説明

印刷式フィルタリングアンテナ

【課題】 フィルタリングアンテナはフィルタをアンテナに整合すると同時に、余計な回路面積を増加する場合が多く、アンテナの小型化にとって不利となっているため、小型化及び良好なフィルタリング効果を達成するように、2ステージフィルタリングアンテナをいかに設計するかということは、この業界で至急の課題となっている。
【解決手段】 アンテナ部は、結合線路共振器に直接に接続される。結合線路共振器は、アンテナ部と合わせて、フィルタリング作用を提供するものであり、ショートスタブ回路と、オープンスタブ回路と、を含む。ショートスタブ回路は、開路端と、接地した短絡端と、を包含する。オープンスタブ回路は、隙間を介してショートスタブ回路に平行し、信号フィードポイントに接続され、ショートスタブ回路の開路端に対応するようにショートスタブ回路に結合される第1の端と、第2の端と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関し、特に、印刷式フィルタリングアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、全世界の無線通信産業の高度成長で、信号の伝送は、次第に有線伝送から無線伝送に進んできた。アンテナは、無線通信システムにおいて重要な役割を演じている。良い設計のアンテナによって、所望の通信周波数帯において、いかなる場所や方向でも信号を送受信できるという効果を達成することができる。外観が軽薄短小で、製作しやすいアンテナの設計は、主流となっている。平面型アンテナは、製作が簡単、軽量、ローコスト、他の回路と整合しやすいという利点で、通信製品中で最も広く研究されている製品となった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特定の周波数帯における信号を処理する必要があるため、フィルタは、アンテナ全体に不可欠な一部となる。近年、一部の技術は、フィルタの最後の1ステージの共振器と負荷インピーダンスの代わりに、アンテナを用いたフィルタリングアンテナを採用している。しかしながら、フィルタをアンテナに整合すると同時に、余計な回路面積を増加する場合が多く、アンテナの小型化の進歩にとって不利になる。
【0004】
そのため、小型化及び良好なフィルタリング効果を達成するように、新たな2ステージフィルタリングアンテナをいかに設計するかということは、この業界で至急の課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明の一態様は、アンテナ部と、結合線路共振器と、を備える印刷式フィルタリングアンテナを提供する。結合線路共振器は、アンテナ部と合わせて、フィルタリング作用を提供するものであり、ショートスタブ(short‐circuited stub)回路と、オープンスタブ(open‐circuited stub)回路と、を含む。ショートスタブ回路は、開路端と、接地した短絡端と、を包含する。オープンスタブ回路は、アンテナ部に接続され、ショートスタブ回路の開路端に対応するようにショートスタブ回路に結合される第1の端と、第2の端と、を有し、隙間を介してショートスタブ回路に平行する。
【0006】
本発明の一実施例によると、ショートスタブ回路及びオープンスタブ回路の等価回路は、並列する2組のキャパシタンス・インダクタンス直列共振器である。並列する2組のキャパシタンス・インダクタンス直列共振器は、2ステージフィルタリングアンテナのバンドエッジで、2つの伝達零点を発生させる。並列する2組のキャパシタンス・インダクタンス直列共振器は、2ステージフィルタリングアンテナの共振周波数で、単一のキャパシタンス・インダクタンス並列共振器に等価し、伝達極点を発生させる。
【0007】
本発明のまた他の実施例によると、オープンスタブ回路の電気長がショートスタブ回路の電気長に等しく、即ち、オープンスタブ回路及びショートスタブ回路のそれぞれが1/4波長の回路であり、又は共振周波数での電気長がπ/2である場合、2つの伝達零点は、伝達極点に対して対称となる。オープンスタブ回路の電気長がショートスタブ回路の電気長に等しくない場合、2つの伝達零点は、伝達極点に対して対称とならない。
【0008】
本発明のまた一つの実施例によると、ショートスタブ回路及びオープンスタブ回路のそれぞれは、共面にあるマイクロストリップ線路構造である。
【0009】
