説明

収納箱及びこれを用いた梱包構造

【課題】被収納物への衝撃を十分に低減することのできる収納箱及びこれを用いた梱包構造を提供する。
【解決手段】インクリボンを収納する箱本体部51と、箱本体部51の右側面及び左側面のそれぞれから外方に向かって延びる羽根部52と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被収納物を収納するための収納箱及びこれを用いた梱包構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、被収納物を収納するための収納箱や梱包構造が種々提案されており、例えば、特許文献1には、インクリボンを衝撃から保護するための梱包構造が開示されている。この梱包構造は、段ボール材からなるインクリボン梱包用部材を、インクリボンの両端面に取り付け、その梱包用部材が取り付けられた状態でインクリボンを段ボール箱内に収納している(特許文献1の図5参照)。
【特許文献1】特開2002−254742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したようなインクリボンを収納した段ボール箱の側面から衝撃を受けた場合、その衝撃の程度によっては、梱包用部材を介してその衝撃がインクリボンに直接加わってしまい、十分にインクリボンを保護できておらず、よりインクリボンへの衝撃を低減することのできる収納箱及び梱包構造が要望されている。
【0004】
そこで、本発明は、被収納物への衝撃を十分に低減することのできる収納箱及びこれを用いた梱包構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る収納箱は、上記課題を解決するためになされたものであり、被収納物を収納する箱本体部と、前記箱本体部の少なくとも一対の対向する側面のそれぞれから外方に向かって延びる羽根部と、を備えている。
【0006】
このように構成された収納箱は、通常、箱本体部内に被収納物を収納し、これよりも一回り大きい外箱内に収納されて使用される。この収納箱は、箱本体部の少なくとも一対の対向する側面のそれぞれから外方に羽根部が延びている。このため、被収納物が収納された箱本体部の少なくとも一対の対向する側面は、外箱の内壁面との間に羽根部が介在されており、外箱の内壁面と直接接していない。よって、外箱の側面から衝撃を受けた場合、この箱本体部の側面と外箱の内壁面との間の空間及び羽根部で衝撃を緩和することができ、この結果、被収納物への衝撃を十分に低減することが可能となる。
【0007】
また、本発明に係る梱包構造は、上記課題を解決するためになされたものであり、上記記載の収納箱と、前記収納箱を収納するための外箱とを備え、前記収納箱の羽根部は、前記外箱の内壁面まで延びている。
【0008】
このように構成することで、上述したように、外箱内に収納された収納箱は、羽根部が形成された少なくとも一対の対向する側面が、外箱の内壁面との間に羽根部が介在されているため、外箱の内壁面と直接接していない。このため、外箱の側面から衝撃が加わっても、外箱の内壁面と収納箱の側面との間の空間及び羽根部によって衝撃が緩和され、被収納物への衝撃を十分に緩和することができる。
【0009】
上記梱包構造は種々の構成をとることができるが、例えば、収納箱を複数備え、各収納箱は、外箱内で積層されているように構成することもできる。このように外箱内に複数の収納箱を収納するように構成することで、複数の被収納物を搬送したい場合、外箱の数を減らすことによって被収納物を効率的に搬送することができる。
【0010】
また、外箱内に設置された、ロール紙を保持するための保持手段をさらに備え、前記収納箱は、前記外箱内において、前記保持手段の上方に設置されている。被収納物がインクリボンである場合、インクリボンはロール紙と一緒に搬送されることがあるが、ロール紙を保持するための保持手段を外箱内に設置することで、インクリボンとロール紙とを外箱内に梱包して同時に搬送することができ、効率的な搬送が可能となる。また、搬送中に外箱を落下させてしまうこともあるが、この場合、通常外箱の底面から先に落下する。しかし、収納箱がロール紙を保持するための保持手段の上方に設置されているため、落下による衝撃が被収納物に直接加わることがなく、被収納物への衝撃を低減することができる。
【0011】
