説明

印刷装置および印刷方法

【課題】オーダシートを用いた画像データの印刷時において、配布先毎に画像を容易に配布可能にする。
【解決手段】印刷装置100は、メモリカードMC等から画像データを入力すると、入力した画像データの縮小画像とともにその画像データの配布先を指定するための配布先指定欄C2と、配布先毎の分類方法を指定するための分類方法指定欄C1とを配置したオーダシートSTを印刷する。ユーザは、このオーダシートSTを用いて、画像データの分類方法の指定と配布先毎の画像データの指定と行い、オーダシートSTをスキャナ110に読み取らせる。すると、印刷装置100は、オーダシートSTによって指定された分類方法に従い、指定された画像データを配布先毎に印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーダシートを用いて印刷する画像データを指定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スキャナやメモリカードリーダを内蔵した複合機と呼ばれる印刷装置が普及しつつある。このような印刷装置では、メモリカード等から入力した画像データの一覧をオーダシートとして印刷する機能を有するものがある。ユーザは、このオーダシートに設けられたマーキング欄を筆記具で塗りつぶすことにより、印刷を希望する画像データを指定することができる。印刷装置は、オーダシートをスキャナによって読み込むと、各画像データ毎に設けられたマーキング欄のマーキングの有無を解析し、マーキングが施されている画像データについて印刷を行う。
【0003】
このような技術に関連して、下記特許文献1に記載の印刷装置は、画像データの一覧を印刷したインデックスプリントを用いて、画像データ毎に印刷する枚数を指定することができる旨の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−34584号公報
【0005】
しかし、この文献に記載の印刷装置では、画像データ毎に印刷する枚数が指定できたとしても、印刷された画像の配布先が複数存在する場合には、印刷された画像を配布先毎に手作業で仕分ける必要があった。このような作業は、非常に煩わしい作業であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような問題を考慮し、本発明が解決しようとする課題は、オーダシートを用いた画像データの印刷時において、配布先毎に画像を容易に配布可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を踏まえ、本発明の印刷装置を次のように構成した。すなわち、
画像データを印刷する印刷装置であって、
複数の画像データを入力する入力手段と、
前記入力した画像データの一覧と、該画像データ毎に、弁別可能な2以上の要素を有するマーキング欄とを配置したオーダシートを印刷するオーダシート印刷手段と、
前記画像データ毎に、該画像データに対応する前記要素が前記マーキング欄によって指定されたオーダシートを読み取る読取手段と、
前記読み取ったオーダシートを解析し、前記要素毎に、該要素が指定された前記画像データをとりまとめて印刷する画像データ印刷手段と
を備えることを要旨とする。
【0008】
本発明の印刷装置によれば、ユーザがオーダシートを用いて指定した要素毎に画像データが印刷される。そのため、印刷された画像を手作業で仕分ける必要が無くなり、各要素に対応した配布先に、印刷された画像を容易に配布することが可能になる。
【0009】
なお、上記構成の印刷装置において、前記弁別可能な2以上の要素とは、2以上の異なる配布先を表すものとすることができる。その他にも、弁別可能な2以上の要素とは、2以上の異なる印刷先や、出力先、提出先、送付先などを表すものとすることもできる。
【0010】
上記構成の印刷装置であって、
前記画像データ印刷手段は、異なる要素に対応する画像データを印刷する際に、該画像データの印刷方向を変更する手段を備えるものとしてもよい。
【0011】
このような構成によれば、要素毎に画像データの印刷方向が変更されるので、連続して画像データが印刷されていても、要素毎の区切りを容易に認識することが可能になる。
【0012】
上記構成の印刷装置であって、
前記画像データ印刷手段は、前記各画像データに該画像データの撮影日を合成して印刷する手段を備え、
該画像データ印刷手段は、前記画像データの印刷方向を変更する際に、該画像データとともに前記撮影日の印刷方向の変更を行うものとしてもよい。
【0013】
このような構成によれば、画像とともに印刷される撮影日の方向も変更されるため、要素毎に印刷方向が変更されて印刷されていることを容易に判別することが可能になる。
【0014】
上記構成の印刷装置であって、
