半導体装置
【課題】MEMS装置が備える性能を十分に発揮しうる装置構成を採用しつつ、徒らに製造工程数が増加することを防止し、製造時間の短縮を図ることができる半導体装置を提供する。
【解決手段】基板2と、基板2上に設けられる有機絶縁膜3と、有機絶縁膜3上に、有機絶縁膜3よりも薄く形成される無機絶縁膜4と、無機絶縁膜4上に形成され、その内部にMEMS素子5を中空に封止する中空封止構造体6と、有機絶縁膜3と無機絶縁膜4とを貫通して形成される貫通孔7と、貫通孔7に充填されて基板2に形成される電極とMEMS素子5とを電気的に接続する導電性部材8とを備える。
【解決手段】基板2と、基板2上に設けられる有機絶縁膜3と、有機絶縁膜3上に、有機絶縁膜3よりも薄く形成される無機絶縁膜4と、無機絶縁膜4上に形成され、その内部にMEMS素子5を中空に封止する中空封止構造体6と、有機絶縁膜3と無機絶縁膜4とを貫通して形成される貫通孔7と、貫通孔7に充填されて基板2に形成される電極とMEMS素子5とを電気的に接続する導電性部材8とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野において半導体装置が使用されている。特に、半導体装置が搭載される機器の小型化が進むにつれて、半導体装置の小型化も要求されている。このような要求を満たすために、チップを平面に置くのではなく幾重にも積み重ねて1つの半導体装置として形成する。
【0003】
このような、いわゆる集積回路においては、積層されたチップ間の導通を図る必要がある。以下の特許文献1には、積層されたチップ間の導通を図るために貫通電極を設けた半導体デバイスパッケージ構造体について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−166752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1には以下に示す半導体装置は示されていない。
【0006】
すなわち、近年、多くの分野において種々のマイクロマシンが用いられている。これに伴って、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術と言われる微細加工技術が進展している。そして、この技術を使用して製造されたMEMS装置を基板上に接続した半導体装置も開発されている。このような半導体装置の場合、MEMS装置を駆動するためのドライバICが形成された基板上に層間絶縁膜を形成して、その上にMEMS装置が形成される。
【0007】
但し、特に高周波信号を処理するMEMS装置を含む半導体装置の場合、その高周波特性を維持するために基板(ドライバIC)とMEMS装置との間には十分な距離が必要とされる。そのため、層間絶縁膜としてテトラエトキシシラン(TEOS)が用いられる場合、例えば、10μm以上となるようにこのTEOS膜を厚く形成して、基板とMEMS装置との距離を確保している。
【0008】
しかしながら、MEMS装置の特性を発揮させるためにはできるだけ基板から離した位置に形成する必要があるものの、必要とされる層間絶縁膜の成膜には時間が掛かる。また、基板とMEMS装置との間の導通を図るために貫通電極を設けなければならないが、この層間絶縁膜に貫通孔を形成するのは時間的にはもちろん、コストや製造工程の増加といった好ましくない状況が生じうる。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、MEMS装置が備える性能を十分に発揮しうる装置構成を採用しつつ、徒らに製造工程数が増加することを防止し、製造時間の短縮を図ることができる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施の形態に係る特徴は、半導体装置において、基板と、基板上に設けられる有機絶縁膜と、有機絶縁膜上に、有機絶縁膜よりも薄く形成される無機絶縁膜と、無機絶縁膜上に形成され、その内部にMEMS素子を中空に封止する中空封止構造体と、有機絶縁膜と無機絶縁膜とを貫通して形成される貫通孔と、貫通孔に充填されて基板に形成される電極とMEMS素子とを電気的に接続する導電性部材とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、MEMS装置が備える性能を十分に発揮しうる装置構成を採用しつつ、徒らに製造工程数が増加することを防止し、製造時間の短縮を図ることができる半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の全体構成を示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置1の全体構成を示す断面図である。半導体装置1は、基板2上に有機絶縁膜3、無機絶縁膜4がそれぞれ形成され、さらに無機絶縁膜4の上に、その内部にMEMS素子5を中空に封止する中空封止構造体6が形成されている。有機絶縁膜2と無機絶縁膜3には、両者を貫通して貫通孔7が形成されている。この貫通孔7に導電性部材8が充填されることで、基板2に形成される電極とMEMS素子5とが電気的に接続される。また、導電性部材8には、外部電極9が接続され、この外部電極9を介して、半導体装置1は他の機器と電気的に接続される。中空封止構造体6や導電性部材8と外部電極9との接続部分は、ソルダレジスト10によって封止されている。
