説明

半導体集積回路

【課題】内蔵された回路の状態を確認する機能を備えた半導体集積回路を更に小型化することができる技術を提供
【解決手段】半導体集積回路1では、コアLSI11と周辺LSI12との間の内部配線WIが異常であると判定回路15が判定すると、判定回路15は、リングオシレータ16Aを発振させることを指示する情報(第1発振指示情報)をリングオシレータ制御部17へ出力する。そしてリングオシレータ制御部17が第1発振指示情報を取得すると、リングオシレータ制御部17が、発振周波数f1で発振するように構成されたリングオシレータ16Aを発振させる。そして、半導体集積回路1内で発生している磁界を近磁界プローブで測定し、発振周波数f1で大きさが変動する磁界を検出した場合に、リングオシレータ16Aが動作していると判断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内蔵された回路の状態を判定する機能を備えた半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内蔵された回路の動作状態を判定する判定回路と、判定回路の判定結果を示す回路判定情報を無線送信するパッシブ型無線ICタグとを備えた半導体集積回路が知られている(例えば、特許文献1を参照)。これにより、判定回路による判定結果を半導体集積回路の外部に出力するための外部端子が不要となり、半導体集積回路を小型化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−108054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の半導体集積回路では、外部端子の代わりにパッシブ型無線ICタグを設ける必要があるため、パッシブ型無線ICタグを設置する分、半導体集積回路の面積が大きくなるという問題があった。
【0005】
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであり、内蔵された回路の状態を判定する機能を備えた半導体集積回路を更に小型化することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の半導体集積回路では、内部回路と、内部回路が予め設定された第1状態であるか否かを判定する第1状態判定回路とを有するとともに、予め設定された第1発振周波数で発振する第1リングオシレータを備える。そして第1動作判断手段が、第1状態判定回路による判定結果に基づいて、第1リングオシレータを動作させるか否かを判断し、リングオシレータ制御手段が、第1リングオシレータを動作させると第1動作判断手段が判断した場合には、第1リングオシレータを動作させ、第1リングオシレータを動作させないと第1動作判断手段が判断した場合には、第1リングオシレータの動作を禁止する。
【0007】
なお、上記の「内部回路が予め設定された第1状態であるか否か」としては、例えば、内部回路が正常状態であるか否か、内部回路が故障している状態であるか否か、内部回路が特定の処理を実行している状態であるか否か等が挙げられる。
【0008】
すなわち、内部回路が予め設定された第1状態であるか否かに応じて、第1リングオシレータが動作するか、第1リングオシレータの動作が禁止される。つまり、内部回路が第1状態である場合に第1リングオシレータが動作していれば、内部回路が第1状態でない場合には第1リングオシレータが動作しない。このため、半導体集積回路を検査する人は、第1リングオシレータが動作しているか否かによって内部回路が第1状態であるか否かを判断することができる。
【0009】
そして、第1リングオシレータは第1発振周波数で発振するため、第1リングオシレータ内を流れる電流の値は第1発振周波数で変動する。したがって、第1リングオシレータが第1発振周波数で発振すると、第1リングオシレータにおいて、第1発振周波数で大きさが変動する磁界が発生する。
【0010】
このため、請求項1に記載の半導体集積回路に近磁界プローブを近づけて、半導体集積回路内で発生している磁界を近磁界プローブで測定し、第1発振周波数で大きさが変動する磁界を検出した場合に、第1リングオシレータが動作していると判断することができる。つまり、判定回路による判定結果を無線送信する無線ICタグを用いることなく、判定結果を確認することができる。そして、無線ICタグの大きさは数mm□であるのに対し、リングオシレータの大きさはインバータ数個程度であるため、無線ICタグを設置する場合よりも、半導体集積回路を小型化することができる。
【0011】
また、請求項1に記載の半導体集積回路において、第1状態に加えて、第1状態と異なる状態を判定する場合には、請求項2に記載のように、内部回路が第1状態と異なるように予め設定された第2状態であるか否かを判定する第2状態判定回路を有するとともに、予め設定された第2発振周波数で発振する第2リングオシレータを備え、第2動作判断手段が、第2状態判定回路による判定結果に基づいて、第2リングオシレータを動作させるか否かを判断し、第2リングオシレータ制御手段が、第2リングオシレータを動作させると第2動作判断手段が判断した場合には、第2リングオシレータを動作させ、第2リングオシレータを動作させないと第2動作判断手段が判断した場合には、第2リングオシレータの動作を禁止するようにするとよい。
