわち、製品パターン群5fの外側において、リードフレーム5の長手方向5m及び幅方向5nの両方向に対して隣接する余白領域に繰り返しパターン5gが形成されている。
【0062】
なお、本実施の形態2のリードフレーム5においても、繰り返しパターン5gは、単位製品パターン5eのタブ5bやリード5aのパターンのそれぞれの一部を繰り返したものであり、また、製品パターン群5fは、ワイヤボンディングが連続的に行われる複数の単位製品パターン5eの集まりである。したがって、小型半導体パッケージ15の組み立て工程のワイヤボンディング時には、この製品パターン群5fにおける1番目の単位製品パターン5eから最後の単位製品パターン5eまでが連続的にワイヤボンディングが行われる。
【0063】
ただし、図15に示すリードフレーム5では、モールドライン5pで囲まれた領域が樹脂モールディング時に1つのキャビティ11a(図9参照)によって一括して覆われる領域であり、本実施の形態2では、製品パターン群5fの領域とモールドライン5pの領域とがほぼ2対1の関係となっている。すなわち、1つのモールドライン5pの領域に、2つの製品パターン群5fが含まれている。
【0064】
なお、本実施の形態2のリードフレーム5のその他の構造と、リードフレーム5を用いた小型半導体パッケージ15の組み立てについては、実施の形態1のQFN1の組み立てと同じであるため、その重複説明は省略する。
【0065】
また、本実施の形態2の半導体装置(小型半導体パッケージ15)の製造方法によって得られる効果についても、実施の形態1のものと同様である。すなわち、単位製品パターン5eが複数個隣接して連続的に形成されて成る製品パターン群5fの外側の余白領域に、単位製品パターン5eの一部と同じ繰り返しパターン5gが形成されたリードフレーム5を用いて小型半導体パッケージ15を組み立てることで、ワイヤボンディング時のリードフレーム5の共振を抑えることができる。
【0066】
その結果、既に圧着済みのワイヤ6のネック部分に破断が発生することを防止でき、ワイヤボンディングの接続信頼性を高めることができる。
【0067】
以上、本発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0068】
例えば、前記実施の形態1,2では、リードフレーム5が銅合金から成る場合を説明したが、リードフレーム5の材料は、銅合金に限らず、鉄−ニッケル合金等の他の金属から成るものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、リードフレームを用いた半導体装置の組み立てに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施の形態1の半導体装置の構造の一例を示す断面図である。
【図2】図1に示す半導体装置の組み立て手順の一例を示すフロー図である。
【図3】図1に示す半導体装置の組み立てで用いられるリードフレームの構造の一例を示す平面図である。
【図4】図3に示すリードフレームの構造を示す拡大部分平面図である。
【図5】図1に示す半導体装置の組み立てにおけるダイボンディング後の構造の一例を示す断面図である。
【図6】図1に示す半導体装置の組み立てにおけるワイヤボンディング時の構造の一例を示す断面図である。
【図7】図1に示す半導体装置の組み立てにおけるワイヤボンディング後の構造の一例を示す断面図である。
【図8】図1に示す半導体装置の組み立てにおけるワイヤボンディング時のクランプ箇所の一例を示す拡大部分平面図である。
【図9】図1に示す半導体装置の組み立てにおけるレジンモールド時の構造の一例を示す部分断面図である。
【図10】図1に示す半導体装置の組み立てにおけるテープ剥離時の構造の一例を示す部分断面図である。
【図11】図1に示す半導体装置の組み立てにおける端子部めっき後の構造の一例を示す部分断面図である。
【図12】図1に示す半導体装置の組み立てにおけるパッケージダイシング時の構造の一例を示す断面図である。
【図13】本発明の実施の形態2の半導体装置の構造の一例を封止体を透過して内部構造を示す平面図である。
【図14】図13に示す半導体装置の裏面の構造の一例を示す裏面図である。
【図15】図13に示す半導体装置の組み立てで用いられるリードフレームの構造の一例を示す平面図である。
【図16】図15に示すリードフレームの構造を示す拡大部分平面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 QFN(半導体装置)
