半導体装置及びその製造方法
【課題】ホール移動度を向上し、ジャンクションリークを低減する。
【解決手段】DSB(Direct Silicon Bonded)基板は、第1の基板および第2の基板を含み得る。ここで、第2の基板は、第1の基板に比べて、45度の結晶方位ねじれ角に回転され得る。閾値電圧(Vt)に基づいて調整された厚さを備えるDSB基板を含む半導体装置および半導体装置の製造方法が開示されている。言い換えると、より厚い基板または層が高閾値電圧(HVt)に対応し、より薄い基板または層が低閾値電圧(LVt)に対応し得る。この薄膜化により、LVt装置において、さらに移動度が向上する。
【解決手段】DSB(Direct Silicon Bonded)基板は、第1の基板および第2の基板を含み得る。ここで、第2の基板は、第1の基板に比べて、45度の結晶方位ねじれ角に回転され得る。閾値電圧(Vt)に基づいて調整された厚さを備えるDSB基板を含む半導体装置および半導体装置の製造方法が開示されている。言い換えると、より厚い基板または層が高閾値電圧(HVt)に対応し、より薄い基板または層が低閾値電圧(LVt)に対応し得る。この薄膜化により、LVt装置において、さらに移動度が向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、層厚が閾値電圧(Vt)の大きさに基づいて調整されるDSB(Direct Silicon Bonded)基板上の半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド配向技術は、異なる面方位を持つ2枚のシリコンウェハを接合し、例えばNFETとPFETといったように異なるデバイスで異なる面方位を有すことを可能にした技術である。ここで、ハイブリッド配向技術は、大きく分けてバルク基板とSOI(silicon-on-insulator)基板の二つに大別される。しかし、DSB(Direct Silicon Bond)基板が用いられる半導体装置は、異なる面方位を持つ2枚のシリコンウェハが直接結合された基板であり、接合界面にBOX(buried oxide)を有さない構造で、バルク基板に分類される。したがって、理想的には、異なる面方位(結晶方位)を有するシリコン層が互いに接着された界面上には、シリコン以外は何も形成されない。
【0003】
このDSB基板は、(110)面方位を(100)面方位上に接合、もしくはこの逆、もしくは複数層に重ねて形成することによって、NFETとPFETにおいて異なる面方位を持つシリコンデバイスを形成することを可能にする。NFETは(100)面方位に形成され、電子移動度の劣化がなく、PFETは(110)面方位に形成され、通常の(100)面方位基板よりも高い移動度を有することができる。つまり、DSBは通常の単一(100)面方位基板や(110)面方位基板に比べ、高い電子、およびホールの移動度を達成することができるバルクCMOSハイブリッド配向技術である。このDSBの張り合わせ工程において、面方位に加え、結晶方位のくみあわせというものもデバイス特性に影響を与える。この2枚のウェハは45度回転させて張り合わせた場合、DSB基板を用いたLSI製造工程で生じる結晶欠陥の幅が小さくなり望ましいとされる。それと同時に、この場合、0度のねじれ角を有するDSB基板よりも高いホール移動度を示し、また、DSB基板にある上層を薄くするほどそのホール移動度が高くなることが報告されている。しかし、この上層の薄膜化は同時に接合界面における高いジャンクションリーク電流を引き起こし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0173967号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】M. HAMAGUCHI, ET AL.; Higher Mobility Induced By Twisted Direct Silicon Bonding (DSB), 2008 Symposium On VLSI Technology Digest Of Technical Papers, PP. 178-179
【非特許文献2】HAIZHOU YIN, ET AL.; Scalability Of Direct Silicon Bonded (DSB) Technology For 32nm Node And Beyond, 2007 Symposium On VLSI Technology Digest Of Technical Papers, PP. 222-223
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ホール移動度を向上し、ジャンクションリークを低減する半導体装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、発明の簡単な概要を以下で説明する。この概要は、発明の広い外観ではない。発明の要所または重要な要素を特定するものではなく、また、発明の範囲を表現するものでもない。むしろ、この概要の唯一の目的は、後述される、より詳細な説明の前置きとして、簡単な形態で発明のいくつかの概念を示すことである。
【0008】
本発明の一態様は、2つ以上の層(例えば、基板)を備えるDSB(Direct Silicon Bonded)基板に関する。ここで、少なくとも1つの層の厚さは、閾値電圧(Vt)の大きさに基づいて調整される、または形成される。高閾値電圧(HVt)は、低閾値電圧(LVt)に比べて大きい基板の厚さに対応する。したがって、ホール移動度を向上し、ジャンクションリークによる影響を低減するために、HVt基板は、LVt基板よりも大きい厚さを有し得る。言い換えると、それぞれの閾値を持つデバイスにおいてそのジャンクションリーク電流が無視できる大きさになるよう膜厚が設定される。
【0009】
本発明の別の態様は、より大きいVt(例えば、HVt等)がより大きい厚さに対応し、より小さいVt(例えば、LVt等)がより小さい厚さに対応するように、DSB基板内の基板に対する厚さが定義された半導体装置の製造方法に関する。一般的に、HVt基板または領域は、LVt基板または領域の厚さより大きい厚さで形成され得る。
【0010】
上述したおよび関連した結果の達成のために、本発明は、以下で十分に記載され、特に請求項に示される特徴を含む。以下の説明および添付された図面は、本発明のある一例となる態様を詳細に示す。しかしながら、これらの態様は、本発明の原則が用いられ得るいくつかの種々の方法を示す。本発明の他の目的、効果、および新しい特徴が、図面を考慮しながら、以下の本発明の詳細な説明から明らかになるだろう。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ホール移動度を向上し、ジャンクションリークを低減する半導体装置及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】0度ウェハのバルクシリコンおよび45度ねじれウェハのバルクシリコンの断面図。
【図2】DSB(Direct Silicon Bonded)基板の厚さを変化させた際の、PFETの駆動電流の変化を示すグラフ。
【図3】DSB(Direct Silicon Bonded)基板の厚さを変化させた際のジャンクションリーク電流の変化を示すグラフ。
【図4】本発明の閾値電圧(Vt)に基づいて層厚が調整されたDSB(Direct Silicon Bonded)基板の断面図。
