説明

半導体酸化工程の応力分布計算方法

【課題】酸化シミュレーションにおける応力分布計算の精度の劣化を抑えることができる半導体酸化工程の応力分布計算方法を提供する。
【解決手段】酸化種104の拡散方程式を解くことによりシリコン100の酸化に関する物理分布情報を取得し、半導体素子112の領域を等間隔で複数の補助メッシュ32に分割した補助メッシュ空間を設定し、物理分布情報を補助メッシュ32に設定して応力分布を計算し、応力分布を平均化した平均化応力分布を計算し、半導体素子112の領域を非等間隔で複数の実メッシュ34に分割した実メッシュ空間を設定し、補助メッシュ空間における平均化応力分布を実メッシュ空間における応力分布に変換し、変換後の応力分布に基づいて、半導体素子112の形状を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体酸化工程の応力分布計算方法に係り、特に、シリコン半導体プロセスのLOCOS(Local Oxidation of Silicon)工程に代表される酸化シミュレーションにおける半導体酸化工程の応力分布計算方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体の製造プロセスにおいて、シリコン基板にシリコン窒化膜などのマスクを形成し、酸化種の拡散により酸化して素子分離用のシリコン酸化膜を形成する際の酸化工程のシミュレーションを行う方法が種々提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
【0003】
図6には、シリコンの酸化工程における酸化種拡散のシミュレーション計算の流れの概略を示した。同図(a)に示すように、シリコン100上にパターン形成されたシリコン窒化膜(Si)102の開口部から例えば酸化性ガス等に含まれる酸化種104がシリコン酸化膜106中を拡散してシリコン100とシリコン酸化膜106との界面108に到達し、シリコン100と反応すると新たなシリコン酸化膜106が形成される。
【0004】
また、同図(b)に示すように、酸化種104がシリコン100と反応することによりシリコン100とシリコン酸化膜106との界面108が前進したり、体積膨張によりシリコン酸化膜106等に変位が生じたりする。
【0005】
従って、酸化工程のシミュレーションでは、同図(a)に示すように、酸化種104の拡散による酸化種の濃度分布を計算してシリコン100とシリコン酸化膜106との界面108の反応、すなわちどの程度前進するかを計算し、同図(b)に示すように、酸化反応に伴う体積膨張を付与して各材質の変位及び材質中の応力を計算し、同図(c)に示すように、求められた変位に基づいて各材質の形状を更新する処理を行う。
【0006】
これらの計算については、ENEXSSのHySyProsのマニュアルが参考になるが、以下に概略を説明する。
【0007】
まず、酸化種104の濃度分布は、次式に示す定常状態の酸化種104の拡散方程式を解くことにより求めることができる。
【0008】
∇(D∇C)=0 ・・・(1)
ここで、Dは酸化種104の拡散係数、Cは酸化種104の濃度である。なお、界面108の境界条件は次式で表わされる。
【0009】
F・n=k・C ・・・(2)
ここで、Fは酸化種104の流速、nは外向き法線ベクトルである。また、酸化種の濃度分布の計算に必要な上記(2)式のパラメータk、上記(1)式の拡散係数Dは次式により求める。
【0010】
k=(N/2C(1atm))・(B/A)・forient・fdoping・fstress ・・・(3)
D=(N/2C(1atm))・B・fstress ・・・(4)
ここで、Nは単位体積のシリコン酸化膜106を形成するのに必要な酸化種104の個数である。また、Aは線形酸化速度定数、Bは放物線酸化速度定数、(B/A)は酸化種分圧1atm以下での真性シリコン(111)面の線形酸化定数、Bは放物線酸化定数であり、これらはDeal−Groveモデルにおける酸化パラメータである。また、forientは面方位依存因子、fdoping・は不純物濃度依存因子、fstressは酸化種の拡散係数の応力依存因子である。
【特許文献1】特開2001−358138号公報
【特許文献2】特開平6−216119号公報
【特許文献3】特開平11−243089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記のような方法では、酸化種104の拡散が応力依存因子fstressに依存するため、その後の例えば有限要素法を用いた応力計算においてメッシュの設定が不均一になると、応力計算の結果が不均一となり、酸化種の拡散や最終的な形状に不具合が生じる場合がある。
