説明

受信装置及び画像形成装置

【課題】中央処理装置の負荷を低減させパケットデータの保存漏れを防ぐ。
【解決手段】保存するパケットデータの少なくとも1つの条件を各々記憶した複数の条件記憶部54と、選択信号に応じて複数の条件記憶部54から少なくとも1つの条件記憶部54を選択する選択部52と、受信したパケットデータが選択部52により選択された条件記憶部54に記憶された条件のいずれかに該当する場合には、該受信したパケットデータがFIFO60に保存されるように制御し、受信したパケットデータが選択部52により選択された条件記憶部54に記憶された条件のいずれにも該当しない場合には、該受信したパケットデータが破棄されるように制御する保存制御部44aと、保存制御部44aで保存の対象となったパケットデータが該当した条件に応じて少なくとも1つの条件記憶部54を選択するための選択信号を生成して送信する選択制御部44bとを受信制御部34に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、受信装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
記憶部に事前に設定されたフィルタリングパターンや特定プロトコルの情報からなる廃棄条件に一致するパケットを廃棄し、事前に定められた時間、パケットが受信されない場合には、省電力制御を実行する印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、条件記憶部に受信対象プロトコル情報及び受信対象外プロトコル情報を記憶しておき、ネットワークより到来するパケットデータの所定の階層の通信プロトコルの種類が受信対象外プロトコル情報により示される種類である場合に当該パケットデータを受信対象として抽出すると共に前記所定の階層よりも上位の階層の通信プロトコルの種類が受信対象外プロトコル情報により示される種類のパケットデータである場合に受信対象としない制御を行い、制御の結果、受信対象のパケットデータが抽出された場合に、通常駆動モードへの復帰の制御を行う情報処理装置も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2003−191570公報
【特許文献2】特開2007−052544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、保存すべきパケットデータの条件を中央処理装置が書換えて変更する場合に比べて、中央処理装置の負荷を低減させパケットデータの保存漏れを防ぐことができる受信装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明の受信装置は、少なくとも1つのパケットデータを保存するための保存手段と、前記保存手段に保存するパケットデータの少なくとも1つの条件を各々記憶した複数の記憶手段と、選択信号に応じて前記複数の記憶手段から少なくとも1つの記憶手段を選択する選択手段と、受信したパケットデータが前記選択手段により選択された記憶手段に記憶された条件のいずれかに該当する場合には、該受信したパケットデータが前記保存手段に保存されるように制御し、受信したパケットデータが前記選択手段により選択された記憶手段に記憶された条件のいずれにも該当しない場合には、該受信したパケットデータが破棄されるように制御する保存制御手段と、前記複数の記憶手段から、前記保存制御手段で保存の対象となったパケットデータが合致した条件に応じて少なくとも1つの記憶手段を選択するための選択信号を生成して前記選択手段に送信する選択制御手段と、を備えている。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の受信装置において、前記選択制御手段は、前記保存制御手段により前記保存手段にパケットデータが保存されてから次のパケットデータを受信するまでの期間に前記記憶手段の選択が行われるように前記選択信号を生成して送信するものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の受信装置に、中央処理装置が停止状態のときに前記保存手段にパケットデータが保存された場合に、前記中央処理装置を起動するための割込信号を生成して前記中央処理装置に送信する割込制御手段を更に設けたものである
【0008】
請求項4の発明の画像形成装置は、請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の受信装置と、画像を形成する画像形成手段と、前記受信装置で保存されたパケットデータが画像形成を要求するデータである場合に、画像が形成されるように前記画像形成手段を制御する中央処理装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、保存すべきパケットデータの条件を中央処理装置が書換えて変更する場合に比べて、中央処理装置の負荷を低減させパケットデータの保存漏れを防ぐことができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、保存の対象となったパケットデータの次に受信されるパケットデータから、該保存の対象となったパケットデータが該当した条件に応じて選択された記憶手段に記憶された条件に従って保存及び破棄の制御を行うことができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、パケットデータが保存されるまで中央処理装置を停止状態とすることができ、消費電力を削減できる。
【0012】
請求項4の発明によれば、保存すべきパケットデータの条件を中央処理装置が書換えて変更する場合に比べて、中央処理装置の負荷を低減させパケットデータの保存漏れを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1には、本実施の形態に係る画像形成装置10の機能ブロック図が示されている。
【0014】
同図に示すように本実施の形態に係る画像形成装置10は、装置制御部12、画像読取部14、画像形成部16、操作表示部18、電源供給制御部20、及び通信インタフェース22を備えている。
【0015】
画像読取部14は、不図示の原稿載置台に載置された原稿、或いは原稿搬送装置で搬送された原稿の画像を光学的に読み取り、読み取って得られた画像情報を装置制御部12に渡す。
【0016】
画像形成部16は、画像読取部14で読み取った画像情報や通信インタフェース22を介して受信した画像情報により示される画像を用紙などの記録媒体上に形成する。
【0017】
