説明

原料供給装置及び成膜装置

【課題】原料供給管を介して下方側から上方側に液体材料を供給するにあたり、当該原料供給管内から液体材料を容易に排出すること。
【解決手段】気化器11に近接して液抜き機構50を設けて、原料供給管15の上端をこの液抜き機構50の第2の原料供給バルブ74におけるバイパス流路54に接続すると共に、この第2の原料供給バルブ74の上端側からN2ガス及びオクタンが供給されるように各バルブ18を配置する。そして、原料供給管15の下方側に別の液抜き機構50を設けて、当該液抜き機構50に原料貯留部14から伸びる供給管14a及び液体材料を排出するための第1の原料排出管61を接続して、原料供給管15内の液抜きを行う場合には、当該原料供給管15内に対して上方側から下方側に向かってN2ガスやオクタンを供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体材料を供給するための原料供給装置及びこの原料供給装置を備えた成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置における成膜処理に用いられる処理ガスとしては、金属有機化合物などの液体原料を気化器にて気化したガスを用いる場合がある。成膜プロセスとしては、液体原料である例えばTEMAZ(テトラキスエチルメチルアミノジルコニウム)、TEMAH(テトラキスエチルメチルアミノハフニウム)、Sr(THD)(ストロンチウムビステトラメチルヘプタンジオナト)などを用いて、半導体ウエハ(以下「ウエハ」と言う)に対して高誘電率膜などを成膜する場合などが挙げられる。この装置では、成膜処理の行われる反応容器(反応管)内を真空排気する真空ポンプや液体材料の貯留部である原料タンクは、装置のフットプリントをできるだけ小さくするため、例えば気化器や反応管の下方側(作業者が作業する高さ位置または地下)に設けられる。そして、原料供給管及びバルブなどを備えた原料供給装置によって、上方側に向かって前記液体タンクから気化器に液体材料が供給される。
【0003】
ここで、気化器のメンテナンスを行う場合や液体タンクを取り替える場合など、気化器や液体タンクを装置から取り外すことがある。この時、液体材料が大気に触れると、ジエチルアミン((C2H5)2NH)、ジメチルアミン((CH3)2NH)ガスなどの有毒ガスが発生したり、あるいは大気中の水分と液体材料との反応によって生成した生成物により原料供給管内が閉塞したりするおそれがある。そのため、気化器や液体タンクを装置から取り外す時には、原料供給管内から液体材料を予め除去している。具体的には、例えば下方側(液体タンク側)から窒素(N2)ガスなどの不活性ガスを原料供給管内にパージして液体材料を重力に逆らって上方側に押し出し、気化器側における原料供給管を介して、反応管の手前側(原料供給管側)に設けられたVENT配管より排出する。その後、例えばオクタンなどの洗浄液を下方側から原料供給管内に通流させて原料供給管及び気化器の内部を清浄化して、再度不活性ガスによって前記VENT配管から洗浄液を排出した後、気化器を介して原料供給管内を真空引きして乾燥させる。
【0004】
しかしながら、既述の液体材料の比重が水などよりも大きい(重い)ので、ガスによって下方側から押し出そうとしても、液体材料が原料供給管内に留まって当該液体材料内をガスの気泡が上昇しようとして、いわばバブリング状態となってしまう。そのため、ガス圧を上げても原料供給管内から液体材料を除去しにくい。また、このような液体材料は水などよりも蒸気圧が低いので、例えば洗浄液を供給する前に原料供給管内を真空引きしても揮発しにくい。更に、原料供給管の内部が開放されていないので、原料供給管内から液体材料が除去しきれたことを直接確認できない。
【0005】
原料供給管内に洗浄液を供給する時に液体材料が残っていると、当該洗浄液に僅かに含まれる水分と液体材料とが反応し、例えば原料供給管に介設されたバルブのダイヤフラム(弁体)の表面に反応生成物が付着(固着)してしまうこともある。この場合には、ダイヤフラムやバルブを頻繁に交換する必要があるため、装置のランニングコストが嵩んでしまう。
【0006】
そこで、気化器や液体タンクを装置から取り外す時には、原料供給管内に残っている液体材料の量が僅か数十cc程度であっても、液体材料が排出される時間よりも長めに液抜き時間(ガスの供給時間)を確保するために、例えば数日間に亘ってガスを流し続けて原料供給管内の液体材料を取り除くようにしている。従って、原料供給管内の液抜きに要する時間の分だけ装置の稼働時間(成膜時間)が短くなってしまうし、窒素ガスの費用も嵩んでしまう。更に、このようにガスを長期間に亘って原料供給管内に供給しても、依然として液体材料が原料供給管内に残ってしまうことがある。また、洗浄液についても、同様に下方側から上方側に向かってガスにより押し出すことになるため、原料供給管内から排出しにくい。尚、原料供給管に対して上方側(気化器側)からガスにより液体材料を液体タンクに押し戻そうとすると、原料供給管の内壁面を介して液体タンク内の液体材料が汚染されてしまうおそれがある。
特許文献1、2には、上方側から下方側に向かって液体が流れるように原料供給管やバルブを配置する技術について記載されているが、既述の課題には触れられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−129782号公報
【特許文献2】特開平10−227368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、原料供給管を介して下方側から上方側に液体材料を供給するにあたり、当該原料供給管内から液体材料を容易に排出できる原料供給装置及び成膜装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の原料供給装置は、
貯留部内の液体原料を気化器にて気化させ、気化されたガスを半導体製造用の反応容器内に供給するための原料供給装置において、
上端側及び下端側に夫々前記気化器及び前記貯留部が接続されると共に上下に伸びる立ち上がり管路を有する原料供給管と、
前記立ち上がり管路の下端側から分岐して設けられた第1の原料排出管と、
前記原料供給管内の液体原料を押し出して前記第1の原料排出管に排出するために、前記立ち上がり管路の上端側に接続された、パージ用ガス及び洗浄液の一方を供給するための洗浄流体供給管と、
前記原料供給管における第1の原料排出管との接続部分よりも貯留部側、及び第1の原料排出管に夫々設けられた第1の原料供給バルブ、及び第1の原料排出バルブと、
前記洗浄流体供給管に設けられた洗浄流体供給バルブと、を備え、
液体原料を前記気化器に供給するときには、前記第1の原料供給バルブを開き、かつ第1の原料排出バルブ及び洗浄流体バルブを各々閉じた状態とし、また液体原料を排出するときには、前記第1の原料供給バルブを閉じ、かつ第1の原料排出バルブ及び洗浄流体供給バルブを各々開いた状態とするように操作されることを特徴とする。
【0010】
前記原料供給装置は、以下のように構成しても良い。
上下方向に伸びる流路及び横方向に伸びる流路の合流点に設けられた三方弁からなる第2の原料供給バルブを備え、
前記原料供給管の立ち上がり管路の上端側は、前記第2の原料供給バルブの横方向の流路に接続され、
前記洗浄流体供給バルブは、前記上下方向に伸びる流路における前記第2の原料供給バルブよりも上方に設けられ、
前記第2の原料供給バルブは、液体原料を前記気化器に供給するときには、前記横方向に伸びる流路と下方に伸びる流路とを連通させ、液体原料を前記立ち上がり管路を介して排出するときには、前記横方向に伸びる流路と上方に伸びる流路とを連通させ、液体原料を気化器側に排出させるときには、前記上方向に伸びる流路と下方に伸びる流路とを連通させるように操作される構成。
【0011】
前記上下方向に伸びる流路における前記第2の原料供給バルブの下方側には、当該上下方向に伸びる流路及び横方向に伸びる流路の合流点に位置する三方弁からなる第2の原料排出バルブを設け、
前記第2の原料排出バルブにおける横方向の流路には、気化器に向かう原料供給管が接続され、
前記第2の原料排出バルブから下方に伸びる流路は第2の原料排出管として構成され、
前記第2の原料排出バルブは、液体原料を前記気化器に供給するときには、前記第2の原料排出バルブから上方に伸びる流路と横方向に伸びる流路とを連通させ、液体原料を排出させるときには、前記第2の原料排出バルブから上方に伸びる流路と下方に伸びる流路とを連通させるように操作される構成。
【0012】
上下方向に伸びる流路及び横方向に伸びる流路の合流点に設けられた三方弁からなり、配管中の液体を排出するためのガスを供給するためのガス供給バルブを備え、