【0012】
このように構成された半導体集積回路によれば、第2リングオシレータが動作しているか否かによって内部回路が第2状態であるか否かを判断することができる。すなわち、第1リングオシレータと第2リングオシレータの動作に基づいて、内部回路が第1状態にあるか否かと、内部回路が第2状態にあるか否かの両方の判定結果を確認することができる。
【0013】
また、請求項2に記載の半導体集積回路において、請求項3に記載のように、第1発振周波数が第2発振周波数と異なるようにしてもよい。
このように構成された半導体集積回路によれば、近磁界プローブで検出した磁界の大きさの変動周波数に基づいて、第1リングオシレータおよび第2リングオシレータの何れが動作しているか、すなわち、内部回路が第1状態であるか第2状態であるかを判断することができる。
【0014】
また、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の半導体集積回路において、請求項4に記載のように、第1リングオシレータを動作させると第1動作判断手段が判断した場合に、第1発光素子制御手段が、可視光または赤外光を発する発光素子を予め設定された第1発光パターンで発光させるようにするとよい。
【0015】
このように構成された半導体集積回路によれば、半導体集積回路を検査する人は、発光素子が第1発光パターンで発光しているか否かを目視または赤外線センサにより確認することで、第1リングオシレータが故障していても、内部回路が第1状態であるか否かを判断することができる。
【0016】
また、請求項4に記載の半導体集積回路において、請求項5に記載のように、リング故障検出手段が第1リングオシレータの故障を検出すると、第2発光素子制御手段が、発光素子を、第1発光パターンと異なるように予め設定された第2発光パターンで発光させるようにするとよい。
【0017】
このように構成された半導体集積回路によれば、半導体集積回路を検査する人は、発光素子が第2発光パターンで発光しているか否かを目視または赤外線センサにより確認することで、第1リングオシレータが故障しているか否かを判断することができる。このため、第1リングオシレータが発振していない場合に、その原因が、内部回路が第1状態でないためであるのか、第1リングオシレータが故障しているためであるのかを容易に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態の半導体集積回路1の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】第2実施形態の半導体集積回路1の構成を示すブロック図である。
【図4】第2実施形態の半導体集積回路1の構成要素の配置を示す断面図である。
【図5】第2実施形態の判定処理の手順の前半部分を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態の判定処理の手順の後半部分を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下に本発明の第1実施形態を図面とともに説明する。
図1は、本発明が適用された第1実施形態の半導体集積回路1の構成を示すブロック図である。
【0020】
半導体集積回路1は、1つのパッケージに複数のLSIを搭載するシステム・イン・パッケージ(SiP)技術を用いて製造されたものであり、コアLSI11と、周辺LSI12と、半導体集積回路1内に電源を供給する電源LSI13と、DRAM14と、コアLSI11と周辺LSI12と電源LSI13とDRAM14の状態についての判定を行う判定回路15と、リング状に接続した複数の遅延素子(典型的には奇数個のNOTゲート)からなる複数(本実施形態では3個)のリングオシレータ16A,16B,16Cと、判定回路15からの指示に基づいてリングオシレータ16A,16B,16Cの動作を制御するリングオシレータ制御部17とを備えている。
【0021】
そして、コアLSI11、周辺LSI12、および電源LSI13は、外部端子(不図示)とデータ入出力可能に接続されている。またコアLSI11は、内部配線WIによって、周辺LSI12、電源LSI13、およびDRAM14とデータ入出力可能に接続されている。また判定回路15は、コアLSI11、周辺LSI12、電源LSI13、およびDRAM14からデータ入力可能に接続されている。
【0022】
そしてコアLSI11は、半導体集積回路1の外部から外部端子(不図示)を介して入力した指示に基づいて、周辺LSI12、電源LSI13、およびDRAM14の何れかに、内部配線WIの状態を判定するためのデータ(以下、配線判定用データという)を出力するように構成されている。例えば、周辺LSI12へ配線判定用データを出力することを指示する情報が外部端子を介してコアLSI11に入力すると、コアLSI11は、周辺LSI12へ配線判定用データを出力する。またコアLSI11は、配線判定用データを出力した直後に、データ出力先を示す情報(以下、データ出力先情報という)を判定回路15へ出力するように構成されている。