本発明のもう一つの実施例によると、ショートスタブ回路は、共面導波路構造であり、オープンスタブ回路は、マイクロストリップ線路構造である。ショートスタブ回路とオープンスタブ回路と間の隙間には、基板を更に含み、ショートスタブ回路及びオープンスタブ回路が、基板の対向する両側に形成される。ショートスタブ回路は、回路板の接地面の伸長部である。
【0010】
本発明の更なる実施例によると、ショートスタブ回路及びオープンスタブ回路のそれぞれは、スロット線路(slot line)又は共面ストリップ線路(coplanar stripline;CPS)である。
【0011】
本発明の更にもう一つの実施例によると、アンテナ部は、アンテナ面積を有し、結合線路共振器が、アンテナ面積内にある。
【0012】
本発明の一実施例によると、アンテナ部は、モノポールアンテナ、F型アンテナ又は他のタイプのアンテナである。
【0013】
本発明のもう一つの実施例によると、印刷式フィルタリングアンテナをNステージフィルタリングアンテナにするように、結合線路共振器は、N−1ステージであり、結合線路共振器中の1ステージがアンテナ部に直接に接続されるように、各ステージの結合線路共振器が互いに結合される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の適用は、ショートスタブ回路と、オープンスタブ回路とを含む結合線路共振器の設計によって、フィルタリング効果をフィルタリングアンテナに持たせて、余計な面積コストを増加させずに、前記目的を容易に達成することを利点としている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
下記の図面の説明は、本発明の前記又はその他の目的、特徴、利点及び実施例をより分りやすくするためのものである。
【0016】
【図1A】本発明の一実施例における2ステージフィルタリングアンテナを示す幾何模式図である。
【図1B】本発明の一実施例における2ステージフィルタリングアンテナを示す幾何模式図である。
【図2A】本発明の一実施例におけるオープンスタブ回路及びショートスタブ回路の等価回路図である。
【図2B】本発明の一実施例におけるオープンスタブ回路及びショートスタブ回路の等価回路図である。
【図2C】本発明の一実施例におけるオープンスタブ回路及びショートスタブ回路の等価回路図である。
【図3】本発明の一実施例における結合線路共振器の幾何構造及び等価回路の模擬結果を示す模式図である。
【図4】ショートスタブ回路の長さを固定し、オープンスタブ回路の長さを変化させた場合の幾何構造と等価回路の模擬結果を示す模式図である。
【図5A】本発明の一実施例における2ステージフィルタリングアンテナの等価回路図である。
【図5B】本発明の一実施例における2ステージフィルタリングアンテナの等価回路図である。
【図5C】本発明の一実施例における2ステージフィルタリングアンテナの等価回路図である。
【図6】本発明の一実施例における2ステージフィルタリングアンテナを示す平面図である。
【図7】図6に示した2ステージフィルタリングアンテナを示す部分拡大図である。
【図8】P‐P’線分に沿った図7に示した結合線路共振器の断面図である
【図9】本発明の実施例における2ステージフィルタリングアンテナを示す平面図である。
【図10】本発明の実施例における2ステージフィルタリングアンテナを示す平面図である。
【図11A】本発明の2ステージフィルタリングアンテナ及び従来の単一Γ型アンテナのリターンロスの周波数応答を示す図である。
【図11B】本発明の2ステージフィルタリングアンテナ及び従来の単一Γ型アンテナの全放射電力の周波数応答を示す図である。
【図12A】本発明の2ステージフィルタリングアンテナ及び従来の単一Γ型アンテナのアンテナ利得について+z方向での、周波数に対する応答を示す図である。
【図12B】本発明の2ステージフィルタリングアンテナ及び従来の単一Γ型アンテナのアンテナ利得について+x方向での、周波数に対する応答を示す図である。
【図13A】本発明の2ステージフィルタリングアンテナのアンテナ放射パターンがx‐z平面にある場合の測定結果である。
【図13B】本発明の2ステージフィルタリングアンテナのアンテナ放射パターンがy‐z平面にある場合の測定結果である。
【図13C】本発明の2ステージフィルタリングアンテナのアンテナ放射パターンがx‐y平面にある場合の測定結果である。
【図14】本発明の一実施例におけるNステージフィルタリングアンテナを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施例による印刷式フィルタリングアンテナ1を示す幾何模式図である図1Aを参照する。印刷式フィルタリングアンテナ1は、アンテナ部10と、結合線路共振器12と、を備える。
