説明

半導体装置の製造方法

【課題】認識パターンの位置の誤検出を抑制することで、製造効率の低下を抑えることのできる半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】位置検出を行うための認識パターンP1,P2が形成された複数の半導体メモリチップ3を、回路パターンが形成された回路基板2上に、認識パターンが露出するように階段状に積層し、認識パターンの位置として予め登録された登録位置情報に基づいて認識パターンの位置を検出し、認識パターンの検出位置に基づいて回路基板と半導体メモリチップとにワイヤボンディングを行い、認識パターンの位置の検出は、1の認識パターンを検出して次の認識パターンを検出する場合に、1の認識パターンの検出位置情報と、次の認識パターンの登録位置情報との差分から検出基準位置を設定し、設定された検出基準位置に基づいて次の認識パターンを検出することにより行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、NAND型フラッシュメモリなどの半導体メモリチップを有して利用されている半導体装置は、回路パターンが形成された回路基板上に、半導体メモリチップが搭載されて構成されている。このような半導体装置において、高密度実装の要求により、回路基板上に複数の半導体メモリチップが階段状に積層される場合がある(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
半導体装置では、積層された半導体メモリチップ間や、回路基板と半導体メモリチップ間を金属ワイヤで電気的に接続するワイヤボンディングが行われる。ワイヤボンディングを行う際に、ワイヤボンダーは回路基板と半導体メモリチップの位置検出を行う。例えば、回路基板上に形成された特定の認識パターンの位置や、半導体メモリチップ上に形成された特定の認識パターンの位置を検出することで、回路基板と半導体メモリチップの位置検出が行われる。各認識パターンの位置検出は、予め登録された各パターンの位置情報に基づいて検出基準範囲を定め、その検出基準範囲の中から各認識パターンを探し出すことで行われる。
【0004】
しかしながら、半導体装置の小型化などにより、各パターン間の間隔は非常に小さいものとなっている。また、ワイヤボンディングを行う領域への回路基板の搬送誤差や、回路基板への半導体メモリチップの積層誤差が生じる場合もある。そのため、各パターンの位置情報に基づいて定めた検出基準範囲に、複数のパターンが含まれてしまう場合があり、認識パターンの位置を誤検出してしまう場合がある。認識パターンの位置の誤検出によって、ワイヤボンディング工程が停止すれば、半導体装置の製造効率が低下してしまうという問題が生じる。
【0005】
また、同じ半導体メモリチップ上のパターンが複数回検出されると、誤ったワイヤボンディングが行われてしまうといった問題がある。例えば、2枚の半導体メモリチップ(1の半導体メモリチップと、他の半導体メモリチップ)が積層される半導体装置を製造する際に、1の半導体メモリチップの位置を検出しようとして、他の半導体メモリチップ上のパターンを検出し、他の半導体メモリチップの位置を検出しようとして、他の半導体メモリチップ上のパターンを検出した場合には、半導体メモリチップ2枚分のパターン検出が行われているため、ワイヤボンダーは誤検出を認識できない場合がある。この場合、ワイヤボンダーは、誤った位置検出に基づいて、他の半導体メモリチップに対して1の半導体メモリチップ用のワイヤボンディングも行ってしまうという問題がある。また、ワイヤボンダーは誤検出を認識していないので、その製品を不良品と認識できない。そのため、不良品が発見されにくくなってしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−158739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、認識パターンの位置の誤検出を抑制することで、製造効率の低下を抑えることのできる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の一態様によれば、位置検出を行うための認識パターンが形成された複数の半導体メモリチップを、回路パターンが形成された回路基板上に、認識パターンが露出するように階段状に積層し、認識パターンの位置として予め登録された登録位置情報に基づいて認識パターンの位置を検出し、認識パターンの検出位置に基づいて回路基板と半導体メモリチップとにワイヤボンディングを行い、認識パターンの位置の検出は、1の認識パターンを検出して次の認識パターンを検出する場合に、1の認識パターンの検出位置情報と、次の認識パターンの位置として予め登録された登録位置情報との差分から検出基準位置を設定し、設定された検出基準位置に基づいて次の認識パターンを検出することにより行われることを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、認識パターンの位置の誤検出を抑制することができ、製造効率の低下を抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる半導体装置の断面構成を示す横断面図。
