半導体集積回路
【課題】出力バッファを必要とせずに多相クロックの位相状態の検出を可能にする半導体集積装置を提供する。
【解決手段】半導体集積回路1Aは、集積化された論理演算回路12、クロック生成器10、中継回路11および信号生成部13を有する。クロック生成器10は、多相クロックMP0を生成する。中継回路11は、当該生成された多相クロックMP0を論理演算回路12に分配する。信号生成部13は、当該分配された多相クロックMP1の位相状態を検出し、当該検出された位相状態に基づいて多相クロックMP1の位相誤差を表す電圧値を持つアナログ電圧信号LV0,LV1を生成する。
【解決手段】半導体集積回路1Aは、集積化された論理演算回路12、クロック生成器10、中継回路11および信号生成部13を有する。クロック生成器10は、多相クロックMP0を生成する。中継回路11は、当該生成された多相クロックMP0を論理演算回路12に分配する。信号生成部13は、当該分配された多相クロックMP1の位相状態を検出し、当該検出された位相状態に基づいて多相クロックMP1の位相誤差を表す電圧値を持つアナログ電圧信号LV0,LV1を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多相クロックの位相を検出する技術に関し、特に、半導体集積回路内で使用される多相クロックの位相誤差を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIなどの半導体集積回路(以下、単に「集積回路」と呼ぶ。)の動作クロックとして、たとえば高速並列演算のために、多相クロックが使用される場合がある。多相クロックとは、同一周期を有し互いに異なる位相を有するクロック信号群である。一般に、N相クロック(Nは2以上の整数)は、同一周期を有する第0相〜第N−1相のクロック信号からなり、第k相のクロック信号(kは0〜N−1のいずれか)は、第0相のクロック信号に対して(T/N)・kだけ遅延した信号となる(ここで、T=1周期)。特許文献1(特開2001−350539号公報)に開示されているように、PLL(Phase-Locked Loop)回路を用いて多相クロックを生成することが可能である。
【0003】
多相クロックの位相は、集積回路内の配線幅や厚みのバラツキ、あるいは、温度などの周辺環境に起因してずれることがある。たとえば、N相クロックでは、第k相クロック信号と第k+1相クロック信号との間の位相差を2π/Nに維持する必要があるが、集積回路内で多相クロックが伝送される際に、その位相差が2π/Nからずれて位相誤差を生ずることがある。
【0004】
なお、クロック信号の位相ずれを補正する技術は、たとえば、特許文献2(特開2006−186660号公報)、特許文献3(特開平05−191237号公報)および特許文献4(特開2000−077990号公報)に開示されている。
【特許文献1】特開2001−350539号公報
【特許文献2】特開2006−186660号公報
【特許文献3】特開平05−191237号公報
【特許文献4】特開2000−077990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、集積回路内の多相クロックの位相状態の検査は、集積回路に組み込まれた出力バッファが多相クロックを外部測定機器(たとえば、オシロスコープ)に転送し、この外部測定機器が当該転送された多相クロックのパルス波形を測定することにより行われていた。このような測定を通じて、集積回路内で多相クロックが分配される際に生じた位相誤差を検出し、その検出結果を製品開発に反映させることができる。しかしながら、高周波数の多相クロックの位相状態を検査するには、高速動作し得る高性能の出力バッファを集積回路に組み込む必要がある。これは、集積回路の設計コストの上昇や回路規模の増大を招くという問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、出力バッファを必要とせずに多相クロックの位相状態の検出を可能にする半導体集積回路を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、分配された多相クロックに同期して動作する論理演算回路と、同一周期を有し互いに異なる位相を有する複数のクロック信号からなる多相クロックを生成するクロック生成器と、当該生成された多相クロックを前記論理演算回路に分配する中継回路と、当該分配された多相クロックの位相状態を検出し、当該検出された位相状態に基づいて当該分配された多相クロックの位相誤差を表す電圧値を持つアナログ電圧信号を生成する信号生成部と、前記アナログ電圧信号を外部へ出力する出力ポートと、を有する第1の半導体集積回路が提供される。前記論理演算回路、前記クロック生成器、前記中継回路および前記信号生成部は集積化されている。
【0008】
また、本発明によれば、分配された多相クロックに同期して動作する論理演算回路と、同一周期を有し互いに異なる位相を有する複数のクロック信号からなる多相クロックを生成するクロック生成器と、当該生成された多相クロックを前記論理演算回路に分配するとともに、入力された制御信号に応じて前記多相クロックの位相を調整する中継回路と、当該分配された多相クロックの位相状態を検出し、当該検出された位相状態に基づいて当該分配された多相クロックの位相の誤差を表す電圧値を持つアナログ電圧信号を生成する信号生成部と、前記アナログ電圧信号に応答して前記位相誤差を低減するように前記制御信号を生成する遅延制御部と、を有する第2の半導体集積回路が提供される。前記論理演算回路、前記クロック生成器、前記中継回路、前記信号生成部および前記遅延制御部は集積化されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明による第1の半導体集積回路は、多相クロックの位相誤差を電圧値に変換し、当該電圧値を持つアナログ電圧信号を出力ポートを介して外部測定機器に供給することができる。それ故、高周波数の多相クロックの位相状態を検出するために高速動作し得る出力バッファを集積回路に組み込む必要がない。したがって、この第1の半導体集積回路により、出力バッファを使用せずに高周波数の多相クロックの位相状態を検出することが可能となる。
【0010】
また、本発明による第2の半導体集積回路は、多相クロックの位相誤差を電圧値に変換し、当該電圧値を持つアナログ電圧信号に基づいて多相クロックの位相を調整し得る。それ故、第2の半導体集積回路は、比較的簡易な構成で、多相クロックの位相を適正に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る種々の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、全ての図面において、同一機能を有する構成要素には同一符号が付されており、その詳細な説明は重複しないように適宜省略する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る第1の実施形態の集積回路1Aの概略構成を示すブロック図である。この集積回路1Aは、クロック生成器10、中継回路11、論理演算回路12および信号生成部13を有する。信号生成部13は、位相差検出回路14と積分回路15とを有している。これらクロック生成器10、中継回路11、論理演算回路12および信号生成部13は半導体基板上に集積されている。
【0013】
クロック生成器10は、PLL回路を内蔵し、このPLL回路を用いて4相クロックMP0を生成する機能を有する。4相クロックMP0は、同一周期(1クロック周期)を有し互いに異なる位相を有するクロック信号群からなる。すなわち、4相クロックMP0は、第0相クロック信号IN1、第1相クロック信号IN2、第2相クロック信号IN1Bおよび第3相クロック信号IN2Bからなる。
【0014】
中継回路11は、クロック生成器10で生成された多相クロックMP0を中継して論理演算回路12に分配する回路である。中継回路11から出力された多相クロックMP1は、第0相クロック信号OUT1、第1相クロック信号OUT2、第2相クロック信号OUT1Bおよび第3相クロック信号OUT2Bからなる。中継回路11に入力されるクロック信号IN1,IN1B,IN2,IN2Bはいずれも同一周期を有するが、多相クロックMP0のうち隣接する相のクロック信号間の位相差は必ずしも一定であるとは限らない。なぜなら、多相クロックMP0が伝搬される際に、集積回路内の配線幅や厚みのバラツキ、あるいは温度などの周辺環境に起因して、隣接する2相のクロック信号間の位相差が2π/4からずれることがあり得るからである。
【0015】
図2は、中継回路11の回路構成の一例を示す図である。中継回路11は、図2に示されるように、入出力バッファ回路110とレベル変換回路111とで構成されている。入出力バッファ回路110は、入力される多相クロックMP0の振幅が変動した場合でも、出力レベルが略一定となるようにバッファ動作(バッファリング)を行う回路である。入出力バッファ回路110は、差動型バッファ回路B1,B2とで構成されており、これら差動型バッファ回路B1,B2は、CML(Current Mode Logic)バッファやECL(Emitter Coupled Logic)バッファなどの電流モードロジック回路である。一方の差動型バッファ回路B1は、第0相クロック信号IN1と、当該第0相クロック信号IN1の論理レベルが反転した論理レベルを持つ第2相クロック信号IN1Bとを受信する。差動型バッファ回路B1は、当該受信された第0相クロック信号IN1と第2相クロック信号IN1Bとをバッファリングした後に、それぞれ第0相クロック信号OUT1と第2相クロック信号OUT1Bとして出力する。他方の差動型バッファ回路B2は、第1相クロック信号IN2と、当該第1相クロック信号IN2の論理レベルが反転した論理レベルを持つ第2相クロック信号IN2Bとを受信する。バッファ回路B2は、当該受信された第1相クロック信号IN2と第3相クロック信号IN2Bとをバッファリングした後に、それぞれ第1相クロック信号OUT2と第3相クロック信号OUT2Bとして出力する。
【0016】
図2のレベル変換回路111は、入出力バッファ回路110から出力された多相クロックの論理レベルに適合した電圧振幅レベルを、論理演算回路(たとえば、CMOSロジック回路)12の論理レベルに適合した電圧振幅レベル(たとえば、CMOSレベル)に変換する機能を有する。このレベル変換回路111において、レベル変換器B12,B13の各々は、バッファ回路B1の出力レベルを変換し、レベル変換器B22,B23の各々は、バッファ回路B2の出力レベルを変換する。結果として、レベル変換器B12,B13,B22,B23は、それぞれ、第0相クロック信号OUT1,第2相クロック信号OUT1B,第1相クロック信号OUT2,第3相クロック信号OUT2Bを出力する。
