説明

反応器

【課題】体格の小型化を図りつつ、製造コストを低減することができる反応器を提供する。
【解決手段】未反応物を反応させて水素と窒素を生成する反応部32a、32bと、水素および窒素から窒素を選択的に吸蔵することにより、窒素を分離除去する除去部33a、33bとを備え、除去部33a、33bは、窒素を選択的に吸蔵する際に熱を放出する吸収剤330a、330bと、吸収剤330a、330bが放出する熱を除去する冷却手段35a、35bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未反応物を反応させて少なくとも2つの生成物を生成させるとともに、当該2つの生成物から少なくとも1つの生成物を分離除去する反応器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料と水蒸気から水素を生成する燃料改質器が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の従来技術では、燃料を水蒸気改質して水素を製造する燃料改質触媒層、および水蒸気改質により生成する水素を主成分とするガスから水素を選択的に透過する水素透過膜等を多段に積層された構造を有している。
【0003】
この従来技術では、改質される燃料としてメタノール(Me−OH)が用いられ、水素を主成分とするガスが流通するガス流路に面するように、パラジウム合金製の水素透過膜が配置されている。ガス流路にて生じる反応の化学反応式は、次の化学式1に示される。
【0004】
(化1)
MeOH→H+CO
水素分離膜により水素を分離すると上記反応は非平衡となるので、水素生成量を増大できる。すなわち、上記反応温度を低下させることができ、改質温度の低温化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−119002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来技術では、改質により生成するガス(改質ガス)から水素を分離する手段として水素透過膜を用いているので、膜の強度を考慮すると、改質ガスから分離する水素の流量を増大させることができず、また膜の上流側と下流側との圧力差(差圧)を確保し難い。このため、改質ガスから分離する水素の流量および膜の上流側と下流側との差圧を所望量確保するためには、水素透過膜の面積を増大させる必要があり、燃料改質器全体が大型化してしまうという問題がある。
【0007】
また、上記特許文献1に記載の従来技術では、水素透過膜を枠体内に固定しているので、水素透過膜と枠体との間のシールを行う必要がある。ここで、上記従来技術の燃料改質器は、当該水素透過膜と燃料改質触媒層等を多段に積層した構造になっているので、シール長さが長くなる。したがって、シールの手間がかかり製造コストが高くなるという問題もある。さらに、水素透過膜の材料として高価な貴金属であるパラジウム合金を使用しているため、製造コストがより一層高くなってしまう。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、体格の小型化を図りつつ、製造コストを低減することができる反応器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、未反応物を反応させて少なくとも2つの生成物を生成する反応部(32a、32b)と、少なくとも2つの生成物から少なくとも1つの生成物を選択的に吸蔵することにより、少なくとも1つの生成物を分離除去する除去部(33a、33b)とを備え、除去部(33a、33b)は、少なくとも1つの生成物を選択的に吸蔵する際に熱を放出する吸収剤(330a、330b)と、吸収剤(330a、330b)が放出する熱を除去する冷却手段(35a、35b)とを有することを特徴とする。
【0010】
これによれば、除去部(33a、33b)において吸収剤(330a、330b)に少なくとも1つの生成物を選択的に吸蔵させるとともに、この際に吸収剤(330a、330b)が放出する熱を冷却手段(35a、35b)によって除去することで、透過膜を用いることなく、当該少なくとも1つの生成物を分離除去することができる。すなわち、透過膜を用いないため、未反応物の流量を大きくしたり、圧力を高くしたりしても、除去部(33a、33b)が破損することなく、分離除去機能を確保することができる。換言すると、透過膜を用いないので、分離除去機能を確保するために反応器全体を大型化する必要がなくなる。
【0011】
また、透過膜を用いないので、透過膜と枠体との間のシールを行う必要がなくなり、シールの手間がかからず、製造コストを低減できる。さらに、従来の透過膜は一般に貴金属製であるが、その透過膜に代えて吸収剤(330a、330b)を用いることにより、少なくとも1つの生成物を分離除去することができるので、製造コストをより一層低減できる。
【0012】
したがって、体格の小型化を図りつつ、製造コストを低減することが可能となる。
【0013】
なお、本発明における「少なくとも2つの生成物から少なくとも1つの生成物を選択的に吸蔵する」とは、m個(mは2以上の整数)の生成物からn個(nは1以上(m−1)以下の整数)の生成物を選択的に吸蔵するという意味である。
