説明

半導体装置

【課題】 高信頼動作の相変化メモリを実現する。
【解決手段】 本発明による半導体装置は、カルコゲナイド材料を用いた記憶層とダイオードで構成されたメモリセルを積層した構造のメモリアレイを有し、選択されたメモリセルが位置する層に応じて、初期化条件及び書き換え条件が変更されるものである。カレントミラー回路を動作に応じて選択するとともに、電圧選択回路とカレントミラー回路におけるリセット電流の制御機構により、初期化条件及び書き換え条件(ここでは、リセット条件)を動作に応じて変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、記憶情報に対応して抵抗値に差ができる素子から成るメモリセルを含む記憶装置、特に、カルコゲナイド材料の状態変化を利用して情報を記憶し、その情報による抵抗値差を検出して情報を弁別するメモリセルを用いた相変化メモリを含む記憶装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者が検討した技術として、例えば、相変化メモリを含む半導体装置においては、以下の技術が考えられる。記憶素子は、少なくともアンチモン(Sb)とテルル(Te)を含むGe−Sb−Te系、Ag−In−Sb−Te系などのカルコゲナイド材料(または、相変化材料)を記録層の材料として用いている。また、選択素子はダイオードを用いている。このように、カルコゲナイド材料とダイオードを用いた相変化メモリの特性は、例えば、非特許文献1で述べられている。
【0003】
図2は、相変化材料を用いた抵抗性記憶素子の相変化に必要なパルス幅と温度との関係を示す図である。この記憶素子に記憶情報‘0’を書き込む場合、図2に示すように、素子をカルコゲナイド材料の融点Ta以上に熱してから急冷するようなリセットパルスを印加する。冷却時間t1を短く、例えば約1nsに設定することにより、カルコゲナイド材料は高抵抗のアモルファス(非晶質)状態となる。
【0004】
逆に、記憶情報‘1’を書き込む場合、記憶素子を融点Taよりも低く、ガラス転移点と同じかそれよりも高い結晶化温度Txより高い温度領域に保つようなセットパルスを印加することにより、カルコゲナイド材料は低抵抗の多結晶状態となる。結晶化に要する時間t2はカルコゲナイド材料の組成によって異なる。図2に示した素子の温度は、記憶素子自身が発するジュール熱、および周囲への熱拡散に依存する。
【0005】
特許文献1には、強誘電体層を有するメモリセルが絶縁層を介して積層されたアレイ構造を有する半導体メモリ装置のメモリセル特性及び読み出し条件が記載されている。具体的には、メモリセルの熱履歴が層毎に異なるために、形成された層によってメモリセルの電気特性に差が生じる。このようなメモリセルを確実に読み出すために、アクセスしたメモリセルが含まれる層に応じて参照電圧を変える方式が述べられている。特許文献2には、カルコゲナイド材料からなるメモリセルを積層したアレイ構造を有する半導体メモリ装置のメモリセル特性が記載されている。すなわち、カルコゲナイド材料は、積層配列の形成ステップの影響を受け易い特性を有すると述べられている。特許文献3には、積層型磁気メモリのメモリアレイ構造が記載されている。具体的には、層毎に書き込み特性が変わることを防ぐため、配線構造やコンタクト構造などを層毎に変える方式が述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本国特許2003−060171号公報
【特許文献2】日本国特許2007−501519号公報
【特許文献3】日本国特許2004−266220号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「アイ・イー・イー・イー、インターナショナル・ソリッド・ステート・サーキット・カンファレンス、ダイジェスト・オブ・テクニカル・ペーパーズ(IEEE International Solid-State Circuits Conference, Digest of Technical Papers)」、(米国)、2007年、p.472−473
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明者等は、本願に先立ち、カルコゲナイド材料からなる記録層とダイオードを用いた相変化メモリの高集積化を検討した。特に、メモリアレイを積層することによる3次元化を検討したところ、下記二つの問題を見出した。
【0009】
第一の問題は、メモリセルの熱履歴が層毎に異なるために、メモリセルの電気特性に差が生じる虞がある点にある。具体的には、熱負荷は、下層のメモリアレイの方が大きい。このため、製造後の抵抗値は、下層のメモリアレイの方が低いことが予想される。相変化メモリでは、一般に、通常の書換え動作よりも高い電圧、または大きな電流を印加して抵抗値を下げる、所謂初期化動作が行われる。この初期化動作におけるバイアスを、より高い電圧または大きな電流を要する上層のメモリアレイに合わせた値に設定すると、抵抗値の低い下層に位置するメモリセルには過度のストレスがかかってしまい、記録層の電気特性が劣化する虞がある。したがって、初期化するメモリセルが形成された層に応じて、初期化動作における電圧あるいは電流を調整することが望まれる。
【0010】
第二の問題は、第一の問題と同様の熱履歴のために生じたメモリセルの電気特性の差によって、通常の書換え動作後の抵抗値にばらつきが発生する虞がある点にある。先に述べた特許文献1に記載の強誘電体層を有するメモリ、すなわち強誘電体メモリでは、強誘電体に電界をかけて、自発分極の方向を変えることによって情報を記憶する。形成された層の間で生じるメモリセルの電気特性差を補償する方法として、層毎に書換え電圧を変えることが考えられる。しかし、この方法は、層毎に書き換え電圧を変えるための電圧制御回路を設ける必要があり、更にトランジスタサイズの増大と相まって、チップ面積の増加を招くので、好ましくない。したがって、書き換え動作後におけるメモリセルに生じた電気特性の差は、特許文献1で述べられているように、読み出し条件(ここでは、参照電圧)を調整することで補償しなければならなかった。
【0011】
一方、相変化メモリセルにおいては、書き換え後の状態の差異によって、ディスターブやエンジュランスなどの特性劣化を招くことも予想される。このような問題を回避するために、高抵抗状態にするためのリセット動作において、より高い電圧または大きな電流を要する下層のメモリアレイに合わせて動作条件を設定すると、相対的に抵抗値の高い上層のメモリアレイに位置するメモリセルには過度のストレスがかかってしまう。この結果、リセット後の抵抗値が必要以上に高くなって、反転書換え動作を行うことができなくなる虞がある。これとは反対に、リセット動作におけるバイアスを、上層のメモリアレイに必要な値に設定すると、相対的に抵抗値の低い下層に位置するメモリセルに与えられるエネルギーが不足するため、所望の抵抗値に変化しない虞がある。しかし、チップ面積抑制を考慮して、各層に共通の読み出し回路をシリコン基板上に形成する場合には、確実な読み出し動作を実現するためには、リセット状態のセル抵抗はある一定値以上でなければならない。したがって、如何なるメモリアレイに位置するメモリセルも、同じような抵抗値になるようなリセット動作が望まれる。
【0012】
第三の問題は、これまで述べてきた熱負荷の影響により、メモリセルが形成される層によって歩留りに差が生じる虞がある点にある。すなわち、これまでのチップ・アーキテクチャでは、歩留りの低い層が存在する場合は、チップ全体が不良と判定されて、そのチップが破棄されることになる。このような検査方法では、ウェハあたりのチップ取得個数が減少することになり、結果的にビットコストの増加を招いてしまう。ビットコスト低減のためには、層単位で良品判定を行って、歩留りの高い層が一つでも存在すれば、そのチップを良品と見なして出荷できるようなアーキテクチャが望まれる。
【0013】
そこで、本発明の目的は、このような問題等を鑑み、メモリセルを積層した構造のメモリアレイを有する相変化メモリにおいて、メモリセルが形成された層に応じて、初期化動作や書き込み動作の駆動電圧または駆動電流を調製することにより、カルコゲナイド材料の電気特性を損なうことなく、メモリセルを所望の抵抗値に制御することにある。また、層単位でメモリセルの性能を評価して、歩留りの高い層が一つでも存在すれば、その層のみを使用可能なメモリアレイ構成にすることにある。本発明の前記の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0015】
第1層に設けられ、電流により記憶情報が書き込まれる第1記憶素子を有する第1メモリセルと、前記第1層の上方に形成された第2層に設けられ、電流により記憶情報が書き込まれる第2記憶素子を有する第2メモリセルと、前記第1層を選択するための第1層選択信号又は前記第2層を選択するための第2層選択信号を出力するための第1アドレス・デコーダと、前記第1メモリセルに第1記憶情報を書き込む際に前記第1メモリセルに第1電流を供給し、前記第2メモリセルに前記第1記憶情報を書き込む際に前記第2メモリセルに前記第一電流とは異なる大きさの第2電流を供給するための書き換えドライバとを有し、前記書き換えドライバは、前記第1層選択信号及び前記第2層選択信号に応じて、前記第1電流及び前記第2電流の大きさを制御することを特徴とする。
【0016】
または、第1層に設けられる第1ビット線と、前記第1層の上方に形成された第2層に設けられる第2ビット線と、前記第1ビット線及び前記第2ビット線と交差する第1ワード線及び第2ワード線と、前記第1ビット線と前記第1ワード線の交点に設けられ、電流により記憶情報が書き込まれる第1記憶素子と、前記第1ワード線から前記第1記憶素子を経由して前記第1ビット線に至る向きに電流を流すための第1整流素子とを有する第1メモリセルと、前記第1ビット線と前記第2ワード線の交点に設けられ、電流により記憶情報が書き込まれれる第2記憶素子と、前記第2ワード線から前記第2記憶素子を経由して前記第1ビット線に至る向きに電流を流すための第2整流素子とを有する第2メモリセルと、前記第2ビット線と前記第1ワード線の交点に設けられ、電流により記憶情報を書き込む第3記憶素子と、前記第1ワード線から前記第3記憶素子を経由して前記第2ビット線に至る向きに電流を流すための第3整流素子とを有する第3メモリセルと、前記第2ビット線と前記第2ワード線の交点に設けられ、電流により記憶情報が書き込まれる第4記憶素子と、前記第2ワード線から前記第4記憶素子を経由して前記第2ビット線に至る向きに電流を流すための第4整流素子とを有する第4メモリセルとを有し、前記第1又は第2メモリセルを初期化する場合は、前記第1又は第2メモリセルに第1電圧が供給され、前記第3又は第4メモリセルを初期化する場合は、前記第3又は第4メモリセルに前記第1電圧とは異なる第2電圧が供給されることを特徴とする。
【0017】