【0017】
信号生成部13は、4相クロックMP1の位相状態を検出し、当該検出された位相状態に基づいて4相クロックMP1の位相誤差を表す電圧値を持つアナログ電圧信号LV0,LV1を生成する。具体的には、信号生成部13は、位相差検出回路14と積分回路15とを含む。位相差検出回路14は、4相クロックMP1を構成する少なくとも一組のクロック信号間の位相差を検出し、当該検出された位相差に対応するパルス幅を持つ位相差信号を生成する機能を有する。本実施形態では、位相差検出回路14は、4相クロックMP1のうちの1組のクロック信号OUT1,OUT2について位相差信号PAを生成している。また、位相差検出回路14は、4相クロックMP1のうちの1組のクロック信号OUT1B,OUT2Bについて反転位相差信号PBを生成している。すなわち、位相差信号PAは、第0相クロック信号OUT1と第1相クロック信号OUT2との間の位相差に対応するパルス幅を持つ信号である。また、反転位相差信号PBは、第2相クロック信号OUT1Bと第3相クロック信号OUT2Bとの間の位相差に対応するパルス幅を持つパルス信号の論理レベルを反転して得られる信号である。
【0018】
積分回路15は、位相差信号PAと反転位相差信号PBを積分してそれぞれのパルス幅に対応する電圧値を持つ信号をアナログ電圧信号LV0,LV1として生成する。生成されたアナログ電圧信号LV0,LV1は、それぞれ、出力ポート20,21を介して外部の測定機器2に出力される。測定機器2は、出力ポート20,21から受信されたアナログ電圧信号LV0,LV1のパルス波形を表示する機能を有し、また、これらパルス波形を解析しその解析結果を表示する機能を有している。ユーザは、そのパルス波形や解析結果に基づいて多相クロックMP1の位相状態を検出することが可能である。
【0019】
上記第1の実施形態の集積回路1Aが奏する効果は以下の通りである。上記の通り、集積回路1Aは、論理演算回路12に分配される多相クロックMP1を構成する少なくとも一組のクロック信号OUT1,OUT2間の位相差を検出し、当該検出された位相差に対応するパルス幅を持つ位相差信号PAを生成する。集積回路1Aは、この位相差信号PAを積分してアナログ電圧信号LV0を生成する。測定機器2は、アナログ電圧信号LV0に基づいて多相クロックMP1の位相状態を検出することができる。それ故、高周波数の多相クロックMP1の位相状態を検査するために高速動作し得る出力バッファを集積回路1Aに組み込む必要がない。したがって、この集積回路1Aにより、出力バッファを使用せずに高周波数の多相クロックの位相状態を検出することが可能となる。
【0020】
また、集積回路1Aは、4相クロックMP1のうちの1組のクロック信号OUT1B,OUT2Bについて反転位相差信号PBを生成し、この反転位相差信号PBを積分してアナログ電圧信号LV1を生成する。アナログ電圧信号LV0,LV1を使用すれば、測定機器2は、高周波数の多相クロックの位相状態をより高精度に検出することが可能となる。
【0021】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。図3は、第2の実施形態の集積回路1Bの概略構成を示すブロック図である。集積回路1Bは、クロック生成器10、中継回路11B、論理演算回路12、信号生成部13、出力ポート20,21および入力ポート30を有する。中継回路11Bと入力ポート30の構成を除いて、集積回路1Bの構成は、上記第1の実施形態の集積回路1Aの構成(図1)と同じである。
【0022】
第2の実施形態では、集積回路1Bの中継回路11Bは、図1の中継回路11と同様にクロック生成器10で生成された多相クロックMP0を中継して論理演算回路12に分配する機能を有し、更に可変遅延素子16を有している。この可変遅延素子16は、内部フィードバック制御信号FCiに応じて、入力クロック信号IN1,IN1B,IN2,IN2Bのうちの少なくとも1つのクロック信号を遅延させて、出力クロック信号OUT1,OUT1B,OUT2,OUT2Bの位相を調整し得るものである。
【0023】
本実施形態では、測定機器2は、アナログ電圧信号LV0,LV1に応答するフィードバック制御系として機能する。すなわち、測定機器2は、多相クロックMP0の位相誤差を低減するように、入力クロック信号IN1,IN1B,IN2,IN2Bのうちの少なくとも1つについて遅延時間を制御するためのフィードバック制御信号FCを生成し、この信号FCを入力ポート30に供給する。入力ポート30は、測定機器2から受信したフィードバック制御信号FCを内部フィードバック制御信号FCiとして可変遅延素子16に供給する。
【0024】
図4は、集積回路1Bの第1の回路構成を示す図である。図4の回路構成では、中継回路11Bは、入出力バッファ回路110Bとレベル変換回路111とにより構成される。図4のレベル変換回路111は、図2のレベル変換回路111と同一機能を有する。
【0025】
入出力バッファ回路110Bは、クロック信号IN1,IN1B,IN2,IN2Bに対するバッファリング機能を有している。この入出力バッファ回路110Bは、4個の差動型バッファ回路B10,B11,B20,B21で構成されている。これら差動型バッファ回路B10,B11,B20,B21は、CML(Current Mode Logic)バッファやECL(Emitter Coupled Logic)バッファなどの電流モードロジック回路である。
【0026】
また、差動型バッファ回路B10,B11,B20,B21は、内部フィードバック制御信号FCiに応じて、クロック信号IN1,IN1B,IN2,IN2Bを遅延させる可変遅延機能を有している。よって、図3の可変遅延素子16は、差動型バッファ回路B10,B11,B20,B21によって構成される。
【0027】
差動型バッファ回路B10は、第0相クロック信号IN1と、当該第0相クロック信号IN1の論理レベルが反転した論理レベルを持つ第2相クロック信号IN1Bとを受信し、当該受信されたクロック信号IN1,IN1Bをバッファリングした後に後段の差動型バッファ回路B11に出力する。差動型バッファ回路B11は、前段のバッファ回路B10の出力をバッファリングした後にレベル変換回路111に出力する。他方、差動型バッファ回路B20は、第1相クロック信号IN2と、当該第1相クロック信号IN2の論理レベルが反転した論理レベルを持つ第3相クロック信号IN2Bとを受信し、当該受信されたクロック信号IN2,IN2Bをバッファリングした後に後段の差動型バッファ回路B21に出力する。差動型バッファ回路B21は、前段のバッファ回路B20の出力をバッファリングした後にレベル変換回路111に出力する。
【0028】
図4に示されるように、位相差検出回路14は、2個のXORゲート(排他的論理和演算回路)B24,B25を含む。一方のXORゲートB24は、第1の組を構成する第0相と第1相のクロック信号OUT1,OUT2に排他的論理和演算を施して、クロック信号OUT1,OUT2間の位相差に対応するパルス幅を持つ位相差信号PAを生成する。他方のXORゲートB25は、第2の組を構成する第2相と第3相のクロック信号OUT1B,OUT2Bに排他的論理和演算を施し、更にその演算結果の論理レベルを反転して反転位相差信号PBを生成する。この反転位相差信号PBは、クロック信号OUT1B,OUT2B間の位相差に対応するパルス幅を持つパルス信号の論理レベルを反転して得られる信号である。
【0029】
図4に示されるように、積分回路15は、反転回路(インバータ回路)B26、非反転回路B27、pチャネル型トランジスタ(第1のスイッチング・トランジスタ)Tp1、nチャネル型トランジスタ(第2のスイッチング・トランジスタ)Tn1およびキャパシタCAを有しており、これら構成要素B26,B27,Tp1,Tn1,CAは、第1のRCフィルタ回路を構成する。
【0030】
第1のRCフィルタ回路においては、pチャネル型トランジスタTp1とnチャネル型トランジスタTn1とは直列接続されており、pチャネル型トランジスタTp1のソース電極は、電源電圧Vddを供給する電源電圧端子に接続され、nチャネル型トランジスタTn1のソース電極は接地電圧端子(gnd端子)に接続されている。キャパシタCAの一端は、pチャネル型トランジスタTp1のドレイン電極に接続され、かつ、電圧出力端子に接続されている。また、キャパシタCAの他端は接地されている。反転回路B26は、位相差信号PAの論理レベルを反転して反転信号を生成し、この反転信号をpチャネル型トランジスタTp1のゲート電極に印加する。そして、非反転回路B27は、反転位相差信号PBをnチャネル型トランジスタTn1のゲート電極に印加する。
【0031】
このような第1のRCフィルタ回路では、pチャネル型トランジスタTp1とnチャネル型トランジスタTn1は、それぞれ、位相差信号PAと反転位相差信号PBに応じてスイッチング動作する。pチャネル型トランジスタTp1は、位相差信号PAの論理レベルが「H(High)」のときにのみ、オン状態となり、電源電圧端子をキャパシタCAの一端に接続してキャパシタCAを充電させる。位相差信号PAの論理レベルが「L(Low)」のときには、pチャネル型トランジスタTp1はオフ状態となる。位相差信号PAの論理レベルが「L」のとき、反転位相差信号PBの論理レベルは「H」になるので、nチャネル型トランジスタTn1はオン状態になる。このとき、nチャネル型トランジスタTn1は、キャパシタCAの一端を接地電圧端子に接続してキャパシタCAを放電させる。このように第1のRCフィルタ回路では、反転位相差信号PBは、位相差信号PAの論理レベルが反転した論理レベルを持つ信号として使用することができる。
【0032】
また、図4に示されるように、積分回路15は、反転回路(インバータ)B28、非反転回路B29、pチャネル型トランジスタ(第3のスイッチング・トランジスタ)Tp2、nチャネル型トランジスタ(第4のスイッチング・トランジスタ)Tn2およびキャパシタCBを有しており、これら構成要素B28,B29,Tp2,Tn2,CBは、第2のRCフィルタ回路を構成する。
【0033】
第2のRCフィルタ回路においては、pチャネル型トランジスタTp2とnチャネル型トランジスタTn2とは直列接続されており、pチャネル型トランジスタTp2のソース電極は、電源電圧Vddを与える電源電圧端子に接続され、nチャネル型トランジスタTn1のソース電極は接地電圧端子(gnd端子)に接続されている。キャパシタCBの一端は、pチャネル型トランジスタTp2のドレイン電極に接続され、かつ、電圧出力端子に接続されている。また、キャパシタCBの他端は接地されている。反転回路B28は、反転位相差信号PBの論理レベルを反転して反転信号を生成し、この反転信号をpチャネル型トランジスタTp2のゲート電極に印加する。そして、非反転回路B29は、位相差信号PAをnチャネル型トランジスタTn2のゲート電極に印加する。
