説明

収納袋及びその製造方法

【課題】透明窓部から収納物を目視確認できる収納袋であって、不透明基材シートと透明基材シートの剥がれが生じず、美観が向上した接着部構造の包装用袋を提供。
【解決手段】包装用袋は、互いに離間配置された複数の不透明な基材シート部分(22a)からなり、且つその内面全面に接着剤(24)を塗布された不透明な基材シート(22)と、該複数の不透明な基材シート部分(22a)の内面側全面に前記接着剤を利用してラミネート接着された一の透明基材シート(23)であって、該複数の不透明な基材シート部分間に透明基材シートからなる透明窓部(23a)を形成する前記一の透明基材シート(23)を具備し、全体が袋形状に形成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、食品、雑貨等を収納する収納袋であって、袋の透明窓部からその収納内容物を目視してその存在する内容物の量の確認又は変質の有無の確認等ができる収納袋、及びその収納袋の製造方法に関する。
【従来技術】
【0002】
一般に、食品や雑貨を収納する収納袋には、透明窓部を設けて、この透明窓部を介してその内容物の残量の確認又は変質の有無の確認を外部から容易に目視により行うようにしたものがある。
【0003】
透明窓部の設け方としては、その窓部の個所だけを加工する方法と、不透明基材及び透明基材をラミネートするラミネート法とがある。
前者、即ち、窓部の個所だけを加工する方法の一例としては、例えば窓付き封筒があり、これによれば、不透明基材の窓部の個所を所定形状に切り取り削除し、かつ同様形状の透明基材をその窓部に貼り付ける。しかるにこれによれば、窓部及び透明基材の加工が面倒であるという問題点があった。
また前者の他の例としては、透明基材の全面にアルミを蒸着し、そのアルミ蒸着面の適宜個所を化学処理して除去することにより透明窓部を形成する方法があり、これによれば、容易に所望の形状の透明窓部を形成することが可能であり便利であるが、化学処理が面倒であるという問題点があった。
【0004】
次に、後者、即ち、ラミネート法の一例としては、押出しラミネート法を利用したものとして、例えば特開2003−2340号「包装用袋とその製造方法」がある。これによれば、透明基材シートと、2枚にスリット分離した不透明基材(紙等)シートとを夫々ロールにより移送して、押出ラミネート機から押し出されるラミネート樹脂(接着剤)により透明基材シートを不透明基材シートに貼着して、不透明基材の分離空間に透明基材シートの透明窓部を設けて包装用袋を形成するものを開示する。しかるにこれによれば、ラミネート樹脂は押出ラミネート機から押し出されて透明基材シートの全面を覆うため、このラミネート樹脂面のうち不透明基材が接着される個所以外は押し出されたままのラミネート樹脂面に留まって十分な平滑性が得られないで、その透明窓部の透明性が低下し易く、内容物を目視し難いことがあるという問題点があった。
【0005】
また、後者の他の例としては、接着剤を使用したラミネート法があり、これを図1乃至図4に示す。図1中、前記特開2003−2340号におけると同様に2枚にスリット分離した不透明基材シート11(11a、11a)は、クロムメッキを施したグラビアロール12とゴム製バックアップロール13との間を通過するときに、グラビアロール12から掻き上げられた接着剤14を図2に示す如く該不透明基材シート11の一面(内面)に塗布される。15は余分な接着剤を掻き落とすドクターブレードである。この不透明基材シート11は更に移送されて適宜位置でその内面に透明基材シート16(図4)が前記接着剤14を介して接着ラミネートされ、積層体19aが形成される。このラミネート積層体19aを適宜に折り曲げて、図5に示す如く例えばその3つ辺部を溶着18すれば収納袋19が完成し、不透明基材シート11間に内容物を目視するため等の透明窓部16aが形成される。
【0006】
しかしながら、これによれば、バックアップロール13はグラビアロール12に対してバックアップロール13自体に撓み位置13a(図1参照)まで撓みを生ずるまで所定圧力で押圧されているので、この撓み空隙に基づいて両ロール12、13間に接着剤溜まり部14a(図1、図2参照)を生じて、この溜まり部14aの接着剤14がバックアップロール13の中間部13bに転写されてその側方部まではみ出して接着剤はみ出し部14bを形成し、これが更に不透明基材シート11(11a、11a)の裏面に不要接着剤14c(図1参照)として付着してしまい、美観及び機能上の問題となっていた。
【0007】