前記画像データ印刷手段は、異なる要素に対応する画像データを印刷するのに先立ち、所定の印刷用紙を出力する手段を備えるものとしてもよい。所定の印刷用紙としては、例えば、白紙の用紙や所定の画像を表した用紙を出力することができる。
【0015】
このような構成によれば、異なる要素に対応した画像データが印刷される毎に、白紙の用紙や、所定の画像を表した印刷用紙が挿入されて印刷されるため、連続して画像データが印刷されていても、要素毎の区切りを容易に認識することが可能になる。
【0016】
上記構成の印刷装置であって、
前記要素毎の個別情報を記憶する記憶手段を備え、
前記画像データ印刷手段は、前記所定の印刷用紙として、前記要素毎の個別情報を印刷した用紙を出力するものとしてもよい。この場合、記憶手段には、前記要素毎の個別情報として、該要素の名称、メールアドレス、顔画像のうち、少なくともいずれか1つが記憶されているものとすることができる。
【0017】
このような構成によれば、異なる要素に対応する画像データが印刷される毎に、要素の名称やメールアドレス、顔画像等の個別情報が印刷された用紙が出力されるので、連続して画像データが印刷されていても、要素毎の区切りを容易に認識することが可能になる。
【0018】
上記構成の印刷装置であって、
前記オーダシート印刷手段は、更に、前記画像データ印刷手段によって、前記要素毎に前記画像データをとりまとめる態様を指定するための分類指定欄を前記オーダシートに印刷し、
前記画像データ印刷手段は、前記分類指定欄によって指定された態様に応じて、前記要素毎に前記画像データをとりまとめて印刷するものとしてもよい。
【0019】
この場合、例えば、前記オーダシート印刷手段は、前記分類指定欄として、異なる要素に対応する画像データを印刷する際に、所定の印刷用紙を出力するか、または、印刷方向を変更するかの、いずれかの態様を指定可能な欄を印刷するものとすることができる。
【0020】
このような構成によれば、画像データを要素毎にとりまとめて印刷する際に、そのとりまとめの態様をオーダシートを用いて任意に選択することができる。そのため、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0021】
上記構成の印刷装置であって、
更に、前記読取手段が、前記オーダシートを読み取った後に、該オーダシートによって指定された画像データ毎の要素を修正するためのマーキング欄を配置した修正用オーダシートを印刷する手段と、
前記修正用オーダシートを読み取る手段とを備え、
前記画像データ印刷手段は、前記オーダシートの解析結果を、前記修正用オーダシートにマーキングされた結果に応じて修正する手段を備えるものとしてもよい。
【0022】
このような構成であれば、ユーザは、修正用オーダシートを用いることで、画像データ毎の要素の指定を柔軟に修正することが可能になる。
【0023】
上記構成の印刷装置であって、
前記各要素に対応したメールアドレスを記憶する手段と、
前記オーダシートによって、前記要素の指定された前記画像データを、該要素に対応した前記メールアドレスに対して送信する手段と
を備えるものとしてもよい。
【0024】
このような構成によれば、オーダシートによって指定した画像データを電子メールによって送信することが可能になる。
【0025】
なお、本発明は、上述した印刷装置としての構成のほか、スキャナを備えた印刷装置が画像データを印刷する印刷方法や、印刷装置とスキャナとが接続されたコンピュータが、画像データを印刷するためのコンピュータプログラムとしても構成することができる。かかるコンピュータプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に記録されていてもよい。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスクやCD−ROM、DVD−ROM、光磁気ディスク、メモリカード、ハードディスク等の種々の媒体を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】印刷装置100の構成を示す説明図である。
【図2】印刷装置100の内部構成を示す説明図である。
【図3】配布先別印刷処理のフローチャートである。
【図4】オーダシートSTの一例を示す説明図である。
【図5】第2のオーダシートST2の態様を示す説明図である。
【図6】第3のオーダシートST3の態様を示す説明図である。
【図7】第3のオーダシートST3の記入例を示す説明図である。
【図8】確認修正用オーダシートST4の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、上述した本発明の作用・効果を一層明らかにするため、本発明の実施の形態を実施例に基づき次の順序で説明する。
A.印刷装置の構成:
B.配布先別印刷処理:
C.オーダシートの他の態様:
D.変形例:
【0028】
A.印刷装置の構成:
図1は、実施例としての印刷装置100の構成を示す説明図である。印刷装置100は、いわゆる複合機タイプの印刷装置であり、光学的に画像を読み込むスキャナ110や、画像データの記録されたメモリカードMCを挿入するためのメモリカードスロット120、携帯電話CPとIrDA(Infrared Data Association)規格に準拠した赤外線通信を行うための赤外線インタフェース130、印刷装置100をネットワークに接続するためのネットワークインタフェース135等を備えている。印刷装置100は、スキャナ110によって取り込んだ画像や、メモリカードMCから読み取った画像、図示していないUSBインタフェース等によって接続されたコンピュータから受信した画像を印刷することができる。
【0029】
印刷装置100は、印刷に関する種々の操作を行うための操作パネル140を備えている。操作パネル140の中央部には、液晶モニタ145が備えられている。この液晶モニタ145には、メモリカードMC等から読み取った画像データや、印刷装置100の各種機能を利用する際のGUI(グラフィカルユーザインタフェース)が表示される。
【0030】
印刷装置100は、赤外線インタフェース130を介して、携帯電話CPから個人情報データを取得することができる。この個人情報データは、電子名刺の標準規格であるvCard形式のデータであり、氏名やメールアドレス、住所、電話番号、顔写真等のデータが含まれる。
【0031】
図2は、印刷装置100の内部構成を示す説明図である。図示するように、印刷装置100は、印刷用紙Pに印刷を行う機構として、インクカートリッジ212を搭載したキャリッジ210や、キャリッジ210を主走査方向に駆動するキャリッジモータ220、印刷用紙Pを副走査方向に搬送する紙送りモータ230等を備えている。
【0032】
キャリッジ210は、シアン、マゼンタ、イエロ、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタの色を現す各インクに対応して、計6種類のインクヘッド211を備えている。キャリッジ210には、これらのインクが収容されたインクカートリッジ212が装着されており、インクカートリッジ212からインクヘッド211に供給されたインクは、図示しないピエゾ素子を駆動することで印刷用紙Pに吐出される。
【0033】
キャリッジ210は、プラテン270の軸方向と並行に設置された摺動軸280に移動自在に保持されている。キャリッジモータ220は、制御回路150からの指令に応じて駆動ベルト260を回転させることで、プラテン270の軸方向と平行に、すなわち、主走査方向にキャリッジ210を往復運動させる。
【0034】
紙送りモータ230は、プラテン270を回転させることで、プラテン270の軸方向と垂直に印刷用紙Pを搬送する。つまり、紙送りモータ230は、キャリッジ210を相対的に副走査方向に移動させることができる。
【0035】
印刷装置100は、上述したインクヘッド211やキャリッジモータ220、紙送りモータ230の動作を制御するための制御回路150を備えている。制御回路150には、図1に示したスキャナ110やメモリカードスロット120、赤外線インタフェース130、ネットワークインタフェース135、操作パネル140、液晶モニタ145が接続されている。
【0036】
制御回路150は、CPU160とROM170とRAM180とフラッシュメモリ190とによって構成されている。ROM170には、印刷装置100の動作を制御するための制御プログラムが記憶されている。CPU160は、かかる制御プログラムをRAM180に展開して実行することで、後述する種々の処理を行う。CPU160は、本願の「入力手段」、「オーダシート印刷手段」、「読取手段」、「画像データ印刷手段」に相当する。
【0037】
フラッシュメモリ190は、メモリカードMC等から取り込んだ画像データIMGや、赤外線インタフェース130を介して携帯電話CPから受信した個人情報データPDを記憶する記憶装置である。なお、本実施例では、記憶装置としてフラッシュメモリを備えるものとしたが、これに換えて、ハードディスクドライブ等の記憶装置を備えるものとしてもよい。また、個人情報データPDは、携帯電話CP以外にも、印刷装置100に接続されたコンピュータから取得してもよいし、操作パネル140を用いてユーザが入力するものとしてもよい。
【0038】
B.配布先別印刷処理:
図3は、CPU160がROM170に記憶された制御プログラムに基づき実行する配布先別印刷処理のフローチャートである。この処理は、ユーザによって、液晶モニタ145に表示されたGUIの中から、配布先別に画像データの印刷を行う機能が選択された場合に実行される処理である。
【0039】