【0034】
このような第2のRCフィルタ回路では、pチャネル型トランジスタTp2とnチャネル型トランジスタTn2は、それぞれ、反転位相差信号PBと位相差信号PAに応じてスイッチング動作する。pチャネル型トランジスタTp2は、反転位相差信号PBの論理レベルが「H」のときにのみ、オン状態となり、電源電圧端子をキャパシタCBの一端に接続してキャパシタCBを充電させる。反転位相差信号PBの論理レベルが「L」のときには、pチャネル型トランジスタTp2はオフ状態となる。反転位相差信号PBの論理レベルが「L」のとき、位相差信号PAの論理レベルは「H」になるので、nチャネル型トランジスタTn2はオン状態になる。このとき、nチャネル型トランジスタTn2は、キャパシタCBの一端を接地電圧端子に接続してキャパシタCBを放電させる。このように第2のRCフィルタ回路では、位相差信号PAは、反転位相差信号PBの論理レベルが反転した論理レベルを持つ信号として使用することができる。
【0035】
図5は、図4に示した第1の回路構成における各種信号波形の一例を概略的に示すタイミングチャートである。図5(A)〜(D)に示される4相クロックMP0が発生した場合、この4相クロックMP0では、クロック信号IN1,IN1Bとクロック信号IN2,IN2Bとの間に、時間δt(=−(Δt1−Δt2)/2)に相当する位相誤差が存在する(Δt1>Δt2)。図5(E)〜(H)は、中継回路11から出力された4相クロックMP1の信号波形を示すタイミングチャートである。
【0036】
このとき、図4の位相差検出回路14は、クロック信号OUT1の立ち上がりエッジとクロック信号OUT2の立ち上がりエッジとの間の位相差に対応するパルス幅(=Δt1)を持つ位相差信号PA(図5(M))を生成する。また、位相差検出回路14は、クロック信号OUT2Bの立ち下がりエッジとクロック信号OUT1Bの立ち上がりエッジとの間の位相差に対応するパルス幅(=Δt2)を持つ反転位相差信号PBを生成する(図5(N))。
【0037】
図4の積分回路15は、位相差信号PAを積分してアナログ電圧信号LV0を生成すると同時に、反転位相差信号PBを積分してアナログ電圧信号LV1を生成する。図5(P)は、時間tに対するアナログ電圧信号LV0,LV1の電圧レベルLVの変化を示すタイミングチャートである。図5(P)に示されるように、アナログ電圧信号LV0,LV1の電圧レベルは略一定であり、アナログ電圧信号LV0の電圧レベルは、アナログ電圧信号LV1のそれよりも大きい。それ故、これらアナログ電圧信号LV0,LV1間の電圧レベル差に基づいて、クロック信号IN1,IN1Bとクロック信号IN2,IN2Bとの間の位相誤差を検出することが可能となる。
【0038】
逆に、クロック信号IN1,IN1Bとクロック信号IN2,IN2Bとの間に、Δt1<Δt2の関係を示す位相誤差が存在する場合は、アナログ電圧信号LV0の電圧レベルは、アナログ電圧信号LV1のそれよりも小さくなる。
【0039】
図3に示した測定機器2は、アナログ電圧信号LV0,LV1間の電圧レベル差を低減するように、入力クロック信号IN1,IN1B,IN2,IN2Bに対する遅延時間を制御するためのフィードバック制御信号FCを生成することができる。図6(A)〜(H)は、位相調整された多相クロックMP0,MP1の信号波形を示すタイミングチャートである。このとき、図6(M),(N)に示されるように、位相差信号PAのパルス幅と反転位相差信号PBのパルス幅とは略同一になる。また、図6(P)に示されるように、アナログ電圧信号LV0,LV1の電圧レベルは、略同じである。それ故、これらアナログ電圧信号LV0,LV1間の電圧レベル差に基づいて、クロック信号IN1,IN1Bとクロック信号IN2,IN2Bとの間の位相誤差が許容範囲内に収まったか否かを判定することが可能である。
【0040】
次に、集積回路1Bの第2の回路構成について説明する。図7は、この第2の回路構成を示す図である。第2の回路構成は、位相差検出回路14を除いて、図4に示した第1の回路構成と同じである。
【0041】
この第2の回路構成では、位相差検出回路14は、インバータB30,B31,B32,B33、ANDゲート(論理積演算回路)B34,B35,B36,B37およびORゲート(論理和演算回路)B38,B39からなる。
【0042】
図7に示されるように、インバータB30,B31,B32,B33は、それぞれ、第1相クロック信号OUT2,第2相クロック信号OUT1B,第3相クロック信号OUT2Bおよび第0相クロック信号OUT1の論理レベルを反転する。
【0043】
ANDゲートB34は、第0相クロック信号OUT1とインバータB30の出力とに論理積演算を施してその演算結果である位相差信号A1を生成する。この位相差信号A1は、第0相クロック信号OUT1の立ち上がりエッジから第1相クロック信号OUT2の立ち上がりエッジまでの位相差を表している。ANDゲートB35は、第1相クロック信号OUT2とインバータB31の出力とに論理積演算を施してその演算結果である位相差信号B1を生成する。この位相差信号B1は、第1相クロック信号OUT2の立ち上がりエッジから第2相クロック信号OUT1Bの立ち上がりエッジまでの位相差を表している。ANDゲートB36は、第2相クロック信号OUT1BとインバータB32の出力とに論理積演算を施してその演算結果である位相差信号A2を生成する。この位相差信号A2は、第2相クロック信号OUT1Bの立ち上がりエッジから第3相クロック信号OUT2Bの立ち上がりエッジまでの位相差を表している。そして、ANDゲートB37は、第3相クロック信号OUT2BとインバータB33の出力とに論理積演算を施してその演算結果である位相差信号B2を生成する。この位相差信号B2は、第3相クロック信号OUT2Bの立ち上がりエッジから第0相クロック信号OUT1の立ち上がりエッジまでの位相差を表している。
【0044】
図7のORゲートB38は、位相差信号A1,A2に論理和演算を施して位相差信号PAを生成する。また、ORゲートB39は、位相差信号B1,B2に論理和演算を施して反転位相差信号PBを生成する。
【0045】
図8は、第2の回路構成における各種信号波形の一例を示すタイミングチャートである。図8(A)〜(H)は、Δt1>Δt2の関係を示す位相誤差が発生した場合の多相クロックMP0,MP1の信号波形を示している。図8(I)〜(L)には、図7の位相差検出回路14で生成される信号A1,B1,A2,B2の波形が示されている。図8(M),(N)に示されるように、位相差信号PAおよび反転位相差信号PBは、図5(M),(N)に示したものと同様の信号波形を呈する。よって、図8(P)に示すアナログ電圧信号LV0,LV1の信号波形も、図5(P)に示した信号波形と同様である。図9(A)〜(H)は、第2の回路構成を用いて位相調整された多相クロックMP0,MP1の信号波形を示すタイミングチャートである。図9(I)〜(L)には、位相調整後の信号A1,B1,A2,B2の波形が示されている。図6(M),(N)と同様に、図9(M),(N)に示す位相差信号PAと反転位相差信号PBは、略同一のパルス幅を持つ。また図9(P)に示されるように、アナログ電圧信号LV0,LV1の電圧レベルは、略同じである。
【0046】
上述の通り、図7の位相差検出回路14は、第0相クロック信号OUT1と第1相クロック信号OUT2間の位相差、第1相クロック信号OUT2と第2相クロック信号OUT1B間の位相差、第2相クロック信号OUT1Bと第3相クロック信号OUT2B間の位相差、第3相クロック信号OUT2Bと第0相クロック信号OUT1間の位相差をそれぞれ検出し、当該検出された4つの位相差に基づいて位相差信号PAと反転位相差信号PBを生成する。したがって、第2の回路構成は、上記第1の回路構成よりも複雑ではあるが、多相クロックMP1の位相状態をより正確に検出することが可能である。
【0047】
図10は、図4および図7に示した可変遅延機能を有する入出力バッファ回路110Bのより具体的な構成の一部を例示する図である。図10には、バッファ回路B10,B11の構成が示されている。図4および図7のバッファ回路B20,B21の構成も、図10の構成と同じである。
【0048】
図10に示されているように、前段のバッファ回路B10は、クロック・バッファCLKBUF0、pチャネル型トランジスタTpa,Tpb,Tpc,Tpdおよびキャパシタ(容量負荷)Ca,Cb,Cc,Cdを含む。クロック・バッファCLKBUF0は、クロック信号IN1,IN1Bを受信しバッファリングした後に、後段のバッファ回路B11のクロック・バッファCLKBUF1に出力する。キャパシタCa,Cb,Cc,Cdの一端は接地されている。pチャネル型トランジスタTpaは、インバータINV0の出力に応じてスイッチング動作し、オン状態のときにのみ、クロック・バッファCLKBUF0の第1出力端子をキャパシタCaの他端に接続する。pチャネル型トランジスタTpbは、インバータINV0の出力に応じてスイッチング動作し、オン状態のときにのみ、クロック・バッファCLKBUF0の第2出力端子をキャパシタCbの他端に接続する。pチャネル型トランジスタTpcは、インバータINV1の出力に応じてスイッチング動作し、オン状態のときにのみ、クロック・バッファCLKBUF0の第1出力端子をキャパシタCcの他端に接続する。そして、pチャネル型トランジスタTpdは、インバータINV1の出力に応じてスイッチング動作し、オン状態のときにのみ、クロック・バッファCLKBUF0の第2出力端子をキャパシタCdの他端に接続する。
【0049】
後段のバッファ回路B11は、クロック・バッファCLKBUF1、pチャネル型トランジスタTpe,Tpf,Tpg,Tphおよびキャパシタ(容量負荷)Ce,Cf,Cg,Chを含む。クロック・バッファCLKBUF1は、クロック信号IN1,IN1Bを受信しバッファリングしてクロック信号OUT1,OUT1Bを出力する。キャパシタCe,Cf,Cg,Chの一端は接地されている。pチャネル型トランジスタTpeは、インバータINV2の出力に応じてスイッチング動作し、オン状態のときにのみ、クロック・バッファCLKBUF1の第1出力端子をキャパシタCeの他端に接続する。pチャネル型トランジスタTpfは、インバータINV2の出力に応じてスイッチング動作し、オン状態のときにのみ、クロック・バッファCLKBUF1の第2出力端子をキャパシタCfの他端に接続する。pチャネル型トランジスタTpgは、インバータINV3の出力に応じてスイッチング動作し、オン状態のときにのみ、クロック・バッファCLKBUF1の第1出力端子をキャパシタCgの他端に接続する。そして、pチャネル型トランジスタTphは、インバータINV3の出力に応じてスイッチング動作し、オン状態のときにのみ、クロック・バッファCLKBUF1の第2出力端子をキャパシタChの他端に接続する。
