説明

受信装置

【課題】省電力化を実現する受信装置を提供する。
【解決手段】デジタル放送を受信するチューナー部1と、チューナー部1によって受信さ
れた受信信号を復調するOFDM復調部2と、OFDM復調部2によって復調された受信
信号に対して、誤り訂正処理を施した第1の放送信号T1を出力する誤り訂正部3と、誤
り訂正部3から出力された第1の放送信号T1に部分受信信号が含まれているか否かを判
断し、部分受信信号が含まれている場合は前記部分受信信号のみを抽出する部分受信検出
部4と、部分受信信号に対して、TSレートを低減化するTS低速処理を施した第2の放
送信号T3を出力するTS低速処理部5とを具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル信号受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルテレビジョン放送が開始されている。欧州と日本においては、地上波テ
レビジョン放送システムの伝送方式としてOFDM(Orthogonal Frequ
ency Division Multiplexing)変調方式が採用されている。
OFDM変調方式は、広域信号を互いに直交する多数の搬送波で伝送することにより、地
上波テレビジョン放送において必須の伝送条件であるマルチパス伝播路における遅延干渉
特性を改善できる利点を有している。
【0003】
日本のデジタル放送では、ISDB−T(Integrated Services
Digital Broadcasting for Terrestrial)の地上
波デジタルテレビジョン方式(以下ISDB−T方式と記す)が採用されている。ISD
B−T方式においては、MPEG2規格で規定されたTS(Transport Str
eam)に、外符号化(例えば、RS符号化)及び内符号化(例えば、畳み込み符号化)
による誤り訂正符号化、インターリーブ符号化、デジタル変調等の信号処理が施され、さ
らにOFDM変調されて出力される。ここで、TSとは、音声信号や映像信号などが符号
化、及びパケット化されたものであり、具体的には、複数のTSパケット単位で構成され
、各TSパケットは、符号化された音声信号、映像信号、データ放送及び電子番組表(E
PG:Electric Program Guide)などのパケットで構成されてい
る。
【0004】
ISDB−Tの符号化方式により規定される送信データは、MPEG2規格で規定され
るTSパケット複数個からなるデータのグループ単位で構成され、このデータのグループ
毎にパイロット信号を付加したOFDMセグメントが13個組合されて(13セグメント
)送信される。
【0005】
また、ISDB−T方式では、伝送特性の異なる複数の階層を同時に伝送する階層伝送
が可能である。各階層は、1つ又は複数のOFDMセグメントにより構成され、階層毎に
キャリア変調方式、内符号の符号化率、時間インターリーブ長等の伝送パラメータを指定
することが可能である。この、複数の伝送パラメータの混在を可能とするために、各OF
DMセグメントには、制御信号であるTMCC(Transmission and M
ultiplexing Configuration Control:伝送多重構成
制御)信号が付加され、このTMCC信号が付加されたOFDMセグメントが13個でO
FDMシンボルが構成され、さらにOFDMシンボルが204個でOFDMフレームが構
成される。
【0006】
その後、IFFT(逆高速フーリエ変換)、ガードインターバル付加、直交変調、周波
数変換を施され、RF信号としてOFDM伝送信号が出力される。
【0007】
この地上波デジタル放送のサービスの1つとして、送信側(放送局)において、上記1
3個のセグメント(13セグメント)のうち12個を利用した12セグメント放送と呼ば
れる高品質の放送信号と、残りの1セグメントを利用した1セグメント放送と呼ばれる低
品質だがノイズに強く、低いC/N(キャリアノイズ比)でも受信可能な放送信号とを用
いて、同じ内容の情報を同時に放送するサービスがある。これを階層化サービスと呼ぶ。
なお、以下この1セグメント放送の放送信号を部分受信信号と呼ぶ。
【0008】
上述のTMCC信号には、この部分受信信号の有無や、また、緊急警報情報が放送中で
あるか否かを示すフラグが付加されている。このフラグを利用して、緊急警報情報が放送
中の場合、視聴する放送を、12セグメント放送の放送信号から部分受信信号に切り替え
