説明

半導体装置

【課題】
本発明は、樹脂パッケージの排湿効果をより向上可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】
半導体チップ10が載置された基板20と、前記半導体チップ10の電極と電気的に接続された外部電極が設けられたリード40と、前記リード40の前記外部電極と接続されていない側の一部を外部に導出し、前記リード40の残りの部分と前記半導体チップ10が載置された基板20とを封止する樹脂パッケージ60とを備え、前記樹脂パッケージ60内に設けられ、前記基板20に対して前記基板20に載置される前記半導体チップ10側の樹脂パッケージ60表面上に一部が露出した吸湿部材70とをさらに備えたことを特徴とする半導体装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に載置される半導体チップが樹脂パッケージに覆われた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置では、半導体チップを基板上に接着させ、半導体チップ上の電極とリード上の電極をボンディングワイヤによって接続させる。半導体チップ、基板、リードの一部及びボンディングワイヤが樹脂パッケージで覆われている。ここで、半導体チップを基板上に接続させるために、半導体チップを基板に実装する必要がある。
【0003】
半導体チップを基板に実装する際には、半導体装置は、例えば200℃の高温にさらされる。この熱により、樹脂パッケ−ジ内に入り込んだ水分が気化し、さらに気化した水蒸気が膨脹して水蒸気圧を増大させる。
【0004】
このため、半導体チップが基板より剥離したり、樹脂パッケ−ジに亀裂が発生したりするおそれがある。
【0005】
この問題に対して、半導体チップと接着されている基板に樹脂パッケージ表面に到達する突起部が設けられた半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
しかしながら、この半導体装置を実装基台(例えばマザーボード)に実装する際には、基板に設けられた突起部から排湿される水分は、樹脂パッケージ表面と近接した実装基台に遮られ、十分に樹脂パッケージ内の排湿がなされていない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−132443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、樹脂パッケージの排湿効果をより向上可能な半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る半導体装置は、半導体チップが載置された基板と、前記半導体チップの電極と電気的に接続された外部電極が設けられたリードと、前記リードの前記外部電極と接続されていない側の一部を外部に導出し、前記リードの残りの部分と前記半導体チップが載置された基板とを封止する樹脂パッケージとを備え、前記樹脂パッケージ内に設けられ、前記基板に対して前記基板に載置される前記半導体チップ側の樹脂パッケージ表面上に一部が露出した吸湿部材とをさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、樹脂パッケージの排湿効果をより向上可能な半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態における半導体装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は図1のA−A断面を示す断面図であり、図2(b)は図1のB−B断面を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態における基板の構造を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態におけるリードフレームの一態様を示す平面図である。
【図5】本発明の実施形態における半導体装置の変形例の断面を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態における吸湿部材の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。なお、全図にわたり、後述する接着部材30のハッチングは省略した。
【0013】
(第1の実施形態)
本発明の実施形態にかかる半導体装置の構成については、図1の斜視図、図2(a)の図1のA−A断面図及び図2(b)の図1のB−B断面図を用いて説明する。
【0014】
図2に示すように、本実施形態にかかる半導体装置100は、半導体チップ10と、半導体チップ10が載置された基板20と、半導体チップ10と基板20を接着する接着部材30と、リード40と、半導体チップ10の電極(図示略)とリード40の外部電極(図示略)とを接続するボンディングワイヤ50と、半導体チップ10、基板20、接着部材30、リード40の一部、及びボンディングワイヤ50を封止する樹脂パッケージ60と、図2(b)で示す樹脂パッケージ60内に設けられた吸湿部材70で構成される。
【0015】
[基板]
次に、本実施形態の基板20について、図1、図2(a)及び図3の斜視図を用いて説明する。
【0016】
図2(a)に示すように、本実施形態の基板20主面には、接着部材30を介して半導体チップ10が接着されている。この基板20主面のうち、半導体チップ10と接着される部分には、図3に示すような複数の凹部90で構成される凹部群が形成されている。それぞれの凹部90に接着部材30が充填されることによって、半導体チップ10と基板20を接着させる。図3では、理解を容易にするために、半導体チップ10と接着部材30を点線で示した。
【0017】
図3に示すように、複数の凹部90は、基板20主面の辺に沿って、略直線状に所定の間隔を隔てて設けられている。
【0018】
