説明

双方向多地点映像配信装置、双方向多地点映像配信方法、双方向多地点映像配信プログラム及び双方向多地点映像配信プログラム用記録媒体

【課題】必要十分かつ低コストでTV会議システムを提供すること。
【解決手段】会議に関する映像音声情報をコンテンツ蓄積部18に蓄積し、映像音声情報をコンテンツ蓄積部18から読み出して、インターネット9aを介して多地点に存在する複数のIPテレビ5に配信し、配信された映像音声情報の会議内容に対する応答を公衆回線9bを介して受信し、上記応答に対する返答を音声のみに限定して公衆回線9bを介して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TV会議システムにおいて双方向で多地点に映像を配信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク通信容量の増大や高速化に伴い、映像配信を行うサービスが急増している。特に、環境問題を契機として出張コストを削減する企業やCO排出削減を推進する企業の顕著なる増加により、物理的に離れた地点間で会話のできるTV会議システムの導入が盛んである。また、ハイビジョンTVの普及に伴って、TV会議システムは高精細な映像音声を送受信するようになっている(非特許文献1、2参照)。
【0003】
また、TV会議システムは低価格化傾向にあり、数多くの事業所を有する企業等は数百台規模にてTV会議システムを導入し、会議をする目的のみではなく、講和や社員教育等に利用する場面も増えてきている。
【0004】
また、多地点TV会議システムのオプションサービスとして、PDAを利用した挙手システムも既に提供されている(非特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】日本電気株式会社、「NGNに対応した多地点間HDテレビ会議システムを出荷」、[online]、[平成22年6月9日検索]、インターネット<URL : http://www.nec.co.jp/press/ja/0904/0601.html>
【非特許文献2】NTTビズリンク、「フレッツIP多地点サービス」、[online]、[平成22年6月9日検索]、インターネット<URL : http://www.vcd.nttbiz.com/tv_meeting/flets_service/index.html>
【非特許文献3】NTTビズリンク、「挙手サービス」、[online]、[平成22年6月9日検索]、インターネット<URL : http://www.vcd.nttbiz.com/option/kyoshu.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1、2に開示された技術は、光回線やNGN(Next Generation Network)のような大容量回線で各拠点を接続し、映像音声の配信を双方向で行うことを目的とし、拠点数に対応した数量のMCU(Multi-point Control Unit)装置で制御を行うものである。
【0007】
しかしながら、専用のTV会議システムを各拠点にそれぞれ設置するため、そのシステム数に比例して大規模収容が可能なMCU装置や専用回線をそれぞれ手配しなければならず、準備に要する大掛かりな工事が発生するという問題があった。
【0008】
また、高機能なTV会議システムを各拠点にそれぞれ設置しているにも関わらず、その殆どの利用形態は一方向のみの配信利用に留まることが多く、システム導入に関する費用やランニングコストに対して得られる効果は低く、有用的・有効的な利用とは言えないものであった。
【0009】
一方、非特許文献3に開示された技術は、市販のPDAを利用して別系統のインターネット回線を通じてセンタに接続し、単に、ユーザの端末ボタン操作情報をセンタにて一元管理する技術であり、センタ側に対して意思表示を行う機能しかないものであった。
【0010】