、ノイズに強い部分受信信号の放送を利用して、例えば移動中の不安定な状況でも緊急警
報情報放送を確実に受信することのできる技術が知られている。(例えば、特許文献1参
照)
しかし、上記特許文献1のように部分受信信号の放送を出力する際も、通常の12セグ
メント放送を出力するときと同様の処理速度で処理し、出力すると、緊急警報情報放送時
など、特に省電力化が要求される場合に、消費電力が削減できなかった。
【特許文献1】特開2007−96403([0015]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、省電力化を実現する受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一態様の受信装置は、デジタル放送の受信信号を
復調する復調部と、前記復調部によって復調された前記受信信号に対して、誤り訂正処理
を施した第1の放送信号を出力する誤り訂正部と、前記第1の放送信号に部分受信信号が
含まれているか否かを判断し、前記第1の放送信号に前記部分受信信号が含まれている場
合は、前記部分受信信号のみを抽出する部分受信検出部と、前記部分受信信号に対して、
TSレートを低減化するTS低速処理を施した第2の放送信号を出力するTS低速処理部
とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、省電力化を実現することが可能な受信装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る受信装置200の構成を示すブロック図である
。なお、本装置全体の制御は、マイクロプロセッサからなる制御部100が司っており、
ROM等の記録媒体に記録されたプログラムを読み込むことにより、そのプログラムに記
述された手順に従って各種処理を実行する。
【0014】
まず、アンテナANTによって受信されたOFDM伝送信号は、チューナー部1により
周波数変換、直交検波された後、OFDM復調部2でガードインターバル除去、FFT(
高速フーリエ変換)された後、復調される。そして、誤り訂正部3で外符号化及び内符号
化処理の逆処理を行うことで誤り訂正処理が行われ、放送局から送り出されたTSに戻さ
れる。
【0015】
そして、この放送局から送り出されたTSのTSパケット(以下第1の放送信号T1と
記す)は、部分受信検出部4及び外部の双方に出力される。部分受信検出部4では、この
第1の放送信号T1から、部分受信信号のみを抜き出し、TS低速処理部5で、この抜き
出された部分受信信号を、その部分受信信号に相当する低速のTSレートに変換して、そ
の低速のTSレートのTSである第2の放送信号T3を外部に出力する。なお、第1の放
送信号T1は、13セグメントのOFDM信号で構成され、第2の放送信号T3は1セグ
メントのOFDM信号で構成される。
【0016】
次に、TS低速処理部5の動作の詳細について、図2を参照して説明する。
【0017】
まず、誤り制御部3から出力された第1の放送信号T1が部分受信検出部4に入力され
る。部分受信検出部4は、TMCC信号に含まれる部分受信フラグの有無
とTMCC信号の伝送パラメータをもとに、第1の放送信号T1から部分受信信号のみを
抜き出し、その部分受信信号をTS低速処理部5に出力する。TS低速処理部5では、ま
ず、書き込み処理部51でその部分受信信号をバッファ52に書き込む。次に、読み出し
処理部53でバッファ52に書き込まれた部分受信信号を低速レートで読み出すことで、
部分受信信号のTSレートを低減した第2の放送信号T3を出力する。
【0018】
次に、本実施の形態の動作について説明する。
【0019】
以下の各フローチャートで示される処理は、マイクロコンピュータである制御部100
が所定のプログラムを読み込むことにより実行される。他の実施形態においても同様であ
り、それぞれの実施形態に対応したプログラムを制御部100が読み込むことで実行され
る。
【0020】
まず、誤り訂正部3から出力された第1の放送信号T1と第2の放送信号T3との双方
の信号を受信装置200の外部に出力するまでの動作について図3のフローチャートを参
照して説明する。
【0021】
ステップS1で、受信アンテナANTにおけるOFDM伝送信号の受信から、誤り訂正
部3における誤り訂正処理までを実行し、ステップS2aで、第1の放送信号T1が、部
分受信検出部4及び受信装置200の外部の、双方に出力される。そして、ステップS3