【0018】
異なる実施例において、アンテナ部10は、Γ型のモノポールアンテナ、F型アンテナ又は他のタイプのアンテナであってもよい。そのうち、A点は、アンテナ部10の信号フィードポイントである。結合線路共振器12は、アンテナ部10と合わせて、フィルタリング作用を提供することができる。図1Aに示すように、結合線路共振器12は、オープンスタブ(open‐circuited stub)回路20と、ショートスタブ(short‐circuited stub)回路22と、を含む。本実施例において、図1Aに示した印刷式フィルタリングアンテナ1が、結合線路共振器12を1つ有するため、結合線路共振器12のステージ数は、1ステージであり、印刷式フィルタリングアンテナ1は、2ステージフィルタリングアンテナである。
【0019】
結合線路共振器12におけるオープンスタブ回路20は、A点位置で信号フィードポイントに接続される第1の端と、C点位置における第2の端と、を有する。ショートスタブ回路22とオープンスタブ回路20は、隙間24を介して互いに平行である。ショートスタブ回路22は、開路端と、短絡端と、を包含する。そのうち開路端は、オープンスタブ回路20の第1の端に対応し、短絡端は、B点位置に対応する。本実施例において、ショートスタブ回路22とオープンスタブ回路20の電気長は等しく、いずれも1/4波長のスタブ回路である。他の実施例において、図1Bに示すように、必要によってはオープンスタブ回路20及びショートスタブ回路22の電気長が等しくならないように設計してもよい。
【0020】
ショートスタブ回路22とオープンスタブ回路20が隙間24を介して互いに平行となるような設計によって、オープンスタブ回路20とショートスタブ回路は、前記隙間24を介してエネルギーを2つの回路の間で互いに結合することができる。本発明の一実施例におけるオープンスタブ回路20及びショートスタブ回路22の等価回路図である図2A〜図2Cを参照する。図1Aに示した等長であるオープンスタブ回路20及びショートスタブ回路22を例として、オープンスタブ回路20は、図2Aに示したキャパシタンス・インダクタンス直列共振器La及びCaと等価であり、ショートスタブ回路22は、図2Aに示したキャパシタンス・インダクタンス並列共振器Lb’及びCb’と等価である。オープンスタブ回路20とショートスタブ回路22との間の隙間24は、共振器の間の電気的な結合を提供し、サセプタンス反転子(J‐inverter)Jabのような機能を果たす。オープンスタブ回路20とショートスタブ回路22が同一の長さ及び幅を有しても、結合の存在で、キャパシタンス・インダクタンス直列共振器La、Caとキャパシタンス・インダクタンス並列共振器Lb’、Cb’は、異なる共振周波数を有する。
【0021】
更に、図2Aの等価回路は、図2Bに示したような、2組のキャパシタンス・インダクタンス直列共振器La、Ca及びLb、Cbが並列であり、それぞれの共振周波数がfa及びfbである構造に転換されてもよい。そのため、オープンスタブ回路20及びショートスタブ回路22は、バンドエッジで1組の対称となっている伝達零点を提供することができる。共振周波数frの近傍で、図2Bの構造は、図2Cに示した1組のキャパシタンス・インダクタンス並列共振器L1、C1と更に等価であってもよい。
【0022】
図3は、本発明の一実施例における結合線路共振器12の幾何構造及び等価回路の模擬結果を示す模式図である。そのうち、横軸は、周波数(単位:GHz)であり、縦軸は、Sパラメータ(単位:dB)である。本実施例において、オープンスタブ回路20及びショートスタブ回路22の幅は、0.5ミリメートルであり、隙間24の幅は、0.2ミリメートルであって、厚さが0.508ミリメートル、誘電率が3.38、損失正接が0.0027である基板に形成される。そのうち、実線線分は、図1Aに示した結合線路共振器12の模擬する結果を示し、破線線分は、図2Bに示した等価回路の模擬する結果を示し、点線線分は、図2Cに示した等価回路の模擬する結果を示す。
【0023】
図3により、図2Bに示した等価回路と図1Aに示した結合線路共振器12は、相当一致する模擬結果となっていることがわかる。共振周波数frの近傍で、図2Cに示した等価回路と図1Aに示した結合線路共振器12も、相当似ている模擬結果となっている。そのうち、図3において、S11に囲まれるのは、反射率の曲線であり、S21に囲まれるのは、屈折率の曲線である。図3により、共振周波数fr時に発生した伝達極点は、ほぼ周波数が2.5GHzである所にあり、バンドエッジの対称する2つの伝達零点のそれぞれは、2.0GHz及び3.0GHzに近づく所にあることがわかる。