【0012】
例えば図7(a)に示すように、シリコン100上にシリコン酸化膜106が均一に形成され、その上にシリコン窒化膜102が左右対称に形成されているような場合において、有限要素法により応力計算するためにメッシュ分割した際のメッシュの設定が、同図(b)に示すように左右対称の場合は、全てのメッシュで同時に計算が行われると完全に左右対称の形状が得られるが、ある点のメッシュの計算を行った後に別のメッシュの計算を行っていく場合は、メッシュの最終形状が左右対称にならない時もあり得る。また、数値計算上、例えばまるめ誤差により計算が行われるため、メッシュの形状が最初は左右対称であっても、計算が進んでいくに従って、メッシュによっては数値にばらつきが生じ、最終形状が左右対称にならない場合がある。このように、解析対象が元々左右対称な形状であっても、メッシュの最終形状が左右対称になったり、左右非対称になったりする原因は、シミュレーションのアルゴリズムに起因する。
【0013】
このため、例えば同図(c)に示すように、右側だけメッシュサイズが小さくなりメッシュが左右非対称となると、その不均一の程度によっては酸化種拡散の計算により得られた酸化種の酸化速度や濃度分布等の物理分布情報が過大になったり過小になったりするため、応力計算の結果が左右で不均一となる場合がある。同図(d)には、同図(c)におけるバーズビーク領域(鳥のくちばしに似た領域)110の応力分布を示した。
【0014】
この応力分布に示されるように、図7(a)のように解析対象が元々左右対称な形状であっても、同図(c)の右側のバーズビーク領域(鳥のくちばしに似た領域)110の領域については左側と比較して細かくメッシュ分割されているため、応力分布が左右で不均一となってしまう。
【0015】
各材質の形状が複雑化すると、それに応じてメッシュのサイズが小さく設定されるため、応力分布が不均一となり酸化シミュレーションの精度が劣化してしまう。
【0016】
本発明は、上述した課題を解決するために提案されたものであり、酸化シミュレーションにおける応力分布計算の精度の劣化を抑えることができる半導体酸化工程の応力分布計算方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明の半導体酸化工程の応力分布計算方法は、半導体を含む領域を非等間隔で複数の実メッシュに分割した実メッシュ空間を設定するステップと、 前記実メッシュ空間において、応力依存因子に依存する酸化種の拡散係数を含む前記酸化種の拡散方程式を解くことにより、前記酸化種の拡散による前記半導体の酸化工程における応力分布の計算に必要な物理分布情報を取得するステップと、前記半導体を含む領域を等間隔で複数の補助メッシュに分割した補助メッシュ空間を設定するステップと、前記実メッシュ空間において求めた物理分布情報を前記補助メッシュに設定するステップと、前記物理分布情報に基づいて、前記補助メッシュ空間における応力分布を計算するステップと、前記応力分布を平均化した平均化応力分布を計算するステップと、前記補助メッシュ空間における前記平均化応力分布を前記実メッシュ空間における応力分布に変換するステップと、前記実メッシュ空間における応力分布に基づいて、前記半導体を含む領域の形状を更新するステップと、を含むことを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、まず半導体を含む領域を非等間隔で複数の実メッシュに分割した実メッシュ空間を設定し、実メッシュ空間において酸化種の拡散方程式を解くことにより実メッシュ空間における半導体の酸化工程における応力分布の計算に必要な物理分布情報を取得し、半導体を含む領域を等間隔で補助メッシュ分割して応力分布を計算し、これを平均化した後に実メッシュ空間の応力分布に変換する。このため、実メッシュ空間でのみ応力分布計算を行う従来の方法と比較して、メッシュサイズに依存する応力分布計算の精度の劣化を抑えることができる。なお、請求項2に記載したように、前記半導体はシリコンとすることができる。
【0019】
また、請求項3に記載したように、前記補助メッシュ空間を設定するステップは、前記半導体を含む領域のうち、指定された一部の領域について補助メッシュ空間を設定するようにしてもよい。
【0020】
この場合、指定された一部の領域については、補助メッシュ空間において応力分布計算をし、これを平均化して実メッシュ空間における応力分布に変換するが、その他の領域については、実メッシュ空間において応力分布計算を行う。これにより、計算時間を短縮することができる。
【0021】