【0023】
また、周辺LSI12、電源LSI13、およびDRAM14は、コアLSI11から配線判定用データを入力すると、その旨を示す情報(以下、入力通知情報という)を判定回路15へ出力するように構成されている。
【0024】
またリングオシレータ16A,16B,16Cは、それぞれ異なる発振周波数f1,f2,f3で発振するように構成されている。
次に、判定回路15が実行する処理(以下、判定処理という)を説明する。図2は、判定回路15が実行する処理(判定処理)の手順を示すフローチャートである。
【0025】
判定回路15は、図2に示すように、まずS10にて、コアLSI11からデータ出力先情報が入力したか否かを判断する。ここで、データ出力先情報が入力していない場合には(S10:NO)、S10の処理を繰り返し、データ出力先情報が入力するまで待機する。一方、データ出力先情報が入力した場合には(S10:YES)、S20にて、データ出力先情報が示すデータ出力先が周辺LSI12であるか否かを判断する。
【0026】
ここで、データ出力先が周辺LSI12でない場合には(S20:NO)、S50に移行する。一方、データ出力先が周辺LSI12である場合には(S20:YES)、S30にて、データ出力先情報の入力から予め設定された判定待機時間(例えば1秒)が経過するまで待機した後に、周辺LSI12から入力通知情報が入力したか否かを判断する。ここで、周辺LSI12から入力通知情報が入力した場合には(S30:YES)、コアLSI11と周辺LSI12との間の内部配線WIが正常であると判断し、S50に移行する。
【0027】
一方、周辺LSI12から入力通知情報が入力しなかった場合には(S30:NO)、コアLSI11と周辺LSI12との間の内部配線WIが異常であると判断し、S40にて、リングオシレータ16Aを発振させることを指示する情報(以下、第1発振指示情報という)をリングオシレータ制御部17へ出力して、S50に移行する。これにより、リングオシレータ制御部17が第1発振指示情報を取得すると、リングオシレータ制御部17がリングオシレータ16Aを発振させる。
【0028】
そしてS50に移行すると、データ出力先情報が示すデータ出力先が電源LSI13であるか否かを判断する。ここで、データ出力先が電源LSI13でない場合には(S50:NO)、S80に移行する。一方、データ出力先が電源LSI13である場合には(S50:YES)、S60にて、データ出力先情報の入力から判定待機時間が経過するまで待機した後に、電源LSI13から入力通知情報が入力したか否かを判断する。ここで、電源LSI13から入力通知情報が入力した場合には(S60:YES)、コアLSI11と電源LSI13との間の内部配線WIが正常であると判断し、S80に移行する。
【0029】
一方、電源LSI13から入力通知情報が入力しなかった場合には(S60:NO)、コアLSI11と電源LSI13との間の内部配線WIが異常であると判断し、S70にて、リングオシレータ16Bを発振させることを指示する情報(以下、第2発振指示情報という)をリングオシレータ制御部17へ出力して、S80に移行する。これにより、リングオシレータ制御部17が第2発振指示情報を取得すると、リングオシレータ制御部17がリングオシレータ16Bを発振させる。
【0030】
またS80に移行した場合には、データ出力先情報が示すデータ出力先がDRAM14であるか否かを判断する。ここで、データ出力先がDRAM14でない場合には(S80:NO)、S10に移行する。一方、データ出力先がDRAM14である場合には(S80:YES)、S90にて、データ出力先情報の入力から判定待機時間が経過するまで待機した後に、DRAM14から入力通知情報が入力したか否かを判断する。ここで、DRAM14から入力通知情報が入力した場合には(S90:YES)、コアLSI11とDRAM14との間の内部配線WIが正常であると判断し、S10に移行する。
【0031】
一方、DRAM14から入力通知情報が入力しなかった場合には(S90:NO)、コアLSI11とDRAM14との間の内部配線WIが異常であると判断し、S100にて、リングオシレータ16Cを発振させることを指示する情報(以下、第3発振指示情報という)をリングオシレータ制御部17へ出力して、S10に移行する。これにより、リングオシレータ制御部17が第3発振指示情報を取得すると、リングオシレータ制御部17がリングオシレータ16Cを発振させる。
【0032】
このように構成された半導体集積回路1では、コアLSI11と周辺LSI12との間の内部配線WIが異常であると判定回路15が判定すると(S30:NO)、判定回路15は、リングオシレータ16Aを発振させることを指示する情報(第1発振指示情報)をリングオシレータ制御部17へ出力する(S40)。そしてリングオシレータ制御部17が第1発振指示情報を取得すると、リングオシレータ制御部17が、発振周波数f1で発振するように構成されたリングオシレータ16Aを発振させる。
【0033】