本発明は、上記を鑑みてなされたものであり、必要十分かつ低コストでTV会議システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の双方向多地点映像配信装置は、TV会議システムに利用される双方向多地点映像配信装置において、会議に関する映像音声情報を記憶する記憶手段と、前記映像音声情報を前記記憶手段から読み出して、通信ネットワークを介して多地点に存在する複数の受信端末に配信する配信手段と、配信された前記映像音声情報の会議内容に対する応答を前記通信ネットワークと別系統であって前記通信ネットワークよりも狭帯域な通信ネットワークを介して受信し、前記応答に対する返答を音声のみに限定して前記狭帯域な通信ネットワークを介して送信する送受信手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、会議に関する映像音声情報を記憶手段に記憶し、映像音声情報を記憶手段から読み出して、通信ネットワークを介して多地点に存在する複数の受信端末に配信し、配信された映像音声情報の会議内容に対する応答を上記通信ネットワークと別系統であって上記通信ネットワークよりも狭帯域な通信ネットワークを介して受信し、上記応答に対する返答を音声のみに限定して狭帯域な通信ネットワークを介して送信するため、各拠点間で広帯域な通信ネットワークのみを利用して双方向性を実現している従来のTV会議システムと異なり、会議の提供側からの映像音声情報の配信については広帯域の通信ネットワークを準備し、受け手側からの応答やそれに対する返答については音声のみに限定して狭帯域の通信ネットワークを準備すればよく、TV会議に必要とされる通信ネットワークの通信容量や通信費用を低減することが可能となり、結果として、必要十分かつ低コストでTV会議システムを提供することができる。
【0013】
請求項2に記載の双方向多地点映像配信装置は、請求項1に記載の双方向多地点映像配信装置において、前記配信手段は、前記映像音声情報をIPTVフォーマット形式でインターネットを介してIPテレビに配信することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、映像音声情報をIPTVフォーマット形式でインターネットを介してIPテレビに配信するため、TV会議システムにおいて専用通信ネットワークや専用受信端末を準備する必要がなく、Bフレッツ等の一般的な既存の光インターネット契約や市販TVのみを用いて高精細なTV会議を低価格で実現することができる。
【0015】
請求項3に記載の双方向多地点映像配信装置は、請求項1又は2に記載の双方向多地点映像配信装置において、前記送受信手段は、前記応答を前記受信端末と異なる電話端末から公衆回線を介して受信し、前記返答を前記公衆回線を介して送信することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、上記応答を受信端末と異なる電話端末から公衆回線を介して受信し、上記返答を公衆回線を介して送信するため、TV会議に対して応答等する場合に専用通信ネットワークを準備する必要がなく、応答がない場合には公衆回線が使用されず、結果として、高精細なTV会議を低価格で実現することができる。
【0017】
請求項4に記載の双方向多地点映像配信装置は、請求項3に記載の双方向多地点映像配信装置において、前記応答が前記会議の内容に対する質疑応答である場合に、前記配信手段は、前記質疑応答を前記電話端末から前記公衆回線を介して受信した後に、前記インターネットを介して前記IPテレビに配信することを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の双方向多地点映像配信方法は、TV会議システムに利用される双方向多地点映像配信装置により、会議に関する映像音声情報を記憶手段に記憶する第1のステップと、前記映像音声情報を前記記憶手段から読み出して、通信ネットワークを介して多地点に存在する複数の受信端末に配信する第2のステップと、配信された前記映像音声情報の会議内容に対する応答を前記通信ネットワークと別系統であって前記通信ネットワークよりも狭帯域な通信ネットワークを介して受信し、前記応答に対する返答を音声のみに限定して前記狭帯域な通信ネットワークを介して送信する第3のステップと、を有することを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、会議に関する映像音声情報を記憶手段に記憶し、映像音声情報を記憶手段から読み出して、通信ネットワークを介して多地点に存在する複数の受信端末に配信し、配信された映像音声情報の会議内容に対する応答を上記通信ネットワークと別系統であって上記通信ネットワークよりも狭帯域な通信ネットワークを介して受信し、上記応答に対する返答を音声のみに限定して狭帯域な通信ネットワークを介して送信するため、各拠点間で広帯域な通信ネットワークのみを利用して双方向性を実現している従来のTV会議システムと異なり、会議の提供側からの映像音声情報の配信については広帯域の通信ネットワークを準備し、受け手側からの応答やそれに対する返答については音声のみに限定して狭帯域の通信ネットワークを準備すればよく、TV会議に必要とされる通信ネットワークの通信容量や通信費用を低減することが可能となり、結果として、必要十分かつ低コストでTV会議システムを提供することができる。