【0015】
基板2は、例えばシリコン単結晶からなる基材2aを主体に形成されている。基材2aの主面にはトランジスタ、抵抗、容量等の素子が配設されるとともに、素子間を結線する配線が配設され、集積回路が構築されている。図1においては、これら集積回路をまとめて配線層2bとして表わしている。配線層2bの主面には、配線層2bと電気的に接続され、外部と接続するための信号電極2cが複数形成されている。基板2は、上述した構成であり、全体としてドライバICとしての役割を果たす。
【0016】
基板2上(主面側)には、有機絶縁膜3が形成されている。上述したように、基板(ドライバIC)2と後述するMEMS素子5との間が離れている程、高周波特性をより良い状態に保つことが可能となる。一方で、MEMS素子5を含む中空封止構造体6を形成するためには、無機絶縁膜4が必須となる。そのため、これまではこの無機絶縁膜を厚く形成することで、基板(ドライバIC)2とMEMS素子5との間の距離を確保していた。
【0017】
しかしながら、上述したように、無機絶縁膜を厚く形成するには時間もコストも掛かってしまうことから、半導体装置の製造効率やタクトタイム等を考慮すると半導体装置の製造に当たっては実際的ではない。
【0018】
そこで、本発明では、基板(ドライバIC)2とMEMS素子5との間の距離を確保するために形成に時間やコストの掛かる無機絶縁膜ではなく、より短時間、安価に形成することのできる有機絶縁膜を採用している。一方で、この有機絶縁膜3上に必要とされる厚み分の無機絶縁膜4を形成することで、MEMS素子5を含む中空封止構造体6を形成するためには、無機絶縁膜4が必須であるとの条件を充足させることとしている。
【0019】
有機絶縁膜3には、後述する貫通孔7が形成されるため、この貫通孔7の形成に容易な、例えば、フォトリソグラフィーでパターニング可能な感光性ポリマーが好適に採用される。感光性ポリマーとしては、例えば、ポリイミド(polyimide)樹脂、PBO(poly-phenylene-benzobisoxazole)樹脂、低誘電率(例えば、誘電率3以下)のフッ素系樹脂を挙げることができる。さらには、有機絶縁膜3上には、無機絶縁膜4を介して中空封止構造体6が形成されるが、この中空封止構造体6の形成時の熱負荷に耐えうる高耐熱性が必要とされる。さらには、アウトガスの発生が少なく、低吸湿な感光性ポリマーであればなお良い。
【0020】
有機絶縁膜3は、スピンコートやスプレーコート、或いは印刷法を用いて基板(ドライバIC)2上に形成される。形成される厚みは、MEMS素子5の特性を考慮して、例えば、5μm以上、好適には10μm以上である。
【0021】
有機絶縁膜3上には、無機絶縁膜4が形成される。無機絶縁膜4としては、例えば、上述したTEOS膜の他、SiOF膜(フッ素添加シリコン酸化膜)、SiOC膜(炭素含有シリコン酸化膜)が好適に用いられる。無機絶縁膜4は、CVD(chemical vapor deposition)法、PE−CVD(plasma-enhanced chemical vapor deposition)法、或いは、PVD(physical vapor deposition)法等を用いて成膜される。この無機絶縁膜4は、中空封止構造体6を形成するに必要な膜であり、例えば、1μmないし3μmの厚みをもって形成される。
【0022】
無機絶縁膜4上には、一般的なMEMS工程によりMEMS素子5が形成され、中空封止構造体6により中空に封止されている。なお、MEMS素子5の形成工程内には、例えばフォトリソグラフィーを用いたレジストの酸素プラズマアッシング工程や剥離液処理工程といった工程が含まれる。但し、有機絶縁膜3は無機絶縁膜4によって覆われているため、MEMS素子5の形成がなされてもダメージを受けることはない。
【0023】
有機絶縁膜3及び無機絶縁膜4を貫通するように貫通孔7が形成されている。貫通孔7には、導電性部材8が充填されて基板(ドライバIC)2とMEMS素子5、及び外部電極9とを電気的に接続する。従って貫通孔7は、基板(ドライバIC)2側の有機絶縁膜3と無機絶縁膜4とにそれぞれ開口を備える。これらの開口は、無機絶縁膜4の開口よりも有機絶縁膜3の開口が小さくなるように形成されており、無機絶縁膜4の開口から有機絶縁膜3の開口へ向けて窄まるような形状とされている。なお、第1の実施の形態においては、貫通孔7の表面にも無機絶縁膜4が形成されている。導電性部材8としては、例えば、銅(Cu)が好適に使用される。
【0024】
外部電極9には、例えば錫銀(Sn−Ag)はんだを好適に使用することができる。なお、外部電極9は、この錫銀はんだに限定されるものではなく、それ以外の2元系合金や3元系合金、若しくは鉛フリーはんだを使用してもよい。
【0025】
次に、図2ないし図7を使用し、上述の半導体装置1の製造方法を説明する。まず最初に、図2に示す基板2を準備する。この基板(ドライバIC)2は、基材2aの主面に集積回路、集積回路の素子間を結線する配線といった配線層2b、信号電極2cが既に製造された状態である。すなわち、基板(ドライバIC)2は、半導体製造プロセスにおいてダイシング工程前の前処理プロセスの大半が終了したシリコンウエハ状態である。なお、ダイシング工程後においては、基板(ドライバIC)2は、細分化され、半導体装置1になる。
