説明

半導体製造装置

【課題】半導体製造装置において、被処理基板W1の処理のスループットを落とすことなく、異物が被処理基板W1に付着しない状態を長時間保ちたい。
【解決手段】被処理基板W1に処理を施す複数の処理室1a、1bと、複数の処理室の各室に該被処理基板W1を搬送するための搬送機構と、搬送機構をその内部に有する搬送室9からなる半導体製造装置において、搬送室9内の搬送機構は、接地された導電性ハンド13と、絶縁性ハンド10を備えており、異物付着専用基板W2、および異物付着専用基板W2の搬入搬出室7を設ける。異物付着専用基板W2に異物を付着させ、さらに異物が付着した異物付着専用基板W2を交換できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置に関わり、特に微小異物が半導体基板に付着することを抑制するのに好適な半導体処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおいては、半導体製造装置内で半導体基板を所望の位置から所望の位置へ搬送する基板搬送機構が用いられている。例として、半導体デバイスの製造プロセスにおけるエッチング工程を考える。フープと呼ばれる密閉された容器内に納められた基板に対して所望のエッチング処理を施す場合、一般には以下に示す順番でウエハは搬送される。「フープ」→「位置決め室」→「ロードロック(搬入)室」→「搬送室」→「エッチング室」→「搬送室」→「アンロードロック(搬出)室」→「フープ」。基板を各室間で搬送する際に、基板搬送機構を利用する。
【0003】
基板搬送機構に要求される性能としては、「高速に基板を搬送する」「基板ずれが発生しない」「基板の帯電防止」などを挙げることができる。「高速に基板を搬送する」ために、複数の搬送ハンドを採用して同時に複数の基板を搬送することが一般に行われている。また、「基板ずれを発生させない」ために、大気中の基板搬送では、基板裏面を真空チャックで付着保持することが一般に行われている。さらに、基板に付着する微小異物の問題、あるいは基板内の絶縁破壊の問題が大きくなってきていることから、「基板の帯電防止」を実施する基板搬送装置も提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1では、基板搬送機構に除電手段を有している。また、特許文献2や特許文献3では、接地した導電性部品を基板搬送機構に使用することで、基板が帯電することを防止している。
【0005】
異物に作用する力は、流体力、重力、静電気力、熱泳動力などがある。このうち、異物径が小さくなるほど異物に大きな影響を及ぼすのは静電気力である。そのため、特許文献1などによって基板が除電される、あるいは基板の電位がゼロになることで、基板に付着する異物も低減することが期待できる。なぜなら、異物は一般に帯電しているため、電位ゼロの物体には、異物が積極的に付着する静電気力が作用しないためである。
【0006】
反面、基板や部品を除電したために、異物が基板に付着しづらくなり、異物を装置外に搬出できなくなり、半導体製造装置の各部に存在する異物はいつまでもその場所に滞留する。そこで、逆に静電気力を積極的に用いて異物を積極的に付着させる方法が提案されている。例えば、特許文献4や特許文献5がある。静電気力を用いたこれらの方法を用いることで、半導体製造装置内に滞留している異物を付着・収集することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−60609号公報
【特許文献2】特開平7−37962号公報
【特許文献3】特許第3077117号公報
【特許文献4】特開平10−242238号公報
【特許文献5】特開2004−304131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来技術は静電気力を用いて異物を基板に付着・収集するだけである。すなわち、長時間経過後は異物付着・収集能力も低下して、逆に異物発生源となる可能性があるため、異物付着・収集能力を維持するためには、装置を停止して異物付着・収集のメンテナンスを実施する必要がある。これはスループットを低下させ、コストを増加させる大きな要因である。
【0009】
本発明の目的は、被処理基板処理のスループットを落とすことなく、基板に付着する異物数を低減できる半導体製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するために、次のような手段を採用した。
被処理基板をその上に搭載して搬送する搬送ハンドとして、接地した導電性材料を用いた導電性ハンドと、絶縁性材料だけで構成される絶縁性ハンドを、それぞれ少なくとも一つずつ設けた。さらに異物付着専用基板を挿入するための異物付着専用基板搬入搬出室を設けた。
