説明

半導体装置

【課題】容量素子の上部電極の配線抵抗の上昇を防ぐ半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置100は、基板上に形成された層間絶縁膜104と、層間絶縁膜104上に形成され、導電材料により構成された下部電極108、下部電極108上に形成された容量絶縁膜110、および容量絶縁膜110上に形成され、下層TiN膜114、タングステン膜116、および上層TiN膜118が下層からこの順で積層された構成を有する上部電極112、により構成された容量素子101と、容量素子101上に形成され、酸素を含む層間絶縁膜120と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、とくに、容量素子を含む半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DRAMなどの半導体素子では、容量素子が形成される。近年の容量素子は、半導体素子の限られた占有面積で必要な容量値を得るため、たとえば、絶縁膜に凹部が設けられ、その内部に、下部電極、容量絶縁膜、上部電極が下層よりこの順に形成される構造を有するものがある。
【0003】
特許文献1(特開2004−134579号公報)には、このような構成が記載されている。当該文献には、下部電極及び上部電極との間に複数の絶縁膜の積層膜を容量絶縁膜として挟みこんで形成されるキャパシタであって、前記容量絶縁膜は第1絶縁膜と第2絶縁膜との積層膜を含み、前記第1絶縁膜は有機金属化合物を原料として成膜され、膜中の残留炭素が除去された絶縁膜となっている構成が記載されている。ここで、キャパシタの上部電極は、下層よりTiN、Wが積層された構成となっている。
【0004】
また、特許文献2(特開平5−136139号公報)には、SiO膜が設けられたシリコン基板上に、スパッタ法でTiN膜を成膜し、その上に配線層なるタングステン膜をCVD法によって堆積する手順が記載されている。ここで、TiNは接着用として設けられている。
【0005】
特許文献3(特開2005−252027号公報)には、金属配線としてAlCuを用いた場合に、上下にTi層およびTiN層とからなるバリアメタル膜が設けられた構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−134579号公報
【特許文献2】特開平5−136139号公報
【特許文献3】特開2005−252027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、特許文献1や特許文献2に記載されたように、タングステン膜の下地側に、たとえば密着性を向上させるためにTiN膜を設ける構成は検討されている。しかし、本発明者は、タングステン膜の上層にたとえばSiO膜等の酸素を含む絶縁膜を形成する際に、タングステン膜の表面が酸化されて酸化物が生成され、配線抵抗が上昇してしまうという別の問題が生じることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
基板と、
前記基板上に形成された第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜上に形成され、導電材料により構成された下部電極、前記下部電極上に形成された容量絶縁膜、および前記容量絶縁膜上に形成され、下層TiN膜、タングステン膜、および上層TiN膜が下層からこの順で積層された構成を有する上部電極、により構成された容量素子と、
前記上部電極上に形成され、酸素を含む第2の絶縁膜と、
を含む半導体装置が提供される。
【0009】
この構成によれば、上部電極のタングステン膜と第2の絶縁膜との間に上層TiN膜が設けられている。そのため、第2の絶縁膜を形成する際に、タングステン(W)の酸化を防ぐことができ、配線抵抗の上昇を防ぐことができる。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、容量素子の上部電極の配線抵抗の上昇を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図7】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図8】本発明の実施の形態における半導体装置の構成の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様の構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
図1は、本実施の形態における半導体装置の構成を示す断面図である。
半導体装置100は、基板(不図示)と、基板上にこの順で形成された層間絶縁膜102および層間絶縁膜104(第1の絶縁膜)と、層間絶縁膜104に形成された凹部105に、下層からこの順で形成された下部電極108、容量絶縁膜110、および上部電極112と、上部電極112上に形成された層間絶縁膜120(第2の絶縁膜)とを含む。下部電極108、容量絶縁膜110、および上部電極112により容量素子101が構成される。本実施の形態における容量素子101は、たとえばDRAMのキャパシタとして用いることができる。