で、部分受信検出部4に出力された第1の放送信号T1に部分受信信号が含まれているか
否かを判断する。第1の放送信号T1に部分受信信号が含まれている場合、ステップS4
で、TS低速処理部5が、その部分受信信号に対してTS低速処理を実行し、ステップS
5で、TS低速処理された部分受信信号である第2の放送信号T3を受信装置200の外
部に出力し、ステップS6で全てのOFDM伝送信号の処理が終了したか否かを判断し、
終了していれば本動作は終了し、終了していない場合は、ステップS1に戻り、全てのO
FDM伝送信号が終了するまで上記動作を繰り返す。なお、ステップS3で部分受信信号
がないと判断された場合は、ステップS6に進む。
【0022】
次に、図4に示すように、図1の構成にTS切り替え出力部6及びMPEGデコード部
7を更に付加した構成について説明する。なお、ANTから誤り訂正部3までの構成は図
2と同様であるので説明は省略する。
【0023】
誤り訂正部3は、第1の放送信号T1を、TS切り替え出力部6及び部分受信検出部4
の、双方に出力する。そして、TS切換え出力部6には、第1の放送信号T1と、部分受
信検出部4及びTS低速処理部5を介した第2の放送信号T3との、双方が入力される。
TS切り替え出力部6では、視聴者からの切り替え信号に基づいて、第1の放送信号T1
と第2の放送信号T3とのいずれか一方を、MPEGデコード部7に出力する。そして、
MPEGデコード部7で、第1の放送信号T1又は、第2の放送信号T3が復号化され、
第1の放送信号T1に対しては、13セグメントのうち高品質放送用の12セグメントを
用いた12セグメント放送が、第2の放送信号T3に対しては1セグメントを用いた1セ
グメント放送が、受信装置200の外部に出力される。なお、TS切り替え出力部6を介
さずに、第1の放送信号T1と、第2の放送信号T3とを、それぞれ誤り訂正部3、TS
低速処理部5から直接MPEGデコード部7に出力し、MPEGデコード部7以降の処理
で、切り替え処理を実行してもよい。
【0024】
次に、第1の放送信号T1と第2の放送信号T3とを、切り替えてMPEGデコード部
7に信号出力する動作について、図5のフローチャートを参照して説明する。まず、ステ
ップS1乃至ステップS3については、図3のフローチャートと同様である。次に、ステ
ップS7aで、TS切り替え出力部6が、視聴者からの切り替え信号に基づき、第1の放
送信号T1と第2の放送信号T3のどちらの放送信号を出力するかを判断する。そして、
ステップS7aで、第2の放送信号T3を出力すると判断した場合は、ステップS8で、
第2の放送信号T3に対してMPEGデコード部7の復号処理を施し、1セグメント放送
を受信装置200aの外部に出力する。また、ステップS7aで、第1の放送信号T3を
出力すると判断した場合は、ステップS8で、第1の放送信号T1に対してMPEGデコ
ード部7の復号処理を施し、12セグメント放送をOFDM受信層200aの外部に出力
する。
【0025】
本実施の形態によれば、本発明に係る受信装置は、一方で第1の放送信号を受信装置の
外部へ出力し、他方で第1の放送信号から部分受信信号を抜き出し、かつ、その部分受信
信号を低速レートで読み出すことで部分受信信号のTSレートを低減した第2の放送信号
を受信装置の外部に出力することができ、受信装置の外部で、第1の放送信号を視聴する
か、また、第2の放送信号を視聴するかの選択が可能になる。
【0026】
更に、第1の放送信号と第2の放送信号の出力処理の後、TS切り替え出力部を設ける
ことで、視聴者が1セグメント放送と12セグメント放送のどちらを視聴するかを選択し
た結果に合わせて出力対象の信号を切り替えることができる。これにより、例えば、1セ
グメント放送のみを視聴する場合、MPEGデコード部では第2の放送信号のみが処理さ
れることになる。この第2の放送信号はTSレートが低減されているので、MPEGデコ
ード部における処理レートは低減され、その結果、MPEGデコード部における消費電力
を削減することができる。
【0027】
(第2の実施の形態)
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る受信装置200bの構成を示すブロック図で
ある。本実施の形態が第1の実施の形態と異なるのは、第1の実施の形態では、TS切り
替え処理部6からMPEGデコード部7に、第1の放送信号T1又は第2の放送信号T3
を切り替え出力する際に、視聴者から入力される切り替え信号をもとに行っていたのに対
