説明

反射型フロントスクリーンとそれを用いた立体表示システム

【課題】 室内照明を明るくしても高いコントラストの画像表示ができる反射型フロントスクリーンを低価格化し、プロジェクタ近傍方向からの外光も抑制し、視野角も広くとれるようにする。
【解決手段】最初の課題に対し、入射側に入射面tと全反射面uからなる頂角θのプリズム素子24を縦に複数配し、出射面が表面形状のない屈折率nの透明材料21aからなり素子24の頂角θがsin−1(1/n)以上の全反射プリズムシート22と、該シート22の出射面に配置されたブラックマスク28と、上記シート22の出射面に配置された散乱反射手段32を有す。
2番目の課題に対し、BM付きレンテキュラーレンズの外光抑制機能を、透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルムの透明角度領域で動作させる手段によって実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントプロジェクション型表示装置に用いる反射型フロントスクリーンとそれを用いた立体表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクション型表示装置には、リアプロジェクション型とフロントプロジェクション型とがあり、リアプロジェクション型はスクリーンの後側にプロジェクタを配置する必要があることから、例えば壁際や窓際にスクリーンを置いて画像を視認するようにすることができず、会議室等の限られた空間を有効に利用できないという欠点がある。
それに対して、フロントプロジェクション型表示装置は、壁際や窓際にスクリーンを置いて画像を視認することができ、会議室等の限られた空間を有効に利用できるものが多く、利用数や用途が急激に増えつつある。
【0003】
そして、フロントプロジェクション型のプロジェクション型表示装置は、スクリーン、即ち、反射型フロントスクリーンを略垂直に配置し、その表面側に画像光を投射するフロントプロジェクタを配置した構成を有しており、フロントプロジェクタは、反射型フロントスクリーンの真正面に比較的近い位置に配置しそこから反射型フロントスクリーンに画像光を照射するタイプのものがあるが、正面の斜め前方下側に配置しそこから斜め上向きに反射型フロントスクリーンに画像光を照射するようにしたものが増えつつある。
【0004】
プロジェクタを正面の斜め前方下側に配置しそこから斜め上向きに反射型フロントスクリーンに画像光を照射するようにしたものが増えつつあるのは、外光は照明灯による光が多いので、反射型フロントスクリーンに対して上から斜め下向きに入射する場合が多く、プロジェクタから反射型フロントスクリーンに対する画像光の向きを斜め上向きにすることにより、反射型フロントスクリーンが外光は透過し、画像光は反射するようにでき易く、室内の照明が明るくても画像も良好なコントラストを以て表示されるようにし易いからである。そして、そのことの重要性が高まりつつある。
【0005】
というのは、プロジェクション型表示装置を用いて映画や動画等を鑑賞する場合には、照明を落とし部屋を暗くしても良いが、スクリーンに映った画像を視つつも手元に用意した資料を参照し、更には、メモを取ったり、集まった人どうしで互いに相手の顔を見ながらディスカッションしたりして会議を進める場合、或いは、学校(小学校、中学校、高校、大学、各種学校)、各種研修、各種セミナー等において教育等に用いる場合、資料、教科書その他テキスト、プリント類等を視たり読んだり、メモやノートを取ることができなければならない。
それには、室内照明を点けて充分に部屋を明るくしなければならない。そして、部屋を明るくしてもスクリーンに表示される画像は部屋の明るさによる外光に対して充分なコントラストを有するものでなければならない。
【0006】
そして、その要望に応える技術が開発され、その成果が特開2009−271263号公報(:特許文献1)等により公開された。図25(A)〜(C)はそのような特開2009−271263号公報(:特許文献1)により紹介された反射型フロントスクリーンの各々別の例を示す垂直切断断面図である。
図25(A)に示すもの2aは、特定の角度領域から入射した光のみを拡散透過させ、それ以外の角度領域から入射した光を直進透過させる性質を有する拡散板4を前側に配置し、この拡散板4の裏側に、裏面が鋸歯状に折れ曲がった面を有する光透過層6を配置したものである。
【0007】
その光透過層6の裏面の鋸歯状に折れ曲がった面は、具体的には、或る傾きを持った鏡形成エリア8とそれとは異なる傾きを持った鏡非形成領域10とを垂直方向に沿って交互に配置した形状を有しており、各鏡形成エリア8、8、・・・には鏡面反射性を有する鏡面反射膜14、14、・・・を形成したものである。
上記拡散板4は、例えば拡散シートからなり、フロントプロジェクタからの画像光の入射角度範囲の入射光を拡散透過させ、その角度範囲外からの入射光は直進透過させる性質を有する。
【0008】
上記光透過層6は例えば樹脂からなり、各鏡非形成領域10、10、・・・の面は粗面化処理により光拡散性を帯びるようにされている。
鏡面反射膜は、金属、例えばアルミニウムAl、銀Agを用い、例えば異方性スパッタリングにより形成される。
【0009】
図25(B)に示す反射型フロントスクリーン2bは、反射型フロントスクリーン2aと共通するが、二つの点でのみ相違する。第1の相違点は、鏡非形成エリア10、10、・・・の粗面化をしないことにあり、第2の相違点は、光透過層6の裏面にその光透過層6と同程度の屈折率の透明性の樹脂層である屈折率調整膜16を設け、更にその屈折率調整膜16の裏面に光吸収膜18を設けたことにある。鏡非形成エリア10、10、・・・に入射した光はそこで反射されることなく屈折率調整膜16内に進入し、光吸収膜18に吸収されるので反射されることはない。
尚、鏡非形成エリア10、10、・・・は粗面化処理をしなくても何らかの原因で粗面になっている場合があったとしても特に問題はない。
【0010】
図25(C)に示す反射型フロントスクリーン2cは、反射型フロントスクリーン2aとは、鏡非形成エリア10、10、・・・の粗面化をせず、その各エリア10、10、・・・上に光吸収膜20、20、・・・を設けた点で相違しているが、それ以外の点では共通している。
図25(A)〜(C)に示す反射型フロントスクリーン2(2a〜2c)によれば、斜め下側に配置されたプロジェクタから投射された画像光は、各鏡形成用エリア8、8、・・・に入射し、そこに形成された鏡面反射膜14、14、・・・により正面側に反射され、反射型フロントスクリーン2をその正面側にて視る人々により視認される。
【0011】
また、室内照明光或いは太陽光の如き外光は、反射型フロントスクリーン2に対して斜め下向きに入射するので、主として各鏡非形成エリア10、10、・・・に入射する。その入射した光はそこで拡散され、或いはそのエリア10、10、・・・から屈折率調整膜16内に進入し光吸収膜18により吸収され、もしくは、エリア10、10、・・・上に位置する光吸収膜20に吸収され、反射型フロントスクリーン2の正面側に拡散されたり、反射されたりはしない。
従って、画像光は反射型フロントスクリーン2正面に有効に反射され、外光は反射型フロントスクリーン2によって吸収されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−271263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、この反射型スクリーンには、問題点が存在すした。この反射型スクリーンで重要な働きをしているフィルムが、特定の角度領域から入射した光のみを拡散透過させ、それ以外の角度領域から入射した光を直進透過させる性質を有する拡散板4である。この拡散板4の光を拡散させる角度範囲を、拡散角度領域、光を直進透過させる角度領域を、透明角度領域と呼ぶことにする。この反射型フロントスクリーンの基本原理は、プロジェクタ光を、透明角度領域である下方から投射し、鋸歯状反射板にて、反射方向を正反射方向からずらし、スクリーン法線方向近傍へ向けて、拡散板4の拡散角度領域へ入射することにより、拡散させ画像表示を行うものである。
【0014】
従って、入射角度領域である透明角度領域から進入してくる外光に対して、全く抑制機能が働かない。この透明角度領域は、広い床面積から拡散してくる外光を拾うため、明るい色の床の場合、天井の照明光や、窓から侵入してくる太陽光、特に西日等が存在すると、著しくコントラストが低下する問題がある。 この問題を図26に示す。床のかなり広い面積からの外光が、観察角度領域へ拡散し、コントラストの悪化を引き起こすことがわかる。尚、図26において、140はプロジェクタ、142、142、・・・は天井に配置された照明である。
【0015】
更に、プロジェクタを天井設置型として使用する場合、一般に普及しているプロジェクタでは、スクリーンと天井設置型プロジェクタとの間に、天井の照明142、142、・・・が存在するため、この光がコントラストを大幅に悪化させることとなる。
特に大画面のスクリーンとなると、スクリーンは、机より高い位置から上側に設置するため、スクリーン上端は、天井近傍となる。
【0016】
依って、スクリーン上端では、天井設置型プロジェクタからの光線は、低角度の垂直入射近傍となるため、投射距離分スクリーンから天井設置プロジェクタを離さなければならない。それ故、大画面スクリーンの場合、天井設置プロジェクタと、スクリーンの間には、かなりの数の天井照明が存在することとなる。この状態は図21に示す通りである。天井設置プロジェクタが部屋の奥に設置してある場合、部屋の天井照明全てがコントラスト低下の原因となる。
この反射型フロントスクリーンには、さらなる短所が存在する。基本原理として、透明角度領域と拡散角度領域を、鋸歯状ミラーで折り返しているため、それぞれの角度領域の大きさを独立に制御できない。
【0017】
従って、スクリーンの上下方向の視野角を大きくしてゆくと、入射角度領域である透明角度領域と、観察角度領域である拡散角度領域がオーバーラップしてしまう。この状態では、観察角度領域である拡散角度領域から進入してくる外光が、オーバーラップによって再度観察角度領域へ戻ってしまうため、著しくコントラストの低下を伴うこととなる。
依って、この反射型スクリーンの基本設計原理として、透明角度領域と拡散角度領域のオーバーラップは許されないこととなる。
【0018】
従って、上下視野角の狭いスクリーンしか実現できない。これは、フロントスクリーンとしては大問題である。なぜならば、スクリーン全体を見ることができる範囲が、スクリーン近傍では得られず、特に大画面スクリーンの場合、スクリーンからかなり離れなければならない。
依って、一般の会議室や、ゼミ室および教室において、部屋の前部の広い空間が使用不能となってしまう。図26に示すように、観察者が部屋の前に座れないことがわかる。リアプロジェクションに対してフロントプロジェクションは、場所をとらない長所を有するはずであったのに、この反射型スクリーンでは、この長所が半減してしまうこととなる。
【0019】
以上の問題点をまとめると、下記の2点となる。
(1)入射角度領域である、透明角度領域から進入してくる外光に対して、全く外光抑制機能が存在しない。従って、プロジェクタ近傍からの外光によってコントラストが著しく悪化する。
(2)透明角度領域と拡散角度領域のオーバーラップが、基本原理として許されないため、上下視野角を大きくとれず、スクリーンに近い位置からスクリーン全体をみることができない。従って、部屋の空間を有効に利用できないという問題があった。
【0020】
また、図25に示すような従来の反射型フロントスクリーン2a〜2cには、上述した問題がある上に価格が高くなるという問題もあった。
というのは、図25(A)に示す反射型フロントスクリーン2aを例にすると、その構造は、例えば拡散シートからなる拡散層4と、その裏面に形成した透明樹脂からなる、裏面を鋸歯状に形成した光透過層6と、鋸歯状に形成した裏面の各鏡形成エリア8、8、・・・のみに形成した例えば金属(アルミニウムAl或いは銀Ag等)からなる鏡面反射膜14からなり、層数が多く複雑である。特に、拡散層4は、単一のDLCフィルムで実現することはできておらず、縦方向拡散用に最低1枚、横方向拡散用に、最低でも3枚必要である。これは、DLCフィルム単体の拡散角度領域の広さには、限界があり、必要な拡散角度を得るために、複数の異なる拡散角度領域を有するDLCフィルムを積層する必要があるためである。現状では、最低でも、DLCフィルム4枚を積層しなければならず、この拡散層4はかなり高価となる。