【0015】
本実施の形態において、上部電極112は、下層TiN膜114、タングステン膜116、および上層TiN膜118が下層からこの順で形成された3層構造により構成することができる。また、本実施の形態において、容量素子101の下部電極108、容量絶縁膜110、および上部電極112の下層TiN膜114は、層間絶縁膜104に形成された凹部105内にシリンダ形状に形成されている。また、上部電極112のタングステン膜116は、凹部105を埋め込むように形成されている。
【0016】
ここで、基板は、たとえばシリコン基板等の半導体基板とすることができる。また、基板には、トランジスタ等の素子が形成された構成とすることができる。
【0017】
層間絶縁膜102は、たとえばSiO膜やBPSG膜等により構成することができる。また、層間絶縁膜102は、複数の層間絶縁膜の積層膜とすることもできる。層間絶縁膜102には、下部電極108とその下層のたとえば基板に形成された所定の拡散層等とを接続するコンタクトプラグ106が形成されている。コンタクトプラグ106は、たとえばタングステン(W)により構成することができる。
【0018】
層間絶縁膜104は、たとえばSiO膜により構成することができる。また、層間絶縁膜104は、複数の層間絶縁膜の積層膜とすることもできる。層間絶縁膜104の膜厚は、たとえば0.3μm〜0.6μm程度とすることができる。
【0019】
次に、本実施の形態における半導体装置100の製造手順を説明する。図2から図7は、本実施の形態における半導体装置100の製造手順を示す工程断面図である。
【0020】
まず、このような層間絶縁膜104に、既知のリソグラフィ技術を用いて、コンタクトプラグ106と接続するように凹部105を形成する。凹部105は、たとえば、直径が0.2μm〜0.4μm程度、深さが0.3μm〜0.6μm程度とすることができる。ここで、凹部105の深さは、層間絶縁膜104の膜厚とほぼ等しくすることができる。
【0021】
つづいて、層間絶縁膜104上の全面に、下部電極108を構成する導電膜を形成する。この状態を図2に示す。下部電極108を構成する導電膜は、たとえばTiN、TaN、またはWN等により構成することができる。下部電極108を構成する導電膜は、たとえばMOCVD法やスパッタ法等によって形成することができる。次いで、凹部105外部に露出して形成された導電膜を公知のエッチング法によって除去する。これにより、下部電極108が凹部105の内部の側壁と底部にのみ選択的に形成された構成とすることができる(図3)。ここで、下部電極108の膜厚は、たとえば150Å〜300Å程度とすることができる。下部電極108の底部は、コンタクトプラグ106に接して設けられる。これにより、下部電極108は、コンタクトプラグ106を介して、たとえば基板に設けられた所定の拡散層に導通される。
【0022】
この後、層間絶縁膜104上の全面に容量絶縁膜110を形成する(図4)。容量絶縁膜110は、たとえばZrO、Ta、Si、HfO、Al、TiO、La等により構成することができる。容量絶縁膜110は、たとえばMOCVD法やALD−CVD法によって形成することができる。容量絶縁膜110の膜厚は、たとえば50Å〜150Å程度とすることができる。
【0023】
つづいて、容量絶縁膜110上の全面に上部電極112を形成する。
まず、容量絶縁膜110上の全面にTiN膜である下層TiN膜114を形成する(図5)。下層TiN膜114は、たとえばMOCVD法やスパッタ法等によって形成することができる。下層TiN膜114の膜厚は、後述する。
【0024】
つづいて、下層TiN膜114上の全面に、タングステン膜(W膜)116を形成する(図6)。ここで、タングステン膜116は、凹部105をほぼ埋め込むように形成することができる。タングステン膜116は、たとえばCVD法によって形成することができる。タングステン膜116の膜厚は、平坦部においてたとえば500Å〜1000Å程度とすることができる。
【0025】
容量絶縁膜110上に下層TiN膜114を設けることにより、上部電極112と容量絶縁膜110との密着性を良好にできるとともに、タングステン膜116から容量絶縁膜110へのフッ素(F)の侵入を防ぎ、信頼性劣化を抑制することができる。
【0026】
次いで、タングステン膜116上の全面にTiN膜である上層TiN膜118を形成する(図7)。上層TiN膜118は、たとえばMOCVD法やスパッタ法等によって形成することができる。上層TiN膜118の膜厚は、後述する。
【0027】
この後、下層TiN膜114、タングステン膜116、および上層TiN膜118の積層膜を公知のエッチング法によって所定の形状にパターニングして上部電極112を形成する。なお、このとき、容量絶縁膜110も同時に所定の形状にパターニングしてもよい。
【0028】