すなわち、コアLSI11と周辺LSI12との間の内部配線WIが異常であるか否かに応じて、リングオシレータ16Aが動作するか、リングオシレータ16Aの動作が禁止される。このため、半導体集積回路1を検査する人は、リングオシレータ16Aが動作しているか否かによって、コアLSI11と周辺LSI12との間の内部配線WIが異常であるか否かを判断することができる。
【0034】
そして、リングオシレータ16Aは発振周波数f1で発振するため、リングオシレータ16A内を流れる電流の値は発振周波数f1で変動する。したがって、リングオシレータ16Aが発振周波数f1で発振すると、リングオシレータ16Aにおいて、発振周波数f1で大きさが変動する磁界が発生する。
【0035】
このため、半導体集積回路1に近磁界プローブを近づけて、半導体集積回路1内で発生している磁界を近磁界プローブで測定し、発振周波数f1で大きさが変動する磁界を検出した場合に、リングオシレータ16Aが動作していると判断することができる。つまり、判定回路15による判定結果を無線送信する無線ICタグを用いることなく、判定結果を確認することができる。そして、無線ICタグの大きさは数mm□であるのに対し、リングオシレータ16Aの大きさはインバータ数個程度であるため、無線ICタグを設置する場合よりも、半導体集積回路を小型化することができる。
【0036】
また、コアLSI11と電源LSI13との間の内部配線WIが異常であると判定回路15が判定すると(S60:NO)、判定回路15は、リングオシレータ16Bを発振させることを指示する情報(第2発振指示情報)をリングオシレータ制御部17へ出力する(S70)。そしてリングオシレータ制御部17が第2発振指示情報を取得すると、リングオシレータ制御部17が、発振周波数f2で発振するように構成されたリングオシレータ16Bを発振させる。
【0037】
また、コアLSI11とDRAM14との間の内部配線WIが異常であると判定回路15が判定すると(S90:NO)、判定回路15は、リングオシレータ16Cを発振させることを指示する情報(第3発振指示情報)をリングオシレータ制御部17へ出力する(S100)。そしてリングオシレータ制御部17が第3発振指示情報を取得すると、リングオシレータ制御部17が、発振周波数f3で発振するように構成されたリングオシレータ16Cを発振させる。
【0038】
このため、リングオシレータ16Bが動作しているか否かによって、コアLSI11と電源LSI13(DRAM14)との間の内部配線WIが異常であるか否かを判断することができる。すなわち、リングオシレータ16Aとリングオシレータ16B(リングオシレータ16C)の動作に基づいて、「コアLSI11と周辺LSI12との間の内部配線WIが異常であるか否か」と「コアLSI11と電源LSI13(DRAM14)との間の内部配線WIが異常であるか否か」の両方の判定結果を確認することができる。
【0039】
また、発振周波数f1と発振周波数f2(f3)は異なるため、近磁界プローブで検出した磁界の大きさの変動周波数に基づいて、リングオシレータ16Aおよびリングオシレータ16B(リングオシレータ16C)の何れが動作しているか、すなわち、「コアLSI11と周辺LSI12との間の内部配線WIが異常であるのか」または「コアLSI11と電源LSI13(DRAM14)との間の内部配線WIが異常であるのか」を判断することができる。
【0040】
以上説明した実施形態において、コアLSI11と周辺LSI12と電源LSI13とDRAM14は本発明における内部回路、判定回路15におけるS20とS30の処理は本発明における第1状態判定回路、リングオシレータ16Aは本発明における第1リングオシレータ、S30とS40の処理は本発明における第1動作判断手段、リングオシレータ制御部17は本発明における第1リングオシレータ制御手段、コアLSI11と周辺LSI12との間の内部配線WIが異常である状態は本発明における第1状態、発振周波数f1は本発明における第1発振周波数である。
【0041】
また、判定回路15におけるS50(S80)とS60(S90)の処理は本発明における第2状態判定回路、リングオシレータ16B(リングオシレータ16C)は本発明における第2リングオシレータ、S60(S90)とS70(S100)の処理は本発明における第2動作判断手段、リングオシレータ制御部17は本発明における第2リングオシレータ制御手段、コアLSI11と電源LSI13(DRAM14)との間の内部配線WIが異常である状態は本発明における第2状態、発振周波数f2(f3)は本発明における第2発振周波数である。
【0042】
(第2実施形態)
以下に本発明の第2実施形態を図面とともに説明する。なお第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみを説明する。
【0043】
図3は、第2実施形態の半導体集積回路1の構成を示すブロック図である。図4は、第2実施形態の半導体集積回路1の構成要素の配置を示す断面図である。