【0024】
図1Bに示すように、オープンスタブ回路20とショートスタブ回路22の長さが等しくないように設計される場合、バンドエッジで対称とはならない伝達零点が発生する。ショートスタブ回路22の長さをθ=π/2(共振周波数の場合)に固定して、オープンスタブ回路20の長さθを変化させた場合の幾何構造と等価回路の模擬結果を示す模式図である図4を参照する。図4により、θが小さくなるにつれて、共振周波数(2.5GHz)は、変わらず、伝達零点は、高周波へ移動することがわかる。そのため、異なる伝達零点の位置要求によって、オープンスタブ回路20の長さθを調整することができる。
【0025】
本発明の一実施例おけるアンテナ部10と、結合線路共振器12と、を備える2ステージフィルタリングアンテナ1の等価回路図である図5A〜図5Cを参照する。そのうち、結合線路共振器12の部分は、図2Bに示したものと同一である。そのため、2ステージのフィルタ応答を実現できる以外、結合線路共振器12は、前記のように、バンドエッジで2つの伝達零点を発生させることもできる。結合線路共振器12の共振周波数がfrの近傍にある場合、図5Aの2ステージフィルタリングアンテナ1は、図5Bに示した等価回路に転換してもよく、図5Cに示した等価回路に更に転換してもよい。図5Cに示した等価回路は、即ち、代表的な2ステージ帯域フィルタの等価回路であり、そのうち、L=L、C=C、R=R且つC1’=C1+Cgである。
【0026】
図6及び図7を参照する。図6は、本発明の一実施例における2ステージフィルタリングアンテナ1を示す平面図である。図7は、図6に示した2ステージフィルタリングアンテナ1を示す部分拡大図である。本実施例における2ステージフィルタリングアンテナ1のアンテナ部10は、Γ型のモノポールアンテナであって、そのワイヤラッピング方式によってアンテナ面積100を有する。そのうち、図7に示したA点は、アンテナ部10の信号フィードポイントである。
【0027】
結合線路共振器12は、アンテナ面積100内に形成され、アンテナ部10と合わせて、前記フィルタリング作用を提供する。図8をともに参照する。図8は、P‐P’線分に沿っている図7に示した結合線路共振器12の断面図である。本実施例において、オープンスタブ回路20は、マイクロストリップ線路(micro strip)構造であり、ショートスタブ回路22は、共面導波路構造(coplanar waveguide;CPW)である。本実施例において、2ステージフィルタリングアンテナ1は、図1Aに示した隙間24を形成するように、ショートスタブ回路22とオープンスタブ回路20との間に位置する基板8を更に含む。図6において、黒色で示した部分は、基板8の上層の配置であり、灰色で示した部分は、基板8の下層の配置である。ショートスタブ回路22とオープンスタブ回路20との位置関係を明確にするように、図6及び図7において、基板8を示さないようにする。そのため、ショートスタブ回路22及びオープンスタブ回路20は、基板8の対向する両側に形成される。本実施例において、ショートスタブ回路22は、基板8の下層に設計される接地面6(図6に示す)の伸長部である。
【0028】
そのため、本発明におけるオープンスタブ回路20及びショートスタブ回路22は、側辺による結合方式によって、フィルタリング効果及び好ましいバンドエッジ選択を提供するという効果を達成することができる。そして、結合線路共振器12をアンテナ面積100内に設けるという設計方式によって、プリントアンテナの面積を増加させることなく、アンテナを小型化するという効果を達成することができる。
【0029】
図9及び図10を参照する。図9及び図10は、本発明の2つの実施例における2ステージフィルタリングアンテナ1を示す平面図である。図9の実施例において、アンテナ部10は、F型アンテナである。結合線路共振器12は、アンテナを小型化するという効果を達成するように、アンテナ部10の占めるアンテナ面積100に形成される。図10に示した実施例において、結合線路共振器12のショートスタブ回路22及びオープンスタブ回路20として、図1Aに示したような構造を実現するように、いずれも共面にあり、間隔をあけたマイクロストリップ線路構造を採用してもよい。他の実施例において、結合線路共振器12におけるショートスタブ回路及びオープンスタブ回路を実現するように、前記マイクロストリップ線路及び共面導波路構造以外に、スロット線路(slot line)、共面ストリップ線路(coplanar stripline;CPS)又は他の伝送線路の方式を採用してもよい。
