説明

半導体装置

【課題】 2層の電極構造を有するディスクリート型バイポーラトランジスタでは、2層目のベース電極下方に1層目のエミッタ電極が配置され、2層目のエミッタ電極下方に1層目のベース電極が配置される。このため電極の引き回しによる水平方向の配線抵抗がチップ内で不均一となり、電流容量が大きくできない問題があった。
【解決手段】 ベース領域を第1コンタクトホールを介して1層目の第1ベース電極と接続させ、第1ベース電極を第1スルーホールまたは第2スルーホールを介して2層目の第2ベース電極16と接続させる。エミッタ領域を第2コンタクトホールを介して1層目の第1エミッタ電極と接続させ、第1エミッタ電極を、第2ベース電極の第2開口部、第3スルーホールを介して、3層目の第2エミッタ電極と接続させる構成とする。これにより各セルの配線抵抗のばらつきを略均一軽減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に係り、特にトランジスタの大電流化、低飽和電圧化を実現できる半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクリート型のバイポーラトランジスタとして、格子状のエミッタ領域と島状のベース領域からなる動作領域上にベース電極およびエミッタ電極をそれぞれ2層に配置したバイポーラトランジスタが知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
図8および図9を参照して従来の半導体装置100を、npn型バイポーラトランジスタを例に説明する。
【0004】
図8は、半導体装置(バイポーラトランジスタ)100の全体の平面図であり、図8(A)が1層目の電極を示す図であり、図8(B)が2層目の電極を示す図である。尚、図8(B)では1層目の電極は破線で示した。また、図9は断面図であり、図9(A)が図8(B)のc−c線断面図であり、図9(B)が図8(B)のd−d線断面図である。
【0005】
図8を参照して、バイポーラトランジスタ100は、基板表面に、1層目の電極である第1ベース電極56および第1エミッタ電極57が設けられ(図8(A))、その上に絶縁膜(不図示)を介して2層目の電極である第2ベース電極66および第2エミッタ電極67が設けられた、2層の電極構造を有する。
【0006】
図8および図9を参照して、n+型シリコン半導体基板51a上に、例えばn−型半導体層51bを積層するなどし、コレクタ領域を設ける。n−型半導体層51b表面にはp型不純物領域であるベース領域53を設け、ベース領域53表面には格子状にn+型不純物を拡散して、エミッタ領域54が形成される。これによりベース領域53は島状に分離され、エミッタ領域54と交互に配置される。尚、島状に分離されているのは表面的な構造であり、エミッタ領域54より深く形成されるベース領域53は、深い領域で1つの連続した領域となっている。このように島状に分割されたベース領域53とその周辺のエミッタ領域54で形成されるトランジスタを、以下セルと称し、多数のセルが配置された領域を動作領域58と称する。
【0007】
ベース領域53に接続する1層目のベース電極は、島状の第1ベース電極56aと短冊状の第1ベース電極56bからなり、第1絶縁膜61に設けたコンタクトホールCH1’を介してベース領域53とコンタクトする。図8(A)の1列、2列、5列、6列では島状の第1ベース電極56aと短冊状の第1ベース電極56bは、動作領域58を略中央で2分した領域にそれぞれ配置される。また、外周には枠状のベース電極56fが設けられ、更にその外側にシールドメタル59が設けられる。シールドメタル59下方にはアニュラー55が設けられる。
【0008】
第1エミッタ電極57は、第1ベース電極56a、56b間に格子状に設けられ、第1絶縁膜61に設けたコンタクトホールCH2’を介してエミッタ領域54とコンタクトする。
【0009】
