説明

半導体集積回路装置

【課題】フラッシュメモリ等の半導体回路に対して、外部から供給される電圧よりも高電圧の電圧を低消費電力で供給でき、かつ、動作状態が切り替わっても半導体回路に供給される電圧が変動しないようにした半導体集積回路装置を提供する。
【解決手段】半導体集積回路装置は、昇圧回路1と、レベル検知回路2と、内部電圧発生回路3と、アドレスバッファ(ADB)4と、アドレスデコーダ(RDC)5と、メモリセルアレイ(MCA)6とを備える。レベル検知回路2は、メモリアクセス状態のときにレベル検知を行う第1のレベル検知部21と、スタンドバイ状態のときにレベル検知を行う第2のレベル検知部22とを有する。第2のレベル検知部22内の定電流源部27を利用して基準電圧Vref を生成すれば、定電流源部27を別個に設ける必要がなくなり、回路を簡略化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から供給された電源電圧を昇圧して半導体回路を駆動する半導体集積回路装置に関し、例えば、記憶したデータを一括して消去可能なフラッシュメモリなどを対象とする。
【背景技術】
【0002】
不揮発性半導体メモリの一種であるフラッシュメモリ(Flash memory)は、データの書き込みおよび消去を電気的に行うことができるEEPROM(Electrically Erasable Programmble Read Only Memory)セルをマトリクス状に配置した構成になっている。
【0003】
図25はこの種の不揮発性半導体メモリの構造を説明する図である。チップ内部の各メモリセルは、フローティングゲートFGとコントロールゲートCGとを有するスタックゲート型トランジスタで構成されている。図25に示すフローティングゲートFGに電子を注入したり、フローティングゲートFGから電子を放出させるとしきい値電圧が変化し、このしきい値電圧の変化を利用して各メモリセルへのデータの書き込みおよび読み出しが行われる。
【0004】
より具体的には、読み出しを行いたいメモリセルのコントロールゲートCGに電源電圧を印加したときに電流が流れるか否かにより、論理「1」と「0」の判定を行う。メモリセルのしきい値電圧は、メモリセルが「1」のときに約2V、「0」のときに5V以上になる。
【0005】
従来のフラッシュメモリでは、外部から供給される電源電圧と読み出し時のコントロールゲート電圧をともに5Vに設定していたため、読み出し時にコントロールゲートCGに直接この電源電圧を与えても動作的には特に支障はなかった。一方、最近では、メモリセルの微細化やメモリ容量の増大に伴って、外部から供給される電源電圧を低電圧化する必要が生じ、外部電源電圧を3Vに設定するのが現在一般化しつつある。
【0006】
従来のように、電源電圧を5Vに設定すると、読み出し時にコントロールゲートCGに印加される電圧VGと、メモリセルが「1」のときのしきい値電圧Vthとの差は、VG−Vth=5−2=3Vになる。これに対して、電源電圧が3Vの場合には、VG−Vth=3−2=1Vになり、電源電圧が5Vの場合の3分の1の電圧になることから、メモリセルに流れる電流(以下、セル電流と呼ぶ)もそれに応じて減少する。セル電流の減少は読み出し速度の減少を招くとともに、電源電圧の変動に対する余裕度もなくなる。
【0007】
このため、外部から供給される3Vの電源電圧(以下、外部電源電圧Vccext と呼ぶ)をチップ内部で昇圧して内部電圧Vccint を生成し、この内部電圧Vccint をメモリセルのコントロールゲートに印加する手法が提案されている。この内部電圧Vccint は、メモリセルに対する読み出しや書き込みを行わないスタンドバイ状態でも、5Vに設定する必要がある、仮に、スタンドバイ時に5Vより低い電圧を設定すると、スタンドバイ状態からメモリアクセス状態に切り替えた時点から内部電圧Vccint の電圧レベルを上げ始めなければならず、内部電圧Vccint が5Vになるまでに時間がかかり、その間メモリセルに対する読み出しを行えなくなる(特許文献1参照)。
【0008】
このように、スタンドバイ状態とメモリアクセス状態とでは、内部電圧Vccint の電圧レベルを同じに設定する必要があるが、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリは、電池やバッテリなどで駆動する携帯機器に用いられることが多く、スタンドバイ時の消費電力はなるべく少ない方が望ましい。
【特許文献1】特開平7−14394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、その目的は、フラッシュメモリ等の半導体回路に対して、外部から供給される電圧よりも高電圧の電圧を低消費電力で供給でき、かつ、動作状態が切り替わっても半導体回路に供給される電圧が変動しないようにした半導体集積回路装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、外部から供給された電圧を昇圧する昇圧回路と、この昇圧回路で昇圧された昇圧電圧に応じた電圧により駆動される半導体回路と、前記昇圧電圧の電圧変動を検知するレベル検知回路と、を備えた半導体集積回路装置において、前記半導体回路が第1の動作状態のときに、前記昇圧電圧の電圧変動を検知する第1のレベル検知回路と、前記第1のレベル検知回路よりも消費電力の少ない回路で構成され、前記半導体回路が第2の動作状態のときに、前記昇圧電圧の電圧変動を検知する第2のレベル検知回路と、を備え、前記昇圧回路は、前記第1および第2のレベル検知回路の出力に基づいてパルス信号を発生するか否かを制御するパルス発生器と、このパルス信号に応じて昇圧を行うチャージポンプとを有し、前記第2のレベル検知回路は、前記パルス発生器の出力が所定レベルになると、検知動作を停止することを特徴とする半導体集積回路装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フラッシュメモリ等の半導体回路が第2の動作状態(例えばスタンドバイ状態)になると、昇圧電圧のレベル検知を行う回路を低消費電力型の回路に切り換えるようにしたため、スタンドバイ時に比較的高い電圧を半導体回路に供給しても、スタンドバイ時の消費電力を低減できる。また、本発明は、動作状態が切り替わっても、半導体回路に供給する電圧レベルをあまり変えないようにしたため、動作状態を切り換える際の遷移時間を短縮でき、半導体回路に対するアクセス速度が向上する。さらに、動作状態が切り替わった直後に、半導体回路に供給される電圧が一時的に変動しないようにしたため、消費電力を低減できるとともに、動作状態にかかわらず常に一定の電圧を半導体回路に供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を適用した半導体集積回路装置および記憶装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0013】