操作表示部18は、例えばタッチパネルディスプレイ等から構成され、後述するCPU24から入力された制御信号に応じて画像や各種メッセージ等の情報を表示する表示部としての機能と、操作表示部18に表示された画像上の任意の位置を利用者が指定することにより指示入力する入力部としての機能を兼ね備えている。なお、操作表示部18は、タッチパネルディスプレイに限定されるものではなく、例えば、液晶ディスプレイ等の表示部と、操作者により操作される操作ボタン等の入力部とが個別に装備されたものであってもよい。
【0018】
電源供給制御部20は、図示しない電源に接続され、装置制御部12から受信した電源供給制御信号に従って、画像読取部14、画像形成部16、及び操作表示部18に電力を供給したり供給を停止したりする。
【0019】
通信インタフェース22は、イーサネット(登録商標)等のネットワークに接続され、ネットワークから受信したデータを装置制御部12に送信したり、装置制御部12から送信すべきデータを受け取ってネットワークに送信したりする。
【0020】
本実施の形態では、ネットワークとしてイーサネット(登録商標)を用いている。ネットワークには、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)やUDP/IP(User Datagram Protocol/Internet Protocol)等の各種のプロトコルに基づいたパケットデータが送信されるが、画像形成装置10で受信する必要のない不要なパケットデータも送信されている。このため、装置制御部12では、ネットワークを介して到来するパケットデータのうち必要なパケットデータを保存し、不要なパケットデータを破棄する保存制御(フィルタリング)を行っている。
【0021】
なお、図8に、本実施の形態に係るネットワークに送信されるTCP/IPプロトコルおよびICMP(Internet Control Message Protocol)プロトコルのパケットデータの構成を示す。図8(A)に示すように、TCP/IPプロトコルデータは、イーサネットヘッダ80、IPヘッダ82、TCPヘッダ84、及びアプリケーションのヘッダやデータ、イーサネットトレイラを含んで構成されている。また、図8(B)に示すように、ICMPプロトコルデータは、イーサネットヘッダ80、IPヘッダ82、ICMPヘッダ83、およびICMPメッセージ情報、イーサネットトレイラを含んで構成されている。
【0022】
図9は、イーサネットヘッダ80の詳細な構成を示した図である。図10は、IPヘッダ82及びICMPヘッダ83の詳細な構成を示した図である。図11は、TCPヘッダ84の詳細な構成を示した図である。なお、パケットデータはTCPヘッダ84に代えてUDPヘッダを含んで構成する場合もあるが、ここでは説明を省略する。
【0023】
装置制御部12は、画像読取部14、画像形成部16、操作表示部18、電源供給制御部20、及び通信インタフェース22と接続されている。装置制御部12は、画像読取部14の画像読み取り動作の制御、通信インタフェース22を介してのネットワークとのデータの送受信の制御、画像形成部16による記録媒体への画像形成動作の制御、及び操作表示部18への各種情報の表示制御等を行う。
【0024】
図2は、装置制御部12の構成を示すブロック図である。
【0025】
同図に示すように、装置制御部12は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)24、電源・通信制御部26、電源供給制御部28、及びメインメモリ30を含んで構成されている。CPU24、電源・通信制御部26、及びメインメモリ30は、互いに不図示のバスを介して接続されている。
【0026】
CPU24は、不図示の記憶部(例えば、ハードディスクドライブやROM(Read Only Memory)等)に記憶されたプログラムを実行し、画像読取部14、画像形成部16、操作表示部18等、画像形成装置10を構成する様々な構成部の動作を制御する。
【0027】
電源供給制御部28は、不図示の電源に接続されており、CPU24及びメインメモリ30に電力を供給する。
【0028】
メインメモリ30は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)により構成されている。メインメモリ30は、メインメモリ30単体で自動的にリフレッシュを行う機能(セルフリフレッシュ機能)を備え、省電力モード(セルフリフレッシュモード)中は、セルフリフレッシュ機能を実行する回路以外の部分はスリープさせ消費電力を抑える。このセルフリフレッシュ機能によってメインメモリ30自身が自動的にリフレッシュを行うため、記憶されたデータは消失しない。
【0029】
なお、メインメモリ30の通常動作モード(非省電力モード)からセルフリフレッシュモードへの移行、或いはセルフリフレッシュモードから通常動作モードへの復帰は、CPU24の命令によって行われる。
【0030】
電源・通信制御部26は、電源制御部32、受信制御部34、及び送信制御部36を備えている。
【0031】
電源制御部32は、電源供給制御部28に電源供給制御信号を送り、CPU24に対する電力供給を行ったり停止したりする。また、電源制御部32は、電源供給制御部28を介してメインメモリ30のセルフリフレッシュモード中の電力レベルを保持する。また、電源制御部32は、CPU24からの制御信号に応じて電源供給制御部20に電源供給制御信号を送り、画像読取部14、画像形成部16、及び操作表示部18に対する電力供給を行ったり停止したりする。
【0032】
本実施の形態の画像形成装置10は、画像読取部14、画像形成部16、操作表示部18、及びCPU24に駆動電力を供給して画像の読取りや画像形成を実行可能な状態とする非省電力モードと、画像読取部14、画像形成部16、操作表示部18、及びCPU24への駆動電力の供給を停止させることにより消費電力を非省電力モードより少なくする省電力モードと、を備えている。
【0033】
しかしながら、電源・通信制御部26、電源供給制御部20、及び電源供給制御部28は、省電力モード中であっても稼働状態が継続される。
【0034】
受信制御部34及び送信制御部36は、通信インタフェース22に接続されている。受信制御部34は、通信インタフェース22から送信されたパケットデータをフィルタリングする。送信制御部36は、CPU24からの指令に応じてパケットデータを生成して通信インタフェース22を介してネットワークに送信する。
【0035】
なお、電源・通信制御部26は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアにより構成されている。
【0036】
図3は、受信制御部34の構成を示すブロック図である。
【0037】
受信制御部34は、主制御部40、複数の選択条件供給部50、FIFO(First-in First-out Buffer)60、及びDMA(Direct Memory Accsess)制御部62を備えて構成されている。
【0038】
選択条件供給部50の各々は、選択部52及び複数の条件記憶部54を備えている。