第1ベース電極56a、56bおよび第1エミッタ電極57上に、第2絶縁膜62が設けられ、更にその上に2層目となる平板状の第2ベース電極66および第2エミッタ電極67が設けられる。第2ベース電極66は、第2絶縁膜62に設けたスルーホールTH1’を介して島状の第1ベース電極56a、および短冊状の第1ベース電極56bの端部とコンタクトする(図9(A))。
【0010】
第2エミッタ電極67は、第2絶縁膜62に設けたスルーホールTH2’を介して第1エミッタ電極57とコンタクトする(図9(B))。平板状の第2ベース電極66と第2エミッタ電極67には、金(Au)などのボンディングワイヤ(不図示)が接続する。
【特許文献1】特開2000−40703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のバイポーラトランジスタは、ベース電極およびエミッタ電極がそれぞれ2層構造となっており、2層目の電極まで引き回す1層目の電極の配線抵抗の影響から、各トランジスタセルが均一動作できず、電流容量が小さくなっている。
【0012】
具体的には図9(A)を参照して、2層目の第2エミッタ電極67下方に、1層目の短冊状の第1ベース電極56bが配置されており、第2エミッタ電極67下方のベース領域53はこの第1ベース電極56bで配線され、ボンディングワイヤが固着する第2ベース電極66に接続している。一方、第2ベース電極66直下には、島状の第1ベース電極56aが配置されている。つまり、第1ベース電極56bで配線されるベース領域53を流れるベース電流の配線抵抗Rb’には、島状の第1ベース電極56aで配線されるベース領域53を流れるベース電流に比べて基板表面に対して水平方向の配線抵抗Rが加わり、第2ベース電極66からの距離が遠くなるほどベース電流が小さくなる。
【0013】
また図9(B)を参照して、2層目の第2ベース電極66下方に1層目の第1エミッタ電極57が配置されており、第2ベース電極66下方のエミッタ領域54はこの第1エミッタ電極57で配線され、ボンディングワイヤが固着する第2エミッタ電極67に接続している。つまり、この断面においてエミッタ電流の配線抵抗Re’に基板表面に対して水平方向の配線抵抗Rが加わり、第2エミッタ電極67からの距離が遠くなるほどエミッタ電流が小さくなる。
【0014】
このように、動作領域内のトランジスタセルは配線抵抗が不均一のため均一に動作することができず、ベース電流があまり流れずにオン抵抗が大きくなったセルは、エミッタ電流が流れにくくなり、単位面積当たりの電流容量が制限される問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上述した種々の問題点に鑑みてなされたものであり、コレクタ領域となる一導電型半導体基板と、前記基板上に設けられ、互いに離間する複数の逆導電型のベース領域と、前記ベース領域の周囲に設けられた一導電型のエミッタ領域と、前記基板表面を覆う第1絶縁膜と、該第1絶縁膜に設けられ前記ベース領域および前記エミッタ領域がそれぞれ露出する第1コンタクトホールおよび第2コンタクトホールと、前記第1コンタクトホールを介して、前記ベース領域とそれぞれコンタクトする第1ベース電極と、前記第2コンタクトホールを介して前記エミッタ領域とコンタクトする1つの平板状の第1エミッタ電極と、前記第1ベース電極および前記第1エミッタ電極上を覆う第2絶縁膜と、該第2絶縁膜に設けられ、前記第1ベース電極が露出する第1スルーホールおよび第2スルーホールと、前記第2絶縁膜上に前記第1スルーホールおよび前記第2スルーホールを覆って設けられ、該両スルーホールを介して前記第1ベース電極と接続する1つの平板状の第2ベース電極と、該第2ベース電極上に設けられた第3絶縁膜と、該第3絶縁膜および前記第2絶縁膜に設けられた複数の第3スルーホールと、前記第3絶縁膜上で前記第3スルーホールを覆って設けられ、該第3スルーホールを介して前記第1エミッタ電極と接続する1つの平板状の第2エミッタ電極と、を具備することにより解決するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば以下の効果が得られる。
【0017】