し、本実施の形態の受信装置200bは、緊急警報情報の受信時に、TMCC検出部10
から切り替え出力部6に切り替え信号が自動で出力され、その切り替え信号をもとに、M
PEGデコード部7に第1の放送信号T1又は第2の放送信号T3を切り替え出力する点
である。
【0028】
具体的には、OFDM復調部2は、誤り訂正部3に、復調されたOFDM信号を出力す
る一方で、OFDM信号に含まれるTMCC信号のみをTMCC検出部10に出力する。
TMCC検出部10は、このTMCC信号に、緊急警報情報が含まれているか否かを判断
し、緊急警報情報が含まれている場合には、TS切り替え出力部6に切り替え信号を出力
する。そして、TS切り替え出力部6は、この切り替え信号をもとに、第1の放送信号T
1と第2の放送信号T3との出力の切り替えを行う。
【0029】
次に、本実施の形態の動作について図7のフローチャートを参照して説明する。図7の
フローチャートと、第1の実施の形態で説明した図5のフローチャートとは、第1の放送
信号T1の出力先及び、TS切り替え判断方法が異なる。
【0030】
第1の放送信号T1の出力先は、ステップS2bで示すようにTS切り替え判断部6及
び部分受信検出部4である。
【0031】
また、TS切り替え判断は、緊急警報情報があるか否かを判断することによって切り替
えの判断を行っている。具体的には、ステップS7bで緊急警報情報があるか否かを判断
し、緊急警報情報があると判断した場合は、ステップS8で、第2の放送信号T3に対し
てMPEGデコード部7の復号処理を施し、1セグメント放送を受信装置200bの外部
に出力する。また、ステップS7bで緊急警報情報がないと判断した場合は、ステップS
8で、第1の放送信号T1に対してMPEGデコード部7の復号処理を施し、12セグメ
ント放送を受信装置200bの外部に出力する。
【0032】
本実施の形態によれば、受信装置が、第1の放送信号から部分受信信号を抜き出し、か
つ、その部分受信信号を低速レートで読み出すことで、部分受信信号のTSレートを低減
した第2の放送信号を出力することができる。
【0033】
更に、第1の放送信号と第2の放送信号の出力処理後、TS切り替え出力部で、TMC
C検出部における緊急警報の検出結果にもとづき、第1の放送信号と第2の放送信号とを
切り替えて出力することができる。これにより、例えば、緊急警報が検出された場合は第
2の放送信号のみがMPEGデコード部に出力され、MPEGデコード部では第2の放送
信号のみが処理され、1セグメント放送を受信装置の外部に出力することができる。この
第2の放送信号はTSレートが低減されているので、MPEGデコード部における処理レ
ートは低減され、その結果、MPEGデコード部における消費電力を削減することができ
、緊急時で受信装置の充電ができないときなどでも受信装置への給電の長期化を図れる。
更に、1セグメント放送はノイズに強く、低いC/N(キャリアノイズ比)でも受信可能
であるので、災害時等の緊急時で、13個の全てのセグメントの受信状況が不安定な場合
でも、受信しやすい。
【0034】
(第3の実施の形態)
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る受信装置200cの構成を示すブロック図で
ある。本実施の形態が第1の実施の形態と異なるのは、第1の実施の形態では、TS切り
替え処理部6からMPEGデコード部7に、第1の放送信号T1又は第2の放送信号T3
を切り替え出力する際に、視聴者から入力される切り替え信号をもとに行っていたのに対
し、本実施の形態の受信装置200cは、受信装置200cに電源を供給するバッテリー
のバッテリー残量が所定値以下になったとき、電力検出部11から切り替え出力部6に切
り替え信号が自動で出力され、その切り替え信号をもとに、MPEGデコード部7に第1
の放送信号T1又は第2の放送信号T3を切り替え出力する点である。なお、本実施の形
態の受信装置200cの電源は受信装置200c内部のバッテリーから供給されているも
のとする。
【0035】
具体的には、バッテリー残量を監視する電力検出部11が、バッテリー残量が予め設定
した所定量以下になった場合に、TS切り替え出力部6に切り替え信号を出力する。そし
て、TS切り替え出力部6は、この切り替え信号をもとに、第1の放送信号T1と第2の
放送信号T3との出力の切り替えを行う。
【0036】
次に、本実施の形態の動作について図9のフローチャートを参照して説明する。図9の