【0021】
また、光透過層6の鋸歯状の裏面の鏡非形成エリア10、10、・・・は、粗面化処理を施す必要があり、また、各鏡形成エリア8、8、・・・上のみに鏡面反射膜14を形成するには、金属の異方性スパッタリングというような高度でコストのかかる処理を施す必要がある。
図25(B)、(C)に示す反射型フロントスクリーン2b、2cにおいては、鏡非形成エリア10、10、・・・の粗面化処理こそ必要としないが、屈折率調整膜16及び光吸収膜18を形成する必要がある、或いは、各鏡非形成エリア10、10、・・・上のみに鏡面反射膜14を形成するという面倒でコストのかかる作業が不可欠である。
【0022】
要するに、従来の技術によれば、上述した(1)、(2)の欠点を有するにも拘わらず、価格が高いという問題があったのである。具体的には、反射型フロントスクリーンは1インチあたり1万円というような高価な価格になってしまうのである。従って、例えば40インチの場合、40万円、100インチの場合、100万円ぐらいになるのが実情である。
それに対して、薄型テレビジョン受像機、例えば液晶テレビジョンは40インチで20万円をきり、10数万円で購入できる。画面だけではなく、受像回路を備えた価格がそんなに安いのに対して、プロジェクタの場合、上述したような(1)、(2)の欠点を有するにも拘わらず、スクリーンだけで1インチあたり1万円になってしまう。
このことがプロジェクション型表示装置の普及を妨げる要因になっていた。
【0023】
本発明は、先ず、上記2点(1)、(2)の問題点、即ち、(1)入射角度領域である、透明角度領域から進入してくる外光に対して、全く外光抑制機能が存在せず、従って、プロジェクタ近傍からの外光によってコントラストが著しく悪化するという問題点及び(2)透明角度領域と拡散角度領域のオーバーラップが、基本原理として許されないため、上下視野角を大きくとれず、スクリーンに近い位置からスクリーン全体をみることができず、従って、部屋の空間を有効に利用できないという問題点を、根本的に解決するため、従来型のDLCフロントスクリーンの外光抑制原理が、角度情報に対して直接行われるのに対し、フロントスクリーンでは、他に類のない、角度情報を位置情報に変換して、外光抑制するリアプロジェクションを、透明角度領域に導入するという新概念を案出することを契機として為されたものである。
【0024】
即ち、本発明は、このような問題を解決すべく為されたものであり、フロントプロジェクタからの画像光を正面側に有効に拡散反射し、室内の照明光、屋外の太陽光等の外光を有効に吸収して室内照明を充分に明るくしても充分に高いコントラストの画像を表示でできる反射型フロントスクリーンを極めて低価格で提供できるようにし、以てフロントプロジェクション型表示装置の普及を図り、更に、従来型フロントスクリーンで問題となる、プロジェクタ近傍からの外光抑制や、上下視野角拡大による、スクリーン近傍からの観察をも可能にする、高品位反射型フロントスクリーンの提供も目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
請求項1の反射型フロントスクリーンは、入射側に入射面と全反射面からなり頂角がθのプリズム素子を垂直方向に沿って複数配設し、出射側が表面形状のない出射面とされた屈折率nの透明材料からなり、各プリズム素子の頂角θが全反射臨界角θc[=sin−1(1/n)]以上に設定された全反射プリズムシートと、この全反射プリズムシートの上記出射面に各プリズム素子の上記入射面に入射し上記全反射面にて内面全反射された光を遮光しない位置を除いて配置されたブラックマスクと、上記全反射プリズムシートの出射面に配置された散乱反射手段を有することを特徴とする。
【0026】
ちなみに、透明材料として比較的加工性に優れ安価なものは透明合成樹脂、例えばアクリル樹脂であり、それらは、概ね屈折率nが1.5程度であり、空気の屈折率が1なので、その場合、各プリズム素子の頂角θは、全反射臨界角θc[=sin−1(1/n)]=41.8°以上となる。尚、透明材料の屈折率nが異なれば、頂角θの最適値は当然のことながら異なる。
尚、散乱反射手段は、紙、特に白紙が好適である。極めて安価でありながら、ほぼ理想的な散乱反射特性を有するからである。白色の塗料を用いるようにしても良い。極めて安価でありながら、ほぼ理想的な散乱反射特性を有し、単に塗布するだけで簡単に形成することができるからである。
尚、本願明細書及び特許請求の範囲においては、ブラックマスクには、例えば水平方向に延びるブラックストライプタイプのものと、非マスク部分がピンホール状に縦横に配置されその非マスク部分以外の部分が黒い光吸収部分となったピンホールタイプのものが含まれ得る。
【0027】
請求項2の反射型フロントスクリーンは、請求項1の反射型フロントスクリーンにおいて、入射光の入射角の変化に応じて入射光線がプリズム素子入射面に略垂直になるようプリズム素子の頂角を略一定に保ちながらプリズム素子入射角と全反射面を回転させたことを特徴とする。
請求項3の反射型フロントスクリーンは、請求項1又は2の反射型フロントスクリーンにおいて、各プリズム素子頂角部に線状のホットスポット・ホットライン防止用光吸収膜を付けたことを特徴とする。
【0028】
請求項4の反射型フロントスクリーンは、請求項1、2又は3の反射型フロントスクリーンにおいて、各プリズム素子頂角部の入射面に凹凸を形成したことを特徴とする。
請求項5の反射型フロントスクリーンは、請求項1、2、3又は4の反射型フロントスクリーンにおいて、各プリズム素子の入射面と全反射面のいずれか一方又は両方の面が一次元的集光機能を有することを特徴とする。
尚、入射面に一次元的集光機能を備えさせることは、その入射面を円筒型屈折レンズにすることにより実現できる。また、全反射面に一次元的集光機能を備えさせることは、その全反射面を全反射型円筒凹面鏡にすることにより実現できる。
【0029】
請求項6の反射型フロントスクリーンは、請求項1、2、3又は4の反射型フロントスクリーンにおいて、各プリズム素子の入射面が一次元的集光機能を有する円筒型屈折レンズであり、各プリズム素子の全反射面が一次元的集光機能を有する全反射型円筒凹面鏡であり、上記入射面の一次元的集光機能の集光方向と上記全反射面の一次元的集光機能の集光方向とが互いに略直交し、表面形状のない出射面に設けたブラックマスクが各プリズム素子の全反射面にて反射されたところの光の集光位置がピンホールとなるピンホール型のブラックマスクであることを特徴とする。
【0030】
請求項7の反射型フロントスクリーンは、請求項1、2、3又は4の反射型フロントスクリーンにおいて、各プリズム素子の入射面と全反射面のいずれか一方又は両方の面が二次元的集光機能を有し、表面形状のない出射面に設けたブラックマスクが各プリズム素子の全反射面にて反射された光の集光位置がピンホールとなるピンホール型のブラックマスクであることを特徴とする。
請求項8の反射型フロントスクリーンは、一次元的集光機能又は二次元的集光機能を有する金属反射又は全反射の傾いた凹面鏡のミラー面を複数有するミラー集合体と、拡散主光線方向が略反射スクリーン法線方向となる傾いた面には、各焦点位置に拡散機能を有する散乱反射手段を有し、焦点位置以外の部分には光吸収機能を有するブラックマスクが設けられていることを特徴とする。
【0031】
請求項9の反射型フロントスクリーンは、一次元的集光機能を有するレンティキュラーレンズシート若しくは二次元的集光機能を有するフライアイレンズの大角度入射光の略集光位置に散乱反射機能を有する散乱反射手段を有し、上記散乱反射手段の出射側の焦点位置以外の部分には光吸収機能を有するブラックマスクが設けられていることを特徴とする。
【0032】
請求項10の反射型フロントスクリーンは、請求項8又は請求項9に記載の反射型フロントスクリーンにおいて、散乱反射手段として、反射する面を表面形状金属反射がされるようにすることにより偏光保持拡散されるようにしたものを用いたことを特徴とする。
請求項11の反射型フロントスクリーンは、一次元的集光機能を有するレンティキュラーレンズシート若しくは二次元的集光機能を有するフライアイレンズの低角度入射から大角度入射光の略集光位置に散乱反射機能を有する散乱反射手段を有するか、又は、更に、この拡散手段に加え拡散主光線方向をスクリーン法線方向に向ける鋸歯状反射面構造を付加した散乱反射手段を有し、この散乱反射手段の出射側の焦点位置以外の部分には光吸収機能を有するブラックマスクが設けられ、かつレンティキュラーレンズ、若しくはフライアイレンズの主平面近傍である、表面か、すぐ内側に、透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルムを有していることを特徴とする。この透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルムとしては、具体的にDLCフィルムを用いるが、縦拡散1枚のみで良いため、従来型の図25に示したスクリーンよりはるかに安価となる。
【0033】
請求項12に記載の反射型スクリーンは、請求項11に記載の反射型スクリーンにおいて、焦点位置における散乱反射手段が、ほぼ一方向の異方性散乱反射特性を有し、かつレンティキュラーレンズ、若しくはフライアイレンズの主平面近傍である、表面か、すぐ内側に、透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルムの拡散特性が、ほぼ一方向の異方性拡散特性であることを特徴とする。
請求項13に記載の立体表示システムは、請求項9、請求項11又は請求項12に記載の反射型フロントスクリーンを用い、透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルムの偏光保持特性と反射面に表面形状金属反射による偏光保持拡散を組み合わせることより、偏光保持拡散機能を実現し、右目用画像と左目用画像に互いに直交する2つの直線偏光を割り当てるか、右円偏光と左円偏光を割り当て、(円)偏光メガネを用いることにより、立体表示を行うようにしたことを特徴とする。
【0034】
請求項14に記載の立体表示システムは、請求項1〜12のいずれかに記載の反射型フロントスクリーンを用い、高速に右目用画像と左目用画像を時分割表示し、これと同期するシャッターメガネを用いて、明所でも高コントラストの立体表示を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
請求項1の反射型フロントスクリーンによれば、各プリズム素子の入射面にプロジェクタからの画像光が入射面の略法線方向に入射するようにするようにすれば、各プリズム素子の入射面に入射した光は略全てがその入射面を通過して全反射面にて出射側へ反射させることができる。
なぜならば、各プリズム素子の頂角θが全反射臨界角θc[=sin−1(1/n)、プリズムシート材料の屈折率nが1.5の場合、41.8°)以上であるので、その全反射面に入射する画像光の入射角(法線方向に対する入射光の角度)は全反射臨界角以上になり、出射側へ全反射されるからである。
【0036】
そして、出射側に、各プリズム素子の全反射面にて反射された画像光の達する位置に散乱反射手段が存在し、それ以外の位置はブラックマスク(ブラックストライプもブラックマスクの一例である。)で覆われているので、画像光を有効に反射型フロントスクリーン正面側に拡散反射させ、外光はブラックマスクにより有効に吸収されるようにできる。
従って、フロントプロジェクタからの画像光を正面側に有効に散乱反射し、室内の照明光、屋外の太陽光等の外光を有効に吸収して室内照明を資料やテキストを読みながら、或いはメモ、ノートをとるのに充分な明るさにしても充分に高いコントラストの画像を表示できる反射型フロントスクリーンを提供できる。
【0037】