チップ内の全てのセルが、ほぼ同じ電極構造を有するため、配線抵抗が不均一になることを防止できる。これにより、各セルを均一動作させることができ、電流集中による熱暴走の回避およびこれによる安全動作領域(ASO:Area of Safe Operating)を広くできる。つまり、単位面積当たりの電流容量を大きくすることができるので、例えば同一チップサイズを維持した場合に大電流化、低飽和電圧化が可能となる。
【0018】
また同じコレクタ電流Ic定格の場合、単位面積当たりの電流容量の増加分、チップサイズを小さくすることが可能であり、コスト低減が実現する。またチップサイズを小さくすることにより、スイッチングスピードを速くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1から図7を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本実施形態では半導体装置10としてディスクリート素子のnpn型バイポーラトランジスタを例に説明する。
【0020】
本実施形態の半導体装置10は、一導電型半導体基板1と、ベース領域3と、エミッタ領域4と、第1絶縁膜21と、第1コンタクトホールCH1と、第2コンタクトホールCH2と、第1ベース電極6と、第1エミッタ電極7と、第2絶縁膜22と、第1スルーホールTH1と、第2スルーホールTH2と、第2ベース電極16と、第3絶縁膜23と、第3スルーホールTH3と、第2エミッタ電極17と、を有する。
【0021】
図1は本実施形態の半導体装置10の構造を示す平面図である。図1は、半導体装置10の電極の構造を示す概略図であり、図1(A)が1層目の電極構造である。図1(B)が2層目の電極構造であり、1層目および3層目の電極を破線で示した。また、図1(C)が3層目の電極構造であり、1層目および2層目の電極を破線で示した。更にベース領域およびエミッタ領域は一点鎖線で示した。
【0022】
半導体装置10は、3層の電極構造を有している。すなわち、1層目に第1ベース電極6、第1エミッタ電極7が配置される。第1ベース電極6は、互いに離間する複数の島状ベース電極6iと、複数の島状ベース電極6iの全てを囲む枠状ベース電極6fからなる。尚、図面は概要のため4つの島状ベース電極6iを示しているが、実際はこれより多い。第1エミッタ電極7は、島状ベース領域の周囲に配置された平板状のパターンである(図1(A))。第1ベース電極6を囲むチップの周辺部には、チップ端部の基板表面に設けられたn型の高濃度不純物領域(アニュラー)4’とコンタクトする金属層(シールドメタル)7’が設けられる。
【0023】
2層目は、平板状の第2ベース電極16が配置され(図1(B))、3層目(最表面)には平板状の第2エミッタ電極17が配置される。第2エミッタ電極17は第2ベース電極16より小さく、第2エミッタ電極17の周囲には、下層の第2ベース電極16が露出する。第2エミッタ電極17のパッド部(エミッタパッド部)17P、露出した第2ベース電極16のパッド部(ベースパッド部)16Pに、それぞれ例えばボンディングワイヤが固着する(図1(C))。
【0024】
ベース電極、エミッタ電極としては、それぞれ2層構造であり、ベース電極は1層目と2層目に配置され、2層目はベース電極(第2ベース電極16)のみが配置される。またエミッタ電極は1層目と3層目に配置され、3層目はエミッタ電極(第2エミッタ電極17)のみが配置される。
【0025】
図2は、図1に示す半導体装置の端部付近を示す拡大図である。端部付近とは、図1(C)の二点鎖線付近であるが、図2で示される第1ベース電極の数は図1(C)とは異なっている。図2(A)が平面図、図2(B)、(C)がそれぞれ図2(A)のa−a線断面図、b−b線断面図である。尚、図2(A)では全ての層の電極、絶縁膜、および動作領域のパターンを重ねて示している。また、図1の二点鎖線部分はチップの一辺の端部を含んでいるが、チップの四辺において端部の形状は同様である。
【0026】