以下に説明する半導体集積回路装置および記憶装置は、メモリセルアレイ6の読み出しや書き込みを行うために待機しているスタンドバイ状態の消費電力の低減を図るものであり、メモリセルアレイ6を駆動する電源電圧のレベルをそれほど低下させることなく消費電力を抑えることができる点に特徴がある。
【0014】
〔第1の実施形態〕
図1は本発明を適用した半導体集積回路装置の一実施形態の概略構成図であり、EEPROM構成のメモリセルアレイ6(以下、単にメモリセルアレイ6と呼ぶ)を備える例を示している。図1には、アドレス信号が入力されてからメモリセルアレイ6のワード線が選択されるまでの構成が示されている。
【0015】
本実施形態の半導体集積回路装置は、昇圧回路1と、レベル検知回路2と、内部電圧発生回路3と、アドレスバッファ(ADB)4と、アドレスデコーダ(RDC)5と、メモリセルアレイ(MCA)6とを備える。
【0016】
このうち、昇圧回路1は、外部から供給される外部電源電圧Vccext を昇圧して昇圧電圧Vccint2を生成する。昇圧電圧Vccint2の電圧値は、メモリセルアレイ6の読み出し・書き込みを行うメモリアクセス時と、読み出し・書き込みを行わないスタンドバイ時とで異なっており、例えば、メモリアクセス時にはVccint2=6.5 V、スタンドバイ時にはVccint2=5Vに設定される。
【0017】
レベル検知回路2は、昇圧電圧Vccint2の電圧レベルの変動を検知して、その検知結果を昇圧回路1に入力する。内部電圧発生回路3は、昇圧電圧Vccint2を降圧した電圧(以下、内部電圧と呼ぶ)Vccint を生成する。
【0018】
以上の昇圧回路1、レベル検知回路2および内部電圧発生回路3の詳細構成については後述する。
【0019】
チップの外部から入力されたアドレス信号ADD は、アドレスバッファ4を介してアドレスデコーダ5に入力されてデコードされる。アドレスデコーダ5には、外部電源電圧Vccext と、内部電圧発生回路3で降圧された内部電圧Vccint とが供給され、アドレスデコーダ5はデコードの他に電圧レベルの変換を行う。これにより、アドレスデコーダ5からは、内部電圧Vccint を基準とするデコード信号が出力される。
【0020】
アドレスデコーダ5の出力は、メモリセルアレイ6の図示せぬワード線に供給される。図1に示すアドレスデコーダ5は、メモリセルアレイ6の行アドレスをデコードするものであり、列アドレスをデコードするデコーダは図1では省略している。
【0021】
なお、昇圧回路1で昇圧された昇圧電圧Vccint2と接地端子間には、数百pF程度の安定化コンデンサ7が接続され、また、アドレスデコーダ5は数百〜数nF程度の寄生容量を有する。
【0022】
次に、図1に示す個々の構成を詳細に説明する前に、本実施形態の半導体集積回路装置全体の概略動作を説明する。メモリセルアレイ6に対する読み出し・書き込みを行うメモリアクセス状態では、昇圧回路1は例えば6.5 Vの昇圧電圧Vccint2を出力し、内部電圧発生回路3は昇圧電圧Vccint2に基づいて例えば5Vの内部電圧Vccint を生成する。内部電圧Vccint はアドレスデコーダ5などを駆動する電源電圧として用いられる。レベル検知回路2は昇圧電圧Vccint2の電圧レベルの変動を検知し、その検知結果に基づいて、昇圧回路1は昇圧電圧Vccint2が一定レベルになるようにフィードバック制御を行う。
【0023】
このように、昇圧電圧Vccint2の他に内部電圧Vccint を生成する理由は、仮に半導体集積回路内のすべての回路に昇圧電圧Vccint2をそのまま供給すると、負荷が大きいために昇圧電圧Vccint2が電圧変動を起こしやすくなるからであり、内部電圧Vccint を各回路に供給すれば、その分、昇圧電圧Vccint2の負荷が軽くなり、その電圧値の変動を抑えることができる。
【0024】
一方、メモリセルアレイ6に対する読み出し・書き込みを行うために待機しているスタンドバイ状態では、昇圧回路1は例えば5Vの昇圧電圧Vccint2を出力し、内部電圧発生回路3は昇圧電圧Vccint2と同一レベル(例えば5V)の内部電圧Vccint を出力する。レベル検知回路2は、昇圧電圧Vccint2の電圧レベルの変動を検出する点ではメモリアクセス状態と共通するが、消費電力の少ない回路に切り換えてレベル検知時の消費電力をなるべく少なくする点でメモリアクセス状態と異なる。また、レベル検知を行っている最中に昇圧電圧Vccint2の電圧レベルが高くなりすぎないように、レベル検知回路2を間欠的に動作させる。
【0025】
次に、図1に示す昇圧回路1の詳細構成について説明する。昇圧回路1は、図2に回路図を示すチャージポンプ11と、図3に回路図を示すオシレータ12とを備える。
【0026】
チャージポンプ11は、図2に示すように、ダイオードD1〜D4と、キャパシタC1〜C4と、インバータINV1,INV2とを有し、初段のダイオードD1には外部電源電圧Vccext が、初段のインバータINV1には後述するオシレータ12の出力OSC がそれぞれ入力され、最終段のダイオードD4からは昇圧電圧Vccint2が出力される。
【0027】
チャージポンプ11は、オシレータ12からの出力OSC に応じた電荷をキャパシタC1〜C4のそれぞれに順に転送することにより、外部電源電圧Vccext よりも高い電圧Vccint2を生成して出力する。
【0028】
オシレータ12は、図3に示すように、複数のインバータINV3〜INV7を直列に接続して、インバータINV6の出力を初段のNANDゲートG1にフィードバックするような構成になっている。図3のNANDゲートG1に入力される信号CPE がハイレベルになると、内部で発振動作が行われ、出力OSC からは発振信号が出力される。一方、信号CPE がローレベルになると出力OSC はローレベルに固定される。この信号CPE は、後述するレベル検知回路2から出力される。