【0020】
請求項6に記載の双方向多地点映像配信方法は、請求項5に記載の双方向多地点映像配信方法において、前記第2のステップは、前記映像音声情報をIPTVフォーマット形式でインターネットを介してIPテレビに配信することを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、映像音声情報をIPTVフォーマット形式でインターネットを介してIPテレビに配信するため、TV会議システムにおいて専用通信ネットワークや専用受信端末を準備する必要がなく、Bフレッツ等の一般的な既存の光インターネット契約や市販TVのみを用いて高精細なTV会議を低価格で実現することができる。
【0022】
請求項7に記載の双方向多地点映像配信方法は、請求項5又は6に記載の双方向多地点映像配信方法において、前記第3のステップは、前記応答を前記受信端末と異なる電話端末から公衆回線を介して受信し、前記返答を前記公衆回線を介して送信することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、上記応答を受信端末と異なる電話端末から公衆回線を介して受信し、上記返答を公衆回線を介して送信するため、TV会議に対して応答等する場合に専用通信ネットワークを準備する必要がなく、応答がない場合には公衆回線が使用されず、結果として、高精細なTV会議を低価格で実現することができる。
【0024】
請求項8に記載の双方向多地点映像配信方法は、請求項7に記載の双方向多地点映像配信方法において、前記応答が前記会議の内容に対する質疑応答である場合に、前記第2のステップは、前記質疑応答を前記電話端末から前記公衆回線を介して受信した後に、前記インターネットを介して前記IPテレビに配信することを特徴とする。
【0025】
請求項9に記載の双方向多地点映像配信プログラムは、請求項5乃至8のいずれかに記載の双方向多地点映像配信方法における各ステップをコンピュータによって実行させることを特徴とする。
【0026】
請求項10に記載の双方向多地点映像配信プログラム用記録媒体は、請求項5乃至8のいずれかに記載の双方向多地点映像配信方法における各ステップをコンピュータによって実行させる双方向多地点映像配信プログラムを記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、必要十分かつ低コストでTV会議システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】双方向多地点映像配信装置の機能ブロック構成を示す図である。
【図2】ユーザの登録処理フローを示す図である。
【図3】会議情報画面の一例を示す図である。
【図4】個別ユーザポータル画面の一例を示す図である。
【図5】ユーザ管理画面の一例を示す図である。
【図6】TV会議の開始処理フローを示す図である。
【図7】会議開始案内画面の一例を示す図である。
【図8】会議開始時ユーザ管理画面の一例を示す図である。
【図9】質疑応答処理フローを示す図である。
【図10】質疑応答時ユーザ管理画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、数十拠点以上の多地点との間でTV会議を行う場合に、その運用形態は、会議の提供側(以下、センタ側という)から多地点の受け手側への一方的な演説や教授であって、会議時間の大部分が一方向のブロードキャストであることに着目するものである。
【0030】
すなわち、演説や教授等に関する映像及び音声の高精細な配信については、データ量が比較的大きいことを考慮して、インターネット等の広帯域な通信ネットワークを経由して配信することを特徴としている。
【0031】
一方、多地点の受け手側では、そのような高精細な映像及び音声を受信することのみに特化することを特徴としている。但し、配信された映像音声の会議内容に対して質疑応答や、その質疑応答に対して返答する場合には、公衆回線等の狭帯域な通信ネットワークを経由して音声のみに限定して送受信することを特徴とする。
【0032】
以上の特徴から、インターネットや公衆回線といった既存の通信ネットワークを利用し、会議内容については広帯域なインターネット等を使用し、質疑応答等についてはその都度呼接続される公衆回線を使用するため、必要十分かつ低コストでTV会議システムを提供するものである。
【0033】
以下、本発明を実施する一実施の形態について図面を用いて説明する。但し、本発明は多くの異なる様態で実施することが可能であり、本実施の形態の記載内容に限定して解釈すべきではない。
