印刷制御装置および印刷制御方法
【課題】絵作りおよび印刷メディアの指定を容易にする。
【解決手段】スキャンボタンが押下されると、UIシートを画像入力し、当該UIシートに対応するスキャン画像データを取得する。UIシートは、紙質が異なる光沢紙または普通紙の2種類の印刷用紙であって、A4と2L版のいずれかのサイズの印刷用紙に対してそれぞれバーコードα1等を印刷することにより形成されている。スキャン画像データには、いずれかのバーコードα1の像が含まれ、当該バーコードα1の像を文字情報にデコードする。その結果、制御部が各印刷条件を指定する指定情報セットPR1〜PR16を取得し、指定情報セットPR1〜PR16に基づいて絵作りや印刷データ(印刷指示)の作成を実行する。
【解決手段】スキャンボタンが押下されると、UIシートを画像入力し、当該UIシートに対応するスキャン画像データを取得する。UIシートは、紙質が異なる光沢紙または普通紙の2種類の印刷用紙であって、A4と2L版のいずれかのサイズの印刷用紙に対してそれぞれバーコードα1等を印刷することにより形成されている。スキャン画像データには、いずれかのバーコードα1の像が含まれ、当該バーコードα1の像を文字情報にデコードする。その結果、制御部が各印刷条件を指定する指定情報セットPR1〜PR16を取得し、指定情報セットPR1〜PR16に基づいて絵作りや印刷データ(印刷指示)の作成を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の印刷指示によって画像データを印刷させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像印刷装置では、より好適な画像を出力するために、画像を出力するに際して様々な補正処理や調整処理が行われている。例えば、画像データの明度やコントラスト、カラーバランスなどを適切に補正してから出力する技術(特許文献1)や、画像の撮影対象に応じて画像をぼかしたり輪郭を際立たせたりすることで、より好印象の画像に補正する技術(特許文献2)などが行われている。また、最近では、画像の撮影時に使用したデジタルカメラの特性情報や撮影時の露光情報などに基づいてその画像の明度や色合いを調整することで、より好適な画像を出力する技術も提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−32827号公報
【特許文献2】特許3319727号公報
【特許文献3】特開2003−032609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、画像データの明度やコントラストやカラーバランス等の画像処理を表すパラメータをユーザーが具体的に指示することは困難であった。すなわち、ユーザーがどのパラメータをどの程度に調整することにより所望の画質を得ることができるのかという知見を持っている必要があった。また、画像処理のパラメータのみならず、ユーザーが印刷を望む印刷用紙の大きさや紙質などを適切に指示することも困難であった。例えば、印刷用紙サイズを指定する際にA4サイズや2L版などとUI画面に表示されていても、実際にユーザーがどのような大きさの紙に印刷されるかを直感的に認識することができないという問題もあった。さらに、印刷用紙の紙質についても、UI画面に表示される紙の名称(光沢紙/普通紙等)と、実際の手触りやかたさや光沢感や重さとを直感的に結び付けることができず、適切な用紙指定ができないという問題があった。
【0005】
本発明は、従来技術が有する上述した課題を解決するためになされたものであり、ユーザーの所望する条件で印刷を実行させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の少なくとも一つを解決するために、例えば原稿台やプラテン上にセットされた印刷指示媒体の画像を受け付ける。これにより、上記印刷指示媒体に関する画像情報を得ることができる。指定情報取得手段は上記の画像入力による画像入力結果から絵作り指定情報を取得し、さらに当該画像から印刷媒体指定情報を取得する。すなわち、上記印刷指示媒体においては上記絵作り指定情報と上記印刷媒体指定情報が示されており、当該印刷指示媒体の画像を受け付けることにより、上記絵作り指定情報と上記印刷媒体指定情報を取得することができる。印刷指示手段は、以上のようにして取得した上記絵作り指定情報と上記印刷媒体指定情報に基づいて印刷対象の画像データに対して画像処理を行うとともに、さらに当該印刷媒体指定情報に基づいて特定した上記印刷媒体に対して印刷させるよう印刷指示を行う。このようにすることにより、ユーザーは所望の上記印刷指示媒体の画像を受け付けさせれば、当該印刷指示媒体が表す上記絵作り指定情報と上記印刷媒体指定情報に応じた印刷を実行させることができる。例えば、上記絵作り指定情報と上記印刷媒体指定情報を示す複数の上記印刷指示媒体をユーザーに予め提供しておく。そして、ユーザーが所望の上記絵作り指定情報と上記印刷媒体指定情報を表す上記印刷指示媒体を選択して、その画像を受け付けさせることにより、所望の画像処理指定と印刷媒体指定にて印刷を実行させることができる。なお、上記画像処理は、ユーザーの趣向等に応じて画像データの明るさや色等を調整する「絵作り」に相当する処理と、上記画像データを印刷装置が取り扱い可能な印刷データに変換する「印刷データ生成」に相当する処理が含まれる。
【0007】
上記印刷指示媒体を画像入力することにより、上記絵作り指定情報と上記印刷媒体指定情報が上記指定情報取得手段によって得られるが、種々の具体的手法によってこれらの情報が得られるようにすることができる。例えば、上記画像入力手段によって上記印刷指示媒体を画像入力することにより、当該印刷指示媒体のサイズを計測し、当該大きさに基づいて上記印刷媒体指定情報としての上記印刷媒体のサイズを特定するようにしてもよい。すなわち、上記印刷指示媒体と同一のサイズの上記印刷媒体に対して上記画像データの印刷が行われるように規定しておけば、ユーザーは印刷したい大きさの上記印刷指示媒体を選択して画像入力させることにより、所望のサイズの上記印刷媒体に対して印刷を行わせることができる。これにより、ユーザーが印刷したい印刷媒体のサイズの名称(例えばA4や2L版等)を知っていなくても、直感的に所望のサイズの上記印刷媒体のサイズを指定することができる。
【0008】
さらに、上記印刷媒体指定情報によって、印刷させたい上記印刷媒体のサイズのみならず、印刷させたい上記印刷媒体の種類を特定するようにしてもよい。この場合も、上記印刷指示媒体と同一の種類の上記印刷媒体に対して上記画像データの印刷が行われるように規定しておけば、ユーザーは印刷したい種類の上記印刷指示媒体を選択して画像入力させることにより、所望の種類の上記印刷媒体に対して印刷を行わせることができる。これにより、ユーザーが印刷したい印刷媒体の種類の名称(例えば光沢紙や普通紙等の紙質等)を知っていなくても、手触りや重さ等によって直感的に所望の種類の上記印刷媒体のサイズを指定することができる。
【0009】
ある印刷装置が印刷を実行することができないような上記絵作り指定情報と上記印刷媒体指定情報によって印刷すべきことが上記印刷指示媒体によって指示される場合も考えられる。この場合、そのままでは印刷を実行することが出来ないような上記印刷指示がなされてしまう。そこで、機種情報取得手段によって印刷を実行させる印刷装置の機種情報を取得し、上記印刷媒体指定情報と上記絵作り指定情報の少なくとも一方と上記機種情報との比較を行う。そして、当該比較の結果に応じて上記印刷指示を修正する。このようにすることにより、印刷を実行させる上記印刷装置の機種情報に適合するように上記印刷指示を修正することができ、当該印刷装置において確実に印刷を実行させることができる。例えば、最大用紙サイズとしてA4サイズまでの印刷が可能の上記印刷装置に印刷を実行させるに際し、上記印刷媒体指定情報にてA3サイズが指定されることも考えられる。この場合、上記機種情報としての最大用紙サイズ(A4)と、上記印刷媒体指定情報としてのA3サイズとを比較し、印刷が不可能なA3サイズを最大限印刷が可能なA4サイズに修正した上記印刷指示を出力することが可能となる。
【0010】
基本的には上記印刷指示媒体が表す上記印刷媒体指定情報と上記絵作り指定情報に基づいて上記印刷指示がなされるが、これらの指定情報が完全にユーザーの意向に合致しないことも考えられる。これに対して、受付手段によって所定のUI表示を行い、当該UI表示にしたがってユーザー等からの指示を受け付けるとともに、当該指示に応じて上記印刷指示を修正する。このようにすることにより、よりユーザーの満足度の高い上記印刷指示をさせることができる。
【0011】
さらに、上記印刷指示媒体が表す上記絵作り指定情報の内容をユーザーが直感的に認識することができるようにするのが望ましい。例えば、上記印刷指示媒体が表す上記絵作り指定情報に基づいて行われる上記画像処理のサンプルが上記印刷指示媒体において視認可能に表されるようにしてもよい。実際に行われる画像処理のサンプルが示されていれば、ユーザーはどのような画像処理が行われるかを直感的に認識することができる。画像処後のサンプルのみを表示してもよいし、画像処理前後のサンプルを対比して表示してもよい。さらに、別の手法として、上記印刷媒体指定情報と上記絵作り指定情報の少なくとも一方を表す文字またはアイコンが上記印刷指示媒体において視認可能に表すようにしてもよい。このようにしても、簡単にユーザーが希望する上記印刷指示媒体を選択することができる。
【0012】
さらに本発明の技術的思想は、印刷制御装置において行われる印刷制御方法においても具現化されることはいうまでもない。また、当該印刷制御方法を実現するための印刷制御プログラムをコンピュータに読み込ませ、所定の機能を実行させることにより、コンピュータを用いて実現することも可能である。さらに、上述した印刷制御装置や印刷制御方法や印刷制御プログラムを一部に有する他の装置や方法やプログラムにおいても、本発明の技術的思想を具現化することができる。例えば、上述した印刷制御装置を一部に含む印刷装置においても本発明の効果を得ることができる。より具体的には、印刷手段を兼ね備えたダイレクトプリンタにおいて本発明が実現されてもよい。また、上述した印刷制御装置や印刷制御方法や印刷制御プログラムが有する手段や工程や機能が複数の装置において分担されて実現されるものであってもよい。例えば、一部の機能がパーソナルコンピュータのプリンタドライバによって実現され、別の一部の機能がプリンタのファームウェアによって実現されてもよい。さらに、上記画像入力手段がカメラ付携帯電話等の別の装置に含まれ、他の手段がパーソナルコンピュータやプリンタにて具現化されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施例の印刷装置の外観形状を示す斜視図である。
【図2】原稿画像を読み込むために印刷装置の上部に設けられた原稿台カバーを開いた様子を示す説明図である。
【図3】スキャナ部の手前側を持ち上げて回転させた様子を示した斜視図である。
【図4】本実施例の印刷装置の内部構成を概念的に示した説明図である。
【図5】各色のインク吐出ヘッドにインク滴を吐出する複数のノズルが形成されている様子を示した説明図である。
【図6】プリンタドライバが印刷を実行する処理(画像印刷処理)の流れを示すフローチャートである。
【図7】条件設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】UIシートを示す図である。
【図9】指定情報セットの一覧を示している。
【図10】絵作り処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】絵作り処理における変換の様子を示す模式図である。
【図12】印刷データ生成処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】ディザマトリックスの一部を拡大して例示した説明図である。
【図14】ディザマトリックスを参照しながら画素毎にドット形成の有無を判断している様子を概念的に示した説明図である。
【図15】第2の変形例にかかる印刷制御システムの構成を概念的に示した説明図である。
【図16】第3の変形例にかかる条件設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】第4の変形例にかかる条件設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】変形例にかかるUIシートを示す図である。
【図19】変形例にかかるUIシートを示す図である。
【図20】変形例にかかるUIシートを示す図である。
【図21】変形例にかかるUIシートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.装置構成:
A−1.全体構成:
A−2.内部構成:
A−2−1.スキャナ部の内部構成:
A−2−2.プリンタ部の内部構成:
B.画像印刷処理:
B−1.条件設定処理:
B−2.絵作り処理:
B−3.印刷データ生成処理:
C.まとめ
D.第1の変形例:
E.第2の変形例:
F.第3の変形例:
G.第4の変形例:
H.UIシートの変形例
【0015】
A.装置構成
A−1.全体構成
図1は、本実施例の印刷装置10の外観形状を示す斜視図である。図示されるように、本実施例の印刷装置10は、スキャナ部100と、プリンタ部200と、スキャナ部100およびプリンタ部200の動作を設定するための操作パネル300などから構成されている。なお、本発明の印刷制御装置の各構成は印刷装置10に含まれており、当該印刷装置10にて本発明の印刷制御方法が具現化される。スキャナ部100は、印刷された画像を読み込んで画像データを生成するスキャナ機能を有しており、プリンタ部200は、画像データを受け取って印刷メディア上に画像を印刷するプリンタ機能を有している。また、スキャナ部100で読み取った画像(原稿画像)をプリンタ部200から出力すれば、コピー機能を実現することも可能である。すなわち、本実施例の印刷装置10は、単独でスキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能を実現可能な、いわゆるスキャナ・プリンタ・コピー複合装置(以下、SPC複合装置という)となっている。
【0016】
図2は、原稿画像を読み込むために、印刷装置10の上部に設けられた原稿台カバー102を開いた様子を示す説明図である。図示されているように、原稿台カバー102を上に開くと、透明な原稿台ガラス104が設けられており、その内部には、スキャナ機能を実現するための後述する各種機構が搭載されている。原稿画像を読み込む際には、図示されているように原稿台カバー102を開いて原稿台ガラス104の上に原稿画像をセットし、原稿台カバー102を閉じてから操作パネル300上のボタンを操作する。こうすれば、原稿画像を直ちに画像データに変換することが可能である。
【0017】
また、スキャナ部100は全体が一体のケース内に収納された構成となっており、スキャナ部100とプリンタ部200とは、印刷装置10の背面側でヒンジ機構204(図3参照)によって結合されている。このため、スキャナ部100の手前側を持ち上げることにより、ヒンジの部分でスキャナ部100のみを回転させることが可能となっている。
【0018】
図3は、スキャナ部100の手前側を持ち上げて回転させた様子を示した斜視図である。図示するように、本実施例の印刷装置10では、スキャナ部100の手前側を持ち上げることで、プリンタ部200の上面を露出させることが可能である。プリンタ部200の内部には、プリンタ機能を実現するための後述する各種機構や、スキャナ部100を含めて印刷装置10全体の動作を制御するための後述する制御回路260、さらには、スキャナ部100やプリンタ部200などに電力を供給するための電源回路(図示は省略)なども設けられている。また、図3に示されているように、プリンタ部200の上面には、開口部202が設けられており、インクカートリッジなどの消耗品の交換や、紙詰まりの処理、その他の軽微な修理などを簡便に行うことが可能となっている。
【0019】
A−2.内部構成
図4は、本実施例の印刷装置10の内部構成を概念的に示した説明図である。前述したように、印刷装置10にはスキャナ部100とプリンタ部200とが設けられており、スキャナ部100の内部にはスキャナ機能を実現するための各種構成が搭載され、プリンタ部200の内部にはプリンタ機能を実現するための各種構成が搭載されている。以下では、初めにスキャナ部100の内部構成について説明し、次いでプリンタ部200の内部構成について説明する。
【0020】
A−2−1.スキャナ部の内部構成
スキャナ部100は、原稿画像をセットする透明な原稿台ガラス104と、セットされた原稿画像を押さえておくための原稿台カバー102と、セットされた原稿画像を読み込む読取キャリッジ110と、読取キャリッジ110を読取方向(読取キャリッジ110が移動する方向、すなわち読取キャリッジ110の主走査方向)に移動させる駆動ベルト120と、駆動ベルト120に動力を供給する駆動モータ122と、読取キャリッジ110の動きをガイドするガイド軸106などから構成されている。また、駆動モータ122や読取キャリッジ110の動作は、後述する制御回路260によって制御されている。
【0021】
制御回路260の制御の下で駆動モータ122を回転させると、駆動ベルト120を介してその動きが読取キャリッジ110に伝達され、その結果、読取キャリッジ110は、ガイド軸106に導かれながら駆動モータ122の回転角度に応じて読取方向(主走査方向)に移動するようになっている。また、駆動ベルト120は、アイドラプーリ124によって絶えず適度に張った状態に調整されており、このため、駆動モータ122を逆回転させれば回転角度に応じた距離だけ読取キャリッジ110を逆方向に移動させることも可能となっている。
【0022】