【0026】
引き続き、図3に示すように、まず基板(ドライバIC)2上に有機絶縁膜3を、例えばスピンコート法によって形成する。成膜の厚みは、上述したように例えば、5μm以上、好適には10μm以上である。但し、シリコンウエハの反りを抑制するために、シリコンウエハの全面に成膜するのではなく、ダイサーによって切断される領域であるダイシングストリートの部分は除いてパターニングする。その後、フォトリソグラフィーによって貫通孔7を形成する。
【0027】
図4に示すように、貫通孔7が形成された有機絶縁膜3上に、例えばPE−CVD法を用いて無機絶縁膜4を成膜する。成膜される厚みは、上述したように、例えば、3μm程度である。但し、この無機絶縁膜4は、中空封止構造体6を形成するに必要なため形成されることから、少なくとも中空封止構造体6の形成の際必要とされる厚みが形成されれば良い。
【0028】
無機絶縁膜4が形成された状態では、貫通孔7の表面にも成膜される。また、有機絶縁膜3が基板(ドライバIC)2と接する部分に形成される開口部にも無機絶縁膜4が成膜される。
【0029】
この状態で、無機絶縁膜4上にMEMS素子5を含む中空封止構造体6を形成する(図5参照)。従って、中空封止構造体6が形成される周囲には、無機絶縁膜4によって覆われた貫通孔7が存在している。なお、この中空封止構造体6の形成工程については、既知の事柄であることからここでは説明を省略する。
【0030】
そして、図6に示すように有機絶縁膜3が基板(ドライバIC)2と接する部分に形成される開口部における無機絶縁膜4を削り、基板(ドライバIC)2の信号電極2cが現われるようにする。この部分が無機絶縁膜4に覆われたままでは、貫通孔7に導電性部材8を充填しても基板(ドライバIC)2、MEMS素子5及び外部電極9との間の導通を確保することができないからである。また、MEMS素子4に繋がる開口部7aも併せて開口する。
【0031】
その上で、ソルダレジスト10を例えば、スピンコート法によって塗布する。この工程によって、中空封止構造体6等が封止される。さらに、フォトリソグラフィーによってパターニングをして導電性部材8上のソルダレジスト10を剥離し、その部分に外部電極9を形成する。
【0032】
外部電極9は、リフロー処理を行い、溶融、凝固させることにより、図1に示すように、球体に成型される。これによって、外部電極9と導電性部材8とは電気的に接続しかつ機械的に接合することができる。これらの工程を経ることによって、図1に示すような半導体装置1が製造される。
【0033】
以上説明したように、ドライバIC(基板)上にMEMS素子を含む中空封止構造体を形成してなる半導体装置において、MEMS素子の高周波特性を発揮、維持させるためにはドライバICとMEMS素子との距離を確保すること必要とされる。また、中空封止構造体の形成に当たっては、無機絶縁膜の成膜が必要である。これらの要求を満たすために、これまでとは異なり無機絶縁膜によってドライバICとMEMS素子との間の距離を確保するのではなく、この役割を有機絶縁膜に担わせることによって、製造時間、工程数の短縮、コストの低減を図ることが可能となる。また、有機絶縁膜上に無機絶縁膜を成膜することで、中空封止構造体の形成も阻害されない。
【0034】
従って、MEMS装置が備える性能を十分に発揮しうる装置構成を採用しつつ、徒らに製造工程数が増加することを防止し、製造時間の短縮を図ることができる半導体装置を提供することができる。
【0035】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0036】
本発明の第2の実施の形態における半導体装置11は、図8に示されているように、貫通孔7の表面に無機絶縁膜4が成膜されていない点において、第1の実施の形態にて説明した半導体装置1と相違する。
【0037】
このような特徴を備える半導体装置11は、その製造工程も半導体装置1と相違するため、以下、図9ないし図15を参照しつつ説明する。なお、図2を示して説明したように、基材2aの主面に集積回路、集積回路の素子間を結線する配線といった配線層2b、信号電極2cが既に製造された状態の基板(ドライバIC)2を用意するのは第1の実施の形態における半導体装置1と同様である。
【0038】
まず、図9に示すように、基板(ドライバIC)2上に有機絶縁膜3を、例えばスピンコート法によって形成するとともに、フォトリソグラフィーによって貫通孔7を形成する。有機絶縁膜3の厚みは、上述したように例えば、5μm以上、好適には10μm以上である。但し、半導体装置11の性能だけではなく、後述するような有機絶縁膜3上に導電性部材8を形成した後に研削することを考慮して有機絶縁膜3の厚みが決定される。
【0039】
その後、図10に示すように、貫通孔7を充填するとともに、有機絶縁膜3の全面に導電性部材8を形成する。なお、「全面」とは表わしているがここでもダイシングストリートの領域は除いて導電性部材8が形成される。
【0040】
そして、図11に示すように、基板(ドライバIC)2の主面に形成された導電性部材8側から貫通孔7に充填された導電性部材8のみが有機絶縁膜3と面一となって残るように平坦化処理(研削)を行う。この際、導電性部材8の周囲は有機絶縁膜3が現われている。