【0029】
上述したように、メモリアクセス時には、図2に示すチャージポンプ11から例えば6.5 Vの昇圧電圧Vccint2が出力される。アドレス信号間のタイミングのばらつき(アドレススキュー)による電流消費や、内部電圧Vccint との電位差(電圧マージン)等の観点から考えれば、昇圧電圧Vccint2はできるだけ高い方が望ましいが、スタンドバイ状態からメモリアクセス状態に遷移する場合の消費電流や遷移時間、あるいは半導体回路の耐圧等を考慮すると、昇圧電圧をあまり高く設定することはできない。実際には、上述した種々の条件を考慮に入れて昇圧電圧Vccint2の電圧値が設定される。
【0030】
次に、図1に示すレベル検知回路2の詳細構成について説明する。図4はレベル検知回路2の詳細構成を示す回路図である。レベル検知回路2は、メモリアクセス状態のときにレベル検知を行う第1のレベル検知部21と、スタンドバイ状態のときにレベル検知を行う第2のレベル検知部22とに分けられる。各レベル検知部21,22の出力はオアゲート23で加算されて出力される。このオアゲート23の出力CPE は、図3に示したオシレータ12の初段に入力される。すなわち、レベル検知回路2の出力CPE がハイレベルであれば、図3のオシレータ12が発振動作を行って昇圧電圧Vccint2の電圧レベルは上昇する。一方、レベル検知回路2の出力CPE がローレベルであればオシレータ12は発振動作を停止し、昇圧電圧Vccint2の電圧レベルは低下する。また、第2のレベル検知部22の消費電力は、第1のレベル検知部21の半分以下、例えば4分の1以下とされている。
【0031】
図4に示す第2のレベル検知部22は、PMOSトランジスタ24と、抵抗R21,R22と、低消費電力型の差動増幅器(ローパワーアンプ)25と、ORゲートG21とを備えており、ローパワーアンプ25の(+) 入力端子には基準電圧Vref が、(-) 入力端子には抵抗R21と抵抗R22との接続点の電圧VG2が入力される。PMOSトランジスタ24はスタンドバイ状態のときにオンし、PMOSトランジスタ24がオンすると、ローパワーアンプ25の(-) 入力端子には昇圧電圧Vccint2を抵抗R21とR22で分圧した電圧VG2が入力される。電圧VG2が基準電圧Vref よりも低い場合には、ローパワーアンプ25の出力はハイレベルになり、レベル検知回路2の出力CPE もハイレベルになる。
【0032】
また、ローパワーアンプ25のdisable 端子にはORゲートG21が接続されており、メモリアクセス状態のときか、あるいは、図3に示したオシレータ12の出力OSC がハイレベルのときに、ローパワーアンプ25はディセーブル状態になって出力はローレベル固定になる。
【0033】
一方、第1のレベル検知部21は、ローパワーアンプ25の代わりに通常の差動増幅器26が接続されている点を除いて、第2のレベル検知部22と同様に構成され、昇圧電圧Vccint2が6.5 Vのときに分圧電圧VG1と基準電圧Vref とが一致するようなレベル検知を行う。
【0034】
図5は第2のレベル検知部22内のローパワーアンプ(Low Power AMP )25の詳細構成を示す回路図である。図5に示すローパワーアンプ25は、ウィルソンのカレントミラー回路で構成された定電流源部27と、差動増幅部28とに分けられる。定電流源部27は安定点が2つあり、電源投入時には図示のPMOSトランジスタ29のゲート端子がいったんローレベルになって、その後にハイレベルに設定される。これにより、ダイオードD21の両端の電圧Vfと抵抗R23の両端の電圧VRとが一致し、ダイオードD21に流れる電流量と抵抗R23に流れる電流量が等しくなった点で安定する。ダイオードD21の両端の電圧Vfは約0.6Vで、抵抗R23には例えば2400kΩ程度の高抵抗が用いられ、抵抗R23に流れる電流Iは、I=Vf/Rで表され、I=約0.25μAとなる。
【0035】
このように、抵抗R23にはほとんど電流が流れないため、定電流源部27で消費される電力は少なくなり、ローパワーアンプ25全体の消費電力も低く抑えられる。
【0036】
ところが、ローパワーアンプ25の消費電力を低く抑えると、レベル検知に時間がかかるという問題があり、レベル検知が終了するまでの間に、昇圧電圧Vccint2が予め定めた電圧よりも数V以上も高くなるおそれがある。
【0037】
ここで、レベル検知に時間がかかった場合に、昇圧電圧Vccint2が上昇する割合と低下する割合とどちらが大きいかについて検討する。昇圧電圧Vccint2が低下する要因としては、図4に示した抵抗R21,R22に流れる電流や、内部電圧Vccint に接続されるアドレスデコーダ5などのサブスレッショルド電流やジャンクションリーク電流などが考えられるが、これらの電流は数μA以内であり十分に小さい。また、内部電圧Vccint の寄生容量は数百pF〜数nF程度であるため、昇圧電圧Vccint2が0.1 V程度下がるのに数μ秒〜数百μ秒の時間がかかる。一方、レベル検知回路2の出力CPE がハイレベルのときの昇圧電圧Vccint2の上昇度合いは、電源電圧やチャージポンプ11の大きさにもよるが、図3に示したオシレータ12の出力OSC の1周期あたり約0.1 Vである。なお、出力OSC の1周期は数十ナノ秒程度である。
【0038】
このように、昇圧電圧Vccint2は、上がり方が急峻で、下がり方が緩やかという特徴があり、レベル検知に時間がかかると、昇圧電圧Vccint2がかなりの高電圧になるおそれがある。このため、図4に示した第2のレベル検知部22では、昇圧電圧Vccint2が5V以下になることが検知されると、昇圧回路1内のチャージポンプ11を1周期動作させて、その後に昇圧回路1内のオシレータ12からパルスOSC が出力された時点でローパワーアンプ25をリセットしてチャージポンプ11の動作を停止する。
【0039】
図4のように、オシレータ12からのパルスOSC により、ローパワーアンプ25をリセットしてレベル検知回路2の出力CPE を強制的にローレベルにすると、次に出力CPE がハイレベルになるまでに少なくとも数μ秒かかる。このため、結果的に、チャージポンプ11は、昇圧電圧Vccint2の低下に応じて随時、数μ秒〜数百μ秒程度に1回の割合で動作し、昇圧電圧Vccint2の上がりすぎを防止することができる。
【0040】