【0014】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の反応器において、反応部として、少なくとも2つの小反応部(32a、32b)が設けられており、除去部(33a、33b)は、小反応部(32a、32b)毎に1つずつ配設されているとともに、少なくとも1つの生成物を選択的に吸蔵する際に熱を放出し、吸蔵した少なくとも1つの生成物を脱離させる際に熱を吸収する吸収剤(330a、330b)と、吸収剤(330a、330b)が放出する熱を除去する冷却手段(35a、35b)と、吸収剤(330a、330b)に対して熱を付与する加熱手段(35a、35b)とを有しており、さらに、除去部(32a、32b)は、吸収剤(330a、330b)が少なくとも1つの生成物を選択的に吸蔵するとともに、冷却手段(35a、35b)によって吸収剤(330a、330b)が放出する熱を除去する吸蔵モードと、加熱手段(35a、35b)によって吸収剤(330a、330b)に対して熱を付与するとともに、吸収剤(330a、330b)から少なくとも1つの生成物を脱離させる脱離モードとを実行可能に構成されていることを特徴とする。
【0015】
これによれば、小反応部(32a、32b)毎に1つずつ配設された除去部(33a、33b)において、それぞれ、吸蔵モードまたは脱離モードを実行させることができる。したがって、所望のタイミングで、少なくとも1つの生成物の吸蔵および離脱を行うことが可能となる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明のように、請求項2に記載の反応器において、燃料または水素を酸化させることによりエネルギを出力させるエネルギ出力手段(EG)に供給する燃料供給システム(10)に適用される反応器であって、反応部(32a、32b)は、分子中に少なくとも1つの水素原子が含まれる燃料を反応させて、水素と他の生成物を生成するように構成されており、加熱手段(35a、35b)は、脱離モード時に、エネルギ出力手段(EG)において燃料または水素を酸化させた際に生じる熱により、吸収剤(330a、330b)を加熱してもよい。
【0017】
また、請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の反応器において、反応部(32a、32b)は、燃料を改質して水素を生成するための触媒(320a、320b)を有しているとともに、吸蔵モード時に、エネルギ出力手段(EG)において燃料または水素を酸化させた際に生じる熱により触媒(320a、320b)が加熱されるように構成されており、加熱手段(35a、35b)は、脱離モード時に、触媒(320a、320b)を加熱した後の排熱により、吸収剤(330a、330b)を加熱することを特徴とする。
【0018】
これによれば、エネルギ出力手段(EG)において燃料または水素を酸化させた際に生じる熱により、まず触媒(320a、320b)が加熱されるので、触媒(320a、320b)を充分に加熱することができる。そして、触媒(320a、320b)を加熱した後の排熱により、吸収剤(330a、330b)が加熱されるので、エネルギ出力手段(EG)において燃料または水素を酸化させた際に生じる熱を有効利用することが可能となる。
【0019】
また、請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の反応器において、少なくとも2つの小反応部(32a、32b)毎に1つずつ配設された除去部(33a、33b)のうち、一方の除去部(33a)と他方の除去部(33b)において、吸蔵モードおよび脱離モードのうち互いに異なるモードが実行されるように構成されており、小反応部(32a、32b)は、触媒(320a、320b)と熱媒体とを熱交換させることで触媒(320a、320b)を加熱または冷却する第1熱交換器(34a、34b)を有しており、除去部(33a、33b)は、吸収剤(330a、330b)と熱媒体とを熱交換させることで吸収剤(330a、330b)を加熱または冷却する第2熱交換器(35a、35b)を有しており、第1熱交換器(34a、34b)および第2熱交換器(35a、35b)には、熱媒体として加熱用熱媒体または冷却用熱媒体が供給されるように構成されており、第1熱交換器(34a、34b)および第2熱交換器(35a、35b)に供給される熱媒体を加熱用熱媒体と冷却用熱媒体との間で切り替えることで、一方の除去部(33a)および他方の除去部(33b)において実行されるモードが吸蔵モードと脱離モードとの間で切り替わることを特徴とする。
【0020】
これによれば、一方の除去部(33a)と他方の除去部(33b)において、吸蔵モードおよび脱離モードのうち互いに異なるモードが実行されるので、一方の除去部(33a)および他方の除去部(33b)のうちいずれか一方において、必ず脱離モードが実行されるようにできる。このため、一方の除去部(33a)および他方の除去部(33b)のうちいずれか一方から、常時少なくとも一方の生成物を脱離させてエネルギ出力手段(EG)に供給することが可能となる。
【0021】
このとき、第1熱交換器(34a、34b)および第2熱交換器(35a、35b)に供給される熱媒体を加熱用熱媒体と冷却用熱媒体との間で切り替えることで、一方の除去部(33a)および他方の除去部(33b)において実行されるモードを吸蔵モードと脱離モードとの間で切り替えることができるので、簡易な構成で、一方の除去部(33a)および他方の除去部(33b)において実行されるモードを切り替えることが可能となる。