【図5】本発明の閾値電圧(Vt)に関して層の厚さが異なるDSB(Direct Silicon Bonded)基板の断面図。
【図6】閾値電圧(Vt)に対応して層厚が変化するDSB(Direct Silicon Bonded)基板の生成または製造方法。
【図7】閾値電圧(Vt)に対応して層厚が調整されるDSB(Direct Silicon Bonded)基板の生成または製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下は、添付された図面を参照した本発明の実施形態の説明である。添付の図面は、説明を容易にし、本発明を理解するための概略図である。図面において示される形状、大きさ、および比は、実際の装置のものとは異なるが、これらは、考えられる以下の説明および通常の技術によって、任意に変化、変更され得る。
【0014】
本発明は、DSB(Direct Silicon Bonded)基板においてホール移動度の向上を達成するとともに、高ジャンクションリークによる影響を軽減する。典型的に、DSB基板は、互いに直接接着された少なくとも2つの層を含み得る。1つの層は、45度の方位ねじれ角にねじられ得る。45度のねじれ角によって、より高いホール移動度が反映されるが、接着界面がソース/ドレインを横切ることによって高ジャンクションリークが起こる。本発明は、閾値電圧(Vt)レベルに基づいてDSB層の厚さを変化させることによって、そのような高ジャンクションリークを軽減する、言い換えるとそれぞれの閾値を持つデバイスにおいてそのジャンクションリーク電流が無視できる大きさになるよう膜厚を設定することである。例えば、高閾値電圧(HVt)は第1の厚さであり、低閾値電圧(LVt)は第2の厚さであり得る。ここで、第1の厚さは、第2の厚さより大きい。言い換えると、DSB層の厚さは、閾値電圧(Vt)の大きさに基づいて生成/調整され得る。したがって、閾値が大きくなればDSB層は厚くなり、閾値が小さくなればDSB層は薄くなり得る。
【0015】
次に、図面を考慮すると、図1は、0度ウェハのバルクシリコンおよび45度ねじれウェハのバルクシリコンの断面図を示している。断面図は、AおよびBで示される0度ねじれベースウェハのDSBを含み得る。図1は、さらに、45度ねじれ(100)ベースウェハのDSBの概略図としてCおよびDを示している。チャネル方向に沿った結晶方位は、そのようなウェハにおいて(110)および(100)の間で異なり、PFETに対しては<110>であるが、NFETに対しては<100>である(図1D)。DSBバルクウェハに対して45度のねじれ角を付加させることにより、より高いホール移動度が達成され得る。しかしながら、DSBバルクウェハは、まだ高ジャンクションリークを示す。さらに、HVtは、低いソースドレインオフ電流リークを有し、LVtは、高いソースドレインオフ電流リークを有し得る。したがって、ジャンクションリークは、LVtに対しては無視してもかまわないが、HVtに対してはそうではない。これが、LVtに対しては薄膜のDSB層が許される根拠となる。
【0016】
図2は、DSB(Direct Silicon Bonded)基板の厚さを変化させた際の、PFETの駆動電流の変化を示すグラフ200である。グラフ200は、(100)バルクウェハ、(110)バルクウェハ、0度通常DSBウェハ、および3つの異なる厚さの45度ねじれDSBウェハにおけるLg=2μmデバイスのPFETのIon−Ioffプロットを示している。(110)バルクは、(100)バルクに比べて2.5倍高いIonを示し、通常DSBバルクウェハは、(110)バルクと同じIonを示している。さらに、45度ねじれDSBウェハは、(110)バルクウェハよりもIonの増大を示していることが理解される。この増大は、(110)の層厚にも依存している。より薄いDSBはより高いIonを有し、最も薄いDSB(T1)は(110)バルクウェハよりもIonの25%の増大を示している(グラフ200に示す)。さらに、図3は、DSB基板の膜厚の変化に対するジャンクションリーク電流の変化を示すグラフ300を示している。グラフ300に示されたようにDSBの膜厚に対して、ジャンクションリーク電流は変化する。具体的には、グラフ300は、DSB基板の厚さが大きくなると、ジャンクションリーク電流が小さくなることを示している。
【0017】
図4は、本発明の閾値電圧(Vt)に基づいて層膜厚が調整されたDSB(Direct Silicon Bonded)基板を示している。DSB基板400は、DSB基板400の上層および下層を形成するために互いに直接接着された第1の基板(例えば、層)110および第2の基板(例えば、層)100を含み得る。ここで、上層は第1の基板110であり、下層は第2の基板100であり得る。また、第1の基板110は、その(110)シリコン表面における結晶方位を有し得る。さらに、第2の基板100は、その(100)シリコン表面における結晶方位を有し得る。ここで、第2の基板100は、第1の面方位と第2の面方位の間で45度の方位ねじれ角に回転している。第1の基板110または第2の基板100が45度の方位ねじれ角を含み得る。一般に、本発明は、ホール移動度を向上し、高ジャンクションリークを防ぐために、閾値電圧レベルに基づいて層または基板の厚さを形成し、または調整する。
【0018】
第1の基板110は、第1の領域402および第2の領域406を含み得る。例えば、第1の領域402は、高閾値電圧(HVt)のPFET領域であり得る。別の例では、第2の領域406は、低閾値電圧(LVt)のPFET領域であり得る。さらに、第1の領域および第2の領域は、第2の基板100に含まれる領域404によって分離され得る。例えば、領域404は、NFET領域であり得る。第1の領域402は、HVtに対応する厚さで形成され得る。このとき、HVtは、より大きい厚さにする。第2の領域406は、LVtに対応する厚さで形成され得る。このとき、LVtは、より小さい厚さにする。したがって、第1の領域402の厚さは、第2の領域406の厚さよりも大きくなる。本発明におけるそのような構造は、ホール移動度の改善および従来の高ジャンクションリークの回避を可能にする。
【0019】
図5は、本発明の閾値電圧(Vt)に関して層の厚さが異なるDSB(Direct Silicon Bonded)基板を示している。DSB基板500は、第1の基板(例えば、層)110、第2の基板(例えば、層)100、および第3の基板(例えば、層)110を含み得る。DSB基板500は、下層および中間層を生成するために、第2の基板100に直接接着された第1の基板110を含み得る。ここで、下層は第1の基板110であり、中間層は第2の基板100である。さらに、第3の基板110は、上層を形成するために、第2の基板100に直接接着され得る。ここで、第3の基板110は、上層である。したがって、DSB基板500は、下層(例えば、第1の基板110)、中間層(例えば、第2の基板100)、および上層(例えば、第1の基板110)を含み得る。
【0020】
方位ねじれ角に関して、各基板は、対応する面方位を含み得る(例えば、第1の基板110は第1の面方位を含み、第2の基板100は第2の面方位を含み、および/または第3の基板110は第3の面方位を含み得る)。いずれの基板においても45度の方位ねじれ角を含むことが望まれ、例えば、第1の基板110(下層)は、第2の基板100(例えば、中間層)および第3の基板110(例えば、上層)と比べて45度の方位ねじれ角を有し得る。また別の例では、第2の基板100(例えば、中間層)は、第1の基板110(例えば、下層)および第3の基板110(例えば、上層)と比べて45度の方位ねじれ角を有し得る。
