説明

印刷物、盗撮防止システムおよび情報送信方法

【課題】 印刷物に記された情報を、所定エリア内でカメラ付き携帯端末により盗撮されるのを防止するが、所定エリア外では撮像可能とする。また、前記エリア内で盗撮された場合でも、料金の支払い等の条件を満たせば、この情報を取得可能とする。
【解決手段】 印刷物に記された情報に、可視光を透過させ、赤外線を反射する第1の赤外線蛍光塗料を付す構成とした。また、印刷物は、第1の赤外線蛍光塗料で印刷した領域と、第1の赤外線蛍光塗料とは赤外線とは異なる波長の赤外線に反応する第2の赤外線反射塗料で印刷した領域とをさらに有する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置を備える端末装置に、情報が盗撮されることを防止する印刷物、盗撮防止システム等に関する。より詳細には、書店等において印刷物(書籍、雑誌)に印刷された情報がデジタルカメラ付き携帯端末等により盗撮されるのを防止する印刷物、盗撮防止システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラを搭載した携帯端末の増加およびこの携帯端末の小型化に伴い、他人に知られることなく、被写体を撮像することが可能となっている。このため書店等において、携帯端末の利用者が、書籍を購入することなく書籍に印刷された情報を盗撮する、いわゆるデジタル万引きが増加している。
【0003】
この書籍に印刷された情報は、例えば、飲食店、服飾店等の地図、住所、電話番号、URL(Uniform Resource Locator)、店舗情報識別コード、またはそれらを示す二次元コード(例えば、QRコード(登録商標)、Quick Response code)等の店舗関連情報である。
【0004】
従来、このような盗撮を防止する技術として、可視光外の光線による撮像妨害方法、撮像禁止信号による撮像防止方法等がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
また、可視光外の光線による撮像妨害方法としては、映像等とは別に、スクリーンへ赤外線によるメッセージ等を投影する技術が開示されている。肉眼で見ることができる光の波長範囲は、400nmから800nm程度であるのに対して、デジタルカメラの感度は、400nmから1100nm程度である(例えば、非特許文献2参照)。このため、赤外線によるメッセージは肉眼では見えないが、デジタルカメラ等で撮像すると映像に重ねて記録され、これにより撮像を妨害したり、盗撮されたものであることを判別可能としたりするものである。
【0006】
さらに、スクリーンに照射された可視光外の光の強度を、映像等の輝度および周波数に応じて調整することにより、より最適に可視光外の光による電子透かしの埋め込みを可能とする技術もある。
【0007】
また、このほかに
(1)盗撮を防止したい被写体付近に赤外線ランプを設置し、この赤外線ランプから赤外線を照射することにより、撮像を妨害する技術
(2)被写体に赤外線を照射するとともに赤外線の光量を周期的に増減し、カメラの露光を変動させることにより撮像を妨害する技術
(3)被写体に赤外線を照射し撮像を妨害するが、特定のIDが認識された場合は、所定の時間照射を停止し、撮像可能とする技術
等もある。
【0008】
さらに、デジタルカメラ付き携帯端末(携帯端末)の撮像禁止信号による撮像防止方法としては、
(1)撮像禁止対象物の近くに設置される装置から、撮像禁止信号を受信すると、携帯端末等が撮像機能をオフにする技術
(2)被撮像者(被写体)の端末装置が、撮像者の携帯端末から送信される撮像中信号を受信すると、被写体の端末装置から、撮像者の携帯端末へ撮像機能を無効にする撮像禁止信号を送信する技術
(3)被写体に埋め込まれた撮像禁止情報を携帯端末が検出すると、撮像した画像を塗りつぶして利用できなくする技術
等もある。
【非特許文献1】デジタル万引きの防止対策、[online]、[2005年3月30日検索]、インターネット、<URL:http://tantei.web.infoseek.co.jp/shoplist>
【非特許文献2】CQ出版社、「CMOS/CCDセンサの基礎と応用製作」、トランジスタ技術、2005年2月号、第42巻、第2号、p.106−111
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、従来の可視光外の光線による撮像妨害方法では、書店等におけるデジタル万引きを防止するためには、書籍、雑誌全体を赤外線で照射する必要があり、著作権フリーの情報等、撮像を防止する必要のない情報まで撮像不可能となってしまうという問題があった。
【0010】
また、従来の可視光外の光線による撮像妨害方法では、一律に書店内での撮像を妨害してしまうため、例えば、書店内においても特定の店舗関連情報のコンテンツを購入した利用者には、その情報のみ取得を可能とする、あるいは、書店の会員はその書店内において特定の情報の取得を可能とする等、条件付きのサービスの提供ができないといった問題もあった。
【0011】
さらに、印刷物は、肉眼で見える色以外の波長の光線を吸収してしまう。すなわち、例えば、青い印刷物は、青の波長の光線を反射するが、青以外波長の光線は吸収するため、肉眼では青く見える。また、黒い印刷物は、すべての波長の光線を吸収するため肉眼では黒く見える。このため、赤外線を照射しても印刷物に吸収されてしまうため、充分に判読不可能とするのは難しいという問題もあった。
【0012】
また、撮像禁止信号による撮像防止方法では、撮像禁止信号を撮像装置が受信あるいは検出した場合には、撮像機能をオフにする機能が撮像装置に必要である。このため、既に販売されているデジタルカメラ付き携帯端末によるデジタル万引き防止には有効ではないという問題があった。
【0013】
本発明は、前記した問題を解決し、
(1)書店、コンビニエンスストア等、所定のエリア内においては、デジタルカメラ付き携帯端末により、印刷物に記された情報の盗撮を防止すること
(2)所定のエリア内において情報の料金の支払いといった条件を満たした場合は印刷物に記された情報を取得すること
(3)印刷物を購入し、所定のエリア外に持ち出した場合においては、例えば無料といったエリア外の条件にしたがい、印刷物に記された情報を取得すること
を可能とする手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記した課題を解決するため、本発明の印刷物は、印刷物に記された情報を、撮像装置により撮像されることを防ぐ印刷物であって、前記印刷物に記された情報に、可視光を透過し、赤外線を反射する第1の赤外線反射塗料を付したことを特徴とする印刷物とした。
