説明

印刷システム

【課題】 綴じ代、XYオフセットなどの画像シフトには、DL生成段階でシフトする場合とレンダリング後のエンジン転送時にシフトする場合とがある。後者の場合シフト方向やシフト量に制限があるのが一般的であり、DL生成段階でシフトするのが理想的である。しかしながら、BDLではDL生成段階で画像シフトを実現することはできない。
【解決手段】 主走査方向の画像シフトはBDLによるDL生成時に行い、副走査方向の画像シフトはエンジンへの画像転送時に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリンタドライバがバンド単位で描画データを生成してプリンタに送信し、プリンタはバンド単位で中間データの生成、レンダリング及び印刷機構部へのイメージデータの転送を行う印刷システムにおいて、綴じ代などのために出力画像をシフトする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでホストコンピュータ上の文書ファイルを印刷する場合、プリンタドライバはページ単位で描画データを生成し、プリンタは1ページ分の中間データを生成してからレンダリング(イメージへの展開)を行うのが一般的であった。
【0003】
しかしながら、プリンタの省メモリと高速化のためにプリンタドライバで描画オブジェクトをバンド単位に分割し、バンド単位で描画データをプリンタに送信る方式が広まりつつある。この場合、プリンタは中間データの生成とレンダリングをバンド単位で行えるので中間データの格納メモリのサイズを小さく抑えることができる。更に、中間データの生成が終わったバンドから即座にレンダリングが開始できるので中間データの生成処理とレンダリング処理の並列性が高まり、スループットが向上する。
【0004】
尚、綴じ代などのために出力画像をシフトする場合にはプリンタドライバが描画オブジェクトの描画位置を移動させることで実現する。
【0005】
又、従来例としては、例えば特許文献1をあげることが出来る。
【特許文献1】特開平11−268372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ユーザがプリンタドライバのユーザインタフェースから指定する綴じ代などのための画像シフトは先に説明したようにプリンタドライバが描画オブジェクトの描画位置をずらすことで実現できるが、プリンタ側の要因で画像をシフトする場合には実現できないという問題点がある。
【0007】
例えば、プリンタドライバから送られた印刷ジョブをプリンタ内のハードディクスに保存しておき、ユーザの指示により綴じ代や片面/両面の設定を変更して再度印刷する場合がこれにあたる。また、プリンタの用紙搬送時のずれを補正するための画像シフトもこれにあたる。用紙搬送時のずれ量はプリンタの個体に依存し、更に給紙トレイ、表面/裏面、先頭ページ/連続ページなどにも依存するため、プリンタドライバの画像シフトによる補正は事実上不可能である。
【0008】
従って、画像のシフトはプリンタ側で行うのが好ましい。
【0009】
LBP等の一般的な電子写真方式のプリンタが画像のシフトを行なう場合、大きく別けて2つの方法がある。第1の方法はレンダリングされたイメージ画像をバンド単位で印刷機構本体へ転送する際に画像をシフトする方式である。第2の方法は中間データ生成時もしくはそれをレンダリングする際に画像をシフトする方式である。
【0010】
次にプリンタが画像をシフトする場合の問題点を説明する。第1の方法の場合、主走査方向の画像シフトはその可能な範囲が狭く、範囲を超えると画像の回り込みが発生してしまうと言う問題点がある。第2の方法の場合、中間データの生成処理、及びレンダリング処理はバンド単位に行われるため副走査方向へ画像をシフトすることはできないという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するために本発明ではプリンタが画像シフトを行う場合、それを2つのステップに別けて行う。
【0012】
まず、主走査方向の画像シフトを中間データの生成時または中間データをレンダリングする際に行う。中間データ生成時の画像シフトとはプリンタドライバから送信される描画データの個々の描画位置を主走査方向にずらした中間データを生成することを意味する。また、レンダリング時の画像シフトとは中間データ生成時の画像シフトは行わずに、それをレンダリングする際にバンドメモリ内で主走査方向にずらした位置にイメージ画像を出力するか又はバンドメモリにイメージ画像を出力後にシフトすることを意味する。一般的に中間データ生成処理はソフトウェアで行なわれるが、レンダリング処理はハードウェアで行なわれるシステムも多い。レンダリング処理をハードウェアで行なう場合、レンダリング時に画像をシフトすることができるか否かはそのハードウェアに依存するため、画像のシフトを中間データ生成時に行う方式が汎用的である。