また、請求項4に記載したように、前記平均化応力分布を計算するステップは、前記半導体を含む領域の材質毎に前記応力分布を平均化するようにしてもよい。これにより、より精度良く応力分布を計算することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、酸化シミュレーションにおける応力分布計算の精度の劣化を抑えることができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
図1には、酸化シミュレーション装置10の概略構成を示した。同図に示すように、酸化シミュレーション装置10は、酸化種拡散計算部12、メッシュ分割部14、補間部16、応力計算部18、形状更新部20、記憶部22、表示部24、操作部26、及び各部を統括制御する制御部28等を含んで構成されている。
【0025】
図2には、本実施形態に係る酸化シミュレーションの処理の流れを示すフローチャートを示した。なお、酸化シミュレーション装置10をCPUやROM、RAM等を含むコンピュータで構成し、図2に示す酸化シミュレーションのプログラムをコンピュータにより読み取って実行させるようにしてもよい。
【0026】
図3には、酸化シミュレーション計算の流れの概略を示した。同図(a)は、シリコン100上にパターン形成されたシリコン窒化膜102の開口部から例えば酸化性ガス等に含まれる酸化種104がシリコン酸化膜106中を拡散してシリコン100とシリコン酸化膜106との界面108に到達し、シリコン100と反応すると新たなシリコン酸化膜106が形成された様子を示している。なお、同図(a)に示すような解析対象領域である半導体素子112の各部の形状に関する形状データは、記憶部22に記憶される。
【0027】
まず、図2に示すように、ステップS0では、メッシュ分割部14により、図3(b)に示すように、非等間隔に実メッシュ分割した実メッシュ空間を設定する。すなわち、複雑な形状ほど細かくメッシュ分割する。
【0028】
ステップS1では、酸化種拡散計算部12により実メッシュ空間における酸化種拡散の計算を行う。この計算は従来と同様であり、上記(1)式の拡散方程式を解くことにより行う。これにより、実メッシュ空間における酸化種の酸化速度や不純物の濃度分布等の物理分布情報が得られる。この物理分布情報は、記憶部22に記憶される。
【0029】
ステップS2では、酸化種拡散計算部12により、ステップS1で得られた物理分布情報に基づいて界面108がどの程度前進するか計算し、界面108の前進により新たに生成されたシリコン酸化膜106を挿入する。
【0030】
従来では、図3(b)に示すように、応力分布計算のために半導体素子112を非等間隔に実メッシュ分割して各メッシュに生じる変位や応力を計算するが、この実メッシュ分割では、形状が複雑な部分ほど細かくメッシュ分割するのが通常である。例えば同図(b)では、バーズビーク領域30が他の領域と比較して細かくメッシュ分割されている。このような場合、図7に示すように半導体素子の形状が左右対称で実メッシュ分割も左右対称に分割されていれば、前述したように全てのメッシュで同時に計算が行われるのであればメッシュの形状も左右対称の形状が得られるが、ある点のメッシュの計算を行った後に別のメッシュの計算を行っていくような場合は、メッシュの最終形状が左右対称にならない時もあり得る。
【0031】
そこで、ステップS3では、メッシュ分割部14により、図3(c)に示すように、等間隔に補助メッシュ分割する。ここで、メッシュ分割を一次元とした場合は所定の一方向のみの間隔を等間隔にし、メッシュ分割を二次元とした場合は縦横の2方向の間隔を等間隔にし、メッシュ分割を三次元とした場合は、縦、横、奥行きの3方向の間隔を等間隔にする。すなわち、一次元の場合は長さ、二次元の場合は矩形、三次元の場合は立方体で補助メッシュ分割する。同図(c)には、2次元で補助メッシュ分割した場合の例を示した。
【0032】
ステップS4では、補間部16により、設定した各補助メッシュ32に対して、応力分布計算に必要な物理分布情報を補間する。具体的には、例えばステップS1で得られた実メッシュ空間における物理分布情報、すなわち酸化速度や不純物の濃度等の応力分布計算に必要なパラメータを各補助メッシュに設定(補間)する。補助メッシュ32は等間隔でメッシュ分割し、実メッシュは非等間隔でメッシュ分割しているため、各補助メッシュは、実メッシュ空間においては一つ又は複数の実メッシュの少なくとも一部を含むこととなる。従って、例えばある位置の補助メッシュに複数の実メッシュの一部が含まれている場合には、その補助メッシュに含まれる面積に応じた各実メッシュの物理分布情報の合計をその補助メッシュに設定する。これを各補助メッシュについて行うことにより、各補助メッシュの物理分布情報を求めることができ、実メッシュ空間における物理分布情報を補助メッシュ空間における物理分布情報に変換することができる。