または、第1層に設けられ、電流により記憶情報を書き込む第1記憶素子を有する第1メモリセルと、前記第1層の上方に形成された第2層に設けられ、電流により記憶情報を書き込む第2記憶素子を有する第2メモリセルと、前記第1層又は前記第2層のいずれか一方を選択するための第1アドレス信号を前記第1層又は第2層の他方を選択するための第2アドレス信号に変換するためのアドレス変換回路と、前記第1アドレス信号と前記アドレス変換回路の出力した前記第2アドレス信号のうちいずれか一方を選択するためのマルチプレクサと、前記マルチプレクサが選択した信号に応じて、前記第1層を選択する第1層選択信号又は前記第2層を選択する第2層選択信号を発生するための第1アドレス・デコーダとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、高信頼動作の相変化メモリを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1の半導体装置において、それに含まれる相変化メモリの要部回路ブロックの構成例を示す図である。
【図2】相変化材料を用いた抵抗素子の相変化に必要なパルス幅と温度との関係を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1の半導体装置において、図1に記載の回路ブックにおけるメモリアレイ構成例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1の半導体装置において、図3に記載のメモリアレイに含まれる積層メモリセルの断面を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1の半導体装置において、図1に記載の相変化メモリのメモリマップを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1の半導体装置において、図5に記載のページ構成の例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1の半導体装置において、カラム・アドレスの割付けの例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態1の半導体装置において、ロウ・アドレスの割付けの例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態1の半導体装置において、それに含まれる図1におけるセンスアンプ回路の詳細な構成の例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態1の半導体装置において、それに含まれる図1における書換えドライバの詳細な構成の例を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態1の半導体装置において、図10に記載の書換えドライバにおけるリセットするメモリ層とリセット電流との関係を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態1の半導体装置において、アレイ電圧VARYの、各動作毎の設定を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態1の半導体装置において、それに含まれる相変化メモリの初期化動作の例を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態1の半導体装置において、図13に記載の相変化メモリの初期化動作における内部動作の例を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態1の半導体装置において、それに含まれる相変化メモリの書き込み動作の例を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態1の半導体装置において、図15に記載の相変化メモリの書き込み動作における内部動作の例を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態1の半導体装置において、それに含まれる相変化メモリの読出し動作の例を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態1の半導体装置において、図17に記載の相変化メモリの読出し動作における内部動作の例を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態2の半導体装置において、それに含まれる図1における書換えドライバの詳細な構成の例を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態2の半導体装置において、図19に記載の書換えドライバにおけるリセットするメモリ層とリセット電流との関係を示す図である。
【図21】本発明の実施の形態3の半導体装置において、それに含まれる相変化メモリの要部回路ブロックの構成例を示す図である。
【図22】本発明の実施の形態3の半導体装置において、図21に記載の回路ブックにおけるアドレス変換回路の構成例を示す図である。
【図23】本発明の実施の形態3の半導体装置において、図22に記載のアドレス変換回路におけるアドレス変換テーブルを示す図である。
【図24】本発明の実施の形態3の半導体装置において、図22に記載のマルチプレクサの機能を示す図である。
【図25】本発明の実施の形態4の半導体装置において、それに含まれる相変化メモリの各メモリ層の使用可否を確認するための読出し動作におけるフローチャートを示す図である。
【図26】本発明の実施の形態4の半導体装置において、それに含まれる相変化メモリの読出し動作の変形例を示す図である。
【図27】本発明の実施の形態4の半導体装置において、入力コマンドとチップ内部信号との対応の例を示す図である。
【図28】本発明の実施の形態4の半導体装置において、それに含まれる相変化メモリのデバイスID読出し動作の例を示す図である。
【図29】本発明の実施の形態4の半導体装置において、デバイスIDの内容の例を示す図である。
【図30】本発明の実施の形態5の半導体装置において、その要部ブロックの構成の例を示す図である。
【図31】本発明の実施の形態6の半導体装置において、その要部ブロックの構成の別の例を示す図である。
【図32】本発明の実施の形態7の半導体装置において、それに含まれる図1における書換えドライバの詳細な構成の例を示す図である。
【図33】本発明の実施の形態7の半導体装置において、図32に記載の書換えドライバにおけるリセットするメモリ層とリセット電流との関係を示す図である。
【図34】本発明の実施の形態7の半導体装置において、図22に記載の相変化メモリの書き込み動作における内部動作の例を示す図である。
【図35】本発明の実施の形態8の半導体装置において、それに含まれる相変化メモリの要部回路ブロックの構成例を示す図である。
【図36】本発明の実施の形態8の半導体装置に退いて、アレイ電圧VARYの設定及び図35に記載の電圧選択回路の機能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、実施の形態の各機能ブロックを構成する回路素子は、特に制限されないが、公知のCMOS(相補型MOSトランジスタ)等の集積回路技術によって、単結晶シリコンのような半導体基板上に形成される。
【0021】
なお、実施の形態では、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)の一例としてMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタを用いる。図面において、Pチャネル型MOSトランジスタ(PMOSトランジスタ)にはゲートに矢印の記号を付すことで、Nチャネル型MOSトランジスタ(NMOSトランジスタ)と区別することとする。図面にはMOSトランジスタの基板電位の接続は特に明記していないが、MOSトランジスタが正常動作可能な範囲であれば、その接続方法は特に限定しない。
【0022】
(実施の形態1)
本実施例は、選択されたメモリセルが位置する層に応じて、初期化条件及び書き換え条件を変更することが可能な相変化メモリを提供する。
【0023】
まず、図1から図4に従い、本発明による相変化メモリを説明する。本発明による相変化メモリは、カルコゲナイド材料からなる記録層とセル選択用のダイオードで構成されたメモリセルが、絶縁層を介して積層された構造である。
《積層相変化メモリの全体構成》
図1は、本発明による実施の形態1の半導体装置において、相変化メモリの要部構成例を示す回路ブロック図である。同図では、一例として、2Gbitのメモリ・プレーンPL0〜PL3からなる8Gbitの場合の構成が示されている。各メモリ・プレーンは、メモリアレイMA、センスアンプ及び書き換えドライバ(S/A & Write Driv
er)、カラム選択ゲート(Y−Gating)、カラムデコーダYDEC、第一のロウ
デコーダXDEC1、第二のロウデコーダXDEC2及び第三のロウデコーダXDEC3で構成される。メモリアレイMAは前述したように、カルコゲナイド材料からなる記録層とセル選択用のダイオードで構成されたメモリセルが3次元マトリックス状に配置された構成である。センスアンプ及び書き換えドライバは、メモリアレイからの記憶情報の読み出しと、メモリアレイへの記憶情報の書き込み動作を行う回路ブロックである。カラム選択ゲート(Y−Gating)は、16896{=(214+2)−1}本のデータ線対D[16895:0]を介してセンスアンプ及び書き換えドライバに接続されると共に、プレーンデータバスPDBUSを介して入出力線バッファ群及びラッチ回路群(I/OBuffers & Latches)に接続されて、記憶情報の授受を行う回路ブロックである。
【0024】
各デコーダの動作は、メモリ・プレーンPL0に注目して以下に説明する。カラムデコーダYDECは、前述のセンスアンプ及び書き換えドライバと入出力線バッファ群及びラッチ回路群とを接続するカラム選択ゲートにおいて、活性化するゲートを選択するための回路ブロックである。第一から第三のロウデコーダXDEC1〜XDEC3は、活性化するメモリセルの選択を行う回路ブロックである。第一のロウデコーダは、メモリ・プレーンPL0用に分配された内部アドレスPA0[23:12]に応じて、4095(=2
−1)本のワード線WL[4095:0]から一本を選択して、活性化する回路ブロッ
クである。第二のロウデコーダは、メモリ・プレーンPL0用に分配された内部アドレスPA0[26:24]に応じて、8本のビット線選択線BS[7:0]から一本を選択して、活性化する回路ブロックである。第三のロウデコーダは、メモリ・プレーンPL0用に分配された内部アドレスPA0[28:27]に応じて、4対の層選択線(LS7T、LS7B)〜(LS0T、LS0B)から一対を選択して、活性化する回路ブロックである。
【0025】
アレイ電圧VARYは、相変化メモリPCMの外部より、第一のロウデコーダXDEC1及び書き換えドライバWDに供給される電圧である。ここで、アレイ電圧は、後述の図12に示すように制御される。すなわち、初期化動作を行う場合は、それぞれの層に最適な電圧となるように、V0〜V3のいずれかに設定した上で、読み出し又は書き換え動作を行う場合は、層に依らず、常にVDDに設定した上で、第一のロウデコーダXDEC1及び書き換えドライバに供給される。
【0026】
ここで、アレイ電圧VARYは、初期化動作において、層毎に最適な初期化電圧を供給する点に特徴がある。