【0041】
図12に示すように、有機絶縁膜3と導電性部材8とが面一になった面上に、例えばPE−CVD法を用いて無機絶縁膜4を成膜する。成膜される厚みは、上述したように、例えば、3μm程度である。但し、この無機絶縁膜4は、中空封止構造体6を形成するに必要なため形成されることから、少なくとも中空封止構造体6の形成の際必要とされる厚みがあれば良い。
【0042】
この状態で、無機絶縁膜4上にMEMS素子5を含む中空封止構造体6を形成する(図13参照)。貫通孔7は無機絶縁膜4によって覆われているため、中空封止構造体6は、無機絶縁膜4に覆われた基板(ドライバIC)2上に形成される。なお、この中空封止構造体6の形成工程については、既知の事柄であることからここでは説明を省略する。
【0043】
そして、図14に示すように貫通孔7の領域を覆う無機絶縁膜4を開口し、貫通孔7、すなわち導電性部材8が現われるようにする。この部分が無機絶縁膜4に覆われたままでは、貫通孔7に導電性部材8を充填しても基板(ドライバIC)2、MEMS素子5及び外部電極9との間の導通を確保することができないからである。また、MEMS素子4に繋がる開口部7aも併せて開口する。
【0044】
開口された無機絶縁膜4を埋めるとともに、MEMS素子5とも接続することが可能となるよう導電性部材8を形成する(図15参照)。
【0045】
その上で、ソルダレジスト10を例えば、スピンコート法によって塗布する。この工程によって、中空封止構造体6等が封止される。さらに、フォトリソグラフィーによってパターニングをして導電性部材8上のソルダレジスト10を剥離し、その部分に外部電極9を形成する。
【0046】
外部電極9は、リフロー処理を行い、溶融、凝固させることにより、図8に示すように、球体に成型される。これによって、外部電極9と導電性部材8とは電気的に接続しかつ機械的に接合することができる。これらの工程を経ることによって、図8に示すような半導体装置11が製造される。
【0047】
以上説明したように、ドライバIC(基板)上にMEMS素子を含む中空封止構造体を形成してなる半導体装置において、MEMS素子の高周波特性を発揮、維持させるためにはドライバICとMEMS素子との距離を確保すること必要とされる。また、中空封止構造体の形成に当たっては、無機絶縁膜の成膜が必要である。これらの要求を満たすために、これまでとは異なり無機絶縁膜によってドライバICとMEMS素子との間の距離を確保するのではなく、この役割を有機絶縁膜に担わせることによって、製造時間、工程数の短縮、コストの低減を図ることが可能となる。また、有機絶縁膜上に無機絶縁膜を成膜することで、中空封止構造体の形成も阻害されない。
【0048】
また、本発明の第2の実施の形態における半導体装置11では、上述したように、中空封止構造体6を形成する際、その形成される領域周辺はすべて無機絶縁膜4が成膜されて平坦な状態とされており、周囲に貫通孔7のような開口は形成されていない。従って、第1の実施の形態にて説明した半導体装置1の場合と比べて、周囲の開口を気にすることなく中空封止構造体6の形成を行うことができる。
【0049】
従って、MEMS装置が備える性能を十分に発揮しうる装置構成を採用しつつ、徒らに製造工程数が増加することを防止し、製造時間の短縮を図ることができる半導体装置を提供することができる。
【0050】
なお、半導体装置11の製造に当たっては、上述した第2の実施の形態にて説明した製造方法ではなく、以下に説明する方法でも製造することができる。
【0051】
すなわち、基板(ドライバIC)2上に有機絶縁膜3を形成した後、すぐに貫通孔7を設けるのではなく、有機絶縁膜3上に無機絶縁膜4を成膜し、さらに中空封止構造体6まで形成してしまう。
【0052】
その後、フォトリソグラフィーを用いて有機絶縁膜3、無機絶縁膜4の両者を併せて開口し、貫通孔7を形成する。その上で、この貫通孔7に導電性部材8を充填し、ソルダレジスト10の塗布、外部電極9の形成を経て半導体装置11を製造する。
【0053】
このような製造の流れを採用しても半導体装置11を製造することができる。
【0054】
なお、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0055】
1…半導体装置、2…基板(ドライバIC)、2a…基材、2b…配線層、2c…信号電極、3…有機絶縁膜、4…無機絶縁膜、5…MEMS素子、6…中空封止構造体、7…貫通孔、8…導電性部材、9…外部電極、10…ソルダレジスト、11…半導体装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野において半導体装置が使用されている。特に、半導体装置が搭載される機器の小型化が進むにつれて、半導体装置の小型化も要求されている。このような要求を満たすために、チップを平面に置くのではなく幾重にも積み重ねて1つの半導体装置として形成する。
【0003】
このような、いわゆる集積回路においては、積層されたチップ間の導通を図る必要がある。以下の特許文献1には、積層されたチップ間の導通を図るために貫通電極を設けた半導体デバイスパッケージ構造体について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−166752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1には以下に示す半導体装置は示されていない。
