説明

印刷システム、印刷制御プログラムおよび記録媒体

【課題】 印刷出力時の後処理において、Z折り処理が指定されても、印刷結果にはページ番号が隠れずに表示されるようにする。
【解決手段】 合成位置が折り込み領域かを判定し、出力対象の電子データに対して適切な位置にページ番号合成を行う画像加工部12と、印刷出力機器1への印刷出力指示の際に、出力対象の電子データから実際に印刷出力機器1へ送られるプリンタ言語データ(PDL)を生成するプリンタ言語データ生成部14を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷データに対するページ番号の付与に関し、特にZ折り機能を有する印刷装置へ出力するためのページ番号合成制御に関する。
【背景技術】
【0002】
製本用原稿などに対する画像編集処理におけるページ番号合成処理が可能なシステムは存在する。また、ページ番号を合成する位置が綴じ位置と重ならないようにページ番号付け位置を変更する技術もある(例えば特許文献1)。さらに、印刷出力時の後処理においてZ折り処理により出力紙の用紙サイズが半分になる様に折りたたむ画像形成装置も存在する。
【特許文献1】特開平7−168818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のシステムでは、ページ番号を合成した画像の出力時にZ折り処理を行う場合、ページ番号の合成位置によっては、折りたたまれた状態では合成印字されたページ番号が隠れてしまう事があり、製本されたアウトプットが見づらい物となってしまうという問題があった。
本発明は、上述した実情を考慮してなされたものであって、印刷出力時の後処理においてZ折り処理が指定されても、印刷結果にはページ番号が隠れずに表示されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の印刷システムは、印刷出力にページ番号を合成付与するページ番号合成手段と、Z折り実行時にページ番号合成位置調整を行うか否かをユーザーに選択させる選択手段と、前記合成位置調整を選択した場合、ユーザーが指定したページ番号合成位置がZ折りの折り込み領域と重なるか否かを判断する領域判定手段と、重なる場合に折り込み領域と重ならない位置にページ番号合成位置の調整を行う合成位置調整手段と、を備えたことを特徴とする。
また、請求項2は、請求項1記載の印刷システムにおいて、前記合成位置調整手段は、ユーザーが指定したページ番号合成位置がZ折りの折り込み領域と重なる場合には、Z折の折り込み領域と重ならない位置にもページ番号の合成を行うことを特徴とする。
また、請求項3は、Z折り印刷出力が指定された際に、ページ番号表示がZ折りの折り込み領域と重なるか否かを確認する領域判定手段と、折り込み領域にページ番号表示が重なる場合にページ番号表示に対するZ折り用調整を行うか否かをユーザーに選択させる選択手段と、前記Z折り用調整を選択した場合に、Z折りの折り込み領域に重ならない位置にページ番号表示位置を調整するように印刷出力用のプリンタ言語データを生成するPDL生成手段と、を備えたことを特徴とする。
【0005】
また、請求項4は、請求項3記載の印刷システムにおいて、前記PDL調整手段は、Z折りの折り込み領域にページ番号表示位置が重なる場合には、Z折の折り込み領域と重ならない位置にもページ番号を表示するプリンタ言語データを生成することを特徴とする。
また、請求項5は、印刷出力指定時にページ番号合成処理とZ折り印刷出力とが指定されている場合には、ページ番号合成処理に対してZ折り用調整を行うか否かをユーザーに選択させる選択手段と、前記Z折り用調整を選択した場合に、ユーザーが指定したページ番号表示がZ折りの折り込み領域と重なるか否かを判断する領域判定手段と、重なる場合にはページ番号表示位置をZ折りの折り込み領域と重ならない位置に調整する印刷出力用のプリンタ言語データを生成するPDL生成手段と、を備えたことを特徴とする。
また、請求項6は、請求項5記載の印刷システムにおいて、前記PDL生成手段は、ページ番号表示位置がZ折りの折り込み領域と重なる場合には、Z折の折り込み領域と重ならない位置にもページ番号を表示するプリンタ言語データを生成することを特徴とする。
また、請求項7は、請求項1乃至6の何れか一項に記載の印刷システムの制御方法をコンピュータが制御可能にプログラミングしたことを特徴とする。
また、請求項8は、請求項7に記載の印刷制御プログラムをコンピュータが読み取り可能な形式で記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、印刷出力時の後処理において、Z折り処理が指定されても、印刷結果にはページ番号が隠れずに表示される。
また、ページ番号を折り込み領域と重ならない位置にも合成した場合は、ユーザーの意図する位置にページ番号が印字された出力を得ることができる為、予め設定された位置のページ番号印字を機械的に認識するOCRシステム等へのインプットとしても利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明が動作する環境を示す図である。同図において、1はプリンタや複写機等に代表される電子データの印刷出力機器である。印刷出力機器1は、印刷出力時の付加機能として、出力用紙に対するZ折り機能を備えている。2は、ユーザーが電子データの印刷出力指示を行うPC(パーソナルコンピュータ)である。そして、印刷出力機器1およびPC2は、LAN等のネットワーク3で結ばれ、それぞれ本発明にかかる処理を実現するプログラムを実装している。特にPC2に実装されているプリンタドライバ(印刷制御プログラム)が、本発明の特徴的機能を実現する。