【0013】
次に、副走査方向の画像シフトをイメージ画像を印刷機構本体に転送する際に行う。これはシフト量がマイナスであればビデオ転送の開始タイミングを早め、シフト量がプラスであればビデオ転送の開始タイミングを遅らせることで実現できる。尚、シフト量がバンドの高さよりも大きい場合には先頭または終端の幾つかのバンドは転送する必要はない。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、プリンタドライバがバンド単位で描画データを送り、プリンタはそのバンド単位で中間データを生成し、更にそのバンド単位でイメージデータを生成し、更にそのバンド単位でイメージデータを印刷機構部に転送する印刷システムにおいて、画像シフトの方法を主走査方向と副走査方向とで切り分けることで、任意の画像シフトをプリンタ側で実現することが可能となる。
【0015】
任意の画像シフトをプリンタ側で実現できることにより、プリンタのハードディスクに保存された印刷データを再度印刷する場合等に綴じ代や片面/両面の設定を変更して出力することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明をLBPに適用し、図面を用いて更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
本実施例の構成を説明する前に、本実施例を適用するLBPの構成を図1を参照して説明する。
【0018】
図1は実施例のLBPの内部構造を示す断面図である。
【0019】
図において100はLBP本体であり、このLBPはLAN接続されているコンピュータ(図2の201)から供給される用紙サイズ指定命令、文字印字命令、各種図形描画命令、イメージ描画命令及び色指定命令等に従って対応する文字パターンや図形、イメージ等を作成し、記録媒体である記録用紙上に像を形成する。151は操作のためのスイッチ及びプリンタの状態を表示するLED表示器やLCD表示器等が配されている操作パネル、101はLBP100全体の制御及びコンピュータから供給される文字印字命令等を解析するプリンタ制御ユニットである。
【0020】
尚、本実施例におけるLBPはRGBの色情報をM(マゼンタ)C(シアン)Y(イエロー)K(クロ)に変換し、それらを並列で像形成・現像するため、MCYKそれぞれが像形成・現像機構を持つ。プリンタ制御ユニット101はMCYKそれぞれの印字イメージを生成し、ビデオ信号に変換してMCYKそれぞれのレーザ・ドライバに出力する。
【0021】
M(マゼンタ)のレーザ・ドライバ110は半導体レーザ111を駆動するための回路であり、入力されたビデオ信号に応じて半導体レーザ111から発射されるレーザ光112をオン・オフ切替する。レーザ光112は回転多面鏡113で左右方向に振られて静電ドラム114上を走査する。これにより、静電ドラム114上には文字や図形のパターンの静電潜像が形成される。この潜像は静電ドラム114周囲の現像ユニット(トナーカートリッジ)115によって現像された後、記録用紙に転写される。
【0022】
C(シアン)、Y(イエロー)、K(クロ)に関してもM(マゼンタ)と同様の像形成・現像機構を持ち、120、121、122、123、124、125はC(シアン)用の像形成・現像機構、130、131、132、133、134、135はY(イエロー)用の像形成・現像機構、140、141、142、143、144、145はK(クロ)用の像形成・現像機構である。個々の機能はM(マゼンタ)の像形成・現像機構と同じであるので説明は省略する。
【0023】
記録用紙にはカット・シートを用い、カット・シート記録紙はLBPに装着した給紙トレイ102に収納されバネ103で一定の高さに保たれており、給紙ローラ104及び搬送ローラ105と106とにより装置内に取り込まれ、用紙搬送ベルト107に乗せられてMCYKの各像形成・現像機構を通過する。
【0024】
記録用紙に転写されたMCYKの各トナー(粉末インク)は定着器108で熱と圧力により記録用紙に固定され、記録用紙は搬送ローラ109と150によってLBP本体上部に出力される。
【0025】
図2は図1に示したLBPの制御ユニット101の概略構成を示すブロック図である。
【0026】