フローチャートと第1の実施の形態の図5のフローチャートとは、第1の放送信号の出力
先及び、TS切り替え判断方法が異なる。
【0037】
第1の放送信号T1の出力先は、ステップS2bで示すようにTS切り替え判断部6及
び部分受信検出部4である。
【0038】
また、TS切り替え判断は、バッテリー残量が所定量以下になったか否かを判断するこ
とによって切り替え判断を行っている。具体的には、ステップS7cでバッテリー残量が
所定量以下になったか否かを判断し、所定量以下になった場合は、ステップS8で、第2
の放送信号T3に対してMPEGデコード部7の復号処理を施し、1セグメント放送を受
信装置200cの外部に出力する。また、バッテリー残量が所定量以下になっていない場
合は、ステップS8で、第1の放送信号T1に対してMPEGデコード部7の復号処理を
施し、12セグメント放送を受信装置200cの外部に出力する。なお、バッテリー残量
が所定量以下になった場合でも、その後充電することにより所定量以上になった場合は、
ステップS8で12セグメント放送が出力される。
【0039】
本実施の形態によれば、受信装置が第1の放送信号から部分受信信号を抜き出し、かつ
、その部分受信信号を低速レートで読み出すことで、部分受信信号のTSレートを低減し
た第2の放送信号を出力することができる。
【0040】
更に、第1の放送信号T1と第2の放送信号T3の出力処理後、TS切り替え出力部で
、受信装置のバッテリー残量の検出結果にもとづきの信号を切り替えることができる。こ
れにより、例えば、受信装置の内部バッテリーが所定量以下になった場合、第2の放送信
号T3のみがMPEGデコード部に出力され、MPEGデコード部では第2の放送信号T
3のみが処理されることになる。この第2の放送信号T3はTSレートが低減されている
ので、MPEGデコード部における処理レートは低減され、その結果、MPEGデコード
部における消費電力を削減することができる。そのため、受信装置のバッテリー残量が減
少した場合でも、1セグメント放送により放送の視聴を継続することができる。
【0041】
(第4の実施の形態)
図10は、本発明の第4の実施の形態に係る受信装置200dの構成を示すブロック図
である。本実施の形態が第1の実施の形態と異なるのは、第1の実施の形態では、TS切
り替え処理部6からMPEGデコード部7に、第1の放送信号T1又は第2の放送信号T
3を切り替え出力する際に、視聴者から入力される切り替え信号をもとに行っていたのに
対し、本実施の形態の受信装置200dは、誤り訂正部3から誤り率検出部12に誤り率
が出力され、この誤り率が所定値より高くなったとき、誤り検出部12からTS切り替え
出力部6に切り替え信号が自動で出力され、その切り替え信号をもとに、MPEGデコー
ド部7に第1の放送信号T1又は第2の放送信号T3を切り替え出力する点である。
【0042】
具体的には、誤り停止部3から誤り率検出部12に、OFDM信号の誤り率が出力され
、この誤り率が予め設定した所定値より高くなった場合に、TS切り替え出力部6に切り
替え信号を出力する。そして、TS切り替え出力部6は、この切り替え信号をもとに、第
1の放送信号T1と第2の放送信号T3との出力の切り替えを行う。
【0043】
次に、本実施の形態の動作について図11のフローチャートを参照して説明する。図1
1のフローチャートと第1の実施の形態の図5のフローチャートとは、第1の放送信号の
出力先及び、TS切り替え判断方法が異なる。
【0044】
第1の放送信号T1の出力先は、ステップS2bで示すようにTS切り替え判断部6及
び部分受信検出部4である。
【0045】
また、TS切り替え判断は、誤り訂正部での誤り率が所定値より高くなったか否かを判
断することによって行っている。具体的には、ステップS7dで、誤り訂正部3から誤り
率検出部12に出力された誤り率が、所定値より高くなったか否かを判断し、所定値より
高くなった場合は、ステップS8で、第2の放送信号T3に対してMPEGデコード部7
の復号処理を施し、1セグメント放送を受信装置200dの外部に出力する。また、誤り
率が所定値より高くなっていない場合は、ステップS8で、第1の放送信号T1に対して
MPEGデコード部7の復号処理を施し、12セグメント放送を受信装置200dの外部
に出力する。なお、一端所定値より高くなった場合でも、その後、誤り率が向上すること
により所定値より低くなった場合は、ステップS8で12セグメント放送が出力される。
【0046】