【0022】
また、請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の反応器において、少なくとも2つの小反応部(32a、32b)は、それぞれ、加熱用熱媒体および冷却用熱媒体のうち一方の熱媒体が流通する第1熱媒体流路(410)を形成する外側配管(41)と、外側配管(41)の内側に配置されるとともに、加熱用熱媒体および冷却用熱媒体のうち他方の熱媒体が流通する第2熱媒体流路(420)を形成する内側配管(42)と、外側配管(41)と内側配管(42)との間に配置されるとともに、燃料が流通する中側配管(43)とを有して構成されており、内側配管(42)の外壁面には、触媒(320a、320b)が配置されており、中側配管(41)の内壁面には、吸収剤(330a、330b)が配置されていることを特徴とする。
【0023】
これによれば、少なくとも2つの小反応部(32a、32b)をいわゆる三重管構造とすることにより、第1熱媒体流路(410)および第2熱媒体流路(420)に供給される熱媒体を加熱用熱媒体と冷却用熱媒体との間で切り替えることで、一方の除去部(35a)および他方の小反応部(35b)において実行されるモードを吸蔵モードと脱離モードとの間で切り替えることが可能となる。すなわち、一方の除去部(35a)および他方の小反応部(35b)において実行されるモードを吸蔵モードと脱離モードとの間で切り替えることができる構成を、容易かつ確実に実現できる。
【0024】
また、請求項7に記載の発明のように、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の反応器において、反応部(32a、32b)は、分子中に少なくとも1つの窒素原子が含まれる未反応物を反応させて、窒素と他の生成物を生成するように構成されており、除去部(33a、33b)は、窒素の物理吸着または窒素の固定化反応により、窒素を選択的に吸蔵するようにしてもよい。
【0025】
また、請求項8に記載の発明のように、請求項7に記載の反応器において、未反応物はアンモニアであり、反応部(32a、32b)は、アンモニアを改質して水素を生成するための触媒(320a、320b)を有していてもよい。
【0026】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態における燃料供給システム10の全体構成図である。
【図2】改質器3を示す模式図である。
【図3】第1改質部3aを示す一部透過斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図1〜図3に基づいて説明する。図1は、本実施形態の燃料供給システム10の全体構成図である。本実施形態では、本発明の反応器を、燃料供給システム10に適用している。この燃料供給システム10は、車両に適用されており、車両走行用の駆動力(機械エネルギ)を出力するエネルギ出力手段としてのエンジン(内燃機関)EGへ燃料を供給するものである。
【0029】
まず、燃料供給システム10は、加圧されて液化された高圧液体燃料を貯蔵する液体燃料貯蔵手段としての高圧タンク1を備えている。
【0030】
この高圧タンク1に貯蔵される燃料は、分子中に少なくとも1つの水素原子が含まれる燃料が採用されている。燃料として、分子中に少なくとも1つの水素原子が含まれる燃料を採用することで、燃料を改質することによって可燃性を有する水素ガスを生成することができる。
【0031】
また、燃料としては、エンジンEGにて燃料として燃焼させるために可燃性を有し、さらに、その製造コストを低減させるために高圧下においては常温(15℃〜25℃程度)でも液化させやすいものであることが望ましい。
【0032】
そこで、本実施形態では、燃料として、分子中に3つの水素原子と1つの窒素原子とを含有し、さらに可燃性を有しており、常温であっても1.5MPa以下で液化する燃料として、アンモニア(NH)を採用している。
【0033】
この他にも同等の性質を有する燃料として、ジメチルエーテル、アルコール含有燃料等を採用することもできる。さらに、水素を含有する燃料であって、同燃料の分子中に、硫黄(S)、酸素(O)、窒素(N)およびハロゲンのうち少なくとも1種の原子が含まれるものであり、かつ、分子間にて水素結合が発現するものを採用してもよい。
【0034】
高圧タンク1の燃料流出口には、気化器2の燃料流入口が接続されている。気化器2は、高圧タンク1から流出した液相状態の燃料(液体燃料)を気化させる気化手段である。
【0035】
気化器2にて気化された気相状態の燃料(気体燃料)は、気化器2の燃料流出口から流出する。気化器2から流出した気体燃料の流れは、2つの流れに分岐され、分岐された一方の気体燃料は、気体燃料をエンジンEGの燃焼室内へ噴射供給する燃料噴射弁(インジェクタ)へ流入し、分岐された他方の気体燃料は、気体燃料を改質して水素ガスを発生させる改質器3へ流入する。
【0036】
改質器3は、気体燃料を触媒下で改質可能温度まで加熱して改質反応させることによって、水素ガスを発生させる改質手段(反応器)である。本実施形態では、燃料として水素含有燃料であるアンモニアを採用しているので、燃料を300℃〜700℃まで加熱して、触媒下にて改質反応をさせて水素ガスを発生させている。
【0037】