【0027】
このように、層毎に制御したアレイ電圧VARYを第一のロウデコーダXDEC1に供給する構成により、電機特性の違いにより層毎にばらつきを持つ抵抗値に応じて、層毎に最適な電圧でメモリセルの初期化動作を行うことが可能となる。ここで、初期化のために用いる電圧は、後述の実施の形態7に示すように、内部に電源発生回路を設けて生成することも可能である。しかし、初期化動作は出荷時のテスト等で一度だけ行えば十分であるため、内部に電源発生回路を設けず外部より供給することができる。外部から電源を供給することにより、内部電源回路によるチップ面積の増大を防ぐことが可能となる。
【0028】
また、層毎に制御したアレイ電圧を書き換えドライバWDに供給する構成により、初期化動作時にメモリセルに流れる電流量Iintを適切な値に制御し、より高精度で初期化動作を行うことが可能となる。
【0029】
次に、周辺回路ブロックについて説明する。本発明による相変化メモリで扱う記憶情報
、コマンド信号、アドレス信号の各々は、入出力線IO[7:0]からグローバル・バッファ(Global Buffer)もしくは出力ドライバ(Output Driver
)を介して授受される。グローバル・バッファ(Global Buffer)は、制御
信号群CTL1により制御される。記憶情報は、さらにグローバル・バッファ(Global Buffer)もしくは出力ドライバ(Output Driver)と入出力線バッファ群及びラッチ回路群(I/O Buffers & Latches)との間を、
対応するグローバル・バスGBUS1もしくはグローバル・バスGBUS2を介して転送される。入出力線バッファ群及びラッチ回路群(I/O Buffers & Latc
hes)は、制御信号群CTL2により制御される。コマンド信号は、グローバル・バッファ(Global Buffer)からチップ内部バスIBUSを介してコマンド・レ
ジスタ及び制御論理回路(Command Resister & Control Logic)に転送される。また、アドレス信号IA[30:0]は、同じくIBUSを介して、アドレス・バッファ群及びラッチ群に転送される。具体的には、アドレス信号IA[11:0]は、カラム・アドレス・バッファ群及びラッチ群(Y−Buffers & Latches)に転送される。アドレス信号IA[30:12]は、ロウ・アドレス・バッファ群及びラッチ群(X−Buffers & Latches)に転送される。
【0030】
コマンド・レジスタ及び制御論理回路(Command Resister & Con
trol Logic)は、さらに、ロウ・アドレス・バッファ群及びラッチ群(X−B
uffers & Latches)から出力されたメモリ・プレーン選択信号PS[3:0]と、複数の制御信号に応じて、制御信号群CTL1〜CTL4を相変化メモリの各ブロックに分配する。複数の制御信号は、具体的には、コマンド・ラッチ起動信号CLE、アドレス・ラッチ起動信号ALE、チップ起動信号CEB、読み出し起動信号REB、書き込み起動信号WEB、書き込み保護信号WPB、レディー/ビジー信号RBBである。コマンド・ラッチ起動信号CLEは、コマンド信号を一時的に格納する前述のコマンド・レジスタを活性化するための信号である。アドレス・ラッチ起動信号ALEは、アドレス信号を一時的に格納する前述のアドレス・バッファ群及びラッチ群を活性化するための信号である。チップ起動信号CEBは、相変化メモリ・チップを選択するための信号である。読み出し起動信号REBは、チップ内部でカラム・アドレスを発生しながら、前述の出力ドライバを活性化して、記憶情報を出力するための信号である。書き込み起動信号WEBは、記憶情報、コマンド信号、アドレス信号を受信するための信号である。書き込み保護信号WPBは、電源立上げ時における不慮の書き込み動作を防ぐための信号である。レディー/ビジー信号RBBは、チップ内部の状態が読み出し動作や書き込み動作の最中であるか否かを通知する信号である。
【0031】
カラム・アドレス・バッファ群及びラッチ群(Y−Buffers & Latches)は、制御信号群CTL3とメモリ・プレーン選択信号PS[3:0]に応じて、アドレス信号IA[11:0]をメモリ・プレーンPL0〜PL3に転送するための回路ブロックである。例えば、メモリ・プレーン制御信号PS0が活性化された場合に、内部アドレス信号PA0[11:0]が活性化される。内部アドレス信号を活性化されるメモリ・プレーンに選択的に分配することにより、信号線の駆動に要する消費電力を抑制することができる。
【0032】
ロウ・アドレス・バッファ群及びラッチ群(X−Buffers & Latches)は、メモリ・プレーン選択信号PS[3:0]に応じて、アドレス信号IA[30:12]をメモリ・プレーンPL0〜PL3に転送するための回路ブロックである。転送先のメモリ・プレーンは内部アドレス信号PA0[11:0]と同様に、内部アドレス信号PA[30:29]に応じて発生されたメモリ・プレーン制御信号PS0〜PS3によって選択される。
《メモリアレイの構成》
図3は、図1に示したメモリアレイMAの詳細な構成例を示す図である。同図のようにメモリアレイMAを構成することで、カルコゲナイド材料を用いた記憶層とダイオードで構成されたメモリセルが積層された構造により、メモリセルの集積度を向上することが可能となる。以下でその詳細について説明する。
【0033】
一回の読み出し動作や書き込み動作でアクセスされるメモリセルの単位を、以下ではページと呼ぶ。図3のメモリアレイMAは、131072(=217)本のページを有する。それぞれのページは、2kByteのメイン領域と64Byteのスペア領域からなり、これらを合計すると2112kByteの規模である。このような特徴のメモリアレイMAについて、以下に詳細に説明する。
【0034】
メモリアレイMAは、16896(=214+2)個のサブ・メモリアレイSM0〜SM16895と、第一のマルチプレクサ群MUXB1、第二のマルチプレクサ群MUXB2で構成される。サブ・メモリアレイSM0〜SM16895の夫々は、例えばサブ・メモリアレイSM0のように、4096(=212)本のワード線WL0〜WL4095(=WL(212−1))と8組のローカル・ビット線対(LB001〜LB004)〜(LB071〜LB074)との各交点に配置された積層メモリセル群MB00〜MB(212−1)7で構成される。積層メモリセル群MB00〜MB(212−1)7の各々は、カルコゲナイド材料を用いた記録層の機能を有する相変化抵抗素子Rと、メモリセル選択用のダイオードDが、対応するビット線とワード線との間で直列接続されたメモリセルMC1〜MC4で構成される。
【0035】
第一のマルチプレクサ群MUXB1は、16896(=214+2)個のサブ・メモリアレイSM0〜SM16895に対応する、マルチプレクサ群MB10〜MB116895で構成される。マルチプレクサ群MB10〜MB116895の各々は、例えばマルチプレクサ群MB10内のマルチプレクサMUX10のように、4本のローカル・ビット線LB001〜LB004から一本をメモリ層選択信号LS[3:0]に応じて選択して、ビットBL00に接続する回路である。
【0036】
第二のマルチプレクサ群MUXB2は、16896(=214+2)個のサブ・メモリアレイSM0〜SM16895に対応する、マルチプレクサMUX20〜MUX216895で構成される。マルチプレクサMUX20〜MUX216895の各々は、例えばマルチプレクサMUX20のように、8本のローカル・ビット線BL00〜BL07から一本をビット線選択信号BS[7:0]に応じて選択して、共通データ線CD0に接続する回路である。
【0037】
図3には、センスアンプ及び書き換えドライバ(S/A & Write Driver)も記載されている。センスアンプ及び書き換えドライバ(S/A & Write Driver)は、16896(=214+2)個のサブ・メモリアレイSM0〜SM16895に対応する、読み書き回路RW0〜RW16895で構成される。読み書き回路RW0〜RW16895の各々は、例えば読み書き回路RW0のように、共通データ線CD0とデータ線対D0T/Bとの間に配置される。読み書き回路RW0は、センスアンプSAと書換えドライバWDとで構成される。
【0038】
図3においては、積層メモリセル群MB00〜MB(212−1)7内において、第1の層のメモリセルMC1から第4の層のメモリセルMC4については、ビット線は夫々のメモリセル毎に設けられ、ワード線はメモリセルMC1からMC4までまとめて同一の配線により短絡されている。この構成は、本実施例とは反対に、ワード線を夫々のメモリセル毎に設け、ビット線をまとめて同一の配線により設けても同様の構成を実現することが可能である。しかし、複数のワード線は夫々ロウデコーダXDEC1内の選択回路と接続されるため、その各々について面積の大きいPMOSが接続される。そのため、ワード線を複数本まとめることで、PMOSの数を抑えることができる本実施例が、回路面積の増大を抑える点でより有効である。
【0039】
図4は、図3に示した積層メモリセル群と第一のマルチプレクサ群の断面構造を示している。同図では、一例として、ローカル・ビット線対LB001〜LB004に接続された積層メモリセル群MB00〜MB(212−1)0とマルチプレクサMUX10が示されている。本実施の形態による積層メモリセル群は、図3に示したメモリセルMC1〜MC4を四つ積み重ねた点に特徴がある。
【0040】
積層メモリセル群MB00〜MB(212−1)0とマルチプレクサMUX10はP型シリコン基板100上に形成されたPウェル領域101内に形成される。103は、マルチプレクサMUX10が有するNMOSトランジスタのゲート電極となるポリシリコン層である。カッコ内の記号はメモリ層選択信号LS[3:0]である。104は、NMOSトランジスタのソース電極またはドレイン電極となるN+拡散層領域である。105は、トランジスタ間の通電を遮断するための素子分離用の酸化物である。
【0041】
201〜204は、ローカル・ビット線LB001〜LB004となる第一〜第四のタングステン層である。211〜214は、ワード線となる第五〜第八のタングステン層である。ワード線はWL0のように、積層メモリセル群内で共有されており、第五〜第八のタングステン層は紙面で現されていない位置で短絡されている。これら、第一〜第八のタングステン層は互いに、相間絶縁膜600で分離されている。
【0042】
301は、第一のタングステン層とN+拡散層とを接続するための第一のコンタクトである。302は、第二のタングステン層と第一のタングステン層とを接続するための第二のコンタクトである。303は、第三のタングステン層と第二のタングステン層とを接続するための第三のコンタクトである。304は、第四のタングステン層と第三のタングステン層とを接続するための第四のコンタクトである。
【0043】