また、被収納物を包装するための包装シートをさらに備えており、前記包装シートは、被収納物を包装して残った部分を丸めて被収納物に隣接した状態にして前記収納箱内に収納されている。このように、被収納物を包装シートによって包装することで、被収納物へ加わる衝撃を緩和させることができる。また、包装シートを、被収納物を包装して残った部分を丸めて被収納物に隣接した状態にして箱本体部に収納することで、この包装シートの丸めた部分で衝撃を吸収することができるため、インクリボンへの衝撃をより低減させることができる。
【0012】
なお、上記梱包構造における保持手段は種々の構成をとることができるが、例えば、上記保持手段は、ロール紙の外径と合致するような内径を有する凹部が形成され、外箱内に嵌合するような外形を有する下部保持部材及び上部保持部材と、を備え、前記下部保持部材は、前記凹部を上方に向けて前記外箱内に設置されており、前記上部保持部材は、前記凹部を下方に向けて、前記下部保持部材の上方において前記外箱内に設置されているように構成することができる。また、その他にも、上記保持手段は、前記外箱内に嵌合するような外形を有する基台部、及び前記基台部から上方に延びロール紙の中空部の内径と合致するような外径を有する棒状の保持部を有する下部保持部材と、ロール紙の外径と合致するような内径を有する凹部が形成され、前記外箱内に嵌合するような外形を有する上部保持部材と、を備え、前記下部保持部材は、前記保持部を上方に向けて前記外箱内に設置されており、前記上部保持部材は、前記凹部を下方に向けて、前記下部保持部材の上方において前記外箱内に設置されているように構成することもできる。なお、この場合は、上記下部保持部材は、基台部と保持部とが別体に形成されており、基台部は、棒状部の外径と合致するような内径を有する凹部が形成されており、該凹部内に前記保持部の一方の端部が挿入されているように構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、被収納物への衝撃を十分に低減することのできる収納箱及びこれを用いた梱包構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る収納箱及びこれを用いた梱包構造の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は外箱内に収納された収納箱を示す平面図、図2は収納箱の斜視図、図3は収納箱の正面断面図、図4は組立前の収納箱を示した展開図である。
【0015】
本実施形態に係る収納箱5は、図1及び図2に示すように、内部にインクリボンT(被収納物)を収納できるように直方体状に形成された箱本体部51と、箱本体部51の一対の対向する側面のそれぞれから2つずつ外方に延びる計4つの羽根部52とから構成されている。この羽根部52は、図1に示すように、箱本体部51の右側面及び左側面のそれぞれから外箱2の内壁面まで延びており、これによって、図1の左右方向では羽根部52によって外箱2内に嵌合している。また、図1の上下方向においては、箱本体部51の長さと外箱2の長さとがほぼ同一であるため、箱本体部51によって外箱2内に嵌合している。このように、箱本体部51の右側面又は左側面と外箱2の内壁面との間には羽根部52が介在されているため、箱本体部51の右側面及び左側面と、外箱2の内壁面との間には空間Sが形成される。
【0016】
図3に示すように、箱本体部51内には、供給ロール部Tと巻取ロール部Tとから構成されたインクリボンTが包装シート8によって包装された状態で収納されている。この供給ロール部Tと巻取ロール部Tとの間には緩衝シート7が介在されており、この状態で包装シート8がインクリボンT全体を覆っている。この包装シート8は、インクリボンTを保護できるような材質であれば特に限定されるものではないが、好ましくは、ポリエチレンや発泡ポリエチレン等を使用することができる。ポリエチレンとしてはミラーマット、発泡ポリエチレンとしてはエアーキャップ(登録商標)等を使用することができる。
【0017】
次に、この収納箱5の組立方法について図4に基づいて説明する。なお、図4の点線部は谷折り可能な折り曲げ線を示している。まず、第1の短手側面53aを第2の短手側面53bと重なるように180度谷折りした後に、第1の短手側面53aが重なった状態で第2の短手側面53bを第3の短手側面53cと重なるように180度谷折りする。そして、第1及び第2の短手側面53a、53bが重なった状態で第3の短手側面53cが底面54に対して垂直になるように第3の短手側面53cを90度谷折りし、第2の短手側面53bに形成された第1の係合突起55aを第1の係合穴56aに挿入する。また、第4の短手側面53dが底面54に対して垂直になるように第4の短手側面53dを90度谷折りする。そして、第3及び第4の短手側面53c、53dに形成された各内側フラップ57a〜57dを90度谷折りする。次に第1の長手側面58aが底面53に対して垂直になるように第1の長手側面58aを90度谷折りする。次に第2の長手側面58bが内側フラップ57b、57dを介して第1の長手側面58aと重なるように、第2の長手側面58bを180度谷折りし、第2の長手側面58bに形成された第2の係合突起55bを第2の係合穴56bに挿入する。また、第3の長手側面58cが底面54に対して垂直となるように、第3の長手側面58cを90度谷折りする。そして、蓋部59を90度谷折りして、図2に示すような収納箱5が完成する。