この処理が実行されると、CPU160は、まず、メモリカードMCやフラッシュメモリ190から複数の画像データを入力する(ステップS100)。画像データの入力元は、ユーザが液晶モニタ145に表示されたGUIを操作することにより任意に指定することができる。
【0040】
次にCPU160は、入力した画像データの縮小画像を配置したオーダシートを生成して印刷する(ステップS110)。
【0041】
図4は、上記ステップS110によって生成・印刷されたオーダシートSTの一例を示す説明図である。このオーダシートSTには、配布先別に画像データを印刷するにあたり、その分類方法を指定するための分類方法指定欄C1と、画像データ毎に配布先を指定するための配布先指定欄C2とからなる。この配布先指定欄C2は、本願の「弁別可能な2以上の要素を有するマーキング欄」に対応するものである。
【0042】
分類方法指定欄C1には、配布先別の分類方法として、「白紙を入れる」、「表紙を入れる」、「印刷方向を変える」の3種類の分類方法を指定可能にマーキング欄MK1を配置している。ユーザは、この分類方法指定欄C1に設けられた3種類のマーキング欄を筆記具で塗りつぶすことにより、画像データ印刷時の分類方法を指定することができる。
【0043】
配布先指定欄C2には、ステップS100によって入力した画像データの縮小画像が配置されており(図中、「No.1」〜「No.9」と記載した部分)、各画像データの右側には、その画像データをどの配布先に配布するかを指定するマーキング欄MK2が設けられている。図に示したオーダシートでは、「a」〜「f」までの6つの配布先が指定可能となっている。ユーザは、このマーキング欄MK2を筆記具でマーキングすることで、画像データ毎に配布先の指定を行うことができる。マーキング欄MK2を一つも塗りつぶさない場合には、その画像データは印刷されないことになる。
【0044】
ここで説明を図3に戻す。上記ステップS110によりオーダシートSTが印刷されると、ユーザは、印刷されたオーダシートSTの各マーキング欄にマーキングを施すことで、印刷された画像の分類方法の指定および、画像データ毎の配布先の指定を行う(ステップS120)。
【0045】
ユーザは、オーダシートSTの記入を終えると、そのオーダシートSTをスキャナ110にセットし、操作パネル140を用いて、オーダシートSTの読取開始操作を行う。CPU160は、ユーザによる読取開始操作を検出すると、スキャナ110を用いて、オーダシートSTを読み取る(ステップS130)。
【0046】
CPU160は、ステップS130によってオーダシートSTを読み取ると、配布先指定欄C2においてマーキングされたマーキング欄を解析して、配布先(図4の場合には、「a」〜「f」)毎にどの画像データを印刷するかを集計する(ステップS140)。
【0047】
配布先毎の集計を完了すると、CPU160は、一の配布先に対応する画像データを連続して印刷する(ステップS150)。そして、その配布先に対応する画像データの印刷を完了すると、次の配布先に対応する画像データを印刷するのに先立ち、分類方法指定欄C1によって指定された方法により配布先毎の分類(とりまとめ)を行う(ステップS160)。すなわち、分類方法指定欄C1のマーキング欄MK1において、「白紙を入れる」と指定されていた場合には、白紙の用紙を1枚出力し、「表紙を入れる」と指定されていた場合には、所定の画像を表した表紙を1枚印刷する。また、「印刷方向を変える」と指定されていた場合には、次に印刷を行う配布先の画像データの印刷方向を変更する。
【0048】
なお、上記ステップS150では、ユーザによる設定操作に応じて、画像データの撮影日時を画像データに合成して印刷を行うものとすることができる。このようにすれば、印刷方向を変更した場合に、撮影日時も画像データとともに印刷方向が変更して印刷されるので、配布先毎に画像データが印刷されていることを容易に認識することが可能になる。また、上記ステップS160において、表紙を印刷する際には、その表紙に表す画像を液晶モニタ145上のGUIにおいて任意に選択することができる。
【0049】
配布先毎の分類処理が完了すると、CPU160は、全配布先について画像データの印刷が完了したか否かを判断する(ステップS170)。その結果、全配布先について完了していれば、一連の配布先別印刷処理を終了し、完了していなければ、上記ステップS150に処理を戻して、次の配布先について画像データの印刷を行う。
【0050】
以上で説明した本実施例の印刷装置100によれば、オーダシートSTを用いることにより、配布先毎に印刷する画像データを容易に指定することができる。また、異なる配布先の画像データを印刷する際には、オーダシートSTによって指定された分類方法に応じて、白紙や表紙の挿入、あるいは、印刷方向の変更が行われるため、ユーザは、印刷された画像データを手作業で分類する必要が無くなり、印刷された画像を配布先毎に容易に配布することが可能になる。
