説明

印刷方法、プログラム及び印刷システム

【課題】ライトインクによるライトドットと、ダークインクによるダークドットを、異なる条件で生成する。
【解決手段】ある色の階調を示す階調値を、所定階調数でライト色の階調を示す第1ライト階調値と、所定階調数でダーク色の階調を示す第1ダーク階調値とに変換する。前記第1ライト階調値を、ライト色用のテーブルに基づいて、前記所定階調数よりも少ない階調数で前記ライト色の階調を示す第2ライト階調値に変換する。前記第1ダーク階調値を、前記ライト色用のテーブルとは別のダーク色用のテーブルに基づいて、前記所定階調数よりも少ない階調数で前記ダーク色の階調を示す第2階調値に変換する。前記第2ライト階調値に基づいてライトインクを吐出して、前記ライトインクによるライトドットを媒体に形成する。前記第2ダーク階調値に基づいてダークインクを吐出して、前記ダークインクによるダークドットを前記媒体に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷方法、プログラム及び印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドからインクを吐出させるインクジェット方式の印刷装置として、例えば、プリンタ、プロッタ、ファクシミリがある。この印刷装置では、ヘッドから吐出されたインクが媒体(紙、布、OHP用紙など)に着弾して、ドットが形成される。吐出されるインクの量を異ならせて、媒体のドットの大きさを異ならせれば、1つの画素に複数の階調を表現することも可能である(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−193587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような印刷装置の中には、滑らかな階調を表現するために、ライトインク(淡インク)及びダークインク(濃インク)を用意しているものもある。しかし、ライトインクによるドットと、ダークインクによるドットを、同じ条件で生成すると、画質の向上が難いことがある。
【0004】
そこで、本発明は、ライトインクによるドットと、ダークインクによるドットを、異なる条件で生成することを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための主たる発明は、ある色の階調を示す階調値を、所定階調数でライト色の階調を示す第1ライト階調値と、所定階調数でダーク色の階調を示す第1ダーク階調値とに変換し、前記第1ライト階調値を、ライト色用のテーブルに基づいて、前記所定階調数よりも少ない階調数で前記ライト色の階調を示す第2ライト階調値に変換し、前記第1ダーク階調値を、前記ライト色用のテーブルとは別のダーク色用のテーブルに基づいて、前記所定階調数よりも少ない階調数で前記ダーク色の階調を示す第2階調値に変換し、前記第2ライト階調値に基づいてライトインクを吐出して、前記ライトインクによるライトドットを媒体に形成し、前記第2ダーク階調値に基づいてダークインクを吐出して、前記ダークインクによるダークドットを前記媒体に形成し、前記ライトドット及び前記ダークドットによって前記ある色の階調を前記媒体上で表現することを特徴とする。
【0006】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
===開示の概要===
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0008】
ある色の階調を示す階調値を、所定階調数でライト色の階調を示す第1ライト階調値と、所定階調数でダーク色の階調を示す第1ダーク階調値とに変換し、
前記第1ライト階調値を、ライト色用のテーブルに基づいて、前記所定階調数よりも少ない階調数で前記ライト色の階調を示す第2ライト階調値に変換し、
前記第1ダーク階調値を、前記ライト色用のテーブルとは別のダーク色用のテーブルに基づいて、前記所定階調数よりも少ない階調数で前記ダーク色の階調を示す第2階調値に変換し、
前記第2ライト階調値に基づいてライトインクを吐出して、前記ライトインクによるライトドットを媒体に形成し、
前記第2ダーク階調値に基づいてダークインクを吐出して、前記ダークインクによるダークドットを前記媒体に形成し、
前記ライトドット及び前記ダークドットによって前記ある色の階調を前記媒体上で表現する
ことを特徴とする印刷方法。
このような印刷方法によれば、ライトインクによるライトドットと、ダークインクによるダークドットを、異なる条件で生成することができるので、画質の向上を図ることが可能になる。
【0009】
かかる印刷方法において、前記ライトドットの単位面積当たりの数の最大数が、前記ダークドットの単位面積当たりの数の最大数と異なるように、前記ライト色用のテーブルと前記ダーク色用のテーブルとが設定されていることが望ましい。このような印刷方法によれば、ライトドットとダークドットの単位面積当たりの数の最大値を別々に設定することができるので、画質の向上を図ることが可能になる。
【0010】
かかる印刷方法であって、前記第2ライト階調値に応じて複数の大きさの前記ライトドットを形成可能であり、前記第2ダーク階調値に応じて複数の大きさの前記ダークドットを形成可能であることが望ましい。また、最小の大きさの前記ライトドットの単位面積当たりの数の最大数が、最小の大きさの前記ダークドットの単位面積当たりの数の最大数よりも多くなるように、前記ライト色用のテーブルと前記ダーク色用のテーブルとが設定されていることが好ましい。最小の大きさのドットは飛翔中に曲がり易いので位置ずれし易く、また、ダークドットは目立ち易く、このため、最小の大きさのダークドットの単位面積当たりの数は減らしたいからである。一方、ライトドットの単位面積当たりの数は減らさなくても、最小の大きさのライトドットは位置ずれしても目立ちにくい。また、低い階調値でダークドットを発生させないためにも、ライトドットの単位面積当たりの数は減らさない方が良い。
【0011】
前記第1ライト階調値を前記第2ライト階調値に変換する際に、前記ライト色用のテーブル及びディザマトリクスが用いられ、前記第1ダーク階調値を前記第2ダーク階調値に変換する際に、前記ダーク色用のテーブル及びディザマトリクスが用いられることが望ましい。
【0012】
ライトインクによるライトドットを媒体に形成し、ダークインクによるダークドットを媒体に形成し、前記ライトドット及び前記ダークドットによってある色の階調を前記媒体上で表現する印刷システムに、
前記ある色の階調を示す階調値を、所定階調数でライト色の階調を示す第1ライト階調値と、所定階調数でダーク色の階調を示す第1ダーク階調値とに変換させ、
前記第1ライト階調値を、ライト色用のテーブルに基づいて、前記所定階調数よりも少ない階調数で前記ライト色の階調を示す第2ライト階調値に変換させ、
前記第1ダーク階調値を、前記ライト色用のテーブルとは別のダーク色用のテーブルに基づいて、前記所定階調数よりも少ない階調数で前記ダーク色の階調を示す第2階調値に変換させ、
前記第2ライト階調値に基づいて前記ライトインクを吐出して、前記ライトインクによる前記ライトドットを媒体に形成し、
前記第2ダーク階調値に基づいて前記ダークインクを吐出して、前記ダークインクによる前記ダークドットを前記媒体に形成し、
ことを特徴とするプログラム。
このようなプログラムによれば、ライトインクによるライトドットと、ダークインクによるダークドットを、異なる条件で生成することができるので、画質の向上を図ることが可能になる。
【0013】
ある色の階調を示す階調値を、所定階調数でライト色の階調を示す第1ライト階調値と、所定階調数でダーク色の階調を示す第1ダーク階調値とに変換し、
前記第1ライト階調値を、ライト色用のテーブルに基づいて、前記所定階調数よりも少ない階調数で前記ライト色の階調を示す第2ライト階調値に変換し、
前記第1ダーク階調値を、前記ライト色用のテーブルとは別のダーク色用のテーブルに基づいて、前記所定階調数よりも少ない階調数で前記ダーク色の階調を示す第2階調値に変換し、
前記第2ライト階調値に基づいてライトインクを吐出して、前記ライトインクによるライトドットを媒体に形成し、
前記第2ダーク階調値に基づいてダークインクを吐出して、前記ダークインクによるダークドットを前記媒体に形成し、
前記ライトドット及び前記ダークドットによって前記ある色の階調を前記媒体上で表現する
ことを特徴とする印刷システム。
