説明

印刷装置

【課題】本発明はDCブラシレスモータを使用する印刷装置に関し、特に転写ベルトへのスジ状のトナーの付着を防止し、用紙にバンド状の画像障害を生じさせることのない印刷装置、及び印刷装置の駆動制御方法を提供するものである。
【解決手段】回転駆動部を駆動するDCブラシレスモータを使用した印刷装置であって、上記DCブラシレスモータの回転磁界を検出する磁気検出手段と、この磁気検出手段の検出信号に基づいて、上記DCブラシレスモータの駆動を制御し、上記回転駆動部の駆動及び停止制御を行う制御手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DCブラシレスモータを使用する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を使用したタンデム型の印刷装置は、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像形成ユニットを使用し、各画像形成ユニットには夫々感光体ドラムを回転駆動するためのモータが使用されている。このモータとしては、例えばステッピングモータが使用され、各画像形成ユニット内の感光体ドラム等の回転体の駆動を行っている。また、モータの回転軸にエンコーダ装置を取り付け、モータの駆動タイミングや、現像ローラ、給紙ローラ等の駆動タイミングの制御を行う印刷装置も使用されている。
【0003】
しかし、ステッピングモータやエンコーダ装置を使用したモータはコスト面で不利であり、ステッピングモータやエンコーダ装置を使用しないモータによって印刷装置の回転駆動系の制御を行うことが要望されている。
【0004】
尚、特許文献1は加圧ローラに付着したトナーの除去を目的とする画像形成装置の発明であり、DCブラシレスモータとステッピングモータを使用し、用紙の弛みや引っ張り合いを防止する発明である。
【0005】
また、特許文献2はDCモータを定着器の駆動源に用い、加圧ローラに付着したトナーを除去する発明であり、加圧ローラに付着したトナーを除去するため、DCモータに実装されているホール素子の出力信号を監視し、ステップ送りのオン時間を補正し、加圧ローラに付着したトナーを除去する発明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−285015号公報
【特許文献2】特開2004−138836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1はステッピングモータを使用する発明であり、発明の目的も用紙の弛みや引っ張り合いを防止するものである。また、特許文献2は定着器の加圧ローラに付着したトナーを除去する発明である。
【0008】
そこで、本発明はDCブラシレスモータを使用し、装置のコストを抑えると共に、中間転写ベルト等へのスジ状のトナー付着を防止し、用紙にバンド状の画像障害を生じさせることのない印刷装置、及び印刷装置の駆動制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は第1の発明によれば、回転駆動部を駆動するDCブラシレスモータを使用した印刷装置において、前記DCブラシレスモータの回転磁界を検出する磁気検出手段と、該磁気検出手段の検出信号に基づいて、前記DCブラシレスモータの駆動を制御し、前記回転駆動部の駆動及び停止制御を行う制御手段とを有する印刷装置を提供することによって達成できる。
【0010】
また、上記課題は第2の発明によれば、前記制御手段は、前記磁気検出手段の検出信号を計数し、該計数値に対応する前記DCブラシレスモータの回転角のデータを記憶手段から読み出し、前記DCブラシレスモータの駆動及び停止制御を行う印刷装置を提供することによって達成できる。
【0011】
また、上記課題は第3の発明によれば、前記制御手段は、前記回転駆動部の負荷変動時に該回転駆動部の制御を行う印刷装置を提供することによって達成できる。
【0012】
また、上記課題は第4の発明によれば、回転駆動部を駆動するDCブラシレスモータを使用した印刷装置の駆動制御方法において、前記DCブラシレスモータの回転磁界を検出する磁気検出処理と、該磁気検出処理に基づく検出信号に基づいて、前記DCブラシレスモータの駆動を制御し、前記回転駆動部の駆動及び停止を制御する処理を行う印刷装置の駆動制御方法を提供することによって達成できる。
【0013】