【図2】図2は、半導体メモリチップが積層された回路基板の平面構成を模式的に示す平面図。
【図3】図3は、半導体装置の製造工程を説明するための図であって、シート基板の平面図。
【図4】図4は、半導体装置の製造工程の手順を示すフローチャート。
【図5】図5は、各認識パターンの位置検出の詳細な手順を説明するためのフローチャート。
【図6】図6は、ワイヤボンダーの記憶部に保持された登録情報を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明の実施の形態にかかる半導体装置を詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
(第1の実施の形態)
<半導体装置の構成について>
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる半導体装置の断面構成を示す横断面図である。半導体装置1は、回路基板2、半導体メモリチップ3、コントローラチップ4、樹脂モールド部5を有して構成される。
【0013】
図2は、半導体メモリチップが積層された回路基板の平面構成を模式的に示す平面図である。図2では、コントローラチップ4や樹脂モールド部5の図示を省略している。回路基板2は、例えば絶縁性樹脂基板の内部や表面に配線網を設けたものであり、素子搭載基板と端子形成基板とを兼ねる。回路基板2には、ガラス−エポキシ樹脂やBT樹脂(ビスマレイミド・トリアジン樹脂)などの樹脂材料を薄板状に形成したものが用いられる。
【0014】
回路基板2の表面の予め定められた所定の位置には、第1認識パターンL1,L2が形成されている。第1認識パターンL1,L2が形成される位置は、すべての回路基板2に共通の位置である。したがって、第1認識パターンL1,L2の位置を検出することで、後述する接続パッド21の位置を間接的に把握することが可能となる。第1認識パターンL1,L2は、ワイヤボンダー(図示せず)が認識することのできる特定の図形として、回路基板2の表面に印刷されたものである。なお、第1認識パターンL1,L2は、図形や模様のような平面的なものに限られず、凹みや突起などの立体的な形状であってもよい。
【0015】
回路基板2の表面には、接続パッド21が形成されている。接続パッド21は、ワイヤボンディングによって、Auワイヤなどの金属ワイヤ27を介して、半導体メモリチップ3上に形成された電極パッド31と電気的に接続される。
【0016】
半導体メモリチップ3(3−1〜3−4)は、NAND型フラッシュメモリなどの記憶素子である。複数の半導体メモリチップ3が、回路基板2の表面に積層される。本実施の形態では、4枚の半導体メモリチップ3−1〜3−4が積層される。なお、半導体メモリチップの積層枚数はこれに限られない。
【0017】
半導体メモリチップ3の表面の予め定められた所定の位置には、第2認識パターンP1(P1(1)〜(4)),P2(P2(1)〜(4))が形成されている。第2認識パターンP1,P2が形成される位置は、すべての半導体メモリチップ3に共通の位置である。したがって、第2認識パターンP1,P2の位置を検出することで、後述する電極パッド31の位置を間接的に把握することが可能となる。第2認識パターンP1,P2は、ワイヤボンダー(図示せず)が認識することのできる特定の図形として、半導体メモリチップ3の表面に印刷されたものである。なお、第2認識パターンP1,P2は、図形や模様のような平面的なものに限られず、凹みや突起などの立体的な形状であってもよい。
【0018】
半導体メモリチップ3の表面であってその一辺側には、電極パッド31が形成されている。上述したように、電極パッド31は、ワイヤボンディングによって、回路基板2上に形成された接続パッド21とAuワイヤなどの金属ワイヤ27を介して電気的に接続される。
【0019】
半導体メモリチップ3のうち、最下層の半導体メモリチップ3−1は、回路基板2に対して接着材料によって接着される。接着材料としては、一般的なポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などを主成分とする熱硬化性または光硬化性のダイアタッチフィルム(接着剤フィルム)が用いられる。
【0020】
最下層の半導体メモリチップ3−1の上に、別の半導体メモリチップ3−2〜3−4を階段状に接着することで、複数の半導体メモリチップ3が積層される。半導体メモリチップ3を階段状に積層することで、半導体メモリチップ3の一辺側に設けられた電極パッド31を露出させることができる。このように電極パッド31が露出するように半導体メモリチップ3を積層することで、金属ワイヤ27を用いたワイヤボンディングが可能となる。