【0006】
すなわち、近年、多くの分野において種々のマイクロマシンが用いられている。これに伴って、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術と言われる微細加工技術が進展している。そして、この技術を使用して製造されたMEMS装置を基板上に接続した半導体装置も開発されている。このような半導体装置の場合、MEMS装置を駆動するためのドライバICが形成された基板上に層間絶縁膜を形成して、その上にMEMS装置が形成される。
【0007】
但し、特に高周波信号を処理するMEMS装置を含む半導体装置の場合、その高周波特性を維持するために基板(ドライバIC)とMEMS装置との間には十分な距離が必要とされる。そのため、層間絶縁膜としてテトラエトキシシラン(TEOS)が用いられる場合、例えば、10μm以上となるようにこのTEOS膜を厚く形成して、基板とMEMS装置との距離を確保している。
【0008】
しかしながら、MEMS装置の特性を発揮させるためにはできるだけ基板から離した位置に形成する必要があるものの、必要とされる層間絶縁膜の成膜には時間が掛かる。また、基板とMEMS装置との間の導通を図るために貫通電極を設けなければならないが、この層間絶縁膜に貫通孔を形成するのは時間的にはもちろん、コストや製造工程の増加といった好ましくない状況が生じうる。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、MEMS装置が備える性能を十分に発揮しうる装置構成を採用しつつ、徒らに製造工程数が増加することを防止し、製造時間の短縮を図ることができる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施の形態に係る特徴は、半導体装置において、基板と、基板上に設けられる有機絶縁膜と、有機絶縁膜上に、有機絶縁膜よりも薄く形成される無機絶縁膜と、無機絶縁膜上に形成され、その内部にMEMS素子を中空に封止する中空封止構造体と、有機絶縁膜と無機絶縁膜とを貫通して形成される貫通孔と、貫通孔に充填されて基板に形成される電極とMEMS素子とを電気的に接続する導電性部材とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、MEMS装置が備える性能を十分に発揮しうる装置構成を採用しつつ、徒らに製造工程数が増加することを防止し、製造時間の短縮を図ることができる半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の全体構成を示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明するワークの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置1の全体構成を示す断面図である。半導体装置1は、基板2上に有機絶縁膜3、無機絶縁膜4がそれぞれ形成され、さらに無機絶縁膜4の上に、その内部にMEMS素子5を中空に封止する中空封止構造体6が形成されている。有機絶縁膜2と無機絶縁膜3には、両者を貫通して貫通孔7が形成されている。この貫通孔7に導電性部材8が充填されることで、基板2に形成される電極とMEMS素子5とが電気的に接続される。また、導電性部材8には、外部電極9が接続され、この外部電極9を介して、半導体装置1は他の機器と電気的に接続される。中空封止構造体6や導電性部材8と外部電極9との接続部分は、ソルダレジスト10によって封止されている。
【0015】
基板2は、例えばシリコン単結晶からなる基材2aを主体に形成されている。基材2aの主面にはトランジスタ、抵抗、容量等の素子が配設されるとともに、素子間を結線する配線が配設され、集積回路が構築されている。図1においては、これら集積回路をまとめて配線層2bとして表わしている。配線層2bの主面には、配線層2bと電気的に接続され、外部と接続するための信号電極2cが複数形成されている。基板2は、上述した構成であり、全体としてドライバICとしての役割を果たす。
【0016】
基板2上(主面側)には、有機絶縁膜3が形成されている。上述したように、基板(ドライバIC)2と後述するMEMS素子5との間が離れている程、高周波特性をより良い状態に保つことが可能となる。一方で、MEMS素子5を含む中空封止構造体6を形成するためには、無機絶縁膜4が必須となる。そのため、これまではこの無機絶縁膜を厚く形成することで、基板(ドライバIC)2とMEMS素子5との間の距離を確保していた。
【0017】
しかしながら、上述したように、無機絶縁膜を厚く形成するには時間もコストも掛かってしまうことから、半導体装置の製造効率やタクトタイム等を考慮すると半導体装置の製造に当たっては実際的ではない。
【0018】
そこで、本発明では、基板(ドライバIC)2とMEMS素子5との間の距離を確保するために形成に時間やコストの掛かる無機絶縁膜ではなく、より短時間、安価に形成することのできる有機絶縁膜を採用している。一方で、この有機絶縁膜3上に必要とされる厚み分の無機絶縁膜4を形成することで、MEMS素子5を含む中空封止構造体6を形成するためには、無機絶縁膜4が必須であるとの条件を充足させることとしている。