ところで、ローパワーアンプ25をリセットする回路は、図4に示したものに限定されない。例えば、図6は、オシレータ12から所定数のパルスOSC が出力されると論理「1」を出力するカウンタ111を設け、このカウンタ111の出力によりローパワーアンプ25をリセットする例を示している。
【0041】
なお、チャージポンプ11を複数並列接続して、スタンドバイ時には一部のチャージポンプ11だけを駆動するようにして、スタンドバイ時とメモリアクセス時とで昇圧電圧Vccint2の上昇度合いを変えてもよい。
【0042】
例えば図7は、2つのチャージポンプ11a,11bを並列接続して昇圧回路1を構成した例を示している。各チャージポンプ11a,11bは図2と同様の回路で構成され、各チャージポンプ11a,11bにはそれぞれ、ノイズ低減のために互いに位相がずれた信号OSC 1,OSC 2が入力される。また、チャージポンプ11bの前段にはアンドゲートG22が設けられ、アンドゲートG22の入力端子には信号OSC 2とメモリアクセス時にハイレベルになる信号とが入力される。
【0043】
図7の回路では、チャージポンプ11aはメモリアクセス時もスタンドバイ時も動作するのに対し、チャージポンプ11bはメモリアクセス時のみ動作し、スタンドバイ時には動作しない。これにより、スタンドバイ時はメモリアクセス痔に比べてチャージポンプ全体のパワー(能力)が低下し、昇圧電圧Vccint2は緩やかに上昇するようになる。
【0044】
次に、図1に示した内部電圧発生回路3の詳細構成について説明する。図8は内部電圧発生回路3の詳細構成を示す回路図である。内部電圧発生回路3は、差動増幅器31,32と、PMOSトランジスタQ31〜Q35と、NMOSトランジスタQ36〜Q39と、抵抗R31,R32とを備えており、昇圧電圧Vccint2に基づいて内部電圧Vccint を生成する。
【0045】
差動増幅器31,32はそれぞれ、内部電圧Vccint を抵抗分圧した電圧VGと基準電圧Vref とを比較して、その比較結果を出力する。より具体的には、差動増幅器31は内部電圧Vccint が5Vよりも低い場合に内部電圧Vccint を引き上げる制御を行い、差動増幅器32は内部電圧Vccint が5Vよりも高い場合に内部電圧Vccint を引き下げる制御を行う。
【0046】
なお、差動増幅器31,32はいずれも図9の回路で構成される。図9のPLUS端子が図8に示す(+) 入力端子に対応し、MINUS 端子が(-) 入力端子に対応する。図9のdisable 端子がハイレベルのときは、NMOSトランジスタQ301 がオンして出力はローレベル固定になる。一方、disable 端子がローレベルのときはPMOSトランジスタQ302 がオンし、この状態でPLUS端子がMINUS 端子よりも高電位になれば、外部電源電圧Vccext からの電流はPMOSトランジスタQ303 に流れて出力はハイレベルになる。逆に、disable 端子がハイレベルのときにPLUS端子よりもMINUS 端子の方が高電位になれば、出力はローレベルになる。
【0047】
図8に示す内部電圧発生回路3の出力段にはPMOSトランジスタQ34が接続され、スタンドバイ状態のときにはこのトランジスタQ34がオンして内部電圧Vccint は強制的に昇圧電圧Vccint2に設定される。すなわち、PMOSトランジスタQ34は、スタンドバイ時に内部電圧Vccint と昇圧電圧Vccint2とを短絡させる動作を行う。
【0048】
このような制御により、メモリアクセス時には内部電圧Vccint は約5Vに、昇圧電圧Vccint2は約6.5 Vに設定され、スタンドバイ時には内部電圧Vccint は昇圧電圧Vccint2と同電位(5V)に設定される。
【0049】
図1に示した内部電圧発生回路3やレベル検知回路2などでは、スタンドバイ状態であることを示す信号STANDBY をレベルシフトした信号STANDBYHと、信号STANDBY に同期した信号ENABLEH とを用いており、これら信号は図10に示す制御信号生成回路によって生成される。
【0050】
図10において、スタンドバイ状態のときにハイレベルになる信号STANDBY は、レベルシフター回路101に入力されてレベル変換され、このレベルシフター回路101から信号STANDBYHが出力される。また、信号STANDBY と、信号STANDBY をディレイ回路102で遅延させた信号はAND ゲートG101 で積算された後にレベルシフター回路103に入力されて信号ENABLEH が生成される。
【0051】
図11は図10に示したレベルシフター回路101,103の詳細構成を示す回路図である。入力INにハイレベルの信号が入力されると、NMOSトランジスタQ101がオンして図示のa点がローレベルになり、PMOSトランジスタQ102もオンして出力OUTは電源電圧Vhighと同レベルになる。また、入力INにローレベルの信号が入力されると、NMOSトランジスタQ103がオンして出力OUTは接地レベルになる。したがって、電源電圧Vhighに所望の電圧値を設定することで、入力信号をレベル変換することができる。
【0052】
図12は図10に示したディレイ回路102の詳細構成を示す回路図である。このディレイ回路102は、複数のインバータINV11〜INV14を直列接続し、各インバータの出力と接地端子間にキャパシタC11〜C13を接続した構成になっている。キャパシタの容量やインバータの接続段数を変えることにより、所望の遅延時間を得ることができる。
【0053】
図13は図1に示した半導体集積回路装置の動作タイミングを示す波形図であり、スタンドバイ状態のときにハイレベルになる信号STANDBY と、信号STANDBY に同期した信号ENABLEと、昇圧電圧Vccint2とレベル検知回路2の出力信号CPE との信号波形を示している。制御信号ENABLEは、メモリアクセス状態に遷移した時点でハイレベルに変化し、スタンドバイ状態に遷移してからしばらくしてローレベルに変化する。このように、メモリアクセス状態からスタンドバイ状態に切り替わった時刻T2からしばらくした後(時刻T3)に信号ENABLEをローレベルにする理由は、内部電圧発生回路3内で昇圧電圧Vccint2を6.5 Vから5Vに下げるのに要する時間を考慮したためである。
【0054】