また、上記課題は第5の発明によれば、前記回転駆動部の駆動及び停止を制御する処理は、前記磁気検出処理に基づく検出信号を計数し、該計数値に対応する前記DCブラシレスモータの回転角のデータを記憶手段から読み出し、前記DCブラシレスモータの駆動及び停止制御を行う印刷装置の駆動制御方法を提供することによって達成できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、DCブラシレスモータに配設された磁気検出手段によって検出されたDCブラシレスモータの回転磁界を計数し、該計数値と予め記録されたDCブラシレスモータの回転角度に対応する計数値を比較し、対応する回転角度のデータに基づいて回転駆動系の駆動制御を行うことによって、用紙にバンド状の画像障害が生じることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態におけるプリンタ装置の内部構成を説明する断面図である。
【図2】本実施形態にプリンタ装置の制御部の構成を説明する図である。
【図3】PRコントローラ、及びキットモータの具体的な構成を示す図である。
【図4】本実施形態の処理動作を説明するフローチャートである。
【図5】本実施形態の処理動作を説明するタイムチャートである。
【図6】ホール素子で検出する信号処理を説明するタイムチャートである。
【図7】(a)はテーブルの作成例を説明する図であり、(b)はテーブルの作成例の具体的な計算式を説明する図である。
【図8】ギアの配設例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図2は、本実施形態におけるプリンタ装置(印刷装置)の内部構成を説明する断面図である。同図に示すプリンタ装置1は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラープリンタ装置であり、4つの画像形成部2、中間転写ベルトユニット3、給紙部4、及び両面印刷用搬送ユニット5で構成されている。
【0017】
上記4つの画像形成部2は、同図の右から左へ4個の画像形成ユニット6(6M、6C、6Y、6K)を多段式に並設した構成からなる。上記4個の画像形成ユニット6のうち上流側(図の右側)の3個の画像形成ユニット6M、6C、及び6Yは、それぞれ減法混色の三原色であるマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、画像形成ユニット6Kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0018】
上記の各画像形成ユニット6は、トナー容器に収納されたトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下ブラック(K)用の画像形成ユニット6Kを例にしてその構成を説明する。
【0019】
画像形成ユニット6は、最下部に感光体ドラム7を備えている。この感光体ドラム7は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム7の周面近傍を取り巻いて、クリーナ8、帯電ローラ9、印字ヘッド11、及び現像器12の現像ローラ13が配置されている。
【0020】
現像器12は、上部のトナー容器に同図にはM、C、Y、Kで示すようにマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のいずれかのトナーを収容し、中間部には下部へのトナー補給機構を備え、下部には側面開口部に上述した現像ローラ13を備え、内部にトナー撹拌部材、現像ローラ13にトナーを供給するトナー供給ローラ、現像ローラ13上のトナー層を一定の層厚に規制するドクターブレード等を備えている。
【0021】
中間転写ベルトユニット3は、本体装置のほぼ中央で図の左右のほぼ端から端まで扁平なループ状になって延在する無端状の転写ベルト14と、この転写ベルト14を掛け渡されて転写ベルト14を図の反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ15と従動ローラ16を備えている。
【0022】
上記の転写ベルト14は、トナー像を直接ベルト面に転写(一次転写)されて、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への転写位置まで搬送するので、ここではユニット全体を中間転写ベルトユニットとしている。
【0023】
この中間転写ベルトユニット3は、上記扁平なループ状の転写ベルト14のループ内にベルト位置制御機構17を備えている。ベルト位置制御機構17は、転写ベルト14を介して感光体ドラム7の下部周面に押圧する導電性発泡スポンジから成る一次転写ローラ18を備えている。
【0024】
ベルト位置制御機構17は、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びイエロー(Y)の3個の画像形成ユニット6M、6C、及び6Yに対応する3個の一次転写ローラ18を鉤型の支持軸を中心に同一周期で回転移動させ、ブラック(K)の画像形成ユニット6Kに対応する1個の一次転写ローラ18を上記3個の一次転写ローラ18の周期と異なる回転移動周期で回転移動させて転写ベルト14を感光体ドラム7から離接させ、フルカラーモード(4個全部の一次転写ローラ18が転写ベルト14に当接)、モノクロモード(画像形成ユニット6Kに対応する一次転写ローラ18のみが転写ベルト14に当接)、及び全非転写モード(4個全部の一次転写ローラ18が転写ベルト14から離れる)に切換える。