前記ガス供給バルブから上方に伸びる流路は、前記洗浄流体供給バルブの上端側に接続され、
前記ガス供給バルブから横方向に伸びる流路は、前記ガスを供給するガス供給管が接続され、
前記ガス供給バルブから下方に伸びる流路は、配管を洗浄するための洗浄液を供給するための洗浄液供給管が接続されている構成。
【0013】
前記ガス供給バルブから下方に伸びる流路には、当該下方側に伸びる流路及び横方向に伸びる流路の合流点に設けられた三方弁からなる洗浄液供給バルブが設けられ、
前記洗浄液供給バルブから横方向に伸びる流路には、洗浄液供給管が接続され、
前記洗浄液供給バルブから下方に伸びる流路には、洗浄液排出管が接続されている構成。
前記第1の原料供給バルブは、上下方向に伸びる流路及び横方向に伸びる流路の合流点に設けられた三方弁からなり、
前記第1の原料排出バルブは、前記第1の原料供給バルブよりも下方側に設けられると共に、当該第1の原料排出バルブの上端側が前記第1の原料供給バルブの下端側に接続され、
前記貯留部は、前記第1の原料供給バルブの横方向の流路に接続され、
前記第1の原料排出管は、前記第1の原料排出バルブの下端側に接続されている構成。
【0014】
上下方向に伸びる流路及び横方向に伸びる流路の合流点に設けられた三方弁からなる第1の流体排出バルブと、
この流体排出バルブの下方側に設けられ、上下方向に伸びる流路及び横方向に伸びる流路の合流点に位置する三方弁からなる排液吸入バルブと、
この排液吸入バルブの下方側に設けられた第2の流体排出バルブと、を備え、
前記第1の流体排出バルブの上端側には、前記第1の原料排出管が接続され、
前記第1の流体排出バルブの側方側の流路には、前記第2の原料排出管及び前記洗浄液排出管が接続され、
前記排液吸入バルブの側方側の流路には、排気機構が接続され、
前記第2の流体排出バルブの下端側には、排液部が接続され、
液体原料、洗浄液及びパージガスの少なくとも1つを含む流体を前記排気機構により吸引する時は、前記排液吸入バルブの上方に伸びる流路と横方向に伸びる流路とを連通させ、かつ第2の流体排出バルブを閉じると共に、前記第1の流体排出バルブの下方に伸びる流路と上方に伸びる流路及び横方向に伸びる流路の少なくとも一方とを連通させ、
前記流体を前記排液部に排出する時は、前記排液吸入バルブの横方向の流路を閉じると共に、前記第2の流体排出バルブ及び前記排液吸入バルブの各々の上下方向に伸びる流路と、前記第1の流体排出バルブの下方に伸びる流路と上方に伸びる流路及び横方向に伸びる流路の少なくとも一方とを連通させる構成。
前記原料供給管、前記第1の原料排出管、前記第2の原料排出管及び前記洗浄液排出管の少なくとも1つの配管には、当該配管内の圧力を検出するための圧力検出部が設けられている構成。
【0015】
本発明の成膜装置は、前記記載の原料供給装置と、
この原料供給装置から供給される液体材料を気化するための気化器と、
この気化器において液体材料を気化して得られた処理ガスを、内部に収納した基板に対して供給するための反応容器と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、液体材料の貯留された貯留部から原料供給管を介して上方側の気化器に液体材料を供給するにあたり、貯留部側における原料供給管の下端側に排出管を設けると共に、原料供給管の上端側にパージ用ガス及び洗浄液の一方を供給する洗浄流体供給管を接続している。そして、原料供給管から液体材料を排出する時には、パージ用ガス及び洗浄液の一方によって原料供給管の上端側から排出管に液体材料を排出しているので、重力に逆らわずに上方側から下方側に向かって液体材料を押し出すことができ、そのため原料供給管内から液体材料を容易に排出できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の原料供給装置を備えた縦型熱処理装置の一例を示す縦断面図である。
【図2】前記原料供給装置における第1の液抜き機構を示す縦断面図である。
【図3】前記第1の液抜き機構を模式的に示す模式図である。
【図4】前記原料供給装置に用いられる三方弁を模式的に示す断面図である。
【図5】前記三方弁の流路が開閉する様子を示す模式図である。
【図6】前記三方弁の流路が開閉する様子を示す模式図である。
【図7】前記原料供給装置における第2の液抜き機構を示す縦断面図である。
【図8】前記第2の液抜き機構を模式的に示す模式図である。
【図9】前記原料供給装置における第3の液抜き機構を示す縦断面図である。
【図10】前記第3の液抜き機構を模式的に示す模式図である。
【図11】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図12】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図13】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図14】前記原料供給装置における液抜き工程を示すフロー図である。
【図15】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図16】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図17】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図18】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図19】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図20】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図21】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図22】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図23】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図24】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図25】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図26】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図27】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図28】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図29】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図30】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図31】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図32】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図33】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図34】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図35】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図36】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図37】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図38】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図39】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図40】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図41】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図42】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図43】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図44】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図45】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図46】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図47】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図48】前記原料供給装置における作用を示す模式図である。
