説明

半導体装置検査用プローブカードおよび半導体検査システムの除電方法

【課題】SMUやVMUなどの検査ユニットからプローブ先端までの測定系に帯電した電荷を除電し、デバイス破壊が無く、正しい測定値を得る。
【解決手段】半導体装置の電極用パッドに接触するプローブ104を有したプローブカード配線を複数備え、プローブカード配線102を半導体検査装置の複数の検査ユニットおよびグランドユニットに接続可能とした構成において、プローブカード配線どうしを電気的に接続するスイッチング素子111を備え、任意の2つ以上のプローブカード配線が、スイッチング素子によって電気的に接続または切断される。すなわち、複数のプローブカード配線の各々に、対応する半導体検査装置の複数の検査ユニットおよびグランドユニットを接続する。次にスイッチング素子をオン状態にして全ての検査ユニットをグランドユニットに同時に接続し、検査ユニットからプローブ先端までの経路を一括で除電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置検査用プローブカードおよびそのプローブカードを使った半導体検査システムの除電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、ウェハー上にデバイスを形成する製造工程(以下、前処理工程と称する)終了後にデバイス特性を検査することによって良品ウェハー/不良品ウェハーの判定を行っている。
【0003】
図7は従来のパラメトリックテストに用いる半導体検査用プローブカードの概略を示したものである。プローブカード本体101は中央部が開口されており、プローブカード配線102にプローブ104が接続されており、これが半導体装置上に形成された電極用パッドに接触し半導体装置の検査を実施する。一方、プローブカード配線102のプローブカード外周側に位置した破線の丸で示した103部分には半導体検査装置のテストヘッドに具備されたポコピンが接続される。
【0004】
図6(a)は、上記テストヘッドを下から見たものである。ポコピン52はテストヘッド本体51に円周上に配置されており、各々のポコピンがプローブカードと接触できるように図7のプローブカード配線102がパターニングされていることは言うまでもない。
【0005】
図6(b)は、上記テストヘッドの断面を模式的に示したものである。ポコピン52はテストヘッド本体51の内部でスイッチングマトリクス53に接続されている。
【0006】
半導体検査装置は、パラメトリックテストを実施するために、電圧・電流源/電圧・電流計を具備したSMU(Source Measure Unitの略)131〜134や電圧測定専用のVMU(Voltage Measure Unit)135,136、接地回路であるGNDU(Ground Unit)137を装備しており、テストヘッド本体51内に内蔵、もしくはテストヘッド本体51の入出力インターフェースを介してテストヘッド本体51外部から接続される構成となっている。
【0007】
SMU、VMU、GNDUはテストヘッド本体51内のスイッチングマトリクス53に接続されており、スイッチングマトリクスのリレー回路により所望のポコピン52と接続することができる。よって、スイッチングマトリクス53を適切に操作することによって、SMU、VMU、GNDUと所望のプローブと直結することができ、半導体装置を検査することができる。
【0008】
ところが、ウェハープローバ装置による半導体ウェハーの搬送動作や、プローブと検査パッドの接触動作、プローブカードの取替え動作などによりプローブカードが帯電してしまい、デバイス特性測定時に影響を受けてしまう場合がある。
【0009】
プローブカードに帯電した電荷を除電する方法として、ウェハープローバ装置に除電シートを貼り、プローブを除電シートと接触させることでプローブカードに帯電した電荷を除電する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、実際にはプローブ先端をクリーニングする針先研磨板上に除電シートを貼って対応することになる。
【特許文献1】特開2003−100821号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上記の除電方法では針先研磨板が除電シートで覆われてしまうために、検査パッドと接触して金属くずなどが付着したプローブ先端をクリーニングすることができない。プローブ先端が汚れたまま検査すると、プローブ間のショートや検査パッドとの接触抵抗が大きくなり、正常な検査ができなくなる。
【0011】
そこで、半導体検査装置が持っているGNDUをスイッチングマトリクスにより所望のプローブと接続すれば、プローブカードに帯電した電荷を除電でき、針先研磨板に除電シートを貼らなくてよいため、針先クリーニングも可能となる。
【0012】