このような印刷システムによれば、ライトインクによるライトドットと、ダークインクによるダークドットを、異なる条件で生成することができるので、画質の向上を図ることが可能になる。
【0014】
===印刷システムの構成===
<全体構成について>
図1は、印刷システム100の構成を説明する図である。例示した印刷システム100は、印刷装置としてのプリンタ1と、印刷制御装置としてのコンピュータ110とを含んでいる。具体的には、この印刷システム100は、プリンタ1と、コンピュータ110と、表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140とを有している。
【0015】
プリンタ1は、用紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷する。コンピュータ110は、プリンタ1と通信可能に接続されている。そして、プリンタ1に画像を印刷させるため、コンピュータ110は、その画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。このコンピュータ110には、アプリケーションプログラムやプリンタドライバ等のコンピュータプログラムがインストールされている。表示装置120は、ディスプレイを有している。この表示装置120は、例えば、コンピュータプログラムのユーザーインタフェースを表示するためのものである。入力装置130は、例えば、キーボード131やマウス132である。記録再生装置140は、例えば、フレキシブルディスクドライブ装置141やCD−ROMドライブ装置142である。
【0016】
===コンピュータ===
図2は、コンピュータ110、及びプリンタ1の構成を説明するブロック図である。まず、コンピュータ110の構成について簡単に説明する。このコンピュータ110は、前述した記録再生装置140と、ホスト側コントローラ111とを有している。記録再生装置140は、ホスト側コントローラ111と通信可能に接続されており、例えばコンピュータ110の筐体に取り付けられている。ホスト側コントローラ111は、コンピュータ110における各種の制御を行うものであり、前述した表示装置120や入力装置130も通信可能に接続されている。このホスト側コントローラ111は、インタフェース部112と、CPU113と、メモリ114とを有する。インタフェース部112は、プリンタ1との間に介在し、データの受け渡しを行う。CPU113は、コンピュータ110の全体的な制御を行うための演算処理装置である。メモリ114は、CPU113が使用するコンピュータプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM、ROM、磁気ディスク装置等によって構成される。このメモリ114に格納されるコンピュータプログラムとしては、前述したように、アプリケーションプログラムやプリンタドライバがある。そして、CPU113は、メモリ114に格納されているコンピュータプログラムに従って各種の制御を行う。
【0017】
プリンタドライバは、コンピュータ110に、画像データを印刷データに変換させ、この印刷データをプリンタ1へ送信する。印刷データは、プリンタ1が解釈できる形式のデータであって、各種のコマンドデータと、画素データとを有する。コマンドデータとは、プリンタ1に特定の動作の実行を指示するためのデータである。このコマンドデータには、例えば、給紙を指示するコマンドデータ、搬送量を示すコマンドデータ、排紙を指示するコマンドデータがある。また、画素データは、印刷される画像の画素に関するデータである。
【0018】
ここで、画素とは、画像を構成する単位要素であり、この画素が2次元的に並ぶことにより画像が構成される。印刷データにおける画素データは、用紙S上に形成されるドットに関するデータ(例えば、階調値)である。本実施形態の画素データは、画素毎に例えば2ビットのデータによって構成される。2ビットの画素データは、1つの画素を4階調で表現することができる。
【0019】
===プリンタドライバ===
プリンタドライバは、アプリケーションプログラムから画像データを受け取り、プリンタ1が解釈できる形式の印刷データに変換し、印刷データをプリンタに出力する。
図3は、プリンタドライバが印刷データを生成するときに行う処理のフロー図である。プリンタドライバがインストールされたコンピュータ110は、プリンタドライバのプログラムコードに従って、各種処理を行う。すなわち、プリンタドライバは、各種処理を行うためのプログラムコードを備えている。
【0020】
解像度変換処理(S001)は、アプリケーションプログラムから出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、紙に印刷する際の解像度(印刷解像度)に変換する処理である。例えば、印刷解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラムから受け取ったベクター形式の画像データを720×720dpiの解像度のビットマップ形式の画像データに変換する。なお、解像度変換処理後の画像データの各画素データは、RGB色空間により表される多階調(例えば256階調)のRGB画素データである。
【0021】
色変換処理(S002)は、RGB画素データをCMYK色空間により表されるCMYK画素データに変換する処理である。なお、CMYK画素データは、プリンタが有するインクの色に対応したデータである。この色変換処理は、RGB画素データの階調値とCMYKデータの階調値とを対応づけたテーブル(色変換ルックアップテーブルLUT)に基づいて、行われる。なお、色変換処理後の画素データは、CMYK色空間により表される256階調のCMYK画素データである。
【0022】
ハーフトーン処理(S003)は、高階調数のデータを、プリンタが形成可能な階調数のデータに変換する処理である。例えば、ハーフトーン処理により、256階調を示す画素データが、2階調を示す1ビットデータや4階調を示す2ビットデータに変換される。ハーフトーン処理では、ディザ法・γ補正・誤差拡散法などが利用される。ハーフトーン処理されたデータは、印刷解像度(例えば720×720dpi)と同等の解像度である。ハーフトーン処理後の画像データでは、画素ごと1ビット又は2ビットの画素データが対応しており、この画素データは各画素でのドットの形成状況(ドットの有無、ドットの大きさ)を示すデータになる。なお、ハーフトーン処理の詳細については、後述する。
【0023】
ラスタライズ処理(S004)は、マトリクス状に並ぶ画素データを、印刷時のドット形成順序に従って並べ替える処理である。例えば、印刷時に数回に分けてドット形成処理が行われる場合、各ドット形成処理に対応する画素データをそれぞれ抽出し、ドット形成処理の順序に従って並べ替える。なお、印刷方式が異なれば印刷時のドット形成順序が異なるので、印刷方式に応じてラスタライズ処理が行われることになる。
【0024】
コマンド付加処理(S005)は、ラスタライズ処理されたデータに、印刷方式に応じたコマンドデータを付加する処理である。コマンドデータとしては、例えば搬送量を示す搬送データなどがある。
これらの処理を経て生成された印刷データは、プリンタドライバによりプリンタに送信される。
【0025】
===プリンタ===
<プリンタ1の構成について>
図4は、本実施形態のプリンタ1の構成を示す図である。なお、以下の説明では、図2も参照する。
【0026】
プリンタ1は、用紙搬送機構20、キャリッジ移動機構30、ヘッドユニット40、検出器群50、プリンタ側コントローラ60、及び駆動信号生成回路70を有する。プリンタ側コントローラ60及び駆動信号生成回路70は、共通のコントローラ基板CTRに設けられている。また、ヘッドユニット40は、ヘッド制御部HCと、ヘッド41とを有している。
【0027】
このプリンタ1では、プリンタ側コントローラ60によって制御対象部、すなわち用紙搬送機構20、キャリッジ移動機構30、ヘッドユニット40(ヘッド制御部HC、ヘッド41)、及び駆動信号生成回路70が制御される。これにより、プリンタ側コントローラ60は、コンピュータ110から受け取った印刷データに基づき、用紙Sに画像を印刷させる。また、検出器群50の各検出器は、プリンタ1内の状況を監視している。そして、各検出器は、検出結果をプリンタ側コントローラ60に出力する。各検出器からの検出結果を受けたプリンタ側コントローラ60は、その検出結果に基づいて制御対象部を制御する。
【0028】