メモリセルは、例えば積層メモリセル群MB00内のメモリセルMC1のように、ローカル・ビット線LB001となるタングステン層(ここでは201)とワード線WL0となるタングステン層(ここでは211)との間に、柱状に形成される。400は、PNダイオードのP層、401はPNダイオードのN層、402はカルコゲナイド材料層である。また、500はPNダイオードとカルコゲナイド材料層との間のバッファ層となる第九のタングステン層、501はカルコゲナイド材料層とローカル・ビット線との間のバッファ層となる第十のタングステン層である。ここで、メモリセルは、選択トランジスタとカルコゲナイド材料層とを有し、選択トランジスタのゲートにワード線を接続する構成も可能である。しかし、本実施例のようにダイオードとカルコゲナイド材料層とを有する構成により、よりメモリセルの集積度を向上することが可能となる。
<<メモリマップ>>
次に、本実施の形態による相変化メモリのメモリマップを説明する。図5は、本メモリマップの概略を示す図である。メモリ・プレーンPL0〜PL3の各々は、例えばメモリ・プレーンPL0のように4つのメインブロック(Main block0、Main block4、Main block8、Main block12)からなる点に特徴がある。これらのメインブロックは積層されたメモリアレイに対応しており、例えば、メイン・ブロック0は一層めのメモリアレイメインブロック4は二層めのメモリアレイ、メインブロック8は三層めのメモリアレイ、メモリブロック12は四層めのメモリアレイである。メインブロック(Main block0〜Main block15)の各々は、例えばメインブロック0のように512個のブロック(Block0〜Block511)で構成される。さらに、ブロック(Block0〜Block511)の各々は、ブロック0のように、64個のページ(Page0〜Page63)で構成される。
【0044】
図6は、図5に記載のページ構成を示す図である。ページは、2048(=211)Byteのメイン領域と64(=2)Byteのスペア領域とで構成される。メイン領域は、さらに512バイトからなる4つの領域(Aエリア〜Dエリア、または第一のセクタ〜第四のセクタ)で構成される。また、スペア領域は、16バイトからなる4つの領域(Eエリア〜Hエリア、または第五のセクタ〜第八のセクタ)で構成される。メイン領域には、記憶情報が書き込まれ、スペア領域には、1ビット誤り訂正符合が書き込まれる。このようなページ構成に応じて、図3に示したメモリアレイは16896(=214+2)個のサブ・メモリアレイで構成されている。また、センスアンプ及び書き換えドライバ(S/A & Write Driver)は、16896(=214+2)対のセンスアンプ及び書き換えドライバで構成される。
【0045】
図7は、カラム・アドレスの割付けを示す図である。メイン領域は、カラム・アドレス0〜2047で指定される。また、スペア領域は、カラム・アドレス2048〜2111で指定される。これらのカラム・アドレスは、図1に示したアドレス信号IA[11:0]で発生される。したがって、詳しくは後述するが、メモリアレイMAから一度に読み出された16896(=214+2)ビットの記憶情報は一旦センスアンプに記憶され、データ線選択線DS[2111:0]に応じてカラム・ゲート(Y−Gating)から1Byteずつ出力される。反対に、記憶情報はカラム・ゲート(Y−Gating)を介して1Byteずつ書き換えドライバに格納され、16896(=214+2)ビット揃ったところで一挙にメモリアレイMAに書き込まれる。
【0046】
図8は、ロウ・アドレスの割付けを示す図である。ロウ・アドレスは、図1に示したアドレス信号IA[30:12]で発生される。アドレス信号IA[30:29]によって、メモリ・プレーン選択信号PS[3:0]が発生される。アドレス信号IA[28:27]によって、メモリ層選択信号LS[3:0]が発生される。ページを選択するためのワード線WL0〜WL(212−1)とビット線選択線BS[7:0]は、アドレス信号IA[26:12]によって発生される。
<<センスアンプ及び書き換えドライバの構成>>
以下では、センスアンプ及び書き換えドライバ(S/A & Write Driver)の具体的な構成例を説明する。図9は、一例として読み書き回路RW0が示されている。まず、センスアンプSAは、プリチャージ回路PCC、クロスカップル型ラッチアンプCCL、伝達ゲートRGからなる公知の回路構成である。
【0047】
プリチャージ回路PCCは、3つのNMOSトランジスタで構成され、待機時にデータ線イコライズ信号DLEQが電源電圧VDDよりも高い昇圧電圧VPPに駆動されることにより活性化されて、データ線対D0T、D0Bを基準電圧VDR(ここでは、例えばVDD/2)に駆動する。
【0048】
クロスカップル型線ラッチアンプCCLは、2つのPMOSトランジスタと2つのNMOSトランジスタとで構成される。待機時において、共通ソース線CSP、CSNはデータ線対D0T、D0Bと同じプリチャージ電圧(ここでは、基準電圧VDR)に駆動される。一方、読み出し動作において、選択されたメモリセルが記憶する情報に応じた信号がデータ線D0Tに発生されると、共通ソース線CSPが電源電圧VDD、共通ソース線CSNが接地電圧VSSに駆動されることにより活性化されて、データ線対D0T、D0Bに発生した微小信号を増幅する。
【0049】
伝達ゲートRGは、クロスカップル型センスラッチとメモリセルアレイとの間に挿入された2つのNMOSトランジスタで構成される。読み出し動作において、伝達ゲート起動信号RGE1、RGE2が昇圧電圧VPPに駆動されることにより活性化されて、共通データ線CD0及び参照電圧VREF(ここでは、例えばVDD/2)とクロスカップル型ラッチアンプとを接続して、選択メモリセルから読み出した信号をクロスカップル型センスラッチに転送する。なお、データ線イコライズ信号DLEQ、共通ソース線CSP、CSN、伝達ゲート起動信号RGE1、RGE2は、制御信号群CTL4の構成要素である。
【0050】
図10は、書き換えドライバWD0の構成を示している。この書き換えドライバは、リセットの際にメモリセルに流れる電流Irstを、メモリ層選択信号LS1B〜LS3Bに応じて制御し、層毎に書き換え条件を変化させる点に特徴がある。この構成により、メモリセルを高抵抗状態にするリセット動作において、層毎の電気特性の違いに応じて、層毎に抵抗値を所望の値に制御することが可能となり、高信頼度の相変化メモリを実現することが可能となる。
【0051】
この書換えドライバの基本構成は、NMOSトランジスタMN70、MN71、MN72、MN73からなる三つのカレントミラー回路であり、次の二つの特徴がある。第一の特徴は、カレントミラー回路が動作に応じて、活性化される点にある。第二の特徴は、供給されるアレイ電圧VARYの電圧値が、動作モードに応じて制御される点にある。
【0052】
まず、カレントミラー回路の構成について説明する。第一のカレントミラー回路は、トランジスタMN70とMN73の組み合わせで構成される。トランジスタMN70とアレイ電圧VARYとの間には、PMOSトランジスタMP700、MP701が直列に挿入される。トランジスタMP700のゲートには、バイアス電圧VBIAS0が入力される。また、トランジスタMP701のゲートには、初期化起動信号INT_ENをインバータ回路IV700で反転した信号が入力される。このような構成により、共通データ線CD0を介して印加するメモリセル電流Icellを初期化動作に必要な値Iintに設定する。
【0053】
このように、第一のカレントミラー回路は、メモリ層選択信号LS1B〜LS3Bに依らずにメモリセルの初期化電流を制御する点に特徴がある。これは、初期化においては、アレイ電圧VARYを制御することにより層毎に初期化電圧を制御し、最適な条件で初期化動作を行うことが可能なためである。そのため、メモリ層選択信号に応じて層毎の制御を行う回路を設けないことで、回路面積を低減することが可能となる。
【0054】
第二のカレントミラー回路は、トランジスタMN71とMN73の組み合わせで形成される構成である。トランジスタMN71とアレイ電圧VARYとの間には、PMOSトランジスタMP710、MP711が直列に挿入される。トランジスタMP710のゲートには、バイアス電圧VBIAS1が入力される。また、トランジスタMP711のゲートには、セット起動信号SET_ENとデータ線D0Tが入力された二入力NAND回路ND70の出力信号が入力される。このような構成により、メモリセルを低抵抗状態にする、すなわち記憶情報“1”を書き込む場合に、共通データ線CD0を介して印加するメモリセル電流Icellをセット動作に必要な値Isetに制御する。
【0055】
このように、第二のカレントミラー回路も、第一のカレントミラー回路と同様に、メモリ層選択信号LS1B〜LS3Bに依らずにメモリセルのセット電流Isetを制御する点に特徴がある。これは、後述する第三のカレントミラー回路によって、リセット抵抗が適正な値に制御されるために、セット動作においては、メモリ層選択信号に応じて層毎の制御を行う必要がないためである。そのため、回路構成が簡略化されて、回路面積を低減することが可能となる。
【0056】
但し、上述の第一のカレントミラー回路及び第二のカレントミラー回路において、層毎の制御を行う回路を設けても構わない。
【0057】
第三のカレントミラー回路は、トランジスタMN72とMN73の組み合わせで形成される構成である。トランジスタMN72とアレイ電圧VARYとの間には、PMOSトランジスタMP720、MP722、MP723、MP724と、MP721が直並列に挿入される。ここで、並列接続されたトランジスタのゲート幅は、トランジスタMP720、MP722、MP723、MP724の順に大きく設定されている。トランジスタMP720のゲートには、接地電圧VSSが入力される。また、トランジスタMP722、MP723、MP724のゲートには、メモリ層選択信号LS1T〜LS3Tの反転信号LS1B〜LS3Bが夫々入力される。さらに、トランジスタMP721のゲートには、リセット起動信号RST_ENとデータ線D0Bが入力された二入力NAND回路ND71の出力信号が入力される。このような構成により、メモリセルを高抵抗状態にする、すなわち記憶情報“0”を書き込む場合に、共通データ線CD0を介して印加するメモリセル電流Icellを、図11に示すように選択されたメモリ層に応じた値Irstに制御する。具体的には、第一のメモリ層(最下層)のメモリセルに書き込み動作を行う場合は、トランジスタMP720が導通することによりリセット電流Irstは、Irst0に設定される。第二のメモリ層のメモリセルに書き込み動作を行う場合は、トランジスタMP720、MP722が夫々導通することにより、リセット電流Irstは、(m+1)×Irst0に設定される。第三のメモリ層のメモリセルに書き込み動作を行う場合は、トランジスタMP720、MP723が夫々導通することにより、リセット電流Irstは、(k+1)×Irst0に設定される。第四(最上層)のメモリ層のメモリセルに書き込み動作を行う場合は、トランジスタMP720、MP724が夫々導通することによりリセット電流Irstは、(j+1)×Irst0に設定される。ここで、係数m、k、jは、m<k<jの関係に設定されている。よって、上層のメモリアレイほど大電流を印加してリセット動作を行うことにより、各層のメモリセルの抵抗値を所望の抵抗値に確実に制御することが可能となる。なお、リセット電流Irstは、セット電流Isetよりも大きな値となるように設定される。また、初期化起動信号INIT_EN、セット起動信号SET_EN、リセット起動信号RST_ENの夫々は、制御信号群CTL4の構成要素である。