【0015】
これにより、書店等で印刷物に赤外線を照射すれば、撮像装置(デジタルカメラ、デジタルカメラ付き携帯端末等)により印刷物に記された情報が盗撮されるのを防止できる。
【0016】
本発明の印刷物は、印刷物に記された情報を、撮像装置により撮像されることを防ぐ印刷物であって、前記印刷物に記された情報に、可視光を透過し、赤外線を反射する第1の赤外線反射塗料を付した領域と、前記印刷物に記された情報を、前記第1の赤外線反射塗料が反射する赤外線とは異なる波長の赤外線を反射する第2の赤外線反射塗料で印刷した領域とを有することを特徴とする印刷物とした。
【0017】
これにより、この印刷物の購入者は、赤外線を照射している書店等では撮像できないが、印刷物を購入する等して、書店外(太陽光下や蛍光灯下)に持ってくれば、印刷物に記された情報を撮像することができる。
【0018】
本発明の印刷物は、印刷物に記された情報を、撮像装置により撮像されることを防ぐ印刷物であって、前記印刷物に記された情報に、可視光を透過し、赤外線を反射する第1の赤外線反射塗料を付した領域と、前記第1の赤外線反射塗料で、所定の情報を格納するサーバのアドレス情報を印刷した領域、または暗号化された情報とこの情報の復号キーを格納するサーバのアドレス情報とを印刷した領域をさらに有することを特徴とする印刷物とした。
【0019】
これにより、この印刷物を、ネットワーク経由で、サーバにアクセスできる端末装置で読み込み、所定の情報を格納するサーバにアクセスすることができる。また、利用者による料金の支払い等、所定の条件を満たせば、暗号化された情報の復号キーの取得し、所望の情報(データ)を取得することができる。
【0020】
本発明の印刷物は、前記第2の赤外線反射塗料で、前記印刷物が所定エリア外であることを示すエリア外識別情報を印刷した領域をさらに有することを特徴とする印刷物とした。
【0021】
これにより、この印刷物を読み込んだ端末装置は、所定のエリア(赤外線下)ではエリア外識別情報を読み取らないが、それ以外のエリア(太陽光下や白熱灯下)ではエリア外識別情報を読み取るので、サーバは、デジタルカメラ付き携帯端末からの情報取得要求が、所定エリア内からのものであるか、それ以外のエリアからのものであるかを判断できる。
【0022】
本発明の情報送信方法は、印刷物に記された情報を前記撮像装置経由で取得する端末装置と、前記情報の復号キーを送信するサーバとによる情報送信方法であって、前記端末装置は、前記撮像装置から出力された画像を取得するステップと、前記撮像装置から出力された画像から、前記印刷物に記された情報を読み取るステップと、前記読み取った情報に示されるアドレス情報に基づき、ネットワーク経由で前記サーバへ前記情報取得要求を送信するステップとを実行し、前記サーバは、前記情報自体、または前記暗号化された情報の復号キーを格納する記憶部を備え、前記ネットワーク経由で、前記端末装置から情報取得要求を受信するステップと、前記情報取得要求に含まれる位置情報から、前記端末装置が所定エリア内にいるか否かを判断するステップと、前記端末装置が所定エリア内にいると判断したとき、前記情報を取得するための条件を示したメッセージを送信するステップと、前記端末装置から、前記情報を取得するための条件に応じる旨のメッセージを受信したとき、前記記憶部から前記受信した情報取得要求の要求対象である情報、または前記復号キーを読み出すステップと、前記読み出した情報あるいは復号キーを前記端末装置へ送信するステップとを実行することを特徴とする情報送信方法とした。
【0023】
これにより、端末装置が、書店内等の所定エリア内において印刷物の情報を撮像し、情報を取り込んだとき、情報の料金の支払いといった取得条件を満たせば、この情報を取得することができる。
【0024】
本発明の情報送信方法は、印刷物に記された情報を取得する端末装置と、前記情報の復号キーを送信するサーバとによる情報送信方法であって、前記端末装置は、前記撮像装置から出力された画像を取得するステップと、前記撮像装置から出力された画像から、前記印刷物に記された情報読み取るステップと、前記読み取った情報に示されるアドレス情報に基づき、ネットワーク経由で前記サーバに情報取得要求を送信するステップとを実行し、前記サーバは、前記ネットワーク経由で、前記端末装置から情報取得要求を受信するステップと、前記受信した情報取得要求に前記エリア外識別情報が含まれているか否かを判断するステップと、前記受信した情報取得要求に前記エリア外識別情報が含まれていたとき、前記記憶部から前記受信した情報取得要求の要求対象である情報または、前記復号キーを読み出すステップと、前記読み出した情報または復号キーを前記端末装置へ送信するステップとを実行することを特徴とする情報送信方法とした。
【0025】
これにより、この印刷物の購入者は、赤外線を照射している書店等では撮像できないが、印刷物を購入する等して、書店外(太陽光下や白熱灯下)に持ってくれば、印刷物に記された情報を撮像することができる。
その他の手段については、後記する実施の形態で述べる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、
(1)書店、コンビニエンスストア等、所定のエリア内においては、デジタルカメラ付き携帯端末により、印刷物に記された情報の盗撮を防止することができる。
(2)所定のエリア内において情報の購入といった条件を満たした場合は印刷物に記された情報の取得することができる。
(3)印刷物を購入し、所定のエリア外に持ち出した場合においては、例えば無料といったエリア外の条件にしたがい、印刷物に記された情報の取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態とする)について、図面を参照しつつ説明する。
【0028】
本実施の形態では、印刷物は、書店内で販売される雑誌等の書籍であり、印刷物に記される情報は、店舗関連情報である場合を例に説明する。また、この印刷物の盗撮を防止するエリア(書店)には、赤外線照射装置が設置され、この赤外線照射装置は、印刷物に所定の波長の赤外線を照射しているものとする。端末装置は、撮像装置であるデジタルカメラと、印刷物100の記されたコード(二次元コード等)を読み取る機能とを備える携帯端末(デジタルカメラ付き携帯端末)である場合を例として説明する。なお、デジタルカメラはCCD(Charge-Coupled Devices)を備えるものである。デジタルカメラ付き携帯端末は、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)等により実現され、二次元コードの読み取り機能や所定の通信機能を備えるデジタルカメラ等を用いるようにしてもよい。また、デジタルカメラ付き携帯端末は、以下「カメラ付き携帯端末」と略す。