本実施の形態によれば、受信装置が第1の放送信号T1から部分受信信号を抜き出し、
かつ、その部分受信信号を低速レートで読み出すことで、部分受信信号のTSレートを低
減した第2の放送信号T3を出力することができる。
【0047】
更に、第1の放送信号T1と第2の放送信号T3の出力処理後、TS切り替え出力部で
、誤り訂正部での誤り率にもとづき信号を切り替えることができる。これにより、例えば
、誤り訂正部の誤り率が所定値より悪化した場合、第2の放送信号T3のみがMPEGデ
コード部に出力され、MPEGデコード部では第2の放送信号T3のみが処理されること
になる。この第2の放送信号T3はTSレートが低減されているので、MPEGデコード
部における処理レートは低減され、その結果、MPEGデコード部における消費電力を削
減することができる。
【0048】
(第5の実施の形態)
図12は、本発明の第5の実施の形態に係る受信装置200eの構成を示すブロック図
である。上述した第1乃至4の実施の形態では、TS切り替え出力部への切り換え信号の
出力手段として、視聴者の選択に基づく場合、緊急警報情報にもとづく場合、受信装置2
00eの内部バッテリー低下にもとづく場合及び、誤り率の悪化にもとづく場合を、それ
ぞれ別々に実施していたが、本実施の形態では、図12に示すように、これらの各切り替
え信号の出力手段を全て実装している。
【0049】
本実施の形態の動作について、図13のフローチャートを参照して説明する。本実施の
形態では、ステップS7a乃至7dを全てOR条件で接続することにより、ステップS7
a乃至7dのいずれかがYesである場合、つまり、視聴者が第2の放送信号T3の出力
を選択した、もしくは、緊急警報を検出した、もしくは、受信装置200eの内部バッテ
リーが低下した、もしくは、誤り訂正部3の誤り率が所定値より悪化した場合に、TS切
り替え出力部6は、第2の放送信号T3をMPEGデコード部7に出力する。
【0050】
本実施の形態によれば、第1乃至4の実施の形態の効果に加え、TS切り替え出力に対
して、よりフレキシブルな選択が可能になる。
【0051】
なお、本実施の形態では、これらの各切り替え信号の出力手段を全て実装したが、適宜
実装し、それらを適宜組み合わせても構わない。
【0052】
なお、上述した第1乃至5の実施の形態では、TS切り替え出力部6での切り替え判断
は自動で行うと記したが、手動でも構わない。例えば、各々の切り替え信号がTS切り替
え出力部6に入力された再に、画面表示や、音声出力などにより、その旨を視聴者に知ら
せ、視聴者が手動で切り替えてもよい。
【0053】
また、上述した第1乃至5の実施の形態では、各種切り替え信号(視聴者による切り替
え信号、TMCC検出部10からの切り替え信号、電力検出部11からの切り替え信号、
誤り検出部12からの切り替え信号)は、TS切り替え出力部6に入力されるが、制御部
100に入力されても構わない。そして、制御部100からTS切り替え出力部6に切り
替え信号を出力してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る受信装置のブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るTS低速処理部の詳細ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る受信装置のフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る受信装置のブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る受信装置のフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る受信装置のブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る受信装置のフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る受信装置のブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る受信装置のフローチャートである。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る受信装置のブロック図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る受信装置のフローチャートである。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係る受信装置のブロック図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態に係る受信装置のフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1:チューナー部