しかしながら、このような対策を行なってもなお、SMUやVMU回路からスイッチングマトリクスにいたる経路が帯電してしまうという課題がある。SMUやVMU回路からスイッチングマトリクスにいたる経路が帯電した状態で、特に低抵抗なデバイスを測定しようとした場合、検査パッドにプローブを接触させ、次にスイッチングマトリクスでSMUもしくはVMUとプローブを接続した瞬間に帯電した電荷が検査デバイスに瞬時に流れ込み、デバイスを破壊してしまう。
【0013】
一方、半導体検査装置のSMUやVMUはスイッチングマトリクス経由で直接GNDUに接続することができない。なぜならば、直接検査ユニット同士を接続した場合には、誤って電圧印加すると大電流が検査ユニットに流れてしまい、検査ユニットを破壊してしまう恐れがあるためであり、したがって構造上接続不可能となっている。よって、検査ユニットそのものを除電することができないという課題が存在する。
【0014】
したがって、本発明の目的は、上記課題に鑑みてなされたものであり、SMUやVMUなどの検査ユニットからプローブ先端までの測定系に帯電した電荷を除電し、デバイス破壊が無く、正しい測定値が得られる半導体装置検査用プローブカードおよびそのプローブカードを使った半導体検査システムの除電方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1記載の半導体装置検査用プローブカードは、半導体装置の電極用パッドに接触するプローブを有したプローブカード配線を複数備え、プローブカード配線を半導体検査装置の複数の検査ユニットおよびグランドユニットに接続可能とした半導体装置検査用プローブカードであって、プローブカード配線どうしを電気的に接続するスイッチング素子を備え、任意の2つ以上のプローブカード配線が、スイッチング素子によって電気的に接続または切断される。
【0016】
請求項2記載の半導体装置検査用プローブカードは、請求項1記載の半導体装置検査用プローブカードにおいて、スイッチング素子によって、半導体装置の検査時に使用される全てのプローブカード配線が同時に一括して電気的に接続される。
【0017】
請求項3記載の半導体装置検査用プローブカードは、請求項1または2記載の半導体装置検査用プローブカードにおいて、スイッチング素子がリレー回路またはスイッチングICからなる。
【0018】
請求項4記載の半導体検査システムの除電方法は、請求項1記載の半導体装置検査用プローブカードを半導体検査装置に装着した半導体検査システムの除電方法であって、複数のプローブカード配線の各々に、対応する半導体検査装置の複数の検査ユニットおよびグランドユニットを接続するステップと、スイッチング素子をオン状態にして全ての検査ユニットをグランドユニットに同時に接続し、検査ユニットからプローブ先端までの経路を一括で除電する除電ステップとを含む。
【0019】
請求項5記載の半導体検査システムの除電方法は、請求項1記載の半導体装置検査用プローブカードを前記半導体検査装置に装着した半導体検査システムの除電方法であって、複数のプローブカード配線の各々に、対応する半導体検査装置の複数の検査ユニットおよびグランドユニットを接続するステップと、スイッチング素子をオン状態にして、複数の検査ユニットのうちの第1の検査ユニットをグランドユニットに接続し、第1の検査ユニットから第1の検査ユニットに接続されたプローブ先端までの経路を一括で除電する除電ステップと、第1の検査ユニットの除電が完了した後、スイッチング素子をオフ状態にして、第1の検査ユニットをグランドユニットから切断する切断ステップと、第1の検査ユニットに対して行った除電ステップおよび切断ステップを、複数の検査ユニットの残りの検査ユニットに対して順次実施するステップとを含む。
【0020】
請求項6記載の半導体検査システムの除電方法は、請求項4または5記載の半導体検査システムの除電方法において、スイッチング素子がリレー回路またはスイッチングICからなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の請求項1記載の半導体装置検査用プローブカードによれば、プローブカード配線どうしを電気的に接続するスイッチング素子を備え、任意の2つ以上のプローブカード配線が、スイッチング素子によって電気的に接続または切断されるので、任意のプローブ先端から半導体検査装置の検査ユニットまでの経路をグランドユニットに接続することができる。このため、上記経路上に帯電した電荷を除電することができ、デバイス破壊がなく、正しい測定値を得ることが可能となる。
【0022】
請求項2では、請求項1記載の半導体装置検査用プローブカードにおいて、スイッチング素子によって、半導体装置の検査時に使用される全てのプローブカード配線が同時に一括して電気的に接続されることが好ましい。これにより、全検査ユニットを同時にグランドユニットに接続して一括で除電することができる。このため、除電に要する時間が短く、検査速度にも大きな影響はない。
【0023】
請求項3では、請求項1または2記載の半導体装置検査用プローブカードにおいて、スイッチング素子がリレー回路またはスイッチングICからなることが好ましい。
【0024】