【0039】
選択部52は、主制御部40からの選択信号に応じて複数の条件記憶部54から1つの条件記憶部54を選択し、該選択した条件記憶部54に記憶された条件を主制御部40に供給する。複数の条件記憶部54の各々には、保存すべきパケットデータの少なくとも1つの条件が予め記憶されている。条件記憶部54を、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュEEPROM(Flash EEPROM)、フラッシュメモリ等の半導体記憶素子等で構成してもよい。
【0040】
本実施の形態では、図3に示すように、TCP系の選択条件供給部50、ICMP系の選択条件供給部50・・・・のように、選択条件供給部50を予め定められたネットワーク階層のプロトコル毎に設け、使用する条件記憶部54が各プロトコル毎に選択されるように構成する。
【0041】
図4(A)は、TCP系の選択条件供給部50に設けられた5つの条件記憶部54の各々に記憶されている条件の一例を示す図である。ここで、条件記憶部54の各々に記憶されている条件のセットをフィルタと呼称し、更に、TCP系の1番目の条件記憶部54に記憶されている条件のセットをフィルタF1TCP、2番目の条件記憶部54に記憶されている条件のセットをフィルタF2TCP、3番目の条件記憶部54に記憶されている条件のセットをフィルタF3TCP、4番目の条件記憶部54に記憶されている条件のセットをフィルタF4TCP、5番目の条件記憶部54に記憶されている条件のセットをフィルタF5TCP、と呼称して区別して説明する。
【0042】
各フィルタF1TCP〜F5TCPには、宛先・送信元IPアドレス、宛先・送信元ポート番号、プロトコル、パケットデータの属性を示すフラグまたはタイプなどの条件が定義されている。
【0043】
フィルタF1TCPは、省電力モード時に選択される1番目の条件記憶部54に記憶されたフィルタである。また、フィルタF2TCP〜F5TCPは、非省電力モード時に選択される2〜5番目の条件記憶部54に記憶されたフィルタである。
【0044】
TCP系のフィルタF1TCP〜F5TCPには、以下の5つの条件の少なくとも1つが含まれている。
【0045】
・条件1:プロトコル「ARP」
・条件2:プロトコル「TCP」且つポート番号「SNMP」(=No.25)且つフラグSYN「1」
・条件3:プロトコル「TCP」且つポート番号「LPR」(=No.515)且つフラグSYN「1」
・条件4:プロトコル「TCP」且つポート番号「SNMP」
・条件5:プロトコル「TCP」且つポート番号「LPR」
【0046】
ここで、ARP(Address Resolution Protocol)は、IPアドレスからイーサネット(登録商標)の物理アドレス(MACアドレス)を求めるために使用されるプロトコルである。また、SNMP(Simple Network Management Protocol)は、ネットワークシステムを監視し管理するためのプロトコルである。また、LPR(Line PRinter daemon protocol)は、TCP/IPネットワークを経由して印刷を行なうためのプロトコルである。また、SYNフラグ(Synchronize Flag)は、TCP接続において最初に送信されるパケットで1となるフラグであり、コネクション確立行程で使用されるものである。
【0047】
具体的には、図4(A)に示すように、フィルタF1TCPは、条件1からなり、フィルタF2TCPは、条件1、2、3の3つの条件からなり、フィルタF3TCPは、条件1、2、3、4の4つの条件からなり、フィルタF4TCPは、条件1、2、3、5の4つの条件からなり、フィルタF5TCPは、条件1〜5の5つの条件からなる。
【0048】
なお、図示は省略するが、フィルタF1TCP〜F5TCPを構成する条件の各々には、宛先IPアドレスが自分宛またはブロードキャストアドレスである旨も定義されているものとする。従って、保存制御において、どのフィルタを適用しても、宛先IPアドレスが自分宛、及びブロードキャストアドレス以外のパケットデータは保存されない。
【0049】
図4(B)は、ICMP系の選択条件供給部50に設けられた3つの条件記憶部54の各々に記憶されている条件の一例を示す図である。ここで、ICMP系の1番目の条件記憶部54に記憶されている条件のセットをフィルタF1ICMP、2番目の条件記憶部54に記憶されている条件のセットをフィルタF2ICMP、3番目の条件記憶部54に記憶されている条件のセットをフィルタF3ICMP、と呼称して区別して説明する。
【0050】
各フィルタF1ICMP〜F3ICMPには、上記TCP系のフィルタと同様に、宛先・送信元IPアドレス、プロトコル、パケットデータの属性を示すフラグやタイプなどの条件が定義されている。
【0051】
フィルタF1ICMPは、省電力モード時に選択される1番目の条件記憶部54に記憶されたフィルタである。また、フィルタF2ICMP、F3ICMPは、非省電力モード時に選択される2、3番目の条件記憶部54に記憶されたフィルタである。
【0052】
ICMP系のフィルタF1ICMP〜F3ICMPには、以下の3つの条件の少なくとも1つが含まれている。
【0053】
・条件1:プロトコル「ARP」
・条件2:プロトコル「ICMP」且つタイプ「リクエスト」
・条件3:プロトコル「ICMP」のパケット全て
【0054】
具体的には、図4(B)に示すように、フィルタF1ICMPは、条件1からなり、フィルタF2ICMPは、条件1、2の2つの条件からなり、フィルタF3ICMPは、条件1〜3の3つの条件からなる。
【0055】
なお、図示は省略するが、フィルタF1ICMP〜F3ICMPを構成する条件の各々には、宛先IPアドレスが自分宛またはブロードキャストアドレスである旨も定義されているものとする。従って、どのフィルタを適用しても、宛先IPアドレスが自分宛、及びブロードキャストアドレス以外のパケットデータは保存されない。
【0056】
本実施の形態では、上記のように選択条件供給部50を予め定められたネットワーク階層のプロトコル毎に設ける場合を例に挙げて説明するが、1つの選択条件供給部50を設けて、選択条件供給部50に複数プロトコルにまたがった条件を含むフィルタを記憶した条件記憶部54を複数設けて、使用する条件記憶部54を選択するようにしてもよい。
【0057】
主制御部40は、書込制御部42、パケット処理部44、及び選択規則記憶部46を備えている。
【0058】
主制御部40には、通信インタフェース22から有効信号及びパケットデータが送信される。主制御部40は、有効信号がHレベルのときに送信されたパケットデータを有効なパケットデータとして取り扱う(図6(A)も参照)。
【0059】