【0021】
第3の基板110は、低閾値電圧(LVt)を有する第1の領域502を含み得る。例えば、第1の領域502は、LVtのPFET領域であり得る。第1の基板110は、高閾値電圧(HVt)を有する第1の領域510を含み得る。例えば、第1の領域510は、HVtのPFET領域であり得る。第2の基板100は、領域506を含み得る。ここで、領域506は、例えばNFET領域であり得る。DSB基板500はさらに、第1のSTI(Shallow Trench Isolation)領域504および第2のSTI領域508を含み得る。第1のSTI領域504は、第3の基板110の第1の領域502と第2の基板100の領域506との間にあり得る。第2のSTI領域508は、第2の基板100の領域506と第1の基板110の第1の領域510との間にあり得る。
【0022】
記載されるように、DSB基板500は、LVtに対応する第1の領域502に対する厚さ、およびHVtに対応する第1の領域510に対する厚さを有し得る。ここで、第1の領域502に対する厚さは、第1の領域510に対する厚さより小さい。言い換えると、HVtはより大きい厚さに対応し、LVtはより小さい厚さに対応し得る。Vtに基づいてDSB基板500の厚さを調整する、および/または形成することによって、ホール移動度が向上され得るとともに、高ジャンクションリークを制限する。
【0023】
次に、図6を参照すると、閾値電圧(Vt)に対応して層厚が変化するDSB(Direct Silicon Bonded)基板の生成または製造方法600が示されている。方法600は、2つ以上の層または基板のDSB基板に関連し得る。ここで、層または基板の少なくとも1つは、45度の方位ねじれ角を含む。例えば、DSB基板は、第1の基板(例えば、層)110および第2の基板(例えば、層)100を含み得る。ここで、第1の基板110または第2の基板100の少なくとも1つは、他方に比べておよそ45度の方位ねじれ角を有し得る。
【0024】
参照符号602において、DSB基板上の上層の一部(例えば、第1の基板110の一部)に、レジストが塗布される。さらに、参照符号602において、少なくとも1つの第1の基板110の一部(例えば、レジストを含まない上層の一部)または第2の基板100の一部を除去するためにエッチングが行われ得る。エッチングは、レジストを含まないDSB基板内のあらゆる適当な層のあらゆる部分を除去し得ることが認識されるだろう。例えば、(110)Siのエッチングおよびシリコンエピタキシーによる成長が提供され得る。エピタキシャル層のシリコン方位は、下層の方位に対応し得る。別の例では、接着界面の深さを超えてGeイオンを注入し、結晶をアモルファスに変化させ、その後に再結晶化することによって、(110)Siから(100)Siへの変換が提供され得る。この再結晶化は、アモルファス化後、600℃から800℃で30分から1時間のアニールをすることで、アモルファスが結晶に変化することによって成される。シリコン方位は、下層に対応する。上部がSi(110)であり、下部がSi(100)であり、Geイオン注入によるアモルファス化がされた場合、上層はSi(100)に変化される。一般的に、エッチングによる方法は、Geイオン注入技術と同様に用いられ得る。参照符号604において、レジストが除去され、第2の基板(下層)100の一部を再成長するために、DSB基板上で再成長が行われ得る。
【0025】
参照符号606において、上層の一部に、窒化物(例えば、窒化層)が塗布され得る。参照符号610において、窒化物の一部に、レジストが塗布され得る。さらに、参照符号610において、パターニングおよび窒化物除去が行われ得る。参照符号612において、酸化および/またはHF除去によって、第1の基板(例えば、上層)110が薄くされ得る。さらに、参照符号612において、窒化物が除去され得る。次に、参照符号614において、DSB基板内に少なくとも1つのSTI(Shallow Trench Isolation)が形成され得る。具体的には、方法600は、第2の基板100内の第3の領域、第1の基板110内の第1の領域および第2の領域を有するDSB基板を形成し得る。第1の領域はHVtであるPFETであり、第2の領域はLVtであるPFETであり、第3の領域はNFETであり得る。さらに、STIは、第1の領域と第2の領域との間に形成され得ることが認識されるだろう。またさらに、STIは、第2の領域と第3の領域との間に形成され得る。ただし、一般的に、第1の領域と第2の領域との間に関してはSTIが必ずしも必要というわけではなく、STIがない構造も有り得る。方法600は、閾値電圧(Vt)に関連する厚さの第1の領域を生成し得る。HVtは厚さに対応する閾値電圧(Vt)であり、この厚さはLVtを有する第2の領域に対する厚さよりも大きい。言い換えると、HVtの基板に対する厚さは、LVtの基板に対する厚さよりも大きくなり得る。
【0026】
図7は、閾値電圧(Vt)に対応して層厚が調整されるDSB(Direct Silicon Bonded)基板の生成または製造方法を示している。方法700は、2つ以上の層または基板のDSB(Direct Silicon Bonded)基板に関連し得る。ここで、層または基板の少なくとも1つは、45度の方位ねじれ角を含む。例えば、DSB基板は、第1の基板(例えば、層)110、第2の基板(例えば、層)100、および第3の基板(例えば、層)110を含み得る。ここで、第1の基板110、第2の基板100または第3の基板の少なくとも1つは、別の1つに比べておよそ45度の方位ねじれ角を有し得る。具体的には、第1の基板110は下層であり、第2の基板100は中間層であり、第3の基板110は上層であり得る。
【0027】
参照符号702において、上層の一部(例えば、第3の基板110)に、レジストが塗布され得る。ここで、少なくとも1つの上層の一部(例えば、レジストを含まない第3の基板110の一部)または中間層の一部(例えば、第2の基板100の一部)を除去するために、エッチング技術が行われ得る。エッチングは、レジストを含まないDSB基板内のあらゆる適当な層のあらゆる部分を除去し得ることが認識されるだろう。例えば、(110)Siのエッチングおよびシリコンエピタキシーによる成長が提供され得る。エピタキシャル層のシリコン方位は、下層の方位に対応し得る。別の例では、接着界面の深さを超えてGeイオンを注入し、結晶をアモルファスに変化させた後、アニールにより再結晶化することによって、(110)Siから(100)Siへの変換が提供され得る。例えば、600℃から800℃で30分から1時間のアニールをすることで、アモルファスが結晶に変化する。シリコン方位は、下層に対応する。上部がSi(110)であり、下部がSi(100)であり、Geイオン注入によるアモルファス化後、アニールにより再結晶化がされた場合、上層はSi(100)に変化される。具体的には、702において、第2の層と第3の層との間に、Geイオンが注入され得る。一般的に、Geイオン注入技術もエッチングも同様に用いられ得る。参照符号704において、中間層(例えば、第2の基板100)の一部を再成長するために、再成長技術が実行され得る。
【0028】
参照符号706において、再成長した中間層(例えば、第2の基板100)の一部に、レジストが塗布され得る。さらに、参照符号706において、少なくとも1つの中間層(例えば、第2の基板100)の一部または下層(例えば、第1の基板110)の一部を除去するために、エッチング技術(例えば、ウェット、ドライ等)が実行され得る。例えば、(100)Siのエッチングおよびシリコンエピタキシーによる成長が提供され得る。エピタキシャル層のシリコン方位は、下層の方位に対応し得る。また、別の例では、Geイオン注入が実行され得る。ここで、Geイオンは、第2の層と第1の層との間の接着界面の深さまで注入され得る。参照符号708において、レジストが除去され、下層(例えば、第1の基板110)の一部を再成長するために、再成長技術が行われ得る。