【0025】
上記の中間転写ベルトユニット3には、上面部のベルト移動方向最上流側の画像形成ユニット6Mの更に上流側に、ベルトクリーナユニットが配置され、下面部のほぼ全面に沿い付けるように平らで薄型の廃トナー回収容器19が着脱自在に配置されている。
給紙部4は、上下2段に配置された2個の給紙カセット21を備え、2個の給紙カセット21の給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ22、給送ローラ23、捌きローラ24、待機搬送ローラ対25が配置されている。待機搬送ローラ対25の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト14を介して従動ローラ16に圧接する二次転写ローラ26が配設されて、用紙への二次転写部を形成している。
【0026】
この二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着装置27が配置されて、ベルト式熱定着装置27の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式熱定着装置27から搬出する搬出ローラ対28、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー29に排紙する排紙ローラ対31が配設されている。
【0027】
両面印刷用搬送ユニット5は、上記搬出ローラ対28と排紙ローラ対31との中間部の搬送路から図の右横方向に分岐した開始返送路32a、それから下方に曲がる中間返送路32b、更に上記とは反対の左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる終端返送路32c、及びこれらの返送路の途中に配置された4組の返送ローラ対33a、33b、33c、33dを備えている。上記終端返送路32cの出口は、給紙部4の下方の給紙カセット21に対応する待機搬送ローラ対25への搬送路に連絡している。
【0028】
また、本例において中間転写ベルトユニット3の上面部には、クリーニング部35、取り込みローラ36が配置されている。クリーニング部35は、転写ベルト14の上面に当接して廃トナーを擦り取って除去し、取り込みローラ36はクリーニング部35が除去した廃トナーを引き継いで、図示を省略したベルトクリーナユニットの一時貯留部に溜め込み、その溜め込まれた廃トナーを搬送スクリューにより落下筒内を上部まで搬送し、落下筒を介して廃トナー回収容器19に送り込んでいる。
【0029】
また、上記のクリーニング部35を適度の圧力で転写ベルト14に圧接させるため、中間転写ベルトユニット3側には、下方から転写ベルト14をクリーニング部35に向けて押圧する押圧ローラ37が設けられている。
【0030】
一方、図1は上記構成のプリンタ装置1において、制御部の構成を説明する図である。同図において、プリンタ装置1の制御は、インターフェースコントローラ(以下、I/Fコントローラで示す)40、プリンタコントローラ(以下、PRコントローラで示す)41、定着モータ42、ベルトモータ43、給紙モータ44、及びイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つキットモータ45Y、45M、45C,45Kで構成されている。
【0031】
I/Fコントローラ40はホスト機器である不図示のパーソナルコンピュータ(PC)から送信された印刷データのコマンド解析を行い、描画データを作成する。また、PRコントローラ41は定着モータ42や、ベルトモータ43、給紙モータ44の駆動制御を行い、I/Fコントローラ40で作成された上記描画データを対応するキットモータ45Y、45M、45C,45Kに送信する。尚、定着モータ42は前述のベルト式熱定着装置27に設けられた熱ローラの回転駆動を行い、ベルトモータ43は前述の駆動ローラ15の駆動を行い、転写ベルト14を回動させる。また、給紙モータ44は前述の給送ローラ23を駆動し、給紙カセット21から用紙を搬出する。
【0032】
上記PRコントローラ41にはカウンタ47、不揮発性メモリ48、CPU49が設けられ、カウンタ47は後述するホール素子の検出信号を計数し、不揮発性メモリ48は予め設定されたデータと上記計数値との対応を記憶したテーブルを有する。また、CPU49にはカウンタ47から計数データが入力し、不揮発性メモリ48に記憶された情報との比較処理を行う。
【0033】