用紙搬送機構20は、媒体を搬送方向に搬送させるためのものである。この用紙搬送機構20は、用紙Sを印刷可能な位置まで給紙したり、この用紙Sを搬送方向に所定の搬送量で搬送させたりする。この搬送方向は、キャリッジ移動方向と交差する方向である。
【0029】
キャリッジ移動機構30は、ヘッドユニット40が取り付けられたキャリッジCRをキャリッジ移動方向に移動させるためのものである。キャリッジ移動方向には、一側から他側への移動方向と、他側から一側への移動方向が含まれている。なお、ヘッドユニット40はヘッド41を有するので、キャリッジ移動方向はヘッド41の移動方向に相当し、キャリッジ移動機構30はヘッド41を移動方向に移動させるものでもある。
【0030】
ヘッドユニット40は、インクを用紙Sに向けて吐出させるためのものである。このヘッドユニット40は、キャリッジCRに取り付けられている。このヘッドユニット40が有するヘッド41は、ヘッドケースの下面に設けられている。また、ヘッドユニット40が有するヘッド制御部HCは、ヘッドケースの内部に設けられている。なお、このヘッド制御部HCについては、後で詳しく説明する。
【0031】
検出器群50は、プリンタ1の状況を監視するためのものである。この検出器群50には、例えば、キャリッジCRの移動方向の位置を検出するためのリニア式エンコーダ51等が含まれている。他にも、用紙の搬送量を検出するためのセンサ(例えば用紙を搬送する搬送ローラの回転量を検出するエンコーダ)なども検出器群50に含まれる。
【0032】
プリンタ側コントローラ60は、プリンタ1の制御を行うものである。このプリンタ側コントローラ60は、インタフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、制御ユニット64とを有する。インタフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110との間で、データの受け渡しを行う。CPU62は、プリンタ1の全体的な制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM、ROM等の記憶素子によって構成される。そして、CPU62は、メモリ63に記憶されているコンピュータプログラムに従い、各制御対象部を制御する。例えば、CPU62は、制御ユニット64を介して用紙搬送機構20やキャリッジ移動機構30を制御する。また、CPU62は、ヘッド41の動作を制御するためのヘッド制御信号をヘッド制御部HCに出力したり、駆動信号COMを生成させるための生成信号を駆動信号生成回路70に出力したりする。そして、印刷時には、プリンタ側コントローラ60が、キャリッジCRを移動させながらヘッド41からインクを吐出して用紙にドットを形成するドット形成動作と、用紙搬送機構20に用紙を搬送させる搬送動作とを交互に繰り返して、用紙に画像を印刷させる。
【0033】
駆動信号生成回路70は、駆動信号COMを生成するものである。なお、駆動信号生成回路70が生成する駆動信号COMについては、後述する。
【0034】
コントローラ基板CTRとキャリッジCRとの間にはケーブルCBLが設けられている。ヘッド制御信号や駆動信号COMは、ケーブルCBLを介して、コントローラ基板CTR側からヘッドユニット40側へ伝送される。
【0035】
<ヘッド41の構成について>
図5は、6色印刷用のプリンタのヘッド41に設けられたノズルの説明図である。ヘッド41の下面には、ブラックインクノズル群Kと、イエローインクノズル群Yと、ダークマゼンタインクノズル群DMと、ライトマゼンタインクノズル群LMと、ダークシアンインクノズル群DCと、ライトシアンインクノズル群LCとが形成されている。各ノズル群は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを180個備えている。各ノズルには、それぞれインクチャンバー(不図示)と、ピエゾ素子が設けられている。ピエゾ素子の駆動によってインクチャンバーが伸縮・膨張し、ノズルからインク滴が吐出される。各ノズルからは、量が異なる複数種類のインクを吐出させることができる。これにより、大きさの異なるドットを用紙上に形成することができる。
【0036】
なお、ライトシアンインク(淡インク)は、ダークシアンインク(濃インク)よりも濃度が淡い。シアンは補色であるレッド光を吸収する性質を持ち、ライトシアンインクにより形成されたライトシアンドット(淡ドット)は、ダークシアンインクにより形成されたドット(濃ドット)よりも、レッド光の吸収量が少ない。また、ライトマゼンタインクは、ダークマゼンタインクよりも濃度が淡い。マゼンタは補色であるグリーン光を吸収する性質を持ち、ライトマゼンタインクにより形成されたドット(淡ドット)は、ダークマゼンタインクにより形成されたドット(濃ドット)よりも、グリーン光の吸収量が少ない。
【0037】
<ヘッド制御部HCの構成と各種信号>
図6は、ヘッド制御部HCのブロック図である。
ヘッド制御部HCは、第1シフトレジスタ81Aと、第2シフトレジスタ81Bと、第1ラッチ回路82Aと、第2ラッチ回路82Bと、信号選択部83と、制御ロジック84と、スイッチ86とを備えている。そして、制御ロジック84を除いた各部(すなわち、第1シフトレジスタ81A、第2シフトレジスタ81B、第1ラッチ回路82A、第2ラッチ回路82B、信号選択部83、及びスイッチ86)は、それぞれピエゾ素子421毎に設けられる。制御ロジック84は、設定データSPを記憶するためのシフトレジスタ群842と、設定データSPに基づいて選択信号q0〜q3を生成する選択信号生成部844とを有している。
【0038】
このヘッド制御部HCには、プリンタ側コントローラ60からケーブルCBLを介して、クロックCLK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び駆動信号COMが入力される。また、画素データSIと設定データSPとから構成される転送データTRDを含む転送信号TRも、プリンタ側コントローラ60からケーブルCBLを介してヘッド制御部HCへ入力される。
【0039】
図7は、各種信号の説明図である。
駆動信号COMは、繰返し周期T毎に繰り返し生成される。この繰返し周期Tは、キャリッジCRが所定距離移動するために要する期間である。このように、キャリッジCRが所定距離移動する毎に、同じ波形の駆動信号COMが駆動信号生成回路70から繰り返し生成される。各繰返し周期Tは、5つの区間T1〜T5に分けることができる。第1区間T1には駆動パルスPS1を含む第1区間信号SS1が生成され、第2区間T2には駆動パルスPS2を含む第2区間信号SS2が生成され、第3区間T3には駆動パルスPS3を含む第3区間信号SS3が生成され、第4区間T4には駆動パルスPS4を含む第4区間信号SS4が生成され、第5区間T5には駆動パルスPS5を含む第5区間信号SS5が生成される。なお、駆動パルスPS1〜PS5の波形は、ピエゾ素子421に行わせる動作に基づいて定められている。
【0040】
ラッチ信号LATは、繰返し周期Tを規定する信号である。ラッチ信号LATのパルス信号は、キャリッジCRが所定距離移動する毎に出力される。チェンジ信号CHは、繰返し周期Tを5つの区間T1〜T5に区分けするための信号である。
【0041】
選択信号q0〜q3は、選択信号生成部844から出力される信号である。選択信号生成部844は、設定信号SPに基づいて5つの区間T1〜T5におけるLレベル又はHレベルを決定出力している。
【0042】
印加信号は、ピエゾ素子421に印加される信号である。各ピエゾ素子421に対応する画素データの内容に応じて、印加信号が異なる。
【0043】
次に、ヘッド制御部HCによってピエゾ素子421に印加信号が印加されるまでの動作について説明する。
クロックCLK(図7では不図示)に同期して設定データSPと画素データSIがヘッド制御部HCに入力されると、2ビットデータである画素データの下位ビットデータが第1シフトレジスタ81Aにそれぞれセットされ、上位ビットデータが第2シフトレジスタ81Bにそれぞれセットされ、設定データSPが制御ロジック84のシフトレジスタ群842にセットされる。そして、ラッチ信号LATのパルスに応じて、下位ビットデータが第1ラッチ回路82Aにラッチされ、上位ビットデータが第2ラッチ回路82Bにラッチされ、設定データSPが選択信号生成部844にラッチされる。
【0044】