【0018】
次に、上述した収納箱を用いた梱包構造について説明する。図5は、本実施形態に係る収納箱及びこれを用いた梱包構造を示す正面断面図、図6は、本実施形態に係る下部保持部材の折り畳み前(a)から折り畳み後(c)までを示す平面図、図7は、本実施形態に係る下部保持部材の斜視図である。なお、以下では、ロール紙は、巻芯を有しておらず、断面円形状の空洞部R1が軸方向に延びるように形成されたコアレスロール紙として説明する。
【0019】
図5に示すように、梱包構造1は、直方体状の外箱2を備えており、この外箱2内には、底面側から順に、ロール紙Rの下端部を保持するための下部保持部材3、ロール紙Rの上端部を保持するための上部保持部材4,インクリボンTを収納するための収納箱5が設置されている。そして、ロール紙Rが、下部保持部材3と上部保持部材4との間に収納されている。このロール紙Rは、円柱状であって、その軸方向を上下方向に向けて収納されている。なお、上記下部保持部材3及び上部保持部材4が本発明の保持手段に相当する。
【0020】
上記梱包構造1を構成する各部材の詳細について説明すると、まず、外箱2は、段ボールなどによって直方体状に構成され、いわゆる段ボール箱として構成されており、その上面はフラップ21aを折り曲げることによって開閉可能であり、底面はフラップ21bを折り曲げることによって開閉可能である。なお、図5のようにロール紙Rを梱包した状態では、上面及び底面のフラップ部21a、21bはともに閉められており、ガムテープなどの接着テープを貼ることによってその閉められた状態で保持されている。
【0021】
この閉鎖された外箱2の底面に、下部保持部材3が凹部31を上方に向けて設置されている。この下部保持部材3は、図6及び図7に示すように、外箱2の底面の形状とほぼ合致するような外形を有する基台部32と、第1の貫通穴311が形成された第1保持部33と、第2の貫通穴312が形成された第2保持部34と、によって構成されている。この第1の貫通穴311と第2の貫通穴312は同一の大きさ・形状となっている。また、基台部32の中心部には第1及び第2の貫通穴よりも十分に小さい第3の貫通穴323が形成されている。この貫通穴323は、作業者の指が入る程度の大きさに形成されているため、この貫通穴323を利用することによって、外箱2内からの下部保持部材3の取出を容易にすることができる。
【0022】
図6(a)に示すように、基台部32、第1及び第2保持部33,34は一体的に形成されており、例えば、一枚の段ボールによって形成することができる。第1保持部33と第2保持部34との間には、裏まで貫通しないように切込みを入れることで切込み線35が形成されており、これにより第2保持部34が第1保持部33に対して山折りできるようになっている。また、第1保持部33と基台部32との間には、裏まで貫通するような切込みを入れることでI字状の切込み線36が形成されている。このI字状の切込み線36は、縦方向に延びる縦切込み線361と、縦切込み線361の上端及び下端と連結して横方向に延びる横切込み線362a、362bとから構成されている。そして、この上端の横切込み線362aの左端及び右端からそれぞれ下部保持部材3の上端まで延びる折り曲げ線37aが形成されており、また、下端の横切込み線362bの左端及び右端からそれぞれ下部保持部材3の下端まで延びる折り曲げ線37bが形成されている。このようにI字状の切込み線36及び折り曲げ線37が形成されていることによって、第1保持部33は基台部32に対して谷折りできるようになっている。
【0023】
このように一枚の段ボールから形成された下部保持部材3を、本実施形態の梱包構造1で使用する形態へと折り曲げる手順について説明すると、図6(a)にあるような折り曲げていない状態から、まず第1保持部33を基台部32に対して谷折りする(図6(b))。次に、図6(b)の状態から、第1保持部33に対して、第2保持部34を谷折りする(図6(c))。このように、下部保持部材3を外箱2内に設置する際は、図7に示すように、下部保持部材3は、基台部32の上に第1保持部33が積層され、この第1保持部33の上に第2保持部34が積層された状態となっている。そして、このように積層された状態では、第1の貫通穴311上に第2の貫通穴312が重なり、この第1の貫通穴311と第2の貫通穴312によって、凹部31が構成されている。なお、後述する上部保持部材4も上述した下部保持部材3と同一の構成をとっている。