第2実施形態における半導体集積回路1は、図3に示すように、リングオシレータ16B,16Cが省略された点と、リングオシレータ制御部17の代わりにリングオシレータ・LED制御部21が設けられた点と、可視光を照射するLED(Light Emitting Diode)22が追加された点と、判定回路15が実行する判定処理が変更された点以外は第1実施形態と同じである。
【0044】
そしてリングオシレータ・LED制御部21は、判定回路15からの指示に基づいてリングオシレータ16AおよびLED22の動作を制御する。またリングオシレータ16Aの出力信号は判定回路15に入力される。
【0045】
また半導体集積回路1では、図4に示すように、コアLSI11、周辺LSI12、電源LSI13、DRAM14、判定回路15、およびリングオシレータ16Aなどがパッケージ26内に実装される一方(図4では、コアLSI11、DRAM14、および判定回路15を示す)、LED22がパッケージ26の上面に実装される。
【0046】
次に、第2実施形態の判定回路15が実行する処理(判定処理)を図5および図6を用いて説明する。図5は、第2実施形態の判定処理の手順の前半部分を示すフローチャートである。図6は、第2実施形態の判定処理の手順の後半部分を示すフローチャートである。
【0047】
判定回路15は、まずS210にて、コアLSI11から、リングオシレータ16Aが故障しているか否かを検査する検査モードへの移行を要求する検査モード要求が入力したか否かを判断する。
【0048】
なおコアLSI11は、起動直後に、コアLSI11に設けられた検査モードレジスタの値が1である場合に、検査モード要求を判定回路15へ出力するように構成されている。またコアLSI11は、外部端子(不図示)を介して接続された外部機器から検査モード要求を入力すると、検査モードレジスタの値を0から1に設定するように構成されている。
【0049】
そしてS210にて、検査モード要求が入力した場合には(S210:YES)、S220にて、リングオシレータ16Aの発振を停止させることを指示する情報(以下、発振停止指示情報という)と、LED22を消灯させることを指示する情報(以下、消灯指示情報という)をリングオシレータ・LED制御部21へ出力する。これにより、リングオシレータ・LED制御部21が発振停止指示情報と消灯指示情報を取得すると、リングオシレータ・LED制御部21が、リングオシレータ16Aの発振を停止させるとともに、LED22を消灯させる。
【0050】
その後S230にて、リングオシレータ16Aの故障判定を実行する。具体的には、判定回路15が、まず、リングオシレータ16Aを発振させることを指示する情報(第1発振指示情報)をリングオシレータ・LED制御部21へ出力する。これにより、リングオシレータ・LED制御部21が第1発振指示情報を取得すると、リングオシレータ・LED制御部21が、発振周波数f1で発振するように構成されたリングオシレータ16Aを発振させる。そして、第1発振指示情報の出力後、判定回路15が、リングオシレータ16Aの発振を検出できた場合にはリングオシレータ16Aが正常であると判定し、リングオシレータ16Aの発振を検出できなかった場合にはリングオシレータ16Aが故障中であると判定する。
【0051】
次にS240にて、S230の処理でリングオシレータ16Aが故障中であると判定されたか否かを判断する。ここで、リングオシレータ16Aが正常である場合には(S240:NO)、S250にて、第1実施形態の判定処理と同様にして、コアLSI11と周辺LSI12との間の内部配線WI、コアLSI11と電源LSI13との間の内部配線WI、およびコアLSI11とDRAM14との間の内部配線WIの何れか1つが異常であるか否かの判定(以下、内部配線異常判定という)を実行する。
【0052】
次にS260にて、S250の処理で内部配線WIが異常である判定されたか否かを判断する。ここで、内部配線WIが正常である場合には(S260:NO)、S230に移行して、上述の処理を繰り返す。一方、内部配線WIが異常である場合には(S260:YES)、S270にて、リングオシレータ16Aを発振させることを指示する情報(第1発振指示情報)をリングオシレータ・LED制御部21へ出力するとともに、内部配線WIが異常であることを示すために予め設定された点滅パターン(以下、内部回路異常パターン)でLED22を点滅させることを指示する情報(以下、配線異常点滅指示情報という)をリングオシレータ・LED制御部21へ出力する。これにより、リングオシレータ・LED制御部21が第1発振指示情報と配線異常点滅指示情報を取得すると、リングオシレータ・LED制御部21が、発振周波数f1で発振するように構成されたリングオシレータ16Aを発振させるとともに、LED22を内部回路異常パターンで点滅させる。なお内部回路異常パターンは、本実施形態では例えば1秒周期での点滅である。
【0053】
そしてS280にて、リングオシレータ16Aの発振を停止させるために予め設定された発振停止条件が成立したか否かを判断する。なお、本実施形態における発振停止条件は、「リングオシレータ16Aの発振開始から予め設定された発振継続時間が経過すること」、または、「半導体集積回路1に接続された外部機器からリングオシレータ16Aの発振停止を要求する信号が入力すること」である。
【0054】