【図49】前記縦型熱処理装置において得られる特性図である。
【図50】本発明と従来例とにおいてバルブのダイヤフラムを示す撮像写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の原料供給装置を適用した縦型熱処理装置の実施の形態の一例について、図1〜図10を参照して説明する。この縦型熱処理装置は、成膜種を含む液体材料例えばTEMAZ(テトラキスエチルメチルアミノジルコニウム)を気化するための気化器(ベーパライザ)11と、この気化器11において液体材料の気化によって得られた処理ガスをウエハWに供給して成膜処理を行うための反応管(反応容器)12と、を備えた成膜装置として構成されている。そして、原料供給装置13によって、気化器11及び反応管12よりも下方に設けられた原料貯留部14から、原料供給管(立ち上がり管路)15を介して気化器11に液体材料を供給している。この原料供給装置13は、後述するように、例えば気化器11のメンテナンスや原料貯留部14の交換などを行う時において原料供給管15内の液抜き(液体材料の除去)を行う場合には、原料供給管15から液体材料を容易にかつ速やかに排出できるように構成されている。
【0019】
先ず、反応管12及び気化器11について簡単に説明する。反応管12は、図1に示すように、概略円筒形状に形成された石英によって構成されており、下端面が炉口として開口すると共に、上端面の中央部に、当該反応管12内の雰囲気を真空排気するための排気ポート12aが形成されている。また、反応管12は、ウエハWを棚状に積載したウエハボート21を下方側から気密に挿入できるように、下端面が床面レベルから例えば2m程度高い高さ位置となるようにベースプレート22に支持されている。反応管12の下端部のフランジ部には、処理ガスを反応管12内に供給するためのガスインジェクター23の一端側が気密に挿入されている。反応管12の外側には、当該反応管12内のウエハWを加熱するためのヒータ24が周方向に亘って設けられている。排気ポート12aから伸びる排気管25は、バタフライバルブ26などの圧力調整部を介して、反応管12の下方側例えば床面レベルよりも下方(地下)に設けられた真空排気装置である真空ポンプ27に接続されている。図1中28はウエハボート21を鉛直軸回りに回転させるためのモータである。尚、反応管12や気化器11については、図1では簡略化して描画している。
【0020】
反応管12の側方側には、当該反応管12に隣接して概略円筒形状の気化器(ベーパライザ)11が設けられており、この気化器11の上端面には、当該気化器11内に液体材料や洗浄液を吐出(噴霧)するためのノズル(二流体ノズル)31が配置されている。このノズル31には、液体材料を供給する液体供給管41と、清浄ガス例えば窒素(N2)ガスを液体材料のキャリアガスとして供給するためのガス供給管42と、が外方側(上方側)から夫々バルブVを介して接続されている。この液体供給管41において、気化器11よりも上流側(原料貯留部14側)には、流量調整部(リキッドマスフローコントローラ)41aが介設されている。
【0021】
気化器11の内壁面には、当該気化器11内に吐出される液体材料を気化させるための図示しないヒータが埋設されており、従って気化器11の内部領域は加熱室11aをなしている。また、気化器11の側面における下方側には、気化器11内にて液体材料の気化によって得られた処理ガスを取り出すための取り出しポート32が形成されており、この取り出しポート32から伸びる気体原料供給管35には、既述のガスインジェクター23の基端側が接続されている。この気体原料供給管35には、既述の排気管25に接続されるVENT配管36がバルブVを介して接続されている。気化器11内には、ノズル31に対向するように、内部に図示しないヒータの埋設された概略円筒形状の熱交換部33が設けられている。図1中、34は気化器11内において気化せずに当該気化器11の床面に落下した液滴を図示しない排出部に排出するためのドレイン口であり、Vはバルブである。また、図1中16aは流量調整部である。既述の気化器(ベーパライザ)11と、液体供給管41及びガス供給管42に各々設けられた気化器11側のバルブVと、流量調整部41aとにより気化システム30が構成されている。、
【0022】
続いて、既述の原料供給装置13について詳述する。ここで、液体材料の貯留された原料貯留部14は、装置のフットプリントをできるだけ小さくするため、真空ポンプ27と同様に反応管12や気化器11の下方側例えば地下に設けられている。従って、原料供給装置13は、以下に説明するように、地下から上方側の気化器11に向かって送液できるように構成されている。この原料貯留部14には、既述の原料供給管15の下方側に接続される供給管14aが設けられており、この供給管14aの下端は、原料供給管15内の液面よりも下方側にて開口している。また、前記地下には、装置のメンテナンスなどを行う時において原料供給管15内の液抜きを容易にかつ速やかに行うために、当該原料供給管15内に供給される既述の清浄ガス(パージ用ガス)及びオクタンなどの洗浄液が夫々貯留されたガス貯留部16及び洗浄液貯留部(供給部)17が設けられている。そして、既述の供給管14aの内部に洗浄液を供給するために、洗浄液の貯留された補助貯槽17aが原料貯留部14に隣接して設けられている。図1中7は原料供給管15内の液面よりも上方側にHe(ヘリウム)ガスなどを供給して、液体材料を供給管14aに向かって圧送するための送液用ガスラインであり、8は補助貯槽17aから供給管14aに洗浄液を供給する補助洗浄液供給管である。また、図1中9はガス貯留部16から供給管14aに清浄ガスを供給する補助ガス供給管であり、図1中10は、前記清浄ガスに含まれる水分を除去するためのフィルターである。
【0023】
原料供給装置13には、複数のバルブ18が組み合わされた液抜き機構50が複数箇所例えば4箇所に設けられている。この液抜き機構50は、図1に示すように、原料供給管15における原料貯留部14側及び気化器11側と、洗浄液貯留部17から気化器11に洗浄液を供給する洗浄液供給管(洗浄流体供給管)19における当該洗浄液貯留部17側と、液体材料や洗浄液の排出先である排液部60から上方側(気化器11側)に向かって伸びる第1の原料排出管61と、に各々設けられている。これら液抜き機構50について、原料貯留部14側と、気化器11側と、排液部60側と、を夫々「第1の液抜き機構50a」、「第2の液抜き機構50b」及び「第3の液抜き機構50c」と呼ぶことにする。また、洗浄液供給管19に設けられた液抜き機構50についても、前記第1の液抜き機構50aと同じ構成であるため、「第1の液抜き機構50a」と呼ぶことにする。尚、図1では、これら液抜き機構50のバルブ18については簡略化して模式的に(大きく)描画している。また、実際には第1の液抜き機構50aが床面付近に設けられているため、原料貯留部14と第1の液抜き機構50aとの間の供給管14aは、第1の液抜き機構50aから第2の液抜き機構50bに向かって伸びる原料供給管15よりも極めて短いが、図1ではこれら供給管14a及び原料供給管15の長さ寸法についても模式的に示している。
【0024】
これら液抜き機構50に用いられるバルブ18としては、上下方向に伸びる流路53が開閉自在に構成された二方弁18aと、上下に伸びる流路53及び当該流路53に対して側方側から接続された別の流路(バイパス流路54)が形成された三方弁18bと、が設けられている。三方弁18bは、流路53及びバイパス流路54を互いに連通させる開放状態と、流路53の下側の開口端及びバイパス流路54の開口端のいずれか一方を閉止する閉止状態と、を切り替えられるように構成されている。これら二方弁18a及び三方弁18bは、後述の制御部1からの指示によって開閉自在な電磁弁として構成されている。
【0025】
そして、第1の液抜き機構50aの各々には、2つの二方弁18a及び1つの三方弁18bが設けられており、第2の液抜き機構50bには、1つの二方弁18a及び5つの三方弁18bが設けられている。また、第3の液抜き機構50cには、1つの二方弁18a及び2つの三方弁18bが設けられている。尚、液抜き機構50以外の部分におけるバルブについては、既述のように「V」の符号を付して当該液抜き機構50を構成するバルブ18(後述のバルブ71〜82)と区別している。