【0011】
通常の基板搬送時(被処理基板に処理を施す場合)は、基板搬入室にある被処理基板を、接地した導電性材料でできた搬送ハンドに載せて処理室まで搬送する。処理が終了した被処理基板も、接地した導電性材料でできた搬送ハンドに載せて基板搬出室まで搬送する。このようにすることで、被処理基板の帯電を防止し、基板への異物付着の悪影響を排除することができる。なぜなら、接地した導電性ハンドに基板を載せることで、仮に被処理基板が帯電していたとしても、基板帯電量と等量の反対電荷が接地した導電性ハンドに供給されるため、被処理基板付近の帯電量は正負同量となり、電位がゼロになるからである。
【0012】
また、異物の増加が懸念される場合、あるいは異物を低減させたい場合には、異物付着専用基板搬入搬出室から、異物付着専用基板を、接地していない絶縁性ハンドに載せて、異物の増加が懸念されるあるいは異物を低減したい場所付近まで基板を搬送する。このとき、絶縁材料でできた搬送ハンドおよび異物付着専用基板は帯電している。なぜなら、異物付着専用基板を取り出す際に、被処理基板と基板カセットが離れるときに生じる「剥離帯電」によって異物付着専用基板および絶縁性ハンドが帯電するためである。またハンドは絶縁性材料のため帯電量がゼロになることはない。異物は一般に帯電しているため、帯電したハンドに異物は付着しやすくなる。そこで、絶縁材料でできた絶縁性ハンドに被処理基板を載せて移動させることにより、絶縁性ハンドが移動した周囲の異物を効果的に収集・捕獲することができる。
【0013】
さらに、この異物付着専用基板を異物付着専用基板搬入搬出室に戻して、異物が付着していない別の異物付着専用基板を代わりに使うことで、いつでも付着異物が少ない異物付着専用基板で異物を付着することができる。
【0014】
本発明の半導体製造装置は、真空排気およびベント機能を有し被処理基板を装置内に出し入れする複数の基板搬入搬出室と、該被処理基板に処理を施す複数の処理室と、前記複数の処理室の各室に該被処理基板を搬送するための搬送機構と、前記搬送機構をその内部に有する搬送室からなる半導体製造装置において、前記搬送機構で前記被処理基板を載置する搬送ハンドのうちの少なくとも一つの搬送ハンドは接地した導電性材料で構成されており、前記処理室で処理を施す被処理基板を搬送する場合に使用され、異物付着専用基板搬入搬出室が少なくとも一つ設けられており、前記搬送機構で前記被処理基板を載置する搬送ハンドのうちの少なくとも一つの搬送ハンドは非接地状態の絶縁性材料で構成されており、前記異物付着専用基板搬入搬出室の被処理基板を、該非接地状態の絶縁性材料で構成された搬送ハンドに載置して半導体製造装置内を移動させ、該被処理基板に処理を施すことなく該異物付着専用基板搬入搬出室に該基板を再び戻すことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の半導体製造装置は、更に、該異物付着専用基板搬入搬出室と該搬送室間はゲートバルブで区切られていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の半導体製造装置は、更に、該異物付着専用基板搬入搬出室内に、絶縁材料でできた基板カセットを設置することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の半導体製造装置は、更に、前記基板カセットの絶縁材料として石英、絶縁性セラミック、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミドを用いたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の半導体製造装置は、更に、該異物付着専用基板搬入搬出室に帯電装置、除電装置を設けたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の半導体製造装置は、シリコンウエハまたは前記被処理基板の表面が絶縁膜である被処理基板を該異物付着専用基板搬入搬出室に入れて使用することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の半導体製造装置は、更に、該異物付着専用基板搬入搬出室から該非接地状態の絶縁性材料でできた該搬送ハンドに異物付着専用基板を載置して半導体製造装置内を移動させた後に、前記処理室で処理を施す被処理基板を一枚または複数枚搬送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上の構成を備えるため、スループットを落とすことなく半導体製造装置内の異物を除去、さらには装置外に排出することが可能となる。さらに基板に付着する異物も低減するため、半導体デバイスの歩留まりも向上し、製造コストの低減にも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は本発明の第1及び第2の実施例にかかわる異物付着専用基板搬入搬出室を含むエッチング装置全体を説明する図である。