【0024】
図5に戻って説明を続けると、以上のように構成された下部保持部材3が凹部31を上方に向けて外箱2の底面に設置されており、この凹部31を覆うように緩衝シート7が配置されている。この緩衝シート7の材質は、特に限定されるものではないが、ポリエチレンや発泡ポリエチレン等を使用することが好ましい。ポリエチレンとしてはミラーマット、発泡ポリエチレンとしてはエアーキャップ(登録商標)等を使用することが好ましい。そして、緩衝シート7が覆われた凹部31内に、ロール紙Rの下端部を挿入する。緩衝シート7を介してロール紙Rを凹部31内に挿入した状態では、ロール紙Rは、凹部31内に嵌合しており、凹部31によって保持されている。
【0025】
そして、ロール紙R上には、上部保持部材4が設置されており、上部保持部材4の凹部41内にロール紙Rの上端部が挿入している。なお、下部保持部材3の場合と同様に、上部保持部材4の凹部41も緩衝シート7を介してロール紙Rの上端部が挿入されており、この状態で、ロール紙Rの上端は、凹部41内に嵌合されて凹部41によって保持されている。この上部保持部材4は、図8及び図9に示すように、下部保持部材3と同一の構成を取っており、基台部42と、第1の貫通穴411が形成された第1保持部43と、第2の貫通穴412が形成された第2保持部44とによって構成されている。また、第1の貫通穴411と第2の貫通穴412とによって凹部41が構成されている。
【0026】
そして、上部保持部材4の上方には、上述した図1及び図2に示すようなインクリボンTを収納するための収納箱5が設置されている。
【0027】
次に、上述した梱包構造1を使用した梱包方法について図面を参照しつつ説明する。まず、図5に示すように、外箱2を準備し、フラップ21bを閉じてガムテープを貼ることによって底面を形成する。そして、下部保持部材3を凹部31が上方を向くように外箱2内に挿入し、下部保持部材3の下面が外箱2の底面と接するまで下部保持部材3を押し込む。なお、下部保持部材3の平面視の外形は、外箱2の底面の形状とほぼ同じ形状となっているため、下部保持部材3は外箱2内に嵌合されて固定される。
【0028】
続いて、緩衝シート7を下部保持部材3の凹部31上を覆うように配置して、その緩衝シート7の上からロール紙Rの下端部を凹部31内に挿入させる。そして、ロール紙Rの上端に緩衝シート7を被せ、凹部41が下方を向くようにして上部保持部材4を外箱2内に挿入する。上部保持部材4の凹部41内にロール紙Rの上端が挿入して保持されるまで、上部保持部材4を外箱2内に押し込む。なお、上部保持部材4の平面視の外形は、外箱2の横断面形状とほぼ同じ形状となっているため、上部保持部材4は外箱2内に嵌合されて固定される。
【0029】
さらに続いて、インクリボンTの供給ロール部T1と巻取ロール部T2との間に緩衝シートを介在させ、これら全体を包装シート8で覆うように包装して、収納箱5の箱本体部51内に収納する。そして、このような状態でインクリボンTが収納された収納箱5を外箱2内に収納し、収納箱5の下面が上部保持部材4の上面に接触するまで収納箱5を押し込む。この状態で収納箱5は、箱本体部51及び4本の羽根部52によって外箱2内に嵌合されるため、外箱2内に固定される。そして、最後に外箱2のフラップ21aを閉じてガムテープを貼ることで、外箱2の上面を閉鎖する。
【0030】
以上のように、本実施形態によれば、収納箱5が、箱本体部51の右側面及び左側面のそれぞれから外方に羽根部52が延びている。このように、箱本体部51の右側面及び左側面は、外箱2の内壁面との間に羽根部52が介在されてることで、外箱2の内壁面との間には空間Sがそれぞれ形成されている。よって、外箱2の右側面又は左側面から衝撃を受けた場合、この箱本体部51の側面と外箱2の内壁面との間の空間S及び羽根部52で衝撃を緩和することができ、この結果、インクリボンTへの衝撃を十分に低減することが可能となる。また、インクリボンTを収納した収納箱5を外箱2内の上方に設置するため、搬送中などに外箱2を底面から落下させた場合であっても、その落下時にインクリボンTに加わる衝撃を低減させることができる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、下部保持部材3及び上部保持部材4の少なくとも一方を以下のように構成することができる。すなわち、図10及び図11に示すように、下部保持部材3は、外箱2の横断面形状と合致するような外形を有する基台部32と、第1の貫通穴311が形成された第1保持部33と、第2の貫通穴312が形成された第2保持部34と、から構成されている。この第1の貫通穴311と第2の貫通穴312とは同一の形状となっている。