これを解消するために、図3に示す如く、グラビアロール12の中間部12aに接着剤14を掻き上げるセルを設けないで接着剤を供給しないよう工夫したり又はバックアップロール13の中間部に小径部13cを設けて、この小径部13cには接着剤14が付着しないように工夫したものもある。
【特許文献1】特開2003−2340号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図3の従来例によれば、今度は、不透明基材シート11(11a、11a)の両側部に接着剤14が付着し難くなり、図4、図5に示す如く、各不透明基材シート11a、11aの両側部に透明基材シート16に対する剥がれ部17を生じて、美観上、及び機能上の問題点となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記問題点を解決したものであり、その構成は、包装用袋において、互いに離間配置された複数の不透明な基材シート部分(22a)からなり、且つその内面全面に接着剤(24)を塗布された不透明な基材シート(22)と、該複数の不透明な基材シート部分(22a)の内面側全面に前記接着剤を利用してラミネート接着された一の透明基材シート(23)であって、該複数の不透明な基材シート部分間に透明基材シートからなる透明窓部(23a)を形成する前記一の透明基材シート(23)を具備し、全体が袋形状に形成されたことを特徴とする。
本発明になる収納袋の製造方法は、長尺の不透明基材シート(22)を移送する途中で複数の不透明基材シート部分(22a、22a)に切断する工程と、キスリバースコーター(36)を使用して、該複数の不透明基材シート部分(22a、22a)の内面側全面に接着剤(24)を付着させる工程と、長尺の一の透明基材シート(23)を該複数の不透明基材シート部分(22a、22a)の前記内面側全面に接着してラミネートする工程と、前記接着ラミネートした不透明基材シート(22)及び透明基材シート(23)を袋状に加工して、透明基材シートのみの部分を透明窓部(23a)とする収納袋(21)を形成する工程と、を具備する。
【発明の効果】
【0010】
(1)透明基材シート及び不透明基材シートを貼着するときに接着剤を押し出す押出しラミネート法でなく、不透明基材シートに予め接着剤を付着させたものに対して透明基材シートを張合せるドライラミネート法を使用しているので、透明基材シートの透明窓部の透明性が良好であり、収納袋の内容物を良好に目視でき、また内容物の美観も向上して内容物が食品である場合に美味しく感ずる。
(2)ドライラミネート法の中でもキスリバースコータを使用しているが、キスリバースコータ組立体はバックアップロールが無いので、不透明基材シート11の裏面に不要接着剤が回って付着することがなく、美観及び機能を向上し得る。
(3)キスリバースコータ組立体は、コータロールが不透明基材シートの移送方向に対して逆方向に回転する、いわゆるリバース回転するので、その回転速度を不透明基材の移送速度とは別個に細かくコントロールして接着剤の供給量を細かくコントロールできる。従って、不透明基材シートの側端部まで接着剤が丁度行き渡ることができ、これにより不透明基材シートの側部に剥がれ部分が存在することなく丁度全面的に接着することができ、美観及び機能を向上し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図6は本発明の収納袋を構成する不透明基材シートと透明基材シートとを貼着した斜視図、図7は図6中7−7線に沿う断面図、図8は収納袋の一実施例の平面図である。
図6中、収納袋21(図8参照)を構成する積層体21aは、1対の不透明基材シート22(22a、22a)と、一の透明基材シート23とから構成される。即ち、各不透明基材シート22の内面(図中下面)の全面には、後述する如く予め接着剤24が塗布してあり、この各不透明基材シート22の内面に対して透明基材シート23が後述する如く押し付けられて接着剤24を介してラミネート接着される。
【0012】
この互いに接着された不透明基材シート22及び透明基材シート23は、二つ折りに折り曲げられて図8の状態となり、3つの辺部において熱溶着25されて一の辺部のみを袋開口部26とされ、かくして収納袋21が完成する。
【0013】
この収納袋21によれば、収納袋21内に食品、雑貨等を収納した際に、透明基材シート23による透明窓部23aからその内部を目視できるから、収納物の残量の確認、又は収納物の変質の程度の確認を収納物を袋から取り出してみる必要なく容易に確認できる。