すなわち、スタンドバイ状態の間は、昇圧電圧Vccint2と内部電圧Vccint は同じ電圧(例えば5V)に設定され、この電圧が変動しないように信号CPE が間欠的にハイレベルになり、チャージポンプ11は数μ秒〜数百μ秒に1回の割合で駆動される。
【0055】
一方、スタンドバイ状態からメモリアクセス状態になると、昇圧電圧Vccint2を5Vから6.5 Vに引き上げる必要があるため、図13に示すように、メモリアクセス状態になった時点(時刻T1)からしばらくはオシレータ12の出力CPE はハイレベルを維持してチャージポンプ11を連続的に駆動させる。昇圧電圧Vccint2が6.5 Vになると、その後は出力CPE は昇圧電圧Vccint2の低下に応じてパルスを出力して昇圧電圧Vccint2が6.5 Vから変動しないように制御を行う。
【0056】
ところで、図8に示した内部電圧発生回路3では、基準電圧Vref が使用されており、この基準電圧Vref は図14に詳細構成を示す基準電圧発生回路30で生成される。図14の基準電圧発生回路30は、差動増幅部41と、抵抗R1,R2,R3と、ダイオードD11,D12と、PMOSトランジスタQ11とを有し、差動増幅部41には定電流源から一定の電流が供給される。差動増幅部41は、抵抗R1とダイオードD11との接続点の電圧VAと、抵抗R2,R3の接続点の電圧VBとが等しくなるように制御する。
【0057】
したがって、抵抗R1を流れる電流I1と、抵抗R2を流れる電流I2との間には(1)式の関係が成り立つ。
I1/I2=R1/R2 …(1)
【0058】
一般に、ダイオードを流れる電流をI、(逆方向)飽和電流をIs 、順方向電圧をVF、温度をTとすると、(2)式の関係が成り立つ。
I=Is {eq・VF/kT −1} …(2)
【0059】
また、VF》q/kT=26mVであるため、(2)式中の(−1)は無視でき、(3)式が成り立つ。
I=Is・eq・VF/kT …(3)
【0060】
(3)式を変形すると、(4)式が得られる。ただし、VT=kT/qである。
VF=(kT/q)・1n(I/Is) …(4)
【0061】
図14のダイオードD11,D12の順方向電圧をそれぞれVF1,VF2とし、抵抗R3の両端電圧を△Vとすると、(5)式の関係が成り立つ。
△VF=VF1−VF2=VT・1n(I1/I2)
=VT・1n(R2/R1)…(5)
【0062】
(5)式より、基準電圧Vref は(6)式で表される。
Vref =VF1+(R2/R3)△VF…(6)
【0063】
ここで、電圧VTは0.086 mV/℃の正の温度係数を持ち、ダイオードの順方向電圧VF1は約-2mV/℃の負の温度係数を持つため、温度依存性がなくなるように抵抗R2,R3の抵抗値を設定すれば、基準電圧Vref は温度によらず常に一定の電圧値になる。
【0064】
図14の基準電圧発生回路30の消費電力を抑えるためには、基準電圧発生回路30に電流を供給する定電流源で電流の絞り込みを行えばよい。この定電流源は基準電圧発生回路専用に設けてもよいが、図5のローパワーアンプ25内の定電流源部27を流用することもできる。
【0065】
例えば図15は、図5に示したローパワーアンプ25内の低消費電力型の定電流源部27を基準電圧発生回路30で流用する例を示す図である。図15の一点鎖線部が定電流源部27の構成を示している。定電流源部27から出力された電流は、ローパワーアンプ25を構成する差動増幅部28に入力されるとともに、基準電圧発生回路30にも入力され、この基準電圧発生回路30から基準電圧Vref が出力される。
【0066】
このように、図4に示す第2のレベル検知部22内の定電流源部27を利用して基準電圧Vref を生成すれば、定電流源部27を別個に設ける必要がなくなり、回路を簡略化することができる。また、第2のレベル検知部22内の定電流源部27は消費電力が少ないため、基準電圧発生回路30全体の消費電力も抑制できる。
【0067】
〔第2の実施形態〕
第1の実施形態では、スタンドバイ時に図8に示すように、内部電圧発生回路3内のトランジスタQ34をオンさせて内部電圧Vccint と昇圧電圧Vccint2を強制的に短絡させている。
【0068】
図16は昇圧回路1と内部電圧発生回路3の出力段の概略構成を示すブロック図である。内部電圧発生回路3は、昇圧電圧Vccint2を降圧して内部電圧Vccint を生成する内部電圧発生部121と、スイッチ回路122とを備える。スイッチ回路122は、PMOSトランジスタ123とインバータ124とで構成され、PMOSトランジスタ123は、スタンドバイ時にハイレベルになる信号STANDBYHの論理に応じてオン・オフする。より詳細には、スタンドバイ状態になると、PMOSトランジスタ123がオンして昇圧回路1と内部電圧発生部121の各出力端子が短絡されて昇圧電圧Vccint2と内部電圧Vccint が等しくなる。
【0069】
内部電圧Vccint は、メモリの動作状態にかかわらず、ほぼ一定の電圧(約5V)なのに対し、昇圧電圧Vccint2は、メモリアクセス状態では約6.5 V、スタンドバイ状態では約5Vである。このため、図8や図16のように、スタンドバイ状態になった時点で、強制的に昇圧回路101と内部電圧発生部103の各出力端子を短絡させると、スタンドバイ状態になった直後に、内部電圧Vccint が昇圧電圧Vccint2に引きづられて一時的に上昇してしまう。このため、スタンドバイ状態になってからしばらくの間、すなわち、昇圧電圧Vccint2が低下するまでは、内部電圧発生回路3における差動増幅器などで内部電圧Vccint を引き上げる制御を行わなければならず、メモリ全体として消費電力が増えるおそれがある。
【0070】
また、フラッシュメモリの中には、チップイネーブル信号の論理に応じてメモリアクセス状態とスタンドバイ状態とを切り換えるCEショートサイクルモードを有するものがある。CEショートサイクルモードでは、メモリアクセス状態とスタンドバイ状態が周期的に切り替わるため、メモリアクセス時に内部電圧Vccint が5Vまで下がらないうちに、スタンドバイ状態に切り替わって内部電圧Vccint が上昇するという動作が繰り返され、最終的に内部電圧Vccint が最大6.5 Vまで上昇するおそれがある。内部電圧Vccint は、メモリチップ内のワード線電位となるため、読み出し電位も最大6.5 Vとなり、メモリセルトランジスタのしきい値のばらつきにより、メモリに書き込んだデータを正しく読み出せなくなるおそれがある。
【0071】