【0032】
図10(a)に示すように、基台部32、第1及び第2保持部33,34は一体的に形成されており、例えば一枚の段ボールによって形成することができる。第1保持部33と第2保持部34との間には、鼓状の打ち抜き穴38aが形成されている。また、下部保持部材3の上端部には、裏まで貫通するような切込みを入れることで逆T字状の切込み線36aが形成され、下部保持部材3の下端部には、裏まで貫通するような切込みが入ったT字形状の切込み線36bが形成されている。そして、逆T又はT字状の切込み線36a、36bにおける横線部361a,361bの右端及び左端から鼓状の打ち抜き穴38aまで延びるように折り曲げ線37a、37bが形成されている。この横線部361a、折り曲げ線37a、及び打ち抜き穴38aによって第1の連結部300aが画定されており、同様に、横線部361b、折り曲げ線37b及び打ち抜き穴38aによって第2の連結部300bが画定されている。これら第1の連結部300a、300bの幅は、第1保持部33と第2保持部34の厚さを合計した寸法とほぼ同一にすることが好ましい。そして、逆T又はT字状の切込み線36a,36bと折り曲げ線37a、37bとによって、第2保持部34が第1保持部33に対して谷折りできるようになっている。
【0033】
また、第1保持部33と基台部32との間には、上記鼓状の打ち抜き穴38aを縦に半分に割った形状の打ち抜き穴38bが形成されており、この打ち抜き穴38bの右上端及び右下端から右方向に切込み線36e、36fが形成されている。この切込み線36e、36fは裏まで貫通するように形成されている。また、上述したような逆TまたはT字状の切込み線36c、36dが下部保持部材3の上端部及び下端部にそれぞれ形成されている。そして、この逆TまたはT字状の切込み線36c、36dにおける横線部361c、361dの左端から打ち抜き穴38bに向かって折り曲げ線37c、37dが形成されるとともに、横線部361c、361dの右端から切込み線36e、36fの右端に向かって折り曲げ線37c、37dが形成されている。この横線部361c、切込み線36e、折り曲げ線37c及び打ち抜き穴38bによって第2の連結部301aが画定されおり、同様に、横線部361d、切込み線36f、折り曲げ線37d及び打ち抜き穴38bによって第2の連結部301bが画定されている。これら第2の連結部301a、301bの幅は、第1保持部33と第2保持部34と基台部32との厚さを合計した寸法とほぼ同一にすることが好ましい。そして、逆T又はT字状の切込み線36c、36d及び折り曲げ線37c、37dによって、第1保持部33は基台部32に対して谷折りできるようになっている。
【0034】
このように一枚の段ボールから形成された下部保持部材3を、外箱2内に設置する際の下部保持部材3の形態へと折り曲げる手順について説明すると、図10(a)にあるように折り曲げていない状態から、まず、第2保持部34を第1保持部33に対して谷折りする(図10(b))。次に、図10(b)の状態から、基台部32に対して、第2保持部34が上に積層された状態の第1保持部33を谷折りする(図10(c))。このように折り曲げられた、外箱2内に設置する際の下部保持部3の形態は、図11に示すように、基台部32の上に第2保持部34が積層され、さらにその第2保持部34の上に第1保持部33が積層した形態となっている。そして、このように各部材が積層された状態で、第1の貫通孔311と第2の貫通孔312が重なり、この第1及び第2の貫通孔311,312で、上記凹部31を構成している。また、第1保持部33と基台部32とは第2の連結部301a、301bによって連結されており、第1保持部33と第2保持部34とは第1の連結部300a、300bによって連結されている。
【0035】