【0029】
《第1の実施の形態》
図1は、本発明の第1の実施の形態の印刷物を説明する図である。図1を用いて、第1の実施の形態の印刷物100を説明する。印刷物100は、例えば、紙111上に符号1〜符号3で示す情報を記したものである。ここでは、印刷物100の媒体が紙111である場合を例に説明するが、これに限定されるものではない。
【0030】
符号1は、文字で記された店舗関連情報であり、ここでは、店舗の電話番号(0422-xx)と、URL(公序良俗違反につき、不掲載)とを示している。符号2,3は、店舗関連情報を二次元コード化したものである。
【0031】
なお、符号1,2で示す情報は、紙111上に、通常の印刷用インク等で印刷される。そして、印刷された情報(符号1,2)の上には、照射される光のうち可視光を透過させるが、書店内に設置される赤外線照射装置が照射する赤外線を蛍光反射する赤外線蛍光塗料(第1の赤外線蛍光塗料)が付される(領域110参照)。つまり、符号1,2で示す情報は、第1の赤外線蛍光塗料によりマスクされている。また、符号3で示す二次元コードは、第1の赤外線蛍光塗料とは異なる波長の光で反応する(蛍光させる)第2の赤外線蛍光塗料により印刷される。ここでは、第2の赤外線蛍光塗料は、書店内の赤外線照射装置により照射される赤外線には反応しないが、それ以外の波長の赤外線には反応する塗料であるものとして説明する。
なお、各実施の形態では、塗料に赤外線蛍光塗料を用いる場合を例に説明するが、このかわりに、照射される光のうち可視光を透過させるが、所定の波長の赤外線を反射する赤外線反射塗料を用いるようにしてもよい。
【0032】
図2(a)は図1の印刷物を肉眼で見た様子、(b)は赤外線下において図1の印刷物をカメラ付き携帯端末で撮像した画像、(c)は太陽光下および白熱灯下において図1の印刷物をカメラ付き携帯端末で撮像した画像を例示した図である。図1を参照しつつ、図2(a)〜(c)を用いて、カメラ付き携帯端末により撮像された印刷物100の画像について説明する。
【0033】
まず、図2(a)において、印刷物100の領域110は、第1の赤外線蛍光塗料でマスクされている。この第1の赤外線蛍光塗料は可視光を透過し、また赤外線照射装置(赤外線ランプ)5により赤外線が照射されても肉眼では蛍光した赤外線は見えない。したがって、赤外線照射装置5により赤外線が照射された書店内において、書店内の客は、符号1で示す店舗関連情報および符号2で示す二次元コードを肉眼で読み取ることができる。また、符号3で示す二次元コードは、第2の赤外線蛍光塗料で印刷されているので、肉眼では読み取ることはできない。
しかし、書店の利用者は、印刷物100を購入する等して、蛍光灯の光が照射される室内等、赤外線が少ない場所に印刷物100を持って来れば、カメラ付き携帯端末で、通常塗料で印刷された符号1,2で示す情報を直接撮像することができる。
【0034】
図2(b)において、印刷物100の領域110は、第1の赤外線蛍光塗料によりマスクされており、また、符号3で示す二次元コードも、書店内の赤外線照射装置5が照射する赤外線には反応しない第2の赤外線蛍光塗料で印刷されているので、赤外線を照射した書店内においてカメラ付き携帯端末で撮像することはできない。つまり、書店内において印刷物100に赤外線を照射することで、カメラ付き携帯端末により、符号1〜3で示す情報が盗撮されるのを防止できる。
【0035】
また、図2(c)において、太陽光および白熱灯には広い光の波長成分が含まれるため、太陽光および白熱灯の下では、印刷物100の領域110の第1の赤外線蛍光塗料が蛍光する。したがって、書店外においてカメラ付き携帯端末で撮像しようとしても、印刷物100の符号1,2で示す情報を撮像することはできない。
【0036】
しかし、符号3で示す二次元コードは、太陽光や白熱灯の下で反応する第2の赤外線蛍光塗料により印刷されているので、カメラ付き携帯端末で、符号3で示す二次元コードを撮像することができる。つまり、書店の利用者は、印刷物100を購入する等して、太陽光や白熱灯の下に印刷物100を持ってくれば、カメラ付き携帯端末で、符号3で示す二次元コードを撮像できる。すなわち、書店の利用者は、この二次元コードに示される店舗関連情報を取得することができる。
【0037】
図3は、光波長に対する受光体の光感度分布と、光源のスペクトル分布とを示した図である。図3において、符号10は肉眼の感度、符号11はデジタルカメラの感度、符号12は太陽光のスペクトル分布、符号13は白熱灯のスペクトル分布、符号14は蛍光灯のスペクトル分布、符号15は書店内を照射する赤外線照射装置5(図2(b)参照)のスペクトル分布を示す。符号16は、本実施の形態の第1の赤外線蛍光塗料の蛍光感度を示し、赤外線波長900nm付近である。符号17は、本実施の形態の第2の赤外線蛍光塗料の蛍光感度を示し、赤外線波長1000nm付近である。図3に示すように、蛍光灯下および赤外線の少ない場所(例えば、自宅等)では、第1の赤外線蛍光塗料および第2の赤外線蛍光塗料は蛍光せず、肉眼でもデジタルカメラ(カメラ付き携帯端末)でも判別されない。また、書店内の赤外線照射装置5の下では、第1の赤外線蛍光塗料が蛍光し、デジタルカメラには撮像されるが、肉眼には判別されない。さらに、太陽光下および白熱灯下では、第1の赤外線蛍光塗料および第2の赤外線蛍光塗料が蛍光し、共にデジタルカメラには撮像されるが肉眼には判別されないようにすることが可能となる。
【0038】
このように印刷物100において、
(1)書店内で盗撮されたくない情報を第1の赤外線蛍光塗料でマスクし、
(2)購入後には撮像させたい情報を第2の赤外線蛍光塗料で印刷し、
(3)書店内等盗撮されたくないエリアには印刷物100に、第1の赤外線蛍光塗料は反応するが、第2の赤外線蛍光塗料は反応しない赤外線を照射する赤外線照射装置5で赤外線を照射すること
により、印刷物100の情報の盗撮を防止することができる。また、印刷物100の購入者に対しては、室内等の赤外線の少ない場所では、情報を直接撮像可能であり、屋外や白熱灯下等では、第2の赤外線蛍光塗料で印刷された情報から、店舗関連情報を取得可能とすることができる。