図2(A)のa−a線断面においては、ベース領域3が第1コンタクトホールCH1を介して第1ベース電極6と接続し、第1ベース電極6が第1スルーホールTH1、または第2スルーホールTH2を介して第2ベース電極16と接続する。また、エミッタ領域4が第2コンタクトホールCH2を介して第1エミッタ電極7と接続する。
【0027】
図2(A)のb−b線断面においては、第1ベース電極6が第2スルーホールTH2を介して第2ベース電極16に接続する。またエミッタ領域4が第2コンタクトホールCH2を介して第1エミッタ電極7と接続し、第1エミッタ電極7は、第3スルーホールTH3を介して第2エミッタ電極17と接続する。
【0028】
第2エミッタ電極17は、第2ベース電極16より小さく、第2エミッタ電極17の周囲に第3絶縁膜23が露出する。第2エミッタ電極17を囲む第3絶縁膜23には第4スルーホールTH4が設けられ、第2ベース電極16が露出する。露出した第2ベース電極16の一部の領域は、ボンディングワイヤ26が固着するベースパッド部16Pとなる。また、第2エミッタ電極17表面の所望の領域がボンディングワイヤ27が固着するエミッタパッド部17Pとなる(図2(B)、図1(C))。エミッタパッド部17Pには、複数のボンディングワイヤ、あるいはベースパッド部16Pより太いボンディングワイヤを固着する。またはエミッタパッド部17Pには、プレート状の電極を固着する。半導体基板1の裏面にはコレクタ電極18が設けられる。
【0029】
尚、図2(B)においてボンディングワイヤの固着の状態を示すため第2ベース電極16上にボディングワイヤ26を破線で示したが、実際には図1(C)の如く、チップコーナー部に露出した第2ベース電極16をベースパッド部16Pとすると、ボンディングワイヤの固着面積が大きく確保できるので、好適である。
【0030】
以下、各層ごとに図面を参照して詳述する。
【0031】
図3は、動作領域8を示す図であり、図3(A)が平面図、図3(B)、(C)が図3(A)のa−a線、b−b線の断面図である。尚、以降の図において、a−a線、b−b線は全て図2のa−a線、b−b線の断面と同じ部分の断面に相当する。
【0032】
半導体基板1は、高濃度のn+型半導体基板1aの上に例えばエピタキシャル成長などによりn−型半導体層1bを設けたものであり、バイポーラトランジスタのコレクタ領域となる。
【0033】
ベース領域3は、コレクタ領域表面に設けられたp型拡散領域である。ベース領域3表面には、部分的に複数のベース領域3が露出するパターンにn+型不純物を拡散してエミッタ領域4を形成する。ベース領域3は、島状でチップ辺に沿った行及び列上に所定の間隔で露出する島状ベース領域3iと、複数の島状ベース領域3iおよびエミッタ領域4の外側を囲む枠状ベース領域3fにパターンニングされる。
【0034】
全体の図示は省略するが、島状ベース領域3iおよび枠状ベース領域3fのパターンはそれぞれ1層目の島状ベース電極6i、枠状ベース電極6fのパターンと同様であり、エミッタ領域4のパターンは、1層目の第1エミッタ電極7のパターンと同様である(図1(A)参照)。
【0035】
島状ベース領域3iはいずれも同等の形状及び面積で、本実施形態では例えば円形の場合を示すが、多角形でもよい。尚、島状および枠状に分離されているのは表面的な構造であり、エミッタ領域4より深く形成されるベース領域3は、深い領域で1つの連続した領域となっている(図3(B)、(C))。ベース領域3とエミッタ領域4で形成されるセルが多数配置され、動作領域8を構成する。すなわち本実施形態では、ベース領域3の形成領域を動作領域8の範囲とする。
【0036】
尚、チップの端部にもエミッタ領域と同じn型不純物領域(アニュラー)4’が設けられる。アニュラー4’は、コレクタ領域の空乏層の広がりを防止し、またシールドメタル7’下方のn−型半導体層1bがp型に反転することを防止することにより、リーク電流を小さくする。
【0037】
図4は1層目の絶縁膜のパターンおよび1層目の電極構造を示す図であり、図4(A)が絶縁膜とコンタクトホールを示す平面図、図4(B)は電極構造を示す平面図である。図4(C)は、図4(B)のa−a線断面図、図4(D)は図4(B)のb−b線断面図である。
【0038】