そして、請求項1の反射型フロントスクリーンは、全反射プリズムシートの材料として要求される条件が基本的に屈折率が1より適宜大きな透明材料であることのみであり、その条件は通常の透明樹脂が満たし、極めて安価である。プリズム素子形成も型成形により低コストで行うことができる。
ちなみに、アクリルその他の合成樹脂類及びガラス類等は屈折率が1.5程度である。
また、ブラックマスクは、遮光性を有するもの(黒色のもの)を全反射プリズムシートの出射面に塗布し、それをパターニングすることにより形成することができる。具体的には、例えば遮光性を有する黒色材料にUV光(紫外光)に対する感光性材料を付加した液状マスク膜を全反射プリズムシートの裏面にコーティングし、その液状マスク膜にUV光(紫外光)を選択的に照射(露光)し、現像するという従前から確立されているフォトリソグラフィ技術により容易に安価に形成することができ、その形成に要するコストは極めて低くて済む。
【0038】
更に、散乱反射手段は紙、特に白紙か白色塗料により形成でき、これらも極めて材料費が安価であり、形成に要するコストも極めて低くて済む。
即ち、散乱反射手段として白紙や白色塗料は極めて優れた散乱反射特性を有する。なぜならば、白紙や白色塗料はどの方向から見ても、即ち、法線に対しての視る角度が小さくても大きくても同じように白く見え、反射角度範囲が極めて広い。これは、画面に対して画像を良好に視認できる角度範囲が広いことが要求される反射型フロントスクリーンにとってはベストな特性であり、白紙、白色塗料は、その特性に関して非常に優等生なのである。
【0039】
つまり、請求項1の反射型フロントスクリーンは、白紙や白色塗料のように散乱反射特性が優れ広い角度範囲から良好に画像が視認できるが、それでいて基本的に安価な材料を有効に活かそうとするものである。しかも、これらは単に材料価格が安価であるに止まらず、形成や組み付けにも特殊な技術を要せず、形成コストを極めて低くすることができるのである。
そして、請求項1の反射型フロントスクリーンは、少なくとも基本的な原理上は、材料費及び形成コストが低い全反射プリズムシートと、同じく材料費及び形成コストが低いブラックマスクと、同じく材料費及び形成コストが低い白紙或いは白色塗料等からなる散乱反射手段で構成することができ、形成すべき層数が少なく、しかも、各層の形成に要するコストも低いので、図25に示した従来の反射型フロントスクリーンと比較して極めて安価に反射型フロントスクリーンの提供ができる。
【0040】
尤も、原理的には全反射プリズムシートと、ブラックマスクと、散乱反射手段により反射型フロントスクリーンを構成することができるとは言っても、実際上は機械的な強度を保つための補強的効果と散乱反射手段[例えば白紙を通過する(透ける)画像光を前側に反射して画像表示に寄与させる手段]の裏面に、ベースを形成することが必要であるとは言える。
しかし、そのベースは、補強的役割及び光反射的役割さえ果たせば良いので、例えばアルミニウム等の金属薄板により形成することができる。そして、アルミニウム等は極めて安価な材料である。
従って、実際上においても、図25に示したものと比較して極めて安価に反射型フロントスクリーンの提供ができる。
【0041】
具体的には、試作段階で反射型フロントスクリーンを画面1インチ当たり1000円以下の価格で提供できることが確認されている。従って、100インチの大画面でも反射型フロントスクリーンの価格は10万円或いはそれ以下に安くすることができる。しかし、量産体制に入れば、1インチ当たり500円以下にすることも充分に可能である。従って、100インチの反射型フロントスクリーンの価格が5万円以下にすることも可能になる。
【0042】
請求項2の反射型フロントスクリーンによれば、入射光の入射角の変化に応じて入射光線がプリズム素子入射面に略垂直になるようプリズム素子の頂角を略一定に保ちながらプリズム素子入射角と全反射面をプリズム素子位置に応じて異ならせたので、反射型フロントスクリーンに極めて近い位置に例えばプロジェクタを斜め上向きに配置しても、反射型フロントスクリーンの上端から下端に至るまで画像光を有効且つ確実に正面側に反射させることのできる特性を得ることができ、反射型フロントスクリーンの上端から下端に渡って均一なコントラストを得ることができる。
【0043】
請求項3の反射型フロントスクリーンによれば、各プリズム素子頂角部に線状のホットスポット・ホットライン防止用光吸収膜を形成したので、各プリズム素子の頂部表面で反射が起きるおそれがない。
この点について詳細に説明すると次の通りである。
請求項1、2の反射型フロントスクリーンにおいては各プリズム素子の入射面と全反射面との角度θが所定角度、例えば41.8°以上と比較的急峻の角度でなければ、プロジェクタからの画像光を有効に全反射面にて散乱反射手段側へ全反射させることができず、一部が正面側に反射し、比較的強い光の点状のホットスポット或いは比較的強い光が縦方向に延びるホットラインなるものが生じてしまう。これは画像の品位を著しく低下させる。
【0044】
しかし、型成形技術の限界性から各プリズム素子の頂部は丸みを持った形になってしまい勝ちである。そして、頂部が丸みを持つ形状になった場合、その丸みを持った頂部に光が入射すると、各プリズム素子の入射面に入射した画像光がそこを透過し全反射面にて全反射するという期待される現象が起きず、その頂部に入射した画像光の少なくとも一部がそこで正面側へ反射され画像を乱す要因となる。その結果、上述したホットスポット、ホットラインが発生するのである。
【0045】
そこで、請求項3の反射型フロントスクリーンにおいては、各プリズム素子の頂部にホットスポット・ホットライン防止用光吸収膜(黒いもの、例えばブラックマスクと同様のもの)を形成している。そうすることにより頂部近傍に入射する画像光をそのホットスポット・ホットライン防止用光吸収膜により吸収することができ、ホットスポット及びホットラインの発生を防止することができる。
ちなみに、各プリズム素子の頂部にホットスポット・ホットライン防止用光吸収膜を形成することは、例えば、プリズムシートのプリズム形成側の面を下向きにし、ブラックの容器に溜めた黒色インクの液面に各プリズム素子の頂部を浸漬するというような簡単な方法で容易になし得る。
【0046】
請求項4の反射型フロントスクリーンによれば、各プリズム素子頂角部に凹凸を形成(粗面化)したので、各プリズム素子の頂部に入射した画像光はその凹凸部分により散乱反射される。従って、プリズム素子の頂部に丸みがあったとしてもその頂部に入った画像光が凹凸形成面にて散乱反射され、ホットスポット、ホットラインをもたらす光成分が減衰し、ホットスポット、ホットラインの発生を抑制することができる。
【0047】
請求項5の反射型フロントスクリーンによれば、請求項1、2、3又は4の反射型フロントスクリーンにおいて、各プリズム素子の入射面と全反射面のいずれか一方又は両方の面が一次元的集光機能を有するようにしたので、集光方向におけるブラックマスクのマスク部分の非マスク部分(スリット部分)に対する幅の比(或いは面積比)を大きくし、以て、外光抑制比を大きくし、延いては、外光に対する画像のコントラスト比を高めることができる。
【0048】
請求項6の反射型フロントスクリーンによれば、請求項1、2、3又は4の反射型フロントスクリーンにおいて、各プリズム素子の入射面を一次元的集光機能を有する円筒型屈折レンズにより構成し、各プリズム素子の全反射面を一次元的集光機能を有する全反射型円筒凹面鏡により構成し、上記入射面の一次元的集光機能の集光方向と上記全反射面の一次元的集光機能の集光方向とを互いに略直交させ、出射面に設けたブラックマスクの各プリズム素子のピンホール(非マスク部分)を各プリズム素子の全反射面にて反射されたところの光の集光位置に位置させたので、互いに直交する方向(例えば垂直方向及び水平方向の双方向)における、ブラックマスクのマスク部分の非マスク部分(スリット部分)に対する幅さの比或いは面積比を大きくし、二次元相乗的に外光抑制比を大きくし、延いては、外光に対する画像のコントラスト比を二次元相乗的に高めることができる。
【0049】
請求項7の反射型フロントスクリーンによれば、請求項1、2、3又は4の反射型フロントスクリーンにおいて、各プリズム素子の入射面と全反射面のいずれか一方又は両方の面に、二次元的集光機能を備えさせ、出射面に設けたブラックマスクの各プリズム素子の各プリズム素子のピンホール(非マスク部分)を各プリズム素子の全反射面にて反射されたところの光の集光位置に位置させたので、ブラックマスクのマスク部分の非マスク部分(スリット部分)に対する長さ(或いは幅)の比を二次元的に大きくすることができ、二次元的に外光抑制比を大きくし、延いては、外光に対する画像のコントラスト比を二次元的に高めることができる。
【0050】
請求項8の反射型フロントスクリーンによれば、一次元的集光機能又は二次元的集光機能を有する金属反射又は全反射の傾いた凹面鏡の複数のミラー素子からなるミラーシートと、この焦点位置を拡散主光線方向が略反射スクリーン法線方向となる傾いた面上の各焦点位置に、拡散機能を有する散乱反射手段を有し焦点位置以外の部分には光吸収機能を有するブラックマスクが設けられているので、上記複数のミラー素子により一次元的又は二次元的に集光して焦点位置にある拡散反射へ反射することができる。
従って、ブラックマスクのマスク部分の非マスク部分(スリット部分)に対する長さ(或いは幅)の比を一次元的又は二次元的に大きくすることができ、延いては一次元的又は二次元的に外光抑制比を大きくし、延いては、外光に対する画像のコントラスト比を一次元的又は二次元的に高めることができる。
【0051】
請求項9の反射型フロントスクリーンによれば、一次元的集光機能を有するレンティキュラーレンズシート若しくは二次元的集光機能を有するフライアイレンズの大角度入射光の略集光位置に拡散機能を有する散乱反射手段を有し焦点位置以外の部分には光吸収機能を有するブラックマスクが、出射側に設けられているので、画像光をレンティキュラーレンズシートにより一次元的に或いはフライアイレンズにより二次元的により集光位置にある散乱反射手段に集光できる。従って、ブラックマスクのマスク部分の非マスク部分(スリット部分)に対する幅或いは面積の比を一次元的又は二次元的に大きくすることができ、延いては一次元的又は二次元的に外光抑制比を大きくし、延いては、外光に対する画像のコントラスト比を一次元的又は二次元的に高めることができる。
【0052】
請求項10の反射型フロントスクリーンによれば、請求項8又は請求項9に記載の反射型フロントスクリーンにおいて、散乱反射手段として、反射する面を表面形状金属反射がされるようにすることにより偏光保持拡散されるようにしたものを用いるので、反射しても偏光が保持できる。
従って、右目用画像と左目用画像に互いに直交する2つの直線偏光を割り当てるか、右円偏光と左円偏光を割り当て、(円)偏光メガネを用いることにより、立体表示を行うようにした立体表示システムにそれを構成するスクリーンとして用いることが可能である。
【0053】
請求項11の反射型フロントスクリーンによれば、一次元的集光機能を有するレンティキュラーレンズシート若しくは二次元的集光機能を有するフライアイレンズの低角度入射から大角度入射光の略集光位置に散乱反射機能を有する散乱反射手段を有するか、又は、更に、この拡散手段に加え拡散主光線方向をスクリーン法線方向に向ける鋸歯状反射面構造を付加した散乱反射手段を有し、上記散乱反射手段の出射側の焦点位置以外の部分には光吸収機能を有するブラックマスクが設けられ、かつレンティキュラーレンズ、若しくはフライアイレンズの主平面近傍である、表面か、すぐ内側に、透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルムを有しているので、プロジェクタからの画像投射光は、まずこの透明角度領域を有する拡散フィルムの透明角度領域から、拡散せずにレンティキュラーレンズもしくは、フライアイレンズに入射し、レンズの集光機能により、レンズの焦点に集光する。この焦点位置にはブラックマスクはなく、散乱反射手段が存在するため、画像光は拡散反射する。拡散反射主光線方向がスクリーン法線方向となるように、散乱反射面が傾き、表面の荒れた鋸歯状形状がある場合は、スクリーン法線方向が拡散主光線となるように拡散してくる。
【0054】