【0039】
《第2の実施の形態》
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。第2の実施の形態は、カメラ付き携帯端末21(図6参照)が書店内で印刷物100に記された情報を読み取ったとき、利用者の代金の支払いを条件にその情報を取得できることを特徴とする。前記した第1の実施の形態と同様の構成要素は同じ符号を付して、説明を省略する。
【0040】
図4は、第2の実施の形態の印刷物を例示した図である。図4を用いて第2の実施の形態の印刷物100を説明する。
【0041】
印刷物100は、前記した符号1,2で示す情報に加え、符号33で示す二次元コードを含む。符号33で示す二次元コードは、暗号化された店舗関連情報と、この情報の復号キーを格納するアクセスサーバのURLとを示したものである。符号33で示す二次元コードは、紙111上に第1の赤外線蛍光塗料で印刷されている。また、アクセスサーバのURLは、例えば、アクセスサーバのアドレス情報と、店舗関連情報の識別情報との組み合わせで記される。
【0042】
例えば、符号33で示す二次元コードには、暗号化された店舗関連情報と、アクセスサーバのURL「http://server.ne.jp/param?book=jyouhoushi」とが記される。ここでアクセスサーバのアドレス情報部分は「http://server.ne.jp/」であり、店舗関連情報の識別情報部分は「book=jyouhoushi」である。つまり、この情報を読み取ったカメラ付き携帯端末は、ネットワーク経由でアクセスサーバにアクセスして復号キーを要求するとき、「http://server.ne.jp/」というアドレスのアクセスサーバに対し、「book=jyouhoushi」という識別情報を送信して、この店舗関連情報の復号キーを要求する。つまり、店舗関連情報の取得要求を行う。
【0043】
図5(a)は図4の印刷物を肉眼で見た様子、(b)は赤外線下において図4の印刷物をカメラ付き携帯端末で撮像した画像を例示した図である。図1〜図4を参照しつつ、図5(a),(b)を用いて、カメラ付き携帯端末により撮像された印刷物100の画像について説明する。
【0044】
まず、図5(a)は、第1の実施の形態の図2(a)と同様に、領域110は可視光を透過する第1の赤外線蛍光塗料でマスクされているので、店舗関連情報(符号1)および二次元コード(符号2)を肉眼で読み取ることができる。
【0045】
また、符号33で示す二次元コードは、第1の赤外線蛍光塗料で印刷されているので、肉眼では読み取ることはできない。なお、蛍光灯下の室内等、赤外線が少ない場所では、カメラ付き携帯端末21で、符号1,2で示す情報を直接撮像することができる。
【0046】
図5(b)の赤外線下において、印刷物100の領域110は第1の赤外線蛍光塗料によりマスクされているのでカメラ付き携帯端末21は、符号1,2で示す情報を撮像することができない。一方、符号33で示す二次元コードは、第1の赤外線蛍光塗料で印刷されているので、カメラ付き携帯端末21で撮像することができる。つまり、書店内においてカメラ付き携帯端末21は、暗号化された店舗関連情報と、アクセスサーバのURLとを取得することができる。ちなみに、太陽光下や白熱灯下でも、図5(b)と同様にカメラ付き携帯端末21は、暗号化された店舗関連情報と、アクセスサーバのURLとを取得することができる。
【0047】
図6は、本実施の形態の印刷物を用いた情報送信システムの構成を示すブロック図である。
【0048】
本システムは、カメラ付き携帯端末21、無線通信によりカメラ付き携帯端末21へ位置情報(書店識別情報)を送信する書店サーバ22、アクセスサーバ25、出版社のデータサーバ26、コンテンツサーバ27およびこれらを接続するネットワーク24を含んで構成される。
なお、書店サーバ22は、ネットワーク24に接続される無線LANの基地局(ホットスポット等)であってもよい。この基地局は、例えば、所定近距離内の端末装置との無線通信を実行し、位置情報として、所定のエリアであることを示すエリア識別情報を端末装置へ送信するようにしてもよい。また、このネットワーク24は、例えば、IP(Internet Protocol)網、インターネット、LAN(Local Area Network)等である。
【0049】
カメラ付き携帯端末21は、内蔵のデジタルカメラ(撮像装置)から出力された画像(二次元コード等)を取得する。そして、この画像(二次元コード)から印刷物100に記された情報を読み取る機能、つまり二次元コードを解釈し、アドレス情報等に変換する機能を備える。また、カメラ付き携帯端末21は、このアドレス情報に基づき、ネットワーク24経由でコンテンツサーバ27あるいはアクセスサーバ25との通信を行う機能を備える。さらに、カメラ付き携帯端末21は、書店サーバ22から送信されるエリア識別情報を受信する無線通信機能を備える。
【0050】
アクセスサーバ25は、店舗関連情報が掲載される雑誌名、ページ、店舗識別情報(店舗関連情報の識別情報)を格納するサーバである。このアクセスサーバ25は、例えば、ネットワーク24経由で様々な出版社から収集した店舗関連情報を公開するポータルサイト(Webサーバ)である。カメラ付き携帯端末21は、二次元コードを読み取ると、ネットワーク24経由で、アクセスサーバ25にアクセスする。このアクセスサーバ25は、記憶部に店舗関連情報が掲載される雑誌の雑誌名、ページ、店舗識別情報、復号キー等を格納している(表1参照)。表1は、アクセスサーバ25の記憶部に格納される情報を例示した表である。表1において、雑誌名「AA」のページ「BB」には、店舗識別情報「CC」の店舗関連情報が暗号化されて記されており、この店舗関連情報の復号キーは「DD」であることを示している。
【0051】
【表1】

例えば、アクセスサーバ25は、カメラ付き携帯端末21から店舗識別情報「CC」を含む復号キーの取得要求を受け取ったとき、このカメラ付き携帯端末21の利用者の料金の支払い等所定の条件を満たせば、店舗識別情報「CC」の復号キーをカメラ付き携帯端末21へ送信する。
【0052】
また、出版社のデータサーバ26も、店舗関連情報を掲載した雑誌の雑誌名、ページ、店舗識別情報、復号キーに関する情報を格納する。格納される情報は、前記した表1に例示した内容と同様の情報であるので説明を省略する。