【0026】
続いて、各々の液抜き機構50における各バルブ18の配置レイアウトについて詳述する。始めに、第1の液抜き機構50aについて説明する。第1の液抜き機構50aでは、図2に示すように、上方側から下方側に向かって、二方弁18aからなるバルブ71、三方弁18bからなる第1の原料供給バルブ72及び二方弁18aからなる第1の原料排出バルブ73がこの順番で配置されている。これらバルブ71の上端及び第1の原料排出バルブ73の下端には、原料供給管15の一端側(下端側)及び第1の原料排出管61が夫々接続されている。尚、図3は、第1の液抜き機構50aを模式的に示している。
【0027】
第1の原料供給バルブ72には、図4に模式的に示すように、当該第1の原料供給バルブ72の弁室51内を介して概略上下方向に伸びる流路53が形成されており、この流路53の上端及び下端に夫々既述のバルブ71及び第1の原料排出バルブ73が接続されている。また、この弁室51内には、バイパス流路54の一端側が弁体52によって開閉自在に開口しており、このバイパス流路54の他端側は、下方側に向かって屈曲して、第1の原料排出バルブ73よりも下方位置において供給管14aに接続されている。従って、第1の原料供給バルブ72は、閉止状態(前記バイパス流路54の開口端を弁体52によって塞いだ状態)では、図5に示すように供給管14aからの液体材料の供給が停止し、開放状態では、図6に示すように弁室51内に液体材料が供給される。そして、第1の原料供給バルブ72と共にバルブ71及び第1の原料排出バルブ73を開閉させることによって、後述するように、気化器11側(第2の液抜き機構50b側)への液体材料の供給や、気化器11からの液体材料の排出が行われる。尚、これらバルブ71の上端、第1の原料排出バルブ73の下端及びバイパス流路54の下端における開口端は、互いに同じ方向(図2では左側)を向くように配置されている。
【0028】
この第1の液抜き機構50aは、洗浄液供給管19における洗浄液貯留部17側にも設けられており、バルブ71の上端及び第1の原料供給バルブ72のバイパス流路54には、夫々洗浄液供給管19及び洗浄液貯留部17から伸びる供給管19aが接続されている。第1の原料排出バルブ73の下端には、既述の第1の原料排出管61が接続されている。
【0029】
次いで、第2の液抜き機構50bについて図7及び図8を参照して説明する。この第2の液抜き機構50bは、原料供給管15に対して上方側から清浄ガスを供給して、液体材料や洗浄液を下方側に排出できるように構成されている。即ち、第2の液抜き機構50bには、原料供給管15及び洗浄液供給管19と、ガス貯留部16から伸びるガス供給管43と、が接続されており、これら原料供給管15及び洗浄液供給管19の開口端よりも上方側にガス供給管43の開口端が位置するように、5つの三方弁18b及び1つの二方弁18aが配置されている。
【0030】
具体的には、第2の液抜き機構50bは、既述の第1の原料供給バルブ72と同様に、上下に伸びる流路53と、この流路53に対して側方側から接続されたバイパス流路54と、が形成された三方弁18bからなる第2の原料供給バルブ74を備えている。この第2の原料供給バルブ74のバイパス流路54には、原料供給管15の他端側(上端側)が接続され、第2の原料供給バルブ74の流路53の上端には、二方弁18aからなる洗浄流体供給バルブ75の下端が接続されている。第2の原料供給バルブ74の流路53の下端には、三方弁18bからなる第2の原料排出バルブ76における流路53の上端が接続されている。第2の原料排出バルブ76におけるバイパス流路54には、既述の液体供給管41が吐出バルブVを介して接続されており、第2の原料排出バルブ76の流路53の下端には、第3の液抜き機構50cに向かって伸びる第2の原料排出管62が接続されている。
【0031】
洗浄流体供給バルブ75の上端には、三方弁18bからなるガス供給バルブ77の流路53の一端側(上端側)が配管(洗浄流体供給管)63を介して接続されており、当該一端側が上方を向くように、前記配管63の両端が下方に向かって各々屈曲している。ガス供給バルブ77の流路53の他端側(下方側)には、三方弁18bからなる洗浄液供給バルブ78における流路53の上端が接続され、ガス供給バルブ77のバイパス流路54にはガス供給管43が接続されている。洗浄液供給バルブ78の流路53の下端には、三方弁18bからなるバルブ79における流路53の上端が接続され、洗浄液供給バルブ78のバイパス流路54には、洗浄液供給管19が接続されている。バルブ79の流路53の下端には、洗浄液排出管を兼用する既述の第2の原料排出管62が接続され、バルブ79のバイパス流路54には、液体供給管41から分岐して伸びる分岐管44が接続されている。これらバルブ74、77、78の各々は、開放状態では各々の流路53及びバイパス流路54が互いに連通し、閉止状態では各々のバイパス流路54が閉止するように構成されている。また、バルブ76、79の各々は、開放状態では各々の流路53及びバイパス流路54が互いに連通し、閉止状態では下方に向かう流路53が閉止する(流路53の上端とバイパス流路54とが連通する)ように構成されている。図8は、図7における第2の液抜き機構50bを模式的に示している。尚、図7において、第2の液抜き機構50bについて図1とは左右を逆に描画している。
【0032】
続いて、第3の液抜き機構50cについて説明する。第3の液抜き機構50cは、三方弁18bからなる第1の流体排出バルブ80、三方弁18bからなる排液吸入バルブ81及び二方弁18aからなる第2の流体排出バルブ82が上方側から下方側に向かってこの順番で設けられており、各々のバルブ80〜82の流路53が上下方向に伸びるように形成されている。第1の流体排出バルブ80の上端には、第1の原料排出管61が接続されており、第1の流体排出バルブ80のバイパス流路54には、第2の液抜き機構50bから下方側に向かう第2の原料排出管62が接続されている。また、排液吸入バルブ81のバイパス流路54には、バタフライバルブなどの圧力調整部55を介して排気機構である真空ポンプ56が接続されている。第2の流体排出バルブ82の下端には、排液部60が接続されている。これらバルブ80、81の各々は、開放状態では流路53及びバイパス流路54が互いに連通し、閉止状態ではバイパス流路54が閉止されるように構成されている。図10は、第3の液抜き機構50cを模式的に示している。
【0033】
この第3の液抜き機構50cと既述の第1の液抜き機構50aとの間における第1の原料排出管61には、バルブVが介設されており、このバルブVよりも第3の液抜き機構50c側及び第1の液抜き機構50a側には、当該第1の原料排出管61内の液体を排出するドレイン管64、64の一端側がバルブVを介して各々接続されている。これらドレイン管64、64の他端側は、ドレインタンク65に各々接続されている。また、これらドレイン管64、64よりも第3の液抜き機構50c側における第1の原料排出管61には、当該第1の原料排出管61内の圧力を測定するための圧力検出部66が設けられている。後述するように、この圧力検出部66の検出値により、原料供給管15、洗浄液供給管19、第1の原料排出管61及び第2の原料排出管62の内部の液抜きが完了したか否か(あるいはこれら原料供給管15、洗浄液供給管19、第1の原料排出管61及び第2の原料排出管62の各々の内部が個別に液抜きされたか否か)が制御部1にて判断される。尚、以上の液体材料や洗浄液あるいは排液などの液体は、実際には例えば反応管12や気化器11の下方側(地下)などに一箇所に纏められて配置されているが、既述の図1では個別に描画している。
【0034】
この縦型熱処理装置には、各バルブ18(V)の開閉動作を行うための信号を出力するバルブ開閉装置5と、このバルブ開閉装置5を含む装置全体の動作のコントロールを行うためのコンピュータからなる制御部1とが設けられている。この制御部1のメモリ内には、液体材料を気化器11において気化させて得られた処理ガスを反応管12内に供給し、ウエハWに対して成膜処理を行うための成膜プログラムと、装置(気化器11)のメンテナンスを行う場合や原料貯留部14を取り替える場合など、原料供給管15から液抜きを行うための液抜きプログラムとが格納されている。これらプログラムは、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フレキシブルディスクなどの記憶媒体である記憶部2から制御部1内にインストールされる。
【0035】