読取キャリッジ110の内部には、光源112や、レンズ114、ミラー116、CCDセンサ118などが搭載されている。光源112からの光は原稿台ガラス104に照射され、原稿台ガラス104の上にセットされた原稿画像で反射する。この反射光は、ミラー116によってレンズ114に導かれ、レンズ114によって集光されてCCDセンサ118で検出される。CCDセンサ118は、光の強度を電気信号に変換するフォトダイオードが、読取キャリッジ110の移動方向(主走査方向)と直交する方向に列状に配置されたリニアセンサによって構成されている。このため、読取キャリッジ110を主走査方向に移動させながら、光源112の光を原稿画像に照射し、CCD118によって反射光強度を検出することで、原稿画像に対応する電気信号を得ることができる。
【0023】
また、光源112は、RGBの3色の発光ダイオードによって構成されており、所定の周期でR色、G色、B色の光を順次、照射することが可能となっており、これに応じてCCD118では、R色、G色、B色の反射光が順次、検出されるようになっている。一般に、画像の赤色の部分はR色の光を反射するが、G色やB色の光はほとんど反射しないから、R色の反射光は画像のR成分を表している。同様に、G色の反射光は画像のG成分を表しており、B色の反射光は画像のB成分を表している。従って、RGB3色の光を所定の周期で切り替えながら原稿画像に照射し、これに同期してCCD118で反射光強度を検出すれば、原稿画像のR成分、G成分、B成分を検出することができ、カラー画像を読み込むことが可能となっている。なお、光源112が照射する光の色を切り替えている間も読取キャリッジ110は移動しているから、RGBの各成分を検出する画像の位置は、厳密には、読取キャリッジ110の移動量に相当する分だけ異なっているが、このずれは、各成分を読み込んだ後に、画像処理によって補正することが可能である。
【0024】
A−2−2.プリンタ部の内部構成
次に、プリンタ部200の内部構成について説明する。プリンタ部200には、印刷装置10の全体の動作を制御する制御回路260と、印刷メディア上に画像を印刷するための印刷キャリッジ240と、印刷キャリッジ240を主走査方向に移動させる機構と、印刷媒体の紙送りを行うための機構などが搭載されている。
【0025】
印刷キャリッジ240は、Kインクを収納するインクカートリッジ242と、Cインク、Mインク、Yインクの各種インクを収納するインクカートリッジ243と、底面側に設けられた印字ヘッド241などから構成されており、印字ヘッド241には、インク滴を吐出するインク吐出ヘッドがインク毎に設けられている。印刷キャリッジ240にインクカートリッジ242,243を装着すると、カートリッジ内の各インクは図示しない導入管を通じて、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に供給される。
【0026】
印刷キャリッジ240を主走査方向に移動させる機構は、印刷キャリッジ240を駆動するためのキャリッジベルト231と、キャリッジベルト231に動力を供給するキャリッジモータ230と、キャリッジベルト231に絶えず適度な張力を付与しておくための張力プーリ232と、印刷キャリッジ240の動きをガイドするキャリッジガイド233と、印刷キャリッジ240の原点位置を検出する原点位置センサ234などから構成されている。後述する制御回路260の制御の下でキャリッジモータ230を回転させると、回転角度に応じた距離だけ印刷キャリッジ240を主走査方向に移動させることが可能である。また、キャリッジモータ230を逆回転させれば、印刷キャリッジ240を逆方向に移動させることも可能となっている。
【0027】
印刷メディアの紙送りを行うための機構は、印刷メディアを裏面側から支えるプラテン236と、プラテン236を回転させて紙送りを行う紙送りモータ235などから構成されている。後述する制御回路260の制御の下で紙送りモータ235を回転させることで、回転角度に応じた距離だけ印刷メディアを副走査方向に紙送りすることが可能となっている。また、プリンタ部200は複数の用紙トレーを備えており、複数の種類(サイズ)の印刷用紙をセットし、給紙することが可能となっている。例えば、はがき等を給紙するためのカード用トレーと、A4用紙等を給紙するための通常トレーとが備えられており、制御回路260の制御の下で適切な用紙を給紙することが可能となっている。
【0028】
制御回路260は、CPUを中心として、ROMや、RAM、デジタルデータをアナログ信号に変換するD/A変換器、さらには、周辺機器との間でデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェースPIFなどから構成されている。制御回路260は、印刷装置10全体の動作を制御しており、スキャナ部100に搭載された光源112や、駆動モータ122、CCD118とデータをやり取りしながら、これらの動作を制御している。
【0029】
また、制御回路260は、キャリッジモータ230および紙送りモータ235を駆動して印刷キャリッジ240の主走査および副走査を行いながら、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に駆動信号を供給してインク滴を吐出させる制御も行っている。インク吐出ヘッド244ないし247に供給する駆動信号は、コンピュータ30や、デジタルカメラ20、外部記憶装置32などから画像データを読み込んで、後述する画像処理を行うことによって生成する。もちろん、スキャナ部100で読み込んだ画像データに画像処理を施すことにより、駆動信号を生成することも可能である。こうして制御回路260の制御の下で、印刷キャリッジ240を主走査および副走査(紙送り方向。図4を参照のこと)させながら、インク吐出ヘッド244ないし247からインク滴を吐出して印刷メディア上に各色のインクドットを形成することによって、カラー画像を印刷することが可能となっている。もちろん、制御回路260内で画像処理を行うのではなく、画像処理が施されたデータをコンピュータから受け取って、このデータに従って印刷キャリッジ240の主走査および副走査を行いながらインク吐出ヘッド244ないし247を駆動することも可能である。
【0030】
また、制御回路260は、操作パネル300ともデータをやり取り可能に接続されており、操作パネル300上に設けられた各種のボタンを操作することにより、スキャナ機能や、プリンタ機能の詳細な動作モードを設定することが可能となっている。さらには、コンピュータ30から、周辺機器インターフェースPIFを介して詳細な動作モードを設定することも可能である。
【0031】
図5は、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に、インク滴を吐出する複数のノズルNzが形成されている様子を示した説明図である。図示するように、各色のインク吐出ヘッドの底面には、各色のインク滴を吐出する4組のノズル列が形成されており、1のノズル列には、48個のノズルNzがノズルピッチkの間隔を空けて千鳥状に配列されている。制御回路260からは、これらノズルNzのそれぞれに駆動信号が供給され、各ノズルNzは駆動信号に従って、それぞれのインクによるインク滴を吐出するようになっている。
【0032】
以上に説明したように、印刷装置10のプリンタ部200は、インク吐出ノズルに駆動信号を供給し、駆動信号に従ってインク滴を吐出して印刷メディア上にインクドットを形成することによって画像を印刷している。また、インク吐出ノズルを駆動するための制御データは、画像の印刷に先立って、画像データに所定の画像処理を施すことによって生成している。以下では、画像データに画像処理を施して制御データを生成し、得られた制御データに基づいてインクドットを形成することにより画像を印刷する処理について説明する。
【0033】
B.画像印刷処理
図6は、プリンタドライバが印刷を実行する処理(画像印刷処理)の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、印刷装置10に搭載された制御回路260が、内蔵したCPUやRAM、ROMなどの機能を用いて実行する処理である。より具体的には、ROMに記録されたファームウェアプログラムを読み込み、RAMに展開しつつCPUにて実行することにより、画像印刷処理を実行する。以下、図6に示すフローチャートに従って説明する。図6に示されている様に、画像印刷処理を開始すると、まずはじめに、各種の条件設定を行う処理(ステップS100)を実行する。ここでは、これから印刷を実行するにあたり、ユーザーからどのような印刷条件で印刷を行うかの指定を受け付け、当該指定に応じて後に行う「絵作り処理」(ステップS200)および「印刷データ生成処理」(ステップS300)における各種のパラメータを設定する。かかる条件設定処理の詳細については、B−1.節で詳しく説明する。
【0034】
図6に示されている様に、画像印刷処理を開始すると、条件設定処理の後、ユーザーの好みに応じた絵作りを行う「絵作り処理」を実行する(ステップS200)。ここで、「絵作り」とは、画像の出力に際して画像データに対して行われる様々な補正処理や調整処理を意味するものとする。例えば、画像が適切な明るさを有するように補正する明度補正処理や、R、G、Bの各色の割合を調整してより適切な色合いの画像とするホワイトバランス調整処理なども「絵作り」に含まれるものとする。もちろん、こうした一般的な補正処理だけでなく、いわゆる感性に訴えかけるために行われる画像の微妙な調整も、ここで言う「絵作り」に含まれる。
【0035】
こうした絵作りについて、一般的な印刷装置では、できるだけ多くのユーザーに好まれる画像を印刷する為に、いわば万人向けの標準的な絵作りが予め設定されており、その設定に従った絵作りを行って画像を印刷している。しかし、絵作りの好みはユーザーによって多岐に渡る為、ユーザーによっては、より自己の趣向に合致した絵作りで画像を印刷したい場合もある。こうした場合、ユーザーは、PCを起動してフォトレタッチソフトを立ち上げ、画像データに修正を加えた後に画像を印刷するといった煩雑な作業を行わなければならい。また、フォトレタッチソフトを用いる場合でも、絵作りには画像補正や色彩学の高度な知識が要求されるため、一般のユーザーが絵作りを行うことは実際にはそう簡単ではない。さらには、いわゆる感性に訴えかける絵作りとなると、半ば芸術の領域に近く、いかに多機能なフォトレタッチソフトを用いたとしても、所望の絵作りが実現できるわけではない。これに対し、本実施例の「絵作り処理」では、ユーザーの所望の絵作りを簡便に行うことを可能としており、ユーザーは煩雑な作業をすることなく、好みの絵作りの印刷画像を簡便に得ることが可能となっている。かかる絵作り処理の詳細については、B−2.節で詳しく説明する。
【0036】
次いで、絵作り処理が施された画像データをプリンタ部200が取り扱い可能な印刷データに変換する「印刷データ生成処理」を実行する(ステップS300)。なお、印刷データは、具体的にプリンタ部200に対して印刷を指示するデータであり本発明の印刷指示に相当する。印刷データは、印刷対象の画像データに対して解像度変換と色変換とハーフトーン処理とインターレース処理を順次行うことにより生成される。かかる印刷データ生成処理の詳細については、B−3.節で詳しく説明する。
【0037】
図6に示したように、「印刷データ生成処理」を終了すると、生成された印刷データにしたがって、実際に印刷(媒体)メディア上にドットを形成する処理(ドット形成処理)を開始する(ステップS400)。すなわち、キャリッジモータ230を駆動して印刷キャリッジ240を主走査させながら、順番を並び替えておいたドットデータをインク吐出ヘッド244ないし247に供給する。その際に、条件設定処理(ステップS100)において設定された印刷メディアが給紙されるように紙送りモータ235を駆動させる。その結果、インク吐出ヘッド244ないし247からは、印刷データにしたがってインク滴が吐出されて、各画素に適切にドットが形成される。
【0038】
そして、一回の主走査が終了したら、今度は、紙送りモータ235を駆動して印刷メディアを副走査方向に紙送りした後、再びキャリッジモータ230を駆動して印刷キャリッジ240を主走査させつつ、順番を並べ替えておいたドットデータをインク吐出ヘッド244ないし247に供給してドットを形成する。このような操作を繰り返し行うことにより、印刷メディア上には、C,M,Y,Kの各色のドットが画像データの階調値に応じて適切な分布で形成され、その結果として画像が印刷される。
【0039】
B−1.条件設定処理
図7は、上述した条件設定処理の流れを示している。ここでは、操作パネル300に設けられた印刷ボタンの押下を検出する(ステップS110)。印刷ボタンが押下されると、次に操作パネル300上の画面において『印刷したい画像データを選択して、決定ボタンを押してください。』というガイダンス表示を行う(ステップS120)。ここでは、ユーザーに所望の画像データを選択させるべく、操作パネル300上の画面においてデジタルカメラ20や外部記憶装置32に記憶された画像データのリストやサムネイルを表示させる。ユーザーが決定ボタンを押下すると、選択された画像データを制御回路260のRAMに転送する(ステップS130)。次に操作パネル300上の画面において『ご希望のUI(User Interface)シートをセットして、スキャンボタンを押してください。』というガイダンス表示を行う(ステップS140)。なお、UIシートが本発明の印刷指示媒体に相当する。ここでスキャンボタンが押下されると、A−2−1.節における説明と同様の手順でスキャナ部100を制御し、UIシートをスキャン(画像入力)し、当該UIシートの画像入力結果としてのスキャン画像データを取得する(ステップS150)。
【0040】
図8は、UIシートの一例を示している。本実施形態では16種類のUIシートが用意されており、ユーザーはこれらのなかから所望のものを選択し、原稿台ガラス104の上にセットする。以下、UIシートの構成の詳細、および、UIシートの構成の規則を説明する。本実施形態では、紙質が異なる光沢紙または普通紙の2種類の印刷用紙であって、A4と2L版のいずれかのサイズの印刷用紙に対してそれぞれバーコードα1とサンプル画像α2とアイコンα3と文字α4を印刷することにより形成されている。バーコードα1はUIシートごとに固有のものが印刷されている。スキャン画像データには、16種類のUIシートのうちいずれかのバーコードα1の像が含まれることとなるため、スキャン画像データから当該バーコードα1の像を検出し、所定の規則に基づいて文字情報にデコードし、その結果をRAMに記憶させる(ステップS160)。バーコードα1はJANコード等の一次元バーコードであってもよいし、QRコード等の2次元バーコードであってもよい。デコードされた文字情報は、以下に説明する指定情報セットを示す。
【0041】
図9は、各UIシートのバーコードα1が表す指定情報セットの一覧の一例を示している。本実施形態において、16通りの各指定情報セットPR1〜PR16が絵作り指定情報と印刷解像度指定情報と印刷メディア指定情報の組み合わせによって構成されている。さらに、印刷メディア指定情報は用紙サイズ指定と紙質指定とから構成されている。絵作り指定情報は絵作りモード1(明るめ)と絵作りモード2(ハイコントラスト)のいずれかであり、印刷解像度指定情報は高モード(1440×1440dpi)と低モード(720×720dpi)のいずれかとなっている。一方、用紙サイズ指定はA4と2L版のいずれかであり、紙質指定は普通紙と光沢紙のいずれかとなっている。絵作り指定情報と印刷解像度指定情報と用紙サイズ指定と紙質指定のすべての組み合わせることにより、16通りの指定情報セットPR1〜PR16が用意され、それぞれに対応するUIシートが16種類用意されている。
【0042】
なお、A4の用紙サイズ指定を有する各指定情報セットPR1〜PR8を表すバーコードα1はA4の印刷用紙に形成されたUIシートに印刷され、2L版の用紙サイズ指定を有する各指定情報セットPR9〜PR16を表すバーコードα1は2L版の印刷用紙に形成されたUIシートに印刷されるよう規則付けられている。同様に、光沢紙の紙質指定を有する各指定情報セットPR1〜PR4,PR9〜PR12を表すバーコードα1は光沢紙の印刷用紙に形成されたUIシートに印刷され、普通紙の紙質指定を有する各指定情報セットPR5〜PR8,PR13〜PR16を表すバーコードα1は普通紙の印刷用紙に形成されたUIシートに印刷されるよう規則付けられている。
【0043】
ここで、ユーザーは16種類のUIシートのうち所望の指定情報セットPR1〜PR16を表すものを選択することとなる。まず、所望の用紙サイズが指定された指定情報セットPR1〜PR16を表すUIシートを選択するにあたっては、ユーザーは自分が印刷したい印刷メディアと同じ大きさのUIシートを選択すればよい。同様に、所望の紙質が指定された指定情報セットPR1〜PR16を表すUIシートを選択するにあたっても、ユーザーは自分が印刷したい印刷メディアと同じ質感や手触りや重さのUIシートを選択すればよい。すなわち、ユーザーが印刷したい印刷メディアと同じ印刷用紙に形成されたUIシートを選択すればよい。なお、各UIシートでは視認可能に印刷された文字α4によって、バーコードα1が表す指定情報セットPR1〜PR16の印刷用紙の用紙サイズ指定と紙質指定が表わされているため、当該文字α4を見て所望の用紙サイズ指定と紙質指定に対応するUIシートか否かを判断することも可能である。
【0044】
次に、所望の印刷解像度が指定された指定情報セットPR1〜PR16を表すUIシートを選択するにあたっては、ユーザーは視認可能に印刷されたアイコンα3と文字α4を視認することによって適切なUIシートを選択することができる。高モードの印刷解像度指定を含む指定情報セットPR1〜PR2,PR5〜PR6,PR9〜PR10,PR13〜PR14を表すバーコードα1が示されるUIシートにおいては、歩いている人を示すアイコンα3とともに『きれい』と示す文字α4が示されるよう規則付けられている。一方、低モードの印刷解像度指定を含む指定情報セットPR3〜PR4,PR7〜PR8,PR11〜PR12,PR15〜PR16を表すバーコードα1が示されるUIシートにおいては、走っている人を示すアイコンα3とともに『はやい』と示す文字α4が示されるよう規則付けられている。このようにすることにより、ユーザーが文字αの記述とともに、アイコンα3によるイメージによって直感的に所望の印刷解像度指定を含む指定情報セットPR1〜PR16がバーコードα1によって表されたUIシートを選択することができる。