図4(A)を参照して、動作領域8(ベース領域3およびエミッタ領域4)表面には第1絶縁膜21が設けられる。
【0039】
第1絶縁膜21には、ベース領域3、エミッタ領域4にそれぞれ対応してこれらが露出する第1コンタクトホールCH1、第2コンタクトホールCH2が設けられる。第1コンタクトホールCH1は例えば円形に設けられ、島状ベース領域3iと同心円状に配置される(図2(A))。また枠状ベース領域3f上にも例えば同面積の円形の第1コンタクトホールCH1が所定の距離で離間して、複数設けられる。(図4(A))。
【0040】
動作領域8上においてエミッタ領域4の上方に第2コンタクトホールCH2が開口される。第2コンタクトホールCH2は、第1コンタクトホールCH1の周囲にこれと同心状(例えば同心円状)に所望の幅の第1絶縁膜21を残してそれ以外が連続して開口される。すなわち、動作領域8においては、第1絶縁膜21は、島状ベース電極6iの周りを囲む例えばリング状に設けられて、隣り合う第1絶縁膜21の間が第2コンタクトホールCH2となる。またチップ端部の第1絶縁膜21に枠状の第3コンタクトホールCH3が設けられ、n+型不純物領域4’が露出する。第3コンタクトホールCH3は、組立時にダイシングするスクライブ線である。
【0041】
第1絶縁膜21上には、第1ベース電極6および第1エミッタ電極7が設けられる。第1ベース電極6は、ベース領域3に対応する2つのパターンからなる。すなわち、島状でチップ辺に沿った行及び列上に所定の間隔で配置される島状ベース電極6iと、複数の島状ベース電極6iおよび第1エミッタ電極7の外側を囲む枠状ベース電極6fである。
【0042】
島状ベース電極6iは、島状ベース領域3iおよび第1コンタクトホールCH1と重畳するパターンで複数設けられ、第1コンタクトホールCH1を介して島状ベース領域3iとコンタクトする。すなわち島状ベース電極6iは、例えば円形であり、島状ベース領域3i及び第1コンタクトホールCH1と同心円状に設けられる。これらは動作領域8上でマトリクス状に配置される(図1(A)、図2(A))。
【0043】
枠状ベース電極6fは枠状ベース領域3fと重畳する。これらは複数の第1コンタクトホールCH1を介してコンタクトする。
【0044】
第1エミッタ電極7は、動作領域8上では1つの平板状に設けられ、マトリクス状に配列された第1開口部OP1を有する。そしてそれぞれの第1開口部OP1の中央に、島状ベース電極6iが配置される。第1開口部OP1のパターンは例えば円形である。またチップの端部のn型不純物領域4’の上に、これとコンタクトする金属層(シールドメタル)7’が設けられる。金属層7’は、枠状ベース電極6fの更に外側を囲む枠状にパターンニングされる。
【0045】
図4(C)を参照して、a−a線断面においては、第1ベース電極6は、第1コンタクトホールCH1を介してベース領域3とコンタクトし、第1エミッタ電極7は、第2コンタクトホールCH2を介してエミッタ領域4とコンタクトする。またこの断面においては、島状ベース領域3i、第1コンタクトホールCH1、島状ベース電極6i(以下これらをベース群と総称する)と、エミッタ領域4、第2コンタクトホールCH2、第1エミッタ電極7とが交互に配置される。尚、n−型半導体層1bより下の図示は省略する。
【0046】
図4(D)を参照して、b−b線断面においては、動作領域8の略全面に渡り、1つの連続したエミッタ領域4が設けられ、また、第1絶縁膜21には1つの連続した第2コンタクトホールCH2が設けられる。この第2コンタクトホールCH2は、図4(C)の第2コンタクトホールCH2とも連続する。そして、第2コンタクトホールCH2を介して、第1エミッタ電極7がエミッタ領域4とコンタクトする。すなわちこの断面においては、島状ベース領域3i、第1コンタクトホールCH1、島状ベース電極6iは設けられない。チップ端部では、シールドメタル7’とn型不純物領域4’が第3コンタクトホールCH3を介してコンタクトする。尚、n−型半導体層1bより下の図示は省略する。
【0047】