図2は本実施形態の改質器3を示す模式図である。図2に示すように、改質器3は2つの改質部3a、3bを備えている。各改質部3a、3bは、それぞれ、未反応物としての燃料であるアンモニアが流通する燃料流路310a、310bを形成する燃料流路形成部材31a、31bと、アンモニアを改質して水素と窒素という2つの生成物を生成する反応部32a、32bと、反応部32a、32bにおいて生成された窒素を除去する除去部33a、33bとを有して構成されている。すなわち、除去部33a、33bは、反応部32a、32b毎に1つずつ配設されている。
【0038】
反応部32a、32bは、アンモニアを改質して水素を生成するための触媒320a、320bを有している。また、反応部32a、32bは、燃料流路31a、31b内に設けられている。このため、各改質部3a、3bは、燃料流路31a、31bを流通するアンモニアが反応部32a、32bの触媒320a、320bに接触するように構成されている。また、反応部32a、32bにて生成された水素および窒素は、燃料流路31a、31bに放出される。
【0039】
反応部32a、32bには、触媒320a、320bを加熱または冷却可能な反応部側熱交換器34a、34bが設けられている。この反応部側熱交換器34a、34bの詳細については後述する。
【0040】
除去部33a、33bは、反応部32a、32bにおいて生成された水素および窒素のうち、窒素のみを選択的に吸蔵することにより、窒素を分離除去する。詳細には、除去部33a、33bは、窒素の物理吸着または窒素の固定化反応により、窒素を選択的に吸蔵する吸収剤330a、330bを有している。
【0041】
ここで、吸収剤330a、330bとして、例えばゼオライトや活性炭を用いることで、窒素の物理吸着により窒素を選択的に吸蔵することができる。また、吸収剤330a、330bとして、例えばモリブデンを用いることで、モリブデン錯体化反応により、窒素を選択的に吸蔵することができる。また、これらの吸収剤330a、330bは、窒素を選択的に吸蔵する際に熱を放出する。
【0042】
除去部33a、33bは、燃料流路31a、31b内に設けられている。このため、各改質部3a、3bの吸収剤330a、330bは、反応部32a、32bから燃料流路31a、31bに放出された水素および窒素に接触するように構成されている。
【0043】
除去部33a、33bには、吸収剤330a、330bを加熱または冷却可能な除去部側熱交換器35a、35bが設けられている。この除去部側熱交換器35a、35bの詳細については後述する。
【0044】
2つの改質部3a、3bの燃料入口側には、電気式三方弁36が接続されている。電気式三方弁36は、図示しない制御装置から出力される制御電圧によって、その作動が制御される流路切替手段である。
【0045】
具体的には、電気式三方弁36は、入口、第1出口および第2出口を形成する三つの弁を有する。電気式三方弁36の入口は、気化器2の出口側に接続されている。電気式三方弁36の第1出口は、2つの改質部3a、3bのうち一方の改質部(以下、第1改質部3aという)の燃料入口側に接続されている。電気式三方弁36の第2出口は、2つの改質部3a、3bのうち他方の改質部(以下、第2改質部3bという)の燃料入口側に接続されている。
【0046】
そして、電気式三方弁36の第1出口が開弁され、第2出口が閉弁されることで、気化器2から流出した燃料が第1改質部3aにのみ流入する。一方、電気式三方弁36の第1出口が閉弁され、第2出口が開弁されることで、気化器2から流出した燃料が第2改質部3bにのみ流入する。
【0047】
2つの改質部3a、3bの出口側には、第1電気式四方弁37が接続されている。第1電気式四方弁37は、制御装置から出力される制御電圧によって、その作動が制御される流路切替手段である。
【0048】
第1電気式四方弁37は、第1改質部3aの出口側とエンジンEGの燃料入口側(具体的には燃料噴射弁)の間および第2改質部3bの出口側と排気口(図示せず)との間を同時に接続する第1回路と、第1改質部3aの出口側と排気口との間および第2改質部3bの出口側とエンジンEGの燃料入口側との間を同時に接続する第2回路とを切り替える機能を果たす。
【0049】
ところで、反応部側熱交換器34a、34bおよび除去部側熱交換器35a、35bは、加熱用熱媒体または冷却用熱媒体(以下、単に熱媒体ともいう)が流通可能に構成されている。本実施形態では、加熱用熱媒体としてのエンジンEGの排ガスを採用し、冷却用熱媒体として空気を採用している。
【0050】
改質器3は、第1改質部3aにおける反応部側熱交換器34a(以下、第1反応部側熱交換器34aという)の熱媒体出口側と第2改質部3bにおける除去部側熱交換器35bの熱媒体入口側とを接続する第1熱媒体回路391と、第2改質部3bにおける反応部側熱交換器34b(以下、第2反応部側熱交換器34bという)の熱媒体出口側と第1改質部3aにおける除去部側熱交換器35aの熱媒体入口側とを接続する第2熱媒体回路392とを備えている。
【0051】
第1熱媒体回路391における第1反応部側熱交換器34aの熱媒体入口側、および第2熱媒体回路392における第2反応部側熱交換器34bの熱媒体入口側には、第2電気式四方弁38が接続されている。第2電気式四方弁38は、制御装置から出力される制御電圧によって、その作動が制御される回路切替手段である。
【0052】