【図2】図2は本発明の第3から第7の実施例にかかわる異物付着専用基板搬入搬出室と基板カセットの断面を説明する図である。
【図3】図3は本発明の第8の実施例にかかわる異物付着専用基板搬入搬出室にウエハ帯電装置を設けた場合を説明する図である。
【図4】図4は本発明の第9の実施例にかかわる異物付着専用基板搬入搬出室に除電装置としてVUVランプを取り付けた場合を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は、プラズマエッチング装置の一形態であり、エッチング処理を実施するエッチング処理室をふたつ(1a、1b)有し、被処理基板W1を各所に搬送させるための搬送室9、被処理基板W1をプラズマエッチング装置内に供給する基板搬入室3、エッチング処理が終了した被処理基板W1をプラズマエッチング装置外に搬出する基板搬出室5、異物付着専用基板W2を一時的に保管する異物付着専用基板搬入搬出室7などから構成されている。各室間はゲートバルブ2a、2b、4,6,8で区切られている。また図示していないが、各部屋には真空ポンプや圧力計を備えており、エッチング処理室1a、1bにはプラズマを発生させるための電源やエッチングプロセスに必要なガス供給系などが備わっている。
【0025】
基板搬送室9の内部には、被処理基板W1を搬送するための搬送機構が設けられている。搬送機構は、接地してある導電性材料でできているアーム12,15、導電性材料でできておりかつ接地してある導電性ハンド13、絶縁性材料でできている絶縁性ハンド10などから構成されている。
【0026】
通常の被処理基板W1の処理方法について説明する。被処理基板W1を基板搬入室3に導入し、図示していない基板搬入室3用の真空ポンプで基板搬入室3内部を真空排気する。基板搬入室3が所定の圧力まで低下したところでゲートバルブ4を開ける。なお、この時基板搬送室9の内部は、図示していない真空ポンプで所定の圧力まで排気されているとする。接地してある導電性ハンド13を基板搬入室3に挿入して、被処理基板W1を導電性ハンド13に載せる。被処理基板W1をエッチング処理室1aで処理する場合は、導電性ハンド13でエッチング処理室1aに移動し、所定のエッチング処理を実施後、導電性ハンド10で再び被処理基板W1を載せる。その後、基板搬出室5と搬送室9の間にあるゲートバルブ6を開けて、被処理基板W1を基板搬出室5に移動して、ゲートバルブ6を閉める。さらに基板搬出室5を大気圧に戻してから、被処理基板W1を取り出す。
【0027】
この時の被処理基板W1の電位について考える。プラズマエッチング装置で処理する前の被処理基板W1は、種々のプロセスを経ており、被処理基板W1は電気的に帯電している。また帯電していない場合でも、エッチング処理室1aでプラズマ処理を施される間に帯電する。接地した導電性ハンド13に帯電した被処理基板W1を載せて搬送する場合、被処理基板W1の電位はゼロとなる。一般に微小異物は帯電しているが、この場合、被処理基板W1の電位はゼロであるため、微小異物と被処理基板W1の間には静電気力が作用しない。すなわち、微小異物が静電気力によって被処理基板W1に付着することはない。微小異物が被処理基板W1に付着するときに作用する力は重力や流体力などである。
【0028】
このように、接地した導電性ハンド13を用いて被処理基板W1を搬送する場合、静電気力によって微小異物が被処理基板W1に付着することがないため、なんらかの原因で発生した微小異物は、プラズマエッチング装置から除去されることなく、そのまま装置内に滞留することになる。この微小異物を除去するためには、プラズマエッチング装置全体を大気解放して、装置内の拭き掃除をする必要がある。この作業は時間がかかり製品のスループットを低下するため、異物による製品不良が多発しない限り、なるべく拭き掃除は避けたい。
【0029】
この装置内の微小異物を、装置の大気解放をすることなく除去するために、異物付着専用基板搬入搬出室7、異物付着専用基板W2、絶縁性ハンド10を使用する。その使用方法を以下で説明する。
【0030】
異物付着専用基板W2を異物付着専用基板搬入搬出室7に挿入し、図示していない真空ポンプで異物付着専用基板搬入搬出室7内部を真空排気して、異物付着専用基板搬入搬出室7内部を所定の圧力にしておく。