また、後述するキスリバースコーター組立体34を使用することにより、不透明基材シート22(22a、22a)の内面全面に予め接着剤24が塗布付着してあり、この接着剤面に対して透明基材シート23が押し付け接着されるから、不透明基材シート22は透明基材シート23に対して部分的に剥がれ状態を生ずることなく確実に全面的に接着されるから、剥がれ部分が拡大したり、又は剥がれのため美観を損ねることがない。
なお、不透明基材シート22(22a、22a)は1対に限らず、3つ以上あってもよい。
【0014】
また、上記不透明基材シート22の材料としては、雲竜(漉き込み和紙)、レーヨン紙、又はクラフト紙等の通常の紙に対して、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)又はナイロン等の樹脂フィルムを貼り合わせたものであるか、又はPE、PP、PET又はナイロン等のフィルム素材にアルミニウム若しくはシリカを蒸着処理したものでよい。また、PE、PP、PET又はナイロン等のフィルム素材にアルミニウム箔を貼り付け形成したものでも良い。
【0015】
また、上記透明基材シート23の材料としては、PE、PP、PET又はナイロン等を含む各種の樹脂フィルムでよい。
次に、本発明収納袋21の製造方法について説明する。図9は、前記製造方法を説明する概略図である。
図9中、ロール31へ導入された不透明基材シート22は、スリッター32(図9)において複数、例えば2つの長手方向の不透明基材シート22(22a、22a)にスリット切断されて(図10)、更にロール33によりキスリバースコーター組立体34へ移送される。勿論、不透明基材シート22は、3つ以上の長手方向のシートにスリット切断されてもよい。キスリバースコーター組立体34は、図11及び図12に示す如く、容器35内に収納された溶剤(酢酸エチル等)含有接着剤24に浸されたリバースコータロール36(反時計方向、即ちリバース方向へ回転)及びそれに付随するドクターブレード15と、コータロール36の左右上方に設置された1対のタッチロール38(不透明基材シート22に接触してその接触摩擦により反時計方向へ回転)とからなる。なお、ドクターブレード15は余分な接着剤24を掻き落とすものであるが、これの替わりに補助ロールを用いても良い。
【0016】
ここで、2つに切断された長手方向の不透明基材シート22(22a、22a)が矢印A方向へ走行する間に、コータロール36に付着した接着剤24が各切断された不透明基材シート22(22a、22a)の内面(図中下面)に夫々全面的に塗布され、塗布が完了した各切断不透明基材シート22(22a、22a)はロール39(図9)により上方へ移送され乾燥装置40において接着剤を乾燥された後、更にロール41を介して張合ロール42(図13参照)へ導かれる。
【0017】
他方、図9中左方のロール43へ導入された幅広の透明基材シート23は、同様に張合ロール42(図13参照)へ導かれ、ここで2つにスリット切断された不透明基材シート22に対して接着剤24(図6、11参照)を介して接着される。かくして、図6に示す如く、2枚の不透明基材シート22(22a、22a)の内面に対して1枚の幅広の透明基材シート23が押し付けられて接着剤24によりラミネート接着された積層体21aが完成する。この積層体21aは、図8に示す如く、2つ折りに折り曲げられかつその3辺部を熱溶着25されて収納袋21とされる。なお符号26は収納袋25の開口部方向である。
【0018】
図14は、本発明になる他の収納袋44であり、図8の収納袋21に比して、開口部26の方向が右側方となっている。
図15は、本発明になる更に他の収納袋45であり、図8、図14の収納袋21、44が一辺の開口部26以外の三辺部が熱溶着されていたのに比して、一辺(上辺)の開口部26に対して互いにラミネート接着された不透明基材シート22及び透明基材シート23を略円形に巻いてその縦方向一辺25aと底辺25bとの合計二片部のみを熱溶着25したものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】収納袋の製造方法の一の従来例のロールの正面図である。
【図2】上記従来例のロールの側面図である。
【図3】収納袋の製造方法の他の従来例のロールの正面図である。
【図4】上記他の従来例の製造方法により製造された収納袋の基材シートの斜視図である。
【図5】上記他の従来例の製造方法により製造された収納袋の平面図である。
【図6】本発明になる収納袋の一実施形態の基材シートの斜視図である。
【図7】図6中、7−7線に沿った断面図である。
【図8】本発明になる収納袋の一実施形態の平面図である。