【0045】
次に、所望の絵作り指定情報を含む指定情報セットPR1〜PR16を表すUIシートを選択するにあたっては、ユーザーは視認可能に印刷されたサンプル画像α2と文字α4を視認することによって適切なUIシートを選択することができる。絵作り指定情報が絵作りモード1(明るめ)の指定情報セットPR1,PR3,PR5,PR7,PR9,PR11,PR13,PR15を表すバーコードα1が示されるUIシートにおいては、ある基準の画像を明るくするように補正したサンプル画像α2とともに『明るめ』と示す文字α4が示されるよう規則付けられている。なお、基準の画像を明るくするように補正するにあたっては、後述する絵作り処理におけるトーンカーブTC1を利用して明度補正を行う。
【0046】
絵作り指定情報が絵作りモード2(ハイコントラスト)の指定情報セットPR2,PR4,PR6,PR8,PR10,PR12,PR14,PR16を表すバーコードα1が示されるUIシートにおいては、上述した基準の画像をコントラストを高めるように補正したサンプル画像α2とともに『ハイコントラスト』と示す文字α4が示されるよう規則付けられている。なお、基準の画像をコントラストを高めるように補正するにあたっては、後述する絵作り処理におけるトーンカーブTC2を利用して明度補正を行う。サンプル画像α2は、同一の基準の画像を明るめまたはハイコントラストに補正されているため、ユーザーは両者を比較しながら、どのような絵作りが好みかを直感的に判断することができる。
【0047】
以上のような規則に基づいて用意されたUIシートによれば、直感的に印刷したい条件に適合するUIシートを選択することができる。そして、選択したUIシートをそのまま原稿台ガラス104の上にセットしスキャンを行うことにより、希望に適合した指定情報セットPR1〜PR16を制御回路260に認識させることができる。なお、UIシートをスキャンするスキャナ部100が本発明の画像入力手段に相当する。スキャン画像データにおけるバーコードα1の像から絵作り指定情報と印刷メディア指定情報とを含む指定情報セットPR1〜PR16をデコードする制御回路260が本発明の指定情報取得手段に相当する。以上のようにして指定情報セットPR1〜PR16が得られると、得られた指定情報セットPR1〜PR16をRAMに記憶して、図6のメインフローにおける絵作り処理(ステップS200)の処理を実行する。
【0048】
B−2.絵作り処理
図10は、本実施例の絵作り処理の流れを示したフローチャートである。図示されている様に、絵作り処理では、まず、予めRAMに記憶(ステップS160)しておいた指定情報セットPR1〜PR16を読み出す(ステップS210)。本実施形態では、指定情報セットPR1を表すUIシートがユーザーによって選択されたものとして、以下説明する。指定情報セットPR1を読み出したら、指定情報セットPR1において絵作り指定情報として指定されている絵作り指定(モード1)を取得し、モード1に対応するトーンカーブTC1をROMから読み出す(ステップS220)。そして、読み出したトーンカーブTC1を利用して予めRAMに転送(ステップS130)しておいた印刷対象の画像データに対する変換を実行する(ステップS230)。
【0049】
図11は、絵作り処理における変換(ステップS230)の様子を模式的に示している。先に説明した様に、絵作りは、画像データに補正処理や調整処理を施すことによって行われるので、絵作りは、元の画像データから、別の画像データへの画像変換と考えることができる。従って、絵作りに先立って、元の画像データから絵作りを反映させた画像データへの変換規則を指定する必要がある。本実施形態では、上記の変換規則としてトーンカーブを指定する。図11(a)は、横軸で表される入力値(R、G、Bの各階調値)と、縦軸で表される出力値(R、G、Bの各階調値)とが対応づけられたトーンカーブを示している。
【0050】
同図において示すように、本実施形態では、画像データのR、G、Bの各階調値を例えばスプライン曲線やガンマ曲線によって一様に上方修正することにより明るめの明度補正を行うトーンカーブTC1と、画像データのR、G、Bの各階調値をS字曲線によって修正することによりコントラストを強くする補正を行うトーンカーブTC2とがプリセットされており、これらのいずれかを択一的に適用することが可能となっている。また、指定情報セットPR1〜PR16に含まれる絵作り指定情報のモード1に対してはトーンカーブTC1が対応付けられており、絵作り指定情報のモード2に対してはトーンカーブTC2が対応付けられている。本実施形態では、トーンカーブTC1が読み出されており、トーンカーブTC1を使用して画像データを変換する。
【0051】
また、図11(b)の様に、R、G、Bの各色の階調値(RGB値)で表された画像を、別のRGB値へと変換する変換テーブルCTを設定しておくこともできる。ここで、RGB各色の階調値が0〜255の値を取り得るものとする。また、図11(b)に示すように、直交する3軸にR,G,B各色の階調値を取った色空間を考えると、全てのRGB画像データは、原点を頂点として一辺の長さが255の立方体(色立体)の内部の点に対応付けることができる。これを、見方を変えれば、次のように考えることもできる。すなわち、色立体をRGB各軸に直角に格子状に細分して色空間内に複数の格子点を生成すると、各格子点はRGB画像データを表していると考えることができる。そこで、各格子点(入力値)に、絵作り処理後のR、G、Bの階調値(出力値)の組合せを予め記憶しておけば、格子点に記憶されている階調値を読み出すことで、RGB画像データを、絵作りを反映させた画像データ(RGB画像データ)に変換することが可能となる。
【0052】
例えば、画像データのR成分がRA、G成分がGA、B成分がBAであったとすると、この画像データは、色空間内のA点に対応づけられる(図11(b)参照)。そこで、色立体を格子状に細分する小さな立方体の中から、A点を内包する立方体dVを検出し、この立方体dVの各格子点に記憶されている変換後のRGB各色の階調値を読み出してやる。そして、これら各格子点の階調値から補間演算すればA点での階調値を求めることができる。以上に説明したように、変換テーブルCTとは、絵作り前のRGB各色の階調値の組合せで示される各格子点に、絵作り後のRGB各色の階調値の組合せを記憶した3次元の数表と考えることができ、変換テーブルCTを参照すれば、絵作りに対応する変換を迅速に行うことが可能となる。
【0053】
変換テーブルCTを用意するにあたっては、RGB色空間全体において均等に分布する格子点をトーンカーブTC1とトーンカーブTC2によってそれぞれ変換し、その変換前後の値(入出力値)を記述することにより用意することができる。本実施形態では、2通りのトーンカーブTC1,TC2に対応する2つの変換テーブルCTを用意しておく必要がある。本実施形態ではトーンカーブTC1が指定されており、トーンカーブTC1に基づいて作成された変換テーブルCTを参照して画像データを変換する。以上のようにして絵作り後の画像データが得られると、次に「印刷データ生成処理」(ステップS300)を実行する。なお、絵作り指定情報に基づいて画像処理(ステップS230)する制御回路260は、本発明の印刷指示手段の一部を構成する。
【0054】
B−3.印刷データ生成処理
図12は、印刷データ生成処理の流れを示している。同図において、まず、RAMに記憶(ステップS160)された指定情報セットPR1において印刷メディア指定情報の一つとして指定されている用紙サイズ(A4)と、印刷解像度指定情報(高モード:1440×1440dpi)を取得する(ステップS310)。そして、これらの情報に基づいて印刷対象の画像データの解像度を、プリンタ部200が印刷するための解像度(印刷解像度指定情報が指定する印刷解像度)に変換する処理を行う(ステップS320)。図7のステップS130において読み込んだ画像データの解像度が印刷解像度よりも低い場合は、隣接する画素の間に補間演算を行って新たな画像データを設定することで、より高い解像度に変換する。逆に、読み込んだ画像データの解像度が印刷解像度よりも高い場合は、読み込んだ画像データの隣接する画素の間から一定の割合で画像データを間引くことによって、より低い解像度に変換する。解像度変換処理では、読み込んだ画像データに対して適切な割合で画像データを生成あるいは間引くことによって、読み込んだ解像度を印刷解像度に変換する処理を行う。ここでは、用紙サイズと印刷解像度が得られているため、解像度変換によって変換すべき画像データのサイズ(画素数)を一意に特定することができる。
【0055】
続いて、印刷装置10の制御回路260は、RAMに記憶(ステップS160)された指定情報セットPR1において印刷メディア指定情報の一つとして指定されている紙質(光沢紙)を取得する(ステップS330)。次に、画像データに対して色変換処理を行う(ステップS340)。ここで色変換処理とは、R,G,Bの各色で表現された画像データを、C,M,Y,K各色の階調値によって表現された画像データに変換する処理である。色変換処理は、色変換テーブル(LUT)と呼ばれる3次元の数表を参照することによって行う。この色変換テーブル(LUT)は上述した図11(b)の変換テーブルCTと同様に直交する3軸にR,G,B各色の階調値を取った色空間の格子点について、変換後の値を対応付けた3次元の数表とされている。
【0056】
ただし、色変換テーブル(LUT)においては、各格子点に対して、C,M,Y,Kの階調値の組合せが対応付けられている点で相違している。この色変換テーブル(LUT)を参照して、変換テーブルCTによる変換と同様の手法で変換を行うことにより、RGB画像データをCMYK画像データに迅速に色変換する(ステップS340)。本実施形態においては、2種類の色変換テーブル(LUT)が用意されており、そのいずれかを使用して色変換を行う。色変換テーブル(LUT)の一つは光沢紙に印刷を行うことを想定してC,M,Y,Kの階調値が規定されたものであり、もう一つは普通紙に印刷を行うことを想定してC,M,Y,Kの階調値が規定されたものである。ここにおけるC,M,Y,Kの階調値は、ドット形成処理(ステップS400)にいて印刷用紙上に形成されるCMYKインクドットのインク量に対応していると考えることができる。光沢紙と普通紙は互いにドット形成特性が異なるため、各紙質に応じて専用の色変換テーブル(LUT)を用意しておく必要があるからである。従って、予め取得(ステップS330)した紙質に応じた色変換テーブル(LUT)を選択し、同選択した色変換テーブル(LUT)を参照して色変換(ステップS340)を実行する。
【0057】
制御回路260は、色変換処理を終了すると、ハーフトーン処理を開始する(ステップS350)。ハーフトーン処理とは、次のような処理である。色変換処理によって得られたCMYK画像データは、C,M,Y,Kの各色について階調値0〜階調値255の範囲で表現された画像データである。これに対してプリンタ部200は、ドットを形成することによって画像を印刷するから、256階調によって表現されたCMYK画像データを、ドットの形成有無によって表現された画像データ(ドットデータ)に変換する処理が必要となる。ハーフトーン処理とは、このようにCMYK各色の画像データをドットデータに変換する処理である。
【0058】
ハーフトーン処理を行う手法としては、誤差拡散法やディザ法などの種々の手法を適用することができる。誤差拡散法は、ある画素についてドットの形成有無を判断したことでその画素に発生する階調表現の誤差を、周辺の画素に拡散するとともに、周囲から拡散されてきた誤差を解消するように、各画素についてのドット形成の有無を判断していく手法である。また、ディザ法は、ディザマトリックスにランダムに設定されている閾値とCMYK各色の画像データとを画素毎に比較して、画像データの方が大きい画素にはドットを形成すると判断し、逆に閾値の方が大きい画素についてはドットを形成しないと判断することで、各画素についてのドットデータを得る手法である。ハーフトーン手法としては、誤差拡散法またはディザ法の何れの手法を用いることも可能であるが、本実施例の印刷装置10では、ディザ法を用いてハーフトーン処理を行うものとする。
【0059】
図13は、ディザマトリックスの一部を拡大して例示した説明図である。図示したマトリックスには、縦横それぞれ64画素、合計4096個の画素に、階調値0〜255の範囲から万遍なく選択された閾値がランダムに記憶されている。ここで、閾値の階調値が0〜255の範囲から選択されているのは、本実施例ではCMYK各色の画像データが1バイトデータであり、階調値が0〜255の値を取り得ることに対応するものである。なお、ディザマトリックスの大きさは、図13に例示したように縦横64画素分に限られるものではなく、縦と横の画素数が異なるものも含めて、種々の大きさに設定することが可能である。
【0060】
図14は、ディザマトリックスを参照しながら、画素毎にドット形成の有無を判断している様子を概念的に示した説明図である。なお、かかる判断は、CMYKの各色について行われるが、以下では説明が煩雑となることを避けるために、CMYK各色の画像データを区別することなく、単に画像データと称するものとする。
【0061】
ドット形成有無の判断に際しては、まず、判断の対象として着目している画素(着目画素)についての画像データの階調値と、ディザマトリックス中の対応する位置に記憶されている閾値とを比較する。図中に示した細い破線の矢印は、着目画素の画像データを、ディザマトリックス中の対応する位置に記憶されている閾値と比較していることを模式的に表したものである。そして、ディザマトリックスの閾値よりも着目画素の画像データの方が大きい場合には、その画素にはドットを形成するものと判断する。逆に、ディザマトリックスの閾値の方が大きい場合には、その画素にはドットを形成しないものと判断する。図14に示した例では、画像の左上隅にある画素の画像データは「97」であり、ディザマトリックス上でこの画素に対応する位置に記憶されている閾値は「1」である。従って、左上隅の画素については、画像データの方がディザマトリックスの閾値よりも大きいから、この画素にはドットを形成すると判断する。図14中に実線で示した矢印は、この画素にはドットを形成すると判断して、判断結果をメモリに書き込んでいる様子を模式的に表したものである。
【0062】
一方、この画素の右隣の画素については、画像データは「97」、ディザマトリックスの閾値は「177」であり、閾値の方が大きいので、この画素についてはドットを形成しないものと判断する。このように、画像データとディザマトリックスに設定された閾値とを比較することにより、ドットの形成有無を画素毎に決定することができる。ハーフトーン処理(ステップS350)では、C,M,Y,Kの各色の画像データに対して上述したディザ法を適用することにより、画素毎にドット形成の有無を判断してドットデータを生成する処理を行う。
【0063】
ハーフトーン処理を行ってCMYK各色についてのドットデータを生成したら、今度は、インターレース処理を開始する(ステップS360)。インターレース処理とは、印字ヘッド241がドットを形成する順序でドットデータを並び替えて、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に供給する処理である。すなわち、図5に示したように、インク吐出ヘッド244ないし247に設けられたノズルNzは副走査方向にノズルピッチkの間隔を空けて設けられているから、印刷キャリッジ240を主走査させながらインク滴を吐出すると、副走査方向にノズルピッチkの間隔を空けてドットが形成されてしまう。そこで全画素にドットを形成するためには、印刷キャリッジ240と印刷メディアとの相対位置を副走査方向に移動させて、ノズルピッチkだけ隔たったドット間の画素に新たなドットを形成することが必要となる。このように、実際に画像を印刷する場合には、画像上で上方にある画素から順番にドットを形成しているわけではない。さらに、主走査方向に同じ列にある画素についても、一回の主走査でドットを形成するのではなく、画質上の要請から、複数回の主走査に分けてドットを形成することとして、各回の主走査では飛び飛びの位置の画素にドットを形成することも広く行われている。
【0064】
このため、実際にドットの形成を開始するに先立って、C,M,Y,Kの各色について得られたドットデータを、インク吐出ヘッド244ないし247がドットを形成する順番に並び替えておく処理が必要となる。このような処理が、インターレースと呼ばれる処理である。インターレース処理を終了すると、インターレース処理によって並べ替えられたドットデータを印刷データ(印刷指示)として生成する。この印刷データにはスキャン画像データから読み取った(ステップS160)印刷用紙の指定も添付されるため、上述したドット形成処理(ステップS400)にてユーザーの意図通りの印刷メディアを給紙させることができる。なお、印刷用紙の指定に対応する印刷用紙が給紙トレーにセットされていない場合には、操作パネル300において警告表示を行うようにしてもよい。以上のように、印刷データ生成処理においては、絵作り後の画像データに対して、絵作り指定情報と印刷メディア指定情報とを含む指定情報セットに基づいて画像処理を順次行うことにより、最終的にインターレース処理後の印刷データを生成する。この意味で、印刷データ生成処理を行う制御回路260は、本発明の印刷指示手段の一部を構成する。
【0065】
C.まとめ
本実施形態においては、ユーザーが所望のUIシートを選択してスキャンを実行すれば、当該選択したUIシートと同一のサイズおよび紙質の印刷用紙に画像データを印刷させることができる。同様に、ユーザーが所望のUIシートを選択してスキャンを実行すれば、当該選択したUIシートにおいて表示されているサンプル画像と同様の「絵作り」がなされた画像データを印刷させることができる。ユーザーが直感的に所望のUIシートを選択すればよく、例えば画像処理のパラメータ等を直接指定する必要がない。以上、本実施例の印刷装置について説明したが、本発明は上記すべての実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することができる。