第2電気式四方弁38は、第1熱媒体回路391における第1反応部側熱交換器34aの熱媒体入口側とエンジンEGの排ガス出口側の間および第2熱媒体回路392における第2反応部側熱交換器34bの熱媒体入口側と空気流入口(図示せず)との間を同時に接続する第1回路と、第1熱媒体回路391における第1反応部側熱交換器34aの熱媒体入口側と空気流入口との間および第2熱媒体回路392における第2反応部側熱交換器34bの熱媒体入口側とエンジンEGの排ガス出口側との間を同時に接続する第2回路とを切り替える機能を果たす。
【0053】
したがって、第2電気式四方弁38を制御することで、第1熱媒体回路391および第2熱媒体回路392に循環させる熱媒体を、排ガスと空気との間で切り替えることができる。また、第1熱媒体回路391および第2熱媒体回路392には、排ガスおよび空気のうち互いに異なる熱媒体が循環する。
【0054】
反応部側熱交換器34a、34bに排ガスを流通させることで、反応部側熱交換器34a、34bにて排ガスの熱により触媒320a、320bを加熱することができる。したがって、反応部側熱交換器34a、34bに排ガスを流通させる場合、反応部側熱交換器34a、34bは触媒320a、320bを加熱する加熱手段としての機能を果たす。
【0055】
一方、反応部側熱交換器34a、34bに空気を流通させることで、反応部側熱交換器34a、34bにて空気が触媒320a、320bの熱を吸熱して触媒320a、320bを冷却することができる。したがって、反応部側熱交換器34a、34bに空気を流通させる場合、反応部側熱交換器34a、34bは触媒320a、320bを冷却する冷却手段としての機能を果たす。
【0056】
また、除去部側熱交換器35a、35bに排ガスを流通させることで、除去部側熱交換器35a、35bにて排ガスの熱により吸収剤330a、330bを加熱することができる。したがって、除去部側熱交換器35a、35bに排ガスを流通させる場合、除去部側熱交換器35a、54bは吸収剤330a、330bを加熱する加熱手段としての機能を果たす。
【0057】
一方、除去部側熱交換器35a、35bに空気を流通させることで、除去部側熱交換器35a、35bにて空気が吸収剤330a、330bの熱を吸熱して吸収剤330a、330bを冷却することができる。したがって、除去部側熱交換器35a、35bに空気を流通させる場合、除去部側熱交換器35a、35bは吸収剤330a、330bを冷却する冷却手段としての機能を果たす。
【0058】
改質器3の改質部3a、3bは、吸蔵モードおよび脱離モードの2つのモードを実行可能に構成されている。ここで、吸蔵モードは、除去部33a、33bにおいて、吸収剤330a、330bが窒素を選択的に吸蔵するとともに、空気が流通している除去部側熱交換器35a、35bによって吸収剤330a、330bが放出する熱を除去するモードである。また、脱離モードは、除去部33a33bにおいて、排ガスが流通している除去部側熱交換器35a、35bによって吸収剤330a、330bに対して熱を付与するとともに、吸収剤330a、330bから窒素を脱離させるモードである。
【0059】
改質器3の改質部3a、3bは、吸蔵モード時に、反応部32a、32bにおいて、排ガスが流通している反応部側熱交換器34a、34bによって触媒320a、320bに対して熱を付与して、アンモニアを改質して水素および窒素を生成させるように構成されている。また、改質器3の改質部3a、3bは、脱離モード時に、空気が流通している反応部側熱交換器34a、34bによって触媒320a、320bを冷却するように構成されている。
【0060】
本実施形態では、第1熱媒体回路391において、第1反応部側熱交換器34aの熱媒体流れ下流側に第2除去部側熱交換器35bが接続されている。したがって、第1熱媒体回路391に排ガスが流通している場合、すなわち第2改質部3bで脱離モードが実行されている時に、第2除去部側熱交換器35bでは、第1反応部側熱交換器34aにおいて触媒320aを加熱した後の排熱により、吸収剤330bを加熱する。
【0061】
同様に、本実施形態では、第2熱媒体回路392において、第2反応部側熱交換器34bの熱媒体流れ下流側に第1除去部側熱交換器35aが接続されている。したがって、第2熱媒体回路392に排ガスが流通している場合、すなわち第1改質部3aで脱離モードが実行されている時に、第1除去部側熱交換器35aでは、第2反応部側熱交換器34bにおいて触媒320bを加熱した後の排熱により、吸収剤330aを加熱する。
【0062】
ところで、改質器3は、第1改質部3aと第2改質部3bにおいて、吸蔵モードおよび脱離モードのうち互いに異なるモードが実行されるように構成されている。すなわち、改質器3は、第1改質部3aにおいて吸蔵モードが実行されている際には、第2改質部3bにおいて脱離モードが実行されるようになっており、第1改質部3aにおいて脱離モードが実行されている際には、第2改質部3bにおいて吸蔵モードが実行されるようになっている。
【0063】
改質部3a、3bにおいて実行されるモードの切り替えは、制御装置によって電気式三方弁36、第1電気式四方弁37および第2電気式四方弁38の作動を制御することにより行われる。また、第1電気式四方弁37および第2電気式四方弁38の作動は、電気式三方弁36の作動に連動している。
【0064】