【0058】
以上のように、第三のカレントミラー回路は、ゲート幅の異なるトランジスタMP720、722、723及び724を並列に接続し、メモリ層選択信号に応じて導通させるトランジスタを選択する点に特徴がある。このような構成により、夫々の層に最適のリセット電流を供給することが可能となる。
【0059】
なお、トランジスタMP720は導通状態であるため、取り除いても良い。ただし、トランジスタMP720を設けることで、第一のメモリ層のリセット動作を行う際のベースとなる電流を設計できるという利点がある。
【0060】
次に、書き換えドライバWDに及び第一のロウデコーダXDEC1に供給されるアレイ電圧VARYの電圧値について説明する。図12は、各動作ごとのアレイ電圧VARYの設定を示している。初期化動作の場合は、選択セルが位置するメモリ層に応じた値のアレイ電圧VARYが印加される。
【0061】
具体的には、第一のメモリ層(最下層)のメモリセルを初期化する場合は、アレイ電圧VARYは第一の電圧V0として供給される。以下同様に、第二のメモリ層のメモリセルを初期化する場合は、アレイ電圧VARYは第一の電圧V0よりも高い第二の電圧V1として供給され、第三のメモリ層のメモリセルを初期化する場合は第二の電圧V1よりも高い第三の電圧V2として供給され、第4のメモリ層(最上位)のメモリセルを初期化する場合は、第三の電圧V2よりも高い第4の電圧V3として供給される。以上の電圧は、次のような関係がある。
VDD≧V3>V2>V1>V0 …(式1)
このように、層毎に最適の電圧を供給して初期化動作を行うことにより、記憶層への過剰なストレスの印加で引き起こされる電気特性の劣化を防ぐことが可能となり、高信頼の相変化メモリを実現することができる。
【0062】
なお、読み出し動作又は書き換え動作においては、アレイ電圧VARYは電源電圧VDDに設定される。これは、アレイ電圧を相変化メモリPCMの外部より供給し、内部に電圧発生回路を設けていないためである。しかし、読み出し動作においては、メモリセルの状態を書き換えることはないため、アレイ電圧VARYの制御は不要である。また、書き換え動作においては、図10に示した書き換えドライバによって最適な条件でのリセット動作及びセット動作が可能となるため、図12に示したアレイ電圧の制御により、全ての動作において、層毎に最適な条件を提供することができる。
<<初期化動作>>
これまで説明してきた本実施の形態による相変化メモリにおける動作について、以下に説明する。図13は、初期化動作の例を示している。接地電圧VSSとなっているコマンド・ラッチ起動信号CLEをハイ・レベルに駆動し、ハイ・レベルとなっているチップ起動信号CEB及びアドレス・ラッチ起動信号ALEをロウ・レベルに駆動する。この後、第一の初期化コマンド信号IN1を入出力線I/Ox(x=0〜7)を介して入力すると、ライト起動信号WEBの立ち上がりエッジによって、第一の初期化コマンド信号IN1が相変化メモリ・チップに取り込まれる。次に、また、ハイ・レベルとなっているコマンド・ラッチ起動信号CLEをロウ・レベル、ロウ・レベルとなっているアドレス・ラッチ起動信号ALEをハイ・レベルに夫々駆動して、カラム・アドレスとロウ・アドレスを入力する。ここで、カラム・アドレスは、図7に示すように0〜2111番地まであるので、12ビットを要する。一方、アドレスを入力するI/Oピンは、図1に示すように8本しかないので、12ビットのカラム・アドレスは2回(CA1、CA2)に分けて順に入力される。同様に、ロウ・アドレスは図8に示すように19ビット要するので、これらは3回(RA1、RA2、RA3)に分けて順に入力される。これらのアドレスは、ライト起動信号WEBの立ち上がりエッジによって相変化メモリ・チップに取り込まれ、チップ内部ではアドレスのデコードが順次行われる。さらに、ハイ・レベルとなっているアドレス・ラッチ起動信号ALEをロウ・レベル、ロウ・レベルとなっているコマンド・ラッチ起動信号CLEをハイ・レベルに夫々駆動して、第二の初期化コマンド信号IN2を入出力線I/Ox(x=0〜7)に入力する。この第二の初期化コマンド信号IN2は、ライト起動信号WEBの立ち上がりエッジによって、相変化メモリ・チップに取り込まれて、初期化動作が行われる。なお、初期化動作において、ハイ・レベルとなっているレディー/ビジー信号RBBはロウ・レベルに駆動される。
【0063】
図14は、本実施の形態による相変化メモリの初期化動作におけるチップ内部動作の例を示す図である。同図では、図3に示したメモリアレイMAに含まれるサブ・メモリアレイSMA0〜SMA16895において、積層メモリセル群MB00の最下層にあるメモリセルMC1を初期化する場合の動作波形が示されている。説明を簡略化するために、第一のマルチプレクサ群MUXB1及び第二のマルチプレクサ群MUXB2の動作波形は省略されているが、図13に示した第二の初期化コマンドIN2に応じて、メモリ層選択信号LS0及びビット線選択信号BS0が活性化されることにより、ローカル・ビット線LS001、LS101、…、LS1689501と共通データ線CD0、CD1、…、CD16895とが夫々接続される。次に、接地電圧VSSとなっている初期化起動信号INIT_ENが電源電圧VDD、接地電圧VSSとなっているワード線WL0が第一のアレイ電圧V0にそれぞれ駆動されると、対応するローカル・ビット線LB001、LB101、…、LB1689501に初期化電流Iintが印加されて、初期化動作が行われる。なお、ワード線に印加されるアレイ電圧は、選択されたメモリセルが属するメモリ層に応じてV0〜V3のいずれかの電圧値となることは、前述の図12から容易に理解することができる。
<<書き込み動作>>
図15は、書き込み動作の例を示している。ロウ・レベルとなっているコマンド・ラッチ起動信号CLEをハイ・レベルに駆動し、ハイ・レベルとなっているチップ起動信号CEB及びアドレス・ラッチ起動信号ALEをロウ・レベルに駆動する。この後、第一の書き込みコマンド信号PRG1を入出力線I/Ox(x=0〜7)を介して入力すると、ライト起動信号WEBの立ち上がりエッジによって、第一の書き込みコマンド信号PRG1が相変化メモリ・チップに取り込まれる。次に、また、ハイ・レベルとなっているコマンド・ラッチ起動信号CLEをロウ・レベル、ロウ・レベルとなっているアドレス・ラッチ起動信号ALEをハイ・レベルに夫々駆動して、カラム・アドレスを2回(CA1、CA2)、ロウ・アドレスを3回(RA1、RA2、RA3)に分けて順に入力する。これらのアドレスは、ライト起動信号WEBの立ち上がりエッジによって相変化メモリ・チップに取り込まれ、チップ内部ではアドレスのデコードが順次行われる。さらに、ハイ・レベルとなっているアドレス・ラッチ起動信号ALEをロウ・レベルに駆動して、記憶情報Din(N)〜Din(M)を入出力線I/Ox(x=0〜7)を介して入力する。続いて、ロウ・レベルとなっているコマンド・ラッチ起動信号CLEをハイ・レベルに駆動して、第二の書き換えコマンド信号PRG2を入出力線I/Ox(x=0〜7)に入力する。この第二の初期化コマンド信号PRG2は、ライト起動信号WEBの立ち上がりエッジによって相変化メモリ・チップに取り込まれて、書き換え動作が行われる。なお、書き換え動作において、ハイ・レベルとなっているレディー/ビジー信号RBBはロウ・レベルに駆動される。書き換え動作を終えて、ロウ・レベルとなっているレディー/ビジー信号RBBがハイ・レベルに駆動されてから、状態読み出しコマンド信号RDSを入力する。状態読み出しコマンド信号RDSは、書き込み起動信号WEBの立ち上がりエッジにてチップ内部に取り込まれる。さらに、読み出し起動信号RDBに同期して、書き込み後の状態RIO0が入出力線I/Ox(x=0〜7)から出力される。
【0064】
図16は、本実施の形態による相変化メモリの書き換え動作におけるチップ内部動作の例を示す図である。同図では、図3に示したメモリアレイMAに含まれるサブ・メモリアレイSMA0〜SMA16895において、積層メモリセル群MB00の最下層にあるメモリセルMC1に記憶情報を書き込む場合の動作波形が示されている。図15に示した第二の書き換えコマンドPRG2に応じて、昇圧電圧VPPとなっているデータ線イコライズ信号DLEQが接地電圧VSSに駆動され、基準電圧VDRとなっている共通ソース線CSP、CSNが電源電圧VDD、接地電圧VSSに夫々駆動されることにより、データ線D0T〜D16895Tを介して入力された記憶情報が読み書き回路RW0〜RW16895内のセンスアンプSAに一時的に格納される。また、説明を簡略化するために、第一のマルチプレクサ群MUXB1及び第二のマルチプレクサ群MUXB2の動作波形は省略されているが、メモリ層選択信号LS0及びビット線選択信号BS0が活性化されることにより、ローカル・ビット線LS001、LS101、…、LS1689501と共通データ線CD0、CD1、…、CD16895とが夫々接続される。続いて、リセット起動信号RST_EN及びセット起動信号SET_ENが電源電圧VDDに夫々駆動されて、接地電圧VSSとなっているワード線WL0がアレイ電圧VARY(ここでは、電源電圧VDD)に駆動されると、対応するセンスアンプに格納された記憶情報に応じてローカル・ビット線LB001、LB101、…、LB1689501にリセット電流Irst又はセット電流Isetが印加されて、書き換え動作が行われる。なお、セット起動信号SET_ENのパルス幅は、記憶層を十分に結晶化して、その抵抗値を下げられるように、リセット起動信号RST_ENよりも大きく設定されている。最後に、電源電圧VDDとなっている共通ソース線CSPと、接地電圧VSSとなっている共通ソース線CSNを基準電圧VDRに夫々駆動し、接地電圧VSSとなっているデータ線イコライズ信号DLEQを昇圧電圧VPPに駆動することにより、待機状態に復帰する。
<<読み出し動作>>
図17は、読み出し動作の例を示している。ロウ・レベルとなっているコマンド・ラッチ起動信号CLEをハイ・レベルに駆動し、ハイ・レベルとなっているチップ起動信号CEB及びアドレス・ラッチ起動信号ALEをロウ・レベルに駆動する。この後、第一の読み出しコマンド信号RD1を入出力線I/Ox(x=0〜7)を介して入力すると、ライト起動信号WEBの立ち上がりエッジによって、第一の読み出しコマンド信号RD1が相変化メモリ・チップに取り込まれる。次に、また、ハイ・レベルとなっているコマンド・ラッチ起動信号CLEをロウ・レベル、ロウ・レベルとなっているアドレス・ラッチ起動信号ALEをハイ・レベルに夫々駆動して、カラム・アドレスを2回(CA1、CA2)、ロウ・アドレスを3回(RA1、RA2、RA3)に分けて順に入力する。これらのアドレスは、ライト起動信号WEBの立ち上がりエッジによって相変化メモリ・チップに取り込まれ、チップ内部ではアドレスのデコードが順次行われる。さらに、ハイ・レベルとなっているアドレス・ラッチ起動信号ALEをロウ・レベル、ロウ・レベルとなっているコマンド・ラッチ起動信号CLEをハイ・レベルに夫々駆動して、第二の読み出しコマンド信号RD2を入出力線I/Ox(x=0〜7)に入力する。この第二の読み出しコマンド信号RD2は、ライト起動信号WEBの立ち上がりエッジによって相変化メモリ・チップに取り込まれて、読み出し動作が行われる。なお、読み出し動作において、ハイ・レベルとなっているレディー/ビジー信号RBBはロウ・レベルに駆動される。メモリアレイから読み出された記憶情報はチップ内部を転送されて、ロウ・レベルとなっているレディー/ビジー信号RBBがハイ・レベルに駆動されてから、読み出し起動信号REBの立ち上がりエッジに同期してDout(N)〜Dout(M)の順に出力される。