【0030】
図11A及び図11Bを参照する。図11Aは、2ステージフィルタリングアンテナ及び従来の単一Γ型アンテナのリターンロス(return loss)の周波数応答を示す図である。図11Bは、2ステージフィルタリングアンテナ及び従来の単一Γ型アンテナの全放射電力(total radiated power)の周波数応答を示す図である。図11A及び図11Bにおいて、実線線分は、本発明の2ステージフィルタリングアンテナの測定結果を示し、破線線分は、本発明の2ステージフィルタリングアンテナの模擬結果を示し、点線線分は、従来の単一Γ型アンテナの模擬結果を示す。2ステージフィルタリングアンテナの模擬結果は、2.3GHz及び2.6GHzで2つの極点が発生し、2.11GHzと3.31GHzで2つの放射零点が発生することを示す。なお、動作周波数2.45GHzでの模擬放射効率は82%であり、2つの伝達零点での模擬放射効率のそれぞれは、0.7%及び1.1%であり、2ステージフィルタリングアンテナの測定結果と良好な一致性を示す。回路の面積が同一である場合、従来の単一Γ型アンテナより、本発明の2ステージフィルタリングアンテナは、通過帯域でより穏やかな全放射電力応答を有し、より高いバンドエッジ選択性及び良好な遮断バンド阻止を有する。
【0031】
図12A及び図12Bを参照する。図12Aは、2ステージフィルタリングアンテナ及び従来の単一Γ型アンテナのアンテナ利得について+z方向での、周波数に対する応答を示す図である。図12Bは、2ステージフィルタリングアンテナ及び従来の単一Γ型アンテナのアンテナ利得について+x方向での、周波数に対する応答を示す図である。そのうち、x方向及びy方向は、図6に示すようなものであり、z方向は、図面の裏側から手前へ通り抜ける方向である。図12A及び図12Bにおいて、実線線分は、本発明の2ステージフィルタリングアンテナの測定結果を示し、破線線分は、本発明の2ステージフィルタリングアンテナの模擬結果を示し、点線線分は、従来の単一Γ型アンテナの模擬結果を示す。図12A及び図12Bより、本発明の2ステージフィルタリングアンテナは、通過帯域でより穏やかなアンテナ利得を有し、より高いバンドエッジ選択性及び良好な遮断バンド阻止を有することがわかる。
【0032】
図13A〜図13Cを参照する。図13Aは、中心周波数が2.45GHzで、本発明の2ステージフィルタリングアンテナのアンテナ放射パターンがx‐z平面にある場合の測定結果である。図13Bは、中心周波数が2.45GHzで、本発明の2ステージフィルタリングアンテナのアンテナ放射パターンがy‐z平面にある場合の測定結果である。図13Cは、中心周波数が2.45GHzで、本発明の2ステージフィルタリングアンテナのアンテナ放射パターンがx‐y平面にある場合の測定結果である。x‐z平面において、放射パターンは、全方向性(omni‐directional)であり、そのアンテナ利得の最大値が1.2dBiである。図13A〜図13Cにより、従来の単一Γ型アンテナより、本発明の2ステージフィルタリングアンテナは、相当良好な一致性を持っていることがわかる。
【0033】
前記実施例においては、結合線路共振器が1ステージで、印刷式フィルタリングアンテナが2ステージフィルタリングアンテナを例として説明している。本発明の一実施例におけるNステージフィルタリングアンテナ1’を示す平面図である図14を参照する。本実施例において、印刷式フィルタリングアンテナをNステージフィルタリングアンテナにするように、結合線路共振器を、N−1ステージに拡張してもよい。各ステージの結合線路共振器は、その中の1ステージ(本実施例では、第N−1ステージ)だけがアンテナ部10に直接に接続されるように、互いに結合する。
【0034】
本発明を実施形態により上記のように開示したが、これは本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、当業者ならだれでも、多様な変動や修飾を加えることができ、従って、本発明の保護範囲は、後の請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0035】
1…2ステージフィルタリングアンテナ、 1’…Nステージフィルタリングアンテナ、6…接地面、8…基板、10…アンテナ部、12…結合線路共振器、20…オープンスタブ回路、22…ショートスタブ回路、24…隙間、100…アンテナ面積