【0066】
以上においては説明の簡略化のため具体的に4個の指定項目からなる指定情報セットPR1〜PR16を表すUIシートを例示したが、UIシートによって指定できる絵作り指定情報と印刷メディア指定情報はこれらに限られるものではない。すなわち、印刷に際して指定すべき条件は他にも多く存在し、これらの条件をUIシートによって指定できるようにしてもよい。例えば、印刷に使用するインクセットの指定や、印刷キャリッジ240の主走査方式(単方向/双方向)や、レイアウト指定(割付指定やフチ指定)や、印刷枚数や、排紙/給紙方式をUIシートによって指定させることもできる。これらの指定情報を含む指定情報セットをバーコードα1にエンコードしてUIシートに印刷しておけば、これらの指定情報にしたがった印刷を実行させることができる。
【0067】
また、以上においては説明の簡略化のため個々の指定項目つき2種類ずつの指定条件を例示したが、実際の印刷装置においてはより多くの条件が指定可能であり、より多くの種類の条件がUIシートによって指定できることが望ましい。例えば、用紙サイズとして、A4/2L版のみならず、A3/B4/B5/レターサイズ/ハガキ/L版/ロール等が指定できるようにしてもよい。同様に、印刷メディアの種類として、光沢紙/普通紙のみならず、マット紙/CDやDVDのディスクレーベル面/シール等が指定できるようにしてもよい。さらに、絵作り指定情報として、シャープネス補正/アンシャープ補正/ノイズ補正/エッジ強調補正/カラーバランス補正/色調補正/赤目補正等が指定できるようにしてもよい。これらの絵作り指定情報は、各補正実行の有無のみならず各補正の程度が指定できるものであってもよいし、単独のみならず複数の補正の有無や程度を組み合わせたものを指定するようにしてもよい。例えば、複数の補正の有無や程度を組み合わせたものをプリセットしておくことにより、ある画家の作風に類似する絵作りがなされるようにしてもよい。
【0068】
上述した実施形態においては、16枚のUIシートを用意しておけば、すべての指定情報セットPR1〜PR16を指定することができる。従って、すべてのUIシートを本発明の機能を備えた印刷装置10に同梱して販売することも可能である。しかしながら、上述したとおり実際の印刷において指定可能な条件は多岐にわたり、それらのすべての組み合わせごとにUIシートを用意すると膨大な数となってしまう。従って、上記実施形態において例示した指定情報セットPR1〜PR16のように基本的な指定情報セットを示すUIシートについては最初から印刷装置10に同梱しておき、別途、応用的な指定情報セットを示すUIシートを配布したり、インターネット上で配布したりするようにしてもよい。印刷装置10は印刷機能を備えるため、インターネットを介してダウンロードしたデータに基づいてUIシートを印刷させることも可能である。例えば、美術館において当該美術館に展示された画家の作風に類似する絵作りが指定されたバーコードα1が印刷されたUIシートを配布したり、当該バーコードα1が印刷可能なデータを電子メールやファイル転送プロトコル等で配布してもよい。また、少なくともバーコードα1が表されていればよいため、指定情報セットを表すバーコードα1を雑誌やフリーペーパーなどに掲載して配布するようにしてもよい。
【0069】
D.第1の変形例
以上においては、バーコードα1によって指定情報セットを構成するすべての指定情報が読み取られるものを例示したが、他の手段によって指定情報が読み取られるようにしてもよい。むろん、一部の指定情報をバーコードによって読み取り、他の指定情報を他の読取手段によって読み取るようにすることもできる。例えば、制御回路260がOCR[Optical Character Recognition]機能を実行可能であり、スキャン画像データに対して文字認識をすることにより指定情報セットが認識されるようにしてもよい。この場合、予め文字が印刷されたUIシートを使用することもできるし、ユーザーが手書きによって条件を指定したUIシートを使用することもできる。
【0070】
さらに、印刷メディア指定情報については、UIシートの物理的特徴を直接計測することにより、読み取ることもできる。例えば、ステップS150で取得したスキャン画像データにおいてUIシートの端部を検出し、当該端部間の距離を計測することにより、UIシートの用紙サイズを計測することができる。スキャン画像データの解像度と上記端部間の画素数を乗算することにより、UIシートの大きさを算出することができる。さらに、スキャナ部100における原稿台ガラス104の付近に光源および光学センサ(国際公開2005/0160048号のパンフレット参照。)を備えさせ、UIシートの正反射光および拡散反射光からなる反射特性を検出するようにしてもよい。この反射特性によれば、UIシートの厚みや光沢や表面粗さや色等の物理的特徴を計測することができ、これらの特徴に基づいて紙質の異なる印刷用紙の種類を読み取ることができる。
【0071】
E.第2の変形例
図15は、第2の変形例にかかる印刷制御システムの構成を示している。同図において、上述した実施形態とほぼ同様の構成を有する印刷装置10に赤外線通信部400が備えられているとともに、当該赤外線通信部400を介して携帯電話50と制御部260とが通信可能となっている。なお、赤外線通信部400は赤外線を受発光可能な素子を備えており、携帯電話50も赤外線通信部400に対応する赤外線通信部を備えている。また、携帯電話50はいわゆるカメラ付き携帯であり、ドットマトリクス状の受光素子を備えたカメラによって画像入力することが可能となっている。
【0072】
かかる構成において、携帯電話50によって図9に示したバーコードα1を撮像し、その撮像画像データを印刷装置10に送信する。そして、印刷装置10の制御部260が、当該撮像画像データに含まれるバーコードα1の像をデコードすることにより指定情報セットPR1〜PR16を判別する。そして、当該指定情報セットPR1〜PR16に基づいて絵作り処理と印刷データ生成処理を実行させる。このようにすることにより、印刷装置10がスキャナ部100を備えない機種であっても、本発明の効果を得ることができる。なお、赤外線通信を介して撮像画像データを送信するものに限られず、携帯電話10がたバーコードα1のデコードを行い、赤外線通信を介してデコードして得られた指定情報セットPR1〜PR16を送信するようにしてもよい。
【0073】
F.第3の変形例
上述した実施形態においては、UIシートをスキャンすると、そのまま印刷が実行され、その間、ユーザーが何ら操作をする必要がない。ところが、指定情報セットPR1〜PR16のいずれかがユーザーの希望に完全に一致しないことも考える場合もある。そのため、上級者にとっては上述した実施形態のように全自動で処理が行われるようにするよりも、半自動で処理が行われるようにした方が好ましい。
【0074】
図16は、第3の変形例にかかる条件設定処理の流れを示している。同図において、UIシートをスキャンして、指定情報セットPR1〜PR16を認識する(ステップS1160)と、次に認識した指定情報セットPR1〜PR16を操作パネル300上の画面に表示させる(ステップS1162)。そして、当該画面において『印刷条件が設定されました。変更しない場合には実行ボタンを押し、変更する場合には変更ボタンを押して下さい。』とのUI表示を行う。そして、実行ボタンの押下が受け付けられた(ステップS1164)場合には、上述した実施形態と同様にバーコードα1から読み取った指定情報セットPR1〜PR16にしたがって絵作り処理と印刷データ生成処理を実行する。
【0075】
一方、変更ボタンの押下が受け付けられた(ステップS1164)場合には、印刷条件の設定画面を表示し、本発明の受付手段としての操作パネル300における操作を受け付ける(ステップS1166)。そして、受け付けられたユーザーの指示に応じて、最初に読み込んだ指定情報セットPR1〜PR16を修正する(ステップS1168)。このようにすることにより、おおまかな設定はUIシートのスキャンによって行いつつ、詳細な設定はユーザーがマニュアルで修正することができる。この場合も、すべての条件を操作パネル300によって行う必要がないため、ユーザーの煩わしさを軽減することができる。
【0076】
G.第4の変形例
図17は、第4の変形例にかかる条件設定処理の流れを示している。同図において、UIシートをスキャンして、指定情報セットPR1〜PR16を認識(ステップS2160)すると、本発明の機種情報取得手段としての制御部260は印刷装置10の機種情報を取得する(ステップS2162)。機種情報は、例えば制御部260のROMに記憶されており、印刷装置10の機種固有の仕様情報を示す。具体的には、印刷装置10にて印刷可能な印刷用紙のサイズ制限や、解像度の制限等の仕様情報が取得される。本変形例では、指定情報セットPR1が取得され、印刷装置10の仕様情報として印刷用紙のサイズ制限が2L版と、解像度の制限が1440×1440dpiと取得されるものとする。
【0077】
次に、制御部260は、指定情報セットPR1と、仕様情報との比較を行い、印刷条件の修正が必要か否かを判定する(ステップS2164)。本変形例では、指定情報セットPR1が示す用紙サイズのA4が、印刷装置10の仕様の制限の2L版を超えているため、修正が必要と判断し、印刷データ生成処理にて指定される印刷用紙のサイズを2L版に修正する(ステップS2166)。一方、指定情報セットPR1が示す印刷解像度の高モードが、印刷装置10の仕様の制限の1440×1440dpiを超えるものでないため、印刷データ生成処理にて指定される解像度を高モードのままとする。さらに、本変形例のように機種情報を取得するようにすれば、UIシートによって具体的な条件を指定するのみならず、抽象的な条件を指定することも可能となる。例えば、印刷解像度を1440×1440dpi等の具体的な数値ではなく、“当該機種で最高の印刷解像度”というように指定し、制御部260が取得した機種情報に基づき当該機種で最高の印刷解像度が設定されるようにしてもよい。
【0078】
H.UIシートの変形例
図18は変形例にかかるUIシートを示している。同図において、例えば名刺サイズの紙にバーコードα1と文字α4のみが表されている。すなわち、本変形例のUIシートにおいてはサンプル画像やアイコンが表されていない。なお、図18において例示するUIシートは上述した実施形態の指定情報セットPR1と同じ条件を指定するものであり、バーコードα1も一致する。そのため、本変形のUIシートのバーコードα1をスキャンした場合も、指定情報セットPR1が制御回路260にて認識される。一方、指定情報セットPR1を構成するすべての指定情報が、UIシートにおいて文字α4によって表されている。そのため、ユーザーは文字α4を読み、所望の条件のUIシートをスキャンさせ、当該条件で印刷を実行させることができる。本変形例のように、最低限の文字α4で指定情報セットを表すようにすれば、UIシートをコンパクトに形成することができる。
【0079】
図19はさらに別の変形例にかかるUIシートを示している。同図において、2系統のUIシートが用意されている。一の系統のUIシートにおいては絵作り指定をするためのサンプル画像α2として風景写真が示されており、他の系統のUIシートにおいてはサンプル画像α2として人物写真が示されている。サンプル画像α2として風景写真が表されたUIシートをスキャンさせることにより、風景写真に適した絵作り(例えば、コントラスト強調やエッジ強調や彩度強調等)が行われるよう制御部260が認識する。一方、サンプル画像α2として人物写真が表されたUIシートをスキャンさせることにより、人物写真に適した絵作り(例えば、赤目補正や逆光補正等)が行われるよう制御部260が認識する。かかる構成において、印刷しようとする画像データに似たようなサンプル画像α2をユーザーが選択することにより、直接絵作りの内容を指定しなくても当該画像データに適した絵作りを実行させることができる。
【0080】
図20はさらに別の変形例にかかるUIシートを示している。同図において、2個のサンプル画像α2a,α2bがUIシート上に並べて印刷されている。なお、図20において例示するUIシートも上述した実施形態の指定情報セットPR1と同じ条件を指定するものであり、バーコードα1も一致する。サンプル画像α2aは基準画像を示しており、サンプル画像α2bは当該基準画像に対して図11に示したトーンカーブTC1を適用することにより生成した画像を示している。すなわち、絵作り処理の前後の画像が対比して示されている。これにより、ユーザーはどの程度の画像処理が当該UIシートをスキャンすることにより実行されるのかを直感的に把握することができる。
【0081】
図21はさらに別の変形例にかかるUIシートを示している。同図において、3個のサンプル画像α2a,α2b,α2cがUIシート上に並べて印刷されている。サンプル画像α2a,α2bは前変形例と同じであり、基準画像と基準画像に対してトーンカーブTC1を適用したものを示している。一方、サンプル画像α2cは、基準画像に対して明度を暗く補正するトーンカーブを適用したものとなっている。すなわち、本変形例において基準画像に対して明るめに補正したものと、暗めに補正したものと、基準画像そのものが並べられている。また、各サンプル画像α2a,α2b,α2cの直下には、それぞれバーコードα1a,α1b,α1cが形成されている。
【0082】
その他にもバーコードα1がUIシートの左上隅に形成されている。左上隅に形成されたバーコードα1からは印刷解像度指定情報と印刷メディア指定情報をデコードして取得することができ、一方、各サンプル画像α2a,α2b,α2cの直下に形成されたバーコードα1a,α1b,α1cからは絵作り指定情報をデコードして取得することができる。かかるUIシートをスキャンさせるにあたっては、ユーザーが望まない絵作りの結果となっているサンプル画像α2a,α2b,α2cの直下のバーコードα1a,α1b,α1cを塗りつぶして、当該バーコードα1a,α1b,α1cを認識不能とさせる。
【0083】
例えば、ユーザーが明るめの補正を希望するのであれば、補正されてないサンプル画像α2aと暗めの補正がされたサンプル画像α2cのそれぞれの直下に形成されたバーコードα1a,α1cを塗りつぶし、認識不能とさせる。これにより、制御部260は明るめの補正を指定するバーコードα1bのみを認識し、トーンカーブTC1を適用すべきことを認識することができる。その他の指定情報は、右上隅に形成されたバーコードα1から取得することができ、一式の指定情報セットPR1によって印刷を実行させることができる。このようにすることにより、絵作りの程度を直感的に比較することができるとともに、択一的な要素を同一のUIシートで指定することができるため、UIシートの必要枚数を低減することができる。なお、バーコードα1a,α1b,α1cを認識不能とする手法は塗りつぶすものに限られず、例えばバーコードα1a,α1b,α1cの部分を切り抜いたり、非透光性のシールで隠したりしてもよい。後者の手法によれば、シールを剥がすことによりUIシートを再利用することもできる。
【符号の説明】
【0084】
10…印刷装置、100…スキャナ部、200…プリンタ部、240…印刷キャリッジ、241…印字ヘッド、242…インクカートリッジ、243…インクカートリッジ、260…制御回路、300…操作パネル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の印刷指示によって画像データを印刷させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像印刷装置では、より好適な画像を出力するために、画像を出力するに際して様々な補正処理や調整処理が行われている。例えば、画像データの明度やコントラスト、カラーバランスなどを適切に補正してから出力する技術(特許文献1)や、画像の撮影対象に応じて画像をぼかしたり輪郭を際立たせたりすることで、より好印象の画像に補正する技術(特許文献2)などが行われている。また、最近では、画像の撮影時に使用したデジタルカメラの特性情報や撮影時の露光情報などに基づいてその画像の明度や色合いを調整することで、より好適な画像を出力する技術も提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−32827号公報
【特許文献2】特許3319727号公報
【特許文献3】特開2003−032609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、画像データの明度やコントラストやカラーバランス等の画像処理を表すパラメータをユーザーが具体的に指示することは困難であった。すなわち、ユーザーがどのパラメータをどの程度に調整することにより所望の画質を得ることができるのかという知見を持っている必要があった。また、画像処理のパラメータのみならず、ユーザーが印刷を望む印刷用紙の大きさや紙質などを適切に指示することも困難であった。例えば、印刷用紙サイズを指定する際にA4サイズや2L版などとUI画面に表示されていても、実際にユーザーがどのような大きさの紙に印刷されるかを直感的に認識することができないという問題もあった。さらに、印刷用紙の紙質についても、UI画面に表示される紙の名称(光沢紙/普通紙等)と、実際の手触りやかたさや光沢感や重さとを直感的に結び付けることができず、適切な用紙指定ができないという問題があった。
【0005】