図5は2層目の絶縁膜および2層目の電極構造を示す図であり、図5(A)が2層目の絶縁膜(第2絶縁膜)およびスルーホールのパターンを示す平面図、図5(B)は2層目の電極を示す平面図である。
【0048】
図5(C)は図5(B)のa−a線断面図、図5(D)は図5(B)のb−b線断面図である。
【0049】
図5(A)を参照して、第1ベース電極6および第1エミッタ電極7を覆って第2絶縁膜22が設けられる。第2絶縁膜22には、島状ベース電極6iが露出する複数の第1スルーホールTH1と、枠状ベース電極6fが露出する第2スルーホールTH2が設けられる。
【0050】
複数の第1スルーホールTH1は同一形状(例えば円形)および同一面積を有し、ベース群と同心円状に配置される。第2スルーホールTH2は、枠状ベース電極6fに重畳し、これより幅の狭い枠状に形成される。
【0051】
図5(B)を参照して、第2絶縁膜22上には1つの平板状の第2ベース電極16が設けられる。
【0052】
第2ベース電極16は、動作領域8から動作領域8外に渡ってこれらの上を連続して覆う。すなわち、第1スルーホールTH1および第2スルーホールTH2は第2ベース電極16に覆われる。そして、第2ベース電極16は複数の第2開口部OP2を有する。第2開口部OP2は第1スルーホールTH1の間にマトリクス状に設けられる。具体的には、第2開口部OP2は、例えば円形に設けられ、第3スルーホールTH3と同心円状に配置される(図2(A)参照)。
【0053】
図6を参照して、第3層目の絶縁膜(第3絶縁膜)およびスルーホールのパターンと、第3層目の電極の構造を説明する。図6(A)は、第3絶縁膜および第3スルーホールのパターンを示す平面図であり、図6(B)は、第3層目の電極となる、第2エミッタ電極17を示す平面図である。図6(C)は図6(B)のa−a線断面図であり、図6(D)は図6(B)のb−b線断面図である。
【0054】
第3絶縁膜23は、第2ベース電極16上に設けられる。第3絶縁膜23および第2絶縁膜22には、第3スルーホールTH3が設けられる。第3スルーホールTH3は、その下方の第2開口部OP2と重畳する。第3スルーホールTH3は例えば円形に設けられ、第3スルーホールTH3、第2開口部OP2は、同心円状に配置される(図2(A)参照)。
【0055】
第1スルーホールTH1は島状ベース電極6iと対応して第1のマトリクスを構成するように配置される。また第3スルーホールTH3は、1つの第1エミッタ電極7に対して複数設けられ、第1のマトリクスを例えば半ピッチずらした第2のマトリクスを構成するように配置される。従って、第3スルーホールTH3は、第1スルーホールTH1およびベース群と重畳することはない。
【0056】
複数の第3スルーホールTH3も図5の第1スルーホールTH1と同一形状であるが、その面積は第1スルーホールTH1より大きい。
【0057】
第3スルーホールTH3、第2開口部OP2からは第1エミッタ電極7が露出する。
【0058】
また、動作領域8の一部を含むその外周に第4スルーホールTH4が設けられる。更にチップ端部に第5スルーホールTH5(スクライブ線)が設けられ、n型不純物領域4’が露出する。
【0059】
第2エミッタ電極17は、エミッタ電極としては2層目であるが、半導体基板1上に設けられた電極層としては3層目の電極となる。第2エミッタ電極17は、第3絶縁膜23上に設けられ動作領域8の上を覆う1つの平板状の電極である。第2エミッタ電極17の面積は、第2ベース電極16の面積より小さく、平面図において第2エミッタ電極17の周囲には、第4スルーホールTH4を介して第2ベース電極16の外周部が露出し、その一部がベースパッド部16Pとなる(図1(C)参照)。
【0060】
図6(B)のa−a線断面においては、平板状の第2エミッタ電極17の下方は第3絶縁膜23が配置され、2層目に設けられた第2ベース電極16と絶縁されている。一方、図6(B)のb−b線断面においては、第2エミッタ電極17が、第3絶縁膜23に設けられた第3スルーホールTH3、第2ベース電極16に設けられた第2開口部OP2を介して、1層目の第1エミッタ電極7とコンタクトする。
【0061】