次に、上述実施の形態の作用について説明する。先ず、反応管12内においてウエハWに対して成膜処理を行う場合について説明する。始めに、反応管12の下方側に空のウエハボート21を位置させると共に、図示しない搬送アームによって複数枚のウエハWをウエハボート21に棚状に積載する。次いで、ウエハボート21を反応管12内に気密に挿入して、真空ポンプ27によって反応管12内を真空引きして処理圧力に設定すると共に、ウエハボート21を回転させながらウエハWを加熱する。また、気化器11内において液体材料が気化するように、当該気化器11内を加熱する。
【0036】
続いて、図11に示すように、ガス貯留部16から気化器11の加熱室11aに清浄ガスをキャリアガスとして供給すると共に、送液用ガスライン7から原料貯留部14内にガスを供給して、第1の液抜き機構50a及び第2の液抜き機構50bを介して、原料供給管15によって液体材料をノズル31に供給する。即ち、第1の液抜き機構50aでは、図12に示すように、バルブ71及び第1の原料供給バルブ72が開放状態に設定されると共に、第1の原料排出バルブ73が閉止状態に設定される。従って、液体材料は、図12に太線で示したように、バイパス流路54、第1の原料供給バルブ72と第1の原料排出バルブ73との間における流路53及び第1の原料供給バルブ72からバルブ71の上端までに至る流路53に満たされた状態で、当該バルブ71の上端から第2の液抜き機構50bに向かって上昇していく。尚、図12においては、各バルブ71〜73の開放状態及び閉止状態について、丸印を付して「開」または「閉」として示しており、また図11及び図12において、流体(清浄ガスや液体材料)が通流している箇所を太線で描画している。また、図11は装置を簡略化して示している。以降の各図についても同様である。
【0037】
第2の液抜き機構50bでは、図13に示すように、第2の原料供給バルブ74が開放状態に設定され、洗浄流体供給バルブ75及び第2の原料排出バルブ76が閉止状態に設定される。第1の液抜き機構50aからこの第2の液抜き機構50bに供給される液体材料は、第2の原料供給バルブ74から第2の原料排出バルブ76に向かって下降して、当該第2の原料排出バルブ76のバイパス流路54及び吐出バルブVを介してノズル31に向かって液体供給管41内を通流していく。こうしてノズル31から液体材料が気化器11内に噴霧されると、気化器11の内壁面に設けられた図示しないヒータなどの熱によって液体材料が気化して、キャリアガスと共に取り出しポート32及びガスインジェクター23を介して反応管12内に通流していく。そして、ウエハWの表面に処理ガスが接触すると、処理ガスが熱分解して、例えばZrO(酸化ジルコニウム膜)からなる薄膜がウエハWの表面に成膜される。
【0038】
次いで、成膜処理が終了すると、気化器11への液体材料を停止して、即ち例えば第2の原料供給バルブ74を閉じると共に、気化器11と反応管12との間のバルブVを閉じて、反応管12内を真空引きして処理ガスを排出する。続いて、図示しないパージガス供給源から反応管12内に不活性ガスを供給して、当該反応管12内を大気雰囲気に戻す。そして、ウエハボート21を下降させて、図示しない搬送アームによってウエハボート21からウエハWを搬出する。こうしてバッチ処理(ウエハボート21へのウエハWの搬入、成膜処理及びウエハボート21からのウエハWの取り出し)を例えば複数回行った後、気化器11のメンテナンスや成膜種を切り替える(原料貯留部14を他の材料に交換する)場合など、以下に説明する液体材料の液抜きが行われる。この液抜き方法について、図14のフローチャートに基づいて以下に詳述する。
【0039】
<気化器の液抜き>
先ず、図15に示すように、第2の液抜き機構50b及び気化器11から液体原料を洗浄液により排出する。即ち、第2の原料供給バルブ74を閉止することにより、第2の液抜き機構50bへの液体原料の供給を停止して(ステップS1)、気化器11と反応管12との間のバルブVを閉止すると共に、VENT配管36のバルブVを開放する。また、図16に示すように、洗浄流体供給バルブ75及び洗浄液供給バルブ78を各々開放して、第2の原料排出バルブ76、ガス供給バルブ77及びバルブ79を各々閉止する。第2の液抜き機構50b内に残っていた液体原料は、洗浄液供給管19から供給される洗浄液によりノズル31側へと押し出されて、この洗浄液と共に、ガス供給管42から供給される清浄ガス(キャリアガス)により気化器11に霧化される。これら液体原料及び洗浄液の気化により生成した混合ガスは、既述のVENT配管36を介して真空ポンプ27に向かって排気されていく。
【0040】
続いて、図17及び図18に示すように、洗浄液供給バルブ78を閉止してガス供給バルブ77を開放し、ガス供給管43から供給される清浄ガスにより、第2の液抜き機構50bや気化器11内に残っている洗浄液をVENT配管36を介して真空ポンプ27に排出する。そして、図19及び図20に示すように、ノズル31の近傍におけるガス供給管42のバルブV及びガス供給バルブ77を閉止して、第2の液抜き機構50b内及び気化器11内を真空引きする。この時、洗浄流体供給バルブ75については開放していても良い。次いで、この第2の液抜き機構50b及び気化器11への清浄ガスの供給(図17及び図18)と、第2の液抜き機構50b及び気化器11内の真空引き(図19及び図20)と、を例えば4回程度繰り返す。こうして気化器11の内部と当該気化器11の近傍(気化器11の第2の液抜き機構50b側及び反応管12側)とから、洗浄液(あるいは洗浄液と液体原料の混合流体)が除去される。
【0041】
次いで、気化器11内の液抜きが完了したか否かを確認する。具体的には、図21及び図22に示すように、VENT配管36のバルブVを閉止すると共に、第2の原料排出バルブ76及びバルブ79を各々開放する。また、ドレイン管64、64間における第1の原料排出管61のバルブVと、第3の液抜き機構50c側におけるドレイン管64のバルブVとを閉止する。そして、第3の液抜き機構50cにおいて、図23に示すように、第1の流体排出バルブ80及び排液吸入バルブ81を各々開放して、第2の流体排出バルブ82を閉止すると、第2の液抜き機構50bから第3の液抜き機構50cに至る第2の原料排出管62の内部を介して、第2の液抜き機構50b及び気化器11の内部が真空引きされる。こうして図24に示すように、排液吸入バルブ81を閉じると共に、圧力検出部66の第1の原料排出管61側に設けられた図示しないバルブを開放し、この圧力検出部66の検出値を読み取る。この時、前記検出値が時間の経過と共に上昇していく(真空度が悪くなっていく)場合には、例えば気化器11内に洗浄液が残っていることになり、前記検出値が上昇せずに落ち着く場合には、気化器11内の液抜きが完了したことが分かる(ステップS2)。以上の工程によって気化器11内及び当該気化器11の近傍には液体原料や洗浄液が残っていないので、液体供給管41における流量調整部41aよりも第2の液抜き機構50b側のバルブ(ハンドバルブ)Vを閉じた後、例えば気化器11を取り外したとしても、反応管12内及び第2の液抜き機構50b側の気密が保たれたままとなり、また液体原料や洗浄液が外部に流出しない。
【0042】
<原料供給管の液抜き>
ここで、原料供給管15には、図25に示すように、液体原料が残っているので、以下のように当該原料供給管15から液抜きを行う。先ず、供給管14aのバルブVを閉じて、次いで図26に示すように、第2の液抜き機構50bにおける第2の原料排出バルブ76を開放する。また、第3の液抜き機構50cにおいて、図27に示すように、第1の流体排出バルブ80及び第2の流体排出バルブ82を各々開放すると共に、排液吸入バルブ81を閉止状態に設定する。
【0043】
次いで、図28及び図29に示すように、ガス供給管43から第2の液抜き機構50bに向かって清浄ガスを供給すると共に、第2の液抜き機構50bにおける第2の原料供給バルブ74、ガス供給バルブ77及び洗浄流体供給バルブ75を各々開放し、洗浄液供給バルブ78、バルブ79及び第2の原料排出バルブ76を各々閉止する。ガス供給バルブ77に供給された清浄ガスは、このガス供給バルブ77の下方の流路(洗浄液供給バルブ78、バルブ79及び分岐管44における吐出バルブV)が閉じられているので、当該ガス供給バルブ77の上方側の配管63を介して洗浄流体供給バルブ75の上端側に回り込み、この洗浄流体供給バルブ75を介して第2の原料供給バルブ74に向かって通流して行く。そして、第2の原料排出バルブ76及び液体供給管41における吐出バルブVが閉じられているので、また第2の原料供給バルブ74が開放されているので、第2の原料供給バルブ74に上方側から到達した清浄ガスは、この第2の原料供給バルブ74のバイパス流路54を介して原料供給管15内を下方側(第1の液抜き機構50a側)に通流して行く。従って、例えば第2の原料供給バルブ74のバイパス流路54及び原料供給管15に満たされていた液体材料は、この清浄ガスによっていわば下方側に押し戻されて行く。