本発明は、従来技術が有する上述した課題を解決するためになされたものであり、ユーザーの所望する条件で印刷を実行させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の少なくとも一つを解決するために、例えば原稿台やプラテン上にセットされた印刷指示媒体の画像を受け付ける。これにより、上記印刷指示媒体に関する画像情報を得ることができる。指定情報取得手段は上記の画像入力による画像入力結果から絵作り指定情報を取得し、さらに当該画像から印刷媒体指定情報を取得する。すなわち、上記印刷指示媒体においては上記絵作り指定情報と上記印刷媒体指定情報が示されており、当該印刷指示媒体の画像を受け付けることにより、上記絵作り指定情報と上記印刷媒体指定情報を取得することができる。印刷指示手段は、以上のようにして取得した上記絵作り指定情報と上記印刷媒体指定情報に基づいて印刷対象の画像データに対して画像処理を行うとともに、さらに当該印刷媒体指定情報に基づいて特定した上記印刷媒体に対して印刷させるよう印刷指示を行う。このようにすることにより、ユーザーは所望の上記印刷指示媒体の画像を受け付けさせれば、当該印刷指示媒体が表す上記絵作り指定情報と上記印刷媒体指定情報に応じた印刷を実行させることができる。例えば、上記絵作り指定情報と上記印刷媒体指定情報を示す複数の上記印刷指示媒体をユーザーに予め提供しておく。そして、ユーザーが所望の上記絵作り指定情報と上記印刷媒体指定情報を表す上記印刷指示媒体を選択して、その画像を受け付けさせることにより、所望の画像処理指定と印刷媒体指定にて印刷を実行させることができる。なお、上記画像処理は、ユーザーの趣向等に応じて画像データの明るさや色等を調整する「絵作り」に相当する処理と、上記画像データを印刷装置が取り扱い可能な印刷データに変換する「印刷データ生成」に相当する処理が含まれる。
【0007】
上記印刷指示媒体を画像入力することにより、上記絵作り指定情報と上記印刷媒体指定情報が上記指定情報取得手段によって得られるが、種々の具体的手法によってこれらの情報が得られるようにすることができる。例えば、上記画像入力手段によって上記印刷指示媒体を画像入力することにより、当該印刷指示媒体のサイズを計測し、当該大きさに基づいて上記印刷媒体指定情報としての上記印刷媒体のサイズを特定するようにしてもよい。すなわち、上記印刷指示媒体と同一のサイズの上記印刷媒体に対して上記画像データの印刷が行われるように規定しておけば、ユーザーは印刷したい大きさの上記印刷指示媒体を選択して画像入力させることにより、所望のサイズの上記印刷媒体に対して印刷を行わせることができる。これにより、ユーザーが印刷したい印刷媒体のサイズの名称(例えばA4や2L版等)を知っていなくても、直感的に所望のサイズの上記印刷媒体のサイズを指定することができる。
【0008】
さらに、上記印刷媒体指定情報によって、印刷させたい上記印刷媒体のサイズのみならず、印刷させたい上記印刷媒体の種類を特定するようにしてもよい。この場合も、上記印刷指示媒体と同一の種類の上記印刷媒体に対して上記画像データの印刷が行われるように規定しておけば、ユーザーは印刷したい種類の上記印刷指示媒体を選択して画像入力させることにより、所望の種類の上記印刷媒体に対して印刷を行わせることができる。これにより、ユーザーが印刷したい印刷媒体の種類の名称(例えば光沢紙や普通紙等の紙質等)を知っていなくても、手触りや重さ等によって直感的に所望の種類の上記印刷媒体のサイズを指定することができる。
【0009】
ある印刷装置が印刷を実行することができないような上記絵作り指定情報と上記印刷媒体指定情報によって印刷すべきことが上記印刷指示媒体によって指示される場合も考えられる。この場合、そのままでは印刷を実行することが出来ないような上記印刷指示がなされてしまう。そこで、機種情報取得手段によって印刷を実行させる印刷装置の機種情報を取得し、上記印刷媒体指定情報と上記絵作り指定情報の少なくとも一方と上記機種情報との比較を行う。そして、当該比較の結果に応じて上記印刷指示を修正する。このようにすることにより、印刷を実行させる上記印刷装置の機種情報に適合するように上記印刷指示を修正することができ、当該印刷装置において確実に印刷を実行させることができる。例えば、最大用紙サイズとしてA4サイズまでの印刷が可能の上記印刷装置に印刷を実行させるに際し、上記印刷媒体指定情報にてA3サイズが指定されることも考えられる。この場合、上記機種情報としての最大用紙サイズ(A4)と、上記印刷媒体指定情報としてのA3サイズとを比較し、印刷が不可能なA3サイズを最大限印刷が可能なA4サイズに修正した上記印刷指示を出力することが可能となる。
【0010】
基本的には上記印刷指示媒体が表す上記印刷媒体指定情報と上記絵作り指定情報に基づいて上記印刷指示がなされるが、これらの指定情報が完全にユーザーの意向に合致しないことも考えられる。これに対して、受付手段によって所定のUI表示を行い、当該UI表示にしたがってユーザー等からの指示を受け付けるとともに、当該指示に応じて上記印刷指示を修正する。このようにすることにより、よりユーザーの満足度の高い上記印刷指示をさせることができる。
【0011】
さらに、上記印刷指示媒体が表す上記絵作り指定情報の内容をユーザーが直感的に認識することができるようにするのが望ましい。例えば、上記印刷指示媒体が表す上記絵作り指定情報に基づいて行われる上記画像処理のサンプルが上記印刷指示媒体において視認可能に表されるようにしてもよい。実際に行われる画像処理のサンプルが示されていれば、ユーザーはどのような画像処理が行われるかを直感的に認識することができる。画像処後のサンプルのみを表示してもよいし、画像処理前後のサンプルを対比して表示してもよい。さらに、別の手法として、上記印刷媒体指定情報と上記絵作り指定情報の少なくとも一方を表す文字またはアイコンが上記印刷指示媒体において視認可能に表すようにしてもよい。このようにしても、簡単にユーザーが希望する上記印刷指示媒体を選択することができる。
【0012】
さらに本発明の技術的思想は、印刷制御装置において行われる印刷制御方法においても具現化されることはいうまでもない。また、当該印刷制御方法を実現するための印刷制御プログラムをコンピュータに読み込ませ、所定の機能を実行させることにより、コンピュータを用いて実現することも可能である。さらに、上述した印刷制御装置や印刷制御方法や印刷制御プログラムを一部に有する他の装置や方法やプログラムにおいても、本発明の技術的思想を具現化することができる。例えば、上述した印刷制御装置を一部に含む印刷装置においても本発明の効果を得ることができる。より具体的には、印刷手段を兼ね備えたダイレクトプリンタにおいて本発明が実現されてもよい。また、上述した印刷制御装置や印刷制御方法や印刷制御プログラムが有する手段や工程や機能が複数の装置において分担されて実現されるものであってもよい。例えば、一部の機能がパーソナルコンピュータのプリンタドライバによって実現され、別の一部の機能がプリンタのファームウェアによって実現されてもよい。さらに、上記画像入力手段がカメラ付携帯電話等の別の装置に含まれ、他の手段がパーソナルコンピュータやプリンタにて具現化されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施例の印刷装置の外観形状を示す斜視図である。
【図2】原稿画像を読み込むために印刷装置の上部に設けられた原稿台カバーを開いた様子を示す説明図である。
【図3】スキャナ部の手前側を持ち上げて回転させた様子を示した斜視図である。
【図4】本実施例の印刷装置の内部構成を概念的に示した説明図である。
【図5】各色のインク吐出ヘッドにインク滴を吐出する複数のノズルが形成されている様子を示した説明図である。
【図6】プリンタドライバが印刷を実行する処理(画像印刷処理)の流れを示すフローチャートである。
【図7】条件設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】UIシートを示す図である。
【図9】指定情報セットの一覧を示している。
【図10】絵作り処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】絵作り処理における変換の様子を示す模式図である。
【図12】印刷データ生成処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】ディザマトリックスの一部を拡大して例示した説明図である。
【図14】ディザマトリックスを参照しながら画素毎にドット形成の有無を判断している様子を概念的に示した説明図である。
【図15】第2の変形例にかかる印刷制御システムの構成を概念的に示した説明図である。
【図16】第3の変形例にかかる条件設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】第4の変形例にかかる条件設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】変形例にかかるUIシートを示す図である。
【図19】変形例にかかるUIシートを示す図である。
【図20】変形例にかかるUIシートを示す図である。
【図21】変形例にかかるUIシートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.装置構成:
A−1.全体構成:
A−2.内部構成:
A−2−1.スキャナ部の内部構成:
A−2−2.プリンタ部の内部構成:
B.画像印刷処理:
B−1.条件設定処理:
B−2.絵作り処理:
B−3.印刷データ生成処理:
C.まとめ
D.第1の変形例:
E.第2の変形例:
F.第3の変形例:
G.第4の変形例:
H.UIシートの変形例
【0015】
A.装置構成
A−1.全体構成
図1は、本実施例の印刷装置10の外観形状を示す斜視図である。図示されるように、本実施例の印刷装置10は、スキャナ部100と、プリンタ部200と、スキャナ部100およびプリンタ部200の動作を設定するための操作パネル300などから構成されている。なお、本発明の印刷制御装置の各構成は印刷装置10に含まれており、当該印刷装置10にて本発明の印刷制御方法が具現化される。スキャナ部100は、印刷された画像を読み込んで画像データを生成するスキャナ機能を有しており、プリンタ部200は、画像データを受け取って印刷メディア上に画像を印刷するプリンタ機能を有している。また、スキャナ部100で読み取った画像(原稿画像)をプリンタ部200から出力すれば、コピー機能を実現することも可能である。すなわち、本実施例の印刷装置10は、単独でスキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能を実現可能な、いわゆるスキャナ・プリンタ・コピー複合装置(以下、SPC複合装置という)となっている。
【0016】
図2は、原稿画像を読み込むために、印刷装置10の上部に設けられた原稿台カバー102を開いた様子を示す説明図である。図示されているように、原稿台カバー102を上に開くと、透明な原稿台ガラス104が設けられており、その内部には、スキャナ機能を実現するための後述する各種機構が搭載されている。原稿画像を読み込む際には、図示されているように原稿台カバー102を開いて原稿台ガラス104の上に原稿画像をセットし、原稿台カバー102を閉じてから操作パネル300上のボタンを操作する。こうすれば、原稿画像を直ちに画像データに変換することが可能である。
【0017】
また、スキャナ部100は全体が一体のケース内に収納された構成となっており、スキャナ部100とプリンタ部200とは、印刷装置10の背面側でヒンジ機構204(図3参照)によって結合されている。このため、スキャナ部100の手前側を持ち上げることにより、ヒンジの部分でスキャナ部100のみを回転させることが可能となっている。
【0018】
図3は、スキャナ部100の手前側を持ち上げて回転させた様子を示した斜視図である。図示するように、本実施例の印刷装置10では、スキャナ部100の手前側を持ち上げることで、プリンタ部200の上面を露出させることが可能である。プリンタ部200の内部には、プリンタ機能を実現するための後述する各種機構や、スキャナ部100を含めて印刷装置10全体の動作を制御するための後述する制御回路260、さらには、スキャナ部100やプリンタ部200などに電力を供給するための電源回路(図示は省略)なども設けられている。また、図3に示されているように、プリンタ部200の上面には、開口部202が設けられており、インクカートリッジなどの消耗品の交換や、紙詰まりの処理、その他の軽微な修理などを簡便に行うことが可能となっている。
【0019】
A−2.内部構成
図4は、本実施例の印刷装置10の内部構成を概念的に示した説明図である。前述したように、印刷装置10にはスキャナ部100とプリンタ部200とが設けられており、スキャナ部100の内部にはスキャナ機能を実現するための各種構成が搭載され、プリンタ部200の内部にはプリンタ機能を実現するための各種構成が搭載されている。以下では、初めにスキャナ部100の内部構成について説明し、次いでプリンタ部200の内部構成について説明する。
【0020】
A−2−1.スキャナ部の内部構成
スキャナ部100は、原稿画像をセットする透明な原稿台ガラス104と、セットされた原稿画像を押さえておくための原稿台カバー102と、セットされた原稿画像を読み込む読取キャリッジ110と、読取キャリッジ110を読取方向(読取キャリッジ110が移動する方向、すなわち読取キャリッジ110の主走査方向)に移動させる駆動ベルト120と、駆動ベルト120に動力を供給する駆動モータ122と、読取キャリッジ110の動きをガイドするガイド軸106などから構成されている。また、駆動モータ122や読取キャリッジ110の動作は、後述する制御回路260によって制御されている。
【0021】
制御回路260の制御の下で駆動モータ122を回転させると、駆動ベルト120を介してその動きが読取キャリッジ110に伝達され、その結果、読取キャリッジ110は、ガイド軸106に導かれながら駆動モータ122の回転角度に応じて読取方向(主走査方向)に移動するようになっている。また、駆動ベルト120は、アイドラプーリ124によって絶えず適度に張った状態に調整されており、このため、駆動モータ122を逆回転させれば回転角度に応じた距離だけ読取キャリッジ110を逆方向に移動させることも可能となっている。
【0022】
読取キャリッジ110の内部には、光源112や、レンズ114、ミラー116、CCDセンサ118などが搭載されている。光源112からの光は原稿台ガラス104に照射され、原稿台ガラス104の上にセットされた原稿画像で反射する。この反射光は、ミラー116によってレンズ114に導かれ、レンズ114によって集光されてCCDセンサ118で検出される。CCDセンサ118は、光の強度を電気信号に変換するフォトダイオードが、読取キャリッジ110の移動方向(主走査方向)と直交する方向に列状に配置されたリニアセンサによって構成されている。このため、読取キャリッジ110を主走査方向に移動させながら、光源112の光を原稿画像に照射し、CCD118によって反射光強度を検出することで、原稿画像に対応する電気信号を得ることができる。
【0023】
また、光源112は、RGBの3色の発光ダイオードによって構成されており、所定の周期でR色、G色、B色の光を順次、照射することが可能となっており、これに応じてCCD118では、R色、G色、B色の反射光が順次、検出されるようになっている。一般に、画像の赤色の部分はR色の光を反射するが、G色やB色の光はほとんど反射しないから、R色の反射光は画像のR成分を表している。同様に、G色の反射光は画像のG成分を表しており、B色の反射光は画像のB成分を表している。従って、RGB3色の光を所定の周期で切り替えながら原稿画像に照射し、これに同期してCCD118で反射光強度を検出すれば、原稿画像のR成分、G成分、B成分を検出することができ、カラー画像を読み込むことが可能となっている。なお、光源112が照射する光の色を切り替えている間も読取キャリッジ110は移動しているから、RGBの各成分を検出する画像の位置は、厳密には、読取キャリッジ110の移動量に相当する分だけ異なっているが、このずれは、各成分を読み込んだ後に、画像処理によって補正することが可能である。
【0024】
A−2−2.プリンタ部の内部構成
次に、プリンタ部200の内部構成について説明する。プリンタ部200には、印刷装置10の全体の動作を制御する制御回路260と、印刷メディア上に画像を印刷するための印刷キャリッジ240と、印刷キャリッジ240を主走査方向に移動させる機構と、印刷媒体の紙送りを行うための機構などが搭載されている。
【0025】
印刷キャリッジ240は、Kインクを収納するインクカートリッジ242と、Cインク、Mインク、Yインクの各種インクを収納するインクカートリッジ243と、底面側に設けられた印字ヘッド241などから構成されており、印字ヘッド241には、インク滴を吐出するインク吐出ヘッドがインク毎に設けられている。印刷キャリッジ240にインクカートリッジ242,243を装着すると、カートリッジ内の各インクは図示しない導入管を通じて、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に供給される。
【0026】
印刷キャリッジ240を主走査方向に移動させる機構は、印刷キャリッジ240を駆動するためのキャリッジベルト231と、キャリッジベルト231に動力を供給するキャリッジモータ230と、キャリッジベルト231に絶えず適度な張力を付与しておくための張力プーリ232と、印刷キャリッジ240の動きをガイドするキャリッジガイド233と、印刷キャリッジ240の原点位置を検出する原点位置センサ234などから構成されている。後述する制御回路260の制御の下でキャリッジモータ230を回転させると、回転角度に応じた距離だけ印刷キャリッジ240を主走査方向に移動させることが可能である。また、キャリッジモータ230を逆回転させれば、印刷キャリッジ240を逆方向に移動させることも可能となっている。
【0027】
印刷メディアの紙送りを行うための機構は、印刷メディアを裏面側から支えるプラテン236と、プラテン236を回転させて紙送りを行う紙送りモータ235などから構成されている。後述する制御回路260の制御の下で紙送りモータ235を回転させることで、回転角度に応じた距離だけ印刷メディアを副走査方向に紙送りすることが可能となっている。また、プリンタ部200は複数の用紙トレーを備えており、複数の種類(サイズ)の印刷用紙をセットし、給紙することが可能となっている。例えば、はがき等を給紙するためのカード用トレーと、A4用紙等を給紙するための通常トレーとが備えられており、制御回路260の制御の下で適切な用紙を給紙することが可能となっている。
【0028】