【0021】
コントローラチップ4は、回路基板2の表面に搭載される。コントローラチップ4は、複数の半導体メモリチップ3から、データの書き込みや読み出しを行う半導体メモリチップ3を選択する。コントローラチップ4は、選択した半導体メモリチップ3へのデータの書き込みや、選択した半導体メモリチップ3に記憶されたデータの読み出しなどを行う。回路基板2の表面には、チップコンデンサーや抵抗やインダクタといった電子部品も搭載されるが、図示を省略し、詳細な説明も省略する。
【0022】
樹脂モールド部5は、回路基板2の両面を樹脂系材料で封止することで形成される。樹脂モールド部5は、半導体装置1の外殻を構成する。樹脂モールド部5は、半導体メモリチップ3やコントローラチップ4を完全に覆う高さで形成されている。樹脂モールド部5は、半導体メモリチップ3などの実装部品が実装された回路基板2を金型で覆い、軟化させた樹脂系材料をその金型内に注入することで形成される。
【0023】
<半導体装置1の製造工程について>
次に、半導体装置1の製造工程について説明する。図3は、半導体装置1の製造工程を説明するための図であって、シート基板の平面図である。図4は、半導体装置1の製造工程の手順を示すフローチャートである。
【0024】
半導体装置1の製造には、シート基板6が用いられる。シート基板6は、図3に示すように、複数の回路基板2が一体に連結されて構成される。したがって、1枚のシート基板6から複数の半導体装置1が取り出されることとなる。
【0025】
まず、シート基板6の各回路基板2部分に、4枚の半導体メモリチップ3を積層する(ステップS1)。このとき、電極パッド31および第2認識パターンP1,P2が露出するように、半導体メモリチップ3を積層する。次に、第1認識パターンL1,L2および第2認識パターンP1,P2の位置を検出する(ステップS2)。なお、各認識パターンL1,L2,P1,P2の位置検出については、後に詳説する。
【0026】
次に、検出した第1認識パターンL1,L2および第2認識パターンP1,P2の位置に基づいて、回路基板2の接続パッド21の位置と電極パッド31の位置を把握し、金属ワイヤ27のワイヤボンディングを行う(ステップS3)。
【0027】
次に、回路基板2の両面を覆うように樹脂モールド部5を形成する(ステップS4)。そして、シート基板6の余分な領域を切除することで(ステップS5)、個片化された半導体装置1が製造される。なお、コントローラチップ4や他の電子部品を回路基板2上に搭載する工程や、金属ワイヤ28をワイヤボンディングする工程は省略した。これらの省略された工程は、樹脂モールド部5が形成される前であれば、どのタイミングで行われてもよい。
【0028】
<位置検出について>
次に、ステップS2における各認識パターンL1,L2,P1,P2の位置検出について説明する。図5は、各認識パターンL1,L2,P1,P2の位置検出の詳細な手順を説明するためのフローチャートである。各認識パターンL1,L2,P1,P2の位置検出は、図示しないワイヤボンダーによって行われる。図6は、ワイヤボンダーの記憶部(図示せず)に保持された登録情報を示す図である。
【0029】
図6に示すように、ワイヤボンダーの記憶部には、各認識パターンL1,L2,P1,P2の位置情報が登録情報として格納されている。本実施の形態では、X座標、Y座標の座標情報として登録情報が表される(図2も参照)。なお、登録情報は、座標情報以外の情報であってもよい。
【0030】
まず、ワイヤボンダーは、シート基板6に設けられた回路基板2のうち、ワイヤボンディングを行う回路基板2に関する各認識パターンL1,L2,P1,P2の登録情報を、記憶部から読み出す(ステップS11)。次に、ワイヤボンダーは、読み出した登録情報に基づいて、回路基板2上に形成された第1認識パターンL1の位置を検出する(ステップS12)。より具体的には、座標上において、X=1,Y=1となる位置の近辺で第1認識パターンL1を探して位置検出を行う。図2に示すように、第1認識パターンL1は、第2認識パターンP1(P1(1)〜(4)),P2(P2(1)〜(4))に比べて、他の認識パターンL1との距離が離れているので、登録情報に基づいて位置検出を行っても、他の認識パターン(例えば、第2認識パターンP1(4))を誤検出しにくい。そして、ワイヤボンダーは、検出した第1認識パターンL1の位置情報を、検出位置情報として記憶する。ここで、第1認識パターンL1は、登録情報からずれのない位置で検出されたものとする。すなわち、検出位置情報は、X=1,Y=1とされる。
【0031】