【0019】
有機絶縁膜3には、後述する貫通孔7が形成されるため、この貫通孔7の形成に容易な、例えば、フォトリソグラフィーでパターニング可能な感光性ポリマーが好適に採用される。感光性ポリマーとしては、例えば、ポリイミド(polyimide)樹脂、PBO(poly-phenylene-benzobisoxazole)樹脂、低誘電率(例えば、誘電率3以下)のフッ素系樹脂を挙げることができる。さらには、有機絶縁膜3上には、無機絶縁膜4を介して中空封止構造体6が形成されるが、この中空封止構造体6の形成時の熱負荷に耐えうる高耐熱性が必要とされる。さらには、アウトガスの発生が少なく、低吸湿な感光性ポリマーであればなお良い。
【0020】
有機絶縁膜3は、スピンコートやスプレーコート、或いは印刷法を用いて基板(ドライバIC)2上に形成される。形成される厚みは、MEMS素子5の特性を考慮して、例えば、5μm以上、好適には10μm以上である。
【0021】
有機絶縁膜3上には、無機絶縁膜4が形成される。無機絶縁膜4としては、例えば、上述したTEOS膜の他、SiOF膜(フッ素添加シリコン酸化膜)、SiOC膜(炭素含有シリコン酸化膜)が好適に用いられる。無機絶縁膜4は、CVD(chemical vapor deposition)法、PE−CVD(plasma-enhanced chemical vapor deposition)法、或いは、PVD(physical vapor deposition)法等を用いて成膜される。この無機絶縁膜4は、中空封止構造体6を形成するに必要な膜であり、例えば、1μmないし3μmの厚みをもって形成される。
【0022】
無機絶縁膜4上には、一般的なMEMS工程によりMEMS素子5が形成され、中空封止構造体6により中空に封止されている。なお、MEMS素子5の形成工程内には、例えばフォトリソグラフィーを用いたレジストの酸素プラズマアッシング工程や剥離液処理工程といった工程が含まれる。但し、有機絶縁膜3は無機絶縁膜4によって覆われているため、MEMS素子5の形成がなされてもダメージを受けることはない。
【0023】
有機絶縁膜3及び無機絶縁膜4を貫通するように貫通孔7が形成されている。貫通孔7には、導電性部材8が充填されて基板(ドライバIC)2とMEMS素子5、及び外部電極9とを電気的に接続する。従って貫通孔7は、基板(ドライバIC)2側の有機絶縁膜3と無機絶縁膜4とにそれぞれ開口を備える。これらの開口は、無機絶縁膜4の開口よりも有機絶縁膜3の開口が小さくなるように形成されており、無機絶縁膜4の開口から有機絶縁膜3の開口へ向けて窄まるような形状とされている。なお、第1の実施の形態においては、貫通孔7の表面にも無機絶縁膜4が形成されている。導電性部材8としては、例えば、銅(Cu)が好適に使用される。
【0024】
外部電極9には、例えば錫銀(Sn−Ag)はんだを好適に使用することができる。なお、外部電極9は、この錫銀はんだに限定されるものではなく、それ以外の2元系合金や3元系合金、若しくは鉛フリーはんだを使用してもよい。
【0025】
次に、図2ないし図7を使用し、上述の半導体装置1の製造方法を説明する。まず最初に、図2に示す基板2を準備する。この基板(ドライバIC)2は、基材2aの主面に集積回路、集積回路の素子間を結線する配線といった配線層2b、信号電極2cが既に製造された状態である。すなわち、基板(ドライバIC)2は、半導体製造プロセスにおいてダイシング工程前の前処理プロセスの大半が終了したシリコンウエハ状態である。なお、ダイシング工程後においては、基板(ドライバIC)2は、細分化され、半導体装置1になる。
【0026】
引き続き、図3に示すように、まず基板(ドライバIC)2上に有機絶縁膜3を、例えばスピンコート法によって形成する。成膜の厚みは、上述したように例えば、5μm以上、好適には10μm以上である。但し、シリコンウエハの反りを抑制するために、シリコンウエハの全面に成膜するのではなく、ダイサーによって切断される領域であるダイシングストリートの部分は除いてパターニングする。その後、フォトリソグラフィーによって貫通孔7を形成する。
【0027】
図4に示すように、貫通孔7が形成された有機絶縁膜3上に、例えばPE−CVD法を用いて無機絶縁膜4を成膜する。成膜される厚みは、上述したように、例えば、3μm程度である。但し、この無機絶縁膜4は、中空封止構造体6を形成するに必要なため形成されることから、少なくとも中空封止構造体6の形成の際必要とされる厚みが形成されれば良い。
【0028】
無機絶縁膜4が形成された状態では、貫通孔7の表面にも成膜される。また、有機絶縁膜3が基板(ドライバIC)2と接する部分に形成される開口部にも無機絶縁膜4が成膜される。
【0029】
この状態で、無機絶縁膜4上にMEMS素子5を含む中空封止構造体6を形成する(図5参照)。従って、中空封止構造体6が形成される周囲には、無機絶縁膜4によって覆われた貫通孔7が存在している。なお、この中空封止構造体6の形成工程については、既知の事柄であることからここでは説明を省略する。
【0030】