【0031】
プラズマエッチング装置内部の微小異物を洗浄する場合は、異物付着専用基板搬入搬出室7と搬送室9を区切っているゲートバルブ8を開ける。絶縁性ハンド10を異物付着専用基板搬入搬出室7に挿入し、異物付着専用基板W2を絶縁性ハンド10の上に載せる。この時、異物付着専用基板W2と異物付着専用基板搬入搬出室7内にある図示していない被処理基板W1を保持する台は、「接触」している状態から「剥離」した状態に変化する。また絶縁材料ハンド10は電気的に接地されていないため、異物付着専用基板W2は「剥離帯電」によって帯電して電位が発生する。あるいは、絶縁性ハンド10は接地されていないうえ、それまで搬送した異物付着専用基板W2との剥離の繰り返しから絶縁材料ハンド10は帯電していて、その上に載せられた異物付着専用基板W2に帯電する。
【0032】
この帯電した異物付着専用基板W2を、絶縁性ハンド10で微小異物を低減したい場所、例えばエッチング処理室1aまで搬送することで、異物付着専用基板W2が通過した領域の周辺に存在する帯電した微小異物は、異物付着専用基板W2に付着する。
【0033】
例えば、開閉動作直後のゲートバルブ2aの近傍に異物付着専用基板W2を搬送することで、ゲートバルブ2aを構成する図示しないOリングからの微小異物を、異物付着専用基板W2に付着することができる。
【0034】
また、エッチング処理室1aに異物付着専用基板W2に搬送することで、エッチング処理室1a内に存在する微小異物を異物付着専用基板W2に付着することができる。
【0035】
このようにして装置内の微小異物を付着した異物付着専用基板W2を、異物付着専用基板搬入搬出装置7に搬送し、ゲートバルブ8を閉める。異物付着専用基板W2に付着している異物量が多い場合、あるいは所定の搬送回数を超えて装置内の異物を付着した場合などは、異物付着専用基板搬入搬出装置7を大気解放して、使用済の異物付着専用基板W2を取出し、新しい異物付着専用基板W2と交換する。
【0036】
従って、本発明によれば、異物付着専用基板W2を交換できる構造とすることで、常にきれいな異物付着専用基板W2で装置内の微小異物を除去することが可能となり、装置全体の拭き掃除周期の延長によるスループットの向上や、微小異物による不良発生を抑制することが可能となる。
【実施例2】
【0037】
本発明の実施例2について、図1を用いて説明する。図1ではゲートバルブ8が搬送室9と異物付着専用基板搬入搬出室7の間に設けてある点が実施例2の特徴である。
【0038】
ゲートバルブ8が搬送室9と異物付着専用基板搬入搬出室7の間に設けることで、搬送室9を真空に保持したままの状態で、異物付着専用基板搬入搬出室7を大気解放することができる。すなわち、装置の稼働状況を停止することなく異物付着専用基板W2を交換することができるので、常にきれいな異物付着専用基板W2を用いて装置内の異物を付着、排除することが可能となる。
【実施例3】
【0039】
本発明の実施例3について、図1、図2を用いて説明する。図1の異物付着専用基板搬入搬出室7の内部を、搬送室9側から見た時の模式図を図2に示す。
【0040】
異物付着専用基板搬入搬出室7の内部には、絶縁材料でできた基板カセット21が設けてある。また、基板カセット21は5枚の異物付着専用基板W2を設置することができ、図2はそのうちの4段を使って、4枚の異物付着専用基板W21〜W23、W25を保持している状態である。上から4段目が空いているが、この段にあった異物付着専用基板W24は、絶縁性ハンド10の上に載せてあり、搬送されていることを示している。
【0041】
絶縁性ハンド10に載せられて装置内の異物を付着した異物付着専用基板W24は、基板カセット21の上から4段目に戻される。その後、装置内の異物除去が必要になった場合は、例えば上から5段目の異物付着専用基板W25を絶縁性ハンド10が取出して、装置内を搬送、異物を付着させる。
【0042】
なお、基板カセット21から所定の異物付着専用基板W2を取り出す、あるいは元に戻す動作は、搬送機構であるアーム12,15や絶縁性ハンド10に持たせてもよいし、基板カセット21を上下させてもよい。
【0043】
異物付着専用基板W21〜W25として、例えば酸化膜基板やシリコン基板などを使用する。
【0044】
基板カセット21に絶縁材料を用いることで、異物付着専用基板W21〜W25を絶縁ハンド10で取出すと、剥離帯電によって異物付着専用基板W21〜W25は帯電するため、異物付着専用基板W21〜W25は、搬送室9内などで効果的に異物を付着することが可能となる。
【0045】