これにより半導体装置10は、ベース領域3が第1コンタクトホールCH1を介して1層目の第1ベース電極6と接続し、第1ベース電極6が第1スルーホールTH1または、第2スルーホールTH2を介して2層目の第2ベース電極16と接続する。またエミッタ領域4が第2コンタクトホールCH2を介して1層目の第1エミッタ電極7と接続し、第1エミッタ電極7が第3スルーホールTH3、第2ベース電極16の第2開口部OP2を介して、3層目の第2エミッタ電極17と接続する。
【0062】
図7は、図6(C)(D)を拡大した図であり、図7(A)が図6(C)に相当し、図7(B)が図6(D)に相当する。
【0063】
図7(A)を参照して第2ベース電極16は動作領域8の全ての第1ベース電極6の直上に延在し、第1ベース電極6(ベース領域3)は基板の水平方向に引き回されることなく最短距離で第2ベース電極16に接続する。これにより、基板表面に対して水平方向のベース電極(第1ベース電極6および第2ベース電極16)の配線抵抗を最小限に抑えることができる。
【0064】
第2エミッタ電極17は動作領域8の全ての第1エミッタ電極7の直上に延在し、第1エミッタ電極7(エミッタ領域3)は基板の水平方向に引き回されることなく最短距離で第2エミッタ電極17に接続する。これにより、基板表面に対して水平方向のエミッタ電極(第1エミッタ電極7および第2エミッタ電極17)の配線抵抗を最小限に抑えることができる。
【0065】
尚、第2ベース電極16は、動作領域8上で基板の表面に対して水平方向に引き回されるが、平板状でその面積も大きく、また、ベース電流はエミッタ電流の1/10〜1/100程度と小さい。従って配線抵抗の影響が小さいことから、均一動作に対し、ほとんど影響がない。
【0066】
従って、トランジスタ全体として、基板水平方向の電極の配線抵抗を最小限に抑えることができる。また動作領域8上のトランジスタのセルは、ベース側およびエミッタ側でそれぞれ同じ電極構造となる。つまり、全てのセルでベース電流の配線抵抗およびエミッタ電流の配線抵抗をそれぞれほぼ均一となる。従って、チップ内のセルは均一動作し電流集中による熱暴走の発生を回避し、安全動作領域を拡大できるので、単位面積当たりの電流容量を大きくできる。
【0067】
これにより、従来の2層電極構造の場合と比較して、同一チップサイズであれば大電流化、低飽和電圧化が可能となる。また同じコレクタ電流Ic定格の場合、単位面積当たりの電流容量の向上分、チップサイズを縮小することができ、コストを低減できる。
【0068】
また、チップサイズを小さくすることによりスイッチングスピードを向上させることができる。
【0069】
以上、本実施形態ではnpn型バイポーラトランジスタを例に説明したが、導電型を逆にしたpnp型バイポーラトランジスタであっても同様に実施でき、同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施形態を説明するための平面図である。
【図2】本発明の実施形態を説明するための(A)平面図、(B)断面図、(C)断面図である。
【図3】本発明の実施形態を説明するための(A)平面図、(B)断面図、(C)断面図である。
【図4】本発明の実施形態を説明するための(A)平面図、(B)平面図、(C)断面図、(D)断面図である。
【図5】本発明の実施形態を説明するための(A)平面図、(B)平面図、(C)断面図、(D)断面図である。
【図6】本発明の実施形態を説明するための(A)平面図、(B)平面図、(C)断面図、(D)断面図である。
【図7】本発明の実施形態を説明するための(A)断面図、(B)断面図である。
【図8】従来技術を説明するための(A)平面図、(B)平面図である。
【図9】従来技術を説明するための(A)断面図、(B)断面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 半導体基板
1a n+型半導体基板
1b n−型半導体層
3 ベース領域
3i 島状ベース領域
3f 枠状ベース領域
4 エミッタ領域
6 第1ベース電極
6i 島状ベース電極