【0029】
次に、参照符号708において、DSB基板内に少なくとも1つのSTI(Shallow Trench Isolation)が形成され得る。一般的に、方法700は、第3の基板110内の第1の領域、第2の基板100内の第2の領域、および第1の基板110内の第3の領域を有するDSB基板を形成し得る。第1の領域はLVtであるPFET領域であり、第2の領域はNFET領域であり、第3の領域はHVtであるPFET領域であり得る。方法700は、LVtはHVtを有する第3の領域に対する厚さよりも小さいというような閾値電圧(Vt)に関連する厚さの第1の領域を生成し得る。言い換えると、HVt領域の基板厚さは、LVt領域の基板に対する厚さよりも大きくなり得る。さらに、第1の領域と第2の領域および第2の領域と第3の領域との間に、STIが形成され得ることが認識されるだろう。
【0030】
所定の特徴に対する形状または数値の範囲に関して、ある範囲をもつ形状やパラメータは、異なる形状や異なるパラメータを持ちつつ、同じ特徴であり得る。
【0031】
本発明は、ある態様に関して説明されたが、本明細書を読むことによって、これらの種々の変形例が当業者にとって明らかになるだろう。したがって、本明細書に開示された発明は、添付されたクレームの範囲内において収まるように、そのような変形例に及ぶことを意味することが理解されるだろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、層厚が閾値電圧(Vt)の大きさに基づいて調整されるDSB(Direct Silicon Bonded)基板上の半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド配向技術は、異なる面方位を持つ2枚のシリコンウェハを接合し、例えばNFETとPFETといったように異なるデバイスで異なる面方位を有すことを可能にした技術である。ここで、ハイブリッド配向技術は、大きく分けてバルク基板とSOI(silicon-on-insulator)基板の二つに大別される。しかし、DSB(Direct Silicon Bond)基板が用いられる半導体装置は、異なる面方位を持つ2枚のシリコンウェハが直接結合された基板であり、接合界面にBOX(buried oxide)を有さない構造で、バルク基板に分類される。したがって、理想的には、異なる面方位(結晶方位)を有するシリコン層が互いに接着された界面上には、シリコン以外は何も形成されない。
【0003】
このDSB基板は、(110)面方位を(100)面方位上に接合、もしくはこの逆、もしくは複数層に重ねて形成することによって、NFETとPFETにおいて異なる面方位を持つシリコンデバイスを形成することを可能にする。NFETは(100)面方位に形成され、電子移動度の劣化がなく、PFETは(110)面方位に形成され、通常の(100)面方位基板よりも高い移動度を有することができる。つまり、DSBは通常の単一(100)面方位基板や(110)面方位基板に比べ、高い電子、およびホールの移動度を達成することができるバルクCMOSハイブリッド配向技術である。このDSBの張り合わせ工程において、面方位に加え、結晶方位のくみあわせというものもデバイス特性に影響を与える。この2枚のウェハは45度回転させて張り合わせた場合、DSB基板を用いたLSI製造工程で生じる結晶欠陥の幅が小さくなり望ましいとされる。それと同時に、この場合、0度のねじれ角を有するDSB基板よりも高いホール移動度を示し、また、DSB基板にある上層を薄くするほどそのホール移動度が高くなることが報告されている。しかし、この上層の薄膜化は同時に接合界面における高いジャンクションリーク電流を引き起こし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0173967号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】M. HAMAGUCHI, ET AL.; Higher Mobility Induced By Twisted Direct Silicon Bonding (DSB), 2008 Symposium On VLSI Technology Digest Of Technical Papers, PP. 178-179
【非特許文献2】HAIZHOU YIN, ET AL.; Scalability Of Direct Silicon Bonded (DSB) Technology For 32nm Node And Beyond, 2007 Symposium On VLSI Technology Digest Of Technical Papers, PP. 222-223
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ホール移動度を向上し、ジャンクションリークを低減する半導体装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、発明の簡単な概要を以下で説明する。この概要は、発明の広い外観ではない。発明の要所または重要な要素を特定するものではなく、また、発明の範囲を表現するものでもない。むしろ、この概要の唯一の目的は、後述される、より詳細な説明の前置きとして、簡単な形態で発明のいくつかの概念を示すことである。
【0008】
本発明の一態様は、2つ以上の層(例えば、基板)を備えるDSB(Direct Silicon Bonded)基板に関する。ここで、少なくとも1つの層の厚さは、閾値電圧(Vt)の大きさに基づいて調整される、または形成される。高閾値電圧(HVt)は、低閾値電圧(LVt)に比べて大きい基板の厚さに対応する。したがって、ホール移動度を向上し、ジャンクションリークによる影響を低減するために、HVt基板は、LVt基板よりも大きい厚さを有し得る。言い換えると、それぞれの閾値を持つデバイスにおいてそのジャンクションリーク電流が無視できる大きさになるよう膜厚が設定される。
【0009】
本発明の別の態様は、より大きいVt(例えば、HVt等)がより大きい厚さに対応し、より小さいVt(例えば、LVt等)がより小さい厚さに対応するように、DSB基板内の基板に対する厚さが定義された半導体装置の製造方法に関する。一般的に、HVt基板または領域は、LVt基板または領域の厚さより大きい厚さで形成され得る。
【0010】
上述したおよび関連した結果の達成のために、本発明は、以下で十分に記載され、特に請求項に示される特徴を含む。以下の説明および添付された図面は、本発明のある一例となる態様を詳細に示す。しかしながら、これらの態様は、本発明の原則が用いられ得るいくつかの種々の方法を示す。本発明の他の目的、効果、および新しい特徴が、図面を考慮しながら、以下の本発明の詳細な説明から明らかになるだろう。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ホール移動度を向上し、ジャンクションリークを低減する半導体装置及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】0度ウェハのバルクシリコンおよび45度ねじれウェハのバルクシリコンの断面図。