このLBPの制御ユニットは、LAN216で接続されているコンピュータ201より送られてきた文字、図形、イメージの各描画命令及び色情報等からなるデータを入力し、ページ単位で文書情報等を印刷するようにしている。202はコンピュータ201と各種情報をやりとりする入出力インターフェース部、203は入出力インターフェース部202を介して入力された各種情報を一時記憶する入力バッファである。204は文字パターン発生器で、文字の幅や高さ等の属性や実際の文字パターンのアドレスが格納されているフォント情報部219、文字パターン自身が格納されている文字パターン部220、及びその読みだし制御プログラムから成る。読みだし制御プログラムはROM217に含まれ、文字コードを入力するとそのコードに対応する文字パターンのアドレスを算出するコード・コンバート機能をも有している。
【0027】
205はRAMで、文字パターン発生器204より出力された文字パターンを記憶するフォント・キャッシュ領域207、コンピュータ201より送られてきた外字フォント及び現在の印字環境等を記憶する記憶領域206を含んでいる。このように、一旦文字パターンに展開したパターン情報をフォント・キャッシュとしてフォント・キャッシュ領域207に記憶しておくことにより、同じ文字を印刷する時に再度同じ文字を復号してパターン展開する必要がなくなるため、文字パターンへの展開が速くなる。
【0028】
208はプリンタの制御ユニット全体を制御するためのCPUで、ROM217に記憶されたCPU208の制御プログラムにより装置全体の制御を行なっている。209は入力データを元に生成される内部的なデータ群である中間バッファである。1ページ分のデータの受信が完了し、それらがよりシンプルな中間データに変換されて中間バッファに蓄えられた後、レンダラ210によりバンド単位でレンダリングされ、各色8ビットのRGB画像としてバンドバッファ211に出力される。
【0029】
バンドバッファに出力されたRGB画像はハーフトーニングプロセッサ212により各色1ビットのMCYK画像に変換され、MCYKの各プレーンに分離されてスプールメモリ213に格納される。スプールメモリ213に格納されたMCYK画像はプレーン毎に圧縮されて保持される。1ページ分の全バンドのデータが格納されると、ページ・プリンタの印刷機構部215が起動される。そしてMCYK画像がプレーン毎に伸長されて出力インターフェース部214でビデオ信号に変換され、プリンタ印字部215に出力される。
【0030】
先に図1を用いて説明したように本実施例におけるLBPではMCYKの像形成・現像を並列で行うため、出力インターフェース部214はM出力インターフェース部、C出力インターフェース部、Y出力インターフェース部、K出力インターフェース部の4つのインターフェース部で構成され、それぞれが独立にスプールメモリ213からプレーン画像を読み出し、ビデオ信号に変換して各プレーンのレーザ・ドライバ110,120,130,140へ出力する。
【0031】
218は一般のEEPROM等で構成する不揮発性メモリであり、以後NVRAM(Non Volatile RAM)と称す。NVRAM218には操作パネル151で指定されるパネル設定値などが記憶される。
【0032】
尚、ROM217にはコンピュータ201から入力されるデータの解析、中間データの生成、印刷機構本体部215の制御プログラム、及びRGB色空間からMCYK色空間への色変換テーブル等も含まれる。
【0033】
221はハードディスクで任意の情報を記録することができ、電源が切断されても情報が失われることはない。
【0034】
図3はページをバンド単位に分割して処理することを説明するための図である。図において300はA4縦サイズの用紙である。本実施例においてはA4縦サイズの用紙はバンド301,302,303,304,305,306の6つの領域に分割されて処理される。
【0035】
ホストコンピュータ201のプリンタドライバは文字、各種図形、イメージ等の描画オブジェクトがその位置と大きさからどのバンドにかかるかを判定し、描画オブジェクトをバンド単位に分割して、更にそれをバンド301,302,303,304,305,306の順にソートする。バンド単位に分割及びソートされた描画オブジェクトは先頭バンドから順にバンド単位で描画コマンドに変換されてプリンタに送信される。
【0036】