ここで、発振停止条件が成立していない場合には(S280:NO)、S280の処理を繰り返すことにより、発振停止条件が成立するまで待機する。一方、発振停止条件が成立した場合には(S280:YES)、S290にて、上述の発振停止指示情報と消灯指示情報をリングオシレータ・LED制御部21へ出力し、S230に移行する。これにより、リングオシレータ・LED制御部21が発振停止指示情報と消灯指示情報を取得すると、リングオシレータ・LED制御部21が、リングオシレータ16Aの発振を停止させるとともに、LED22を消灯させる。
【0055】
またS240にて、リングオシレータ16Aが故障中である場合には(S240:YES)、S300にて、リングオシレータ16Aが故障中であることを示すために予め設定された点滅パターン(以下、リング故障パターンという)でLED22を点滅させることを指示する情報(以下、リング故障点滅指示情報という)をリングオシレータ・LED制御部21へ出力する。これにより、リングオシレータ・LED制御部21がリング故障点滅指示情報を取得すると、リングオシレータ・LED制御部21が、LED22をリング故障パターンで点滅させる。なおリング故障パターンは、本実施形態では例えば2秒周期での点滅である。
【0056】
そしてS310にて、LED22の点滅を停止させるために予め設定された点滅停止条件が成立したか否かを判断する。なお、本実施形態における点滅停止条件は、「LED22の点滅開始から予め設定された点滅継続時間が経過すること」、または、「半導体集積回路1に接続された外部機器からLED22の点滅停止を要求する信号が入力すること」である。
【0057】
ここで、点滅停止条件が成立していない場合には(S310:NO)、S310の処理を繰り返すことにより、点滅停止条件が成立するまで待機する。一方、点滅停止条件が成立した場合には(S310:YES)、S320にて、上述の消灯指示情報をリングオシレータ・LED制御部21へ出力し、S230に移行する。これにより、リングオシレータ・LED制御部21が消灯指示情報を取得すると、リングオシレータ・LED制御部21がLED22を消灯させる。
【0058】
またS210にて、検査モード要求が入力していない場合には(S210:NO)、S330にて、上述の内部配線異常判定を常時実行することを要求する常時モニタ要求が入力したか否かを判断する。
【0059】
なお、コアLSI11は、コアLSI11に設けられた常時モニタレジスタの値が1である場合に、常時モニタ要求を判定回路15へ出力するように構成されている。またコアLSI11は、外部端子(不図示)を介して接続された外部機器から常時モニタ要求を入力すると、常時モニタレジスタの値を0から1に設定するように構成されている。
【0060】
そしてS340にて、常時モニタ要求が入力していない場合には(S340:NO)、S340の処理を繰り返すことにより、常時モニタ要求が入力するまで待機する。一方、常時モニタ要求が入力した場合には(S340:YES)、S350にて、S250と同様にして、上述の内部配線異常判定を実行する。
【0061】
次にS360にて、S350の処理で内部配線WIが異常である判定されたか否かを判断する。ここで、内部配線WIが正常である場合には(S360:NO)、S350に移行して、上述の処理を繰り返す。一方、内部配線WIが異常である場合には(S360:YES)、S370にて、S270と同様にして、第1発振指示情報と配線異常点滅指示情報をリングオシレータ・LED制御部21へ出力する。これにより、リングオシレータ・LED制御部21が、リングオシレータ16Aを発振させるとともに、LED22を内部回路異常パターンで点滅させる。
【0062】
そしてS380にて、S280と同様にして、発振停止条件が成立したか否かを判断する。ここで、発振停止条件が成立していない場合には(S380:NO)、S380の処理を繰り返すことにより、発振停止条件が成立するまで待機する。一方、発振停止条件が成立した場合には(S380:YES)、S390にて、S290と同様にして、発振停止指示情報と消灯指示情報をリングオシレータ・LED制御部21へ出力し、S350に移行する。これにより、リングオシレータ・LED制御部21が、リングオシレータ16Aの発振を停止させるとともに、LED22を消灯させる。
【0063】
このように構成された半導体集積回路1では、内部配線WIが異常であり、リングオシレータ16Aを発振させる場合に(S260:YES,S360:YES)、可視光を発するLED22を内部回路異常パターンで点滅させる(S270,S370)。
【0064】
このため、半導体集積回路1を検査する人は、LED22が内部回路異常パターンで点滅しているか否かを目視により確認することで、リングオシレータ16Aが故障していても、内部配線WIが異常であるか否かを判断することができる。
【0065】
また、リングオシレータ16Aが故障中であるが否かを判定し(S230)、リングオシレータ16Aが故障中であると判定されると(S240:YES)、可視光を発するLED22をリング故障パターンで点滅させる(S300)。
【0066】