この場合、拡散する位置が、レンティキュラーレンズ若しくはフライアイレンズの焦点位置であるため、レンティキュラーレンズもしくはフライアイレンズを再度通過すると、低角度入射の場合、球面収差の影響による焦点距離の変化はほとんど無いため、ほぼ平行光となり、拡散しなくなる筈である。
ところが、請求項11の反射型スクリーンは、レンティキュラーレンズ若しくはフライアイレンズの主平面近傍に、透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルムを有しているため、入射の時には、透明角度領域から入射したが、反射し、角度が反射面で変えられて拡散してくる。そして、出る時は、拡散フィルムの拡散角度領域へ入射することとなる。従って、ここで画像光は拡散し、スクリーンとしての機能が実現する。
【0055】
それに対して外光は、プロジェクタ光以外の方向から入射してくるため、透明角度領域から入射した場合も、拡散角度領域から入射した場合も、ブラックマスクで吸収されるため、従来の反射型スクリーンのような問題は発生せず、非常に高いコントラストを、実現できる。
この透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルムとしては、具体的にDLCフィルムを用いるが、縦拡散1枚のみで良いため、従来型の図25に示したスクリーンよりはるかに安価となる。
【0056】
請求項12に記載の反射型スクリーンによれば、請求項11に記載の反射型スクリーンの焦点位置における散乱反射手段が、ほぼ一方向の異方性散乱反射特性を有し、かつレンティキュラーレンズ、若しくはフライアイレンズの主平面近傍である、表面か、すぐ内側に、透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルムの拡散特性が、ほぼ一方向の異方性拡散特性であるので、焦点位置における散乱反射手段によって、横方向のみの、拡散特性制御を行い、レンティキュラーレンズ、若しくはフライアイレンズの主平面近傍である、表面か、すぐ内側に、透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルムの拡散特性によって、上下方向の拡散特性の制御を行うことができる。
従って、拡散特性の制御を左右横方向と上下縦方向を独立に実現することが可能である。
【0057】
尚、請求項11と請求項12の反射型フロントスクリーンにおける透明角度領域と拡散角度領域は、互いにオーバーラップする設計を行っても、従来の透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルムを用いた反射型フロントスクリーンのような、コントエラスト低下問題は発生しないため、上下視野角を大きくとることができ、大画面スクリーンでも、スクリーン近傍からスクリーン全体の画像をみることができるため、部屋の空間を有効に利用可能である。
【0058】
請求項13に記載の立体表示システムによれば、請求項9、請求項11又は請求項12に記載の反射型フロントスクリーンを用い、透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルムの偏光保持特性と反射面に表面形状金属反射による偏光保持拡散を組み合わせることにより、偏光保持拡散機能を実現したので、右目用画像と左目用画像に互いに直交する2つの直線偏光を割り当てるか、右円偏光と左円偏光を割り当て、(円)偏光メガネを用いることにより、立体表示を可能にする。
【0059】
請求項14に記載の立体表示システムによれば、請求項1〜12のいずれかに記載のスクリーンを用い、高速に右目用画像と左目用画像を時分割表示し、これと同期するシャッターメガネを用いるようにしたので、明所でも高コントラストの立体表示を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施例(:実施例1))を示す断面図である。
【図2】(A)〜(C)はそれぞれその実施例の一部を変形させた各別の変形例を示す断面図である。
【図3】(A)、(B)は本発明の第2の実施例(:実施例2)を示すもので、(A)は一部を切断した斜視図、(B)は正面図である。
【図4】本発明第3の実施例(:実施例3)の一部を切断した斜視図である。
【図5】(A)、(B)は本発明の第4の実施例(:実施例4)を示すもので、(A)は断面図、(B)は要部を示す斜視図である。
【図6】本発明の第5の実施例(:実施例5)を示す一部を切断した斜視図である。
【図7】(A)〜(C)は第5の実施例の反射型フロントスクリーンによるプロジェクタからの画像光或いは外光に対する作用の概略を示す作用説明図である。
【図8】(D)、(E)は第5の実施例の反射型フロントスクリーンによる外光に対する作用の概略を示す作用説明図である。
【図9】本発明の第6の実施例(:実施例6)を示す一部を切断した斜視図である。
【図10】本発明の第7の実施例(:実施例7)を示す一部を切断した斜視図である。
【図11】一般的なレンチキュラーレンズ(或いはフライアイレンズ)をフロントスクリーンとして用いた場合の問題点を説明するための断面図である。
【図12】上記第7の実施例の原理を一つの凸曲面(或いは凸球面)に着目して説明するための断面図である。
【図13】上記第7の実施例の原理を複数の凸曲面(或いは凸球面)に着目して説明するための断面図である。
【図14】上記第7の実施例の原理をブラックマスク及び散乱拡散手段をも図示して説明するための断面図である。
【図15】本発明の第8の実施例(:実施例8)を示す一部を切断した斜視図である。
【図16】本発明の第9の実施例であるBM付レンチ・DLCフロントスクリーンの原理を透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルムとレンティキュラーレンズ、ブラックマスク及び散乱拡散手段をも図示して説明するための断面図である。
【図17】本発明の第9の実施例であるBM付レンチ・DLCフロントスクリーンの変形タイプの原理を透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルムとレンティキュラーレンズ、ブラックマスク及び散乱拡散手段をも図示して説明するための断面図である。
【図18】本発明の第9の実施例であるBM付レンチ・DLCフロントスクリーンの外光抑制機能のうち、プロジェクタ光より下方向から進入してくる外光に対する抑制機能を説明する図である。
【図19】図25に示す従来型の反射型フロントスクリーンにおける、プロジェクタ光より下方向から進入する外光の抑制ができないことを説明する図面である。
【図20】本発明の第9の実施例であるBM付レンチ・DLCフロントスクリーンにおける拡散角度領域から進入する外光の抑制メカニズムと、上下視野角拡大可能な原理を説明する図面である。
【図21】天井設置型プロジェクタ使用環境例を説明する図面である。
【図22】本発明の第10の実施例であるBM付レンチ・DLCフロントスクリーンを天井設置型プロジェクタにたいして使用した場合の原理を透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルムとレンティキュラーレンズ、ブラックマスク及び散乱拡散手段をも図示して説明するための断面図であり、加えて、天井設置型プロジェクタとスクリーン間の天井照明からの外光を抑制するメカニズムを説明する図である。
【図23】図25に示す従来型の反射型フロントスクリーンを天井設置型プロジェクタの使用した場合における、天井設置型プロジェクタとスクリーン間の天井照明からの外光を抑制できないことを説明する図面である。
【図24】本発明の第11の実施例であるBM付レンチ・DLCフロントスクリーンを示す断面図であり、天井設置型プロジェクタに対して使用した場合の原理を透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルムとレンティキュラーレンズ、ブラックマスク及び散乱拡散手段をも図示して説明している。
【図25】(A)〜(C)は各々別の従来例を示す断面図である。
【図26】図25に示す従来例の反射型フロントスクリーンの問題点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明における、全反射プリズムシート、ミラー素子、レンティキュラーレンズシート或いはフライアイレンズ等は、透明な合成樹脂で形成するのが非常に好ましい。というのは、合成樹脂は材料費が安価で、且つ、型成形技術という安価で精巧な加工技術で加工ができ、加工コストも極めて低くできるからである。
また、本発明における散乱反射手段は、紙、特に白紙が最適である。というのは、紙、特に白紙の表面はどの角度から視ても略均一に明るく、白紙の場合均一に白い。これは、視野角を広くすることが求められる反射型フロントスクリーンにおいて略理想に近い散乱反射特性を持つ。それでいて、紙、白紙は非常に安価な部材である。故に、反射型フロントスクリーンの画像光を正面側に拡散反射する散乱反射手段としては理想的素材である。
しかし、白い塗膜も散乱反射手段として用いるようにしても良い。紙同様に、優れた散乱反射特性を有するからである。
【0062】
更に、本発明においては、全反射プリズムシート等の部材の出射側にブラックマスク(本明細書等本願の出願書類においてブラックマスクにはストライプ状のマスクであるブラックストライプも含まれるものとする)を形成することが必要であるが、それは光吸収性を有する材料であれば何でも良いといえる。
具体的には、UV感光性材料に黒色の染料、顔料等を含有させた液状の膜を全反射プリズムシート等の部材の出射側に塗布し、その膜にUV光を選択的に照射する(例えば所定のパターンのマスク越しに照射する)ことにより露光処理を施し、その後、現像処理をすることにより容易に形成することができる。
【0063】
尚、全反射プリズムシート等のブラックマスクを形成した出射側に紙等の散乱反射手段を設けるだけで本発明の反射型フロントスクリーンを構成することができるが、実際上はその散乱反射手段の裏側にベースを設けることが好ましいといえる。理由は、反射型フロントスクリーンの強度を必要な強さにすることができることと、散乱反射手段、例えば紙を透けた画像光を正面側に反射して画像光をより強くすることができることにある。
そのベースとしては、金属板、例えばアルミニウムAlによる薄い板が好適である。というのは、反射性を有し、薄くても必要な機械的強度が得られ、且つ加工が用意で材料費も非常に安価だからである。
【0064】
本発明の反射型フロントスクリーンは、立体表示システムに用いることができる。反射型フロントスクリーンが偏光特性を保持する場合は、右目用画像と左目用画像を縦直線偏光、横直線偏光もしくは右円偏光、左円偏光に割り当て、偏光メガネを用いて視認するようにすると良い。
全反射と白色塗料、紙に拡散の場合は、偏光を保持できない。しかし、金属による鏡面形状散乱は、光の偏光を保持する特性を有しており、従って、金属反射のみで設計されている場合は、偏光を利用した立体表示が可能なのである。
【実施例1】
【0065】
以下、本発明の詳細を図示実施例に基いて説明する。
図1は本発明反射型フロントスクリーンの第1の実施例(:実施例1)を示す断面図、図2(A)〜(C)はそれぞれその実施例の一部を変形させた各別の変形例を示す断面図である。
先ず、図1を参照して第1の実施例を説明する。
21aは第1の実施例の反射型フロントスクリーンであり、22は全反射プリズムシートであり、横方向(水平方向)に延びる多数のプリズム素子24、24、・・・を縦方向(垂直方向)沿って多数配設してなる。この全反射プリズムシート22は、材料が、例えばアクリル系の透明樹脂であり、型成形により形成されている。
【0066】
26、26、・・・は各プリズム素子24、24、・・・・の頂部に塗布されたホットスポット・ホットライン防止用光吸収膜で、頂部に入射した画像光を吸収することにより、頂部へ入射した光が正面側へ反射されホットスポット、ホットライン(縦方向に延びるライン)が生じるのを防止する役割を果たす。 このホットスポット・ホットライン防止用光吸収膜26、26、・・・は、全反射プリズムシート22を、プリズム素子形成面が下を向く向きにして、容器等に入れた黒色インクその他塗料の液面に各プリズム素子24、24、・・・先端を浸漬させることにより形成することができる。