書込制御部42は、有効なパケットデータの受信が開始されると該パケットデータがFIFO60に書込まれるよう、FIFO60にHレベルのライト信号を送信する。また、有効なパケットデータの受信が終了した場合(有効信号がLレベルになった場合)、または保存制御部44aでパケットデータが破棄対象のパケットデータであると判定された場合には、ライト信号をLレベルに変更する(図6(B)、(C)も参照)。
【0060】
また、書込制御部42は、有効なパケットデータの受信が終了した場合(有効信号がLレベルになった場合)、及び保存制御部44aでパケットデータが保存対象のパケットデータであると判定された場合には、ライト信号をLレベルに変更した後、ライト終了信号をFIFO60に送信する。
【0061】
パケット処理部44は、フィルタリングに関する様々な機能(保存制御部44a、選択制御部44b、及び割込制御部44c)を備えている。
【0062】
パケット処理部44の保存制御部44aは、有効なパケットデータと、選択条件供給部50で選択された条件記憶部54に記憶された条件とを比較して該パケットデータが保存対象か(条件に該当するか)、破棄対象か(条件に該当しないか)を判定する。パケット処理部44は、パケットデータが該条件のいずれにも該当しない場合には、通過許可信号をLレベルに変更し、それ以外はHレベルを維持する。
【0063】
例えば、TCP系の条件記憶部54として、図4(A)のフィルタF2TCPが選択されている状態で、受信したパケットデータがフィルタF2TCPの3つの条件のいずれかに該当した場合には、該受信したパケットデータは保存対象と判定され、通過許可信号はHレベルのまま維持される。また、図4(A)のフィルタF2TCPが選択されている状態で、受信したパケットデータがフィルタF2TCPの3つの条件のいずれにも該当しない場合には、該受信したパケットデータは破棄対象と判定され、通過許可信号はLレベルに変更される。
【0064】
また、パケット処理部44の選択制御部44bは、保存対象となったパケットデータが該当した条件に応じた条件記憶部54が選択されるように、選択信号を生成して選択部52に送信する。
【0065】
また、パケット処理部44の割込制御部44cは、画像形成装置10が省電力モードにあるときに、選択条件供給部50で選択された条件記憶部54に記憶された条件に該当したパケットデータが検出された場合に、停止中のCPU24を起動させるための割込信号を生成してCPU24に送信する。これにより、CPU24は、省電力モードから非省電力モードに復帰する。
【0066】
なお、CPU24が省電力モード(停止状態)から非省電力モード(起動状態)に復帰するに先立って、電源・通信制御部26の電源制御部32は、CPU24に電力供給を開始させるための制御信号を生成して電源供給制御部28に送信する。これにより、電源供給制御部28は、停止していたCPU24に対する電力供給を開始する。
【0067】
選択規則記憶部46には、条件記憶部54の選択規則を示す情報が記憶されている。前述したように、パケット処理部44は、保存対象となったパケットデータが該当した条件に応じた条件記憶部54が選択されるように、選択信号を生成して選択部52に送信するが、選択信号を生成するときに、選択規則記憶部46に記憶された選択規則を参照して選択信号を生成する。
【0068】
図5(A)に、TCP系の条件記憶部54の選択規則の一例を示し、図5(B)に、ICMP系の条件記憶部54の選択規則の一例を示す。
【0069】
ここで、TCP系の条件記憶部54の選択規則について詳述する。例えば、本実施の形態では、省電力モード時には、フィルタF1TCPが記憶された条件記憶部54が選択されるが、受信したパケットデータがフィルタF1TCPの条件に該当した場合には、次に受信されるパケットデータから適用するフィルタとしてフィルタF2TCPが記憶された条件記憶部54が選択される。
【0070】
また、フィルタF2TCPが記憶された条件記憶部54が選択されている状態で、受信したパケットデータがフィルタF2TCPの「条件2」に該当した場合には、次に受信されるパケットデータから適用するフィルタとしてフィルタF3TCPが記憶された条件記憶部54が選択される。
【0071】
また、フィルタF2TCPが記憶された条件記憶部54が選択されている状態で、受信したパケットデータがフィルタF2TCPの「条件3」に該当した場合には、次に受信されるパケットデータから適用するフィルタとしてフィルタF4TCPが記憶された条件記憶部54が選択される。
【0072】
また、フィルタF2TCPが記憶された条件記憶部54が選択されている状態で、受信したパケットデータがフィルタF2TCPの「条件1」に該当した場合には、条件記憶部54の切り替えは行われず、フィルタF2TCPが記憶された条件記憶部54が選択された状態が継続される。
【0073】
なお、本実施の形態のパケット処理部44の選択制御部44bは、TCP系の選択条件供給部50に対しては、0〜4の選択信号を生成する。TCP系の選択条件供給部50の選択部52は、選択信号が0の場合には、フィルタF1TCPが記憶された1番目の条件記憶部54を選択し、選択信号が1の場合には、フィルタF2TCPが記憶された2番目の条件記憶部54を選択し、選択信号が2の場合には、フィルタF3TCPが記憶された3番目の条件記憶部54を選択し、フィルタF4TCPが記憶された4番目の条件記憶部54を選択し、選択信号が4の場合には、フィルタF5TCPが記憶された5番目の条件記憶部54を選択する。
【0074】
ICMP系の条件記憶部54の選択も、図5(B)に示される選択規則に従って行われる。本実施の形態のパケット処理部44の選択制御部44bは、ICMP系の選択条件供給部50に対しては、0〜2の選択信号を生成する。ICMP系の選択条件供給部50の選択部52は、選択信号が0の場合には、フィルタF1ICMPが記憶された1番目の条件記憶部54を選択し、選択信号が1の場合には、フィルタF2ICMPが記憶された2番目の条件記憶部54を選択し、選択信号が2の場合には、フィルタF3ICMPが記憶された3番目の条件記憶部54を選択する。
【0075】
なお、選択規則記憶部46を、EPROM、EEPROM、フラッシュEEPROM、フラッシュメモリ等の半導体記憶素子等で構成してもよい。
【0076】
FIFO60は、先入れ先出し型のバッファであって、例えば、書き込み(ライト)ポインタ、読出し(リード)ポインタ、レジスタ、ポインタ制御回路により構成される。パケットデータ書き込み時は、ライトポインタが示すアドレスのレジスタ領域に順次格納され、パケットデータ読み出し時は、リードポインタが示すアドレスのレジスタ領域から順次に読み出される。ライトポインタは、ライト信号に応じてポインタ制御回路により更新される。リードポインタは、DMA制御部62の転送終了割込信号に応じてポインタ制御回路により更新される。
【0077】