2 半導体チップ
2a 主面
2b 裏面
2c パッド(電極)
3 封止体
3a 裏面
4 銀ペースト
5 リードフレーム
5a リード
5b タブ(チップ搭載部)
5c 吊りリード
5d デバイス領域(半導体装置領域)
5e 単位製品パターン
5f 製品パターン群
5g 繰り返しパターン
5h アライメントパターン
5i スリット
5j 枠部
5k ガイド用孔
5m 長手方向
5n 幅方向
5p モールドライン
6 ワイヤ
7 めっき
8 テープ
9 キャピラリ
10 クランプ箇所
11 上金型
11a キャビティ
12 下金型
13 一括封止体
14 ブレード
15 小型半導体パッケージ(半導体装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)チップ搭載部と複数のリードとを有する1つの半導体装置領域に対応した単位製品パターンが複数個隣接して連続的に形成されて成る製品パターン群の外側の領域に、前記単位製品パターンの一部と同じ繰り返しパターンが形成されたリードフレームを準備する工程と、
(b)前記チップ搭載部上に半導体チップを搭載する工程と、
(c)前記半導体チップの電極と前記リードとを超音波を印加して導電性のワイヤで電気的に接続する工程と、
(d)前記リードフレームにおける複数の前記半導体装置領域を一括して樹脂封止して一括封止体を形成する工程と、
(e)前記一括封止体を分割して個々の半導体装置に個片化するとともに、前記単位製品パターンと前記繰り返しパターンを分離する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
(a)チップ搭載部と複数のリードとを有する1つの半導体装置領域に対応した単位製品パターンが複数個隣接して連続的に形成されて成る製品パターン群の外側の領域に、前記単位製品パターンの一部と同じ繰り返しパターンが形成された長方形のリードフレームを準備する工程と、
(b)前記チップ搭載部上に半導体チップを搭載する工程と、
(c)前記半導体チップの電極と前記リードとを超音波を印加して導電性のワイヤで電気的に接続する工程と、
(d)前記リードフレームにおける複数の前記半導体装置領域を一括して樹脂封止して一括封止体を形成する工程と、
(e)前記一括封止体を分割して個々の半導体装置に個片化するとともに、前記単位製品パターンと前記繰り返しパターンを分離する工程とを有し、
前記長方形のリードフレームの長手方向に沿って配置された複数の前記製品パターン群に対して長手方向に隣接する余白領域に前記繰り返しパターンが形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
(a)チップ搭載部と複数のリードとを有する1つの半導体装置領域に対応した単位製品パターンが複数個隣接して連続的に形成されて成る製品パターン群の外側の領域に、前記単位製品パターンの一部と同じ繰り返しパターンが形成された長方形のリードフレームを準備する工程と、
(b)前記チップ搭載部上に半導体チップを搭載する工程と、
(c)前記半導体チップの電極と前記リードとを超音波を印加して導電性のワイヤで電気的に接続する工程と、
(d)前記リードフレームにおける複数の前記半導体装置領域を一括して樹脂封止して一括封止体を形成する工程と、
(e)前記一括封止体を分割して個々の半導体装置に個片化するとともに、前記単位製品パターンと前記繰り返しパターンを分離する工程とを有し、
前記長方形のリードフレームの長手方向に沿って配置された複数の前記製品パターン群に対して長手方向及び幅方向それぞれに隣接する余白領域に前記繰り返しパターンが形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記製品パターン群には、複数列かつ複数行に亘ってマトリクス配列で前記単位製品パターンが形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記繰り返しパターンは、前記リード、前記チップ搭載部及び吊りリードそれぞれの一部のパターンから成ることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−60010(P2009−60010A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227686(P2007−227686)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】