このような材料や構造とすることにより、常に清浄な異物付着専用基板W2を供給することが可能となる。
【実施例4】
【0046】
次に、本発明の実施例4について、図2を用いて説明する。図2において、基板カセット21の材料として石英を用いた場合が実施例4である。
【実施例5】
【0047】
本発明の実施例5について、図2を用いて説明する。図2において、基板カセット21の材料として、アルミナなどの絶縁性セラミックを用いた場合が実施例5である。
【実施例6】
【0048】
本発明の実施例6について、図2を用いて説明する。図2において、基板カセット21の材料としてPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を用いた場合が実施例6である。
【実施例7】
【0049】
本発明の実施例7について、図2を用いて説明する。図2において、基板カセット21の材料としてポリイミドを用いた場合が実施例6である。
【実施例8】
【0050】
本発明の実施例8について、図3を用いて説明する。図3は帯電装置として直流電源30を用いた場合である。
【0051】
内部に絶縁性の基板カセット21を有する異物付着専用基板搬入搬出室7の断面図で、基板カセット21には異物付着専用基板W21〜W25が載せてある。異物付着専用基板搬入搬出室7の外部には、接地した直流電源30を設け、その出力部を異物付着専用基板搬入搬出室7の側壁に設けたフィードスルー31を介して帯電用ケーブル32に接続する。帯電用ケーブル32は、異物付着専用基板搬入搬出室7の内部で基板カセット21の段数だけ分岐され、分岐された各帯電用ケーブル32の先端部33〜37は、それぞれ異物付着専用基板W21〜W25に接触するようになっている。
【0052】
異物付着専用基板W21〜W25を、所望する正負の電荷量だけ帯電させて異物を付着させたい場合は、直流電源30を適切な出力に設定して、所定の電圧を異物付着専用基板W21〜W25に供給する。このようにすることで、異物付着専用基板W21〜W25は所定の電圧が印加され、所定の電位に帯電する。
【0053】
所定の電位に帯電した異物付着専用基板W21〜W25を、絶縁性ハンド10で搬送することで、異物を効果的に付着することが可能となる。
【実施例9】
【0054】
本発明の実施例8について、図4を用いて説明する。図4は、除電装置としてVUV(Vacuum Ultra Violet:真空紫外)ランプを用いた場合である。
【0055】
異物付着専用基板搬入搬出室7にVUVランプ40を設置する。異物付着専用基板搬入搬出室7を図示していない真空ポンプで排気した状態で、VUVランプ40を動作させると、異物付着専用基板搬入搬出室7内に僅かに残存している気体がイオン化され、正イオンと負の電子が発生する。これらの正イオンや電子は異物付着専用基板搬入搬出室7の内部を移動するうちに、異物付着専用基板W21〜W25に到達する。基板カセット21は絶縁材料でできているため、異物付着専用基板W21〜W25は到達した正イオンや電子によって除電される。すなわち、異物付着専用基板W21〜W25の電位はゼロとなる。電位がゼロとなった異物付着専用基板W21〜W25を絶縁ハンド10で取出すことにより剥離帯電が発生するが、異物付着専用基板W21〜W25は毎回同じ電位に帯電することになり、異物付着の管理をしやすくなる。
【実施例10】
【0056】
本発明の実施例10について、図1〜4を用いて説明する。図1〜4において、異物付着専用基板搬入搬出室7に入れる異物付着専用基板W2、W21〜W25として、シリコンウエハを用いた場合が実施例10である。
【実施例11】
【0057】
本発明の実施例11について、図1〜4を用いて説明する。図1〜4において、異物付着専用基板搬入搬出室7に入れる異物付着専用基板W2、W21〜W25として、表面が絶縁膜である基板を用いた場合が実施例11である。
【実施例12】
【0058】
本発明の実施例12について、図1を用いて説明する。異物付着専用基板W2を、絶縁ハンド10を用いて搬送室9やエッチング処理室1a、1bなどを搬送、異物を付着させて、異物付着専用基板W2を異物付着専用基板搬入搬出室7に戻した後、基板搬入室3から被処理基板W1を導電性ハンド13でエッチング処理室1a、1bに搬送、所定の処理を実施して、基板搬出室5に移動させる。
【0059】
このように、異物付着専用基板W2で装置内の異物を付着・除去した状態で、被処理基板W1を搬送することで、被処理基板W1に付着する異物数は減少するため、被処理基板W1の処理の歩留まりが向上する。
【0060】
また、被処理基板W1の処理のスループットを向上させるために、異物付着専用基板W2を1枚搬送後、複数の被処理基板W1を処理してもよい。