【0050】
インバータINV0,INV1は、それぞれ、第1制御信号S00と第2制御信号S01の論理レベルを反転する。インバータINV2,INV3は、それぞれ、第3制御信号S10と第4制御信号S11の論理レベルを反転する。これら第1,第2,第3および第4制御信号S00,S01,S10,S11は、フィードバック制御信号FCiを構成するものである。第1,第2,第3および第4制御信号S00,S01,S10,S11により、キャパシタCa,Cb,Cc,Cd,Ce,Cf,Cg,Chの充放電のタイミングを制御してクロック信号IN1,IN1Bの各々を所望の遅延時間だけ遅延させることが可能となる。
【0051】
上記第2の実施形態の集積回路1Bが奏する効果は以下の通りである。集積回路1Bは、上記第1の実施形態の集積回路1Aと同様に、位相差信号PAを生成し、この位相差信号PAを積分してアナログ電圧信号LV0を生成する。測定機器2は、アナログ電圧信号LV0に基づいて多相クロックMP1の位相状態を検出することができるので、高周波数の多相クロックMP1の位相状態を検査するために高速動作し得る出力バッファを集積回路1Bに組み込まなくとも、高周波数の多相クロックの位相状態を検出することが可能となる。また、集積回路1Bは、反転位相差信号PBを生成し、この反転位相差信号PBを積分してアナログ電圧信号LV1を生成するので、測定機器2は、位相差信号PAと反転位相差信号PBとに基づいて高周波数の多相クロックの位相状態をより高精度に検出することが可能となる。
【0052】
更に、集積回路1Bは、中継回路11Bの可変遅延素子16と入力ポート30とを有するので、外部の測定機器2からフィードバック制御信号FCを供給することにより多相クロックMP1の位相を調整し、その調整結果を容易に確認することが可能となる。
【0053】
なお、図4および図7に示した信号生成部13の第1および第2の回路構成は、第1の実施形態の信号生成部13(図1および図2)の回路構成に適用することができる。
【0054】
(第3の実施形態)
次に、本発明に係る第3の実施形態について説明する。図11は、本発明に係る第3の実施形態の集積回路1Cの概略構成を示すブロック図である。集積回路1Cは、遅延制御部17を有する点とアナログ電圧信号LV0,LV1の出力ポートを持たない点とを除いて、上記第2の実施形態の集積回路1Bと同一構成を有している。
【0055】
遅延制御部17は、アナログ電圧信号LV0,LV1に応答するフィードバック制御系として機能する。すなわち、遅延制御部17は、多相クロックMP0の位相誤差を低減するように、入力クロック信号IN1,IN1B,IN2,IN2Bのうちの少なくとも1つについて遅延時間を制御するためのフィードバック制御信号FCiを生成し、この信号FCiを可変遅延素子16に供給する。
【0056】
第3の実施形態の集積回路1Cは、比較的簡易な構成で多相クロックMP0の位相を調整することができる。
【0057】
なお、第3の実施形態の集積回路1Cは、アナログ電圧信号LV0,LV1を外部に出力する出力ポートを持たないが、これに限定されるものではない。上記第2の実施形態と同様に集積回路1Cがアナログ電圧信号LV0,LV1を外部に出力する出力ポートを有していてもよい。
【0058】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。たとえば、上記実施形態では、多相クロックとして4相クロックが生成されたが、この代わりに、クロック生成器10が2の倍数相の多相クロックを生成し、この多相クロックに適合するように上記実施形態の構成を適宜変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の集積回路の概略構成を示すブロック図である。
【図2】中継回路の回路構成の一例を示す図である。
【図3】本発明に係る第2の実施形態の集積回路の概略構成を示すブロック図である。
【図4】第2の実施形態の集積回路の第1の回路構成を示す図である。
【図5】図4に示した第1の回路構成における各種信号波形の一例を概略的に示すタイミングチャートである。
【図6】図4に示した第1の回路構成における各種信号波形の他の例を概略的に示すタイミングチャートである。
【図7】第2の実施形態の集積回路の第2の回路構成を示す図である。
【図8】図7に示した第2の回路構成における各種信号波形の一例を概略的に示すタイミングチャートである。
【図9】図7に示した第2の回路構成における各種信号波形の一例を概略的に示すタイミングチャートである。
【図10】図4および図7に示した可変遅延機能を有する入出力バッファ回路のより具体的な構成の一部を例示する図である。
【図11】本発明に係る第3の実施形態の集積回路の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0060】
1A,1B,1C 集積回路
2 測定機器
10 クロック生成器
11,11B 中継回路
110,110B 入出力バッファ回路
12 論理演算回路
13 信号生成部
14 位相差検出回路
15 積分回路
16 可変遅延素子
17 遅延制御部
20,21 出力ポート
30 入力ポート
【技術分野】
【0001】
本発明は、多相クロックの位相を検出する技術に関し、特に、半導体集積回路内で使用される多相クロックの位相誤差を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIなどの半導体集積回路(以下、単に「集積回路」と呼ぶ。)の動作クロックとして、たとえば高速並列演算のために、多相クロックが使用される場合がある。多相クロックとは、同一周期を有し互いに異なる位相を有するクロック信号群である。一般に、N相クロック(Nは2以上の整数)は、同一周期を有する第0相〜第N−1相のクロック信号からなり、第k相のクロック信号(kは0〜N−1のいずれか)は、第0相のクロック信号に対して(T/N)・kだけ遅延した信号となる(ここで、T=1周期)。特許文献1(特開2001−350539号公報)に開示されているように、PLL(Phase-Locked Loop)回路を用いて多相クロックを生成することが可能である。
【0003】
多相クロックの位相は、集積回路内の配線幅や厚みのバラツキ、あるいは、温度などの周辺環境に起因してずれることがある。たとえば、N相クロックでは、第k相クロック信号と第k+1相クロック信号との間の位相差を2π/Nに維持する必要があるが、集積回路内で多相クロックが伝送される際に、その位相差が2π/Nからずれて位相誤差を生ずることがある。
【0004】
なお、クロック信号の位相ずれを補正する技術は、たとえば、特許文献2(特開2006−186660号公報)、特許文献3(特開平05−191237号公報)および特許文献4(特開2000−077990号公報)に開示されている。
【特許文献1】特開2001−350539号公報
【特許文献2】特開2006−186660号公報
【特許文献3】特開平05−191237号公報
【特許文献4】特開2000−077990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、集積回路内の多相クロックの位相状態の検査は、集積回路に組み込まれた出力バッファが多相クロックを外部測定機器(たとえば、オシロスコープ)に転送し、この外部測定機器が当該転送された多相クロックのパルス波形を測定することにより行われていた。このような測定を通じて、集積回路内で多相クロックが分配される際に生じた位相誤差を検出し、その検出結果を製品開発に反映させることができる。しかしながら、高周波数の多相クロックの位相状態を検査するには、高速動作し得る高性能の出力バッファを集積回路に組み込む必要がある。これは、集積回路の設計コストの上昇や回路規模の増大を招くという問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、出力バッファを必要とせずに多相クロックの位相状態の検出を可能にする半導体集積回路を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、分配された多相クロックに同期して動作する論理演算回路と、同一周期を有し互いに異なる位相を有する複数のクロック信号からなる多相クロックを生成するクロック生成器と、当該生成された多相クロックを前記論理演算回路に分配する中継回路と、当該分配された多相クロックの位相状態を検出し、当該検出された位相状態に基づいて当該分配された多相クロックの位相誤差を表す電圧値を持つアナログ電圧信号を生成する信号生成部と、前記アナログ電圧信号を外部へ出力する出力ポートと、を有する第1の半導体集積回路が提供される。前記論理演算回路、前記クロック生成器、前記中継回路および前記信号生成部は集積化されている。
【0008】
また、本発明によれば、分配された多相クロックに同期して動作する論理演算回路と、同一周期を有し互いに異なる位相を有する複数のクロック信号からなる多相クロックを生成するクロック生成器と、当該生成された多相クロックを前記論理演算回路に分配するとともに、入力された制御信号に応じて前記多相クロックの位相を調整する中継回路と、当該分配された多相クロックの位相状態を検出し、当該検出された位相状態に基づいて当該分配された多相クロックの位相の誤差を表す電圧値を持つアナログ電圧信号を生成する信号生成部と、前記アナログ電圧信号に応答して前記位相誤差を低減するように前記制御信号を生成する遅延制御部と、を有する第2の半導体集積回路が提供される。前記論理演算回路、前記クロック生成器、前記中継回路、前記信号生成部および前記遅延制御部は集積化されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明による第1の半導体集積回路は、多相クロックの位相誤差を電圧値に変換し、当該電圧値を持つアナログ電圧信号を出力ポートを介して外部測定機器に供給することができる。それ故、高周波数の多相クロックの位相状態を検出するために高速動作し得る出力バッファを集積回路に組み込む必要がない。したがって、この第1の半導体集積回路により、出力バッファを使用せずに高周波数の多相クロックの位相状態を検出することが可能となる。
【0010】