複数の凹部90は、半導体チップ10と基板20主面の接触部分のうち、半導体チップ10上の電極及び、電極に接続されたボンディングワイヤが設けられた側を除いた領域の一部に形成される。
【0019】
例えば、図3に示すように、半導体チップ10に設けられた電極が、半導体チップ10主面のY方向に平行な辺に沿って、略直線状に一定間隔を隔てて設けられている場合には、複数の凹部90を、基板20主面のX方向に平行な辺に沿って、略直線状に設ける。
【0020】
[接着部材]
接着部材30は、液状接着剤またはシート状接着剤等を使用することができる。接着部材30は、上記凹部群に充填されるとともに、半導体チップ10裏面(主面に対向する面)の全領域が均一に塗布され、基板20に接着できれば、上記接着部材の材料および種類については、特に限定されるものではない。上記半導体用液状接着部材としては、例えば、エポキシ系の接着部材が挙げられる。また、半導体用シート状(フィルム状)接着部材としては、例えば、ポリイミド系、エポキシ系接着剤等が挙げられる。
【0021】
[吸湿部材]
以下、本実施形態の吸湿部材70について、図1及び図2(b)を用いて説明する。なお、図2(b)において、吸湿部材70は、基板20,リード40と同種の材質であるが、理解を容易にするため、基板20,リード40とは異なるハッチングを用いた。
【0022】
吸湿部材70は、基板20の側面から、樹脂パッケージ60の上面(半導体装置を例えばマザーボードに実装した場合の上面;即ち、樹脂パッケージ60表面のうち基板20に対して半導体チップ10側の面を意味する)に向かって略棒形状である。吸湿部材70は、樹脂パッケージの上面から露出している。なお、図1及び図2(b)において、符号80a,80bは、樹脂パッケージ60の上面から露出した部分を示す。
【0023】
本実施形態の吸湿部材70は、本実施形態の半導体装置のB−B断面を眺めたときに、樹脂パッケージ60の上面から下面(上面に対向する面)に向かって、部分80a,80bから略直線状に形成されており、吸湿部材70下部は、基板20の側面に接続されるように曲がっている。
【0024】
図2(b)に示すように、吸湿部材70がY方向に対して基板20の両側に設けられており、図1に示すように、吸湿部材70は、X方向における半導体装置100の幅に対して概ね中央の部分に形成されている。
【0025】
この吸湿部材の材質として、金属例えば銅が用いられる。なお、金属に限定されることなく、吸湿する性質を有するものであれば、金属以外の部材でもよい。例えば、Fe−Ni系合金、低密度ポリエチレン、ポリウレタン系樹脂である。
【0026】
なお、本実施形態では、吸湿部材70がY方向に対して基板20の両側に設けられているが、基板20の片側のみに吸湿部材70を設けてもよい。また、本実施形態では、吸湿部材70は、X方向における半導体装置100の幅に対して概ね中央の部分に且つ、Y方向に対して基板の両側に1対設けられているが、吸湿部材70を半導体装置100の端部に設けてもよく、端部や中央部以外に設けてもよい。また、吸湿部材70をY方向に対して基板の両側に複数対、設けてもよい。
【0027】
[半導体装置の製造方法]
次に、本実施形態における半導体装置の製造方法について、図4のリードフレームの平面図を用いて説明する。
【0028】
まず、基板20とリード40が設けられたリードフレーム110を形成する。リードフレーム110は、例えばCu合金等からなる金属板をエッチングまたは精密プレスによってパターニングすることによって形成される。例えば、図4に示すように、リードフレーム110内の基板20の部分とリード40の部分との間には、隙間120が設けられ、X方向に基板20の部分とリード40の部分を離間してリードフレーム110が形成されている。
【0029】
また、図4に示すように、リードフレーム110の基板20の部分に隣接するように吸湿部材70が形成されている。この吸湿部材70は、リードフレーム110平面に対して垂直な方向(X方向及びY方向に直交する方向)に形成されている。
【0030】
次に、リードフレーム110の基板20の部分上に、接着部材で半導体チップを積層する。そして、半導体チップ上に設けられた電極とリードフレーム110のリード40の外部電極に対して、導電性のワイヤを用いて、ワイヤボンディングが行われる。
【0031】
そして、このリードフレーム110は、例えばトランスファモールド技術によって、半導体チップ10、基板20、リード40の一部、ボンディングワイヤ50を封止するようにモールド樹脂(例えば、エポキシ樹脂)によって、封止される。不要となるリードフレーム部分は切断除去することで、半導体装置を形成する。
【0032】
[実施形態の効果]
本実施形態では、吸湿部材70の一部が、樹脂パッケージ60表面のうち基板20に対して半導体チップ10側の面に露出されており、吸湿部材70の一部が樹脂パッケージの上面から露出した形状となる。ここで、毛細管現象により、樹脂パッケージ60内の水分が吸湿部材70の樹脂パッケージ60の上面から露出した部分80a,80bに向かって上昇する。
【0033】
通常、樹脂パッケージの下面に実装基台が設けられているため、部分80a,80bに到達した水分が蒸発する際には、特許文献1の場合のような遮る実装基台がない。
【0034】
このため、部分80a,80bに到達した水分は、特許文献1の場合に比べて、大気中に拡散しやすく、樹脂パッケージ60内の排湿を行うことができる。その結果、樹脂パッケージ60の排湿効果をより向上可能な半導体装置を提供できる。
【0035】
本実施形態の半導体装置のB−B断面を眺めたとき、吸湿部材70は、樹脂パッケージ60の上面から下面(上面に対向する面)に向かって、部分80a,80bから略直線状に形成されており、吸湿部材70下部は、基板20の側面に接続されるように曲がっている。つまり、吸湿部材70は、基板20と部分80a,80bを最短距離で接続している。このため、本実施形態は、基板から外部に排出するV字形状の突起部が形成されている特許文献1に比べて、より短期間に樹脂パッケージ60の排湿することができる。