本発明の請求項4記載の半導体検査システムの除電方法によれば、複数のプローブカード配線の各々に、対応する半導体検査装置の複数の検査ユニットおよびグランドユニットを接続するステップと、スイッチング素子をオン状態にして全ての検査ユニットをグランドユニットに同時に接続し、検査ユニットからプローブ先端までの経路を一括で除電する除電ステップとを含むので、半導体検査装置の検査ユニットからプローブ先端にいたる経路に帯電した電荷を除電することが可能であり、デバイス破壊が無く、正しい測定値を得ることが可能となる。また、全検査ユニットを同時にグランドユニットに接続して一括で除電しているため除電に要する時間が短く、検査速度にも大きな影響はない。
【0025】
本発明の請求項5記載の半導体検査システムの除電方法によれば、複数のプローブカード配線の各々に、対応する半導体検査装置の複数の検査ユニットおよびグランドユニットを接続するステップと、スイッチング素子をオン状態にして、複数の検査ユニットのうちの第1の検査ユニットをグランドユニットに接続し、第1の検査ユニットから第1の検査ユニットに接続されたプローブ先端までの経路を一括で除電する除電ステップと、第1の検査ユニットの除電が完了した後、スイッチング素子をオフ状態にして、第1の検査ユニットをグランドユニットから切断する切断ステップと、第1の検査ユニットに対して行った除電ステップおよび切断ステップを、複数の検査ユニットの残りの検査ユニットに対して順次実施するステップとを含むので、半導体検査装置の検査ユニットからプローブ先端にいたる経路に帯電した電荷を除電することが可能であり、デバイス破壊が無く、正しい測定値を得ることが可能となる。また、高電圧に帯電した特定のユニットがあって、その他の正常な検査ユニットと同時に接続して除電しようとした場合、高電圧に帯電した検査ユニットから正常な検査ユニットに瞬間的に大電流が流れ込み、正常な検査ユニットにダメージを与えることも予想されるが、上記のように検査ユニットを一つずつグランドユニットに接続し、逐次型の除電を行うため、正常な検査ユニットにダメージを与えることなく除電することができる。
【0026】
請求項6では、請求項4または5記載の半導体検査システムの除電方法において、スイッチング素子がリレー回路またはスイッチングICからなることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置検査用プローブカードについて、図1に基づいて説明する。
【0028】
図1は、プローブカード上にスイッチング素子としてリレーを用いた場合の概略図の一例である。
【0029】
プローブカード本体101は中央部が開口されており、プローブカード配線102にプローブ104が接続されており、これが半導体装置上に形成された電極用パッドに接触して半導体装置の検査を実施する。
【0030】
一方、プローブカード配線102のプローブカード外周側に位置した破線の丸で示した103部分には半導体検査装置のテストヘッドに具備されたポコピンが接続される。半導体検査装置は、図6に示したように、パラメトリックテストを実施するためにポコピン52を介してプローブカード配線102に接続される複数の検査ユニットおよびグランドユニットを有する。この場合、電圧・電流源/電圧・電流計を具備したSMU131〜134や電圧測定専用のVMU135,136、接地回路であるGNDU137を装備しており、テストヘッド本体51内に内蔵、もしくはテストヘッド本体51の入出力インターフェースを介してテストヘッド本体51外部から接続される構成となっている。本実施形態ではプローブカード配線102が20本あるが、それぞれを識別するために1から20の数字を割り振っている。本実施形態の一例では3から9番のプローブカード配線102にプローブ104が接続されている。なお、本実施形態では2から11番以外の配線は使っていない。
【0031】
また、プローブカード配線102どうしを電気的に接続するスイッチング素子を備え、任意の2つ以上のプローブカード配線102が、スイッチング素子によって電気的に接続または切断される。ここでは、3から10番のプローブカード配線102の間に隣どうしのプローブカード配線を接続するためのスイッチング素子としてリレー回路111が合計7個設けてあり、それぞれはプローブカード配線102の3から10番に配線で接続されている。これらのリレー回路をオン/オフさせるための端子が2番、11番のプローブカード配線102に割り当てられており(それぞれリレー回路オン/オフ端子112,113)、リレー回路111のオン/オフ制御用の端子に配線により接続されている。
【0032】
以上の構成のプローブカードを用いることによって、例えばプローブカード配線102の10番にGNDUを、プローブカード配線102の3番から9番に検査ユニットを接続すると、リレー回路111を介して検査ユニットとGNDUを接続することが可能となり、検査ユニットからスイッチングマトリクスを介してプローブ先端にいたる経路に帯電した電荷を除電することが可能になる。
【0033】
次に、本実施形態にかかる半導体検査システムの除電方法について、図2に基づいて説明する。