信号選択部83は、第1ラッチ回路82A及び第2ラッチ回路82Bにラッチされた2ビットの画素データに応じて、選択信号q0〜q3から1つを選択する。画素データが[00]の場合(下位ビットが[0]で上位ビットが[0]の場合)には選択信号q0が選択され、画素データが[01]の場合には選択信号q1が選択され、画素データが[10]の場合には選択信号q2が選択され、画素データが[11]の場合には選択信号q3が選択される。選択された選択信号は、スイッチ信号SWとして信号選択部83から出力される。
【0045】
スイッチ86には駆動信号COM及びスイッチ信号SWが入力される。スイッチ信号がHレベルのとき、スイッチ86はON状態になり、駆動信号COMがピエゾ素子421へ印加される。スイッチ信号SWがLレベルのとき、スイッチ86はOFF状態になり、駆動信号COMはピエゾ素子421へ印加されない。
【0046】
画素データが[00]の場合、スイッチ86が選択信号q0によりON/OFFされ、駆動信号COMの第1区間信号SS1がピエゾ素子421へ印加され、ピエゾ素子421は駆動パルスPS1により駆動される。この駆動パルスPS1に応じてピエゾ素子421が駆動すると、インクが吐出されない程度の圧力変動がインクに生じて、インクメニスカス(ノズル部分で露出しているインクの自由表面)が微振動する。
【0047】
画素データが[01]の場合、スイッチ86が選択信号q1によりON/OFFされ、駆動信号COMの第3区間信号SS3がピエゾ素子421へ印加され、ピエゾ素子421は駆動パルスPS3により駆動される。この駆動パルスPS3に応じてピエゾ素子421が駆動すると、2.5plの小インク滴が吐出され、用紙に小ドットが形成される。
【0048】
画素データが[10]の場合、スイッチ86が選択信号q2によりON/OFFされ、駆動信号COMの第2区間信号SS2がピエゾ素子421へ印加され、ピエゾ素子421が駆動パルスPS2により駆動される。この駆動パルスPS2に応じてピエゾ素子421が駆動すると、7plの中インク滴が吐出され、用紙に中ドットが形成される。
【0049】
画素データが[11]の場合、スイッチ86が選択信号q3によりON/OFFされ、駆動信号COMの第2区間信号SS2、第4区間信号SS4及び第5区間信号SS5がピエゾ素子421へ印加され、ピエゾ素子421が駆動パルスPS2、駆動パルスPS4及び駆動パルスPS5により駆動される。これらの駆動パルスPS2、駆動パルスPS4及び駆動パルスPS5に応じてピエゾ素子421が駆動すると、21plの大インク滴が吐出され、用紙に大ドットが形成される。
【0050】
===ハーフトーン処理===
まず、ブラックやイエローにおけるハーフトーン処理について説明し、その後、ライトインク及びダークインクのあるシアンやマゼンタにおけるハーフトーン処理について説明する。
【0051】
<ブラック及びイエローのハーフトーン処理について>
図8は、ブラック及びイエローのハーフトーン処理のフロー図である。プリンタドライバがインストールされたコンピュータ110は、プリンタドライバのプログラムコードに従って、各処理を行う。すなわち、プリンタドライバは、各処理を行うためのプログラムコードを備えている。
【0052】
ハーフトーン処理前の画像データ(色変換処理後の画像データ)の画素データは、CMYK色空間により表される256階調のCMYK画素データである。
このCMYK画素データは、シアンの階調を示す8ビットのC画素データ、マゼンタの階調を示す8ビットのM画素データ、イエローの階調を示す8ビットのY画素データ、及びブラックの階調を示す8ビットのB画素データから構成される。また、画素データの集合により画像データが構成される。C画素データの集合によってシアンの画像を示すC画像データが構成され、M画素データの集合によってマゼンタの画像を示すM画像データが構成され、Y画素データの集合によってイエローの画像を示すY画像データが構成され、K画素データの集合によってブラックの画像を示すK画像データが構成される。
【0053】
ブラックやイエローにおけるハーフトーン処理では、プリンタドライバは、8ビットの画素データを、2ビットの画素データに変換する。この2ビットの画素データは、その画素データの対応する画素において、「ドットなし」「小ドット」「中ドット」及び「大ドット」を示すデータになる。
【0054】
まず、プリンタドライバは、CMYK画像データの中から画素データを取得する(S101)。ここでは、ブラックの画像を示すK画像データのハーフトーン処理について説明することとし、K画像データを構成する8ビットのK画素データが順に取り出される。
【0055】
図9は、ドット生成率テーブルの説明図である。グラフの横軸は階調値(0〜255)であり、縦軸は左側がドット生成率(0〜100%)であり、右側がレベルデータである。
ここで、「ドットの生成率」とは、一定の階調値に応じて一様な領域が再現されるときに、その領域内の画素のうちのドットが形成される画素の割合を意味する。例えば16×16画素の全ての画素データの階調値が一定値である場合において、その16×16画素にn個のドットが形成されるとき、その階調値におけるドット生成率は、{n/(16×16)}×100(%)として表される。図中の点線で示されるプロファイルSDが小ドットの生成率を示しており、また、細い実線で示されるプロファイルMDが中ドットの生成率を示しており、太い実線で示されるプロファイルLDが大ドットの生成率を示している。また、「レベルデータ」とは、ドットの生成率を値0〜255の256段階で表したデータをいう。
【0056】
プリンタドライバは、取り出したK画素データの階調値に応じて、大ドットレベルデータLVLを設定する(S102)。例えば、K画素データの階調値がgrであれば、大ドットレベルデータLVLは、プロファイルLDに基づいて、1dに設定される。
【0057】
次に、プリンタドライバは、大ドットレベルデータLVLが閾値THLより大きいか否かを判定する(S103)。閾値THLは、ディザマトリクスの各画素に対して異なる値が設定されている。本実施形態では、16×16の正方形の画素ブロックに、0〜255までの値が示されるマトリックスを用いている。
【0058】
図10は、ディザ法によるドットのオン・オフ判定の様子を示す図である。図示の都合上、4×4画素についてのみ示している。
【0059】
例えば、図中の左上の画素に関して、大ドットレベルデータLVLが「180」に設定されたとする。この画素に対応するディザマトリクス上の閾値THLは「1」である。そして、プリンタドライバは大ドットレベルデータLVL「180」と閾値THL「1」とを比較する。この場合、大ドットレベルデータLVLが閾値THLよりも大きいと判定される。なお、この画素の右隣の画素では、大ドットレベルデータLVL「130」が閾値THL「177」よりも大きくないと判定される。
【0060】
そして、プリンタドライバは、大ドットレベルデータLVLの方が閾値THLよりも大きいと判定した場合(S103でYES)、その画素の画素データを「11」に変換し(S111)、その画素データに対する処理を終了する。
【0061】
一方、プリンタドライバは、大ドットレベルデータLVLが閾値THL以下であると判定した場合(S103でNO)、中ドットレベルデータLVMを設定する(S104)。例えば、K画素データの階調値がgrであれば、中ドットレベルデータLVMは、プロファイルMDに基づいて、2dに設定される。大ドットレベルデータLVLの場合のように、プリンタドライバは、中ドットレベルデータLVMの方が閾値THMよりも大きいと判定した場合(S105でYES)、その画素の画素データを「10」に変換し(S112)、その画素データに対する処理を終了する。
【0062】
また、プリンタドライバは、中ドットレベルデータLVMが閾値THM以下であると判定した場合(S105でNO)、小ドットレベルデータLVSを設定する(S106)。例えば、K画素データの階調値がgrであれば、小ドットレベルデータLVSは、プロファイルSDに基づいて、3dに設定される。大ドットレベルデータLVLの場合のように、プリンタドライバは、小ドットレベルデータLVSの方が閾値THSよりも大きいと判定した場合(S107でYES)、その画素の画素データを「01」に変換し(S113)、その画素データに対する処理を終了する。
【0063】
また、プリンタドライバは、小ドットレベルデータLVSが閾値THS以下であると判定した場合(S107でNO)、その画素の画素データを「00」に変換し(S114)、その画素データに対する処理を終了する。
【0064】