【図9】本発明になる収納袋の製造方法の一実施形態の概略構成図である。
【図10】本発明になる収納袋の一実施形態の不透明基材シートをスリットしてコーティングロールへ導く状態の斜視図である。
【図11】図9のコーティグロールを含むキスリバースコーター組立体の側面図である。
【図12】図10のキスリバースコーター組立体の平面図である。
【図13】図10の不透明基材シートに対して透明基材シートをラミネートする状態の斜視図である。
【図14】本発明になる収納袋の他の実施形態の平面図である。
【図15】本発明になる収納袋の更に他の実施形態の斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
11(11a、11b)、22(22a、22b)・・・不透明基材シート
12 グラビアロール
13 バックアップロール
14、24 接着剤
14a 接着剤溜まり部
15 ドクターブレード
16、23 透明基材シート
16a、23a 透明窓部
17 剥がれ部
18、25、25a、25b 熱溶着部
19a、21a ラミネート積層体
19、21、44、45 収納袋
26 袋開口部
32 スリッター
34 リバースコータロール組立体
35 容器
36 リバースコータロール
38 タッチロール
40 乾燥装置
42 張合ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納袋において、
互いに離間配置された複数の不透明な基材シート部分(22a)からなり、且つその内面全面に接着剤(24)を塗布された不透明な基材シート(22)と、該複数の不透明な基材シート部分(22a)の内面側全面に前記接着剤を利用してラミネート接着された一の透明基材シート(23)であって、該複数の不透明な基材シート部分間に透明基材シートからなる透明窓部(23a)を形成する前記一の透明基材シート(23)を具備し、全体が袋形状に形成されたことを特徴とする収納袋。
【請求項2】
請求項1に記載の包装用袋において、
前記不透明基材シートの材料は、雲竜(漉き込み和紙)、レーヨン紙、又はクラフト紙などの通常の紙に対して、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)又はナイロン等を貼り合わせて形成したものであることを特徴とする包装用袋。
【請求項3】
請求項1に記載の包装用袋において、
前記不透明基材シートの材料は、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)又はナイロン等のフィルム素材にアルミニウム若しくはシリカ等を蒸着処理して形成したものであることを特徴とする包装用袋。
【請求項4】
請求項1に記載の包装用袋において、
前記不透明基材シートの材料は、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)又はナイロン等のフィルム素材にアルミニウム箔を貼り付けて形成したものであることを特徴とする包装用袋。
【請求項5】
請求項1に記載の包装用袋において、
前記透明基材シートの材料は、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)又はナイロン等を含む各種の樹脂フィルムであることを特徴とする包装用袋。
【請求項6】
長尺の不透明基材シート(22)を移送する途中で複数の不透明基材シート部分(22a、22a)に切断する工程と、
キスリバースコーター(36)を使用して、該複数の不透明基材シート部分(22a、22a)の内面側全面に接着剤(24)を付着させる工程と、
長尺の一の透明基材シート(23)を該複数の不透明基材シート部分(22a、22a)の前記内面側全面に接着してラミネートする工程と、
前記接着ラミネートした不透明基材シート(22)及び透明基材シート(23)を袋状に加工して、透明基材シートのみの部分を透明窓部(23a)とする収納袋(21)を形成する工程と、
を具備する収納袋の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−30765(P2008−30765A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203463(P2006−203463)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(506255795)北上産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】