【0034】
まず、上記した構成のプローブカードを半導体検査装置のテストヘッドに接続する。上記のテストヘッドは、図6に示したように4つのSMU131〜134、2つのVMU135,136、GNDU137が接続されており、スイッチングマトリクス53、ポコピン52を介して上記プローブカードに接続される。
【0035】
次に、スイッチングマトリクス53を操作することにより、図2(a)に示すようにSMU131〜134をプローブカード配線102の3〜6番に、VMU135,136はプローブカード配線102の8,9番に、GNDUはプローブカード配線102の10番に、それぞれ接続する。また、リレー回路オン/オフ端子113はグランド115に接続する。さらに、リレー回路オン/オフ端子112はリレー回路111を動作させるための電源114に接続する。
【0036】
なお、電源114およびグランド115は、半導体検査装置外部から供給されてもよいし、電源114は半導体検査装置が持つSMUを、グランド115はスイッチングマトリクス53にあるGNDUを用いて接続してもかまわない。このように、SMUやGNDUを使えば、すべて半導体検査装置のプログラムから制御することが可能になる。
【0037】
次に、スイッチ116をオンにして、リレー回路111をオンさせる。すると、図2(b)に示すようにプローブカード配線102の3から10番がすべてリレー回路111を介して電気的に接続された状態になり、SMU131〜134やVMU135,136が一括でGNDU137に接続されることになる。
【0038】
次に、スイッチ116をオフにすることでリレー回路111もオフとなり、図2(a)のように、プローブカード配線102の3から10番が電気的に接続されない状態となり、半導体装置の検査を開始することが可能となる。
【0039】
以上の構成により、検査ユニットからスイッチングマトリクスを介しプローブ先端にいたる経路に帯電した電荷を除電することが可能であり、デバイス破壊が無く、正しい測定値を得ることが可能となる。
【0040】
また、本実施形態における除電方法では、全検査ユニットを同時にGNDUに接続して一括で除電しているため除電に要する時間が短く、検査速度にも大きな影響はない。
【0041】
なお、本実施形態においては、リレー回路を用いて半導体装置の検査時に使用される全てのプローブカード配線を電気的に接続する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、目的に応じて任意の2つ以上のプローブカード配線を接続しても構わない。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態にかかる半導体装置検査用プローブカードについて、図3に基づいて説明する。
【0042】
図3は、スイッチング素子として1チップ化されたスイッチングICを用いた場合の概略図の一例である。
【0043】
プローブカード本体101は中央部が開口されており、プローブカード配線102にプローブ104が接続されており、これが半導体装置上に形成された電極用パッドに接触して半導体装置の検査を実施する。
【0044】
一方、プローブカード配線102のプローブカード外周側に位置した破線の丸で示した103部分には半導体検査装置のテストヘッドに具備されたポコピンが接続される。半導体検査装置は、図6に示したように、パラメトリックテストを実施するためにポコピン52を介してプローブカード配線102に接続される複数の検査ユニットおよびグランドユニットを有する。この場合、電圧・電流源/電圧・電流計を具備したSMU131〜134や電圧測定専用のVMU135,136、接地回路であるGNDU137を装備しており、テストヘッド本体51内に内蔵、もしくはテストヘッド本体51の入出力インターフェースを介してテストヘッド本体51外部から接続される構成となっている。本実施形態ではプローブカード配線102が20本あるが、それぞれを識別するために1から20の数字を割り振っている。本実施形態の一例では3から9番のプローブカード配線102にプローブ104が接続されている。
【0045】
また、プローブカード配線102どうしを電気的に接続するスイッチング素子を備え、任意の2つ以上のプローブカード配線102が、スイッチング素子によって電気的に接続または切断される。ここでは、スイッチングIC121がプローブカード上に取り付けられており、プローブカード配線102の3から10番に配線122で接続されている。スイッチングIC121はスイッチングIC用信号配線125から入力される信号によって、任意のプローブカード配線102どうしを接続する機能を有している。もちろん、全てのプローブカード配線102どうしを同時に一括して接続しても構わない。スイッチングICを動作させる電源は、スイッチング配線用電源配線123,124から供給される。
【0046】