【0034】
図1は、本実施の形態に係る双方向多地点映像配信装置の機能ブロック構成を示す図である。この双方向多地点映像配信装置1は、通信を行うユーザを管理するユーザ管理部11と、通信を所望するユーザからのリクエストに応じてユーザ情報(ユーザIDやユーザの使用する携帯電話7の電話番号等を含む)を登録するユーザ登録部12と、ユーザIDに対応する電話番号を使用してダイアル発信を行うコール制御部13と、電話回線等の公衆回線9bを介してユーザの携帯電話7に対して回線接続を行う回線接続部14と、カメラ32やマイク33、回線接続部14やコンテンツ蓄積部18からの映像・音声ソースの入力を受けて該映像音声情報を通信制御部16に送る映像音声配信部15と、ポータル部17や映像音声配信部15から情報を受信し、インターネット9aを介してIPテレビ5に情報を配信、又はインターネット9aを介して受信した情報をポータル部17等に送信する通信制御部16と、各モジュールからの情報を受けユーザインタフェース31での入力を受け付ける画面を生成、又は各IPテレビ5に表示される入力画面を生成するポータル部17と、映像音声情報をコンテンツとして蓄積するコンテンツ蓄積部18と、外部TV会議システムに対して通信を行う外部TV会議接続部19とで構成されている。以降、ユーザインタフェース31とカメラ32とマイク33とを有する拠点をセンタ3と称する。
【0035】
なお、ユーザ側で使用されるIPテレビ5は一例であり、STB(Set Top Box)やインターネットTVやCATV等のようにインターネット9aを介して映像音声情報をIP等で受信可能な受信装置であればどのようなものでもよい。また、携帯電話7についても一例であり、固定電話やIP電話等のように公衆回線9b又はインターネット9aを介して音声通信が可能な電話端末であればどのようなものでもよい。
【0036】
次に、TV会議を開始する前に、TV会議に参加する各拠点のユーザの登録処理について説明する。図2は、ユーザの登録処理フローを示す図である。
【0037】
まず、ユーザインタフェース31を通じて、会議開始時間や会議内容等の会議情報が入力される(S1)。そして、ポータル部17により、入力された会議情報に基づいて図3に示すような会議情報画面が生成され(S2)、通信制御部16により、インターネット9aを介して各拠点のIPテレビ5に会議情報画面が送信される(S3、S4)。なお、会議に関する情報を、画面としてではなく、単なる会議情報として生成し、IPテレビ5に送信してもよい。
【0038】
ここで、各拠点のユーザがIPテレビ5の画面に表示されている電話番号に携帯電話7からコールすると、そのコールは公衆回線9bを介して回線接続部14に着信され(S5)、ユーザからコールを受けた回線接続部14により、着信時に得たユーザの電話番号がユーザ管理部11に送信される(S6)。
【0039】
その後、ユーザ管理部11により、S6で得た電話番号が事前登録されたユーザの電話番号であるか否かが判定され、その判定結果がユーザ登録部12に送信される(S7)。
【0040】
そして、ユーザ登録部12により、S7で事前登録のユーザと判定された場合にはユーザ登録が行われ(S8)、回線接続部14により、公衆回線9bを介して会議可能である旨が音声案内される(S9、S10)。一方、未登録のユーザと判定された場合には、その旨が音声案内される。また、会議可能なユーザ(事前登録されていたユーザ)であった場合には、ユーザ登録部12により、コールしてきたユーザが会議メンバとしてポータル部17に送信される(S11)。
【0041】
その後、ポータル部17により、会議可能ユーザ毎に図4に示すような個別ユーザポータル画面が生成され(S12)、その個別ユーザポータル画面が取得可能なネットワーク上のアドレスがメール等によって各ユーザの携帯電話7に送信される(S13)。そのアドレスにアクセスすることにより、個別ユーザポータル画面が各ユーザの携帯電話7に表示される。また、ポータル部17により、図5に示すようなユーザ管理画面が生成され(S14)、ユーザインタフェース31に送信される(S15)。
【0042】
なお、ここでは、ユーザ登録の際に各ユーザから電話をかけることとしたが、インターネット9aやIPテレビ5のデータ情報表示部を介して登録してもよい。
【0043】
次に、TV会議の開始処理について説明する。図6は、TV会議の開始処理フローを示す図である。
【0044】