【0044】
そして、第1の液抜き機構50aにおいて、図30に示すように、バルブ71及び第1の原料排出バルブ73を各々開放すると共に、第1の原料供給バルブ72を閉止しておくと、既述のように原料供給管15から下降する液体材料は、清浄ガスの圧力により、これらバルブ71〜73の流路53を介して下方側の第1の原料排出管61に排出されていく。ここで、第1の原料供給バルブ72を閉止しているので、当該第1の原料供給バルブ72のバイパス流路54には、液体材料が留まり、いわば液溜まりが形成される。
【0045】
第3の液抜き機構50cでは、既述のように第2の流体排出バルブ82が開放され、第1の流体排出バルブ80及び排液吸入バルブ81が各々閉止されているので、第1の液抜き機構50aから第1の原料排出管61に押し出された液体材料は、図31に示すように、これらバルブ80〜82の流路53を介して排液部60に排出される。こうして第2の液抜き機構50bと第1の液抜き機構50aとの間における原料供給管15から、重力に逆らわずに上方側から下方側に液体材料が速やかに液抜きされる。
【0046】
続いて、図32に示すように、洗浄液貯留部17から第1の液抜き機構50aを介して第2の液抜き機構50bに洗浄液を供給する。即ち、この第1の液抜き機構50aでは、既述の図12と同様にバルブ71〜73の開閉状態が設定される。また、第2の液抜き機構50bでは、図33に示すように、洗浄液供給バルブ78を開放すると共にガス供給バルブ77を閉止する。洗浄液は、洗浄液供給バルブ78から上方側のガス供給バルブ77及び洗浄流体供給バルブ75を回り込んで、第2の原料供給バルブ74に到達する。そして、洗浄液は、原料供給管15を介して既述の図30及び図31に示した経路で排液部60に排出される。そのため、原料供給管15の内壁面などに液体材料が付着していたとしても、洗浄液によって当該内壁面が清浄化される。
【0047】
次いで、図34に示すように、第1の液抜き機構50a及び第2の液抜き機構50bから洗浄液を排出する。即ち、洗浄液の供給を停止(供給管19aのバルブVを閉止)した後、第2の液抜き機構50bにおけるガス供給バルブ77を開放して、第2の液抜き機構50bに清浄ガスを供給する。この清浄ガスは、図35に示すように、原料供給管15及び洗浄液供給管19を下方に向かって通流するので、これら原料供給管15及び洗浄液供給管19内の洗浄液が排液部60に排出される。ここで、図36に示すように、原料供給管15の第1の液抜き機構50aにおいて、第1の原料供給バルブ72を閉止状態に保っているので、当該第1の原料供給バルブ72のバイパス流路54には、液体材料が残ったままになる。
【0048】
尚、第2の原料供給バルブ74及び洗浄液供給バルブ78の一方のバルブを始めに開放し、続いて当該一方のバルブを閉止すると共に他方のバルブを開放して、これら原料供給管15及び洗浄液供給管19に対して順番に清浄ガスを供給しても良い。また、装置から液体材料の液抜きだけを行う(洗浄液については装置に残す)場合には、洗浄液供給管19については液抜きしなくても良い。従って、洗浄液供給管19に洗浄液を残したままにする場合には、以降の工程においても、当該洗浄液供給管19内の真空引きは行われずに洗浄液供給管19には洗浄液が満たされたままとなる。
【0049】
その後、図37に示すように、各々の液抜き機構50内を真空引きする。具体的には、図38に示すように、第2の液抜き機構50bにおいて、バルブ74、75、76、78、バルブ79を開放して、ガス供給バルブ77を閉止する。また、図39に示すように、第3の液抜き機構50cにおいて、バルブ80、81を開放して、第2の流体排出バルブ82を閉止する。そのため、例えば原料供給管15、洗浄液供給管19及び原料排出管61、62の内部に洗浄液が僅かに残っていたとしても、排液吸入バルブ81のバイパス流路54に接続された真空ポンプ56によって、第1の液抜き機構50a及び第2の液抜き機構50bを介して、当該内部が真空状態となって洗浄液が揮発する。これら原料供給管15、洗浄液供給管19及び原料排出管61、62から洗浄液が液抜きされた(揮発した)か否かは、圧力検出部66によって検出される。即ち、圧力検出部66の第1の原料排出管61側に設けられた図示しないバルブを開放し、この圧力検出部66の検出値を読み取る。そして、例えば排液吸入バルブ81を閉止して、前記検出値が時間の経過と共に上昇していく(真空度が悪くなっていく)場合には、例えば原料供給管15内に洗浄液が残っていることになり、前記検出値が上昇せずに落ち着く場合には、洗浄液が排出されたことになる。こうして第1の液抜き機構50a、第2の液抜き機構50b及び第3の液抜き機構50cの間における原料供給管15、洗浄液供給管19及び原料排出管61、62の内部からの液抜きが完了すると共に、当該内部が清浄化される(ステップS3)。
【0050】
<原料貯留部側の液抜き>
次に、第1の液抜き機構50aよりも原料貯留部14側の供給管14a内の液抜き及び清浄化を行う(ステップS4)。即ち、図40及び図41に示すように、第1の液抜き機構50aにおけるバルブ73を閉止すると共に、第1の原料供給バルブ72開放する。また、既述の図29のように、第2の液抜き機構50bの各バルブ18(74〜79)の開閉状態を設定する。そして、原料貯留部14側の供給管14aのバルブVを開放すると、第1の原料供給バルブ72のバイパス流路54に残っていた液体材料は、清浄ガスの圧力によって、当該原料貯留部14側に押し戻されて行く。
【0051】
そして、供給管14aのバルブVよりも原料貯留部14側に液体材料を押し戻した後、当該バルブVを閉じる。また、第1の液抜き機構50aにおいて、バルブ71を閉止して、第1の原料排出バルブ73を開放する。次いで、図42に示すように、第1の液抜き機構50a側におけるドレイン管64のバルブVを開放して、補助貯槽17aから、供給管14a、第1の原料排出管61及びドレイン管64を介してドレインタンク65に洗浄液を供給する。この洗浄液により、第1の原料供給バルブ72のバイパス流路54内が清浄化される。そして、図43に示すように、ドレイン管64、64の2つのバルブVのうち真空ポンプ56側の一方のバルブVを開放して、他方(第1の液抜き機構50a側)のバルブVを閉じる。また、ドレイン管64、64間における第1の原料排出管61に介設されたバルブVを閉じる。こうして真空ポンプ56を介してドレインタンク65内の液面よりも上方側の領域を真空状態にした後、図44に示すように、既述の図42のように各バルブVを切り替えて、ガス貯留部16から供給管14a、第1の原料排出管61及びドレイン管64を介してドレインタンク65に清浄ガスを供給する。この清浄ガスによって、図45に示すように、例えば第1の原料供給バルブ72のバイパス流路54内の洗浄液が排出される。その後、ドレイン管64のバルブVを閉じて、第1の原料排出管61のバルブVを開放する。そして、図46に示す供給管14a、第1の液抜き機構50a、第1の原料排出管61への清浄ガスの供給と、図47に示すこれら供給管14a、第1の液抜き機構50a、第1の原料排出管61の真空引きと、を複数回繰り返すと、供給管14aの内部が清浄化される。この場合においても、第1の原料排出管61からの液抜きが完了したか否かは、圧力検出部66において検出される検出値によって判断される。
【0052】
その後、図48に示すように、補助貯槽17aから供給管14a及び原料供給管15を介して第2の液抜き機構50bへ洗浄液を供給して第2の原料排出管62から洗浄液を排出する工程と、これら供給管14a、原料供給管15及び第2の原料排出管62内の真空引きを行う工程と、を複数回繰り返すことにより、以上の一連の液抜き工程が完了する。しかる後、原料供給管15や気化器11を装置から取り外し、気化器11などのメンテナンスを行ったり、あるいは別の液体材料を供給するための原料貯留部14及び気化器11が装置に取り付けられたりすることになる。尚、第2の液抜き機構50bにおいて、バルブ79や第2の原料排出バルブ76よりも吐出バルブV側に液体材料や洗浄液が残っている場合には、当該吐出バルブV側に洗浄液や清浄ガスが供給され、気化器11を介してVENT配管36に排出される。
【0053】