ユーザはプリンタドライバのユーザインタフェースから綴じ代の位置と幅を指定することができる。図4はプリンタドライバにおいて綴じ代の設定を行うためのユーザインタフェースである。図において400はホストコンピュータ201の画面に表示されるウィンドウであり、ユーザが綴じ代の設定を行う場合に表示される。401は綴じ代の幅を入力するためのフィールドである。402は綴じ代の位置を指定するための領域であり、綴じ代の位置を用紙の上下左右のいずれかから指定する。ユーザは綴じ代の設定が完了したらボタン403をクリックし、その設定がプリンタに通知される。尚、ボタン404をクリックすれば綴じ代の設定はキャンセルされる。設定された綴じ代の位置と幅の情報は印刷ジョブデータのヘッダとしてプリンタに送信される。例えば図4のように設定された場合にプリンタに送信される綴じ代の位置と幅の情報は次のようになる。
【0037】
Bind−Margin=5.5mm<cr>
Bind−Edge=left<cr>
である。尚、<cr>は16進数の0Dである。
【0038】
図5は中間バッファ209の構成を説明するための図である。ページの生成が開始されるとまず最初に各バンドの中間データの先頭アドレスを保持するために領域が確保される。この領域をページ先頭領域と呼ぶ。図において500は第Nページのページ先頭領域である。ページ生成開始直後はページ先頭領域にはどのバンドの先頭アドレスもセットされておらず、各バンドの中間データが生成されてはじめてページ先頭領域にそのバンドの先頭アドレスがセットされる。各バンドの中間データ領域は必要に応じて適当な大きさの領域が必要に応じて確保され、確保された領域が中間データでいっぱいになるとその領域が拡張される。連続領域として領域を拡張できない場合には新たな領域が確保され、アドレスによるリンクが張られる。その場合の領域の検索は下位アドレスに向かって行なわれ、下位アドレスに空き領域がない場合には中間バッファ209の先頭アドレスから検索される。図5は第Nページの中間データの生成が完了し、第N+1ページの第3バンドの中間データを生成している状態を表している。501,502,503,504,505,506はそれぞれ第Nページに対応するバンド301,302,303,304,305,306の中間データである。第Nページの中間データはバンドバッファ211に空きがあればレンダラ210によりレンダリングされ、レンダリングされたバンドの中間データは解放される状態になる。但し、バンドバッファ211は複数のバンドの画像を保持するだけのメモリは割り当てられておらず、実質的にはスプールメモリ213の空き状態がレンダリングを実行タイミングに影響する。510は第N+1ページのページ先頭領域であり、511,512,513はそれぞれ第N+1ページに対応するバンド301,302,303の中間データである。
【0039】
図6はページ先頭領域の構成を更に詳しく説明するための図である。図において601,602,603,604,605,606はそれぞれ対応するバンド301,302,303,304,305,306の中間データ先頭アドレスの格納領域である。また611,612,613,614,615,616はバンド301,302,303,304,305,306の状態を管理するための領域であり、
0:中間データ生成中
1:中間データ生成完了(レンダリング開始可能)
2:レンダリング完了(中間データは解放可能)
のいずれかの値がセットされる。この状態管理領域はプリンタドライバから送信されるバンド終了通知命令によって生成中のバンドの状態管理領域が1にセットされ、次のバンドの中間データの生成処理に移行する。
【0040】
次にCPU208による1ページ分の中間データの生成処理についてフローチャート図7を参照して説明する。まずステップS701で綴じ代情報を取得する。これは通常印刷時プリンタドライバが印刷ジョブのヘッダ情報として指定した綴じ代位置と幅であるが、ハードディスク221に保存されている印刷ジョブを処理する場合には変更されている場合があり、その場合には変更後の設定値を取得する。また、操作パネル151で設定されNVRAM218に記憶されている補正値もこのステップで読み出される。この補正値は個体差による用紙搬送の誤差を補正するために工場出荷時に設定される。次にステップS702で実際のシフト量を計算する。中間データの生成段階では主走査方向の画像シフトのみを行うため、綴じ代位置が用紙の左辺ならシフト量はプラス、用紙の右辺ならシフト量はマイナスになる。綴じ代位置が用紙の上辺、下辺の場合には綴じ代のための画像シフトはこの段階では行わない。綴じ代のためのシフト量はmmからドットへの変換され、そのドット数に主走査方向の用紙搬送の誤差を補正するために設定されているドット数を加算したものが中間データ生成段階での最終的な画像シフト量となる。シフト量が決定されるとステップS703に進んでコマンドの解析を開始する。