FIFO60には、通信インタフェース22からパケットデータが送信され、主制御部40の書込制御部42からライト信号及びライト終了信号が送信され、パケット処理部44から通過許可信号が送信される。FIFO60は、ライト信号がHレベルのときに、通信インタフェース22から送信されたパケットデータをライトポインタが示すアドレスのレジスタ領域に書込む。また、ライト信号がLレベルになると、パケットデータの書き込みを停止する。また、FIFO60は、通過許可信号がLレベルになった場合には、FIFO60に書き込まれたパケットデータを破棄する。すなわち、ライトポインタが示すアドレスを該パケットデータの書き込み前の位置に戻して書込み済の部分をFIFO60から削除する。更に、FIFO60は、書込制御部42からライト終了信号が送信されると、書込んだパケットデータの保存を確定する。
【0078】
DMA制御部62は、通過許可信号がLレベルにならずにFIFO60に保存されライト終了信号により保存が確定したパケットデータを、CPU24を介さずにメインメモリ30に転送して保存する。DMA制御部62は、DMA転送が終了するとDMA転送終了信号をFIFO60に送信する。
【0079】
次に、図6及び図7を参照して、本実施の形態に係る受信制御部34の受信制御の具体例を説明する。ここでは、TCP系のフィルタに着目して説明する。
【0080】
画像形成装置10の起動後は、パケット処理部44の選択制御部44bは選択信号4を生成してTCP系の選択条件供給部50の選択部52に送信する。これにより、保存対象となるパケットの種類が最も多いフィルタF5TCPを記憶した条件記憶部54が選択される。
【0081】
画像形成装置10は、予め定められた期間、操作表示部18に対して操作が行われなかった場合や、通信インタフェース22を介してネットワークから予め定められた期間パケットデータを受信しなかった場合等に、省電力モードに移行する。画像形成装置10が省電力モードに移行する場合には、CPU24は、メインメモリ30をセルフリフレッシュモードに移行させた後、CPU24内部に設けられた省電力モード移行指示レジスタに省電力モード移行を示すデータを書込む。省電力モード移行指示レジスタに書込みが行われると、電源制御部32は、電源供給制御部20及び電源供給制御部28に電力供給を停止させる電源供給制御信号を送信する。これにより電源供給制御部20は、画像読取部14、画像形成部16、及び操作表示部18に対する電力供給を停止し、電源供給制御部28はCPU24に対する電力供給を停止する。
【0082】
また、省電力モード移行指示レジスタに書込みが行われると、受信制御部34のパケット処理部44の選択制御部44bは、選択信号0を生成してTCP系の選択条件供給部50の選択部52に送信する。これにより、保存対象となるパケットの種類が最も少ないフィルタF1TCPを記憶した条件記憶部54が選択される。フィルタF1TCPの選択中は、パケット処理部44の保存制御部44aは、フィルタF1TCPの「条件1」に従って、パケットデータの保存制御を行う。
【0083】
図6(A)は、通信インタフェース22から送信される有効信号とパケットデータのタイミングチャートを示す図である。図6(A)に示すように、有効なパケットデータの受信中は(図6(A)の(b))、通信インタフェース22からHレベルの有効信号がパケット処理部44に送信される(図6(A)の(a))。
【0084】
図6(B)は、フィルタF1TCPが記憶されている条件記憶部54が選択されている状態で、図7(1)に示すように、保存すべきパケットデータ(ARPリクエスト)を受信した場合の各信号のタイミングチャートである。
【0085】
書込制御部42は、前述したように有効なパケットデータの受信が開始されるとFIFO60にHレベルのライト信号を送信する(図6(B)の(c))。FIFO60は、ライト信号がHレベルにあるときには、通信インタフェース22から送信されたパケットデータを順次書き込んでいく(図6(B)の(d))。
【0086】
一方、パケット処理部44の保存制御部44aは、通信インタフェース22から送信されたパケットデータと、現在選択されている条件記憶部54に記憶されているフィルタF1TCPの条件(図4(A)の条件1)とを比較して該パケットデータが保存対象か破棄対象かを判定する。
【0087】
具体的には、パケットデータは、図8に示す太矢印の方向に(パケットデータの先頭から順に)主制御部40に送信される。従って、保存制御部44aは、パケットデータの、フィルタF1TCPの条件1を判定すべき位置(条件判定位置:図6(B)の(d)の斜線部分)を受信したところで、該条件判定位置の情報と条件1とを比較する。ここでは、プロトコルがARPであることがフィルタF1TCPの条件1であるため、その条件判定位置は、イーサネットヘッダ80のタイプ90(図9参照)の位置となる。
【0088】
保存制御部44aは、パケットデータのタイプ90の値が「0X0806」の場合には、条件1に該当するため、該パケットデータを保存対象と判定し、通過許可信号のHレベルを維持する(図6(B)の(e))。これにより、FIFO60の書き込みが継続される。
【0089】
また、フィルタF1TCPの条件は、省電力モード時の条件であるため、ここでパケットデータが保存対象と判定されると、電源制御部32は、CPU24に電力供給を開始させるための電源供給制御信号を電源供給制御部28に送信し、割込制御部44cは、CPU24を起動させるための割込信号を生成してCPU24に送信する。これにより、CPU24が起動し、省電力モードから非省電力モードに切り替わる。なお、CPU24が初期化して完全に復帰するにはある程度の時間を要するが、パケットデータの保存制御処理は受信制御部34により行われており、影響はない。そして、CPU24起動後は、CPU24によりメインメモリ30がセルフリフレッシュモードから通常動作モードに切り替えられる。また、画像読取部14、画像形成部16、及び操作表示部18への電力供給が再開されるよう、CPU24から電源制御部32に制御信号が送られる。電源制御部32は、該制御信号に従って、電源供給制御部20に電源供給制御信号を送り、画像読取部14、画像形成部16、操作表示部18への電力供給を再開する。
【0090】
また、パケット処理部44の選択制御部44bは、選択規則記憶部46に記憶された選択規則を参照し、保存対象と判定したパケットデータが該当した条件(条件1)に応じて次に選択すべき条件記憶部54を求める。図5(A)に示すように、フィルタF1TCPの条件1に該当した場合には、次に選択すべき条件記憶部54は、フィルタF2TCPが記憶された条件記憶部54となる。従って、選択制御部44bは、フィルタF2TCPが記憶された条件記憶部54が選択されるよう、選択信号1を生成して条件記憶部54の選択変更準備する(図6(B)の(f))。選択信号生成後は、ライト信号がLレベルになるまで選択信号の送信待ちとなる。
【0091】