【図2】DSB(Direct Silicon Bonded)基板の厚さを変化させた際の、PFETの駆動電流の変化を示すグラフ。
【図3】DSB(Direct Silicon Bonded)基板の厚さを変化させた際のジャンクションリーク電流の変化を示すグラフ。
【図4】本発明の閾値電圧(Vt)に基づいて層厚が調整されたDSB(Direct Silicon Bonded)基板の断面図。
【図5】本発明の閾値電圧(Vt)に関して層の厚さが異なるDSB(Direct Silicon Bonded)基板の断面図。
【図6】閾値電圧(Vt)に対応して層厚が変化するDSB(Direct Silicon Bonded)基板の生成または製造方法。
【図7】閾値電圧(Vt)に対応して層厚が調整されるDSB(Direct Silicon Bonded)基板の生成または製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下は、添付された図面を参照した本発明の実施形態の説明である。添付の図面は、説明を容易にし、本発明を理解するための概略図である。図面において示される形状、大きさ、および比は、実際の装置のものとは異なるが、これらは、考えられる以下の説明および通常の技術によって、任意に変化、変更され得る。
【0014】
本発明は、DSB(Direct Silicon Bonded)基板においてホール移動度の向上を達成するとともに、高ジャンクションリークによる影響を軽減する。典型的に、DSB基板は、互いに直接接着された少なくとも2つの層を含み得る。1つの層は、45度の方位ねじれ角にねじられ得る。45度のねじれ角によって、より高いホール移動度が反映されるが、接着界面がソース/ドレインを横切ることによって高ジャンクションリークが起こる。本発明は、閾値電圧(Vt)レベルに基づいてDSB層の厚さを変化させることによって、そのような高ジャンクションリークを軽減する、言い換えるとそれぞれの閾値を持つデバイスにおいてそのジャンクションリーク電流が無視できる大きさになるよう膜厚を設定することである。例えば、高閾値電圧(HVt)は第1の厚さであり、低閾値電圧(LVt)は第2の厚さであり得る。ここで、第1の厚さは、第2の厚さより大きい。言い換えると、DSB層の厚さは、閾値電圧(Vt)の大きさに基づいて生成/調整され得る。したがって、閾値が大きくなればDSB層は厚くなり、閾値が小さくなればDSB層は薄くなり得る。
【0015】
次に、図面を考慮すると、図1は、0度ウェハのバルクシリコンおよび45度ねじれウェハのバルクシリコンの断面図を示している。断面図は、AおよびBで示される0度ねじれベースウェハのDSBを含み得る。図1は、さらに、45度ねじれ(100)ベースウェハのDSBの概略図としてCおよびDを示している。チャネル方向に沿った結晶方位は、そのようなウェハにおいて(110)および(100)の間で異なり、PFETに対しては<110>であるが、NFETに対しては<100>である(図1D)。DSBバルクウェハに対して45度のねじれ角を付加させることにより、より高いホール移動度が達成され得る。しかしながら、DSBバルクウェハは、まだ高ジャンクションリークを示す。さらに、HVtは、低いソースドレインオフ電流リークを有し、LVtは、高いソースドレインオフ電流リークを有し得る。したがって、ジャンクションリークは、LVtに対しては無視してもかまわないが、HVtに対してはそうではない。これが、LVtに対しては薄膜のDSB層が許される根拠となる。
【0016】
図2は、DSB(Direct Silicon Bonded)基板の厚さを変化させた際の、PFETの駆動電流の変化を示すグラフ200である。グラフ200は、(100)バルクウェハ、(110)バルクウェハ、0度通常DSBウェハ、および3つの異なる厚さの45度ねじれDSBウェハにおけるLg=2μmデバイスのPFETのIon−Ioffプロットを示している。(110)バルクは、(100)バルクに比べて2.5倍高いIonを示し、通常DSBバルクウェハは、(110)バルクと同じIonを示している。さらに、45度ねじれDSBウェハは、(110)バルクウェハよりもIonの増大を示していることが理解される。この増大は、(110)の層厚にも依存している。より薄いDSBはより高いIonを有し、最も薄いDSB(T1)は(110)バルクウェハよりもIonの25%の増大を示している(グラフ200に示す)。さらに、図3は、DSB基板の膜厚の変化に対するジャンクションリーク電流の変化を示すグラフ300を示している。グラフ300に示されたようにDSBの膜厚に対して、ジャンクションリーク電流は変化する。具体的には、グラフ300は、DSB基板の厚さが大きくなると、ジャンクションリーク電流が小さくなることを示している。
【0017】
図4は、本発明の閾値電圧(Vt)に基づいて層膜厚が調整されたDSB(Direct Silicon Bonded)基板を示している。DSB基板400は、DSB基板400の上層および下層を形成するために互いに直接接着された第1の基板(例えば、層)110および第2の基板(例えば、層)100を含み得る。ここで、上層は第1の基板110であり、下層は第2の基板100であり得る。また、第1の基板110は、その(110)シリコン表面における結晶方位を有し得る。さらに、第2の基板100は、その(100)シリコン表面における結晶方位を有し得る。ここで、第2の基板100は、第1の面方位と第2の面方位の間で45度の方位ねじれ角に回転している。第1の基板110または第2の基板100が45度の方位ねじれ角を含み得る。一般に、本発明は、ホール移動度を向上し、高ジャンクションリークを防ぐために、閾値電圧レベルに基づいて層または基板の厚さを形成し、または調整する。
【0018】
第1の基板110は、第1の領域402および第2の領域406を含み得る。例えば、第1の領域402は、高閾値電圧(HVt)のPFET領域であり得る。別の例では、第2の領域406は、低閾値電圧(LVt)のPFET領域であり得る。さらに、第1の領域および第2の領域は、第2の基板100に含まれる領域404によって分離され得る。例えば、領域404は、NFET領域であり得る。第1の領域402は、HVtに対応する厚さで形成され得る。このとき、HVtは、より大きい厚さにする。第2の領域406は、LVtに対応する厚さで形成され得る。このとき、LVtは、より小さい厚さにする。したがって、第1の領域402の厚さは、第2の領域406の厚さよりも大きくなる。本発明におけるそのような構造は、ホール移動度の改善および従来の高ジャンクションリークの回避を可能にする。
【0019】
図5は、本発明の閾値電圧(Vt)に関して層の厚さが異なるDSB(Direct Silicon Bonded)基板を示している。DSB基板500は、第1の基板(例えば、層)110、第2の基板(例えば、層)100、および第3の基板(例えば、層)110を含み得る。DSB基板500は、下層および中間層を生成するために、第2の基板100に直接接着された第1の基板110を含み得る。ここで、下層は第1の基板110であり、中間層は第2の基板100である。さらに、第3の基板110は、上層を形成するために、第2の基板100に直接接着され得る。ここで、第3の基板110は、上層である。したがって、DSB基板500は、下層(例えば、第1の基板110)、中間層(例えば、第2の基板100)、および上層(例えば、第1の基板110)を含み得る。
【0020】