【0036】
[変形例1]
次に、本実施形態の吸湿部材の変形例1について、図5を用いて説明する。図5は、本発明の実施形態における半導体装置の変形例の断面を示す断面図である。この断面は、図2(b)と同一方向の断面である。本変形例1では、図5に示すように、基板20主面に設けられた凹部群が、基板20と半導体チップ10の接着面以外の部分にも設けられている。本実施形態の変形例1における吸湿部材71a,71bは、上記の凹部90の近接に設ける。図5に示すように、基板20主面上に全体として棒状の吸湿部材71a、71bが形成される。ここで、吸湿部材71aは凹部群よりも外側の基板20主面に設けられている。また、吸湿部材71bは凹部群よりも内側の基板20主面に設けられており、吸湿部材71bはある凹部90aの直上でZ方向において樹脂パッケージの上面に延びている。
【0037】
これにより、本変形例1は、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本変形例1では、凹部群が基板20主面に形成されている。それぞれの凹部90は基板20主面に対して窪んでいるため、樹脂パッケージのみならず接着部材にある水分が凹部群に溜まりやすい。本変形例1では、凹部90の近接に吸湿部材71が設けられているため、上記実施形態の場合に比べて、樹脂パッケージ内の水分を効率的に排湿することができる。
【0038】
[変形例2]
また、上記実施形態では、吸湿部材70の下部が曲がった形状となっているが、湾曲された形状であってもよい。すなわち、吸湿部材70が、基板20と接続されればよく、吸湿部材70下部の形状は問わない。
【0039】
[変形例3]
さらに、上記実施形態では、吸湿部材70上部は、樹脂パッケージ上面から露出しているが、吸湿部材70上部を樹脂パッケージ上面に対して突出した形状としてもよい。これにより、上記実施形態の場合に比べて、吸湿部材70上部が外部に露出する面積が増大する。その結果、この面積に比例して排湿する水分量を増やすことができるため、上記実施形態の場合に比べて、樹脂パッケージ60内の水分を排湿することができる。
【0040】
[変形例4]
さらに、本実施形態の吸湿部材70は、図6に示すように、一方向、例えばX方向に所定の幅を有する形状としてもよい。図6は、本発明の実施形態における吸湿部材の変形例を示す斜視図である。吸湿部材70が外部に露出する面積が上記実施形態の場合に比べて増大する。このため、本変形例4は、樹脂パッケージ内の水分を、上記実施形態に比べて排湿することができる。
【0041】
変形例4の場合には、モールド樹脂で封止する際に用いる金型に吸湿部材70を設けて、モールド樹脂で封止するときに、基板20上に吸湿部材70が設けられるようにしてもよい。
【0042】
なお、リード40の一部とボンディングワイヤ50は、図6の他方向、例えばX方向において接続されており、Y方向においては接続されていない。その結果、吸湿部材70とボンディングワイヤ50とを干渉することなく配置することができる。特に、半導体チップ10が、半導体チップ10上の一辺、または、対抗する2辺にしか電極を有しない半導体チップである場合に有効である。例えば、このような半導体チップ10としては、NAND型不揮発性半導体記憶装置が挙げられる。
【0043】
なお、本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出されうる。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出されうる。
【符号の説明】
【0044】
10…半導体チップ
20…基板
30…接着部材
40…リード
50…ボンディングワイヤ
60…樹脂パッケージ
70 71…吸着部材
80…樹脂パッケージ60の上表面から露出した部分
90…凹部
100…半導体装置
110…リードフレーム
120…隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップが載置された基板と、
前記半導体チップの電極と電気的に接続された外部電極が設けられたリードと、
前記リードの前記外部電極と接続されていない側の一部を外部に導出し、前記リードの残りの部分と前記半導体チップが載置された基板とを封止する樹脂パッケージと
を備え、
前記樹脂パッケージ内に設けられ、前記基板に対して前記基板に載置される前記半導体チップ側の樹脂パッケージ表面上に一部が露出した吸湿部材と
をさらに備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記吸湿部材は棒状であり、前記リードが設けられない前記基板側面側に設けられることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記吸湿部材は面状であり、前記リードが設けられない前記基板側面側に設けられることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記基板には、前記基板と前記半導体チップを接着するための接着部材を充填する凹部群の列を有し、この凹部群の列側に前記吸湿部材が設けられることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記樹脂パッケージの裏面側に、さらに実装基台がさらに設けられ、この実装基台に前記半導体装置が実装されることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−142275(P2011−142275A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3290(P2010−3290)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】