そして、図6に示すように有機絶縁膜3が基板(ドライバIC)2と接する部分に形成される開口部における無機絶縁膜4を削り、基板(ドライバIC)2の信号電極2cが現われるようにする。この部分が無機絶縁膜4に覆われたままでは、貫通孔7に導電性部材8を充填しても基板(ドライバIC)2、MEMS素子5及び外部電極9との間の導通を確保することができないからである。また、MEMS素子4に繋がる開口部7aも併せて開口する。
【0031】
その上で、ソルダレジスト10を例えば、スピンコート法によって塗布する。この工程によって、中空封止構造体6等が封止される。さらに、フォトリソグラフィーによってパターニングをして導電性部材8上のソルダレジスト10を剥離し、その部分に外部電極9を形成する。
【0032】
外部電極9は、リフロー処理を行い、溶融、凝固させることにより、図1に示すように、球体に成型される。これによって、外部電極9と導電性部材8とは電気的に接続しかつ機械的に接合することができる。これらの工程を経ることによって、図1に示すような半導体装置1が製造される。
【0033】
以上説明したように、ドライバIC(基板)上にMEMS素子を含む中空封止構造体を形成してなる半導体装置において、MEMS素子の高周波特性を発揮、維持させるためにはドライバICとMEMS素子との距離を確保すること必要とされる。また、中空封止構造体の形成に当たっては、無機絶縁膜の成膜が必要である。これらの要求を満たすために、これまでとは異なり無機絶縁膜によってドライバICとMEMS素子との間の距離を確保するのではなく、この役割を有機絶縁膜に担わせることによって、製造時間、工程数の短縮、コストの低減を図ることが可能となる。また、有機絶縁膜上に無機絶縁膜を成膜することで、中空封止構造体の形成も阻害されない。
【0034】
従って、MEMS装置が備える性能を十分に発揮しうる装置構成を採用しつつ、徒らに製造工程数が増加することを防止し、製造時間の短縮を図ることができる半導体装置を提供することができる。
【0035】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0036】
本発明の第2の実施の形態における半導体装置11は、図8に示されているように、貫通孔7の表面に無機絶縁膜4が成膜されていない点において、第1の実施の形態にて説明した半導体装置1と相違する。
【0037】
このような特徴を備える半導体装置11は、その製造工程も半導体装置1と相違するため、以下、図9ないし図15を参照しつつ説明する。なお、図2を示して説明したように、基材2aの主面に集積回路、集積回路の素子間を結線する配線といった配線層2b、信号電極2cが既に製造された状態の基板(ドライバIC)2を用意するのは第1の実施の形態における半導体装置1と同様である。
【0038】
まず、図9に示すように、基板(ドライバIC)2上に有機絶縁膜3を、例えばスピンコート法によって形成するとともに、フォトリソグラフィーによって貫通孔7を形成する。有機絶縁膜3の厚みは、上述したように例えば、5μm以上、好適には10μm以上である。但し、半導体装置11の性能だけではなく、後述するような有機絶縁膜3上に導電性部材8を形成した後に研削することを考慮して有機絶縁膜3の厚みが決定される。
【0039】
その後、図10に示すように、貫通孔7を充填するとともに、有機絶縁膜3の全面に導電性部材8を形成する。なお、「全面」とは表わしているがここでもダイシングストリートの領域は除いて導電性部材8が形成される。
【0040】
そして、図11に示すように、基板(ドライバIC)2の主面に形成された導電性部材8側から貫通孔7に充填された導電性部材8のみが有機絶縁膜3と面一となって残るように平坦化処理(研削)を行う。この際、導電性部材8の周囲は有機絶縁膜3が現われている。
【0041】
図12に示すように、有機絶縁膜3と導電性部材8とが面一になった面上に、例えばPE−CVD法を用いて無機絶縁膜4を成膜する。成膜される厚みは、上述したように、例えば、3μm程度である。但し、この無機絶縁膜4は、中空封止構造体6を形成するに必要なため形成されることから、少なくとも中空封止構造体6の形成の際必要とされる厚みがあれば良い。
【0042】
この状態で、無機絶縁膜4上にMEMS素子5を含む中空封止構造体6を形成する(図13参照)。貫通孔7は無機絶縁膜4によって覆われているため、中空封止構造体6は、無機絶縁膜4に覆われた基板(ドライバIC)2上に形成される。なお、この中空封止構造体6の形成工程については、既知の事柄であることからここでは説明を省略する。
【0043】
そして、図14に示すように貫通孔7の領域を覆う無機絶縁膜4を開口し、貫通孔7、すなわち導電性部材8が現われるようにする。この部分が無機絶縁膜4に覆われたままでは、貫通孔7に導電性部材8を充填しても基板(ドライバIC)2、MEMS素子5及び外部電極9との間の導通を確保することができないからである。また、MEMS素子4に繋がる開口部7aも併せて開口する。
【0044】
開口された無機絶縁膜4を埋めるとともに、MEMS素子5とも接続することが可能となるよう導電性部材8を形成する(図15参照)。
【0045】
その上で、ソルダレジスト10を例えば、スピンコート法によって塗布する。この工程によって、中空封止構造体6等が封止される。さらに、フォトリソグラフィーによってパターニングをして導電性部材8上のソルダレジスト10を剥離し、その部分に外部電極9を形成する。