図3は、上記PRコントローラ41、及びキットモータ45Y、45M、45C、45Kの具体的な構成を示す図である。PRコントローラ41は前述のカウンタ47、不揮発性メモリ48、及びCPU49で構成され、不揮発性メモリ48に設けられたテーブル48aから情報がCPU49に出力される。CPU49はテーブル48aからの情報に基づいてキットモータ45Y、45M、45C,45Kの駆動制御を行う。
【0034】
キットモータ45Y、45M、45C、及び45Kは同じ構成であり、同図では代表して、キットモータ45Yの構成を説明する。また、前述の定着モータ42、ベルトモータ43、及び給紙モータ44も同様な構成である。
キットモータ45Yは、モータドライバ50、DCモータ51、ロジック回路52で構成され、DCモータ51はDCブラシレスモータである。モータドライバ50には、PRコントローラ41(CPU49)からクロック信号(CLK)、スタート/ストップ(start/stop)信号等の信号が入力し、DCモータ51の駆動制御が行われる。
【0035】
モータドライバ50はDCモータ51の駆動を行い、u相、v相、w相の信号線から出力する駆動信号によって、DCモータ51の駆動を行う。DCモータ51は、例えば回転界磁形のモータであり、10極で構成されるロータ51aを回転させ、ステータ51bに配設されたホール素子53によってDCモータ51の回転角度を検出する。また、ホール素子53によって検出された各相の信号は、比較器54U、54V、54Wを介してロジック回路52に供給され、ロジック回路52からモータの角度信号が出力される。この角度信号は、具体的にはカウンタ47に供給される計数信号である。
【0036】
以上の構成において、以下に本例の処理動作を説明する。
図4は本例の処理動作を説明するフローチャートである。また、図5は本例の処理動作を説明するタイムチャートである。両図において、先ずPRコントローラ41のCPU49から制御信号が出力され、モータドライバ46の制御によってDCモータ51を駆動する。尚、両図に示すフローチャートは、前述のキットモータ45Y、45M、45C,45K、及びベルトモータ43等のモータ駆動に共通の処理である。
【0037】
先ず、モータを起動し、一次転写をオンする(ステップ(以下、Sで示す)1)。この処理は、前述のCPU49からスタート(start)信号をモータドライバ50に出力し、モータドライバ50を駆動して、DCモータ51の回転を開始させる。また、ベルトモータ43を駆動し、転写ベルト14を駆動する。
【0038】
次に、帯電をオンする(S2)。この帯電オンは前述の感光体ドラム7の周面近傍に設けられた帯電ローラ9に電圧を印加する処理であり、例えば図5に示すように上記モータの駆動からt1時間後に帯電のオン処理を行う。
【0039】
次に、現像、供給のオン処理を行う(S3)。この処理は、前述の現像ローラ13の駆動を開始し、給紙モータ44を駆動して、給紙カセット21内に収納された用紙を機内に搬入する。この処理は、図5に示すように、例えば上記モータの駆動からt2時間後に行われる。但し、本例ではパッチ印刷を行うので、用紙の給紙処理は行わない。
【0040】
その後、例えば図5に示すモータの回転駆動の開始からt3時間経過後、パッチ印刷を開始し、転写ベルト14上にパッチパターンの印字を行う(S4)。このパッチパターンは、例えば不揮発性メモリ48に記憶され、プリンタ装置1のドアオープン/クローズ処理が行われた後や、用紙ジャムの処理が終了した後、パッチ印刷によって印字位置の調整を行うものである。
【0041】
次に、例えば図5に示すt4時間経過後、上記パッチ印字が終了すると(S5)、帯電をオフする(S6)。この帯電オフは前述の帯電ローラ9への電圧印加を停止する処理であり、例えば図5に示すように、モータの駆動を停止するt5時間前に行う。
【0042】
次に、モータの駆動を停止し、一次転写をオフする(S7)。この処理は、前述のCPU49からストップ信号をモータドライバ50に出力し、DCモータ51の駆動を停止する処理である。また、ベルトモータ43の駆動も停止し、転写ベルト14の回転を停止させる。
【0043】
その後、現像、供給のオフ処理を行う(S8)。すなわち、現像ローラ13の駆動を停止する。但し、本例はパッチ印刷であるので、給紙モータ44の駆動停止処理は行わない。また、上記処理は図5に示すように、例えば上記モータの駆動を停止するt6時間前に行い、以後プリンタ装置1を待機状態に設定する(S9)。
【0044】
上記処理によって、転写ベルト14に転写(一次転写)されたパッチパターンは、不図示のセンサによって読み取られ、印字位置の調整が行われる。尚、上記例はパッチ印刷の場合であり、図5に示すように、転写ベルト14への転写処理(一次転写処理)のみを行う構成であるが、例えばホスト機器から送信された印刷データを印刷する場合には、用紙への印刷を行うため、用紙の供給処理が行われ(S3)、二次転写ローラ26によって用紙への二次転写処理が行われる。また、用紙の供給停止処理も行われる(S8)。