【0051】
C.オーダシートの他の態様:
上述した実施例におけるオーダシートSTは、図4に示した態様以外にも種々の態様を採用することができる。以下、オーダシートSTの他の態様について説明する。
【0052】
(C1)第2のオーダシートの態様:
図5は、第2のオーダシートST2の態様を示す説明図である。この図5に示したオーダシートST2には、図4に示したオーダシートSTと同様に分類方法指定欄C1と配布先指定欄C2とが印刷されており、更に、印刷指定欄C3とメール送信指定欄C4とサイズ調整欄C5と配布先情報表示欄C6とが印刷されている。
【0053】
配布先情報表示欄C6は、配布先指定欄C2に示された配布先毎(「a」〜「f」)の個人情報データが印刷される欄である。この個人情報データはフラッシュメモリ190に記録されているデータであり、配布先の名称、メールアドレス、顔写真データが含まれている。ユーザは、この配布先情報表示欄C6を参照することにより、配布先を容易に判別することができる。
【0054】
印刷指定欄C3とメール送信指定欄C4とは、配布先指定欄C2で指定された画像データを印刷するのか、もしくは、電子メールに添付して送信するのかを選択するために設けられた欄である。ユーザによって印刷指定欄C3がマーキングされた場合には、上記実施例と同様に、分類方法指定欄C1で指定された分類方法に基づき、配布先指定欄C2で配布先を指定した画像データが印刷される。一方、メール送信指定欄C4がマーキングされた場合には、配布先指定欄C2で指定した配布先のメールアドレスに対して、その画像データが添付された電子メールが、ネットワークインタフェース135を介して送信される。電子メールの送信は、上記配布先別印刷処理のステップS150およびステップS160に換えて実行される。なお、印刷指定欄C3とメール送信指定欄C4とが、両者とも選択された場合には、画像の印刷とメールの送信とがどちらも行われるものとする。もちろん、両者が選択された場合には、所定のエラーメッセージを液晶モニタ145に表示するものとしてもよい。
【0055】
サイズ調整欄C5は、画像データを電子メールに添付して送信する際に、その画像データのサイズを調整するために設けられた欄である。このサイズ調整欄C5では、320サイズ、640サイズ、960サイズ、1280サイズの4段階のサイズを指定可能としている。各サイズの数値は、サイズ調整後の画像データの長辺のピクセル数を表している。ユーザは、各サイズの左側に配置したマーキング欄を筆記具で塗りつぶすことで、画像データのサイズを調整することができる。ただし、どのマーキング欄も塗りつぶされない場合には、画像データのサイズ調整は行われない。なお、どのマーキング欄も塗りつぶされない場合に、デフォルトのサイズ(例えば、1024サイズ)に画像データのサイズを変更するものとしてもよい。
【0056】
図5に示した分類方法指定欄C1では、図4に示した分類方法に加えて、「顔写真を入れる」という分類方法が指定可能となっている。この分類方法が指定された場合には、印刷装置100は、上記配布先別印刷処理のステップS160において、フラッシュメモリ190内の個人情報データから顔写真データを読み込み、配布先指定欄C2で指定された配布先に応じて、この顔写真データの印刷を行う。こうすることで、印刷された画像データがどの配布先に分類されたかを容易に識別することが可能になる。なお、ここでは、顔写真を印刷する例を示したが、この顔写真に換えて、もしくは加えて、個人情報データPDに記録された配布先の名称やメールアドレスなどを印刷するものとしてもよい。
【0057】
なお、図5に示したオーダシートST2では、印刷指定欄C3とメール送信指定欄C4とを用いることで、画像を印刷するのか、メールに添付して送信するのかをオーダシート上で選択できるものとした。これに対して、かかる選択は、液晶モニタ145に表示されたGUIで行うものとしてもよい。こうすることにより、オーダシートST2の構成を簡略化することが可能になる。
【0058】
(C2)第3のオーダシートの態様:
図6は、第3のオーダシートST3の態様を示す説明図である。このオーダシートST3は、主として、多数の者から印刷する画像の注文を受け付ける用途で用いられる。図6に示した例では、画像データ毎に、15人までの配布先を指定することができるように配布先指定欄C2をマトリクス状に構成している。このオーダシートST3の回覧を受けた者は、自己の名前を名前記入欄CNに記入し、受け取りを希望する画像データに対応するマーキング欄MK2を筆記具でマーキングする。なお、配布先として指定可能な人数は任意である。
【0059】