方位ねじれ角に関して、各基板は、対応する面方位を含み得る(例えば、第1の基板110は第1の面方位を含み、第2の基板100は第2の面方位を含み、および/または第3の基板110は第3の面方位を含み得る)。いずれの基板においても45度の方位ねじれ角を含むことが望まれ、例えば、第1の基板110(下層)は、第2の基板100(例えば、中間層)および第3の基板110(例えば、上層)と比べて45度の方位ねじれ角を有し得る。また別の例では、第2の基板100(例えば、中間層)は、第1の基板110(例えば、下層)および第3の基板110(例えば、上層)と比べて45度の方位ねじれ角を有し得る。
【0021】
第3の基板110は、低閾値電圧(LVt)を有する第1の領域502を含み得る。例えば、第1の領域502は、LVtのPFET領域であり得る。第1の基板110は、高閾値電圧(HVt)を有する第1の領域510を含み得る。例えば、第1の領域510は、HVtのPFET領域であり得る。第2の基板100は、領域506を含み得る。ここで、領域506は、例えばNFET領域であり得る。DSB基板500はさらに、第1のSTI(Shallow Trench Isolation)領域504および第2のSTI領域508を含み得る。第1のSTI領域504は、第3の基板110の第1の領域502と第2の基板100の領域506との間にあり得る。第2のSTI領域508は、第2の基板100の領域506と第1の基板110の第1の領域510との間にあり得る。
【0022】
記載されるように、DSB基板500は、LVtに対応する第1の領域502に対する厚さ、およびHVtに対応する第1の領域510に対する厚さを有し得る。ここで、第1の領域502に対する厚さは、第1の領域510に対する厚さより小さい。言い換えると、HVtはより大きい厚さに対応し、LVtはより小さい厚さに対応し得る。Vtに基づいてDSB基板500の厚さを調整する、および/または形成することによって、ホール移動度が向上され得るとともに、高ジャンクションリークを制限する。
【0023】
次に、図6を参照すると、閾値電圧(Vt)に対応して層厚が変化するDSB(Direct Silicon Bonded)基板の生成または製造方法600が示されている。方法600は、2つ以上の層または基板のDSB基板に関連し得る。ここで、層または基板の少なくとも1つは、45度の方位ねじれ角を含む。例えば、DSB基板は、第1の基板(例えば、層)110および第2の基板(例えば、層)100を含み得る。ここで、第1の基板110または第2の基板100の少なくとも1つは、他方に比べておよそ45度の方位ねじれ角を有し得る。
【0024】
参照符号602において、DSB基板上の上層の一部(例えば、第1の基板110の一部)に、レジストが塗布される。さらに、参照符号602において、少なくとも1つの第1の基板110の一部(例えば、レジストを含まない上層の一部)または第2の基板100の一部を除去するためにエッチングが行われ得る。エッチングは、レジストを含まないDSB基板内のあらゆる適当な層のあらゆる部分を除去し得ることが認識されるだろう。例えば、(110)Siのエッチングおよびシリコンエピタキシーによる成長が提供され得る。エピタキシャル層のシリコン方位は、下層の方位に対応し得る。別の例では、接着界面の深さを超えてGeイオンを注入し、結晶をアモルファスに変化させ、その後に再結晶化することによって、(110)Siから(100)Siへの変換が提供され得る。この再結晶化は、アモルファス化後、600℃から800℃で30分から1時間のアニールをすることで、アモルファスが結晶に変化することによって成される。シリコン方位は、下層に対応する。上部がSi(110)であり、下部がSi(100)であり、Geイオン注入によるアモルファス化がされた場合、上層はSi(100)に変化される。一般的に、エッチングによる方法は、Geイオン注入技術と同様に用いられ得る。参照符号604において、レジストが除去され、第2の基板(下層)100の一部を再成長するために、DSB基板上で再成長が行われ得る。
【0025】
参照符号606において、上層の一部に、窒化物(例えば、窒化層)が塗布され得る。参照符号610において、窒化物の一部に、レジストが塗布され得る。さらに、参照符号610において、パターニングおよび窒化物除去が行われ得る。参照符号612において、酸化および/またはHF除去によって、第1の基板(例えば、上層)110が薄くされ得る。さらに、参照符号612において、窒化物が除去され得る。次に、参照符号614において、DSB基板内に少なくとも1つのSTI(Shallow Trench Isolation)が形成され得る。具体的には、方法600は、第2の基板100内の第3の領域、第1の基板110内の第1の領域および第2の領域を有するDSB基板を形成し得る。第1の領域はHVtであるPFETであり、第2の領域はLVtであるPFETであり、第3の領域はNFETであり得る。さらに、STIは、第1の領域と第2の領域との間に形成され得ることが認識されるだろう。またさらに、STIは、第2の領域と第3の領域との間に形成され得る。ただし、一般的に、第1の領域と第2の領域との間に関してはSTIが必ずしも必要というわけではなく、STIがない構造も有り得る。方法600は、閾値電圧(Vt)に関連する厚さの第1の領域を生成し得る。HVtは厚さに対応する閾値電圧(Vt)であり、この厚さはLVtを有する第2の領域に対する厚さよりも大きい。言い換えると、HVtの基板に対する厚さは、LVtの基板に対する厚さよりも大きくなり得る。
【0026】
図7は、閾値電圧(Vt)に対応して層厚が調整されるDSB(Direct Silicon Bonded)基板の生成または製造方法を示している。方法700は、2つ以上の層または基板のDSB(Direct Silicon Bonded)基板に関連し得る。ここで、層または基板の少なくとも1つは、45度の方位ねじれ角を含む。例えば、DSB基板は、第1の基板(例えば、層)110、第2の基板(例えば、層)100、および第3の基板(例えば、層)110を含み得る。ここで、第1の基板110、第2の基板100または第3の基板の少なくとも1つは、別の1つに比べておよそ45度の方位ねじれ角を有し得る。具体的には、第1の基板110は下層であり、第2の基板100は中間層であり、第3の基板110は上層であり得る。
【0027】
参照符号702において、上層の一部(例えば、第3の基板110)に、レジストが塗布され得る。ここで、少なくとも1つの上層の一部(例えば、レジストを含まない第3の基板110の一部)または中間層の一部(例えば、第2の基板100の一部)を除去するために、エッチング技術が行われ得る。エッチングは、レジストを含まないDSB基板内のあらゆる適当な層のあらゆる部分を除去し得ることが認識されるだろう。例えば、(110)Siのエッチングおよびシリコンエピタキシーによる成長が提供され得る。エピタキシャル層のシリコン方位は、下層の方位に対応し得る。別の例では、接着界面の深さを超えてGeイオンを注入し、結晶をアモルファスに変化させた後、アニールにより再結晶化することによって、(110)Siから(100)Siへの変換が提供され得る。例えば、600℃から800℃で30分から1時間のアニールをすることで、アモルファスが結晶に変化する。シリコン方位は、下層に対応する。上部がSi(110)であり、下部がSi(100)であり、Geイオン注入によるアモルファス化後、アニールにより再結晶化がされた場合、上層はSi(100)に変化される。具体的には、702において、第2の層と第3の層との間に、Geイオンが注入され得る。一般的に、Geイオン注入技術もエッチングも同様に用いられ得る。参照符号704において、中間層(例えば、第2の基板100)の一部を再成長するために、再成長技術が実行され得る。