具体的には、電気式三方弁36にて気化器2から流出したアンモニアを第1改質部3aに流入させる回路に切り替える際には、第1電気式四方弁37にて第1改質部3aの出口側とエンジンEGの燃料入口側の間および第2改質部3bの出口側と排気口との間を同時に接続する第1回路に切り替えるとともに、第2電気式四方弁38にて第1熱媒体回路391における第1反応部側熱交換器34aの熱媒体入口側とエンジンEGの排ガス出口側の間および第2熱媒体回路392における第2反応部側熱交換器34bの熱媒体入口側と空気流入口との間を同時に接続する第1回路に切り替える。
【0065】
一方、電気式三方弁36にて気化器2から流出したアンモニアを第2改質部3bに流入させる回路に切り替える際には、第1電気式四方弁37にて第1改質部3aの出口側と排気口との間および第2改質部3bの出口側とエンジンEGの燃料入口側との間を同時に接続する第2回路に切り替えるとともに、第2電気式四方弁38にて第1熱媒体回路391における第1反応部側熱交換器34aの熱媒体入口側と空気流入口との間および第2熱媒体回路392における第2反応部側熱交換器34bの熱媒体入口側とエンジンEGの排ガス出口側との間を同時に接続する第2回路に切り替える。
【0066】
本実施形態では、制御装置は、2つの改質部3a、3bのうち一方の改質部3aで吸蔵モードが実行され、他方の改質部3bで脱離モードが実行されている場合に、他方の改質部3bにおいて、吸収剤330bに吸蔵されている窒素が完全に脱離された後、各改質部3a、3bのモードを現在のモードと異なるモードに切り替えるように構成されている。
【0067】
より詳細には、各改質部3a、3bには、燃料流路310a、310b内の窒素濃度を検出する窒素濃度センサ39a、39bが配置されている。この窒素濃度センサ39a、39bにより燃料流路310a、310b内の窒素濃度を検出することで、吸収剤330a、330bに吸蔵されている窒素が完全に脱離されたか否かを推定することができる。
【0068】
例えば、制御装置は、第1改質部3aで吸蔵モードが実行され、第2改質部3bで脱離モードが実行されている場合、第2改質部3bの燃料流路310b内の窒素濃度を窒素濃度センサ39bにて検出し、その検出結果により第2改質部3bの吸収剤330bに吸蔵されている窒素が完全に脱離されたと判定したときに、電気式三方弁36、第1電気式四方弁37および第2電気式四方弁38を切り替え、第1改質部3aで脱離モードが実行され、第2改質部3bで吸蔵モードが実行されるようにする。
【0069】
なお、吸収剤330a、330bにおける窒素の吸蔵のスピードと窒素の脱離のスピードとは、同じとは限らないが、除去部側熱交換器35a、35bにおいて吸収剤330a、330bへの入熱を制御することで、窒素の吸蔵および脱離のスピードを制御することができる。
【0070】
続いて、改質部3a、3bの詳細な構成について説明する。なお、第1改質部3aと第2改質部3bとは、同様の構成であるため、以下では第1改質部3aについて説明し、第2改質部3bについては説明を省略する。
【0071】
図3は、第1改質部3aを示す一部透過斜視図である。図3に示すように、第1改質部3aは、三重管構造になっている。すなわち、第1改質部3aは、排ガスおよび空気のうち一方の熱媒体が流通する第1熱媒体流路410を形成する外側配管41、外側配管41の内側に配置されるとともに、排ガスおよび空気のうち他方の熱媒体が流通する第2熱媒体流路420を形成する内側配管42と、外側配管41と内側配管42との間に配置されるとともに、燃料流路310aを形成する中側配管43とを有して構成されている。
【0072】
内側配管42の外壁面、すなわち燃料流路310aに対向する側の面は、触媒320aが配置されており、反応部32aを構成している。触媒320aは、内側配管42の外壁面を介して第2熱媒体流路420を流通する熱媒体と熱交換可能に構成されている。したがって、内側配管42の外壁面が、反応部側熱交換器34aとしての機能を果たす。
【0073】
中側配管43の内壁面、すなわち燃料流路310aに対向する側の面は、吸収剤330aが配置されており、除去部33aを構成している。吸収剤330aは、中側配管43の内壁面を介して第1熱媒体流路410を流通する熱媒体と熱交換可能に構成されている。したがって、中側配管43の内壁面が、除去部側熱交換器35aとしての機能を果たす。
【0074】
以上説明したように、除去部33a、33bにおいて吸収剤330a、330bに窒素を選択的に吸蔵させるとともに、この際に吸収剤330a、330bが放出する熱を除去部側熱交換器35a、35bにて除去することで、透過膜を用いることなく、窒素を分離除去することができる。すなわち、透過膜を用いないため、燃料の流量を大きくしたり、圧力を高くしたりしても、除去部33a、33bが破損することなく、分離除去機能を確保することができる。換言すると、透過膜を用いないので、分離除去機能を確保するために改質器3全体を大型化する必要がなくなる。
【0075】
また、透過膜を用いないので、透過膜と枠体との間のシールを行う必要がなくなり、シールの手間がかからず、製造コストを低減できる。本実施形態では、吸収剤330a、330bを燃料流路310a、310b内に配置して、直接窒素と接触するようにしている。すなわち、吸収剤330a、330bと系外(外部)との接触部を設ける必要がないので、確実にシールを行うことができる。
【0076】