なお、コンテンツサーバ27は、記憶部に店舗関連情報等を格納するサーバである。また、書店サーバ22、アクセスサーバ25、出版社のデータサーバ26およびコンテンツサーバ27はそれぞれ、記憶部、演算処理部、入出力インタフェース、ネットワークインターフェース等を備え、ネットワーク24経由でデータの送受信を行うコンピュータにより実現される。また、各サーバおよびカメラ付き携帯端末21の個数は、図6に示す個数に限定されない。
【0053】
図7は、書店内において利用者がカメラ付き携帯端末で店舗関連情報を撮像した場合の本システムの動作を示すフローチャートである。適宜図1〜図6を参照しつつ、図7を用いて、店内において利用者がカメラ付き携帯端末21で店舗関連情報を撮像する場合の本システムの動作を説明する。なお、ここでは、印刷物100は雑誌である場合を例に説明する。
【0054】
コンテンツサーバ27は、雑誌(印刷物100)への掲載を依頼する店舗関連情報等を出版社のデータサーバ26へ送信する(S71)。
【0055】
出版社は、店舗関連情報と、この店舗関連情報を二次元コード化したものとを通常塗料で印刷し、これらを第1の赤外線蛍光塗料でマスクする。また、このとき併せて、出版社は、店舗関連情報を掲載した雑誌名、ページ、店舗識別情報と、店舗関連情報を暗号化した情報と、アクセスサーバ25のURLとを二次元コード化して第1の赤外線蛍光塗料で印刷し、雑誌に掲載する。
【0056】
さらに、出版社のデータサーバ26は、店舗関連情報を掲載する雑誌名、ページ、店舗識別情報等を店舗関連情報の復号キーとともにアクセスサーバへ送信しておく(S73)。そして、出版社は書店へ雑誌を出荷する。
【0057】
一方、利用者がカメラ付き携帯端末21を持って書店に入ると、カメラ付き携帯端末21は無線通信等により書店サーバ22から、書店識別情報を受信する(S74)。
【0058】
次に、利用者がカメラ付き携帯端末21で雑誌の画像を撮像すると、書店内は赤外線照射装置5で照射されているため、第1の赤外線蛍光塗料で印刷された二次元コード(図4の符号33)が撮像される(S75)。なお、S75において、第1の赤外線蛍光塗料でマスクされた店舗関連情報(図4の符号1参照)や二次元コード(図4の符号2参照)は撮像されない。カメラ付き携帯端末21は、この二次元コードの内容とS74で受信した書店識別情報とを含む店舗関連情報(店舗関連情報の復号キー)の取得要求をアクセスサーバ25へ送信する(S76)。つまり、カメラ付き携帯端末21は、デジタルカメラで撮像した画像(二次元コード)を取得すると、この二次元コードを解釈し、解釈した情報に示されるアドレス情報に基づき、ネットワーク24経由でアクセスサーバ25へ情報取得要求を送信する。
【0059】
アクセスサーバ25は、S76で送信された店舗関連情報の取得要求を受信すると、この取得要求に書店識別情報が含まれているか否かを判断する(S77)。ここで、店舗関連情報の取得要求に書店識別情報が含まれていたとき、アクセスサーバ25は、書店識別情報に応じた情報の取得条件として、カメラ付き携帯端末21へ店舗関連情報の料金と購入確認メッセージとを返送する(S78)。なお、店舗関連情報の取得要求に書店識別情報が含まれていなかったときは、書店外(購入され、書店の外に持ち出された)と判断し、S81へ進み、アクセスサーバ25は復号キーを送信する。
【0060】
カメラ付き携帯端末21は、液晶モニタ等の表示部(図示せず)に、店舗関連情報の料金と購入確認メッセージとを表示する(S79)。ここでカメラ付き携帯端末21の入力部(図示せず)から、店舗関連情報の購入希望の返信をする旨の入力があると、カメラ付き携帯端末21は、この購入希望メッセージをアクセスサーバ25へ送信する(S80)。
【0061】
アクセスサーバ25は、この購入希望メッセージを受信すると、カメラ付き携帯端末21へ店舗関連情報の復号キーを記憶部から読み出し、送信する(S81)。これを受けてカメラ付き携帯端末21は、暗号化された店舗関連情報を復号し、表示部に表示する(S82)。つまり、カメラ付き携帯端末21は店舗関連情報を取得し、このカメラ付き携帯端末21の利用者は、この店舗関連情報を利用することができる。
【0062】
なお、ここでの店舗関連情報の料金は、カメラ付き携帯端末21の通信料金の一部に付加して利用者へ請求するようにしてもよいし、利用者がアクセスサーバ25に予めチャージ(入金)しておいたプリペイド分から減算するようにしてもよい。また、徴収した料金からアクセスサーバ25が出版社へ店舗関連情報提供の料金を支払い、書店に書店サーバ22の設置料金を支払うようにしてもよい。
【0063】
このようにすることで、カメラ付き携帯端末21の利用者は、書店内においてカメラ付き携帯端末21で雑誌に掲載された情報を撮像した場合、料金支払い等、所定の条件を満たすことで、情報を取得することができる。
【0064】
《第3の実施の形態》
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。第3の実施の形態は、カメラ付き携帯端末21(図6参照)が、書店外の場所で印刷物100の情報を読み取ったとき、この情報が書店外で読み取ったものであることを示す識別情報(書店外識別情報)を併せて読み取るようにしたことを特徴とする。具体的には、本実施の形態の印刷物100は、所定領域に、第2の赤外線蛍光塗料で印刷された書店外識別情報を含むことを特徴とする。なお、この書店外識別情報は、請求項におけるエリア外識別情報に相当する。
【0065】
本実施の形態において、カメラ付き携帯端末21は、書店外のエリア(太陽光下や白熱灯下)では書店外識別情報を読み取るが、書店内のエリア(赤外線下)では書店外識別情報を読み取らない。つまり、書店内のエリア(赤外線下)では、カメラ付き携帯端末21は、書店外識別情報をコンテンツサーバ27へ送信しない。したがって、例えば、書店内に書店サーバ22(図6参照)を設置しなくても、コンテンツサーバ27は、カメラ付き携帯端末21からの情報取得要求が、書店内からのものであるか、書店外からのものであるかを判断することができる。
【0066】
図8は、第3の実施の形態の印刷物を例示した図である。適宜図1〜図7を参照しつつ、図8を用いて第3の実施の形態の印刷物100を説明する。なお、システムの全体構成は、第2の実施の形態のシステムから、書店サーバ22を除いたものとなる。
【0067】