制御回路260は、CPUを中心として、ROMや、RAM、デジタルデータをアナログ信号に変換するD/A変換器、さらには、周辺機器との間でデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェースPIFなどから構成されている。制御回路260は、印刷装置10全体の動作を制御しており、スキャナ部100に搭載された光源112や、駆動モータ122、CCD118とデータをやり取りしながら、これらの動作を制御している。
【0029】
また、制御回路260は、キャリッジモータ230および紙送りモータ235を駆動して印刷キャリッジ240の主走査および副走査を行いながら、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に駆動信号を供給してインク滴を吐出させる制御も行っている。インク吐出ヘッド244ないし247に供給する駆動信号は、コンピュータ30や、デジタルカメラ20、外部記憶装置32などから画像データを読み込んで、後述する画像処理を行うことによって生成する。もちろん、スキャナ部100で読み込んだ画像データに画像処理を施すことにより、駆動信号を生成することも可能である。こうして制御回路260の制御の下で、印刷キャリッジ240を主走査および副走査(紙送り方向。図4を参照のこと)させながら、インク吐出ヘッド244ないし247からインク滴を吐出して印刷メディア上に各色のインクドットを形成することによって、カラー画像を印刷することが可能となっている。もちろん、制御回路260内で画像処理を行うのではなく、画像処理が施されたデータをコンピュータから受け取って、このデータに従って印刷キャリッジ240の主走査および副走査を行いながらインク吐出ヘッド244ないし247を駆動することも可能である。
【0030】
また、制御回路260は、操作パネル300ともデータをやり取り可能に接続されており、操作パネル300上に設けられた各種のボタンを操作することにより、スキャナ機能や、プリンタ機能の詳細な動作モードを設定することが可能となっている。さらには、コンピュータ30から、周辺機器インターフェースPIFを介して詳細な動作モードを設定することも可能である。
【0031】
図5は、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に、インク滴を吐出する複数のノズルNzが形成されている様子を示した説明図である。図示するように、各色のインク吐出ヘッドの底面には、各色のインク滴を吐出する4組のノズル列が形成されており、1のノズル列には、48個のノズルNzがノズルピッチkの間隔を空けて千鳥状に配列されている。制御回路260からは、これらノズルNzのそれぞれに駆動信号が供給され、各ノズルNzは駆動信号に従って、それぞれのインクによるインク滴を吐出するようになっている。
【0032】
以上に説明したように、印刷装置10のプリンタ部200は、インク吐出ノズルに駆動信号を供給し、駆動信号に従ってインク滴を吐出して印刷メディア上にインクドットを形成することによって画像を印刷している。また、インク吐出ノズルを駆動するための制御データは、画像の印刷に先立って、画像データに所定の画像処理を施すことによって生成している。以下では、画像データに画像処理を施して制御データを生成し、得られた制御データに基づいてインクドットを形成することにより画像を印刷する処理について説明する。
【0033】
B.画像印刷処理
図6は、プリンタドライバが印刷を実行する処理(画像印刷処理)の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、印刷装置10に搭載された制御回路260が、内蔵したCPUやRAM、ROMなどの機能を用いて実行する処理である。より具体的には、ROMに記録されたファームウェアプログラムを読み込み、RAMに展開しつつCPUにて実行することにより、画像印刷処理を実行する。以下、図6に示すフローチャートに従って説明する。図6に示されている様に、画像印刷処理を開始すると、まずはじめに、各種の条件設定を行う処理(ステップS100)を実行する。ここでは、これから印刷を実行するにあたり、ユーザーからどのような印刷条件で印刷を行うかの指定を受け付け、当該指定に応じて後に行う「絵作り処理」(ステップS200)および「印刷データ生成処理」(ステップS300)における各種のパラメータを設定する。かかる条件設定処理の詳細については、B−1.節で詳しく説明する。
【0034】
図6に示されている様に、画像印刷処理を開始すると、条件設定処理の後、ユーザーの好みに応じた絵作りを行う「絵作り処理」を実行する(ステップS200)。ここで、「絵作り」とは、画像の出力に際して画像データに対して行われる様々な補正処理や調整処理を意味するものとする。例えば、画像が適切な明るさを有するように補正する明度補正処理や、R、G、Bの各色の割合を調整してより適切な色合いの画像とするホワイトバランス調整処理なども「絵作り」に含まれるものとする。もちろん、こうした一般的な補正処理だけでなく、いわゆる感性に訴えかけるために行われる画像の微妙な調整も、ここで言う「絵作り」に含まれる。
【0035】
こうした絵作りについて、一般的な印刷装置では、できるだけ多くのユーザーに好まれる画像を印刷する為に、いわば万人向けの標準的な絵作りが予め設定されており、その設定に従った絵作りを行って画像を印刷している。しかし、絵作りの好みはユーザーによって多岐に渡る為、ユーザーによっては、より自己の趣向に合致した絵作りで画像を印刷したい場合もある。こうした場合、ユーザーは、PCを起動してフォトレタッチソフトを立ち上げ、画像データに修正を加えた後に画像を印刷するといった煩雑な作業を行わなければならい。また、フォトレタッチソフトを用いる場合でも、絵作りには画像補正や色彩学の高度な知識が要求されるため、一般のユーザーが絵作りを行うことは実際にはそう簡単ではない。さらには、いわゆる感性に訴えかける絵作りとなると、半ば芸術の領域に近く、いかに多機能なフォトレタッチソフトを用いたとしても、所望の絵作りが実現できるわけではない。これに対し、本実施例の「絵作り処理」では、ユーザーの所望の絵作りを簡便に行うことを可能としており、ユーザーは煩雑な作業をすることなく、好みの絵作りの印刷画像を簡便に得ることが可能となっている。かかる絵作り処理の詳細については、B−2.節で詳しく説明する。
【0036】
次いで、絵作り処理が施された画像データをプリンタ部200が取り扱い可能な印刷データに変換する「印刷データ生成処理」を実行する(ステップS300)。なお、印刷データは、具体的にプリンタ部200に対して印刷を指示するデータであり本発明の印刷指示に相当する。印刷データは、印刷対象の画像データに対して解像度変換と色変換とハーフトーン処理とインターレース処理を順次行うことにより生成される。かかる印刷データ生成処理の詳細については、B−3.節で詳しく説明する。
【0037】
図6に示したように、「印刷データ生成処理」を終了すると、生成された印刷データにしたがって、実際に印刷(媒体)メディア上にドットを形成する処理(ドット形成処理)を開始する(ステップS400)。すなわち、キャリッジモータ230を駆動して印刷キャリッジ240を主走査させながら、順番を並び替えておいたドットデータをインク吐出ヘッド244ないし247に供給する。その際に、条件設定処理(ステップS100)において設定された印刷メディアが給紙されるように紙送りモータ235を駆動させる。その結果、インク吐出ヘッド244ないし247からは、印刷データにしたがってインク滴が吐出されて、各画素に適切にドットが形成される。
【0038】
そして、一回の主走査が終了したら、今度は、紙送りモータ235を駆動して印刷メディアを副走査方向に紙送りした後、再びキャリッジモータ230を駆動して印刷キャリッジ240を主走査させつつ、順番を並べ替えておいたドットデータをインク吐出ヘッド244ないし247に供給してドットを形成する。このような操作を繰り返し行うことにより、印刷メディア上には、C,M,Y,Kの各色のドットが画像データの階調値に応じて適切な分布で形成され、その結果として画像が印刷される。
【0039】
B−1.条件設定処理
図7は、上述した条件設定処理の流れを示している。ここでは、操作パネル300に設けられた印刷ボタンの押下を検出する(ステップS110)。印刷ボタンが押下されると、次に操作パネル300上の画面において『印刷したい画像データを選択して、決定ボタンを押してください。』というガイダンス表示を行う(ステップS120)。ここでは、ユーザーに所望の画像データを選択させるべく、操作パネル300上の画面においてデジタルカメラ20や外部記憶装置32に記憶された画像データのリストやサムネイルを表示させる。ユーザーが決定ボタンを押下すると、選択された画像データを制御回路260のRAMに転送する(ステップS130)。次に操作パネル300上の画面において『ご希望のUI(User Interface)シートをセットして、スキャンボタンを押してください。』というガイダンス表示を行う(ステップS140)。なお、UIシートが本発明の印刷指示媒体に相当する。ここでスキャンボタンが押下されると、A−2−1.節における説明と同様の手順でスキャナ部100を制御し、UIシートをスキャン(画像入力)し、当該UIシートの画像入力結果としてのスキャン画像データを取得する(ステップS150)。
【0040】
図8は、UIシートの一例を示している。本実施形態では16種類のUIシートが用意されており、ユーザーはこれらのなかから所望のものを選択し、原稿台ガラス104の上にセットする。以下、UIシートの構成の詳細、および、UIシートの構成の規則を説明する。本実施形態では、紙質が異なる光沢紙または普通紙の2種類の印刷用紙であって、A4と2L版のいずれかのサイズの印刷用紙に対してそれぞれバーコードα1とサンプル画像α2とアイコンα3と文字α4を印刷することにより形成されている。バーコードα1はUIシートごとに固有のものが印刷されている。スキャン画像データには、16種類のUIシートのうちいずれかのバーコードα1の像が含まれることとなるため、スキャン画像データから当該バーコードα1の像を検出し、所定の規則に基づいて文字情報にデコードし、その結果をRAMに記憶させる(ステップS160)。バーコードα1はJANコード等の一次元バーコードであってもよいし、QRコード等の2次元バーコードであってもよい。デコードされた文字情報は、以下に説明する指定情報セットを示す。
【0041】
図9は、各UIシートのバーコードα1が表す指定情報セットの一覧の一例を示している。本実施形態において、16通りの各指定情報セットPR1〜PR16が絵作り指定情報と印刷解像度指定情報と印刷メディア指定情報の組み合わせによって構成されている。さらに、印刷メディア指定情報は用紙サイズ指定と紙質指定とから構成されている。絵作り指定情報は絵作りモード1(明るめ)と絵作りモード2(ハイコントラスト)のいずれかであり、印刷解像度指定情報は高モード(1440×1440dpi)と低モード(720×720dpi)のいずれかとなっている。一方、用紙サイズ指定はA4と2L版のいずれかであり、紙質指定は普通紙と光沢紙のいずれかとなっている。絵作り指定情報と印刷解像度指定情報と用紙サイズ指定と紙質指定のすべての組み合わせることにより、16通りの指定情報セットPR1〜PR16が用意され、それぞれに対応するUIシートが16種類用意されている。
【0042】
なお、A4の用紙サイズ指定を有する各指定情報セットPR1〜PR8を表すバーコードα1はA4の印刷用紙に形成されたUIシートに印刷され、2L版の用紙サイズ指定を有する各指定情報セットPR9〜PR16を表すバーコードα1は2L版の印刷用紙に形成されたUIシートに印刷されるよう規則付けられている。同様に、光沢紙の紙質指定を有する各指定情報セットPR1〜PR4,PR9〜PR12を表すバーコードα1は光沢紙の印刷用紙に形成されたUIシートに印刷され、普通紙の紙質指定を有する各指定情報セットPR5〜PR8,PR13〜PR16を表すバーコードα1は普通紙の印刷用紙に形成されたUIシートに印刷されるよう規則付けられている。
【0043】
ここで、ユーザーは16種類のUIシートのうち所望の指定情報セットPR1〜PR16を表すものを選択することとなる。まず、所望の用紙サイズが指定された指定情報セットPR1〜PR16を表すUIシートを選択するにあたっては、ユーザーは自分が印刷したい印刷メディアと同じ大きさのUIシートを選択すればよい。同様に、所望の紙質が指定された指定情報セットPR1〜PR16を表すUIシートを選択するにあたっても、ユーザーは自分が印刷したい印刷メディアと同じ質感や手触りや重さのUIシートを選択すればよい。すなわち、ユーザーが印刷したい印刷メディアと同じ印刷用紙に形成されたUIシートを選択すればよい。なお、各UIシートでは視認可能に印刷された文字α4によって、バーコードα1が表す指定情報セットPR1〜PR16の印刷用紙の用紙サイズ指定と紙質指定が表わされているため、当該文字α4を見て所望の用紙サイズ指定と紙質指定に対応するUIシートか否かを判断することも可能である。
【0044】
次に、所望の印刷解像度が指定された指定情報セットPR1〜PR16を表すUIシートを選択するにあたっては、ユーザーは視認可能に印刷されたアイコンα3と文字α4を視認することによって適切なUIシートを選択することができる。高モードの印刷解像度指定を含む指定情報セットPR1〜PR2,PR5〜PR6,PR9〜PR10,PR13〜PR14を表すバーコードα1が示されるUIシートにおいては、歩いている人を示すアイコンα3とともに『きれい』と示す文字α4が示されるよう規則付けられている。一方、低モードの印刷解像度指定を含む指定情報セットPR3〜PR4,PR7〜PR8,PR11〜PR12,PR15〜PR16を表すバーコードα1が示されるUIシートにおいては、走っている人を示すアイコンα3とともに『はやい』と示す文字α4が示されるよう規則付けられている。このようにすることにより、ユーザーが文字αの記述とともに、アイコンα3によるイメージによって直感的に所望の印刷解像度指定を含む指定情報セットPR1〜PR16がバーコードα1によって表されたUIシートを選択することができる。
【0045】
次に、所望の絵作り指定情報を含む指定情報セットPR1〜PR16を表すUIシートを選択するにあたっては、ユーザーは視認可能に印刷されたサンプル画像α2と文字α4を視認することによって適切なUIシートを選択することができる。絵作り指定情報が絵作りモード1(明るめ)の指定情報セットPR1,PR3,PR5,PR7,PR9,PR11,PR13,PR15を表すバーコードα1が示されるUIシートにおいては、ある基準の画像を明るくするように補正したサンプル画像α2とともに『明るめ』と示す文字α4が示されるよう規則付けられている。なお、基準の画像を明るくするように補正するにあたっては、後述する絵作り処理におけるトーンカーブTC1を利用して明度補正を行う。
【0046】
絵作り指定情報が絵作りモード2(ハイコントラスト)の指定情報セットPR2,PR4,PR6,PR8,PR10,PR12,PR14,PR16を表すバーコードα1が示されるUIシートにおいては、上述した基準の画像をコントラストを高めるように補正したサンプル画像α2とともに『ハイコントラスト』と示す文字α4が示されるよう規則付けられている。なお、基準の画像をコントラストを高めるように補正するにあたっては、後述する絵作り処理におけるトーンカーブTC2を利用して明度補正を行う。サンプル画像α2は、同一の基準の画像を明るめまたはハイコントラストに補正されているため、ユーザーは両者を比較しながら、どのような絵作りが好みかを直感的に判断することができる。
【0047】
以上のような規則に基づいて用意されたUIシートによれば、直感的に印刷したい条件に適合するUIシートを選択することができる。そして、選択したUIシートをそのまま原稿台ガラス104の上にセットしスキャンを行うことにより、希望に適合した指定情報セットPR1〜PR16を制御回路260に認識させることができる。なお、UIシートをスキャンするスキャナ部100が本発明の画像入力手段に相当する。スキャン画像データにおけるバーコードα1の像から絵作り指定情報と印刷メディア指定情報とを含む指定情報セットPR1〜PR16をデコードする制御回路260が本発明の指定情報取得手段に相当する。以上のようにして指定情報セットPR1〜PR16が得られると、得られた指定情報セットPR1〜PR16をRAMに記憶して、図6のメインフローにおける絵作り処理(ステップS200)の処理を実行する。
【0048】
B−2.絵作り処理
図10は、本実施例の絵作り処理の流れを示したフローチャートである。図示されている様に、絵作り処理では、まず、予めRAMに記憶(ステップS160)しておいた指定情報セットPR1〜PR16を読み出す(ステップS210)。本実施形態では、指定情報セットPR1を表すUIシートがユーザーによって選択されたものとして、以下説明する。指定情報セットPR1を読み出したら、指定情報セットPR1において絵作り指定情報として指定されている絵作り指定(モード1)を取得し、モード1に対応するトーンカーブTC1をROMから読み出す(ステップS220)。そして、読み出したトーンカーブTC1を利用して予めRAMに転送(ステップS130)しておいた印刷対象の画像データに対する変換を実行する(ステップS230)。
【0049】
図11は、絵作り処理における変換(ステップS230)の様子を模式的に示している。先に説明した様に、絵作りは、画像データに補正処理や調整処理を施すことによって行われるので、絵作りは、元の画像データから、別の画像データへの画像変換と考えることができる。従って、絵作りに先立って、元の画像データから絵作りを反映させた画像データへの変換規則を指定する必要がある。本実施形態では、上記の変換規則としてトーンカーブを指定する。図11(a)は、横軸で表される入力値(R、G、Bの各階調値)と、縦軸で表される出力値(R、G、Bの各階調値)とが対応づけられたトーンカーブを示している。
【0050】