また、本発明による第2の半導体集積回路は、多相クロックの位相誤差を電圧値に変換し、当該電圧値を持つアナログ電圧信号に基づいて多相クロックの位相を調整し得る。それ故、第2の半導体集積回路は、比較的簡易な構成で、多相クロックの位相を適正に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る種々の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、全ての図面において、同一機能を有する構成要素には同一符号が付されており、その詳細な説明は重複しないように適宜省略する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る第1の実施形態の集積回路1Aの概略構成を示すブロック図である。この集積回路1Aは、クロック生成器10、中継回路11、論理演算回路12および信号生成部13を有する。信号生成部13は、位相差検出回路14と積分回路15とを有している。これらクロック生成器10、中継回路11、論理演算回路12および信号生成部13は半導体基板上に集積されている。
【0013】
クロック生成器10は、PLL回路を内蔵し、このPLL回路を用いて4相クロックMP0を生成する機能を有する。4相クロックMP0は、同一周期(1クロック周期)を有し互いに異なる位相を有するクロック信号群からなる。すなわち、4相クロックMP0は、第0相クロック信号IN1、第1相クロック信号IN2、第2相クロック信号IN1Bおよび第3相クロック信号IN2Bからなる。
【0014】
中継回路11は、クロック生成器10で生成された多相クロックMP0を中継して論理演算回路12に分配する回路である。中継回路11から出力された多相クロックMP1は、第0相クロック信号OUT1、第1相クロック信号OUT2、第2相クロック信号OUT1Bおよび第3相クロック信号OUT2Bからなる。中継回路11に入力されるクロック信号IN1,IN1B,IN2,IN2Bはいずれも同一周期を有するが、多相クロックMP0のうち隣接する相のクロック信号間の位相差は必ずしも一定であるとは限らない。なぜなら、多相クロックMP0が伝搬される際に、集積回路内の配線幅や厚みのバラツキ、あるいは温度などの周辺環境に起因して、隣接する2相のクロック信号間の位相差が2π/4からずれることがあり得るからである。
【0015】
図2は、中継回路11の回路構成の一例を示す図である。中継回路11は、図2に示されるように、入出力バッファ回路110とレベル変換回路111とで構成されている。入出力バッファ回路110は、入力される多相クロックMP0の振幅が変動した場合でも、出力レベルが略一定となるようにバッファ動作(バッファリング)を行う回路である。入出力バッファ回路110は、差動型バッファ回路B1,B2とで構成されており、これら差動型バッファ回路B1,B2は、CML(Current Mode Logic)バッファやECL(Emitter Coupled Logic)バッファなどの電流モードロジック回路である。一方の差動型バッファ回路B1は、第0相クロック信号IN1と、当該第0相クロック信号IN1の論理レベルが反転した論理レベルを持つ第2相クロック信号IN1Bとを受信する。差動型バッファ回路B1は、当該受信された第0相クロック信号IN1と第2相クロック信号IN1Bとをバッファリングした後に、それぞれ第0相クロック信号OUT1と第2相クロック信号OUT1Bとして出力する。他方の差動型バッファ回路B2は、第1相クロック信号IN2と、当該第1相クロック信号IN2の論理レベルが反転した論理レベルを持つ第2相クロック信号IN2Bとを受信する。バッファ回路B2は、当該受信された第1相クロック信号IN2と第3相クロック信号IN2Bとをバッファリングした後に、それぞれ第1相クロック信号OUT2と第3相クロック信号OUT2Bとして出力する。
【0016】
図2のレベル変換回路111は、入出力バッファ回路110から出力された多相クロックの論理レベルに適合した電圧振幅レベルを、論理演算回路(たとえば、CMOSロジック回路)12の論理レベルに適合した電圧振幅レベル(たとえば、CMOSレベル)に変換する機能を有する。このレベル変換回路111において、レベル変換器B12,B13の各々は、バッファ回路B1の出力レベルを変換し、レベル変換器B22,B23の各々は、バッファ回路B2の出力レベルを変換する。結果として、レベル変換器B12,B13,B22,B23は、それぞれ、第0相クロック信号OUT1,第2相クロック信号OUT1B,第1相クロック信号OUT2,第3相クロック信号OUT2Bを出力する。
【0017】
信号生成部13は、4相クロックMP1の位相状態を検出し、当該検出された位相状態に基づいて4相クロックMP1の位相誤差を表す電圧値を持つアナログ電圧信号LV0,LV1を生成する。具体的には、信号生成部13は、位相差検出回路14と積分回路15とを含む。位相差検出回路14は、4相クロックMP1を構成する少なくとも一組のクロック信号間の位相差を検出し、当該検出された位相差に対応するパルス幅を持つ位相差信号を生成する機能を有する。本実施形態では、位相差検出回路14は、4相クロックMP1のうちの1組のクロック信号OUT1,OUT2について位相差信号PAを生成している。また、位相差検出回路14は、4相クロックMP1のうちの1組のクロック信号OUT1B,OUT2Bについて反転位相差信号PBを生成している。すなわち、位相差信号PAは、第0相クロック信号OUT1と第1相クロック信号OUT2との間の位相差に対応するパルス幅を持つ信号である。また、反転位相差信号PBは、第2相クロック信号OUT1Bと第3相クロック信号OUT2Bとの間の位相差に対応するパルス幅を持つパルス信号の論理レベルを反転して得られる信号である。
【0018】
積分回路15は、位相差信号PAと反転位相差信号PBを積分してそれぞれのパルス幅に対応する電圧値を持つ信号をアナログ電圧信号LV0,LV1として生成する。生成されたアナログ電圧信号LV0,LV1は、それぞれ、出力ポート20,21を介して外部の測定機器2に出力される。測定機器2は、出力ポート20,21から受信されたアナログ電圧信号LV0,LV1のパルス波形を表示する機能を有し、また、これらパルス波形を解析しその解析結果を表示する機能を有している。ユーザは、そのパルス波形や解析結果に基づいて多相クロックMP1の位相状態を検出することが可能である。
【0019】
上記第1の実施形態の集積回路1Aが奏する効果は以下の通りである。上記の通り、集積回路1Aは、論理演算回路12に分配される多相クロックMP1を構成する少なくとも一組のクロック信号OUT1,OUT2間の位相差を検出し、当該検出された位相差に対応するパルス幅を持つ位相差信号PAを生成する。集積回路1Aは、この位相差信号PAを積分してアナログ電圧信号LV0を生成する。測定機器2は、アナログ電圧信号LV0に基づいて多相クロックMP1の位相状態を検出することができる。それ故、高周波数の多相クロックMP1の位相状態を検査するために高速動作し得る出力バッファを集積回路1Aに組み込む必要がない。したがって、この集積回路1Aにより、出力バッファを使用せずに高周波数の多相クロックの位相状態を検出することが可能となる。
【0020】
また、集積回路1Aは、4相クロックMP1のうちの1組のクロック信号OUT1B,OUT2Bについて反転位相差信号PBを生成し、この反転位相差信号PBを積分してアナログ電圧信号LV1を生成する。アナログ電圧信号LV0,LV1を使用すれば、測定機器2は、高周波数の多相クロックの位相状態をより高精度に検出することが可能となる。
【0021】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。図3は、第2の実施形態の集積回路1Bの概略構成を示すブロック図である。集積回路1Bは、クロック生成器10、中継回路11B、論理演算回路12、信号生成部13、出力ポート20,21および入力ポート30を有する。中継回路11Bと入力ポート30の構成を除いて、集積回路1Bの構成は、上記第1の実施形態の集積回路1Aの構成(図1)と同じである。
【0022】
第2の実施形態では、集積回路1Bの中継回路11Bは、図1の中継回路11と同様にクロック生成器10で生成された多相クロックMP0を中継して論理演算回路12に分配する機能を有し、更に可変遅延素子16を有している。この可変遅延素子16は、内部フィードバック制御信号FCiに応じて、入力クロック信号IN1,IN1B,IN2,IN2Bのうちの少なくとも1つのクロック信号を遅延させて、出力クロック信号OUT1,OUT1B,OUT2,OUT2Bの位相を調整し得るものである。
【0023】
本実施形態では、測定機器2は、アナログ電圧信号LV0,LV1に応答するフィードバック制御系として機能する。すなわち、測定機器2は、多相クロックMP0の位相誤差を低減するように、入力クロック信号IN1,IN1B,IN2,IN2Bのうちの少なくとも1つについて遅延時間を制御するためのフィードバック制御信号FCを生成し、この信号FCを入力ポート30に供給する。入力ポート30は、測定機器2から受信したフィードバック制御信号FCを内部フィードバック制御信号FCiとして可変遅延素子16に供給する。
【0024】
図4は、集積回路1Bの第1の回路構成を示す図である。図4の回路構成では、中継回路11Bは、入出力バッファ回路110Bとレベル変換回路111とにより構成される。図4のレベル変換回路111は、図2のレベル変換回路111と同一機能を有する。
【0025】
入出力バッファ回路110Bは、クロック信号IN1,IN1B,IN2,IN2Bに対するバッファリング機能を有している。この入出力バッファ回路110Bは、4個の差動型バッファ回路B10,B11,B20,B21で構成されている。これら差動型バッファ回路B10,B11,B20,B21は、CML(Current Mode Logic)バッファやECL(Emitter Coupled Logic)バッファなどの電流モードロジック回路である。
【0026】
また、差動型バッファ回路B10,B11,B20,B21は、内部フィードバック制御信号FCiに応じて、クロック信号IN1,IN1B,IN2,IN2Bを遅延させる可変遅延機能を有している。よって、図3の可変遅延素子16は、差動型バッファ回路B10,B11,B20,B21によって構成される。
【0027】