これに対し、図17に概略構成を示す半導体集積回路装置は、スタンドバイ状態になった直後に内部電圧Vccint が変動しないようにしたものである。図17では、EEPROMの内部構成の一部、すなわち、外部電源電圧Vccext を昇圧して昇圧電圧Vccint2を生成する回路ブロックと、昇圧電圧Vccint2から内部電圧Vccint を生成する回路ブロックとを示している。図17のEEPROMは、内部電圧発生回路3aの構成が第1の実施形態と異なる他は、第1の実施形態とほぼ同じように構成されるため、以下では、内部電圧発生回路3aの構成を中心に説明する。
【0072】
図17の内部電圧発生回路3aは、メモリアクセス時電圧制御回路51と、低消費電力内部電圧検知回路52と、レベルシフタ53と、スイッチ回路54とを有する。メモリアクセス時電圧制御回路51は、メモリアクセス時に内部電圧Vccint を生成するとともに、内部電圧Vccint が変動しないように電圧制御を行う。低消費電力内部電圧検知回路52は、内部電圧Vccint の電圧レベルに応じた信号を出力する。より詳細には、内部電圧Vccint が所定電圧より高ければハイレベルの信号を出力し、所定電圧より低ければローレベルの信号を出力する、この信号はレベルシフタ53に入力されてレベル変換された後、スイッチ回路54に入力される。スイッチ回路54は、メモリアクセス時は常にオフ状態で、スタンドバイ時に内部電圧Vccint が所定電圧以下になるとオンして昇圧電圧Vccint2と内部電圧Vccint を短絡させる。
【0073】
図18はメモリアクセス時電圧制御回路51の詳細構成を示す回路図である。図18に示すように、メモリアクセス時電圧制御回路51は、差動増幅器61と、PMOSトランジスタQ51,Q52と、抵抗R51,R52とを有する。PMOSトランジスタQ51のソース端子には昇圧電圧Vccint2が印加され、そのドレイン端子とPMOSトランジスタQ52のソース端子との接続点から内部電圧Vccint が出力される。PMOSトランジスタQ52のドレイン端子と接地端子間には抵抗R51,R52が直列接続され、PMOSトランジスタQ52のゲート端子には信号STANDBYHが印加され、PMOSトランジスタQ51のゲート端子には差動増幅器61の出力端子が接続されている。差動増幅器61は、メモリアクセス時のみ動作し、その正側入力端子には抵抗R51,R52間の電圧が印加され、負側入力端子には基準電圧Vref が印加される。
【0074】
メモリアクセス時は、PMOSトランジスタQ52がオンし、内部電圧Vccint を抵抗R51,R52で抵抗分圧した電圧が差動増幅器61の正側入力端子に入力される。例えば、内部電圧Vccint が予め定めた電圧よりも高くなると、差動増幅器61の正側入力端子の方が負側入力端子よりも電圧が高くなり、差動増幅器61の出力電圧が高くなってPMOSトランジスタQ51はオフする方向に動作し、内部電圧Vccint が低下する。逆に、内部電圧Vccint が予め定めた電圧よりも低くなると、差動増幅器61の正側入力端子の方が負側入力端子よりも電圧が低くなり、差動増幅器61の出力電圧が低くなってPMOSトランジスタQ51はオンする方向に動作し、内部電圧Vccint が上昇する。このような制御により、メモリアクセス時には、内部電圧Vccint は予め定めた電圧に制御される。
【0075】
一方、スタンドバイ時には、PMOSトランジスタQ52がオフし、差動増幅器61も動作しなくなるため、配線抵抗等により、内部電圧Vccint は徐々に低下する。また、スタンドバイ時の内部電圧Vccint の電圧レベルは、図17に示す低消費電力内部電圧検知回路52により検知される。
【0076】
図19は低消費電力内部電圧検知回路52の詳細構成を示す回路図である。図19に示すように、低消費電力内部電圧検知回路52は、図4と同じような構成のローパワーアンプ62と、抵抗R53,R54とを有する。直列接続された抵抗R53,R54の一端には内部電圧Vccint が印加され、他端は接地されている。ローパワーアンプ62の正側入力端子には抵抗R53,R54間の電圧が印加され、負側入力端子には基準電圧Vref が印加される。ローパワーアンプ62の出力は図17に示すレベルシフタ53に供給される。
【0077】
例えば、スタンドバイ時に内部電圧Vccint が予め定めた電圧よりも高くなると、ローパワーアンプ62の出力はローレベルになる。逆に、スタンドバイ時に内部電圧Vccint が予め定めた電圧以下になると、ローパワーアンプ62の出力はハイレベルになる。ローパワーアンプ62は、通常の差動増幅器よりも消費電流が少ないため、スタンドバイ時の消費電力を抑えることができる。
【0078】
図17に示すレベルシフタ53は、図11と同様の回路で構成され、ローパワーアンプ62の出力電圧をレベル変換する。レベル変換後の電圧はスイッチ回路54内のNANDゲートG51に入力される。NANDゲートG51の出力は、メモリアクセス時には常にハイレベルになり、PMOSトランジスタQ53はオフ状態を維持する。また、スタンドバイ時でも、レベルシフタ53の出力がローレベルのとき、すなわち、内部電圧Vccint が予め定めた電圧よりも高いときには、NANDゲートG51の出力はハイレベルになる。一方、スタンドバイ時に、内部電圧Vccint が予め定めた電圧以下になると、NANDゲートG51の出力はローレベルになり、PMOSトランジスタQ53がオンして、昇圧電圧Vccint2と内部電圧Vccint が短絡される。
【0079】
図20はメモリアクセス状態からスタンドバイ状態に遷移したときに昇圧電圧Vccint2と内部電圧Vccint が変化する様子を示したタイミング図である。なお、図20のCEバーは、EEPROMのチップイネーブル信号である。
【0080】
以下、図20のタイミング図を用いて、図17に示した第2の実施形態の動作を説明する。昇圧回路1の動作は、第1の実施形態と同じであり、例えば3Vの外部電源電圧Vccext に基づいて、メモリアクセス時には約6.5 V、スタンドバイ時には約5Vの昇圧電圧Vccint2を生成する。また、内部電圧発生回路3aの動作も、メモリアクセス時は第1の実施形態と同じであり、約6.5 Vの昇圧電圧Vccint2に基づいて、約5Vの内部電圧Vccint を生成する。
【0081】