書込制御部42は、有効なパケットデータの受信が終了した場合(有効信号がLレベルになった場合)に、ライト信号をLレベルに変更する。FIFO60は、ライト信号がLレベルに変更されると、パケットデータの書き込みを停止する。なお、フィルタF1TCPの条件に該当したパケットデータの次に受信されるパケットデータから、新たに選択された条件記憶部54に記憶されたフィルタF2TCPを適用して保存制御を行うようにするため、選択制御部44bは、ライト信号がLレベルになった後、次の有効なパケットデータが受信される前に、上記生成した選択信号1をTCP系の選択条件供給部50の選択部52に送信する(図6(B)の(g))。
【0092】
通常、パケットデータを連続して送信する場合には、最低限確保すべき送信間隔が予め定められている。この送信間隔を利用して選択信号が選択部52に送信される。
【0093】
選択部52は、選択信号1を受け取ると、1番目の条件記憶部54に代えて該受け取った選択信号1に応じた2番目の条件記憶部54を選択する。これにより、次に受信されるパケットデータから、該2番目の条件記憶部54に記憶されたフィルタF2TCPに基づいた保存制御が行われる。
【0094】
また、書込制御部42は、有効なパケットデータの受信が終了した場合(有効信号がLレベルになった場合)かつ保存制御部44aでパケットデータが保存対象のパケットデータであると判定された場合には、ライト信号をLレベルに変更した後、ライト終了信号をFIFO60に送信する(ライト終了信号については図示省略)。
【0095】
図6(C)は、フィルタF1TCPが記憶されている条件記憶部54が選択されている状態で、破棄すべきパケットデータを受信した場合の各信号のタイミングチャートである。
【0096】
書込制御部42は、前述したように有効なパケットデータの受信が開始されるとFIFO60にHレベルのライト信号を送信する(図6(C)の(h))。FIFO60は、ライト信号がHレベルにあるときには、通信インタフェース22から送信されたパケットデータを順次書き込んでいく(図6(C)の(i))。
【0097】
一方、パケット処理部44の保存制御部44aは、通信インタフェース22から送信されたパケットデータと、現在選択されている条件記憶部54に記憶されているフィルタF1TCPの条件(図4(A)の条件1)とを比較して該パケットデータが保存対象か破棄対象かを判定する。
【0098】
具体的には、保存制御部44aは、パケットデータの条件判定位置(条件判定位置:図6(C)の(i)の斜線部分)の情報と条件1とを比較する。ここでは、プロトコルがARPであることがフィルタF1TCPの条件1であるため、その条件判定位置は、イーサネットヘッダ80のタイプ90(図9参照)の位置となる。
【0099】
パケットデータのタイプ90の値が「0X0806」でない場合には、条件1に該当しないため、破棄対象となる。このようにパケットデータが条件1に該当しない場合には、書込制御部42は、ライト信号をLレベルに変更する((図6(C)の(h))。FIFO60は、ライト信号がLレベルに変更されると、パケットデータの書き込みを停止する。
【0100】
また、パケットデータが条件1に該当しない場合には、保存制御部44aは、通過許可信号をLレベルに変更する(図6(C)の(j))。通過許可信号がLレベルになると、FIFO60は、今まで書込んだパケットデータを破棄する。
【0101】
また、パケット処理部44の選択制御部44bは、パケットデータが破棄対象と判定された場合には、条件記憶部54の選択を変更しない。従って、新たな選択信号は生成されず、フィルタF1TCPが記憶された条件記憶部54が選択された状態が継続される(図6(C)の(k)及び(l))。
【0102】
図7の(1)で、ARPリクエストのパケットデータを受信すると、前述のように、該パケットデータはフィルタF1TCPの「条件1」に該当するため、FIFO60に保存され、更に、DMA転送によりメインメモリ30に保存される。割込信号により起動したCPU24は、図7(2)に示すように、該メインメモリ30に保存されたARPリクエストに対する応答を生成し、送信制御部36及び通信インタフェース22を介してARP応答のパケットデータをネットワークに送信する。
【0103】
その後、図7(3)に示すように、SNMPのTCP_SYNCリクエスト(TCP/IP通信の最初に発生するパケットであって、プロトコル「TCP」且つポート番号「SNMP」且つSYNフラグが「1」のパケット)が受信されると、該パケットデータは、保存制御部44aによりフィルタF2TCPの各条件(条件1〜3)と比較される。
【0104】
条件1との比較は、前述した通りである。パケットデータとTCP系の条件2とを比較する場合には、その条件判定位置は、IPヘッダ82の上位プロトコル番号86(図10参照)、TCPヘッダ84の宛先ポート番号88(図11参照)、及びSYNフラグ89(図11参照)の位置となる。パケットデータの上位プロトコル番号86がTCPの番号を示し、TCPヘッダ84の宛先ポート番号88がSNMPの番号を示し、SYNフラグ89が1であれば、条件2に該当することとなる。
【0105】
また、パケットデータとTCP系の条件3とを比較する場合には、その条件判定位置は、条件2と同じであるが、パケットデータの上位プロトコル番号86がTCPの番号を示し、TCPヘッダ84の宛先ポート番号88がLPRの番号を示し、SYNフラグ89が1であれば、条件3に該当することとなる。
【0106】
ここで、SNMPのTCP_SYNCリクエストのパケットデータはフィルタF2TCPの「条件2」に該当するため、図6(A)を参照して説明したように、FIFO60に保存され、更に、DMA転送によりメインメモリ30に保存される。また、選択制御部44bにより、図5(A)に示す選択規則に従って、フィルタF3TCPが記憶された条件記憶部54が選択されるように、選択信号2が生成され、前述したようにライト信号がLレベルになった後、次のパケットデータが受信されるまでの期間に選択部52に送信される。これにより、フィルタF3TCPが記憶された条件記憶部54が選択される。
【0107】
更に、CPU24は、受信制御部34からパケット保存通知を受け取ると、メインメモリ30から該保存されたパケットデータを読み出して、TCP_SYNCリクエストに対する応答を生成し、図7(4)に示すように、送信制御部36及び通信インタフェース22を介してTCP_SYNC応答のパケットデータをネットワークに送信する。
【0108】
その後、図7(5)に示すように、SNMPコマンド(プロトコル「TCP」且つポート番号「SNMP」のパケット)が受信されると、該パケットデータは、保存制御部44aによりフィルタF3TCPの各条件(条件1〜4)と比較される。
【0109】