以上の構成のプローブカードを用いることによって、例えばプローブカード配線102の10番にGNDUを、プローブカード配線102の3番から9番に検査ユニットを接続すると、スイッチングIC121を介して検査ユニットとGNDUを接続することが可能となり、検査ユニットからスイッチングマトリクスを介してプローブ先端にいたる経路に帯電した電荷を除電することが可能になる。
【0047】
次に、本実施形態にかかる半導体検査システムの除電方法について、図4および図5に基づいて説明する。
【0048】
まず、上記した構成のプローブカードを半導体検査装置のテストヘッドに接続する。上記のテストヘッドは、図6に示したように4つのSMU131〜134、2つのVMU135,136、GNDU137が接続されており、スイッチングマトリクス53、ポコピン52を介して上記プローブカードに接続される。
【0049】
次に、スイッチングマトリクス53を操作することにより、図4(a)に示すようにSMU131〜134をプローブカード配線102の3〜6番に、VMU135,136はプローブカード配線102の8,9番に、GNDU137はプローブカード配線102の10番に、それぞれ接続する。また、スイッチングIC用電源配線124はグランド128に接続する。さらに、スイッチングIC用電源配線123はスイッチングIC121を動作させるための電源126に接続する。
【0050】
なお、電源126およびグランド128は、半導体検査装置外部から供給されてもよいし、電源126は半導体検査装置が持つSMUを、グランド128は、スイッチングマトリクス53にあるGNDUを用いて接続してもかまわない。このように、SMUやGNDUを使えば、すべて半導体検査装置のプログラムから制御することが可能になる。
【0051】
次に、スイッチングIC用信号配線125に信号127を入力し、プローブカード配線102の3番と10番をスイッチングIC121内部で電気的に接続させる。すると、図4(b)に示すようにプローブカード配線102の3番に接続されているプローブ104からSMU131までの経路がすべてGNDU137に接続されることになり、経路上に帯電した電荷が除電経路151を通ってGNDU137に抜け、除電される。
【0052】
次に、スイッチングIC用信号配線125に異なる信号127を入力し、プローブカード配線102の4番と10番をスイッチングIC121内部で電気的に接続させる。すると、図5(a)に示すようにプローブカード配線102の4番に接続されているプローブ104からSMU132までの経路がすべてGNDU137に接続されることになり、経路上に帯電した電荷が除電経路152を通ってGNDU137に抜け、除電される。
【0053】
このようにして、スイッチングIC用信号配線125に次々に異なる信号を入力させることによって残りのプローブカード配線102の5から8番を順次プローブカード配線10に接続して除電を行う。
【0054】
最後に、図5(b)のようにVMU136とGNDU137が接続され、電荷が除電経路158を通って除電され、すべてのプローブとSMU、VMUが除電されたことになる。
【0055】
次に、スイッチングIC用信号配線125の信号入力を止めることによって、スイッチングIC121内部が電気的にオフとなり、プローブカード配線102の3から10番はお互いに接続されない状態となり、半導体装置の検査を開始することが可能となる。
【0056】
以上の構成により、検査ユニットからスイッチングマトリクスを介しプローブ先端にいたる経路に帯電した電荷を除電することが可能であり、デバイス破壊が無く、正しい測定値を得ることが可能となる。
【0057】
また、本実施形態における除電方法では、検査ユニットを1つずつGNDUに接続し、逐次型の除電を行っているが、全配線を一括で接続できるスイッチングICを用いれば全検査ユニットを同時に除電することができ、除電に要する時間が短く、検査速度にも大きな影響はない。
【0058】
なお、高電圧に帯電した特定の検査ユニットがあって、その他の正常な検査ユニットと同時に接続して除電しようとした場合、高電圧に帯電した検査ユニットから正常な検査ユニットに瞬間的に大電流が流れ込み、正常な検査ユニットにダメージを与えることも予想される。このような場合には、本実施形態におけるスイッチングICを用いた逐次型の除電を行えば各々の測定ユニットを独立に除電するため、正常な検査ユニットにダメージを与えることなく除電することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の半導体装置検査用プローブカードおよびそのプローブカードを使った半導体検査システムの除電方法は、検査ユニットからスイッチングマトリクスを介しプローブ先端にいたる経路に帯電した電荷を除電することが可能であり、デバイス破壊が無く、正しい測定値が得られるものであり、パラメトリックテスターやウェハーオートプローバから構成される半導体装置検査システムを用いた半導体ウェハー検査等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置検査用プローブカードの概略図であり、プローブカード上にスイッチング素