下部保持部材3は、上述したように折り曲げられた状態で外箱2内に設置されるが、第1保持部33及び第2保持部34が外箱2の内壁面との間で空間Sを画定している(図12)。このように空間Sがロール紙Rを保持する凹部31と外箱2の内壁面との間に形成されているため、搬送時に外箱2に衝撃を加えても、その衝撃が空間Sによって緩和される。また、空間Sが形成されていることによって、外箱2が落下した場合であっても、ロール紙Rを保持している凹部31が外箱2の内壁面側に多少移動することができるため、落下時に下部保持部材3の凹部31内壁面からロール紙Rに掛かる衝撃を緩和させることができる。なお、上部保持部材4も上述したような下部保持部材3と同様の形態とすることもできる。
【0036】
また、その他にも、種々の変形が可能であり、例えば、上記実施形態では、下部保持部材3及び上部保持部材4によってロール紙Rを下端部及び上端部における外周面で保持しているが、ロール紙Rを外箱2内で移動できないよう保持できるものであれば、ロール紙Rの保持手段は特にこれに限定されるものではなく種々の保持手段を用いることができる。例えば、図13に示すように、ロール紙Rの中空部R1に挿入されるような円柱状の保持部33が下部保持部材3に形成されていてもよい。すなわち、この下部保持部材3は、図14に示すように、外箱2内に嵌合するような外形を有する板状の基台部32と、基台部32の中心から上方に延びる円柱状の保持部33とから構成されている。基台部32は、平面視矩形状であり、外箱2の横断面形状とほぼ合致するような外径を有している。また、基台部32の中央部には凹部31が形成されている。上記実施形態では、この凹部31によってロール紙Rの下端を保持していたが、本実施形態ではこの凹部31によって保持部33の下端を保持するように、凹部31内に保持部33の下端部が挿入されている。ここで、保持部33の外径は基台部32の凹部31の内径とほぼ同一の寸法であるため、保持部33の下端部を凹部31内に挿入した状態では、その下端部は凹部31内に嵌合されて固定されている。また、保持部33の外径は、ロール紙Rの中空部R1の内径とほぼ同一の寸法であるため、ロール紙Rの中空部R1内に保持部33を挿入すると、ロール紙Rは下部保持部3の保持部33に固定される。なお、この保持部33の材質は紙とすることが好ましい。また、紙以外に、プラスティック部材としてはアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)とすることが好ましい。
【0037】
図15(a)に示すように、下部保持部材3の基台部32は、外箱2の横断面形状とほぼ合致するような外形を有する第1基台部321及び第2基台部322によって構成されている。第1基台部321はその中央部に第1の貫通穴311が形成されており、また第2基台部322も同様に中央部に第2の貫通穴312が形成されている。これら第1及び第2の貫通穴311、312は同一の形状となっており、その内径は、保持部33の外径と同一の寸法となっている。また、第1基台部321と第2基台部322とは、一体的に形成されており、例えば一枚の段ボールなどによって形成することができる。そして、第1基台部321と第2基台部322との間には、裏まで貫通するように切り込みを入れることでI字状の切込み線36が形成されている。このI字状の切込み線36は、縦方向に延びる縦切込み線361と、縦切込み線361の上端及び下端に連結された横方向に延びる横切込み線362a、362bとから構成されている。そして、横切込み線362aの右端及び左端のそれぞれから下部保持部材3の上端まで延びる折り曲げ線37aが形成されるとともに、横切込み線362bの右端及び左端からのそれぞれからは下部保持部材3の下端まで延びる折り曲げ線37bが形成されている。この横切込み線362a及び折り曲げ線37aによって、第1基台部321と第2基台部322とを連結する連結部300aが画定されており、横切込み線362b及び折り曲げ線37bによって、第1基台部321と第2基台部322とを連結する連結部300bが画定されている。この各連結部300a、300bの幅は、第1基台部321と第2基台部322の厚みを合計した寸法とほぼ同一とすることが好ましい。
【0038】
この下部保持部材3の基台部32は、I字状の切込み線36及び折り曲げ線37a、37bによって、第1基台部321が第2基台部322に対して谷折りできるようになっている。すなわち、図15(a)にあるような折り曲げられていない状態から、第1基台部321を第2基台部322上に重なるように谷折りする(図15(b))。このように第2基台部322上に第1基台部321が重なるように折り曲げられた状態では、第1の貫通穴311と第2の貫通穴312とが重なり、この第1及び第2の貫通穴311,314とによって凹部37が構成されている。
【0039】