条件1〜3との比較は、前述した通りである。パケットデータとTCP系の条件4とを比較する場合には、その条件判定位置は、IPヘッダ82の上位プロトコル番号86(図10参照)、及びTCPヘッダ84の宛先ポート番号88(図11参照)の位置となる。パケットデータの上位プロトコル番号86がTCPの番号を示し、TCPヘッダ84の宛先ポート番号88がSNMPの番号を示していれば、条件4に該当することとなる。
【0110】
SNMPコマンドのパケットデータはフィルタF3TCPの「条件4」に該当するため、図6(A)を参照して説明したように、FIFO60に保存され、更に、DMA転送によりメインメモリ30に保存される。また、図5(A)に示す選択規則では、パケットデータが条件4に該当した場合には、条件記憶部54の選択変更は行われない。
【0111】
なお、仮に、フィルタF3TCPが記憶された条件記憶部54が選択されている状態で、受信したパケットデータが条件3に該当した場合には、選択制御部44bにより、図5(A)に示す選択規則に従って、フィルタF5TCPが記憶された条件記憶部54が選択されるように、選択信号4が生成され、前述したようにライト信号がLレベルになった後、次のパケットデータが受信されるまでの期間に選択部52に送信される。これにより、フィルタF5TCPが記憶された条件記憶部54が選択される。また、フィルタF5TCPが記憶された条件記憶部54が選択されている状態でパケットデータが受信された場合には、条件1〜5の各々と該受信されたパケットデータとが比較される。条件1〜4との比較は前述した通りである。パケットデータとTCP系の条件5とを比較する場合には、その条件判定位置は、IPヘッダ82の上位プロトコル番号86(図10参照)、及びTCPヘッダ84の宛先ポート番号88(図11参照)の位置となる。パケットデータの上位プロトコル番号86がTCPの番号を示し、TCPヘッダ84の宛先ポート番号88がLPRの番号を示していれば、条件5に該当することとなる。
【0112】
なお、LPRプロトコルで画像形成要求のパケットデータが受信された場合には、CPU24は該画像形成要求に基づいて、画像形成部16で画像形成されるように制御する。
【0113】
このように、選択された条件記憶部54に記憶されたフィルタの条件と受信されたパケットデータとが比較され、該比較の結果、いずれかの条件に該当した場合には、該パケットデータが保存され、更に、該保存対象となったパケットデータに該当する条件に応じたフィルタが記憶された条件記憶部54が次に受信されるパケットデータから適用されるように選択される。
【0114】
ここでは、TCP系のパケットデータの受信制御を例に挙げて説明したが、ICMP系のパケットデータの受信制御も、上記と同様に行う。
【0115】
なお、受信したパケットデータとICMP系の条件1とを比較する場合には、TCP系の条件1と同様に行う。なお、フィルタF1ICMPを記憶した条件記憶部54が選択されている状態で受信したパケットデータが条件1に該当する場合には、省電力モードから非省電力モードに切り替えるため、電源制御部32は電源供給制御部28にCPU24に対する電力供給を再開させるための電源供給制御信号を送信すると共に、割込制御部44cは前述したようにCPU24に起動のための割込信号を送信する。
【0116】
また、受信したパケットデータとICMP系の条件2とを比較する場合には、その条件判定位置は、IPヘッダ82の上位プロトコル番号86(図10参照)、及びICMPヘッダ83のタイプ87(図10参照)の位置となる。パケットデータの上位プロトコル番号86がICMPの番号を示し、タイプ87がリクエストの番号を示していれば、条件2に該当することとなる。また、受信したパケットデータとICMP系の条件3とを比較する場合には、その条件判定位置は、IPヘッダ82の上位プロトコル番号86(図10参照)のみとなる。パケットデータの上位プロトコル番号86がICMPの番号を示していれば、条件3に該当することとなる。
【0117】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で様々な設計上の変更を行うようにしてもよい。
【0118】
例えば、上記実施の形態では、TCPプロトコル及びICMPプロトコルのパケットデータの受信制御を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、UDPプロトコルのパケットデータ等様々なプロトコルのパケットデータについても適用される。
【0119】
また、本実施の形態では、メインメモリ30にDRAMを用いた例について説明したが、メインメモリ30はこれに限定されるものではなく、例えばSRAM(Static Random Access Memory)を用いてもよい。この場合には、リフレッシュ動作は必要ない。
【0120】
また、上記実施の形態では、複数の条件記憶部54から1つの条件記憶部54を選択する、すなわち使用するフィルタを切り替える例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、複数の条件記憶部54の各々に互いに異なる条件を記憶しておき、使用する条件記憶部54を徐々に追加していくように受信制御部34を構成してもよい。ここで、条件を追加していく具体例について、TCP系のフィルタを例に挙げて説明する。
【0121】
予め、TCP系の1番目の条件記憶部54には条件1を記憶し、2番目の条件記憶部54には条件2を記憶し、3番目の条件記憶部54には条件3を記憶し、4番目の条件記憶部54には条件4を記憶し、5番目の条件記憶部54には条件5を記憶しておく。条件1〜5は、図4(A)を参照して説明した条件とする。
【0122】
画像形成装置10が省電力モードに移行する場合には、選択制御部44bの選択信号により、条件1が記憶された1番目の条件記憶部54のみが選択される(フィルタF1TCP)。省電力モードにおいて、条件1に該当するパケットデータが受信された場合には、保存制御部44aの制御により該パケットデータは保存される。更にこの場合、選択制御部44bは、図5(A)に示す選択規則記憶部46の選択規則に基づいて、1番目の条件記憶部54が選択された状態を継続したまま、更に、条件2が記憶された2番目の条件記憶部54、及び条件3が記憶された3番目の条件記憶部54が追加的に選択されるように選択信号を生成して選択部52に送信する。選択信号の送信は、図6(B)を用いて説明したように、ライト信号がLレベルになってから、次のパケットデータが受信されるまでの期間に行う。これにより、1〜3番目の条件記憶部54が選択された状態になる(フィルタF2TCP)。なお、このとき、CPU24も起動させ、非省電力モードに移行させる。
【0123】