図2は、本発明にかかる印刷出力機器1およびPC2の要部の機能構成を示す図である。PC2は、出力対象の電子データを蓄積する出力対象データ蓄積部11と、合成位置が折り込み領域内かを判定する図示しない領域判定部を有し、出力対象の電子データに対してページ番号合成を行う画像加工部12と、印刷出力機器1への印刷指示部13とを備えており、印刷指示部13には、印刷出力機器1への印刷出力指示の際に、出力対象の電子データから実際に印刷出力機器1へ送られるプリンタ言語データ(PDL)を生成するプリンタ言語データ生成部14を備えている。そして、印刷出力機器1へはデータ通信部15を介して印刷データを送信するようになっている。
一方、印刷出力機器1では、データ通信部16を介して印刷データを受け取り、印刷処理部17でプリンタ言語データ(印刷データ)を解析して画像データ化等を行い、図示しない印刷エンジンに送り、プリント結果19を出力する。なお、印刷付加機能処理部18はパンチ穴をあける、ステープラで綴じる、出力用紙に対するZ折りを行う等の指示を図示しないフィニッシャに指示するものである。
なお、印刷出力機器1については、特別なものではなく、Z折り機能を有するものであれば、市販されている通常のプリンタ、複写機、複合機等でよい。
【0008】
次に以上のように構成した本発明の動作を説明する。この動作は主にPC2に実装したプログラムの動作である。図3は、本発明にかかる印刷システムを制御する印刷制御プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。ユーザー操作から画像加工部12に、印刷対象のデータに対するページ番号合成処理が指示され、画像加工部12でZ折り印刷出力を想定した印字位置調整を行うかどうかをユーザーに選択させる(ステップ301)。そして、画像加工部12で、ユーザーが任意で指定したページ印字位置がZ折りの折り込み領域と重なるかどうかを判断して(ステップ302)、重なる場合には対象画像に対してページ番号合成位置の調整を行う(ステップ303)。Z折りの折り込み領域とは、Z折りされた状態において開かないと見えない領域を指す(図4右の斜線部20)。この領域は、長手方向で4分割した中央の2つの領域である。従って、このような領域にページ番号を合成する場合は、ページ番号印字位置の調整を行い、Z折りの折り込み領域内にあるページ番号表示をZ折りされた状態でも確認可能な位置に移動または複写することが望ましい(図5参照)。
ページ番号印字位置の調整が済んだら、画像加工部12は調整した(あるいは指示された)位置にページ番号を合成する(ステップ304)。このページ合成は、プリンタ言語データ生成部14が印刷装置向けのPDLを生成しても、あるいは出力対象データの形式のまま出力命令を追加する処理をしてもよい。
【0009】
図6は、本発明にかかるプリンタドライバの処理の流れを示すフローチャートである。なお、この処理はZ折りが指定されていることを前提にした処理である。出力対象データ蓄積部11にある出力対象データを検査して、ページ印字位置がZ折りの折り込み領域と重なるかどうかを判断する(ステップ401、402)。重なりがなければ(ステップ402がNO)、そのままPDLを生成して(ステップ406)処理を終了する。
重なりがあれば(ステップ402がYES)、Z折り印刷出力時の印字位置調整を行うかどうかをユーザーに選択させる(ステップ403)。印字位置調整を行わない場合は、重なりがあって見えないページ番号があっても、そのままPDLを生成して(ステップ406)処理を終了する。
印字位置調整が指示されたら(ステップ403がY)、ページ番号の合成位置を調整して(ステップ404)、調整した位置にページ番号を合成し(ステップ405)、PDLを生成して(ステップ406)処理を終了する。
なお、ユーザーが指定したページ印字位置がZ折りの折り込み領域と重なるかどうかを判断するには、アプリケーションからの出力対象データを解析する方法、あるいはプリンタが行うイメージデータへの展開を事前に行い文字認識する方法がある。また、ページ番号印字位置の調整は、図5のように、移動する場合と、元の印字はそのままにして、Z折りされた状態でもページ番号が確認可能な位置に別途表示する場合とがある。
【0010】
図7は、他の実施例におけるプリンタドライバの処理の流れを示すフローチャートである。この実施例では、プリンタドライバにページ番号を合成させる処理を含んでいる。まず、前提として、ページ番号の合成とZ折りとが指定されているとする。ページ番号の合成位置調整を指示しない場合は(ステップ501がNO)、ユーザーが指定した位置にページ番号を合成して(ステップ504)、PDLを生成して(ステップ505)処理を終了する。