【0065】
図18は、本実施の形態による相変化メモリの読み出し動作におけるチップ内部動作の例を示す図である。同図では、図3に示したメモリアレイMAに含まれるサブ・メモリアレイSMA0〜SMA16895において、積層メモリセル群MB00の最下層にあるメモリセルMC1から記憶情報を読み出す場合の動作波形が示されている。説明を簡略化するために、第一のマルチプレクサ群MUXB1及び第二のマルチプレクサ群MUXB2の動作波形は省略されているが、図13に示した第二の読み出しコマンドRD2に応じて、メモリ層選択信号LS0及びビット線選択信号BS0が活性化されることにより、ローカル・ビット線LS001、LS101、…、LS1689501と共通データ線CD0、CD1、…、CD16895とが夫々接続される。次に、接地電圧VSSとなっている伝達ゲート起動信号RGE1を昇圧電圧VPPに駆動して、ローカル・ビット線LS001、LS101、…、LS1689501の各々を接地電圧VSSに駆動する。また、昇圧電圧VPPとなっているデータ線イコライズ信号DLEQを接地電圧VSS、接地電圧VSSとなっている伝達ゲート起動信号RGE2を昇圧電圧VPPに夫々駆動して、データ線D0B、D1B、…、D16895Bを参照電圧VREFに駆動する。続いて、接地電圧VSSとなっているワード線をアレイ電圧VARY(ここでは、電源電圧VDD)に駆動することにより、ローカル・ビット線及びデータ線が、記憶情報に応じた電圧に駆動される。例えば、ローカル・ビット線LB001上のメモリセルが情報“1”を記憶しており、低抵抗状態にある場合は、ローカル・ビット線LB001及びデータ線D0Tが充電される。一方、ローカル・ビット線LB101上のメモリセルのように、情報“0”を記憶しており、高抵抗状態にある場合は、ローカル・ビット線LB101及びデータ線D1Tは、ほぼ接地電圧VSSに保持される。この後、記憶情報“1”を読み出しているローカル・ビット線LB001及びデータ線D0Tのように、これらの電圧が参照電圧VREFを上回ったタイミングで、基準電圧VDRとなっている共通ソース線CSP、CSNを電源電圧VDD、接地電圧VSSに夫々駆動して、読み出した信号を増幅する。さらに、電源電圧VDDとなっているワード線WL0を接地電圧VSS、昇圧電圧VPPとなっている伝達ゲート起動信号RGE1、RGE2を接地電圧VSSに駆動して、共通データ線CD0、CD1、…、CD16895とデータ線D0T、D1T、…、D16895Tとを遮断することにより、過度の電圧印加によるデータ破壊を回避する。最後に、電源電圧VDDとなっている共通ソース線CSPと、接地電圧VSSとなっている共通ソース線CSNを基準電圧VDRに夫々駆動し、昇圧電圧VPPとなっているデータ線イコライズ信号DLEQを接地電圧VSSに駆動することにより、待機状態に復帰する。
【0066】
以上のような構成と動作により、次の二つの効果が得られる。第一の効果は、図4に示したように、カルコゲナイド材料を用いた記憶層とダイオードで構成されたメモリセルを積層した構造とすることにより、相変化メモリ・チップの集積度を向上することができる点にある。第二の効果は、選択されたメモリセルが位置する層に応じて、初期化条件及び書き換え条件が変更される点にある。具体的には、図10に示したように、カレントミラー回路を動作に応じて選択するとともに、図12に示した電圧設定とカレントミラー回路におけるリセット電流Irstの制御機構により、初期化条件及び書き換え条件(ここでは、リセット条件)を動作に応じて変更することができる。このような機構により、初期化動作において、記憶層への過剰なストレスの印加で引き起こされる電気特性の劣化を防ぐことが可能となる。また、メモリセルを高抵抗状態にするリセット動作において、抵抗値を所望の値に制御することが可能となる。よって、高信頼動作の相変化メモリを実現することができる。
【0067】
なお、本実施の形態では、メモリセルを4層積み重ねる場合について説明してきたが、積層数はこれに限定されることはなく、2層でも、8層でも良い。この場合も、選択するメモリ層に応じて動作条件を制御することにより、同様の効果を得ることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態2では、図10に示した書き換えドライバWDの別の構成を説明する。図19は、本実施の形態における書き換えドライバWDの構成例を示している。本書き換え回路と図10に示した書き換え回路との相違点は、PMOSトランジスタMP722、MP723、MP724がトランジスタMP725、MP726に置き換えられている点にある。これらのトランジスタのゲート幅は、トランジスタMP720、MP725、MP726の順に1対1対2の寸法である。
【0068】
トランジスタMP725のゲートには、メモリ層選択信号LS1B、LS3Bが入力された二入力NAND回路ND720の出力信号をインバータ回路IV720で反転した信号LS13Bが入力される。トランジスタMP726のゲートには、メモリ層選択信号LS2B、LS3Bが入力された二入力NAND回路ND721の出力信号をインバータ回路IV721で反転した信号LS23Bが入力される。このような構成により、三つのトランジスタを用いて、図20に示すような4段階のリセット電流Irstを発生する。論理回路部を複数の書き換え回路で共有することになれば、書き換えドライバ内のトランジスタ数が削減されるので、書き換えドライバWDの面積を抑制することが可能となる。
(実施の形態3)
本実施の形態3では、図1に示した相変化メモリPCMの別の構成例を説明する。図21は、本実施の形態における相変化メモリPCMの構成例を示している。本相変化メモリPCMの特徴は、メモリ層毎に良品か不良品かを判断して、良品判定されたメモリ層のみを使用することにある。このような機能を実現するため、図1に示した構成にアドレス変換回路AEが追加された点に特徴がある。このアドレス変換回路AEは、内部アドレスIA[28:27]を内部アドレスCA[28:27]に変換して、ロウ・アドレス・バッファ群及びラッチ群(X−Buffers & Latches)に転送する。
【0069】
図22は、図21に示されたアドレス変換回路AEの構成例を示している。このアドレス変換回路AEは、アドレス変換論理回路AELとマルチプレクサMUXとで構成される。アドレス変換回路は、フューズ等を用いて任意の論理に設定される。この論理は、良品判定されたメモリ層の組み合わせによって異なり、例えば図23に示すような機能が実現される。その機能を以下で説明する。
【0070】
第一の機能は、良品判定されたメモリ層が一層であり、第一層〜第四層の何れかを選択するためのアドレスを発生することにある。この場合、入力すべき内部アドレスIA[28:27]を00と定義する。この内部アドレスIA[28:27]を、アドレス変換論理回路AELは、良品判定されたメモリ層に応じて、00、01、10、11の何れかに変換する。
【0071】
第二の機能は、良品判定されたメモリ層が二層であり、第一層〜第四層から何れか二層を選択するためのアドレスを発生することにある。この場合、入力すべき内部アドレスIA[28:27]を00または01と定義する。この内部アドレスIA[28:27]を、アドレス変換論理回路AELは、良品判定されたメモリ層に応じて、6通りの組み合わせに変換する。
【0072】
第三の機能は、良品判定されたメモリ層が三層であり、第一層〜第四層から何れか三層を選択するためのアドレスを発生することにある。この場合、入力すべき内部アドレスIA[28:27]を00、01、10の何れかと定義する。この内部アドレスIA[28:27]を、アドレス変換論理回路AELは、良品判定されたメモリ層に応じて、4通りの組み合わせに変換する。
【0073】
第四の機能は、良品判定されたメモリ層が四層であり、第一層〜第四層の何れかを選択するためのアドレスを発生することにある。この場合、入力すべき内部アドレスIA[28:27]を00、01、10、11の何れかと定義する。この内部アドレスIA[28:27]を、そのまま内部アドレスEA[28:27]として出力する。
【0074】
マルチプレクサMUXは、制御信号群CTL4に応じて内部アドレスIA[28:27]か内部EA[28:27]の何れか一方を内部アドレスCA[28:27]として出力する。制御信号群CTL4は、図24に示すように、初期化モード信号INIT、テストモード信号TEST、通常動作モード信号NORMを有する。初期化モード信号INITは、図9に示したように第一及び第二の初期化コマンド信号IN1、IN2により活性化される。通常動作モード信号NORMは、図15や図17に示したように第一及び第二の書き換えコマンド信号PRG1、PRG2や第一及び第二の読み出しコマンド信号RD1
、RD2により活性化される。テストモード信号TESTは、図15や図17に示した第一及び第二の書き換えコマンド信号PRG1、PRG2や第一及び第二の読み出しコマンド信号RD1、RD2の代わりに、テスト時における第一及び第二の書き換えコマンド信号TPRG1、TPRG2や第一及び第二の読み出しコマンド信号TRD1、TRD2を夫々入力することにより活性化される。以上の動作モード信号により、初期化モード及びテストモードでは、内部アドレスIA[28:27]が選択されて、内部アドレスCA[28:27]に出力される。また、通常動作モードでは、アドレス変換論理回路AELによって変換された内部アドレスEA[28:27]が選択されて、内部アドレスCA[28:27]に出力される。
【0075】
以上のような、アドレス変換回路AEの構成と動作により、次の効果を得ることができる。すなわち、図23に示すように、内部アドレスIA[28:27]を、内部アドレスEA[28:27]に変換することで、初期化動作と、書き込み動作及び読み出し動作の試験を行う際は、全メモリ層を選択して所望の動作を行うことにより、メモリ層単位で良品または不良品の識別を行うことができる。また、このメモリ層毎の特性判定に応じて、アドレス変換論理回路AELの設定をチップ毎に行うことにより、特性の良好なメモリ層のみを選択してメモリ動作可能な、所謂パーシャル品チップを実現することができる。このような、パーシャル品によって、ウェハ当りのチップ取得数を向上することができて、ビットコストを低減することが可能となる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態3で説明したパーシャル品チップにおいて、使用可能なメモリ層を確認するための手段を説明する。本手段の特徴は、図7に示したページ構成において、任意のページのスペア領域に、該当するページが含まれるメモリ層が使用可能であるか否かの情報をチップ出荷前に書き込んでおく点にある。より具体的には、図5に示したように、メモリ・プレーンPL0においてメイン・ブロックMain block0、Main block4、Main block8、Main block12における先頭ブロックBlock0、Block2048、Block4096、Block6144の第一及び第二のページPage0、Page1のスペア領域において、カラム・アドレス2049で選択されるメモリセルにメモリ層が使用可能であるか否かの情報を書き込む。スペア領域は、必ずしもメイン・ブロックと同一のメモリで構成する必要は無く、他の不揮発性メモリで構成してもよい。