図11は、大ドットの判定に用いられるディザマトリクスと、中ドットの判定に用いられるディザマトリクスとの関係について示す図である。本実施形態では先に述べたように16×16のマトリクスを用いているが、図示の都合上4×4のマトリクスで示している。2つのマトリクスを比較すると、閾値が対照的になっている。仮に大ドットと中ドットで同じディザマトリクスを用いた場合、ドットがオンになりやすい画素ブロックが両者で一致する。つまり、大ドットがオフとなるときには中ドットもオフになる可能性が高くなる。その結果、中ドットの生成率は所望の生成率よりも低くなるおそれが生じる。このような現象を回避するため、本実施形態では、両者でディザマトリクスを変えている。つまり、オンになりやすくなる画素ブロックを、大ドットと中ドットとで変えることによって、それぞれのドットが適切な生成率になることを確保している。
【0065】
画素データを2ビットデータに変換した後(S111〜S114)、プリンタドライバは、K画像データの全ての画素データの変換が終了したか否かを判定する(S121)。終了していない場合には(S121でNO)、未処理のK画素データについて同様の処理を行う(S101〜S121)。全ての画素データの変換が終了した場合には(S121でYES)、K画像データのハーフトーン処理を終了する。なお、プリンタドライバは、K画像データに対する処理と同様の処理を、Y画像データに対しても行う。
【0066】
<シアン及びマゼンタのハーフトーン処理(参考例)>
次に、シアンやマゼンタにおけるハーフトーン処理について説明する。シアンやマゼンタにおけるハーフトーン処理は、ライトインクやダークインクがあるため、ブラックやイエローのハーフトーン処理とは異なる処理になる。
【0067】
シアンやマゼンタにおけるハーフトーン処理では、プリンタドライバは、8ビットの画素データを、ライトインク用の2ビットの画素データと、ダークインク用の2ビットの画素データに変換する。ライトインク用の2ビットの画素データは、その画素データの対応する画素において、ライトインクによる「ドットなし」「小ドット」「中ドット」及び「大ドット」を示すデータになる。また、ダークインク用の2ビットの画素データは、その画素データの対応する画素において、ダークインクによる「ドットなし」「小ドット」「中ドット」及び「大ドット」を示すデータになる。
【0068】
図12は、シアン及びマゼンタのハーフトーン処理のフロー図である。プリンタドライバがインストールされたコンピュータ110は、プリンタドライバのプログラムコードに従って、各処理を行う。すなわち、プリンタドライバは、各処理を行うためのプログラムコードを備えている。
【0069】
まず、プリンタドライバは、CMYK画像データの中から画素データを取得する(S201)。ここでは、シアンの画像を示すC画像データのハーフトーン処理について説明することとし、C画像データを構成する8ビットのC画素データが順に取り出される。
【0070】
次に、プリンタドライバは、階調値変換テーブルを参照し、シアンの階調を示すC画素データに基づいて、ライトシアンの階調を示すLC画素データ、及びダークシアンの階調を示すDC画素データを取得する(S202)。
【0071】
そして、プリンタドライバは、ライトシアン用の8ビットのLC画素データを、2ビットのLC画素データに変換する(S203)。なお、8ビットの画素データを2ビットの画素データに変換する処理は、前述のブラックの8ビットの画素データを2ビットの画素データに変換する処理と同様である(但し、ドット生成率テーブルについては、参考例と本実施形態とで異なる)。
【0072】
次に、プリンタドライバは、ダークシアン用の8ビットのDC画素データを、2ビットのDC画素データに変換する(S204)。なお、8ビットの画素データを2ビットの画素データに変換する処理は、前述のブラックの8ビットの画素データを2ビットの画素データに変換する処理と同様である。
【0073】
C画素データをライトシアン用の2ビットのLC画素データとダークシアン用の2ビットのDC画素データに変換した後、プリンタドライバは、C画像データの全ての画素データの変換が終了したか否かを判定する(S205)。終了していない場合には(S205でNO)、未処理のC画素データについて同様の処理を行う(S201〜S205)。全ての画素データの変換が終了した場合には(S205でYES)、C画像データのハーフトーン処理を終了する。なお、プリンタドライバは、C画像データに対する処理と同様の処理を、M画像データに対しても行う。
【0074】
===比較例のハーフトーン処理===
<比較例の階調値変換テーブルについて>
図13Aは、比較例の階調値変換テーブルの説明図である。横軸は入力階調値(0〜255)であり、縦軸は出力階調値(0〜255)である。図中の細線はライトシアン用のプロファイルを示し、太線はダークシアン用のプロファイルを示す。
【0075】
前述のS202の処理を行う際に、例えばシアンの階調値(横軸の入力階調、C画素データ)が「128」の場合、プリンタドライバは、階調値変換テーブルを参照し、ライトシアンの階調値(縦軸の出力階調、LC画素データ)「243」を取得し、ダークシアンの階調値(縦軸の出力階調、DC画素データ)「22」を取得する。
このように、プリンタドライバは、シアンの階調値を、ライトシアンの階調値とダークシアンの階調値とに変換する。
【0076】
<比較例のドット生成率テーブルについて>
図14は、比較例のドット生成率テーブルの説明図である。グラフの横軸は階調値(0〜255)であり、縦軸は左側がドット生成率(0〜100%)であり、右側がレベルデータである。
比較例では、ライトシアン用のドット生成率テーブルと、ダークシアン用のドット生成率テーブルが、共通になっている。すなわち、前述のS203及びS204の処理を行う際に、プリンタドライバは、図14に示されるドット生成率テーブルを用いて8ビットのLC画素データ(256階調のライトシアンの階調値)を2ビットデータに変換し、同じドット生成率テーブルを用いて8ビットのDC画素データ(256階調のダークシアンの階調値)を2ビットデータに変換する。
【0077】
ところで、小ドットを形成するための小インク滴(2.5pl)は、他のドットを形成するためのインク滴(7pl又は21pl)と比べて、インク量が少ない。このため、小インク滴は、インク量に対する表面積が大きくなり、他のインク滴と比べて空気抵抗の影響が大きくなる。この結果、小インク滴の飛翔中に飛行曲がりが生じ、小インク滴の着弾位置がずれてしまい、小ドットの位置がずれてしまう。この小ドットの位置ずれは、画質の低下を招く(例えば、ざらついた画像になる)。
【0078】
特にダークシアンインクはライトシアンインクよりも濃度が濃いため、位置がずれると画質の低下をより招くことになる。また、小ドットの発生率が高くなると、位置のずれたドットがたくさん形成されるため、画質の低下を招くことになる。このため、ダークシアンインクの小ドットの生成率が所定のドット生成率を超えないように、ドット生成率テーブルが予め設定されている。ここでは、ダークシアンインクの小ドットの生成率が50%を超えないように、ドット生成率テーブルが設定されている。
【0079】
しかし、比較例ではドット生成率テーブルがダークシアンとライトシアンで共通に適用されるため、ダークシアンインクの小ドットの生成率が50%を超えないようにドット生成率テーブルを設定すると、ライトシアンインクの小ドットの生成率も50%を超えないようになる。但し、ライトシアンインクの小ドットの位置がずれたとしても、インク濃度が淡いため、画質への影響は、ダークシアンインクの場合と比べて低いと考えられる。
【0080】
一方、ライトシアンインクの小ドットの生成率が50%を越えないようにドット生成率テーブルを設定すると、LC画素データの示す階調値(ライトシアンの階調値)が比較的低いときから、中ドットを生成する必要が生じる。ここでは、ライトシアンの階調値が「42」のときに、ライトシアンインクの中ドットが生成され始める。
しかし、階調値が低いときから中ドットの生成が始まると、紙に着弾させるインク量が多くなってしまう。
【0081】
また、ライトシアンのドット生成率を低く設定すると、シアンの階調値が比較的低いときから、ダークシアンによるドットを生成する必要が生じる。図13Aを参照すると、シアンの階調値(横軸の入力階調)が「88」以下まではダークシアンの階調値(縦軸の出力階調、DC画素データ)が「0」になるが、シアンの階調値が「88」より大きくなると、ダークシアンの階調値が「0」よりも大きくなり、ダークシアンによるドットが生成され始める。