【0061】
なお、以上説明した実施形態では、異物付着専用基板搬入搬出室7を使用しているが、異物付着専用基板搬入室と、異物付着専用基板搬出室を別々に設けてもかまわない。
【0062】
また、半導体製造装置を例にして説明したが、液晶パネル製造装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0063】
1a、1b エッチング処理室
2a、2b、4、6、8 ゲートバルブ
3 基板搬入室
5 基板搬出室
7 異物付着専用基板搬入搬出室
9 搬送室
10 絶縁性ハンド
11、14 コネクタ
12、15 アーム
13 導電性ハンド
W1 被処理基板
W2 異物付着専用基板
W21〜W25 異物付着専用基板
21 基板カセット
30 直流電源
31 フィードスルー
32 帯電用ケーブル
33〜37 帯電用ケーブル先端部
40 VUVランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空排気およびベント機能を有し被処理基板を装置内に出し入れする複数の基板搬入搬出室と、
該被処理基板に処理を施す複数の処理室と、
前記複数の処理室の各室に該被処理基板を搬送するための搬送機構と、
前記搬送機構をその内部に有する搬送室からなる半導体製造装置において、
前記搬送機構で前記被処理基板を載置する搬送ハンドのうちの少なくとも一つの搬送ハンドは接地した導電性材料で構成されており、前記処理室で処理を施す被処理基板を搬送する場合に使用され、
異物付着専用基板搬入搬出室が少なくとも一つ設けられており、前記搬送機構で前記被処理基板を載置する搬送ハンドのうちの少なくとも一つの搬送ハンドは非接地状態の絶縁性材料で構成されており、
前記異物付着専用基板搬入搬出室の被処理基板を、該非接地状態の絶縁性材料で構成された搬送ハンドに載置して半導体製造装置内を移動させ、
該被処理基板に処理を施すことなく該異物付着専用基板搬入搬出室に該基板を再び戻すことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体製造装置において、
該異物付着専用基板搬入搬出室と該搬送室間はゲートバルブで区切られていることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項3】
請求項1〜2記載の半導体製造装置において、
該異物付着専用基板搬入搬出室内に、絶縁材料でできた基板カセットを設置することを特徴とする半導体製造装置。
【請求項4】
請求項3記載の半導体製造装置において、
前記基板カセットの絶縁材料として石英、絶縁性セラミック、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、または、ポリイミドを用いたことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項5】
請求項3記載の半導体製造装置において、
該異物付着専用基板搬入搬出室に帯電装置を設けたことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の半導体製造装置において、
該異物付着専用基板搬入搬出室に除電装置を設けたことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の半導体製造装置において、
シリコンウエハを該異物付着専用基板搬入搬出室に入れて使用することを特徴とする半導体製造装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の半導体製造装置において、
前記被処理基板の表面が絶縁膜である被処理基板を該異物付着専用基板搬入搬出室に入れて使用することを特徴とする半導体製造装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の半導体製造装置において、
該異物付着専用基板搬入搬出室から該非接地状態の絶縁性材料でできた該搬送ハンドに異物付着専用基板を載置して半導体製造装置内を移動させた後に、前記処理室で処理を施す被処理基板を一枚または複数枚搬送することを特徴とする半導体製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−115183(P2013−115183A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259082(P2011−259082)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】