差動型バッファ回路B10は、第0相クロック信号IN1と、当該第0相クロック信号IN1の論理レベルが反転した論理レベルを持つ第2相クロック信号IN1Bとを受信し、当該受信されたクロック信号IN1,IN1Bをバッファリングした後に後段の差動型バッファ回路B11に出力する。差動型バッファ回路B11は、前段のバッファ回路B10の出力をバッファリングした後にレベル変換回路111に出力する。他方、差動型バッファ回路B20は、第1相クロック信号IN2と、当該第1相クロック信号IN2の論理レベルが反転した論理レベルを持つ第3相クロック信号IN2Bとを受信し、当該受信されたクロック信号IN2,IN2Bをバッファリングした後に後段の差動型バッファ回路B21に出力する。差動型バッファ回路B21は、前段のバッファ回路B20の出力をバッファリングした後にレベル変換回路111に出力する。
【0028】
図4に示されるように、位相差検出回路14は、2個のXORゲート(排他的論理和演算回路)B24,B25を含む。一方のXORゲートB24は、第1の組を構成する第0相と第1相のクロック信号OUT1,OUT2に排他的論理和演算を施して、クロック信号OUT1,OUT2間の位相差に対応するパルス幅を持つ位相差信号PAを生成する。他方のXORゲートB25は、第2の組を構成する第2相と第3相のクロック信号OUT1B,OUT2Bに排他的論理和演算を施し、更にその演算結果の論理レベルを反転して反転位相差信号PBを生成する。この反転位相差信号PBは、クロック信号OUT1B,OUT2B間の位相差に対応するパルス幅を持つパルス信号の論理レベルを反転して得られる信号である。
【0029】
図4に示されるように、積分回路15は、反転回路(インバータ回路)B26、非反転回路B27、pチャネル型トランジスタ(第1のスイッチング・トランジスタ)Tp1、nチャネル型トランジスタ(第2のスイッチング・トランジスタ)Tn1およびキャパシタCAを有しており、これら構成要素B26,B27,Tp1,Tn1,CAは、第1のRCフィルタ回路を構成する。
【0030】
第1のRCフィルタ回路においては、pチャネル型トランジスタTp1とnチャネル型トランジスタTn1とは直列接続されており、pチャネル型トランジスタTp1のソース電極は、電源電圧Vddを供給する電源電圧端子に接続され、nチャネル型トランジスタTn1のソース電極は接地電圧端子(gnd端子)に接続されている。キャパシタCAの一端は、pチャネル型トランジスタTp1のドレイン電極に接続され、かつ、電圧出力端子に接続されている。また、キャパシタCAの他端は接地されている。反転回路B26は、位相差信号PAの論理レベルを反転して反転信号を生成し、この反転信号をpチャネル型トランジスタTp1のゲート電極に印加する。そして、非反転回路B27は、反転位相差信号PBをnチャネル型トランジスタTn1のゲート電極に印加する。
【0031】
このような第1のRCフィルタ回路では、pチャネル型トランジスタTp1とnチャネル型トランジスタTn1は、それぞれ、位相差信号PAと反転位相差信号PBに応じてスイッチング動作する。pチャネル型トランジスタTp1は、位相差信号PAの論理レベルが「H(High)」のときにのみ、オン状態となり、電源電圧端子をキャパシタCAの一端に接続してキャパシタCAを充電させる。位相差信号PAの論理レベルが「L(Low)」のときには、pチャネル型トランジスタTp1はオフ状態となる。位相差信号PAの論理レベルが「L」のとき、反転位相差信号PBの論理レベルは「H」になるので、nチャネル型トランジスタTn1はオン状態になる。このとき、nチャネル型トランジスタTn1は、キャパシタCAの一端を接地電圧端子に接続してキャパシタCAを放電させる。このように第1のRCフィルタ回路では、反転位相差信号PBは、位相差信号PAの論理レベルが反転した論理レベルを持つ信号として使用することができる。
【0032】
また、図4に示されるように、積分回路15は、反転回路(インバータ)B28、非反転回路B29、pチャネル型トランジスタ(第3のスイッチング・トランジスタ)Tp2、nチャネル型トランジスタ(第4のスイッチング・トランジスタ)Tn2およびキャパシタCBを有しており、これら構成要素B28,B29,Tp2,Tn2,CBは、第2のRCフィルタ回路を構成する。
【0033】
第2のRCフィルタ回路においては、pチャネル型トランジスタTp2とnチャネル型トランジスタTn2とは直列接続されており、pチャネル型トランジスタTp2のソース電極は、電源電圧Vddを与える電源電圧端子に接続され、nチャネル型トランジスタTn1のソース電極は接地電圧端子(gnd端子)に接続されている。キャパシタCBの一端は、pチャネル型トランジスタTp2のドレイン電極に接続され、かつ、電圧出力端子に接続されている。また、キャパシタCBの他端は接地されている。反転回路B28は、反転位相差信号PBの論理レベルを反転して反転信号を生成し、この反転信号をpチャネル型トランジスタTp2のゲート電極に印加する。そして、非反転回路B29は、位相差信号PAをnチャネル型トランジスタTn2のゲート電極に印加する。
【0034】
このような第2のRCフィルタ回路では、pチャネル型トランジスタTp2とnチャネル型トランジスタTn2は、それぞれ、反転位相差信号PBと位相差信号PAに応じてスイッチング動作する。pチャネル型トランジスタTp2は、反転位相差信号PBの論理レベルが「H」のときにのみ、オン状態となり、電源電圧端子をキャパシタCBの一端に接続してキャパシタCBを充電させる。反転位相差信号PBの論理レベルが「L」のときには、pチャネル型トランジスタTp2はオフ状態となる。反転位相差信号PBの論理レベルが「L」のとき、位相差信号PAの論理レベルは「H」になるので、nチャネル型トランジスタTn2はオン状態になる。このとき、nチャネル型トランジスタTn2は、キャパシタCBの一端を接地電圧端子に接続してキャパシタCBを放電させる。このように第2のRCフィルタ回路では、位相差信号PAは、反転位相差信号PBの論理レベルが反転した論理レベルを持つ信号として使用することができる。
【0035】
図5は、図4に示した第1の回路構成における各種信号波形の一例を概略的に示すタイミングチャートである。図5(A)〜(D)に示される4相クロックMP0が発生した場合、この4相クロックMP0では、クロック信号IN1,IN1Bとクロック信号IN2,IN2Bとの間に、時間δt(=−(Δt1−Δt2)/2)に相当する位相誤差が存在する(Δt1>Δt2)。図5(E)〜(H)は、中継回路11から出力された4相クロックMP1の信号波形を示すタイミングチャートである。
【0036】
このとき、図4の位相差検出回路14は、クロック信号OUT1の立ち上がりエッジとクロック信号OUT2の立ち上がりエッジとの間の位相差に対応するパルス幅(=Δt1)を持つ位相差信号PA(図5(M))を生成する。また、位相差検出回路14は、クロック信号OUT2Bの立ち下がりエッジとクロック信号OUT1Bの立ち上がりエッジとの間の位相差に対応するパルス幅(=Δt2)を持つ反転位相差信号PBを生成する(図5(N))。
【0037】
図4の積分回路15は、位相差信号PAを積分してアナログ電圧信号LV0を生成すると同時に、反転位相差信号PBを積分してアナログ電圧信号LV1を生成する。図5(P)は、時間tに対するアナログ電圧信号LV0,LV1の電圧レベルLVの変化を示すタイミングチャートである。図5(P)に示されるように、アナログ電圧信号LV0,LV1の電圧レベルは略一定であり、アナログ電圧信号LV0の電圧レベルは、アナログ電圧信号LV1のそれよりも大きい。それ故、これらアナログ電圧信号LV0,LV1間の電圧レベル差に基づいて、クロック信号IN1,IN1Bとクロック信号IN2,IN2Bとの間の位相誤差を検出することが可能となる。
【0038】
逆に、クロック信号IN1,IN1Bとクロック信号IN2,IN2Bとの間に、Δt1<Δt2の関係を示す位相誤差が存在する場合は、アナログ電圧信号LV0の電圧レベルは、アナログ電圧信号LV1のそれよりも小さくなる。
【0039】
図3に示した測定機器2は、アナログ電圧信号LV0,LV1間の電圧レベル差を低減するように、入力クロック信号IN1,IN1B,IN2,IN2Bに対する遅延時間を制御するためのフィードバック制御信号FCを生成することができる。図6(A)〜(H)は、位相調整された多相クロックMP0,MP1の信号波形を示すタイミングチャートである。このとき、図6(M),(N)に示されるように、位相差信号PAのパルス幅と反転位相差信号PBのパルス幅とは略同一になる。また、図6(P)に示されるように、アナログ電圧信号LV0,LV1の電圧レベルは、略同じである。それ故、これらアナログ電圧信号LV0,LV1間の電圧レベル差に基づいて、クロック信号IN1,IN1Bとクロック信号IN2,IN2Bとの間の位相誤差が許容範囲内に収まったか否かを判定することが可能である。
【0040】
次に、集積回路1Bの第2の回路構成について説明する。図7は、この第2の回路構成を示す図である。第2の回路構成は、位相差検出回路14を除いて、図4に示した第1の回路構成と同じである。
【0041】
この第2の回路構成では、位相差検出回路14は、インバータB30,B31,B32,B33、ANDゲート(論理積演算回路)B34,B35,B36,B37およびORゲート(論理和演算回路)B38,B39からなる。
【0042】
図7に示されるように、インバータB30,B31,B32,B33は、それぞれ、第1相クロック信号OUT2,第2相クロック信号OUT1B,第3相クロック信号OUT2Bおよび第0相クロック信号OUT1の論理レベルを反転する。
【0043】
ANDゲートB34は、第0相クロック信号OUT1とインバータB30の出力とに論理積演算を施してその演算結果である位相差信号A1を生成する。この位相差信号A1は、第0相クロック信号OUT1の立ち上がりエッジから第1相クロック信号OUT2の立ち上がりエッジまでの位相差を表している。ANDゲートB35は、第1相クロック信号OUT2とインバータB31の出力とに論理積演算を施してその演算結果である位相差信号B1を生成する。この位相差信号B1は、第1相クロック信号OUT2の立ち上がりエッジから第2相クロック信号OUT1Bの立ち上がりエッジまでの位相差を表している。ANDゲートB36は、第2相クロック信号OUT1BとインバータB32の出力とに論理積演算を施してその演算結果である位相差信号A2を生成する。この位相差信号A2は、第2相クロック信号OUT1Bの立ち上がりエッジから第3相クロック信号OUT2Bの立ち上がりエッジまでの位相差を表している。そして、ANDゲートB37は、第3相クロック信号OUT2BとインバータB33の出力とに論理積演算を施してその演算結果である位相差信号B2を生成する。この位相差信号B2は、第3相クロック信号OUT2Bの立ち上がりエッジから第0相クロック信号OUT1の立ち上がりエッジまでの位相差を表している。
【0044】