【0045】
上記処理において、モータの起動タイミングや、現像、供給の駆動タイミングは前述のように、DCモータ51に配設されたホール素子53の出力に基づいて、ロジック回路52から出力される計数信号によって制御される。すなわち、DCモータ51のステータ51bに設けられたホール素子53は、ステータ51bに対するロータ51aの回転角に対応するN極とS極の切り替えタイミングを検出し、u相、v相、w相のそれぞれの相に対応して(u、u)、(v、v)、(w、w)の検出信号を出力する。
【0046】
例えば、図6のタイムチャートは3個のホール素子53(53a、53b、53c)から出力される検出信号の例であり、ホール素子53aの出力において、ハイ(HI)レベルが検出信号uに対応し、ロー(LOW)レベルが検出信号uに対応する。同様に、ホール素子53bの出力において、ハイ(HI)レベルが検出信号vに対応し、ロー(LOW)レベルが検出信号vに対応する。また、ホール素子53cの出力において、ハイ(HI)レベルが検出信号wに対応し、ロー(LOW)レベルが検出信号wに対応する。
【0047】
上記u相に対応する(u、u)の検出信号は比較器54Uに入力し、u´信号としてロジック回路52に入力する。また、v相に対応する(v、v)の検出信号は比較器54Vに入力し、v´信号としてロジック回路52に入力し、w相に対応する(w、w)の検出信号は比較器54Wに入力し、w´信号としてロジック回路52に入力する。ロジック回路52は入力したu´、v´、w´の信号に基づいて、図6に示す計数信号を生成し、カウンタ47に出力する。
【0048】
カウンタ47はロジック回路52から供給された計数信号をカウントし、CPU49にカウンタ47の計数データを出力する。CPU49は不揮発性メモリ48に構築されたテーブル48aのデータを参照し、カウンタ47から供給される計数値に対応するDCモータ51の回転角度のデータをテーブル48aから読み出し、上記モータの起動タイミングや、現像、供給の駆動タイミングとしてDCモータ51の駆動制御を行う。
【0049】
したがって、本例のDCモータ51はステッピングモータや、モータの回転軸にエンコーダを備えたモータではないが、上記ホール素子53で検出した信号によってモータの起動タイミングや、現像、供給の駆動タイミングを正確に制御することができる。また、上記計数信号は、図6に示すように1パルス60/回転数(r/min)×15(P/R)で計算でき、詳細なパルス信号を使用し、正確にDCモータ51の駆動制御を行うことができる。
【0050】
したがって、例えば現像ローラ13の駆動タイミングの遅れ等に起因して転写ベルト14上にスジ状のトナーを残存させることを防止でき、印字結果にバンド状の画像障害を生じさせることがない。
【0051】
特に、プリンタ装置1の駆動開始時や、用紙の通過等による負荷変動においても、DCモータ51に設けられたホール素子53の磁気検知に基づいて現像ローラ13等の駆動を制御ので、正確なDCモータ51の回転角を検出することができ、より正確なDCモータ51の駆動制御を行うことができる。
【0052】
ここで、上記テーブル48aの作成例を説明する。図7(a)はその一例であり、前述の計数信号のパル数の情報を使用し、減速比換算処理56、及びプロセス動作位置/パルス数変換処理57を実行することによって、プロセス動作位置のタイミング情報(tn)を取得する。図8に示すように、感光体ドラム7の周面近傍には、前述のようにクリーナ8や、帯電ローラ9、印字ヘッド11、現像ローラ13等が配設されており、感光体ドラム7に対応するキットモータ45からの回転力を伝達するためには何段かのギア58を介装している。上記減速比換算処理56とは、この何段かのギア58による減速比を換算する処理である。例えば、図7(b)に示す計算式(56a)は、減速比換算処理56の具体的な計算式を示すものである。
【0053】
また、上記プロセス動作位置/パルス数変換処理57とは、各プロセス動作位置に対応するパルス数の変換処理であり、例えば帯電プロセスや、現像、給紙プロセス等の動作位置に対応するパルス数の変換処理である。具体的に説明すると、例えば図8に示す帯電ローラ9が感光体ドラム7の基準位置からθ1(例えば60°)の角度に配設されている場合、対応する図7(b)の計算式(57a)を使用してパルス数の変換処理を行なう。また、例えば図8に示す現像ローラ13が感光体ドラム7の基準位置からθ2(例えば260°)の角度に配設されている場合、図7(b)の計算式(57b)を使用して対応するパルス数の変換処理を行なう。
【0054】