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ部と、
前記アンテナ部と合わせて、フィルタリング作用を提供し、開路端と、接地した短絡端と、を包含するショートスタブ(short‐circuited stub)回路と、前記アンテナ部に接続され、前記ショートスタブ回路の前記開路端に対応するように前記ショートスタブ回路に結合される第1の端と、第2の端と、を有し、隙間を介して前記ショートスタブ回路に平行するオープンスタブ(open‐circuited stub)回路と、を含む結合線路共振器(coupled line resonator)と、
を備えることを特徴とする印刷式フィルタリングアンテナ(filtering antenna)。
【請求項2】
前記ショートスタブ回路及び前記オープンスタブ回路の等価回路は、並列する2組のキャパシタンス・インダクタンス直列共振器であることを特徴とする請求項1に記載の印刷式フィルタリングアンテナ。
【請求項3】
並列する前記2組のキャパシタンス・インダクタンス直列共振器は、前記印刷式フィルタリングアンテナのバンドエッジで、2つの伝達零点を発生させることを特徴とする請求項2に記載の印刷式フィルタリングアンテナ。
【請求項4】
並列する前記2組のキャパシタンス・インダクタンス直列共振器は、前記印刷式フィルタリングアンテナの共振周波数で、単一のキャパシタンス・インダクタンス並列共振器に等価し、伝達極点を発生させることを特徴とする請求項3に記載の印刷式フィルタリングアンテナ。
【請求項5】
前記オープンスタブ回路の第1の電気長が前記ショートスタブ回路の第2の電気長に等しく、即ち、前記オープンスタブ回路及び前記ショートスタブ回路のそれぞれが1/4波長の回路で、又は前記共振周波数での前記電気長がπ/2である場合、前記2つの伝達零点は、前記伝達極点に対して対称となることを特徴とする請求項4に記載の印刷式フィルタリングアンテナ。
【請求項6】
前記オープンスタブ回路の第1の電気長が前記ショートスタブ回路の第2の電気長に等しくない場合、前記2つの伝達零点は、前記伝達極点に対して対称とならないことを特徴とする請求項4に記載の印刷式フィルタリングアンテナ。
【請求項7】
前記ショートスタブ回路及び前記オープンスタブ回路のそれぞれは、共面にあるマイクロストリップ線路構造であることを特徴とする請求項1に記載の印刷式フィルタリングアンテナ。
【請求項8】
前記ショートスタブ回路は、共面導波路構造(coplanar waveguide;CPW)で、前記オープンスタブ回路は、マイクロストリップ線路構造(microstrip)で、前記ショートスタブ回路と前記オープンスタブ回路と間の前記隙間には、基板を更に含み、前記ショートスタブ回路及び前記オープンスタブ回路が、前記基板の対向する両側に形成されることを特徴とする請求項1に記載の印刷式フィルタリングアンテナ。
【請求項9】
前記ショートスタブ回路は、回路板の接地面の伸長部であることを特徴とする請求項8に記載の印刷式フィルタリングアンテナ。
【請求項10】
前記ショートスタブ回路及び前記オープンスタブ回路のそれぞれは、スロット線路(slot line)又は共面ストリップ線路(coplanar stripline;CPS)であることを特徴とする請求項1に記載の印刷式フィルタリングアンテナ。
【請求項11】
前記アンテナ部は、アンテナ面積を有し、前記結合線路共振器は、前記アンテナ面積内にあることを特徴とする請求項1に記載の印刷式フィルタリングアンテナ。
【請求項12】
前記アンテナ部は、モノポールアンテナ、F型アンテナ又は他のタイプのアンテナであることを特徴とする請求項1に記載の印刷式フィルタリングアンテナ。
【請求項13】
前記印刷式フィルタリングアンテナをNステージフィルタリングアンテナにするように、前記結合線路共振器は、N−1ステージであり、前記結合線路共振器中の1ステージが前記アンテナ部に直接に接続されるように、各ステージの前記結合線路共振器が互いに結合されることを特徴とする請求項1に記載の印刷式フィルタリングアンテナ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−48396(P2013−48396A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254784(P2011−254784)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(598139748)國立交通大學 (92)
【Fターム(参考)】