【0067】
28、28、・・・・は横方向に延びるストライプ状のブラックマスクで、例えばUV光に対して感光性を有した黒色の樹脂からなる。30、30、・・・は各隣接ストライプ状マスク28・28、28・28、・・・ 間の間隙部(非マスク部分)であり、各プリズム素子24、24、・・・の全反射面で反射された画像光が到達する場所に位置するように位置設定が為されている。
32は全反射プリズムシート22のブラックマスク28、28、・・・を含む出射面に積層された散乱反射手段である白紙である。この白紙32は表面が広い角度範囲に渡って均等且つ効果的に入射光の散乱(拡散)反射をする特性を有し、上記各非マスク部分30、30、・・・に露出する。
【0068】
36は上記白紙32の裏側に積層されたベースで、反射型フロントスクリーン2aの機械的強度を確保するとともに、白紙32の表面に入射したが拡散反射されることなく白紙32を透過する一部の光を反射して画像光の減衰を少なくする役割を果たす。
このベース36は薄い金属箔、例えばアルミニウム箔等により形成するとよい。
【0069】
全反射プリズムシート22は例えばアクリル系の透明樹脂からなるので、屈折率nは約1.5である。そして、全反射プリズムシート22を構成する各プリズム素子24、24、・・・は、それぞれ、斜め下向きの入射面tとそれに対して頂角θを成す全反射面uからなり、その入射面tはプロジェクタ(図示しない)からの画像光Rに対して垂直になるように向きが設定されている。
そして、上記頂角θは、全反射プリズムシート22の空気(屈折率は1.00)に対する全反射臨界角θc=sin−1(1/n)或いはそれ以上に設定されている。この場合、アクリル系等の樹脂の屈折率は1.5なので、全反射臨界角θcは41.8°となり、頂角θはそのθcかそれより大きい。本実施例では、その頂角θをそのθc=41.8°に設定した。
【0070】
従って、全反射面uは、入射面tに対して法線方向に入射したプロジェクタからの画像光Rを内面にて全反射プリズムシート22の出射面側へ全反射する。そして、その画像光Rが全反射されて入射する位置が非マスク部分30、30、・・・となっており、それ以外の部分がストライプ状のブラックマスク28、28、・・・となっている。
ここで、図1の一つのプリズム素子24aの入射面tに入射する画像光Rについて着目し、非マスク部分30とブラックマスク28との幅の比を考察すると、次のようになる。
【0071】
先ず、入射面tの先端、即ちプリズム素子24aの頂点と、一つ下のプリズム24bの頂点をよぎる光線が入射する点との距離をbとし、プリズム素子24bの頂点をよぎる光線が入射する点と入射面tの最下端との距離をaとする。
そして、プリズム24bの頂点をよぎる法線の頂点と、その法線が入射面tに達した点との距離をLとする。
【0072】
すると、非マスク部分30とブラックマスク28との幅の比a:bは次式で表される。
a:b=Ltan48.2°:Ltan20.9°
=1.1184:0.3818
=2.9281:1
以上のことから、a:bは、だいたい、3:1であるといえ、外光抑制比として充分な値であり、外光に対する画像のコントラスト比を充分に高めることができる。
【0073】
次に、図2を参照して図1に示した実施例の一部を変形した各変形例について説明する。
本変形例は、図2(A)、(B)に示すように、各プリズム素子24、24・・・の入射面tの頂部近傍を粗面化するか、図2(C)に示すように、モスアイ構造化した[図2(C)のvの部分がそれにあたる]ものである。粗面化又はモスアイ構造化によりプリズム素子24、24、・・・の頂部近傍に入射して表面反射する画像光を散乱させるか、又は全く反射させないため、ホットライン、ホットスポットを軽減するか、全く発生させないようにしたものである。vはその粗面化又はモスアイ構造化した部分である。
【実施例2】
【0074】
図3(A)、(B)は本発明反射型フロントスクリーンの第2の実施例(:実施例2)を示すもので、(A)は一部を切断した斜視図、(B)は正面図である。
21bは本実施例の反射型フロントスクリーンであり、図1に示した実施例(:実施例1)21aとは、各プリズム素子24、24、・・・の頂部を縦方向ホットライン防止用の横方向反射素子40、40、・・・形状にした点では異なるが、それ以外の点では共通する。そして、共通する点については既に説明済みなので、説明を省略する。
【0075】
上記各プリズム素子24、24、・・・の頂部(先端)に形成されたホットライン防止用の横方向反射素子40、40、・・・は、上から見て凸曲状であり、入射した光を横方向に拡散反射するので、縦方向に反射されてホットラインをつくる光の成分を顕著に減衰し、以て、ホットラインを防止することができる。
尚、横方向反射素子40、40、・・・の配置ピッチは一定ではなく、ばらつきを持たせた方が良い。なぜならば、配置ピッチが一定だと干渉が生じ、画像に干渉縞が生じるおそれがあるからである。横方向反射素子40、40、・・・の表面は、アクリル表面等の透明媒体表面である。
【実施例3】
【0076】
図4は本発明反射型フロントスクリーンの第3の実施例(:実施例3)の一部を切断した斜視図である。
21cは本実施例の反射型フロントスクリーンであり、本反射型フロントスクリーン21cは第2の実施例21bとは、各プリズム素子24、24、・・・の全反射面uの少なくとも画像光が入射する領域を、シリンドリカル凹曲面42、42、・・・とすることにより入射した画像光を一次元的集光をするようにした点で相違する。しかし、それ以外の点では異なるところがない。
【0077】
図4を参照して本実施例21cについて具体的に説明すると、上記凹曲面の延長線上の1点をoとし、その凹曲面の焦点と上記点oの距離をfとし、その点oを起点としその焦点の方向をy座標とし、その点oを起点としそのy座標と直角の方向をx座標としたとき下記の式が成立するようなシリンドリカル凹曲面42を有している。
y=x2/4f
そして、各プリズム素子24、24、・・・の凹曲面42、42、・・・に入射した画像光の集光位置のみが非マスク部分30、30、・・・となるようにストライプ状のブラックマスク28、28、・・・が形成されている。
【0078】
このような反射型フロントスクリーン21cによれば、凹曲面42、42、・・・による集光機能により、非マスク部分に対するマスク部分の幅の比をより大きくすることができ、画像の背景に対するコントラストをより強くすることができる。
尚、第2の実施例(:実施例2)21bと同様に、横方向反射素子40、40、・・・によるホットライン防止効果が得られる。
【実施例4】
【0079】
図5(A)、(B)は本発明反射型フロントスクリーンの第4の実施例(:実施例4)21dを示すもので、(A)は断面図、(B)は要部を示す斜視図である。
本実施例21dは、第3の実施例21cとは、基本的には、各反射面が一次元(垂直方向:縦方向)の集光機能を有するのみならず、その集光方向と直角の方向(水平方向:横方向)の集光機能を有する形状を有している点で、異なる。
即ち、第3の実施例21cにおいて、横方向に延びる各プリズム素子の全反射面の凹曲面部42は横方向に延びる中心を回転中心とするところの縦方向に集光するような円筒状であった。
【0080】
しかし、第4の実施例21dは、図5(B)に示すように、縦方向に延びる中心を回転中心とするところの横方向に集光する円筒状をも有しており、互いに直交する二方向に集光するようになっている。
従って、ブラックマスク44は、第1〜第3の実施例の場合とは異なり、ストライプタイプではなく、非マスク部分を成すピンホール46、46、・・・が縦横に点在するピンホールタイプである。
【0081】
このような第4の実施例21dによれば、各全反射面42、42、・・・における全反射光を二次元的に集光するので、ブラックマスク44のマスク部分の非マスク部分に対する面積比をより大きくすることができる。
従って、画像の背景に対するコントラストを第3の実施例21cの場合よりも更に強くすることができる。
尚、図5の符号48、48、・・・に示した部分が横方向拡散反射をするので、ホットラインを防止することもできる。
【実施例5】
【0082】
図6は本発明反射型フロントスクリーンの第5の実施例(:実施例5)を示す断面図であり、図7(A)〜(C)及び図8(E)、(F)は反射型フロントスクリーンによるプロジェクタからの画像光と外光に対する作用の概略を示す作用説明図である。
21eは本実施例の反射型フロントスクリーンを示し、本反射型フロントスクリーン21eは、金属(例えばアルミニウム)或いは樹脂フィルム等からなる基板62に、正面斜め下側に配置されたプロジェクタからの画像光を受けて一次元的に集光して反射する集光ミラー面64と、その集光ミラー面64からの光を受ける拡散反射面66とを縦方向に沿って交互に配置したものであり、第1〜第4の実施例21a〜21dとは全反射プリズムシート22を用いない点で異なる。
【0083】
基板62は裏側が平坦で、表側が横方向(水平方向)に延びる集光ミラー面64と同じく横方向(水平方向)に延びる拡散反射面66とを縦方向(垂直方向)に沿って交互に配置した形状を有している。
各集光ミラー面64、64・・・は凹曲面形状を有し、一次元的集光機能を持つ。各拡散反射面66、66、・・・は各集光ミラー面64、64・・・にて反射された光を受ける面であり、その表面には白色塗料からなる散乱反射膜68が形成されている。尚、各拡散反射面66は、表面形状により光を反射拡散する、表面形状拡散反射面であっても良い。この場合、散乱反射膜68は不要である。金属による鏡面形状散乱は、光の偏光を保持する特性を有しており、立体表示を、右目用画像と左目用画像を縦直線偏光、横直線偏光もしくは右円偏光、左円偏光に割り当て、偏光メガネを用いて行う場合には、有効な手段となる。
【0084】
70、70、・・・はストライプ状のブラックマスク、72、72、・・・は非マスク部分で、一次元的集光機能を有する各集光ミラー面64、64・・・により反射された光の集光される部分に位置せしめられている。そして、その非マスク部分72、72、・・・に白色塗料からなる散乱反射膜68の表面が露出する。
従って、プロジェクタからの画像光Rは各集光ミラー面64、64、・・・に入射して一次元的に集光して反射され、上記非マスク部分72、72、・・・にて反射型フロントスクリーン21eの正面側へ拡散反射され、画像の表示に寄与する。
【0085】
次に、図7(A)〜(C)及び図8(D)、(E)を参照して反射型フロントスクリーン21eの光に対する作用を説明する。尚、図7及び図8においては白色塗料からなる散乱反射膜68は捨象した。
図7(A)は反射型フロントスクリーン21eの正面の斜め下側に配置された図示しないプロジェクタからの画像光(プロジェクタ光)について示すものである。
画像光は斜め上向きに各集光ミラー面64、64、・・・に入射し、そこで集光して反射され、焦点(上に位置する非マスク部分66)に入射し、その表面に露出する散乱反射膜[図7においてはこの散乱反射膜68では捨象されている。]表面にて正面側へかなり広い角度範囲で散乱反射される。従って、スクリーン21eの正面側にて広い角度範囲で画像を視認できる。
【0086】
図7(B)は上方からの外光について示すものである。各散乱反射膜に形成されたストライプ状のブラックマスク70、70、・・・は上方からの外光に対してルーバー機能を発揮し、角度分離により外光を抑制する。
図7(C)は正面方向からの外光について示すものである。図中のA、A、・・を通った正面方向の光は集光ミラー面64に入射した光で、この光は集光ミラー面64にて反射されて角度情報が位置情報に変換され、ブラックマスク70により吸収される。
【0087】
図中のB、B、・・・を通った正面方向の光は集光ミラー面64に散乱反射面66に入射するが、その光に対してはストライプ状のブラックマスク70、70、・・・がルーバー機能を発揮し、外光を吸収することにより抑制する。
図8(D)は下方からだが画像光(プロジェクタ光)よりは上方の向きの外光について示し、図8(E)は画像光よりも下方からの光について示す。