そして、上記プロセス動作位置/パルス数変換処理57の処理結果として、対応するプロセスの動作位置情報が前述のタイミング情報(tn)として得られる。したがって、この基準位置からの各プロセスの動作位置情報を、例えばテーブルにtnとして記憶することによって、前述のt1時間後に帯電のオン処理(帯電ローラ9の駆動)を行ない、t2時間後に現像のオン処理(現像ローラ13の駆動)を行なうことができる。
【0055】
但し、必ずしもテーブル構成とする必要はなく、例えばプログラムに上記図7(b)に示す計算式を含め、各プロセスの開始及び終了のタイミングをその都度計算して動作を行なう構成としてもよい。
【0056】
尚、上記実施形態の説明ではDCモータ51の構成は、ロータ51a側に磁石を配設し、ステータ51b側にホール素子53を配設するようにしたが、逆にロータ51a側にホール素子53を配設し、ステータ51b側に磁石を配設するよう構成してもよい。
【0057】
また、本実施形態ではホール素子53を使用したが、ホールICや半導体磁気抵抗素子等の他の磁気検出素子を使用する構成にしてもよい。また、比較器54U、54V、54Wと、ロジック回路52を別の回路で構成したが、1つの論理回路で構成してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1・・・プリンタ装置
2・・・画像形成部
3・・・中間転写ベルトユニット
4・・・給紙部
5・・・両面印刷用搬送ユニット
6、6M、6C、6Y、6K・・画像形成ユニット
7・・・感光体ドラム
8・・・クリーナ
9・・・帯電ローラ
11・・印字ヘッド
12・・現像器
13・・現像ローラ
14・・転写ベルト
15・・駆動ローラ
16・・従動ローラ
17・・ベルト位置制御機構
18・・一次転写ローラ
19・・廃トナー回収容器
21・・給紙カセット
22・・用紙取出ローラ
23・・給送ローラ
24・・捌きローラ
25・・待機搬送ローラ対
27・・ベルト式熱定着装置
28・・搬出ローラ対
29・・排紙トレー
31・・排紙ローラ対
32a・・開始返送路
32b・・中間返送路
32c・・終端返送路
33a、33b、33c、33d・・返送ローラ対
35・・クリーニング部
36・・取り込みローラ
37・・押圧ローラ
40・・I/Fコントローラ
41・・PRコントローラ
42・・定着モータ
43・・ベルトモータ
44・・給紙モータ
45Y、45M、45C,45K・・キットモータ
47・・カウンタ
48・・不揮発性メモリ
48a・・テーブル
49・・CPU
50・・モータドライバ
51・・DCモータ
51a・・ロータ
51b・・ステータ
52・・ロジック回路
53・・ホール素子
54U、54V、54W・・比較器
56・・減速比換算処理
56a・・計算式
57・・プロセス動作位置/パルス数変換処理
57a・・計算式
58・・ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動部を駆動するDCブラシレスモータを使用した印刷装置において、
前記DCブラシレスモータの回転磁界を検出する磁気検出手段と、
該磁気検出手段の検出信号に基づいて、前記DCブラシレスモータの駆動を制御し、前記回転駆動部の駆動及び停止制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記磁気検出手段の検出信号を計数し、該計数値に対応する前記DCブラシレスモータの回転角のデータを記憶手段から読み出し、前記DCブラシレスモータの駆動及び停止制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記回転駆動部の負荷変動時に前記制御を行うことを特徴とする請求項1、又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
回転駆動部を駆動するDCブラシレスモータを使用した印刷装置の駆動制御方法において、
前記DCブラシレスモータの回転磁界を検出する磁気検出処理と、
該磁気検出処理に基づく検出信号に基づいて、前記DCブラシレスモータの駆動を制御し、前記回転駆動部の駆動及び停止を制御する処理と、
を行うことを特徴とする印刷装置の駆動制御方法。
【請求項5】
前記回転駆動部の駆動及び停止を制御する処理は、前記磁気検出処理に基づく検出信号を計数し、該計数値に対応する前記DCブラシレスモータの回転角のデータを記憶手段から読み出し、前記DCブラシレスモータの駆動及び停止制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の印刷装置の駆動制御方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−141363(P2012−141363A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292541(P2010−292541)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】