子としてリレーを用いた場合である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体検査システムの除電方法を示す説明図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置検査用プローブカードの概略図であり、スイッチング素子として1チップ化されたスイッチングICを用いた場合である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る半導体検査システムの除電方法を示す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る半導体検査システムの除電方法を示す説明図である。
【図6】(a)は半導体検査装置のテストヘッドを下から見た概略図であり、(b)は前記テストヘッドの断面構造を模式図である。
【図7】従来の半導体装置検査用プローブカードの概略図である。
【符号の説明】
【0061】
51 テストヘッド本体
52 ポコピン
53 スイッチングマトリクス
101 プローブカード本体
102 プローブカード配線
103 テストヘッドポコピン接続場所
104 プローブ
111 リレー回路
112 リレー回路オン/オフ端子1
113 リレー回路オン/オフ端子2
114 リレー回路オン/オフ用電源
115 グランド
116 スイッチ
121 スイッチングIC
122 スイッチング素子−プローブカード配線接続用配線
123 スイッチングIC用電源配線1
124 スイッチングIC用電源配線2
125 スイッチングIC用信号配線
126 スイッチングIC用電源
127 スイッチングIC用信号
128 グランド
131〜134 SMU
135,136 VMU
137 GNDU
151,152,158 除電経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置の電極用パッドに接触するプローブを有したプローブカード配線を複数備え、前記プローブカード配線を半導体検査装置の複数の検査ユニットおよびグランドユニットに接続可能とした半導体装置検査用プローブカードであって、
前記プローブカード配線どうしを電気的に接続するスイッチング素子を備え、任意の2つ以上の前記プローブカード配線が、前記スイッチング素子によって電気的に接続または切断されることを特徴とする半導体装置検査用プローブカード。
【請求項2】
前記スイッチング素子によって、半導体装置の検査時に使用される全ての前記プローブカード配線が同時に一括して電気的に接続される請求項1記載の半導体装置検査用プローブカード。
【請求項3】
前記スイッチング素子がリレー回路またはスイッチングICからなる請求項1または2記載の半導体装置検査用プローブカード。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置検査用プローブカードを前記半導体検査装置に装着した半導体検査システムの除電方法であって、
前記複数のプローブカード配線の各々に、対応する前記半導体検査装置の複数の検査ユニットおよびグランドユニットを接続するステップと、
前記スイッチング素子をオン状態にして全ての前記検査ユニットを前記グランドユニットに同時に接続し、前記検査ユニットから前記プローブ先端までの経路を一括で除電する除電ステップとを含む半導体検査システムの除電方法。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置検査用プローブカードを前記半導体検査装置に装着した半導体検査システムの除電方法であって、
前記複数のプローブカード配線の各々に、対応する前記半導体検査装置の複数の検査ユニットおよびグランドユニットを接続するステップと、
前記スイッチング素子をオン状態にして、前記複数の検査ユニットのうちの第1の検査ユニットを前記グランドユニットに接続し、前記第1の検査ユニットから前記第1の検査ユニットに接続された前記プローブ先端までの経路を一括で除電する除電ステップと、
前記第1の検査ユニットの除電が完了した後、前記スイッチング素子をオフ状態にして、前記第1の検査ユニットを前記グランドユニットから切断する切断ステップと、
前記第1の検査ユニットに対して行った除電ステップおよび切断ステップを、前記複数の検査ユニットの残りの検査ユニットに対して順次実施するステップとを含む半導体検査システムの除電方法。
【請求項6】
前記スイッチング素子がリレー回路またはスイッチングICからなる請求項4または5記載の半導体検査システムの除電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−205969(P2007−205969A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−26783(P2006−26783)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】