このため、半導体集積回路1を検査する人は、LED22がリング故障パターンで点滅しているか否かを目視により確認することで、リングオシレータ16Aが故障しているか否かを判断することができる。このため、リングオシレータ16Aが発振していない場合に、その原因が、内部配線WIが正常であるためであるのか、リングオシレータ16Aが故障しているためであるのかを容易に判断することができる。
【0067】
また、半導体集積回路1の製造中にパッケージ26が高温状態または高圧状態になる場合には、パッケージ26内のリングオシレータ16Aが高温または高圧により破損するおそれがある。一方、LED22はパッケージ26の上面に配置されているため、製造中の高温または高圧によりLED22が破損するということはない。
【0068】
また、LED22に必要な周辺部品は数個の抵抗と1個のトランジスタ程度である。このため、LED22をパッケージ26の上面に取り付けたことにより、その他の部品をパッケージ26の上面に取り付けられなくなるという事態になり難い。
【0069】
以上説明した実施形態において、LED22は本発明における発光素子、S260,S360の処理は本発明における第1動作判断手段、内部回路異常パターンは本発明における第1発光パターン、S270,S370の処理は本発明における第1発光素子制御手段、S230の処理は本発明におけるリング故障検出手段、リング故障パターンは本発明における第2発光パターン、S300の処理は本発明における第2発光素子制御手段である。
【0070】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採ることができる。
例えば上記第1実施形態では、発振周波数が互いに異なる複数のリングオシレータを備えた半導体集積回路1を示したが、1個のリングオシレータを備えるものであってもよい。
【0071】
また上記実施形態では、内部配線WIの状態を判定回路15により判定するものを示したが、判定内容はこれに限定されるものではなく、半導体集積回路1内に設けられた回路を用いて可能であるものであればよい。例えば、電源LSI13に設けられたメインシーケンサ(不図示)によって、コアLSI11、周辺LSI12、およびDRAM14それぞれの動作状態のステータス(例えば、起動処理、通常動作、電源遮断待ち等)を取得し、このステータスに基づいて動作状態が異常であると判断した場合に、その旨をメインシーケンサが判定回路15へ出力するようにしてもよい。
【0072】
また例えば、判定回路15に設けられたAD変換器(不図示)によって、コアLSI11、周辺LSI12、およびDRAM14の電圧を監視し、この電圧が予め設定された正常範囲から外れている場合に、発振指示情報を判定回路15がリングオシレータ制御部17へ出力するようにしてもよい。
【0073】
また上記第1実施形態では、判定回路15とリングオシレータ16とリングオシレータ制御部17とが別々に形成されているものを示したが、判定回路15とリングオシレータ16とリングオシレータ制御部17とをコアLSI11内に形成するようにしてもよい。
【0074】
また上記第1実施形態では、発振周波数が互いに異なる複数のリングオシレータを備えるものを示したが、発振周波数が同じである複数のリングオシレータの設置位置が互いに異なるようにしてもよい。例えば、半導体集積回路1が矩形状である場合には、矩形の四隅にリングオシレータを1個ずつ設置するようにするとよい。これにより、発振しているリングオシレータの設置位置に基づいて、判定回路15による判定結果を特定することができる。
【0075】
また、判定回路15により半導体集積回路1を判定するのが半導体集積回路1の出荷前に限定されるのであれば、半導体集積回路1に設けられたレジスタの値の設定によってリングオシレータ16に電源が供給されないようにし、これにより、出荷後にリングオシレータ16が発振することがないようにしてもよい。
【0076】
また、半導体集積回路1の出荷後にも、判定回路15による半導体集積回路1の判定を可能とするために、リングオシレータ16の発振を検知するためのコイル(製造コストおよび製品サイズの観点からマイクロコイルが望ましい)を、半導体集積回路1が実装された製品ボードに設けるようにしてもよい。これにより、半導体集積回路1の出荷後に判定回路15が異常を検出するとリングオシレータ16が発振し、この発振をコイルが検知する。このコイルの検知結果に基づいて、異常内容をディスプレイに表示したり音声出力したりして、半導体集積回路1の利用者に報知することができる。または、異常内容をデータ記憶装置に記憶して、今後の異常解析に役立てるようにしてもよい。
【0077】
また上記第2実施形態では、可視光を照射するLED22を示したが、LED22の代わりに、赤外光を照射する赤外線ダイオードを設けるようにしてもよい。この場合には、赤外線センサにより赤外線ダイオードの発光を確認する必要がある。このため、赤外線センサによる検出結果をモニタに表示させることが可能である。したがって、LEDの場合は、点灯させるか、目視で確認できる程度の簡単なパターンで点滅させる必要があるのに対して、赤外線ダイオードの場合は、より複雑な点滅パターンで発光させても点滅パターンをモニタで確認することで点滅パターンを判別することができる。すなわち、赤外線ダイオードを用いた場合には、リングオシレータおよびLEDと比較してより多くの情報を送信することができる。