次に、ワイヤボンダーは、積層された半導体メモリチップ3のうち最上段の半導体メモリチップ3−4から最下層の半導体メモリチップ3−1に向けて、第2認識パターンP1の位置検出を行う。ここで、最下段の半導体メモリチップ3−1ではなく、最上段の半導体メモリチップ3−4上に形成された第2認識パターンP1(4)から位置検出を行うのは、最初に位置検出を行った第1認識パターンL1の最も近くにある認識パターンであるため、検出効率の向上に寄与できるからである。
【0032】
第2認識パターンP1(4)の位置検出を行う際、ワイヤボンダーは、まず、第2認識パターンP1(4)の登録情報と、第1認識パターンL1の検出位置情報との差分を算出する(ステップS13)。算出された差分は、X=10−1=9,Y=4−1=3となる。ワイヤボンダーは、第1認識パターンL1の検出位置から、算出された差分だけ離れた位置を中心とした所定の範囲を検出基準範囲として設定する(ステップS14)。ワイヤボンダーは、設定された検出基準範囲で第2認識パターンP1(4)を探して位置検出を行い(ステップS15)、検出された位置情報を検出位置情報として記憶する(ステップS16)。ここで、第2認識パターンP1は、半導体メモリチップ3の積層誤差などにより、登録情報から僅かにずれており、検出位置情報がX=9,Y=3であったものとする。
【0033】
次に、ワイヤボンダーは、半導体メモリチップ3−4の直下に位置する半導体メモリチップ3−3上に形成された第2認識パターンP1(3)の位置検出を行う。第2認識パターンP1(3)の位置検出を行う際、ワイヤボンダーは、まず、第2認識パターンP1(3)の登録情報と、第2認識パターンP1(4)の検出位置情報との差分を算出する(ステップS17)。算出された差分は、X=15−9=6,Y=4−3=1となる。ワイヤボンダーは、第2認識パターンP1(4)の検出位置から、算出された差分だけ離れた位置を中心とした所定の範囲を検出基準範囲として設定する(ステップS18)。ワイヤボンダーは、設定された検出基準範囲内で、第2認識パターンP1(3)を探して位置検出を行い(ステップS19)、検出された位置情報を検出位置情報として記憶する(ステップS20)。さらに、ワイヤボンダーは、差分の算出と、算出された差分を用いた位置検出を、P1(2)→P1(1)→P2(1)→P2(2)→P2(3)→P2(4)→L2の順番に行う(ステップS21)。
【0034】
このように、各認識パターンL1,L2,P1,P2の位置を検出することで、接続パッド21および電極パッド31の位置を把握することができ、より確実にワイヤボンディングを行うことができるようになる。
【0035】
また、直前に位置検出がなされた認識パターンの検出位置を基準に、次の認識パターンを探しに行くので、次の認識パターンとして直前の認識パターンが誤検出されるおそれが減る。また、半導体メモリチップ3に形成された認識パターンP1,P2については、最上段または最下段のいずれか一方に積層された半導体メモリチップ3から他方に積層された半導体メモリチップ3に向けて位置検出が行われるので、直前に位置検出がなされた認識パターンと次に位置検出する認識パターンとの距離が小さくなる。したがって、直前の検出位置情報に基づいて設定される検出基準範囲を、登録情報のみに基づいて設定される検出基準範囲よりも小さな領域として設定しやすくなる。これにより、検出基準範囲に複数の認識パターンが含まれにくくなり、より一層の認識パターンの誤検出の抑制を図ることができる。
【0036】
なお、算出された差分があまりにも小さい場合には、同じ認識パターンを2回検出した可能性が高いと言える。そこで、ワイヤボンダーは、算出された差分が所定の閾値よりも小さくなった場合には、認識パターンの位置検出を中止して、ステップS3のワイヤボンディングを行う工程に進まない。例えば、閾値を1と設定した場合には、算出された差分がX≦1かつY≦1となった場合に、認識パターンの位置検出が中止される。
【0037】
このように、算出された差分が所定の閾値よりも小さくなった場合に、ワイヤボンディングを行う工程に進まないので、不良品の発生を未然に防ぐことができる。なお、所定の閾値を含む場合に、上記判断を行うように構成してもよい。なお、閾値の値は、1以外の値でもよく、状況に合わせて様々に設定可能である。
【0038】
また、位置検出の中止と合わせて、警告ランプを点灯や、音声による警告を行ってもよい。このような警告を行うことで、ワイヤボンディングを行う工程の早期の復旧を作業者に促すことができる。
【0039】
また、半導体メモリチップ3上の第2認識パターンP1,P2の位置検出を、最上段または最下段に積層された半導体メモリチップ3から順番に行う場合には、その過程で、半導体メモリチップ3の積層枚数分の第2認識パターンが検出されることとなる。すなわち、積層枚数分の第2認識パターンが位置検出される前に、次の認識パターンを位置検出できなくなった場合には、どこかで誤検出が発生したものと考えられる。
【0040】
そこで、積層枚数分の第2認識パターンが検出される前に、次の認識パターンを位置検出できなくなった場合には、最後に位置検出された認識パターンを、本来最後に検出されるべき認識パターンであると判断する。そして、最後に位置検出された認識パターンから戻るように自動で再度の位置検出を行う構成としてもよい。