ページ番号の合成位置調整を指示した場合は(ステップ501がYES)、ページ印字位置がZ折りの折り込み領域と重なるかどうかを判断し(ステップ502)、重なっていれば、合成位置を調整する(ステップ503)。そして、調整した位置にページ番号を合成し(ステップ504)、PDLを生成して(ステップ505)処理を終了する。位置の調整方法は前述と同様に、重なっていない所に合成するか、あるいは指示どおりに合成し、且つ重なっていない所にも合成する。
なお、ページ番号の合成とPDLの生成は分けて説明したが、所望の位置にページ番号を印刷するPDL(Page Description Language)スクリプトを追加することで印刷出力にページ番号を付与することができる。ページ番号の位置の移動は、対応するスクリプトの印刷位置を変更することにより行える。
同様に、アプリケーションレベルで付与したページ番号の移動も、対応する印刷命令を削除して、PDL生成時に別途スクリプトを追加することで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明が動作する環境を示す図。
【図2】本発明にかかる印刷出力機器およびPCの要部の機能構成を示す図。
【図3】本発明にかかる印刷プログラムの処理の流れを示すフローチャート。
【図4】Z折りの折り込み領域を説明する図。
【図5】ページ番号の位置調整を説明する図。
【図6】本発明にかかるプリンタドライバの処理の流れを示すフローチャート。
【図7】他の実施例におけるプリンタドライバの処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0012】
1 印刷出力機器、2 PC、3 ネットワーク、11 出力対象データ蓄積部、12 画像加工部、13 印刷指示部、14 プリンタ言語データ生成部、15、16 データ通信部、17 印刷処理部、18 印刷付加機能処理部、19 プリント結果

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷出力にページ番号を合成付与するページ番号合成手段と、Z折り実行時にページ番号合成位置調整を行うか否かをユーザーに選択させる選択手段と、前記合成位置調整を選択した場合、ユーザーが指定したページ番号合成位置がZ折りの折り込み領域と重なるか否かを判断する領域判定手段と、重なる場合に折り込み領域と重ならない位置にページ番号合成位置の調整を行う合成位置調整手段と、を備えたことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記合成位置調整手段は、ユーザーが指定したページ番号合成位置がZ折りの折り込み領域と重なる場合には、Z折の折り込み領域と重ならない位置にもページ番号の合成を行うことを特徴とする請求項1記載の印刷システム。
【請求項3】
Z折り印刷出力が指定された際に、ページ番号表示がZ折りの折り込み領域と重なるか否かを確認する領域判定手段と、折り込み領域にページ番号表示が重なる場合にページ番号表示に対するZ折り用調整を行うか否かをユーザーに選択させる選択手段と、前記Z折り用調整を選択した場合に、Z折りの折り込み領域に重ならない位置にページ番号表示位置を調整するように印刷出力用のプリンタ言語データを生成するPDL生成手段と、を備えたことを特徴とする印刷システム。
【請求項4】
前記PDL調整手段は、Z折りの折り込み領域にページ番号表示位置が重なる場合には、Z折の折り込み領域と重ならない位置にもページ番号を表示するプリンタ言語データを生成することを特徴とする請求項3記載の印刷システム。
【請求項5】
印刷出力指定時にページ番号合成処理とZ折り印刷出力とが指定されている場合には、ページ番号合成処理に対してZ折り用調整を行うか否かをユーザーに選択させる選択手段と、前記Z折り用調整を選択した場合に、ユーザーが指定したページ番号表示がZ折りの折り込み領域と重なるか否かを判断する領域判定手段と、重なる場合にはページ番号表示位置をZ折りの折り込み領域と重ならない位置に調整する印刷出力用のプリンタ言語データを生成するPDL生成手段と、を備えたことを特徴とする印刷システム。
【請求項6】
前記PDL生成手段は、ページ番号表示位置がZ折りの折り込み領域と重なる場合には、Z折の折り込み領域と重ならない位置にもページ番号を表示するプリンタ言語データを生成することを特徴とする請求項5記載の印刷システム。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の印刷システムの制御方法をコンピュータが制御可能にプログラミングしたことを特徴とする印刷制御プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の印刷制御プログラムをコンピュータが読み取り可能な形式で記録したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−21465(P2006−21465A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202805(P2004−202805)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】