【0033】
ステップS5では、応力計算部18により、補助メッシュに設定された物理分布情報に基づいて、有限要素法により応力分布の計算を行う。すなわち、各補助メッシュの節点の変位や応力の計算を行う。これは公知の方法により行うことができる。これにより、図3(d)に示すように、シリコン酸化膜106が体積膨張し、シリコン酸化膜106とシリコン100との界面108が前進する。
【0034】
ステップS6では、応力計算部18により、応力の平均化処理を行う。具体的には、応力分布計算後における各補助メッシュの応力の平均値を求め、求めた平均値を各補助メッシュの応力値に置き換える処理を行う。なお、この処理は、材質毎に行う。すなわち、シリコン窒化膜102、シリコン酸化膜106、シリコン100の各々の領域についてそれぞれ応力を平均化する。これにより、材質毎に各補助メッシュの応力が平均化された平均化応力分布が得られる。
【0035】
ステップS7では、補間部16により、ステップS6で求めた補助メッシュ空間における平均化応力分布を実メッシュ空間における応力分布に変換する。補助メッシュ32は等間隔でメッシュ分割し、実メッシュ34は非等間隔でメッシュ分割しているため、各補助メッシュは、実メッシュ空間においては一つ又は複数の実メッシュの少なくとも一部を含むこととなる。従って、例えばある位置の補助メッシュに複数の実メッシュの一部が含まれている場合には、その補助メッシュの応力値を、その補助メッシュに含まれている複数の実メッシュの面積に応じて各実メッシュに配分する。これを各補助メッシュについて行うことにより、各実メッシュの応力値を求めることができ、補助メッシュ空間における応力分布を実メッシュ空間における応力分布に変換することができる。
【0036】
ステップS8では、形状更新部20により、ステップS7で求めた実メッシュ空間における応力分布に基づいて、図3(f)に示すように、半導体素子112の各部の形状を更新し、その形状データを記憶部22に記憶する。
【0037】
ステップS9では、酸化が収束したか否かを判断する。すなわち、各メッシュの節点の変位が変化しなくなったか否かを判断する。
【0038】
そして、収束した場合にはステップS10へ移行して最終的な形状等のシミュレーション結果を表示部24に表示する。収束していない場合には、ステップS1へ戻って上記と同様の処理を収束するまで繰り返す。なお、各ステップにおける処理結果をその都度表示部24に表示するようにしてもよい。
【0039】
図4(a)には、従来方法、すなわち補助メッシュを設定せず実メッシュ空間のみにより応力分布計算を行った場合の応力分布を示し、同図(b)には、本実施形態のように補助メッシュを設定して応力分布計算を行った後実メッシュ空間の応力分布に変換した場合の応力分布を示した。同図(a)と(b)とを比較すれば明らかなように、補助メッシュを設定して応力分布計算を行った場合の方がシリコン窒化膜102、シリコン酸化膜106、及びシリコン100の各部の応力分布がスムージングされているのが判る。
【0040】
このように、本実施形態では、実メッシュ空間により応力分布計算を行うのではなく、まず実メッシュ空間において酸化種の拡散計算を行って実メッシュ空間における物理分布情報を取得して補助メッシュ空間の物理分布情報に変換し、その後補助メッシュ空間における応力分布計算を行って応力値を平均化し、これを実メッシュ空間の応力分布に変換することにより酸化シミュレーションを行うので、応力分布が不均一になるのを抑えることができ、酸化シミュレーションの精度が低下するのを抑えることができる。
【0041】
本実施形態では、実メッシュ空間と補助メッシュ空間において物理分布情報や応力分布の変換を行うため、実メッシュと補助メッシュとの不整合による誤差が生じる可能性があるものの、上記のように補助メッシュ空間で応力を平均化して実メッシュ空間の応力分布に変換するため、従来のように全て実メッシュ空間において処理する場合と比較して、応力分布計算の精度を向上させることができる。
【0042】
なお、上記では、半導体素子112の領域全てについて補助メッシュを設定して応力分布計算を行う場合について説明したが、半導体素子112の一部の領域をユーザーが操作部26を操作することにより指定して、指定された領域のみ補助メッシュを設定して上記と同様の処理を行うようにしてもよい。
【0043】