さらに、従来の透過膜は一般に貴金属製であるが、その透過膜に代えて吸収剤330a、330bを用いることにより窒素を分離除去することができるので、製造コストをより一層低減できる。
【0077】
したがって、体格の小型化を図りつつ、製造コストを低減することが可能となる。
【0078】
また、本実施形態では、第1熱媒体回路391および第2熱媒体回路392において、除去部側熱交換器35a、35bの熱媒体流れ上流側に反応部側熱交換器35a34a、34bを配置している。これにより、除去部側熱交換器35a、35bでは、脱離モード時に、触媒320a、320bを加熱した後の排熱により、吸収剤330a、330bが加熱される。
【0079】
したがって、反応部側熱交換器34a、34bにおいて、エンジンEGの排ガスの熱(排熱)により、まず触媒320a、320bが加熱されるので、触媒320a、320bを充分に加熱することができる。そして、触媒320a、320bを加熱した後の排熱により、除去部側熱交換器35a、35bにおいて吸収剤330a、330bが加熱されるので、エンジンEGの排熱を有効利用することが可能となる。
【0080】
また、本実施形態では、第1改質部3aと第2改質部3bにおいて、吸蔵モードおよび脱離モードのうち互いに異なるモードが実行されるので、第1改質部3aおよび第2改質部3bのうちいずれか一方において、必ず脱離モードが実行されるようにできる。このため、第1改質部3aおよび第2改質部3bのうちいずれか一方から、常時窒素を脱離させてエンジンEGに供給することが可能となる。
【0081】
このとき、反応部側熱交換器34a、34bおよび除去部側熱交換器35a、35bに供給される熱媒体を排ガスと空気との間で切り替えることで、第1改質部3aおよび第2改質部3bにおいて実行されるモードを吸蔵モードと脱離モードとの間で切り替えることができるので、簡易な構成で、第1改質部3aおよび第2改質部3bにおいて実行されるモードを切り替えることが可能となる。
【0082】
また、本実施形態では、第1改質部3aおよび第2改質部3bをいわゆる三重管構造とすることにより、第1熱媒体流路410および第2熱媒体流路420に供給される熱媒体を排ガスと空気との間で切り替えることで、一第1改質部3aおよび第2改質部3bにおいて実行されるモードを吸蔵モードと脱離モードとの間で切り替えることが可能となる。すなわち、第1改質部3aおよび第2改質部3bにおいて実行されるモードを吸蔵モードと脱離モードとの間で切り替えることができる構成を、容易かつ確実に実現できる。
【0083】
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
【0084】
(1)上記実施形態では、吸収剤330a、330bを冷却する冷却手段および吸収剤330a、330bを加熱する加熱手段として、除去部側熱交換器35a、35bを採用し、当該除去部側熱交換器35a、35bに流通させる熱媒体を切り替えることで、吸収剤330a、330bの冷却または加熱を行う例について説明したが、これに限らず、冷却手段および加熱手段として、それぞれ別の熱交換器(例えば、冷却用熱交換器および加熱用熱交換器)を採用してもよい。
【0085】
同様に、触媒320a、320bを冷却する冷却手段および触媒320a、320bを加熱する加熱手段として、反応部側熱交換器34a、34bを採用し、当該反応部側熱交換器34a、34bに流通させる熱媒体を切り替えることで、触媒320a、320bの冷却または加熱を行う例について説明したが、冷却手段および加熱手段として、それぞれ別の熱交換器を採用してもよい。
【0086】
(2)上記実施形態では、改質器3を、第1改質部3aおよび第2改質部3bにおいて、吸蔵モードおよび脱離モードのうち互いに異なるモードが実行されるように構成した例について説明したが、これに限らず、第1改質部3aおよび第2改質部3bにおいて、互いに同じモードが実行されるように構成してもよい。
【0087】
(3)上記実施形態では、改質器3を、2つの改質部(すなわち、第1改質部3aおよび第2改質部3b)を備えるように構成した例について説明したが、これに限らず、改質部は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0088】
32a、32b 反応部
33a、33b 除去部
35a、35b 除去部側熱交換器(冷却手段、加熱手段)
41 外側配管
42 内側配管
43 中側配管
320a、320b 触媒
330a、330b 吸収剤
410 第1熱媒体流路
420 第2熱媒体流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未反応物を反応させて少なくとも2つの生成物を生成する反応部(32a、32b)と、
前記少なくとも2つの生成物から少なくとも1つの生成物を選択的に吸蔵することにより、前記少なくとも1つの生成物を分離除去する除去部(33a、33b)とを備え、
前記除去部(33a、33b)は、
前記少なくとも1つの生成物を選択的に吸蔵する際に熱を放出する吸収剤(330a、330b)と、
前記吸収剤(330a、330b)が放出する熱を除去する冷却手段(35a、35b)とを有することを特徴とする反応器。
【請求項2】
前記反応部として、少なくとも2つの小反応部(32a、32b)が設けられており、
前記除去部(33a、33b)は、
前記小反応部(32a、32b)毎に1つずつ配設されているとともに、