【0076】
以下では、記憶情報が“FFh”の場合に、該当するメモリ層が使用可能であり、記憶情報が“FFh”以外の場合に使用不可能であるものと仮定する。
【0077】
図25は、メモリ層の使用可否を確認するための読み出し動作におけるフローチャートを示している。まず、メモリ層の使用可否確認コマンド信号RLS1を入力する。次に、カラム・アドレス2049に対応するアドレス信号と、図8に示した前述のページが選択されるようなロウ・アドレス信号とを入力する。さらに、メモリ層の使用可否確認コマンド信号RLS2を入力して、所望のスペア領域の記憶情報を読み出す。ここで、該当するメモリ層が使用可能であるである場合、記憶情報“FFh”が、相変化メモリ・チップの外部に接続されたメモリ・コントローラや中央演算装置CPUなど、所謂ホスト側の装置に通知される。一方、該当するメモリ層が使用不可能であるである場合、記憶情報“FFh”以外の情報が、相変化メモリ・チップの外部に接続されたメモリ・コントローラや中央演算装置CPUなど、所謂ホスト側の装置に通知される。このようにして通知された情報を、ホスト側の装置は、使用不可能メモリ層管理テーブル(Invalid Layer Table)に記録する。このような動作を、メモリ層アドレスを一層ずつ進めながら繰り返して、使用不可能メモリ層管理テーブルを作成する。
【0078】
図26は、図25に示したフローチャートにおける読み出し動作部分を示している。動作原理は、図17に示した読み出し動作を同じである。第一及び第二のコマンド信号が、図17に示した読み出しコマンド信号RD1、RD2からメモリ層使用可否確認コマンド信号RLS1、RLS2に置き換えられている。また、先頭ページ又は後続のページにおけるカラム・アドレス2049の記憶情報のみを読み出す点に特徴がある。
【0079】
図27は、図22に示したマルチプレクサの別の機能を示す図である。本実施の形態によるマルチプレクサの機能は、第一及び第二のメモリ層使用可否確認コマンド信号RLS1、RLS2から発生されたメモリ層確認モード信号RLSによって拡張されている。すなわち、メモリ層確認モード信号RLSが活性化されると、内部アドレスIA[28:27]が選択されて、内部アドレスCA[28:27]に出力される。なお、本実施の形態にて新たに追加されたメモリ層確認モード信号RLSは、制御信号群CTL4の構成要素である。
【0080】
以上の、構成と動作により、次の効果が得られる。すなわち、第一及び第二のメモリ層使用可否確認コマンド信号RLS1、RLS2を用いて、各メモリ層のスペア領域の記憶情報を読み出すことによって、ホスト側の装置は、どのメモリ層が使用できるか否かを把握することができる。よって、様々な容量の相変化メモリ・チップを組み合わせてシステムを構築したり、相変化メモリ・チップを増設したりすることが容易になる。
【0081】
なお、メモリ層の使用可否を確認する方法は、これに限らず、種種の方法がある。例えば、相変化メモリ・チップ内にデバイスIDテーブルを設けて、メモリ・プレーン容量に関する情報を格納することも可能である。図28は、デバイスID読み出し動作のタイミングチャート、図29は、デバイスIDテーブルを示している。図28に示したデバイスID読み出し動作は、図17に示した読み出し動作に準じたものであり、デバイスID読み出しコマンド信号RIDによって、図29に示したデバイスIDが順に読み出される。チップ・ユーザー(ここでは、ホスト側の装置)は、メモリ・プレーン容量から、相変化メモリの有効チップ容量、及び入力すべきアドレス信号を把握することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態3〜実施の形態4で説明した複数の相変化メモリ・チップを用いて形成した相変化メモリ・モジュールを説明する。図30は、本実施の形態による相変化メモリ・モジュールPMの構成を示している。同図では、一例として、4つの相変化メモリ・チップPCM0〜PCM3と、不揮発メモリ制御チップNVCTLを用いた構成が示されている。
【0082】
不揮発メモリ制御チップNVCTLは、実施の形態3〜実施の形態4で述べた使用不可能メモリ層管理テーブル(Invalid Layer Table)を有する。また、各メモリセルにおける書き換え回数を平準化するためのウェア・レベリング(Wear Leveling)機能や、メモリ空間に散在している空き領域を一纏めにするためのガベージ・コレクション(Garbage Collection)機能を有する。相変化メモリ・チップPCM0〜PCM3は、図16及び図17に示したアドレス変換回路AEを有する。このアドレス変換回路AEによって、入力されたアドレス信号は、使用可能なメモリ層を選択するための内部アドレス信号に変換される。不揮発メモリ制御チップNVCTLと相変化メモリ・チップPCM0〜PCM3は、入出力線I/Oで接続されている。また、不揮発メモリ制御チップNVCTLは、システム・バスSBUSを介してホスト装置と接続される。このような構成により、様々な容量の相変化メモリ・チップを組み合わせた大容量のストレージ装置を構築することが可能となる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、説明した複数の相変化メモリ・チップを用いて形成した相変化メモリ・モジュールの別の構成を説明する。図31は、本実施の形態による相変化メモリ・モジュールPMの構成を示している。同図では、一例として、4つの相変化メモリ・チップPCM0〜PCM3と、不揮発メモリ制御チップNVCTLを用いた構成が示されている。ここで、4つの相変化メモリ・チップPCM0〜PCM3は、実施の形態3〜実施の形態4で説明したようなアドレス変換回路は有していないものとする。
【0083】
図30に示した相変化メモリ・モジュールとの違いは、不揮発メモリ制御チップNVCTLが、図23に示したようなアドレス変換機能を有するアドレス発生回路ブロックAGを有する点にある。不揮発メモリ制御チップNVCTLは、電源立上げの度に図18及び図19に示したメモリ層の使用可否を確認するための読み出し動作を行い、使用不可能メモリ層管理テーブル(Invalid Layer Table)を構築する。アドレス変換機能を不揮発メモリ制御チップNVCTLに集約することによって、相変化メモリ・チップPCM0〜PCM3のチップ面積を削減することが可能となる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態1の半導体装置の別の例を説明する。本実施の形態では、図1に示した制御信号群CTL4が、さらに四種類のリセット起動信号RST_EN0〜RST_EN3を有し、記憶情報を書き込むメモリ層に応じて、これらのリセット起動信号を選択する点に特徴がある。
【0084】
図32は、図1における書き換えドライバの別の構成例を示している。同図の特徴は、NAND回路ND730〜ND733とインバータ回路IV730〜733を用いて、リセット起動信号RST_EN0〜RST_EN3とメモリ層選択信号LS[3:0]とのAND論理演算を施すことにより、活性化されたメモリ層選択信号に応じたリセット起動信号を選択する点にある。AND論理演算の結果であるインバータ回路IV730〜733の出力信号は、四入力NOR回路NR730に夫々入力され、その出力信号をインバータ回路IV734で反転して発生されたリセット起動信号が、NAND回路ND71に入力される。
【0085】
図34は、図23に示した半導体装置における相変化メモリの書き換え動作におけるチップ内部動作の例を示す図である。同図では、図3に示したメモリアレイMAに含まれるサブ・メモリアレイSMA0〜SMA16895において、積層メモリセル群MB00の最下層にあるメモリセルMC1に記憶情報を書き込む場合の動作波形が示されている。リセット起動信号RST_EN[3:0]のパルス幅は、リセット起動信号RST_EN3からRST_EN0の順に大きくなるように設定されている。これらのパルスは、図23に示した書き換えドライバ内で選択される。ここでは、記憶情報を書き込む先のメモリ層は最下層であるので、メモリ層選択信号LS0が活性化されることにより、図33に示したようにパルス幅の大きいリセット起動信号RST_EN0が選択される。このリセット起動信号RST_EN0により、記憶情報に応じてリセット動作が行われる。
【0086】
以上の構成と動作により、次の効果が得られる。すなわち、相対的に抵抗値が低い下層に位置するメモリセル程、リセット動作における電流駆動時間を長くすることにより、記録層を所望の値まで高抵抗化することができる。また、図32に示した書き換えドライバのように、印加電流の調整機能と組み合わせることにより、より確実にリセット動作を行うことができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、これまで説明してきた相変化メモリ・チップの別の構成を説明する。図35は、図1に示した相変化メモリ・チップを基にした構成を示している。同図の特徴は、以下の三つにある。
【0087】
第一の特徴は、内部電圧生成回路VGENを用いてチップ内部で複数の電圧V[3:0]を発生する点にある。内部電圧生成回路VGENは、電源電圧VDD及び接地電圧VSSから、これらの複数の電圧を発生する。論理回路には、電源電圧VDDを、メモリアレイにこれらの複数を電圧を供給することにより、論理回路の動作と複数の電圧の駆動を安定させることが可能となる。
【0088】
第二の特徴は、発生した電圧V[3:0]の給電線の夫々をパッドPAD_V0〜PAD_V3に引き出した点にある。このような構成により、チップ内部で所望の電圧を発生できているか否かを測定することが容易となる。
【0089】
第三の特徴は、メモリプレーンPL0〜PL3に電圧選択回路VSELを設ける点にある。この電圧選択回路VSELは、制御信号群CTL4の構成要素である初期化起動信号INIT_ENとメモリ層選択信号LS[3:0]に応じた値を選択して、アレイ電圧VARYとして出力する。適正な値に制御されたアレイ電圧VARYは、第一のロウデコーダXDEC1を経由してワード線WLに供給され、また書き換えドライバWDにも供給される。このような電圧制御により、電気特性の違いにより層毎にばらつきを持つ抵抗値に応じて、層毎に最適な電圧でメモリセルの初期化動作を行うことが可能となる。
【0090】