まず、ユーザインタフェース31により図5に示したユーザ管理画面内の「案内」ボタンが押されると、会議開始案内情報がポータル部17に送信される(S31)。そして、ポータル部17により、図7に示すような会議開始案内画面が生成され、通信制御部16に送信される(S32)。その後、通信制御部16により、その会議開始案内画面がインターネット配信可能な情報に変換され、インターネット9aを介して各拠点のIPテレビ5に配信される(S33)。
【0045】
ここで、IPテレビ5の前で会議開始を待機しているユーザからすると、図3に示した会議情報画面が図7に示す会議開始案内画面に遷移したことから、もうすぐ会議が始まることを把握可能となる。画面に表示された会議開始案内画面を見た各ユーザが、会議開始可能であれば表示内容に従って携帯電話7を用いて個別ユーザポータル画面の「○」ボタンを押すと、会議開始了解情報が通信制御部16に送信され(S34)、通信制御部16により、その会議開始了解情報がポータル部17に送られる(S35)。
【0046】
その後、ポータル部17により、各拠点のユーザから受信した会議開始了解情報に基づいて図8に示すような会議開始時ユーザ管理画面が生成され(S36)、ユーザインタフェース31に表示される(S37)。なお、図8の「○」に下線が引かれたメンバが、「○」ボタンを押して会議開始可能を通知してきた拠点のメンバであるものとする。
【0047】
そして、センタ側により会議開始時ユーザ管理画面が確認され、会議を開始するに十分と判断された場合には、会議開始時ユーザ管理画面の「会議開始」ボタンが押され、会議開始許可情報が映像音声配信部15に送信される(S38)。
【0048】
その後、会議開始許可情報を受信した映像音声配信部15により、カメラ32及びマイク33から入力された映像音声情報が通信制御部16に送信され(S39)、通信制御部16により、その映像音声情報がIPTVフォーマット形式に変換された後に、インターネット9aを介して各拠点のIPテレビ5に配信される(S40)。以上のフローによりセンタ側から各ユーザ拠点への映像音声配信が可能となる。
【0049】
なお、映像音声情報配信については、例えば電話回線を利用して配信してもよいし、CATVや専用線等を利用して配信してもよい。また、配信形式に関しては、映像音声をアナログ信号として配信してもよいし、デジタル化してHTML、H.323、H.264、AVI、JPEG2000等に変換して配信してもよい。
【0050】
また、外部TV会議接続部19を介して、別系統の一般TV会議システムへ配信してもよい。また、外部TV会議接続部19を介して一般のTV会議システムと接続し、映像・音声の入力を受けセンタ側のカメラ32及びマイク33の代わりとしてもよい。
【0051】
更に、映像音声情報を会議開始了解したユーザに係るIPテレビ5にのみ配信してもよいし、何らかの都合により会議開始後に会議室に集合する可能性もあることから、会議開始了解を通知していないユーザに係るIPテレビ5にも配信するようにしてもよい。IPテレビ5を付けた段階で映像音声情報の受信が可能となるため、会議の途中からでも会議に参加することができる。
【0052】
次に、このシステムを利用した質疑応答処理について説明する。図9は、質疑応答処理フローを示す図である。
【0053】
まず、ユーザインタフェース31を通じて、図5又は図8に示した画面の「質疑」ボタンが押されると、質疑可能情報がポータル部17に送信される(S51)。そして、質疑許可情報を受けたポータル部17により、質疑許可情報が通信制御部16に送信され(S52)、通信制御部16により、質疑許可情報が携帯電話7に配信される(S53)。この際、質疑許可情報は音声案内であってもよいし、ユーザ電話の表示部が変化するものであってもよい。
【0054】
その後、質疑許可情報を受け、質疑要望のある各ユーザが、図4に示した個別ユーザポータル画面の「質疑希望」ボタンを押すと、各ユーザの質疑希望情報が通信制御部16に送信され(S54)、通信制御部16により、その質疑希望情報がポータル部17に送信される(S55)。
【0055】
そして、ポータル部17により、各ユーザから受信した質疑希望情報に基づいて、例えば、図10に示すような質疑応答時ユーザ管理画面が生成され(S56)、ユーザインタフェース31に表示される(S57)。例えば、下線が引かれたユーザEが質疑を希望したユーザである。
【0056】
その後、センタ側により質疑応答時ユーザ管理画面が確認され、質疑を希望したユーザEのボタンが押されると(S58)、ポータル部17により、ユーザEのユーザIDがコール制御部13に送信される(S59)。そして、ユーザIDを受信したコール制御部13により、事前登録されたユーザIDに設定された電番情報が回線接続部14に送信され(S60)、回線接続部14により、その電番情報を用いてユーザEの携帯電話7に公衆回線接続が行われる(S61)。