まずステップS703で入力バッファメモリ203からデータを読み出し、PDLコマンドの1命令を解析する。そしてステップS704でそれが文字、図形、イメージ等の描画命令であるか否かを判断し、描画命令である場合にはステップS705に進んで描画オブジェクトの位置を補正し、更にステップS706でその描画命令に対応する中間データを生成して中間バッファ209の対象となっているバンドの領域に出力する。そしてステップS703に戻って次のコマンドを解析する。描画コマンドでない場合にはステップS707に進んでそれがバンド終了コマンドであるか否かを判断する。バンド終了コマンドである場合にはステップS708に進んで対象バンドの状態管理領域に1(中間データ生成完了)をセットし、そのバンドの中間データ生成処理を終了する。そしてステップS709に進んでそれがそのページの最終バンドであるか否かを判断し、最終バンドである場合には1ページ分の中間データの生成処理を終了する。最終バンドでない場合にはステップS710に進んで対象バンドを次のバンドに変更してステップS703に戻る。その他の命令である場合にはステップS711でその命令に対応する処理を行なってS703に戻る。これは例えば文字サイズの指定などのコマンドであるが本発明との直接的な関係は無いので説明は省略する。
【0041】
次にレンダリング処理についてフローチャート図8を参照して説明する。レンダリング処理はCPU208によって制御されるレンダラ210によって行なわれる。レンダリング処理は先に説明した中間データの生成処理と並列に行なわれるが中間データの生成処理よりも優先度の高いタスクで行なわれる。このタスクをレンダリングタスクと呼ぶ。レンダリングタスクでは中間バッファ209の状態をポーリングしており、ステップS801でレンダリング可能、即ち状態管理領域に1(中間データ生成完了)がセットされているバンドの有無を調べる。存在しない場合には所定のポーリング間隔で再度判定する。レンダリング可能なバンドが存在する場合にはステップS802に進んでスプールメモリ213に空きがあるか否かを判定する。正常な動作を保証するためにはハーフトーンCMYKのプレーン画像を非圧縮状態で格納できる領域が必要である。但し、実際にはCMYKのプレーン画像は圧縮されるため通常の画像であればその数%程度しか消費されない。スプールメモリ213にCMYKのプレーン画像を非圧縮状態で格納するための空きがない場合には所定のポーリング間隔で再度判定する。スプールメモリ213に空きがある場合にはステップS803に進んでレンダラ210にそのバンドの中間データのアドレスと、バンドバッファ211のアドレスをセットしてレンダリングを実行する。レンダリング結果はRGB画像としてバンドバッファ211に出力される。レンダリングが終了するとステップS804に進んでハーフトーニングプロセッサ212によりCMYK各色2BPPの画像に変換されてスプールメモリ213に出力され、更にプレーン毎に圧縮される。そして最後にステップS805で対象バンドのバンド状態管理領域に2(レンダリング完了)をセットしてステップS801に戻る。
【0042】
次にスプールメモリ213にスプールされていた1ページ分のイメージ画像をバンド毎に印刷機構部215に転送するイメージ転送処理についてフローチャート図9を参照して説明する。尚、ここでの説明はCMYKプレーンのうちのひとつに関するものであり、実際にはこの処理がCMYKの各プレーンに対して行われる。
【0043】
まず最初にステップS901で転送すべき最初のバンドと最後のバンドを決定する。副走査方向の画像シフト量が0である場合には301,302,303,304,305,306の全てのバンドを転送することになるが、例えば綴じ代位置が用紙の上辺に設定されている場合のように画像シフト量がプラス方向であって、それがバンド306の高さ以上である場合にはバンド306は転送する必要はない。更に画像シフト量がバンド305と306の高さの和以上である場合にはバンド305も転送する必要はない。逆に綴じ代位置が用紙の下辺に設定されている場合のように画像シフト量がマイナス方向であって、それがバンド301の高さ以上である場合にはバンド301は転送する必要はない。更に画像シフト量がバンド301と302の高さの和以上である場合にはバンド302も転送する必要はない。ステップS901ではこのように副走査方向の画像シフトの方向その量と、各バンドの高さから転送すべき最初のバンドと最後のバンドを決定する。また、ステップS901では画像シフト量がプラス方向である場合に、最初のバンドの転送を開始するタイミングも決定する。具体的には画像シフト量に相当するだけ転送開始を遅延させることになる。逆に画像シフト量がマイナス方向である場合には、転送すべき最初のバンドに対してそのバンドのどのスキャンラインから転送を開始するかを決定する。また、画像シフト量がプラス方向である場合に転送すべき最後のバンドに対してどのスキャンラインまでを転送するを決定する。これは用紙をはみ出る画像をカットするための処理である。