例えば図5(a)に示すような半導体素子36について酸化シミュレーションを行う場合について説明する。同図(a)に示すように、半導体素子36は、シリコン38上にシリコン酸化膜40が形成されている。また、同図(a)の一部の領域42を拡大した図を同図(b)に示した。同図(b)に示すように、ユーザーがバーズビーク領域44を矩形領域として選択した場合、このバーズビーク領域44については上記と同様の処理を行う。すなわち、バーズビーク領域44については補助メッシュ空間における応力分布計算を行って応力値を平均化し、これを実メッシュ空間の応力分布に変換する処理を行う。そして、それ以外の領域については従来と同様に実メッシュ空間における応力分布計算を行う。
【0044】
このように、一部の領域について補助メッシュを設定して応力分布計算を行うので、計算時間を短縮することができる。これは三次元でメッシュ分割した際のシミュレーションの場合に特に効果が顕著である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る酸化シミュレーション装置の概略構成図である。
【図2】本発明に係る酸化シミュレーションの処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る酸化シミュレーションの流れを示すイメージ図である。
【図4】(a)は従来法における応力分布計算の結果を示す図、(b)は本発明における応力分布計算の結果を示す図である。
【図5】一部の領域に補助メッシュ空間を設定する場合について説明するための図である。
【図6】従来における酸化シミュレーションの流れを示すイメージ図である。
【図7】従来におけるメッシュ分割について説明するための図である。
【符号の説明】
【0046】
10 酸化シミュレーション装置
12 酸化種拡散計算部
14 メッシュ分割部
16 補間部
18 応力計算部
20 形状更新部
22 記憶部
24 表示部
26 操作部
28 制御部
30 バーズビーク領域
32 補助メッシュ
34 実メッシュ
36 半導体素子
38 シリコン
40 シリコン酸化膜
42 領域
44 バーズビーク領域
100 シリコン
102 シリコン窒化膜
104 酸化種
106 シリコン酸化膜
108 界面
112 半導体素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体を含む領域を非等間隔で複数の実メッシュに分割した実メッシュ空間を設定するステップと、
前記実メッシュ空間において、応力依存因子に依存する酸化種の拡散係数を含む前記酸化種の拡散方程式を解くことにより、前記酸化種の拡散による前記半導体の酸化工程における応力分布の計算に必要な物理分布情報を取得するステップと、
前記半導体を含む領域を等間隔で複数の補助メッシュに分割した補助メッシュ空間を設定するステップと、
前記実メッシュ空間において求めた物理分布情報を前記補助メッシュに設定するステップと、
前記物理分布情報に基づいて、前記補助メッシュ空間における応力分布を計算するステップと、
前記応力分布を平均化した平均化応力分布を計算するステップと、
前記補助メッシュ空間における前記平均化応力分布を前記実メッシュ空間における応力分布に変換するステップと、
前記実メッシュ空間における応力分布に基づいて、前記半導体を含む領域の形状を更新するステップと、
を含む半導体酸化工程の応力分布計算方法。
【請求項2】
前記半導体はシリコンであることを特徴とする請求項1記載の半導体酸化工程の応力分布計算方法。
【請求項3】
前記補助メッシュ空間を設定するステップは、前記半導体を含む領域のうち、指定された一部の領域について補助メッシュ空間を設定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の半導体酸化工程の応力分布計算方法。
【請求項4】
前記平均化応力分布を計算するステップは、前記半導体を含む領域の材質毎に前記応力分布を平均化することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の半導体酸化工程の応力分布計算方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図4】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−99800(P2009−99800A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270409(P2007−270409)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(308033711)OKIセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】