【0057】
回線接続されたユーザEが携帯電話7から音声により質疑を行うと(S62)、その音声情報は、公衆回線9bを介し、回線接続部14及びコール制御部13を経由して映像音声配信部15に送信され(S63、S64)、その後、通信制御部16により、インターネット9aを介して全拠点のIPテレビ5に音声情報として配信される(S65、S66)。
【0058】
なお、各ユーザの携帯電話7から送られる情報は、「○」・「×」ボタンを押した「賛成」・「反対」情報であってもよいし、各携帯電話から入力された「テキスト」情報であってもよい。「○」「×」「質疑」情報などは、図10の「集計」に示されるような合計値を表示してもよい。またテキスト情報等は、図10の右側「コメント」の欄に表示できるようにしてもよい。
【0059】
本実施の形態による装置構成に従い、例えば、映像音声情報の配信に際してIPTVフォーマットを利用すれば、従来方式に必要とされた専用のMCU等を設置する代わりに双方向を前提としないIPTV配信可能な映像音声配信機能の利用でよいため、各拠点からの映像送信を必要とすることなく、本来の目的である多地点への「一方向のみの配信利用」という目的が実現され、回線容量も拠点数に比例する事なく一定となる。また、各拠点では従来利用されていた専用TV会議システムとは異なり、市販されているIPTV受信機能を備えた市販TVと電話機を準備すればよく、ハイスペックな専用TV会議システムを準備する必要なく高精細な映像音声が受信できる。
【0060】
また、各拠点からの質疑、コメントにネットワーク機能を備えた携帯電話を利用すれば、挙手やアンケート等の機能を一般の携帯電話のみで実現できる。更に、発言を携帯電話等を介して行えるため、各拠点から全拠点への音声による発言が可能な双方向機能を実現することが可能となる。
【0061】
以上の効果により、従来技術の課題であった本来の利用形態に対してオーバースペックな機器設置を強いるという課題を解決することが可能となる。
【0062】
本実施の形態によれば、会議に関する映像音声情報をコンテンツ蓄積部18に蓄積し、映像音声情報をコンテンツ蓄積部18から読み出して、インターネット9aを介して多地点に存在する複数のIPテレビ5に配信し、配信された映像音声情報の会議内容に対する応答を公衆回線9bを介して受信し、上記応答に対する返答を音声のみに限定して公衆回線9bを介して送信するので、各拠点間で広帯域な専用の通信ネットワークのみを利用して双方向性を実現している従来のTV会議システムと異なり、会議の提供側からの映像音声情報の配信については既存のインターネットを準備し、受け手側からの応答やそれに対する返答については音声のみに限定して既存の公衆回線を準備すればよく、TV会議に必要とされる通信ネットワークの通信容量や通信費用を低減することが可能となり、結果として、必要十分かつ低コストでTV会議システムを提供することができる。
【0063】
本実施の形態によれば、映像音声情報をIPTVフォーマット形式で既存のインターネットを介してIPテレビ5に配信するので、TV会議システムにおいて専用通信ネットワークや専用受信端末を準備する必要がなく、Bフレッツ等の一般的な既存の光インターネット契約や市販TVのみを用いて高精細なTV会議を低価格で実現することができる。
【0064】
本実施の形態によれば、上記応答をIPテレビ5と異なる携帯電話7から既存の公衆回線9bを介して受信し、上記返答を既存の公衆回線9bを介して送信するので、TV会議に対して応答等する場合に専用通信ネットワークを準備する必要がなく、応答がない場合には公衆回線が使用されず、結果として、高精細なTV会議を低価格で実現することができる。
【0065】
最後に、本実施の形態で説明した双方向多地点映像配信装置1は、コンピュータで構成される。すなわち、コンテンツ蓄積部18は、メモリ等の記憶手段で実現される。また、ユーザ管理部11と、ユーザ登録部12と、コール制御部13と、回線接続部14と、映像音声配信部15と、通信制御部16と、ポータル部17と、外部TV会議接続部19とは、CPU等の演算手段で実現され、プログラムで実行される。
【0066】
また、本実施の形態で説明した双方向多地点映像配信装置1をプログラムとして光記憶装置や磁気記憶装置等の記録媒体に読出可能に記録し、この記録媒体をコンピュータに組み込んだり、若しくは記録媒体に記録されたプログラムを、任意の通信回線を介してコンピュータにダウンロードしたり、又は記録媒体からインストールし、該プログラムでコンピュータを動作させることにより、上述した各処理動作を双方向多地点映像配信装置1として機能させることができるのは勿論である。