前記少なくとも1つの生成物を選択的に吸蔵する際に熱を放出し、吸蔵した前記少なくとも1つの生成物を脱離させる際に熱を吸収する吸収剤(330a、330b)と、
前記吸収剤(330a、330b)が放出する熱を除去する冷却手段(35a、35b)と、
前記吸収剤(330a、330b)に対して熱を付与する加熱手段(35a、35b)とを有しており、
さらに、前記除去部(32a、32b)は、前記吸収剤(330a、330b)が前記少なくとも1つの生成物を選択的に吸蔵するとともに、前記冷却手段(35a、35b)によって前記吸収剤(330a、330b)が放出する熱を除去する吸蔵モードと、前記加熱手段(35a、35b)によって前記吸収剤(330a、330b)に対して熱を付与するとともに、前記吸収剤(330a、330b)から前記少なくとも1つの生成物を脱離させる脱離モードとを実行可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の反応器。
【請求項3】
燃料または水素を酸化させることによりエネルギを出力させるエネルギ出力手段(EG)に供給する燃料供給システム(10)に適用される反応器であって、
前記反応部(32a、32b)は、分子中に少なくとも1つの水素原子が含まれる燃料を反応させて、水素と他の生成物を生成するように構成されており、
前記加熱手段(35a、35b)は、前記脱離モード時に、前記エネルギ出力手段(EG)において燃料または水素を酸化させた際に生じる熱により、前記吸収剤(330a、330b)を加熱することを特徴とする請求項2に記載の反応器。
【請求項4】
前記反応部(32a、32b)は、前記燃料を改質して前記水素を生成するための触媒(320a、320b)を有しているとともに、前記吸蔵モード時に、前記エネルギ出力手段(EG)において前記燃料または水素を酸化させた際に生じる熱により前記触媒(320a、320b)が加熱されるように構成されており、
前記加熱手段(35a、35b)は、前記脱離モード時に、前記触媒(320a、320b)を加熱した後の排熱により、前記吸収剤(330a、330b)を加熱することを特徴とする請求項3に記載の反応器。
【請求項5】
前記少なくとも2つの小反応部(32a、32b)毎に1つずつ配設された前記除去部(33a、33b)のうち、一方の前記除去部(33a)と他方の前記除去部(33b)において、前記吸蔵モードおよび前記脱離モードのうち互いに異なるモードが実行されるように構成されており、
前記小反応部(32a、32b)は、前記触媒(320a、320b)と前記熱媒体とを熱交換させることで前記触媒(320a、320b)を加熱または冷却する第1熱交換器(34a、34b)を有しており、
前記除去部(33a、33b)は、前記吸収剤(330a、330b)と前記熱媒体とを熱交換させることで前記吸収剤(330a、330b)を加熱または冷却する第2熱交換器(35a、35b)を有しており、
前記第1熱交換器(34a、34b)および前記第2熱交換器(35a、35b)には、前記熱媒体として加熱用熱媒体または冷却用熱媒体が供給されるように構成されており、
前記第1熱交換器(34a、34b)および前記第2熱交換器(35a、35b)に供給される前記熱媒体を前記加熱用熱媒体と前記冷却用熱媒体との間で切り替えることで、前記一方の除去部(33a)および前記他方の除去部(33b)において実行される前記モードが前記吸蔵モードと前記脱離モードとの間で切り替わることを特徴とする請求項4に記載の反応器。
【請求項6】
前記少なくとも2つの小反応部(32a、32b)は、それぞれ、
前記加熱用熱媒体および前記冷却用熱媒体のうち一方の熱媒体が流通する第1熱媒体流路(410)を形成する外側配管(41)と、
前記外側配管(41)の内側に配置されるとともに、前記加熱用熱媒体および前記冷却用熱媒体のうち他方の熱媒体が流通する第2熱媒体流路(420)を形成する内側配管(42)と、
前記外側配管(41)と前記内側配管(42)との間に配置されるとともに、前記燃料が流通する中側配管(43)とを有して構成されており、
前記内側配管(42)の外壁面には、前記触媒(320a、320b)が配置されており、
前記中側配管(41)の内壁面には、前記吸収剤(330a、330b)が配置されていることを特徴とする請求項5に記載の反応器。
【請求項7】
前記反応部(32a、32b)は、分子中に少なくとも1つの窒素原子が含まれる未反応物を反応させて、窒素と他の生成物を生成するように構成されており、
前記除去部(33a、33b)は、前記窒素の物理吸着または前記窒素の固定化反応により、前記窒素を選択的に吸蔵することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の反応器。
【請求項8】
前記未反応物はアンモニアであり、
前記反応部(32a、32b)は、前記アンモニアを改質して水素を生成するための触媒(320a、320b)を有していることを特徴とする請求項7に記載の反応器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−94722(P2013−94722A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239111(P2011−239111)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】