上述の実施の形態によれば、原料貯留部14から原料供給管15によって上方側の気化器11に液体材料を供給するにあたり、原料供給管15の下方側に第1の原料排出管61を設けると共に、原料供給管15の上方側から清浄ガス及び洗浄液を下方側に向かって供給している。そして、液体材料や洗浄液の夫々供給される第2の原料供給バルブ74及び洗浄液供給バルブ78よりも上方側に、清浄ガスの供給されるガス供給バルブ77を配置している。また、各液抜き機構50a、50b、50cにおいて、液溜まりが形成されないように、あるいは液溜まりが極力少なくなるように、各バルブ18を配置している。そのため、液体材料や洗浄液が重力に逆らわずに上方側から下方側に排出されるので、液体材料が既述のように水よりも比重が大きく揮発しにくいTEMAZなどであっても、当該原料供給管15から液体材料を速やかに且つ容易に排出できる。即ち、原料供給管15に対して下方側から上方側に向かって清浄ガスを供給して液抜きを行っていた従来の手法では、液抜きに数日程度必要であったが、更には洗浄が不十分となる(洗浄度が低い)場合もあったが、本発明では、当該液抜きに要する時間を半分程度に短縮でき、また液抜きした部位の清浄度を極めて高めることができる。
【0054】
そのため、装置の稼働時間(成膜時間)を長く取ることができる。また、原料供給管15を取り外した時に、液体材料が大気に接触しにくくなるので、あるいは接触しないので、ジエチルアミン((C2H5)2NH)、ジメチルアミン((CH3)2NH)などの有毒ガスの発生を抑えることができる。また、液体材料と大気中の水分との反応による反応生成物の生成を抑えることができるので、当該反応生成物による原料供給管15内の閉塞を抑制できる。従って、バルブ18の弁体52への反応生成物の付着を抑えることができ、そのためバルブ18のロングライフ化を図ることができる。また、清浄ガスの使用量も抑えることができる。
また、原料供給管15から液抜きを行った時に、第1の液抜き機構50aの液体材料が残る部位が第1の原料供給バルブ72のバイパス流路54だけとなるようにバルブ18を配置しているので、当該部位からの液抜きや清浄化を容易に且つ速やかに行うことができる。
また、気化器11のメンテナンスを行うために既述のステップS1の液抜きを行う場合、従来の手法では液抜きに十数時間程度必要であったが、本発明では数時間程度に短縮できる。
【0055】
以上のように液抜き機構50を設けるにあたり、各液抜き機構50ではバルブ18を概略上下方向に配置しているので、また第1の液抜き機構50aではバイパス流路54が第1の原料排出バルブ73の下方にて開口する三方弁18bを用いているので、バルブ18を水平方向に並べる場合に比べて、液体材料の広がる(接触する)領域を少なくすることができる。そのため、液抜きや洗浄に要する時間を短縮できるし、各々の液抜き機構50のフットプリントを最小限に留めることができる。また、これら液抜き機構50のフットプリントを小さく抑えた分、既述のように圧力検出部66やフィルター10を設けるスペースを確保することができ、液抜きの終点検出や清浄ガスからの水分の除去(原料供給管15内での反応生成物の生成の抑制)を行うことができる。従って、例えば気化器11を取り外した場合、当該気化器11内部から残留液(液体原料や洗浄液)が漏れ出すことがない。また、第1の原料排出管61や第2の原料排出管62から液体材料及び洗浄液を排出するにあたって、真空ポンプ56によって直接真空引きせずに、排液部60に一度排出しているので、当該真空ポンプ56の劣化(負荷)を抑えてロングライフ化を図ることができる。
【0056】
また、例えば第2の液抜き機構50bにおいて、1つのバルブ18を介して液体材料と洗浄液とが対向しないようにしている。即ち、液体材料の供給される第2の原料供給バルブ74と、洗浄液の供給される洗浄液供給バルブ78との間に、洗浄流体供給バルブ75及びガス供給バルブ77を介設している。そのため、例えば洗浄液供給バルブ78を介して洗浄液が液体材料側に僅かに漏出しても、当該洗浄液に含まれる水分と液体材料の反応を抑えることができ、バルブ18内部への反応生成物の付着を抑制できる。
【0057】
更に、第2の液抜き機構50bに第2の原料排出バルブ76を設けて、第2の液抜き機構50bにおける液体材料を第3の液抜き機構50cに排出しているので、当該液体材料をノズル31を介して気化器11側に排出する場合に比べて、液抜きを速やかに行うことができる。また、既述の図45において第1の原料供給バルブ72のバイパス流路54から洗浄液を排出するにあたって、当該第1の原料供給バルブ72の上方側に近接するバルブ71を閉止しているので、原料供給管15側への洗浄液の流出を抑えることができる。更に、例えば従来の下方側から上方側に液体材料を排出するバルブ構成では、原料供給管15内や洗浄液供給管19内に残る洗浄液を揮発させるために、これら供給管15、19の外側にヒータを巻回している場合もあったが、本発明ではこのようなヒータを設けずに省スペース化を図ることもできる。
【0058】
ここで、図49は、配管やバルブが従来の接続構成の場合(原料供給管15に対して下方側から清浄ガスを供給する構成)と、本発明の構成とにおいて、実際に気化器11において気化した液体材料を用いて反応管12で各ウエハWに対して成膜処理を行った時に、反応管12内の上部、中部及び下部の各々のウエハWに付着するパーティクルの数量について測定した結果を示している。図49から、パーティクルの数量は、本発明では従来とほぼ同程度となっていた。即ち、原料供給装置13を設けても、ウエハWの特性には悪影響が見られないことが分かった。尚、図49において、従来及び本発明について同じプロセス条件に設定しており、詳細なプロセス条件は省略する。
【0059】
また、従来の構成におけるバルブと、本発明の構成におけるバルブと、を夫々の構成において長期間に亘って使用したところ、従来の構成では弁体(ダイヤフラム)の表面に白色の付着物が見られており、この付着物はZr−O系の化合物であった。一方、本発明の構成では、ダイヤフラム表面には付着物はほとんど見られなかった。図50は、本発明と従来例とにおいて使用後のダイヤフラムを実際に撮像した写真を示しており、本発明の写真には各バルブの名称を併記している。また、図50において、従来例では左側の写真は液体原料に触れるバルブのダイヤフラムであり、この左側のバルブから右側に向かって当該バルブから洗浄液の通流する流路側に離間したバルブのダイヤフラムを示している。従来例では、いずれのダイヤフラムにおいても白色の付着物が確認されたが、本発明ではいずれのバルブにおいても付着物がほとんど見られなかった。
【0060】
ここで、原料供給管15内から液体材料を清浄ガスにより排出したが、洗浄液によって排出しても良い。即ち、成膜処理を停止した後、原料供給管15に対して上方側から洗浄液を供給しても良い。この場合には、液体材料を洗浄液によって排出した後、清浄ガスによって洗浄液を排出し、その後更に原料供給管15内に洗浄液を供給しても良い。また、このように液体材料を洗浄液により排出する場合には、洗浄液を原料供給管15内に供給した後、気化器11及び反応管12内の雰囲気を介して原料供給管15内を真空排気して、当該原料供給管15内に残った洗浄液を揮発させるようにしても(清浄ガスを供給しなくても)良い。
【0061】
第1の液抜き機構50aでは、バイパス流路54が第1の原料排出バルブ73よりも下方にて開口する三方弁18bを用いたが、第2の液抜き機構50b及び第3の液抜き機構50cのように、側方側において開口する三方弁18bを用いても良い。また、これら第2の液抜き機構50b及び第3の液抜き機構50cの三方弁18bについて、第1の液抜き機構50aと同じ構成の三方弁18bを用いても良い。
【0062】
更に、既述の例において原料供給管15内の液抜きを行うにあたり、気化器11のメンテナンスや原料貯留部14を他の材料に交換する場合について説明したが、この原料貯留部14を同じ原料の貯留された原料貯留部14に交換する(入れ替える)場合においても、原料供給管15内の液抜きが行われる。この場合には、既述のように原料供給管15内からの液体材料の液抜き及び清浄化を行った後、第1の原料供給バルブ72のバイパス流路54内の液体材料を清浄ガスによって原料貯留部14に押し戻す。続いて、図42〜図47の工程を行った後、原料貯留部14が交換される。しかる後、大気雰囲気となっている供給管14aの内部を真空ポンプ56によって真空排気する。
【0063】
ここで、既述のステップS1の気化器11内の液抜きを行うにあたり、図15〜図24の手法に代えて、第2の原料供給バルブ74、洗浄液供給バルブ78及び液体供給管41における流量調整部41aよりもノズル31側のバルブVを各々閉止すると共に、ガス供給バルブ77、第2の原料排出バルブ76、第1の流体排出バルブ80及び排液吸入バルブ81を開放して、第2の原料排出管62を介して真空ポンプ56によって液体原料を清浄ガスと共に排出しても良い。
既述の例では、圧力検出部66を第1の原料排出管61に設けたが、この圧力検出部66は、第1の原料排出管61に代えて、原料供給管15及び第2の原料排出管62のいずれかに設けても良いし、あるいはこれら第1の原料排出管61、原料供給管15及び第2の原料排出管62の少なくとも1箇所に設けても良い。