この後、上部電極112上の基板上の全面に層間絶縁膜120を形成する。本実施の形態において、層間絶縁膜120は、酸素を含む絶縁膜により構成することができる。層間絶縁膜120は、たとえばSiO膜や、HSQ、MHSQ、MSQ、またはSiOC等の低誘電率膜とすることができる。また、第3の層間絶縁膜120は、複数の種類の絶縁膜が積層されていてもよい。層間絶縁膜120は、たとえばCVD法により形成することができる。
【0029】
次いで、層間絶縁膜120に、既知のリソグラフィ技術を用いて、上部電極112の上層TiN膜118と接続するように凹部を形成し、当該凹部にビアプラグ122を形成する。上部電極112は、上部電極112の上層TiN膜118とその上層の配線(不図示)等とを接続する。ビアプラグ122は、たとえばタングステン(W)や銅(Cu)等の金属膜により構成することができ、またこれらの金属膜の側壁および底部にバリアメタル膜が形成された構成とすることもできる。以上により、図1に示した構成の半導体装置100が得られる。
【0030】
本実施の形態において、タングステン膜116と層間絶縁膜120との間に上層TiN膜118が設けられている。そのため、層間絶縁膜120を形成する際に、タングステン(W)の酸化を防ぐことができ、配線抵抗の上昇を防ぐことができる。
【0031】
なお、容量絶縁膜110上に下層TiN膜114を形成する際、および上層TiN膜118上に層間絶縁膜120を形成する際に、容量絶縁膜110と下層TiN膜114との間、および上層TiN膜118と層間絶縁膜120との間にそれぞれTiOx膜が形成されことがある。しかし、この場合でも、TiOx膜の膜厚を薄くすることができ、配線抵抗の上昇を防ぐことができる。
【0032】
また、本実施の形態において、上部電極112の上層TiN膜118は、下層TiN膜114よりも平坦部における膜厚が厚くなるように形成することができる。ここで、平坦部とは、凹部105外部の層間絶縁膜104上の領域とすることができる。下層TiN膜114の膜厚を厚くしすぎると、凹部105内にタングステン膜116を埋め込む際に、埋め込み不良が生じ、タングステン膜116と下層TiN膜114との接触不良箇所が生じてしまう。そのため、下層TiN膜114の膜厚は、タングステン膜116の埋め込み不良が生じない程度に薄くする必要がある。一方、上層TiN膜118の膜厚を厚くすることにより、上層TiN膜118を防湿膜として機能させることもでき、容量素子101が上層からの水素や水分の影響を受けるのを防ぐことができる。このような観点からは、下層TiN膜114の膜厚は、たとえば50Å〜500Å程度とすることができる。また、上層TiN膜118の膜厚は、たとえば300Å〜750Å程度とすることができる。
【0033】
他の例において、図8に示すように、上部電極112の上層TiN膜118と下層TiN膜114とは、略等しい膜厚とすることもできる。この場合でも、タングステン膜116と層間絶縁膜120との間に上層TiN膜118が設けられた構成とすることにより、層間絶縁膜120を形成する際に、タングステン(W)の酸化を防ぐことができ、配線抵抗の上昇を防ぐことができる。この場合、下層TiN膜114および上層TiN膜118の膜厚は、たとえば300Å〜500Å程度とすることができる。
【0034】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0035】
100 半導体装置
101 容量素子
102 層間絶縁膜
104 層間絶縁膜
105 凹部
106 コンタクトプラグ
108 下部電極
110 容量絶縁膜
112 上部電極
114 下層TiN膜
116 タングステン膜
118 上層TiN膜
120 層間絶縁膜
122 ビアプラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜上に形成され、導電材料により構成された下部電極、前記下部電極上に形成された容量絶縁膜、および前記容量絶縁膜上に形成され、下層TiN膜、タングステン膜、および上層TiN膜が下層からこの順で積層された構成を有する上部電極、により構成された容量素子と、
前記上部電極上に形成され、酸素を含む第2の絶縁膜と、
を含む半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記容量素子の前記下部電極、前記容量絶縁膜、および前記上部電極の前記下層TiN膜は、前記第1の絶縁膜に形成された凹部内にシリンダ形状に形成され、
前記上部電極の前記タングステン膜は、前記凹部を埋め込むように形成された半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置において、
前記上部電極において、前記上層TiN膜は、前記下層TiN膜よりも平坦部における膜厚が厚く形成された半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−216686(P2011−216686A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83833(P2010−83833)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】