図8(D)、(E)において、図中のA、A、・・を通った下方からの光は集光ミラー面64にて反射されて角度情報が位置情報に変換され、ブラックマスク70により吸収される。
【0088】
また、図中のB、B、・・・を通った下方からの光は、散乱反射面66に入射するが、その光に対してはストライプ状のブラックマスク70、70、・・・がルーバー機能を発揮し、外光を吸収することにより抑制する。
図7(A)〜(C)及び図8(D)、(E)に示すように、画像光を有効に正面方向に散乱反射することができ、且つ、どの方向の外光に対しても有効にブラックマスク70により吸収することができ、延いては、画像の背景に対するコントラストを良くすることができる。
【0089】
このような反射型フロントスクリーン21eによれば、アルミニウム等からなり所定形状に成形した基板(金属箔)62の各拡散反射面66に白色塗料を塗布することにより拡散反射膜68を形成し、更に、その拡散反射膜68上にストライプ状ブラックマスク70を選択的に形成するとことにより安い材料で極めて低コストで形成することができる。
そして、本実施例21eによれば、各集光ミラー面64、64、・・・の一次元的集光機能により、図1、図2に示す実施例21a、21bよりもストライプ状ブラックマスク70の幅に対する非マスク部分72の幅の比を小さくし、非マスク部の幅を小さく細くし、画像の背景に対するコントラストをより強くすることができる。
【0090】
尚、アルミニウムからなる基板(金属箔)62の各拡散反射面66、66、・・・は、適宜粗面化している場合には散乱反射性を有する。従って、拡散反射膜68、68、・・・を形成することなく、各拡散反射面66、66、・・・を非マスク部分72、72、・・・に直接露出させ、各集光ミラー面64、64、・・・で集光された画像光を各拡散反射面66、66、・・・上にて直接散乱反射させるようにしても良い。
但し、散乱反射された光は、金属光沢を有し、画像の品位を低下させる可能性があり、図6に示す実施例21eの場合より若干画質が劣る可能性がある。
【実施例6】
【0091】
図9は本発明反射型フロントスクリーンの第6の実施例(:実施例6)を示す一部を切断した斜視図である。
21fは本実施例の反射型フロントスクリーンであり、本実施例21fは、図6に示した反射型フロントスクリーン21eとは、集光ミラー面64、64、・・・が単に縦方向(垂直方向)の一次元的集光機能を有するのみならず、その方向と直角の横方向(水平方向)への集光機能を有するという点と、そのため、ブラックマスクとしてストライプ状ではなくピンホール状のもの74を形成するという点でのみ異なり、それ以外の点では同じである。76はそのピンホール状の非マスク部分である。
【0092】
本実施例21fによれば、実施例21eと同程度の低価格で製造することができ、また、互いに直角の方向の二次元的集光機能を有する集光ミラー面64にて二次元的集光して反射するので、ブラックマスク74と非マスク部分72、72、・・・の面積比を実施例21eよりも大きくすることができ、従って、実施例21eよりも画像の背景に対するコントラストを強くできる。
【実施例7】
【0093】
図10は本発明反射型フロントスクリーンの第7の実施例(:実施例7)を示す一部を切断した斜視図である。
21gは本実施例を示し、本実施例21gは第1〜第6の実施例21a〜21fとは、レンチキュラーレンズシート102を主たる部材として利用する点で全く異なる。
【0094】
レンチキュラーレンズ102は、透明な樹脂、例えばアクリル樹脂からなり、半径rの横方向(水平方向)に延びる円筒面状のレンズ素子104を多数個縦方向(垂直方向)に沿って配設したものであり、その厚さTは次式で表される。
T≒r+f(θ1)cosθ1
尚、θ1はスクリーンに対して水平に正面に延びる法線に対する、斜め下側に位置するプロジェクタからの画像光の角度である。
そして、その厚さTは3rより小さい。
つまり、T≒r+f(θ1)cosθ1<3rである。
【0095】
106、106、・・・はレンチキュラーレンズ102の底面に形成されたストライプ状のブラックマスクであり、108、108、・・・は各ブラックマスク間106・106、106・106、・・・に存在するストライプ状の非マスク部分であり、プロジェクタからの画像光(角度θ1)の各レンズ素子104により集光されるところに位置されている。
110は光を散乱反射する散乱反射手段である白紙であり、ブラックマスク106、106、・・・が底面に形成されたレンチキュラーレンズ102のそのブラックマスク106、106、・・・を含む底面に形成されている。そして、この白紙110の表面は上記非マスク部分108、108、・・・に露出する。
【0096】
112は例えばアルミニウムからなるベースで、白紙110の底面に固定されており、反射型フロントスクリーン21gの強度確保と白紙110を透過しようとする画像光を反射して画像光の利用効率を高める役割を果たす。
以下に、レンチキュラーレンズ(或いはフライアイレンズ)を主体として反射型フロントスクリーンをつくる発想を得た経過について説明すると共に本実施例の原理を説明する。
図11は一般的なレンチキュラーレンズ(或いはフライアイレンズでも良い。しかし、以後はフライアイレンズでも良いと言うことは繰り返さない。)101をフロントスクリーンとして用いた場合を示している。一般的なレンチキュラーレンズ101は厚みがそのレンズ素子103、103、・・・の焦点距離fに設定されている。
【0097】
このようなレンチキュラーレンズ101を用いると、プロジェクタ120からの画像光が各レンズ素子103、103、・・・に入射して非マスク部分108、108、・・・に集光しても反射された光はレンズ素子103、103、・・・を再度通るので、そこで平行光になってプロジェクタ120側へ戻る。即ち、拡散しないのである。隣のレンズ素子103へ入った光も平行光になり、拡散しない。
従って、拡散角が広がらず、スクリーンとして機能しないのである。
依って、レンチキュラーレンズ101は反射型フロントスクリーンには利用できないと考えられてきた。
【0098】
しかし、本願発明者は、レンズの厚さを球面レンズ焦点距離3rよりも顕著に短くすれば、大角度入射光(放線に対する角度の大きい入射光)については強い球面収差が生じ、散乱反射されても通ってきたレンズ素子を通らず、それとは別のレンズ素子を通るので、平行光になり得ず、拡散し、反射型フロントスクリーンとして機能し得るという着想を得て、本実施例を案出した。
【0099】
図12は斯かる本実施例21gの原理説明図である。
122は半径rの凸曲面(フライアイレンズの場合には凸球面)のレンズ素子であり、例えばアクリル樹脂からなり、その屈折率nrは1.5である。ちなみに、空気の屈折率naは1.0である。
fはその凸曲面状の各レンズ素子122の焦点距離であり、レンズ素子122の表面上の或る点pにその光軸と平行に入射した光線Rに着目することとする。
【0100】
上記点pの接線と垂直なラインの法線に対するその入射した光線Rの角度をθ1とすると下記の式1が成立する。
nasinθ1=nrsinθ2 ・・・式1
尚、θ2は上記点pと上記レンズ素子122の中心oを結ぶ線に対する上記光線Rのレンズ素子122を通る部分の角度である。
上記式の空気の屈折率naに1.0を代入し、アクリル樹脂の屈折率nrに1.5を代入すると、下記の式2が成立する。
1.0sinθ1=1.5sinθ2 ・・・式2
【0101】
次に、上記光線Rの上記レンズ素子122の光軸に対する角度をθ3とすると、下記の式3が成立する。
r/sinθ3=f/sinθ2 ・・・式3
尚、球の中心oと、点pと、光軸と平行にレンズ素子122に入射した光線Rが光軸をよぎる点(中心oから焦点距離fだけ離れた点:焦点)qを結ぶ三角形の図から明らかなように、θ1=θ2+θ3が成立する。
【0102】
そして、上記式2からsinθ2=1.0sinθ1/1.5が成立する。
また、上記式3及びθ1=θ2+θ3から下記の式4が成立する。
f(θ1)=sinθ2・r/sinθ3=1.0・sinθ1・r/1.5・sinθ3
=r・sinθ1/1.5・sin(θ1−θ2)・・・式4
上記式からθ1を10°から90°まで10°毎に変化させた場合(但し、θ1=45°の場合も含む)のθ2、1/sin(θ1−θ2)及び焦点距離f(θ1)を示すのが下記の表1である。
【0103】
【表1】

【0104】
上記表1から明らかなように、焦点距離f(θ1)はθ1が10°の場合、1.9799r、約2rになり、80°の場合、1.044r、約1rになる。
つまり、球面収差により焦点距離f(θ1)が1rから2rの範囲で変化する。
従って、θ1が例えば80°というように大角度である場合、或るレンズ素子122aを通った光線は、図13に示すように、焦点位置に入射してもそこで散乱反射されると別のレンズ素子122cを通り、平行光にはならず、±θ5の角度内で拡散する。
【0105】
そこで、図14に示すように、レンチキュラーレンズの厚さTをr+f(θ1)cosθ1と3rよりも顕著に小さくすると、大角度で入射し焦点位置で散乱反射した光は正面方向へは平行光になることなく散乱反射するので、フロントスクリーンとして機能し得るのである。
更に、大角度で入射した光は、球面収差により完全に一点の焦点位置に集まらず、集光位置は広がり、大きさを持つので、各レンズ素子104・104間の角度的拡散が生じる。
従って、図11に示すようなレンチキュラーレンズを用いた場合におけるような、レンズに入射した光が散乱反射されても入射したレンズ素子103を通って集光され平行光になるという問題を、回避することができ、反射型フロントスクリーンとして充分に使用が可能であり、そのようにしたのが図10に示す実施例21gなのである。
【実施例8】
【0106】
図15は本発明反射型フロントスクリーンの第8の実施例(:実施例8)21hを示す一部を切断した斜視図である。
本実施例(:実施例8)21hは、図10に示す実施例21gとは、基本的にレンチュキュラーレンズ(102)に代えてフライアイレンズ103を用いることにより、縦方向(垂直方向)における集光のみならず横方向(水平方向)における集光をも為すようにしたというという点で異なる。
105、105、・・・はフライアイレンズ103を構成するフライアイレンズ素子である。
【0107】
そのようにフライアイレンズ103を用いるようにしたのは、ブラックマスクと非マスク部分の面積比を実施例21gよりも大きくし、画像の背景に対するコントラストを強くできるようにするためである。勿論、そのことから派生して、ブラックマスクとしてストライプタイプではなくピンホールタイプのものを用いるという相違点をも有する。しかし、それ等以外の点では相違がない。
107はブラックマスク、109、109、・・・はピンホールタイプの非マスク部分であり、散乱反射手段である例えば白紙110の表面がその非マスク部分109、109、・・・に露出し、そこに入射した光を散乱反射する。112は例えばアルミニウム等からなるベースである。
【実施例9】
【0108】
図16は本発明反射型フロントスクリーンの第9の実施例(:実施例9)21iを示す断面図である。
先ず、本実施例(:実施例9)の意義について説明する。上述の実施例7、8は、大角度入射の場合には有効に機能しうるが、低角度入射から大角度入射の範囲を、投射角度とするプロジェクタの場合には、低角度側で、拡散光がやはり、平行光に近くなってしまい、低角度側で視野角が非常に狭くなってしまうおそれがなくはない。
【0109】
というのは、近年開発されている広角の短焦点プロジェクタの場合でも、投射角は、20°〜60°程度であり、大角度入射だけを使うプロジェクタは、限定されてしまう。そのため、現在既に普及しているプロジェクタに対応するためには、低角度から大角度までの投射に対しても、外光対策できるフロントスクリーンが望ましい。
そこで、第7、第8の実施例21g、21hをさらに進化させた形態が、この第9の実施例21iなのである。尚、後述する第10の実施例21j、第11の実施例21kも第9の実施例21iのように第7、第8の実施例21g,21hをさらに進化させた形態である。
【0110】