一方、メモリアクセス状態からスタンドバイ状態に遷移すると(図20の時刻T1)、図17に示したメモリアクセス時電圧制御回路51は動作を停止し、代わりに低消費電力内部電圧検知回路52が動作を開始する。低消費電力内部電圧検知回路52は、内部電圧Vccint の電圧値が予め定めた電圧になったか否かを検知する。内部電圧Vccint が予め定めた電圧よりも高い間は、スイッチ回路54内のPMOSトランジスタQ53はオフ状態である。また、スタンドバイ時には、昇圧回路1は昇圧電圧Vccint2を6.5 Vから5Vに下げる制御を行うため、昇圧電圧Vccint2は徐々に低下する。また、内部電圧Vccint も、配線抵抗等により徐々に低下する。
【0082】
やがて、内部電圧Vccint が予め定めた電圧以下になると(図20の時刻T2)、PMOSトランジスタQ53がオンして昇圧電圧Vccint2と内部電圧Vccint は短絡される。昇圧電圧Vccint2と内部電圧Vccint が短絡すると、内部電圧Vccint が昇圧電圧Vccint2に引きづられて過度に上昇するおそれがあるが、ここでは内部電圧Vccint が上昇して予め定めた電圧になると、再度PMOSトランジスタQ53がオフして内部電圧Vccint のさらなる上昇が抑えられる。
【0083】
図21は図20の時刻T2の付近を拡大したタイミング図であり、内部電圧Vccint およびPMOSトランジスタの出力波形を示している。図21に示すように、時刻T2でPMOSトランジスタQ53がオンすると、昇圧電圧Vccint2と内部電圧Vccint が短絡して内部電圧Vccint が上昇し、時刻T3で再度PMOSトランジスタQ53はオフする。PMOSトランジスタQ53がオフすると、内部電圧Vccint は低下し、時刻T4で再度PMOSトランジスタQ53がオンして昇圧電圧Vccint2と内部電圧Vccint は短絡される。このような制御を繰り返すことにより、内部電圧Vccint は、所定の電圧(例えば5V)に収束する。
【0084】
図20には、第2の実施形態における内部電圧波形と、比較のための図16の例における内部電圧波形とが図示されており、図16の例ではスタンドバイ状態になった直後に内部電圧Vccint が一時的に上昇するのに対し、第2の実施形態では内部電圧Vccint がほとんど変化しないことがわかる。
【0085】
〔第3の実施形態〕
第3の実施形態は、昇圧電圧Vccint2の電圧レベルを検知する回路と内部電圧Vccint の電圧レベルを検知する回路とを共通化したことを特徴とする。
【0086】
図22は半導体集積回路装置の第3の実施形態の概略構成図である。図22は、昇圧電圧Vccint2の電圧レベルを検知するレベル検知回路2aの構成が図17と異なる他は、図17とほぼ同じように構成されるため、以下では、レベル検知回路2aの構成を中心に説明する。
【0087】
図22のレベル検知回路2aは、図4に示した第1のレベル検知部21と、AND ゲートG52,G53と、インバータINV51とを有する。昇圧回路1は、メモリアクセス時には、AND ゲートG52の出力に応じて昇圧電圧Vccint2の電圧制御を行い、スタンドバイ時には、AND ゲートG53の出力に応じて昇圧電圧Vccint2の電圧制御を行う。AND ゲートG52は、メモリアクセス時には、第1のレベル検知部21の出力をそのまま出力する。また、AND ゲートG53は、スタンドバイ時には、低消費電力内部電圧検知回路52の出力をそのまま出力する。
【0088】
次に、第3の実施形態の動作を説明する。昇圧回路1は、メモリアクセス時には、第1のレベル検知部21での検知結果に基づいて昇圧電圧Vccint2のレベル制御を行う。また、スタンドバイ時には、昇圧電圧Vccint2と内部電圧Vccint が短絡されることから、内部電圧Vccint の電圧レベルを検知する低消費電力内部電圧検知回路52の検知結果に基づいて、昇圧電圧Vccint2のレベル制御を行う。これにより、レベル検知回路2a内に、図4のようなスタンドバイ時専用の低消費電力型のレベル検知回路22を設ける必要がなくなり、回路構成を簡略化でき、かつ、消費電力も低減できる。
【0089】
〔第4の実施形態〕
第4の実施形態は、メモリアクセス時とスタンドバイ時とで、昇圧回路の駆動力を切り換えるようにしたことを特徴とする。
【0090】
図23は半導体集積回路装置の第4の実施形態の概略構成図である。第4の実施形態は、昇圧回路1aの構成が図17に示す第2の実施形態と異なる他は、第2の実施形態とほぼ同じように構成されるため、以下では、昇圧回路1aの構成を中心に説明する。
【0091】
図23の昇圧回路1aは、メモリアクセス時に昇圧電圧Vccint2を生成する第1のチャージポンプ11aと、スタンドバイ時に昇圧電圧Vccint2を生成する第2のチャージポンプ11bとを有する。これらチャージポンプはいずれも、図2と同様の回路で構成されるが、第1のチャージポンプ11aの電荷供給能力は第2のチャージポンプ11bよりも高い。このように、電荷供給能力に違いを持たせるには、例えば、チャージポンプ内のコンデンサの容量を変えればよい。
【0092】
メモリアクセス時は、AND ゲートG54の出力はローレベル固定になるため、第2のチャージポンプ11bは動作しない。一方、AND ゲートG55からはレベル検知回路2の出力がそのまま出力され、第1のチャージポンプ11aはレベル検知回路2の出力に応じて昇圧電圧Vccint2のレベル制御を行う。
【0093】
逆に、スタンドバイ時は、AND ゲートG55の出力はローレベル固定になるため、第1のチャージポンプ11aは動作しない。一方、AND ゲートG54からはレベル検知回路2の出力がそのまま出力され、第2のチャージポンプ11bはレベル検知回路2の出力に応じて昇圧電圧Vccint2のレベル制御を行う。
【0094】
このように、第4の実施形態は、スタンドバイ状態になると、電荷供給能力(駆動力)の弱いチャージポンプ11bにより昇圧電圧Vccint2を生成するため、スタンドバイ時のピーク電流を抑制でき、消費電力を低減できる。
【0095】
なお、図22の回路内の昇圧回路1を、図23の昇圧回路1aに変更してもよい。この場合の概略構成図は図24のようになる。図24の場合も、図23と同様の効果が得られる。同様に、図1に示す第1の実施形態の昇圧回路1を、図23の昇圧回路1aに変更してもよい。
【0096】