図7は、第3のオーダシートST3の記入例を示す説明図である。この図には、オーダシートST3が回覧されて名前記入欄CNに「A」から「J」までの名前が記入され、各人が所望の画像に対してマーキングを行った結果の例を示している。印刷装置100は、このオーダシートST3をスキャナ110によって読み取ると、配布先の各人毎に、指定された画像データの印刷を行う。このとき、印刷装置100は、デフォルトの分類方法(例えば、白紙の挿入)で画像データを配布先毎に印刷するものとする。もちろん、オーダシートST3に対して、図4と同様の分類方法指定欄C1を設けることで、分類方法を指定可能としてもよい。
【0060】
図6および図7に示したオーダシートST3を採用する場合において、印刷装置100は、このオーダシートST3によって受け付けた注文を修正するために、図8に示す確認修正用オーダシートST4を印刷するものとしてもよい。この確認修正用オーダシートST4は、上述した配布先別印刷処理のステップS130において、オーダシートST3の読み取りを行った後、ステップS140で配布先毎の画像データが集計され、その結果が、確認修正用オーダシートST4に反映され、ステップS150の処理に先立ち印刷される。
【0061】
図8は、確認修正用オーダシートST4の一例を示す説明図である。この確認修正用オーダシートST4の名前記入欄CNには、オーダシートST3に記入された手書きの名前がスキャナ110によって読み取られ、その読み取り結果がコピーされて印刷されている。また、名前記入欄CNの下部には、各人が注文した画像データの枚数が印刷されている。また、オーダシートST3によって注文された画像データの総数がシートの左上に印刷されている。
【0062】
更に、確認修正用オーダシートST4には、オーダシートST3によって注文した画像データを取り消すための取消用マーキング欄MKaや、注文しなかった画像データを追加注文するための追加用マーキング欄MKbが印刷されている。取消用マーキング欄MKaは、オーダシートST3によって注文がされた画像データに対して設けられており、追加用マーキング欄MKbは、オーダシートST3によって注文がされなかった画像データに対して設けられている。これらのマーキング欄によれば、確認修正用オーダシートST4の回覧を受けた者は、容易に注文の取り消しや追加を行うことが可能になる。
【0063】
なお、図8に示した確認修正用オーダシートST4の名前記入欄CNには、名前の記入がされていない欄がある(「11」〜「15」と記載された欄)。そのため、この欄を利用することにより、オーダシートST3によって注文を行った者以外の者の注文を受け付けることが可能である。また、確認修正用オーダシートST4には、上述した種々の欄以外にも、例えば、各人の注文枚数に応じた請求金額を印刷するものとしてもよい。
【0064】
印刷装置100は、上記配布先別印刷処理のステップS140の後で、かつ、ステップS150の前に、記入済みの確認修正用オーダシートST4をスキャナ110によって読み取ると、再度、注文された画像データの集計、分類を行う。そして、ステップS150以降の処理で、配布先毎に画像データの印刷を行う。このように、図6ないし図8に示したオーダシートST3および確認修正用オーダシートST4を採用すれば、多数の者からの画像データの印刷の注文を受け付け、容易に配布先毎の印刷を行うことが可能になる。
【0065】
D.変形例:
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこのような実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。例えば、ソフトウェアによって実現した機能は、ハードウェアによって実現するものとしてもよい。そのほか、以下の変形が可能である。
【0066】
(D1)変形例1:
上記実施例では、印刷装置100は、片面にのみ印刷を行うことを前提として説明を行った。これに対して、印刷装置100が両面印刷を行う機構を備えている場合には、白紙や表紙等の間紙を挿入することなく、用紙の裏側に配布先の名称やメールアドレス、顔写真等の個人情報データを印刷するものとしてもよい。また、配布先毎に、印刷面を変更するものとしてもよい。また、片面にのみ印刷を行う場合であっても、印刷面の余白部分に個人情報データを印刷するものとしてもよい。
【0067】
(D2)変形例2:
印刷装置100は、メモリカードMC等から入力した画像データを解析して、その画像データに撮像されている顔を検出する機能を備えていてもよい。この場合、印刷装置100は、メモリカードMC等から入力した各画像データに対して顔を検出する顔検出処理を行う。そして、顔の検出された人物に対しては、その画像データをその人物に対して配布するものと判断する。かかる判断の後、印刷装置100は、検出された顔毎に、配布する画像データを集計し、その人物毎に画像データを印刷する。このような処理を行えば、印刷装置100は、画像データから検出された顔に応じて自動的に配布先の設定を行うことができるので、オーダシートを用いなくても配布先別の印刷を行うことが可能になる。なお、この場合において、自動的に設定した配布先の結果を、確認修正用オーダシートST4に出力するものとしてもよい。こうすることにより、顔検出によって自動的に設定された配布先を柔軟に修正することが可能になる。