本実施例21iは、レンテキュラーレンズまたはフライアイレンズによって、角度情報を位置情報に変換し、外光対策を行う考えを有する点では、実施例7.8と同じであるが、低角度入射の反射型フロントスクリーンでも使えるように、透明角度領域と拡散角度領域の拡散フィルムを、レンテキュラーレンズ又はフライアイレンズのレンズ主平面近傍に設置していることが、根本的に異なっているのである。
本実施例21iの構成を図16を参照して説明する。同図において、130は例えばアルミニウムからなるベース、132はそのベース130の表面で、鋸歯状反射板形状、反射型フレネルレンズ形状又は反射型シリンドリカルフレネルレンズ形状を有している。
【0111】
134、134、・・・は、ストライプタイプのブラックマスクであり、次に述べるレンチキュラーレンズシート(136)の各レンズ素子の焦点にあたる部分を除きマスクするように形成されている。即ち、その各レンズ素子の焦点にあたる部分において上記ベース130の表面132が露出している。
136は、上記ベース130の表面(ブラックマスク134、134、・・・が形成された部分を含む)に裏面を接着されたレンチキュラーレンズシートであり、その焦点距離はfである。レンズ素子形成面が表面であり、各レンズ素子にその光軸と平行に入射した光は上記ベース130の露出した表面132に集光される。
【0112】
138は透明光学接着剤(屈折率が1.4)で、この接着剤138を介して上記レンチキュラーレンズシート136のレンズ素子形成面に、拡散(DLC)フィルム140が接着されている。なおレンチキュラーレンズシート136の焦点距離fは、136の屈折率1.5のアクリルと屈折率1.4の透明光学接着剤の2つの屈折率差とレンズ形状で決まる焦点距離である。この拡散フィルム140は、透明角度領域と拡散角度領域を有する。具体例を挙げると、入射角+15°〜−15°の範囲の入射光に対して入射角無依存の拡散特性を有し、その範囲外の入射光に対しては透明となる特性を有する。
次に、本実施例21iの原理を述べる。床置き型又は机上置き型のプロジェクタ(図示を省略した)からのプロジェクタ光Rがスクリーン21iに対して正面の斜め下側から入射する。このプロジェクタ光の入射角度がレンズ主平面近傍に設置した拡散フィルム140の透明角度領域内にあり、プロジェクタ光Rは拡散フィルム140内を全く拡散せず、恰もガラス板を通り抜けると同じように直進する。
【0113】
この状態で、レンテキュラーレンズ136(フライアイレンズを用いる実施例もあり得る。以後、このことは繰り返し述べない)の表面に達したプロジェクタ光Rは、レンテキュラーレンズ136の各レンズ素子によって各焦点位置に集光される。この各焦点位置にはブラックマスクは存在しないため、焦点位置の各反射面132、132、・・・によって、方向を変えられ、かつ散乱反射する。
この反射面132、132、・・・は、上述したように、散乱反射性を有する鋸歯状反射板、または散乱反射性を有する反射型フレネルレンズ、または散乱反射性を有する反射型シルンドリカルフレネルレンズ形状である。従って、拡散主光線方向はスクリーン法線方向を向くことになる。
【0114】
さて、各焦点位置にある反射面132、132、・・・で拡散した光は、再度レンテキュラーレンズ136(或いはフライアイレンズ)に入射すると、低角度入射の場合には、あまり反射方向が変化していないため、ほぼ平行光に戻ってしまう筈である。
しかし、この第9の実施例21iの場合、(後述する第10の実施例21j、第11の実施例21kの場合も同様)、図16に示すように、出射する時は、レンテキュラーレンズ136(或いはフライアイレンズ)のレンズ主平面近傍に設置している拡散フィルム140の拡散角度領域を通過するため、しっかり拡散されることとなり、問題なく画像表示を行うことができる。
【0115】
図16に示す本実施例(:第9の実施例)21iでは、この透明領域と拡散角度領域を有する拡散フィルム140としてDiffused Light Control film(DLC-film) (特開2006−84563号公報又はKG170001-USに記載のフィルム)を用いている。類似した特性を持つフィルムとして、住友化学の『ルミスティ』があげられる。
上述した拡散フィルムの拡散角度範囲は、上下±15°のものや±25°のものが典型例である。この拡散角度以外ではガラスのように透明となる。このフィルムを変形したものに、+5°〜―45°の範囲で拡散角度領域となるフィルムもあり、積層することで、±45°の拡散角度領域の実現も可能にしている。また、これ以外の変形例も使用可能である。さて、外光であるが、反射面にしっかりブラックマスクが設置されているため、透明角度領域から進入してきた外光も、拡散角度から進入してきた外光も、ブラックマスクがしっかり吸収してくれるので、非常にすぐれたコントラストを明所で実現できる。
この透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルムとしては、具体的にDLCフィルムを用いるが、縦拡散1枚のみで良いため、従来型の図25に示したスクリーンよりはるかに安価となる。
【0116】
図16に示す第9の実施例21iの構成によれば、フレネルレンズ+レンティキュラーレンズ+ブラックマスク+拡散フィルムの構成で知られるリアプロジェクションTVの機能を全て実現できることがわかる。
リアプロジェクションシステムの機能を全て実現できる反射型フロントスクリーンは、これ以外に例がなく、非常にすぐれた特性が期待できる。
【実施例10】
【0117】
図17は、本発明反射型フロントスクリーンの第10の実施例(:実施例10)21jを示す断面図である。
本実施例21jは、レンテキュラーレンズシート136(或いはフライアイレンズ)内部における主平面(レンズ素子形成面)近傍に、透明領域と拡散角度領域を有する拡散フィルム140を設置したものである。尚、このスクリーンをBM付きレンチ・DLCフロントスクリーンと名付けると良い。ちなみにBMはブラックマスクのことを指す。
【0118】
ここで、第9(及び第10)の実施例21i(21j)の外光抑制機能に関して説明をする。
図18は、図16に示すスクリーン(第9の実施例)21iの外光抑制機能の例を示す断面図である。この外光抑制機能は、従来の図25に示す反射型フロントスクリーンでは外光抑制不能である、プロッジェクター光より下方からの外光に対して抑制機能を発揮する。
【0119】
この外光は、プロジェクタ近傍の床からの拡散光として生じ、例としては、天井照明光、窓からの太陽光(西日)等による拡散光が床で反射されてスクリーンに入射角度領域である、透明角度領域から侵入してくるものでる。
図18に示すように、反射面のブラックマスク134、134、・・・がしっかり吸収してくれることがわかる。
図19は、図25に示す従来型の場合における外光抑制機能を示すものであり、図18に示した上記実施例21iの外光抑制機能と比較するためのものである。
【0120】
図19に示す外光抑制機能においては、入射角度領域である、透明角度領域から侵入してくる外光に対して、全く抑制機能を有していないため、鋸歯状反射面で方向を変えた外光は、拡散角度領域に侵入し、観察角度領域に拡散するため、コントラストを著しく低下させることがわかる。
それに対して、本発明の第9、第10の実施例のBM付きレンチ・DLCフロントスクリーン21i(21j)は、透明角度領域からの外光抑制機能だけでなく、拡散角度領域からの外光に対しても、反射面のブラックマスクが、外光を吸収するため、拡散角度領域がどんなに広くても問題なく外光抑制可能である。
【0121】
図20はその拡散角度領域からの外光に対しても抑制機能を有することを示す図である。即ち、図20に示すように、拡散角度領域からの外光は、画面に対する占有面積比の大きなブラックマスク134、134、・・・により吸収することができ、有効に外光抑制ができるのである。従って、拡散角度領域と透明角度領域とがオーバーラップしても良く、それ故、上下視野角を広くすることができるのである。
この外光抑制特性は、拡散角度領域の広さが、視野角の広さを決めるため、スクリーン近傍から、スクリーン全体を見ることができるエリアを実現できるため、会議室やゼミ室、教室等の空間の有効利用に重要な特性となる。
それに対して、従来の反射型フロントスクリーンでは、鋸歯状反射板で透明角度領域と拡散角度領域を折り返しているだけなので、拡散角度領域を大きくしてゆくと、ミラー対称性から必ずオーバーラップが生じ、拡散角度領域からの外光の一部が、再度拡散角度領域に侵入するため、原理的に、上下視野角を広くとることができない。従って、本発明の第9、第10の実施例21i、21jのスクリーン特性の実現は不可能である。このことからも、図16、17に示す第9の実施例21iや第10の実施例21jの方が特性が優れていることが分かる。
【0122】
図21は、第9の実施例21iや第10の実施例21jのBM付きレンチ・DLCフロントスクリーンが適用される天井設置型プロジェクタの使用環境例を示す。
プロジェクタ150として天井設置型のものを使用する場合、一般に普及しているプロジェクタでは、スクリーンと天井設置型プロジェクタとの間に、天井の照明152、152、・・・が存在するため、この光がコントラストを大幅に悪化させることとなる。天井設置型プロジェクタ光より上方からの外光(床置き形プロジェクタの場合のプロジェクタ光より下方からの外光に対応)抑制が必要不可欠となる。特に大画面のスクリーンとなると、スクリーンは、机より高い位置から上側に設置するため、スクリーン上端は、天井近傍となる。
【0123】
従って、スクリーン21i上端では、天井設置型プロジェクタからの光線は、低角度の垂直入射近傍となるため、投射距離分スクリーンから天井設置プロジェクタを離さなければならない。依って、大画面スクリーンの場合、天井設置プロジェクタ150とスクリーン21i(或いは21j)との間には、かなりの数の天井照明152、152、・・・が存在することとなる。天井設置プロジェクタ150が部屋の奥に設置してある場合、部屋の天井照明の全て152、152、・・・がコントラスト低下の原因となる。
【0124】
更に、スクリーン上端部では天井設置型プロジェクタからの光が、スクリーン法線方向近傍から入射してくるため、低角度でも外光抑制機能を発現できることが必要不可欠となる。これが可能なのは、本発明のBM付きレンチ・DLCフロントスクリーン21i、21jのみである。
図22は、第9の実施例21iにおける、プロジェクタ光より上方からの外光抑制例を示す断面図である。この図から明らかなように、プロジェクタ光よりも上方からの外光は反射面132のブラックマスク134、134、・・・が、外光を吸収するため、拡散角度領域がどんなに広くても問題なく外光抑制可能である。
【0125】
図23は、従来型の反射型フロントスクリーンを天井設置型のプロジェクタを用いる使用環境下で使用した場合のプロジェクタ光上方からの外光抑制が不能である例を示す。この場合は、図23から明らかなように、プロジェクタ光よりも上方からの外光が、各鏡形成領域にて表面側に反射されて視る者に視認されてしまう。図22に示す本発明の第9の実施例21i(及び第10の実施例21j)の外光抑制例の場合と比較すると、外光抑制効果が従来型の場合には顕著に劣ることが明らかである。
【実施例11】
【0126】
図24は、本発明反射型フロントスクリーンの第11の実施例(:実施例11)21kを示す断面図である。
本実施例21kは、ベース130の表面を平坦な面132pにする、即ち、反射板形状の鋸歯状形状を不要にし、以てベース130の製造を容易にしたものである。
本実施例21kは、図16に示した第9の実施例21iとは、第1に、ベース130として、表面132pは左右方向拡散用の表面形状を有し、垂直方向における鋸歯状の表面形状を有しない点で異なっている。従って、第9の実施例21iの場合と比較すると、ベース130の製造は容易である。
【0127】
第2に、拡散フィルム140aとして、拡散角度領域を、スクリーン法線方向から下方にずらしたものを用いる点で、本実施例21kは、図16に示した第9の実施例21iとは異なっている。具体的には、例えば+5°〜−45°の範囲で入射角に依存しない拡散特性を有するものを用いる。勿論、その角度以外の光に対しては透明となる特性を有する。
この第11の実施例21kの存在意義について述べると、次の通りである。