同図において示すように、本実施形態では、画像データのR、G、Bの各階調値を例えばスプライン曲線やガンマ曲線によって一様に上方修正することにより明るめの明度補正を行うトーンカーブTC1と、画像データのR、G、Bの各階調値をS字曲線によって修正することによりコントラストを強くする補正を行うトーンカーブTC2とがプリセットされており、これらのいずれかを択一的に適用することが可能となっている。また、指定情報セットPR1〜PR16に含まれる絵作り指定情報のモード1に対してはトーンカーブTC1が対応付けられており、絵作り指定情報のモード2に対してはトーンカーブTC2が対応付けられている。本実施形態では、トーンカーブTC1が読み出されており、トーンカーブTC1を使用して画像データを変換する。
【0051】
また、図11(b)の様に、R、G、Bの各色の階調値(RGB値)で表された画像を、別のRGB値へと変換する変換テーブルCTを設定しておくこともできる。ここで、RGB各色の階調値が0〜255の値を取り得るものとする。また、図11(b)に示すように、直交する3軸にR,G,B各色の階調値を取った色空間を考えると、全てのRGB画像データは、原点を頂点として一辺の長さが255の立方体(色立体)の内部の点に対応付けることができる。これを、見方を変えれば、次のように考えることもできる。すなわち、色立体をRGB各軸に直角に格子状に細分して色空間内に複数の格子点を生成すると、各格子点はRGB画像データを表していると考えることができる。そこで、各格子点(入力値)に、絵作り処理後のR、G、Bの階調値(出力値)の組合せを予め記憶しておけば、格子点に記憶されている階調値を読み出すことで、RGB画像データを、絵作りを反映させた画像データ(RGB画像データ)に変換することが可能となる。
【0052】
例えば、画像データのR成分がRA、G成分がGA、B成分がBAであったとすると、この画像データは、色空間内のA点に対応づけられる(図11(b)参照)。そこで、色立体を格子状に細分する小さな立方体の中から、A点を内包する立方体dVを検出し、この立方体dVの各格子点に記憶されている変換後のRGB各色の階調値を読み出してやる。そして、これら各格子点の階調値から補間演算すればA点での階調値を求めることができる。以上に説明したように、変換テーブルCTとは、絵作り前のRGB各色の階調値の組合せで示される各格子点に、絵作り後のRGB各色の階調値の組合せを記憶した3次元の数表と考えることができ、変換テーブルCTを参照すれば、絵作りに対応する変換を迅速に行うことが可能となる。
【0053】
変換テーブルCTを用意するにあたっては、RGB色空間全体において均等に分布する格子点をトーンカーブTC1とトーンカーブTC2によってそれぞれ変換し、その変換前後の値(入出力値)を記述することにより用意することができる。本実施形態では、2通りのトーンカーブTC1,TC2に対応する2つの変換テーブルCTを用意しておく必要がある。本実施形態ではトーンカーブTC1が指定されており、トーンカーブTC1に基づいて作成された変換テーブルCTを参照して画像データを変換する。以上のようにして絵作り後の画像データが得られると、次に「印刷データ生成処理」(ステップS300)を実行する。なお、絵作り指定情報に基づいて画像処理(ステップS230)する制御回路260は、本発明の印刷指示手段の一部を構成する。
【0054】
B−3.印刷データ生成処理
図12は、印刷データ生成処理の流れを示している。同図において、まず、RAMに記憶(ステップS160)された指定情報セットPR1において印刷メディア指定情報の一つとして指定されている用紙サイズ(A4)と、印刷解像度指定情報(高モード:1440×1440dpi)を取得する(ステップS310)。そして、これらの情報に基づいて印刷対象の画像データの解像度を、プリンタ部200が印刷するための解像度(印刷解像度指定情報が指定する印刷解像度)に変換する処理を行う(ステップS320)。図7のステップS130において読み込んだ画像データの解像度が印刷解像度よりも低い場合は、隣接する画素の間に補間演算を行って新たな画像データを設定することで、より高い解像度に変換する。逆に、読み込んだ画像データの解像度が印刷解像度よりも高い場合は、読み込んだ画像データの隣接する画素の間から一定の割合で画像データを間引くことによって、より低い解像度に変換する。解像度変換処理では、読み込んだ画像データに対して適切な割合で画像データを生成あるいは間引くことによって、読み込んだ解像度を印刷解像度に変換する処理を行う。ここでは、用紙サイズと印刷解像度が得られているため、解像度変換によって変換すべき画像データのサイズ(画素数)を一意に特定することができる。
【0055】
続いて、印刷装置10の制御回路260は、RAMに記憶(ステップS160)された指定情報セットPR1において印刷メディア指定情報の一つとして指定されている紙質(光沢紙)を取得する(ステップS330)。次に、画像データに対して色変換処理を行う(ステップS340)。ここで色変換処理とは、R,G,Bの各色で表現された画像データを、C,M,Y,K各色の階調値によって表現された画像データに変換する処理である。色変換処理は、色変換テーブル(LUT)と呼ばれる3次元の数表を参照することによって行う。この色変換テーブル(LUT)は上述した図11(b)の変換テーブルCTと同様に直交する3軸にR,G,B各色の階調値を取った色空間の格子点について、変換後の値を対応付けた3次元の数表とされている。
【0056】
ただし、色変換テーブル(LUT)においては、各格子点に対して、C,M,Y,Kの階調値の組合せが対応付けられている点で相違している。この色変換テーブル(LUT)を参照して、変換テーブルCTによる変換と同様の手法で変換を行うことにより、RGB画像データをCMYK画像データに迅速に色変換する(ステップS340)。本実施形態においては、2種類の色変換テーブル(LUT)が用意されており、そのいずれかを使用して色変換を行う。色変換テーブル(LUT)の一つは光沢紙に印刷を行うことを想定してC,M,Y,Kの階調値が規定されたものであり、もう一つは普通紙に印刷を行うことを想定してC,M,Y,Kの階調値が規定されたものである。ここにおけるC,M,Y,Kの階調値は、ドット形成処理(ステップS400)にいて印刷用紙上に形成されるCMYKインクドットのインク量に対応していると考えることができる。光沢紙と普通紙は互いにドット形成特性が異なるため、各紙質に応じて専用の色変換テーブル(LUT)を用意しておく必要があるからである。従って、予め取得(ステップS330)した紙質に応じた色変換テーブル(LUT)を選択し、同選択した色変換テーブル(LUT)を参照して色変換(ステップS340)を実行する。
【0057】
制御回路260は、色変換処理を終了すると、ハーフトーン処理を開始する(ステップS350)。ハーフトーン処理とは、次のような処理である。色変換処理によって得られたCMYK画像データは、C,M,Y,Kの各色について階調値0〜階調値255の範囲で表現された画像データである。これに対してプリンタ部200は、ドットを形成することによって画像を印刷するから、256階調によって表現されたCMYK画像データを、ドットの形成有無によって表現された画像データ(ドットデータ)に変換する処理が必要となる。ハーフトーン処理とは、このようにCMYK各色の画像データをドットデータに変換する処理である。
【0058】
ハーフトーン処理を行う手法としては、誤差拡散法やディザ法などの種々の手法を適用することができる。誤差拡散法は、ある画素についてドットの形成有無を判断したことでその画素に発生する階調表現の誤差を、周辺の画素に拡散するとともに、周囲から拡散されてきた誤差を解消するように、各画素についてのドット形成の有無を判断していく手法である。また、ディザ法は、ディザマトリックスにランダムに設定されている閾値とCMYK各色の画像データとを画素毎に比較して、画像データの方が大きい画素にはドットを形成すると判断し、逆に閾値の方が大きい画素についてはドットを形成しないと判断することで、各画素についてのドットデータを得る手法である。ハーフトーン手法としては、誤差拡散法またはディザ法の何れの手法を用いることも可能であるが、本実施例の印刷装置10では、ディザ法を用いてハーフトーン処理を行うものとする。
【0059】
図13は、ディザマトリックスの一部を拡大して例示した説明図である。図示したマトリックスには、縦横それぞれ64画素、合計4096個の画素に、階調値0〜255の範囲から万遍なく選択された閾値がランダムに記憶されている。ここで、閾値の階調値が0〜255の範囲から選択されているのは、本実施例ではCMYK各色の画像データが1バイトデータであり、階調値が0〜255の値を取り得ることに対応するものである。なお、ディザマトリックスの大きさは、図13に例示したように縦横64画素分に限られるものではなく、縦と横の画素数が異なるものも含めて、種々の大きさに設定することが可能である。
【0060】
図14は、ディザマトリックスを参照しながら、画素毎にドット形成の有無を判断している様子を概念的に示した説明図である。なお、かかる判断は、CMYKの各色について行われるが、以下では説明が煩雑となることを避けるために、CMYK各色の画像データを区別することなく、単に画像データと称するものとする。
【0061】
ドット形成有無の判断に際しては、まず、判断の対象として着目している画素(着目画素)についての画像データの階調値と、ディザマトリックス中の対応する位置に記憶されている閾値とを比較する。図中に示した細い破線の矢印は、着目画素の画像データを、ディザマトリックス中の対応する位置に記憶されている閾値と比較していることを模式的に表したものである。そして、ディザマトリックスの閾値よりも着目画素の画像データの方が大きい場合には、その画素にはドットを形成するものと判断する。逆に、ディザマトリックスの閾値の方が大きい場合には、その画素にはドットを形成しないものと判断する。図14に示した例では、画像の左上隅にある画素の画像データは「97」であり、ディザマトリックス上でこの画素に対応する位置に記憶されている閾値は「1」である。従って、左上隅の画素については、画像データの方がディザマトリックスの閾値よりも大きいから、この画素にはドットを形成すると判断する。図14中に実線で示した矢印は、この画素にはドットを形成すると判断して、判断結果をメモリに書き込んでいる様子を模式的に表したものである。
【0062】
一方、この画素の右隣の画素については、画像データは「97」、ディザマトリックスの閾値は「177」であり、閾値の方が大きいので、この画素についてはドットを形成しないものと判断する。このように、画像データとディザマトリックスに設定された閾値とを比較することにより、ドットの形成有無を画素毎に決定することができる。ハーフトーン処理(ステップS350)では、C,M,Y,Kの各色の画像データに対して上述したディザ法を適用することにより、画素毎にドット形成の有無を判断してドットデータを生成する処理を行う。
【0063】
ハーフトーン処理を行ってCMYK各色についてのドットデータを生成したら、今度は、インターレース処理を開始する(ステップS360)。インターレース処理とは、印字ヘッド241がドットを形成する順序でドットデータを並び替えて、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に供給する処理である。すなわち、図5に示したように、インク吐出ヘッド244ないし247に設けられたノズルNzは副走査方向にノズルピッチkの間隔を空けて設けられているから、印刷キャリッジ240を主走査させながらインク滴を吐出すると、副走査方向にノズルピッチkの間隔を空けてドットが形成されてしまう。そこで全画素にドットを形成するためには、印刷キャリッジ240と印刷メディアとの相対位置を副走査方向に移動させて、ノズルピッチkだけ隔たったドット間の画素に新たなドットを形成することが必要となる。このように、実際に画像を印刷する場合には、画像上で上方にある画素から順番にドットを形成しているわけではない。さらに、主走査方向に同じ列にある画素についても、一回の主走査でドットを形成するのではなく、画質上の要請から、複数回の主走査に分けてドットを形成することとして、各回の主走査では飛び飛びの位置の画素にドットを形成することも広く行われている。
【0064】
このため、実際にドットの形成を開始するに先立って、C,M,Y,Kの各色について得られたドットデータを、インク吐出ヘッド244ないし247がドットを形成する順番に並び替えておく処理が必要となる。このような処理が、インターレースと呼ばれる処理である。インターレース処理を終了すると、インターレース処理によって並べ替えられたドットデータを印刷データ(印刷指示)として生成する。この印刷データにはスキャン画像データから読み取った(ステップS160)印刷用紙の指定も添付されるため、上述したドット形成処理(ステップS400)にてユーザーの意図通りの印刷メディアを給紙させることができる。なお、印刷用紙の指定に対応する印刷用紙が給紙トレーにセットされていない場合には、操作パネル300において警告表示を行うようにしてもよい。以上のように、印刷データ生成処理においては、絵作り後の画像データに対して、絵作り指定情報と印刷メディア指定情報とを含む指定情報セットに基づいて画像処理を順次行うことにより、最終的にインターレース処理後の印刷データを生成する。この意味で、印刷データ生成処理を行う制御回路260は、本発明の印刷指示手段の一部を構成する。
【0065】
C.まとめ
本実施形態においては、ユーザーが所望のUIシートを選択してスキャンを実行すれば、当該選択したUIシートと同一のサイズおよび紙質の印刷用紙に画像データを印刷させることができる。同様に、ユーザーが所望のUIシートを選択してスキャンを実行すれば、当該選択したUIシートにおいて表示されているサンプル画像と同様の「絵作り」がなされた画像データを印刷させることができる。ユーザーが直感的に所望のUIシートを選択すればよく、例えば画像処理のパラメータ等を直接指定する必要がない。以上、本実施例の印刷装置について説明したが、本発明は上記すべての実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することができる。
【0066】
以上においては説明の簡略化のため具体的に4個の指定項目からなる指定情報セットPR1〜PR16を表すUIシートを例示したが、UIシートによって指定できる絵作り指定情報と印刷メディア指定情報はこれらに限られるものではない。すなわち、印刷に際して指定すべき条件は他にも多く存在し、これらの条件をUIシートによって指定できるようにしてもよい。例えば、印刷に使用するインクセットの指定や、印刷キャリッジ240の主走査方式(単方向/双方向)や、レイアウト指定(割付指定やフチ指定)や、印刷枚数や、排紙/給紙方式をUIシートによって指定させることもできる。これらの指定情報を含む指定情報セットをバーコードα1にエンコードしてUIシートに印刷しておけば、これらの指定情報にしたがった印刷を実行させることができる。
【0067】
また、以上においては説明の簡略化のため個々の指定項目つき2種類ずつの指定条件を例示したが、実際の印刷装置においてはより多くの条件が指定可能であり、より多くの種類の条件がUIシートによって指定できることが望ましい。例えば、用紙サイズとして、A4/2L版のみならず、A3/B4/B5/レターサイズ/ハガキ/L版/ロール等が指定できるようにしてもよい。同様に、印刷メディアの種類として、光沢紙/普通紙のみならず、マット紙/CDやDVDのディスクレーベル面/シール等が指定できるようにしてもよい。さらに、絵作り指定情報として、シャープネス補正/アンシャープ補正/ノイズ補正/エッジ強調補正/カラーバランス補正/色調補正/赤目補正等が指定できるようにしてもよい。これらの絵作り指定情報は、各補正実行の有無のみならず各補正の程度が指定できるものであってもよいし、単独のみならず複数の補正の有無や程度を組み合わせたものを指定するようにしてもよい。例えば、複数の補正の有無や程度を組み合わせたものをプリセットしておくことにより、ある画家の作風に類似する絵作りがなされるようにしてもよい。
【0068】
上述した実施形態においては、16枚のUIシートを用意しておけば、すべての指定情報セットPR1〜PR16を指定することができる。従って、すべてのUIシートを本発明の機能を備えた印刷装置10に同梱して販売することも可能である。しかしながら、上述したとおり実際の印刷において指定可能な条件は多岐にわたり、それらのすべての組み合わせごとにUIシートを用意すると膨大な数となってしまう。従って、上記実施形態において例示した指定情報セットPR1〜PR16のように基本的な指定情報セットを示すUIシートについては最初から印刷装置10に同梱しておき、別途、応用的な指定情報セットを示すUIシートを配布したり、インターネット上で配布したりするようにしてもよい。印刷装置10は印刷機能を備えるため、インターネットを介してダウンロードしたデータに基づいてUIシートを印刷させることも可能である。例えば、美術館において当該美術館に展示された画家の作風に類似する絵作りが指定されたバーコードα1が印刷されたUIシートを配布したり、当該バーコードα1が印刷可能なデータを電子メールやファイル転送プロトコル等で配布してもよい。また、少なくともバーコードα1が表されていればよいため、指定情報セットを表すバーコードα1を雑誌やフリーペーパーなどに掲載して配布するようにしてもよい。
【0069】
D.第1の変形例
以上においては、バーコードα1によって指定情報セットを構成するすべての指定情報が読み取られるものを例示したが、他の手段によって指定情報が読み取られるようにしてもよい。むろん、一部の指定情報をバーコードによって読み取り、他の指定情報を他の読取手段によって読み取るようにすることもできる。例えば、制御回路260がOCR[Optical Character Recognition]機能を実行可能であり、スキャン画像データに対して文字認識をすることにより指定情報セットが認識されるようにしてもよい。この場合、予め文字が印刷されたUIシートを使用することもできるし、ユーザーが手書きによって条件を指定したUIシートを使用することもできる。
【0070】