2:OFDM復調部
3:誤り訂正部
4:部分受信検出部
5:TS低速処理部
6:TS切り替え出力部
7:MPEGデコード部
10:TMCC検出部
11:電力検出部
11a:内部バッテリー
12:誤り率検出部
51:書き込み処理部
52:バッファ
53:読み出し処理部
100:制御部
200、200a、200b、200c、200d、200e:受信装置
T1:第1の放送信号(13セグメント)
T2:部分受信信号
T3:第2の放送信号(1セグメント)
T4:第1の放送信号(13セグメント)又は第2の放送信号(1セグメント)
T5:12セグメント放送又は1セグメント放送

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送の受信信号を復調する復調部と、
前記復調部によって復調された前記受信信号に対して、誤り訂正処理を施した第1の放
送信号を出力する誤り訂正部と、
前記第1の放送信号に部分受信信号が含まれているか否かを判断し、前記第1の放送信
号に前記部分受信信号が含まれている場合は、前記部分受信信号のみを抽出する部分受信
検出部と、
前記部分受信信号に対して、TSレートを低減化するTS低速処理を施した第2の放送
信号を出力するTS低速処理部と
を具備することを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記第1の放送信号と前記第2の放送信号とを切り替え出力する切り替え出力部を
更に具備することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記復調された受信信号に、緊急警報情報が含まれているか否かを検出し、前記復調さ
れた受信信号に、前記緊急警報情報が含まれている場合に、第1の切り替え信号を、前記
切り替え出力手段に出力する第1の検出部を更に具備し、
前記切り替え出力部は、前記第1の切り替え信号をもとに、前記第1の放送信号と前記
第2の放送信号とを切り替え出力することを特徴とする請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記緊急警報情報は、OFDM伝送信号に含まれるTMCC信号の一部であることを特
徴とする請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
バッテリーのバッテリー残量を監視し、前記バッテリー残量が所定量以下になった場合
に、第2の切り替え信号を前記切り替え出力部に出力する第2の検出部を更に具備し、
前記切り替え出力部は、前記第2の切り替え信号をもとに、前記第1の放送信号と前記
第2の放送信号とを切り替え出力することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1つに
記載の受信装置。
【請求項6】
前記誤り訂正部によって計測された誤り訂正処理の誤り率が入力される第3の検出部を
更に具備し、
前記第3の検出部は、前記誤り訂正部から出力された前記誤り率が、所定値より高くな
った場合に、第3の切り替え信号を前記切り替え出力部に出力し、
前記切り替え出力部は、前記第3の切り替え信号をもとに、前記第1の放送信号と前記
第2の放送信号とを切り替え出力することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1つに
記載の受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−284247(P2009−284247A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−134592(P2008−134592)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(390010308)東芝デジタルメディアエンジニアリング株式会社 (192)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】