【0078】
なお、LEDと赤外線ダイオードは、同一のランドを用いることができるため、パッケージ26の上面に設けられた1つのランドに、必要に応じてLEDおよび赤外線ダイオードの何れかを実装することができる。なお、LEDおよび赤外線ダイオードのうち、何れが実装されているかは、半導体集積回路1内に設けられたレジスタの設定で指示できるようにするとよい。
【0079】
また上記第2実施形態では、内部回路異常パターンまたはリング故障パターンでLED22を点滅させるものを示したが、内部回路異常パターンおよびリング故障パターンの何れか一方を、LED22を点灯させるものとしてもよい。
【0080】
また上記第2実施形態では、内部回路異常パターンまたはリング故障パターンでLED22を点滅させるものを示したが、LED22の代わりに、複数色で発光可能なLEDを設けて、内部回路異常とリングオシレータ故障とで発光色を異ならせるようにしてもよい。
【0081】
また上記第2実施形態では、1個のLED22で内部回路異常とリングオシレータ故障の両方を報知するものを示したが、複数のLEDを設けて、報知内容に応じて異なるLEDを発光させるようにしてもよい。
【0082】
また上記第2実施形態では、コアLSI11と周辺LSI12との間の内部配線WI、コアLSI11と電源LSI13との間の内部配線WI、およびコアLSI11とDRAM14との間の内部配線WIの何れか1つが異常である場合に内部回路異常パターンでLED22を点滅させるものを示したが、これら3種類の内部配線異常のそれぞれに対応して、異なる発光パターンでLED22を発光させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…半導体集積回路、11…コアLSI、12…周辺LSI、13…電源LSI、14…DRAM、15…判定回路、16A,16B,16C…リングオシレータ、17…リングオシレータ制御部、21…リングオシレータ・LED制御部、22…LED、26…パッケージ、WI…内部配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部回路と、前記内部回路が予め設定された第1状態であるか否かを判定する第1状態判定回路とを有する半導体集積回路であって、
予め設定された第1発振周波数で発振する第1リングオシレータと、
前記第1状態判定回路による判定結果に基づいて、前記第1リングオシレータを動作させるか否かを判断する第1動作判断手段と、
前記第1リングオシレータを動作させると前記第1動作判断手段が判断した場合には、前記第1リングオシレータを動作させ、前記第1リングオシレータを動作させないと前記第1動作判断手段が判断した場合には、前記第1リングオシレータの動作を禁止する第1リングオシレータ制御手段とを備える
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
当該半導体集積回路は、前記内部回路が前記第1状態と異なるように予め設定された第2状態であるか否かを判定する第2状態判定回路を有し、
予め設定された第2発振周波数で発振する第2リングオシレータと、
前記第2状態判定回路による判定結果に基づいて、前記第2リングオシレータを動作させるか否かを判断する第2動作判断手段と、
前記第2リングオシレータを動作させると前記第2動作判断手段が判断した場合には、前記第2リングオシレータを動作させ、前記第2リングオシレータを動作させないと前記第2動作判断手段が判断した場合には、前記第2リングオシレータの動作を禁止する第2リングオシレータ制御手段とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記第1発振周波数は前記第2発振周波数と異なる
ことを特徴とする請求項2に記載の半導体集積回路。
【請求項4】
可視光または赤外光を発する発光素子と、
前記第1リングオシレータを動作させると前記第1動作判断手段が判断した場合に、前記発光素子を予め設定された第1発光パターンで発光させる第1発光素子制御手段とを備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項5】
前記第1リングオシレータの故障を検出するリング故障検出手段と、
前記リング故障検出手段が前記第1リングオシレータの故障を検出すると、前記発光素子を、前記第1発光パターンと異なるように予め設定された第2発光パターンで発光させる第2発光素子制御手段とを備える
ことを特徴とする請求項4に記載の半導体集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−208108(P2012−208108A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237256(P2011−237256)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】