6f 枠状ベース電極
7 第1エミッタ電極
8 動作領域
10 半導体素子
16 第2ベース電極
16P ベースパッド部
17 第2エミッタ電極
17P エミッタパッド部
21 第1絶縁膜
22 第2絶縁膜
23 第3絶縁膜
26、27 ボンディングワイヤ
51a n+型半導体基板
51b n−型半導体層
53 ベース領域
54 エミッタ領域
56 第1ベース電極
57 第1エミッタ電極
58 動作領域
66 第2ベース電極
67 第2エミッタ電極
100 半導体素子
CH1 第1コンタクトホール
CH2 第2コンタクトホール
CH3 第3コンタクトホール
TH1 第1スルーホール
TH2 第2スルーホール
TH3 第3スルーホール
TH4 第4スルーホール
TH5 第5スルーホール
TH6 第6スルーホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コレクタ領域となる一導電型半導体基板と、
前記基板上に設けられ、互いに離間する複数の逆導電型のベース領域と、
前記ベース領域の周囲に設けられた一導電型のエミッタ領域と、
前記基板表面を覆う第1絶縁膜と、
該第1絶縁膜に設けられ前記ベース領域および前記エミッタ領域がそれぞれ露出する第1コンタクトホールおよび第2コンタクトホールと、
前記第1コンタクトホールを介して、前記ベース領域とそれぞれコンタクトする第1ベース電極と、
前記第2コンタクトホールを介して前記エミッタ領域とコンタクトする1つの平板状の第1エミッタ電極と、
前記第1ベース電極および前記第1エミッタ電極上を覆う第2絶縁膜と、
該第2絶縁膜に設けられ、前記第1ベース電極が露出する第1スルーホールおよび第2スルーホールと、
前記第2絶縁膜上に前記第1スルーホールおよび前記第2スルーホールを覆って設けられ、該両スルーホールを介して前記第1ベース電極と接続する1つの平板状の第2ベース電極と、
該第2ベース電極上に設けられた第3絶縁膜と、
該第3絶縁膜および前記第2絶縁膜に設けられた複数の第3スルーホールと、
前記第3絶縁膜上で前記第3スルーホールを覆って設けられ、該第3スルーホールを介して前記第1エミッタ電極と接続する1つの平板状の第2エミッタ電極と、
を具備することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記ベース領域は複数の島状ベース領域と、該複数の島状ベース領域を囲む枠状ベース領域を有し、
前記第1ベース電極は、複数の島状ベース電極と、該複数の島状ベース電極を囲む枠状ベース電極を有し、
前記島状ベース領域は前記島状ベース電極と接続し、前記枠状ベース領域は前記枠状ベース電極と接続し、
前記第1スルーホールは前記島状ベース電極上に設けられ、前記第2スルーホールは前記枠状ベース電極上に設けられることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2エミッタ電極の外周に露出する前記第3絶縁膜に第4スルーホールを設け、該第4スルーホールから露出する前記第2ベース電極の一部をパッド部とすることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1スルーホールは第1のマトリクスを構成するように配置され、前記第3スルーホールは第2のマトリクスを構成するように配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2ベース電極は開口部を有し、該開口部と前記第3スルーホールは重畳することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−109167(P2010−109167A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279923(P2008−279923)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(506227884)三洋半導体株式会社 (1,155)
【Fターム(参考)】