しかし、シアンの階調値が比較的低いときからダークシアンによるドットの生成が始まると、比較的淡い画像の中にダークシアンインクによるドットが発生するため、ダークシアンインクによるドットが目立ってしまい、粒状性の悪い画像になってしまう。
【0082】
===本実施形態のハーフトーン処理===
本実施形態では、以下に説明するとおり、ライトシアン用のドット生成率テーブルと、ダークシアン用のドット生成率テーブルを、別々に用意している。そして、ライトシアン用のドット生成率テーブルの小ドットのドット生成率の最大値は、ダークシアン用のドット生成率テーブルの小ドットのドット生成率の最大値よりも、高く設定している。
【0083】
<本実施形態の階調値変換テーブルについて>
図13Bは、本実施形態の階調値変換テーブルの説明図である。横軸は入力階調値(0〜255)であり、縦軸は出力階調値(0〜255)である。図中の細線はライトシアン用のプロファイルを示し、太線はダークシアン用のプロファイルを示す。
【0084】
本実施形態の階調値変換テーブルによれば、前述のS202の処理を行う際に、プリンタドライバは、例えばC画素データが「128」の場合、ライトシアン用のLC画素データ「241」を取得し、ダークシアン用のDC画素データ「8」を取得する。
このように、プリンタドライバは、シアンの階調値(ある色の階調値)を、ライトシアンの階調値(「256階調でライト色の階調を示す第1ライト階調値」に相当)とダークシアンの階調値(「256階調でダーク色の階調を示す第1ダーク階調値」に相当)とに変換する。
【0085】
なお、図13Aの比較例と比べると、C画素データが同じ「128」にもかかわらず、ダークシアンの階調値を示すDC画素データの値は、比較例よりも本実施形態の方が低い値になっている。
【0086】
また、本実施形態の階調値変換テーブルでは、シアンの階調値(横軸の階調値)が「106」以下まではダークシアンの階調値(縦軸の出力階調、DC画素データ)が「0」になり、シアンの階調値が「106」よりも大きくなると、ダークシアンの階調値が「0」よりも大きくなり、ダークシアンインクによるドットが生成され始める。つまり、図13Aの比較例と比べると、ダークシアンによるドットが生成され始めるシアンの階調値は、比較例よりも本実施形態の方が高い値になっている。
【0087】
<本実施形態のドット生成率テーブルについて>
図15Aは、本実施形態のライトシアン用のドット生成率テーブルの説明図である。図15Bは、本実施形態のダークシアン用のドット生成率テーブルの説明図である。このように、本実施形態では、ライトシアン用のドット生成率テーブルと、ダークシアン用のドット生成率テーブルが、別々に用意されている。
【0088】
前述の階調値変換テーブルに基づいてLC画素データ及びDC画素データを取得した後、前述のS203の処理を行う際に、プリンタドライバは、ライトシアン用のドット生成率テーブルに基づいて、ライトシアン用の8ビットのLC画素データ(第1階調値に相当)を、2ビットのLC画素データに変換する。
【0089】
具体的には、まず、プリンタドライバは、図15Aのドット生成率テーブルに基づいて、LC画素データの階調値に対応する大ドットレベルデータLVLを設定する。そして、プリンタドライバは、大ドットレベルデータLVLが閾値THLより大きいか否かを判定する。プリンタドライバは、大ドットレベルデータLVLの方が閾値THLよりも大きいと判定した場合、その画素のLC画素データを「11」に変換し、そのLC画素データに対する処理を終了する。一方、プリンタドライバは、大ドットレベルデータLVLが閾値THL以下であると判定した場合、図15Aのドット生成率テーブルに基づいて、LC画素データの階調値に対応する中ドットレベルデータLVMを設定する。そして、プリンタドライバは、中ドットレベルデータLVMの方が閾値THMよりも大きいと判定した場合、その画素のLC画素データを「10」に変換し、そのLC画素データに対する処理を終了する。また、プリンタドライバは、中ドットレベルデータLVMが閾値THM以下であると判定した場合、図15Aのドット生成率テーブルに基づいて、LC画素データの階調値に対応する小ドットレベルデータLVSを設定する。そして、プリンタドライバは、小ドットレベルデータLVSの方が閾値THSよりも大きいと判定した場合、その画素の画素データを「01」に変換し、その画素データに対する処理を終了する。また、プリンタドライバは、小ドットレベルデータLVSが閾値THS以下であると判定した場合、その画素の画素データを「00」に変換し、その画素データに対する処理を終了する。これにより、プリンタドライバは、8ビットのLC画素データ(「第1ライト階調値」に相当)を、2ビットのLC画素データ(「第2ライト階調値」に相当)に変換する。なお、プリンタドライバは、このような処理を全てのLC画素データに対して行う。この結果、プリンタドライバは、8ビットのC画素データから構成されるC画像データに基づいて、2ビットのLC画素データから構成されるLC画像データを取得する。
【0090】
なお、ライトシアンの場合と同様に、前述のS204の処理を行う際に、プリンタドライバは、ダークシアン用のドット生成率テーブルに基づいて、ダークシアン用の8ビットのDC画素データ(「第1ダーク階調値」に相当)を、2ビットのDC画素データ(「第2ダーク階調値」に相当)に変換する。この結果、プリンタドライバは、8ビットのC画素データから構成されるC画像データに基づいて、2ビットのDC画素データから構成されるDC画像データを取得する。
【0091】
そして、このようなハーフトーン処理によって得られた2ビットのLC画素データとDC画素データは、印刷データとしてコンピュータ110からプリンタ1へ送信される。プリンタ1は、LC画素データ(「第2ライト階調値」に相当)に基づいてライトシアンインクノズル群LCからライトシアンインクを吐出して、ライトインクによるドット(ライトドット)を紙に形成する。また、プリンタ1は、DC画素データ(「第2ダーク階調値」に相当)に基づいてダークシアンインクノズル群DCからダークシアンインクを吐出して、ダークシアンによるドット(ダークドット)を紙に形成する。紙に印刷される印刷画像のうちのシアンの画像の階調は、ライトシアンインクによるドットと、ダークシアンインクによるドットによって表現されることになる。
【0092】
本実施形態では、ライトシアンインクの小ドットの生成率は、最大値が70%に設定されている。つまり、本実施形態のライトシアン用のドット生成率テーブルでは、小ドットの生成率の最大値が70%に設定されている。
このため、ライトシアンインクの小ドットの生成率が70%に達するまでは、小ドットのみによって、印刷画像のシアンの階調が表現される。つまり、本実施形態では、ライトシアンインクの小ドットの生成率が70%に達するまでは、ライトシアンインクの中ドットは生成されない。本実施形態では、LC画素データの示す階調値(ライトシアンの階調値)が「50」のときに小ドットの生成率が70%に達するので、ライトシアンの階調値が「50」よりも低いときには、ライトシアンインクの中ドットは生成されない。
【0093】
また、本実施形態では、ライトシアンインクの中ドットの生成率は、最大70%に設定されている。つまり、本実施形態のライトシアン用のドット生成率テーブルでは、中ドットの生成率の最大値が70%に設定されている。
このため、ライトシアンインクの中ドットの生成率が70%に達するまでは、小ドット及び中ドットのみによって、印刷画像のシアンの階調が表現される。つまり、本実施形態では、ライトシアンインクの中ドットの生成率が70%に達するまでは、ライトシアンインクの大ドットは生成されない。本実施形態では、LC画素データの示す階調値(ライトシアンの階調値)が「106」のときに中ドットの生成率が70%に達するので、ライトシアンの階調値が「106」よりも低いときには、ライトシアンインクの大ドットは生成されない。
【0094】
本実施形態のダークシアンインクのドット生成率テーブルは、前述の比較例のドット生成率テーブルと同じである。これにより、ダークシアンインクの小ドットの生成率は、50%を超えないように設定されている。このため、ダークシアンインクの小ドットの位置がずれても、画質の低下を抑えることができる。もし仮に、ダークシアンインクの小ドットの生成率が70%に達すると、位置のずれた目立つドットがたくさん形成されるため、画質の低下を招くことになる。