具体的には、アレイ電圧VARYは、図36に示すように設定される。第一のメモリ層(最下層)のメモリセルを初期化する場合は、メモリ層選択信号LS0が活性化される(ここでは、電源電圧VDDに駆動される)ことにより、アレイ電圧VARYが第一の電圧V0に駆動される。第二のメモリ層のメモリセルを初期化する場合は、メモリ層選択信号LS1が活性化される(ここでは、電源電圧VDDに駆動される)ことにより、アレイ電圧VARYが第一の電圧V0よりも高い、第二の電圧V1に駆動される。第三のメモリ層のメモリセルを初期化する場合は、メモリ層選択信号LS2が活性化される(ここでは、電源電圧VDDに駆動される)ことにより、アレイ電圧VARYが第二の電圧V1よりも高い、第三の電圧V2に駆動される。第四のメモリ層(最上位)のメモリセルを初期化する場合は、メモリ層選択信号LS3が活性化される(ここでは、電源電圧VDDに駆動される)ことにより、アレイ電圧VARYが第三の電圧V2よりも高い、第四の電圧V3に駆動される。以上の電圧は、前述の(式1)の関係を満たす。
【0091】
このように、層毎に最適の電圧を供給して初期化動作を行うことにより、記憶層への過剰なストレスの印加で引き起こされる電機特性の劣化を防ぐことが可能となり、高信頼の相変化メモリを実現することができる。
【0092】
なお、初期化起動信号INIT_ENが非活性状態にある(ここでは、接地電圧VSSに駆動されている)場合、本発明による相変化メモリは、読み出し動作または書き換え動作を行う。このような場合は、メモリ層選択信号LS[3:0]の状態に依らず、アレイ電圧VARYは電源電圧VDDに設定される。また、アレイ電圧VARYは、外部から供給することができる。これは、初期化動作は、出荷時のテスト等において一度行えば十分であり、初期化に必要な電圧も出荷時のテスト等で供給すれば十分なためである。アレイ電圧VARY専用ピンを設けて、メモリ層に応じたアレイ電圧を給電することも可能である。しかし、電源電圧VDDの値を調整するだけでも所望の初期化動作可能であるため、電源電圧VDDピンに印加する電圧を調整することにより、本実施例の動作を実現することができる。この場合、ピン数を抑制することができるので、メモリチップの小面積化を図ることができる。
【0093】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、積層するメモリセルは4層に限定されず、それ以下またはそれ以上(例えば、2層や8層)でも良い。一方、初期化動作におけるアレイ電圧は、上層ほど高くなるような設定に限らず、メモリセルの特性によっては他の設定も可能である。例えば、加工寸法のばらつきが上層のメモリセルほど大きくなるなどの何らかの原因で、上層のメモリセルほど抵抗値が低くなる傾向にある場合は、アレイ電圧を上層ほど低くなるような設定にすることも可能である。同様に、リセット動作におけるリセット電流Irstを、上層ほど小さく設定することも可能である。また、リセット動作におけるリセット起動信号RST_ENの幅を、上層ほど小さく設定することも可能である。さらに、リセット動作に限らず、メモリセルの電気特性によっては、セット動作においても同様な書き換え条件の最適化を行うことも可能である。なお、本発明は、単体メモリ・チップに限らず、オンチップ・メモリのインタフェイスに本発明を適用することも可能である。また、本発明の概念は、相変化メモリに限らず、フラッシュ・メモリやダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ、磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリなど、様々な半導体メモリに適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の半導体装置は、アクセスするメモリセルが位置する層に応じて、初期化動作条件やリセット動作条件を調整することにより、記録層への過度のストレスを防ぎ、電気特性の劣化を回避するものである。半導体メモリの大容量化が進むと、メモリアレイが積層により三次元化される。また、メモリセルの積層数が増えると、メモリセル間における熱履歴の差が大きくなるので、メモリアレイの電気特性の差が増加する。しかし、本発明によれば、層毎に動作条件を最適化できるので、将来の積層メモリアレイを有する半導体装置の高信頼技術に適している。
【符号の説明】
【0095】
PCM、PCM0〜PCM3 相変化メモリ、
PL0〜PL3 メモリ・プレーン
MA メモリアレイ
YDEC カラムデコーダ
XDEC1、XDEC2、XDEC3 ロウデコーダ、
D[16895:0]、D0T/B〜D16895T/B データ線対、
IA[30:0] アドレス信号、
PA0[28:27]、PA0[26:24]、PA0[23:12]、CA[28:2
7]、EA[28:27] 内部アドレス信号、
WL[4095:0] ワード線、
BS[7:0] ビット線選択線、
LS7T、LS7B)〜(LS0T、LS0B) 選択線、
CTL1〜CTL4 制御信号群、
INITV[3:0] 初期化電圧、
VARY、V0、V1、V2、V3 アレイ電圧、
IO[7:0] 入出力線、
CLE コマンド・ラッチ起動信号、
ALE アドレス・ラッチ起動信号、
CEB チップ起動信号、
REB 読み出し起動信号、
WEB 書き込み起動信号、
WPB 書き込み保護信号、
RBB レディ/ビジー信号、
PS[3:0] メモリ・プレーン選択信号、
SM0〜SM16895 サブ・メモリアレイ、
MUXB1、MUXB2、MB10〜MB116895 マルチプレクサ群、
MB00〜MB(212−1)7 積層メモリセル群、
R 相変化抵抗素子、
D メモリセル選択用のダイオード、
MC1〜MC4 メモリセル、
MUX、 MUX10〜MUX17、MUX20〜MUX216895 マルチプレクサ、
LB001〜LB004 ローカル・ビット線、
BL00〜BL1168957 ビット、
CD0〜CD116895 共通データ線、
RW0〜RW16895 読み書き回路、
SA センスアンプ、
WD 書換えドライバ、
100 P型シリコン基板、
101 Pウェル領域、
103 ポリシリコン層、
104 N+拡散層領域、
105 素子分離用の酸化物、
201〜204、211〜214、500〜501 タングステン層、
600 相間絶縁膜、
301、302、303、304 コンタクト、
400 PNダイオードのP層、
401 PNダイオードのN層、
402 カルコゲナイド材料層、
SA センスアンプ、
PCC プリチャージ回路、
CCL クロスカップル型ラッチアンプ、
RG 伝達ゲート、
DLEQ データ線イコライズ信号、
CSP、CSN 共通ソース線、
RGE1、RGE2 伝達ゲート起動信号、
VDD 電源電圧、
VPP 昇圧電圧、
VDR 基準電圧、
VSS 接地電圧、
VREF 参照電圧、
VBIAS0、VBIAS1 バイアス電圧、
MN70、MN71、MN72、MN73 NMOSトランジスタ、
MP700、MP701、MP710、MP711、MP710、MP722、MP723、MP724、MP725、MP726 PMOSトランジスタ、
INT_EN 初期化起動信号、
IV700、IV730〜733 インバータ回路、
Icell、Iint、Iset、Irst メモリセル電流、
SET_EN セット起動信号、
ND70、ND71、ND720、ND721、ND730〜ND733 二入力NAND回路、
INIT_EN 初期化起動信号、
SET_EN セット起動信号、
RST_EN、RST_EN0〜RST_EN3 リセット起動信号、
IN1、IN2 初期化コマンド信号、
CA1、CA2 カラム・アドレス、
RA1、RA2、RA3 ロウ・アドレス、
PRG1、PRG2 書き込みコマンド信号、
RD1、RD2 読み出しコマンド信号、
IV720、IV721 インバータ回路、
AE アドレス変換回路、
AEL アドレス変換論理回路、
INIT 初期化モード信号、
TEST テストモード信号、
NORM 通常動作モード信号、
RLS1、RLS2 メモリ層使用可否確認コマンド信号、
RLS メモリ層確認モード信号、
RID デバイスID読み出しコマンド信号、
NVCTL 不揮発メモリ制御チップ、
SBUS システム・バス、
NR730 四入力NOR回路、
PAD_V0〜PAD_V3 パッド
VGEN チップ内部電源発生回路
VSEL 電圧選択回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層に設けられ、電流により記憶情報を書き込む第1記憶素子を有する第1メモリセルと、
前記第1層の上方に形成された第2層に設けられ、電流により記憶情報を書き込む第2記憶素子を有する第2メモリセルと、
前記第1層又は前記第2層のいずれか一方を選択するための第1アドレス信号を前記第1層又は第2層の他方を選択するための第2アドレス信号に変換するためのアドレス変換回路と、
前記第1アドレス信号と前記アドレス変換回路の出力した前記第2アドレス信号のうちいずれか一方を選択するためのマルチプレクサと、
前記マルチプレクサが選択した信号に応じて、前記第1層を選択する第1層選択信号又は前記第2層を選択する第2層選択信号を発生するための第1アドレス・デコーダとを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記マルチプレクサは、前記第1層又は前記第2層のいずれか一方が使用可能ではなく、かつ前記第1層又は前記第2層の他方が使用可能な場合に、前記第2アドレス信号を選択することを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置において、
不揮発のメモリをさらに有し、
前記メモリには、前記第1層及び前記第2層が、使用可能か否かの情報が書き込まれることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1層に設けられ、前記第1メモリセルに接続される第1ビット線と、
前記第2層に設けられ、前記第2メモリセルに接続される第2ビット線と、
前記第1メモリセル及び前記第2メモリセルに接続される第1ワード線とをさらに有し、前記第1メモリセルは、前記第1ワード線から前記第1記憶素子を経由して前記第1ビット線に至る向きに電流を流すための第1整流素子をさらに有し、
前記第2メモリセルは、前記第1ワード線から前記第2記憶素子を経由して前記第2ビット線に至る向きに電流を流すための第2整流素子をさらに有することを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1記憶素子及び前記第2記憶素子は、相変化素子であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
それぞれが相変化メモリを有する複数のメモリセルと、
前記複数のそれぞれにリセットパルスを供給するワードドライバと、を有し、
前記複数のメモリセルのそれぞれは、互いに積層され、
前記ワードドライバは、前記複数のメモリセルのうちより下層に位置するメモリセルに対し、よりパルス幅の広いリセットパルスを供給することを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2012−185904(P2012−185904A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−137414(P2012−137414)
【出願日】平成24年6月19日(2012.6.19)
【分割の表示】特願2007−335614(P2007−335614)の分割
【原出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】