【0028】
参照符号706において、再成長した中間層(例えば、第2の基板100)の一部に、レジストが塗布され得る。さらに、参照符号706において、少なくとも1つの中間層(例えば、第2の基板100)の一部または下層(例えば、第1の基板110)の一部を除去するために、エッチング技術(例えば、ウェット、ドライ等)が実行され得る。例えば、(100)Siのエッチングおよびシリコンエピタキシーによる成長が提供され得る。エピタキシャル層のシリコン方位は、下層の方位に対応し得る。また、別の例では、Geイオン注入が実行され得る。ここで、Geイオンは、第2の層と第1の層との間の接着界面の深さまで注入され得る。参照符号708において、レジストが除去され、下層(例えば、第1の基板110)の一部を再成長するために、再成長技術が行われ得る。
【0029】
次に、参照符号708において、DSB基板内に少なくとも1つのSTI(Shallow Trench Isolation)が形成され得る。一般的に、方法700は、第3の基板110内の第1の領域、第2の基板100内の第2の領域、および第1の基板110内の第3の領域を有するDSB基板を形成し得る。第1の領域はLVtであるPFET領域であり、第2の領域はNFET領域であり、第3の領域はHVtであるPFET領域であり得る。方法700は、LVtはHVtを有する第3の領域に対する厚さよりも小さいというような閾値電圧(Vt)に関連する厚さの第1の領域を生成し得る。言い換えると、HVt領域の基板厚さは、LVt領域の基板に対する厚さよりも大きくなり得る。さらに、第1の領域と第2の領域および第2の領域と第3の領域との間に、STIが形成され得ることが認識されるだろう。
【0030】
所定の特徴に対する形状または数値の範囲に関して、ある範囲をもつ形状やパラメータは、異なる形状や異なるパラメータを持ちつつ、同じ特徴であり得る。
【0031】
本発明は、ある態様に関して説明されたが、本明細書を読むことによって、これらの種々の変形例が当業者にとって明らかになるだろう。したがって、本明細書に開示された発明は、添付されたクレームの範囲内において収まるように、そのような変形例に及ぶことを意味することが理解されるだろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DSB(Direct Silicon Bonded)基板を具備し、
前記DSB基板は、
上層および下層を生成するダイレクトボンディドシリコン技術を用いて、第2の基板に直接接着された第1の基板を具備し、
前記上層は前記第1の基板であり、前記下層は前記第2の基板であり、
前記第1の基板は、前記第1の基板の表面において結晶方位を示す第1の面方位を有し、
前記第2の基板は、前記第2の基板の表面において結晶方位を示す第2の面方位を有し、
前記第2の基板は、前記第1の面方位と前記第2の面方位との間で45度の方位ねじれ角に回転され、
前記第1の基板は、
第1の厚さを有する高閾値電圧(HVt)の第1の領域と、
第2の厚さを有する低閾値電圧(LVt)の第2の領域と、
を含み、
前記第1の厚さは、前記第2の厚さより大きく、
前記第2の基板は、
前記第1の領域と前記第2の領域との間に領域を含む
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
DSB(Direct Silicon Bonded)基板を具備し、
前記DSB基板は、
下層および中間層を生成するダイレクトボンディドシリコン技術を用いて、第2の基板に直接接着された第1の基板と、
上層を生成するダイレクトボンディドシリコン技術を用いて、前記第2の基板に直接接着された第3の基板と、
第1のSTI(Shallow Trench Isolation)および第2のSTI(Shallow Trench Isolation)と、
を具備し、
前記下層は前記第1の基板であり、前記中間層は前記第2の基板であり、
前記上層は前記第3の基板であり、
前記第1の基板は、前記第1の基板の表面においてある結晶方位を示す第1の面方位を有し、
前記第3の基板は、前記第3の基板の表面においてある結晶方位を示す第3の面方位を有し、
前記第2の基板は、前記第2の基板の表面においてある結晶方位を示す第2の面方位を有し、
前記第2の基板は、前記第2の面方位と前記第1の基板および前記第3の基板との間で45度の結晶方位ねじれ角に回転され、
前記第3の基板は、第1の厚さを有する低閾値電圧(LVt)の第1の領域を含み、
前記第1の基板は、第2の厚さを有する高閾値電圧(HVt)の第1の領域を含み、
前記第1の厚さは、第2の厚さより小さく、
前記第2の基板は、前記第3の基板の前記第1の領域と前記第1の基板の前記第1の領域との間に領域を含み、
前記第1のSTIは、前記第3の基板の前記第1の領域と前記第2の基板の前記領域との間にあり、前記第2のSTIは、前記第2の基板の前記領域と前記第1の基板の前記第1の領域との間にある
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
ある結晶方位を示す第1の面方位を有する第1の基板およびある結晶方位を示す第2の面方位を有する第2の基板を備えるDSB(Direct Silicon Bonded)基板を形成し、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に45度の結晶方位ねじれ角を備える前記DSB基板を生成し、
閾値電圧(Vt)レベルに基づいた、少なくとも1つの基板内のPFET領域に対する厚さを備える前記DSB基板を形成する
ことを具備し、
高Vtに対する前記厚さは、低Vtに対する前記厚さより大きい
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
上層および下層を備える前記DSB基板を形成する
ことをさらに具備し、
前記上層は前記第2の基板であり、前記下層は前記第1の基板である
ことを特徴とする請求項3の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記上層の一部にレジストを塗布し、
前記上層の一部を除去するために、前記上層上にエッチングを実行する
ことをさらに具備することを特徴とする請求項4の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記上層の一部にレジストを塗布し、
前記上層の一部とその下層の一部のアモルファス化を実行する
ことをさらに具備することを特徴とする請求項4の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記上層の前記一部から前記レジストを除去し、
前記上層と下層の一部を再結晶化するために、アニールを実行する
ことをさらに具備することを特徴とする請求項5の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
酸化またはHF除去の少なくとも一方により、前記第2の基板を薄くし、
前記DSB基板内に、少なくとも1つのSTI(Shallow Trench Isolation)を形成する
ことをさらに具備することを特徴とする請求項6の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
上層、中間層、および下層を備える前記DSB基板を形成し、