【0095】
===比較===
以下、比較例と本実施形態との比較を行う。
【0096】
<小ドットのドット生成率>
まず、図14と図15A及び図15Bとを比較する。
前述の比較例によれば、ライトシアン用のドット生成率テーブルと、ダークシアン用のドット生成率テーブルが、共通になっている。すなわち、プリンタドライバは、図14に示されるドット生成率テーブルを用いて8ビットのLC画素データ(256階調のライトシアンの階調値)を2ビットデータに変換し、同じドット生成率テーブルを用いて8ビットのDC画素データ(256階調のダークシアンの階調値)を2ビットデータに変換する。
【0097】
ところで、小インク滴の飛翔中に飛行曲がりが生じやすく、ダークシアンの小ドットの位置がずれると画質の低下をより招くことになるので、ダークシアンインクの小ドットの生成率が50%を超えないように、ドット生成率テーブルを設定する必要がある。比較例でこのようにドット生成率テーブルを設定すると、ライトシアンの小ドットの生成率も50%を超えることができなくなる。
【0098】
一方、本実施形態によれば、ライトシアン用のドット生成率テーブルと、ダークシアン用のドット生成率テーブルを、別々に用意している。このため、ライトシアンの小ドットの生成率の最大値を、ダークシアンの小ドットの生成率の最大値とは独立して、設定することが可能になる。
【0099】
そして、本実施形態では、ライトシアン用のドット生成率テーブルの小ドットの生成率の最大値は、ダークシアン用のドット生成率テーブルの小ドットの生成率の最大値よりも、高く設定されている。具体的には、ダークシアン用のドット生成率テーブルの小ドットの生成率の最大値は50%に設定されているが、ライトシアン用のドット生成率テーブルの小ドットの生成率の最大値は70%に設定されている。なお、本実施形態では、ライトシアン用のドット生成率テーブルの中ドットの生成率の最大値は、ダークシアン用のドット生成率テーブルの小ドットの生成率の最大値よりも、高く設定されている。具体的には、ダークシアン用のドット生成率テーブルの小ドットの生成率の最大値は40%に設定されているが、ライトシアン用のドット生成率テーブルの小ドットの生成率の最大値は70%に設定されている。
【0100】
本実施形態では、このようなドット生成率テーブルを用いることによって、以下に説明する通りの比較例に対する効果を得ることができる。
【0101】
<ダークシアンインクによるドットが生成される階調>
図16A及び図16Bは、シアンの階調値に対する各インク(ライトシアンインク及びダークシアンインク)の各ドット(小ドット・中ドット・大ドット)の発生状況のグラフである。図16Aは比較例の場合の発生状況を示しており、図16Bは本実施形態の場合の発生状況を示している。グラフの横軸はシアンの階調値(0〜255)であり、縦軸はドット生成率(0〜100%)である。
【0102】
以下、図13Aと図13B、図16Aと図16Bとを比較することによって、ダークシアンインクによるドットが生成される階調値について、比較例と本実施形態とを比較する。
【0103】
まず、比較例では、図13Aに示すように、シアンの階調値(横軸の入力階調)が「88」より大きくなると、ダークシアンの階調値が「0」よりも大きくなる。この結果、比較例では、図16Aに示すように、シアンの階調値(横軸の入力階調)が「88」より大きくなると、ダークシアンの小ドットが生成される。
【0104】
一方、本実施形態では、図13Bに示すように、シアンの階調値(横軸の入力階調)が「106」より大きくなると、ダークシアンの階調値が「0」よりも大きくなる。この結果、本実施形態では、図16Bに示すように、シアンの階調値(横軸の入力階調)が「106」より大きくなると、ダークシアンの小ドットが生成される。言い換えると、本実施形態では、シアンの階調値が「106」以下では、ライトシアンのドットだけによって、シアンの階調が表現されている。
【0105】
このため、本実施形態によれば、比較例よりも、ライトシアンインクだけで表現可能なシアンの階調範囲は、比較例よりも本実施形態の方が広い。また、本実施形態では、シアンの階調値が比較的高いときからダークシアンによるドットの生成が始まるため、比較的濃い画像の中にダークシアンインクによるドットが発生する。このため、本実施形態では、比較例よりもダークシアンインクのドットが目立ちにくくなり、粒状性の良い画像になる。
【0106】
更に、ダークシアンの小ドットがずれて形成されたとしても、本実施形態では、シアンの階調値が比較的高いときにダークシアンによるドットの生成が始まるため、ずれたドットが目立ちにくく、画質の低下が抑えられる。
【0107】
<インク量>
図17は、シアンの階調値に対するインクの使用量のグラフである。図17では、比較例と本実施形態のインクの使用量が示されている。グラフの横軸はシアンの階調値(0〜255)であり、縦軸はドット生成率(0〜100%)である。なお、図17では、大ドット換算によるドット生成率によって、インクの使用量を示している。例えば、小ドット(2.5pl)の発生率が50%の場合、大ドット換算によるドット生成率は約6%(≒2.5pl×50%÷21pl)になる。
【0108】
紙に吐出されるインク量が多いほど、紙は濡れた状態になり、紙に皺ができやすくなる。このため、紙に吐出されるインクの量は、少ない方が望ましい。そして、本実施形態のインクの使用量と比較例のインクの使用量とを比較すると、本実施形態の方が、インクの使用量が少なくて済む。
【0109】
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主としてプリンタについて記載されているが、その中には、印刷装置、記録装置、液体の吐出装置、印刷方法、記録方法、液体の吐出方法、印刷システム、記録システム、コンピュータシステム、プログラム、プログラムを記憶した記憶媒体、表示画面、画面表示方法、印刷物の製造方法、等の開示が含まれていることは言うまでもない。
【0110】
また、一実施形態としてのプリンタ等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0111】
<ドットの大きさについて>
前述の実施形態では、紙上の1画素において4階調(ドットなし、小ドット、中ドット、大ドット)を表現している。しかし、これに限られるものではない。例えば、1画素において2階調(ドットなし、ドットあり)を表現するようにしても良いし、1画素において6階調(ドットなし、微小ドット、小ドット、中ドット、大ドット、特大ドット)を表現しても良い。
【0112】
<ノズルについて>
前述の実施形態では、圧電素子を用いてインクを吐出していた。しかし、液体を吐出する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】印刷システム100の構成を説明する図である。
【図2】コンピュータ110、及びプリンタ1の構成を説明するブロック図である。
【図3】プリンタドライバが印刷データを生成するときに行う処理のフロー図である。
【図4】本実施形態のプリンタ1の構成を示す図である。
【図5】6色印刷用のプリンタのヘッド41に設けられたノズルの説明図である。
【図6】ヘッド制御部HCのブロック図である。
【図7】各種信号の説明図である。
【図8】ブラック及びイエローのハーフトーン処理のフロー図である。
【図9】ドット生成率テーブルの説明図である。
【図10】ディザ法によるドットのオン・オフ判定の様子を示す図である。
【図11】大ドットの判定に用いられるディザマトリクスと、中ドットの判定に用いられるディザマトリクスとの関係について示す図である。
【図12】シアン及びマゼンタのハーフトーン処理のフロー図である。
【図13】図13Aは、比較例の階調値変換テーブルの説明図である。図13Bは、本実施形態の階調値変換テーブルの説明図である。
【図14】比較例のドット生成率テーブルの説明図である。
【図15】図15Aは、本実施形態のライトシアン用のドット生成率テーブルの説明図である。図15Bは、本実施形態のダークシアン用のドット生成率テーブルの説明図である。
【図16】図16A及び図16Bは、シアンの階調値に対する各インク(ライトシアンインク及びダークシアンインク)の各ドット(小ドット・中ドット・大ドット)の発生状況のグラフである。図16Aは比較例の場合の発生状況を示しており、図16Bは本実施形態の場合の発生状況を示している。