図7のORゲートB38は、位相差信号A1,A2に論理和演算を施して位相差信号PAを生成する。また、ORゲートB39は、位相差信号B1,B2に論理和演算を施して反転位相差信号PBを生成する。
【0045】
図8は、第2の回路構成における各種信号波形の一例を示すタイミングチャートである。図8(A)〜(H)は、Δt1>Δt2の関係を示す位相誤差が発生した場合の多相クロックMP0,MP1の信号波形を示している。図8(I)〜(L)には、図7の位相差検出回路14で生成される信号A1,B1,A2,B2の波形が示されている。図8(M),(N)に示されるように、位相差信号PAおよび反転位相差信号PBは、図5(M),(N)に示したものと同様の信号波形を呈する。よって、図8(P)に示すアナログ電圧信号LV0,LV1の信号波形も、図5(P)に示した信号波形と同様である。図9(A)〜(H)は、第2の回路構成を用いて位相調整された多相クロックMP0,MP1の信号波形を示すタイミングチャートである。図9(I)〜(L)には、位相調整後の信号A1,B1,A2,B2の波形が示されている。図6(M),(N)と同様に、図9(M),(N)に示す位相差信号PAと反転位相差信号PBは、略同一のパルス幅を持つ。また図9(P)に示されるように、アナログ電圧信号LV0,LV1の電圧レベルは、略同じである。
【0046】
上述の通り、図7の位相差検出回路14は、第0相クロック信号OUT1と第1相クロック信号OUT2間の位相差、第1相クロック信号OUT2と第2相クロック信号OUT1B間の位相差、第2相クロック信号OUT1Bと第3相クロック信号OUT2B間の位相差、第3相クロック信号OUT2Bと第0相クロック信号OUT1間の位相差をそれぞれ検出し、当該検出された4つの位相差に基づいて位相差信号PAと反転位相差信号PBを生成する。したがって、第2の回路構成は、上記第1の回路構成よりも複雑ではあるが、多相クロックMP1の位相状態をより正確に検出することが可能である。
【0047】
図10は、図4および図7に示した可変遅延機能を有する入出力バッファ回路110Bのより具体的な構成の一部を例示する図である。図10には、バッファ回路B10,B11の構成が示されている。図4および図7のバッファ回路B20,B21の構成も、図10の構成と同じである。
【0048】
図10に示されているように、前段のバッファ回路B10は、クロック・バッファCLKBUF0、pチャネル型トランジスタTpa,Tpb,Tpc,Tpdおよびキャパシタ(容量負荷)Ca,Cb,Cc,Cdを含む。クロック・バッファCLKBUF0は、クロック信号IN1,IN1Bを受信しバッファリングした後に、後段のバッファ回路B11のクロック・バッファCLKBUF1に出力する。キャパシタCa,Cb,Cc,Cdの一端は接地されている。pチャネル型トランジスタTpaは、インバータINV0の出力に応じてスイッチング動作し、オン状態のときにのみ、クロック・バッファCLKBUF0の第1出力端子をキャパシタCaの他端に接続する。pチャネル型トランジスタTpbは、インバータINV0の出力に応じてスイッチング動作し、オン状態のときにのみ、クロック・バッファCLKBUF0の第2出力端子をキャパシタCbの他端に接続する。pチャネル型トランジスタTpcは、インバータINV1の出力に応じてスイッチング動作し、オン状態のときにのみ、クロック・バッファCLKBUF0の第1出力端子をキャパシタCcの他端に接続する。そして、pチャネル型トランジスタTpdは、インバータINV1の出力に応じてスイッチング動作し、オン状態のときにのみ、クロック・バッファCLKBUF0の第2出力端子をキャパシタCdの他端に接続する。
【0049】
後段のバッファ回路B11は、クロック・バッファCLKBUF1、pチャネル型トランジスタTpe,Tpf,Tpg,Tphおよびキャパシタ(容量負荷)Ce,Cf,Cg,Chを含む。クロック・バッファCLKBUF1は、クロック信号IN1,IN1Bを受信しバッファリングしてクロック信号OUT1,OUT1Bを出力する。キャパシタCe,Cf,Cg,Chの一端は接地されている。pチャネル型トランジスタTpeは、インバータINV2の出力に応じてスイッチング動作し、オン状態のときにのみ、クロック・バッファCLKBUF1の第1出力端子をキャパシタCeの他端に接続する。pチャネル型トランジスタTpfは、インバータINV2の出力に応じてスイッチング動作し、オン状態のときにのみ、クロック・バッファCLKBUF1の第2出力端子をキャパシタCfの他端に接続する。pチャネル型トランジスタTpgは、インバータINV3の出力に応じてスイッチング動作し、オン状態のときにのみ、クロック・バッファCLKBUF1の第1出力端子をキャパシタCgの他端に接続する。そして、pチャネル型トランジスタTphは、インバータINV3の出力に応じてスイッチング動作し、オン状態のときにのみ、クロック・バッファCLKBUF1の第2出力端子をキャパシタChの他端に接続する。
【0050】
インバータINV0,INV1は、それぞれ、第1制御信号S00と第2制御信号S01の論理レベルを反転する。インバータINV2,INV3は、それぞれ、第3制御信号S10と第4制御信号S11の論理レベルを反転する。これら第1,第2,第3および第4制御信号S00,S01,S10,S11は、フィードバック制御信号FCiを構成するものである。第1,第2,第3および第4制御信号S00,S01,S10,S11により、キャパシタCa,Cb,Cc,Cd,Ce,Cf,Cg,Chの充放電のタイミングを制御してクロック信号IN1,IN1Bの各々を所望の遅延時間だけ遅延させることが可能となる。
【0051】
上記第2の実施形態の集積回路1Bが奏する効果は以下の通りである。集積回路1Bは、上記第1の実施形態の集積回路1Aと同様に、位相差信号PAを生成し、この位相差信号PAを積分してアナログ電圧信号LV0を生成する。測定機器2は、アナログ電圧信号LV0に基づいて多相クロックMP1の位相状態を検出することができるので、高周波数の多相クロックMP1の位相状態を検査するために高速動作し得る出力バッファを集積回路1Bに組み込まなくとも、高周波数の多相クロックの位相状態を検出することが可能となる。また、集積回路1Bは、反転位相差信号PBを生成し、この反転位相差信号PBを積分してアナログ電圧信号LV1を生成するので、測定機器2は、位相差信号PAと反転位相差信号PBとに基づいて高周波数の多相クロックの位相状態をより高精度に検出することが可能となる。
【0052】
更に、集積回路1Bは、中継回路11Bの可変遅延素子16と入力ポート30とを有するので、外部の測定機器2からフィードバック制御信号FCを供給することにより多相クロックMP1の位相を調整し、その調整結果を容易に確認することが可能となる。
【0053】
なお、図4および図7に示した信号生成部13の第1および第2の回路構成は、第1の実施形態の信号生成部13(図1および図2)の回路構成に適用することができる。
【0054】
(第3の実施形態)
次に、本発明に係る第3の実施形態について説明する。図11は、本発明に係る第3の実施形態の集積回路1Cの概略構成を示すブロック図である。集積回路1Cは、遅延制御部17を有する点とアナログ電圧信号LV0,LV1の出力ポートを持たない点とを除いて、上記第2の実施形態の集積回路1Bと同一構成を有している。
【0055】
遅延制御部17は、アナログ電圧信号LV0,LV1に応答するフィードバック制御系として機能する。すなわち、遅延制御部17は、多相クロックMP0の位相誤差を低減するように、入力クロック信号IN1,IN1B,IN2,IN2Bのうちの少なくとも1つについて遅延時間を制御するためのフィードバック制御信号FCiを生成し、この信号FCiを可変遅延素子16に供給する。
【0056】
第3の実施形態の集積回路1Cは、比較的簡易な構成で多相クロックMP0の位相を調整することができる。
【0057】
なお、第3の実施形態の集積回路1Cは、アナログ電圧信号LV0,LV1を外部に出力する出力ポートを持たないが、これに限定されるものではない。上記第2の実施形態と同様に集積回路1Cがアナログ電圧信号LV0,LV1を外部に出力する出力ポートを有していてもよい。
【0058】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。たとえば、上記実施形態では、多相クロックとして4相クロックが生成されたが、この代わりに、クロック生成器10が2の倍数相の多相クロックを生成し、この多相クロックに適合するように上記実施形態の構成を適宜変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の集積回路の概略構成を示すブロック図である。
【図2】中継回路の回路構成の一例を示す図である。
【図3】本発明に係る第2の実施形態の集積回路の概略構成を示すブロック図である。
【図4】第2の実施形態の集積回路の第1の回路構成を示す図である。
【図5】図4に示した第1の回路構成における各種信号波形の一例を概略的に示すタイミングチャートである。
【図6】図4に示した第1の回路構成における各種信号波形の他の例を概略的に示すタイミングチャートである。
【図7】第2の実施形態の集積回路の第2の回路構成を示す図である。
【図8】図7に示した第2の回路構成における各種信号波形の一例を概略的に示すタイミングチャートである。
【図9】図7に示した第2の回路構成における各種信号波形の一例を概略的に示すタイミングチャートである。
【図10】図4および図7に示した可変遅延機能を有する入出力バッファ回路のより具体的な構成の一部を例示する図である。
【図11】本発明に係る第3の実施形態の集積回路の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0060】
1A,1B,1C 集積回路
2 測定機器
10 クロック生成器
11,11B 中継回路
110,110B 入出力バッファ回路
12 論理演算回路
13 信号生成部
14 位相差検出回路
15 積分回路
16 可変遅延素子
17 遅延制御部
20,21 出力ポート
30 入力ポート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分配された多相クロックに同期して動作する論理演算回路と、
同一周期を有し互いに異なる位相を有する複数のクロック信号からなる多相クロックを生成するクロック生成器と、
当該生成された多相クロックを前記論理演算回路に分配する中継回路と、
当該分配された多相クロックの位相状態を検出し、当該検出された位相状態に基づいて当該分配された多相クロックの位相誤差を表す電圧値を持つアナログ電圧信号を生成する信号生成部と、
前記アナログ電圧信号を外部へ出力する出力ポートと、