第3の実施の形態の印刷物100は、符号1で示す情報と、符号2で示す二次元コードと、符号43で示す二次元コードと、符号44で示す二次元コードとを含む。符号1で示す情報および符号2で示す二次元コードは、前記したものと同じであるので説明を省略する。符号43で示す二次元コードは、店舗関連情報を掲載した雑誌名、ページ、店舗識別情報と、暗号化した店舗関連情報とアクセスサーバ25(またはコンテンツサーバ27)のURLとを二次元コード化したものであり、第1の赤外線蛍光塗料で紙111に印刷される。
【0068】
符号44で示す二次元コードは、書店外識別情報を二次元コード化して、第2の赤外線蛍光塗料で紙111に印刷される。このエリア外識別情報は、この印刷物100が所定のエリア以外の場所にあることを示す情報である。なお、この書店外識別情報は、請求項におけるエリア外識別情報に相当する。
【0069】
図9(a)は図8の印刷物を肉眼で見た様子、(b)は赤外線下において図8の印刷物をカメラ付き携帯端末で撮像した画像、(c)は太陽光下および白熱灯下において図8の印刷物をカメラ付き携帯端末で撮像した画像を例示した図である。図1〜図8を参照しつつ、図9(a)〜(c)を用いて、カメラ付き携帯端末21により撮像された印刷物100の画像について説明する。
【0070】
まず、図9(a)においては、第1の実施の形態の図2(a)と同様に、領域110は可視光を透過する第1の赤外線蛍光塗料でマスクされているので、店舗関連情報(符号1)および二次元コード(符号2)は肉眼で読み取ることができる。
【0071】
また、符号43で示す二次元コードは、第1の赤外線蛍光塗料で印刷されているので、肉眼では読み取ることはできない。さらに、符号44で示す二次元コードは、第2の赤外線蛍光塗料で印刷されているので、肉眼では読み取ることができない。なお、蛍光灯下の室内等、赤外線が少ない場所では、カメラ付き携帯端末21により符号1,2で示す情報を直接撮像することができる。
【0072】
図9(b)の赤外線下において、領域110は第1の赤外線蛍光塗料によりマスクされているのでカメラ付き携帯端末21は、符号1,2で示す情報を撮像することができない。
符号43で示す二次元コードは、第1の赤外線蛍光塗料で印刷されているので、カメラ付き携帯端末21で撮像することができる。つまり、カメラ付き携帯端末21は、書店内ではアクセスサーバ25のURLを取得することができる。
符号44で示す二次元コードは、赤外線照射装置5から照射される赤外線に反応しない第2の赤外線蛍光塗料で印刷されているので、カメラ付き携帯端末21で撮像することはできない。つまり、カメラ付き携帯端末21は、書店内では書店外識別情報を取得することができない。
【0073】
また、図9(c)の太陽光や白熱灯において、領域110は第1の赤外線蛍光塗料によりマスクされているので、カメラ付き携帯端末21は、符号1,2で示す情報を撮像することができない。
符号43で示す二次元コードは、第1の赤外線蛍光塗料で印刷されているので、カメラ付き携帯端末21により撮像することができる。つまり、カメラ付き携帯端末21は、太陽光や白熱灯下ではアクセスサーバ25のURLを取得することができる。
また、符号44の二次元コードは、第2の赤外線蛍光塗料で印刷されているので、カメラ付き携帯端末21で撮像することができる。つまり、カメラ付き携帯端末21は、太陽光や白熱灯下では書店外識別情報を取得することができる。
【0074】
図10および図11は、書店外において利用者がカメラ付き携帯端末で店舗関連情報を撮像した場合の情報送信システムの動作を示すフローチャートである。適宜図1〜図9を参照しつつ、図10および図11を用いて、書店外において利用者がカメラ付き携帯端末21で店舗関連情報を撮像する場合のシステムの動作を説明する。
【0075】
まず、雑誌(印刷物100)への掲載を依頼する店舗関連情報と、この店舗関連情報を暗号化した情報と、店舗識別情報と、コンテンツサーバ27のURLとをコンテンツサーバ27から出版社のデータサーバ26へ送信する(S1001)。
【0076】
出版社は、店舗関連情報と、店舗関連情報を二次元コード化したものとを通常塗料で印刷し、これらの上を第1の赤外線蛍光塗料でマスクする。また、このとき併せて、出版社は、店舗関連情報を掲載した雑誌名、ページ、店舗識別情報と、店舗関連情報を暗号化した情報と、アクセスサーバ25のURLとを二次元コード化して第1の赤外線蛍光塗料で印刷し、雑誌に掲載する。また、出版社は、書店外識別情報を二次元コード化したものを第2の赤外線蛍光塗料で印刷し、雑誌に掲載する。そして、出版社のデータサーバ26は、店舗関連情報を掲載する雑誌名、ページ、店舗識別情報、コンテンツサーバ27のURLを記憶部に格納する。
【0077】
表2は、データサーバ26の記憶部に格納される情報を例示した表である。表2において、雑誌名「AA」のページ「BB」に、店舗識別情報「CC」の店舗関連情報が掲載されており、この店舗関連情報の復号キーを送信するコンテンツサーバ27のURLは「EE」であることを示している。
【0078】
【表2】

【0079】
そして、出版社のデータサーバ26は、店舗関連情報の掲載される雑誌名、ページ、店舗識別情報をアクセスサーバ25へ送信する(S1003)。
【0080】
出版社は雑誌を書店へ出荷する。そして、利用者は、書店で雑誌を購入し、屋外等の太陽光下においてカメラ付き携帯端末21で、第1の赤外線蛍光塗料により印刷された二次元コード(図8の符号43)および第2の赤外線蛍光塗料により印刷された二次元コード(符号44)を撮像する(S1004)。
【0081】
次に、カメラ付き携帯端末21は撮像した符号43で示す二次元コードを解釈して、店舗関連情報を掲載する雑誌名、ページ、店舗識別情報を取得する。また、符合44の二次元コードを解釈して、書店外識別情報を取得する。そして、カメラ付き携帯端末21は、店舗関連情報を掲載する雑誌名、ページ、店舗識別情報および書店外識別情報を含む店舗関連情報の取得要求(復号キーの取得要求)をアクセスサーバ25へ送信する(S1005)。
【0082】
アクセスサーバ25では、受信した店舗関連情報の取得要求に書店外識別情報が含まれているか否かを判断する(S1006)。
【0083】
ここで、店舗関連情報の取得要求に書店外識別情報が含まれていたとき、アクセスサーバ25は、受信した店舗関連情報の取得要求(雑誌名、ページ、店舗識別情報等)を出版社のデータサーバ26へ転送する(S1007)。なお、S1006において、アクセスサーバ25が、店舗関連情報の取得要求に書店外識別情報が含まれていないと判断したとき、すなわち、書店内でカメラ付き携帯端末21から店舗関連情報の取得要求がされたと判断したときは、第2の実施の形態における図7のS78〜S80の手順と同様に、アクセスサーバ25は、カメラ付き携帯端末21に対し、店舗関連情報の購入確認を行う。つまり、アクセスサーバ25は、カメラ付き携帯端末21に対し、情報の購入確認メッセージを送信し、このカメラ付き携帯端末21から購入希望メッセージを受信したとき、S1007の処理へ進む。