【図17】図17は、シアンの階調値に対するインクの使用量のグラフである。図17では、比較例と本実施形態のインクの使用量が示されている。
【符号の説明】
【0114】
1 プリンタ、
20 用紙搬送機構、30 キャリッジ移動機構、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 検出器群、60 プリンタ側コントローラ、
61 インタフェース部、62 CPU、63 メモリ、64 制御ユニット、
70 駆動信号生成回路、
81A 第1シフトレジスタ、81B 第2シフトレジスタ、
82A 第1ラッチ回路、82B 第2ラッチ回路、
83 信号選択部、84 制御ロジック、842 シフトレジスタ群、
844 選択信号生成部、86 スイッチ、
100 印刷システム、110 コンピュータ、
111 ホスト側コントローラ、112 インタフェース部、
113 CPU、114 メモリ、
120 表示装置、
130 入力装置、131 キーボード、132 マウス、
140 記録再生装置、
141 フレキシブルディスクドライブ装置、142 CD−ROMドライブ装置、
CBL ケーブル、COM 駆動信号、LAT ラッチ信号、CH チェンジ信号、
q 選択信号、SW スイッチ信号、
CR キャリッジ、CTR コントローラ基板、HC ヘッド制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある色の階調を示す階調値を、所定階調数でライト色の階調を示す第1ライト階調値と、所定階調数でダーク色の階調を示す第1ダーク階調値とに変換し、
前記第1ライト階調値を、ライト色用のテーブルに基づいて、前記所定階調数よりも少ない階調数で前記ライト色の階調を示す第2ライト階調値に変換し、
前記第1ダーク階調値を、前記ライト色用のテーブルとは別のダーク色用のテーブルに基づいて、前記所定階調数よりも少ない階調数で前記ダーク色の階調を示す第2階調値に変換し、
前記第2ライト階調値に基づいてライトインクを吐出して、前記ライトインクによるライトドットを媒体に形成し、
前記第2ダーク階調値に基づいてダークインクを吐出して、前記ダークインクによるダークドットを前記媒体に形成し、
前記ライトドット及び前記ダークドットによって前記ある色の階調を前記媒体上で表現する
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷方法であって、
前記ライトドットの単位面積当たりの数の最大数が、前記ダークドットの単位面積当たりの数の最大数と異なるように、前記ライト色用のテーブルと前記ダーク色用のテーブルとが設定されている
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷方法であって、
前記第2ライト階調値に応じて複数の大きさの前記ライトドットを形成可能であり、
前記第2ダーク階調値に応じて複数の大きさの前記ダークドットを形成可能である
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷方法であって、
最小の大きさの前記ライトドットの単位面積当たりの数の最大数が、最小の大きさの前記ダークドットの単位面積当たりの数の最大数よりも多くなるように、前記ライト色用のテーブルと前記ダーク色用のテーブルとが設定されている
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の印刷方法であって、
前記第1ライト階調値を前記第2ライト階調値に変換する際に、前記ライト色用のテーブル及びディザマトリクスが用いられ、
前記第1ダーク階調値を前記第2ダーク階調値に変換する際に、前記ダーク色用のテーブル及びディザマトリクスが用いられる
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項6】
ある色の階調を示す階調値を、所定階調数でライト色の階調を示す第1ライト階調値と、所定階調数でダーク色の階調を示す第1ダーク階調値とに変換し、
前記第1ライト階調値を、ライト色用のテーブルに基づいて、前記所定階調数よりも少ない階調数で前記ライト色の階調を示す第2ライト階調値に変換し、
前記第1ダーク階調値を、前記ライト色用のテーブルとは別のダーク色用のテーブルに基づいて、前記所定階調数よりも少ない階調数で前記ダーク色の階調を示す第2階調値に変換し、
前記第2ライト階調値に基づいてライトインクを吐出して、前記ライトインクによるライトドットを媒体に形成し、
前記第2ダーク階調値に基づいてダークインクを吐出して、前記ダークインクによるダークドットを前記媒体に形成し、
前記ライトドット及び前記ダークドットによって前記ある色の階調を前記媒体上で表現し、
前記ライトドットの単位面積当たりの数の最大数が、前記ダークドットの単位面積当たりの数の最大数と異なるように、前記ライト色用のテーブルと前記ダーク色用のテーブルとが設定されており、
前記第2ライト階調値に応じて複数の大きさの前記ライトドットを形成可能であり、前記第2ダーク階調値に応じて複数の大きさの前記ダークドットを形成可能であり、
最小の大きさの前記ライトドットの単位面積当たりの数の最大数が、最小の大きさの前記ダークドットの単位面積当たりの数の最大数よりも多くなるように、前記ライト色用のテーブルと前記ダーク色用のテーブルとが設定されており、
前記ライト色用のテーブルは、前記第1ライト階調値と前記単位面積当たりに形成する前記ライトドットの生成率との関係を示すテーブルであり、
前記ダーク色用のテーブルは、前記第1ダーク階調値と前記単位面積当たりに形成する前記ダークドットの生成率との関係を示すテーブルであり、
前記第1ライト階調値を前記第2ライト階調値に変換する際に、前記ライト色用のテーブル及びディザマトリクスが用いられ、
前記第1ダーク階調値を前記第2ダーク階調値に変換する際に、前記ダーク色用のテーブル及びディザマトリクスが用いられる
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項7】
ライトインクによるライトドットを媒体に形成し、ダークインクによるダークドットを媒体に形成し、前記ライトドット及び前記ダークドットによってある色の階調を前記媒体上で表現する印刷システムに、
前記ある色の階調を示す階調値を、所定階調数でライト色の階調を示す第1ライト階調値と、所定階調数でダーク色の階調を示す第1ダーク階調値とに変換させ、
前記第1ライト階調値を、ライト色用のテーブルに基づいて、前記所定階調数よりも少ない階調数で前記ライト色の階調を示す第2ライト階調値に変換させ、
前記第1ダーク階調値を、前記ライト色用のテーブルとは別のダーク色用のテーブルに基づいて、前記所定階調数よりも少ない階調数で前記ダーク色の階調を示す第2階調値に変換させ、
前記第2ライト階調値に基づいて前記ライトインクを吐出して、前記ライトインクによる前記ライトドットを媒体に形成し、
前記第2ダーク階調値に基づいて前記ダークインクを吐出して、前記ダークインクによる前記ダークドットを前記媒体に形成し、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項8】
ある色の階調を示す階調値を、所定階調数でライト色の階調を示す第1ライト階調値と、所定階調数でダーク色の階調を示す第1ダーク階調値とに変換し、
前記第1ライト階調値を、ライト色用のテーブルに基づいて、前記所定階調数よりも少ない階調数で前記ライト色の階調を示す第2ライト階調値に変換し、
前記第1ダーク階調値を、前記ライト色用のテーブルとは別のダーク色用のテーブルに基づいて、前記所定階調数よりも少ない階調数で前記ダーク色の階調を示す第2階調値に変換し、
前記第2ライト階調値に基づいてライトインクを吐出して、前記ライトインクによるライトドットを媒体に形成し、
前記第2ダーク階調値に基づいてダークインクを吐出して、前記ダークインクによるダークドットを前記媒体に形成し、
前記ライトドット及び前記ダークドットによって前記ある色の階調を前記媒体上で表現する
ことを特徴とする印刷システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−237462(P2007−237462A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−59777(P2006−59777)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】