さらに、印刷メディア指定情報については、UIシートの物理的特徴を直接計測することにより、読み取ることもできる。例えば、ステップS150で取得したスキャン画像データにおいてUIシートの端部を検出し、当該端部間の距離を計測することにより、UIシートの用紙サイズを計測することができる。スキャン画像データの解像度と上記端部間の画素数を乗算することにより、UIシートの大きさを算出することができる。さらに、スキャナ部100における原稿台ガラス104の付近に光源および光学センサ(国際公開2005/0160048号のパンフレット参照。)を備えさせ、UIシートの正反射光および拡散反射光からなる反射特性を検出するようにしてもよい。この反射特性によれば、UIシートの厚みや光沢や表面粗さや色等の物理的特徴を計測することができ、これらの特徴に基づいて紙質の異なる印刷用紙の種類を読み取ることができる。
【0071】
E.第2の変形例
図15は、第2の変形例にかかる印刷制御システムの構成を示している。同図において、上述した実施形態とほぼ同様の構成を有する印刷装置10に赤外線通信部400が備えられているとともに、当該赤外線通信部400を介して携帯電話50と制御部260とが通信可能となっている。なお、赤外線通信部400は赤外線を受発光可能な素子を備えており、携帯電話50も赤外線通信部400に対応する赤外線通信部を備えている。また、携帯電話50はいわゆるカメラ付き携帯であり、ドットマトリクス状の受光素子を備えたカメラによって画像入力することが可能となっている。
【0072】
かかる構成において、携帯電話50によって図9に示したバーコードα1を撮像し、その撮像画像データを印刷装置10に送信する。そして、印刷装置10の制御部260が、当該撮像画像データに含まれるバーコードα1の像をデコードすることにより指定情報セットPR1〜PR16を判別する。そして、当該指定情報セットPR1〜PR16に基づいて絵作り処理と印刷データ生成処理を実行させる。このようにすることにより、印刷装置10がスキャナ部100を備えない機種であっても、本発明の効果を得ることができる。なお、赤外線通信を介して撮像画像データを送信するものに限られず、携帯電話10がたバーコードα1のデコードを行い、赤外線通信を介してデコードして得られた指定情報セットPR1〜PR16を送信するようにしてもよい。
【0073】
F.第3の変形例
上述した実施形態においては、UIシートをスキャンすると、そのまま印刷が実行され、その間、ユーザーが何ら操作をする必要がない。ところが、指定情報セットPR1〜PR16のいずれかがユーザーの希望に完全に一致しないことも考える場合もある。そのため、上級者にとっては上述した実施形態のように全自動で処理が行われるようにするよりも、半自動で処理が行われるようにした方が好ましい。
【0074】
図16は、第3の変形例にかかる条件設定処理の流れを示している。同図において、UIシートをスキャンして、指定情報セットPR1〜PR16を認識する(ステップS1160)と、次に認識した指定情報セットPR1〜PR16を操作パネル300上の画面に表示させる(ステップS1162)。そして、当該画面において『印刷条件が設定されました。変更しない場合には実行ボタンを押し、変更する場合には変更ボタンを押して下さい。』とのUI表示を行う。そして、実行ボタンの押下が受け付けられた(ステップS1164)場合には、上述した実施形態と同様にバーコードα1から読み取った指定情報セットPR1〜PR16にしたがって絵作り処理と印刷データ生成処理を実行する。
【0075】
一方、変更ボタンの押下が受け付けられた(ステップS1164)場合には、印刷条件の設定画面を表示し、本発明の受付手段としての操作パネル300における操作を受け付ける(ステップS1166)。そして、受け付けられたユーザーの指示に応じて、最初に読み込んだ指定情報セットPR1〜PR16を修正する(ステップS1168)。このようにすることにより、おおまかな設定はUIシートのスキャンによって行いつつ、詳細な設定はユーザーがマニュアルで修正することができる。この場合も、すべての条件を操作パネル300によって行う必要がないため、ユーザーの煩わしさを軽減することができる。
【0076】
G.第4の変形例
図17は、第4の変形例にかかる条件設定処理の流れを示している。同図において、UIシートをスキャンして、指定情報セットPR1〜PR16を認識(ステップS2160)すると、本発明の機種情報取得手段としての制御部260は印刷装置10の機種情報を取得する(ステップS2162)。機種情報は、例えば制御部260のROMに記憶されており、印刷装置10の機種固有の仕様情報を示す。具体的には、印刷装置10にて印刷可能な印刷用紙のサイズ制限や、解像度の制限等の仕様情報が取得される。本変形例では、指定情報セットPR1が取得され、印刷装置10の仕様情報として印刷用紙のサイズ制限が2L版と、解像度の制限が1440×1440dpiと取得されるものとする。
【0077】
次に、制御部260は、指定情報セットPR1と、仕様情報との比較を行い、印刷条件の修正が必要か否かを判定する(ステップS2164)。本変形例では、指定情報セットPR1が示す用紙サイズのA4が、印刷装置10の仕様の制限の2L版を超えているため、修正が必要と判断し、印刷データ生成処理にて指定される印刷用紙のサイズを2L版に修正する(ステップS2166)。一方、指定情報セットPR1が示す印刷解像度の高モードが、印刷装置10の仕様の制限の1440×1440dpiを超えるものでないため、印刷データ生成処理にて指定される解像度を高モードのままとする。さらに、本変形例のように機種情報を取得するようにすれば、UIシートによって具体的な条件を指定するのみならず、抽象的な条件を指定することも可能となる。例えば、印刷解像度を1440×1440dpi等の具体的な数値ではなく、“当該機種で最高の印刷解像度”というように指定し、制御部260が取得した機種情報に基づき当該機種で最高の印刷解像度が設定されるようにしてもよい。
【0078】
H.UIシートの変形例
図18は変形例にかかるUIシートを示している。同図において、例えば名刺サイズの紙にバーコードα1と文字α4のみが表されている。すなわち、本変形例のUIシートにおいてはサンプル画像やアイコンが表されていない。なお、図18において例示するUIシートは上述した実施形態の指定情報セットPR1と同じ条件を指定するものであり、バーコードα1も一致する。そのため、本変形のUIシートのバーコードα1をスキャンした場合も、指定情報セットPR1が制御回路260にて認識される。一方、指定情報セットPR1を構成するすべての指定情報が、UIシートにおいて文字α4によって表されている。そのため、ユーザーは文字α4を読み、所望の条件のUIシートをスキャンさせ、当該条件で印刷を実行させることができる。本変形例のように、最低限の文字α4で指定情報セットを表すようにすれば、UIシートをコンパクトに形成することができる。
【0079】
図19はさらに別の変形例にかかるUIシートを示している。同図において、2系統のUIシートが用意されている。一の系統のUIシートにおいては絵作り指定をするためのサンプル画像α2として風景写真が示されており、他の系統のUIシートにおいてはサンプル画像α2として人物写真が示されている。サンプル画像α2として風景写真が表されたUIシートをスキャンさせることにより、風景写真に適した絵作り(例えば、コントラスト強調やエッジ強調や彩度強調等)が行われるよう制御部260が認識する。一方、サンプル画像α2として人物写真が表されたUIシートをスキャンさせることにより、人物写真に適した絵作り(例えば、赤目補正や逆光補正等)が行われるよう制御部260が認識する。かかる構成において、印刷しようとする画像データに似たようなサンプル画像α2をユーザーが選択することにより、直接絵作りの内容を指定しなくても当該画像データに適した絵作りを実行させることができる。
【0080】
図20はさらに別の変形例にかかるUIシートを示している。同図において、2個のサンプル画像α2a,α2bがUIシート上に並べて印刷されている。なお、図20において例示するUIシートも上述した実施形態の指定情報セットPR1と同じ条件を指定するものであり、バーコードα1も一致する。サンプル画像α2aは基準画像を示しており、サンプル画像α2bは当該基準画像に対して図11に示したトーンカーブTC1を適用することにより生成した画像を示している。すなわち、絵作り処理の前後の画像が対比して示されている。これにより、ユーザーはどの程度の画像処理が当該UIシートをスキャンすることにより実行されるのかを直感的に把握することができる。
【0081】
図21はさらに別の変形例にかかるUIシートを示している。同図において、3個のサンプル画像α2a,α2b,α2cがUIシート上に並べて印刷されている。サンプル画像α2a,α2bは前変形例と同じであり、基準画像と基準画像に対してトーンカーブTC1を適用したものを示している。一方、サンプル画像α2cは、基準画像に対して明度を暗く補正するトーンカーブを適用したものとなっている。すなわち、本変形例において基準画像に対して明るめに補正したものと、暗めに補正したものと、基準画像そのものが並べられている。また、各サンプル画像α2a,α2b,α2cの直下には、それぞれバーコードα1a,α1b,α1cが形成されている。
【0082】
その他にもバーコードα1がUIシートの左上隅に形成されている。左上隅に形成されたバーコードα1からは印刷解像度指定情報と印刷メディア指定情報をデコードして取得することができ、一方、各サンプル画像α2a,α2b,α2cの直下に形成されたバーコードα1a,α1b,α1cからは絵作り指定情報をデコードして取得することができる。かかるUIシートをスキャンさせるにあたっては、ユーザーが望まない絵作りの結果となっているサンプル画像α2a,α2b,α2cの直下のバーコードα1a,α1b,α1cを塗りつぶして、当該バーコードα1a,α1b,α1cを認識不能とさせる。
【0083】
例えば、ユーザーが明るめの補正を希望するのであれば、補正されてないサンプル画像α2aと暗めの補正がされたサンプル画像α2cのそれぞれの直下に形成されたバーコードα1a,α1cを塗りつぶし、認識不能とさせる。これにより、制御部260は明るめの補正を指定するバーコードα1bのみを認識し、トーンカーブTC1を適用すべきことを認識することができる。その他の指定情報は、右上隅に形成されたバーコードα1から取得することができ、一式の指定情報セットPR1によって印刷を実行させることができる。このようにすることにより、絵作りの程度を直感的に比較することができるとともに、択一的な要素を同一のUIシートで指定することができるため、UIシートの必要枚数を低減することができる。なお、バーコードα1a,α1b,α1cを認識不能とする手法は塗りつぶすものに限られず、例えばバーコードα1a,α1b,α1cの部分を切り抜いたり、非透光性のシールで隠したりしてもよい。後者の手法によれば、シールを剥がすことによりUIシートを再利用することもできる。
【符号の説明】
【0084】
10…印刷装置、100…スキャナ部、200…プリンタ部、240…印刷キャリッジ、241…印字ヘッド、242…インクカートリッジ、243…インクカートリッジ、260…制御回路、300…操作パネル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体に対する印刷の実行を制御する印刷制御装置において、
印刷指示媒体の画像を受け付け、その画像から絵作り指定情報と印刷媒体指定情報を取得する指定情報取得手段と、
印刷対象の画像データに対して上記絵作り指定情報および上記印刷媒体指定情報に基づく画像処理を実行し、当該印刷媒体指定情報に基づいて特定した上記印刷媒体に対して印刷を実行するよう印刷指示を行う印刷指示手段とを具備することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
上記印刷媒体指定情報は、少なくとも上記画像入力手段が上記印刷指示媒体のサイズを算出して得た上記印刷媒体のサイズを特定する情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
上記印刷媒体指定情報は、少なくとも上記画像入力手段が上記印刷指示媒体における光の反射特性を算出して得られた上記印刷媒体の種類を特定する情報を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
上記印刷媒体指定情報と上記絵作り指定情報の少なくとも一方が上記指定情報取得手段によってデコードされるバーコードによって表されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項5】
印刷を実行させる印刷装置の機種情報を取得する機種情報取得手段を具備し、
上記印刷指示手段は、上記印刷媒体指定情報と上記絵作り指定情報の少なくとも一方と上記機種情報との比較に応じて上記印刷指示を修正することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷制御装置。
【請求項6】
所定のUI表示によって指示を受け付ける受付手段を具備し、
上記印刷指示手段は、上記指示に応じて上記印刷指示を修正することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の印刷制御装置。
【請求項7】
上記絵作り指定情報に基づいて行われる上記画像処理後の画像が上記印刷指示媒体において視認可能に表されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の印刷制御装置。
【請求項8】
上記印刷媒体指定情報と上記絵作り指定情報の少なくとも一方を表す文字またはアイコンが上記印刷指示媒体において視認可能に表されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の印刷制御装置。
【請求項9】
印刷媒体に対する印刷の実行を制御する印刷制御方法において、
印刷指示媒体の画像を受け付け、その画像から絵作り指定情報と印刷媒体指定情報を取得するとともに、
印刷対象の画像データに対して上記絵作り指定情報および上記印刷媒体指定情報に基づく画像処理を実行し、当該印刷媒体指定情報に基づいて特定した上記印刷媒体に対して印刷を実行するよう印刷指示を行うことを特徴とする印刷制御方法。
【請求項1】
印刷媒体に対する印刷の実行を制御する印刷制御装置において、
印刷指示媒体の画像を受け付け、その画像から絵作り指定情報と印刷媒体指定情報を取得する指定情報取得手段と、
印刷対象の画像データに対して上記絵作り指定情報および上記印刷媒体指定情報に基づく画像処理を実行し、当該印刷媒体指定情報に基づいて特定した上記印刷媒体に対して印刷を実行するよう印刷指示を行う印刷指示手段とを具備することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
上記印刷媒体指定情報は、少なくとも上記画像入力手段が上記印刷指示媒体のサイズを算出して得た上記印刷媒体のサイズを特定する情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
上記印刷媒体指定情報は、少なくとも上記画像入力手段が上記印刷指示媒体における光の反射特性を算出して得られた上記印刷媒体の種類を特定する情報を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
上記印刷媒体指定情報と上記絵作り指定情報の少なくとも一方が上記指定情報取得手段によってデコードされるバーコードによって表されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項5】
印刷を実行させる印刷装置の機種情報を取得する機種情報取得手段を具備し、
上記印刷指示手段は、上記印刷媒体指定情報と上記絵作り指定情報の少なくとも一方と上記機種情報との比較に応じて上記印刷指示を修正することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷制御装置。
【請求項6】
所定のUI表示によって指示を受け付ける受付手段を具備し、
上記印刷指示手段は、上記指示に応じて上記印刷指示を修正することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の印刷制御装置。
【請求項7】
上記絵作り指定情報に基づいて行われる上記画像処理後の画像が上記印刷指示媒体において視認可能に表されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の印刷制御装置。
【請求項8】
上記印刷媒体指定情報と上記絵作り指定情報の少なくとも一方を表す文字またはアイコンが上記印刷指示媒体において視認可能に表されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の印刷制御装置。
【請求項9】
印刷媒体に対する印刷の実行を制御する印刷制御方法において、
印刷指示媒体の画像を受け付け、その画像から絵作り指定情報と印刷媒体指定情報を取得するとともに、
印刷対象の画像データに対して上記絵作り指定情報および上記印刷媒体指定情報に基づく画像処理を実行し、当該印刷媒体指定情報に基づいて特定した上記印刷媒体に対して印刷を実行するよう印刷指示を行うことを特徴とする印刷制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−81608(P2010−81608A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220738(P2009−220738)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【分割の表示】特願2007−187546(P2007−187546)の分割
【原出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【分割の表示】特願2007−187546(P2007−187546)の分割
【原出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]