【0041】
例えば、最上段に積層された半導体メモリチップ3−4から最下段に積層された半導体メモリチップ3−1に向けて認識パターンP1(1)〜P1(4)の位置検出を行う場合(すなわち、4回の位置検出が行われる場合)であって、認識パターンP1(3)が誤って検出されない場合には、3回目の位置検出で、認識パターンP1(1)の位置検出がなされてしまい、次の認識パターンを検出することができない。この場合、ワイヤボンダーは、最後に検出した認識パターンを最後に検出されるべき第2認識パターンP1(1)であると判断する。さらに、最下段に積層された半導体メモリチップ3−1から最上段に積層された半導体メモリチップ3−4に向けた認識パターンP1(1)〜P1(4)の位置検出を自動で行う。
【0042】
このように、認識パターンの誤検出が発生した場合でも、自動で位置検出の補正が行われるので、誤検出からの復旧も自動で行われることとなり、作業者の負担を軽減するとともに、半導体装置1の製造効率の低下を抑えることができる。
【0043】
なお、本実施の形態では、シート基板6に設けられた複数の回路基板2のうち、回路基板2の1つずつ認識パターンの検出とワイヤボンディングが行われるように説明したが、これに限られない。例えば、図3に示すように、シート基板6に設けられた複数の回路基板2のうち一定の範囲(ブロックB)にある回路基板2については、まとめて認識パターンの位置検出をしてから、ワイヤボンディングを行ってもよい。
【0044】
また、認識パターンとして、回路基板2や半導体メモリチップ3に第1認識パターンL1,L2や第2認識パターンP1,P2を形成したが、例えば、回路基板2や半導体メモリチップ3に設けられる接続パッド21や電極パッド31を認識パターンとして利用しても構わない。また、ワイヤボンダーに上記ワイヤボンディング工程を行わせるプログラムが提供されてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 半導体装置、2 回路基板、3 半導体メモリチップ、4 コントローラチップ、5 樹脂モールド部、6 シート基板、21 接続パッド、27,28 金属ワイヤ、31 電極パッド、L1,L2,P1,P2 認識パターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置検出を行うための認識パターンが形成された複数の半導体メモリチップを、回路パターンが形成された回路基板上に、前記認識パターンが露出するように階段状に積層し、
前記認識パターンの位置として予め登録された登録位置情報に基づいて前記認識パターンの位置を検出し、
前記認識パターンの検出位置に基づいて前記回路基板と前記半導体メモリチップとにワイヤボンディングを行い、
前記認識パターンの位置の検出は、1の認識パターンを検出して次の認識パターンを検出する場合に、前記1の認識パターンの検出位置情報と、前記次の認識パターンの位置として予め登録された登録位置情報との差分から検出基準位置を設定し、設定された検出基準位置に基づいて前記次の認識パターンを検出することにより行われることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記認識パターンは、前記回路基板上にも形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記半導体メモリチップに形成された認識パターンの位置検出は、最上段または最下段のいずれか一方に積層された半導体メモリチップから他方に積層された半導体メモリチップに向けて行われることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記半導体メモリチップに形成された認識パターンの積層枚数分の位置検出を完了できない場合には、最後に検出された認識パターンを、他方に積層された半導体メモリチップに設けられた認識パターンであると判断し、そこから一方に積層された半導体メモリチップに向けて再度の位置検出を行うことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記1の認識パターンの検出位置情報と、前記次の認識パターンの検出位置情報との差分が所定の閾値以下である場合には、前記認識パターンの位置検出を停止することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−187633(P2011−187633A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50581(P2010−50581)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】