【符号の説明】
【0067】
1…双方向多地点映像配信装置
11…ユーザ管理部
12…ユーザ登録部
13…コール制御部
14…回線接続部
15…映像音声配信部
16…通信制御部
17…ポータル部
18…コンテンツ蓄積部
19…外部TV会議接続部
3…センタ
31…ユーザインタフェース
32…カメラ
33…マイク
5…IPテレビ
7…携帯電話
9a…インターネット
9b…公衆回線
S…ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TV会議システムに利用される双方向多地点映像配信装置において、
会議に関する映像音声情報を記憶する記憶手段と、
前記映像音声情報を前記記憶手段から読み出して、通信ネットワークを介して多地点に存在する複数の受信端末に配信する配信手段と、
配信された前記映像音声情報の会議内容に対する応答を前記通信ネットワークと別系統であって前記通信ネットワークよりも狭帯域な通信ネットワークを介して受信し、前記応答に対する返答を音声のみに限定して前記狭帯域な通信ネットワークを介して送信する送受信手段と、
を有することを特徴とする双方向多地点映像配信装置。
【請求項2】
前記配信手段は、
前記映像音声情報をIPTVフォーマット形式でインターネットを介してIPテレビに配信することを特徴とする請求項1に記載の双方向多地点映像配信装置。
【請求項3】
前記送受信手段は、
前記応答を前記受信端末と異なる電話端末から公衆回線を介して受信し、前記返答を前記公衆回線を介して送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の双方向多地点映像配信装置。
【請求項4】
前記応答が前記会議の内容に対する質疑応答である場合に、
前記配信手段は、
前記質疑応答を前記電話端末から前記公衆回線を介して受信した後に、前記インターネットを介して前記IPテレビに配信することを特徴とする請求項3に記載の双方向多地点映像配信装置。
【請求項5】
TV会議システムに利用される双方向多地点映像配信装置により、
会議に関する映像音声情報を記憶手段に記憶する第1のステップと、
前記映像音声情報を前記記憶手段から読み出して、通信ネットワークを介して多地点に存在する複数の受信端末に配信する第2のステップと、
配信された前記映像音声情報の会議内容に対する応答を前記通信ネットワークと別系統であって前記通信ネットワークよりも狭帯域な通信ネットワークを介して受信し、前記応答に対する返答を音声のみに限定して前記狭帯域な通信ネットワークを介して送信する第3のステップと、
を有することを特徴とする双方向多地点映像配信方法。
【請求項6】
前記第2のステップは、
前記映像音声情報をIPTVフォーマット形式でインターネットを介してIPテレビに配信することを特徴とする請求項5に記載の双方向多地点映像配信方法。
【請求項7】
前記第3のステップは、
前記応答を前記受信端末と異なる電話端末から公衆回線を介して受信し、前記返答を前記公衆回線を介して送信することを特徴とする請求項5又は6に記載の双方向多地点映像配信方法。
【請求項8】
前記応答が前記会議の内容に対する質疑応答である場合に、
前記第2のステップは、
前記質疑応答を前記電話端末から前記公衆回線を介して受信した後に、前記インターネットを介して前記IPテレビに配信することを特徴とする請求項7に記載の双方向多地点映像配信方法。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれかに記載の双方向多地点映像配信方法における各ステップをコンピュータによって実行させることを特徴とする双方向多地点映像配信プログラム。
【請求項10】
請求項5乃至8のいずれかに記載の双方向多地点映像配信方法における各ステップをコンピュータによって実行させる双方向多地点映像配信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な双方向多地点映像配信プログラム用記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−10130(P2012−10130A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144674(P2010−144674)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】