このような棒状の保持部33を有する下部保持部材3を用いる場合、上部保持部材4は、上記実施形態と同様のものを使用してもよいが、以下のような上部保持部材4を用いることが好ましい。すなわち、この上部保持部材4は、図16及び図17に示すように、外箱2の横断面形状とほぼ合致するような外形を有する第1保持部43と第2保持部44とから構成されている。
【0040】
図16(a)に示すように、第1保持部43はその中央部に第1の貫通穴411が形成されており、第2保持部44も同様にその中央部に第2の貫通穴412が形成されている。これら第1及び第2の貫通穴411,412は同一形状であり、その内径は、ロール紙Rの外径とほぼ同一の寸法となっている。また、上部保持部材4も、下部保持部材3と同様に、第1保持部43と第2保持部44とが一体的に形成されており、例えば一枚の段ボールから形成されている。そして、第1保持部43と第2保持部44との間には、縦切込み線461と横切込み線462a、462bとからなるI字状の切込み線46と、折り曲げ線47a、47bとが形成されている。これら横切込み線462a及び折り曲げ線47aによって連結部400aが形成されており、また、横切込み線462b及び折り曲げ線47bによって連結部400bが形成されている。この各連結部400a、400bによって第1保持部43と第2保持部44とが連結されている。なお、上部保持部材4は、下部保持部材3と異なり、第1保持部43及び第2保持部44の各上端及び下端の中央部に半円状の切欠部48が形成されている。このように半円状の切欠部48が形成されていることで、作業者が切欠部48に指を入れることができ、上部保持部材4を外箱2から取り出すのを容易にすることができる。
【0041】
そして、I字状の切込み線46及び折り曲げ線47a、47bによって、第1保持部43が第2保持部44に対して谷折りできるようになっている。すなわち、図16(a)にあるような折り曲げられていない状態から、第1保持部43を第2保持部44上に重なるように谷折りする(図16(b))。このように折り曲げられた状態で上部保持部材4は外箱2内に設置される。なお、このように折り曲げられた状態では、第1保持部43の第1の貫通穴411と第2保持部44の第2の貫通穴412とが重なり、この第1及び第2の貫通穴411,412とによって凹部41が構成されている。なお、この凹部41は、第1保持部43及び第2保持部44を貫通するような貫通穴として形成されている。
【0042】
以上のように外箱2内に嵌合固定された下部保持部材3の基台部32から棒状の保持部33が上方に延びているが、この保持部33はロール紙Rの中空部R1の内径と合致するような外径を有している。このため、中空部R1内に保持部33が挿入されるようにロール紙Rを外箱2内に収納することによって、外箱2内においてロール紙Rを保持することができる。また、外箱2内において、下部保持部材3の上方には、上記実施形態と同様の構成を有する上部保持部材4が嵌合固定されている。このため、下部保持部材3によって保持されたロール紙Rの上端を上部保持部材4の凹部41内に挿入することによって、ロール紙Rの上端が下端を中心に揺動することを防止することができる。以上のように、本実施形態では、下部保持部材3の保持部33によって、ロール紙Rを中空部R1で保持しており、上記実施形態のようにロール紙Rを外周面で保持する必要がないため、下部保持部材3の大きさを小さくすることができる。また、上部保持部材4はロール紙Rを外周面で保持しているが、下部保持部材3がロール紙Rを中空部R1で保持しており、上部保持部材4はロール紙Rの揺動を防止するだけでよいため、本実施形態で使用する場合は、上記実施形態で使用する場合に比べて、その大きさを小さくすることができる。この結果、輸送コストを維持しつつ、コアレスロール紙を保持することができる。
【0043】
また、上記実施形態では、いずれもロール紙Rは巻芯を有さないコアレスロール紙として説明したが、巻芯を有するロール紙にも当然に使用できる。この場合、ロール紙Rの保持手段は、上述したような保持手段を用いることもできるが、その他にも、図18に示すような、巻芯R2の内径とほぼ同一の外径を有する突起状の保持部33が中央近傍に形成された下部保持部材3及び同様に保持部43が形成された上部保持部材4を用いることができる。
【0044】
また、上記実施形態では、羽根部52は箱本体部51の対向する側面に形成されているが、図19に示すように、箱本体部51の全ての側面に形成されていてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、箱本体部51の各側面に2つの羽根部52が形成されているが、この羽根部52の数はこれ以外でもよく、また、側面の端から端まで延びるような一つの羽根部52を形成することもできる。