【0044】
次にステップS902で印刷機構部215に起動をかける。これにより印刷機構部215は用紙搬送ローラや回転多面鏡の回転、及び定着器108の昇温を開始し、これらが印刷可能な状態になると給紙カセット102からの給紙を開始する。次にステップS903に進んで最初のバンドの転送を行う。尚、最初のバンドの転送の開始タイミングとバンドのどのスキャンラインから転送を開始するかはステップS901で決定されている。次に、ステップS904に進んで対象バンド番号を更新し、ステップS905でそれが転送すべき最後のバンドであるか否かを判断する。転送すべき最後のバンドでない場合にはステップS906に進んで対象バンドの転送を行い、ステップS904に戻って対象バンド番号を更新する。転送すべき最後のバンドの場合にはステップS907に進んで最後のバンドの転送を行う。尚、最後のバンドに対してはどのスキャンラインまで転送するかはステップS901で決定されている。
【0045】
尚、スプールメモリ213にバンド毎に格納されている画像は圧縮されているため、ステップS903,S905,S907において画像は伸張され、出力インターフェース部214によって印刷機構部215に転送される。
【0046】
以上説明したように本実施例においては主走査方向の画像シフトは中間データを生成する段階で実現し、副走査方向の画像シフトは画像データを印刷機構部に転送する際に実現する。これにより、プリンタドライバがバンド単位で描画データをプリンタに送り、プリンタはそのバンド単位で中間データの生成、イメージデータの生成、印刷機構部への転送を行う印刷システムにおいて、任意の画像シフトをプリンタ側で実現することが可能となる。
【0047】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用しても良い。また、本発明はシステム或は装置にプログラムを供給することによって実施される場合にも適用できることは言うまでもない。この場合、本発明に係るプログラムを格納した記憶媒体が、本発明を構成することになる。そして、該記憶媒体からそのプログラムをシステム或は装置に読み出すことによって、そのシステム或は装置が、予め定められたし方で動作する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施例を適用する印刷装置の構成を説明する断面図である。
【図2】図1に示した本体の制御構成を説明するブロック図である。
【図3】実施例におけるA4縦用紙のバンド分割を表す図である。
【図4】実施例におけるプリンタドライバにおいて綴じ代の設定を行うためのユーザインタフェースを表す図である。
【図5】実施例における中間バッファ209の構成の1例を示す図である。
【図6】実施例における中間バッファ209内のページ先頭領域の構成を示す図である。
【図7】実施例における中間データの生成処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】実施例におけるレンダリング処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】実施例におけるイメージ転送処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
100 プリンタ本体
101 プリンタ制御ユニット
102 給紙カセット
103 用紙を持ち上げるためのバネ
104 給紙ローラ
105 用紙搬送ローラ
106 用紙搬送ローラ
107 用紙搬送ベルト
108 定着器
109 用紙搬送ローラ
110 レーザ・ドライバ(マゼンタ用)
111 半導体レーザ発射装置(マゼンタ用)
112 レーザ・ビーム(マゼンタ用)
113 回転多面鏡(マゼンタ用)
114 静電ドラム(マゼンタ用)
115 トナーカートリッジ(マゼンタ用)
120 レーザ・ドライバ(シアン用)
121 半導体レーザ発射装置(シアン用)
122 レーザ・ビーム(シアン用)
123 回転多面鏡(シアン用)
124 静電ドラム(シアン用)
125 トナーカートリッジ(シアン用)
130 レーザ・ドライバ(イエロー用)
131 半導体レーザ発射装置(イエロー用)