【0068】
(D3)変形例3:
印刷装置100は、配布先毎の画像データの印刷履歴をフラッシュメモリ190に記憶するものとしてもよい。印刷装置100は、この印刷履歴を参照することで、オーダシートSTによって指定された画像データがその配布先に対して既に印刷済みである場合には、液晶モニタ145に対して警告を表示することができる。こうすることにより、同一の配布先に対する画像データの重複印刷を防止することができる。また、印刷装置100は、この印刷履歴を参照することで、印刷済みの画像データを指定するためのマーキング欄MK2を省いてオーダシートSTを生成するものとしてもよい。こうすることによっても、同一の配布先に対する画像データの重複印刷を防止することができる。
【0069】
(D4)変形例4:
上記実施例では、印刷装置100が単体で画像データの入力や、オーダシートSTの印刷、その読み取り、配布先毎の画像データの印刷を行うものとした。これに対して、印刷装置100とコンピュータとを接続し、コンピュータに所定のプログラムをインストールすることで、上述した配布先別印刷処理と同等の処理を実行するものとしてもよい。この場合、コンピュータが画像データの入力を行い、印刷装置100にオーダシートSTの印刷をさせる。そして、印刷装置100に備えられたスキャナ110を介して記入済みのオーダシートSTを読みとり、指定された配布先毎に画像データを印刷する。このような構成では、印刷装置100とコンピュータとによって構成されるシステムが、本願の印刷装置に相当することになる。なお、かかる構成では、スキャナと印刷装置とは別体の装置として構成してもよい。
【0070】
(D5)変形例5:
上記実施例において説明した配布先別印刷処理では、メモリカードMC等から入力した画像データのすべてをオーダシートに印刷するものとして説明した。これに対して、手ブレやボヤケ、不正露出の発生している画像データは、オーダシートに印刷しないものとしてもよい。このような画像は、撮影に失敗した画像である可能性が高く、配布の対象とはならないことが多いと考えられるからである。また、人物が撮像されていない画像も、配布の対象とならないことが多いと考えられるため、オーダシートに印刷しないものとしてもよい。手ブレやボヤケ、不正露出の検出や、人物の検出は、周知の画像処理技術を用いることで検出可能である。
【0071】
(D6)変形例6:
上記実施例では、オーダシート上で配布先を指定する際に、「a」や「b」と付された配布先のマーキング欄を筆記具で塗りつぶすものとして説明した(例えば、図4参照)。これに対して、ユーザが、オーダシート上の所定の記入欄に、「a」や「b」などと配布先の名称を直接手書きで記入するものとしてもよい。この場合、印刷装置100は、周知のOCR技術によって、手書き文字の認識を行って、指定された配布先毎に画像データの印刷を行うものとする。
【符号の説明】
【0072】
100…印刷装置
110…スキャナ
120…メモリカードスロット
130…赤外線インタフェース
135…ネットワークインタフェース
140…操作パネル
145…液晶モニタ
150…制御回路
160…CPU
170…ROM
180…RAM
190…フラッシュメモリ
210…キャリッジ
211…インクヘッド
212…インクカートリッジ
220…キャリッジモータ
230…紙送りモータ
260…駆動ベルト
270…プラテン
280…摺動軸
MC…メモリカード
CP…携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを印刷する印刷装置であって、
複数の画像データを入力する入力手段と、
前記入力した画像データの一覧と、該画像データ毎に、弁別可能な2以上の要素を有するマーキング欄とを配置したオーダシートを印刷するオーダシート印刷手段と、
前記画像データ毎に、該画像データに対応する前記要素が前記マーキング欄によって指定されたオーダシートを読み取る読取手段と、
前記読み取ったオーダシートを解析し、前記要素毎に、該要素が指定された前記画像データをとりまとめて印刷する画像データ印刷手段と
を備える印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記弁別可能な2以上の要素とは、2以上の異なる配布先を表す
印刷装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の印刷装置であって、
前記画像データ印刷手段は、異なる要素に対応する画像データを印刷する際に、該画像データの印刷方向を変更する手段を備える