上述した実施形態では、外部から供給された電圧Vccext をいったん昇圧した後に内部電圧発生回路3で降圧しているが、内部電圧発生回路3を設けずに、昇圧した電圧を直接、メモリセルアレイ6やアドレスデコーダ5などに供給してもよい。ただし、内部電圧発生回路3を設けなければ回路構成を簡略化できるという利点もあるが、電圧制御精度は悪くなる。
【0097】
また、上述した実施形態では、EEPROM構成のメモリセルアレイ6を有する半導体集積回路装置について説明したが、EEPROM構成以外のDRAMやSRAM構成のメモリセルアレイ6を有する場合にも本発明は適用できる。また、メモリセルアレイ6以外の他の半導体回路の電圧制御にも本発明は適用できる。この場合、半導体回路が通常の動作をしている状態がメモリアクセス状態に対応し、半導体回路が待機している状態がスタンドバイ状態に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】半導体集積回路装置の一実施形態の概略構成図。
【図2】チャージポンプの詳細構成を示す回路図。
【図3】オシレータの詳細構成を示す回路図。
【図4】レベル検知回路の詳細構成を示す回路図。
【図5】第2のレベル検知部内のローパワーアンプの詳細構成を示す回路図。
【図6】ローパワーアンプをリセットする回路の変形例を示す回路図。
【図7】2つのチャージポンプを並列接続して昇圧回路を構成した例を示す図。
【図8】内部電圧発生回路の詳細構成を示す回路図。
【図9】内部電圧発生回路内の差動増幅器の詳細構成を示す回路図。
【図10】制御信号生成回路の詳細構成を示す回路図。
【図11】図9に示したレベルシフター回路の詳細構成を示す図。
【図12】図9に示したディレイ回路の詳細構成を示す回路図。
【図13】図1に示した半導体集積回路装置の動作タイミングを示す波形図。
【図14】基準電圧発生回路の詳細構成を示す回路図。
【図15】第2のレベル検知部内の定電流源部を基準電圧発生回路で流用する例を示す図。
【図16】半導体集積回路装置の第2の実施形態と比較するための半導体集積回路装置の概略構成図。
【図17】半導体集積回路装置の第2の実施形態の概略構成図。
【図18】メモリアクセス時電圧制御回路の詳細構成を示す回路図。
【図19】低消費電力内部電圧検知回路の詳細構成を示す回路図。
【図20】メモリアクセス状態からスタンドバイ状態に遷移したときに昇圧電圧Vccint2と内部電圧Vccint が変化する様子を示したタイミング図。
【図21】図18の時刻T2の付近を拡大したタイミング図。
【図22】半導体集積回路装置の第3の実施形態の概略構成図。
【図23】半導体集積回路装置の第4の実施形態の概略構成図。
【図24】図22の回路内の昇圧回路1を、図23の昇圧回路1aに変更した図。
【図25】従来の不揮発性半導体メモリの構造を説明する図。
【符号の説明】
【0099】
1 昇圧回路
2 レベル検知回路
3 内部電圧発生回路
4 アドレスバッファ(ADB)
5 アドレスデコーダ(RDC)
6 メモリセルアレイ(MCA)
7 安定化コンデンサ
11 チャージポンプ
12 オシレータ
21 第1のレベル検知回路
22 第2のレベル検知回路
25 ローパワーアンプ
27 定電流源部
28 差動増幅部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給された電圧を昇圧する昇圧回路と、この昇圧回路で昇圧された昇圧電圧に応じた電圧により駆動される半導体回路と、前記昇圧電圧の電圧変動を検知するレベル検知回路と、を備えた半導体集積回路装置において、
前記半導体回路が第1の動作状態のときに、前記昇圧電圧の電圧変動を検知する第1のレベル検知回路と、
前記第1のレベル検知回路よりも消費電力の少ない回路で構成され、前記半導体回路が第2の動作状態のときに、前記昇圧電圧の電圧変動を検知する第2のレベル検知回路と、を備え、
前記昇圧回路は、
前記第1および第2のレベル検知回路の出力に基づいてパルス信号を発生するか否かを制御するパルス発生器と、
このパルス信号に応じて昇圧を行うチャージポンプとを有し、
前記第2のレベル検知回路は、前記パルス発生器の出力が所定レベルになると、検知動作を停止することを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
前記昇圧回路は、前記第1の動作状態のときには前記第1のレベル検知回路による検知結果に基づいて前記昇圧電圧が第1の電圧になるように電圧制御を行い、前記第2の動作状態のときには前記第2のレベル検知回路による検知結果に基づいて前記昇圧電圧が第2の電圧になるように電圧制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路装置。
【請求項3】
前記第2のレベル検知回路の消費電力は、前記第1のレベル検知回路の4分の1以下の消費電力であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体集積回路装置。
【請求項4】
前記半導体回路の少なくとも一部は、EEPROM構成のメモリセルアレイであり、
前記第1の動作状態は、前記メモリセルアレイに対する読み出しや書き込みを行うメモリアクセス状態であり、
前記第2の動作状態は、前記メモリセルアレイに対する読み出しや書き込みを行うために待機しているスタンドバイ状態であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体集積回路装置。
【請求項5】
前記半導体回路の少なくとも一部は、EEPROM構成のメモリセルアレイであり、
このメモリセルアレイは、前記昇圧電圧に基づいて駆動されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体集積回路装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2007−220298(P2007−220298A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−128417(P2007−128417)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【分割の表示】特願平10−45571の分割
【原出願日】平成10年2月26日(1998.2.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】