132 レーザ・ビーム(イエロー用)
133 回転多面鏡(イエロー用)
134 静電ドラム(イエロー用)
135 トナーカートリッジ(イエロー用)
140 レーザ・ドライバ(クロ用)
141 半導体レーザ発射装置(クロ用)
142 レーザ・ビーム(クロ用)
143 回転多面鏡(クロ用)
144 静電ドラム(クロ用)
145 トナーカートリッジ(クロ用)
150 用紙搬送ローラ
151 操作パネル
201 コンピュータ
202 入力インターフェース部
203 入力バッファ
204 文字パターン発生器
205 RAM
206 各種登録データ及び印刷環境等が記憶される記憶領域
207 フォントキャッシュ領域
208 CPU
209 印刷データが蓄積される記憶領域
210 レンダラ
211 バンドバッファ
212 ハーフトーニングプロセッサ
213 スプールメモリ
214 印刷機構部への出力インターフェース部
215 印刷機構部
216 LAN
217 ROM
218 NVRAM
219 フォント情報部
220 文字パターン部
221 ハードディスク
300 A4縦用紙
301 A4縦用紙の第1バンド
302 A4縦用紙の第2バンド
303 A4縦用紙の第3バンド
304 A4縦用紙の第4バンド
305 A4縦用紙の第5バンド
306 A4縦用紙の第6バンド
400 綴じ代設定のためのユーザインターフェースウィンドウ
401 綴じ代幅設定フィールド
402 綴じ代位置指定領域
403 綴じ代設定完了ボタン
404 綴じ代中止ボタン
500 第Nページの中間データのページ先頭領域
501 第Nページ第1バンドの中間データの領域
502 第Nページ第2バンドの中間データの領域
503 第Nページ第3バンドの中間データの領域
504 第Nページ第4バンドの中間データの領域
505 第Nページ第5バンドの中間データの領域
506 第Nページ第6バンドの中間データの領域
510 第N+1ページの中間データのページ先頭領域
511 第N+1ページ第1バンドの中間データの領域
512 第N+1ページ第2バンドの中間データの領域
513 第N+1ページ第3バンドの中間データの領域
601 第Nページ第1バンドの中間データの先頭アドレスを格納する領域
602 第Nページ第2バンドの中間データの先頭アドレスを格納する領域
603 第Nページ第3バンドの中間データの先頭アドレスを格納する領域
604 第Nページ第4バンドの中間データの先頭アドレスを格納する領域
605 第Nページ第5バンドの中間データの先頭アドレスを格納する領域
606 第Nページ第6バンドの中間データの先頭アドレスを格納する領域
611 第Nページ第1バンドの状態管理領域
612 第Nページ第2バンドの状態管理領域
613 第Nページ第3バンドの状態管理領域
614 第Nページ第4バンドの状態管理領域
615 第Nページ第5バンドの状態管理領域
616 第Nページ第6バンドの状態管理領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタドライバはプリンタに対してバンド単位で描画データを送り、プリンタはそのバンド単位で中間データを生成し、更にそのバンド単位でイメージデータを生成し、更にそのバンド単位でイメージデータを印刷機構部に転送する印刷システムであって、
主走査方向の画像シフト量を算出する主走査方向画像シフト量算出手段と、
副走査方向の画像シフト量を算出する副走査方向画像シフト量算出手段と、
主走査方向の画像シフトを行う主走査方向画像シフト手段と、
副走査方向の画像シフトを行う副走査方向画像シフト手段
を備えていることを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
主走査方向の画像シフトはバンド単位で中間データを生成する際に行い、副走査方向の画像シフトはイメージデータを印刷機構部に転送する際に行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
主走査方向の画像シフトはバンド単位でイメージデータを生成する際に行い、副走査方向の画像シフトはイメージデータを印刷機構部に転送する際に行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−244132(P2006−244132A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−58890(P2005−58890)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】