印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷装置であって、
前記画像データ印刷手段は、前記各画像データに該画像データの撮影日を合成して印刷する手段を備え、
該画像データ印刷手段は、前記画像データの印刷方向を変更する際に、該画像データとともに前記撮影日の印刷方向の変更を行う
印刷装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の印刷装置であって、
前記画像データ印刷手段は、異なる要素に対応する画像データを印刷するのに先立ち、所定の印刷用紙を出力する手段を備える
印刷装置。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷装置であって、
前記画像データ印刷手段は、前記所定の印刷用紙として、白紙の用紙、または、所定の画像を表した用紙を出力する
印刷装置。
【請求項7】
請求項5に記載の印刷装置であって、
前記要素毎の個別情報を記憶する記憶手段を備え、
前記画像データ印刷手段は、前記所定の印刷用紙として、前記要素毎の個別情報を印刷した用紙を出力する
印刷装置。
【請求項8】
請求項7に記載の印刷装置であって、
前記記憶手段は、前記要素毎の個別情報として、該要素の名称、メールアドレス、顔画像のうち、少なくともいずれか1つを記憶する
印刷装置。
【請求項9】
請求項1または請求項2に記載の印刷装置であって、
前記オーダシート印刷手段は、更に、前記画像データ印刷手段によって、前記要素毎に前記画像データをとりまとめる態様を指定するための分類指定欄を前記オーダシートに印刷し、
前記画像データ印刷手段は、前記分類指定欄によって指定された態様に応じて、前記要素毎に前記画像データをとりまとめて印刷する
印刷装置。
【請求項10】
請求項9に記載の印刷装置であって、
前記オーダシート印刷手段は、前記分類指定欄として、異なる要素に対応する画像データを印刷する際に、所定の印刷用紙を出力するか、または、印刷方向を変更するかの、いずれかの態様を指定可能な欄を印刷する
印刷装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の印刷装置であって、
更に、前記読取手段が、前記オーダシートを読み取った後に、該オーダシートによって指定された画像データ毎の要素を修正するためのマーキング欄を配置した修正用オーダシートを印刷する手段と、
前記修正用オーダシートを読み取る手段とを備え、
前記画像データ印刷手段は、前記オーダシートの解析結果を、前記修正用オーダシートにマーキングされた結果に応じて修正する手段を備える
印刷装置。
【請求項12】
請求項1または請求項2に記載の印刷装置であって、更に、
前記各要素に対応したメールアドレスを記憶する手段と、
前記オーダシートによって、前記要素の指定された前記画像データを、該要素に対応した前記メールアドレスに対して送信する手段と
を備える印刷装置。
【請求項13】
スキャナを備えた印刷装置が画像データを印刷する印刷方法であって、
複数の画像データを入力し、
前記入力した画像データの一覧と、該画像データ毎に、弁別可能な2以上の要素を有するマーキング欄とを配置したオーダシートを印刷し、
前記画像データ毎に、該画像データに対応する前記要素が前記マーキング欄によって指定されたオーダシートを前記スキャナによって読み取り、
前記読み取ったオーダシートを解析し、前記要素毎に、該要素が指定された前記画像データをとりまとめて印刷する
印刷方法。
【請求項14】
印刷装置とスキャナとが接続されたコンピュータが、画像データを印刷するためのコンピュータプログラムであって、
複数の画像データを入力する機能と、
前記入力した画像データの一覧と、該画像データ毎に、弁別可能な2以上の要素を有するマーキング欄とを配置したオーダシートを前記印刷装置によって印刷する機能と、
前記画像データ毎に、該画像データに対応する前記要素が前記マーキング欄によって指定されたオーダシートを前記スキャナによって読み取る機能と、
前記読み取ったオーダシートを解析し、前記要素毎に、該要素が指定された前記画像データをとりまとめて印刷する機能と
をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−241610(P2009−241610A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174410(P2009−174410)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【分割の表示】特願2006−42030(P2006−42030)の分割
【原出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】