【0084】
なお、本システムにおいて出版社のデータサーバ26が複数あるとき、アクセスサーバ25が、店舗関連情報の取得要求を転送すべき出版社のデータサーバ26は、店舗関連情報の取得要求に含まれる雑誌名や店舗識別情報等に基づき特定する。例えば、アクセスサーバ25は、記憶部に、雑誌名や店舗識別情報ごとにその雑誌の出版社のデータサーバ26のURL(アドレス)を示した情報を格納しており、店舗関連情報の取得要求を受信すると、この取得要求に含まれる雑誌名や店舗識別情報をキーとして、出版社のデータサーバ26を特定する。
【0085】
図11の出版社のデータサーバ26は、図10のS1007で受信した店舗関連情報の取得要求に含まれる店舗識別情報をキーとして、データサーバ26の記憶部を検索し、コンテンツサーバ27のURLを特定する(S1101)。
【0086】
そして、出版社のデータサーバ26は、コンテンツサーバ27へS1007で受信した情報(雑誌名、ページ、店舗識別情報)を転送する(S1102)。
【0087】
コンテンツサーバ27は、データサーバ26から転送された情報(雑誌名、ページ、店舗識別情報等)をキーとして、記憶部を検索して店舗関連情報(店舗関連情報の復号キー)を特定する(S1103)。そして、この記憶部からこの店舗関連情報の復号キーを読み出し、カメラ付き携帯端末21へ送信する(S1104)。カメラ付き携帯端末21は、受信した復号キーにより、雑誌から読み取った店舗関連情報(暗号化された店舗関連情報)を復号し、表示部に表示する(S1105)。
【0088】
また、自宅等の蛍光灯下および赤外線の少ない場所では、第1の赤外線蛍光塗料で印刷された二次元コード(符号43)および第2の赤外線蛍光塗料で印刷された二次元コード(符号44)は撮像されず、通常塗料で印刷された二次元コード(符号2)が撮像される。したがって、カメラ付き携帯端末21はコンテンツサーバ27へ直接アクセスすることができる。
【0089】
本発明は、前記した実施の形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で応用可能である。
【0090】
例えば、前記した実施の形態では、出版社のデータサーバ26、アクセスサーバ25およびコンテンツサーバ27は別個のサーバとしたが、これらサーバの機能を1つのサーバで提供するようにしてもよい。
【0091】
また、アクセスサーバ25あるいはコンテンツサーバ27が、出版社のデータサーバ26から店舗関連情報を掲載した雑誌名、ページ等の情報を事前に受信しておいてもよいし、カメラ付き携帯端末21からアクセスがある都度、データサーバ26またはコンテンツサーバ27へ問い合わせてもよく、その場合においても本発明の効果に何ら影響はない。
【0092】
さらに、第2の実施の形態で述べた書店識別情報は、カメラ付き携帯端末21が携帯電話機の基地局との交信により得られる位置情報により、書店内であることを判断して、生成してもよい。また、第3の実施の形態で述べた書店外識別コードも、カメラ付き携帯端末21が、携帯電話機の基地局との交信により得られる位置情報により、書店外であることを判別して生成してもよい。
【0093】
さらに、カメラ付き携帯端末21は、書店内に設置される赤外線照射装置5の赤外線照射パターンや書店内の照明の照射パターンにより、書店識別情報を取得するようにしてもよい。つまり、カメラ付き携帯端末21は、この照射パターンごとに書店識別情報(エリア識別情報)を示したパターンテーブルを格納し、デジタルカメラや赤外線ポート経由で入力される赤外線や照明と、このパターンテーブルとを参照して書店識別情報を特定するようにしてもよい。
【0094】
また、アクセスサーバ25(コンテンツサーバ27)は、エリア識別情報(書店識別情報)ごとに、情報送信の条件を示したテーブルを格納し、このテーブルに示されたデータ送信条件にしたがって、情報送信をするようにしてもよい。
【0095】
さらに、前記した実施の形態では、印刷物100の第1の赤外線蛍光塗料で印刷された情報は、暗号化された情報であり、復号キーを用いてこの情報の内容を取得することとしたが、これに限定されるものではない。
例えば、印刷物100の第1の赤外線蛍光塗料で印刷された情報は、アクセスサーバ25(コンテンツサーバ27)のURLや店舗識別情報とし、店舗関連情報自体はサーバ側で格納しておくようにする。そして、カメラ付き携帯端末21が、二次元コードを解釈して、このサーバへアクセスし、所定の条件をクリアして、サーバからパスワードが発行されたとき、カメラ付き携帯端末21が、このパスワードをサーバへ返信して、サーバから店舗関連情報をダウンロードするようにしてもよい。
【0096】
また、前記した実施の形態では、印刷物100に記される情報は、店舗関連情報である場合を例に説明したが、これ以外の情報であってもよい。さらに、印刷物100の情報は二次元コードにより記述する場合を例に説明したが、カメラ付き携帯端末21がこれ以外のコード(バーコード等)の読み取り機能を備えていれば、二次元コード以外のコードにより記述するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1の実施の形態の印刷物を説明する図である。
【図2】(a)は図1の印刷物を肉眼で見た様子、(b)は赤外線下において図1の印刷物をカメラ付き携帯端末で撮像した画像、(c)は太陽光下および白熱灯下において図1の印刷物をカメラ付き携帯端末で撮像した画像を例示した図である。
【図3】光波長に対する受光体の光感度分布と、光源のスペクトル分布とを示した図である。
【図4】第2の実施の形態の印刷物を例示した図である。
【図5】(a)は図4の印刷物を肉眼で見た様子、(b)は赤外線下において図4の印刷物をカメラ付き携帯端末で撮像した画像を例示した図である。
【図6】本実施の形態の印刷物を用いた情報送信システムの構成を示すブロック図である。
【図7】書店内において利用者がカメラ付き携帯端末で店舗関連情報を撮像した場合の情報送信システムの動作を示すフローチャートである。
【図8】第3の実施の形態の印刷物を例示した図である。