【0064】
また、既述の例では液体材料としてTEMAZを用いたが、他の液体材料例えばTEMAH(テトラキスエチルメチルアミノハフニウム)、Sr(THD)(ストロンチウムビステトラメチルヘプタンジオナト)などであっても良い。洗浄液としては、オクタン以外にも、ヘキサンやアルコール系の液体を用いても良い。
また、気化器11及び原料供給装置13を各々2組ずつ設けて、互いに異なる液体材料をウエハWに交互に供給して積層膜を形成しても良い。更に、以上の例では、液抜き機構50を4箇所に設けたが、少なくとも第2の液抜き機構50bを設けておけば良い。
また、既述の例においては、制御部1を介して原料供給管15内の液抜きや清浄化を行ったが、作業者がマニュアル作業でこれら液抜きや清浄化を行っても良い。この場合には、作業者は、バルブ18(V)の開閉順序の記載された作業手順書などに基づいて、操作画面や操作パネルに配置された各バルブ18(V)に対応するバルブ開閉ボタン(図示せず)を押して、既述の各ステップを進行させることになる。
【符号の説明】
【0065】
W ウエハ
11 気化器
12 反応管
13 原料供給装置
14 原料貯留部
15 原料供給管
16 ガス貯留部
17 洗浄液貯留部
71〜82 バルブ
19 洗浄液供給管
50 液抜き機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留部内の液体原料を気化器にて気化させ、気化されたガスを半導体製造用の反応容器内に供給するための原料供給装置において、
上端側及び下端側に夫々前記気化器及び前記貯留部が接続されると共に上下に伸びる立ち上がり管路を有する原料供給管と、
前記立ち上がり管路の下端側から分岐して設けられた第1の原料排出管と、
前記原料供給管内の液体原料を押し出して前記第1の原料排出管に排出するために、前記立ち上がり管路の上端側に接続された、パージ用ガス及び洗浄液の一方を供給するための洗浄流体供給管と、
前記原料供給管における第1の原料排出管との接続部分よりも貯留部側、及び第1の原料排出管に夫々設けられた第1の原料供給バルブ、及び第1の原料排出バルブと、
前記洗浄流体供給管に設けられた洗浄流体供給バルブと、を備え、
液体原料を前記気化器に供給するときには、前記第1の原料供給バルブを開き、かつ第1の原料排出バルブ及び洗浄流体バルブを各々閉じた状態とし、また液体原料を排出するときには、前記第1の原料供給バルブを閉じ、かつ第1の原料排出バルブ及び洗浄流体供給バルブを各々開いた状態とするように操作されることを特徴とする原料供給装置。
【請求項2】
上下方向に伸びる流路及び横方向に伸びる流路の合流点に設けられた三方弁からなる第2の原料供給バルブを備え、
前記原料供給管の立ち上がり管路の上端側は、前記第2の原料供給バルブの横方向の流路に接続され、
前記洗浄流体供給バルブは、前記上下方向に伸びる流路における前記第2の原料供給バルブよりも上方に設けられ、
前記第2の原料供給バルブは、液体原料を前記気化器に供給するときには、前記横方向に伸びる流路と下方に伸びる流路とを連通させ、液体原料を前記立ち上がり管路を介して排出するときには、前記横方向に伸びる流路と上方に伸びる流路とを連通させ、液体原料を気化器側に排出させるときには、前記上方向に伸びる流路と下方に伸びる流路とを連通させるように操作されることを特徴とする請求項1記載の原料供給装置。
【請求項3】
前記上下方向に伸びる流路における前記第2の原料供給バルブの下方側には、当該上下方向に伸びる流路及び横方向に伸びる流路の合流点に位置する三方弁からなる第2の原料排出バルブを設け、
前記第2の原料排出バルブにおける横方向の流路には、気化器に向かう原料供給管が接続され、
前記第2の原料排出バルブから下方に伸びる流路は第2の原料排出管として構成され、
前記第2の原料排出バルブは、液体原料を前記気化器に供給するときには、前記第2の原料排出バルブから上方に伸びる流路と横方向に伸びる流路とを連通させ、液体原料を排出させるときには、前記第2の原料排出バルブから上方に伸びる流路と下方に伸びる流路とを連通させるように操作されることを特徴とする請求項2記載の原料供給装置。
【請求項4】
上下方向に伸びる流路及び横方向に伸びる流路の合流点に設けられた三方弁からなり、配管中の液体を排出するためのガスを供給するためのガス供給バルブを備え、
前記ガス供給バルブから上方に伸びる流路は、前記洗浄流体供給バルブの上端側に接続され、
前記ガス供給バルブから横方向に伸びる流路は、前記ガスを供給するガス供給管が接続され、
前記ガス供給バルブから下方に伸びる流路は、配管を洗浄するための洗浄液を供給するための洗浄液供給管が接続されていることを特徴とする請求項2または3に記載の原料供給装置。
【請求項5】
前記ガス供給バルブから下方に伸びる流路には、当該下方側に伸びる流路及び横方向に伸びる流路の合流点に設けられた三方弁からなる洗浄液供給バルブが設けられ、
前記洗浄液供給バルブから横方向に伸びる流路には、洗浄液供給管が接続され、
前記洗浄液供給バルブから下方に伸びる流路には、洗浄液排出管が接続されていることを特徴とする請求項4に記載の原料供給装置。
【請求項6】
前記第1の原料供給バルブは、上下方向に伸びる流路及び横方向に伸びる流路の合流点に設けられた三方弁からなり、
前記第1の原料排出バルブは、前記第1の原料供給バルブよりも下方側に設けられると共に、当該第1の原料排出バルブの上端側が前記第1の原料供給バルブの下端側に接続され、
前記貯留部は、前記第1の原料供給バルブの横方向の流路に接続され、
前記第1の原料排出管は、前記第1の原料排出バルブの下端側に接続されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の原料供給装置。
【請求項7】
上下方向に伸びる流路及び横方向に伸びる流路の合流点に設けられた三方弁からなる第1の流体排出バルブと、
この流体排出バルブの下方側に設けられ、上下方向に伸びる流路及び横方向に伸びる流路の合流点に位置する三方弁からなる排液吸入バルブと、
この排液吸入バルブの下方側に設けられた第2の流体排出バルブと、を備え、
前記第1の流体排出バルブの上端側には、前記第1の原料排出管が接続され、
前記第1の流体排出バルブの側方側の流路には、前記第2の原料排出管及び前記洗浄液排出管が接続され、
前記排液吸入バルブの側方側の流路には、排気機構が接続され、
前記第2の流体排出バルブの下端側には、排液部が接続され、
液体原料、洗浄液及びパージガスの少なくとも1つを含む流体を前記排気機構により吸引する時は、前記排液吸入バルブの上方に伸びる流路と横方向に伸びる流路とを連通させ、かつ第2の流体排出バルブを閉じると共に、前記第1の流体排出バルブの下方に伸びる流路と上方に伸びる流路及び横方向に伸びる流路の少なくとも一方とを連通させ、
前記流体を前記排液部に排出する時は、前記排液吸入バルブの横方向の流路を閉じると共に、前記第2の流体排出バルブ及び前記排液吸入バルブの各々の上下方向に伸びる流路と、前記第1の流体排出バルブの下方に伸びる流路と上方に伸びる流路及び横方向に伸びる流路の少なくとも一方とを連通させることを特徴とする請求項5に記載の原料供給装置。
【請求項8】
前記原料供給管、前記第1の原料排出管、前記第2の原料排出管及び前記洗浄液排出管の少なくとも1つの配管には、当該配管内の圧力を検出するための圧力検出部が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の原料供給装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一つに記載の原料供給装置と、
この原料供給装置から供給される液体材料を気化するための気化器と、
この気化器において液体材料を気化して得られた処理ガスを、内部に収納した基板に対して供給するための反応容器と、を備えたことを特徴とする成膜装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44】
image rotate

【図45】
image rotate

【図46】
image rotate

【図47】
image rotate

【図48】
image rotate

【図49】
image rotate

【図50】
image rotate


【公開番号】特開2012−142380(P2012−142380A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293207(P2010−293207)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】