【0046】
外部電極9は、リフロー処理を行い、溶融、凝固させることにより、図8に示すように、球体に成型される。これによって、外部電極9と導電性部材8とは電気的に接続しかつ機械的に接合することができる。これらの工程を経ることによって、図8に示すような半導体装置11が製造される。
【0047】
以上説明したように、ドライバIC(基板)上にMEMS素子を含む中空封止構造体を形成してなる半導体装置において、MEMS素子の高周波特性を発揮、維持させるためにはドライバICとMEMS素子との距離を確保すること必要とされる。また、中空封止構造体の形成に当たっては、無機絶縁膜の成膜が必要である。これらの要求を満たすために、これまでとは異なり無機絶縁膜によってドライバICとMEMS素子との間の距離を確保するのではなく、この役割を有機絶縁膜に担わせることによって、製造時間、工程数の短縮、コストの低減を図ることが可能となる。また、有機絶縁膜上に無機絶縁膜を成膜することで、中空封止構造体の形成も阻害されない。
【0048】
また、本発明の第2の実施の形態における半導体装置11では、上述したように、中空封止構造体6を形成する際、その形成される領域周辺はすべて無機絶縁膜4が成膜されて平坦な状態とされており、周囲に貫通孔7のような開口は形成されていない。従って、第1の実施の形態にて説明した半導体装置1の場合と比べて、周囲の開口を気にすることなく中空封止構造体6の形成を行うことができる。
【0049】
従って、MEMS装置が備える性能を十分に発揮しうる装置構成を採用しつつ、徒らに製造工程数が増加することを防止し、製造時間の短縮を図ることができる半導体装置を提供することができる。
【0050】
なお、半導体装置11の製造に当たっては、上述した第2の実施の形態にて説明した製造方法ではなく、以下に説明する方法でも製造することができる。
【0051】
すなわち、基板(ドライバIC)2上に有機絶縁膜3を形成した後、すぐに貫通孔7を設けるのではなく、有機絶縁膜3上に無機絶縁膜4を成膜し、さらに中空封止構造体6まで形成してしまう。
【0052】
その後、フォトリソグラフィーを用いて有機絶縁膜3、無機絶縁膜4の両者を併せて開口し、貫通孔7を形成する。その上で、この貫通孔7に導電性部材8を充填し、ソルダレジスト10の塗布、外部電極9の形成を経て半導体装置11を製造する。
【0053】
このような製造の流れを採用しても半導体装置11を製造することができる。
【0054】
なお、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0055】
1…半導体装置、2…基板(ドライバIC)、2a…基材、2b…配線層、2c…信号電極、3…有機絶縁膜、4…無機絶縁膜、5…MEMS素子、6…中空封止構造体、7…貫通孔、8…導電性部材、9…外部電極、10…ソルダレジスト、11…半導体装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられる有機絶縁膜と、
前記有機絶縁膜上に、前記有機絶縁膜よりも薄く形成される無機絶縁膜と、
前記無機絶縁膜上に形成され、その内部にMEMS素子を中空に封止する中空封止構造体と、
前記有機絶縁膜と前記無機絶縁膜とを貫通して形成される貫通孔と、
前記貫通孔に充填されて前記基板に形成される電極と前記MEMS素子とを電気的に接続する導電性部材と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記無機絶縁膜の開口よりも前記有機絶縁膜の開口が小さくなるように開孔されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記貫通孔には前記無機絶縁膜が形成されることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられる有機絶縁膜と、
前記有機絶縁膜上に、前記有機絶縁膜よりも薄く形成される無機絶縁膜と、
前記無機絶縁膜上に形成され、その内部にMEMS素子を中空に封止する中空封止構造体と、
前記有機絶縁膜と前記無機絶縁膜とを貫通して形成される貫通孔と、
前記貫通孔に充填されて前記基板に形成される電極と前記MEMS素子とを電気的に接続する導電性部材と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記無機絶縁膜の開口よりも前記有機絶縁膜の開口が小さくなるように開孔されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記貫通孔には前記無機絶縁膜が形成されることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−177861(P2011−177861A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46561(P2010−46561)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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