更に、1〜3番目の条件記憶部54が選択された状態で、条件2に該当するパケットデータが受信された場合には、保存制御部44aの制御により該パケットデータは保存される。更にこの場合、選択制御部44bは、図5(A)に示す選択規則記憶部46の選択規則に基づいて、1〜3番目の条件記憶部54が選択された状態を継続したまま、更に、条件4が記憶された4番目の条件記憶部54が追加的に選択されるように選択信号を生成して選択部52に送信する。選択信号の送信は、図6(B)を用いて説明したように、ライト信号がLレベルになってから、次のパケットデータが受信されるまでの期間に行う。これにより、1〜4番目の条件記憶部54が選択された状態になる(フィルタF3TCP)。
【0124】
以上説明したように、保存対象となったパケットデータが該当した条件に従って、条件を追加していく(すなわち、選択する条件記憶部54を追加していく)ようにしてもよい。これにより、条件記憶部54に必要な記憶容量が削減される。
【0125】
また、上記実施の形態では、条件の数が多いフィルタを記憶した条件記憶部54に徐々に切り替えていく例について説明したが、受信したパケットデータが該当した条件によっては、現在選択されている条件記憶部54に記憶されている条件よりも少ない条件のフィルタを記憶した条件記憶部54に切り替える制御を行うようにしてもよい。
【0126】
例えば、フィルタF4TCPに、「上位プロトコル番号86がTCPの番号を示し、TCPヘッダ84の宛先ポート番号88がLPRの番号を示し、FINフラグ91が1」の条件を予め追加しておく。そして、LPRプロトコルによる通信中に該条件に該当したパケットデータを受信した場合には、選択制御部44bは、フィルタF1TCPやフィルタF2TCPに切り替えるように選択信号を生成する。FINフラグ91が1のパケットデータは、コネクションの終了を意味するものであるため、次にSYNフラグ89が1のパケットデータを受信するまではLPRプロトコルによる通信は開始されない。従って、フィルタF1TCPやフィルタF2TCPに切り替えても問題は発生しない。なお、SYNリクエストのパケットデータの送信側の装置では、フィルタF1TCPでSYNフラグ89が1のパケットデータが破棄されて応答が得られない場合にはARPリクエストからリトライされるため、フィルタF1TCPにに切り替えても問題は発生しない。
【0127】
なお、複数の条件記憶部54の各々に互いに異なる条件を記憶しておく構成で、条件を減らすように制御する場合には、選択制御部44bは、使用しない条件記憶部54の選択が解除されるように選択信号を生成して送信する。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の機能ブロック図である。
【図2】装置制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】受信制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】(A)は、TCP系の選択条件供給部に設けられた5つの条件記憶部の各々に記憶されている条件の一例を示す図であり、(B)は、ICMP系の選択条件供給部に設けられた3つの条件記憶部の各々に記憶されている条件の一例を示す図である。
【図5】(A)は、TCP系の条件記憶部の選択規則の一例を示す図であり、(B)は、ICMP系の条件記憶部の選択規則の一例を示す図である。
【図6】(A)は、通信インタフェースから送信される有効信号とパケットデータのタイミングチャートを示す図であり、(B)は、フィルタF1TCPが記憶されている条件記憶部が選択されている状態で、保存すべきパケットデータを受信した場合の各信号のタイミングチャートであり、(C)は、フィルタF1TCPが記憶されている条件記憶部54が選択されている状態で、破棄すべきパケットデータを受信した場合の各信号のタイミングチャートである。
【図7】画像形成装置と外部装置との間でやりとりされるパケットデータの一例を示す図である。
【図8】TCP/IPプロトコル及びICMPプロトコルのパケットデータの構成を示す図である。
【図9】イーサネットヘッダの詳細な構成を示した図である。
【図10】IPヘッダ及びICMPヘッダの詳細な構成を示した図である。
【図11】TCPヘッダの詳細な構成を示した図である。
【符号の説明】
【0129】
10 画像形成装置
12 装置制御部
20 電源供給制御部
22 通信インタフェース
24 CPU
26 電源・通信制御部
28 電源供給制御部
30 メインメモリ
32 電源制御部
34 受信制御部
40 主制御部
42 書込制御部
44 パケット処理部
44a 保存制御部
44c 割込制御部
44b 選択制御部
46 選択規則記憶部
50 選択条件供給部
52 選択部
54 条件記憶部
60 FIFO
62 DMA制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのパケットデータを保存するための保存手段と、
前記保存手段に保存するパケットデータの少なくとも1つの条件を各々記憶した複数の記憶手段と、
選択信号に応じて前記複数の記憶手段から少なくとも1つの記憶手段を選択する選択手段と、
受信したパケットデータが前記選択手段により選択された記憶手段に記憶された条件のいずれかに該当する場合には、該受信したパケットデータが前記保存手段に保存されるように制御し、受信したパケットデータが前記選択手段により選択された記憶手段に記憶された条件のいずれにも該当しない場合には、該受信したパケットデータが破棄されるように制御する保存制御手段と、
前記複数の記憶手段から、前記保存制御手段で保存の対象となったパケットデータが該当した条件に応じて少なくとも1つの記憶手段を選択するための選択信号を生成して前記選択手段に送信する選択制御手段と、
を備えた受信装置。
【請求項2】
前記選択制御手段は、前記保存制御手段により前記保存手段にパケットデータが保存されてから次のパケットデータを受信するまでの期間に前記記憶手段の選択が行われるように前記選択信号を生成して送信する
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
中央処理装置が停止状態のときに前記保存手段にパケットデータが保存された場合に、前記中央処理装置を起動するための割込信号を生成して前記中央処理装置に送信する割込制御手段を更に設けた、
請求項1または請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の受信装置と、
画像を形成する画像形成手段と、
前記受信装置で保存されたパケットデータが画像形成を要求するデータである場合に、画像が形成されるように前記画像形成手段を制御する中央処理装置と、
を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−130151(P2010−130151A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300670(P2008−300670)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】