天井設置プロジェクタ対応のBM付きレンチ・DLCフロントスクリーンの使用環境は図21に示すようになるが、このような環境下では、スクリーンより高い位置から観察する人は存在できない。
従って、スクリーン上方へ拡散するのは、無駄になる。そこで、拡散主光線方向をスクリーン法線方向より少し下方へ設定することにより、反射面132pの形状から鋸歯状の形状を取り除いたスクリーン構成にするのである。
【0128】
つまり、天井設置プロジェクタ150は、天井からプロジェクタ光(画像光)を投射するため、スクリーン21j上方から画像光が入射してくる。従って、正反射方向のスクリーン下方に観察者がいるので、わざわざ反射方向を変える必要がなく、透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルムの拡散角度領域を、スクリーン法線方向から下方にずらした、拡散フィルム140aを用いて、観察者に画像を表示するのである。
用いるフィルムは、拡散角度領域が、+5°〜−45°のフィルムである。この角度以外ではガラスのように透明となる。プロジェクタ光は、スクリーン法線方向からわずか5°上方の低角度入射から入射可能であり、天井近傍までスクリーンの上端の位置の設定が可能である。従って、大画面表示を高いコントラストで、照明をつけた状態でも見ることができる。しかも、上下視野角は、50°もとれるため、部屋の前部からスクリーン全体を見ることができ、部屋の空間の有効利用が可能である。
【0129】
第9の実施例21i、第10の実施例21j,第11の実施例21kの拡散フィルム140、140a及び反射面132における拡散特性の一方向性は、異方性のあるものを用いており、透明角度領域と拡散角度領域をもつ拡散フィルムの拡散方向は、ほぼ上下方向のみの拡散を、反射面での拡散は、ほぼ横方向のみの拡散を実現するものである。これは請求項11に記載の実施例でもある。
【実施例12】
【0130】
図示はしないが、本発明の反射型フロントスクリーンは立体表示にも用いることができる。そのように立体表示に用いる一つの実施例を本発明の第12の実施例(:実施例12)とし、以下その実施例を説明する。
反射型フロントスクリーンが偏光特性を保持する場合は、右目用画像と左目用画像を縦直線偏光、横直線偏光もしくは右円偏光、左円偏光に割り当て、偏光メガネを用いて視認するようにする。
【0131】
金属による鏡面形状散乱は、光の偏光を保持する特性を有しており、全反射と、白色塗料、紙に拡散の場合は、偏光を保持できない。従って、金属反射のみで設計されている場合は、偏光を利用した立体表示が可能である。請求項8、9に記載のスクリーンにおける反射面に、表面形状金属反射を用いる場合は、偏光保持が可能である。
また、第9〜第11の実施例21i、21j、21kに使用する、透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルム140、140 aは、透過型拡散フィルムであるにもかかわらず、偏光を保持する特性を有しており、請求項10、11に記載の、本発明BM付きレンチ・DLCフロントスクリーンは、偏光保持型の反射型フロントスクリーンであるので、偏光を利用した立体表示が可能である。
【0132】
尚、請求項1〜11に記載のスクリーンを用い、高速に右目用画像と左目用画像を時分割表示し、これと同期するシャッターメガネを用いて、明所でも高コントラストの立体表示を行うことは可能である。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、フロントプロジェクション型表示装置に用いる反射型フロントスクリーンに広く産業上の利用可能性があり、更に、反射型フロントスクリーンを用いて明所で高いコントラストの画像表示での立体表示画像(三次元画像)を視認できる立体表示システムにも産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0134】
21a〜21k・・・各実施例の反射型フロントスクリーン、
22・・・全反射プリズムシート、
24・・・全反射プリズムシートのプリズム素子、t・・・入射面
u・・・全反射面、v・・・全反射面の粗面化した部分、
26・・・ホットスポット・ホットライン防止用光吸収膜、
28・・・ブラックマスク(ブラックストライプタイプ)、
30・・・非マスク部分、
32・・・散乱反射手段(白紙又は白色塗料等)、
34・・・散乱反射手段の表面(散乱反射面)、
40・・・ホットライン防止用の横方向反射素子、
42・・・画像光を反射する凹曲面、
44・・・ブラックマスク(ピンホールタイプ)、46・・・非マスク部分、
62・・・基板(アルミニウム等の金属又は樹脂フィルム)
66・・・基板の散乱反射面、
68・・・散乱乱反射手段(例えば白色塗料)、
70・・・ブラックマスク(ストライプタイプ)、72・・・非マスク部分、
74・・・ブラックマスク(ピンホールタイプ)、
102・・・レンチキュラーレンズ、103・・・フライアイレンズ、
104・・・レンチキュラーレンズ素子、105・・・フライアイレンズ素子、
106・・・ブラックマスク(ストライプタイプ)、
107・・・ブラックマスク(ピンホールタイプ)、
108、109・・・非マスク部分、
110・・・散乱反射手段(例えば白紙)、
120・・・プロジェクタ
122・・・球面(円筒面)レンズ素子
122a、122c・・・レンチキュラーレンズ素子
130・・・ベース(例えばアルミニウムからなる)、
132、132p・・・ベースの表面(反射面)
134・・・ブラックストライプまたはピンホール型ブラックマスク
136・・・レンチキュラーレンズシート、
138・・・屈折率1.4の透明光学接着剤
140、140a・・・透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルム、
150・・・プロジェクタ、152・・・天井の照明。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射側に入射面と全反射面からなり頂角がθのプリズム素子を垂直方向に複数配設し、出射側が表面形状のない出射面とされた屈折率nの透明材料からなり、各プリズム素子の頂角θがsin−1(1/n)以上に設定された全反射プリズムシートと、
上記全反射プリズムシートの上記出射面に各プリズム素子の上記入射面に入射し上記全反射面にて内面全反射された光を遮光しない位置を除いて配置されたブラックマスクと、
上記全反射プリズムシートの出射面に配置された散乱反射手段を、
有することを特徴とする反射型フロントスクリーン。
【請求項2】
請求項1の反射型フロントスクリーンにおいて、
入射光の入射角の変化に応じて入射光線がプリズム素子入射面に略垂直になるようプリズム素子の頂角を略一定に保ちながらプリズム素子入射角と全反射面を回転させた
ことを特徴とする反射型フロントスクリーン。
【請求項3】
請求項1又は2の反射型フロントスクリーンにおいて、
各プリズム素子頂角部に線状のホットスポット・ホットライン防止用光吸収膜を形成した
ことを特徴とする反射型フロントスクリーン。
【請求項4】
請求項1又は2の反射型フロントスクリーンにおいて、
各プリズム素子頂角部の入射面に凹凸またはモスアイ構造を形成した
ことを特徴とする反射型フロントスクリーン。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4の反射型フロントスクリーンにおいて、
各プリズム素子の入射面と全反射面のいずれか一方又は両方の面が一次元的集光機能を有する
ことを特徴とする反射型フロントスクリーン。
【請求項6】
請求項1、2、3又は4の反射型フロントスクリーンにおいて、
各プリズム素子の入射面が一次元的集光機能を有する円筒型屈折レンズであり、
各プリズム素子の全反射面が一次元的集光機能を有する全反射型円筒凹面鏡であり、
上記入射面の一次元的集光機能の集光方向と上記全反射面の一次元的集光機能の集光方向とが互いに略直交し、
表面形状のない出射面に設けたブラックマスクが各プリズム素子の全反射面にて反射されたところの光の集光位置がピンホールとなるピンホール型のブラックマスクである
ことを特徴とする反射型フロントスクリーン。
【請求項7】
請求項1、2、3又は4の反射型フロントスクリーンにおいて、
各プリズム素子の入射面と全反射面のいずれか一方又は両方の面が二次元的集光機能を有し、
表面形状のない出射面に設けたブラックマスクが各プリズム素子の全反射面にて反射された光の集光位置がピンホールとなるピンホール型のブラックマスクである
ことを特徴とする反射型フロントスクリーン。
【請求項8】
一次元的集光機能又は二次元的集光機能を有する金属反射又は全反射の傾いた凹面鏡のミラー面を複数有するミラー集合体と、
拡散主光線方向が略反射スクリーン法線方向となる傾いた面には、各焦点位置に拡散機能を有する散乱反射手段を有し、
焦点位置以外の部分には光吸収機能を有するブラックマスクが設けられている
ことを特徴とする反射型フロントスクリーン。
【請求項9】
一次元的集光機能を有するレンティキュラーレンズシート若しくは二次元的集光機能を有するフライアイレンズの大角度入射光の略集光位置に散乱反射機能を有する散乱反射手段を有し、
上記散乱反射手段の出射側の焦点位置以外の部分には光吸収機能を有するブラックマスクが設けられている
ことを特徴とする反射型フロントスクリーン。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の反射型フロントスクリーンにおいて、
散乱反射手段として、反射する面を表面形状金属反射がされるようにすることにより偏光保持拡散されるようにしたものを用いた
ことを特徴とする反射型フロントスクリーン。
【請求項11】
一次元的集光機能を有するレンティキュラーレンズシート若しくは二次元的集光機能を有するフライアイレンズの低角度入射から大角度入射光の略集光位置に散乱反射機能を有する散乱反射手段を有するか、或いは、更に、この拡散手段に加え拡散主光線方向をスクリーン法線方向に向ける鋸歯状反射面構造を付加した散乱反射手段を有し、
上記散乱反射手段の出射側の焦点位置以外の部分には光吸収機能を有するブラックマスクが設けられ、かつレンティキュラーレンズ、若しくはフライアイレンズの主平面近傍である、スクリーン表面か、すぐ内側に、透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルムを有している
ことを特徴とする反射型フロントスクリーン。
【請求項12】
請求項11に記載の反射型フロントスクリーンにおいて、
焦点位置における散乱反射手段が、ほぼ一方向の異方性散乱反射特性を有し、且つレンティキュラーレンズ、若しくはフライアイレンズの主平面近傍である、表面か、すぐ内側に、透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルムの拡散特性が、ほぼ一方向の異方性拡散特性である
ことを特徴とする反射型フロントスクリーン。
【請求項13】
請求項9、請求項11又は請求項12に記載の反射型フロントスクリーンを用い、
透明角度領域と拡散角度領域を有する拡散フィルムの偏光保持特性と反射面に表面形状金属反射による偏光保持拡散を組み合わせることより、偏光保持拡散機能を実現し、右目用画像と左目用画像に互いに直交する2つの直線偏光を割り当てるか、右円偏光と左円偏光を割り当て、(円)偏光メガネを用いることにより、立体表示を行うようにした
ことを特徴とする立体表示システム。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれかに記載の反射型フロントスクリーンを用い、
高速に右目用画像と左目用画像を時分割表示し、これと同期するシャッターメガネを用いて、明所でも高コントラストの立体表示を行う
ことを特徴とする立体表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−42518(P2012−42518A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181103(P2010−181103)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】