【0046】
また、上記実施形態では、外箱2内に、保持手段と収納箱5とを収納しているが、図20に示すように、外箱2内に複数の収納箱5のみを上下方向に積層するように収納することができる。
【0047】
また、上記実施形態では、包装シート8は、インクリボンTを覆っているのみであるが、例えば図21に示すように、一旦インクリボンTを覆い、余った部分を丸めてインクリボンTの供給ロール部T1に隣接するような状態で収納箱5内に収納することもできる。
【0048】
なお、上記実施形態では、収納箱はインクリボンの収納に特に適しているが、インクリボン以外のものを収納することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施形態に係る外箱内に収納された収納箱を示す平面図である。
【図2】本発明に係る収納箱の実施形態を示す斜視図である。
【図3】本実施形態に係る包装シートによって包装されたインクリボンが収納された収納箱の正面断面図である。
【図4】本実施形態に係る収納箱の組立前を示す展開図である。
【図5】本発明に係る収納箱及びこれを用いた梱包構造の実施形態を示す正面断面図である。
【図6】本実施形態に係る下部保持部材の折り畳み前(a)から折り畳み後(b)までを示した平面図である。
【図7】本実施形態に係る下部保持部材の斜視図である。
【図8】本実施形態に係る上部保持部材の折り畳み前を示した展開図である。
【図9】本実施形態に係る上部保持部材の斜視図である。
【図10】他の実施形態に係る下部保持部材(上部保持部材)の折り畳み前(a)から折り畳み後(c)までを示した平面図である。
【図11】他の実施形態に係る下部保持部材(上部保持部材)の斜視図である。
【図12】他の実施形態に係る下部保持部材(上部保持部材)の斜視図である。
【図13】本発明に係る収納箱及びこれを用いた梱包構造の他の実施形態を示す正面断面図である。
【図14】他の実施形態に係る下部保持部材を示す斜視図である。
【図15】他の実施形態に係る下部保持部材の基台部の折り畳み前(a)及び折り畳み後(b)を示す平面図である。
【図16】他の実施形態に係る上部保持部材の折り畳み前(a)及び折り畳み後(b)を示す平面図である。
【図17】他の実施形態に係る上部保持部材の斜視図である。
【図18】本発明に係る収納箱及びこれを用いた梱包構造のさらに他の実施形態を示す正面断面図である。
【図19】本発明に係る収納箱の他の実施形態を示す平面図である。
【図20】本発明に係る梱包構造のさらに他の実施形態を示す正面断面図である。
【図21】他の実施形態に係る包装シートによって包装されたインクリボンが収納された収納箱の正面断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 梱包構造
2 外箱
3 下部保持部材(保持手段)
4 上部保持部材(保持手段)
5 収納箱
51 箱本体部
52 羽根部
7 包装シート
R ロール紙
T インクリボン(被収納物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収納物を収納する箱本体部と、
前記箱本体部の少なくとも一対の対向する側面のそれぞれから外方に向かって延びる羽根部と、
を備えた、収納箱。
【請求項2】
請求項1に記載の収納箱と、
前記収納箱を収納するための外箱とを備え、
前記収納箱の羽根部は、前記外箱の内壁面まで延びている、梱包構造。
【請求項3】
前記収納箱を複数備え、
前記各収納箱は、前記外箱内で積層されている、請求項2に記載の梱包構造。
【請求項4】
前記外箱内に設置された、ロール紙を保持するための保持手段をさらに備え、
前記収納箱は、前記外箱内において、前記保持手段の上方に設置されている、請求項2又は3に記載の梱包構造。
【請求項5】
被収納物を包装するための包装シートをさらに備えており、
前記包装シートは、被収納物を包装して残った部分を丸めて被収納物に隣接した状態にして前記収納箱内に収納された、請求項2から4のいずれかに記載の梱包構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−51542(P2009−51542A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220635(P2007−220635)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(596057435)大善株式会社 (4)
【Fターム(参考)】