前記第2の基板に、ある結晶方位を示す第3の面方位を有する第3の基板を直接接着し、前記第2の基板と前記第3の基板との間に45度の結晶方位ねじれ角を備える前記DSB基板を生成することをさらに具備し、前記上層は第3の基板であり、前記中間層は前記第2の基板であり、前記下層は前記第1の基板である
ことを特徴とする請求項3の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記上層の一部に、レジストを塗布し、
少なくとも1つの前記上層または前記中間層の一部を除去するために、前記上層上にエッチングを実行する
ことをさらに具備することを特徴とする請求項9の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記中間層の一部を再成長するために、再成長技術を実行し、
再成長した前記中間層の一部にレジストを塗布する
ことをさらに具備することを特徴とする請求項10の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
DSB(Direct Silicon Bonded)基板を具備し、
前記DSB基板は、
上層および下層を生成するダイレクトボンディドシリコン技術を用いて、第2の基板に直接接着された第1の基板を具備し、
前記上層は前記第1の基板であり、前記下層は前記第2の基板であり、
前記第1の基板は、前記第1の基板の表面において結晶方位を示す第1の面方位を有し、
前記第2の基板は、前記第2の基板の表面において結晶方位を示す第2の面方位を有し、
前記第2の基板は、前記第1の面方位と前記第2の面方位との間で45度の方位ねじれ角に回転され、
前記第1の基板は、
第1の厚さを有する高閾値電圧(HVt)の第1の領域と、
第2の厚さを有する低閾値電圧(LVt)の第2の領域と、
を含み、
前記第1の厚さは、前記第2の厚さより大きく、
前記第2の基板は、
前記第1の領域と前記第2の領域との間に領域を含む
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
DSB(Direct Silicon Bonded)基板を具備し、
前記DSB基板は、
下層および中間層を生成するダイレクトボンディドシリコン技術を用いて、第2の基板に直接接着された第1の基板と、
上層を生成するダイレクトボンディドシリコン技術を用いて、前記第2の基板に直接接着された第3の基板と、
第1のSTI(Shallow Trench Isolation)および第2のSTI(Shallow Trench Isolation)と、
を具備し、
前記下層は前記第1の基板であり、前記中間層は前記第2の基板であり、
前記上層は前記第3の基板であり、
前記第1の基板は、前記第1の基板の表面においてある結晶方位を示す第1の面方位を有し、
前記第3の基板は、前記第3の基板の表面においてある結晶方位を示す第3の面方位を有し、
前記第2の基板は、前記第2の基板の表面においてある結晶方位を示す第2の面方位を有し、
前記第2の基板は、前記第2の面方位と前記第1の基板および前記第3の基板との間で45度の結晶方位ねじれ角に回転され、
前記第3の基板は、第1の厚さを有する低閾値電圧(LVt)の第1の領域を含み、
前記第1の基板は、第2の厚さを有する高閾値電圧(HVt)の第1の領域を含み、
前記第1の厚さは、第2の厚さより小さく、
前記第2の基板は、前記第3の基板の前記第1の領域と前記第1の基板の前記第1の領域との間に領域を含み、
前記第1のSTIは、前記第3の基板の前記第1の領域と前記第2の基板の前記領域との間にあり、前記第2のSTIは、前記第2の基板の前記領域と前記第1の基板の前記第1の領域との間にある
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
ある結晶方位を示す第1の面方位を有する第1の基板およびある結晶方位を示す第2の面方位を有する第2の基板を備えるDSB(Direct Silicon Bonded)基板を形成し、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に45度の結晶方位ねじれ角を備える前記DSB基板を生成し、
閾値電圧(Vt)レベルに基づいた、少なくとも1つの基板内のPFET領域に対する厚さを備える前記DSB基板を形成する
ことを具備し、
高Vtに対する前記厚さは、低Vtに対する前記厚さより大きい
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
上層および下層を備える前記DSB基板を形成する
ことをさらに具備し、
前記上層は前記第2の基板であり、前記下層は前記第1の基板である
ことを特徴とする請求項3の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記上層の一部にレジストを塗布し、
前記上層の一部を除去するために、前記上層上にエッチングを実行する
ことをさらに具備することを特徴とする請求項4の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記上層の一部にレジストを塗布し、
前記上層の一部とその下層の一部のアモルファス化を実行する
ことをさらに具備することを特徴とする請求項4の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記上層の前記一部から前記レジストを除去し、
前記上層と下層の一部を再結晶化するために、アニールを実行する
ことをさらに具備することを特徴とする請求項5の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
酸化またはHF除去の少なくとも一方により、前記第2の基板を薄くし、
前記DSB基板内に、少なくとも1つのSTI(Shallow Trench Isolation)を形成する
ことをさらに具備することを特徴とする請求項6の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
上層、中間層、および下層を備える前記DSB基板を形成し、
前記第2の基板に、ある結晶方位を示す第3の面方位を有する第3の基板を直接接着し、前記第2の基板と前記第3の基板との間に45度の結晶方位ねじれ角を備える前記DSB基板を生成することをさらに具備し、前記上層は第3の基板であり、前記中間層は前記第2の基板であり、前記下層は前記第1の基板である
ことを特徴とする請求項3の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記上層の一部に、レジストを塗布し、
少なくとも1つの前記上層または前記中間層の一部を除去するために、前記上層上にエッチングを実行する
ことをさらに具備することを特徴とする請求項9の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記中間層の一部を再成長するために、再成長技術を実行し、
再成長した前記中間層の一部にレジストを塗布する
ことをさらに具備することを特徴とする請求項10の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2011−9741(P2011−9741A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130319(P2010−130319)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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