を有し、
前記論理演算回路、前記クロック生成器、前記中継回路および前記信号生成部は集積化されている、半導体集積回路。
【請求項2】
請求項1記載の半導体集積回路であって、前記アナログ電圧信号に応答した外部のフィードバック制御系により供給された制御信号が入力される入力ポートを更に備え、
前記中継回路は、当該入力された制御信号に応じて、前記位相誤差を低減するように前記多相クロックの位相を調整する可変遅延素子を含む、半導体集積回路。
【請求項3】
請求項2記載の半導体集積回路であって、前記可変遅延素子は、前記多相クロックのうちの少なくとも1つのクロック信号を前記制御信号に応じた遅延時間だけ遅延させて前記多相クロックの位相を調整する、半導体集積回路。
【請求項4】
請求項2または3記載の半導体集積回路であって、前記中継回路は、前記クロック生成器から入力された多相クロックを中継するバッファ回路を有する、半導体集積回路。
【請求項5】
請求項4記載の半導体集積回路であって、前記中継回路は、前記バッファ回路から出力された多相クロックの論理レベルに適合した電圧振幅レベルを、前記論理演算回路の論理レベルに適合した電圧振幅レベルに変換するレベル変換器を更に備え、
前記バッファ回路は、電流モードロジック回路であり、前記論理演算回路は、CMOSロジック回路である、半導体集積回路。
【請求項6】
請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の半導体集積回路であって、
前記信号生成部は、
前記多相クロックを構成するクロック信号間の位相差を検出し、当該検出された位相差に対応するパルス幅を持つ位相差信号を生成する位相差検出回路と、
前記位相差信号を積分して前記位相差に対応する電圧値を持つ信号を前記アナログ電圧信号として生成する積分回路と、
からなる、半導体集積回路。
【請求項7】
請求項6記載の半導体集積回路であって、前記積分回路は、前記位相差信号に応じて動作する第1のRCフィルタ回路を含む、半導体集積回路。
【請求項8】
請求項7記載の半導体集積回路であって、
前記第1のRCフィルタ回路は、
前記位相差信号に応じてスイッチング動作する第1のスイッチング・トランジスタと、
前記第1のスイッチング・トランジスタと電圧出力端子とに接続された一端を有する第1のキャパシタと、
を含み、
前記第1のスイッチング・トランジスタは、オン状態のときに、前記第1のキャパシタの当該一端を電源電圧端子に接続する、半導体集積回路。
【請求項9】
請求項7または8記載の半導体集積回路であって、
前記第1のRCフィルタ回路は、前記位相差信号の論理レベルが反転した論理レベルを有する反転位相差信号に応じてスイッチング動作する第2のスイッチング・トランジスタを更に含み、
前記第2のスイッチング・トランジスタは、オン状態のときに、前記第1のキャパシタの当該一端を接地電圧端子に接続する、半導体集積回路。
【請求項10】
請求項7から9のうちのいずれか1項に記載の半導体集積回路であって、前記積分回路は、前記位相差信号の論理レベルが反転した論理レベルを有する反転位相差信号に応じて動作する第2のRCフィルタ回路を含む、半導体集積回路。
【請求項11】
請求項10記載の半導体集積回路であって、
前記第2のRCフィルタ回路は、
前記反転位相差信号に応じてスイッチング動作する第3のスイッチング・トランジスタと、
前記第3のスイッチング・トランジスタと電圧出力端子とに接続された一端を有する第2のキャパシタと、
を含み、
前記第3のスイッチング・トランジスタは、オン状態のときに、前記第2のキャパシタの当該一端を電源電圧端子に接続する、半導体集積回路。
【請求項12】
請求項10または11記載の半導体集積回路であって、
前記第2のRCフィルタ回路は、前記位相差信号に応じてスイッチング動作する第4のスイッチング・トランジスタを更に含み、
前記第4のスイッチング・トランジスタは、オン状態のときに、前記第2のキャパシタの当該一端を接地電圧端子に接続する、半導体集積回路。
【請求項13】
分配された多相クロックに同期して動作する論理演算回路と、
同一周期を有し互いに異なる位相を有する複数のクロック信号からなる多相クロックを生成するクロック生成器と、
当該生成された多相クロックを前記論理演算回路に分配するとともに、入力された制御信号に応じて前記多相クロックの位相を調整する中継回路と、
当該分配された多相クロックの位相状態を検出し、当該検出された位相状態に基づいて当該分配された多相クロックの位相誤差を表す電圧値を持つアナログ電圧信号を生成する信号生成部と、
前記アナログ電圧信号に応答して前記位相誤差を低減するように前記制御信号を生成する遅延制御部と、
を有し、
前記論理演算回路、前記クロック生成器、前記中継回路、前記信号生成部および前記遅延制御部は集積化されている、半導体集積回路。
【請求項1】
分配された多相クロックに同期して動作する論理演算回路と、
同一周期を有し互いに異なる位相を有する複数のクロック信号からなる多相クロックを生成するクロック生成器と、
当該生成された多相クロックを前記論理演算回路に分配する中継回路と、
当該分配された多相クロックの位相状態を検出し、当該検出された位相状態に基づいて当該分配された多相クロックの位相誤差を表す電圧値を持つアナログ電圧信号を生成する信号生成部と、
前記アナログ電圧信号を外部へ出力する出力ポートと、
を有し、
前記論理演算回路、前記クロック生成器、前記中継回路および前記信号生成部は集積化されている、半導体集積回路。
【請求項2】
請求項1記載の半導体集積回路であって、前記アナログ電圧信号に応答した外部のフィードバック制御系により供給された制御信号が入力される入力ポートを更に備え、
前記中継回路は、当該入力された制御信号に応じて、前記位相誤差を低減するように前記多相クロックの位相を調整する可変遅延素子を含む、半導体集積回路。
【請求項3】
請求項2記載の半導体集積回路であって、前記可変遅延素子は、前記多相クロックのうちの少なくとも1つのクロック信号を前記制御信号に応じた遅延時間だけ遅延させて前記多相クロックの位相を調整する、半導体集積回路。
【請求項4】
請求項2または3記載の半導体集積回路であって、前記中継回路は、前記クロック生成器から入力された多相クロックを中継するバッファ回路を有する、半導体集積回路。
【請求項5】
請求項4記載の半導体集積回路であって、前記中継回路は、前記バッファ回路から出力された多相クロックの論理レベルに適合した電圧振幅レベルを、前記論理演算回路の論理レベルに適合した電圧振幅レベルに変換するレベル変換器を更に備え、
前記バッファ回路は、電流モードロジック回路であり、前記論理演算回路は、CMOSロジック回路である、半導体集積回路。
【請求項6】
請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の半導体集積回路であって、
前記信号生成部は、
前記多相クロックを構成するクロック信号間の位相差を検出し、当該検出された位相差に対応するパルス幅を持つ位相差信号を生成する位相差検出回路と、
前記位相差信号を積分して前記位相差に対応する電圧値を持つ信号を前記アナログ電圧信号として生成する積分回路と、
からなる、半導体集積回路。
【請求項7】
請求項6記載の半導体集積回路であって、前記積分回路は、前記位相差信号に応じて動作する第1のRCフィルタ回路を含む、半導体集積回路。
【請求項8】
請求項7記載の半導体集積回路であって、
前記第1のRCフィルタ回路は、
前記位相差信号に応じてスイッチング動作する第1のスイッチング・トランジスタと、
前記第1のスイッチング・トランジスタと電圧出力端子とに接続された一端を有する第1のキャパシタと、
を含み、
前記第1のスイッチング・トランジスタは、オン状態のときに、前記第1のキャパシタの当該一端を電源電圧端子に接続する、半導体集積回路。
【請求項9】
請求項7または8記載の半導体集積回路であって、
前記第1のRCフィルタ回路は、前記位相差信号の論理レベルが反転した論理レベルを有する反転位相差信号に応じてスイッチング動作する第2のスイッチング・トランジスタを更に含み、
前記第2のスイッチング・トランジスタは、オン状態のときに、前記第1のキャパシタの当該一端を接地電圧端子に接続する、半導体集積回路。
【請求項10】
請求項7から9のうちのいずれか1項に記載の半導体集積回路であって、前記積分回路は、前記位相差信号の論理レベルが反転した論理レベルを有する反転位相差信号に応じて動作する第2のRCフィルタ回路を含む、半導体集積回路。
【請求項11】
請求項10記載の半導体集積回路であって、
前記第2のRCフィルタ回路は、
前記反転位相差信号に応じてスイッチング動作する第3のスイッチング・トランジスタと、
前記第3のスイッチング・トランジスタと電圧出力端子とに接続された一端を有する第2のキャパシタと、
を含み、
前記第3のスイッチング・トランジスタは、オン状態のときに、前記第2のキャパシタの当該一端を電源電圧端子に接続する、半導体集積回路。
【請求項12】
請求項10または11記載の半導体集積回路であって、
前記第2のRCフィルタ回路は、前記位相差信号に応じてスイッチング動作する第4のスイッチング・トランジスタを更に含み、
前記第4のスイッチング・トランジスタは、オン状態のときに、前記第2のキャパシタの当該一端を接地電圧端子に接続する、半導体集積回路。
【請求項13】
分配された多相クロックに同期して動作する論理演算回路と、
同一周期を有し互いに異なる位相を有する複数のクロック信号からなる多相クロックを生成するクロック生成器と、
当該生成された多相クロックを前記論理演算回路に分配するとともに、入力された制御信号に応じて前記多相クロックの位相を調整する中継回路と、
当該分配された多相クロックの位相状態を検出し、当該検出された位相状態に基づいて当該分配された多相クロックの位相誤差を表す電圧値を持つアナログ電圧信号を生成する信号生成部と、
前記アナログ電圧信号に応答して前記位相誤差を低減するように前記制御信号を生成する遅延制御部と、
を有し、
前記論理演算回路、前記クロック生成器、前記中継回路、前記信号生成部および前記遅延制御部は集積化されている、半導体集積回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−253522(P2009−253522A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97156(P2008−97156)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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