【図9】(a)は図8の印刷物を肉眼で見た様子、(b)は赤外線下において図8の印刷物をカメラ付き携帯端末で撮像した画像、(c)は太陽光下および白熱灯下において図8の印刷物をカメラ付き携帯端末で撮像した画像を例示した図である。
【図10】書店外において利用者がカメラ付き携帯端末で店舗関連情報を撮像した場合の情報送信システムの動作を示すフローチャートである。
【図11】書店外において利用者がカメラ付き携帯端末で店舗関連情報を撮像した場合の情報送信システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0098】
5 赤外線照射装置
21 カメラ付き携帯端末(端末装置)
22 書店サーバ
24 ネットワーク
25 アクセスサーバ(サーバ)
26 データサーバ(サーバ)
27 コンテンツサーバ(サーバ)
100 印刷物(雑誌)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物に記された情報を、撮像装置により撮像されることを防ぐ印刷物であって、
前記印刷物に記された情報に、可視光を透過し、赤外線を反射する第1の赤外線反射塗料を付したことを特徴とする印刷物。
【請求項2】
印刷物に記された情報を、撮像装置により撮像されることを防ぐ印刷物であって、
前記印刷物に記された情報に、可視光を透過し、赤外線を反射する第1の赤外線反射塗料を付した領域と、
前記印刷物に記された情報を、前記第1の赤外線反射塗料が反射する赤外線とは異なる波長の赤外線を反射する第2の赤外線反射塗料で印刷した領域とを有することを特徴とする印刷物。
【請求項3】
印刷物に記された情報を、撮像装置により撮像されることを防ぐ印刷物であって、
前記印刷物に記された情報に、可視光を透過し、赤外線を反射する第1の赤外線反射塗料を付した領域と、
前記第1の赤外線反射塗料で、所定の情報を格納するサーバのアドレス情報を印刷した領域、または暗号化された情報とこの情報の復号キーを格納するサーバのアドレス情報とを印刷した領域とを有することを特徴とする印刷物。
【請求項4】
前記印刷物は、前記第1の赤外線反射塗料が反射する赤外線とは異なる波長の赤外線を反射する第2の赤外線反射塗料で、前記印刷物が所定エリア外であることを示すエリア外識別情報を印刷した領域をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の印刷物。
【請求項5】
前記印刷物に用いられる各赤外線反射塗料は、前記塗料に照射された光を赤外線に蛍光反射する赤外線蛍光塗料であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の印刷物。
【請求項6】
前記印刷物に記された情報は、URL(Uniform Resource Locator)形式で記述されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の印刷物。
【請求項7】
前記印刷物に記された情報は、二次元コードにより記されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の印刷物。
【請求項8】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の印刷物の盗撮防止システムであって、
前記印刷物の、前記第1の赤外線反射塗料には反射されるが、前記第1の赤外線反射塗料が反射する赤外線とは異なる波長の赤外線を反射する第2の赤外線反射塗料には反射されない波長の赤外線を照射する赤外線照射装置を含むことを特徴とする盗撮防止システム。
【請求項9】
請求項3または請求項4に記載の印刷物に記された情報を前記撮像装置経由で取得する端末装置と、前記情報の復号キーを送信するサーバとによる情報送信方法であって、
前記端末装置は、
前記撮像装置から出力された画像を取得するステップと、
前記撮像装置から出力された画像から、前記印刷物に記された情報を読み取るステップと、
前記読み取った情報に示されるアドレス情報に基づき、ネットワーク経由で前記サーバへ前記情報取得要求を送信するステップと、
を実行し、
前記サーバは、
前記情報自体、または前記暗号化された情報の復号キーを格納する記憶部を備え、
前記ネットワーク経由で、前記端末装置から情報取得要求を受信するステップと、
前記情報取得要求に含まれる位置情報から、前記端末装置が所定エリア内にいるか否かを判断するステップと、
前記端末装置が所定エリア内にいると判断したとき、前記情報を取得するための条件を示したメッセージを送信するステップと、
前記端末装置から、前記情報を取得するための条件に応じる旨のメッセージを受信したとき、前記記憶部から前記受信した情報取得要求の要求対象である情報、または前記復号キーを読み出すステップと、
前記読み出した復号キーを前記端末装置へ送信するステップと、
を実行することを特徴とする情報送信方法。
【請求項10】
請求項3または請求項4に記載の印刷物に記された情報を取得する端末装置と、前記情報の復号キーを送信するサーバとによる情報送信方法であって、
前記端末装置は、
前記撮像装置から出力された画像を取得するステップと、
前記撮像装置から出力された画像から、前記印刷物に記された情報を読み取るステップと、
前記読み取った情報に示されるアドレス情報に基づき、ネットワーク経由で前記サーバに情報取得要求を送信するステップと、
を実行し、
前記サーバは、
前記ネットワーク経由で、前記端末装置から情報取得要求を受信するステップと、
前記受信した情報取得要求に前記エリア外識別情報が含まれているか否かを判断するステップと、
前記受信した情報取得要求に前記エリア外識別情報が含まれていたとき、前記記憶部から前記受信した情報取得要求の要求対象である情報または、前記復号キーを読み出すステップと、
前記読み出した情報または復号キーを前記端末装置へ送信するステップと、
を実行することを特徴とする情報送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−289744(P2006−289744A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−112606(P2005−112606)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により明細書の一部または全部を不掲載とする。
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】